水素・メタン発酵方法とそのシステム
【課題】pH調節のためのアルカリ剤を用いることなくバイオマスの水素発酵とメタン発酵の安定化及び効率化が可能とさせると共に栄養塩類除去能の高度化を実現する。
【解決手段】バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する工程と、この水素発酵の工程を経たスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成する工程と、このメタン発酵の工程を経たスラリーを消化しさらに脱窒処理する工程と、前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵に供する工程を有する。前記脱窒処理の工程で固液分離した脱離液を生物学的に硝化処理し、この処理水を前記脱窒処理の工程に供するとよい。前記硝化処理の工程では硝化菌を包括固定した担体を前記脱離液と接触させるとなおよい。アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離したスラッジを前記水素発酵に供するとよい。
【解決手段】バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する工程と、この水素発酵の工程を経たスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成する工程と、このメタン発酵の工程を経たスラリーを消化しさらに脱窒処理する工程と、前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵に供する工程を有する。前記脱窒処理の工程で固液分離した脱離液を生物学的に硝化処理し、この処理水を前記脱窒処理の工程に供するとよい。前記硝化処理の工程では硝化菌を包括固定した担体を前記脱離液と接触させるとなおよい。アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離したスラッジを前記水素発酵に供するとよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオマスから水素やメタン等のバイオガスを回収するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスを原料としたエネルギー変換技術として、燃料、ガス化などの物理化学的技術ばかりではなく、微生物機能を利用して水素やメタン、アルコールなどのエネルギー物質を生産する生物学的な変換技術の開発が行われている(特許文献1,2等)。有機性廃棄物を原料としたメタン発酵や水素発酵、アルコール発酵においては、余剰菌体及び原料の未分解物を含む残渣が必ず排出される。従来はこれら残渣を含む廃液や汚泥は産業廃棄物として処分されるか、さらに好気性生物処理のような後処理をしてから、固液分離した液体は放流、固形物は脱水汚泥や余剰残渣として産業廃棄物として処分されていた(例えば特許文献3)。
【0003】
近年、地球温暖化防止と富栄養化防止を両立させる「バイオ資源の生物変換高効率化システム技術」の構築が図られている。具体的には、バイオマスからの水素・メタン発酵クリーンエネルギー回収技術の開発、メタン発酵の効率化と窒素・リン除去能高度化システムの開発が推進されている(例えば特許文献3)。
【0004】
水素はクリーンなエネルギー源として燃料電池をはじめ、化学工業、航空産業などの多くの分野において幅広い用途がある。一般に水素は天然ガスの改質または水の電気分解によって生産されるが、微生物の代謝過程から回収することも可能である。この方法では水素生産に大きなエネルギーを必要としていないため、経済的な方法として研究が進められている。このような水素生産はバイオマスについても重要な位置づけにある。
【0005】
バイオマスを対象とした場合に関与する有機物代謝過程における水素生成微生物は、藻類、糸状菌、嫌気性光合成細菌及び嫌気性非光合成細菌である。特に、嫌気性非光合成細菌は増殖に光を必要としないため、水素の連続生産が行えるという利点を有している。
【0006】
嫌気性微生物による水素発酵は、現在のところ、利用可能な基質が炭水化物系に限られる。具体的には食品産業から排出される有機性排水及び廃棄物や、紙ごみ等セルロース系繊維分を含む廃棄物等である。この水素生成細菌の利用できない有機物及び水素発酵で高濃度に蓄積する有機酸等を有効利用するため、バイオマスからの水素生産は水素発酵とメタン発酵と一体化した水素・メタン二段階発酵プロセスが重要な位置づけとなっている(非特許文献1〜3等)。
【0007】
水素・メタン二段階発酵プロセスは、バイオマスの中で炭水化物成分を多く含む原料は水素発酵で水素を効率的に回収が可能である。また、有機酸を多く含む発酵残液は、メタン発酵でメタンを回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−314920号公報
【特許文献2】特開2006−280362号公報
【特許文献3】特開2006−142165号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kraemer,J.T.,Babley,D.M.,2005.Continuous fermentative hydrogen production using a two-phase reactor system with recycles. Environ.Sci.Technol.39,3819-3825
【非特許文献2】Chu,C.-F.,Li,Y.-Y.,Xu,K.-Q.,Ebie,Y.,Inamori,Y.,Kong,H.-N.,2008.A pH-and temperature-phased two-stage process for hydrogen and methane production from food waste.int.J. Hydrogen Energy 33,4739-4746
【非特許文献3】Dong-Yeol Lee,Yoshitaka Ebie,Kai-Qin Xu,Yu-You Li,Yuhei Inamori,.2009. Continuous H2 and CH4 production from high-solid food waste in the two-stage thermophilic fermentation process with the recirculation of digester sludge,in press,Bioresource Technology
【非特許文献4】加澤拓也,その外4名,「食品廃棄物を対象とした中温無加水メタン発酵技術の開発 〜アンモニア生成槽における至適pHの検討と評価〜」
【非特許文献5】天石文,その外6名,「無加水メタン発酵法の処理特性」,大成建設技術センター報 第41号,2008年,07−1〜07−4
【非特許文献6】草野陽子,その外2名,「食品廃棄物を用いた水素発酵条件の最適化」,福岡市保健環境研究所報,32号,2007年9月,p.45〜49
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
水素・メタン二段階発酵プロセスにおいては水素発酵の効率化が極めて重要である。
【0011】
従来のpH調節のためにアルカリ剤(NaOH,KOH,Ca(OH)2)の添加による水素生成発酵は陽イオンによる水素生成阻害(metal toxicity effect)が知られている(非特許文献4)。
【0012】
