説明

水生生物を除去するための水処理のための方法および装置

船舶中のバラスト水などの、水中の水生生物を除去するために水を処理するための方法および装置。水は、圧力の突然の低減が生じるように、導管の断面積より大きな断面積を有するチャンバに、導管を通って圧力下で導入される。その結果、キャビテーションが生じ、溶解ガスが放出される。超音波振動が生じ、水に加えられ、存在する生物を弱めたり破壊したりするパウンディング効果を及ぼす。他の手段が、水中において、生物を攻撃する更なる機械的、電気的および化学的力を発生させるために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、水中に存在する水生生物を破壊することによって、またはこれらの水生生物がコロニーとして成長できないところまでこれら水生生物の数を低減させることによって、水中に存在する水生生物を除去するための、水の処理に関する。本発明は、船舶によって運ばれるバラスト水の処理における、特定であるが排他的でない用途を有する。バラスト水は、バラスト水が船舶に積載された場所から遠く離れた海または湖に排出されると、望ましくない環境上の影響を引き起こし得る。
【発明の背景】
【0002】
現代の船舶は、一般に、船舶のバランスをとりかつ安定させるため、また船舶を操縦し易くするために、船体内のタンク内にバラスト水を入れて運ぶ。貨物が積載され、船舶が水中で安定するにつれて、バラスト水は排出される。同様に、貨物が下ろされる時には、バラスト水が、所望の平衡を維持するためにバラストタンクへ汲み上げられる。
【0003】
これに基づいて大量の水が船舶に汲み上げられたり船舶から放出されたりするため、また、多数の種の生物が、バラスト水が積載されたり排出されたりする水域に生息しているため、しばしば遠い場所から持ってこられた外国種を海水や真水に放出することが長い間行われてきたことは、周知である。これらの生物は、微小なプランクトン種からかなり大きな遠洋の魚類までの範囲にわたっており、また、これら生物の繁殖周期のあらゆる段階に存在する、様々な病原菌や微生物(原生動物)を含んでいる。これらの生物の一部には、これらの生物が到着する水域中に天然の捕食者をほとんど有さないものがあり、このような一部の生物は、これらの水域中に適切な食料源を見い出したならば、急速に自らの新たなテリトリーにコロニーを作り、このテリトリーを支配し始め得る。このように、これらの生物は、自らの新たな生息地の生態系の安定性に対する有害生物および脅威になり得る。
【0004】
この問題は、水生環境に対する深刻な脅威として世界的に認識されており、国際海事機関(International Maritime Organisation)は、船主に自らの船舶内のバラスト水を殺菌するための厳格かつ組織的なステップをとることを要求する効果のある条約を、2004年2月に採択した。この条約は批准中であり、この条約を実施する際に適用される技術に関する具体的な規定については、現在策定中である。
【0005】
特に近年、この問題の可能な解決策に対し、相当な発明的活動が捧げられてきた。主に、この活動は、水に生息する生物を破壊するために、水を化学処理するという形をとってきた。しかし、化学物質の導入は、原則として、望ましい解決策でない。これは、化学物質が、バラスト水が排出される水域を汚染することがあり得る、または他の有害な副作用をまねくことがあり得るからである。場合によっては、毒性化学物質を使用すると、この毒性化学物質が解決すべく意図されていることよりも、大きな問題が生じてしまうことがあり得る。
【0006】
港湾水域や停泊水域に強力な化学物質を放出することの影響を軽減するために、オゾンなどの、水中に一時的しか存在しない化学物質が使用されるべきである、ということが提案されてきた。オゾンは、海水中での半減期がわずか数分であり、オゾンを殺菌剤としてバラスト水へ導入することが、米国特許第6,125,778号(Rodden)、米国特許第6,516,738号(Cannon)、米国特許出願第20040055966号(Nguyenその他)において、提案されている。
【0007】
他の発明者らが、生体が死滅し易い条件を造り出し、その後、再酸素化を行い、排出されるべき水の様々な基準に関し、水を許容範囲内の水質に回復させる(例えば、米国特許第5,932,112号(Browning)を参照)、水の一連の脱酸素化を考察している。最後に言及した特許はまた、水を最初に超酸素化する概念を開示している。酸素は、単独でも、様々な生体の付近に置かれると、酸素の酸化特性のため生物致死性効果を有するので、このタイプの工程は、長所を有する。しかし、最適効果は、圧力、温度および他の因子を制御した条件下でのみ得られ、また、水生生物を除去する速度には問題がある。したがって、この工程を適用するには、技術上の困難が免れず、相当な監視および監督が必要となる。
【0008】
複数の他の形態の処理が提案されてきたが、その中には、濾過および紫外線の使用(Nguyenらの米国特許出願第20040055966号)、加熱(Shermanの米国特許第5,816,181))、および2つ以上の形態の処理の組合せ、例えば、紫外線または生物致死性の化学物質への曝露と組合せた、遠心分離による濾過(Constantineらの米国特許第6,500,345号)など、が含まれる。
【0009】
これらの工程の大部分は、しばしば、広範囲にわたる監視が必要な状況において、冗長または比較的複雑な工程が使用される必要がある、という欠点を有する。
【0010】
