説明

汚染制御のための実装マット

本発明は、汚染制御要素(20)又はモノリスを汚染制御装置(10)に実装するために実装マット(30)を提供し、実装マットは長繊維及び短繊維の混合物を有する層を含み、短繊維は約13mm以下の長さを有し、長繊維は少なくとも約20mmの長さを有し、及び短繊維の量は長繊維及び短繊維の混合物の総重量に対して少なくとも約3重量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染制御要素又はモノリスを汚染制御装置に実装するための実装マットに関する。本発明は、さらに汚染制御要素を実装するための実装マットを備える汚染制御装置に関する。本発明は、さらに汚染制御装置及び、特にディーゼルエンジンからの排気ガスを汚染制御装置で処理する方法を有する機械に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染制御装置は、典型的に弾力的で柔軟性のある実装マットによってケーシング内にしっかりとしっかりと実装された一体式の要素を有する金属ハウジングを備える。汚染制御装置は、大気汚染を制御するために自動車に広く採用されている。一般に汚染制御装置は、排気ガスを生じさせるエンジンのタイプによって排気ガスの組成並びにその温度が異なる可能性があるために、処理される排気ガスのタイプにしたがって設計されている。それ故に、汚染制御装置が、ガソリンエンジン並びにディーゼルエンジンの排気ガスを処理するために使われることが知られている。汚染制御装置は、触媒コンバータ及び微粒子フィルター又はトラップを備えている。触媒コンバータ及びディーゼル微粒子フィルター又はトラップの2つのタイプの装置が現在は広範囲で使用されている。触媒コンバータは、典型的に金属ハウジング内に実装された一体型構造物にコーティングされた触媒を含む。一体型構造物は、典型的にセラミックであるが、金属モノリスも使われてきた。触媒は、大気汚染を制御するために、自動車排出ガス中の一酸化炭素及び炭化水素を酸化させ、窒素酸化物を低減する。
【0003】
ディーゼル微粒子フィルター又はトラップは、通常多孔質の結晶性セラミック材料から典型的に作られるハニカム状の一体型構造体を有する典型的な壁状フローフィルターである。ハニカム構造の代替セルは、1つのセルに入った排気ガスが多孔質の壁を通って、構造体から出ることができる隣接したセルに強制的に抜けるように、典型的に詰められている。このようにして、ディーゼル排気ガス中に存在する小さな煤煙粒子が集められる。
【0004】
モノリス及び特に汚染制御装置に使われるセラミック製汚染制御モノリスは脆く、振動又は衝撃によるダメージ及び破損を生じやすい。それらは、一般にそれらを含む金属ハウジングより小さい桁の熱膨張係数を有する。これは、汚染制御装置が加熱されたとき、ハウジングの内部の周壁とモノリスの外壁間の間隙が増加することを意味する。同様に、汚染制御装置の温度が下がるとき(例えば、エンジンがとめられたとき)、この間隙は減少する。金属ハウジングがマットの断熱効果によってより小さな温度変化を受けるにもかかわらず、金属ハウジングのより高い熱膨張係数が一体型要素の膨張よりも速くより大きな周辺サイズにハウジングを膨張させる。このより高い熱膨張係数はまた、一体型要素よりも速く金属ハウジングをより小さな周辺サイズに収縮させる。熱サイクル及びこれらの結果としての物理的変化は、汚染制御装置の耐用期間および使用期間の間に何百回さらには何千回と起こりうる。
【0005】
セラミックモノリスのような汚染制御要素へのダメージ(例えば、道路からの衝撃又は振動)を避けるため、熱膨張の差を相殺するため、及び排気ガスがモノリスと金属ハウジングの間を通ること(それによって触媒及び/又はフィルターを迂回すること)を防ぐため、実装マットが汚染制御要素とハウジングの間に配置される。これらのマットは、汚染制御要素を望まれる温度範囲にわたって所定の位置に保つために充分な、しかし汚染制御要素(例えば、セラミックモノリス)を損なうような大きな圧力ではない圧力を発揮しなければならない。
【0006】
当該技術分野において記述される多くの実装マットは、典型的に高温で作動するガソリンエンジンからの排気ガスを処理するため、触媒コンバータの触媒担体を実装するために開発されてきた。既知の実装マットは、セラミック繊維、膨張性材料及び有機及び/又は無機結合剤からなる膨張性シート材料を含む。ハウジング中に触媒コンバータを実装するために有用な膨張性シート材料が、例えば、米国特許第3,916,057号(ハッチ(Hatch)ら)、同第4,305,992号(ランガー(Langer)ら)、同第5,151,253号(メリー(Merry)ら)、同第5,250,269号(ランガー(Langer))及び同第5,736,109号(ハワーズ(Howorth)ら)に記載されている。近年、多結晶性セラミック繊維及び結合剤からなる非膨張性マットが特に、極めて薄いセル壁によって著しく低い強度を有する、いわゆる超薄壁モノリス用に使われてきた。非膨張性マットの例は、例えば、米国特許第4,011,651号(ブラッドバリ(Bradbury)ら)、同第4,929,429号(メリー(Merry))、同第5,028,397号(メリー(Merry))、同第5,996,228号(ショージ(Shoji)ら)、及び同第5,580,532号(ロビンソン(Robinson)ら)に記載されている。多結晶性繊維は、標準的な溶融成形セラミック繊維よりはるかに高価であり、それ故、マットである。
【0007】
これらの繊維の使用は、例えば超薄壁モノリスを持つような絶対に必要なところにのみ使われる。
【0008】
米国特許第5,290,522号は、少なくとも60重量%の5マイクロメータを超える直径の塊りのない高強度ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維を含む、不織布実装マットを有する触媒コンバータを記述している。この参照で教示されている実装マットは、700℃を超える温度の排気ガスにマットが曝されている例におけるテストデータからわかるように、主に高温での用途に使うよう意図されている。
【0009】
