説明

水溶性化学廃棄物の処理

アニオン及びカチオン種の両方を含む水流の処理のための方法を提供する。本方法は以下の工程を含む。イオン吸着物質の水浸透性層を含むイオン吸着ユニットを組み込んでいる本質的に閉じたループ中に水を連続的に循環させ、本質的に閉じたループにアニオン及びカチオン種を含む水溶液を供給し、イオン及びカチオン種を含む水溶液を含む循環水をイオン吸着ユニットにおけるイオン吸着物質中に連続的に通過させながら、電位をイオン吸着物質の層の厚みにわたって適用し、イオン吸着ユニットから分離イオン種のさらに濃縮された水溶液を除去し、イオン吸着ユニットからの各水溶液を連続的に排出し、他のイオン種のさらに濃縮された溶液をイオン種が反応して水不溶性固体物質を形成する反応ユニット中に連続的に通過させ、反応ユニットからの溶出液をイオン吸着ユニットに再循環させ、及び必要に応じて、閉じたループに反応ユニットから除去される水溶液の量に対応する量の水を加える。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有毒及び/又は環境的に危険又は有害な物質の処理、及び特に種々の化学工程から生じる有害な廃棄物の水溶液の処理に関する。
【0002】
化学加工産業は一般的に、大量の副生成物及び廃棄物を生成し、その多くは環境的危険性を表し、それらはそれらの最終的な処分の本質的な部分として中和又は破壊される必要がある。オイル及びガス加工産業は、例えば、特別に設計されたプラント及び設備に多量に投資し、環境への有害な大部分の有機物質の放出を防止又は最小化している。マイクロエレクトロニクス及び半導体デバイス製造産業は、例えば、同様な投資を行うことにより、排気ガスが大気中に放出される前に、化学加工ユニットからの一般的に無機物質を含む排気ガス流を洗浄又はそうでなければ処理している。重金属を含む化合物及びハロゲン-、硫黄-、リン-及び窒素含有化合物は、特に有害となり得、それらの除去は、多くの量の技術研究及び多くの環境保護立法の主題である。
【0003】
マイクロエレクトロニクス及び半導体デバイス製造産業に用いられる方法の多くは、フッ素含有化合物を用いる。未使用のフッ素含有化合物及びフッ素含有生成物及び副生成物は、一般的にその方法又はそれに続く排気処理、例えば水溶性廃棄流としてのスクラバー及び他の吸着系から放出される。この水溶性廃棄流は、一般的にHFの形状でフッ素を含む。しかし、NH4+などのカチオン種も、フッ化水素イオン、HF2-形状のフッ化物イオンに加えて存在し得る。
そのような製造及び廃棄設備における現状の実施は、水溶性フッ化物流をマグネシウム又はカルシウム塩で処理することにより、難溶性のMgF2及びCaF2、通常は後者を沈殿させることを含む。続いて、固体物質を廃棄又はさらなる使用のために運搬し易いように、圧縮又は乾燥することができる。しかし、水流は依然として約20〜30ppmのフッ化物含有率を有し、さらに一般的に課せられている3ppmの排出限度の廃棄問題を示し続ける。
さらに、ある立法領域では、廃棄目的のためのある廃棄流の希釈(例えば、水溶性フッ化物を、フッ化物を全く含まない水流で)を禁止しており、他の領域では、許容される排出が廃棄される化学種の量に基づき、それら濃度に基づかない。従って、危険及び有害な物質の安全な廃棄は、さらなる増加性の問題を示している。
【0004】
さらなる困難は、フッ化水素アンモニウム及びHFの混合物を用いる最近開発された方法からの流出物が、CaF2が12以下のpHで形成せず、そのような高いpH値がアンモニウム種の解離に好ましくアンモニアガスを製造するため、カルシウム沈殿設備を収容できないことである。続いて、さらなる設備が、NH4+及びF-が処理されて固体廃棄物を形成することができる前に、それらを除去及び分離するのに必要とされる。これは、従来のイオン交換技術を用いて達成することができるが、プラントは、2種のイオン交換種のための分離床及びそれらの周期的な再生のためのさらなる化学供給源を有する二重系が必要となるために大きくなる。
