水浄化装置
【課題】オゾンと過酸化水素を同時に生成することにより、高効率処理が可能で、装置構成を簡素にして小型化でき、初期コストが低く、処理効率の高い水浄化装置を提供する。
【解決手段】有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置で、多湿状態の空気または酸素を電極2,3間に導入し、放電によりオゾンと過酸化水素を同時に生成する。オゾンと過酸化水素生成部1で生成されたオゾンと過酸化水素を、反応槽10内の被処理水中に混合させて浄化処理する。生成部1は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、多湿状態の空気または酸素の水分量と、放電電力との関係が設定されている。
【解決手段】有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置で、多湿状態の空気または酸素を電極2,3間に導入し、放電によりオゾンと過酸化水素を同時に生成する。オゾンと過酸化水素生成部1で生成されたオゾンと過酸化水素を、反応槽10内の被処理水中に混合させて浄化処理する。生成部1は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、多湿状態の空気または酸素の水分量と、放電電力との関係が設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中に含まれる有機物を、放電により同時に生成されるオゾンおよび過酸化水素によって浄化処理する水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、水の浄化処理方法には塩素処理やオゾン処理などが行われている。近年、オゾン(O3)による処理が特に注目されており、上下水処理への適用が拡大してきている。これら塩素処理、オゾン処理の両処理方法ともに、化学的に高い酸化ポテンシャルを利用して水中に溶存する有機物質を分解して処理を行う。酸化ポテンシャルは、塩素が1.4電子ボルトであるのに対し、オゾンは2.07電子ボルトと高い。
【0003】
しかし近年、人工由来の、オゾンでは分解できない難分解性有機物が処理対象となることがある。例えば、ダイオキシンや農薬、環境ホルモンといった難分解性有機物は、オゾンでは分解できない。したがって、このような難分解性で有害な有機物処理のニーズが大きい。
【0004】
ダイオキシンや農薬、環境ホルモンなどの難分解性有機物の処理を行うためには、これらの有機物を完全に分解する必要がある。このためには、有機物の分子結合で、炭素原子同士の結合(C−Cの結合)エネルギーを上回る酸化ポテンシャルを持つ酸化剤を適用する必要がある。これが可能な酸化剤の一つにOHラジカル(・OH)がある。OHラジカルの酸化ポテンシャルは2.81eVと塩素やオゾンよりも高い。すなわち、水処理にOHラジカルを適用することでこれまで以上に広い物質に対する分解処理に適用できるようになる。
【0005】
近年、OHラジカル生成方法は盛んに研究されており、オゾン/過酸化水素法(例えば、特許文献1参照)やオゾン/紫外線法が主に行われている。前者は放電により生成されるオゾンと市販の過酸化水素を被処理水中で反応させることにより、オゾンが分解するときにOHラジカルを生成する。この方法は、従来のオゾン発生器をそのまま利用できるという利点がある。しかし、毒劇物である過酸化水素の運搬・貯蔵が問題となっている。また、後者のオゾン/紫外線法は、被処理水中での紫外線透過率が低いことと、紫外線ランプ自身の効率が低いことから、処理効率が上がらないという問題がある。また、オゾン/過酸化水素/紫外線ランプ法(例えば、特許文献2参照)も検討されているが、上記のような問題がある。
【0006】
さらに、放電によりオゾンと過酸化水素を別々に発生させるという方法がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、このオゾンと過酸化水素を別々に方法では、それぞれの放電発生電極と電源を設ける必要があり、初期コストが高騰すると共に装置が大型化するという問題がある。
【特許文献1】特開2001−314881号公報
【特許文献2】特開2001−170672号公報
【特許文献3】特開平7−33409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように上来の各方法では、運搬・貯蔵が難しい市販の過酸化水素を用いなければならなかったり、紫外線ランプを用いた場合は効率が低かったり、さらに、オゾンと過酸化水素を別々に発生させる場合は、設備の大型化と初期コストの上昇という問題が生じる。
【0008】
本発明の目的は、オゾンと過酸化水素を同時に生成することにより、高効率処理が可能で、装置構成を簡素にして小型化でき、初期コストが低く、処理効率の高い水浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水浄化装置は、有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置であって、多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、この生成部にて生成されたオゾンと過酸化水素を被処理水中に混合させて浄化処理する反応槽とを備え、前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、前記電極間に供給される放電電力の関係が設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、多湿状態の空気または酸素を得るために、空気または酸素を水もしくは水蒸気と接触させて多湿状態とする多湿化装置を有する。
【0011】
また、本発明では、多湿化装置は加熱装置を有し、空気または酸素を、加熱された状況下で水もしくは蒸気と接触させて多湿状態とするようにしてもよい。
【0012】
また、本発明では、多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて電極間に供給される放電電力を制御する放電電力制御手段とを有する構成でもよい。
【0013】
また、本発明では、多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて加熱装置の加熱電力を制御する加熱電力制御手段とを有するように構成してもよい。
【0014】
また、本発明の水浄化装置は、多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、内部に被処理水が貯留され、上部気相空間には前記生成部が設けられた反応槽と、この反応槽の前記上部気相空間内のガスを、この反応槽内に貯留された前記被処理水内に循環供給してこの被処理水と混合させる循環供給装置とを備え、前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、電極間に供給される放電電力の関係が設定されている構成でもよい。
【0015】
本発明では、反応槽内の上部気相空間には、多湿状態の空気または酸素が供給され、循環供給装置は、前記上部気相空間内のガスの一部を反応槽外に放出するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明では、生成部において放電を発生させるための電極の一方は高圧電極で、他方は接地電極であり、これらの電極の少なくとも一方が誘電体で覆われているとよい。
【0017】
また、本発明では、高圧電極及び接地電極の対向面の少なくとも一方には、少なくとも1つ以上の突起部または少なくとも1つ以上の線状部が形成されていてもよい。
【0018】