また、従来の汚泥循環型水素・メタン発酵プロセスでは高いアルカリ度の消化汚泥(メタン発酵槽からの廃液汚泥)を水素発酵槽に投入する場合、水素資化性メタン生成細菌による水素生成が抑制及びメタン生成がされることも報告されている(非特許文献5,6)。尚、同プロセスでは、4,000mg/L以上なる高いアンモニア性窒素濃度を多く含んでいる汚泥を水素発酵槽に返送すると、水素生成が阻害される(非特許文献4,5)。
【0013】
しかし、従来の汚泥循環型水素・メタン発酵プロセスから安定な水素とメタンの生成のための返送汚泥のアルカリ度及びアンモニア濃度による水素生成特性は明確になっていない。
【0014】
また、閉鎖性水域における富栄養化に対する環境問題から、窒素やリン等の栄養塩を除去することが強く求められている。すなわち、資源循環型プロセスを構築する上で、水素・メタン発酵プロセスの高効率化を図ることが重要であると同時に富栄養化促進物質の除去を行うことは、環境負荷低減のためにも重要な位置づけにある。
【0015】
本発明は食品系廃棄物からの汚泥循環型水素・メタン発酵による安定且つ効率的なバイオガスの回収と同時に栄養塩類除去能の高度化を可能とする水素・メタン発酵方法とそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る水素・メタン発酵方法とそのシステムは、水素・メタン二段発酵法において、メタン発酵処理液の硝化・脱窒の過程を経たスラッジを水素発酵の過程に返送循環させている。水素発酵に返送されるスラッジのアンモニア濃度は前記硝化・脱窒反応におけるアンモニアの硝化により低減化されているので、水素発酵阻害が抑制される。さらに、適正アルカリ度に保持したスラッジの返送循環によるpHの調節によって水素発酵が効率化する。
【0017】
発明の水素・メタン発酵方法の態様としては、水素・メタン発酵方法において、バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する工程と、この水素発酵の工程を経たスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成する工程と、このメタン発酵の工程を経たスラリーを硝化しさらに脱窒処理する工程と、前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵に供する工程を有する。
【0018】
発明の水素・メタン発酵システムの態様としては、バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する水素発酵槽と、この水素発酵槽から供されたスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成するメタン発酵槽と、このメタン発酵槽から供されたスラリーを消化しさらに脱窒処理する消化汚泥貯留槽とを備え、前記消化汚泥貯留槽にて脱窒処理したスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵槽に返送させる。
【発明の効果】
【0019】
以上の発明によればpH調節のためのアルカリ剤を用いることなくバイオマスの水素発酵とメタン発酵の安定化及び効率化が可能となる共に栄養塩類除去能の高度化が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】発明に係る水素・メタン発酵方法を示したフローチャート図。
【図2】発明に係る水素・メタン発酵システムを示したブロック図。
【図3】発明の第一の実施形態に係る水素・メタン発酵システムを示したブロック図。
【図4】発明の第二の実施形態に係る水素・メタン発酵システムを示したブロック図。
【図5】有機物投入量と水素ガス生成量とガス組成の関係を示した特性図。
【図6】投入有機物負荷と水素発酵槽内のpHとの関係を示した特性図。
【図7】各有機物投入量とメタン生成量、メタン組成の関係を示した特性図。
【図8】有機物負荷とメタン発酵槽内のpHとの関係を示した特性図。
【図9】投入有機物負荷と水素収率、水素生成速度との関係を示した特性図。
【図10】投入有機物負荷とメタン収率、メタン生成速度との関係を示した特性図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明に係る水素・メタン発酵方法は図1に示されたフローチャートのように栄養塩類除去能を高める硝化・脱窒反応によって脱窒したメタン発酵処理液の汚泥(スラッジ)を循環型二段階発酵プロセス(水素発酵、メタン発酵)に返送している。これにより、原料(食品系廃棄物)からの水素・メタン二段発酵によるバイオガスの生産効率が向上する。
【0022】
発明に係る水素・メタン発酵システム1は図2に示されたように水素発酵槽2とメタン発酵槽3を有する発酵システムの後段に消化汚泥貯留+脱窒タンク4、好気槽5、最終沈殿槽6を備える。本システムでは硝化・脱窒反応を経たタンク4内の汚泥を水素発酵槽2に循環返送している。これにより水素発酵槽2内のスラリーのアルカリ度が調整されて当該スラリーへのアルカリ剤の無添加が可能となる。また、汚泥の硝化反応によるアルカリ度調整に基づく水素生成菌の増殖能が強化される。さらに、アンモニアの硝化によるアンモニア性窒素(NH4−N)の低濃度化に係る水素発酵反応の効率化が図れる。すなわち、水素発酵能が向上する。また、硝化・脱窒反応によるアルカリ度の適正保持化によって水素発酵反応化の効率化が図れる。そして、硝化・脱窒反応を介した汚泥による水素発酵槽2の発酵効率最適条件のpHを5.5〜5.8へのシフトが可能となる。
【0023】
発明の実施形態に係る水素・メタン発酵システムの具体的な構成を図3に示した。
【0024】
水素・メタン発酵システム10は硝化・脱窒反応を行った汚泥の循環による高効率な水素・メタン発酵プロセスに基づくものである。同システム10は基質タンク11と水素発酵槽12とメタン発酵槽13と消化汚泥貯留槽14と好気槽15と最終沈殿槽16とを備える。
【0025】
基質タンク11は水素発酵槽12に供される基質(発酵原料)を一時的に貯留する。基質タンク11は破砕ポンプ21と攪拌機22とを具備している。破砕ポンプ21は前記基質を循環的に破砕処理する。攪拌機22はタンク11内のスラリー状の基質を均一に攪拌する。また、基質タンク11は基質の腐敗を防止するためにタンク内の温度を一定温度(例えば5〜8℃)に保つ図示省略のウォータージャケットを備えている。このウォータージャケットには冷媒として水道水が循環的に供給される。
【0026】
水素発酵槽12は基質タンク11から供された基質の水素発酵によって水素を生成させる。水素発酵槽12は前記基質をポンプ23によって導入している。水素発酵槽12にはスラリーのpH調整のために消化汚泥貯留槽14から汚泥が循環的に供給される。水素発酵槽12は、同槽12内に滞留するスラリーを攪拌するための攪拌機24と、前記スラリーの水素発酵によって生じた水素ガスを測定するガスメータ25とを備える。また、図示省略されているが、水素発酵槽12には槽内の温度を一定温度例えば50〜55℃に保温するためのウォータージャケットが付帯されている。ウォータージャケットには熱媒として温水が循環的に供される。水素発酵に係る水素生成細菌は水素生成能を有する微生物群であればどのような由来のものでもよい。水素生成細菌としては例えばメタン発酵槽から採取された消化汚泥を熱処理してメタン生成細菌を死滅させた後に生ごみを添加してpH5.5±0.5、温度範囲50〜55℃のもとで優先的に馴養したものが挙げられる。
【0027】
メタン発酵槽13は水素発酵槽12から供されたスラリーのメタン発酵によってメタンガスを生成させる。メタン発酵槽13に係るメタン発酵細菌は、活性汚泥や消化汚泥を嫌気条件下で馴養したものを用いればよい。メタン発酵槽13内のスラリーはガス循環ポンプ26による消化ガスの吹き込みによって連続的に攪拌される。メタン発酵槽13にも温水を用いたウォータージャケット(図示省略)が付帯されることで、同槽13のスラリーの温度が一定(35±0.5℃、50〜55℃)に保持される。メタン発酵によって生じたバイオガス(メタン)はガスメータ27によって測定される。
