説明

汚泥濃縮装置およびそれを備えた汚泥濃縮車

【課題】 汚泥槽内への効率的な汚泥収集が容易に行える汚泥濃縮装置を提供すること。
【解決手段】 汚泥槽8と反応槽7とを隔壁で隔離したタンク5と、このタンク5内を減圧または加圧するポンプ22と、このポンプ22と前記タンク5内とを連通または遮断する吸引切替弁25とを備え、前記吸引切替弁25の切替えを行う圧切替弁操作レバー101を前記タンク5の後部に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化槽汚泥、産業廃棄物汚泥等を濃縮して収集する汚泥濃縮装置とそれを備えた汚泥濃縮車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浄化槽汚泥、産業廃棄物汚泥等(以下、これらを単に「汚泥」という。)は、汚泥収集車によって定期的(毎年一回)または必要に応じて収集され、所定の処分場へと搬送されている。前記浄化槽汚泥の場合、都市部では全国的に下水道が普及して減少傾向にあるが、都市部から離れた山村部等まで下水設備を普及させるのは難しく、そのような地域では浄化槽汚泥が増加する傾向にある。このことは、従来のし尿のみの単独浄化槽から生活雑排水も処理する合併浄化槽の普及にもよる。しかし、前記浄化槽汚泥の場合、汚泥とともに多くの水を収集することとなるため、限られたタンク容量の汚泥収集車では1回の収集作業で汚泥収集できる浄化槽が少なく非常に運用効率が悪くなる。
【0003】
そこで、収集汚泥中の固形分のみを収集して運用効率の向上を図ろうとする汚泥濃縮車が提案されている。この汚泥濃縮車の場合、スクリーンを備えた汚泥分離器をタンクとは離して設けている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の従来技術として、原液タンクと汚泥タンクとが一体化されたタンクを設け、汚泥タンクの上方に回転軸が傾斜した扁平楕円状のトリック型小型ドラムスクリーンを設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−100221号公報(第7頁、図2,3)
【特許文献2】実公昭61−45920号公報(第3−4頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1は、スクリーンを備えた汚泥分離器をタンクと離して設置するような構成であるため、非常に多くの配管で各構成が接続されるとともに、それらの配管を開閉する多くの弁が必要となる。そのため、この特許文献1では、製造時に配管の接続等に多くの時間と労力を要し、運用時にはそれらの配管の煩雑な開閉操作が必要となるので熟練作業者でないと迅速な操作は困難であるが、熟練作業者が大幅に減少して効率的な操作が難しく、効率的な汚泥濃縮車の運用は難しい。
【0006】
また、前記特許文献2の場合も、タンク上方に設けられたドラムスクリーンと接続する複数の配管がタンク上部に延びるとともに、それらの配管を開閉する多くの弁をタンク周囲に設ける必要がある。そのため、この特許文献2も、製造時には配管の接続等に多くの時間と労力を要し、運用時にはそれらの配管の煩雑な開閉操作が必要となるので熟練作業者でないと迅速な操作は困難であるが、熟練作業者が大幅に減少して効率的な操作が難しく、効率的な汚泥濃縮車の運用は難しい。
【0007】
このことは、汚泥濃縮車以外の汚泥濃縮装置の場合でも同様であり、熟練作業者が大幅に減少して効率的な操作が難しく、効率的な汚泥濃縮車の運用は難しい。
【0008】
一方、前記したように浄化槽が残る地域は都市部を離れた山村部が多いため、汚泥を濃縮することによって1回の収集作業で汚泥収集できる浄化槽を多くして運用効率を上げるとともに、浄化槽が設置されていない場所では汚泥のみを迅速に収集して、より効率良く収集作業を行いたいという要望もある。
【0009】
さらに、汚泥濃縮車で汚泥の収集作業を行うときには、通常、左側通行の道路では車両を道路左端に停車させて作業を行うので、その場合には車両の左側に作業者が収集作業を行うスペースが無くなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、汚泥槽内への効率的な汚泥収集が濃縮装置の後方から容易に行える汚泥濃縮装置と、それを備えた汚泥濃縮車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の汚泥濃縮装置は、汚泥槽と反応槽とを隔壁で隔離したタンクと、該タンク内を減圧または加圧するポンプと、該ポンプと前記タンク内とを連通または遮断する吸引・加圧切替弁と、原汚泥水を吸引する汚泥吸引管と前記汚泥槽または前記反応槽とを連通、もしくは該汚泥槽と該反応槽とを連通する槽切替弁とを備え、前記吸引・加圧切替弁の切替えを行う圧切替弁操作部と、前記槽切替弁の切替えを行う槽切替弁操作部とを前記タンクの後部に配設している。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「原汚泥水」は、「汚泥」を含む「汚泥水」であり、吸引対象の「汚泥」をいう。これにより、タンクの後方から圧切替弁操作部で吸引・加圧切替弁を操作してポンプと反応槽とを連通させるとともに、槽切替弁操作部で槽切替弁を操作して汚泥吸引管と汚泥槽、汚泥槽と反応槽とを連通させることができ、これらの弁を切替えてポンプで反応槽内の空気を吸引して減圧すれば、汚泥吸引管から汚泥槽へ原汚泥水を吸引するバキューム機能を発揮するとともに、汚泥分離手段で汚泥分を分離した汚水を反応槽へ吸引して濃縮する濃縮機能とを発揮することができる。