幾分異なる方針が、米国特許第6,402,965号(Sullivanその他)において採られており、この特許は、超音波放射が水生生物にとって致命的であるということに基づき、バラスト水を超音波放射に曝露させることを開示しており、適切な周波数を発生させるトランスポンダとして機能する圧電材料を裏張りしたチューブを組み込んだ機器を、使用している。水は、このチューブを通過する。水中の生物を破壊する傾向があるこの機器によって発生される、いくつかの干渉効果もまた、記述されている。水生生物を破壊する手段としての超音波放射は、影響力がある報告書である、Full−Scale Design Studies of Ballast Water Treatment Systems(これは、Northeast−Midwest Institute(ワシントン市)および Lake Carriers AssociationのGreat Lakes Ballast Technology Demonstration Project (Glosten−Herbert Hyde Marine,2002)のために作成された)の中でも言及されているが、超音波放射を適用するための手順は、開示されていない。
【0011】
超音波放射がいくつかの生体を破壊するという事実は、長年公知であり、超音波放射をこの目的のために使用することが、J.Bacteriology51(4)487−493(1946)に公表された、P.K.Stumpf,D.E.Green,およびF.W.Smith Jrによる、Ultrasonic Disintegration as a Method of Extracting Bacterial Enzymesなどの文献に記述されている。この文献は、Microbial Interaction with the Physical Environment,D.W.Thayer編集、Dowden,Hutchinson&Ross,inc.,Stroudburg,Pennsylvania,1975,pp.405−493に再現されている。最後に言及した出版物はまた、原生動物および他の生物に対する超音波放射の致死効果、すなわち、細胞をじかに包囲している水中に超音波を放射することを伴うキャビテーションによって生成された化学的または物理的化学的効果による、細胞膜の破裂、についての暫定的な説明がなされている論文を含んでいる(F.O.SchmittおよびB.Uhlemeyerによる、Proc.Soc.Exptl.Biol.Med.,27(7),626−628(1930)から再版された論文、pp.402−404を参照)。この論文は、J.Physiol.,1929,lxvii,365においてC.H.Johnsonにより報告された、致死効果は溶解ガスのキャビテーションに由来し得る、という発見に言及している。キャビテーションの現象についてのさらなるコメントは、Microbial Interaction with the Physical Environment,pp.370−373の編集者のコメントに含まれている。
【0012】
水処理のために超音波放射を使用することは、本質的に魅力的である。これは、超音波放射が、外来の化学物質を水中に導入することに依存せず、また適切な振幅で展開される場合には、本出願人の経験から、海水や航行可能な淡水中に存在する種類の生物を殺滅させるまたは弱めるのに、強力な効果を有するようであるからである。しかし、超音波放射は、超音波放射を発生させかつこの超音波放射を監視する標準的な方法が、比較的複雑であり、関連機器が、船上で使用される状況では、比較的もろい、という欠点を有する。
【0013】
したがって、本発明の目的は、船舶のバラスト水などの、有害な生物を含む水が、水からこれらの生物を除去するために曝され得る、超音波放射を発生させるための方法および装置であって、この方法は比較的簡単であり、かつ関連機器が比較的頑丈である、方法および装置を提供することである。
【0014】
さらなる目的は、バラスト水において少なくとも1つの圧力の突然の変化をもたらすことができ、かつ好ましくは複数のこのような突然の圧力の変化をもたらすことができ、これが、このような生物を殺滅させるまたは弱める効果を有する、方法および装置を提供することである。
【0015】
さらなる目的は、比較的簡単な電気機器を使用し、電気化学的な力が、水生生物が除去されるべき水中に発生させられることができる、方法及び装置であって、これらの力は、問題となっている生物に対して有害な、少なくとも1つのガスを放出する効果を有しており、このガスは、次いで、ガスと水との間の表面接触が促進されるように水と混合される、方法および装置を提供することである。
【発明の簡潔な説明】
【0016】
本発明によれば、生物を破壊するための、水生生物を含む水を処理する方法が、水を加圧下で導管に通して、導管の断面積より大きな断面積を有するチャンバへと導くステップであって、その結果、水圧が突然低減されかつキャビテーションが起こり、キャビテーションと共に超音波振動が発生され、この超音波振動およびキャビテーションが水に作用する、ステップを備える。
【0017】
水は、船舶のバラスト水であってもよい。
【0018】
チャンバならびにチャンバに付随する空間および導管が、水がそこを通って汲み上げられる、反応器の部分を形成することが好ましい。水が船舶のバラスト水である場合、水が排出される時よりはむしろ水がバラスト内へ入れられる時に、この方法が適用されることが望ましい。
【0019】
チャンバに通じている導管は、水がそこを加圧下で通される、全体として一定の断面積を有する第1のゾーンを、好ましくは備え、有し、これに続いて、断面積が次第に低減し、その後、増大した断面積を有するチャンバへと広がるゾーンがあり、このチャンバにおいて、キャビテーションが生じる。したがって、水の圧力は、減少する断面積を有するゾーンに水が入るにつれて増加するが、キャビテーションが生じるチャンバに水が入ると、突然に減少する。この効果は、チャンバに通じる導管が導管の長さの全体にわたって一定の断面積を有する場合に生じるであろうキャビテーションの程度を、高める。
【0020】
キャビテーションと共に、超音波成分を備えるまたは含む周波数において、周囲構造の振動が生じる傾向がある。キャビテーションが軟鋼または他の一般的な金属からできた構成要素内で起こる場合には、この影響により、金属のピッチングが生じる。ピッチングは、構成要素が一定の等級のステンレス鋼でできている場合には、多少とも低減される。本発明の方法および装置においては、ステンレス鋼を使用し、かつ関連する構成要素に、ピッチングを排除するまたはピッチングの程度を非常に低減させる公知のセラミックまたは他の材料を裏打ちすることにより、ピッチングが避けられる。この特徴を有する複数の組成物が、商業的に入手できる。あるいは、ピッチングの影響を比較的受けない、特別な金属が使用されてもよい。少なくとも1つのそのような金属が、市販されている。詳細を以下に述べる。