さらに、本発明では、生成部において放電を発生させるための接地電極として、反応槽内の被処理水を用い、高圧電極と被処理水との間で放電を生じさせるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多湿状態の空気または酸素の存在下で放電を生じさせることにより、オゾンと過酸化水素を同時に生成し、被処理水と混合させることで、OHラジカルにより難分解性有機物を分解するようにしたので、高効率処理が可能で、装置構成を簡素にして小型化でき、初期コストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明による水浄化装置の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1において、1はオゾンと過酸化水素との生成部で、多湿状態の空気または酸素を電極2,3間に導入し、この電極2,3間における放電によりオゾンと過酸化水素を同時に生成する。4は多湿化装置で、空気または酸素を、水もしくは水蒸気と接触させて多湿状態とする。例えば、図示のように、水が貯められた多湿化チャンバを設け、このチャンバ内底部に設けた散気器5により空気もしくは酸素ガスを噴出させ、チャンバ内の水と接触させて多湿空気もしくは多湿酸素ガスを得る。このようにして多湿状態となった空気または酸素ガスは、管路6を通って生成部1内の電極2,3間に導入される。
【0022】
電極2,3は外部に設けられた高電圧電源7と接続しており、一方の電極2は高電圧電極となり他方の電極3は接地電極となる。そして、これら高電圧電極2と接地電極3との間には、高電圧電源7から供給される高電圧電力により図示のように放電プラズマが発生し、後述する反応によりオゾン及び過酸化水素を同時に生成する。
【0023】
なお、処理水の水質に応じて、最初は乾燥空気もしくは乾燥酸素によりオゾンを生成して処理し、オゾンと十分に反応させた後に、多湿化空気もしくは多湿化酸素により、オゾンと過酸化水素を同時に生成して処理してもよい。
【0024】
8はガラスなどによる板状の誘電体で、高電圧電極2の放電面を覆っている。このように誘電体8で高電圧電極2を覆うことにより、電極面の全面に渡る均等な放電を生じさせることができる。なお、誘電体8は反対側の接地電極3に設けてもよく、さらには、高電圧電極2及び接地電極3の双方に設けてもよい。
【0025】
10は反応槽で、その内部には被処理水が貯留されており、生成部1で生成されたオゾンおよび過酸化水素ガスが、管路11を通って導入され、散気器12により被処理水中に混合されることで、被処理水を浄化処理する。被処理水は、難分解性有機物や廃棄物、最終処分場の浸出水、ダイオキシン類、工場の排水、病院排水、共同居住区排水、家庭排水等を含有した排水などである。これら被処理水は、生成部1にて生成されたオゾンおよび過酸化水素を混合させることにより、被処理水中で生成されるOHラジカルによって分解される。
【0026】
生成部1におけるオゾンおよび過酸化水素の生成過程を以下説明する。多湿空気もしくは多湿酸素ガスが、高電圧電極2と接地電極3との間に発生する放電プラズマ中を通過すると、以下に示す反応式(1)〜(5)に従って、オゾンおよび過酸化水素が同時に生成される。放電プラズマは、高電圧電極2と接地電極3との間に、高電圧電源7から高電圧が印加されたときに発生する。すなわち、高電圧電極2と接地電極3の間には微小な空間が設けられており、放電プラズマはその間で生成される。このとき、電極2,3間に誘電体8を挿入すると、前述のように、電極面の全面に渡る均等な放電を生じさせることができる。
【0027】
次に、放電によりオゾンおよび過酸化水素が生成される反応過程を説明する。放電プラズマが、多湿空気もしくは多湿酸素ガスなどの、酸素を含有する雰囲気の中で発生した場合、放電プラズマ中では電子eと気体分子の衝突により、下式(1)のように、基底状態の酸素原子O(3P)や励起状態の酸素原子O(1D)が発生する。
【0028】
e+O2→O(1D)+O(3P) ・・・(1)
励起状態の酸素原子O(1D)は水分子と反応し、下式(2)のように、OHラジカル(以下、「・OH」記す)が発生する。
【0029】
O(1D)+H2O→2OH・ ・・・(2)
基底状態の酸素原子O(3P)からは、下式(3)のように、O2分子と中性分子Mとの3体衝突によりオゾンO3が発生する。
【0030】
O(3P) + O2 + M → O3 + M ・・・(3)
また、水分子H2Oに直接電子eが衝突することによっても、下式(4)のように、H原子およびOHラジカルが発生する。
【0031】
e + H2O → H + ・OH ・・・(4)
このようにして発生した・OHは、非常に反応性が高く、一般的に・OHの状態は100マイクロ秒程度と言われている。・OHの多くは、下式(5)のように、・OHと反応し過酸化水素となる。
【0032】
・OH + ・OH → H2O2 ・・・(5)
上式(1)〜(5)で示した反応は、放電プラズマ近辺のガス空間で生じる。式(1)〜(5)の反応で生成されるオゾンO3と過酸化水素H2O2は、安定した物質で半減期は数時間以上と言われている。本発明の浄化処理装置では、反応槽10内の被処理水中でオゾンO3および過酸化水素H2O2を反応させて処理するため、これらO3とH2O2を被処理水中に溶解させる必要がある。過酸化水素H2O2は非常に水に溶けやすい性質を持つが、オゾンO3は比較的水に溶けにくい。溶解量は一般的にヘンリー則で表現されることが多いが、オゾンの処理水中への溶解量を増やすには、できるだけ微小な気泡により水中に曝気するのがよい。そこで、例えば、反応槽10内の下部に設けた散気器12のような微小気泡発生機構によりガスを曝気することで、O3を処理水中に溶解することができる。
【0033】
上記構成において、空気または酸素を、多湿化装置4を構成するチャンバ内の水中に散気器5から供給し、多湿化状態(飽和水蒸気の状態)の空気または酸素ガスを発生させ、生成部1のチャンバ内に供給する。生成部1では、その内部に設けられた高電圧電極2と接地電極3との間に、高電圧電源7から高電圧が印加されることにより放電プラズマが生じる。このとき電極2,3間には、多湿空気または酸素ガスが存在するので、放電プラズマにより、前記式(1)〜(5)の反応が生じ、オゾンO3と過酸化水素H2O2が生成される。
【0034】
このようにして生成されたオゾンO3と過酸化水素H2O2を含むガスは、反応槽10内の底部に設けられた散気器12から被処理水中に曝気され、混合される。被処理水中に混合されたオゾンO3と過酸化水素H2O2は、被処理水中で反応し、被処理水中に・OHを発生する。このように、被処理水中に直接・OHを発生させるため、被処理水中の難分解性有機物などは、・OHの高い酸化ポテンシャルにより分解される。
【0035】
ここで、生成部1では、生成されるオゾンO3と過酸化水素H2O2とが、反応槽10内における被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、電極2,3間に存在する多湿状態の空気または酸素の水分量と、電極2,3間に供給される放電電力との関係が設定されている。すなわち、被処理水の浄化に有効なオゾンO3と過酸化水素H2O2との割合は、通常、オゾン「1」に対し過酸化水素「2」程度の割合が好ましい。この程度の割合であると、被処理水中での反応により・OHが最も効率よく発生し、被処理水を高効率に浄化できる。もちろん、被処理水の種類や性状などによりこの割合は変化する。
【0036】
一般に、放電プラズマが生じる電極2,3間の空気中の水分量が多いと過酸化水素の生成割合が多くなり、水分量か少ないとオゾンの生成割合が多くなる。したがって、生成部1では、これらの割合が上述した最適な所定の割合となるように、電極2,3間に存在する多湿状態の空気または酸素の水分量と、電極2,3間に供給される放電電力との関係を設定している。
【0037】