【0012】
また、前記汚泥吸引管を開閉する加圧弁の操作部を前記タンク後部に配置すれば、前記汚泥吸引管側を開閉する操作もタンク後方から容易に行うことができる。
【0013】
さらに、前記槽切替弁と前記加圧弁との間に吸気管と該吸気管を開閉する吸気弁とを設け、該吸気弁の操作部を前記タンク後部に配置すれば、反応槽内へ吸気管から空気吸引する時に、タンク後方から吸気弁の開閉操作も容易に行うことができる。また、この吸気管を利用して、前記汚泥吸引管を介することなく汚泥水を吸引することもできる。
【0014】
また、前記ポンプの回転数を変更する回転数操作部を前記タンク後部に配設してもよい。これにより、汚泥槽内の圧力と反応槽内の圧力とをポンプ回転数を操作して変更し、効率的な汚泥収集作業を行うことができる。
【0015】
さらに、前記圧切替弁操作部を圧切替弁操作レバーで構成し、前記槽切替弁操作部を槽切替弁操作レバーで構成し、前記吸引・加圧切替弁と該圧切替弁操作レバーとを連結部材で連結し、前記槽切替弁と該槽切替弁操作レバーとを連結部材で連結し、該圧切替弁操作レバーと槽切替弁操作レバーとを前記タンク側方に並設してもよい。これにより、作業者はタンク後部の側方に並設された操作レバーを同じ位置で操作して汚泥の収集作業を効率良く行うことができる。
【0016】
一方、本発明の汚泥濃縮車は、これらいずれかの汚泥濃縮装置を備えている。このような汚泥濃縮装置を汚泥濃縮車に備えることにより、車両を道路左端に停車させて車両後方から汚泥濃縮装置を操作して汚泥をタンク最大容積まで効率良く収集することができ、運用効率の良い汚泥濃縮車を構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したような手段により、タンク後方から汚泥濃縮装置を操作して汚泥収集作業を効率的に行うことができる汚泥濃縮装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る汚泥濃縮車を示す側面図であり、図2は、図1に示す汚泥濃縮車の平面図、図3は、図1に示す汚泥濃縮車の背面図である。これらの図に基づいて汚泥濃縮装置20を搭載した汚泥濃縮車1の全体構成を説明する。なお、以下の説明における前側、後側、左側、右側とは、車両の前側、後側、左舷側、右舷側をいう。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「一次汚水」は、前記「原汚泥水」から「汚泥分」を分離した「汚水」をいい、「二次汚水」は、この「一次泥水」から凝集反応させてフロック状にした「汚泥分」を分離した「汚水」をいう。
【0019】
図1に示すように、汚泥濃縮車1の運転席2の下部には走行用エンジンEが設けられ、このエンジンEには動力を取り出すためのPTO21(Power Take Off)が設けられている。この運転席2から後方に向けて車体フレーム3が設けられ、この車体フレーム3の上部にサブフレーム4が設けられており、これらのフレーム3,4上に汚泥濃縮装置20が搭載されている。
【0020】
この汚泥濃縮装置20のタンク5が、前記サブフレーム4上に設けられている。このタンク5は、車両の前後方向に延びるように形成され、隔壁6によって前後に隔離された反応槽7と汚泥槽8との2槽を備えている。車両の前側に反応槽7が設けられ、後側に汚泥槽8が設けられている。このタンク5の上部には、タンク5に原汚泥水を吸引するためのホースリール9が設けられている。このホースリール9には、例えば、数十メートルの汚泥吸引管(樹脂ホース等、図7に示す「51」)が格納される。
【0021】
また、図1,2に示すように、前記タンク5の後部左側には、タンク8内に原汚泥水を吸引又は汚水を排出する時に切替える四方弁の槽切替弁45が設けられている。この槽切替弁45には、後述する汚泥吸引管51に接続された第4汚泥管47と、汚泥槽8内に原汚泥水等を吸引する第2汚泥管44と、汚泥槽8内から汚水を排出する第3汚泥管46と、反応槽7内と連通する第1汚泥管43とが接続されている。前記第4汚泥管47には加圧弁49が設けられるとともに、この第4汚泥管47の車両後方位置には吸気管97が設けられ、この吸気管97には吸気弁98が設けられている。吸気弁98は、開口が車両の後方に向けて設けられている。
【0022】
さらに、タンク8の前部左側には、タンク8内を減圧又は加圧する時に切替える四方弁の吸引・加圧切替弁25が設けられている。この吸引・加圧切替弁25には、オイルセパレータ13と、エアセパレータ15と、大気開放管26と、オーバフローセフティ弁14とが接続されている。このオーバフローセフティ弁14は、フロート弁10とを介して反応槽7の上部に接続されている。これらの構成の詳細な配管は、後述する。
【0023】
また、車両の左側には、凝集剤タンク12が設けられ、車両の右側には、図2に示すように、凝集剤タンク12と水タンク16とが設けられている。さらに、前記汚泥槽8内の上部には、汚泥分離手段たるドラムスクリーン11が設けられている。このドラムスクリーン1の詳細は後述する。なお、図1に示すように、タンク5の左側には反応槽7内の一次汚水量を確認する確認管18が設けられ、タンク5の後部には汚泥槽8内の汚泥貯留量を確認する確認管19が設けられている。これらの確認管18,19は、上下に設けられた接続金具17の間の中央部が透明パイプで形成されている。
【0024】