米国特許第5,380,580号は、(a)ケイ酸アルミニウム系繊維の総重量に対して60重量%〜約85重量%の範囲の酸化アルミニウム及び40重量%〜約15重量%の範囲の酸化ケイ素を含み、ケイ酸アルミニウム系繊維が少なくとも20重量%の結晶性であるケイ酸アルミニウム繊維、(b)結晶性石英繊維、及び(c)(a)及び(b)の混合物からなる群から選ばれる塊りのないセラミック酸化物繊維を含む柔軟性に富む不織布マットを記述しており、ケイ酸アルミニウム系繊維と結晶性石英繊維を合わせた重量は不織布マットの総重量の少なくとも50重量%である。柔軟性に富む不織布マットはさらに、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、ガラス繊維、ステンレススチール繊維、黄銅繊維、不堅牢性繊維、及びこれらの混合から選択される高強度繊維を含むことができる。
【0010】
ディーゼル酸化触媒(DOC’s)は、近代的なディーゼルエンジンで、放出されるディーゼル微粒子の溶解性有機画分(SOF)を酸化するために使われる。比較的低い排気ガス温度の故に、従来の実装材料でのDOC’sの実装は問題の多いものであった。ターボチャージャー付きの直接噴射式(TDI)エンジンのような近代的なディーゼルエンジンの排気ガスは、300℃を決して超えない可能性がある。この温度は、殆どの膨張性マットを膨張させるのに必要な温度より低い。この膨張は、触媒コンバータ内に適当な圧力を生じさせ維持するために必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
米国特許第6,231,818号は、低温でディーゼル触媒を実装することの現在の困難さを、非晶質無機繊維からなる非膨張性マットを使うことによって克服することを試みている。この特許でマットは有機結合剤不要でありうることが教示されているが、例に使われるいくつかのマットは実質的な量の結合剤の使用を必要とするようである。さらに、この米国特許に開示されている実装マットが、ディーゼルエンジン、特にTDIエンジンからの排気ガスの処理にまだ適切に機能しないことが見出された。
【0012】
欧州特許第1388649号は、金属ケーシングとディーゼル汚染制御モノリスの間に配置された不織布マットで金属ケーシングに配置されたディーゼル汚染制御モノリスを含む、ディーゼルエンジンで使うのに適した汚染制御装置を開示している。不織布マットは、マットの総重量に対して、5μm又はそれ以上の数平均直径及び0.5cm〜15cmの長さを有するチョップドケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維を少なくとも90重量%含む、非膨張マットであり、ガラス繊維が、ニードルパンチ又はスティッチボンドされ、マットが有機結合剤を含まない又は実質的に含まない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
先行技術に開示されている実装マットはディーゼル汚染制御モノリスに対し良好な保持特性を提供できるが、さらに実装マットを改善する、特に低温における回復力及び保持力が望ましく改善される、要求が存在しつづけている。
【0014】
そのような改善された、より容易でより便利な方法で、またより手頃な価格で製造することができる実装マットを得ることはさらなる念願である。加えて、以下の試験、実条件取り付け試験(RCFT)(Real Condition Fixture Test)、周期的圧縮試験、及び熱振動試験、の少なくとも1つ以上においてさらに良好から優秀な性能を示す実装マットを見出すことは念願である。望ましくは、実装マットは、また良好な健康、安全、及び環境特性を有する。
【0015】
1つの観点において、本発明は、汚染制御装置に汚染制御要素又はモノリスを取り付けるための実装マットであって、無機短繊維及び無機長繊維の混合物を有する層を備え、短繊維が約13mm以下の長さを有し、長繊維が少なくとも約20mmの長さを有し、及び短繊維の量が長繊維及び短繊維の混合物の総重量を基にして少なくとも約3重量%である実装マット、を提供する。
【0016】
特殊な実施形態では、長繊維及び短繊維は、連続的に形成され細断される又は別の方法で(例えば、繊維をその後の繊維又はマットの処理工程で破断することによって)所望の長さに分割された、長セラミック繊維及び短セラミック繊維の混合物である。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、実装マットは、層の総重量に対して少なくとも約90重量%のケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維を有する層を含み、ガラス繊維は長繊維及び短繊維の混合物を含んでおり、短繊維は約13mm以下の長さを有し、長繊維は少なくとも約20mmの長さを有し、短繊維の量はガラス繊維の総重量に対して少なくとも約3重量%である。
【0018】
実装マットは、汚染制御要素又はモノリス及び特にディーゼル汚染制御要素を実装することにおいて有益な特性を有することが見出されてきた。例えば、実施例で述べる圧縮試験によって測定される低温保持力は改善されうる。少なくとも約200kPa及び、好ましくは少なくとも約250kPaの静的圧縮試験結果を示すことは、そのようなより長い繊維及びより短い繊維を含む現在の実装マットにとって望ましい。また、熱振動試験において現在の実装マットで良好な結果を得ることができる。
【0019】
別の態様において、本発明は実装マットを作る方法を提供する。方法が、複数の連続成形された無機繊維を供給すること、連続成形された無機繊維を約13mm以下の長さを有する短繊維及び少なくとも約20mmの長さを有する長繊維で長繊維及び短繊維へ分割すること、長繊維及び短繊維を繊維混合物を作るために合わせて混合すること、及び長繊維及び短繊維の混合物を使って実装マットを形成すること、を含む。分割工程が、約13mm以下の長さを有する短繊維及び少なくとも約20mmの長さを有する長繊維の少なくとも1つを製造するために実装マット形成工程の間に、長繊維及び短繊維を繊維混合物中で破断することを含みうる。分割工程が、約13mm以下の長さを有する短繊維及び少なくとも約20mmの長さを有する長繊維の少なくとも1つを製造するために、連続的に形成された無機繊維を長繊維及び短繊維に細断することも含みうる。方法は、さらに連続成形された無機繊維を分割作業を実行する前に、所望の長さより長く細断することを含みうる。
【0020】
更なる態様において、本発明は、ケーシング内に配置された汚染制御要素又はモノリスを含み、実装マットがケーシングと汚染制御要素の間に配置されており、実装マットが上記に規定される実装マットである、汚染制御装置を提供する。