この結果、オゾンと過酸化水素とを所定の割合で同時に生成できるので、運搬・貯蔵が難しい市販の過酸化水素を用いたり、効率が低い紫外線ランプを用いたりする必要はなくなる。また、オゾンと過酸化水素を別々に発生させる必要もないので、設備の大型化と初期コストの上昇を防止することができる。
【0038】
次に、図2で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化装置4に加熱装置14を設け、空気または酸素を、加熱装置14により加熱された状態下で水もしくは蒸気と接触させて多湿状態とする。図の例では、多湿化装置4を構成するチャンバに加熱装置14を付加している。この構成により、多湿化チャンバ内の温度を上昇させ、空気もしくは酸素ガスの温度を上げることができる。このため、多湿化された空気もしくは酸素ガスの飽和水蒸気量があがり、単位体積当たりの水分量を増加させることができる。これにより、前述の反応(2)および(4)の反応速度が速くなることから、OHラジカルの生成量が増加する。ゆえに、H2O2の生成量が増加することから、より多くの水処理ができるようになる。
【0039】
次に、図3で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化状態の空気または酸素2の水分量を計測する計測手段15を管路6に設けている。また、この水分量計測手段15による計測情報に基づいて高電圧電源7を制御し、電極2,3間に供給される放電電力を変化させる放電電力制御手段(フィードバック系)16をさらに設けている。
【0040】
このように構成したことにより、多湿化状態の空気または酸素の水分量に応じて放電電力を変化させ、オゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量を制御することができる。この結果、常に最適なオゾンO3と過酸化水素H2O2との発生量を得ることができ、高効率処理が可能となる。
【0041】
次に、図4で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段15を管路6に設けることは上記実施の形態と同じであるが、この実施形態では、水分量計測手段15による計測情報に基づいて加熱装置14の加熱電力を制御する加熱電力制御手段(フィードバック系)17を設けている。
【0042】
このように構成したことにより、多湿空気もしくは多湿酸素ガスの水分量に応じて加熱装置14の加熱電力を変化させ、多湿空気もしくは多湿酸素ガスに含まれる水分量を制御している。この結果、常に最適なオゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量をガス側から制御することができ、高効率処理が可能となる。
【0043】
次に、図5で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化状態の空気または酸素2の水分量を計測する計測手段15を管路6に設け、その計測情報に基づいて、放電電力制御手段(フィードバック系)16により高電圧電源7を制御し、電極2,3間に供給される放電電力を変化させる。また、同時に加熱装置14の加熱電力を加熱電力制御手段(フィードバック系)17で制御し、多湿空気もしくは多湿酸素ガスに含まれる水分量を制御している。
【0044】
このように、多湿空気もしくは多湿酸素ガスの水分量を制御し、且つ放電電力を制御することにより、オゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量をそれぞれ任意に制御することができる。この結果、高精度なオゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量を得ることができ、高効率処理が可能となる。
【0045】
次に、図6及び図7で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、オゾンおよび過酸化水素の生成部1において放電プラズマを発生させる電極構造に関する。放電プラズマは広い面積で発生させることが好ましい。このため、平板状の電極を用いることが好ましいが、平板対平板の放電電極構成では、放電プラズマを発生させるのに高い電圧を必要とする。すなわち、放電を発生させるには高電界が必要となるが、平板では平板全域にわたり平等電界となるため、高電界を発生させるには高い電圧を印加させるためである。
【0046】
そこで、簡単に高電界場を作り出すには、図6のように、高電圧電極2の、接地電極との対向面に複数の突起部を設けるのがよい。なお、図示しないが、この突起を接地電極の、高電圧電極2との対向面に設けてもよい。これらの構成により、局所高電界を得ることができるため、比較的低い電圧で放電が発生できるようになる。
【0047】
また、広い面積で多くの放電を均一につけるために、図7で示すように、誘電体8を設け、この誘電体8によるバラスト効果を用いてもよい。このように、誘電体8を電極2,3間に挿入することにより、アーク放電の発生が抑えられるため電流が局所的に流れるのを防ぐことができ、より高効率に放電を発生させることができるようになる。
【0048】
次に、図8及び図9で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、高電圧電極2を、少なくとも一本以上の先端が尖った突起状をなす中空円筒状とし、内部に多湿空気もしくは多湿酸素ガスを流すようにしている。このように構成することにより、中空円筒状の高電圧電極2の先端に発生する放電プラズマに対し、多湿空気もしくは多湿酸素ガスが直接触れるため、オゾンおよび過酸化水素の生成量が増加する。このことから、高効率処理が可能となる。また、この場合も、誘電体8によるバラスト効果を得るために、図9で示すように、接地電極3側に誘電体8を設けてもよい。
【0049】
次に、図10及び図11で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、高電圧電極2側に少なくとも1本以上のワイヤ電極2aを設けている。このワイヤ電極2aを複数設ける場合は、接地電極3上に沿って平行に配置すればよい。このように構成することにより、局所高電界が得られやすいだけでなく、広範囲にわたる放電プラズマの発生が可能となり、高効率処理が可能となる。
【0050】
また、誘電体8のバラスト効果を得るために、図11で示すように、接地電極3側に誘電体8を設けたり、図示しないが、ワイヤ状の高電圧電極2aの表面をガラス材を溶着させて覆うようにして、これを誘電体8としてもよい。さらに、誘電体8をワイヤ状の高電圧電極2aと接地電極3の両方に設けてもよい。
【0051】
次に、図12で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部1を、反応槽10内の上部気相空間内に設け、これら両者を一体化したものである。すなわち、反応層10内には、被処理水が貯留され、その上部気相空間には、生成部1を構成する高電圧電極2、誘電体8及び接地電極3が設けられている。そして、これら電極2,3間に、高電圧電源7から高電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる。接地電極3は処理水中に設けてもよい。
【0052】
上記電極2,3間には、反応槽10内の多湿化空気が存在しているので、前記放電プラズマが発生すると、前述した反応によりオゾンO3と過酸化水素H2O2が発生する。この発生したオゾンO3と過酸化水素H2O2を被処理水に混合させるため、この上部気相空間内のガスを内部に貯留された被処理水内に循環供給する循環供給装置18を設けている。この循環供給装置18は、図示のように、反応槽10内の底部に設けられた散気器12と反応槽10内の上部気相空間とを結ぶ管路18aとガス用循環ポンプ18bとで構成される。この場合も、生成部1は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、被処理水の浄化に有効な、前述した所定の割合となるように、電極2,3間の多湿状態の空気または酸素の水分量に対し、電極2,3間に供給される放電電力の関係が設定されている。
