説明

永久磁石形同期電動機の制御装置

【課題】永久磁石形同期電動機の端子電圧を電力変換器の最大出力電圧に制御した場合にも、安定な電流制御及び高精度なトルク制御を可能にする。
【解決手段】入力電圧検出器12と、電圧制限値演算器22と、電圧振幅演算器21と、電流指令演算部18と、電流調節器20a,20bとを有し、電流指令演算部18は、トルク指令値からq軸電流指令値を演算するq軸電流指令値演算器131と、電圧制限値と電圧指令値の振幅との偏差を増幅して磁束補正値を演算する磁束調節器122と、第1の磁束制限値と磁束補正値とを加算して第2の磁束制限値を演算する加算器124と、第2の磁束制限値及びq軸電流指令値からd軸電流制限値を演算するd軸電流制限値演算器132と、d軸電流制限値によりd軸電流指令値の上限値を制限する出力制限器133と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石形同期電動機の端子電圧を電力変換器の最大出力電圧まで高くした場合にも安定な電流制御を実現し、電動機の高効率化と高精度なトルク制御を実現可能とした永久磁石形同期電動機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久磁石形同期電動機(以下、PMSMともいう)は、回転子の構造によって、表面磁石構造永久磁石形同期電動機(以下、SPMSMともいう)と埋込磁石構造永久磁石形同期電動機(IPMSM)との2種類に大別される。これらのうち、IPMSMは、回転子の永久磁石により発生する磁石トルクだけでなく、回転子の突極性によって発生するリラクタンストルクを利用できるため、電流を最適に制御することで、SPMSMよりも出力を向上でき、電動機を小型化できる特徴がある。
【0003】
ところで、PMSMは、電流、磁束、及び端子電圧をベクトルとしてとらえ、回転子と同期して回転する回転座標軸であるd,q軸上で電流制御を行うことで、高性能な制御を実現することが可能である。ここで、d,q軸の定義は、永久磁石の磁極方向をd軸、このd軸から90度進んだ方向をq軸とする。従来は、d軸電流を零に制御し、q軸電流をトルク指令値に比例させて制御する方式が多く用いられていた。
しかしながら、近年では、d軸電流を積極的に制御することで、駆動システムを小型化、高効率化する技術が実用化されている。
【0004】
例えば、非特許文献1には、d軸電流を流したときのd軸電機子反作用を利用して電機子巻線の鎖交磁束(以下、単に磁束ともいう)を低減し、電動機の端子電圧を電力変換器の最大出力電圧以下に制御する技術が開示されている。非特許文献1では、これを「弱め磁束制御」と呼んでいる。
以下、非特許文献1に記載された制御方式をSPMSMに適用する場合の課題について説明する。
まず、PMSMのトルク及び磁束とd,q軸電流との間には、数式1,2の関係がある。
【0005】
【数1】

【0006】
【数2】

【0007】
なお、数式1,2において、τ:トルク,i:d軸電流,i:q軸電流,Ψ:磁束,Ψ:d軸磁束,Ψ:q軸磁束,L:d軸インダクタンス,L:q軸インダクタンス,Ψ:永久磁石の磁束である。
一方、磁束と電動機の端子電圧との間には、数式3の関係がある。
【0008】
【数3】

