説明

水流等逆流循環システム及び水力発電機

【課題】 本願発明は、一定量の水を繰返し、循環させる水流逆流循環システムを供給すること、これに水力発電機を備えつけること、よって、揚水発電機として発電効率の高いものを供給することを課題とする。
【解決手段】 最初に水を蓄えた貯水槽から、弁付き流入口を経て逆流防止用タンクに流入させた水を気体収容タンクの真空ポンプ等の吸気・排気に伴う浮き沈み運動により、導水管内へ逆流させることで、水を循環させる、これにより水力発電機と共に用いた場合、発電しながら揚水できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、水力発電、下水処理施設、河川の水流分岐設備等の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
従来の揚水発電は揚水時に電力を消費するのみであった。また、これを改善すべく「気泡ポンプ揚水式複合水力発電装置」なるものがある(出願番号2006−051879)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は揚水するために必要なエネルギーを水力発電によって賄い、更に発電したエネルギーの方が、揚水に必要なエネルギーよりも高まるようにすることを課題とする。水枯れの季節でも、一定量確保した水を繰返し、発電に利用することも課題とする。
【0004】
また、河川の無い場所でも発電機を設置することを課題とする。
【0005】
更に水を斜面地でも循環させることで、ろ過器等と併用し、省スペースで下水処理施設を提供することを課題とする。公園等の噴水に発電しながら、利用することも課題とする。
【発明の効果】
【0006】
ダムや河川を必要とせず、水力発電設備を設けられる。揚水するためのエネルギーより高い発電エネルギーを得られる。水枯れの季節でも一定量の水を繰返し、発電に利用できる。
【0007】
斜面地でも省スペースで下水処理施設を設けることができる。
【0008】
公園等の噴水に循環システムとして利用でき、更に発電も可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[請求項1について]
図1に示す符号1の貯水槽に蓄えた水を符号2の逆流用タンクに符号3の弁付き流入口を通じて流入させる。符号2の逆流用タンクに一定量の水が蓄えられると当該水量に応じて符号7の気体収容タンクが浮き上がる。
符号7の気体収容タンクは符号5に示す如く、少なくとも1つの弁付き吸気・排気口が設けてあり、浮き上がりのピーク時は気体を外に逃がさないよう閉じられた状態でなければならない。また符号7の気体収容タンクには、下部適所に符号6のような重りが設けてある。気体収容タンク内の気体と重りのバランスで符号2の逆流用タンク内に気体収容タンクを浮かせ、符号4の真空ポンプによる排気により、気体収容タンクを沈ませるというものである。
即ち、符号4の真空ポンプを作動させ、符号5の弁付き吸気・排気口を通じて、符号7の気体収容タンクから排気すると符号6の重りの重量により、符号7の気体収容タンクが下方へ動き、符号2の逆流用タンクに蓄えられた水が、符号8の導水管を通じて上方へ流れる。符号8の導水管は、符号1の貯水槽の水面位置より高い位置で、水が下方へ流れるように曲げてあるので、水は符号1の貯水槽へ戻ってくることになる。符号7の気体収容タンクを沈ませ、水を符号8の導水管へ押し出す時、符号3の弁が閉じているべきことは、必須要件である。なお、符号6の重りを設けず、符号7の気体収容タンク自体の重さを適度にし、中に収容する気体とでバランスを取ることも可能である。
【0010】
また、符号7の気体収容タンク内の適所にしきりを設け、完全に気体を密封した部屋と真空排気・吸気を行う部屋とに分けることで、真空排気量を真空ポンプで調整しなくとも、一定量の排気・吸気を円滑に行える。これにより符号6の重りと完全に気体を密封した部屋内の気体とのバランスが保たれ、符号7の気体収容タンクの浮き沈みある程度、一定に保つことができる。
[請求項2について]
請求項1の発明の実施において、水が図1における符号8の導水管を通じて、上方へ流れ、下方へ流れるように転じさせた際の適所において、符号9の如く、水力発電機を設ける。
これにより、一旦、発電に用いた水を符号1の貯水槽から符号2の逆流用タンク及び符号8の導水管を経て、何度も符号1の貯水槽に循環させながら、有効利用できる。
【0011】
なお、符号7の気体収容量が多ければ、多い程、符号6の重りを重くしないとバランスが取れないが、その分だけ、符号2の逆流用タンク内の水を多く、符号8の導水管に押し出すことができる。
[請求項3について]
物体の浮力は当該物体の体積に応じて変化することから、符号7の気体収容タンクの底部を除く少なくとも一部を気体の注入又は排気に応じて、変形させることで、符号7の気体収容タンクの浮き沈みをより高速に行うことができる。そのために、図1の符号7の気体収容タンクの変形部分をP.Eなどの素材にすることや蛇腹形状とすることが考えられる。
[請求項4について]