【0028】
消化汚泥貯留槽14はメタン発酵槽13から供されたスラリーを固液分離処理する。同槽14は、分離した汚泥の脱窒のために、好気槽15にて硝化反応が行われた処理水を最終沈殿槽16からポンプ28によって導入する。脱窒された汚泥の一部はポンプ29によって水素発酵槽12に返送されて同槽12内のスラリーのpH調節に供される。また、消化汚泥貯留槽14には脱窒菌を固定するための中空円筒網状の担体30が添加されている。
【0029】
好気槽15は消化汚泥貯留槽14から供された発酵分離液中の残存有機物を酸化分解する。さらに、水素発酵槽12での水素発酵の阻害を抑制させるために当該分離液に含まれるアンモニアの硝化反応を進行させる。好気槽15にはアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌等の硝化菌を高濃度に包括固定したポリエチレングリコール担体31が充填されている(例えば充填率20〜40%)。この担体31は好気槽15の当該担体が流動可能となるようにブロワー32によって連続的に曝気攪拌される。曝気は好気槽15内の液相の溶存酸素濃度が例えば5〜6mg/Lとなるように行われる。好気槽15は増殖速度の遅い硝化菌が高濃度に保持させて生物学的硝化反応を効率的に行う。
【0030】
最終沈殿槽16は好気槽15の液相を固液分離処理する。分離された処理水は系外に移送される。一部の処理水はポンプ28によって消化汚泥貯留槽14に返送して同槽における脱窒促進させている。最終沈殿槽16には硝化処理水中のSSを除去するための中空円筒網状の担体33が添加されている。
【0031】
また、最終処理水の窒素濃度を下水道排水基準にする場合の水素・メタン発酵システムとしては図4に例示した水素・メタン発酵システム20が挙げられる。同システム20はメタン発酵槽13内のスラリーの一部をポンプ34によって水素発酵槽12に返送するラインを備えたこと以外は図1に示された水素・メタン発酵システム10と同じ構成となっている。
【0032】
最終処理水の窒素濃度を下水排出基準以下にする場合、メタン発酵槽13の後段処理において、最終沈殿槽16の上澄水を消化汚泥貯留槽14へ繰返し循環させ、生物学的硝化脱窒処理により窒素濃度を低減させる必要がある。しかし、この繰返し循環操作により、消化汚泥貯留槽14内のアルカリ度分は生物学的硝化脱窒反応により消費され低下することとなる。また、有機性廃棄物を原料としたメタン発酵や水素発酵、アルコール発酵においては、余剰菌体及び原料の未分解物を含む残渣が必ず排出される。従来はこれら残渣を含む廃液や汚泥は産業廃棄物として処分されるか、さらに好気性生物処理のような後処理をしてから、固液分離した液体は放流、固形物は脱水汚泥や余剰残渣として産業廃棄物として処分されていた。
【0033】
そこで、図4の水素・メタン発酵システム20のように、消化汚泥貯留槽14からアルカリ度分が不足した汚泥をポンプ29で水素発酵槽12へ返送する際に、この返送汚泥にメタン発酵槽13のスラリーの一部をポンプ34によって加えることにより、アルカリ度分の補充を行っている。これにより、水素発酵槽11内のpHを5.5前後に調整し水素発酵活性を高く維持するとともに、最終処理水の窒素濃度を下水排出基準以下となることを可能となる。また、メタン発酵槽13のスラリーの一部が上述のように有効利用されることで、系外に排出される産業廃棄物の減容化が可能となる。
【0034】
以下に水素・メタン発酵システム10の実施例について述べる。
【0035】
実施例の条件を表1に示した。基質タンク11から水素発酵槽12への生ごみ投入量を変化させることで容積負荷を変化させ、投入負荷の解析を行った。水素発酵槽12及びメタン発酵槽13の液相は温水を循環させたウォータージャケットによって後述の一定温度に設定する一方で消化汚泥貯留槽14、好気槽15、最終沈殿槽16の液相は20℃に設定した。また、消化汚泥貯留槽14の発酵分離液の高度処理プロセスでは、最終沈殿槽16からの汚泥返送を投入量の100〜400%で変化させ、COD、栄養塩類除去性能及び発酵への影響解析を行った。表1に示された各運転条件に対して、バイオガス生成、中間代謝産物濃度、TS、VS濃度が安定したところ定常状態として評価を行った、ガス組成(H2、CH4、CO2、N2)の分析にはTCD−ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC−8A)を用いた。CODCrは米国のstandard Methodsに基づいて分析した。TS、VS濃度の分析は日本下水協会発行の「下水試験方法」に開示された分析法に準拠して行った。T−N、NH+4−N、NOx−N、T−P及びPO4−Pの分析は前記「下水試験方法」に開示された分析法に準じ、自動分析器TrAACs8000で分析した。
【0036】
【表1】
【0037】
(1)水素発酵槽12の水素生成特性
水素発酵槽12内の温度は50〜55℃に保ち、pHは消化汚泥貯留槽14からの汚泥返送によりpH5.5±0.5に制御した。発生するバイオガスはガスメータ(SINAGAWA,W−NK−0.5B)で測定した。
【0038】
図5に示された有機物投入量と水素ガス生成量とガス組成の関係から明らかなように、水素生成量は有機物投入量を増加させるにつれて大きくなり、投入有機物負荷58.5gCOD/L/dayの場合、平均69.9L/day前後まで生成した。このことから、HRT(水理学的滞留時間)が短くなり、OLR(有機物負荷)が大きくなることにしたがって安定な水素発酵が可能で、水素ガス発生量を増加することが示唆される。また、メタン生成割合は、OLR19.5gCOD/L/dayで初期平均0.69±1.0%の範囲を示したが、これよりも有機物投入量が大きくなることにつれて低下した。以上のことから消化汚泥貯留槽14からの汚泥返送による水素発酵に最適なアルカリ度の調節及びHRTの短縮と混合培養液のpH調節により、メタン生成細菌の増殖が抑制され、返送汚泥中の水素生成細菌が活性化されて、優先的に存在できることが示された。
【0039】
図6に示された投入有機物負荷と水素発酵槽12内のpHとの関係によると、水素発酵槽12のpHは脱窒機能を有する消化汚泥貯留槽14からの返送汚泥で調整することにより、水素発酵槽12内のpHは5.5〜5.8で安定することが示された。表1に示された全ての運転条件において、二酸化炭素生成割合が45〜55%を示したことから7000〜9000mgCaCO3/Lのアルカリ度をもつ消化汚泥(有機物投入量の1〜2倍)の返送により安定的な水素発酵を維持できるようになった。また、消化汚泥貯留槽14からの汚泥のアルカリ度は10000CaCO3/L以上になると、水素生成速度は徐々に低くなり、アルカリ度が13000CaCO3/L以上になると水素生成が停止することが確認された。
【0040】
以上のように水素発酵槽12及びメタン発酵槽13の後段の消化汚泥貯留槽14・好気槽15・最終沈殿槽16による硝化反応による窒素処理及びアルカリ度の調節により水素発酵槽12の水素生成収率が向上することが示された。
【0041】
(2)メタン発酵槽13のメタン生成特性
メタン発酵槽13内のスラリーの攪拌はガス攪拌ポンプによる気相部の消化ガスの吹き込みにより連続的に行った。前記スラリーの温度は一定温度(35±0.5℃、50〜55℃)に設定し、発生したバイオガスはガスメータ(SINAGAWA:W−NK−0.5B)で測定した。
【0042】
