説明

水溶性および/または水膨潤性のポリマーの流動化されたスラリー、ならびに歯磨剤用用途および家庭用用途に使用するためのこれらの混合物

本発明は、流動性ポリマーサスペンション(FPS)増粘剤を含有する口腔ケア用または家庭用洗浄剤システムを提供する。このFPS増粘剤は、水溶性/水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む。水溶性/水膨潤性のポリマーは、アクリル酸ポリマー、アクリル酸ポリマーの塩、アクリレート、アクリルアミドポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、クレー、およびCMCを除く多糖類からなる群から選択される。この機能性のシステムは、口腔ケア用(例えば、歯科用)または家庭用の洗浄剤の配合物であることができる。この口腔ケア用または家庭用洗浄剤システムの調製方法であって、機能性システムに相溶性であるFPSの十分な量を、口腔ケア用または家庭用洗浄剤システムに添加して、機能性システムを増粘させることによる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性および/または水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む流動化されたポリマーサスペンションを含有する歯磨剤用または家庭用組成物に関する。この水溶性/水膨潤性のポリマーは、CMCを除く多糖類、アクリル酸ポリマー、アクリル酸ポリマーの塩、アクリレート、アクリルアミドポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびクレーからなる群から選択される。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤配合物は、一般に歯科用に許容可能な研磨剤、保湿剤、水、および増粘剤およびバインダーの役を果たす水溶性ポリマーを含む。さまざまな他の成分、例えば、フレーバー、甘味料、ホワイトニング剤、抗菌剤、歯石コントロール剤塩類、界面活性剤、保存剤、およびフッ化物なども低レベルで利用できる。グリセリンおよびソルビトールは、練り歯磨きに最も一般に用いられる保湿剤であり、製品に望まれる特性次第で、ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールも配合することができる。歯磨剤は、練り歯磨きとしても知られている。2つのタイプの練り歯磨き:1)クリーム状または不透明;2)透明または半透明ゲルが、広く製造されている。
【0003】
家庭用/施設用の洗浄剤配合物は、一般に、研磨剤、酸、アルカリ、キレート剤、保存料、抗細菌剤、芳香剤、水、および、増粘剤として働く水溶性ポリマーを含有する。さまざなま他の成分、例えば、アルコール、塩類、および界面活性剤が用いられている。
【0004】
練り歯磨きに最も一般に用いられる増粘剤またはバインダーは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)である。カラギーナン、キサンタン、シリカ、およびポリアクリレートも使用されるが、それほど広く用いられていない。
【0005】
家庭用/施設用の用途では、最も一般的に用いられる増粘剤は、キサンタン、ヒドロキシエチルセルロース、およびカーボマーである。
【0006】
練り歯磨きの製造プロセスにおいて、無水の(乾燥した)水溶性バインダーポリマーの練り歯磨き組成物への配合は、しばしば困難であるが、それは無水のポリマーが水性システムに添加および分散されると、塊が生成する傾向があるためである。この問題を回避するための試みは、練り歯磨きの製造にとっていくつかの典型的な手順に帰結する。第一の典型的な手順では、バインダーポリマーを非溶媒(グリセリンがバインダーポリマーを湿潤させるために好まれる)に予め分散させ、次いで、ソルビトール/水混合物を激しい撹拌下で添加する。練り歯磨きの配合中にグリセリンまたは他の水混和性有機液体が全く(あるいは非常に低い量しか)ない場合には、利用可能なソルビトール全てをできる限り多くの水と共に激しい撹拌下で使用する。第二の典型的な手順では、バインダーポリマーを練り歯磨きの配合中の他の無水の材料(例えば、研磨剤)とドライブレンドし、次いで、得られたブレンドを、激しい撹拌下で液体成分に分散させる。良好な分散を得るために、バインダーポリマーは、ドライブレンド全体の約20重量%未満でなければならない。この方法では、バインダーポリマーを水と競合する材料(例えば、塩類、甘味料、保存料、キレート剤)と共にブレンドすることを避けることが重要である。
【0007】
家庭用組成物(例えば、硬質表面洗浄剤、便器用洗剤、オーブン用洗剤など)の製造方法において、無水の水溶性バインダーポリマーの家庭用組成物への配合は、しばしば困難であるが、それは無水のポリマーが水性システムに添加および分散されると、塊が生成する傾向があるためである。これらの水性システムは、バインダーポリマーを非溶媒中にスラリー化させるための非溶媒を含有していないことが多い。他の配合成分、例えば、酸、アルカリ、研磨剤、芳香剤、保存料、キレート剤などを、バインダーポリマーと共に混ぜ合わせて家庭用組成物を形成させることができる。
【0008】
これらの分散技術は、製造に非常に時間がかかる。その結果、塊のない製品、急速な粘度の発達、および短縮されたバッチ調製時間をもたらし、かつ、バインダーの取扱いを簡便にする水溶性バインダーポリマーの配合方法に対する要求が、業界に存在している。
【0009】
