説明

汎用ファクシミリ・エンジン

【課題】PSTNプロトコルとIPネットワーク・プロトコルとの両方を使用してファックス・データを送信/受信するように動作可能な単一のファックス・エンジンを提供すること。
【解決手段】ファクシミリ装置は、その装置と、その装置と動作可能に通信する少なくとも1つのユーザ・アプリケーションとの間の通信を容易にするように動作可能なユーザ・インターフェースと、その装置と、その装置に結合された複数の通信ネットワークのうちの少なくとも1つとの間の通信を容易にするように動作可能なネットワーク・インターフェースとを含む。この装置は、ユーザ・インターフェースおよびネットワーク・インターフェースに接続されたコントローラをさらに含む。このコントローラは、第1プロトコルを使用して通信ネットワークのうちの第1の1つと通信するために第1モードで動作可能であり、第2プロトコルを使用して通信ネットワークのうちの第2の1つと通信するために少なくとも第2モードで動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には電気、電子、およびコンピュータの技術に関し、より具体的にはファクシミリ通信に関する。
【背景技術】
【0002】
ペーパーレス社会になる努力にもかかわらず、また、電子メール通信の普及にもかかわらず、印刷物(たとえば、テキスト、写真、または類似物)のファクシミリ(またはファックス)伝送は、特にビジネス・ユーザにとって、きわめて重要なままである。ファックスの引き続く人気の1つの理由は、電子メール添付ファイルまたはディジタル署名とは異なって、ファックス文書上の署名に法的拘束力があることである。さらに、ファックス文書は、オリジナル・ソース文書のフォーマットを保ち、事実上編集不能である。
【0003】
伝統的なアナログ・ファックスは、一般に、たとえば国際電気通信連合(ITU)T.30標準規格(たとえば、その開示全体がすべてにおいて参照によって本明細書に組み込まれているITU−T Recommendation T.30,Series T: Terminals for Telematic Services,Procedures for Document Facsimile Transmission in the General Switched Telephone Network、2005年9月を参照されたい)で指定されているように、通常はプリンタまたは他の出力デバイスに関連する電話番号への公衆交換電話網(PSTN)を介するスキャン・インされた印刷物(テキストまたはイメージ)の送信を伴う。オリジナル・ソース文書は、ファックス機によってスキャン・インされ、ファックス機は、内容を単一の固定グラフィック・イメージとして扱い、これをビットマップに変換する。このディジタル形式になった後に、情報が、電話システムを介して電気信号として送信される。受信するファックス機は、コーディングされたイメージを再変換し、文書の紙コピーを印刷する。
【0004】
VoIP(ボイスオーバーインターネットプロトコル(voice over internet protocol))テクノロジを使用するインターネットを介する音声の伝送が私的組織および公的組織に普及するにつれて、そのような組織は、その組織の単一の分散IP通信ネットワークの価値および便利さを活用することが望ましいことに気付く。ファックス伝送は、一般に、音声通信と同一のファシリティを利用するので、たとえばITU T.38標準規格(たとえば、その開示全体がすべてにおいて参照によって本明細書に組み込まれているITU−T Recommendation T.38,Series T: Terminals for Telematic Services,Facsimile − Group 3 Protocols,Procedures for Real−time Group 3 Facsimile Communication Over IP Networks、2007年4月を参照されたい)で指定されるFoIP(ファクシミリオーバーインターネットプロトコル(facsimile over internet protocol))を使用するファックス伝送を実施することが、ますます人気のあるものになりつつある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ITU−T Recommendation T.30,Series T: Terminals for Telematic Services,Procedures for Document Facsimile Transmission in the General Switched Telephone Network、2005年9月
【非特許文献2】ITU−T Recommendation T.38,Series T: Terminals for Telematic Services,Facsimile − Group 3 Protocols,Procedures for Real−time Group 3 Facsimile Communication Over IP Networks、2007年4月
【非特許文献3】ITU−T Recommendation T.31,Terminals for Telematic Services,Asynchronous Facsimile DCE Control − Service Class 1、1995年8月
【非特許文献4】ITU−T Recommendation T.32,Terminals for Telematic Services,Asynchronous Facsimile DCE Control − Service Class 2、1995年8月
【非特許文献5】ITU−T Recommendation H.323,Series H: Audiovisual and Multimedia Systems,Infrastructure of audiovisual services − Systems and terminal equipment for audiovisual services,Packet−based multimedia communications systems、2009年12月
【非特許文献6】ITU−T Recommendation V.150.1,Series V: Data Communication Over the Telephone Network,Interworking with Other Networks,Modem−over−IP networks: Procedures for the End−to−end Connection of V−series DCEs、2003年1月