メタン生成量及びメタン組成の各有機物投入量における結果は図7に示した通りである。水素発酵槽12からの投入有機物負荷8.4gCOD/L/day(HRT5.1days)の条件では18L−CH4/dayまで低下した。HRT7.7daysで58%のメタン割合となり、最大のメタン生成が得られた。高温メタン発酵は中温メタン発酵と比べて短いHRTで高いメタン生成が得られるものの、メタン割合は43%程度低くなる傾向が認められた。また、pHについては、図8に示した有機物負荷とメタン発酵槽13内pHの関係のように、投入有機物負荷4.16〜8.4gCOD/L/dayでメタン発酵槽13内のpHが7.2〜7.8の範囲で安定した。
【0043】
(3)水素・メタン回収率
高濃度生ごみ(TS10%)からのバイオガス特性を明らかにするため、バイオガス収率に及ぼす投入有機物負荷の影響に関して検討した。投入基質負荷と水素収率、水素生成速度の関係を図9に示した。図示された水素収率及び水素生成速度は水素発酵槽12から発生した水素ガスの収率及び水素生成速度は投入全CODCrをベースにして計算したものである。水素生成速度は有機物負荷19.5〜58.5gCODCr/L/dayの範囲で比例的に増加し、最大4.0L−H2/L/dayに達した。この結果から水素発酵槽12内に菌体を高濃度で維持することにより、さらに高い水素収率を得ることが可能であることが示唆される。
【0044】
有機物COD負荷とメタンガス収率、メタン生成速度の関係を図10に示した。メタン発酵槽13における投入COD当たりのメタン生成速度はCOD負荷8.4gCODCr/L/dayで最大メタン生成速度が得られるものの、メタン収率はCOD負荷4.16gCODCr/L/dayにおいて高い値が得られた。メタン収率がCOD負荷の増加につれて減少する理由としてはメタン発酵槽13内における代謝産物の蓄積によるpH低下の影響が大きいと考えられる。理論的に水素・メタン発酵システム10,20から水素が4mol生成すると、酢酸が2mol生成し、メタンガス2molが回収できる。これに基づき計算すると、生成した酢酸(127.92g−CODcr=2mol×60g・mol−1×1.066g−CODcr・g-1)から発生するメタンガスは44.8L(2mol×22.4L・mol-1)になるため、水素・メタン発酵システム10,20でのメタン収率は最大0.35L−CH4/g−CODになる。
【0045】
(4)好気槽15の処理特性
硝化菌を含有するポリエチレングリコール包括固定担体(日立プラントテクノロジー製)(以下、PEG担体)を好気槽15に20〜40%充填し、pH7.0に制御した。好気槽15内の液相はその溶存酸素濃度が5〜6mg/Lとなるように曝気した。また、好気槽15における担体を円筒網状担体からPEG担体に変更した後の水質変化を調べた。PEG担体に変更した結果、好気槽の流入、流出水を分析すると、TNは4950mg/Lから850mg/L前後まで、TPは410mg/Lから39mg/L前後で、NH+4−Nは2150mg/L前後から30mg/L前後まで除去された。また、好気槽15内にNO3−Nが1400mg/L以上増加し、硝化反応の進行が確認された。これらの結果から、包括固定化担体を用いることにより、好気槽15内で硝化菌を高濃度に維持することが可能となることが示された。このことから好気槽15の好気処理水を消化汚泥貯留槽14への循環的な供給によって硝化脱窒効果をさらに向上させることが示唆される。
【0046】
以上の実施例から明らかなように本発明の水素・メタン発酵方法とそのシステムによればpH調節のためのアルカリ剤を用いることなくバイオマスの水素発酵とメタン発酵の安定化及び効率化が実現する。そして、発生したメタンガスの発電機利用による電力生産、水素ガスの燃料電池利用、発電機からの熱の温水暖房利用による省エネルギー効果が実現する。
【0047】
特に、アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように脱窒を経たスラリーから分離したスラッジを水素発酵に供することで、水素発酵が阻害されることなくpH5.5〜5.8のもとでバイオマスからの安定した水素ガスの回収が可能となる。
【0048】
また、前記脱窒の工程で固液分離した脱離液を生物学的に硝化処理した処理水を前記脱窒の工程に供することで、前記水素発酵に供されるスラッジのアンモニア性窒素の高濃度化が抑制されるので、より一層安定した水素発酵が実現する。
【0049】
さらに、前記硝化処理に硝化菌を包括固定した担体を用いると硝化促進効果が高まり、その硝化処理を得た処理水を前記脱窒の工程への循環的な供給することで硝化脱窒効果がさらに向上する。そして、この硝化脱窒の過程を得た汚泥が水素発酵に供されることで、より一層安定且つ効率的な水素発酵が実現する。
【符号の説明】
【0050】
1,10,20…水素・メタン発酵システム
2,12…水素発酵槽
3,13…メタン発酵槽
4…消化汚泥貯留+脱窒タンク、14…消化汚泥貯留槽
5,15…好気槽
6,16…最終沈殿槽
【技術分野】
【0001】
本発明はバイオマスから水素やメタン等のバイオガスを回収するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスを原料としたエネルギー変換技術として、燃料、ガス化などの物理化学的技術ばかりではなく、微生物機能を利用して水素やメタン、アルコールなどのエネルギー物質を生産する生物学的な変換技術の開発が行われている(特許文献1,2等)。有機性廃棄物を原料としたメタン発酵や水素発酵、アルコール発酵においては、余剰菌体及び原料の未分解物を含む残渣が必ず排出される。従来はこれら残渣を含む廃液や汚泥は産業廃棄物として処分されるか、さらに好気性生物処理のような後処理をしてから、固液分離した液体は放流、固形物は脱水汚泥や余剰残渣として産業廃棄物として処分されていた(例えば特許文献3)。
【0003】
近年、地球温暖化防止と富栄養化防止を両立させる「バイオ資源の生物変換高効率化システム技術」の構築が図られている。具体的には、バイオマスからの水素・メタン発酵クリーンエネルギー回収技術の開発、メタン発酵の効率化と窒素・リン除去能高度化システムの開発が推進されている(例えば特許文献3)。
【0004】
水素はクリーンなエネルギー源として燃料電池をはじめ、化学工業、航空産業などの多くの分野において幅広い用途がある。一般に水素は天然ガスの改質または水の電気分解によって生産されるが、微生物の代謝過程から回収することも可能である。この方法では水素生産に大きなエネルギーを必要としていないため、経済的な方法として研究が進められている。このような水素生産はバイオマスについても重要な位置づけにある。
【0005】
バイオマスを対象とした場合に関与する有機物代謝過程における水素生成微生物は、藻類、糸状菌、嫌気性光合成細菌及び嫌気性非光合成細菌である。特に、嫌気性非光合成細菌は増殖に光を必要としないため、水素の連続生産が行えるという利点を有している。
【0006】
嫌気性微生物による水素発酵は、現在のところ、利用可能な基質が炭水化物系に限られる。具体的には食品産業から排出される有機性排水及び廃棄物や、紙ごみ等セルロース系繊維分を含む廃棄物等である。この水素生成細菌の利用できない有機物及び水素発酵で高濃度に蓄積する有機酸等を有効利用するため、バイオマスからの水素生産は水素発酵とメタン発酵と一体化した水素・メタン二段階発酵プロセスが重要な位置づけとなっている(非特許文献1〜3等)。
【0007】
水素・メタン二段階発酵プロセスは、バイオマスの中で炭水化物成分を多く含む原料は水素発酵で水素を効率的に回収が可能である。また、有機酸を多く含む発酵残液は、メタン発酵でメタンを回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−314920号公報
【特許文献2】特開2006−280362号公報
