説明

沈下防止機能を有する回転管状基礎

【課題】単柱の基礎を回転により埋設する際の捩じ込み力、及び管状基礎の沈下力に対する抵抗を発揮し、またブラケットのリブプレート頂部付近での応力集中を緩和し、溶接による疲労亀裂の発生を防止し、さらにブラケットのボルト位置調整を柱体径の大さに対応して調整可能とした沈下防止機能を有する回転管状基礎を提供する。
【解決手段】回転により埋設する管状基礎1の先端に先端翼2が固設され、該先端翼は板部材を略一巻の螺旋形状に形成してなる螺旋状板3からなり、該螺旋状板の一部が管状基礎1の先端から突出する一方、該螺旋状板の他の部分が管状基礎の内周に接した状態で固設され、螺旋状板3の始端4aと終端4bとが螺旋状板の外側に固設された板部片6で連結され、該板部片を延長してなる掘削刃8の他に一つ又は複数の掘削刃が螺旋状板の外周に固設され、これらの掘削刃全体の外径が管状基礎の管径と同様の外径をなすように形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明灯柱等の単柱の基礎をオーガ等の回転によって土中に埋設する回転管状基礎に係り、沈下力に対して抵抗する支持力を発揮し得るように沈下防止機能を有する回転管状基礎に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明灯柱等に用いる単柱の基礎構造としては、特許文献1に「管状基礎」として開示されたものがある。この基礎は、図7(a)又は(b)に示すように、管体30の先端部の内面に2枚の半楕円形底板部片31a、31bの上半分を固設すると共に、2枚の半楕円形底板部片31a、31bの下半分を管体30の先端部から離間させた状態で各半楕円形底板部片31a、31bを交叉形態に配設したものである。
【0003】
ところが、この管状基礎の構造は、半楕円形底板部片31a、31bが平板よりなるため、管体30をオーガ等で回転することにより地中に埋設する際の捩じ込み力の点で改善する余地があった。
【0004】
また、図8(a)又は(b)に示すように、特許文献2に開示された「打込杭基礎構造」において、各独立基礎は地中に打ち込む鋼管杭32と該鋼管杭32の上端外周に固設されたブラケット33、33…にボルト締結するスライドプレート(不図示)とを有するものである。
【0005】
このような構造において、各ブラケット33は1枚の水平プレート35と2枚のリブプレート36a、36bからなるコ字形をなして形成され、夫々のブラケット33、33…に接続するボルト37は水平プレート35に形成された円弧穴35aにボルト37のネジ部を上方に向けて挿通するようにしている。
【0006】
ところが、このような打込杭基礎構造は、各水平プレート35の円弧穴35aに下方から挿通したボルト37の頭部37aを下方から支持する部材が存在する構造ではないため、ボルト37の挿入作業又は交換作業の際にボルト37が落下するという不都合があった。
【0007】
また、特許文献2のブラケット33を鋼管杭32の上端外周に溶接で接合する場合、ブラケット33が1枚の水平プレート35と2枚のリブプレート36a、36bからなるコ字形をなすため、溶接箇所が多く、溶接加工コストが高騰し、また溶接作業に手間を要するという不都合があった。さらに、ブラケット33が上記のコ字形をなすため、重量が大になるという不都合があった。
【0008】
さらに、図4(a)、(b)に示す従来のフランジ構造は、管状基礎40の上端に1枚のベースプレート41を固設し、このベースプレート41の下部を複数のリブプレート42で支持すると共に、ベースプレート41には、リブプレート42の上方に対応する位置に立設されたネジ棒43が埋め込まれた構造とされている。このような構造においては、ベースプレート41が1枚の鋼板からなるため、重量が大となり、またネジ棒43の位置調整ができないため、管状基礎40の上部に接続する柱体径の大きさの変化に対応することができないという不都合があった。
【0009】
また、上記の従来のフランジ構造は、1枚のリブプレート42が直接管状基礎40に溶接された構造とされているため、管状基礎40に曲げ荷重が加わったとき、リブプレート頂部42aにより管状基礎40の側面に応力が集中するために、リブプレー42を溶接した場合は、リブプレート頂部42aの溶接付近で疲労亀裂が発生することが知られている。
【特許文献1】特開2002−332635号公報
