説明

油中水型乳化化粧料

【課題】 皮膚への密着性、化粧持続性、皮膚への塗布性が良好で、特に塗布時に肌上に消しゴムカス状の凝集物を形成せず、また、乳化物の配合安定性に優れた油中水型乳化化粧料の提供。
【解決手段】 以下の成分(A)及び成分(B)を含有する油中水型乳化化粧料。
成分(A):(メタ)アクリル酸又はその塩/(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数3又は4のアルキル基)/(メタ)アクリル酸メチル共重合体からなり、そのガラス転移温度(Tg)が−45〜−15℃であるポリマーを含むソープフリーポリマーエマルション
成分(B):平均粒径が0.1〜50μmの粉体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚への密着性、化粧持続性、皮膚への塗布性が良好な油中水型(W/O)乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、耐水性や耐油性あるいは耐摩耗性に優れ、化粧持続性の高い化粧料を得るために、皮膜形成性ポリマーを配合した化粧料が知られており、皮膜形成性ポリマーとしてアクリル系ポリマー等が配合されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、重合時に乳化剤を使用しない無乳化剤重合樹脂エマルションを配合したメイクアップ化粧料が開示されている。また、特許文献2には、エステル部の炭素数が4〜18のアクリル酸エステルモノマーと、メタクリル酸エステルモノマーとから得られる共重合ポリマーエマルションを配合したメイクアップ化粧料が開示されている。更に特許文献3には、エステル部の炭素数が4〜18のアクリル酸エステルモノマーと、エステル部の炭素数が1〜4のメタクリル酸エステルモノマーとから得られるポリマーエマルションと、プロピレングリコール等のグリコールを配合したメイクアップ化粧料が開示されている。特許文献4には、エステル部の炭素数が1〜3のアクリル酸エステルを主成分とするアクリル酸エステルと重合性カルボン酸とからなるポリマーを含有するメイクアップ化粧料が開示されている。特許文献5には、水性内部相に、水溶性又は分散性薄膜形成ポリマーと可塑化溶媒を含む薄膜形成ファンデーション油中水型エマルションが開示されている。
【0004】
これらの技術は、皮膜形成性ポリマーを配合することによって化粧膜の肌への密着性や、耐水性、耐油性などの化粧持続性に関与する因子を向上させ、場合によっては特定のポリオールを組み合わせることによって化粧膜をより柔軟にして可撓性を付与したものであるが、皮膜形成性ポリマーの配合によって肌への密着性は向上する一方、塗布時に肌上でポリマー単体又はポリマーと粉体が消しゴムカス状の凝集物を形成したり、剤の延展性が低下してムラ付きしやすくなるという問題がある。また、皮膜形成性ポリマー単体であれば肌への密着性や柔軟性に優れたものであっても、粉体とポリマーがひとつの化粧膜になると、繊維強化プラスチックのように粉体とポリマーの複合効果によって化粧膜は剛性が高くなり、ポリマーの柔軟性はあまり発揮されにくくなることが多い。また、ポリマーの可塑化効果のあるポリオールの添加は、化粧膜の柔軟性やクレンジング性を向上させる効果があるが、ポリマー配合の本来の目的である化粧持続性が低下し、ポリマーの配合効果が著しく低下する。また、ポリマー皮膜の連続性が高くなると、化粧膜におけるパウダーファンデーションやチークなどの粉体の付着性が肌と異なり、不自然な仕上がりになりやすい。更には、乳化物の安定性も十分満足できるものではない。
【特許文献1】特開昭54−49338号公報
【特許文献2】特開昭54−151139号公報
【特許文献3】特開平1−203313号公報
【特許文献4】特許第3072568号公報
【特許文献5】特表平11−504326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、皮膚への密着性、化粧持続性、皮膚への塗布性が良好で、特に塗布時に肌上に消しゴムカス状の凝集物を形成せず、また、乳化物の配合安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の成分(A)及び成分(B)を含有する油中水型乳化化粧料を提供する。
成分(A):(メタ)アクリル酸又はその塩/(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数3又は4のアルキル基)/(メタ)アクリル酸メチル共重合体からなり、そのガラス転移温度(Tg)が−45〜−15℃であるポリマーを含むソープフリーポリマーエマルション
成分(B):平均粒径が0.1〜50μmの粉体
尚、本明細書において、「ソープフリーポリマーエマルション」とは、界面活性剤、高分子型乳化剤(ノニオン性,アニオン性,カチオン性)、反応型界面活性剤等の乳化剤を含まないポリマーエマルションを指す。
【0007】
また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を含む概念である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料は、皮膚への密着性や、化粧持続性に優れ、皮膚への塗布性が良好で、べたつきや突っ張り感がなく、更に塗布時に肌上に消しゴムカス状の凝集物が発生せず、また、配合物の乳化安定性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[成分(A):ソープフリーポリマーエマルション]
本発明のソープフリーポリマーエマルションを構成するポリマーは、(メタ)アクリル酸又はその塩/(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数3又は4のアルキル基)/(メタ)アクリル酸メチル共重合体からなり、(メタ)アクリル酸又はその塩/(メタ)アクリル酸n−ブチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体が好ましく、アクリル酸又はその塩/アクリル酸n−ブチル/メタクリル酸メチル共重合体が更に好ましい。
【0010】
この共重合体を構成する全モノマー成分に対する、(メタ)アクリル酸又はその塩の割合は0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数3又は4のアルキル基)の割合は64〜91重量%が好ましく、70〜85重量%が更に好ましい。(メタ)アクリル酸メチルの割合は0.1〜35.9重量%が好ましく、4〜30重量%が更に好ましい。