さらなる化学添加剤を必要とせずに水溶液からアニオン及びカチオン種の両方を除去することのできる最近開発された系は、イオン交換及び電離分離技術を伴う電気化学脱イオンとして知られている技術を用いる。この系において、当該カチオン又はアニオンは希薄水溶液からイオン交換媒体に吸着され、適用される電場によってその媒体を通って移動し、及び濃縮流として連続的に溶出される。そのような方法は、欧州特許第0680932B号明細書に記載されている。吸着及びイオン分離を組み合わせる電気化学セルの既存する文献内には多くの例があり、欧州特許第0680932B号明細書は1種のそのようなイオンの除去/分離/濃縮方法を説明している。他の手法は当業者に知られており、用いることもできる。そのような系は、連続的な根本原理のいくつかの成功によって適用され、水消費量を最小化し、且つアニオン又はカチオンを濃縮し、我々の同時係属している英国特許出願第0300793.7号明細書におけるそれに続く取り扱いを容易にする。本出願人は特に、フッ化物イオンを濃縮し、閉じたループ循環系から除去できることを示している。
【0005】
さらなる研究は今、英国特許第0300793.7号明細書に記載されている技術及び方法が、上記の問題にうまく適用され得ることを明らかにしている。この点で、英国特許第0300793.7号明細書に記載及び説明されている電気化学脱イオンセルの構造が改良され、アニオン及びカチオンの両方の同時除去を可能にする。
【0006】
本発明ではここで、アニオン及びカチオン種の両方を含む水流の処理方法であって、当該方法が:
イオン吸着物質の水浸透性層を含むイオン吸着ユニットを組み込んでいる本質的に閉じたループ中に水を連続的に循環させ;
本質的に閉じたループにアニオン及びカチオン種を含む水溶液を供給し;
イオン及びカチオン種を含む水溶液を含む循環水をイオン吸着ユニットにおけるイオン吸着物質中に連続的に通過させながら、電位をイオン吸着物質の層の厚みにわたって適用し、分離したイオン種のさらに濃縮された水溶液をイオン吸着ユニットから除去し;
1種のイオン種のさらに濃縮された水溶液をイオン吸着ユニットから連続的に排出し;
アニオン及びカチオン種の消耗した水溶液をイオン吸着ユニットから連続的に排出し;
他のイオン種のさらに濃縮された溶液を、イオン種が反応して水不溶性固体物質を形成する反応ユニット中に連続的に通過させ;
イオン吸着ユニットに反応ユニットからの溶出液を連続的に再循環し;及び、必要に応じて、
反応ユニットにおける固体と共に閉じたループから除去される水溶液の量に対応する水の量を閉じたループに加える、
工程を含む方法が提供される。
【0007】
別の特徴では、本発明はさらに、上記の方法を行うのに用いる装置を提供し、当該装置は:
(i)イオン吸着物質の水浸透性領域を含むイオン吸着ユニット、及び電位がイオン吸着領域の厚みにわたって適用されるのを可能にするための手段、及び(ii)アニオン及びカチオン種の1種が実質的に不溶性とされる反応ユニット;を含む本質的な閉じたループ循環系;
水溶液を閉じたループのまわりに連続的に循環させるためのポンプ;
閉じたループ循環系へのアニオン及びカチオン種を含む水溶液の注入口;
イオン吸着ユニットからの1種のイオン種の濃縮された水溶液の排出口;
イオン吸着ユニットからの消耗した水溶液の排出口;
反応ユニットからの固体の排出口;及び
閉じたループ循環系への水の注入口、
を含む。
【0008】
本発明の方法及び装置の本質的な特徴として用いられるイオン吸着ユニットは、好ましくはそのユニットにアニオン吸着及びカチオン吸着能力の両方を組み込んでいる。しかし、必要に応じて又は望ましければ、1種がアニオン吸着及びもう1種がカチオン吸着として連続して配置される2種の分離イオン吸着ユニットを使用するのが有利となり得る。さらに、アニオン吸着性及びカチオン吸着性能力の両方を有するイオン吸着ユニットは、アニオン吸着又はカチオン吸着能力のみを有する連続して結合されているイオン吸着ユニットによって補充されてもよい。正確な配置は、イオン吸着ユニットに供給される水溶液のアニオン及びカチオン種の比較濃度、当該アニオン及び/又はカチオンを水溶液から除去する際のイオン吸着ユニットの効率、及び溶液が付され得る任意のさらなる処理に関連する消耗した水溶液におけるアニオン及びカチオンの残留濃度に依存する。しかし、一般的に言えば、当業者は、特別な状況及び環境のためのイオン吸着ユニット及びイオン吸着性物質の最も適切な組み合わせを選択するのに特別な困難は有さない。
【0009】