米国特許第3,574,824号には、以下の成分:100〜300cpsの粘度を有する油(例えば、鉱物油または植物油など);2,200〜3,400cpsの粘度を有し、550〜6,000の分子量を有するポリエチレングリコールの組合せ;非毒性かつ非イオン性の乳化剤;少なくとも1種の結合剤;および負の水和熱を有する化合物、を含む無水の練り歯磨き用ベースが開示されている。開示された結合剤は、ポリビニルピロリドン、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、アイルランドゴケの抽出物、カルボキシメチルセルロース、およびメチルセルロースである。六価アルコール、より具体的にはマンニトールおよびイノシトールが、負の水和熱を有する化合物として開示されている。
【0010】
米国特許第5,192,529号には、ポリオール湿潤剤、研磨剤、ならびに、低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび低粘度ヒドロキシエチルセルロースからなる増粘剤システムを含有する歯磨剤組成物が教示されている。
【0011】
米国特許第1,363,182号には、分子量が700未満であるポリエチレングリコールと、比表面積が600m/g未満である水和シリカゲル研磨剤とを含む、透明または半透明のゲル練り歯磨き組成物が開示されている。この組成物は、カルボキシメチルセルロースで増粘化することができる。
【0012】
本明細書にその全体を参照により組み込む米国特許第5,932,193号には、練り歯磨き配合物に使用するための、PEGをベースとするサスペンションの使用が開示されている。このスラリー組成物中の全ての添加剤は、口腔ケア用途に使用される。このサスペンションの好ましい組成は、(a)40〜60%のポリエチレングリコール、(b)0.5〜2.0%のアモルファスヒュームドシリカ、(c)40〜60%のCMCであると特定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3,574,824号
【特許文献2】米国特許第5,192,529号
【特許文献3】米国特許第1,363,182号
【特許文献4】米国特許第5,932,193号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
無水の多糖類および従来技術の分散技術を用いると、時間がかかり、非効率的であり、これらが添加される機能性のシステムに必ずしも相溶性がないことが従来技術では広く知られている。したがって、塊のない製品、急速な粘度の発達、短縮されたバッチ調製時間、および相溶性をもたらし、かつ、バインダーの取扱いを簡便にする水溶性バインダーポリマーの組込みに対する要求が、業界にある
上述した従来技術はいずれも、業界におけるこれらの必要の全ての要求を満たさない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、組成物である口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムであって、流動性ポリマーサスペンション(FPS)システムを含むシステムを対象とする。このFPSシステムは、水溶性または水膨潤性の増粘性ポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む。水溶性または水膨潤性のポリマーは、アクリル酸ポリマー、アクリル酸ポリマーの塩、アクリレート、アクリルアミドポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、クレー、およびCMCを除く多糖類からなる群から選択される。
【0016】
本発明の口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムは、口腔ケア用システムにおける用途(例えば、歯磨剤組成物など)および家庭用洗浄剤システムにおける用途(例えば、便器洗浄剤およびタイル洗浄剤など)のための、水溶性または水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む任意のシステムであってよい。
【0017】
本発明は、口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムに相溶性を有する流動化ポリマーサスペンション(FPS)の十分量を添加して、口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムを増粘化する工程を含む、口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムの製造方法にも関する。このFPSは、水溶性または水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、粉末形態のキサンタンに対する流動化ポリマーサスペンション中のキサンタンの水和速度のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
驚くべきことに、本発明が、ポリオールをベースとするサスペンションの適用範囲を、従来技術で開示されている用途を超えて大きく拡大することが見出された。水溶性または水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカのFPSを用いると、口腔ケアシステムが、同様の従来技術の増粘剤を使用した場合と比較して、同程度またはより良いレオロジー特性および粘度特性を有する製品をもたらすことが見出された。このFPSは、無水のポリマーを使用する場合と比較して、塊の精製および遅い分散の問題を除去するだけでなく、よりハザードフリーの環境、より効率的なシステム、特定の作業(および特定の場合には複数の作業)により特化されたシステムをももたらす。