そして、図1,3に示すように、タンク5の後部の左側には、前記吸引・加圧切替弁25を操作するための圧切替弁操作部たる圧切替弁操作レバー101と、前記槽切替弁45を操作するための槽切替弁操作部たる槽切替弁操作レバー102とが設けられている。これらの操作レバー101,102は、タンク5から左側方に向けて突設されたレバー取付板103に設けられており、上下に並設されている。圧切替弁操作レバー101は、前記吸引・加圧切替弁25と棒状の連結部材104によって連結され、槽切替弁操作レバー102は、前記槽切替弁45と棒状の連結部材105によって連結されている。なお、この連結部材104,105は、リンク、ワイヤーケーブル等で構成してもよい。これら圧切替弁操作レバー101と槽切替弁操作レバー102とは、連結部材104,105の軸方向と直交する面内で回動させることにより、吸引・加圧切替弁25、槽切替弁45の切替え操作を行うことができる。この実施の形態では、圧切替弁操作部と槽切替弁操作部とを操作レバー101,102で構成することにより、構成を簡単にするとともに簡単な操作で各弁を切替えることができるようにしている。なお、これらの圧切替弁操作部と槽切替弁操作部は、前記操作レバー101,102以外にスイッチ等であってもよく、このスイッチのON/OFF操作によりモータ駆動で吸引・加圧切替弁25、槽切替弁45を切替えるようにしてもよい。
【0025】
なお、この実施の形態では、吸引・加圧切替弁25とその圧切替弁操作部たる圧切替弁操作レバー101、および槽切替弁45とその槽切替弁操作部たる槽切替弁操作レバー102とを離れた位置に設けているが、これら吸引・加圧切替弁25と圧切替弁操作レバー101、および槽切替弁45と槽切替弁操作レバー102とをそれぞれ一体的に形成してタンク8の後部に配設してもよい。また、この実施の形態では、前記加圧弁49、吸気弁98をタンク8の後部に配設しているが、これら加圧弁49、吸気弁98をタンク8の後部から離れた位置に配設し、前記連結部材104,105やリンク、ワイヤーケーブル等で連結された操作部のみをタンク8の後部に配設するようにしてもよい。
【0026】
さらに、これら操作レバー101,102の下方には、前記サブフレーム4から左側方に向けて計器取付部106が突設されている。この計器取付部106には、前記反応槽7内の圧力を表示するタンク圧力計107と、汚泥槽8内の圧力を表示するタンク圧力計108と、手動でエンジンEの回転数を上下させてポンプ22(図7参照)の回転数を昇降させる回転数操作部たるスロットルレバー109とが設けられている。これらの圧力計107,108とスロットルレバー109とを前記操作レバー101,102の近傍に設けることにより、後述する汚泥収集作業時に、その作業に好ましい汚泥槽8内の圧力と反応槽7内の圧力とに調節しながら各弁25,45を操作して、効率的な汚泥収集作業ができるようにしている。
【0027】
このように、汚泥濃縮装置20の後部左側に各弁25,45,49,98を集中して設けることにより、汚泥濃縮車1を道路左端に停車させた状態で、作業者はこの汚泥濃縮車1の後方左側で各弁25,45,49,98を操作して効率良く汚泥収集作業を行うことができるようにしている。
【0028】
図4(a) は、図1の汚泥濃縮車に設けられたドラムスクリーンを取外した状態を車両後方から見た一部断面の背面図であり、(b) はIV部拡大図である。図5は、図1の汚泥濃縮車に設けられたドラムスクリーンを取外した状態を示す図面であり、図4に示すV−V矢視図である。
【0029】
図4(a),(b) と図5とに示すように、前記汚泥槽8の上部には、この汚泥槽8の外面から上向きに所定量突出する中空矩形状の取付ベース62が固定され、この取付ベース62の上端に取付フランジ63が設けられている。取付ベース62の中央部に設けられた取付口61から汚泥槽8の内部に設けられる前記ドラムスクリーン11は、タンク5に固定する上板64の下部に支持された回転ドラム67と、この回転ドラム67に設けられたスクリーン本体69と、スクリーン本体69の汚泥出側(図4(a) の右側)でスクリーン本体69の表面に付着した汚泥を掻き取るスクレーパ79とを備えている。このドラムスクリーン11が、一体的に前記取付口61から汚泥槽8の内部に挿入されて前記取付フランジ63に上板64がボルト65で固定される。
【0030】
前記回転ドラム67は、前記上板64の下面から下向きに突出するように設けられた2枚のドラム取付板66の間に、水平方向の回転軸で回転自在なように設けられている。この回転ドラム67は、油圧モータ40によって駆動されている。また、図4(a) に示すように、前記ドラム取付板66の間には支持フレーム76が設けられ、この支持フレーム76には、図4(b) に示すようなバネ材付蝶番77を介してスクレーパフレーム78が設けられている。このスクレーパフレーム78の下端に、前記バネ材付蝶番77でスクリーン本体69側に向けて押圧されたスクレーパ79が設けられている。
【0031】
このように構成されたドラムスクリーン11によれば、上板64を取付フランジ63に固定しているボルト65を外せば、回転ドラム67、スクリーン本体69、スクレーパ79等の構成を汚泥槽8から一体的に取外すことができる。しかも、汚泥分離手段たるドラムスクリーン11を汚泥槽8の内部に設けることにより、このドラムスクリーン11を密閉するための構成や、ドラムスクリーン11に汚泥水を供給/排出するための配管、切替弁の数を削減して構成を簡単にすることができる。また、配管構成が簡単になることによって切替弁も削減できる。