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来、アナログ・ファックス・エンジンは、PSTN接続を介してイメージを送信し、受信するのにアナログ・ファックス機によって使用されるが、T.38ベースのIPファックス・エンジンは、IP対応ファックス機およびFoIPメディア・ゲートウェイ(media gateway)内で使用される。本発明の原理は、その例示的実施形態において、ファックス機ベンダが、PSTNプロトコルとIPネットワーク・プロトコルとの両方を使用してファックス・データ(たとえば、印刷物すなわち、テキスト、イメージ、または類似物を表す)を送信/受信するように動作可能な単一のファックス・エンジンを使用することを有利に可能にする。本発明の諸態様によれば、単純なATコマンド・セットが、新しいファックス・エンジンの動作を制御するために含まれる。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、ファクシミリ装置は、その装置と、その装置と動作可能に通信する少なくとも1つのユーザ・アプリケーションとの間の通信を容易にするように動作可能なユーザ・インターフェースと、その装置と、その装置に結合された複数の通信ネットワークのうちの少なくとも1つとの間の通信を容易にするように動作可能なネットワーク・インターフェースとを含む。この装置は、ユーザ・インターフェースおよびネットワーク・インターフェースに接続されたコントローラをさらに含む。このコントローラは、第1プロトコルを使用して通信ネットワークのうちの第1の1つと通信するために第1モードで動作可能であり、第2プロトコルを使用して通信ネットワークのうちの第2の1つと通信するために少なくとも第2モードで動作可能である。
【0008】
本発明の上記および他の特徴、目的、および利益は、添付図面に関連して読まれるべき、本発明の例示的実施形態の次の詳細な説明から明白になる。
【0009】
次の図面は、限定なしに例としてのみ提示されるものであり、同様の符号は、複数の図面を通じて対応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】標準PSTNを介するファックス伝送を実現するように適合された例示的な専用アナログ・ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図2】例示的な専用IP対応ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図3】FoIPゲートウェイ応用例で使用される例示的な専用IP対応ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による例示的な汎用ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による、アナログ・ファックス・モデム/アナログ・ファックス機実施態様で使用される図4に示された例示的な汎用ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態による、IP対応ファックス・モデム/IP対応ファックス機実施態様で使用される図4に示された例示的な汎用ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による、アナログPSTNとIPネットワークとの間でインターフェースするFoIPゲートウェイ/ATA(アナログテレフォンアダプテッド(analog telephone adapted))実施態様で使用される図4に示された例示的な汎用ファックス・エンジンを示すブロック図である。
【図8】本発明の態様による例示的なデータ処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面の要素が、単純さおよび明瞭さのために図示されていることを了解されたい。商業的に実現可能な実施形態で有用または必要である可能性がある一般的だが明確に理解される要素が、図示の実施形態のより妨げられない図示を容易にするために図示されない場合がある。
【0012】
本発明の原理を、本明細書では、公衆交換電話網(PSTN)とインターネット・プロトコル(IP)ネットワークとの両方で使用されるように適合された汎用ファクシミリ・エンジンの例示的実施形態の文脈で説明する。しかし、本発明が、例示的に図示され、本明細書で説明される特定の装置および方法に限定されないことを了解されたい。そうではなく、本発明の諸態様は、複数のファクシミリ・プロトコルの特徴を有益に統合する技法を幅広く対象とする。この形で、本発明の諸態様は、複数のプロトコルおよび/またはデータ・フォーマットを使用するさまざまな応用例で有益に使用できる単一のファクシミリ・エンジンを提供する。
【0013】
本発明の例示的実施形態を、本明細書ではITU−TのT.30プロトコルおよびT.38プロトコルに関連して説明するが、本発明がこれらの特定のプロトコルと共に使用されることに限定されないことを了解されたい。そうではなく、本発明の原理を、標準と非標準との両方の本質的にすべてのファクシミリ通信プロトコルに拡張することができる。さらに、本明細書の教示を考慮すれば、本発明の範囲に含まれる多数の変更を図示の実施形態に対して行えることが、当業者に明白になるであろう。すなわち、本明細書で説明される特定の実施形態に関する限定は、全く意図されておらず、推論されてはならない。
【0014】
図1は、例示的な専用アナログ・ファックス・エンジン100を示すブロック図である。この図から明白であるように、アナログ・ファックス・エンジン100は、ATコマンド・パーサ/インターフェース102(クラス1、クラス2、またはクラス1とクラス2との両方)、コマンド・パーサに結合されたモデム・コントローラ104、およびモデム・コントローラに結合されたファックス・データ・ポンプ106を含む専用アナログ・ファックス・モデム・コアを含む。アナログ・ファックス・エンジン100は、好ましくは、ファックス・データ・ポンプ106に動作可能に結合されたPSTNサンプル・バッファ108をさらに含む。PSTNサンプル・バッファ108は、アナログ・ファックス・エンジン100と伝統的なPSTN 109との間のインターフェースを提供するように動作可能である。
【0015】
当業者に周知のように、特にモデム通信の文脈では、ATコマンドは、通常はデータ端末装置(DTE)からモデムまたは他のデータ通信装置(DCE)にモデムがコマンド状態である間に送られる文字のストリングを含むコマンド・ライン・シーケンスである。コマンド・ラインは、好ましくは、プリフィックス、本体、および終端部分(terminator portion)を有する。各コマンド・ライン(「A/」コマンドを除く)は、一般に、文字シーケンス「AT」から始まり、キャリッジ・リターンで終わる。ATプリフィックスに先行する文字は、無視される。コマンド・ライン解釈は、ENTERキー文字の受取時に始まる。コマンド・ライン内の文字は、関連するパラメータ値を有するコマンドとして解釈される。基本的なコマンドは、単一のASCII文字、またはプリフィックス文字(たとえば、「&」または「+」)が先行し10進パラメータが続く単一文字からなる。本発明が、ATコマンドまたはコマンド・ライン全般と共に使用されることに限定されないことを理解されたい。
【0016】
