説明

水生成装置

【課題】無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することが可能な水生成装置であって、比較的短時間に大量の水を回収することが可能であり且つ小型化が可能な水生成装置を提供する。
【解決手段】水生成装置100は、クランク機構120と、スターリングエンジン130と、凝縮部140と、貯水部142とを備えている。クランク機構120は、自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する。スターリングエンジン130は、クランク機構120の作動に連動し、温熱部と冷却部とを有している。凝縮部140は、スターリングエンジン130の冷却側部分132の少なくとも一部を収容し、冷却部の外方の空気中の水蒸気を凝縮させる。貯水部142は、凝縮部140によって凝縮された水を貯留する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水生成装置のうち、特に無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することが可能な水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の水蒸気を凝集する水生成装置の一例として、例えば、コンプレッサを利用したコンプレッサ式の除湿機と、吸湿剤による水分の吸湿を利用したデシカント式の除湿機とが一般に知られている。
【0003】
しかしながら、これらの一般的な除湿機の作動には電力が必要であるため、無電化地域においては、これらの除湿機を用いて空気中の水蒸気を凝集することはできない。
【0004】
一方、国際公開第2005/116349号(特許文献1)に記載されているように、吸湿性の材料によって形成された回転ロータを利用することにより、空気中の水蒸気を凝集する装置が知られている。国際公開第2005/116349号(特許文献1)に記載された装置(以下、従来の装置という)は、電力または燃料を使用することなく、つまり無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。
【0005】
従来の装置の回転ロータの回転軸線は、水平方向および鉛直方向に対して傾斜している。また、回転ロータの吸湿領域は、当該回転ロータのうちの回転軸線が貫通する位置と水平方向とが交差する部分よりも上側の部分によって形成されている。そのため、回転ロータは、当該回転ロータの吸湿領域の水分に負荷される重力により、動力源等の駆動力を得ることなく自発的に回転することができる。
【0006】
また、従来の装置は、太陽光の照射熱を利用することによって、回転ロータの吸湿領域に含まれる水分を再度蒸発させている。従来の装置においては、回転ロータから蒸発した水蒸気を含む空気と、当該装置に流入される新たな吸湿空気との熱交換により、結露水が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2005/116349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の装置において、凝集される水の量と水を凝集する速度とは、回転ロータのサイズまたは回転ロータに含まれる吸湿剤の量に依存する。そのため、比較的多湿の地域において当該装置を用いることにしても、空気中の水蒸気の量に対して、実際に得られる水の量が限定されてしまう。また、比較的多湿の地域において当該装置を用いることにしても、所望の水量を回収するためには、比較的長い時間を要する。
【0009】
また、従来の装置において、空気中の水蒸気を吸湿する部分と、水蒸気から得られる結露水を取り出す部分とが仮に密接された状態で構成されている場合には、吸湿された水蒸気から適切に結露水を取り出すことができず、または、水蒸気を適切に吸湿することができない。言い換えると、従来の装置を、空気中の水蒸気を吸湿する部分と、水蒸気から得られる結露水を取り出す部分とを密接させた状態で構成することはできない。
【0010】
このように、従来の装置において、空気中の水蒸気を吸湿する部分としての回転ロータと、水蒸気から得られる結露水を取り出す部分とは、それぞれ別に構成されている。そのため、従来の装置は、小型化することが困難である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することが可能な水生成装置であって、比較的短時間に大量の水を回収することが可能であり且つ小型化が可能な水生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従った水生成装置は、従動部と、スターリングエンジンと、凝縮部と、貯水部とを備えている。従動部は、自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する。スターリングエンジンは、従動部の作動に連動し、温熱部と冷却部とを有している。凝縮部は、スターリングエンジンの冷却部を収容し、冷却部の外方の空気中の水蒸気を凝縮させる。貯水部は、凝縮部によって凝縮された水を貯留する。
【0013】
