説明

水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法及び装置

【課題】非水溶性溶媒と水溶性相変化物質との親水−疎水バランスから決定される界面活性剤を選定する手間が省け、水溶性相変化物質粒子の合一が少ない新規なマイクロカプセル化方法を提供する。
【解決手段】マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に、多孔質からなる分散体を介して、水溶性相変化物質粒子を分散させるとほぼ同時に、該非水溶媒と該水溶性相変化物質粒子との界面でマイクロカプセル化反応を進行させることを特徴とする水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性相変化物質をマイクロカプセル化する方法、及び水溶性相変化物質をマイクロカプセル化する装置に関するものである。より詳しくは、各種冷却媒体や熱伝送媒体に用いられる水溶性相変化物質含有マイクロカプセル粒子の新規な製造方法、及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水溶性相変化物質を含有するマイクロカプセル化粒子は、各種媒体に分散させて、自動車エンジンや燃料電池の冷却液媒体、蓄熱システムの熱移送媒体などの用途が期待されている。従来の冷却媒体や熱移送媒体に比較して、見掛け比熱が大きいため、媒体の循環流量を小さくすることができ、省エネルギーに貢献するものと期待されている。
【0003】
本発明者らは、下記特許文献1として、非水系基剤からなる冷却液を発明した。具体的には、非水系基剤は、粘度が5mPa・s以下である有機系、シリコーン系及びフロン系液体から選択される1種以上であり、該非水系基剤に対して、相変化物質を分散させたものである。ここで、相変化物質(PCM:Phase Change Material)とは、物質が固体から液体、液体から固体に変化する際に発生する潜熱を利用し、見かけの比熱を向上させるものである。相変化物質をマイクロカプセル化させて非水系基剤中に分散させると、分散安定性が向上する。
【0004】
従来より、マイクロカプセル化方法については幾つか知られている。下記特許文献2では、モノマー液滴を、多孔質膜を介して、界面活性剤が溶解した水中に分散させ、微細モノマー液滴を得た後に、分散液を所定温度まで加熱して、重合反応を進行させ、微細ポリマー粒子を得る方法が開示されている。
【0005】
更に、下記特許文献3では、油溶性のマイクロカプセル芯物質を、多孔質膜を介して、界面活性剤が溶解した水中に分散させ微細油溶性液滴を得た後に、マイクロカプセルの壁物質となるモノマーを添加して、油溶性芯物質の界面にマイクロカプセル化壁を形成する方法が開示されている。
【0006】
ところで、下記特許文献4には、分散膜を用いてエマルジョンを形成する方法が開示されている。この特許文献では、均一な細孔径を有するミクロ多孔体を介して、油相を水相に分散させることによりO/Wエマルジョンを得、また水相を油相に分散させることによりW/Oエマルジョンを得ている。この分散膜を用いる乳化方法では、従来の油相および水相に界面活性剤を添加し、ホモミキサー、高圧乳化機などの機械的手段で乳化する場合に比較して、エマルション粒子径が揃った分散液が得られることが知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−203148号公報
【特許文献2】特開2000−053710号公報
【特許文献3】特開平06−118636号公報
【特許文献4】特開平02−095433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献4に記載された分散膜を用いるエマルジョン形成方法を水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法に適用する場合、上記特許文献2および3に記載の方法では、先ず、非水溶性溶媒中に水溶性相変化物質粒子を合一なく存在させるために、非水溶性溶媒と水溶性相変化物質との親水−疎水バランスから決定される界面活性剤を選定しなければならない問題を有している。また、分散液にマイクロカプセルの壁物質を添加し、壁物質の重合温度まで加熱した場合には、非水溶性溶媒と水溶性相変化物質との親水−疎水バランスが崩れ、水溶性相変化物質粒子が合一してしまう問題も有している。さらに、水溶性相変化物質粒子界面は界面活性剤で覆われており、強固なマイクロカプセル化壁が形成しにくい問題も有している。
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、非水溶性溶媒と水溶性相変化物質との親水−疎水バランスから決定される界面活性剤を選定する手間が省け、水溶性相変化物質粒子の合一が少ない新規なマイクロカプセル化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、マイクロカプセル化剤あるいはマイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に、分散体を介して水溶性相変化物質粒子を分散させるとほぼ同時に、該非水溶媒と該水溶性相変化物質粒子との界面でマイクロカプセル化反応を進行させることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、第1に、本発明は、水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法の発明であり、マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に、多孔質からなる分散体を介して、水溶性相変化物質粒子を分散させるとほぼ同時に、該非水溶媒と該水溶性相変化物質粒子との界面でマイクロカプセル化反応を進行させることを特徴とする。