説明

汚泥減容炭化装置とその方法と有機性排水処理システム

【課題】有機性産業排水処理設備から排出される多量の余剰汚泥から効率的に水分を除去することにより余剰汚泥を大幅に減容し、さらにリサイクル可能な炭化物に変換することができる汚泥減容炭化装置を提供する。
【解決手段】有機性排水処理装置から余剰汚泥を取出して処理する汚泥減容炭化装置であって、余剰汚泥に凝集剤を添加して濃縮する濃縮設備4と、濃縮設備において濃縮された前記余剰汚泥を破砕して可溶化する可溶化装置7と、可溶化装置の下流側に設けられ可溶化された前記余剰汚泥に凝結剤及び凝集剤を添加して余剰汚泥フロックを形成させる造粒設備8と、造粒設備の下流側に設けられ前記余剰汚泥フロックから余剰水を分離する脱水機9と、脱水機の下流側に設けられ脱水された前記余剰汚泥を乾燥した後炭化する炭化処理設備11とを有することを特徴とする汚泥減容炭化装置2による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性産業排水処理設備から排出される多量の余剰汚泥から効率的に水分を除去することにより余剰汚泥を大幅に減容し、さらにリサイクル可能な炭化物に変換することができる汚泥減容炭化装置とその方法及び有機性排水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理やし尿処理あるいは有機性産業排水処理においては、有機性排水に含まれる有機物、栄養塩、窒素、リン酸等を除去するために微生物の消化作用を利用して、好気条件下又は嫌気条件下、あるいはこれらを組み合わせて有機性排水を処理する方法が広く実施されている。
そして、このような微生物を利用した有機性産業排水処理においては、排水中の有機物の分解処理に伴う活性汚泥が大量に発生し、これらの活性汚泥の一部は新たな有機性産業排水処理のためにリサイクルさせる一方で、その大部分は最終的に脱水・乾燥して廃棄物として埋立処分等する必要があり、そのために必要な設備の建設や維持にはコストがかかり、その結果、下水道やし尿処理を請け負う自治体の財政を圧迫したり、住民の経済的な負担が大きくなるという課題があった。
そこで、これまでにも様々な活性汚泥の処理方法に関する技術が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、「汚泥の処理方法」という名称で、汚泥中のリン及び汚泥自体を凝集及び脱水させるための方法が開示されている。
上記特許文献1に記載の方法によれば、リンを含む汚泥にカチオン性及び/又は両性有機高分子架橋ゲルを添加して汚泥に含まれるリン分を吸着し、続いて、カチオン性及び/又は両性高分子凝集剤を添加して、リン分を凝集・脱水処理することを特徴とするものであり、カチオン性及び/又は両性有機高分子架橋ゲルや、カチオン性及び/又は両性高分子凝集剤の具体的な組成が開示されている。
上記構成の特許文献1に記載される方法によれば、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥など一般の有機汚泥からリン分を除去することができ、特に、汚泥減容化生物処理システムで発生するリン分が濃縮された汚泥から効率よくリン分を分離・除去することができるという効果を有する。
【0004】
また、特許文献2には、「有機性汚泥残渣の処理方法」という名称で、既設又は、新設の排水処理施設から排出される余剰汚泥を有機肥料等のリサイクル可能な資源に変換するための方法が開示されている。
上記特許文献2に記載の方法は、有機性産業排水処理のための設備である非連続型処理装置から出た余剰汚泥は凝沈汚泥濃縮貯留槽へ送られて濃縮され、濃縮された余剰汚泥は凝集剤タンクへ送られて凝集剤と混合され、さらに、凝集した余剰汚泥は脱水機において脱水された後に、有機汚泥処理槽において木質系チップ剤と混合されて微生物の消化作用により減容され、減容された余剰汚泥は最終的に、焼却,炭化,乾燥されて無公害の産業廃棄物や、土壌改良剤や、土壌肥料に変換されることを特徴とするものである。
特許文献2に記載の方法によれば、有機性産業排水処理設備から排出される大量の余剰汚泥を減容しかつ無公害な産業廃棄物や、リサイクル可能な資源に変換することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−89820号公報
【特許文献2】特開2002−370098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明においては、汚泥中のリン分の分離や回収を容易にすることができるものの、有機性産業排水処理設備から排出される余剰汚泥を実質的に減容したり、余剰汚泥自体を凝集する技術に関するものではなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の発明においては、有機性産業排水処理設備から排出される余剰汚泥を減容して無公害の産業廃棄物やリサイクル可能な資源に変換することができるものの、当該発明においては余剰汚泥が有機汚泥処理槽に送給されるまでの間に余剰汚泥を破砕あるいは可溶化する工程を備えていない。