本発明によれば、スターリングエンジンは従動部の作動に連動する。従動部は、自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する。従動部の作動によってスターリングエンジンが作動することにより、温熱部の温度と冷却部の温度とに温度差が生じる。冷却部の外方は凝縮部に覆われているため、冷却部の外方の空気中の水蒸気が凝縮することにより、結露水が生じる。結露水は、貯水部に貯留される。
【0014】
このように、本発明に従った水生成装置は、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。また、本発明に従った水生成装置において、冷却部の外方を覆う凝縮部は、スターリングエンジンの冷却部の熱量を直接的に利用することによって空気中の水蒸気を凝縮することができる。そのため、比較的多湿の地域において当該水生成装置を用いる場合は、空気中の水蒸気の量に応じて、比較的多量の水を回収することができる。また、比較的多湿の地域において当該水生成装置を用いる場合は、所望の水量を比較的短時間で回収することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、スターリングエンジンの冷却部を凝縮部が覆うことにより、凝縮部と冷却部とが互いに密接するように構成されている。そのため、当該水生成装置は、小型化が可能である。したがって、本発明によれば、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することが可能な水生成装置であって、比較的短時間に大量の水を回収することが可能であり且つ小型化が可能な水生成装置を提供することができる。
【0016】
本発明に従った水生成装置において、凝縮部は、凝縮部の外方から冷却部の外側に向かって凝縮部の外方の空気を送る送風ファンを有していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、送風ファンが空気を送風することにより、より多量の水を回収することができ、且つ、所望の水量をより短時間で回収することができる。
【0018】
本発明に従った水生成装置において、温熱部の外側には、温熱部が有する熱量を当該水生成装置の外部に放出させる放熱部材が接続されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、温熱部の熱量が放熱部材によって外部に放出されるため、温熱部の温度と冷却部の温度との温度差を常に最適に保つことができる。これにより、凝縮部による水の凝縮性能を低下させることなく、効率よく結露水を回収することができる。
【0020】
本発明に従った水生成装置は、他のスターリングエンジンをさらに備えていることが好ましい。他のスターリングエンジンは、好ましくは、吸熱部と放熱部とを有し、且つ、太陽の熱によって吸熱部が加熱されることによって吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差を発生させることにより、スターリングサイクルを稼働させる。当該水生成装置は、好ましくは、他のスターリングエンジンによって従動部を作動させる。
【0021】
この構成によれば、他のスターリングエンジンは、自然エネルギーのうち、太陽の熱を利用することによって吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差を発生させることができる。吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差によってサイクルが稼働することにより、他のスターリングエンジンは、従動部を作動させることができる。このように、この構成によれば、太陽熱といった自然エネルギーを利用することにより、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。
【0022】
本発明に従った水生成装置は、断熱部をさらに備えていることが好ましい。断熱部は、断熱材料によって形成され、他のスターリングエンジンの放熱部の外方を覆うものであることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、放熱部の外方が断熱部に覆われているため、吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差をより効果的に生じさせることができる。そのため、他のスターリングエンジンから従動部に伝達されるエネルギーの量を増大させることができる。その結果、貯水部に回収される水の量を増加させることができる。
【0024】
本発明に従った水生成装置は、従動部に接続され、羽根を有する風車をさらに備えていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、風車は、自然エネルギーのうち、大気中の風を利用することにより、従動部を作動させることができる。このように、この構成によれば、大気中の風といった自然エネルギーを利用することにより、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することが可能な水生成装置であって、比較的短時間に大量の水を回収することが可能であり且つ小型化が可能な水生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水生成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る水生成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に、第1実施形態に係る水生成装置100を示す。水生成装置100は、従動部の一例としてのクランク機構120と、スターリングエンジン130と、他のスターリングエンジンの一例としてのスターリングエンジン110と、凝縮部140と、貯水部142とを備えている。クランク機構120は、スターリングエンジン110の駆動に基づいて作動する。