【特許文献2】特開2004−011283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたもので、照明灯柱等の単柱の基礎をオーガ等で回転することにより地中に埋設する際の捩じ込み力を効率的に発揮すると共に、埋設状態における管状基礎の沈下力に対する抵抗を十分に発揮し得る沈下防止機能を有する回転管状基礎を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、管状基礎に取付けるブラケットの構造を軽量化すると共に、取付け作業を簡単にし、またブラケットのリブプレート頂部付近での応力集中を緩和し、溶接による疲労亀裂の発生を防止する構造とし、さらにブラケットに設けるボルトの位置調整を柱体径の大さに対応して径の拡大縮小方向に調整可能とした沈下防止機能を有する回転管状基礎を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明による請求項1の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、回転することにより地中に埋設する管状基礎の先端に先端翼が固設され、該先端翼は板部材を略一巻の螺旋形状に形成してなる螺旋状板からなり、該螺旋状板の一部が前記管状基礎の先端から突出する一方、該螺旋状板の他の部分が前記管状基礎の内周に接した状態で固設され、さらに前記螺旋状板の始端と終端とが前記螺旋状板の外側に固設された板部片で連結されると共に、該板部片を前記管状基礎の先端から突出するように延長してなる掘削刃の他に一つ又は複数の掘削刃が前記螺旋状板の外周に固設され、これらの掘削刃全体の外径が前記管状基礎の管径と同様の外径をなすように形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による請求項2の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、請求項1において、前記先端翼を構成する螺旋状板の中心に細管からなるセンター突起が前記管状基礎の先端から突出した状態に固設され、該センター突起の先端が平状に潰された形状をなすことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による請求項3の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、請求項1又は2において、前記先端翼は鋳物で一体成形されてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による請求項4の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、請求項1、2又は3において、前記管状基礎の外周上端に複数のブラケットが固設され、夫々のブラケットは前記管状基礎の外周上端に沿って固設される垂直プレートと、該垂直プレートの上端に沿って水平方向に張り出した水平プレートと、該水平プレートに対してT字形の垂下部をなすリブプレートとからなり、前記水平プレートに設けられたボルト穴にネジ部を上方に向けて挿着されるボルトの頭部を収容するボルト溝が前記リブプレートの上端に形成されたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による請求項5の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、請求項1、2、3又は4において、前記ブラケットは鋳物で一体成形されてなることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明による請求項6の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、請求項1、2、3、4又は5において、前記水平プレートには前記管状基礎の半径方向に長尺に形成されたボルト穴が設けられると共に、前記リブプレートに設けられたボルト溝は前記水平プレートのボルト穴に挿通したボルトの頭部が抜け出さない深さを有し、前記ブラケットを前記管状基礎の外周上端に固定する前に、前記ボルトを前記水平プレートのボルト穴の開放側から挿通した状態で前記ブラケットを前記管状基礎の外周上端に固設するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の沈下防止機能を有する回転管状基礎によれば、先端翼を備えた管状基礎を地中に埋設した状態において、この管状基礎の先端には板部材を略一巻してなる螺旋状板が設けられているため、回転する螺旋状板が地中に捩じ切るように食い込むことにより、管状基礎の回転力を鉛直方向に変える推進力が効果的に発揮され、さらに管状基礎の先端部の平面投影では開口する部分がなく、十分な閉塞効果が期待でき、管状基礎の全体の面積に相当した沈下力に抵抗する強力な支持力を発揮することが可能となる。
【0019】