アナログ・ファックス・エンジン100を、たとえばITU−T T.31(クラス1)およびITU−T T.32(クラス2)標準規格(たとえば、その開示全体がすべてにおいて参照によって本明細書に組み込まれている、ITU−T Recommendation T.31,Terminals for Telematic Services,Asynchronous Facsimile DCE Control − Service Class 1、1995年8月およびITU−T Recommendation T.32,Terminals for Telematic Services,Asynchronous Facsimile DCE Control − Service Class 2、1995年8月を参照されたい)で指定されるATコマンドの明確に定義されたセットを用いるATコマンドインターフェースを介して1つまたは複数のユーザ・アプリケーション112または代替制御アプリケーションによって制御することができる。ユーザ・アプリケーション112は、好ましくは、アナログ・ファックス・エンジン100との通信に、ユーザ・アプリケーションの一部として実施できるT.30プロトコル110を使用する(システムがクラス1インターフェースをサポートする場合)。逆に、T.30プロトコルを、ユーザ・アプリケーションとアナログ・ファックス・エンジン100との間に常駐するプロキシによってなど、ユーザ・アプリケーションの外部で実施することができる。送信されるべき印刷物(たとえば、テキスト、写真、または類似物)を表すファックス・イメージ・データは、ATインターフェースを介してアナログ・ファックス・エンジン100に送られ、このアナログ・ファックス・エンジン100で、PSTN 109を介する送信のために、モデム・コントローラ104によって正しくフォーマットされ、ファックス・データ・ポンプ106によって変調される。
【0017】
前に述べたように、インターネットを介するデータ通信全般、具体的にはVoIPテクノロジの普及に伴って、ファックス送信が一般に音声通信と同一のファシリティを利用するので、たとえばFoIPを介する、インターネットを介するファックス伝送を実施することがますます人気のあるものになりつつある。2つの別々のプロトコルすなわち、T.30プロトコルおよびT.38プロトコルが、ファックス伝送をIPネットワークを介して効率的に送信することを可能にする。T.30プロトコルは、比較的滑らかで中断されないデータ・フローを提供するネットワーク(たとえば、PSTN)を介して実施されるように設計された。しかし、残念ながら、ファックス・データ・ポンプ106を使用するT.30ファックス・プロトコルは、IPネットワークで一般に出会う他の特性の中でも、待ち時間、ジッタ、およびパケット消失を許容しない。さらに、しばしばVoIPネットワークによって実施される圧縮は、会話に関して良好に動作する(人間の耳の限られた周波数応答およびある種のサウンドが話された単語から欠けている時の人間の「ギャップを埋める」能力に基づく)が、圧縮およびパケット化によって引き起こされるひずみは、T.30伝送が、最悪の場合に失敗し、または最良の場合に1つまたは複数の誤りのあるイメージ・ラインを作ることを引きこすのに十分である可能性がある。
【0018】
T.38ファックス・プロトコルは、パケット・ネットワークを介するリアル・タイムでのファックスの送信および受信に関連する問題の少なくとも一部に対処する。T.38は、オリジナルのグループ3(G3)ファックス標準規格が伝統的なPSTNについて行ったものによく似て、リアル・タイムでのIPネットワークにまたがるファックス・データの送信をサポートする。この形で、T.38は、伝統的なファックス環境を保存し、なおかつ、IPネットワーク内で一般的なジッタ、待ち時間、およびパケット消失について補償するために、送信されるファックス信号を動的に調整することによって、ファックスを成功して送信し、受信することを可能にする。T.38がなければ、タイミングに敏感なファックス・デバイスは、IPネットワークを介するファックスの信頼できる送信および受信に困難を覚えるはずである。
【0019】
図2は、IPネットワークを介するファックス通信を実現するために適合された例示的な専用IP対応ファックス・エンジン200を示すブロック図である。IP対応ファックス・エンジン200は、IPファックス機または他のファックス・デバイス内で実施され得るが、T.30ファックス・プロトコル・スタック202(システムがクラス2インターフェースをサポートする場合)およびT.30ファックス・プロトコル・スタックに結合されたT.38プロトコル・スタック204を含む。別々の機能ユニットとして図示されているが、T.30ファックス・プロトコル・スタック202およびT.38プロトコル・スタックを、単独でまたは他の機能ブロック(たとえば、回路網、ソフトウェア・モジュールなど)と共にのいずれかで、同一ブロック内に一緒に統合できることを了解されたい。
【0020】
明示的に図示されてはいないが、IP対応ファックス・エンジン200は、さらに、モデム・コントローラおよびファックス・データ・ポンプを含むことができる。IPネットワーク内では、IPベースのファックス・セッションは、使用されるアプリケーションに応じて、モデム・コントローラおよびデータ・ポンプを必要とする場合とそうではない場合がある。IP対応ファックス・エンジン200は、さらに、IPファックス・パケット・バッファ206または代替バッファを含む。バッファ206は、IP対応ファックス・エンジン200とIPネットワーク(IPN)208との間のインターフェースを提供するように動作可能である。バッファ206は、好ましくは、T.38プロトコル・スタック204からデータ・パケットを受け取り、これらをIPネットワーク208を介する送信のために再フォーマットするように動作可能である。同様に、IPネットワーク208からバッファ206によって受信されたパケットは、好ましくは、T.38プロトコル・スタック204による使用のためにそのバッファによって再フォーマットされる。
【0021】
IP対応ファックス・エンジン200を、IPシグナリング・プロトコル・ユニット212または代替のインターフェース/制御ブロックを介して1つまたは複数のユーザ・アプリケーション210によって制御することができる。IPシグナリング・プロトコル・ユニット212は、好ましくは、IP対応ファックス・エンジン200とインターフェースし、たとえばセッション・イニシエーション・プロトコル(SIP)、ITU−T H.323(たとえば、その開示全体がすべてにおいて参照によって本明細書に組み込まれている、ITU−T Recommendation H.323,Series H: Audiovisual and Multimedia Systems,Infrastructure of audiovisual services − Systems and terminal equipment for audiovisual services,Packet−based multimedia communications systems、2009年12月を参照されたい)または代替の制御および/もしくはシグナリング・プロトコルなどの既知の通信プロトコルを使用して、ファックス呼をセット・アップする。前に述べたように、本発明が、任意の特定の通信プロトコル(1つまたは複数)と共に使用されることに限定されないことを理解されたい。