【0032】
一方、ドラムスクリーン11が設けられる汚泥槽8内の上部には、前記取付ベース62から下向きに設けられた2本の支持フレーム72間に水容器38が設けられている。この水容器38は、前記スクリーン本体69によって汚泥が分離された後の汚水(分離水)を溜めるものであり、前記スクリーン本体69の下部で所定量の水を溜めることができるような大きさで形成されている。この水容器38は、前記スクリーン本体69が回転したときに、スクリーン表面がこの水容器38内に溜められた水の中を通過するように設けられている。この例の水容器38は、支持フレーム72間に延びる樋状に形成されている。
【0033】
また、図4(a) に示すように、前記ドラムスクリーン11が設けられる汚泥槽8の左側部分には、汚泥槽8の周壁に固定された側壁91と底壁92とによって形成された汚泥水拡散部90が設けられている。この汚泥水拡散部90には、汚泥槽8の側部に設けられた前記槽切替弁45の第2汚泥管44(図2参照)に接続された供給管93が接続されている。供給管93は、槽切替弁45から横方向に汚泥槽8内へと延び、前記汚泥水拡散部90の下方で上向きに屈曲して汚泥水拡散部90の内部に開口している。
【0034】
さらに、前記水容器38の下部左側には、水平方向に延びる排水管95が設けられている。この排水管95は、水容器38から水平方向に延びて、汚泥槽8の外部に突出した部分に管フランジ96が設けられている。この管フランジ96には、前記第3汚泥管46が接続される(図1,2参照)。これら水容器38、汚泥水拡散部90、供給管93、排水管95に関する構成は、汚泥槽8側に設けられている。また、この排水管95の汚泥槽8内の部分に、ストップ弁80が設けられている。
【0035】
図6は、図4に示すドラムスクリーンの下流側に設けられたストップ弁の図面であり、(a) は平面視の断面図、(b) は側面図、(c) は作動時の側面図である。図示するように、ストップ弁80には、前記排水管95の途中に設けることができるように、両端にフランジが設けられた所定長さの管体81が設けられている。この管体81の内部には、所定径で形成された円形の開口82が設けられた仕切り壁83が上流側と下流側とに設けられている。この仕切り壁83の間には所定径のボール84が遊動可能なように入れられている。このボール84は、前記仕切り壁83に設けられた開口82の径よりも大径で形成されている。そして、このボール84が仕切り壁83に形成された円形の開口82に当接した状態では、ボール84が開口82の周囲に接して全面を閉鎖するようになっている。したがって、このボール84が下流側の仕切り壁83の開口82を閉鎖すれば汚水の流れを止め、ボール84が上流側の仕切り壁83の開口82を閉鎖すれば汚水の逆流を止める。
【0036】
一方、下流側の仕切り壁83の下流側には、管体81の軸方向と直交する方向に貫通する揺動軸85が設けられ、この揺動軸85の両端部には管体81の側方で揺動軸85と一体的に揺動するフロート86が設けられている。この実施の形態では、揺動軸85の両端部にそれぞれフロート86を設けることにより、管体81の両側方における汚泥貯留量に応じてフロート86が上下動するようになっている。管体81の下部には、フロート86が自重で下がった時に所定位置で揺動を阻止する支持ピン88が設けられている。
【0037】
また、前記揺動軸85の中央部には、この揺動軸85と一体的に揺動するストッパ87が突設されている。このストッパ87は、フロート86が前記支持ピン88に支持された状態では、前記仕切り壁83に設けられた開口82のほぼ中央部に位置するように設けられている。このストッパ87は、フロート86が上昇して揺動軸85が回動すると、開口82のほぼ中央部に位置した状態から下流側に向けて揺動して仕切り壁83から下流側に離れる(図6(c) )。
【0038】
したがって、フロート86が下降した状態では、ストッパ87が開口82のほぼ中央部に位置した状態となり、前記ボール84が汚水に押されて下流側に流れたとしてもストッパ87に当接して開口82を塞ぐことがないので汚水は流れる。一方、フロート86が上昇した状態では、ストッパ87が開口82の中央部から下流側に移動して開口82から離れるので、汚水に押されたボール84が開口82の全面を閉鎖して汚水の流れを止める。なお、ストップ弁80で汚水の流れを止めた時に圧力が上昇する上流側の管体81と排水管95との接続部には、シール材89が設けられている。また、このストップ弁80は、配管の途中に組込むことが可能で、コンパクトで且つ簡素な構成となっている。
【0039】
このように、ストップ弁80は、汚泥槽8内に収集した汚泥の貯留量が所定量を越えてフロート86を押し上げると、開口82をボール84が自動的に閉鎖して汚水の流れを止めて汚泥槽8内の圧力変化をなくし、汚泥水が汚泥槽8へ流れ込まないようなフロート式のストップ弁80で構成されている。これにより、汚泥槽8内の汚泥が満量(例えば、約80〜90%程度の所定量)に達したら、それ以上の汚泥を収集しないように自動的に停止させることができる。
【0040】