【0030】
スターリングエンジン110は、自然エネルギーから得られるエネルギーによって駆動する。スターリングエンジン110は、シリンダ111とディスプレーサピストン116とパワーピストン118とを有している。一つのシリンダ111の内部にパワーピストン118とディスプレーサピストン116とが配置されている。パワーピストン118とディスプレーサピストン116とは、それぞれコンロッド117とコンロッド119とを介してクランク機構120に連結されている。ディスプレーサピストン116のコンロッド117は、パワーピストン118の中心部を貫通してクランク機構120に連結されている。パワーピストン118とディスプレーサピストン116とは、シリンダ111の内部を90度の位相で移動する。
【0031】
ディスプレーサピストン116には、複数の連通路122が形成されている。連通路122は、シリンダ111の内部において、膨張空間114と圧縮空間115とを連通させる。シリンダ111の内部に封入されたヘリウム等の作動ガスは、連通路122を通り抜けることにより、膨張空間114と圧縮空間115との間を移動することができる。連通路122には、再生熱交換器121が配置されている。スターリングエンジン110において、作動ガスは、気体状態のままで膨張空間114と圧縮空間115との間を移動する。
【0032】
シリンダ111は、吸熱部の一部としての吸熱側部分112と、放熱部の一部としての放熱側部分113とを有している。シリンダ111の吸熱側部分112は、スターリングエンジン110の吸熱ヘッドの一部としての機能を有している。シリンダ111の放熱側部分113は、スターリングエンジン110の放熱ヘッドの一部としての機能を有している。シリンダ111の内部は、ディスプレーサピストン116により、膨張空間114と圧縮空間115とに区画されている。膨張空間114は、吸熱部の一部である。圧縮空間115は、放熱部の一部である。膨張空間114は、吸熱側部分112の内部に形成された空間である。圧縮空間115は、放熱側部分113の内部に形成された空間である。スターリングエンジン110は、太陽の熱によって吸熱部が加熱されることにより、吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差を発生させる。
【0033】
水生成装置100は、断熱部10を備えている。断熱部10は、断熱材料によって形成されている。断熱部10は、シリンダ111の外方に配置され、且つ、少なくとも放熱側部分113の外方を覆っている。このように、断熱部10は、スターリングエンジン110の放熱部の外方を覆うものである。なお、スターリングエンジン110の放熱部の外方は、遮光部材によって覆われていてもよい。
【0034】
一方、シリンダ111の外方のうち、吸熱側部分112の一部の外方は、太陽光によって加熱されるように、露出している。太陽光が照射される吸熱側部分112の一部が加熱されることにより、膨張空間114の内部の作動ガスが加熱される。そのため、膨張空間114において、作動ガスが定容加熱変化する。作動ガスの定容加熱変化が進行することに基づき、パワーピストン118が膨張空間114から圧縮空間115に向かう方向に移動する。
【0035】
一方、シリンダ111の外方のうち、放熱側部分113の外方は、断熱部10に覆われているため、圧縮空間115の内部の作動ガスは、膨張空間114の内部の作動ガスに比べて冷却される。このように、吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差により、膨張空間114と圧縮空間115との間にスターリングサイクルが形成され、ディスプレーサピストン116とパワーピストン118とがシリンダ111の内部を90度の位相で往復運動する。
【0036】
クランク機構120には、スターリングエンジン110のうち、コンロッド117とコンロッド119とが接続されている。ディスプレーサピストン116およびコンロッド117の作動と、パワーピストン118およびコンロッド119の作動とがクランク機構120に伝達されることにより、クランク機構120が作動する。このように、水生成装置100は、スターリングエンジン110によってクランク機構120を作動させる。クランク機構120は、自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する。クランク機構120は、所定の回転角度の範囲において、回転中心Cを中心に、時計回りと反時計回りとに回転する。
【0037】
一方、スターリングエンジン130のうちのコンロッド137とコンロッド139とがクランク機構120に接続されている。クランク機構120の作動により、太陽光の熱量を利用することによって得られたスターリングエンジン110の駆動力が、コンロッド137およびコンロッド139に伝達される。