【0053】
ここで、過酸化水素は非常に水に溶解しやすい性質を有する。このため、例えば、図1で示したオゾンおよび過酸化水素ガスを流すための管路11内部に水滴が付着していた場合、その部分に過酸化水素が溶解し、処理槽10まで過酸化水素が到達しない可能性がある。これを防ぐためには、図12で説明したように、オゾンおよび過酸化水素の生成部1である高電圧電極2および接地電極3を処理槽10内に設ければよい。このように構成したことで、電極2,3間で発生した過酸化水素は瞬時に処理水中に溶解する。また水に溶解しにくいオゾンは、循環供給装置18により、一旦、上部気相空間から抜き出し、ガス用循環ポンプ18bにより加圧しながら、散気器12を通して処理水内に曝気することで効率的に処理水中に溶解させることができる。このため、オゾンおよび過酸化水素の効率的利用が可能となり、高効率処理が可能となる。
【0054】
なお、このような構成を利用する場合には、予め反応槽10内に空気もしくは酸素ガスを封入しておく必要がある。また、電極2,3の構成は、平板電極もしくは図6〜図11に示した構成のいずれかを用いることが好ましい。これらの電極2,3の材質としては、放電をともなうことから耐腐食性の優れた、例えば、ステンレスなどを用いればよい。
【0055】
また、このように生成部1を反応層10内に設けた場合、接地電極3には、図示のようなメッシュ状のものを用いるとよい。メッシュ状の接地電極3を用いると、電極2,3間で生じた過酸化水素は、下方の接地電極3に遮られることなく、そのまま被処理水中に下降させることができる。
【0056】
更に、図示していないが、高電圧電極2は図12と同じく耐腐食性材料による電極とするが、被処理水そのものを接地電極とし、高電圧電極2と被処理水との間で放電プラズマを発生させてもよい。
【0057】
次に、図13で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、基本的には図12で示した構成と同じであるが、反応槽10内の上部気相空間には、多湿化装置4により多湿状態の空気または酸素が供給される。また、循環供給装置18の管路18aには、流量調整用の三方弁19を設け、上部気相空間内のガスの一部を反応槽10外に放出するようにしている。
【0058】
このように、オゾンおよび過酸化水素の生成部1と反応槽10を一体化し、循環供給装置18によるガスの流れで、オゾンおよび過酸化水素ガスの一部を処理槽10の底部から曝気すると共に、その一部は排気することにより、常に新鮮な多湿化された空気もしくは酸素ガスを取り入れることができる。
【0059】
この結果、非常に水に溶解しやすい性質を有する過酸化水素は、そのほとんどが瞬時に処理水中に溶解する。また、オゾンは処理槽10の底部から曝気される。このため、オゾンおよび過酸化水素は効率よく被処理水中に混合される。また常に新鮮な空気もしくは酸素ガスを取り入れるため、水分量の調整が容易になる。このことからより高効率な水処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による水浄化装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】同上一実施の形態における多湿化装置に加熱装置を追加した場合を説明する構成図である。
【図3】同上一実施の形態に水分計測手段を設けて放電電力を制御する場合の構成図である。
【図4】同上一実施の形態に水分計測手段を設けて加熱装置の加熱電力を制御する場合の構成図である。
【図5】同上一実施の形態に水分計測手段を設けて放電電力及び加熱装置の加熱電力をそれぞれ制御する場合の構成図である。
【図6】同上一実施の形態における電極の一方に突起部を設けた場合の説明図である。
【図7】図6における突起部の対極側に誘電体を設けた場合の説明図である。
【図8】同上一実施の形態における電極の一方を突起状の中空筒状とした場合の説明図である。
【図9】図8における突起状の中空筒状とした電極の対極側に誘電体を設けた場合の説明図である。
【図10】同上一実施の形態における電極の一方に線状部を設けた場合の説明図である。
【図11】図10における線状部の対極側に誘電体を設けた場合の説明図である。
【図12】本発明の、オゾン及び過酸化水素の生成部と反応槽とを一体化した実施の形態を示す構成図である。
【図13】図12の構成に多湿化装置を加え、循環供給装置に一部放出部を加えた場合の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 オゾン及び過酸化水素の生成部
2 高電圧電極
3 接地電極
4 多湿化装置
5 散気器
7 高電圧電源
8 誘電体
10 反応槽
12 散気器
14 加熱装置
15 水分量の計測手段
16 放電電力制御手段
17 加熱電力制御手段
18 循環供給装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中に含まれる有機物を、放電により同時に生成されるオゾンおよび過酸化水素によって浄化処理する水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、水の浄化処理方法には塩素処理やオゾン処理などが行われている。近年、オゾン(O3)による処理が特に注目されており、上下水処理への適用が拡大してきている。これら塩素処理、オゾン処理の両処理方法ともに、化学的に高い酸化ポテンシャルを利用して水中に溶存する有機物質を分解して処理を行う。酸化ポテンシャルは、塩素が1.4電子ボルトであるのに対し、オゾンは2.07電子ボルトと高い。
【0003】
しかし近年、人工由来の、オゾンでは分解できない難分解性有機物が処理対象となることがある。例えば、ダイオキシンや農薬、環境ホルモンといった難分解性有機物は、オゾンでは分解できない。したがって、このような難分解性で有害な有機物処理のニーズが大きい。
【0004】
ダイオキシンや農薬、環境ホルモンなどの難分解性有機物の処理を行うためには、これらの有機物を完全に分解する必要がある。このためには、有機物の分子結合で、炭素原子同士の結合(C−Cの結合)エネルギーを上回る酸化ポテンシャルを持つ酸化剤を適用する必要がある。これが可能な酸化剤の一つにOHラジカル(・OH)がある。OHラジカルの酸化ポテンシャルは2.81eVと塩素やオゾンよりも高い。すなわち、水処理にOHラジカルを適用することでこれまで以上に広い物質に対する分解処理に適用できるようになる。
【0005】
近年、OHラジカル生成方法は盛んに研究されており、オゾン/過酸化水素法(例えば、特許文献1参照)やオゾン/紫外線法が主に行われている。前者は放電により生成されるオゾンと市販の過酸化水素を被処理水中で反応させることにより、オゾンが分解するときにOHラジカルを生成する。この方法は、従来のオゾン発生器をそのまま利用できるという利点がある。しかし、毒劇物である過酸化水素の運搬・貯蔵が問題となっている。また、後者のオゾン/紫外線法は、被処理水中での紫外線透過率が低いことと、紫外線ランプ自身の効率が低いことから、処理効率が上がらないという問題がある。また、オゾン/過酸化水素/紫外線ランプ法(例えば、特許文献2参照)も検討されているが、上記のような問題がある。
【0006】
さらに、放電によりオゾンと過酸化水素を別々に発生させるという方法がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、このオゾンと過酸化水素を別々に方法では、それぞれの放電発生電極と電源を設ける必要があり、初期コストが高騰すると共に装置が大型化するという問題がある。