本発明の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法では、マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に、界面活性剤が存在しない場合でも効果的に水溶性相変化物質のマイクロカプセル化が進行する。
【0012】
本発明によれば、水溶性相変化物質が、分散膜を介して、マイクロカプセル化剤あるいはマイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に分散されたとほぼ同時に、非水溶媒と水溶性相変化物質粒子との界面でマイクロカプセル化反応が進行し、マイクロカプセル化壁を形成し安定化するので、非水溶性港媒と水溶性相変化物質との親水−疎水バランスから決定される界面活性剤を選定する手間が省け、水溶性相変化物質粒子の合一が少ないマイクロカプセル化粒子を得ることができる。
【0013】
非水溶媒としては、有機溶媒又はフロン系溶媒又はシリコーン系溶媒が好ましく例示される。
【0014】
本発明のマイクロカプセル化方法では、水溶性相変化物質が無機塩の水和物であることが好ましく、該無機塩水和物の水をマイクロカプセル化反応の開始剤とすることが好ましい。これにより、水溶性相変化物質の無機塩水和物に含まれる水をマイクロカプセル化剤の開始剤とするため水の添加により無機塩水和物の融解温度を低下させることなくマイクロカプセル化粒子を得ることができる。
【0015】
又、本発明のマイクロカプセル化方法では、無機塩水和物に水を添加し、無機塩水和物に含まれる水をマイクロカプセル化反応の開始剤とすることが好ましい。これにより、水溶性相変化物質の無機塩水和物の水和水を使用しないので、無機塩水和物の融解潜熱を減少させることのないマイクロカプセル化粒子を得ることができる。
【0016】
又、これらの構成により、水溶性相変化物質である無機塩水和物から供給される水でマイクロカプセル化反応が進行するので、確実に溶性相変化物質界面のみでマイクロカプセル化反応を進行させることができる。
【0017】
本発明のマイクロカプセル化方法では、マイクロカプセル化剤が水硬化型のウレタンのモノマーあるいはプレポリマーであることが好ましい。これにより、水を重合開始剤として、比較的低温でウレタン化反応を進行させることができる。
【0018】
本発明の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法において用いられる多孔質からなる分散体としては、各種無機材料又は有機材料からなる多孔質材料が用いられる。この中で、セラミック材料が、均質でミクロな多孔性と安定性を有することから好ましく例示される。
【0019】
多孔質からなる分散体は、一方から他方へミクロ細孔又はナノ細孔を通過して水溶性相変化物質粒子を分散させることから、その形状は膜状又は筒状であることが好ましい。
【0020】
第2に、本発明は、上記の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法を実施するための装置の発明であり、1つ目は、(A)マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を貯留するマイクロカプセル化剤容器と、(B)水溶性相変化物質粒子の溶解液を貯留する水溶性相変化物質容器と、(C)内部に多孔質からなる分散体を有する分散体容器と、(D)該水溶性相変化物質粒子の溶解液を該水溶性相変化物質容器から該分散体容器へ導く水溶性相変化物質粒子溶解液供給ラインと、(E)該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を該マイクロカプセル化剤容器から該分散体容器へ導くマイクロカプセル化剤供給ラインと、(F)該分散体容器中の該多孔質からなる分散体から該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に分散させるためのポンプを少なくとも備えることを特徴とする水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置である。
【0021】
2つ目は、(B)水溶性相変化物質粒子の溶解液を貯留する水溶性相変化物質容器と、(A+C)マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を貯留するとともに、内部に多孔質からなる分散体を有するマイクロカプセル化剤容器兼分散体容器と、(D)該水溶性相変化物質粒子の溶解液を該水溶性相変化物質容器から該マイクロカプセル化剤容器兼分散体容器へ導く水溶性相変化物質粒子溶解液供給ラインを少なくとも備えることを特徴とする水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置である。