【0022】
T.30ファックス・プロトコル・スタック202は、ファックス・イメージ・データおよび/または制御信号をユーザ・アプリケーション210から受け取り、あるいはファックス・イメージ・データおよび/または制御信号をユーザ・アプリケーション210に送るように動作可能である。T.30ファックス・プロトコル・スタック202は、好ましくは、T.30標準規格に従って、他の機能の中でも、送信端末および受信端末がファックス呼をセット・アップするのに使用する手順を指定し、イメージ・サイズ、エンコーディング、転送速度、ページの間の境界設定、および/または呼の終了を決定するようにさらに動作可能である。T.38プロトコル・スタック204は、端末が別のT.30端末と直接に通信していると考えるように端末を「だます」ように動作可能である。T.38プロトコル・スタック204は、バッファ206と関連して、好ましくは、いわゆるスプーフィング技法を用いてネットワーク遅延を訂正し、ファックス対応バッファ管理技法(たとえば、蓄積転送処理)を用いて欠けているパケットまたは遅れたパケットを訂正もする。
【0023】
図3は、FoIPメディア・ゲートウェイ応用例で使用される例示的な専用IP対応ファックス・エンジン300を示すブロック図である。用語「ゲートウェイ」は、本明細書で使用される時に、異なる通信プロトコルを使用する別のネットワークとインターフェースするために通信ネットワーク内で動作可能なデバイス、ノード、または他の機能ユニットを幅広く指すことが意図されている。ゲートウェイは、一般に、異なるネットワーク・プロトコル・テクノロジを有するネットワークを相互接続するためのプロトコル変換/マッピングを実行する。本発明の例示的なケースでは、IP対応ファックス・エンジン300は、たとえばT.38プロトコルを使用する1つまたは複数のユーザ・アプリケーション210を介して、たとえばT.30プロトコルを使用する伝統的なPSTN 109とIPネットワーク208との間でインターフェースするように動作可能である。ユーザ・アプリケーション210は、前に説明したようにたとえばSIPまたはH.323などのIPシグナリング・プロトコル212を使用することができる。
【0024】
ファックス・エンジン300は、図2に示されたファックス・エンジン200に似て、T.38プロトコル・スタック304およびT.38プロトコル・スタックに動作可能に結合されたIPファックス・パケット・バッファ302を含む。IPファックス・パケット・バッファ302は、好ましくは、T.38プロトコル・スタック304からデータ・パケットを受け取り、これらをユーザ・アプリケーション210を介するIPネットワーク208への送信のために処理(たとえば、再フォーマット)するように動作可能である。同様に、IPファックス・パケット・バッファ302によってIPネットワーク208から(ユーザ・アプリケーション210を介して)受信されたパケットは、好ましくは、T.38プロトコル・スタック304による使用のために、そのバッファによって処理(たとえば、再フォーマット)される。この形で、IPファックス・パケット・バッファ302は、IP対応ファックス・エンジン300とIPネットワーク208との間のインターフェースを提供する。
【0025】
さらに、ファックス・エンジン300は、図1に示されたアナログ・ファックス・エンジン100に似て、T.38プロトコル・スタック304に結合されたモデム・コントローラ306、モデム・コントローラに結合されたファックス・データ・ポンプ308、およびファックス・データ・ポンプに動作可能に結合されたPSTNサンプル・バッファ310を含む。PSTNサンプル・バッファ310は、好ましくは、ファックス・データ・ポンプ308からデータ・サンプルを受け取り、これらをPSTN 109への送信のために処理(たとえば、再フォーマット)するように動作可能である。同様に、PSTNサンプル・バッファ310によってPSTN 109から受信されたサンプルは、好ましくは、ファックス・データ・ポンプ308による使用のためにそのバッファによって処理(たとえば、再フォーマット)される。この形で、PSTNサンプル・バッファ310は、IP対応ファックス・エンジン300とPSTN 109との間のインターフェースを提供するように動作可能である。
【0026】
標準PSTNを介するファックス伝送をもたらす専用アナログ・ファックス・エンジンは、IPネットワークを介するファックス伝送をもたらす専用IP対応ファックス・エンジンと同様に既知であるが、本発明の実施形態は、単一のファックス・エンジンに統合された複数のファックス・プロトコルを有益にサポートする(たとえば、アナログ・ファックス・エンジンおよびIP対応ファックス・エンジンの諸機能を実施する)。例としてのみ、図4は、本発明の実施形態による例示的な汎用ファックス・エンジン400を示すブロック図である。汎用ファックス・エンジン400を、クラス1インターフェースについて下でさらに詳細に説明するが、本明細書の教示を与えられた当業者に明白になるように、この汎用ファックス・エンジン・アーキテクチャをクラス2ファックス・インターフェースに同様に拡張できることを了解されたい。
【0027】
図4を参照すると、クラス1 ATコマンド・インターフェース(たとえば、ITU−T T.31)について、汎用ファックス・エンジン400は、ATコマンド・パーサ402または代替インターフェースを含む。コマンド・パーサ402は、好ましくは、アナログ・ファックス・エンジン(たとえば、図1に示された例示的なアナログ・ファックス・エンジン100)で使用されるものと同一のATコマンド・インターフェースおよびATコマンド・セットを利用する。この形で、アナログ・ファックスとしての動作とIPファックスとしての動作との間の差が、本質的にユーザに透過的になる。ユーザ・アプリケーション404は、T.30プロトコル406(たとえば、ソフトウェア・アプリケーションまたはハードウェア回路網)を実施することができるが、好ましくは、汎用ファックス・エンジン400と動作可能に通信する。
【0028】
T.30プロトコル406は、好ましくは、ファックス・フレーム、イメージ・データなどをユーザ・アプリケーション404の制御の下で制御するように動作可能である。この配置の利益は、ユーザが、アナログ・ファックスとIPベースの(たとえば、T.38)ファックスとの両方を制御するために同一の標準ATコマンド・インターフェースを介してユーザ自身の既存T.30スタックを制御できることである。より具体的に言うと、ATコマンドの明確に定義されたセット、たとえばITU−T T.31(クラス1)標準規格およびITU−T T.32(クラス2)標準規格を有するATコマンド・インターフェースを含む図1に示されたアナログ・ファックス・エンジン100と共に使用されるものと同一のユーザ・アプリケーションまたは代替の制御アプリケーションを使用して、汎用ファックス・エンジン400とインターフェースすることができる。これは、エンド・ユーザが、彼らのファックス・アプリケーション・ソフトウェアに対する大きい変更を伴わずに、PSTNファックス・セッションとIPネットワーク・ファックス・セッションとの両方をサポートすることを可能にする。