【0021】
反応器チャンバ内の圧力を突然低減させることは、水から溶解ガスを引き出し気相へと変えるという効果があり、超音波振動が、ガスの泡が潰れている環境で生じる。これにより、水中に強度の機械的撹拌がもたらされる。この撹拌の効果は、ガスが水生生物の表面に作用する際のガスの化学効果と相まって、生物を殺滅するまたは弱めることである。
【0022】
水生生物に対する超音波振動の致死効果は、本発明によれば、水中に露出した電極に電力を印加することによって高められ、これによって、電気分解が生じ、水中の溶解塩、海水の場合には、とりわけ塩化ナトリウムや塩化臭素(bromium chloride)が、電解質として働く。これがガスを発生させ、このガスがまた超音波放射の結果としての振動に曝され、これらの条件下で水生生物の破壊に寄与する。水生生物の種の中には、水中に及ぼされる中程度の強度の電気的な力にさえ弱いものがあるので、電極の近傍の水中に電荷が存在することは、水生生物を破壊する傾向を有するさらなる因子となる。
【0023】
塩素および臭素、ならびに酸素および水素は、電解力によって海水中に放出されるガスのうちの数例である。塩素および臭素は、反応器内で接触する水生生物に対し、特に毒性作用を有する。
【0024】
塩素および他のハロゲン化物ガスもしくは他の腐食性ガスが相当な量存在することは、船舶のバラストタンクに汲み上げられる、または船舶のバラストタンクから排出されるバラスト水においては望ましくない。これは、これらのガスが、バラストタンクおよびバラストタンクに伴う金属導管を、腐食する傾向があるからである。したがって、本発明は、これらの腐食性ガスが、反応器チャンバ内において、または反応器チャンバの直近の下流において、これらのガスが容易に反応する金属表面に曝されることを、提供する。したがって、これらの犠牲金属構成要素は、定期的に置換され得るようにすべきである。
【0025】
本発明はまた、適切なガスが、反応器チャンバの中または付近で、かつ好ましくは下流側において水に導入されて、その結果、反応器内で生じ、かつ水中に存在する水生生物を破壊する効果を有する、機械的、電気的および化学的工程をさらに高めることを、考察する。オゾンは、非常に適切なガスであるが、これは、一部には、生きた組織と接触するや否や発揮される、したがって、オゾンが出会う水生生物の破壊に寄与する、オゾン自体の強い酸化作用のため、また一部には、オゾンが、通常、大気中に存在するガス、すなわち、環境的に無害である酸素、に迅速に分解されるためである。
【0026】
この方法の有効性は、水を、反応器チャンバおよび付随する導管内で機械的に混合または撹拌させることにより、高められる。これは、反応器チャンバへ入る入口導管および反応器チャンバから出る出口導管内に、および/または反応器チャンバ自体の中に、適切に間隔を置いた傾斜するベーンを配置することによって、達成され得る。混合の効果的な形状は、螺旋状の渦巻である。ベーンは、ベーンが摩耗した際に随時行う交換とは別に、ベーンの保守が必要でないように、固定され得る。
【0027】
本発明の方法は、導管および反応チャンバ内の温度、塩分の度数、水が流れてくる進路内の様々な地点の圧力、ならびに両電極にかかる電圧および電流を含む、本方法の効率に関連する様々な変数のステータスを監視することにより、高められ得る。本発明によれば、本方法の結果を最適化するために、随時、このようなパラメータを変更できるようになっている。
【0028】
本発明の好ましい形態においては、水の圧力を増大し、次いで突然減圧してキャビテーション、したがって超音波放射、を誘導する工程は、間断なく少なくとも1回、繰り返される。
【0029】
本発明による装置は、チャンバを画成しているハウジングによって形成された反応器と、チャンバの断面積より小さい断面積を有しかつチャンバに通じている導管と、チャンバの断面積より小さい断面積を有するチャンバからの出口導管と、入口導管内に圧力下で水を汲み上げ、したがって水を反応器の中へ通す手段と、を備える。入口導管は、チャンバに接近するにつれて断面積が次第に減少する終端部を、好ましくは含むことができる。
【0030】
装置を通過する水中に電気分解をもたらす電極が、反応器内に含まれてもよく、好ましくは、反応器チャンバ内に配置され、かつ反応器チャンバのハウジング内に固定される。
【0031】
犠牲電極を出口導管の中または付近に配置されて、腐食性ガスを、電極中に含まれる金属の塩に変換することによって、中和することができる。
【0032】
反応器の内容物を混合するベーンが、反応器内部の適切な地点に配置され得る。ベーンは、望ましくは、反応器を通過する水に渦巻作用を付与するように、設計される。
【0033】
装置は、また、オゾンなどの1つまたは複数のガスを、外部から反応器へと導入するための手段を含むことができる。このようなガスの逆流を防止する手段がまた、設けられてもよい。
【0034】
船舶のバラスト水を処理するために船舶上で使用するのに適している好ましい形態においては、装置は、直列に連結された少なくとも2つの反応器チャンバと入口導管とを有する、多段反応器を含む。
【0035】
圧力、温度、pH、塩分および水流量などの、様々な因子のステータスを測定または表示しかつ記録する、監視デバイスが、設けられてもよい。この監視装置は、日付、時刻、および装置が使用された地球上の位置、ならびに、行われている水処理の目的に関連する他の因子を、確定しかつ記録する手段を、さらに含むことができる。
【0036】
本発明を実施するための装置は、可動部品がなく比較的簡単であり、かつ船舶に容易に後付けされることができる。この装置は、主導管内に都合よく配置されることができる。バラスト水は、この主導管を通って、バラストタンクへ汲み上げられたりバラストタンクから排出されたりする。
【0037】