【0011】
本発明のソープフリーポリマーエマルションの製造方法は、上記のようなモノマー成分を、重合開始剤の存在下、界面活性剤、高分子型乳化剤、反応型界面活性剤等の乳化剤を用いずに乳化重合する方法が好ましい。乳化重合の場合、用いる溶媒の主成分は水であり、場合によっては低級アルコールなどの親水性溶剤を混合しても良い。反応温度は、溶媒の沸点以下に設定される。反応系内のモノマー濃度は特に限定されないが、生産効率と凝集物抑制の観点から、1〜60重量%が望ましい。
【0012】
重合開始剤の量は特に限定されないが、経済性と残存モノマー量低減の観点から、モノマー100重量部に対して0.01〜10重量部が望ましい。モノマー(或いはモノマー溶液)を、水を主成分とする溶媒中に予め混合した後、重合しても良いし、滴下しながら重合しても良い。重合開始剤(或いは重合開始剤溶液)も同様に、水を主成分とする溶媒中に予め混合しても良いし、滴下しても良い。
【0013】
本発明に用いられる重合開始剤としては、例えばハイドロパーオキサイド類、パーオキサイド類、アゾ化合物類などの有機系重合開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機系重合開始剤が挙げられる。また、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸及びその塩等の還元剤を重合開始剤と組合せて用いる、いわゆるレドックス系重合開始剤も使用することができる。
また、重合時には、さらにメルカプタン類等の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
【0014】
本発明のポリマーエマルションを構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)は、良好な使用感や仕上がり感を得る観点から、−45〜−15℃であり、更には−40〜−25℃が好ましい。
【0015】
尚、本明細書において、Tgは下記の測定法で測定した値である。
【0016】
<Tgの測定法>
ポリマーエマルションを減圧乾燥した後の皮膜のTgを、下記測定条件で、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。
【0017】
セイコーインスツルメンツ(株)製DSC6200(ソフトウェアEXSTAR6000熱分析レオロジーシステム)を用い、温度プログラムは以下の4つの段階から成り、第3段階で得られる曲線より、Tgを求めた。
・第1段階:20℃→20℃/minで昇温→100℃で1分間保持
・第2段階:100℃→200℃/minで降温→−120℃で10分間保持
・第3段階:−120℃→10℃/minで昇温→100℃で1分間保持
・第4段階:100℃→20℃/minで降温→20℃で2分間保持。
【0018】
本発明のポリマーエマルション中のポリマーの平均粒径は、0.01〜1.5μmが好ましく、0.2〜1.0μmが更に好ましく、0.3〜0.8μmが特に好ましい。尚、ポリマーの平均粒径は、以下の方法で測定した値である。
【0019】
<平均粒径の測定法>
ポリマーエマルション中のポリマーの平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA-910((株)堀場製作所)を用い、屈折率1.2で測定した。測定は、イオン交換水を分散媒として、調製したポリマーエマルションを分散させてレーザーの透過率が75〜90%において粒度分布の測定を行った。
【0020】
本発明のポリマーエマルションのポリマー濃度は、20〜60重量%が好ましく、40〜55重量%が更に好ましい。
【0021】
[成分(B):粉体]
本発明で用いられる粉体としては、化粧料粉体として用いられる粉体であればいずれでも良く、具体的には、シリカ、アルミノシリケート、ゼオライト、硫酸バリウム、窒化ホウ素、アルミナ、二酸化チタン、タルク、マイカ、合成金雲母、雲母チタン等の無機粉体;シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロースパウダー等の有機粉体;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム等の着色顔料などが挙げられる。また、これらの粉体に化粧用油剤、紫外線吸収剤等を内包させたものや、これらの粉体を複合させたもの等も用いることができる。
【0022】
これらの粉体の形状としては、球状、略球状、板状、針状等の種々の形状の粉体を用いることができる。また、粉体の平均粒径は、良好な塗布性や乳化安定性を得る観点から、0.1〜50μmであり、1〜15μmが好ましい。
【0023】
ここで、粉体の平均粒径は、体積平均粒径、すなわち測定粒子の体積相当球の直径の平均値を示し、レーザー回折法により、エタノールを分散媒として使用して求めた値を用いる。
【0024】
粉体は、化粧持続性向上の観点からその表面を疎水化処理してもよい。尚、疎水化処理は、通常の方法に従い疎水化処理剤で処理することにより行われる。疎水化処理剤としては、シリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などが挙げられる。シリコーン油としては、例えば各種鎖状シリコーン、環状シリコーン、変性シリコーンが;脂肪酸金属塩としては、特に炭素数12〜18の脂肪酸のカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の塩が;アルキルリン酸及びその塩としては、合計炭素数8〜45のアルキル又はアルケニル基を有するモノ又はジエステル及びアルカリ金属塩若しくはアミン塩が;N−モノ長鎖脂肪族アシル塩基性アミノ酸としては、2−エチルヘキサノイル、カプリロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、イソステアロイル、オレオイル、ベヘノイル、ココイル、牛脂脂肪酸アシル、硬化牛脂脂肪酸アシル等の炭素数8〜22のアシル基が塩基性アミノ酸のα位又はω位のアミノ基に結合したものが;パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物としては、米国特許第3632744号明細書、特開昭62−250074号公報、特開昭55−167209号公報、特開平2−218603号公報等に記載のものが挙げられる。
【0025】
粉体の疎水化処理量は、十分な疎水性、良好な感触の点から、粉体1重量部に対して疎水化処理剤0.0005〜0.2重量部、特に0.02〜0.1重量部が好ましい。