【0029】
伝統的なPSTNとの通信について、汎用ファックス・エンジン400は、モデム・クラス1データ通信装置(DCE)インターフェース410、DCEインターフェースに結合されたモデム・コントローラ412、およびモデム・コントローラに結合されたモデム・データ・ポンプ414を含むアナログ・スタック408を含む。モデム・データ・ポンプ414は、PSTNサンプル・バッファ416に動作可能に結合される。PSTNサンプル・バッファ416は、アナログPSTNへのインターフェースとして働くが、PSTNへおよびこれから、それぞれ、パルス符号変調(PCM)サンプルを送信し、受信するように動作可能である。
【0030】
IPネットワークとの通信について、汎用ファックス・エンジン400は、T.38プロトコル・クラス1データ端末装置(DTE)インターフェース420、T.38プロトコル・クラス1 DTEインターフェースに結合されたT.38プロトコル・エンジン422、ならびにT.38プロトコル・エンジンおよびT.38クラス1 DTEインターフェースと通信するIPシグナリング・プロトコル(ISP)モジュール424を含むIP対応スタック418を含む。T.38プロトコル・エンジン422は、IPファックス・パケット・バッファ426に動作可能に結合される。IPファックス・パケット・バッファ426は、IPネットワークへのインターフェースとして働くが、IPネットワークへおよびこれから、それぞれ、T.38 IPファックス・パケットを送信し、受信するように動作可能である。このインターフェースを、ソフトウェア・ベースとすることができる、すなわち、物理IPインターフェース(たとえば、IPスタック)は、T.38スタックと同一のチップ(たとえば、T.38クラス1 DTEインターフェース420、T.38プロトコル・エンジン422、およびISPモジュール424を含む)に常駐する必要がない。汎用ファックス・エンジン400は、ユーザ・アプリケーション404または実際のIP接続が存在する他のハードウェアのいずれかへ/から、それぞれ、IPファックス・パケットを送信/受信することができる。
【0031】
図4に示された例示的実施形態では、汎用ファックス・エンジン400は、それぞれアナログPSTNおよびIPネットワークを介するファックス送信のために、2つの異なるプロトコルすなわち伝統的なグループ3(モデム・データ・ポンプ414を使用する)およびT.38プロトコルを使用してファックス通信を提供するように動作可能である。しかし、本発明が、汎用ファックス・エンジン400によってサポートされる異なるプロトコルのいかなる特定の個数にも限定されないことを了解されたい。たとえば、他の実施形態によれば、汎用ファックス・エンジンは、アナログ・ネットワークおよび/またはIPネットワークにまたがって他のフォーマットのデータ・トラフィックを中継するために1つまたは複数の追加のプロトコル・スタックを含むことができる(たとえば、その開示全体がすべてにおいて参照によって本明細書に組み込まれている、ITU−T Recommendation V.150.1,Series V: Data Communication Over the Telephone Network,Interworking with Other Networks,Modem−over−IP networks: Procedures for the End−to−end Connection of V−series DCEs、2003年1月で指定されるIPネットワークにまたがってモデム・トラフィックを中継するITU−T V.150.1プロトコルすなわちMoIP(モデムオーバーIP(modem over IP)))。
【0032】
汎用ファックス・エンジン400は、さらに、クラス1 ATコマンド・パーサ402とアナログ・スタック408とIP対応スタック418との間に結合されたクラス1ファックス・エンジン・コントローラ428を含む。ファックス・エンジン・コントローラ428は、汎用ファックス・エンジン400の動作のモードおよび/または状態を制御するように動作可能である。具体的に言うと、ファックス・エンジン・コントローラ428は、ATコマンド・パーサ402、モデム・クラス1 DCEインターフェース410、およびT.38クラス1 DTEインターフェース420に結合される。汎用ファックス・エンジン400の少なくとも3つの動作のモードすなわち、アナログ・ファックス・モードとすることができる第1モード、IP対応ファックス・モードとすることができる第2モード、およびFoIPゲートウェイ/ATAモードとすることができる第3モードがある。汎用ファックス・エンジン400の3つの例示的な動作のモードのそれぞれを、図5〜7に関連して下でさらに詳細に説明する。
【0033】
図5は、本発明の実施形態による、アナログ・ファックス・モデム/アナログ・ファックス機実施態様で使用される図4に示された例示的な汎用ファックス・エンジン400を示すブロック図である。この例示的実施形態では、汎用ファックス・エンジン400は、伝統的なアナログ・ファックス・モデム/アナログ・ファックス機応用例で動作可能であり、この応用例では、ユーザ・アプリケーション404(たとえば、T.30プロトコル406を使用して)から/への、ATコマンド・パーサ402を介し、ファックス・エンジン・コントローラ428を介し、アナログ・スタック408を介する、PSTNへ/からのデータ・フロー・パス502が存在する。具体的に言うと、この動作のモードでは、モデム・データ・ポンプ414は、PSTNサンプル・バッファ416に接続され、PSTNへ/から、それぞれ、信号を変調/復調するように動作可能である。モデム・コントローラ412からの復号されたデータ(たとえば、T.30制御フレームおよびイメージ・データ)は、クラス1インターフェースを介してユーザ・アプリケーション404に送られる。本明細書の教示を与えられた当業者に明白になるように、この汎用ファックス・エンジンの方法論およびアーキテクチャを、クラス2ファックス・インターフェースに同様に拡張することができる。
【0034】
図6は、本発明の実施形態による、IP対応ファックス・モデム/IP対応ファックス機実施態様で使用される図4に示された例示的な汎用ファックス・エンジン400を示すブロック図である。この例示的実施形態では、汎用ファックス・エンジン400は、IPファックス(たとえば、FoIP)モードで動作可能であり、このモードでは、ユーザ・アプリケーション404から/への、ATコマンド・パーサ402を介し、ファックス・エンジン・コントローラ428を介し、IP対応スタック418を介する、IPネットワークへ/からのデータ・フロー・パス602が存在する。具体的に言うと、この動作のモードでは、汎用ファックス・エンジンは、IPネットワークへの確立された接続を有し、IP対応(たとえば、T.38)スタック418は、動作中(すなわち、アクティブ)である。
【0035】