また、先端翼を構成する螺旋状板の外周に複数の掘削刃が設けられているため、管状基礎をオーガ等で回転して地中に埋設する際、複数の掘削刃が回転して地中に掘削穴を形成するが、この掘削穴と管状基礎の外径とが略一致することによって、掘削穴内における管状基礎の外周に隙間がない状態で埋設され、管状基礎にガタがない敷設状態とすることが可能となる。
【0020】
さらに、上記の構成において、先端翼を構成する螺旋状板の中心に細管からなるセンター突起が管状基礎の先端から突出した状態に固設され、センター突起の先端が平状に潰された形状をなすことにより、管状基礎を回転しながら地中に埋設する際、上記のように複数の掘削刃が掘削穴の外周を掘削する一方で、センター突起の潰された形状を有する先端が掘削穴の中心を掘削して土壌をほぐし、上記のように回転する螺旋状板が地中に捩じ切るように食い込む作業を効率よく推進し、螺旋形状に沿って管状基礎内の上方へと送る作業をスムーズに推進することが可能となる。
【0021】
さらに、上記の構成において、管状基礎の外周上端に複数のブラケットが固設され、夫々のブラケットが垂直プレートと水平プレートとリブプレートからなるT字形をなし、従来のコ字形のブラケットに比べて軽量であって、取付け作業時の溶接の手間も大幅に省略することができ、製造コスト或いは作業コストの削減を図ることができる。また、このブラケットを鋳物で一体成形することにより、製造コストをさらに削減することが可能となる。
【0022】
また、本発明における夫々のブラケットは垂直プレートを有し、この垂直プレートの内側面全体が管状基礎の外周に当接した状態で固設されるため、図4(a)、(b)に示す従来のフランジ構造においてリブプレート頂部付近に生じる応力集中の問題、さらにはリブプレート頂部の溶接部付近に生じる疲労亀裂の問題等を解消することが可能となる。
【0023】
さらに、夫々のブラケットに設けられた水平プレートには管状基礎の半径方向に長尺に形成されたボルト穴が設けられると共に、該ボルト穴にネジ部を上方に向けて挿着されるボルトの頭部を収容するボルト溝がリブプレートの上端に形成されているため、管状基礎の上部に連結する柱体を固定するボルトの位置調整を柱体径の大さに対応して径の拡大縮小方向に調整可能とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例の沈下防止機能を有する回転管状基礎1は、図1に示すように、オーガ等を用いて回転することにより地中に埋設するように外形が管状に形成された鋼管等から形成されている。このような管状基礎1の先端に設けられた先端翼2は、図2(a)又は(b)に示すように、鋼板等の板部材を略一巻の螺旋形状に形成してなる螺旋状板3から構成され、該螺旋状板3の一部が管状基礎1の先端から突出する一方、該螺旋状板3の他の部分が管状基礎1の内周に接した状態で固設されている。
【0026】
このような構成においては、板部材を螺旋形状に一巻してなる螺旋状板3の先端を始端4aとし、また後端を終端4bとし、螺旋状板3の平面投影では、始端4aと終端4bが一致した状態となるのではなく、始端4a付近と終端4b付近に互いにオーバーラップする部位(図2(a)の2点鎖線で示す部位)5a、5bが生じる程度に巻かれた状態とされている。
【0027】
なお、上記のオーバーラップする部位5a、5bが広すぎると材料に無駄が生じるため、本発明の目的の一つである螺旋状板3が沈下力に対して効率的に抵抗する支持力を発揮するには、少なくとも始端4aと終端4bが一致した構成とするのが望ましい。
【0028】
ただし、本実施例においては、上記のオーバーラップする部位5a、5bの外周を板部片6の固設幅として利用している。即ち、螺旋状板3の始端4aと終端4bとが螺旋状板3の外周に固設された板部片6で連結固定された構成により、始端4aと終端4bとは上下に離間した開口部7を有する形状となる。このような構成において、板部片6は螺旋状板3の始端4aと終端4bとの開口部7の開口幅L3(図2(b)参照)を所定幅に保つようにされている。
【0029】
また、上記の板部片6は、管状基礎1の先端から突出するように延長してなる掘削刃8として形成され、この長尺の掘削刃8と対を成す他の短尺の掘削刃9が螺旋状板3の外周の対向位置にて固設されている。ただし、本実施例の両方の掘削刃8、9の長さ、或いは掘削刃を複数設けた場合の各掘削刃の長さは、管状基礎1の先方へ同様の長さで突出する長さとするほか、夫々の掘削刃の長さを変えることによって、掘削効果を調整するようにしてもよい。
【0030】
また、図2(b)に示すように、上記の対をなす2枚の掘削刃8、9が管状基礎1の管径と同様の外径をなすように、夫々の掘削刃8、9の下端付近が互いに管状基礎1の外周方向へやや屈曲するように形成され、これによって管状基礎1の管径L1と対をなす2枚の掘削刃8、9の外径L2とが略一致するものとされている。なお、本実施例においては、上記のように螺旋状板3の外周に対をなす2つの掘削刃8、9が設けられた構成とされているが、板部片6を延長してなる掘削刃8の他に一つ又は複数の掘削刃を設けた構成としてもよい。この場合も、複数の掘削刃全体の外径が管状基礎1の管径L1と同様の外径をなすように形成する。