【0038】
なお、クランク機構120の構成は、特に限定されない。クランク機構120は、太陽光の熱量を利用することによって得られたスターリングエンジン110の駆動力を、スターリングエンジン130に伝達するように構成されていればよい。つまり、クランク機構120は、スターリングエンジン110の作動に連動し、且つ、クランク機構120の作動によって得られる駆動力をスターリングエンジン130に伝達するように構成されていればよい。
【0039】
スターリングエンジン130は、クランク機構120の作動に連動する。スターリングエンジン130は、シリンダ131とディスプレーサピストン136とパワーピストン138とを有している。一つのシリンダ131の内部にパワーピストン138とディスプレーサピストン136とが配置されている。コンロッド137は、ディスプレーサピストン136に連結されている。コンロッド139は、パワーピストン138に連結されている。ディスプレーサピストン136とパワーピストン138とは、それぞれコンロッド137とコンロッド139とともに移動する。パワーピストン138とディスプレーサピストン136とは、シリンダ131の内部を90度の位相で移動する。
【0040】
ディスプレーサピストン136には、複数の連通路123が形成されている。連通路123は、シリンダ131の内部において、膨張空間134と圧縮空間135とを連通させる。シリンダ131の内部に封入されたヘリウム等の作動ガスは、連通路123を介して、気体状態のままで膨張空間134と圧縮空間135との間を移動する。
【0041】
シリンダ131は、冷却部の一部としての冷却側部分132と、温熱部の一部としての温熱側部分133とを有している。シリンダ131の冷却側部分132は、スターリングエンジン130の吸熱ヘッドの一部としての機能を有している。シリンダ131の温熱側部分133は、スターリングエンジン130の放熱ヘッドの一部としての機能を有している。シリンダ131の内部は、ディスプレーサピストン136により、膨張空間134と圧縮空間135とに区画されている。膨張空間134は、冷却部の一部である。圧縮空間135は、温熱部の一部である。膨張空間134は、冷却側部分132の内部に形成された空間である。圧縮空間135は、温熱側部分133の内部に形成された空間である。
【0042】
クランク機構120の作動に連動したコンロッド137およびディスプレーサピストン136の作動により、シリンダ131の内部に膨張空間134と圧縮空間135とが交互に形成される。また、クランク機構120の作動に連動したコンロッド139およびパワーピストン138の作動により、圧縮空間135において断熱圧縮変化に基づいて作動ガスの温度が上昇し、膨張空間134において断熱膨張変化に基づいて作動ガスの温度が低下する。このため、圧縮空間135の温度は上昇し、膨張空間134の温度は下降する。
【0043】
スターリングエンジン130においてこのようなスターリングサイクルが稼働している際中には、膨張空間134と圧縮空間135との間を行き来する作動ガスは、作動ガスが有する熱量を冷却側部分132と温熱側部分133とに伝える。つまり、膨張空間134は低温であるため、冷却側部分132は冷却される。一方、圧縮空間135は高温であるため、温熱側部分133は加熱される。
【0044】
温熱側部分133の外側には、放熱部材129が接続されている。加熱された温熱側部分133が有する熱量は、放熱部材129を介して、スターリングエンジン130の外部に放出される。放熱部材129は、例えばフィン状または蛇腹状の金属板によって構成されている。このように、放熱部材129は、温熱部が有する熱量を水生成装置100の外部に放出させる。
【0045】
凝縮部140は、冷却部の外方の空気中の水蒸気を凝縮させる。凝縮部140は、冷却側部分132の少なくとも一部を収容するように、シリンダ131に接続されている。これにより、凝縮部140は、スターリングエンジン130の冷却部を収容している。凝縮部140は、例えば略円筒形状を有する断熱部材によって形成されている。
【0046】
凝縮部140は、送風ファン141を有している。送風ファン141は、凝縮部140の外方から冷却側部分132の少なくとも一部の外側に向かって、空気を送る。送風ファン141の回転は、例えばクランク機構120の作動に連動する。また例えば、送風ファン141は、スターリングエンジン110の作動によって発電された電力を利用することによって作動するものであってもよい。
【0047】
凝縮部140によって凝縮された水は、貯水部142に貯留される。貯水部142は、例えば冷却側部分132の下方に配置されている。貯水部142の一部には、空気を排出させるための流出口143が形成されている。送風ファン141によって凝縮部140に流入された空気は、流出口143を介して水生成装置100の外方に排出される。
【0048】
以上のように、第1実施形態に係る水生成装置100は、クランク機構120と、スターリングエンジン130と、凝縮部140と、貯水部142とを備えている。クランク機構120は、自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する。スターリングエンジン130は、クランク機構120の作動に連動し、温熱部と冷却部とを有している。凝縮部140は、スターリングエンジン130の冷却側部分132の少なくとも一部を収容し、冷却部の外方の空気中の水蒸気を凝縮させる。貯水部142は、凝縮部140によって凝縮された水を貯留する。