そもそも有機性産業排水処理設備から排出される余剰汚泥は、そのほとんどが微生物体を構成する細胞であり、このような細胞から成る余剰汚泥をさらに微生物の消化作用により減容する場合には、細胞壁が容易に分解されず余剰汚泥が十分に減容されるまで時間がかかるという課題があった。
さらに、特許文献2に記載の方法により余剰汚泥を減容する場合、木質系チップ剤と脱水された余剰汚泥を混合撹拌する必要があり、そのための撹拌機構を備えた有機汚泥処理槽を設置するためのコストや、稼動させるためのコストがかさむという課題もあった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、有機性産業排水処理設備から排出される多量の余剰汚泥から効率的に水分を除去することにより余剰汚泥を大幅に減容し、さらにリサイクル可能な炭化物に変換することができる汚泥減容炭化装置とその方法と有機性排水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である汚泥減容炭化装置は、有機性排水処理装置から余剰汚泥を取出して処理する汚泥減容炭化装置であって、余剰汚泥に凝集剤を添加して濃縮する濃縮設備と、濃縮設備において濃縮された余剰汚泥を破砕して可溶化する可溶化装置と、可溶化装置の下流側に設けられ可溶化された余剰汚泥に凝結剤及び凝集剤を添加して余剰汚泥フロックを形成させる造粒設備と、造粒設備の下流側に設けられ余剰汚泥フロックから余剰水を分離する脱水機と、脱水機の下流側に設けられ脱水された余剰汚泥を乾燥した後炭化する炭化処理設備とを有することを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化装置において、濃縮設備は余剰汚泥に含まれる水分の一部を除去して余剰汚泥を減容するという作用を有する。また、可溶化装置は余剰汚泥を構成する微生物細胞の堅固な膜又は細胞壁を破壊して低分子糖や有機酸などの細胞質を溶出させると同時に、微生物細胞内の水分を余剰汚泥中に放出させるという作用を有する。
さらに、可溶化された余剰汚泥を造粒設備に導いて凝結剤及び凝集剤を添加して可溶化された余剰汚泥中の懸濁粒子を凝結・凝集させて余剰汚泥フロックを形成させることで、余剰汚泥中の水分を容易に分離させるという作用を有する。
続く、脱水機では凝集した余剰汚泥から水分を分離するという作用を有する。さらに、炭化処理設備は脱水された余剰汚泥を炭化物に変換するという作用を有する。
【0010】
請求項2記載の発明である汚泥減容炭化装置は、請求項1記載の汚泥減容炭化装置であって、汚泥減容炭化装置は、可溶化装置の上流にアルカリ剤添加設備及び/又は加温装置を備えることを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化装置は、請求項1記載の発明と同様の作用に加え、アルカリ剤添加設備は、余剰汚泥にアルカリ剤を添加することで、アルカリ剤と、微生物細胞膜を構成するタンパク質や糖質との化学反応により微生物細胞膜の分解あるいは破壊を促進するという作用を有する。
また、加温装置は余剰汚泥を加温することで、微生物細胞膜を構成するタンパク質や糖質を変性させて分解あるいは破壊を促進するという作用を有する。
【0011】
請求項3記載の発明である汚泥減容炭化装置は、請求項1又は請求項2に記載の汚泥減容炭化装置であって、汚泥減容炭化装置は、可溶化装置の上流に減圧装置を備えることを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同様の作用に加え、減圧装置は余剰汚泥を減圧するという作用を有する。
この結果、可溶化装置内においてキャビテーションを促進し、このキャビテーションにより可溶化装置に作用する負荷を軽減するという作用を有する。
【0012】
請求項4記載の発明である汚泥減容炭化装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の汚泥減容炭化装置であって、汚泥減容炭化装置は、可溶化装置の下流に可溶化された余剰汚泥を微生物の消化作用により減容する反応槽を備えることを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化装置は、請求項1乃至請求項3に記載のそれぞれの発明の作用に加え、反応槽は、上流の可溶化装置において可溶化された余剰汚泥内に放出された有機酸や低分子糖を微生物により生分解させることで、余剰汚泥の一部を窒素や二酸化炭素、水にまで分解して消滅させるという作用を有する。
【0013】
請求項5記載の発明である汚泥減容炭化方法は、有機性排水処理装置から余剰汚泥を取出す工程と、余剰汚泥に凝集剤を添加して濃縮する工程と、濃縮された余剰汚泥を破砕して可溶化する工程と、可溶化された余剰汚泥に凝結剤及び凝集剤を添加して余剰汚泥フロックを形成させる工程と、余剰汚泥フロックから余剰水を分離する工程と、脱水された余剰汚泥を乾燥した後炭化する工程とを有することを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化方法は、請求項1に記載された発明を方法発明として捉えたものであるため、請求項1に記載された発明と同様の作用を有する。