【0031】
このような構造により、管状基礎1をオーガ等で回転して地中に埋設する際、まず2枚の掘削刃8、9が回転して地中に掘削穴を形成するが、この掘削穴と管状基礎1の外径とが略一致することによって、掘削穴内における管状基礎1はその外周に隙間がない状態で埋設されるため、管状基礎1にガタが生じない敷設状態となる。
【0032】
さらに、本実施例の先端翼2をなす螺旋状板3は、上記のように該螺旋状板3の一部が管状基礎1の先端から突出する一方、該螺旋状板3の他の部分が管状基礎1の内周に接した状態で固設されている。本実施例においては、図2(b)に示すように、螺旋状板3の全体高さの上半分の外周を管状基礎1の先端側の内周に内接した状態にして溶接、ボルト又はリベット等で固設するようにし、残りの下半分を管状基礎1の先端から先方に露出したものとしている。
【0033】
このような構造により、管状基礎1をオーガ等で回転しつつ地中に埋設する際、まず上記のように一対の掘削刃8、9で掘削穴の外周をほぐすように形成し、次いで回転する螺旋状板3が地中に捩じ切るように食い込むことにより、管状基礎1の回転力を鉛直方向に変える推進力が効果的に発揮される。また、上記のように一対の掘削刃8、9で掘削穴の外周がほぐされると共に、回転する螺旋状板3によって捩じ切られた土壌は、開口部7からスムーズに入り、螺旋状板3に沿って管状基礎1内の上方へと送られる。
【0034】
さらに、上記の構成においては、先端翼2を構成する螺旋状板3の中心に細管からなるセンター突起10が管状基礎1の先端から突出した状態に溶接で固設され、該センター突起10の先端が平状に潰された形状10aをなすように構成してもよい。このような構成により、管状基礎1を回転しながら地中に埋設する際、上記のように一対の掘削刃8、9が掘削穴の外周を掘削する一方で、センター突起10の潰された形状10aを有する先端が掘削穴の中心を掘削して土壌をほぐし、上記のように回転する螺旋状板3が地中に捩じ切るように食い込む作業を効率よく推進する。また、捩じ切られた土壌が開口部7から入り、螺旋形状に沿って管状基礎1内の上方へと送る作業をスムーズに遂行することが可能となる。
【0035】
さらに、本実施例においては、図3(a)又は(b)に示すように、先端翼2の構造をセンター突起10のない構造としてもよい。このような構成によれば、図2のセンター突起10が設けられていない分、製造コストと手間が省けるが、掘削の効率は、上記で説明したセンター突起10以外の構成から奏される効果を発揮することが可能である。
【0036】
また、上記のように構成された先端翼2は、センター突起10を設けた場合でも、センター突起10を設けない場合でも、鋳物で一体成形することが可能であり、製造コストを削減することが可能となる。
【0037】
また、上記のように板部材を略一巻してなる螺旋状板3が設けられているため、先端翼2を備えた管状基礎1を地中に埋設した状態において、管状基礎1の先端部の平面投影では開口する部分がなく、十分な閉塞効果が期待でき、管状基礎1の全体の面積に相当した沈下力に抵抗する強力な支持力を発揮することが可能となる。
【0038】
さらに、図4(c)に示すように、本実施例の管状基礎1の外周上端には複数のブラケット11が固設されている。このブラケット11は管状基礎1の外周上端に沿って固設される垂直プレート12と、該垂直プレート12の上端に沿って水平方向に張り出した水平プレート13と、該水平プレート13に対してT字形の垂下部をなすリブプレート14とから構成されている。このようなブラケット11を管状基礎1の外周上端に固設するには、溶接、ボルト又はリベット等で行うことが可能である。
【0039】
このようなブラケット11は、夫々の部材を溶接で接合してもよいが、鋳物で一体成形することにより、製造コストを削減することが可能となる。さらに、垂直プレート12、或いはリブプレート14の形状を必要強度が確保される範囲内で側部を傾斜状に形成した三角形状のようにすることによって、リブプレート頂部14aに係る応力を緩和することができる。また、このようなリブプレート14の形状によって、軽量化を図り、材料コストの低減を実現することが可能となる。
【0040】
また、上記の本実施例のブラケット11と図4(a)、(b)に示す従来のフランジ構造とを比較すると、図4(c)に示す本実施例のブラケット11における四方の2点鎖線で示す斜線部分22、22…を除いた部位が本実施例の水平プレートの占める部分となり、従来のフランジ構造において使用されていたベースプレートに比べて、広い面積に渡って材料を削減することができ、軽量化及び材料コストの低減を図ることが可能となる。