図7は、図1,2に示す汚泥濃縮車に搭載した汚泥濃縮装置の配管系統図である。この図7は、浄化槽の原汚泥水を吸引するときの状態を図示している。図7に基いて前記汚泥濃縮装置20の配管系統を以下に説明する。前記PTO21によって取り出された動力で駆動されるポンプ22が設けられ、このポンプ22にはチェック弁23を介して空気が吸引されるようになっている。ポンプ22の吐出側にはオイルセパレータ13が設けられており、吐出する空気中のオイルが除去されている。オイルセパレータ13の下流側には、ポンプ22から吐出管24に空気を吐出することによってタンク5の反応槽7内と汚泥槽8内とを減圧(負圧)、または反応槽7内と汚泥槽8内とを加圧する時に切替える前記吸引・加圧切替弁25が設けられている。この吸引・加圧切替弁25に接続された大気開放管26は、大気27に開放している。また、吐出管24には分岐管28が設けられ、この分岐管28には所定の設定圧で開放するリリーフ弁29が設けられている。リリーフ弁29は、吸引・加圧切替弁25側の圧力が上昇したときにポンプ22から吐出された空気を大気27に逃すような設定圧力に設定されている。なお、前記チェック弁23の上流側には、保守点検時等に使用する常時閉鎖された開閉弁30が設けられている。
【0041】
また、前記吸引・加圧切替弁25には、前記チェック弁23に通じる第1エア管31と、前記タンク5側と連通する第2エア管32とが接続されている。この吸引・加圧切替弁25を切替えることにより、第1エア管31と第2エア管32と前記吐出管24と大気開放管26とが切替えられるようになっている。第1エア管31には、エアセパレータ15が設けられている。このような配管構成により、前記ポンプ22は、反応槽7内と汚泥槽8内との空気を吸引する減圧と、反応槽7内と汚泥槽8内とに空気を吐出する加圧とが行えるようになっている。
【0042】
さらに、第2エア管32は、タンク5の反応槽7と連通する第3エア管33、および汚泥槽8と連通する第4エア管34と接続されている。第3エア管33には、反応槽7の満量時にポンプ22側への流体の流れを止めるフロート弁10と、このフロート弁10から汚泥や水がオーバフローしてもポンプ22側に流れないようにするオーバフローセフティ弁14とが設けられている。また、第4エア管34には、空気の逆方向流れを防止するチェック弁35が設けられている。
【0043】
これらの構成によれば、以下のように機能する。前記吸引・加圧切替弁25を図示する左側の吸引位置aに切替えると、ポンプ22の吐出管24と大気開放管26とが連通し、第1エア管31と第2エア管32とが連通する。この状態でポンプ22を駆動すれば、反応槽7内の空気は第3エア管33を介して第2エア管32、第1エア管31へと吸引され、エアセパレータ15とオイルセパレータ13とを介して吐出管24を通り大気開放管26から大気27に放出される。また、吸引・加圧切替弁25を中央の中正位置bに切替えると、大気開放管26と第2エア管32とが連通し、ポンプ22の吐出管24と第1エア管31とが連通する。この状態では、反応槽7と汚泥槽8とが、第2エア管32と大気開放管26とを介して大気開放状態となる。さらに、吸引・加圧切替弁25を図示する右側の加圧位置cに切替えると、ポンプ22の吐出管24と第2エア管32とが連通し、大気開放管26と第1エア管31とが連通する。この状態でポンプ22を駆動すれば、大気が大気開放管26から第1エア管31を介してポンプ22に吸引され、ポンプ22から吐出された加圧空気が吐出管24、吸引・加圧切替弁25,第2エア管32を介して、第3エア管33から反応槽7に、第4エア管34から汚泥槽8に供給される。
【0044】
なお、前記した汚泥槽8の内部に設けられているドラムスクリーン11の回転ドラム67を回転駆動する油圧モータ40は、前記PTO21で駆動される油圧ポンプ39から供給される油によって駆動されている。図示する41は所定圧に設定されたリリーフ弁であり、42は油タンクである。
【0045】
一方、反応槽7と汚泥槽8との間には、反応槽7に設けられた第1汚泥管43と、汚泥槽8内のドラムスクリーン11に原汚泥水または一次汚水を供給する第2汚泥管44とを連通または遮断する前記槽切替弁45が設けられている。また、この槽切替弁45には、ドラムスクリーン11の水容器38から一次汚水または二次汚水を排出する第3汚泥管46と、前記ホースリール9と接続された第4汚泥管47とが接続されている。この図では、第3汚泥管46に前記ストップ弁80が設けられた図となっている。前記第4汚泥管47には、タンク5内の加圧時に閉鎖する加圧弁49が設けられており、この加圧弁49と前記槽切替弁45との間には、吸気管97とこの吸気管97を開閉する吸気弁98とが設けられている。さらに、前記汚泥槽8の上部には、この汚泥槽8へ空気を吸入するための空気吸入弁48が設けられ、前記ホースリール9には、浄化槽50まで延ばす汚泥吸引管51が設けられている。
【0046】
また、前記第1汚泥管43には凝集剤供給管55が接続されており、この凝集剤供給管55は凝集剤弁56を介して凝集剤タンク12と接続されている。凝集剤の供給時には、凝集剤弁56を手動または自動で開閉することにより、減圧された反応槽7内に凝集剤タンク12から必要量の凝集剤を吸引させることができる。
【0047】