【0014】
請求項6記載の発明である汚泥減容炭化方法は、請求項5記載の汚泥減容炭化方法であって、汚泥減容炭化方法は、濃縮された余剰汚泥を破砕して可溶化する工程の前に、余剰汚泥にアルカリ剤を添加する工程又は余剰汚泥を加温する工程を備えることを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化方法は、請求項2に記載された発明を方法発明として捉えたものであるため、請求項2に記載された発明と同様の作用を有する。
【0015】
請求項7記載の発明である汚泥減容炭化方法は、請求項5又は請求項6記載の汚泥減容炭化方法であって、汚泥減容炭化方法は、濃縮された余剰汚泥を破砕して可溶化する工程の前に、余剰汚泥を減圧する工程を備えることを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化方法は、請求項3に記載された発明を方法発明として捉えたものであるため、請求項3に記載された発明と同様の作用を有する。
【0016】
請求項8記載の発明である汚泥減容炭化方法は、請求項5乃至請求項7記載のいずれか1項記載の汚泥減容炭化方法であって、汚泥減容炭化方法は、濃縮された余剰汚泥を破砕して可溶化する工程の後に、可溶化された余剰汚泥を微生物の消化作用により減容する工程を有することを特徴とするものである。
上記構成の汚泥減容炭化方法は、請求項4に記載された発明を方法発明として捉えたものであるため、請求項4に記載された発明と同様の作用を有する。
【0017】
請求項9記載の発明である有機性排水処理システムは、有機性排水処理装置と、この有機性排水処理装置に接続され余剰汚泥を引き抜く処理ラインと、この処理ラインに接続され余剰汚泥の一部を減容しかつ余剰汚泥の一部を引抜いて炭化処理する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の汚泥減容炭化装置とを有することを特徴とするものである。
上記構成の有機性排水処理システムにおいては、請求項1乃至請求項4に記載された汚泥減容炭化装置を含む有機性排水処理システムであり、有機性排水処理装置は有機性の排水を浄化するという作用を有し、処理しきれなかった余剰汚泥は処理ラインの作用によって引き抜かれ、その後、請求項1乃至請求項4に記載された汚泥減容炭化装置は、既に説明したようにそれぞれ作用する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の汚泥減容炭化装置によれば、可溶化装置において余剰汚泥を可溶化することで、余剰汚泥内の微生物細胞膜を破壊することができ、この結果、微生物細胞内の水分を余剰汚泥内に放出させると同時に、余剰汚泥を有機物と水分との懸濁液にすることができるという効果を有する。
また、このような懸濁液を、凝結剤及び凝集剤を用いて凝結・凝集させることで、余剰汚泥中の有機物と水分の分離を容易にできるという効果を有する。
さらに、余剰汚泥中の有機分が凝集したものを脱水することで、余剰汚泥を大幅に減容することができるという効果を有する。
最後に、脱水された余剰汚泥を炭化することで、余剰汚泥をリサイクル可能な資源に、例えば、燃料や土壌改良剤等に変換できるという効果を有する。
この結果、余剰汚泥からなる最終産物を埋立処分等の最終処分する必要がないので、余剰汚泥からなる最終産物による環境への悪影響の心配がない。
さらに、余剰汚泥の最終処分を担う自治体の財政負担を軽減できるという効果を有する。
【0019】
本発明の請求項2記載の汚泥減容炭化装置によれば、請求項1に記載の発明と同じ効果に加え、アルカリ剤添加設備又は加温装置/これら両方を備えることで、可溶化装置における微生物細胞膜の分解あるいは破壊を促進することができるという効果を有する。
この結果、以後の工程において余剰汚泥中の有機分と水分の分離を促進することができ、余剰汚泥の減容効率を高めることができるという効果を有する。
さらに、可溶化装置における微生物細胞膜の分解あるいは破壊が容易となるため、可溶化装置の負荷を軽減することができ、この結果、可溶化装置の破損や不具合を防止することができるので、本発明の請求項2記載の汚泥減容炭化装置のメンテナンスに係るコストを引き下げることができるという効果を有する。
【0020】
本発明の請求項3記載の汚泥減容炭化装置によれば、請求項1又は請求項2記載の発明と同じ効果に加え、可溶化装置の上流側に減圧装置を備えることで、可溶化装置に送給する余剰汚泥を減圧することができるという効果を有する。
この結果、余剰汚泥内の微生物細胞が膨張して微生物細胞壁の破壊が促進されると同時に、余剰汚泥が可溶化装置に送給された際に、可溶化装置内においてキャビテーションを促進するという効果を有する。
また、このキャビテーションの作用により可溶化装置において余剰汚泥を可溶化する際の負荷が軽減され、可溶化装置を作動させるための動力を節約できるという効果を有する。
この結果、請求項3記載の汚泥減容炭化装置の稼動やメンテナンスにかかるコストを削減できるという効果が期待できる。