【0021】
さらに別の態様では、本発明は、ディーゼルエンジン及び上記に規定されている汚染制御装置を備える機械を提供する。
【0022】
まださらなる態様では、本発明は、上記に規定される汚染制御装置に排気ガスを導入することでディーゼルエンジンからの排気ガスを処理する方法を提供する。
【0023】
用語「ディーゼル汚染制御要素」は、ディーゼルエンジンからの排気ガスによって引き起こされる汚染を減らすのに適し及び/又は採用される構造を意味し、とりわけ例えば350℃以下の低い温度で汚染を減らすよう作用する一体型構造物を含む。ディーゼル汚染制御要素は、触媒担体、ディーゼル微粒子フィルター要素又はトラップ、及びNOx吸着装置又はトラップを含むがこれに限定されるものではない。
【0024】
用語「ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維」は、他の酸化物特に他の金属酸化物の存在を排除することなく、ケイ素、アルミニウム及びマグネシウムの酸化物からなるガラス繊維を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1を参照すると、汚染制御装置10は、一般に円錐台形の入口及び出口末端部、それぞれ12及び13を有する金属ケーシング11を備える。ケーシング11内に配置されているのは、汚染制御モノリス20である。本発明の特定の実施形態に従えば、汚染制御モノリス20は、例えば、複数のそこを抜けるガス流路(示されていない)を有するハニカム構造の一体型ボディから形成されたディーゼル汚染制御モノリスである。汚染制御モノリス20は、ガソリンエンジンからの排気ガスの処理に採用されるものであってもよい。それにもかかわらず、本発明の実装マットは、特にディーゼル汚染制御モノリスと共に使うのに適しており、従って本発明はディーゼルエンジン排気ガスの処理に関連してさらに記述されるが、本発明を限定する意図は無い。ディーゼル汚染制御モノリス20の周囲は、長無機繊維及び短無機繊維、例えば長く及び短く細断された、ないしは別の方法で分割された(例えば、繊維又はマット処理の次工程で繊維を破断することによって)ケイ酸アルミニウムガラス繊維の層を含む実装マット30であり、ケーシング11内に一体型要素20をしっかりとしかし弾力的に支持する役目をはたす。実装マット30は、ディーゼル汚染制御モノリス20をケーシングの中で定位置に保持し、ディーゼル排気ガスがディーゼル汚染制御モノリス20を迂回するのを防止し又は最小にするために、ディーゼル汚染制御モノリス20とケーシング11の間の隙間を密封する。
【0026】
金属ケーシングは、ステンレススチールを含むそのような用途に対し当該技術分野において既知の材料から作ることができる。
【0027】
汚染制御装置10に使うディーゼル汚染制御モノリスの実施例は、触媒コンバータ及びディーゼル微粒子フィルター又はトラップを含む。触媒コンバータは、典型的に金属ハウジング内に実装された一体型構造物にコーティングされた触媒を含む。触媒は、作用し、効果的であり、低温であり、350℃以下であるように、適合させられる。一体型構造物は、典型的にセラミックであるが、金属モノリスも使われてきた。触媒は、大気汚染を制御するために、排気ガス中の一酸化炭素及び炭化水素を酸化させ、窒素酸化物を還元する。ガソリンエンジンでは3つのこれら汚染物質全てが、いわゆる「三元コンバータ」内で同時に反応しうるが、殆どのディーゼルエンジンは、ディーゼル酸化触媒コンバータのみを装備している。今日ディーゼルエンジンに対して限られた使い方しかされていない窒素酸化物を減らすための触媒コンバータは、一般に別々の触媒コンバータからなる。触媒担体として使われる好適なセラミックモノリスは、コーニング有限会社(Corning Inc.)(ニューヨーク州コーニング(Corning N.Y))の商標名である「セルカー(CELCOR)」から市販、またNGK絶縁有限会社(NGK Insulated Ltd)(日本、名古屋)の商標名である「ハニーセラム(HONEYCERAM)」から市販。
【0028】
ディーゼル微粒子フィルター又はトラップは、典型的に、多孔質の結晶性セラミック材料から作られるハニカム状の一体型構造体を有する、典型的に壁状フローフィルターである。ハニカム構造の代替セルは典型的に、1つのセルに入った排気ガスが多孔質の壁を通って、構造体から出ることができる隣接したセルに強制的に抜けるように詰められている。このようにして、ディーゼル排気ガス中に存在する小さな煤煙粒子が集められる。コージライトから作られる好適なディーゼル微粒子フィルターは、コーニング有限会社(Corning Inc.)(ニューヨーク州コーニング( Corning N.Y.))から、またNGK絶縁有限会社(NGK Insulated Inc.)(日本、名古屋)から商業的に得られる。シリコンカーバイドから作られたディーゼル微粒子フィルターは、イビデン株式会社(Ibiden Co. Ltd.)(日本)から商業的に得られ、また例えば日本公開特許第2002047070A号に記載されている。
【0029】
長繊維及び短繊維の混合物の繊維は、好ましくは非呼吸性である。繊維は、典型的に少なくとも5μmの平均直径を有する。好ましくは、平均直径は少なくとも7μmであり、また典型的には7μm〜14μmの範囲である。一般に長繊維及び短繊維の混合物は、連続的に形成されたセラミック繊維、例えばガラス繊維の混合物である。典型的に短繊維は、13mm以下、例えば10mm又は8mm以下の長さを有する。長繊維は、典型的に少なくとも20mm、例えば少なくとも25mm又は特定の実施形態では少なくとも30mmの長さを有する。長繊維の最大長さは特に重大ではないが、便宜的には最大約15cmである。短繊維の量は、典型的に長繊維及び短繊維の混合物の総重量に対して少なくとも3重量%、例えば、少なくとも5重量%又は特殊な実施形態では少なくとも6重量%である。典型的に長繊維及び短繊維の混合物は、層における繊維の少なくとも50重量%、例えば、層における繊維の総重量の少なくとも80重量%及び典型的には多分90重量%又は約100重量%を構成する。一般に短繊維が、繊維層全体に均質に分散していることが望ましい。この文脈で「均質」は、層中に短繊維が濃縮された区域が無いか又は小さくあるだけであると理解されるべきである。換言すれば、第一層はかなり均一にみえるはずである。それにもかかわらず、層内での短繊維の不均一又は不均質な分散は同じように使うことができるが、そのとき前述の利点を得るために一般には多量の短繊維を使うことが必要になる。