【特許文献3】特開2006−142165号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kraemer,J.T.,Babley,D.M.,2005.Continuous fermentative hydrogen production using a two-phase reactor system with recycles. Environ.Sci.Technol.39,3819-3825
【非特許文献2】Chu,C.-F.,Li,Y.-Y.,Xu,K.-Q.,Ebie,Y.,Inamori,Y.,Kong,H.-N.,2008.A pH-and temperature-phased two-stage process for hydrogen and methane production from food waste.int.J. Hydrogen Energy 33,4739-4746
【非特許文献3】Dong-Yeol Lee,Yoshitaka Ebie,Kai-Qin Xu,Yu-You Li,Yuhei Inamori,.2009. Continuous H2 and CH4 production from high-solid food waste in the two-stage thermophilic fermentation process with the recirculation of digester sludge,in press,Bioresource Technology
【非特許文献4】加澤拓也,その外4名,「食品廃棄物を対象とした中温無加水メタン発酵技術の開発 〜アンモニア生成槽における至適pHの検討と評価〜」
【非特許文献5】天石文,その外6名,「無加水メタン発酵法の処理特性」,大成建設技術センター報 第41号,2008年,07−1〜07−4
【非特許文献6】草野陽子,その外2名,「食品廃棄物を用いた水素発酵条件の最適化」,福岡市保健環境研究所報,32号,2007年9月,p.45〜49
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
水素・メタン二段階発酵プロセスにおいては水素発酵の効率化が極めて重要である。
【0011】
従来のpH調節のためにアルカリ剤(NaOH,KOH,Ca(OH)2)の添加による水素生成発酵は陽イオンによる水素生成阻害(metal toxicity effect)が知られている(非特許文献4)。
【0012】
また、従来の汚泥循環型水素・メタン発酵プロセスでは高いアルカリ度の消化汚泥(メタン発酵槽からの廃液汚泥)を水素発酵槽に投入する場合、水素資化性メタン生成細菌による水素生成が抑制及びメタン生成がされることも報告されている(非特許文献5,6)。尚、同プロセスでは、4,000mg/L以上なる高いアンモニア性窒素濃度を多く含んでいる汚泥を水素発酵槽に返送すると、水素生成が阻害される(非特許文献4,5)。
【0013】
しかし、従来の汚泥循環型水素・メタン発酵プロセスから安定な水素とメタンの生成のための返送汚泥のアルカリ度及びアンモニア濃度による水素生成特性は明確になっていない。
【0014】
また、閉鎖性水域における富栄養化に対する環境問題から、窒素やリン等の栄養塩を除去することが強く求められている。すなわち、資源循環型プロセスを構築する上で、水素・メタン発酵プロセスの高効率化を図ることが重要であると同時に富栄養化促進物質の除去を行うことは、環境負荷低減のためにも重要な位置づけにある。
【0015】
本発明は食品系廃棄物からの汚泥循環型水素・メタン発酵による安定且つ効率的なバイオガスの回収と同時に栄養塩類除去能の高度化を可能とする水素・メタン発酵方法とそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る水素・メタン発酵方法とそのシステムは、水素・メタン二段発酵法において、メタン発酵処理液の硝化・脱窒の過程を経たスラッジを水素発酵の過程に返送循環させている。水素発酵に返送されるスラッジのアンモニア濃度は前記硝化・脱窒反応におけるアンモニアの硝化により低減化されているので、水素発酵阻害が抑制される。さらに、適正アルカリ度に保持したスラッジの返送循環によるpHの調節によって水素発酵が効率化する。
【0017】
発明の水素・メタン発酵方法の態様としては、水素・メタン発酵方法において、バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する工程と、この水素発酵の工程を経たスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成する工程と、このメタン発酵の工程を経たスラリーを硝化しさらに脱窒処理する工程と、前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵に供する工程を有する。
【0018】
発明の水素・メタン発酵システムの態様としては、バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する水素発酵槽と、この水素発酵槽から供されたスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成するメタン発酵槽と、このメタン発酵槽から供されたスラリーを消化しさらに脱窒処理する消化汚泥貯留槽とを備え、前記消化汚泥貯留槽にて脱窒処理したスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵槽に返送させる。
【発明の効果】
【0019】
以上の発明によればpH調節のためのアルカリ剤を用いることなくバイオマスの水素発酵とメタン発酵の安定化及び効率化が可能となる共に栄養塩類除去能の高度化が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】発明に係る水素・メタン発酵方法を示したフローチャート図。
【図2】発明に係る水素・メタン発酵システムを示したブロック図。
【図3】発明の第一の実施形態に係る水素・メタン発酵システムを示したブロック図。
【図4】発明の第二の実施形態に係る水素・メタン発酵システムを示したブロック図。
【図5】有機物投入量と水素ガス生成量とガス組成の関係を示した特性図。
【図6】投入有機物負荷と水素発酵槽内のpHとの関係を示した特性図。
【図7】各有機物投入量とメタン生成量、メタン組成の関係を示した特性図。
【図8】有機物負荷とメタン発酵槽内のpHとの関係を示した特性図。
【図9】投入有機物負荷と水素収率、水素生成速度との関係を示した特性図。
【図10】投入有機物負荷とメタン収率、メタン生成速度との関係を示した特性図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明に係る水素・メタン発酵方法は図1に示されたフローチャートのように栄養塩類除去能を高める硝化・脱窒反応によって脱窒したメタン発酵処理液の汚泥(スラッジ)を循環型二段階発酵プロセス(水素発酵、メタン発酵)に返送している。これにより、原料(食品系廃棄物)からの水素・メタン二段発酵によるバイオガスの生産効率が向上する。
【0022】
発明に係る水素・メタン発酵システム1は図2に示されたように水素発酵槽2とメタン発酵槽3を有する発酵システムの後段に消化汚泥貯留+脱窒タンク4、好気槽5、最終沈殿槽6を備える。本システムでは硝化・脱窒反応を経たタンク4内の汚泥を水素発酵槽2に循環返送している。これにより水素発酵槽2内のスラリーのアルカリ度が調整されて当該スラリーへのアルカリ剤の無添加が可能となる。また、汚泥の硝化反応によるアルカリ度調整に基づく水素生成菌の増殖能が強化される。さらに、アンモニアの硝化によるアンモニア性窒素(NH4−N)の低濃度化に係る水素発酵反応の効率化が図れる。すなわち、水素発酵能が向上する。また、硝化・脱窒反応によるアルカリ度の適正保持化によって水素発酵反応化の効率化が図れる。そして、硝化・脱窒反応を介した汚泥による水素発酵槽2の発酵効率最適条件のpHを5.5〜5.8へのシフトが可能となる。