これらの構成によれば、以下のように機能する。槽切替弁45を図示する右側の汚泥槽位置dに切替えると、第4汚泥管47と第2汚泥管44とが連通し、第3汚泥管46と第1汚泥管43とが連通する。この状態で反応槽7内を減圧すれば、第1汚泥管43、第3汚泥管46を介して汚泥槽8内が減圧され、第2汚泥管44、第4汚泥管47、汚泥吸引管51を介して浄化槽50から汚泥槽8内のドラムスクリーン11に原汚泥水が吸引される。そして、ドラムスクリーン11で汚泥分が分離された一次汚水が、水容器38から第3汚泥管46、第1汚泥管43を介して反応槽7に吸引される。また、槽切替弁45を図示する左側の反応槽位置fに切替えれば、第1汚泥管43と第4汚泥管47とが連通し、第2汚泥管44と第3汚泥管46とが連通する。この状態では、反応槽7が、第1汚泥管43と吸気管97とを介して大気開放状態となる。さらに、槽切替弁45を図示する中間の2槽接続位置eに切替えると、第1汚泥管43と第2汚泥管44とが連通し、第3汚泥管46と第4汚泥管47とが連通する。この状態で反応槽7と汚泥槽8との内部を加圧すれば、汚泥槽8内は第3汚泥管46と第4汚泥管47とを介して汚泥吸引管51と連通するので、反応槽7内の一次汚水が第1汚泥管43と第2汚泥管44とを介して汚泥槽8内のドラムスクリーン11に圧送される。
【0048】
また、汚泥槽8の下部には、排出弁53が設けられており、この排出弁53を開放して汚泥槽8内を加圧することにより、汚泥槽8内に溜められた汚泥が汚泥排出管52を介して処分場54に排出される。
【0049】
さらに、この実施の形態の汚泥濃縮装置20には、前記水タンク16内の水をポンプ57で噴射ノズル58から噴射する洗浄装置59が備えられている。この洗浄装置59により、浄化槽50内を洗浄したり作業者の手を洗うことができる。
【0050】
前記ポンプ22、油圧モータ40等は、図1,2に示す運転席2の後部におけるタンク5の下部に設けられている。図7に示す各構成で図1,2に現れているものは、図1,2にその符号を付して示す。
【0051】
図8は、図7に示す配管系統図の構成における作業内容図である。この図8に示すように、前記汚泥濃縮装置20による浄化槽汚泥の吸引と濃縮を行う主な汚泥収集作業としては、原汚泥水吸引、凝集反応、大気開放、汚泥濃縮、排出弁排出、の5つがある。図8では、これらの各作業と、その各作業時における各弁の操作状態と、汚泥槽8および反応槽7の内部圧力、汚泥水の有無を一覧形式でまとめている。以下、各欄の作業の詳細を、図9〜図13に基いて説明する。
【0052】
図9は、図8に示す作業内容図における原汚泥水吸引時の配管系統図、図10は、図8に示す作業内容図における反応槽での凝集反応時の配管系統図、図11は、図8に示す作業内容図における大気開放時の配管系統図、図12は、図8に示す作業内容図における汚泥濃縮時の配管系統図、図13は、図8に示す作業内容図における排出弁から排出時の配管系統図である。
【0053】
図9に示すように、原汚泥水の吸引時には、汚泥吸引管51の先端が浄化槽50内に挿入され、加圧弁49が開放されるとともに吸気弁98が閉じられ、槽切替弁45が汚泥槽位置dに切替えられて吸引・加圧切替弁25が吸引位置aに切替えられる。そして、ポンプ22を駆動することにより反応槽7内の空気が吸引されて反応槽7内が減圧される。これにより、第1汚泥管43、第3汚泥管46を介して汚泥槽8内が減圧され、汚泥吸引管51から第4汚泥管47と第2汚泥管44とを介して汚泥槽8内に設けられたドラムスクリーン11に原汚泥水が吸引される。この吸引された原汚泥水は、ドラムスクリーン11のスクリーン本体69によって汚泥分が分離され、汚泥分が分離された一次汚水は水容器38から第3汚泥管46と第1汚泥管43とを介して反応槽7へと吸引される。これが、汚泥吸引管51から汚泥槽8内へ原汚泥水を吸引して前記ドラムスクリーン11で汚泥分を分離する経路と、このドラムスクリーン11で汚泥分を分離した一次汚水を汚泥槽8内から反応槽7内へ吸引する経路とである。この操作で汚泥槽8内に汚泥が溜められ、反応槽7内に一次汚水が溜められる。
【0054】
この操作によって、タンク5に吸引される原汚泥水の一次濾過が行われ、浄化槽50内のスカムや沈殿汚泥等がドラムスクリーン11から汚泥槽8内に貯留され、ドラムスクリーン11で濾過された一次汚水のみが反応槽7へと吸引される。この操作による原汚泥水の吸引がバキューム機能であり、スカムや沈殿汚泥を汚泥槽8へ効率良く吸引することができる。しかも、一つの吸引操作によって、汚泥分が多い原汚泥水も汚泥分が少ない原汚泥水もドラムスクリーン11を通して汚泥分のみを効率良く汚泥槽8に貯留でき、反応槽7へは一次濾過した一次汚水のみを吸引するようにできるので、効率の良い原汚泥水の吸引と汚泥分の分離とが連続的に行える。
【0055】
また、この作業により原汚泥水から分離して汚泥槽8内に貯留された汚泥分が所定量に達すると、図6(c) に示すように、ストップ弁80のフロート86が押し上げられ、揺動軸85が回動して仕切り壁83の開口82の位置にあったストッパ87が下流側へ移動して開口82から離れる。これにより、管体81の内部に設けられたボール84が一次汚水によって下流側へ押されて開口82の全面を塞ぎ、第3汚泥管46内における一次汚水の流れを止める。このように第3汚泥管46内における一次汚水の流れが止められると、汚泥槽8内の圧力が浄化槽50側の圧力と同一の常圧となるので、汚泥吸引管51から汚泥槽8内への原汚泥水の吸引が止まり、汚泥槽8内への汚泥吸引が止まる。このストップ弁80が作動したら、汚泥槽8内に最大量の汚泥が貯留された状態であり、汚泥槽8の容量を最大限有効に利用した効率的な汚泥収集が容易に行える。
【0056】
なお、この操作時に、吸引・加圧切替弁25の操作を誤って反応槽7内を加圧してしまったとしても、第1汚泥管43から第3汚泥管46に圧送された汚水によってストップ弁80のボール84が上流側の仕切り壁83の開口82を閉鎖して汚水の逆流を防止する。
【0057】