受信方向では、IPネットワークからのIPファックス・データ・パケットは、IP対応スタック418を介して通常のT.30メッセージに復号され、クラス1インターフェース402を介してユーザ・アプリケーション404に送られる。送信方向では、ユーザ・アプリケーション404からのT.30データが、IP対応スタック418を介して正しいT.38 IPファックス・パケットに符号化され、IPネットワークに転送される。このモードは、たとえばIP対応ファックス・モデム/IP対応ファックス機などの終端T.38デバイスによって使用される。IPネットワーク・シグナリング・プロトコル(たとえば、SIP、H.323など)を使用して、呼をセット・アップすることができるが、そのようなプロトコルが、ファックス・エンジン400内に常駐する必要はない。そうではなく、ユーザは、他の場所のシグナリング・プロトコルを呼び出し、ネゴシエートされた情報をファックス・エンジンに単純に渡すことができる。
【0036】
ここで図7を参照すると、ブロック図は、本発明の実施形態による、アナログPSTNとIPネットワークとの間でインターフェースするFoIPゲートウェイ/ATA実施態様で使用される図4に示された例示的な汎用ファックス・エンジン400を示す。この例示的実施形態では、PSTN接続とIP接続との両方が利用される。具体的に言うと、この動作のモードでは、汎用ファックス・エンジン400は、PSTNから/への、アナログ・スタック408を介し、ファックス・エンジン・コントローラ428を介し、IP対応スタック418を介する、IPネットワークへ/からのデータ・フロー・パス702を含む。
【0037】
より具体的に言うと、この動作のモードでは、ファックス・エンジンは、メディア・ゲートウェイまたはアナログ電話アダプタとして機能する。第1方向(たとえば、PSTNからIPネットワークへの転送)では、PSTNサンプル・バッファ416を介してPSTNから受信されたアナログ信号は、アナログ・スタック408によって復調され、T.30データ(または代替通信プロトコルのデータ)に復号される。この復号されたデータは、その後、ファックス・エンジン・コントローラ428を介してIP対応スタック418に送られ、このIP対応スタック418で、T.38 IPファックス・パケット(または代替プロトコル)に符号化され、IPネットワークに送出される。第2方向(たとえば、IPネットワークからPSTNへの転送)では、IPファックス・パケット・バッファ426を介してIPネットワークから受信されたIPファックス・パケットが、IP対応スタック418によってT.30メッセージ(T.30制御フレームおよびイメージ・データ)に復号される。このT.30メッセージは、その後、ファックス・エンジン・コントローラ428を介してアナログ・スタック408に送られ、このアナログ・スタック408で、PSTNを介する送信のためにコーディングされ、変調される。IPネットワーク・シグナリング・プロトコル(たとえば、SIP、H.323など)を使用して、FoIP呼を確立することができるが、そのようなプロトコルが、ファックス・エンジン自体の中に常駐する必要はない。ユーザは、他の場所のシグナリング・プロトコルを呼び出し、ネゴシエートされた情報をファックス・エンジン400に単純に渡すことができる。
【0038】
汎用ファックス・エンジン400の動作のモードまたは少なくともそのサブセットは、好ましくは、ATコマンド・インターフェースまたは代替の制御/インターフェース方法論によって制御される。例としてのみ、一般性を失わずに、本発明の実施形態は、新しいモード・クラスであるIPファックス・クラスを定義するATコマンド・セット、AT+fclass=nclassを提供する。このクラスは、現在は伝統的なアナログ・モデム・コマンド・セットの他のどのモードによっても使用されていない番号(たとえば、9)を割り当てられる。たとえば、汎用ファックス・エンジンの動作モードを、次のように定義することができる。
AT+fclass=9.1、クラス1(T.31)インターフェースを有するIP対応ファックス・モード、
AT+fclass=9.2、クラス2(T.32)インターフェースを有するIP対応ファックス・モード、
AT+fclass=9.3、FoIPゲートウェイ/ATAモード、
AT+fclass=9.4、IP対応データ・モデム・モード、
AT+fclass=9.5、MoIPゲートウェイ/ATAモード。
既存のAT+fclass=コマンドは、好ましくは、まだ伝統的なアナログ・ファックス/データ・モデムと同様に機能する。たとえば、次のコマンドが、汎用ファックス・エンジンと共に動作可能である。
AT+fclass=0、伝統的なアナログ・データ・モデム・モード、
AT+fclass=1.0、クラス1インターフェースを有する伝統的なアナログ・ファックス・モデム・モード、
AT+fclass=2.0、クラス2インターフェースを有する伝統的なアナログ・ファックス・モデム・モード。
上の例示的なコマンド定義は、例示としてのみ提示されるものである。しかし、本発明が、本明細書で示され、説明される特定のコマンド定義に限定されないことを理解されたい。そうではなく、本明細書の教示を与えられた当業者に明白になるように、他のおよび/または追加のコマンド定義を利用することができる。
【0039】
本発明の実施形態の方法論は、電子デバイスまたはたとえばネットワーク・ルータ/スイッチ・デバイスなどの代替システムでの実施に特によく適する可能性がある。例示のみとして、図8は、本発明の態様により形成された例示的なデータ処理システム800を示すブロック図である。システム800は、たとえば、PCと通信するように適合されたファックス・デバイス(たとえば、ファックス・モデム、ファックス機など)ならびに/あるいはたとえばG3および/またはT.38通信プロトコルを使用する別のファックス・デバイスを表すことができる。システム800は、プロセッサ802、プロセッサに結合されたメモリ804、ならびにプロセッサとインターフェースするように動作可能な入出力(I/O)回路網808を含むことができる。プロセッサ802、メモリ804、およびI/O回路網808を、データ処理システム800の一部として、たとえばバス806または代替接続手段を介して相互接続することができる。たとえばバスを介する適切な相互接続を、コンピュータまたはIPネットワークとインターフェースするために設けることができるネットワーク・インターフェース・カード(NIC)などのネットワーク・インターフェース810に対して、およびメディアとインターフェースするために設けることができるディスケット・ドライブまたはCD−ROMドライブなどのメディア・インターフェースに対しても設けることができる。プロセッサ802を、本明細書で上で説明した本発明の方法論の少なくとも一部を実行するように構成することができる。
【0040】