【0022】
多孔質からなる分散体としてセラミック材料が好ましいこと、及び多孔質からなる分散体の形状として膜状又は筒状が好ましいことは上記の通りである。
【0023】
第3に、本発明は、上記のマイクロカプセル化方法によって製造された相変化物質を含有するマイクロカプセル化粒子の用途に関するものであり、該相変化物質を含有するマイクロカプセル化粒子を非水系基剤中に分散させて冷却液又は熱伝送媒体として用いるものである。特に、燃料電池用冷却液として有用である。冷却液及び熱移送媒体に用いられる際の非水系基剤としては特に限定されず、粘度が5mPa・s以下であるものが好ましい。具体的には、アルキルベンゼン、ジメチルシリコーン、パーフルオロカーボン等が好ましく例示される。
【発明の効果】
【0024】
非水溶性溶媒と水溶性相変化物質との親水疎水バランスから決定される界面活性剤を選定する手間が省け、水溶性相変化物質粒子の合一が少ないマイクロカプセル化粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
先ず、相変化物質(PCM:Phase Change Material)の作用を説明する。相変化物質は常温で固体であるが、温度が上昇すると、相変化物質が固体から液体に変化する。この際、周囲より吸熱することにより、温度上昇に要する熱量を多くする。また、温度が下降すると、相変化物質が液体から固体に変化する。この際、周囲に放熱することにより、温度下降に要する熱量を多くする。このように、相変化物質の相変化に伴う潜熱を利用し、冷却液や熱移送媒体の見かけの比熱を向上させる。
【0026】
本発明におけるマイクロカプセル化剤を含有する溶媒は、非水溶性でありマイクロカプセル化剤を溶解するものであれば特に限定はされないが、有機溶媒、シリコーン系溶媒、フロン系溶媒が好ましく例示できる。
【0027】
有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのパラフィン、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの環状飽和炭化水素などが好ましく例示できる。シリコーン系溶媒としては、ジメチルシリコーンなどのシリコーンオイルが好ましく例示できる。フロン系溶媒としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルなどが好ましく例示できる。
【0028】
これらのマイクロカプセル化剤を含有する溶媒は単独で使用しても差し支えないし、混合して使用しても差し支えない。
【0029】
本発明における水溶性相変化物質は特に限定されないが、炭酸カリウム6水和物、硝酸リチウム3水和物、硫酸ナトリウム10水和物、炭酸ナトリウム10水和物、チオ硫酸ナトリウム5水和物、硝酸ニッケル6水和物、酢酸ナトリウム3水和物、硝酸鉄6水和物、硝酸アルミニウム9水和物、4ホウ酸ナトリウム10水和物、水酸化バリウム8水和物、水酸化ストロンチウム8水和物、硝酸マグネシウム6水和物、硫酸アルミニウム10水和物、塩化マグネシウム6水和物などの無機塩水和物、リボース、マルトース1水和物、フルクトース、スクロース、ラクトース1水和物などの糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなどの等アルコール類を例示できる。
【0030】
これらの相変化物質の具体例を系列化すると以下のようになる。
(1)無機塩:
LiClO・3HO、Mg(ClO・6HO、Mn(ClO・6HO、NaClO・HO、Ni(ClO・6HO、Zn(ClO・6HO、MoF、NbF、OsF、ZnF・4HO、MgCl・6HO、MnCl・4HO、NdCl・6HO、NiCl・6HO、OsCl、SrCl・6HO、SrBr・6HO、TiBr・6HO、LiI・3HO、SrI・6HO、TiI、Sr(OH)・8HO、LiSO・3HO、MgSO・7HO、NaSO・10HO、NiSO・6HO、Zn(SO)・7HO、MgCO・3HO、NaCO・HO、Nd(CO・8HO、LiCHCOO・2HO、Mg(CHCOO)・2HO、Mn(CHCOO)・2HO、Mo(CHCOO)・2HO、NHCHCOO、NaCHCOO・3HO、Sr(CHCOO)・0.5HO、Al(ClO・6HO、Cd(ClO・6HO、Cu(ClO・6HO、CoCl・6HO、CrCl・6HO、GaCl、AlBr・6HO、CoBr・6HO、CaI・6HO、Ba(OH)・8HO等。
(2)パラフィン系:
オクタデカン、エイコサン、テトラコサン、トリアコンタン等。
(3)有機酸:
ラウリン酸、ミリスチン酸、ポリミチン酸、ステアリン酸等。
(4)ポリマー:
ポリグリコール、ポリエチレン等。
(5)糖類:
リボース、エリスリトール、マンニトール、ガラクチトール、ペンタエリスリトール等。
【0031】
マイクロカプセル化された水溶性相変化物質の見掛け比熱を向上させるには、単位容積あたりの融解潜熱が大きいことが好ましく、その観点からは、無機塩水和物を水溶性相変化物質として用いることが好ましい。
【0032】
これらの水溶性相変化物質は、単独で使用しても差し支えないし、混合して使用しても差し支えない。また、融解点を調節するために、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンなどの低分子の水溶性物質を含んでも差し支えない。