【0023】
発明の実施形態に係る水素・メタン発酵システムの具体的な構成を図3に示した。
【0024】
水素・メタン発酵システム10は硝化・脱窒反応を行った汚泥の循環による高効率な水素・メタン発酵プロセスに基づくものである。同システム10は基質タンク11と水素発酵槽12とメタン発酵槽13と消化汚泥貯留槽14と好気槽15と最終沈殿槽16とを備える。
【0025】
基質タンク11は水素発酵槽12に供される基質(発酵原料)を一時的に貯留する。基質タンク11は破砕ポンプ21と攪拌機22とを具備している。破砕ポンプ21は前記基質を循環的に破砕処理する。攪拌機22はタンク11内のスラリー状の基質を均一に攪拌する。また、基質タンク11は基質の腐敗を防止するためにタンク内の温度を一定温度(例えば5〜8℃)に保つ図示省略のウォータージャケットを備えている。このウォータージャケットには冷媒として水道水が循環的に供給される。
【0026】
水素発酵槽12は基質タンク11から供された基質の水素発酵によって水素を生成させる。水素発酵槽12は前記基質をポンプ23によって導入している。水素発酵槽12にはスラリーのpH調整のために消化汚泥貯留槽14から汚泥が循環的に供給される。水素発酵槽12は、同槽12内に滞留するスラリーを攪拌するための攪拌機24と、前記スラリーの水素発酵によって生じた水素ガスを測定するガスメータ25とを備える。また、図示省略されているが、水素発酵槽12には槽内の温度を一定温度例えば50〜55℃に保温するためのウォータージャケットが付帯されている。ウォータージャケットには熱媒として温水が循環的に供される。水素発酵に係る水素生成細菌は水素生成能を有する微生物群であればどのような由来のものでもよい。水素生成細菌としては例えばメタン発酵槽から採取された消化汚泥を熱処理してメタン生成細菌を死滅させた後に生ごみを添加してpH5.5±0.5、温度範囲50〜55℃のもとで優先的に馴養したものが挙げられる。
【0027】
メタン発酵槽13は水素発酵槽12から供されたスラリーのメタン発酵によってメタンガスを生成させる。メタン発酵槽13に係るメタン発酵細菌は、活性汚泥や消化汚泥を嫌気条件下で馴養したものを用いればよい。メタン発酵槽13内のスラリーはガス循環ポンプ26による消化ガスの吹き込みによって連続的に攪拌される。メタン発酵槽13にも温水を用いたウォータージャケット(図示省略)が付帯されることで、同槽13のスラリーの温度が一定(35±0.5℃、50〜55℃)に保持される。メタン発酵によって生じたバイオガス(メタン)はガスメータ27によって測定される。
【0028】
消化汚泥貯留槽14はメタン発酵槽13から供されたスラリーを固液分離処理する。同槽14は、分離した汚泥の脱窒のために、好気槽15にて硝化反応が行われた処理水を最終沈殿槽16からポンプ28によって導入する。脱窒された汚泥の一部はポンプ29によって水素発酵槽12に返送されて同槽12内のスラリーのpH調節に供される。また、消化汚泥貯留槽14には脱窒菌を固定するための中空円筒網状の担体30が添加されている。
【0029】
好気槽15は消化汚泥貯留槽14から供された発酵分離液中の残存有機物を酸化分解する。さらに、水素発酵槽12での水素発酵の阻害を抑制させるために当該分離液に含まれるアンモニアの硝化反応を進行させる。好気槽15にはアンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌等の硝化菌を高濃度に包括固定したポリエチレングリコール担体31が充填されている(例えば充填率20〜40%)。この担体31は好気槽15の当該担体が流動可能となるようにブロワー32によって連続的に曝気攪拌される。曝気は好気槽15内の液相の溶存酸素濃度が例えば5〜6mg/Lとなるように行われる。好気槽15は増殖速度の遅い硝化菌が高濃度に保持させて生物学的硝化反応を効率的に行う。
【0030】
最終沈殿槽16は好気槽15の液相を固液分離処理する。分離された処理水は系外に移送される。一部の処理水はポンプ28によって消化汚泥貯留槽14に返送して同槽における脱窒促進させている。最終沈殿槽16には硝化処理水中のSSを除去するための中空円筒網状の担体33が添加されている。
【0031】
また、最終処理水の窒素濃度を下水道排水基準にする場合の水素・メタン発酵システムとしては図4に例示した水素・メタン発酵システム20が挙げられる。同システム20はメタン発酵槽13内のスラリーの一部をポンプ34によって水素発酵槽12に返送するラインを備えたこと以外は図1に示された水素・メタン発酵システム10と同じ構成となっている。
【0032】
最終処理水の窒素濃度を下水排出基準以下にする場合、メタン発酵槽13の後段処理において、最終沈殿槽16の上澄水を消化汚泥貯留槽14へ繰返し循環させ、生物学的硝化脱窒処理により窒素濃度を低減させる必要がある。しかし、この繰返し循環操作により、消化汚泥貯留槽14内のアルカリ度分は生物学的硝化脱窒反応により消費され低下することとなる。また、有機性廃棄物を原料としたメタン発酵や水素発酵、アルコール発酵においては、余剰菌体及び原料の未分解物を含む残渣が必ず排出される。従来はこれら残渣を含む廃液や汚泥は産業廃棄物として処分されるか、さらに好気性生物処理のような後処理をしてから、固液分離した液体は放流、固形物は脱水汚泥や余剰残渣として産業廃棄物として処分されていた。
【0033】
そこで、図4の水素・メタン発酵システム20のように、消化汚泥貯留槽14からアルカリ度分が不足した汚泥をポンプ29で水素発酵槽12へ返送する際に、この返送汚泥にメタン発酵槽13のスラリーの一部をポンプ34によって加えることにより、アルカリ度分の補充を行っている。これにより、水素発酵槽11内のpHを5.5前後に調整し水素発酵活性を高く維持するとともに、最終処理水の窒素濃度を下水排出基準以下となることを可能となる。また、メタン発酵槽13のスラリーの一部が上述のように有効利用されることで、系外に排出される産業廃棄物の減容化が可能となる。
【0034】
以下に水素・メタン発酵システム10の実施例について述べる。
【0035】
実施例の条件を表1に示した。基質タンク11から水素発酵槽12への生ごみ投入量を変化させることで容積負荷を変化させ、投入負荷の解析を行った。水素発酵槽12及びメタン発酵槽13の液相は温水を循環させたウォータージャケットによって後述の一定温度に設定する一方で消化汚泥貯留槽14、好気槽15、最終沈殿槽16の液相は20℃に設定した。また、消化汚泥貯留槽14の発酵分離液の高度処理プロセスでは、最終沈殿槽16からの汚泥返送を投入量の100〜400%で変化させ、COD、栄養塩類除去性能及び発酵への影響解析を行った。表1に示された各運転条件に対して、バイオガス生成、中間代謝産物濃度、TS、VS濃度が安定したところ定常状態として評価を行った、ガス組成(H2、CH4、CO2、N2)の分析にはTCD−ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC−8A)を用いた。CODCrは米国のstandard Methodsに基づいて分析した。TS、VS濃度の分析は日本下水協会発行の「下水試験方法」に開示された分析法に準拠して行った。T−N、NH+4−N、NOx−N、T−P及びPO4−Pの分析は前記「下水試験方法」に開示された分析法に準じ、自動分析器TrAACs8000で分析した。
【0036】
【表1】
【0037】