図2における符号4の気体送入用ポンプによって、符号8の気体収容タンク内に気体を充満させ、同気体収容タンクを浮かせることができる。この時、符号7の排気筒の弁は閉じていなければならない。符号2の逆流用タンクから符号9の導水管へ水を押し出す時は、符号7の排気筒の弁を開くこととする。そうすると符号8の気体収容タンクは可撓性(かぎょうせい)ある変形可能な素材を用いているので、符号6の重りによって、符号8の気体収容タンクが沈み始めると共に、中の気体が抜け、小さく変形する。一方、符号8の気体収容タンクが沈み切った後は、符号7の排気筒の弁を閉じ、符号4の気体送入用ポンプで気体を注入することになる。
すると符号8の気体収容タンクは、その素材の可撓性により、ポンプの気体注入に応じて、大きく変形する。これら一連の操作により、符号8の気体収容タンクの浮き沈みを気体送入用ポンプでも高速に行える。なお、符号8の気体収容タンクの変形部分は蛇腹形状とすることも考えられる。
[請求項5について]
図1における気体収容タンク内の気体の注入及び排気を真空ポンプと気体送入用ポンプの併用で行えば、より高速に符号7の気体収容タンクの浮き沈みを完遂することができる。
[請求項6について]
図3における符号1の貯水槽から、符号3の弁付き流入口を通じて符号2の逆流用タンク内に蓄えた水を符号10の導水管内へ上方へ流すという点は、請求項1ないし5の発明と同様である。しかし請求項1ないし5の発明にあっては、逆流用タンク内の水の上に浮かぶ気体収容タンクが逆流させる水との関係でピストンの役目を果たすので、浮き沈みのバランスとの兼ね合い上、逆流させる水の質量が気体収容タンクのピストン力の限界を決めてしまう。
本請求項6の発明は、図3における符号4の重液収容タンクに水より重い液体を収容することに特徴がある。これにより、符号5の気体収容タンクは、当該「水より重い液体」との関係で、浮き沈みのピストン力を得ることになり、その力は符号5の気体収容タンクの底部から連結された符号7のピストン底部にそのまま伝えられる。
よって、請求項1ないし5の発明に比べ、符号2の逆流用タンク内から、多くの水を符号10の導水管へ逆流させることができる点が、新たな技術的効果となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 図1は真空ポンプを用いた水流等逆流循環システム付き水力発電機の全体図を表す。
【図2】 図2は気体送入用ポンプを用いた水流等逆流循環システム付き水力発電機の全体図を表す。
【図3】 図3は、逆流用タンクと別個に重液収容タンクを設けた水流等逆流循環システム付き発電機の全体図を表す。
【符号の説明】
【0013】
[図1について]
符号1、 貯水槽
符号2、 逆流用タンク
符号3、 弁付き流入口
符号4、 真空ポンプ
符号5、 弁付き吸気・排気口
符号6、 重り
符号7 気体収容タンク
符号8 導水管
符号9 水力発電機
[図2について]
符号1 貯水槽
符号2 逆流用タンク
符号3 弁付き送入口
符号4 気体送入用ポンプ
符号5 弁付き吸気口
符号6 重り
符号7 弁付き排気筒
符号8 気体収容タンク
符号9 導水管
符号10 水力発電機
[図3について]
符号1 貯水槽
符号2 逆流用タンク
符号3 弁付き流入口
符号4 重液収容タンク
符号5 気体収容タンク
符号6 重り
符号7 逆流用ピストン底部
符号8 弁付き吸気・排気口
符号9 真空ポンプ
符号10 導水管
符号11 水力発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1における符号1の請求項1の脇に備えた符号2の逆流用タンクに符号3の弁を通じて符号1の貯水槽から流入させた水を符号4の真空ポンプ及び符号5の弁と連結し、かつ内部に符号6の重りを備えた符号7の気体収容タンクをピストン状に浮き沈みさせることにより、符号8の導水管内を逆流させた符号1の貯水タンクに流入させることを特徴とする発明
【請求項2】
請求項1の発明において図1における符号8の導水管内を逆流した水が下降に転じる際の適所に符号9の水力発電機を設け、循環水を繰り返し、発電に用いることを特徴とする発明
【請求項3】
請求項1又は2の発明において、図1における符号7の気体収容タンクの体積を気体の注入又は排気に応じて変化させられることを特徴とする発明
【請求項4】
請求項1又は2の発明において、図1における符号4の真空ポンプに代えて、図2における符号4の気体送入用ポンプ及び符号7の弁付き排気筒を設け、かつ、符号8の気体収容タンクの体積を気体の注入又は排気に応じて変化させられることを特徴とする発明
【請求項5】
請求項1又は2の発明において、真空ポンプと気体送入用ポンプを併用することを特徴とする発明
【請求項6】
請求項1ないし5の発明において、図3における符号2の逆流用タンクと符号4の重液収容タンクを別個に設け、符号4の重液収容タンク内に、水より重い液体を収容したことを特徴とする発明

【図1】
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【図2】
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【図3】
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