説明

決済端末装置

【課題】内蔵プリンタのメンテナンス性向上が図れるように本体の組立構造を改良した据置形の決済端末装置を提供する。
【解決手段】本体1にキーボード5,表示部6およびロール紙印字プリンタを搭載装備し、本体に収容したロール紙8から繰出す記録用紙をプリンタに給紙,印字した上で、本体から排出するようにした決済端末装置において、本体を上面,および前面一部を開口した箱形の筐体2と、その上面,正面に配した蓋体3および前扉4との組立体から構成し、蓋体はその後端を筐体にヒンジ結合して上方へ開放可能に組み付けた上で、上面にキーボード,表示部を、また前部内側にプリンタ部7を装備し、前扉はその下端を筐体にヒンジ結合して前方へ傾動可能に組み付けた上で、その上端部内側に前記プリンタヘッドに対向するプラテンローラ8aと組み合わせたカッター部8を装着し、ロール紙から繰出して印刷した記録用紙を本体の正面から排出ような構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デビット/クレジットカードなどによる電子決済システムに適用する据置形の決済端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頭記の据置形決済端末装置として、様々な構造タイプの製品が市場に展開しており、その一例として、本体にキーボード,表示部,および決済内容の明細(レシート)を発行するロール紙印字プリンタ(ラインサーマルプリンタ)を搭載装備し、本体の後部側に装備のロール紙ホルダに収納したロール紙から繰出す記録用紙をプリンタに給紙して印字した上で、印字された記録用紙を本体から後方に排出すようにした構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ロール紙を使用する汎用プリンタとして、ロール紙を収容する上面開放形の箱型筐体に設けた蓋体の前部内側に印字プリンタのプリンタヘッドを装着するとともに、このプリンタヘッドに対向して前記筐体の前壁上端の内側にプラテンローラおよびカッターを装備し、ロール紙から繰出した記録用紙をプリンタヘッドに給紙して印刷した後に筐体から前方に排出ようにするとともに、前記の蓋体はその後端を筐体にヒンジ結合して上方へ開放可能に支持し、かつ筐体の前面には閉位置に係止された蓋体の鎖錠を釈放する釦を備えた構成のものが知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−83370号公報(図1〜図4)
【特許文献2】特開2000−289272号公報(図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、据置形の決済端末装置について、特許文献1に開示されている決済端末装置のように、ロール紙印字プリンタを本体の後部側に配備した構成ではメンテナンス性に次記のような問題点がある。
すなわち、プリンタはそのプリンタヘッド,プラテンローラなどが汚れ易く、また用紙詰まりなどのトラブルもこの部分に発生することから、日常の点検,清掃,トラブル処理などを行う際に、そのメンテナンス箇所の目視点検,アクセスがし易いことが必要である。また、ロール紙の交換が楽に行えることも望まれる。
かかる点、特許文献1の構造では、プリンタおよびロール紙ホルダが本体後部に装備されているために、プリンタのメンテナンス箇所が目視点検し難い問題がある。
一方、汎用プリンタとして、特許文献2のようにロー紙を上蓋付きの筐体内部に収容した上で、プリンタヘッドを蓋体の前端部内側に、送りローラ,カッターを筐体の前端部内側に分けて配備した構成では、上蓋を上方に開放することでロール紙の交換が楽に行える利便性があるものの、プリンタのプラテンローラ,カッターなどを筐体の前面壁の裏側に装着していることから、メンテナンス時にこの部分を点検,清掃する場合に、筐体の前面壁が邪魔になってメンテナンス作業がやり難い問題がある。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決して内蔵プリンタのメンテナンス性向上が図れるように本体の組立構造を改良した据置形の決済端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、本体にキーボード,表示部およびロール紙印字プリンタを搭載装備し、本体内部に収容したロール紙から繰出す記録用紙をプリンタに給紙,印字した上で、本体から排出するようにした決済端末装置において、
前記本体が上面,および前面一部を開口した箱形の筐体と、該筐体の上面,正面に配した蓋体および前扉との組立体からなり、蓋体はその後端を筐体にヒンジ結合して上方へ開放可能に組み付けた上で、その上面にはキーボード,表示部を、また前部内側にプリンタヘッドを装備し、前扉はその下端を筐体にヒンジ結合して前方へ傾動可能に組み付けた上で、その上端部内側に前記プリンタヘッドに対向するプラテンローラと組み合わせたカッター部を装着してロール紙から繰出して印刷した記録用紙を本体の正面から排出ような構成とする(請求項1)。