【0033】
本発明におけるマイクロカプセル化剤は、水を開始剤として重合してマイクロカプセルを形成するものであれば、特に限定はされない。この中で、スチレン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのアニオン重合性モノマー、ε−カプロラクタム、β−プロピオラクトン、エチレンイミン、テトラメチルシロキサンなどの開環重合性モノマー、水硬化型のウレタンのモノマーあるいはプレポリマーが好ましく例示される。
【0034】
水硬化型のウレタンのモノマーは、末端にイソシアネート基を有して、水と反応して重合反応を起こすものであれば特に限定されないが、トリレンジイソシナート(TDI)系のモノマーあるいはプレポリマー、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系のモノマーあるいはプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系のモノマーあるいはプレポリマーが好ましく例示される。
【0035】
これらのマイクロカプセル化剤は、単独で使用しても差し支えないし、混合して使用しても差し支えない。
【0036】
以下に、本発明を図面を参照しながら詳述する。
【0037】
図1は、本発明の1つの実施形態である、分散膜による水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法に関する概念図である。図1に示すように、本実施の形態では、水溶性相変化物質容器、分散膜、マイクロカプセル化剤溶液容器から構成されるが、これに限定されるものではなく、所望により幾つかの付随部が付く。
【0038】
本水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置は、マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒(マイクロカプセル化剤7)を貯留するマイクロカプセル化剤容器6と、水溶性相変化物質粒子の溶解液2を貯留する水溶性相変化物質容器1と、内部に多孔質からなる分散体(分散膜4)を有する分散体容器5と、該水溶性相変化物質粒子の溶解液を該水溶性相変化物質容器から該分散体容器へ導く水溶性相変化物質粒子溶解液供給ライン3と、該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を該マイクロカプセル化剤容器から該分散体容器へ導くマイクロカプセル化剤供給ライン10と、該分散体容器中の該多孔質からなる分散体から該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に分散させるためのポンプ(マイクロカプセル化剤循環ポンプ9)を備えている。
【0039】
水溶性相変化物質容器1には、水溶性相変化物質を融解点以上に加熱した水溶性相変化物質融解液2が準備される。該融解液の温度は、水溶性相変化物質を融解点以上であれば特に限定されないが、安定に融解させる観点からは、融解点プラス5℃以上であることが好ましい。
【0040】
水溶性相変化物質に添加する水は、マイクロカプセル化剤の水の消費量を勘案しつつ、0質量%〜20質量%の中から適宜選択され、5質量%〜10質量%がより好ましい。添加する水の量が少ない場合は、無機塩水和物の水和水がマイクロカプセル化反応に使用され、水溶性相変化物質の融解潜熱量を低下させてしまい、添加する水の量が多い場合は、マイクロカプセル化反応に使用されなかった水が、水溶性相変化物質の融解点を低下させてしまう。
【0041】
この時、水溶性相変化物質の融解操作は、水溶性相変化物質容器1に備え付けられた電熱ヒーター(図示せず)により加熱してもかまわないし、別途融解した融解液を供給し、電熱ヒーター(図示せず)により、保温してもかまわない。水溶性相変化物質に含まれる水を飛散させない観点からは、水溶性相変化物質容器1は密閉系であることが好ましく、融解する温度における水の蒸気圧以上の耐圧構造を有することが好ましい。
【0042】
マイクロカプセル化剤溶液容器6には、マイクロカプセル化剤を有機溶媒、フロン系溶媒、シリコーン系溶媒等の非水溶媒中に溶解させたマイクロカプセル化剤溶液7が準備される。マイクロカプセル化剤溶液7は水溶性相変化物質の融解点付近の温度まで加熱される。ここで、水溶性相変化物質の融解点付近の温度とは、水溶性相変化物質を該溶液に分散した場合に、水溶性相変化物質が凝固しない温度であれば問題なく、通常は、水溶性相変化物質を融解点プラス50℃からマイナス20℃の範囲から選定されるが、好ましくは水溶性相変化物質を融解点プラス30℃からマイナス10℃が良い。
【0043】
マイクロカプセル化剤溶液7の濃度は、流動性が保てるのであれば特に限定されず、1質量%〜100質量%の範囲から適宜選択される。マイクロカプセル化剤としてモノマーを使用する場合は、高質量濃度においても流動性が保持できるため、10質量%〜100質量%が好ましい。プレポリマーを使用する場合は、流動性を確保するため、1質量%〜50質量%が好ましい。
【0044】