【特許文献1】特開2001−314881号公報
【特許文献2】特開2001−170672号公報
【特許文献3】特開平7−33409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように上来の各方法では、運搬・貯蔵が難しい市販の過酸化水素を用いなければならなかったり、紫外線ランプを用いた場合は効率が低かったり、さらに、オゾンと過酸化水素を別々に発生させる場合は、設備の大型化と初期コストの上昇という問題が生じる。
【0008】
本発明の目的は、オゾンと過酸化水素を同時に生成することにより、高効率処理が可能で、装置構成を簡素にして小型化でき、初期コストが低く、処理効率の高い水浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水浄化装置は、有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置であって、多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、この生成部にて生成されたオゾンと過酸化水素を被処理水中に混合させて浄化処理する反応槽とを備え、前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、前記電極間に供給される放電電力の関係が設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、多湿状態の空気または酸素を得るために、空気または酸素を水もしくは水蒸気と接触させて多湿状態とする多湿化装置を有する。
【0011】
また、本発明では、多湿化装置は加熱装置を有し、空気または酸素を、加熱された状況下で水もしくは蒸気と接触させて多湿状態とするようにしてもよい。
【0012】
また、本発明では、多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて電極間に供給される放電電力を制御する放電電力制御手段とを有する構成でもよい。
【0013】
また、本発明では、多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて加熱装置の加熱電力を制御する加熱電力制御手段とを有するように構成してもよい。
【0014】
また、本発明の水浄化装置は、多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、内部に被処理水が貯留され、上部気相空間には前記生成部が設けられた反応槽と、この反応槽の前記上部気相空間内のガスを、この反応槽内に貯留された前記被処理水内に循環供給してこの被処理水と混合させる循環供給装置とを備え、前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、電極間に供給される放電電力の関係が設定されている構成でもよい。
【0015】
本発明では、反応槽内の上部気相空間には、多湿状態の空気または酸素が供給され、循環供給装置は、前記上部気相空間内のガスの一部を反応槽外に放出するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明では、生成部において放電を発生させるための電極の一方は高圧電極で、他方は接地電極であり、これらの電極の少なくとも一方が誘電体で覆われているとよい。
【0017】
また、本発明では、高圧電極及び接地電極の対向面の少なくとも一方には、少なくとも1つ以上の突起部または少なくとも1つ以上の線状部が形成されていてもよい。
【0018】
さらに、本発明では、生成部において放電を発生させるための接地電極として、反応槽内の被処理水を用い、高圧電極と被処理水との間で放電を生じさせるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多湿状態の空気または酸素の存在下で放電を生じさせることにより、オゾンと過酸化水素を同時に生成し、被処理水と混合させることで、OHラジカルにより難分解性有機物を分解するようにしたので、高効率処理が可能で、装置構成を簡素にして小型化でき、初期コストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明による水浄化装置の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1において、1はオゾンと過酸化水素との生成部で、多湿状態の空気または酸素を電極2,3間に導入し、この電極2,3間における放電によりオゾンと過酸化水素を同時に生成する。4は多湿化装置で、空気または酸素を、水もしくは水蒸気と接触させて多湿状態とする。例えば、図示のように、水が貯められた多湿化チャンバを設け、このチャンバ内底部に設けた散気器5により空気もしくは酸素ガスを噴出させ、チャンバ内の水と接触させて多湿空気もしくは多湿酸素ガスを得る。このようにして多湿状態となった空気または酸素ガスは、管路6を通って生成部1内の電極2,3間に導入される。
【0022】
電極2,3は外部に設けられた高電圧電源7と接続しており、一方の電極2は高電圧電極となり他方の電極3は接地電極となる。そして、これら高電圧電極2と接地電極3との間には、高電圧電源7から供給される高電圧電力により図示のように放電プラズマが発生し、後述する反応によりオゾン及び過酸化水素を同時に生成する。
【0023】
なお、処理水の水質に応じて、最初は乾燥空気もしくは乾燥酸素によりオゾンを生成して処理し、オゾンと十分に反応させた後に、多湿化空気もしくは多湿化酸素により、オゾンと過酸化水素を同時に生成して処理してもよい。
【0024】
8はガラスなどによる板状の誘電体で、高電圧電極2の放電面を覆っている。このように誘電体8で高電圧電極2を覆うことにより、電極面の全面に渡る均等な放電を生じさせることができる。なお、誘電体8は反対側の接地電極3に設けてもよく、さらには、高電圧電極2及び接地電極3の双方に設けてもよい。
【0025】
10は反応槽で、その内部には被処理水が貯留されており、生成部1で生成されたオゾンおよび過酸化水素ガスが、管路11を通って導入され、散気器12により被処理水中に混合されることで、被処理水を浄化処理する。被処理水は、難分解性有機物や廃棄物、最終処分場の浸出水、ダイオキシン類、工場の排水、病院排水、共同居住区排水、家庭排水等を含有した排水などである。これら被処理水は、生成部1にて生成されたオゾンおよび過酸化水素を混合させることにより、被処理水中で生成されるOHラジカルによって分解される。
【0026】
生成部1におけるオゾンおよび過酸化水素の生成過程を以下説明する。多湿空気もしくは多湿酸素ガスが、高電圧電極2と接地電極3との間に発生する放電プラズマ中を通過すると、以下に示す反応式(1)〜(5)に従って、オゾンおよび過酸化水素が同時に生成される。放電プラズマは、高電圧電極2と接地電極3との間に、高電圧電源7から高電圧が印加されたときに発生する。すなわち、高電圧電極2と接地電極3の間には微小な空間が設けられており、放電プラズマはその間で生成される。このとき、電極2,3間に誘電体8を挿入すると、前述のように、電極面の全面に渡る均等な放電を生じさせることができる。
【0027】
次に、放電によりオゾンおよび過酸化水素が生成される反応過程を説明する。放電プラズマが、多湿空気もしくは多湿酸素ガスなどの、酸素を含有する雰囲気の中で発生した場合、放電プラズマ中では電子eと気体分子の衝突により、下式(1)のように、基底状態の酸素原子O(3P)や励起状態の酸素原子O(1D)が発生する。
【0028】
e+O2→O(1D)+O(3P) ・・・(1)
励起状態の酸素原子O(1D)は水分子と反応し、下式(2)のように、OHラジカル(以下、「・OH」記す)が発生する。
【0029】