船上での典型的な設置では、バラストポンプがバラストタンク内に水を送出する配管は、内径が300mmである。本発明による2段反応器は、反応器自体の入口導管および出口導管を有するが、長さ約1500mm、および重量約200kgしか取らず、この配管に挿設されることができる。この反応器の制御は、通常の船上のコンピュータシステム中に組み込まれ得る。
【例示的な実施形態の詳細な説明】
【0038】
図1〜3に図示した装置は、従来のバラストタンクと従来のバラストポンプとを有する典型的な海洋船舶のバラスト水を処理するために適切な、水処理装置の好ましい実施形態である。
【0039】
装置は、丸い断面を有しかつ通常は内径が約300mmである配管102に連結された、反応器100を備える。管102は、バラストポンプ104と1つまたは複数のバラストタンク106との間に延在する。バラストポンプ104は、バラストタンクに吐出するために、海水箱105から水を吸い込む。
【0040】
反応器の動作および反応器内で生じている工程の動作は、図1に図式的に示した機器によって、制御かつ監視される。
【0041】
反応器は、(バラストポンプ104に直近の端部から始めて)入口導管108であって、通常は内径が約300mmであり、従来の手段(図示せず)によって配管102に連結されている、丸い断面を有する入口導管108と、第1の反応器チャンバハウジング110とを備えており、この第1の反応器チャンバハウジング110に、導管108が、当接するフランジ112,114によって連結されており、これらのフランジ112,114の間にガスケットまたはO−リングシール(図示せず)が配置されている。類似したシール手段が、後述する他の当接するフランジの間に設けられる。フランジ112、114は、ボルト115によって固定されている。
【0042】
円板116(図2および図3)が、フランジ112,114の間に取り付けられており、かつフランジ112,114の間にシールされている。円板116は、内部空間119を画成する円環部、すなわちオリフィス、を備え、この円環部は、内部空間に延びる複数の、好ましくは約6個の、ベーン118を有する。ベーンは、円板の内周部に固定されているストーク120の内端部に取り付けられており、円板116の平面に対して斜角で曲がっており、かつ、ベーン自体の各平面において螺旋状に曲がっている。この装置の使用中に、反応器を通って汲み上げられた水は、ベーン118に突き当たり、第1の反応器チャンバハウジング110に入っていくにつれて、ベーンによって偏向される。ベーンは、収束する螺旋状の渦巻作用を水に付与するように設計されており、水の速度をさらに増大させ、その後、水は、乱流相に入り、反応器内のガスとの混合が行われる。
【0043】
円板116には、ボルト115を収容するための、円周上に間隔を置いて設けられた穴部113と、さらに、円板自体の中心寄りのところに間隔を置かれて設けられた対の穴部117とが設けられており、この穴部117の中に、以下で言及する電極126を保持しているスタッドが配置されている。
【0044】
第1のチャンバハウジング110は、入口導管108に直接に連結している、好ましくは約400mmの一定の内径を有する第1のゾーン122を有しており、その結果、水がバラストポンプ104によって導管108から第1のチャンバハウジング110ヘと汲み上げられていくにつれて、装置の内径が突然増大するようになっている。ハウジング110は、円錐台形の形状の第2のゾーン124を含んでおり、その結果、内径は約175mmにまで減少するようになっている。このゾーンのテーパ角度は、ほぼ20度である。
【0045】
第1のゾーン122において、反応器チャンバハウジング110の内部には、チタンもしくはルテニウムまたはそれらの複合体などの耐食金属でできた、3対の電極126(図2)が装着されている。電極には、変圧器−整流器128(図1)によって、12Vの直流または他の任意の適切な電圧が供給される。これら電極の機能は、ハウジング110を通過する水を電気分解することである。
【0046】
第1のハウジング110の円錐台形のゾーン124の最も狭い部分には、第2の反応器チャンバハウジング134の対応するフランジ132にボルト115によって固定された、フランジ130が設けられており、この第2の反応器チャンバハウジング134は、第1の反応器チャンバハウジング110と同様に、一定の内径を有する第1のゾーン136と、円錐台形の形状の第2のゾーン138とを有する。さらなる電極126が、第2のハウジング134内に取り付けられており、電力を供給されている。これらの電極によって、同様に、装置を通過する水が電気分解される。環状円板131は、円板116と同様に、またベーン118を具備しているが、フランジ130,132の間に配置されかつシールされており、第1のチャンバハウジング110と第2のチャンバハウジング134との間に円形のオリフィス133を提供している。
【0047】
第2のチャンバハウジング134の円錐台形のゾーン138の最も狭い部分には、フランジ142が設けられており、このフランジ142は、入口導管108と同様の直径を有する出口導管146の対応するフランジ144に当接している。フランジ142、144は、ボルト115によって固定されている。環状円板143にはまた、円板116と同様に、ベーン118が具備されており、フランジ142、144の間に配置されかつシールされており、第2のチャンバハウジング134と出口導管146との間に円形オリフィス147を提供している。
【0048】
出口導管146の端部は、バラストタンク106(図1)に通じている管102に(示していない従来の手段によって)連結されている。
【0049】
本発明の別の態様では、複数の、好ましくは6個の、オゾン発生器148が、第2のハウジング134の外面に固定されていてもよい。オゾン発生器は、例えば、特許文献PCT/ZA2000/00031やPCT/ZA2001/00024において説明されているような、Sterizone、私書箱13935、ウィットフィールド、南アフリカ共和国、1467から市販されている、公知のタイプのものである。これらのデバイスは、大気から空気を吸い込み、コロナ放電によって空間にオゾンを発生させ、そこでオゾンが捕獲され、一方向弁152が設置されているチューブ150内へと供給される。チューブ150は、導管146の周囲に間隔を置いて設けられたポート153のところで、反応器の内部へと通じている。