【0020】
加えて、本発明の製品を使用して製造した練り歯磨きは、無水の増粘剤を添加して製造した練り歯磨きと比較して、改良された輝き(光沢、なめらかさ)を有することが見出された。
【0021】
本発明によれば、流動化ポリマーサスペンションは、水溶性または水膨潤性のポリマー、好ましくはCMCを除く多糖類の、ポリオール、好ましくはポリエチレングリコール中のサスペンションを含む。このサスペンション中では、多糖類は、微細に分離された固体の形態にある。好ましくは、多糖類の粒径分布は、約80%の粒子が約75μm未満の大きさを有するような分布である。
【0022】
本発明のFPS中に用いるポリオールは、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
ポリオールの量の上限は、FPSの全重量を基準として約90重量%、好ましくは約80重量%、より好ましくは約70重量%である。ポリオールの量の下限は、FPSの全重量を基準として約40重量%、好ましくは約50重量%、より好ましくは約60重量%である。
【0024】
本発明の流動化ポリマーサスペンション中には、任意の水混和性ポリオールを用いることができるが、好ましいポリオールは、約1,000未満の中央平均分子量(Mw)を有するPEGである。より好ましいポリオールは、約700未満のMwを有するPEG、最も好ましくは約200〜約400の範囲のMwを有するPEGである。
【0025】
本発明のPEGをベースとするFPSの組成物に含まれる成分は、FDAによって食品と接触する用途のために推奨されている成分である。PEG300および400は、21CFR176.170および176.180の下で推奨されており、Aerosil(登録商標)200シリカ(Evonik Industries社から市販されている)は、粘膜と接触する口腔ケア用途のためのFDA規則21CFR176.200および176.210に適合している。
【0026】
本発明によれば、通常、流動化ポリマーサスペンション中に用いるPEGの最大量は、FPSの全重量を基準として約90重量%である。好ましくは、PEGの最大(あるいは上限)の量は、約80重量%、より好ましくは約70重量%である。通常、PEGの最小(あるいは下限)の量は、約40重量%、好ましくは約50重量%、より好ましくは約60重量%である。
【0027】
水和された増粘性シリカは、本発明のFPS中に組み込まれて、分散された水溶性ポリマーのための懸濁化剤として働く。水和された増粘性シリカは、合成シリカ(ヒュームドシリカ、疎水性改質ヒュームドシリカ、親水性改質ヒュームドシリカ、アモルファス沈殿シッリカを含む)、ゲルシリカ(改質シリカを含む)、およびこれらの混合物である。ヒュームドシリカは、小さな粒径(約10μm)を有し、大きな表面積(200〜300m/g)を有し、これらがヒュームドシリカを、低い濃度で、増粘剤、チキソトロピー剤、および懸濁化媒体として非常に効果的にしている。
【0028】
本発明のFPS中に用いる水和された増粘性シリカの上限(あるいは最大)の量は、FPSの全重量を基準として約5.0重量%、好ましくは約3.0重量%、より好ましくは約2.0重量%である。水和された増粘性シリカの下限の量は、FPSの全重量を基準として約0.1重量%、好ましくは約0.5重量%である。
【0029】
本発明によれば、多糖類は、CMCを除くセルロースエーテル、グアー、グアー誘導体、イナゴマメガム、シリウム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、カラギーナン、こんにゃく、寒天、アルギン酸塩、キサンタン、硬グルカン、デキストラン、ペクチン、でんぷん、でんぷん誘導体、キチン、キトサン、海藻euchemiaの加工品(PES)、これらの誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0030】
本発明に用いるセルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、水溶性エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)(他のポリマーと組み合わせて用いる場合)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、疎水性改質カルボキシメチルセルロース(HMCMC)、疎水性改質ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水性改質ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、疎水性改質エチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、疎水性改質カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(HMCMHEC)、疎水性改質ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HMHPHEC)、疎水性改質メチルセルロース(HMMC)、疎水性改質メチルヒドロキシプロピルセルロース(HMMHPC)、疎水性改質メチルヒドロキシエチルセルロース(HMMHEC)、疎水性改質カルボキシメチルメチルセルロース(HMCMMC)、陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース(陽イオン性HEC)、および陽イオン性疎水性改質ヒドロキシエチルセルロース(陽イオン性HMHEC)からなる群から選択することができる。