イオン吸着性物質は、当該イオンを捕獲するのに用い、好ましくは粒子又はビーズの形状のイオン交換樹脂などのイオン交換物質、又は:
溶液浸透性媒体;
イオン吸着媒体(アニオン又はカチオンを除去するため);
イオンが課せられた電場によって別の溶液に移動され得ることによるイオン導電性媒体、
を提供することのできる他の物質である。
【0010】
樹脂の粒子又はビーズは、好ましくは凝集性形状であり、すなわち、それらは可動又は疎性ではないが、所定の配置に束縛されている。例えば、ビーズの粒子は、結合剤と共に結合しているか、又はメッシュ又は膜の層間に保持されてイオンを含む水溶液に対して浸透性となり、当該メッシュ又は膜が、当該イオンの除去及び濃縮に適切な浸透性になっていてもよい。イオン吸着性物質の層の厚みにわたって適用される電位は、イオン吸着性物質中に捕獲されたイオンを、電位が適用されている1つ又は他の電極に向けて動かすのに用いる。電位は、電解セルを形成するように配置されている1対の電極からか、又は例えば電気泳動セルの形状である任意の交互配列によって生成されてもよい。
イオン交換物質からなるイオン吸着ユニットが、操作中に、それが捕獲されているカチオン及び/又はアニオンを、濃縮された水溶液として排出されるそのバルク中に効果的に運ぶことで自己再生し、他のカチオン又はアニオン種が全く存在しないときはその水素又は水酸化物形状に再生すると理解される。そのような電気的再生イオン交換ユニットを、以下では簡潔のためにERIXユニットと呼ぶ。そのようなユニットは、並行な多数のイオン除去及び濃縮チャネルを含んでいてもよく、当業者に知られている。
【0011】
本発明の方法及び装置を用いると、イオン吸着性物質を再生又は周期的に交換するいかなる必要も無く、閉じたループ循環系によってアニオン及びカチオンの連続的な分離を行うことができることが見出された。この方法及び装置の効率は、イオン吸着性物質及び捕獲されるイオンの性質、溶液におけるイオンの濃度、及び流速及び電位などの他の要因に依存するが、最初の指標は、1回の通過当たり98%までのイオン抽出率が達成され得ることである。
そのような高い抽出率では、F-並びにSO42-及びNO3-などの酸アニオンの除去が、循環系における設備、例えばポンプ、メーター、バルブ及びバッフルなど耐用年数を改善する劇的な効果を有する。
【0012】
本発明の方法は、硫酸イオン、硫黄イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン及びハロゲンイオン、すなわちフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン及びヨウ素イオンなどの広範囲のアニオン種、並びに特に金属及びさらに特に重金属であるカチオン種に適用可能である。
しかし、本発明は、半導体デバイス製造産業の副生成物として生成され、且つガス洗浄プラントにおける溶解後の反応の結果として水溶性フッ化水素酸を製造するようなフッ化物に対する特別な適用性を有する。本発明は、上記のように、さらなる従来の技術によって安全な手法で分離するのが困難であるフッ化物及びアンモニウムイオンの両方を含む水溶液に最も有用である。
【0013】
従って、その好ましい特徴において、本発明は、電気的再生イオン交換(ERIX)系を用いて、アンモニウム及びフッ化物イオンを水溶液から分離するのを可能にする。ERIXユニットを再循環ループに組み込むことにより、濃縮されたフッ化物溶液が、カルシウム沈殿ユニット中を通過し、それによってフッ化物を固体形状で捕獲することができる。続いて、沈殿ユニットからの溶出液は、さらなる廃棄水供給と組み合わせてERIXユニットに再循環させることができる。
この手法において、フッ化物は、固体CaF2として廃棄水から安全及び効率的に除去され、アンモニウムイオンは分離及び排出され、及び純水が得られる。
【0014】
特に好ましい方法では、沈殿ユニットに入れられるカルシウムの量が、ERIXユニットから排出される濃縮流における全てのフッ化物イオンを捕獲するために化学量論的考慮によって必要とされるよりも有意に少ない。この方法では、沈殿ユニットからの溶出液におけるフッ化物イオン濃度を、その溶出液におけるカルシウム濃度が極端に低いような濃度に保持することができる。今度はこれが、溶出液における可溶性カルシウム由来の固体カルシウム沈殿物によって素早く妨害され得るか、又は少なくとも激しく汚染されるERIXユニットを保護するのを助ける。