【0050】
さらなる態様においては、犠牲電極154は、出口導管146の内部の、出口導管の端部付近に固定されることができ、かつ反応器を通過する水が突き当たるベーンとして成形される。これらの電極154は、水中に存在する遊離塩素および他の腐食性ガスと反応する、70/30黄銅(すなわち銅70%および亜鉛30%)などの金属でできており、水によって運ばれた多数の種の生物を損傷する、硫酸銅または塩化銅などの塩に、ガスを変換する。汲み上げられた水に含まれる溶解ガスからのみ得られているため、関連するガスの量が相対的に非常に少ないので、結果として生じる金属塩は、高度に希釈されており、船舶の構造に対して認められるほどの損傷を引き起こさない。しかし、これらの金属塩は、反応器チャンバ110、134を通過しても生き残った可能性のある魚類や多くの他の生物に対して、毒性作用を及ぼし、したがって、水に対し残留殺菌効果を有する。
【0051】
電極154への電力供給は、反応器100を出たばかりの水の中の遊離塩素のレベルが許容範囲の限界を決して超えないように、調整される。
【0052】
反応器の本体は、316等級のステンレス鋼からできており、厚さ4.5mmのシートから製作されている。
【0053】
電極126の表面およびベーン154の表面を除く反応器の内面の全体は、セラミックもしくは樹脂またはピッチングから反応器の金属を保護する他の材料で、コーティングされていてもよい。このライニングはまた、好ましい場合には、反応器内で生じる少なくともいくつかの工程を強化する、特徴を有する。当該の機構には、イオン交換、ガスと水との混合に寄与する摩擦接触、ならびにいくつかの生物の電気的な破壊に寄与する圧電および焦電効果、が含まれる。このライニングのための適切な材料は、MetaCeram(商標)28060のように、商業的に入手できる。MetaCeramは、特定の粒径および制御されたモフォロジを有する、スプレー式、アルミニウム−チタンベースの酸素安定化錯化合物である。さらなる材料は、Elce(商標)として知られており、これは、Nihon Jisui Company Ltd,日本国宮崎市祇園3丁目78(電子メール:elce@orange.ocn.ne.jp)が製造している。他には、Belzona Polymerics Ltd.,Harrowgate,HG1 4AY,イギリス、から入手可能なBelzona(商標)5811や、Bayer AG,D−51368 レーバークーゼン,ドイツ、のLewatit(商標)がある。
【0054】
反応器のための制御デバイスが、図1に示されており、この制御デバイスは、反応器内ならびに反応器の入口導管および出口導管内の重要な地点における圧力を表示する1つまたは複数の圧力計、レドックス(残存酸化還元電位)計、塩分計、1つまたは複数の温度計、1つまたは複数の塩素センサー、大気圧よりも低い圧力が存在するであろう断面における突然のチャンスのある地点における真空計、および船舶のコンピュータシステムにデータをインポートするためのスキャナ、ならびに、GPS表示デバイス、およびコンピュータシステムに記録されているブリッジ情報を測定する他のデバイス、を含む。制御デバイスは、また、いくつかの工程に影響を与える手段、例えば、電極へ電気を供給するためのポテンショメータ、オゾンまたは外部から提供された他のガスを供給するための調整弁、および水処理の分野における公知の他のデバイスなど、を含むことができる。
【0055】
好ましい使用法では、図1〜3に図示した(illlustrated)反応器は、400〜500キロリットル/時間、または約150リットル/秒の流速で、かつ3バールの最小揚程圧力下で動作するように、設計されている。
【0056】
反応器100の動作中に、バラストポンプ104は、スイッチを入れられて、海、湖または河川などの開放水体から海水箱105内へと水を吸い込み、この水を加圧下で導管102を通して反応器100へと送る。この水は、船舶がその時に位置していた領域にもともと生息していた海洋生物を、おそらくは含んでいるであろう。この海洋生物の一部は、この水が他の場所で排出されると環境被害に寄与する可能性がある。
【0057】
水は、導管108を通過するが、この導管の端部において、ベーン118に突き当たり、螺旋状の渦巻運動を与えられる。水がハウジング110の第1のゾーン122に入ると、反応器の断面積は、突然増大する。水はまた、この段階で電力を供給されている電極126を擦過し、その結果、電解反応が起こり、主に酸素、水素、塩素および臭素である、ガスが発生する。ベーンによってもたらされる渦巻作用によって、これらのガスが水中で均一に混合し、いかなる生物をも破壊的効果に曝す。さらに、電荷自体が、反応チャンバ100内の水を介して伝導されると、より小型の海洋生物に対して破壊的な効果を有する。
【0058】
水が第1のゾーン122を出て、反応チャンバ110のテーパを付けられたゾーン124に入っていくにつれて、水の速度は、次第に増大する。ベルヌーイの原理に従って、水速度が増大すると、水の局所速度・圧力ヘッドは増大するが、局所静圧ヘッドは減少することが、当業者ならば分かるであろう。水の速度が十分に増大させられると、静止水の圧力ヘッドは水の蒸発圧力より低くなることが、さらに理解されよう。これにより、水速度が最大になった時点において、水を効果的に沸騰させる、すなわち「キャビテートさせる」ことができる。この時、蒸発した水の小さな気泡(例えば酸素、水素および塩素などの、水中に溶解している他のガスと混合された状態で)が現れるが、これらの気泡は、より高い静圧ヘッドおよびより低速度の領域内へ移動するにつれ、再度潰れてしまう。これらの気泡が潰れることにより、今度は、(超音波、すなわち20,000ヘルツの範囲、の周波数を含む)高周波かつ高エネルギーの衝撃波が、局所的に存在する生物を破壊する効果を有しながら、水中を進むことができる。