【0049】
水生成装置100によれば、スターリングエンジン130はクランク機構120の作動に連動する。クランク機構120は、自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する。クランク機構120の作動によってスターリングエンジン130が作動することにより、温熱部の温度と冷却部の温度とに温度差が生じる。冷却側部分132の少なくとも一部の外方は凝縮部140に覆われているため、冷却部の外方の空気中の水蒸気が凝縮することにより、結露水が生じる。結露水は、貯水部142に貯留される。
【0050】
このように、水生成装置100は、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。また、水生成装置100において、冷却部の外方を覆う凝縮部140は、スターリングエンジン130の冷却部の熱量を直接的に利用することによって空気中の水蒸気を凝縮することができる。そのため、比較的多湿の地域において水生成装置100を用いる場合は、空気中の水蒸気の量に応じて、比較的多量の水を回収することができる。また、比較的多湿の地域において水生成装置100を用いる場合は、所望の水量を比較的短時間で回収することができる。
【0051】
さらに、水生成装置100によれば、スターリングエンジン130の冷却側部分132の少なくとも一部を凝縮部140が覆うことにより、凝縮部140と冷却側部分132とが互いに密接するように構成されている。そのため、水生成装置100は、小型化が可能である。このようにすることにより、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することが可能な水生成装置100であって、比較的短時間に大量の水を回収することが可能であり且つ小型化が可能な水生成装置100を提供することができる。
【0052】
水生成装置100において、凝縮部140は、凝縮部140の外方から冷却部の外側に向かって凝縮部140の外方の空気を送る送風ファン141を有している。
【0053】
この構成によれば、送風ファン141が空気を送風することにより、より多量の水を回収することができ、且つ、所望の水量をより短時間で回収することができる。
【0054】
水生成装置100において、温熱側部分133の外側には、スターリングエンジン130の温熱部が有する熱量を水生成装置100の外部に放出させる放熱部材129が接続されている。
【0055】
この構成によれば、温熱部の熱量が放熱部材129によって外部に放出されるため、温熱部の温度と冷却部の温度との温度差を常に最適に保つことができる。これにより、凝縮部140による水の凝縮性能を低下させることなく、効率よく結露水を回収することができる。
【0056】
水生成装置100は、スターリングエンジン110を備えている。スターリングエンジン110は、吸熱部と放熱部とを有し、且つ、太陽の熱によって吸熱部が加熱されることによって吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差を発生させることにより、スターリングサイクルを稼働させる。水生成装置100は、スターリングエンジン110によってクランク機構120を作動させる。
【0057】
この構成によれば、スターリングエンジン110は、自然エネルギーのうち、太陽の熱を利用することによって吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差を発生させることができる。吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差によってサイクルが稼働することにより、スターリングエンジン110は、クランク機構120を作動させることができる。このように、この構成によれば、太陽熱といった自然エネルギーを利用することにより、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。
【0058】
水生成装置100は、断熱部10を備えている。断熱部10は、断熱材料によって形成され、スターリングエンジン110の少なくとも放熱側部分113の外方を覆っている。
【0059】
この構成によれば、放熱部の外方が断熱部に覆われているため、吸熱部の温度と放熱部の温度との温度差をより効果的に生じさせることができる。そのため、スターリングエンジン110からクランク機構120に伝達されるエネルギーの量を増大させることができる。その結果、貯水部142に回収される水の量を増加させることができる。
【0060】
(第2実施形態)
図2に示すように、第2実施形態に係る水生成装置200は、羽根211を有する風車210を備えている。風車210は、クランク機構220に接続されている。水生成装置200は、クランク機構220の作動に連動するスターリングエンジン230を備えている。
【0061】