マイクロカプセル化剤を溶解する溶媒には、水溶性相変化物質の分散を良好にするため、界面活性剤を含有させてもかまわない。界面活性剤の含有量は、添加する水溶性相変化物質に対して0.1質量%から5質量%で選定されるが、マイクロカプセル化反応を強固にするには、1質量%以下が好ましく、界面活性剤を含まないことが特に好ましい。界面活性剤の種類は、水溶性相変化物質の分散を良好にするものであれば特に限定されず、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤の中から適宜選択される。
【0045】
この時、マイクロカプセル化剤溶液7の加熱操作は、マイクロカプセル化剤溶液容器6に備え付けられた電熱ヒーター(図示せず)により加熱してもかまわないし、別途加熱した溶液を供給し、電熱ヒーター(図示せず)により、保温してもかまわない。マイクロカプセル化剤溶液7に含まれる溶媒を飛散させない観点からは、マイクロカプセル化剤溶液容器6は密閉系であることが好ましく、加熱する温度における溶剤の蒸気圧以上の耐圧構造を有することが好ましい。
【0046】
所定温度の加熱されたマイクロカプセル化剤溶液7は、マイクロカプセル化剤溶液容器6から、マイクロカプセル化剤供給ライン10を介して、マイクロカプセル化剤供給ポンプ9にて、分散膜4を備えた分散体容器5に供給され、マイクロカプセル化剤返送ライン11を介して、マイクロカプセル化剤溶液容器6に返送される。マイクロカプセル化剤供給ポンプ9、マイクロカプセル化剤供給ライン10、分散体容器5、マイクロカプセル化剤返送ライン11は、マイクロカプセル化剤溶液7の温度を所定温度に保つため、電熱ヒーター(図示せず)により保温される。
【0047】
マイクロカプセル化剤供給ポンプ9は、マイクロカプセルを破壊しない構造のものであれば特に限定されないが、ダイヤフラムポンプ、プランジャーポンプ、ロータリーポンプ、チュービングポンプ、遠心ポンプなどが好ましく例示される。
【0048】
マイクロカプセル化剤溶液7の供給液量は、分撤膜容器5内において、分散膜4を介して液滴化された水溶性相変化物質が膜面からの脱離を促進し、合一を防止するために0.01m/s以上であることが好ましい。しかし、マイクロカプセル化剤供給ライン10、分散体容器5、マイクロカプセル化剤返送ライン11の圧力損失の観点から、10m/s以下であることが好ましい。
【0049】
マイクロカプセル化剤溶液7の循環操作を行い、マイクロカプセル化剤溶液7の温度が所定温度に安定した時点で、水溶性相変化物質容器1から水溶性相変化物質融解液2を水溶性相変化物質融解液供給ライン3を介して、分散膜4の内面に供給する。分散膜4の内面に供給された水溶性相変化物質融解液2は、分散膜4の細孔を介して、循環しているマイクロカプセル化剤溶液7の中で、液滴を形成し、溶液中に含まれているマイクロカプセル化剤により、直ちにマイクロカプセル化反応が進行し、水溶性相変化物質粒子界面にマイクロカプセル化壁を形成する。
【0050】
水溶性相変化物質溶解液2の供給方法としては、水溶性相変化物質容器1を加圧すること(図示せず)により供給しても良いし、水溶性相変化物質融解液供給ライン3にポンプ(図示せず)を設備して供給してもかまわない。
【0051】
形成されたマイクロカプセル化粒子は、マイクロカプセル化剤溶液7を分散体容器5とマイクロカプセル化剤溶液容器6とを循環中にマイクロカプセル化反応を完結させる。マイクロカプセル化剤溶液7の循環操作中は、マイクロカプセル化剤溶液容器6に備え付けられた攪拌装置8により、マイクロカプセル化剤溶液容器6内においても攪拌を行い、マイクロカプセル化粒子の合一を防止することが好ましい。
【0052】
分散膜として用いられる分散膜4の材質は、均一な細孔が形成されていれば特に限定されない。例えば、ポリイミド、ポリスルホンなどの高分子膜、シラスガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどのセラミック膜が好ましく例示される。比較的高温度で無機塩水和物の融解液と接触するため、耐熱性が優れ、かつ対腐食性にも優れている観点から、セラミック膜を使用することが好ましい。
【0053】
分散膜4の細孔径は、水溶性相変化物質が安定に分散されるのであれば特に限定されず、10nm〜10μmのものが好ましく使用される。水溶性溶媒、有機溶媒、フロン系溶媒、シリコーン系溶媒中で、水溶性相変化物質のマイクロカプセル化粒子が安定に存在するためには、1μm以下の細孔径を有する分散膜が好ましい。
【0054】
水溶性相変化物質容器1、水溶性相変化物質融解液供給ライン3、分散膜容器5、マイクロカプセル化剤溶液容器6、攪拌装置8、マイクロカプセル化剤循環ポンプ9、マイクロカプセル化剤供給ライン10、マイクロカプセル化剤返送ライン11の材質は、使用する温度に耐え、接する液体に対して耐性を有するものであれば特に限定されない。例えば、テフロン(商標名)、シリコーン、ポリスチレンなどの高分子材料、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル鋼、チタン材料などの金属材料、ガラス、セラミックなどの無機材料が好ましく例示される。
【0055】
図2は、本発明の他の実施形態である、筒状の分散膜を用い、分散体容器とマイクロカプセル化剤溶液容器とを合体した装置を用いた、水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法に関する概念図である。
【0056】