【0009】
なお、数式3において、V:端子電圧振幅,v:d軸電圧,v:q軸電圧,ω:速度検出値(電気角速度),r:電機子抵抗である。
【0010】
数式1,2に示すように、PMSMのトルクと磁束とはd,q軸電流の非線形関数である。但し、SPMSMにおいてはd軸インダクタンスとq軸インダクタンスとが等しいので、トルクとq軸電流とは比例関係にあり、トルク制御を比較的容易に行うことができる。
また、電機子抵抗による電圧降下を無視できる場合には、磁束と端子電圧とが比例関係にあるため、トルク制御及び端子電圧制御を容易に実現することが可能である。
【0011】
しかしながら、通常、電機子抵抗による電圧降下は無視できない値であるため、磁束制御によってSPMSMの端子電圧を所望の値に制御することは極めて困難である。
また、非特許文献1に記載されている電流制御方式は、電動機の電気定数を演算に使用しているため、電気定数に誤差があるとトルク及び端子電圧に制御誤差が発生する。特に、端子電圧の指令値が電力変換器の最大出力電圧よりも高くなった場合、電流に制御誤差が発生してトルク制御誤差が増加するだけでなく、電流制御系が不安定化する恐れがある。
電気定数に誤差がある場合でも、端子電圧が常に電力変換器の最大出力電圧以下になるように電流を制御すれば電流制御系を安定にすることができるが、端子電圧を低く制御すると、同じ出力を得るために電流を増加させる必要があるので、効率が低下することは勿論、電力変換器の制約から最高速度や最大出力が低下するという問題がある。
【0012】
上記の課題を解決する技術が、特許文献1及び特許文献2に記載されている。
まず、特許文献1に記載されている技術の概要を説明する。
特許文献1において、d軸電流指令値は、トルク/電流が最大になるようにトルク指令値の近似関数によって演算する。電圧指令値が電圧制限値を超えた場合には、電圧制限値と電圧指令値との偏差を増幅してd軸電流指令補正信号を演算し、これをd軸電流指令値に加算してd軸電流指令値を補正する。一方、q軸電流指令値は、トルク指令値とd軸電流指令値とから、所望のトルクを出力する値に演算する。
【0013】
上記の制御により、あらゆる運転条件でPMSMの電流を最小にすることができる。また、端子電圧を制限値以下に制御できることから、端子電圧を電力変換器の最大出力電圧に制御した場合にも安定な電流制御と高精度なトルク制御が実現可能となる。
【0014】
次に、特許文献2に記載されている技術の概要を説明する。
特許文献2において、電圧指令値(文献中では|V|)が電圧制限値(同じく|V|fix)を超えた場合に、電圧指令値と電圧制限値との偏差を増幅して磁束補正値を演算し、これを磁束指令値に加算することにより磁束指令値を補正する。磁束とd軸電流とは比例関係にあるものと近似し、この近似式により、磁束指令値からd軸電流指令値を演算する。また、q軸電流指令値は、トルク指令値とd軸電流指令値とから、所望のトルクを出力する値に演算する。
【0015】
上記の制御により、主に、基底速度以上の速度領域でPMSMの端子電圧を電力変換器の最大出力電圧に制御することができ、このときにも安定な電流制御と高精度なトルク制御とを実現している。
【0016】
【特許文献1】特許第3686987号公報(段落[0016]〜[0066]、図1等)
【特許文献2】特許第3230975号公報(段落[0196]〜[0205]、図21等)
【非特許文献1】武田洋次,松井信行,森本茂雄,本田幸夫,「埋込磁石同期モータの設計と制御」,オーム社,平成13年10月25日発行,p.22〜p.27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1に開示されている従来技術は、IPMSMの制御に好適である。しかしながら、SPMSMの制御に適用する場合には、構成が必要以上に複雑になるため、制御装置のコストが上昇するという問題がある。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、q軸磁束が永久磁石の磁束に比べて十分に小さく、磁束とd軸電流とがほぼ比例関係にあるPMSMには適用可能である。
しかしながら、q軸磁束が無視できないSPMSMに適用する場合には、磁束とd軸電流とが必ずしも比例関係にはないため、端子電圧を正確に制御できず、制御系が不安定になる恐れがある。
【0018】
そこで、本発明の解決課題は、電動機の端子電圧を電力変換器の最大出力電圧に制御した場合にも安定した電流制御と高精度なトルク制御を可能にし、特に、q軸磁束が無視できない程度に大きいSPMSMの端子電圧及びトルクを高精度に制御可能とすると共に、制御演算の簡略化、コストの低減を図った永久磁石形同期電動機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、半導体電力変換器により、永久磁石形同期電動機の端子電圧を電圧指令値に制御するようにした制御装置において、
前記電力変換器の入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、前記入力電圧の検出値から前記電力変換器の最大出力電圧以下の電圧制限値を演算する電圧制限値演算手段と、前記電圧指令値の振幅を演算する電圧振幅演算手段と、前記電圧制限値、前記電圧指令値の振幅、及びトルク指令値から電流指令値を演算する電流指令演算手段と、前記電動機の電流を前記電流指令値に制御するために前記電力変換器に与える電圧指令値を演算する電流調節手段と、を有し、
前記電流指令演算手段は、
前記トルク指令値からq軸電流指令値を演算するq軸電流指令値演算手段と、前記電圧制限値と前記電圧指令値の振幅との偏差を増幅して磁束補正値を演算する磁束調節手段と、第1の磁束制限値と前記磁束補正値とを加算して第2の磁束制限値を演算する加算手段と、第2の磁束制限値及び前記q軸電流指令値からd軸電流制限値を演算するd軸電流制限値演算手段と、前記d軸電流制限値により前記d軸電流指令値の上限値を制限する制限手段と、を備えたものである。
本発明においては、q軸電流によって発生するq軸磁束の影響を考慮してd軸電流制限値を演算するので、従来技術では困難であったq軸磁束を無視できないSPMSMの電圧制御及びトルク制御が可能になる。また、SPMSMの制御に特化した構成であるため、演算が比較的容易であり、制御装置のコスト低減に寄与することができる。
【0020】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明における磁束制限値の補正方法を別の方法に置き換えたものであり、第1の磁束制限値と前記磁束補正値とを乗算して第2の磁束制限値を演算するものである。
【0021】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載した制御装置に、電圧制限値に比例させて磁束制限値を演算する機能を追加したものである。これにより、電圧制限値が変化したときの磁束応答を改善する。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載した制御装置に、電動機の速度に反比例させて磁束制限値を演算する機能を追加したものである。これにより、電動機の速度が変化したときの磁束応答を改善する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、永久磁石形同期電動機の端子電圧を電圧制限値以下に制御し、端子電圧を電力変換器の最大出力電圧に制御した場合にも安定な電流制御と高精度なトルク制御とを実現することができる。特に、本発明は、従来困難であったq軸磁束が大きいSPMSMの端子電圧制御とトルク制御に有用であり、SPMSMの制御に特化することで演算を簡略化して制御装置のコストを低減することができる。
なお、本発明は、電動機の電流及び端子電圧から磁極位置と速度とを推定演算する、いわゆるセンサレス制御を行う場合にも適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。まず、図1はこの実施形態の全体構成を示すブロック図である。
図1において、入力電圧検出回路12は、電力変換器70の入力電圧Edcを検出する。磁極位置検出器90は、永久磁石形同期電動機80の磁極位置θを検出し、速度検出器91は電動機80の速度ωを検出する。
【0025】
速度指令値ωと速度検出値ωとの偏差を減算器16により演算し、この偏差を速度調節器17により増幅してトルク指令値τを演算する。
電流指令演算部18は、トルク指令値τ、後述する電圧制限値Valim、電圧指令値振幅V及び速度検出値ωから、端子電圧が電圧制限値以下の条件でトルク/電流が最大になり、かつ、所望のトルクを出力するようなd,q軸電流指令値i,iを演算する。ここで、速度検出値ωは、後述する第4実施例において磁束制限値Ψlim0を演算する際に用いるものである。
【0026】
電圧制限値演算器22は、入力電圧Edcにほぼ比例し、かつ、入力電圧Edcから決まる電力変換器70の最大出力電圧以下となるような電圧制限値Valimを演算する。
また、電圧振幅演算器21は、d,q軸電圧指令値v,vのベクトル和から、電圧指令値振幅Vを数式4により演算する。
【0027】
【数4】