【0041】
さらに、本実施例のブラケット11と図4(a)、(b)に示す従来のフランジ構造とを比較すると、本実施例の各ブラケット11は垂直プレート12を有し、この垂直プレート12が管状基礎1の外周に当接した状態で固設されるため、各ブラケット11に作用する荷重を垂直プレート12の面全体で支持することが可能となり、図4(a)、(b)に示す従来のフランジ構造において問題となっていたリブプレート頂部42a付近に生じる応力集中の問題、さらにはリブプレート頂部42aの溶接部付近に生じる疲労亀裂の問題等を解消することが可能となる。
【0042】
また、本実施例のブラケット11と特許文献2のブラケット構造とを比較すると、図8に示す特許文献2のブラケット構造が2枚のリブプレートを使用しているのに対して、本実施例では1枚のリブプレートを使用しているため、その分軽量化を実現し、溶接箇所の無駄を省くことができるため、材料コストの低減を図ることが可能となる。
【0043】
さらに、本実施例のブラケット11において、水平プレート13には管状基礎1の半径方向に長尺に形成されたボルト穴15が設けられている。このボルト穴15は管状基礎1の外周側に開放され、さらにこのボルト穴15にネジ部を上方に向けて挿着されるボルト17の頭部17aを収容するためのボルト溝16がリブプレート14の上端に形成されている。このボルト溝16は、上記の水平プレート13のボルト穴15と同様の横幅を有し、水平プレート13のボルト穴15に挿着したボルト17の頭部17aをリブプレート14のボルト溝16内に収納して、管状基礎1の半径方向に移動することを可能とするものである。また、上記のブラケット11の中央には上方に開放された凹溝18が垂直プレート12の上端に形成されている。このような構成により、管状基礎1の上部に連結する柱体(不図示)を固定するボルト17の位置調整を柱体径の大さに対応して径の拡大縮小方向に調整可能とすることが可能となる。
【0044】
上記の構成において、図5(a)、(b)に示すように、リブプレート14に設けられたボルト溝16は水平プレート13のボルト穴15に挿通したボルト17の頭部17aが抜け出さない深さを有するものとしている。この場合、ブラケット11を管状基礎1の外周上端に固定する前に、ボルト17を水平プレート13のボルト穴15の開放側15a(図5(c)参照)から挿通した状態にし、この状態でブラケット11を管状基礎1の外周上端に固設することにより、ボルト17は水平プレート13のボルト穴15に沿って移動可能であるが、ボルト穴15から抜け出ない取付け状態となる。
【0045】
また、図6(b)、(c)に示すように、リブプレート14に設けられたボルト溝16は水平プレート13のボルト穴15に挿通したボルト17の頭部17aが抜け出る深さを有する構成とすることも可能である。このため、リブプレート14に形成されたボルト溝16’を図5(a)、(b)に示すボルト溝16よりも深い溝深さとし、図6(a)に示すように、ボルト17のネジ部17bを傾けた状態でボルト穴15の下方から挿通し、図6(b)に示すように、ボルト17の頭部をボルト溝16’内に収容する。また、ボルト17を交換する際は、ボルト17を斜めにし、ボルト17の頭部17aをリブプレート14のボルト溝16から抜き出した後、ネジ部17bをボルト穴15から取り出すようにする。
【0046】
上記のように構成された管状基礎1を地中に埋設するには、施工現場に移動させた穴堀建柱車のオーガ(不図示)に、管状基礎1に固設した回転工具(不図示)を固定し、オーガを押圧しながら回転して管状基礎1を地中の規定深度まで進入させる。ついで、回転工具を取り外してオーガを抜き、管状基礎1の内部を残土で充填する。
【0047】
さらに、図4(d)に示すように、各部ブラケット11のボルト17に水平位置調整用ナット19を嵌合して柱体のフランジ20が水平になるように位置決めし、管状基礎1の上部に連結すべき柱体のフランジ20のボルト穴にブラケット11のボルト17を通して、固定ナット21で固定する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の沈下防止機能を有する回転管状基礎は、照明灯柱等の単柱の基礎をオーガ等で回転することにより地中に埋設する際の捩じ込み力を効率的に発揮すると共に、埋設状態における管状基礎の沈下力に対する抵抗を十分に発揮し得る沈下防止機能を有する回転管状基礎であって、該回転管状基礎の上部に連結する柱体を支持及び固定するブラケットに設けるボルトの位置調整を柱体径の大さに対応して径の拡大縮小方向に調整可能とした沈下防止機能を有する回転管状基礎として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による管状基礎を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明による管状基礎の先端に設けられた先端翼を示す斜視図であり、(b)はその側面図である。