【0030】
短繊維及び長繊維の混合物を包含する層は、13mm及び20mmの間の長さを有する繊維を含む他の繊維を含んでもよい。特殊な実施形態において、短繊維及び長繊維の混合物は、ガラス繊維の混合物、特にケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維である。特殊な実施形態では、実装マットの繊維層は、実装マットの層における繊維の総重量の少なくとも50重量%を構成する長ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維及び短ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維の混合物を含む。特殊な実施形態では、混合物の量は、少なくとも60%又は少なくとも80%であり、典型的な実施形態では繊維層のほぼ全て(90%〜100%)が長ケイ酸アルミニウムガラス繊維及び短ケイ酸アルミニウムガラス繊維の混合物によって構成されている。
【0031】
繊維が、好ましくは個別化される。個別化された(即ち、各繊維を互いに分離する)繊維を供給するために、繊維のトウ又は糸が、例えば、ガラスロービングカッター(例えば、カリフォルニア州パコマ(Pacoma, Calif.)のフィンアンドフラム有限会社(Finn & Fram, Inc.)の商標名である「モデル90ガラスロービングカッター(MODEL 90 GLASS ROVING CUTTER)」で商業的に得られる)を使って所望の長さに細断され得る。繊維は典型的に、塊りを含まないか又は非常に低い量、典型的には繊維の総重量に対して1重量%未満の、塊りを含む。加えて、繊維は、典型的に適度に均一な直径であり、即ち、平均値の+/−3μm以内の直径を有する繊維の量は、一般に繊維の総重量の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%及び最も好ましくは少なくとも90重量%である。
【0032】
マットは、異なる繊維の混合物、例えばケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維と、例えばアルミニウムシリカ繊維又は多結晶性繊維のような他の繊維との混合物を含んでもよい。しかし好ましくは、マットは、実質的に全て又は殆どケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維しか含まない。もし他の繊維がマットに含まれるならば、それらは短繊維及び長繊維混合物の層に含まれてよいか、或いはそれらは実装マットの別々の層又は部分に存在し得る。一般に、ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維以外のさらなる繊維は、非晶質繊維であり、またそれらは好ましくは少なくとも5μmの平均直径も有するべきである。好ましくは、マットは、直径3μm以下の繊維を含むか実質的に含まず、より好ましくはマットは直径5μm未満の繊維を含むか実質的に含まない。本明細書で本質的に含まないとは、そのような小さな直径の繊維の量がマットにおける繊維の総重量の2重量%以下、好ましくは1重量%以下であることを意味する。
【0033】
本発明において使用しうるケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維の例は、10重量%及び30重量%の間の酸化アルミニウム、52重量%及び70重量%の間の酸化ケイ素、並びに1%及び12%の間の酸化マグネシウムを有するガラス繊維を含む。前述の酸化物の重量パーセントは、Al23、SiO2、及びMgOの理論的な量に基づいている。ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維が、追加の酸化物を含んでよいことはさらに理解される。例えば、存在してもよい追加の酸化物は、酸化ナトリウム又は酸化カリウム、酸化ホウ素及び酸化カルシウムを含む。マグネジウムアルミニウムケイ酸塩ガラス繊維の特殊な例は、典型的に約55%のSiO2、約11%のAl23、約6%のB23、約18%のCaO、約5%のMgO及び約5%の他の酸化物の組成物を有するE−ガラス繊維、典型的に約65%のSiO2、約25%のAl23及び約10%のMgOの組成物を有するS及びS−2ガラス繊維、並びに典型的に60%のSiO2、25%のAl23、9%のCaO及び6%のMgOの組成物を有するR−ガラス繊維を含む。E−ガラス、S−ガラス及びS−2ガラスは、例えばアドバンストグラスファイバーヤーン有限責任会社(Advanced Glassfiber Yarns LLC)から得られ、またR−ガラスは、セントゴバインヴィトロテックス(Saint-Gobain Vetrotex)から得られる。
【0034】
実装マットを作る特殊な方法において、繊維は切られ又は細断され、それからそれらを従来の2ゾーンラロシュオープナー(two zone Laroche Opener)(例えば、フランス、ラクール市のラロシュS.A.社(Laroche S.A., Cours la Ville, France)から商業的に得られる)を通すことによって分けることができる。繊維は、またそれらをハンマーミル、好ましくは送風排出ハンマーミル(blow discharge hammer mill)(例えば、オハイオ州チフィンのC.S.ベル社の商標名である「ブロアーディスチャージモデル20ハンマーミル」から市販(commercially available under the trade designation “BLOWER DISCHARGE MODEL 20 HAMMER MILL” from C.S. Bell Co. of Tiffin, Ohio))を通して分けることもできる。効果は少ないが、イリノイ州シカゴのW.W.グレンジャー(W. W. Grainger of Chicago, Ill.)から市販の商標名である「ダイトンラジアルブロアー(DAYTON RADIAL BLOWER)」モデル3C539、31.1cm(12.25インチ、3馬力、のような従来のブロアーを使って繊維は個々に分けることができる。細断された繊維は、通常、ラロシュオープナーを一度だけ通す必要がある。ハンマーミルを使うときは、それらは一般に二度通されなければならない。ブロアーが単独で使われると、繊維は典型的にそれに少なくとも二回通される。好ましくは、繊維の少なくとも50重量%が、実装マットの層に形成される前に別々に分けられる。そのような分離処理工程が、所望よりも長い繊維を所望の長さに、さらに分割又は破断するために使われうることが見出されてきた。