この結果、以後の工程において余剰汚泥中の有機分と水分の分離を促進することができ、余剰汚泥の減容効率を高めることができるという効果を有する。
【0021】
本発明の請求項4記載の汚泥減容炭化装置によれば、請求項1乃至請求項3に記載のそれぞれの発明の効果に加え、可溶化装置の下流に反応槽を備えることで、余剰汚泥の一部を消滅させることができるという効果を有する。
この結果、余剰汚泥の減容効率を一層高めることができるという効果を有する。
【0022】
本発明の請求項5記載の汚泥減容炭化方法は、請求項1に記載の発明の効果と同じ効果を有する。
【0023】
本発明の請求項6記載の汚泥減容炭化方法は、請求項2に記載の発明の効果と同じ効果を有する。
【0024】
本発明の請求項7記載の汚泥減容炭化方法は、請求項3に記載の発明の効果と同じ効果を有する。
【0025】
本発明の請求項8記載の汚泥減容炭化方法は、請求項4に記載の発明の効果と同じ効果を有する。
【0026】
本発明の請求項9記載の有機性排水処理システムは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の汚泥減容炭化装置を備える有機性排水処理システムであり、有機性排水処理システムから排出される余剰汚泥を高効率で減容することができ、しかも、最終生産物である減容汚泥をリサイクル可能な炭化物に変換することができるという効果を有する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態に係る汚泥減容炭化装置およびそれを用いた有機性排水処理システムについて図1及び図2を参照しながら説明する。
有機性排水を微生物の消化作用を利用して排水中の有機物を生分解すると、微生物細胞により構成された余剰汚泥が大量に発生する。
そこで、本発明の実施の形態に係る有機性排水処理システムは、大量に発生した余剰汚泥から水分を高効率で除去して大幅に減容し、さらにこのように減容された汚泥を最終的にリサイクル可能でかつ無公害な炭化物に変換することができるよう構成されるものである。
以下に、図1を参照しながら本発明の実施の形態に係る有機性排水処理システムについて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る汚泥減容炭化装置とそれを備える有機性排水処理システムの構成図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る汚泥減容炭化装置2及びそれを備える有機性排水処理システム1は主に、余剰汚泥24を減容するための汚泥減容部2aとそれに並設される汚泥炭化部2bにより構成されている。
本実施の形態に係る汚泥減容炭化装置2において、有機性排水を生分解した際に大量に発生する余剰汚泥24は、まず、処理済みの排水を多量に含んだ状態で余剰汚泥引抜ライン12を通じて汚泥貯留槽3へと導入され、汚泥貯留槽3において余剰汚泥24の沈降作用により上澄み液と沈降汚泥とにまず簡易分離され、その後、沈降した余剰汚泥24が余剰汚泥流入配管13を通じて濃縮設備4に導入される。
一方、汚泥貯留槽3において生じた上澄み液は、図示しない放水配管を通じて放流水として外部に放出される。もちろん、放出される際には消毒剤などが添加され環境に対する影響を十分に小さくするための処置が施される。なお、以下に記載される、本実施の形態に係る汚泥減容炭化装置2から放出される脱離水25,26に対しても同様な処置が施されている。
【0028】
そして、濃縮設備4においては、導入された余剰汚泥24に、図示しない凝集剤添加装置により、例えば、高分子化合物からなる凝集剤27が添加される。この凝集剤27の作用により、余剰汚泥24中に分散する微生物細胞同士が凝集し粗大粒子34が形成されると同時に、余剰水(脱離水25)の分離が可能となり、脱離水25を取り除くことで、余剰汚泥24を濃縮汚泥にすることができる。
なお、凝集剤27は以下に記載の凝集剤30の作用と同じであるため、凝集剤27についての詳細な説明は省略する。
また、脱離水25は放水配管14を通じて外部に放出される。
【0029】
そして、濃縮設備4において濃縮された余剰汚泥24は、濃縮汚泥流入配管15を通じてアルカリ剤添加設備5へと導かれ、図示しないアルカリ剤添加装置により、例えば、アルカリ剤として水酸化ナトリウム(NaOH)が添加される。
このように、濃縮汚泥にアルカリ剤を添加することで、濃縮汚泥微生物細胞膜が破壊され易くなり、後述の可溶化装置7において濃縮汚泥の可溶化効率を高めることができるという効果を有する。
あるいは、アルカリ剤添加設備5に代えて加温設備を設けるか、又はアルカリ剤添加設備5と加温設備を併設してもよい。
通常、微生物細胞膜は主にタンパク質やセルロース等により構成されており、化学処理と同様に加熱処理を施した場合も、後述の可溶化装置7における微生物細胞膜の高い破壊効果を期待できる。この場合、可溶化装置7に濃縮汚泥は60℃〜80℃の範囲内に保たれることが望ましい。これは、濃縮汚泥の温度が60℃よりも低い場合には、熱によるタンパク質の変性や、セルロースの熱分解による細胞膜の破壊が十分に期待できない可能性があり、また、濃縮汚泥を80℃以上に保つのは費用対効果の観点から不経済であるためである。さらに、濃縮汚泥の加熱方法は、たとえば、電熱器を用いて加熱しても良いし、電磁波を用いて加熱しても良い。