CaF2の形成のための沈殿ユニットに供給されるカルシウムは、好ましくは可溶性形状であるが、簡単な経済的考慮を不溶性又は難溶性形状のカルシウムの使用に要求してもよい。例えば、水酸化カルシウムスラリー及び炭酸カルシウムスラリーが、有利に用いられ得る。しかし、大量の水がそのようなスラリーを形成するのに必要とされ、従ってこの目的のためにERIXユニットに存在する少なくとも一部の処理された水を用いるのが有利となり得る。この手法において、新鮮な水をループに導入する必要はほとんど又は全くない。
【0015】
変形配置では、沈殿ユニットからのフッ化物含有溶出液を、カルシウムスラリーを形成する目的のために再循環してもよい。この変形は、沈殿ユニットを出るフッ化物の一部を消費し、それによってERIXユニットにおけるフッ化物の負荷を減らすという利点を有する。
【0016】
本発明は、例としてのみの添付図を参照して以下により詳細に記載される。
【0017】
図1の図面を参照すると、本発明の装置の概要図が示されている。フッ化物及びアンモニウムイオンを含む水溶性イオン含有溶液が、ライン2を介して閉じたループ循環系1の一部を形成するイオン吸着ユニット3(ERIXユニット)に入れられる。ERIXユニット3内(その例は、図4の図面を参照することにより詳細に記載される)では、水溶液が処理及び分離され、ライン4を通って排出される濃縮されたアンモニウム溶液、ライン6を通って排出される濃縮されたフッ化物溶液、及びライン5を通って排出される消耗した水溶液を形成する。
濃縮されたフッ化物溶液を含むライン6は、閉じたループ循環系1の一部を形成し、ループ内に循環流を保持するための循環ポンプ(示さず)に導く。必要ならば、別のラインを補充水のために提供してもよいが、そのような補充水は、ループ系1のほとんど全ての部分で入れることができる。
ポンプの下流には、フッ化物溶液と反応して不溶性CaF2を形成するカルシウム(好ましくは可溶性形状)の好適な供給源を含む沈殿ユニット9がある。そのような沈殿ユニットは、当業者によく知られており、ここで詳細に記載する必要はない。沈殿したCaF2は、ライン7を通って除去される。
沈殿ユニット9からの溶出液は、20〜30ppmのみのF-を含んでおり、ライン8によって、新鮮なフッ化物/アンモニウム溶液が系に入るライン2へ通過する。必要に応じて、ライン8における溶出液を含むフッ化物の一部を、ライン10を介してERIXユニット3のフッ化物濃縮側に入れてもよい。
【0018】
装置の改良及び好ましい形状が、図2に概略的に表されている。この装置は、ライン5を通ってERIXユニットを出る水の一部がブリードライン11を介して溶液又はスラリーとしてカルシウムの供給源を形成するのに用いられる混合タンク12に運ばれるのを除き、図1に示されているものとほとんどの点で類似している。これは続いて、ライン13を通って沈殿ユニット9へ通過する。この手法では、系の水収支がより容易に制御及び保持される。
【0019】
装置のさらなる改良が、図3に示されている。しかし、この場合は、水酸化カルシウムが、ライン5を介してERIXユニットを出る水ではなく、ライン14を通ってライン8から運ばれるフッ化カルシウム沈殿ユニットから再循環される水でスラリーにされる。上記のように、この配置は、ERIXユニットを通って再循環される水溶性フッ化物の量を有意に減らすことにより、ERIXユニットにおける負荷を減らす。実際、図3に示されているように、再循環された水溶性フッ化物は、ERIXユニットにおけるイオン交換物質の背面を通過して完全に循環することができるので、イオン交換方法に付されない。
【0020】
次に図4を見ると、図1〜3に示されている閉じたループ循環系に組み込むのに好適な電気化学セルの例が示されている。
図4に示されている電気化学セル30は、水溶液の注入口33及び排出口35を組み込んでいる分割区分32によって間隔のある電極部品11及び電極部品31を含む。電極部品11及び31及び分割区分32は共に、溶液区画37を画定する。