クランク機構220の構成は、特に限定されない。クランク機構220は、風力を利用することによって得られた風車210の駆動力を、スターリングエンジン230に伝達するように構成されていればよい。つまり、クランク機構220は、例えば羽根211の回転に連動し、且つ、羽根211の回転によって得られる駆動力をスターリングエンジン230に伝達するように構成されていればよい。
【0062】
クランク機構120には、スターリングエンジン230のうち、コンロッド237とコンロッド239とが接続されている。スターリングエンジン230は、シリンダ231とディスプレーサピストン236とパワーピストン238とを有している。一つのシリンダ231の内部にパワーピストン238とディスプレーサピストン236とが配置されている。パワーピストン238とディスプレーサピストン236とは、シリンダ231の内部を90度の位相で移動する。ディスプレーサピストン236に形成された複数の連通路124は、シリンダ231の内部において、膨張空間234と圧縮空間235とを連通させる。膨張空間234は、冷却側部分232の内部に形成された空間である。圧縮空間235は、温熱側部分233の内部に形成された空間である。温熱側部分233の外側には、放熱部材229が接続されている。
【0063】
凝縮部240は、冷却側部分232の少なくとも一部を収容するように、シリンダ231に接続されている。凝縮部240は、凝縮部240の外方から冷却側部分232の少なくとも一部の外側に向かって凝縮部240の外方の空気を送る送風ファン241を有している。送風ファン241によって凝縮部240に流入された空気は、流出口243を介して水生成装置200の外方に排出される。凝縮部240によって凝縮された水は、貯水部242に貯留される。
【0064】
このように、第2実施形態に係る水生成装置200のスターリングエンジン230と凝縮部240との構成は、第1実施形態に係る水生成装置100のスターリングエンジン130と凝縮部140との構成とそれぞれ同様である。
【0065】
第2実施形態に係る水生成装置200のその他の構成は、第1実施形態に係る水生成装置100の構成と同様である。第2実施形態に係る水生成装置200の説明において、第1実施形態に係る水生成装置100の構成と同様であるものについては、同符号を付し、説明を省略する。
【0066】
以上のように、水生成装置200の構成によれば、風車210は、自然エネルギーのうち、大気中の風を利用することにより、クランク機構220を作動させることができる。このように、この構成によれば、大気中の風といった自然エネルギーを利用することにより、無電化地域において空気中の水蒸気を凝集することができる。
【0067】
なお、本発明に係る水生成装置は、風力発電装置が発生させた電力によって作動する圧縮機を利用することにより、空気中の水蒸気を凝縮して結露水を得ることができるように構成されたものであってもよい。
【0068】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0069】
10:断熱部、100,200:水生成装置、110:スターリングエンジン、120:クランク機構、129:放熱部材、130:スターリングエンジン、140:凝縮部、141:送風ファン、142:貯水部、210:風車、211:羽根


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーから得られるエネルギーに基づいて作動する従動部と、
前記従動部の作動に連動し、温熱部と冷却部とを有するスターリングエンジンと、
前記スターリングエンジンの前記冷却部を収容し、前記冷却部の外方の空気中の水蒸気を凝縮させる凝縮部と、
前記凝縮部によって凝縮された水を貯留する貯水部とを備えた、水生成装置。
【請求項2】
前記凝縮部は、前記凝縮部の外方から前記冷却部の外側に向かって前記外方の空気を送る送風ファンを有している、請求項1に記載の水生成装置。
【請求項3】
前記温熱部の外側には、前記温熱部が有する熱量を当該水生成装置の外部に放出させる放熱部材が接続されている、請求項1または請求項2に記載の水生成装置。
【請求項4】
吸熱部と放熱部とを有し、且つ、太陽の熱によって前記吸熱部が加熱されることによって前記吸熱部の温度と前記放熱部の温度との温度差を発生させることにより、スターリングサイクルを稼働させる他のスターリングエンジンをさらに備え、
前記他のスターリングエンジンによって前記従動部を作動させる、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水生成装置。
【請求項5】
断熱材料によって形成され、前記他のスターリングエンジンの前記放熱部の外方を覆う断熱部をさらに備えた、請求項4に記載の水生成装置。
【請求項6】
前記従動部に接続され、羽根を有する風車をさらに備えた、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水生成装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−76214(P2013−76214A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215168(P2011−215168)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】