なお、本実施の形態においては、微生物細胞膜の破壊効果を高める目的で、水酸化ナトリウムを添加しているが、水酸化ナトリウム以外にも、オゾン、あるいは、過酸化水素等の酸化剤を添加しても同様の効果が期待できる。
このように、アルカリ剤等の添加や加温は、減容が必要な余剰汚泥24の量が特に多い場合に有効であり、後述の可溶化装置7において濃縮汚泥を十分に可溶化できる場合には、必ずしもアルカリ剤添加設備5や加温設備を設ける必要はない。
【0030】
そして、アルカリ剤28として水酸化ナトリウムが添加された濃縮汚泥(余剰汚泥24)は、減圧装置入口配管16からタンク状の減圧装置6に送給され、タンク内の空気を強制的に排気するなどして、濃縮された余剰汚泥24が減圧される。
このように、余剰汚泥24を減圧することで、後述の可溶化装置7に余剰汚泥24を送給した際に、可溶化装置7の駆動に必要な動力を節約できるという効果が期待できる。
これは、濃縮された余剰汚泥24を0.2〜0.5気圧、より具体的には20.26〜50.66kPaにまで減圧した場合、濃縮汚泥中の水分が蒸発したり、あるいは、濃縮汚泥中の溶存気体の遊離が生じる等の理由により、濃縮汚泥中に多数の気泡が生じるキャビテーションが促進される。
そしてこのキャビテーションにより、可溶化装置7内において、余剰汚泥24を破砕するための機構が作動する際の動摩擦力が低減されると同時に、可溶化装置7への負荷も軽減できる。よって、可溶化装置7を駆動するための動力を節約することができ、この結果、本実施の形態に係る有機性排水処理システム1の維持管理にかかるコストを節約できるという効果が期待できる。
なお、有機性排水処理システム1において、減圧装置6は必ずしも設ける必要はなく、可溶化装置7の作動時における負荷が軽微な場合や、可溶化装置7と上述のアルカリ剤添加設備5や加温設備との組み合わせにより、余剰汚泥24を容易に可溶化できる場合には、減圧装置6を設けなくともよい。
また、アルカリ剤添加設備5と減圧装置6の配置において、いずれを上流側にするか、いずれを下流側にするかは適宜選択されてよい。
【0031】
続いて、濃縮された後にアルカリ剤が添加され、さらに減圧された余剰汚泥24は、可溶化装置入口配管17から可溶化装置7へと送給される。
このとき、可溶化装置入口配管17に、単位時間当たりの送給量を厳密に制御可能な電動ポンプを設置して、たとえば、図示しないモーノポンプを用いて可溶化装置7に余剰汚泥24を供給することで、可溶化装置7に処理能力を超える余剰汚泥24が送給されるのを防止することができる。
この結果、可溶化装置7の処理能力の範囲内で可溶化装置7を稼動させることができるので、余剰汚泥24を確実に可溶化することができると同時に、可溶化装置7の故障や不具合を防止できるという効果を有する。
【0032】
そして、可溶化装置7に送給された余剰汚泥24は、可溶化装置7において物理的処理が施され、すなわち、ミル等により破砕され、あるいは、研磨装置等により磨砕されて水中に有機質が懸濁粒子状に分散した可溶化汚泥となる。
なお、このとき、濃縮された余剰汚泥24に予めアルカリ剤28を添加したり、さらに、可溶化装置7においてキャビテーションが促進されるよう濃縮汚泥を減圧することで、可溶化装置7内において余剰汚泥24を構成する微生物細胞膜が破壊され易くなり、余剰汚泥24の可溶化を促進することができるという効果が発揮されるのである。
このように、余剰汚泥24を一旦可溶化することで、余剰汚泥24内の微生物体細胞内に含まれる水分を余剰汚泥24中に放出させることができ、この結果、以後の脱水工程において有機質と水分の分離が極めて容易になり、余剰汚泥24を迅速にかつ大幅に減容することができるのである。
なお、本実施の形態においては、可溶化装置7として、特許3731204号公報に開示される、モーター駆動によって周速30m/sの高速で回転させることができる回転ディスクを備える汚泥破砕装置を採用している。
このように余剰汚泥24を十分に可溶化させることで、たとえば、可溶化装置7の下流に微生物の消化作用を利用して余剰汚泥24を減容するための反応槽を設けた場合には、生分解により余剰汚泥24の大部分を消滅させることができ、余剰汚泥24の減容効率を飛躍的に高めることができる。
また、このような反応槽を設けない場合でも、可溶化された余剰汚泥24に凝結剤及び凝集剤を添加することで、余剰汚泥24から容易に水分を除去することが可能となり、余剰汚泥24の減容にかかる時間を短縮することができるという優れた効果が発揮される。
【0033】
また、本実施の形態に係る汚泥減容炭化装置2においては、図1には示さないが、可溶化装置7で可溶化された余剰汚泥24を、微生物の消化作用により減容処理を行う反応槽に送給して、余剰汚泥24の大部分を消滅させる減容処理を行なってもよい。