図10に示すように、反応槽7に吸引した一次汚水の凝集反応時には、第4汚泥管47の加圧弁49が閉じられるとともに吸気管97の吸気弁98が開放され、槽切替弁45が反応槽位置fに切替えられる。吸引・加圧切替弁25は吸引位置aであり、ポンプ22を駆動することによって反応槽7内の空気が吸引される。これにより、吸気管97から空気が反応槽7内に吸引され、反応槽7内の一次汚水がエア攪拌(エアレーション)される。これが、空気を吸引して反応槽7内の一次汚水を攪拌する経路である。また、凝集剤弁56が開放され、凝集剤タンク12から所定量の凝集剤を反応槽7内に吸引させる。この凝集剤の量は、反応槽7内に吸引された一次汚水の量等によって決定される。このようにして、反応槽7内の一次汚水に凝集剤が供給されてエア攪拌が行われ、一次汚水の凝集反応の促進が図られて一次汚水中の汚泥分がフロック状となる。この操作時には、汚泥槽8内には汚泥があり、反応槽7内には一次汚水がある状態である。
【0058】
図11に示すように、大気開放時には、槽切替弁45は反応槽位置fに切替えられ、吸引・加圧切替弁25が中正位置bに切替えられる。また、汚泥槽8の空気吸入弁48も開放させられる。これにより、反応槽7の第3エア管33は、第2エア管32を介して大気開放管26と連通して大気開放させられる。また、反応槽7の第1汚泥管43は、吸気管97の吸気弁98を介して大気開放することができる。この例では吸気管97側で反応槽7を大気開放しているが、第4汚泥管47の加圧弁49を開放して第4汚泥管47側で反応槽7を大気開放してもよい。さらに、汚泥槽8は空気吸入弁48を介して大気開放となる。これらが、反応槽7内と汚泥槽8内とを大気開放する経路である。この操作時には、汚泥槽8内には汚泥があり、反応槽7内には一次汚水がある状態である。
【0059】
図12に示すように、汚泥濃縮時には、槽切替弁45が2槽接続位置eに切替えられ、吸引・加圧切替弁25が加圧位置cに切替えられる。吸気管97の吸気弁98と、汚泥槽8の空気吸入弁48は閉じられ、第4汚泥管47の加圧弁49が開放させられる。これにより、汚泥槽8のドラムスクリーン11に設けられた水容器38は、第3汚泥管46と槽切替弁45、第4汚泥管47を介して、先端が浄化槽50に挿入された汚泥吸引管51と連通させられる。そして、ポンプ22を駆動することにより、大気開放管26から吸引・加圧切替弁25を介してポンプ22に大気が吸入され、このポンプ22から吸引・加圧切替弁25を介して反応槽7内と汚泥槽8内とに加圧空気が供給される。この時、汚泥槽8内は前記したように大気圧下の浄化槽50と連通しているので、加圧された反応槽7内の一次汚水が第1汚泥管43と槽切替弁45、第2汚泥管44を介して圧力の低い汚泥槽8内のドラムスクリーン11に圧送される。このドラムスクリーン11に圧送された一次汚水は、ドラムスクリーン11のスクリーン本体69によって汚泥分が分離される。この操作で反応槽7内の一次汚水が汚泥槽8内に圧送されて、反応槽7内に一次汚水が無い状態となる。
【0060】
この操作によって、一次汚水の二次濾過が行われ、反応槽7で凝集反応させたフロック状の汚泥分がドラムスクリーン11から汚泥槽8内に貯留される。これが、汚泥分離手段たるドラムスクリーン11によって反応槽7内の一次汚水中から汚泥分を濃縮する濃縮機能である。また、ドラムスクリーン11で濾過された二次汚水は、一次汚水から更に汚泥分が除去された水であるので、水容器38から第3汚泥管46と槽切替弁45と第4汚泥管47とを介して汚泥吸引管51から浄化槽50の張水として排出される。これが、二次汚水を汚泥吸引管51から外部に排出する経路である。
【0061】
また、この作業により一次汚水から分離して汚泥槽8内に貯留されたフロック状の汚泥分が所定量に達すると、図6(c) に示すように、ストップ弁80のフロート86が押し上げられ、揺動軸85が回動して仕切り壁83の開口82の位置にあったストッパ87が下流側へ移動して開口82から離れる。これにより、管体81の内部に設けられたボール84が汚水によって下流側へ押されて開口82の全面を塞ぎ、第3汚泥管46内における二次汚水の流れを止める。このように第3汚泥管46内における二次汚水の流れが止められると、汚泥槽8内の圧力が反応槽7内の圧力と同一となるので、汚泥槽8内への汚泥圧送が止まる。このストップ弁80が作動したら、汚泥槽8内に最大量の汚泥が貯留された状態であり、汚泥槽8の容量を最大限有効に利用した効率的な汚泥収集が容易に行える。
【0062】
なお、この操作時に、吸引・加圧切替弁25の操作を誤って反応槽7内を減圧してしまったとしても、第1汚泥管43と第2汚泥管44とを介して汚泥槽8内が減圧されてストップ弁80のボール84が上流側の仕切り壁83の開口82を閉鎖して汚水の逆流を防止する。
【0063】
図13に示すように、排出弁53からの排出時には、処分場54にて、槽切替弁45が反応槽位置fに切替えられ、吸引・加圧切替弁25が加圧位置cに切替えられ、第4汚泥管47の加圧弁49と吸気管97の吸気弁98とが閉じられて、排出弁53が開放させられる。そして、ポンプ22を駆動することにより、大気開放管26から吸引・加圧切替弁25を介してポンプ22に大気が吸引され、このポンプ22から吸引・加圧切替弁25と第2エア管32を介して、第3エア管33から反応槽7内に、第4エア管34から汚泥槽8内に加圧空気が供給される。この時、加圧弁49と吸気弁98とが閉じられているので反応槽7内は閉ざされ、加圧空気は汚泥槽8内にのみ供給されて、この加圧空気によって汚泥槽8内に貯留された汚泥が排出弁53から汚泥排出管52を介して処分場54に排出される。この操作によって汚泥槽8内の汚泥の確実な排出が図られ、汚泥槽8内には汚泥が無い状態となる。