【0035】
実装マットを作成する方法によると、裁断され、別々に分けられた繊維は、従来のウェブ成形機(例えば、ニューヨーク州マチェドン(Macedon, N.Y.)のランドマシン社(Rando Machine Corp.)の商標名である「ランドウエバー(RANDO WEBBER)」、又はデンマークのスキャンウェブ社(ScanWeb Co.)からの「ダンウェブ(DAN WEB)」から市販)に供給され、繊維は、ワイヤスクリーン又はメッシュベルト(例えば、金属又はナイロンベルト)の上に引き出される。もし「ダンウェブ」−タイプウェブ−成形機が使われるならば、繊維は、好ましくはハンマーミルを使って次いでブロアーで個別化される。約2.5cmを超える長さを有する繊維は、ウェブ形成工程で混線する傾向がある。マットの処理を容易にするために、マットはスクリムの上で形成されてもよく、又は上に置かれ得る。繊維の長さに依存して、結果として得られるマットは典型的に、ニードルパンチ機に支持体(例えば、スクリム)を必要としないで移送される十分な取り扱い性を有する。
【0036】
短繊維及び長繊維の工夫に富む混合物は、所望の短繊維及び長繊維の混合物をウェブ形成機に供給することによって実現されてもよい。或いは、所望よりも長い繊維だけが、ウェブ形成機に供給されることが可能であり、個別化及び/又はウェブ形成の条件は、通常の場合のように繊維の切断を避ける条件を設定するよりはむしろある程度の量の繊維を慎重に切断させるように、設定される。その場で繊維を分割又は切断する方法は、特に繊維層で繊維の均一分散を生じるのに適している。しかし、所望の混合物をウェブ形成プロセスに供給することも可能である。また、所望の短繊維及び長繊維の混合物の供給及び所望よりも長いある程度の量の繊維を切断させる条件との組合せも実行できる。
【0037】
実装マットの作成において繊維の切断又は他の分割は、個々の繊維に応力を加えること、例えば繊維ストランド(束)を間隙を通し、テーカインロールが高速回転している間に間隙内で繊維をクランプして供給し、又は繊維の切断を起こすピン又は歯を持つテーカインロールを使うこと、によって引き起こされてもよい。繊維の切断は、開口部或いはウェブ形成段階のどちらか又は両方で起きてもよい。
【0038】
特殊な実施形態においては、実装マットは、ニードルパンチされた不織布マットである。ニードルパンチされた不織布マットとは、例えばかかりのついた針による、複数の全体的又は部分的(好ましくは、全体的)なマットの貫通によってもたらされる繊維の物理的なもつれがあるマットのことを言う。不織布マットは、従来のニードルパンチ装置(例えば、ドイツのディロ(Dilo of Germany)の商標名である「ディロ(DIRO)」の市販のニードルパンチャーで、かかりのついた針(例えばウイスコンシン州マニトウォク(Manitowoc, Wis.)のフォスターニードルカンパニー社(Foster Needle Company, Inc.,)から市販)を備えた)を使って、ニードルパンチされた不織布マットを提供するために、ニードルパンチすることができる。繊維のもつれを与えるニードルパンチングは、典型的にマットを圧縮し、それからかかりのついた針をマットを貫いて押込んで引き出すことを含む。マットの面積当たりのニードルパンチの最適な数は、特定の用途によって変わる。典型的には、不織布マットは、約5/cm2〜約60/cm2のニードルパンチを供給するようにニードルパンチされる。好ましくは、マットは、約10/cm2〜約20/cm2のニードルパンチを供給するようにニードルパンチされる。
【0039】
好ましくは、ニードルパンチされた不織布マットは、約1000g/m2〜約3000g/m2の範囲にある単位面積当たりの重量値、また別の態様では約0.5センチメートル〜約3センチメートルの範囲の厚さを有する。5kPaの荷重下での典型的な嵩密度は、0.1g/cc〜0.2g/ccの範囲である。
【0040】
不織布マットは、従来のテクニック(例えば、米国特許番号第4,181,514(レフコヴィッツ(Lefkowitz)ら)を参照、その開示は本明細書にスティッチボンディング不織布マットの教示のために参照として盛り込まれている)を使ってスティッチボンドすることができる。典型的に、マットは、有機系の糸でスティッチボンドされる。有機又は無機のシート材料の薄い層が、スティッチボンディングの間、糸がマットを通して切断することを防ぎ又は最小にするために、マットのどちらか一方又は両方のサイド上に置かれ得る。使用する際にスティッチング糸が分解しないことが望まれるところでは、セラミック又は金属(例えば、ステンレススチール)のような無機繊維を使うことができる。スティッチの間隔は、繊維がマットの全領域で均一に圧縮されるように、通常3mm〜30mmである。本発明の特定の実施形態にしたがって、マットはケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維の複数の層、そのうちの少なくとも1つは短繊維及び長繊維の混合物を有する、を含んでよい。そのような繊維は、使われる繊維の平均直径、使われる繊維の長さ、及び/又は使われる繊維の化学的組成で、互いに区別されてよい。温度での繊維の熱抵抗性及び機械的強度は、組成及び程度は少ないが繊維直径で変わる故に、コストを最小にして性能を最適にするように繊維層を選ぶことができる。例えば、E−ガラスの層と組み合わせたS−2ガラスの層層からなる不織布マットは、ディーゼル触媒コンバータを実装することができる。使用中、S−2ガラス層は、より熱い触媒コンバータのモノリス側に対して直接配置され、一方E−ガラス層は、より冷たい触媒コンバータの金属ハウジング側に対している。層状混合マットは、S−2ガラス繊維のみからなるマットに比べて大幅に減らしたコストで、E−ガラス繊維のみからなるマットよりかなり高温に耐えることができる。層状マットは、最初に特定のタイプの繊維を有する個々の不織布マットを先に述べた成形技術を使って形成することによって、製造する。これらの層は、次に所望の別個の層を有する完成したマットを形成するために一緒にニードルボンドされる。