本発明の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置は、水溶性相変化物質粒子の溶解液2を貯留する水溶性相変化物質容器1と、マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒7を貯留するとともに、内部に多孔質からなる分散膜4を有するマイクロカプセル化剤容器兼分散体容器12と、該水溶性相変化物質粒子の溶解液を該水溶性相変化物質容器から該マイクロカプセル化剤容器兼分散体容器へ導く水溶性相変化物質粒子溶解液供給ライン3を備えている。
【0057】
図2に示すように、本実施の形態では、筒状の分散膜4を分散体容器兼マイクロカプセル化剤溶液容器11に浸漬させ、攪拌装置8にて、マイクロカプセル化剤溶液7を攪拌し、分散膜4の表面において、マイクロカプセル化剤溶液7の線速度を維持する。これにより、図1中の分散体容器5、マイクロカプセル化剤循環ポンプ9、マイクロカプセル化剤供給ライン10、マイクロカプセル化剤返送ライン11は存在しなくとも、分散膜4の細孔を介して、攪拌されているマイクロカプセル化剤溶液7の中で、液滴を形成し、溶液中に含まれているマイクロカプセル化剤により、直ちにマイクロカプセル化反応が進行し、水溶性相変化物質粒子界面にマイクロカプセル化壁を形成することができる。
【0058】
分散体容器兼マイクロカプセル化剤溶液容器12中で作製されたマイクロカプセル化分散粒子は濾過などの手段により分離し、水溶性溶媒、有機溶媒、フロン系溶媒、シリコーン系溶媒等の非水溶媒に分散させることにより、種々の溶媒に分散したマイクロカプセル化された水溶性相変化物質の分散液を得ることができる。
【0059】
本発明の方法によれば、非水溶性溶媒と水溶性相変化物質との親水−疎水バランスから決定される界面活性剤を選定する手間が省け、水溶性相変化物質粒子の合一が少ないマイクロカプセル化粒子を得ることができる。
【実施例1】
【0060】
モレキュラシーブ3A(ナカライデスク株式会社製)で脱水したトルエン(ナカライデスク株式会社製、試薬特級)に、トリレンジイソシアネート系のプレポリマーであるタケネートM−408(三井武田ケミカル株式会社製)を5質量%となるように調製した溶液200mlをマグネチックスターラーにて300rpmで回転しつつ、85℃まで加熱し、マイクロカプセル化剤溶液容器6に準備した。マイクロカプセル化剤循環ポンプ9(ダイヤフラムポンプ)の流量を、分散膜を有する分散体容器5におけるマイクロカプセル化剤溶液7の線速度が0.1m/sとなるように設定し、循環を開始した。
【0061】
分散膜として、α−アルミナ製で、外形10mm、内径7mm、長さ200mmで、250nmの平均細孔径を有するセラミックフィルター((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)を使用した。
【0062】
一方、水酸化バリウム8水和物(ナカライデスク株式会社製、試薬特級)にイオン交換水を10質量%となるように添加したもの10mlを、85℃まで加熱し、水酸化バリウム8水和物溶融液を調製し、水溶性相変化物質容器1に入れ85℃で保温しつつ、密閉後に窒素圧を加えることにより、分散膜の外側を循環されている85℃に攪拌下で維持されたタケネートM−408トルエン溶液中に、水酸化バリウム8水和物溶融液を約5minで押出した。
【0063】
水酸化バリウム8水和物溶融液を押出した後も、タケネートM−408トルエン溶液は85℃に保ちつつ1h攪拌を継続し、マイクロカプセル化反応を完結させた。その後、マイクロカプセル化分散液を室温まで冷却し、濾紙にてマイクロカプセル化粒子を自然濾過し、200mlのトルエンでマイクロカプセル化粒子に付着した未反応のマイクロカプセル化剤(タケネートM−408)を洗い流し、室温、常圧にてマイクロカプセル化粒子を乾燥させた。
【0064】
乾燥したマイクロカプセル化粒子の粒子径分布を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置L A−910(株式会社堀場製作所製)により測定し、体積平均径が1.1μmであることを確認した。マイクロカプセル化粒子に含有される水酸化バリウム8水和物量は、示差熱分析計DSC3100(株式会社マックサイエンス社製)により、加熱冷却を同一サンプルにて5回繰り返した融解潜熱量の平均値を、水酸化バリウム8水和物量の文献値と比較することにより求めた。その結果、マイクロカプセル化粒子中には、65質量%の水酸化バリウム8水和物量を含有していることが分かった。
【実施例2】
【0065】
モレキュラシーブ3A(ナカライデスク株式会社製)で脱水したトルエン(ナカライデスク株式会社製、試薬特級)に、トリレンジイソシアネート系のプレポリマーであるタケネートM−408(三井武田ケミカル株式会社製)を5質量%となるように調製した溶液200mlをマグネチックスターラーにて300rpmで回転しつつ、65℃まで加熱し、マイクロカプセル化剤溶液容器6に準備した。マイクロカプセル化剤循環ポンプ9(ダイヤフラムポンプ〕の流量を、分散膜を有する分散体容器5におけるマイクロカプセル化剤溶液7の線速度が0.1m/sとなるように設定し、循環を開始した。
【0066】