(1)水素発酵槽12の水素生成特性
水素発酵槽12内の温度は50〜55℃に保ち、pHは消化汚泥貯留槽14からの汚泥返送によりpH5.5±0.5に制御した。発生するバイオガスはガスメータ(SINAGAWA,W−NK−0.5B)で測定した。
【0038】
図5に示された有機物投入量と水素ガス生成量とガス組成の関係から明らかなように、水素生成量は有機物投入量を増加させるにつれて大きくなり、投入有機物負荷58.5gCOD/L/dayの場合、平均69.9L/day前後まで生成した。このことから、HRT(水理学的滞留時間)が短くなり、OLR(有機物負荷)が大きくなることにしたがって安定な水素発酵が可能で、水素ガス発生量を増加することが示唆される。また、メタン生成割合は、OLR19.5gCOD/L/dayで初期平均0.69±1.0%の範囲を示したが、これよりも有機物投入量が大きくなることにつれて低下した。以上のことから消化汚泥貯留槽14からの汚泥返送による水素発酵に最適なアルカリ度の調節及びHRTの短縮と混合培養液のpH調節により、メタン生成細菌の増殖が抑制され、返送汚泥中の水素生成細菌が活性化されて、優先的に存在できることが示された。
【0039】
図6に示された投入有機物負荷と水素発酵槽12内のpHとの関係によると、水素発酵槽12のpHは脱窒機能を有する消化汚泥貯留槽14からの返送汚泥で調整することにより、水素発酵槽12内のpHは5.5〜5.8で安定することが示された。表1に示された全ての運転条件において、二酸化炭素生成割合が45〜55%を示したことから7000〜9000mgCaCO3/Lのアルカリ度をもつ消化汚泥(有機物投入量の1〜2倍)の返送により安定的な水素発酵を維持できるようになった。また、消化汚泥貯留槽14からの汚泥のアルカリ度は10000CaCO3/L以上になると、水素生成速度は徐々に低くなり、アルカリ度が13000CaCO3/L以上になると水素生成が停止することが確認された。
【0040】
以上のように水素発酵槽12及びメタン発酵槽13の後段の消化汚泥貯留槽14・好気槽15・最終沈殿槽16による硝化反応による窒素処理及びアルカリ度の調節により水素発酵槽12の水素生成収率が向上することが示された。
【0041】
(2)メタン発酵槽13のメタン生成特性
メタン発酵槽13内のスラリーの攪拌はガス攪拌ポンプによる気相部の消化ガスの吹き込みにより連続的に行った。前記スラリーの温度は一定温度(35±0.5℃、50〜55℃)に設定し、発生したバイオガスはガスメータ(SINAGAWA:W−NK−0.5B)で測定した。
【0042】
メタン生成量及びメタン組成の各有機物投入量における結果は図7に示した通りである。水素発酵槽12からの投入有機物負荷8.4gCOD/L/day(HRT5.1days)の条件では18L−CH4/dayまで低下した。HRT7.7daysで58%のメタン割合となり、最大のメタン生成が得られた。高温メタン発酵は中温メタン発酵と比べて短いHRTで高いメタン生成が得られるものの、メタン割合は43%程度低くなる傾向が認められた。また、pHについては、図8に示した有機物負荷とメタン発酵槽13内pHの関係のように、投入有機物負荷4.16〜8.4gCOD/L/dayでメタン発酵槽13内のpHが7.2〜7.8の範囲で安定した。
【0043】
(3)水素・メタン回収率
高濃度生ごみ(TS10%)からのバイオガス特性を明らかにするため、バイオガス収率に及ぼす投入有機物負荷の影響に関して検討した。投入基質負荷と水素収率、水素生成速度の関係を図9に示した。図示された水素収率及び水素生成速度は水素発酵槽12から発生した水素ガスの収率及び水素生成速度は投入全CODCrをベースにして計算したものである。水素生成速度は有機物負荷19.5〜58.5gCODCr/L/dayの範囲で比例的に増加し、最大4.0L−H2/L/dayに達した。この結果から水素発酵槽12内に菌体を高濃度で維持することにより、さらに高い水素収率を得ることが可能であることが示唆される。
【0044】
有機物COD負荷とメタンガス収率、メタン生成速度の関係を図10に示した。メタン発酵槽13における投入COD当たりのメタン生成速度はCOD負荷8.4gCODCr/L/dayで最大メタン生成速度が得られるものの、メタン収率はCOD負荷4.16gCODCr/L/dayにおいて高い値が得られた。メタン収率がCOD負荷の増加につれて減少する理由としてはメタン発酵槽13内における代謝産物の蓄積によるpH低下の影響が大きいと考えられる。理論的に水素・メタン発酵システム10,20から水素が4mol生成すると、酢酸が2mol生成し、メタンガス2molが回収できる。これに基づき計算すると、生成した酢酸(127.92g−CODcr=2mol×60g・mol−1×1.066g−CODcr・g-1)から発生するメタンガスは44.8L(2mol×22.4L・mol-1)になるため、水素・メタン発酵システム10,20でのメタン収率は最大0.35L−CH4/g−CODになる。
【0045】
(4)好気槽15の処理特性
硝化菌を含有するポリエチレングリコール包括固定担体(日立プラントテクノロジー製)(以下、PEG担体)を好気槽15に20〜40%充填し、pH7.0に制御した。好気槽15内の液相はその溶存酸素濃度が5〜6mg/Lとなるように曝気した。また、好気槽15における担体を円筒網状担体からPEG担体に変更した後の水質変化を調べた。PEG担体に変更した結果、好気槽の流入、流出水を分析すると、TNは4950mg/Lから850mg/L前後まで、TPは410mg/Lから39mg/L前後で、NH+4−Nは2150mg/L前後から30mg/L前後まで除去された。また、好気槽15内にNO3−Nが1400mg/L以上増加し、硝化反応の進行が確認された。これらの結果から、包括固定化担体を用いることにより、好気槽15内で硝化菌を高濃度に維持することが可能となることが示された。このことから好気槽15の好気処理水を消化汚泥貯留槽14への循環的な供給によって硝化脱窒効果をさらに向上させることが示唆される。
【0046】
以上の実施例から明らかなように本発明の水素・メタン発酵方法とそのシステムによればpH調節のためのアルカリ剤を用いることなくバイオマスの水素発酵とメタン発酵の安定化及び効率化が実現する。そして、発生したメタンガスの発電機利用による電力生産、水素ガスの燃料電池利用、発電機からの熱の温水暖房利用による省エネルギー効果が実現する。
【0047】
特に、アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように脱窒を経たスラリーから分離したスラッジを水素発酵に供することで、水素発酵が阻害されることなくpH5.5〜5.8のもとでバイオマスからの安定した水素ガスの回収が可能となる。
【0048】
また、前記脱窒の工程で固液分離した脱離液を生物学的に硝化処理した処理水を前記脱窒の工程に供することで、前記水素発酵に供されるスラッジのアンモニア性窒素の高濃度化が抑制されるので、より一層安定した水素発酵が実現する。
【0049】
さらに、前記硝化処理に硝化菌を包括固定した担体を用いると硝化促進効果が高まり、その硝化処理を得た処理水を前記脱窒の工程への循環的な供給することで硝化脱窒効果がさらに向上する。そして、この硝化脱窒の過程を得た汚泥が水素発酵に供されることで、より一層安定且つ効率的な水素発酵が実現する。
【符号の説明】
【0050】
1,10,20…水素・メタン発酵システム
2,12…水素発酵槽
3,13…メタン発酵槽
4…消化汚泥貯留+脱窒タンク、14…消化汚泥貯留槽
5,15…好気槽
6,16…最終沈殿槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する工程と、