【0006】
また、本発明は前記の蓋体,前扉に対する鎖錠,釈放手段として、次記のロック機構,ロック釈放機構を装備するものとする。
(1)蓋体の前部,および前扉の上部に蓋体,前扉を閉位置に係止するオートロック式のロック機構を設けるとともに、筐体の前面部には前記の各ロック機構を一括して釈放する釦操作式のロック釈放機構を設ける(請求項2)。
(2)前記のロック釈放機構は、筐体の前面に臨ませたオープン釦と、該釦の背後に延在する釈放レバーからなり、オープン釦の押し込み操作により釈放レバーを介して蓋体および前扉のロック機構を釈放位置に駆動するようにする(請求項3)。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成により、本体に内蔵した印字プリンタに対する点検,清掃などのメンテナンス性が大幅に改善される。すなわち、ロール紙を収納する本体の筐体に蓋体および前扉を組み付けて両開き構造としたことで、筐体の開口面域が拡大してロール紙の交換作業を本体の前方から楽に行えるほか、前扉を前方に傾けることにより、前扉の内側に装着したプリンタのプラテンローラ,カッター(メンテナンス箇所)へのアクセス,目視点検が容易となってメンテナンス性が向上する。しかも、筐体の前面に備えたオープン釦を押し込み操作することで、蓋体,前扉の鎖錠を一括して同時釈放することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1は決済端末装置の本体に組み付けた蓋体,前扉の開,閉状態を模式的に表した図、図2は決済端末装置全体の外観斜視図、図3は本体に装備したロック釈放機構の動作説明図であり、図2では筐体の左側面を覆う筐体カバーを取り外してその内側の構造が見えるようにしている。
すなわち、図示実施例の決済端末装置では、その本体1が上面,および前面一部(前壁の上端中央部位)を開口した箱形の筐体2と、筐体2の上面に配した蓋体3と、筐体2の正面に配した前扉4との組立体になる。ここで、蓋体3はその上面にキーボード5および表示部(液晶パネル)6を配備し(制御回路のプリント板は蓋体の内部に組み込まれている)、その前端部内側(蓋体の裏面側)にはキャプスタンローラ7aと組み合わせたプリンタヘッド部7を装着した上で、蓋体の後端を筐体2にヒンジ結合し、このヒンジ部3aを支点に上方へ開放可能に組み付けている。
【0009】
一方、前扉4はその下端を筐体2にヒンジ結合し、このヒンジ部4aを支点として前方へ傾動可能に組み付けた上で、前扉4の上端部内側には前記プリンタヘッド部7に対向するプラテンローラ8aと組み合わせたカッター部8を装着している。
上記の構成で、図1(a)に表す決済端末装置の使用状態では、筐体2の内部に収納したロール紙9から繰出す記録用紙9aを、キャプスタンローラ7aを経由してプリンタヘッド部7とプラテンローラ8aとの間に給紙し、決済時に印字プリントした記録用紙9aを本体1の正面から前方に排出するようにしている。:
また、ロール紙9の交換,プリンタ点検などのメンテナンスを行う場合には、図1(b)で表すように蓋体3を上方(矢印A)に開き、前扉4を手前(矢印B)に引いて前傾姿勢に開く。これにより、蓋体3の前端部内側に装着したプリンタヘッド部7、および前扉4の上端部内側に装着したカッター部8が露呈し、そのメンテナンス箇所Pを本体1の前方から容易に目視点検でき、また該部にアクセスして部品清掃などのメンテナンス作業が楽に行える。また、この開放状態では筐体2の開口面域が広くなるので、ロール紙9の交換作業も楽に行える。
【0010】
一方、前記の蓋体3,前扉4には、次記のように蓋体,前扉を閉位置に係止鎖錠するオートロック式のロック機構を設けるとともに、筐体2の前部側には蓋体,前扉の各ロック機構を一括して同時釈放する釦操作式のロック釈放機構を備えている。
すなわち、図2,図3で示すように、筐体2の正面上部には前扉4の側方に臨ませて鎖錠釈放用のオープン釦10を備えている。一方、蓋体3のロック機構として、蓋体3の前端内側に装着したプリンタヘッド部7の左右両サイドにロックピン12を設け、このロックピン12を筐体2の内側に設けたロックレバー(ラッチ)11の爪部に係合して蓋体3を閉位置に鎖錠するようにしている。また、前扉4を閉位置に鎖錠するロック機構として、蓋体3に装着した前記プリンタヘッド部7の取付部材に揺動式のロックレバー(ラッチ)13を吊り下げ支持した上で、このロックレバー13の爪部を前扉4のロックピン14(前扉4の内側に装着したプラテンローラ8aの駆動歯車軸)に係合するようにし、蓋体3および前扉4の閉位置で前記ロックレバー13を介して前扉4を閉位置に鎖錠するようにしている。
【0011】