より具体的には、酸素が供給されない嫌気条件下において減容処理が行われる嫌気槽と、酸素が供給される好気条件下において減容処理が行われる好気槽を両方、或いは、いずれか一方を備える反応槽を可溶化装置7の下流に設置し、この反応槽において、可溶化された余剰汚泥24内の有機酸や低分子糖を微生物のエサとして消費させ、余剰汚泥24の大部分を消滅させてもよい。
一般に、水中に溶解する養分を摂取して生息する微生物の一部は、好気環境下及び嫌気環境下のいずれにおいても生息することが可能であり、その際には栄養源として異なる物質を摂取したり、あるいは、栄養源として同じ物質を摂取した場合でも好気環境下又は嫌気環境下における最終生産物(代謝物)が異なることが知られている。従って、反応槽では、このような微生物の性質を効果的に利用することで、多様な有機物により構成される可溶化汚泥を窒素や二酸化炭素、水にまで分解することができ、この結果、余剰汚泥24の大部分を消滅させることができるので、余剰汚泥24を一層確実に減容することができるという効果が期待できる。
なお、このように、可溶化汚泥を、微生物を利用して生分解させた場合に生じる最終生産物内には、再び微生物細胞が存在することになる。
このため、上述のような反応槽を用いた場合であって、最終生産物の量が、すなわち、新たに生成した余剰汚泥24(減容汚泥)の量が多い場合には以後の工程における脱水効率が低下する恐れがあるため、脱水,炭化処理を行う前に再度、濃縮設備4に余剰汚泥24(減容汚泥)を送給して、上述のような一連の可溶化処理を行い、微生物細胞膜を破壊しておくことが望ましい。
【0034】
再び、図1に戻るが、可溶化装置7において十分に可溶化された余剰汚泥24は、造粒設備入口配管18から造粒設備8へと送給され、この造粒設備8において図示しない凝結剤添加装置及び凝集剤添加装置により、凝結剤29及び凝集剤30が添加される。
【0035】
ここで、凝結剤添加装置及び凝集剤添加装置により添加される凝結剤29と凝集剤30の作用について図2を参照しながら説明する。
図2(a)は凝結剤の作用を示す概念図であり、(b)は凝集剤の作用を示す概念図である。
図2(a)に示すように、造粒設備8に送給された余剰汚泥24は、微生物の細胞が破壊され、細胞質成分である低分子糖や有機酸からなる懸濁粒子32が水中にコロイド状に分散したものであり、このような余剰汚泥24に凝結剤29を添加すると、たとえば、偏った電荷を有して水中で互いに反発し合って分散している懸濁粒子32が、凝結剤29の作用により電気的に中和されて凝結し、微小フロック状の凝結粒子33が形成される。
そして、図2(b)に示すように、凝結粒子33が形成された余剰汚泥24中に、例えば、略直鎖状の高分子化合物から成る凝集剤30を添加すると凝結粒子33が凝集剤30と絡み合ってより大きな粗大粒子34が形成される。そして、このような粗大粒子34が集合することで余剰汚泥フロックが形成されるのである。なお、本実施の形態においては、余剰汚泥24に凝結剤29や凝集剤30を添加することで形成される余剰汚泥フロックは塊状であり、このような観点から凝結剤29及び凝集剤30を添加するための設備を造粒設備8としている。
すなわち、余剰汚泥24中の懸濁粒子32が凝集することで必然的に懸濁粒子32と水分とが分離し、この結果、余剰汚泥24から容易に水分を除去することができるという効果が発揮される。従って、余剰汚泥24を飛躍的に減容できるという効果が発揮されるのである。
【0036】
なお、本実施の形態に用いられる凝結剤29は、大きく無機凝結剤又は有機凝結剤に大別され、そのうちの無機凝結剤においてイオン性が陰イオン性であるものとしては、たとえば、硫酸アルミニウム,塩化アルミニウム,ポリ塩化アルミニウムが適している。また、無機凝結剤において、イオン性が陽イオン性であるものとしては、たとえば、塩化第二鉄,ポリ硫酸第二鉄が適している。そして、陽イオン性の無機凝結剤であるポリ塩化第二鉄は、特に余剰汚泥31の分散した液体中のリンや硫化水素の濃度を低減する効果が特に優れている。
また、有機凝結剤としては、たとえば、ポリアミン,DADMAC(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド),メラミン酸コロイド,ジシアンジアミド等が適しており、これらの有機凝結剤においてDADMACは、上澄浮遊物質を低減させる効果を有している。また、メラミン酸コロイドはCOD濃度を低減するという効果を有している。さらに、ジシアンジアミドは、添加対象物を脱色するという効果を有している。なお、これらの有機凝結剤は、上述のような無機凝結材に比べて、添加した際に沈殿物等であるスラッジが発生し難いというメリットを有している。
なお、これらの有機凝結剤は単独で用いるよりも無機凝結剤と併用することで、余剰汚泥24中の懸濁粒子32の高い凝結効果が期待できる。
【0037】
一方、本実施の形態に用いられる高分子化合物から成る凝集剤30としては、陰イオン性,中性,陽イオン性,両性のものがあり余剰汚泥24の性質により、高い凝集効果が得られるものを適宜選択すればよい。