【0028】
電流座標変換器14は、u相電流検出器11u及びw相電流検出器11wによりそれぞれ検出したu,w相電流検出値i,iを、磁極位置検出値θに基づいてd,q軸電流検出値i,iに座標変換する。
d軸電流指令値iとd軸電流検出値iとの偏差を減算器19aにて演算し、この偏差をd軸電流調節器20aにより増幅してd軸電圧指令値vを演算する。一方、q軸電流指令値iとq軸電流検出値iとの偏差を減算器19bにて演算し、この偏差をq軸電流調節器20bにより増幅してq軸電圧指令値vを演算する。
これらのd,q軸電圧指令値v,vは、電圧座標変換器15によって磁極位置検出値θに基づき相電圧指令値v,v,vに変換される。
【0029】
また、整流回路60は、三相交流電源50の三相交流電圧を整流して直流電圧に変換し、この直流電圧をインバータ等の電力変換器70に供給する。
PWM回路13は、相電圧指令値v,v,v及び入力電圧検出値Edcから、電力変換器70の出力電圧を前記相電圧指令値v,v,vに制御するためのゲート信号を生成する。電力変換器70は、ゲート信号に基づいて内部の半導体スイッチング素子を制御することにより、永久磁石形同期電動機80の端子電圧を相電圧指令値v,v,vに制御する。
【0030】
次に、図1における電流指令演算部18の第1実施例を説明する。図2は、この第1実施例を示すブロック図であり、電流指令演算部に符号18Aを付してある。
図2において、q軸電流指令演算器131は、トルクとq軸電流との関係式から、q軸電流指令値iを数式5により演算する。
【0031】
【数5】