【0031】
本発明に用いる多糖類がグアーである場合は、グアーは、カルボキシメチルグアー(CMグアー)、ヒドロキシエチルグアー(HEグアー)、ヒドロキシプロピルグアー(HPグアー)、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー(CMHPグアー)、陽イオン性グアー、疎水性改質グアー(HMグアー)、疎水性改質カルボキシメチルグアー(HMCMグアー)、疎水性改質ヒドロキシエチルグアー(HMHEグアー)、疎水性改質ヒドロキシプロピルグアー(HMHPグアー)、陽イオン性疎水性改質ヒドロキシプロピルグアー(陽イオン性HMHPグア−)、疎水性改質カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー(HMCMHPグア−)、および疎水性改質陽イオン性グアー(HM陽イオン性グアー)からなる群から選択することができる。
【0032】
本発明に用いる多糖類の好ましい群は、カラギーナン、キサンタン、グアー、PES、でんぷん、でんぷん誘導体、ペクチン、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
本発明の口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムにおいて、アクリル酸ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
【0034】
本発明の口腔ケア用および家庭用洗浄剤システムにおいて、水溶性または水膨潤性のポリマーの上限の量は、FPSの全重量を基準として約70重量%、好ましくは約50重量%、より好ましくは約40重量%である。また、水溶性または水膨潤性のポリマーの下限の量は、FPSの全重量を基準として約10重量%、好ましくは約20重量%、より好ましくは約30重量%である。
【0035】
本発明にしたがって、歯磨剤組成物または家庭用洗浄剤を、連続法またはバッチ法のいずれかの方法で製造することができ、かつ、成分を段階的に添加する方法または成分全てを一度に単に投入する方法のいずれかで製造することができる。成分の添加順序も、広範囲の添加方法にわたってさまざまである。例えば、機能性成分は、個別に1種ごとにFPSに添加しても、あるいは全てを一度にFPSに添加してもよく、FPSを、単一の工程で、配合された成分に直接添加してもよい。したがって、歯磨剤組成物または家庭用洗浄剤の増粘化方法は、歯磨剤組成物または家庭用洗浄剤に相溶性である安定な流動性ポリマーサスペンションの十分量を、添加し、混合して、歯磨剤組成物を増粘化する工程を含み、この場合において、安定な流動性ポリマーサスペンションは、水溶性または水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む。得られる機能性のシステムは、同様の増粘化剤を無水の固体形態で用いた場合と比較して、同等またはより良いレオロジー特性または粘度特性を有する。この方法は、より効果的であり、かつ、より汎用性が高く、したがって、この方法が稼働する環境に適合するためにカスタマイズすることができるように調整することができる。この方法は、非常に利便性がある。
【0036】
本発明のレオロジー改質剤は、他の公知のレオロジー改質剤と組み合わせて用いることができる。他のレオロジー改質剤には、これらだけに限られないが、多糖類(例えば、カラギーナン、ヒアルロン酸、グルコサミノグリカン)、バイオポリマー(例えば、キサンタンガム)、合成ポリマー、および研磨性/増粘性シリカが含まれる。
【0037】
パーセントおよび部はいずれも、特に他の指定をしない限り重量による。
【0038】
多くの変形態様および修飾態様が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく可能であることを理解されたい。
【実施例】
【0039】
[キサンタンガムFPSの調製]
292.5 g ポリエチレングリコール400(PEG 400、Carbowax(登録商標)400、Dow Chmicals社製)
7.5 g シリカ(Aerosil(登録商標)200、Degussa社製)
200.0 g キサンタンガム(Keotrol(登録商標)XG、CPKelco社製)
シリカをPEG 400に添加する。1時間混合した後、キサンタンガムを添加する。1時間撹拌する。
6週間後の安定性:室温、30 rpmにて1100 cpsのブルックフィールド(登録商標)VDT粘度。7%離液しているが、容易に練り直すことができる。硬い沈殿物はない。
12週間後の安定性:室温、30 rpmにて1090 cpsのブルックフィールド(登録商標)VDT粘度。12%離液しているが、容易に練り直すことができる。硬い沈殿物はない。
22週間後の安定性:室温、30 rpmにて1030 cpsのブルックフィールド(登録商標)VDT粘度。7%離液しているが、容易に練り直すことができる。硬い沈殿物はない。
【0040】
[Haake粘度計を用いた分散特性試験]
実施例1では、キサンタンガムFPSについて、その分散性(塊を形成する/形成しない)、水和性、および溶解性を、Haake Model VT501粘度計を使用して研究した。この試験は、FL 10センサーを使用して、脱塩水中、25℃、300 rpmにて行った。比較実施例として、無水のキサンタンガムを用いた。
【0041】
本発明において使用するためのFPSからなる実施例の分散液、および比較実施例の分散液を、表1に示すように、0.3%の活性キサンタンガム濃度で調製した。各分散液を1時間混合し、図1に示すように、時間の関数として粘度を測定した。プロットは、Haake粘度計によって測定した経時的な粘度を示す。