用語「プロセッサ」が、本明細書で使用される時に、たとえば中央処理装置(CPU)および/または他の処理回路網(たとえば、ネットワーク・プロセッサ、DSP、マイクロプロセッサなど)を含むものなど、すべての処理デバイスを含むことが意図されていることを了解されたい。さらに、用語「プロセッサ」が、複数の処理デバイスを指す場合があることと、処理デバイスに関連するさまざまな要素を他の処理デバイスによって共用できることとを理解されたい。用語「メモリ」は、本明細書で使用される時に、たとえばランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、固定記憶媒体(たとえば、ハード・ディスク)、取り外し可能記憶媒体(たとえば、ディスケット)、フラッシュ・メモリ、その他など、プロセッサまたはCPUに関連するメモりおよび他のコンピュータ可読媒体を含むことが意図されている。さらに、用語「I/O回路網」は、本明細書で使用される時に、たとえば、プロセッサにデータを入力するための1つまたは複数の入力デバイス(たとえば、キーボード、マウスなど)、プロセッサに関連する結果を提示するための1つまたは複数の出力デバイス(たとえば、プリンタ、モニタなど)、および/または入力デバイス(1つまたは複数)もしくは出力デバイス(1つまたは複数)をプロセッサに動作可能に結合するためのインターフェース回路網を含むことが意図されている。
【0041】
したがって、本明細書で説明される本発明の方法論を実行する命令またはコードを含むアプリケーション・プログラムまたはそのソフトウェア・コンポーネントを、関連する記憶媒体(たとえば、ROM、固定ストレージ、または取り外し可能ストレージ)のうちの1つまたは複数に格納することができ、利用の準備ができた時に、プロセッサ802によって全体的にまたは部分的に(たとえばRAMに)ロードし、実行することができる。どの場合でも、図4に示されたコンポーネントの少なくとも一部を、さまざまな形のハードウェア、ソフトウェア、またはその組合せ、たとえば、関連するメモリを有する1つまたは複数のDSP、特定用途向け集積回路(1つまたは複数)、機能回路網、関連するメモリを有する1つまたは複数の動作可能にプログラムされた汎用ディジタル・コンピュータなどで実施することができることを理解されたい。本明細書で提供される本発明の教示を考慮すれば、当業者は、本発明のコンポーネントの他の実施態様を企図することができる。
【0042】
本発明の教示の少なくとも一部を、1つまたは複数の集積回路内で実施することができる。集積回路を形成する際に、ダイは、通常、半導体ウェハの表面上の繰り返されるパターンで製造される。ダイのそれぞれは、本明細書で説明されたメモリを含み、他の構造または回路を含むことができる。個々のダイは、ウェハから切り離されまたはダイシングされ、その後、集積回路としてパッケージングされる。当業者は、ウェハをダイシングし、ダイをパッケージングして集積回路を作る方法を知っているはずである。そのように製造された集積回路は、本発明の一部と考えられる。
【0043】
本発明の実施形態によるICを、ファックス通信を提供するように適合された任意の応用例および/または電子システム(たとえば、ファックス・モデム/ファックス機)で使用することができる。本発明の実施形態を実施するための適切なシステムは、パーソナル・コンピュータ、ポータブル通信デバイス(たとえば、セル電話機)、ファックス・デバイスなどを含むが、これらに限定されない。そのような集積回路を組み込まれたシステムは、本発明の一部と考えられる。本明細書で提供される本発明の教示を考慮すれば、当業者は、本発明の技法の他の実施態様および応用例を企図することができる。
【0044】
本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照して本明細書で説明したが、本発明がこれらの正確な実施形態に限定されないことと、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱せずに当業者がさまざまな他の変更および修正をその中で行えることとを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ装置であって、
前記装置と、前記装置と動作可能に通信する少なくとも1つのユーザ・アプリケーションとの間の通信を容易にするように動作可能なユーザ・インターフェースと、
前記装置と、前記装置に結合された複数の通信ネットワークのうちの少なくとも1つとの間の通信を容易にするように動作可能なネットワーク・インターフェースと、
前記ユーザ・インターフェースおよびネットワーク・インターフェースに接続されたコントローラであって、第1ファクシミリ・プロトコルを使用して前記通信ネットワークのうちの第1の1つと通信するために第1モードで動作可能であり、第2ファクシミリ・プロトコルを使用して前記通信ネットワークのうちの第2の1つと通信するために少なくとも第2モードで動作可能である、コントローラと
を含むファクシミリ装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記通信ネットワークのうちの前記第1の1つに結合された第1ファクシミリ・デバイスと前記通信ネットワークのうちの前記第2の1つに結合された第2ファクシミリ・デバイスとの間の通信を容易にするために第3モードでさらに動作可能であり、前記コントローラは、前記第1ファクシミリ・プロトコルの前記通信ネットワークのうちの前記第1の1つから受信されたデータを前記通信ネットワークのうちの前記第2の1つでの送信のために前記第2ファクシミリ・プロトコルに変換するために前記第3モードで動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1ファクシミリ・プロトコルは、アナログ・ファクシミリ・プロトコルであり、前記第2ファクシミリ・プロトコルは、インターネット・プロトコル(IP)対応プロトコルである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1ファクシミリ・プロトコルは、グループ3(G3)プロトコルであり、前記第2ファクシミリ・プロトコルは、ITU−T T.38プロトコルである、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ネットワーク・インターフェースは、
前記第1ファクシミリ・プロトコルを利用するモデム・データ通信装置(DCE)インターフェース、前記DCEインターフェースに結合されたモデム・コントローラ、および前記モデム・コントローラに結合されたモデム・データ・ポンプを含むアナログ・スタックと、
前記第2ファクシミリ・プロトコルを利用するデータ端末装置(DTE)インターフェース、前記DTEインターフェースに結合されたプロトコル・エンジン、ならびに前記プロトコル・エンジンおよび前記DTEインターフェースと通信するIPシグナリング・プロトコル(ISP)モジュールを含むIP対応スタックと