電極部品は、好適なイオン浸透性膜12及び13によって溶液区画から分離されており、これらの膜は、カチオンを陰極区画34に移動させ、アニオンを陽極区画14に移動させるのを可能にする。陽極区画14は陽極20を含み、陰極区画34は陰極39を含む。
陰極溶液は、出入口15及び16を通って陰極区画34から導入及び除去することができ、陽極溶液は、出入口18及び19を通って陽極区画14から導入及び除去することができる。溶液区画37は、アニオン及びカチオンを吸着するための好適なイオン交換物質で充填されている。
【0021】
フッ化物及びアンモニウムイオンの水溶液は、注入口33及び排出口35を介して連続的に区画37を通過し、セル内においてそれらのイオンが樹脂に吸着される。電極20及び39間の電位は、フッ化物イオンを吸着させ、イオン交換層を通って膜12へ、及びその膜を通って陽極区画14へ通過させ、且つアンモニウムイオンを吸着させ、イオン交換層を通って膜13へ、及びその膜を通って陰極区画34に通過させ、陽極及び陰極区画それぞれにおいて濃縮したフッ化物及びアンモニウム溶液を生成させる。フッ化物イオン及びアンモニウムイオンの消耗した水溶液は、排出口35を通ってセルの外に流れる。
【0022】
図2に示されているような装置を用いて行われる本発明の方法の例では、500ppmのフッ化物を含む1時間当たり10,000リットルの廃水供給をERIXユニットに通過させ、100%のフッ化物除去効率を達成した、すなわち、ERIXユニットを出る処理された水がフッ化物イオンを含まなかった。1時間当たり6,300リットルの1,500ppm水酸化カルシウム溶液を沈殿ユニットに通過させ、沈殿した固体の100%の除去を達成した。1時間当たり6,300リットルの沈殿ユニットからのフッ化物含有溶液を、ERIXユニットに再循環した。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の閉じたループ循環処理装置の概要図。
【図2】本発明の閉じたループ循環処理装置の好ましい形状の概要図。
【図3】本発明の閉じたループ循環処理装置のさらなる形状の概要図。〔符号の説明〕1 閉じたループ循環系、2 ライン、3 イオン吸着ユニット、4 ライン、5 ライン、6 ライン、7 ライン、8 ライン、9 沈殿ユニット、10 ライン、11 ブリードライン、12 混合タンク、13 ライン、14 ライン
【図4】図1、2及び3に示されている装置に用いられ得る電気化学セルの例の概要図。〔符号の説明〕11 電極部品、12 イオン浸透性膜、13 イオン浸透性膜、14 陽極区画、15 出入口、16 出入口、18 出入口、19 出入口、20 陽極、30 電気化学セル、31 電極部品、32 分割区分、33 注入口、34 陰極区画、35 排出口、37 溶液区画、39 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン及びカチオン種の両方を含む水流の処理方法であって、
イオン吸着物質の水浸透性層を含むイオン吸着ユニットを組み込んでいる本質的に閉じたループを通して水を連続的に循環させ、
前記本質的に閉じたループに、前記アニオン種及びカチオン種を含む水溶液を供給し、
前記イオン吸着ユニットにおけるイオン吸着物質を通してイオン種及びカチオン種を含有する水溶液を含む循環水を連続的に通過させながら、電位をイオン吸着物質の層の厚みにわたって適用し、且つ分離したイオン種のさらに濃縮された水溶液をイオン吸着ユニットから除去し、
1種のイオン種のさらに濃縮された水溶液を前記イオン吸着ユニットから連続的に排出し、
アニオン種及びカチオン種の消耗した水溶液をイオン吸着ユニットから連続的に排出し、
他のイオン種のさらに濃縮された溶液を、イオン種が反応して水不溶性固体物質を形成する反応ユニットに連続的に通過させ、
前記イオン吸着ユニットに当該反応ユニットからの溶出液を連続的に再循環させ、そして、必要に応じて、
前記反応ユニットから除去される水溶液の量に対応する量の水を閉じたループに加える、
工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アニオン種がアンモニウムであり、前記カチオン種がフッ化物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