【図3】(a)は本発明による管状基礎の先端に設けられた先端翼の他の実施例を示す斜視図であり、(b)はその側面図である。
【図4】(a)は従来のフランジ構造を示す上面図であり、(b)は側面図である。(c)は本発明によるブラケット構造を示す平面図であり、(d)は側面図である。
【図5】(a)は本発明による管状基礎のブラケット構造を示す正面図であり、(b)は側面図であり、(c)は上面図である。
【図6】(a)、(b)は本発明による管状基礎のブラケット構造の他の実施例を示す正面図であり、(c)は側面図である。
【図7】(a)は特許文献1の管状基礎の下端部に設けられた底板部片の斜視図であり、(b)は管状基礎の下端部の縦断面図である。
【図8】(a)は特許文献2の鋼管杭の側面図であり、(b)はその上面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 回転管状基礎
2 先端翼
3 螺旋状板
4a 始端
4b 終端
5a、5b オーバーラップする部位
6 板部片
7 開口部
8 長尺の掘削刃
9 短尺の掘削刃
10 センター突起
11 ブラケット
12 垂直プレート
13 水平プレート
14 リブプレート
14a リブプレート頂部
15 ボルト穴
15a ボルト穴の開放側
16 ボルト溝
16’ ボルト溝
17 ボルト
17a ボルトの頭部
17b ネジ部
18 凹溝
19 水平位置調整用ナット
20 柱体のフランジ
21 固定ナット
22 斜線部分
L1 管状基礎1の管径
L2 対をなす2枚の掘削刃の外径
L3 開口部の開口幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することにより地中に埋設する管状基礎の先端に先端翼が固設され、該先端翼は板部材を略一巻の螺旋形状に形成してなる螺旋状板からなり、該螺旋状板の一部が前記管状基礎の先端から突出する一方、該螺旋状板の他の部分が前記管状基礎の内周に接した状態で固設され、さらに前記螺旋状板の始端と終端とが前記螺旋状板の外側に固設された板部片で連結されると共に、該板部片を前記管状基礎の先端から突出するように延長してなる掘削刃の他に一つ又は複数の掘削刃が前記螺旋状板の外周に固設され、これらの掘削刃全体の外径が前記管状基礎の管径と同様の外径をなすように形成されていることを特徴とする沈下防止機能を有する回転管状基礎。
【請求項2】
前記先端翼を構成する螺旋状板の中心に細管からなるセンター突起が前記管状基礎の先端から突出した状態に固設され、該センター突起の先端が平状に潰された形状をなすことを特徴とする請求項1記載の沈下防止機能を有する回転管状基礎。
【請求項3】
前記先端翼は鋳物で一体成形されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の沈下防止機能を有する回転管状基礎。
【請求項4】
前記管状基礎の外周上端に複数のブラケットが固設され、夫々のブラケットは前記管状基礎の外周上端に沿って固設される垂直プレートと、該垂直プレートの上端に沿って水平方向に張り出した水平プレートと、該水平プレートに対してT字形の垂下部をなすリブプレートとからなり、前記水平プレートに設けられたボルト穴にネジ部を上方に向けて挿着されるボルトの頭部を収容するボルト溝が前記リブプレートの上端に形成されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の沈下防止機能を有する回転管状基礎。
【請求項5】
前記ブラケットは鋳物で一体成形されてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の沈下防止機能を有する回転管状基礎。
【請求項6】
前記水平プレートには前記管状基礎の半径方向に長尺に形成されたボルト穴が設けられると共に、前記リブプレートに設けられたボルト溝は前記水平プレートのボルト穴に挿通したボルトの頭部が抜け出さない深さを有し、前記ブラケットを前記管状基礎の外周上端に固定する前に、前記ボルトを前記水平プレートのボルト穴の開放側から挿通した状態で前記ブラケットを前記管状基礎の外周上端に固設するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の沈下防止機能を有する回転管状基礎。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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