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記アナログ・スタックは、前記モデム・データ・ポンプに結合され、前記通信ネットワークのうちの前記第1の1つとの通信のために適合されたサンプル・バッファをさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記IP対応スタックは、前記プロトコル・エンジンに結合されたファクシミリ・パケット・バッファとISPモジュールとをさらに含み、前記通信ネットワークのうちの前記第2の1つとの通信のために適合される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザ・インターフェースは、前記ユーザ・アプリケーションからコマンドを受け取り、前記コマンドを前記コントローラによって利用される1つまたは複数の制御信号に変換することと、前記ネットワーク・インターフェースから制御信号を受け取り、前記制御信号を前記ユーザ・アプリケーションによって利用されるコマンドに変換することとのうちの少なくとも1つを行うように動作可能なコマンド・パーサをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ユーザ・インターフェースは、少なくとも1つのユーザ・コマンドを受け取るように動作可能であり、前記コントローラの1つまたは複数の動作のモードは、前記少なくとも1つのユーザ・コマンドの関数として制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのユーザ・コマンドは、標準アナログATコマンド・セットとは別個のATコマンドを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのユーザ・コマンドは、アナログ・ファクシミリ送信には使用されないIP対応ファクシミリ・クラスを定義するATコマンドを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つのファクシミリ装置を含む集積回路であって、前記少なくとも1つのファクシミリ装置は、
前記装置と、前記装置と動作可能に通信する少なくとも1つのユーザ・アプリケーションとの間の通信を容易にするように動作可能なユーザ・インターフェースと、
前記装置と、前記装置に結合された複数の通信ネットワークのうちの少なくとも1つとの間の通信を容易にするように動作可能なネットワーク・インターフェースと、
前記ユーザ・インターフェースおよびネットワーク・インターフェースに接続されたコントローラであって、第1ファクシミリ・プロトコルを使用して前記通信ネットワークのうちの第1の1つと通信するために第1モードで動作可能であり、第2ファクシミリ・プロトコルを使用して前記通信ネットワークのうちの第2の1つと通信するために少なくとも第2モードで動作可能である、コントローラと
を含む、集積回路。
【請求項13】
ファクシミリ・デバイスと、前記ファクシミリ・デバイスと動作可能に通信する少なくとも1つのユーザ・アプリケーションとの間の通信を容易にするように動作可能な第1インターフェースを提供するステップと、
前記ファクシミリ・デバイスと、前記ファクシミリ・デバイスに結合された複数の通信ネットワークのうちの少なくとも1つとの間の通信を容易にするように動作可能な第2インターフェースを提供するステップと、
第1ファクシミリ・プロトコルを使用して動作の第1モードで前記通信ネットワークのうちの第1の1つと通信し、第2ファクシミリ・プロトコルを使用して動作の第2モードで前記通信ネットワークのうちの第2の1つと通信するステップと、
を含む、少なくとも2つのファクシミリ・プロトコルを使用するファクシミリ通信を容易にする方法。
【請求項14】
前記通信ネットワークのうちの前記第1の1つに結合された第1ファクシミリ・デバイスと前記通信ネットワークのうちの前記第2の1つに結合された第2ファクシミリ・デバイスとの間で動作の第3モードで通信するステップと、
動作の前記第3モードで前記第1ファクシミリ・プロトコルの前記通信ネットワークのうちの前記第1の1つから受信されたデータを前記通信ネットワークのうちの前記第2の1つでの送信のために前記第2ファクシミリ・プロトコルに変換するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのユーザ・アプリケーションから1つまたは複数のコマンドを受け取るステップと、
前記1つまたは複数のコマンドを前記ファクシミリ・デバイスによって利用される1つまたは複数の制御信号に変換するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ファクシミリ・デバイスから1つまたは複数の制御信号を受け取るステップと、
前記1つまたは複数の制御信号を前記少なくとも1つのユーザ・アプリケーションによって利用される1つまたは複数のコマンドに変換するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1インターフェースが少なくとも1つのユーザ・コマンドを受け取るステップと、
前記少なくとも1つのユーザ・コマンドの関数として前記ファクシミリ・デバイスの動作の1つまたは複数のモードを制御するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのユーザ・コマンドは、標準アナログATコマンド・セットとは別個のATコマンドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのユーザ・コマンドは、アナログ・ファクシミリ送信には使用されないIP対応ファクシミリ・クラスを定義するATコマンドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数のファクシミリ・デバイスであって、各ファクシミリ・デバイスは、対応する通信ネットワークへの接続のために適合される、複数のファクシミリ・デバイスと、
少なくとも1つのファクシミリ装置であって、
前記装置と、前記装置と動作可能に通信する少なくとも1つのユーザ・アプリケーションとの間の通信を容易にするように動作可能なユーザ・インターフェースと、
前記装置と、前記装置および前記ファクシミリ・デバイスのうちの少なくとも1つに結合された複数の通信ネットワークのうちの少なくとも1つとの間の通信を容易にするように動作可能なネットワーク・インターフェースと、
前記ユーザ・インターフェースおよびネットワーク・インターフェースに接続されたコントローラであって、第1ファクシミリ・プロトコルを使用して前記通信ネットワークのうちの第1の1つと通信するために第1モードで動作可能であり、第2ファクシミリ・プロトコルを使用して前記通信ネットワークのうちの第2の1つと通信するために少なくとも第2モードで動作可能である、コントローラと
を含む少なくとも1つのファクシミリ装置と
を含む電子システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−60632(P2012−60632A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160888(P2011−160888)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(508243639)エルエスアイ コーポレーション (124)
【Fターム(参考)】