【0041】
本発明の実装マットは、特にディーゼル汚染制御モノリスを汚染制御装置に実装するのに適している。典型的に、マットの実装密度、即ち組み立て後のマットの嵩密度は、モノリスを定位置に安全に保持するよう十分な圧力を与えるために、少なくとも0.2g/cm3にすべきである。約0.70g/cm3より上の実装密度で繊維は、ひどく破砕され得る。非常に高い実装密度でも、モノリスが汚染制御装置の組み立て中に壊れる危険がある可能性がある。好ましくは、実装密度は、約0.25g/cm3〜約0.45g/cm3の間にあるべきである。汚染制御装置は、ディーゼルエンジン排気ガスの処理におけるような低温用途の使用に対して優れた性能特性を有する。汚染制御装置は、そこに備えられているディーゼルエンジンから出る排気ガスを処理するために、固定機械に使われてもよい。そのような固定機械は、例えば電気又はポンプ流体を発生させる電源を含む。
【0042】
汚染制御装置は、特にモータービヒクルのディーゼルエンジンからの排気ガスの処理に適している。そのようなモータービヒクルの例は、汽車、バス、トラック及び「低定員」乗用車を含む。「低定員」乗用車は少人数、典型的には15人以下、の乗客を運ぶために設計された自動車を意味する。それらの例は、乗用車、バン及びいわゆる一人乗り(mono-volume)自動車を含む。汚染制御装置は、特にヨーロッパでモータービヒクルに非常に頻繁に使われているターボチャージャー付直接噴射式ディーゼルエンジン(TDI)からの排気ガスの処理に、特に適している。
【0043】
以下の実施例は本発明を更に、しかし本発明の範囲をそれに加えて制限する意図無しに、説明する。
【実施例】
【0044】
実施例で用いられる材料
平均直径約10μm及び長さ36mmのR−ガラス繊維(RC−10P109)(フランス、チャンベリセデクスのセントゴバインヴィトロテックスフランス社(Saint-Gobain Vetrotex France SA, Chambery Cedex, France)から得られる)が使われる。
【0045】
試験方法
繊維長の測定
繊維長の測定は、12.7mm未満の長さを有する繊維の量を決めるために、実施例で準備されたマットからの試料について実施される。
【0046】
試験装置は、試料の重さを検知するためのはかり、繊維束が単繊維測定のために分離される領域、及び単繊維が光センサーを通過して空気で輸送される領域を備えている。使用された特殊な装置は、モデル「アドバンストファイバーインフォメーションシステム(Advanced Fiber Information System)」(AFIS)(スイス、ウスター、ウスターテクノロジー株式会社(USTER Technologies AG, Uster, Switzerland))として市販されている測定装置である。機器は、繊維長測定のために「L−モジュール」モードで使われる。機械は、既知の長さのポリエステル繊維を使って較正される。
【0047】
各々約0.5gを秤量された繊維10試料が、試験されるためにマットから取り出される。各試料は、次にAFISテスターで秤量される。試料は、次に繊維が輸送方向に平行になるよう繊維束が向いていることを確かめながら、手で輸送バンドに置かれる。
【0048】
繊維が、逆回転しているカーディングロールが繊維束が単繊維に分けられた細い針を有する分離領域に、自動的に搬送される。繊維は、次にさらに、決められた速度で空気流によって、光学的赤外線センサーを通過して空気輸送される。このセンサーは、単繊維の数及びそれらの長さを検知する。測定は、3000繊維を検知した後に終了する。
【0049】
テスト結果は、繊維の頻度(%)対繊維長(mm)、を示すグラフとして表示される。グラフから、12.7mm未満の長さを有する繊維のパーセンテージが、AFISシステムに内蔵されたソフトウエアを使って導かれる。10測定が、平均され報告される。報告されたパーセンテージは、W、重量に対しての繊維の中央値の長さ、に基づく。
【0050】
静的圧縮試験
静的圧縮試験は、圧縮に対する抵抗性を決めるために実施例で準備されたマットについての周囲条件で実施される。試験装置は、互いに向かって進むことができる2つのアンビルを、それらの間に置かれたマット試料を圧迫するように、備える。使われた特殊な装置は、材料試験システム(Material Test System)モデルRT/30(米国、ミネソタ州エデンプレイリー、MTSアライアンス(商標)(MTS Allience, Eden Prairie MN, USA)から得られる)である。装置は、マット試料の圧縮に対する抵抗性を測定するために5kNのロードセルと、及び圧縮の様々なステージでの試料の厚さを測定する高さ測定装置とが取り付けられる。
【0051】
試料は、完成した実装マットから50.8mmの直径の円形に型抜きすることで準備される。3試料が、端から少なくとも25mmでマットの幅を横切って等間隔で取り出される。試料間の距離は、少なくとも100mmである。各試料は、面積当たりの重量約1300g/m2(+/−15%)を有した。試験は、以下の手順で実施される。各試料は、最初に秤量される。次に、各試料の面積当たりの重量は、試料の重量を試料の表面積(既知の直径50.8mmから計算する)で割ることによって計算され、g/mm2で記録される。
【0052】
最終的な圧縮された密度0.40g/cm3に達するために必要なアンビル間の間隙が次に計算される。これは圧縮に対する抵抗を測るには所望の密度である。
【0053】
計算例:
【0054】
【数1】

【0055】
このように、1300g/m2の面積当たりの重量及び初期密度約0.15g/cm3をもつ試料は、最終的な密度0.4g/cm3を得るために厚さ0.325cm(3.25mm)に圧縮される必要がある。試料は、次に試験装置の下のアンビルに置かれる。アンビル間の間隙は、次にアンビル間の距離20mmから始まって、1分当たり25.4mmの速度で閉じられる。アンビルの前進は、次いで上で計算されたアンビル間の間隙で止められる。
【0056】
計算された間隙距離での45秒間の圧縮の後、圧縮に対する抵抗性が測定されkPaで記録される。
【0057】
(実施例1)
平均直径約10μm及び長さ36mmのR−ガラスP109繊維は、フランス、チャンベリセデクス、セントゴバインヴィトロテックスフランス社(Saint-Gobain Vetrotex France SA, Chambery Cedex, France)から得られる。繊維は、実質的に塊りの無いものである。