通常、陰イオン性を有するものではカルボン酸系高分子物質やスルホン酸系高分子物質が、中性のものでは、たとえば、ポリアクリルアミド系高分子物質等が、陽イオン性を有するものではメタアクリル酸エステル系高分子物質やアクリル酸エステル系高分子物質が、陰イオン性および陽イオン性の両性を有するものでは、たとえば、アクリルアミノモノマー系高分子物質や、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートモノマー系高分子物質や、アクリル酸共重合系高分子物質等がそれぞれ適している。これらの凝集剤30のうち陰イオン性又は中性の凝集剤30はいずれも、無機及び有機系のコロイド分散液に対する凝集効果が高く、処理対象液に添加した際に、懸濁物の凝集沈殿効果や、余剰汚泥24を加圧した状態で汚泥の中に圧縮空気を送給し、大気圧と同等程度にまで余剰汚泥24を減圧した際に、凝集した余剰汚泥24に気泡状の空気が付着して浮力を生じさせ、余剰汚泥24を浮上させる効果、いわゆる、加圧浮上効果や、さら脱水効果を発揮するものであり、特にスルホン酸系高分子物質は、処理対象液のpH変動が大きい場合であっても凝集効果が安定しているという利点を有している。また、中性の高分子凝集剤は処理対象液が酸性の場合に特に安定した効果を発揮する。
【0038】
また、陽イオン性及び両性の凝集剤30はいずれも、有機系のコロイド分散液に対する凝集効果が高く、処理対象液に添加された際に、懸濁物の顕著な脱水効果を発揮する。そして、陽イオン性の凝集剤30であるメタアクリル酸エステル系高分子物質は、後述の脱水機9の脱水機構がベルトプレス機構である場合に脱水効果が特に高いというメリットを、また、アクリル酸エステル系高分子物質は、後述の脱水機9の脱水機構が遠心分離機構である場合の脱水効果が特に高いというメリットをそれぞれ有している。さらに、両性の凝集剤30は上述のような無機凝結剤と併用することで、難脱水性の余剰汚泥24も好適に脱水することができるという効果を有する。
なお、上述の濃縮設備4において添加される凝集剤27も造粒設備8において添加される凝集剤30と同様の性質を有するものである。
【0039】
さらに、図1に示すように、造粒設備8において凝結剤29及び凝集剤30の作用により形成された余剰汚泥フロックは、脱水機入口配管19から、脱水機9へと導かれる。
この脱水機9においては、たとえば、ベルトプレス機構や、遠心分離機構等により余剰汚泥24が凝集した余剰汚泥フロックから脱離水26が分離されて一層減容された粒状の脱水余剰汚泥ケーキが残る仕組みになっている。
なお、脱離水26は放水配管20通じて放流水として外部に放出される。
そして、脱水余剰汚泥ケーキは乾燥機入口配管21を通じて乾燥機10へと導かれ、そこで、たとえば、加熱処理等により十分に乾燥され、最後に、炭化装置入口配管22を通じて炭化装置11に送給されて還元雰囲気中でさらに加熱処理されることで炭化物31に変換されて炭化装置出口配管23から放出される。
【0040】
なお、本実施の形態に係る汚泥減容炭化装置2の汚泥炭化部2bにおいては、ベルトプレス機構又は、遠心分離機構を採用した脱水機9を利用する場合を例に挙げて説明しているが、脱水機9は必ずしもこれらの方式である必要はなく、たとえば、凝集した余剰汚泥24(余剰汚泥フロック)を濾過して、余剰汚泥24のみを濾し取る方法を採用して脱水しても良い。また、乾燥機10においても、必ずしも加熱して乾燥する必要はなく、たとえば、余剰汚泥ケーキを収容した容器内の気圧を減圧して余剰汚泥ケーキに含まれる水分を蒸発させて乾燥してもよい。
さらに、必ずしも乾燥機10と炭化装置11を別々に設ける必要はなく、これらを兼用する炭化装置を用いてもよい。
このように、本実施の形態に係る汚泥減容炭化装置2によれば、脱水された余剰汚泥ケーキを、資源として再利用可能な炭化物31へと変換することができるという効果を有する。
【0041】
このように、本実施の形態に係る有機性排水処理システム1によれば、汚泥減容炭化装置2に送給される余剰汚泥24の体積を0.4%以下にまで減容することができるという効果を有する。
しかも、最終生産物である炭化物31は燃料としてリサイクル可能であるだけでなく、たとえば、農業用の肥料や土壌改良剤としても利用することができるという効果を有する。
さらに、このような本実施の形態に係る有機性排水処理システム1によれば、余剰汚泥24を減容処理した場合でも、埋立処分等が必要な廃棄物が一切排出されないので環境への負荷が極めて小さく、しかも有機性排水処理を担う自治体の財政負担を低減するという優れた効果を発揮するのである。また、余剰汚泥24を濃縮するための濃縮設備4やアルカリ剤添加設備5、さらに減圧装置6を備えることで、可溶化装置7の破砕効率を大幅に向上させることができるという優れた効果が期待できる。この結果、以降の工程において余剰汚泥24を構成する有機質と水分を確実に分離することが可能となり、余剰汚泥24を大幅に減容させることができるという効果が発揮されるのである。
【0042】