一方、酢酸ナトリウム3水和物(ナカライデスク株式会社製、試薬特級)にイオン交換水を10質量%となるように添加したもの10mlを、65℃まで加熱し、酢酸ナトリウム3水和物溶融液を調製し、水溶性相変化物質容器1に入れ65℃で保温しつつ、密閉後に窒素圧を加えることにより、分散膜の外側を循環されている65℃に攪拌下で維持されたタケネートM−408トルエン溶液中に、酢酸ナトリウム3水和物溶融液を約5minで押出した。
【0067】
分散膜として、α−アルミナ製で、外形10mm、内径7mm、長さ200mmで、250nmの平均細孔径を有するセラミックフィルター((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)を使用した。
【0068】
酢酸ナトリウム3水和物溶融液を押出した後も、タケネートM−408トルエン溶液は65℃に保ちつつ1h攪拌を継続し、マイクロカプセル化反応を完結させた。その後、マイクロカプセル化分散液を室温まで冷却し、濾紙にてマイクロカプセル化粒子を自然濾過し、200mlのトルエンでマイクロカプセル化粒子に付着した未反応のマイクロカプセル化剤(タケネートM−408)を洗い流し、室温、常圧にてマイクロカプセル化粒子を乾燥させた。
【0069】
乾燥したマイクロカプセル化粒子の粒子径分布を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(株式会社堀場製作所製)により測定し、体積平均径1.0μmであることを確認した。マイクロカプセル化粒子に含有される酢酸ナトリウム3水和物量は、示差熱分析計DSC3100(株式会社マックサイエンス社製)により、加熱冷却を同一サンプルにて5回繰り返した融解潜熱量の平均値を、水酸化バリウム8水和物量の文献値と比較することにより求めた。その結果、マイクロカプセル化粒子中には、75質量%の酢酸ナトリウム3水和物量を含有していることが分かった。
【比較例】
【0070】
モレキュラシーブ3A(ナカライデスク株式会社製)で脱水したトルエン(ナカライデスク株式会社製、試薬特級)に、トリレンジイソシアネート系のプレポリマーであるタケネートM−408(三井武田ケミカル株式会社製)を5質量%となるように調製した溶液200mlをマグネチックスターラーにて300rpmで回転しつつ、85℃まで加熱し、マイクロカプセル化剤溶液容器6に準備した。マイクロカプセル化剤循環ポンプ9(ダイヤフラムポンプ)の流量を、分散膜容器5におけるマイクロカプセル化剤溶液7の線速度が0.1m/sとなるように設定し、循環を開始した。
【0071】
一方、水酸化バリウム8水和物(ナカライデスク株式会社製、試薬特級)にイオン交換水を10質量%となるように添加したもの10mlを、85℃まで加熱し、水酸化バリウム8水和物溶融液を調製し、水溶性相変化物質容器1に入れ85℃で保温しつつ、密閉後に窒素圧を加えることにより、分散膜の外側を循環されている85℃に攪拌下で維持された界面活性剤が溶解した溶液中に、水酸化バリウム8水和物溶融液を約5minで押出した。
【0072】
分散膜として、α−アルミナ製で、外形10mm、内径7mm、長さ200mmで、250nmの平均細孔径を有するセラミックフィルター((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)を使用した。
【0073】
水酸化バリウム8水和物溶融液を押出した後も、界面活性剤が溶解した溶液は85℃に保ちつつ1h攪拌を継続した。その後、分散液を室温まで冷却し、粒子径分布を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(株式会社堀場製作所製)により測定したところ、体積平均径が20μmであった。水酸化バリウム8水和物量粒子を、示差熱分析計DSC3100(株式会社マックサイエンスー社製)により、加熱・冷却を5回繰り返し、融解潜熱量を測定したが、1回目の加熱時の融解潜熱ピークのみ観察されるが、それ以後は、マイクロカプセル化壁が存在しないために、酸化バリウム8水和物粒子から水が飛散し、融解潜熱のピークが観察されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化粒子の用途としては、自動車エンジンや燃料電池の冷却液媒体、蓄熱システムの熱移送媒体などの用途が上げられる。従来の冷却媒体や熱移送媒体に比較して、見掛け比熱が大きいため、媒体の循環流量を小さくすることができ、省エネルギーに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の1つの実施形態である、分散膜による水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法に関する概念図である。
【図2】本発明の他の実施形態である、筒状の分散膜を用い、分散体容器とマイクロカプセル化剤溶液容器とを合体した装置を用いた、水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法に関する概念図である。
【符号の説明】
【0076】
1:水溶性相変化物質容器、2:水溶性相変化物質融解液、3:水溶性相変化物質融解液供給ライン、4:分散膜、5:分散体容器、6:マイクロカプセル化剤溶液容器、7:マイクロカプセル化剤溶液、8:攪拌装置、9:マイクロカプセル化剤循環ポンプ、10:マイクロカプセル化剤供給ライン、11:マイクロカプセル化剤返送ライン、12:分散体容器兼マイクロカプセル化剤溶液容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に、多孔質からなる分散体を介して、水溶性相変化物質粒子を分散させるとほぼ同時に、該非水溶媒と該水溶性相変化物質粒子との界面でマイクロカプセル化反応を進行させることを特徴とする水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項2】