【0032】
一方、第1の磁束制限値Ψlim0を数式6により設定する。
なお、数式6において、ωbase:基底角速度、Valim0:定格電圧制限値である。
【0033】
【数6】

【0034】
また、電圧制限値Valimと電圧指令値振幅Vとの偏差を減算器121にて演算し、これを磁束調節器122により増幅して磁束補正値Ψcompを演算する。この磁束調節器122は、例えば積分調節器により構成されている。
ここで、磁束補正値Ψcompは、上限値が「0.0(ゼロ)」である出力制限器123により、零以下に制限して出力される。
【0035】
次に、加算器124により、第1の磁束制限値Ψlim0に磁束補正値Ψcompを加算して第2の磁束制限値Ψlimを求める。これにより、電動機80の端子電圧を電圧制限値Valim以下に制御する磁束制限値Ψlimを演算することができる。
【0036】
d軸電流制限値演算器132は、q軸電流指令値i及び磁束制限値Ψlimから、d軸電流制限値idlimを数式7により演算する。
【0037】
【数7】

【0038】
上記d軸電流制限値idlimは、出力制限器133に上限値として与えられており、この上限値により制限された第1のd軸電流指令値id0が第2のd軸電流指令値iとして出力される。なお、第1のd軸電流指令値id0は任意の値に設定することができ、例えば、トルク/電流を最大化する場合には零に設定される。
以上に説明した機能により、電動機80の端子電圧を電圧制限値Valim以下に制御して所望のトルクを出力するようなd,q軸電流指令値i,iを演算することができる。また、数式7によるd軸電流制限値idlimの演算に当たり、q軸電流によって発生するq軸磁束(L)の影響を考慮しているので、従来技術では困難であったq軸磁束を無視できないSPMSMの電圧制御及びトルク制御が可能になる。
【0039】
次に、図3は、図1における電流指令演算部18の第2実施例を示すブロック図であり、電流指令演算部に符号18Bを付してある。
この実施例は、図2の第1実施例において第1の磁束制限値Ψlim0から第2の磁束制限値Ψlimを演算する方法を別の方法に置き換えたものである。ここでは、前述した第1実施例と異なる部分のみを説明し、同じ部分については説明を省略する。
【0040】
この第2実施例では、磁束調節器122の出力側に設けられる出力制限器123aの上限値を「1.0」、下限値を「0.0」として、磁束補正係数KΨを得る。この磁束補正係数KΨを乗算器125により第1の磁束制限値Ψlim0に乗算し、第2の磁束制限値Ψlimを求める。
上記の構成により、第2の磁束制限値Ψlimは、下限値が零であって上限値が第1の磁束制限値Ψlim0となる値に制御され、第1実施例と同様に電動機80の端子電圧を電圧制限値Valim以下に制御する磁束制限値Ψlimを演算することができる。
なお、その他の動作は第1実施例と同様である。
【0041】
次いで、図4は、図1における電流指令演算部18の第3実施例を示すブロック図であり、電流指令演算部に符号18Cを付してある。
この第3実施例は、図3の第2実施例に、電圧制限値Valimに応じて第1の磁束制限値Ψlim0を演算する機能を追加したものであり、これによって電圧制限値Valimが変化したときの磁束応答を改善するようにした。ここでは、第2実施例と異なる部分のみを説明し、同じ部分については説明を省略する。
【0042】
すなわち、磁束制限値演算器141は、電圧制限値Valimに比例した第1の磁束制限値Ψlim0を数式8により演算し、この磁束制限値Ψlim0を乗算器125に与えて磁束補正係数KΨとの乗算により第2の磁束制限値Ψlimを求める。以後の動作は、第2実施例と同様である。
【0043】
【数8】

【0044】
なお、上記のように電圧制限値Valimに応じて第1の磁束制限値Ψlim0を演算する着想は、第2実施例ばかりでなく図2の第1実施例にも適用可能である。
【0045】
次に、図5は、図1における電流指令演算部18の第4実施例を示すブロック図であり、電流指令演算部に符号18Dを付してある。
この第4実施例は、図4の第3実施例において、第1の磁束制限値Ψlim0を電動機80の速度検出値ωに反比例させて演算するように改良したものであり、磁束制限値演算器141には速度検出値ωも入力されている。
すなわち、磁束制限値演算器141は、第1の磁束制限値Ψlim0を数式9により演算する。
その他の動作は第3実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
【数9】