【0059】
しかし、水がキャビテーションを起こすまでには至らなくとも、水を、蒸発圧力を僅かに下回るだけの大気中より低い圧力状態にできることは、理解されよう。多くの海洋生物は、水中の相当深いところで生き残り、かつ繁殖することさえでき、したがって、大気圧よりかなり大きい圧力に耐えることができる。しかし、これらの海洋生物は、大気中より低い圧力に対しては、有機体として備えができておらず、したがって、キャビテーションが生じなくとも、この原因のみで極端なストレスを受ける。
【0060】
したがって、第1の反応チャンバ110と第2の反応チャンバ134との間のオリフィス133の寸法は、水がオリフィス133を通過するにつれて、水の速度が十分に大きくなりオリフィスの下流の水中でキャビテーションを生じさせる、または少なくとも圧力を非常に下げ、大気圧より低くするように、選ばれる。好ましい実施形態においては、オリフィス133に配置されたベーン118が、水が第2のチャンバ134を通過するにつれて、収束する螺旋状のねじり運動を水に付与する。これは、局所的に水速度をさらに加速させ、キャビテーションの程度をさらに高め、全体としてオリフィス133の下流の水を減圧する、という効果を有し得る。
【0061】
したがって、説明した好ましい実施形態の構成では、キャビテーションが、オリフィス133の下流、すなわち第1のチャンバハウジング110から第2のチャンバハウジング134へと移動する際に装置の直径が突然増大する場所、において故意に誘導される。これには、内破する気泡によって放出されたエネルギーが、第2のチャンバハウジング134の周囲の金属表面へ直接当たって損傷を引き起こすということがない、という利点がある。むしろ、このエネルギーは、ハウジングの金属表面に到達する前に、まず、実質的な水の塊を通って進まなければならない。このように構成されていることにより、音のエネルギーが水中に実質的に消散することができ、この水中において、この音のエネルギーは、第2チャンバ134の離れた金属表面に作用する前に、存在する生物を殺滅する。万が一、超音波エネルギーがチャンバ134の離れた金属表面に影響を与える場合には、反応器のセラミックまたは他のライニングが、反応器の金属構成要素に対して、ピッチングまたは他の損傷を与えないように作用することができ、ライニングの材料は、ライニング自体の特定の構成に伴う上述のさらなる効果を提供する。
【0062】
好ましい実施形態のさらなる特徴は、第1のゾーン136を通過している間に、さらなる電気化学的力が、このゾーン内にある電極126の電解作用によって生物に対し放出される、ということである。これらの破壊的効果は、存在する酸化性ガスまたは他の有毒なガスに曝露することにより、また、水中に電界が存在することにより、強化される。有利なことに、ベーン118によって付与されたこのゾーン内の水の螺旋状の運動により、有毒ガスのある環境における水の混合が容易になる。
【0063】
好ましい実施形態においては、第1のゾーン136を通過した後、水は、テーパを付けられたゾーン138に沿って通過するにつれて、再び速度を増大されることができ、次いで、導管146内のオリフィス147の下流でキャビテーションを生じさせるのに十分な速度で、オリフィス147を通過する。ベーン118は、収束する螺旋状の渦巻流を誘導するように、オリフィス147に同様に配置され得る。このようにして、反応器100を通って流れる水は、水の速度が増大されキャビテーションが生じて高エネルギーの超音波振動を誘導する、少なくとも2つの場所を通る。第2の反応チャンバ134内での処理を生き抜いたいかなる生物も、出口導管146内のオリフィス147の下流で、同様の処理に曝されることになる。
【0064】
さらなる圧縮や膨張を水の経路内に配置して、キャビテーションが生じ得る複数の場所を提供し得ることが、理解されよう。しかし、ぞれぞれの圧縮のためには、さらなるポンプエネルギーにより反応器100を活性化しなければならず、あまりに多くの圧縮が導入されると、圧送性能が不十分になり得ることもまた、理解されよう。
【0065】
好ましい実施形態の別の態様において、水は、導管146をさらに進んでいくにつれて、オゾン発生器148から来るオゾンと合わせられ混合されることができ、円周上にある進入ポート153から反応器に入ることができる。
【0066】
オゾンガスは、水と混合し、オゾンが接触する水中に存在する生物に対し、強力な酸化作用を及ぼし、致死結果をもたらす。水は、未だ、混合が行われている上流から流れてきた撹拌段階にあり、オゾンガスもまた、この水に混合される。海水におけるオゾンの半減期が短いので、残存するオゾンは急速に酸素に分解されるが、この酸素自体が、酸素が突き当たる生物に対し、酸化作用、したがって破壊的効果を及ぼす。
【0067】
好ましい実施形態のさらなる態様においては、水は、最終的に犠牲ベーン154に突き当たり、この犠牲ベーンにおいて、自由な腐食性ガスが、これらのベーンの金属と反応し、非常に低い濃度であるが、ここまで生き延びてきた可能性のある一定の生物に対しては有毒である、溶解塩に変換される。ベーン154は、水に対する混合効果をも有し、反応器を通ってくる水の進行のこれまでの段階を特徴づけている、パウンディングおよびガス曝露という工程を完了する。塩素の残留分は、確実にバラスト水が無菌に保たれるようにするのに、有利である。
【0068】
これらの事象の結果、積載された水中に存在しかつ反応器を通過した生物は、複数の反応の組合せによって、実質的に破壊され、これらの生物が水から除去され、かつ水が事実上殺菌される。船舶から後に排出されることによって引き起こされる環境負荷は、非常に低減される。
【0069】