【0042】
[比較実施例1]
粉末キサンタンガム:比較実施例1では、その最終的な粘度に100%到達するまでに60分間かかった。加えて、1時間の混合後も塊が観察された。
【0043】
【表1】

【0044】
[実施例1]
FPSを用いる練り歯磨き配合物の調製:
(第I部)
13.00 g グリセリン
16.86 g ソルビトール
14.26 g 脱塩水
(第II部)
45 00 g リン酸二カルシウム、二水和物(Dical)
(第III部)
1.20 g 実施例1のキサンタンガムFPS
(第IV部)
0.42 g ピロリン酸四ナトリウム
0.20 g サッカリン
0.76 g モノフルオロリン酸ナトリウム
0.50 g 安息香酸ナトリウム
6.25 g 脱塩水
(第V部)
0.55 g 香料
1.00 g ラウリル硫酸ナトリウム(100%活性)
第II部のDicalを、1クォートのRoss Planatory Mixerに加えた。次いで、第I部の成分を、このRoss Planatory Mixerに加えた。Dicalを湿潤させるために、スピード30で10分間混合した。Rossミキサーを開けた。第III部のキサンタンガムFPSを添加し、次いで、ミキサーを閉じ、スピード60 rpmで減圧にすることなく混合した。分離ビーカー容器内で、第IV部の成分を混合し、約60℃に加熱して溶解させた。第I部、第II部、および第III部のRossミキサー内での1時間の混合が完了した後、第IV部の溶液を添加し、スピード45で5分間撹拌した。次いで、減圧を適用し、スピード60で10分間混合した。次いで、ミキサーを開け、第V部の成分を添加し、スピード30で減圧にすることなく10分間混合した。ミキサーを開け、撹拌器および混合容器の壁に付着した材料を掻き落とした。撹拌器を閉じ、減圧を適用した。スピード45で15分間混合した。混合速度を落とし、ミキサーを止め、減圧をゆるめた後、練り歯磨きをチューブに包装した。最終的な練り歯磨きに、塊またはゲルの徴候は全く観察されなかった。
【0045】
[比較実施例2]
練り歯磨きの調製:
(第I部)
13.00 g グリセリン
16.86 g ソルビトール
14.26 g 脱塩水
1.80 g ポリエチレングリコール400
(第II部)
45 00 g リン酸二カルシウム、二水和物(Dical)
(第III部)
1.20 g キサンタンガム
(第IV部)
0.42 g ピロリン酸四ナトリウム
0.20 g サッカリン
0.76 g モノフルオロリン酸ナトリウム
0.50 g 安息香酸ナトリウム
6.25 g 脱塩水
(第V部)
0.55 g 香料
1.00 g ラウリル硫酸ナトリウム(100%活性)
第II部のDicalを、1クォートのRoss Planatory Mixerに加えた。次いで、第I部の成分を、このRoss Planatory Mixerに加えた。Dicalを湿潤させるために、スピード30で10分間混合した。Rossミキサーを開けた。第III部のキサンタンガムを添加し、次いで、ミキサーを閉じ、スピード60で減圧にすることなく1時間混合した。分離ビーカー容器内で、第IV部の成分を混合し、約60℃に加熱して溶解させた。第I部、第II部、および第III部のRossミキサー内での1時間の混合が完了した後、第IV部の溶液を添加し、スピード45で5分間撹拌した。次いで、減圧を適用し、スピード60で10分間混合した。次いで、ミキサーを開け、第V部の成分を添加し、スピード30で減圧にすることなく10分間混合した。ミキサーを開け、撹拌器および混合容器の壁に付着した材料を掻き落とした。撹拌器を閉じ、減圧を適用した。スピード45で15分間混合した。混合速度を落とし、ミキサーを止め、減圧をゆるめた後、練り歯磨きをチューブに包装した。最終的な練り歯磨きに、小さなゲルが観察された。
【0046】
【表2】

【0047】
[実施例2]:硬質表面洗浄剤:
配合
163.6 g 脱塩水
5.0 g C9〜C11アルコールエトキシレート(Neodol(登録商標)91-8)
30.00 g クエン酸
3.5 g 本発明の生成物(キサンタンガムの40%活性サスペンション)
ビーカー内で、激しい撹拌下、アルコールエトキシレートを水に加える。次いで、クエン酸を加え、溶解するまで混合する。次いで、本発明の生成物であるキサンタンFPSを添加する。1時間混合する。1時間後には塊が全く観察されない。25℃、pH1.92、30 rpmでの最終的なブルックフィールド粘度は、1723 cpsであった。
【0048】
対照として、市販されている無水のキサンタンガム1.4グラムを、上記配合物に、本発明の生成物の代わりに添加した。視認可能な塊が1ヶ月後に観察された。25℃、pH1.99、30 rpmでの最終的なブルックフィールド粘度は、1568 cpsであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨剤、保存料、水、界面活性剤、および流動性ポリマーサスペンション(FPS)増粘剤を含む口腔ケア用または家庭用洗浄剤システムであって、
前記流動性ポリマーサスペンション(FPS)増粘剤が、
i) 水溶性または水膨潤性のポリマー、
ii) ポリオール、および
iii) 水和された増粘性シリカ
を含み、
前記水溶性または水膨潤性のポリマーが、アクリル酸ポリマー、アクリル酸ポリマーの塩、アクリレート、アクリルアミドポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、クレー、およびCMCを除く多糖類からなる群から選択される、口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項2】