濃縮された水溶性アンモニウム溶液が、前記イオン吸着ユニットから連続的に排出される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
濃縮された水溶性フッ化物溶液が、イオン吸着ユニットからカルシウム沈殿ユニットへ連続的に通過することにより、CaF2を形成する、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
溶液又はスラリーとしてのカルシウム源が、カルシウム沈殿ユニットに連続的に入れられる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記カルシウム源が、炭酸カルシウム又は水酸化カルシウムのスラリーである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記イオン吸着ユニットから連続的に排出される消耗した水溶液が、カルシウムの溶液又はスラリーを調製するのに用いられる、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
前記カルシウム沈殿ユニットからの溶出液が、カルシウムの溶液又はスラリーを調製するのに用いられる、請求項5又は6記載の方法。
【請求項9】
前記カルシウム沈殿ユニットに入れられるカルシウムの量が、フッ化物を捕獲するための化学量論的な量よりも少なく、且つ前記沈殿ユニットからの溶出液を含むフッ化物が、前記イオン吸着ユニットに再循環されて濃縮されたフッ化物溶液と組み合わされる、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法を行うのに用いる装置であって、
(i)イオン吸着物質の水浸透性領域を含むイオン吸着ユニット、及び電位がイオン吸着領域の厚みにわたって適用されるのを可能にするための手段、及び(ii)アニオン種及びカチオン種の1種が実質的に不溶性とされる反応ユニット、を含む本質的に閉じたループ循環系、
水溶液を前記閉じたループのまわりに連続的に循環させるためのポンプ、
前記閉じたループ循環系へのアニオン種及びカチオン種を含む水溶液の注入口、
前記イオン吸着ユニットからの1種のイオン種の濃縮された水溶液の排出口、
前記イオン吸着ユニットからの消耗した水溶液の排出口、
前記反応ユニットからの固形物の排出口、及び
前記閉じたループ循環系への水の注入口、
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項11】
前記反応ユニットが、カルシウム源の水溶液又はスラリーの注入口、濃縮された水溶性フッ化物溶液の注入口、カルシウムフッ化物の排出口及び水溶性フッ化物溶出液の排出口を含むカルシウムフッ化物沈殿ユニットである、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記カルシウム源の水溶液又はスラリーの注入口が、当該カルシウム源が水と混合される混合容器に、機能的に作用するように接続されている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記混合容器が、前記イオン吸着ユニットからの消耗した水溶液の排出口に、機能的に作用するように接続されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記混合容器が、前記カルシウムフッ化物沈殿ユニットからの水溶性フッ化物溶出液の排出口に、機能的に作用するように接続されている、請求項12記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505732(P2007−505732A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526677(P2006−526677)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003876
【国際公開番号】WO2005/026055
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(591004445)ザ ビーオーシー グループ ピーエルシー (59)
【Fターム(参考)】