次に、前記のロック機構,ロック釈放機構を構成する各部品の詳細構造を図3(a),(b)により説明する。すなわち、オープン釦10(樹脂成形品)にはその背後に延在するアクチュエータ部10aが一体成形されており、オープン釦10を前方から押し込むと、アクチュエータ部10aが前記のロックレバー11,13を釈放位置に駆動する。一方、ロックレバー11(樹脂成形品)は支軸11a,押しピン11b,復帰ばね11cを備えた上で、支軸11aを支点として筐体2の内側に枢着し、この位置で押しピン11bをオープン釦10のアクチュエータ10部aに形成した突き押し段部の背後に対峙させている。
一方、ロックレバー13は、支軸13aを介して蓋体3に装着したプリンタヘッド部7の取付部材へ揺動可能に吊り下げ支持し、蓋体3の閉位置でロックレバー13の下端部をオープン釦10のアクチュエータ部10aに形成した突起部10bの背後に対峙させるようにしている。
【0012】
上記の構成において、本体1の蓋体3を閉じると、図3(a)で示すようにロックピン12が矢印方向に移動して来てロックレバー11の爪部に係合し、蓋体3を閉位置にオートロックする。また、この状態で前扉4を閉じると、蓋体3と一緒に下降してこの位置に待機しているロックレバー13の爪部13bに矢印方向から移動して来たロックピン14(プラテンローラ8aの駆動歯車軸)が係合して前扉4を閉位置にオートロックする。
一方、蓋体3,前扉4が閉じている状態で、筐体2の前面に配したオープン釦10を手動で押し込むと、図3(b)で示すようにアクチュエータ部10aが後方に移動してロックレバー11およびロックレバー13を釈放位置に駆動する。これにより、ロックピン12/ロックレバー11,およびロックピン14/ロックレバー13の係合が外れて蓋体3,前扉4を図1(b)の位置に開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例による決済端末装置の模式図で、(a),(b)はそれぞれ本体の蓋体,前扉を閉じた使用状態,および蓋体,前扉を開いた状態を表す図
【図2】図1(b)の状態に対応する決済端末装置の外観斜視図
【図3】図2における蓋体,前扉のロック機構に対する釈放機構の構造図で、(a),(b)はそれぞれ鎖錠,釈放状態を表す図
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 筐体
3a ヒンジ部
3 蓋体
4 前扉
4a ヒンジ部
5 キーボード
6 表示部
7 プリンタヘッド部
8 カッター部
8a プラテンローラ
9 ロール紙
9a 記録用紙
10 オープン釦
10a アクチュエータ
11 蓋体のロックレバー
12 蓋体のロックピン
13 前扉のロックレバー
14 前扉のロックピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体にキーボード,表示部およびロール紙印字プリンタを搭載装備し、本体内部に収容したロール紙から繰出す記録用紙をプリンタに給紙,印字した上で、本体から排出するようにした決済端末装置において、
前記本体が上面,および前面一部を開口した箱形の筐体と、該筐体の上面,正面に配した蓋体,および前扉との組立体からなり、蓋体はその後端を筐体にヒンジ結合して上方へ開放可能に組み付けた上で、その上面にはキーボード,表示部を、また前部内側にプリンタヘッドを装備し、前扉はその下端を筐体にヒンジ結合して前方へ傾動可能に組み付けた上で、その上端部内側に前記プリンタヘッドに対向するプラテンローラと組み合わせたカッター部を装着してロール紙から繰出して印刷した記録用紙を本体の正面から排出するようにしたことを特徴とする決済端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の決済端末装置において、蓋体の前部,および前扉の上部に蓋体,前扉を閉位置に係止するオートロック式のロック機構を設け、筐体の前面部には前記の各ロック機構を一括して釈放する釦操作式のロック釈放機構を設けたことを特徴とする決済端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の決済端末装置において、ロック釈放機構が筐体の前面に臨ませたオープン釦と、該釦の背後に延在する釈放レバーからなり、オープン釦の押し込み操作により釈放レバーを介して蓋体および前扉のロック機構を釈放位置に駆動するようにしたことを特徴とする決済端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−172014(P2007−172014A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364327(P2005−364327)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】