O(1D)+H2O→2OH・ ・・・(2)
基底状態の酸素原子O(3P)からは、下式(3)のように、O2分子と中性分子Mとの3体衝突によりオゾンO3が発生する。
【0030】
O(3P) + O2 + M → O3 + M ・・・(3)
また、水分子H2Oに直接電子eが衝突することによっても、下式(4)のように、H原子およびOHラジカルが発生する。
【0031】
e + H2O → H + ・OH ・・・(4)
このようにして発生した・OHは、非常に反応性が高く、一般的に・OHの状態は100マイクロ秒程度と言われている。・OHの多くは、下式(5)のように、・OHと反応し過酸化水素となる。
【0032】
・OH + ・OH → H2O2 ・・・(5)
上式(1)〜(5)で示した反応は、放電プラズマ近辺のガス空間で生じる。式(1)〜(5)の反応で生成されるオゾンO3と過酸化水素H2O2は、安定した物質で半減期は数時間以上と言われている。本発明の浄化処理装置では、反応槽10内の被処理水中でオゾンO3および過酸化水素H2O2を反応させて処理するため、これらO3とH2O2を被処理水中に溶解させる必要がある。過酸化水素H2O2は非常に水に溶けやすい性質を持つが、オゾンO3は比較的水に溶けにくい。溶解量は一般的にヘンリー則で表現されることが多いが、オゾンの処理水中への溶解量を増やすには、できるだけ微小な気泡により水中に曝気するのがよい。そこで、例えば、反応槽10内の下部に設けた散気器12のような微小気泡発生機構によりガスを曝気することで、O3を処理水中に溶解することができる。
【0033】
上記構成において、空気または酸素を、多湿化装置4を構成するチャンバ内の水中に散気器5から供給し、多湿化状態(飽和水蒸気の状態)の空気または酸素ガスを発生させ、生成部1のチャンバ内に供給する。生成部1では、その内部に設けられた高電圧電極2と接地電極3との間に、高電圧電源7から高電圧が印加されることにより放電プラズマが生じる。このとき電極2,3間には、多湿空気または酸素ガスが存在するので、放電プラズマにより、前記式(1)〜(5)の反応が生じ、オゾンO3と過酸化水素H2O2が生成される。
【0034】
このようにして生成されたオゾンO3と過酸化水素H2O2を含むガスは、反応槽10内の底部に設けられた散気器12から被処理水中に曝気され、混合される。被処理水中に混合されたオゾンO3と過酸化水素H2O2は、被処理水中で反応し、被処理水中に・OHを発生する。このように、被処理水中に直接・OHを発生させるため、被処理水中の難分解性有機物などは、・OHの高い酸化ポテンシャルにより分解される。
【0035】
ここで、生成部1では、生成されるオゾンO3と過酸化水素H2O2とが、反応槽10内における被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、電極2,3間に存在する多湿状態の空気または酸素の水分量と、電極2,3間に供給される放電電力との関係が設定されている。すなわち、被処理水の浄化に有効なオゾンO3と過酸化水素H2O2との割合は、通常、オゾン「1」に対し過酸化水素「2」程度の割合が好ましい。この程度の割合であると、被処理水中での反応により・OHが最も効率よく発生し、被処理水を高効率に浄化できる。もちろん、被処理水の種類や性状などによりこの割合は変化する。
【0036】
一般に、放電プラズマが生じる電極2,3間の空気中の水分量が多いと過酸化水素の生成割合が多くなり、水分量か少ないとオゾンの生成割合が多くなる。したがって、生成部1では、これらの割合が上述した最適な所定の割合となるように、電極2,3間に存在する多湿状態の空気または酸素の水分量と、電極2,3間に供給される放電電力との関係を設定している。
【0037】
この結果、オゾンと過酸化水素とを所定の割合で同時に生成できるので、運搬・貯蔵が難しい市販の過酸化水素を用いたり、効率が低い紫外線ランプを用いたりする必要はなくなる。また、オゾンと過酸化水素を別々に発生させる必要もないので、設備の大型化と初期コストの上昇を防止することができる。
【0038】
次に、図2で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化装置4に加熱装置14を設け、空気または酸素を、加熱装置14により加熱された状態下で水もしくは蒸気と接触させて多湿状態とする。図の例では、多湿化装置4を構成するチャンバに加熱装置14を付加している。この構成により、多湿化チャンバ内の温度を上昇させ、空気もしくは酸素ガスの温度を上げることができる。このため、多湿化された空気もしくは酸素ガスの飽和水蒸気量があがり、単位体積当たりの水分量を増加させることができる。これにより、前述の反応(2)および(4)の反応速度が速くなることから、OHラジカルの生成量が増加する。ゆえに、H2O2の生成量が増加することから、より多くの水処理ができるようになる。
【0039】
次に、図3で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化状態の空気または酸素2の水分量を計測する計測手段15を管路6に設けている。また、この水分量計測手段15による計測情報に基づいて高電圧電源7を制御し、電極2,3間に供給される放電電力を変化させる放電電力制御手段(フィードバック系)16をさらに設けている。
【0040】
このように構成したことにより、多湿化状態の空気または酸素の水分量に応じて放電電力を変化させ、オゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量を制御することができる。この結果、常に最適なオゾンO3と過酸化水素H2O2との発生量を得ることができ、高効率処理が可能となる。
【0041】
次に、図4で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段15を管路6に設けることは上記実施の形態と同じであるが、この実施形態では、水分量計測手段15による計測情報に基づいて加熱装置14の加熱電力を制御する加熱電力制御手段(フィードバック系)17を設けている。
【0042】
このように構成したことにより、多湿空気もしくは多湿酸素ガスの水分量に応じて加熱装置14の加熱電力を変化させ、多湿空気もしくは多湿酸素ガスに含まれる水分量を制御している。この結果、常に最適なオゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量をガス側から制御することができ、高効率処理が可能となる。
【0043】
次に、図5で示す実施の形態を説明する。この実施の形態では、多湿化状態の空気または酸素2の水分量を計測する計測手段15を管路6に設け、その計測情報に基づいて、放電電力制御手段(フィードバック系)16により高電圧電源7を制御し、電極2,3間に供給される放電電力を変化させる。また、同時に加熱装置14の加熱電力を加熱電力制御手段(フィードバック系)17で制御し、多湿空気もしくは多湿酸素ガスに含まれる水分量を制御している。
【0044】
このように、多湿空気もしくは多湿酸素ガスの水分量を制御し、且つ放電電力を制御することにより、オゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量をそれぞれ任意に制御することができる。この結果、高精度なオゾンO3と過酸化水素H2O2の発生量を得ることができ、高効率処理が可能となる。
【0045】
次に、図6及び図7で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、オゾンおよび過酸化水素の生成部1において放電プラズマを発生させる電極構造に関する。放電プラズマは広い面積で発生させることが好ましい。このため、平板状の電極を用いることが好ましいが、平板対平板の放電電極構成では、放電プラズマを発生させるのに高い電圧を必要とする。すなわち、放電を発生させるには高電界が必要となるが、平板では平板全域にわたり平等電界となるため、高電界を発生させるには高い電圧を印加させるためである。