図4に例示するさらなる好ましい実施形態において、図1〜3の反応器の構成要素に対応する構成要素には、文字aを付した対応する参照番号が与えられている。この実施形態においては、単一の反応チャンバハウジング136a、138aが設けられており、このチャンバハウジングの入口には、複数の対の電極(見えない)が具備されており、かつ、このチャンバハウジングの出口導管146a内には、1組の犠牲電極154aが具備されている。他の点では、反応器は、全体として、前述の図の反応器と同様であり、前述の図の反応器と同様に作動される。この型の反応器を通過した後に水生生物が生き延びる可能性は、前述の図の反応器と比較すると、必然的に増大されることが、理解されよう。しかし、水を強制的に反応器に通すために必要なエネルギーが少なくてすみ、これは、小型のポンプが利用できる特定の場合において望ましいことであり得ることも、また理解されたい。
【0070】
図5に例示した実施形態は、最も単純なものを図示したものである。図5においては、図2の参照番号に対応する参照番号が、文字bを付けて再現されており、対応する構成要素を指している。図5の実施形態の入口導管108bは、一定の断面積を有する第1の部分109と、テーパを付けられた断面を有する最終部分111とを有する。この最終部分は、出口導管146bの内端部に流れ込み、この地点で断面積が突然増大する。ベーン118bは、反応チャンバへの入口のところに配置されている。この実施形態においては、この地点で、外部からの電解力は加えられない。したがって、反応チャンバ内には電極がない。しかし、犠牲電極154bが、設けられており、かつ図示していない変圧器/整流器によって給電されており、その結果、犠牲電極154bは、テーパを付けられた導管111を通って反応チャンバへ水が入るや否や生じるキャビテーションによって発生されかつ反応チャンバ内の生物との反応によって消費されていない、任意の腐食性ガスと、反応しかつこれらの腐食性ガスを中和するようになっている。オゾンまたは水生生物に作用することが可能な致死効果を有するさらなる適切なガスが、一方向弁152bを有するチューブを通って供給されて、導管146bの円周に間隔を置いて配置された進入ポート153bに入る。
【0071】
本発明の複数の利点の中でも、従来技術の水処理システムに関し、システムの有効性、単純性、可動部品または外部から加えられた有害物質がないこと、軽量および小型性、元々の機器としても後付けによっても設置が容易であること、システムの保守が少ないこと、長期間、保守なしで作動し得ること、安全性、およびコスト効果がある。
【0072】
本明細書は、本発明の特定の実施形態を説明しているが、本発明の精神および適用範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の水処理反応器を、船上で使用するように設置された状態で、かつ本発明の水処理反応器の主要制御要素を示した、一部図式的に描いた図である。この反応器は、縦に並んで配置された対の反応チャンバを有する。
【図2】図1の反応器の側面図である。
【図3】長手方向に切断したところから見た、図1および図2の反応器の側面図である。
【図4】図1〜3の反応器に含まれる、取り付けられたベーンを有する円板を拡大した斜視図である。
【図5】単一の反応チャンバを有する、図1〜4の反応器に対する代替反応器の、拡大した斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に存在する水生生物による汚染を低減するための方法であって、
水生生物で汚染された水の開放体から細長い導管系を通して前記水を汲み上げるステップであり、前記水が、前記導管系内の全ての地点で同じである体積流量を有しており、かつ前記導管系内の任意の地点において圧力ヘッドと速度ヘッドとを有する、ステップと、
船舶のバラストタンクに前記水を差し向けるステップと
を備え、
前記水の前記圧力ヘッドが、第1の地点で前記水の前記速度ヘッドを大きくすることによって、前記導管系内の前記第1の地点で大気圧より低いレベルまで下げられるように、直径が変わる導管系を通して前記水を汲み上げることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記水が大気圧より低い蒸気圧を有し、かつ、前記第1の地点の前記水の前記圧力ヘッドが、前記蒸気圧より低いレベルまで下げられ、それによって、前記第1の地点で前記水中においてキャビテーションを起こす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導管系が、上流側端部と下流側端部とを有し、かつ前記第1の地点が、前記導管系内の、前記第1の地点の直近の下流域で前記直径が急激に大きくなるところに位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の地点で前記水に螺旋状の渦巻運動を与えるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記螺旋状の渦巻運動が収束するようにされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記導管系内の第2の地点で前記水の前記速度ヘッドを大きくすることによって、前記第2の地点における前記水の前記圧力ヘッドを大気圧より低いレベルに下げるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水が大気圧より低い蒸気圧を有し、かつ前記第2の地点の前記圧力ヘッドが前記蒸気圧より低いレベルに下げられ、それによって、前記第2の地点で前記水中においてキャビテーションを起こす、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電力が印加される電極を前記水に通過させるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記電力が、電気力に敏感な生物において、生物を衰弱させる電気反応を発生させるのに十分なレベルまで上げられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水が溶解ガスを含み、前記溶解ガスの一部を沸騰させるのに十分なレベルまで前記電力を上げるステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記水に、腐食性