【0047】
これにより、速度検出値ωに応じて第1の磁束制限値Ψlim0、ひいては第2の磁束制限値Ψlimが変化するので、電動機80の速度が変化した場合の磁束応答を改善することができる。
なお、この実施例において、速度検出値ωに代えて速度指令値ωを用いても良い。
上記のように、電動機80の速度に反比例させて第1の磁束制限値Ψlim0を演算する着想は、第3実施例ばかりでなく第1実施例、第2実施例にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1における電流指令演算部の第1実施例を示すブロック図である。
【図3】図1における電流指令演算部の第2実施例を示すブロック図である。
【図4】図1における電流指令演算部の第3実施例を示すブロック図である。
【図5】図1における電流指令演算部の第4実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
11u u相電流検出回路
11w w相電流検出回路
12 入力電圧検出回路
13 PWM回路
14 電流座標変換器
15 電圧座標変換器
16,19a,19b 減算器
17 速度調節器
18,18A,18B,18C,18D 電流指令演算部
20a d軸電流調節器
20b q軸電流調節器
21 電圧振幅演算器
22 電圧制限値演算器
50 三相交流電源
60 整流回路
70 電力変換器
80 永久磁石形同期電動機
90 磁極位置検出器
91 速度検出器
121 減算器
122 磁束調節器
123,123a,133 出力制限器
124 加算器
125 乗算器
131 q軸電流指令演算器
132 d軸電流制限値演算器
141 磁束制限値演算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体電力変換器により、永久磁石形同期電動機の端子電圧を電圧指令値に制御するようにした制御装置において、
前記電力変換器の入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、
前記入力電圧の検出値から前記電力変換器の最大出力電圧以下の電圧制限値を演算する電圧制限値演算手段と、
前記電圧指令値の振幅を演算する電圧振幅演算手段と、
前記電圧制限値、前記電圧指令値の振幅、及びトルク指令値から電流指令値を演算する電流指令演算手段と、
前記電動機の電流を前記電流指令値に制御するために前記電力変換器に与える電圧指令値を演算する電流調節手段と、を有し、
前記電流指令演算手段は、
前記トルク指令値から前記電動機の永久磁石の磁極方向に直交する方向のq軸電流指令値を演算するq軸電流指令値演算手段と、
前記電圧制限値と前記電圧指令値の振幅との偏差を増幅して磁束補正値を演算する磁束調節手段と、
第1の磁束制限値と前記磁束補正値とを加算して第2の磁束制限値を演算する加算手段と、
第2の磁束制限値及び前記q軸電流指令値から、前記電動機の永久磁石の磁極方向に平行なd軸電流を制限するためのd軸電流制限値を演算するd軸電流制限値演算手段と、
前記d軸電流制限値により前記d軸電流指令値の上限値を制限する制限手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
【請求項2】
半導体電力変換器により、永久磁石形同期電動機の端子電圧を電圧指令値に制御するようにした制御装置において、
前記電力変換器の入力電圧を検出する入力電圧検出手段と、
前記入力電圧の検出値から前記電力変換器の最大出力電圧以下の電圧制限値を演算する電圧制限値演算手段と、
前記電圧指令値の振幅を演算する電圧振幅演算手段と、
前記電圧制限値、前記電圧指令値の振幅、及びトルク指令値から電流指令値を演算する電流指令演算手段と、
前記電動機の電流を前記電流指令値に制御するために前記電力変換器に与える電圧指令値を演算する電流調節手段と、を有し、
前記電流指令演算手段は、
前記トルク指令値から前記電動機の永久磁石の磁極方向に直交する方向のq軸電流指令値を演算するq軸電流指令値演算手段と、
前記電圧制限値と前記電圧指令値の振幅との偏差を増幅して磁束補正値を演算する磁束調節手段と、
第1の磁束制限値と前記磁束補正値とを乗算して第2の磁束制限値を演算する乗算手段と、
第2の磁束制限値及び前記q軸電流指令値から、前記電動機の永久磁石の磁極方向に平行なd軸電流を制限するためのd軸電流制限値を演算するd軸電流制限値演算手段と、
前記d軸電流制限値により前記d軸電流指令値の上限値を制限する制限手段と、
を備えたことを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記電圧制限値に比例させて第1の磁束制限値を演算することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した永久磁石形同期電動機の制御装置において、
前記電動機の速度に反比例させて第1の磁束制限値を演算することを特徴とする永久磁石形同期電動機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−124876(P2009−124876A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296729(P2007−296729)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】