【0046】
そこで、簡単に高電界場を作り出すには、図6のように、高電圧電極2の、接地電極との対向面に複数の突起部を設けるのがよい。なお、図示しないが、この突起を接地電極の、高電圧電極2との対向面に設けてもよい。これらの構成により、局所高電界を得ることができるため、比較的低い電圧で放電が発生できるようになる。
【0047】
また、広い面積で多くの放電を均一につけるために、図7で示すように、誘電体8を設け、この誘電体8によるバラスト効果を用いてもよい。このように、誘電体8を電極2,3間に挿入することにより、アーク放電の発生が抑えられるため電流が局所的に流れるのを防ぐことができ、より高効率に放電を発生させることができるようになる。
【0048】
次に、図8及び図9で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、高電圧電極2を、少なくとも一本以上の先端が尖った突起状をなす中空円筒状とし、内部に多湿空気もしくは多湿酸素ガスを流すようにしている。このように構成することにより、中空円筒状の高電圧電極2の先端に発生する放電プラズマに対し、多湿空気もしくは多湿酸素ガスが直接触れるため、オゾンおよび過酸化水素の生成量が増加する。このことから、高効率処理が可能となる。また、この場合も、誘電体8によるバラスト効果を得るために、図9で示すように、接地電極3側に誘電体8を設けてもよい。
【0049】
次に、図10及び図11で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、高電圧電極2側に少なくとも1本以上のワイヤ電極2aを設けている。このワイヤ電極2aを複数設ける場合は、接地電極3上に沿って平行に配置すればよい。このように構成することにより、局所高電界が得られやすいだけでなく、広範囲にわたる放電プラズマの発生が可能となり、高効率処理が可能となる。
【0050】
また、誘電体8のバラスト効果を得るために、図11で示すように、接地電極3側に誘電体8を設けたり、図示しないが、ワイヤ状の高電圧電極2aの表面をガラス材を溶着させて覆うようにして、これを誘電体8としてもよい。さらに、誘電体8をワイヤ状の高電圧電極2aと接地電極3の両方に設けてもよい。
【0051】
次に、図12で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部1を、反応槽10内の上部気相空間内に設け、これら両者を一体化したものである。すなわち、反応層10内には、被処理水が貯留され、その上部気相空間には、生成部1を構成する高電圧電極2、誘電体8及び接地電極3が設けられている。そして、これら電極2,3間に、高電圧電源7から高電圧を印加することにより放電プラズマを発生させる。接地電極3は処理水中に設けてもよい。
【0052】
上記電極2,3間には、反応槽10内の多湿化空気が存在しているので、前記放電プラズマが発生すると、前述した反応によりオゾンO3と過酸化水素H2O2が発生する。この発生したオゾンO3と過酸化水素H2O2を被処理水に混合させるため、この上部気相空間内のガスを内部に貯留された被処理水内に循環供給する循環供給装置18を設けている。この循環供給装置18は、図示のように、反応槽10内の底部に設けられた散気器12と反応槽10内の上部気相空間とを結ぶ管路18aとガス用循環ポンプ18bとで構成される。この場合も、生成部1は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、被処理水の浄化に有効な、前述した所定の割合となるように、電極2,3間の多湿状態の空気または酸素の水分量に対し、電極2,3間に供給される放電電力の関係が設定されている。
【0053】
ここで、過酸化水素は非常に水に溶解しやすい性質を有する。このため、例えば、図1で示したオゾンおよび過酸化水素ガスを流すための管路11内部に水滴が付着していた場合、その部分に過酸化水素が溶解し、処理槽10まで過酸化水素が到達しない可能性がある。これを防ぐためには、図12で説明したように、オゾンおよび過酸化水素の生成部1である高電圧電極2および接地電極3を処理槽10内に設ければよい。このように構成したことで、電極2,3間で発生した過酸化水素は瞬時に処理水中に溶解する。また水に溶解しにくいオゾンは、循環供給装置18により、一旦、上部気相空間から抜き出し、ガス用循環ポンプ18bにより加圧しながら、散気器12を通して処理水内に曝気することで効率的に処理水中に溶解させることができる。このため、オゾンおよび過酸化水素の効率的利用が可能となり、高効率処理が可能となる。
【0054】
なお、このような構成を利用する場合には、予め反応槽10内に空気もしくは酸素ガスを封入しておく必要がある。また、電極2,3の構成は、平板電極もしくは図6〜図11に示した構成のいずれかを用いることが好ましい。これらの電極2,3の材質としては、放電をともなうことから耐腐食性の優れた、例えば、ステンレスなどを用いればよい。
【0055】
また、このように生成部1を反応層10内に設けた場合、接地電極3には、図示のようなメッシュ状のものを用いるとよい。メッシュ状の接地電極3を用いると、電極2,3間で生じた過酸化水素は、下方の接地電極3に遮られることなく、そのまま被処理水中に下降させることができる。
【0056】
更に、図示していないが、高電圧電極2は図12と同じく耐腐食性材料による電極とするが、被処理水そのものを接地電極とし、高電圧電極2と被処理水との間で放電プラズマを発生させてもよい。
【0057】
次に、図13で示す実施の形態を説明する。この実施の形態は、基本的には図12で示した構成と同じであるが、反応槽10内の上部気相空間には、多湿化装置4により多湿状態の空気または酸素が供給される。また、循環供給装置18の管路18aには、流量調整用の三方弁19を設け、上部気相空間内のガスの一部を反応槽10外に放出するようにしている。
【0058】
このように、オゾンおよび過酸化水素の生成部1と反応槽10を一体化し、循環供給装置18によるガスの流れで、オゾンおよび過酸化水素ガスの一部を処理槽10の底部から曝気すると共に、その一部は排気することにより、常に新鮮な多湿化された空気もしくは酸素ガスを取り入れることができる。
【0059】
この結果、非常に水に溶解しやすい性質を有する過酸化水素は、そのほとんどが瞬時に処理水中に溶解する。また、オゾンは処理槽10の底部から曝気される。このため、オゾンおよび過酸化水素は効率よく被処理水中に混合される。また常に新鮮な空気もしくは酸素ガスを取り入れるため、水分量の調整が容易になる。このことからより高効率な水処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による水浄化装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】同上一実施の形態における多湿化装置に加熱装置を追加した場合を説明する構成図である。
【図3】同上一実施の形態に水分計測手段を設けて放電電力を制御する場合の構成図である。
【図4】同上一実施の形態に水分計測手段を設けて加熱装置の加熱電力を制御する場合の構成図である。
【図5】同上一実施の形態に水分計測手段を設けて放電電力及び加熱装置の加熱電力をそれぞれ制御する場合の構成図である。
【図6】同上一実施の形態における電極の一方に突起部を設けた場合の説明図である。
【図7】図6における突起部の対極側に誘電体を設けた場合の説明図である。
【図8】同上一実施の形態における電極の一方を突起状の中空筒状とした場合の説明図である。
【図9】図8における突起状の中空筒状とした電極の対極側に誘電体を設けた場合の説明図である。
【図10】同上一実施の形態における電極の一方に線状部を設けた場合の説明図である。