ガスと反応する金属でできた複数の電極を通過させるステップと、このような電極の材料と反応することによって前記ガスを中和するのに十分な電力を、このような電極に印加するステップとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ガスを圧力下で前記水へ導入することをさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスが、オゾン、二酸化炭素および排ガスからなる群のうちの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記導管系が、オリフィスを画成している取り外し可能な環状円板を含み、前記導管系から前記環状円板を取り外すステップと、前記環状円板を代替の環状円板と置換するステップとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記環状円板がステンレス鋼で形成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記環状円板がセラミック材料で形成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
水体中の水生生物を低減するための装置であって、
上流側端部と下流側端部とを有し、かつ前記水が一定の体積速度で中へ流れ込むことができるように構成されている、細長い導管系を備え、
前記導管系が、
全体として円錐台形の形状を有し、かつ、第1の直径を有する第1の開口部を画成する下流側端部と、前記第1の直径より大きい第2の直径を有する第2の開口部を画成する上流側端部とを有する、第1のテーパ部分と、
前記第1の直径より大きい第3の直径を有する全体として円筒形の形状を有する第1の反応器部分であって、前記第1の反応器部分が、径方向に配置されたコネクタによって前記第1のテーパ部分の前記下流側端部に連結されており、その結果、前記導管系の前記直径が、前記テーパ部分の前記第1の開口部の下流で急激に大きくなるようになっている、第1の反応器部分と
を備える部分を画成しており、
前記第1の直径が、前記導管系を通って下流に流れてくる水においてキャビテーションを起こすように寸法決めされていることを特徴とする、装置。
【請求項18】
前記第1の直径より小さい直径を有するオリフィスを画成している環状円板をさらに備え、前記円板が、前記第1のテーパ部分と前記第1の反応器部分との間の位置から、それぞれボルトを閉めたり外したりすることにより脱着されるようになっている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記円板がステンレス鋼からなる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記円板がセラミック材料からなる、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記反応器部分の内部が、ピッチングによる損傷を低減する材料で裏張りされている、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の開口部を通過する水に螺旋流を形成する手段をさらに備える、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の開口部を通過する水に螺旋流を形成するように構成されたベーンをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項24】
前記ベーンが螺旋状の経路内に固定されかつ傾斜している、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記導管系内を流れる水に電流を誘導するように構成された、前記導管系内に配置された少なくとも1対の電極をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項26】
外部のガスを前記水に導入するように構成されたポートをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項27】
前記電極が、前記水中に溶解している鉱物と反応して腐食性ガスを形成する材料で形成されている、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記導管が、
全体として円錐台形の形状を有し、かつ第3の直径を有する第3の開口部を画成している、下流側端部と、前記第3の直径より大きい第4の直径を有する第4の開口部を画成している、上流側端部とを有する、第2のテーパ部分と、
前記第3の直径より大きい第5の直径を有する、全体として円筒形形状を有する第2の反応器部分であって、前記第2反応器部分が径方向に配置されたコネクタによって前記第2のテーパ部分の下流側端部に連結されており、その結果、前記導管系の前記直径が、前記第2のテーパ部分の前記第3の開口部の下流で急激に大きくなるようになっている、第2の反応器部分と
をさらに備える部分を画成しており、
前記第2のテーパ部分が前記第1の反応器部分に連結されており、かつ前記第3の直径が、前記導管系を流れる水においてキャビテーションを起こすように寸法決めされている、請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−513333(P2009−513333A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537222(P2008−537222)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003022
【国際公開番号】WO2007/049139
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508130018)リーソース バラスト テクノロジーズ (プロプライアタリー) リミテッド (2)
【Fターム(参考)】