この水素発酵の工程を経たスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成する工程と、
このメタン発酵の工程を経たスラリーを消化しさらに脱窒処理する工程と、
前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵に供する工程と
を有すること
を特徴とする水素・メタン発酵方法。
【請求項2】
前記脱窒処理の工程で固液分離した脱離液を生物学的に硝化処理する工程と、
この硝化処理の過程を経た処理水を前記脱窒処理の工程に供すること
を特徴とする請求項1に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項3】
前記硝化処理の工程では硝化菌を包括固定した担体を前記脱離液と接触させること
を特徴とする請求項2に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項4】
前記水素発酵に供されるスラッジに対して前記メタン発酵の工程を経たスラリーの一部を添加すること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項5】
アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離したスラッジを前記水素発酵の工程に供すること
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項6】
バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する水素発酵槽と、
この水素発酵槽から供されたスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成するメタン発酵槽と、
このメタン発酵槽から供されたスラリーを消化しさらに脱窒処理する消化汚泥貯留槽と
を備え、
前記消化汚泥貯留槽にて脱窒処理したスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵槽に返送させること
を特徴とする水素・メタン発酵システム。
【請求項7】
前記消化汚泥貯留槽にて固液分離した脱離液を硝化処理する好気槽をさらに備え、
この好気槽から供された硝化処理水を前記消化汚泥貯留槽に返送させること
を特徴とする請求項6に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項8】
前記好気槽には硝化菌を包括固定した担体が充填されたこと
を特徴とする請求項7に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項9】
前記水素発酵槽に返送されるスラッジに対して前記メタン発酵槽から供されたスラリーの一部が添加されること
を特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項10】
アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように前記脱窒処理したスラリーを前記水素発酵槽に返送させること
を特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項1】
バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する工程と、
この水素発酵の工程を経たスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成する工程と、
このメタン発酵の工程を経たスラリーを消化しさらに脱窒処理する工程と、
前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵に供する工程と
を有すること
を特徴とする水素・メタン発酵方法。
【請求項2】
前記脱窒処理の工程で固液分離した脱離液を生物学的に硝化処理する工程と、
この硝化処理の過程を経た処理水を前記脱窒処理の工程に供すること
を特徴とする請求項1に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項3】
前記硝化処理の工程では硝化菌を包括固定した担体を前記脱離液と接触させること
を特徴とする請求項2に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項4】
前記水素発酵に供されるスラッジに対して前記メタン発酵の工程を経たスラリーの一部を添加すること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項5】
アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように前記脱窒処理の工程を経たスラリーから分離したスラッジを前記水素発酵の工程に供すること
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵方法。
【請求項6】
バイオマス原料を水素発酵によって水素ガスを生成する水素発酵槽と、
この水素発酵槽から供されたスラリーをメタン発酵によってメタンガスを生成するメタン発酵槽と、
このメタン発酵槽から供されたスラリーを消化しさらに脱窒処理する消化汚泥貯留槽と
を備え、
前記消化汚泥貯留槽にて脱窒処理したスラリーから分離させたスラッジを前記水素発酵槽に返送させること
を特徴とする水素・メタン発酵システム。
【請求項7】
前記消化汚泥貯留槽にて固液分離した脱離液を硝化処理する好気槽をさらに備え、
この好気槽から供された硝化処理水を前記消化汚泥貯留槽に返送させること
を特徴とする請求項6に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項8】
前記好気槽には硝化菌を包括固定した担体が充填されたこと
を特徴とする請求項7に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項9】
前記水素発酵槽に返送されるスラッジに対して前記メタン発酵槽から供されたスラリーの一部が添加されること
を特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵システム。
【請求項10】
アルカリ度が7000〜9000mgCaCO3/Lとなるように前記脱窒処理したスラリーを前記水素発酵槽に返送させること
を特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の水素・メタン発酵システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−110510(P2011−110510A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269784(P2009−269784)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔研究集会名〕 第12回日本水環境学会シンポジウム 〔主催者名〕 社団法人日本水環境学会 〔開催日〕 平成21年9月14日〜9月15日
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 〔研究集会名〕 第12回日本水環境学会シンポジウム 〔主催者名〕 社団法人日本水環境学会 〔開催日〕 平成21年9月14日〜9月15日
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】
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