なお、本実施の形態において記載される余剰汚泥24は、一般的な有機性排水処理設備において、最終沈殿池から引き抜かれる余剰汚泥のみを意味するものではなく、有機性排水を浄化処理した際に発生した、微生物細胞を主成分とする汚泥の全てを意味するものである。すなわち、一般的な有機性排水処理設備において、最初の沈殿槽から引抜かれる汚泥や、それに続く中間処理時の沈殿槽から引抜かれる汚泥についても上述のような汚泥減容炭化装置2やそれを備えた有機性排水処理システム1により減容することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る請求項1乃至請求項9に記載された発明は、下水処理だけではなく、し尿処理、あるいは有機系の一般産業廃棄物の処理に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る汚泥減容炭化装置とそれを備える有機性排水処理システムの構成図である。
【図2】(a)は凝結剤の作用を示す概念図であり、(b)は凝集剤の作用を示す概念図である。
【符号の説明】
【0045】
1…有機性排水処理システム 2…汚泥減容炭化装置 2a…汚泥減容部 2b…汚泥炭化部 3…汚泥貯留槽 4…濃縮設備 5…アルカリ剤添加設備 6…減圧装置 7…可溶化装置 8…造粒設備 9…脱水機 10…乾燥機 11…炭化装置 12…余剰汚泥引抜ライン 13…余剰汚泥流入配管 14…放水配管 15…濃縮汚泥流入配管 16…減圧装置入口配管 17…可溶化装置入口配管 18…造粒設備入口配管 19…脱水機入口配管 20…放水配管 21…乾燥機入口配管 22…炭化装置入口配管 23…炭化装置出口配管 24…余剰汚泥 25,26…脱離水 27…凝集剤 28…アルカリ剤 29…凝結剤 30…凝集剤 31…炭化物 32…懸濁粒子 33…凝結粒子 34…粗大粒子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性排水処理装置から余剰汚泥を取出して処理する汚泥減容炭化装置であって、前記余剰汚泥に凝集剤を添加して濃縮する濃縮設備と、前記濃縮設備において濃縮された前記余剰汚泥を破砕して可溶化する可溶化装置と、前記可溶化装置の下流側に設けられ可溶化された前記余剰汚泥に凝結剤及び凝集剤を添加して余剰汚泥フロックを形成させる造粒設備と、前記造粒設備の下流側に設けられ前記余剰汚泥フロックから余剰水を分離する脱水機と、前記脱水機の下流側に設けられ脱水された前記余剰汚泥を乾燥した後炭化する炭化処理設備とを有することを特徴とする汚泥減容炭化装置。
【請求項2】
前記汚泥減容炭化装置は、前記可溶化装置の上流にアルカリ剤添加設備及び/又は加温装置を備えることを特徴とする請求項1記載の汚泥減容炭化装置。
【請求項3】
前記汚泥減容炭化装置は、前記可溶化装置の上流に減圧装置を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚泥減容炭化装置。
【請求項4】
前記汚泥減容炭化装置は、前記可溶化装置の下流に可溶化された前記余剰汚泥を微生物の消化作用により減容する反応槽を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の汚泥減容炭化装置。
【請求項5】
有機性排水処理装置から余剰汚泥を取出す工程と、前記余剰汚泥に凝集剤を添加して濃縮する工程と、濃縮された前記余剰汚泥を破砕して可溶化する工程と、可溶化された前記余剰汚泥に凝結剤及び凝集剤を添加して余剰汚泥フロックを形成させる工程と、前記余剰汚泥フロックから余剰水を分離する工程と、脱水された余剰汚泥を乾燥した後炭化する工程とを有することを特徴とする汚泥減容炭化方法。
【請求項6】
前記汚泥減容炭化方法は、濃縮された前記余剰汚泥を破砕して可溶化する工程の前に、前記余剰汚泥にアルカリ剤を添加する工程又は前記余剰汚泥を加温する工程を備えることを特徴とする請求項5記載の汚泥減容炭化方法。
【請求項7】
前記汚泥減容炭化方法は、濃縮された前記余剰汚泥を破砕して可溶化する工程の前に、前記余剰汚泥を減圧する工程を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の汚泥減容炭化方法。
【請求項8】
前記汚泥減容炭化方法は、濃縮された前記余剰汚泥を破砕して可溶化する工程の後に、可溶化された前記余剰汚泥を微生物の消化作用により減容する工程を有することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の汚泥減容炭化方法。
【請求項9】
有機性排水処理装置と、この有機性排水処理装置に接続され余剰汚泥を引き抜く処理ラインと、この処理ラインに接続され余剰汚泥の一部を減容しかつ余剰汚泥の一部を引抜いて炭化処理する前記請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の汚泥減容炭化装置とを有することを特徴とする有機性排水処理システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−80252(P2008−80252A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263570(P2006−263570)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(302056686)日環特殊株式会社 (3)
【Fターム(参考)】