前記多糖類が、天然由来の多糖類である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項3】
前記多糖類が、誘導体化された多糖類である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項4】
前記多糖類が、グアー、イナゴマメガム、シリウム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、カッシアガム、コロハガム、カラギーナン、こんにゃく、寒天、アルギン酸塩、キサンタン、硬グルカン、デキストラン、ペクチン、でんぷん、キチン、キトサン、海藻euchemiaの加工品(PES)、これらの誘導体およびこれらのセルロースエーテル(CMC単独を除く)との混合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項5】
前記多糖類が、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、水溶性エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)(他のポリマーと組み合わせて用いる場合)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、疎水性改質カルボキシメチルセルロース(HMCMC)、疎水性改質ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水性改質ヒドロキシプロピルセルロース(HMHPC)、疎水性改質エチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、疎水性改質カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(HMCMHEC)、疎水性改質ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HMHPHEC)、疎水性改質メチルセルロース(HMMC)、疎水性改質メチルヒドロキシプロピルセルロース(HMMHPC)、疎水性改質メチルヒドロキシエチルセルロース(HMMHEC)、疎水性改質カルボキシメチルメチルセルロース(HMCMMC)、陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース(陽イオン性HEC)、および陽イオン性疎水性改質ヒドロキシエチルセルロース(陽イオン性HMHEC)からなる群から選択される少なくとも1種のセルロースエーテルである、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項6】
前記多糖類が、カルボキシメチルグアー(CMグアー)、ヒドロキシエチルグアー(HEグアー)、ヒドロキシプロピルグアー(HPグアー)、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー(CMHPグアー)、陽イオン性グアー、疎水性改質グアー(HMグアー)、疎水性改質カルボキシメチルグアー(HMCMグアー)、疎水性改質ヒドロキシエチルグアー(HMHEグアー)、疎水性改質ヒドロキシプロピルグアー(HMHPグアー)、陽イオン性疎水性改質ヒドロキシプロピルグアー(陽イオン性HMHPグア−)、疎水性改質カルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー(HMCMHPグア−)、および疎水性改質陽イオン性グアー(HM陽イオン性グアー)からなる群から選択される少なくとも1種のグアー誘導体である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項7】
前記多糖類が、カラギーナン、キサンタン、グアー、PES、でんぷん、でんぷん誘導体、ペクチン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項8】
前記アクリル酸ポリマーが、ホモポリマーまたはコポリマーである、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項9】
前記水溶性または水膨潤性のポリマーの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約70重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項10】
前記水溶性または水膨潤性のポリマーの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約60重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項11】
前記多糖類の量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約50重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項12】
前記多糖類の量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約40重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項13】
前記多糖類の量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約10重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項14】