【図11】図10における線状部の対極側に誘電体を設けた場合の説明図である。
【図12】本発明の、オゾン及び過酸化水素の生成部と反応槽とを一体化した実施の形態を示す構成図である。
【図13】図12の構成に多湿化装置を加え、循環供給装置に一部放出部を加えた場合の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 オゾン及び過酸化水素の生成部
2 高電圧電極
3 接地電極
4 多湿化装置
5 散気器
7 高電圧電源
8 誘電体
10 反応槽
12 散気器
14 加熱装置
15 水分量の計測手段
16 放電電力制御手段
17 加熱電力制御手段
18 循環供給装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置であって、
多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、
この生成部にて生成されたオゾンと過酸化水素を被処理水中に混合させて浄化処理する反応槽とを備え、
前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、前記電極間に供給される放電電力の関係が設定されていることを特徴とする水浄化装置。
【請求項2】
多湿状態の空気または酸素を得るために、空気または酸素を水もしくは水蒸気と接触させて多湿状態とする多湿化装置を有することを特徴とする請求項1に記載の水浄化装置。
【請求項3】
多湿化装置は加熱装置を有し、空気または酸素を、加熱された状況下で水もしくは蒸気と接触させて多湿状態とすることを特徴とする請求項2に記載の水浄化装置。
【請求項4】
多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて電極間に供給される放電電力を制御する放電電力制御手段とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水浄化装置。
【請求項5】
多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて加熱装置の加熱電力を制御する加熱電力制御手段とを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の水浄化装置。
【請求項6】
有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置であって、
多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、
内部に被処理水が貯留され、上部気相空間には前記生成部が設けられた反応槽と、
この反応槽の前記上部気相空間内のガスを、この反応槽内に貯留された前記被処理水内に循環供給してこの被処理水と混合させる循環供給装置とを備え、
前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、電極間に供給される放電電力の関係が設定されていることを特徴とする水浄化装置。
【請求項7】
反応槽内の上部気相空間には、多湿状態の空気または酸素が供給され、循環供給装置は、前記上部気相空間内のガスの一部を反応槽外に放出することを特徴とする請求項6に記載の水浄化装置。
【請求項8】
生成部において放電を発生させるための電極の一方は高圧電極で、他方は接地電極であり、これらの電極の少なくとも一方が誘電体で覆われていることを特徴とする請求項1または請求項6に記載の水浄化装置。
【請求項9】
高圧電極及び接地電極の対向面の少なくとも一方には、少なくとも1つ以上の突起部または少なくとも1つ以上の線状部が形成されている請求項8に記載の水浄化装置。
【請求項10】
生成部において放電を発生させるための接地電極として、反応槽内の被処理水を用い、高圧電極と被処理水との間で放電を生じさせることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8のいずれかに記載の水浄化装置。
【請求項1】
有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置であって、
多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、
この生成部にて生成されたオゾンと過酸化水素を被処理水中に混合させて浄化処理する反応槽とを備え、
前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、前記電極間に供給される放電電力の関係が設定されていることを特徴とする水浄化装置。
【請求項2】
多湿状態の空気または酸素を得るために、空気または酸素を水もしくは水蒸気と接触させて多湿状態とする多湿化装置を有することを特徴とする請求項1に記載の水浄化装置。
【請求項3】
多湿化装置は加熱装置を有し、空気または酸素を、加熱された状況下で水もしくは蒸気と接触させて多湿状態とすることを特徴とする請求項2に記載の水浄化装置。
【請求項4】
多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて電極間に供給される放電電力を制御する放電電力制御手段とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水浄化装置。
【請求項5】
多湿化状態の空気または酸素の水分量を計測する計測手段と、この水分量計測手段による計測情報に基づいて加熱装置の加熱電力を制御する加熱電力制御手段とを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の水浄化装置。
【請求項6】
有機物を含む水の浄化処理を行う水浄化装置であって、
多湿状態の空気または酸素の存在下、電極間に放電を発生させ、オゾンと過酸化水素を同時に生成する生成部と、
内部に被処理水が貯留され、上部気相空間には前記生成部が設けられた反応槽と、
この反応槽の前記上部気相空間内のガスを、この反応槽内に貯留された前記被処理水内に循環供給してこの被処理水と混合させる循環供給装置とを備え、
前記生成部は、生成されるオゾンと過酸化水素とが、前記被処理水の浄化に有効な所定の割合となるように、前記多湿状態の空気または酸素の水分量に対する、電極間に供給される放電電力の関係が設定されていることを特徴とする水浄化装置。
【請求項7】
反応槽内の上部気相空間には、多湿状態の空気または酸素が供給され、循環供給装置は、前記上部気相空間内のガスの一部を反応槽外に放出することを特徴とする請求項6に記載の水浄化装置。
【請求項8】
生成部において放電を発生させるための電極の一方は高圧電極で、他方は接地電極であり、これらの電極の少なくとも一方が誘電体で覆われていることを特徴とする請求項1または請求項6に記載の水浄化装置。
【請求項9】
高圧電極及び接地電極の対向面の少なくとも一方には、少なくとも1つ以上の突起部または少なくとも1つ以上の線状部が形成されている請求項8に記載の水浄化装置。
【請求項10】
生成部において放電を発生させるための接地電極として、反応槽内の被処理水を用い、高圧電極と被処理水との間で放電を生じさせることを特徴とする請求項6、請求項7、請求項8のいずれかに記載の水浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−6336(P2008−6336A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177007(P2006−177007)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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