前記マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に、界面活性剤が存在しないことを特徴とする請求項1に記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項3】
前記非水溶媒が、有機溶媒又はフロン系溶媒又はシリコーン系溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項4】
前記水溶性相変化物質が無機塩水和物であり、該無機塩水和物中の水を前記マイクロカプセル化反応の開始剤とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項5】
前記水溶性相変化物質が無機塩水和物であり、該無機塩水和物に水を添加し、該無機塩水和物に含まれる水を前記マイクロカプセル化反応の開始剤とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項6】
マイクロカプセル化剤が水硬化型のウレタンのモノマーあるいはプレポリマーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項7】
前記多孔質からなる分散体がセラミック材料であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項8】
前記多孔質からなる分散体が膜状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項9】
前記多孔質からなる分散体が筒状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化方法。
【請求項10】
マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を貯留するマイクロカプセル化剤容器と、水溶性相変化物質粒子の溶解液を貯留する水溶性相変化物質容器と、内部に多孔質からなる分散体を有する分散体容器と、該水溶性相変化物質粒子の溶解液を該水溶性相変化物質容器から該分散体容器へ導く水溶性相変化物質粒子溶解液供給ラインと、該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を該マイクロカプセル化剤容器から該分散体容器へ導くマイクロカプセル化剤供給ラインと、該分散体容器中の該多孔質からなる分散体から該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を該マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒中に分散させるためのポンプを少なくとも備えることを特徴とする水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置。
【請求項11】
水溶性相変化物質粒子の溶解液を貯留する水溶性相変化物質容器と、マイクロカプセル化剤を含有する非水溶媒を貯留するとともに、内部に多孔質からなる分散体を有するマイクロカプセル化剤容器兼分散体容器と、該水溶性相変化物質粒子の溶解液を該水溶性相変化物質容器から該分散体容器へ導く水溶性相変化物質粒子溶解液供給ラインを少なくとも備えることを特徴とする水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置。
【請求項12】
前記多孔質からなる分散体がセラミック材料であることを特徴とする請求項10又は11に記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置。
【請求項13】
前記多孔質からなる分散体が膜状であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置。
【請求項14】
前記多孔質からなる分散体が筒状であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の水溶性相変化物質のマイクロカプセル化装置。
【請求項15】
請求項1乃至9のいずれかに記載のマイクロカプセル化方法によって製造された相変化物質を含有するマイクロカプセル化粒子を非水系基剤中に分散させたことを特徴とする冷却液又は熱伝送媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の冷却液が燃料電池用であることを特徴とする燃料電池用冷却液。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−330872(P2007−330872A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164748(P2006−164748)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】