【0058】
40kgの量のガラス繊維が、ピンを備えたテーカインロールを有するラロッシュオープナーに広げられる。ストランドは、第二領域に搬送速度3m/min及び2,000rpmのテーカインロール速度で直接供給される。排出速度は、6.0m/minである。広げられた繊維は、次いで従来のウェブ形成機ランドウエバー(Rando webber)に供給され、繊維は連続ウェブを形成するために多孔質の金属ロール上に吹き出される。テーカインロールは、歯を有し、テーカインの速度は1900rpm、持ち上がり装置の速度は300rpm、ストリッパーの速度は350rpmである。フィードロールの速度は1.1rpmであり、フィーダーの押下は51.7kPa(7.5psi)であり、ウエバーの押下は48kPa(7psi)である。蓋の開口は、30mmである。ライン速度は、1m/minである。
【0059】
連続ウェブは、次いで従来のニードル打ち込み機でニードルボンドされた。ニードルタイプGB15×16×312R222G53047(ドイツ、グロズベッケルトグループ(Groz-Beckert Group, Germany))。ニードル密度は、19の目盛り付けされた天板でランダム化されたcm2当たり1.2ニードルである。ニードルボードは、頂上からニードル回転数100サイクル/分で稼動する。投入速度は、1m/minであり、排出速度は1.05m/minである。ニードルの侵入は10mmであり、製品はcm2当たり24パンチを有し、ランド(Rando)坪量は1000g/m2である。
【0060】
開繊プロセスは、従来の条件で行われるが、しかしウェブ形成はピンに代わって歯を持ったテーカインロールが使われた事実により非常に挑戦的である。このことが、12.7mmより短い長さを有する繊維のパーセンテージを10.5にする結果になる。
【0061】
表1は、実施例1の製造のためのプロセスパラメータを要約している。表1にはまた、上述の試験方法に従って測定された、12.7mmより短い長さを有する繊維の%表示の量がある。表1では、各実施例に対するプロセスパラメータが、殆どの切断が生じたプロセス工程に関係なく、平滑、適度、挑戦的の区分に分けられている。静的圧縮試験の結果は、表1で見つけることができる。
【0062】
(実施例2)
実施例2は、ピンを装備したテーカインロールを各々有するラロッシュの前開繊機及び精密開繊機が使われたことを除き、実施例1に記述された方法によって準備される。
【0063】
回転速度は、両開繊機ロールとも2000rpmであり、前開繊機の間隙は0.8mmであり、精密開繊機の間隙は実施例2に対しては2mmであった。
【0064】
実施例2の生産に使われたウェブ成形機は、ピン付きのテーカインロールが装備されたラロッシュのウェブ成形機である。回転速度は、2000rpmであった。ラインスピードは、2.4m/minである。
【0065】
ニードルプロセスは、天板及び底板を持つディロ(Dilo)(商標)タッカー上でなされる。侵入深さは15mmであり、ニードル頻度は分当たり330hubsである。タッカーのラインスピードは、3m/minである。
【0066】
開繊プロセスは、両開繊工程において、固定された繊維とテーカインロールのピンの間のやや小さい開口部の間隙によって得られた、積極的な条件で行われる。個々の繊維は、小さな間隙を通ってそれらを搬送する時に、テーカインロールのピンによってより効果的に叩かれる。しかしながら、ウェブ形成は、ピンを持つテーカインロールが歯を持つそれに代わって使われたという事実による繊維の切断を避けるために設計される。ウスターAFIS試験方法は、12.7mm未満の長さの繊維6.5%を示す。
【0067】
実施例2は、上述のように低温圧縮試験でテストされる。結果は、表1に要約されている。
【0068】
(実施例3)
実施例3は、第一開繊機における間隙が2mm、第二開繊機の間隙が3mmであることを除いて、実施例2に記述された方法によって準備される。
【0069】
ニードルタッキングと同様に、ウェブ形成は、ニードル頻度が分当たり300hubsであることを1つの例外として、実施例2に記載されたものと同じ方法によって進められる。
【0070】
開繊プロセスは、両開繊工程において開口部の適度な間隙によって得られた適度の条件で行われる。2mm及び3mmの小さな間隙は、実施例2におけるより繊維の切断発生が少ない。このことは、12.7mm未満の長さの繊維が4.3%という結果になったウスターAFIS試験方法から分かる。
【0071】
実施例3は、上述のように低温圧縮試験でテストされる。結果は、表1に要約されている。
【0072】
(実施例4)
実施例4は、開繊機が、80重量%の直径約10μm、長さ36mm(1.5インチ)に細断された、R−ガラス繊維(R−ガラス分散性チョップトストランド、セントゴバインヴィトロテックスフランス社、シャンベリセデックス、フランス(Saint-Gobain Vetrotex France SA, Chambery Cedex, France)から得られる)及び20重量%の直径約10μm、長さ12mm(0.5インチ)に細断されたR−繊維(同じ供給元から得られる)からなる繊維混合物を供給されたことを除いて実施例2で記述された方法で準備される。
【0073】
ニードルタッキングと同様にウェブ形成は、実施例2に記述されたのと同じ方法で進めらる。プロセスパラメータは表1に要約されている。
【0074】
0.8mm及び2mmの間隙で繊維にかかる機械的応力は、実施例2に記述されているのと同様である。
【0075】
実施例4は、上述のように低温圧縮試験でテストされる。結果は、表1に要約されている。
【0076】
(実施例5)
実施例5は、繊維が第1及び第2開繊機を通って処理される前に、第3開繊機を通って積極的に前開繊されたこと、第1開繊機の間隙が3mmであり、第2開繊機の間隙が4mmであったこと、を除いて実施例2に記述された方法によって準備される。第3開繊機は、1.0mmの間隙でセットされ、また開繊機2(ロロシュ社、クールスラヴィレ、フランス(Laroche S.A., Cours la Ville, France)から市販)と同じ製造者によって製造されているが、開繊機2に見られるピンの数の2倍を使う。
【0077】
ニードルタッキングと同様にウェブ形成は実施例2に記述されたのと同じ方法で進められる。実施例5のプロセスパラメータは、表1に要約されている。
【0078】