前記多糖類の量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約20重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項15】
前記多糖類の量の下限が、前記FPSの全重量を基準として、約30重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項16】
前記ポリオールが、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項17】
前記ポリオールがポリエチレングリコールである、請求項16に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項18】
前記ポリオールの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約90重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項19】
前記ポリオールの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約80重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項20】
前記ポリオールの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約70重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項21】
前記ポリオールの量の下限が、前記FPSの全重量を基準として、約40重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項22】
前記ポリオールの量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約30重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項23】
前記ポリオールの量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約50重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項24】
前記ポリオールの量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約60重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項25】
前記水和された増粘性シリカの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約5.0重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項26】
前記水和された増粘性シリカの量の上限が、前記FPSの全重量を基準として約2.0重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項27】
前記水和された増粘性シリカの量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約0.1重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項28】
前記水和された増粘性シリカの量の下限が、前記FPSの全重量を基準として約0.5重量%である、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項29】
前記多糖類がキサンタンガムである、請求項4に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項30】
前記水和された増粘性シリカが、約10μmの小さい粒径および1グラム当たり約200〜300平方メートルの範囲の大きい表面積を有するヒュームドシリカである、請求項1に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項31】
前記水和された増粘性シリカがヒュームドシリカであり、前記ポリオールがポリエチレングリコールである、請求項29に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システム。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の口腔ケア用または家庭用洗浄剤システムの増粘化方法であって、
口腔ケア用または家庭用洗浄剤システムに、十分な量の流動性ポリマーサスペンションを添加する工程を含み、
前記流動性ポリマーサスペンションが、水溶性または水膨潤性のポリマー、ポリオール、および水和された増粘性シリカを含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540529(P2010−540529A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526957(P2010−526957)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/011155
【国際公開番号】WO2009/042197
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】