【0064】
以上が前記図8に示す作業内容の詳細であり、このような操作で行う一連の汚泥収集作業を、前記図1,3に示す汚泥濃縮車1の後方から各弁25,45,48,49,53,98の開閉操作等を行って容易にできるので、汚泥濃縮車1を道路左端に停車させた状態で効率良く汚泥収集作業を行うことが可能となる。
【0065】
なお、前記実施の形態では、浄化槽50の汚泥水を吸引して濃縮する例を説明したが、例えば、固形分が少ない原汚泥水であれば、槽切替弁45を反応槽位置fに切替えて、反応槽7へ直接吸引してもよく、汚泥の吸引等の各操作は、前記説明した各作業に限定されるものではない。
【0066】
また、前述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る汚泥濃縮装置は、浄化槽汚泥、産業廃棄物汚泥等をバキューム機能で吸引したり、簡易的に濃縮脱水して積載効率を向上させて搬送したい汚泥収集に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態に係る汚泥濃縮車を示す側面図である。
【図2】図1に示す汚泥濃縮車の平面図である。
【図3】図1に示す汚泥濃縮車の背面図である。
【図4】(a) は図1の汚泥濃縮車に設けられたドラムスクリーンを取外した状態を車両後方から見た一部断面の背面図であり、(b) はIV部拡大図である。
【図5】図1の汚泥濃縮車に設けられたドラムスクリーンを取外した状態を示す図面であり、図4に示すV−V矢視図である。
【図6】図4に示す図4に示すドラムスクリーンの下流側に設けられたストップ弁の図面であり、(a) は平面視の断面図、(b) は側面図、(c) は作動時の側面図である。
【図7】図1,2に示す汚泥濃縮車に搭載した汚泥濃縮装置の配管系統図である。
【図8】図7に示す配管系統図の構成における作業内容図である。
【図9】図8に示す作業内容図における汚泥水吸引時の配管系統図である。
【図10】図8に示す作業内容図における反応槽での凝集反応時の配管系統図である。
【図11】図8に示す作業内容図における大気開放時の配管系統図である。
【図12】図8に示す作業内容図における汚泥濃縮時の配管系統図である。
【図13】図8に示す作業内容図における排出弁から排出時の配管系統図である。
【符号の説明】
【0069】
1…汚泥濃縮車
5…タンク
6…隔壁
7…反応槽
8…汚泥槽
9…ホースリール
11…ドラムスクリーン(汚泥分離手段)
20…汚泥濃縮装置
22…ポンプ
25…吸引・加圧切替弁
38…水容器
45…槽切替弁
50…浄化槽
51…汚泥吸引管
52…汚泥排出管
67…回転ドラム
69…スクリーン本体
79…スクレーパ
80…ストップ弁
81…管体
82…開口
83…仕切り壁
84…ボール
85…揺動軸
86…フロート
87…ストッパ
95…排水管
101…圧切替弁操作レバー(圧切替弁操作部)
102…槽切替弁操作レバー(槽切替弁操作部)
104,105…連結部材
106…計器取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥槽と反応槽とを隔壁で隔離したタンクと、
該タンク内を減圧または加圧するポンプと、
該ポンプと前記タンク内とを連通または遮断する吸引・加圧切替弁と、
原汚泥水を吸引する汚泥吸引管と前記汚泥槽または前記反応槽とを連通、もしくは該汚泥槽と該反応槽とを連通する槽切替弁とを備え、
前記吸引・加圧切替弁の切替えを行う圧切替弁操作部と、前記槽切替弁の切替えを行う槽切替弁操作部とを前記タンクの後部に配設したことを特徴とする汚泥濃縮装置。
【請求項2】
前記汚泥吸引管を開閉する加圧弁の操作部を前記タンク後部に配置した請求項1に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項3】
前記槽切替弁と前記加圧弁との間に吸気管と該吸気管を開閉する吸気弁とを設け、該吸気弁の操作部を前記タンク後部に配置した請求項1又は請求項2に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項4】
前記ポンプの回転数を変更する回転数操作部を前記タンク後部に配設した請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項5】
前記圧切替弁操作部を圧切替弁操作レバーで構成し、前記槽切替弁操作部を槽切替弁操作レバーで構成し、
前記吸引・加圧切替弁と該圧切替弁操作レバーとを連結部材で連結し、前記槽切替弁と該槽切替弁操作レバーとを連結部材で連結し、該圧切替弁操作レバーと槽切替弁操作レバーとを前記タンク側方に並設した請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚泥濃縮装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚泥濃縮装置を備えた汚泥濃縮車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−93591(P2008−93591A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279549(P2006−279549)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】