実施例5は、上述のように低温圧縮試験でテストされる。結果は、表1に要約されている。
【0079】
比較例1
比較例1は、第1開繊機の間隙が3mm、第2開繊機の間隙が4mmであることを除いて実施例3に記述された方法によって準備される。
【0080】
ニードルタッキングと同様にウェブ形成は実施例3に記述されたのと同じ方法で進められる。
【0081】
開繊プロセスは、両開繊工程において開口部の広い間隙によって得られた穏かな条件で行われる。3mm及び4mmの間隙で発生した応力は、実施例2及び3におけるよりも少ない繊維の切断を引き起こす。比較例1のプロセスパラメータは、表1に要約されている。試験結果は、表1で見られる。
【0082】
【表1】

【0083】
* 積極的に前開繊された
単に本発明の説明及びより良い理解の目的のために、並びに、その上いかなる方法でも本発明を限定する意図無しに図面が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】分解された関係で示された本発明の触媒コンバータの透視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染制御装置に汚染制御要素を取り付けるための実装マットであって、無機長繊維及び無機短繊維の混合物を有する層を備え、前記短繊維が約13mm以下の長さを有し、前記長繊維が少なくとも約20mmの長さを有し、及び前記短繊維の量が長繊維及び短繊維の前記混合物の総重量を基にして少なくとも約3重量%である、前記実装マット。
【請求項2】
長繊維及び短繊維の前記混合物がガラス長繊維及びガラス短繊維の混合物である、請求項1に記載の実装マット。
【請求項3】
前記層の総重量を基にして長繊維及び短繊維の前記混合物の少なくとも約90重量%が、ケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維である、請求項1又は2に記載の実装マット。
【請求項4】
前記短繊維の量が少なくとも約5重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項5】
前記長繊維の長さが少なくとも約25mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項6】
前記短繊維及び長繊維が、長繊維及び短繊維の前記混合物を有する前記層の繊維の少なくとも約50重量%を構成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項7】
前記マットが、チョップドケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維の単一層からなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項8】
前記マットが、2層以上のチョップドケイ酸マグネシウム・アルミニウムガラス繊維の層を含み、その少なくとも1つの層が請求項1〜6のいずれかで規定される前記長ガラス繊維及び前記短ガラス繊維の混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項9】
前記マットが、静的圧縮試験結果で少なくとも約200kPaを示す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項10】
前記マットが、静的圧縮試験結果で少なくとも約250kPaを示す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の実装マット。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の実装マットを製造する方法であって、
複数の連続的に作成された無機繊維を準備する工程、
連続的に作成された無機繊維を、約13mm以下の長さを有する短繊維及び少なくとも約20mmの長さを有する長繊維により、長繊維及び短繊維に分割する工程、
長繊維及び短繊維を混合して繊維混合物を形成する工程、及び
長繊維及び短繊維の混合物を使って実装マットを形成する工程、を備える、前記方法。
【請求項12】
前記分割が、約13mm以下の長さを有する短繊維及び少なくとも約20mmの長さを有する長繊維の少なくとも1つを製造するために前記実装マット形成の間に、長繊維及び短繊維を前記繊維混合物中で破断することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分割が、約13mm以下の長さを有する短繊維及び少なくとも約20mmの長さを有する長繊維の少なくとも1つを製造するために、連続的に形成された無機繊維を長繊維及び短繊維に細断することを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の方法であって、
前記分割を実行する前に、連続的に形成された無機繊維を所望の長さより長く細断することを含む、方法。
【請求項15】
ケーシング内に配置された汚染制御要素を含み、実装マットが前記ケーシングと前記汚染制御要素の間に配置されており、前記実装マットが、請求項1〜10のいずれか一項で規定される実装マットである、汚染制御装置。
【請求項16】
前記汚染制御要素が、ディーゼル汚染制御要素である、請求項15に記載の汚染制御装置。
【請求項17】
前記実装マットの実装密度が、約0.2g/cm3〜約0.7g/cm3の範囲である、請求項15又は16に記載の汚染制御装置。
【請求項18】
ディーゼルエンジン及び請求項15〜17のいずれかに規定されている汚染制御装置を備える機械。
【請求項19】
請求項15〜17のいずれかに規定される汚染制御装置に排気ガスを導入することでディーゼルエンジンからの排気ガスを処理する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−520121(P2009−520121A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545750(P2008−545750)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/047428
【国際公開番号】WO2007/070531
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】