【0026】
[油中水型乳化化粧料]
本発明の油中水型乳化化粧料の製造方法は特に限定されないが、成分(B)を油相中に添加分散させた後、成分(A)を含む水相を添加して、乳化させる方法が好ましく挙げられる。
【0027】
油中水型乳化化粧料にすることにより、成分(A)を成分(B)に効率よく吸着させることが可能となり、更に、つっぱり感のない仕上がりが得られる。また、成分(A)をソープフリー重合することにより、安定性の高い優れた化粧料が得られる。
【0028】
本発明の化粧料中の成分(A)の含有量は、良好な使用感及び仕上げ感を得る観点から、全化粧料中固形分換算で、0.1〜40重量%が好ましく、0.5〜20重量%が更に好ましい。本発明の化粧料中の成分(B)の含有量は、良好な使用感及び仕上げ感を得る観点から、0.5〜40重量%が好ましく、1〜30重量%が更に好ましい。また、成分(A)と成分(B)の合計量に対する成分(A)の割合は重量比で、(A)/[(A)+(B)]=0.01〜0.85、更には0.015〜0.55が良好な使用感及び仕上げ感を得る観点から好ましい。
【0029】
本発明の化粧料には、更に成分(C)として界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、HLBが1〜6の非イオン性界面活性剤が好ましい。HLBが1〜6の非イオン性界面活性剤としては、例えばモノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノールアミド、アミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルサッカライド、α−モノアルキルグリセリルエーテル、ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサン・モノアルキルグリセリルエーテル共重合体(特開平6−135871号参照)などが挙げられる。この中で、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、α−モノアルキルグリセリルエーテル、ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサン・モノアルキルグリセリルエーテル共重合体が好ましく、ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサン・モノアルキルグリセリルエーテル共重合体が更に好ましい。かかる界面活性剤は、1種又は2種以上を用いることができる。ここでいうHLB値はグルフィンの方法によるものである。
【0030】
本発明の化粧料中の成分(C)の配合量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜8重量%、更に好ましくは0.3〜5重量%である。この範囲であれば安定な油中水型乳化化粧料を得ることができ、使用時にべたつきが生じず、使用感も良好である。
【0031】
本発明の化粧料には、更に成分(D)として、油剤を含有することができる。油剤としてはジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン油、イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素油、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油、フォンブリン等に代表されるフッ素油等化粧料に使用できるような油剤が挙げられる。本発明の化粧料中の成分(D)の配合量は、良好な使用感及び仕上げ感を得る観点から5〜60重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましい。
【0032】
更に本発明の化粧料は、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3の低級アルコール等の水性溶媒を含有することもできる。
【0033】
また、本発明の化粧料には、保湿剤を配合することができる。保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、キシリット、ソルビット、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類やポリエチレングリコール、グリシンベタイン、キシリトール、トレハロース、尿素、アミノ酸等の保湿剤が挙げられる。本発明の化粧料中の保湿剤の配合量は、良好な使用感及び仕上げ感を得る観点から0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。
【0034】
本発明の化粧料には、更に乳化安定剤として水溶性塩を配合することができる。水溶性塩としては、クエン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム等の酢酸塩、炭酸ナトリウム、乳酸アルミニウム、乳酸カルシウム等の乳酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム等の硫酸塩、モノフルオロリン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩が挙げられる。これらの水溶性塩は、水に溶解させて添加するのが好ましい。本発明の化粧料中の水溶性塩の配合量は、0.05〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0重量%である。
【0035】
本発明の化粧料には、更に本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料成分として一般に使用されている成分、例えば、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム等の水溶性高分子、グリチルリチン酸塩、ビタミン等の水溶性薬効剤、クエン酸、コハク酸、クエン酸三ナトリウム等のpH緩衝剤、メチルパラベン等の防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0036】
本発明の化粧料は、各種ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、ネイルエナメル等のメイクアップ化粧料類、パック、口紅、ほほ紅、サンスクリーン等の皮膚化粧料類、毛髪化粧料、薬用化粧料などに広く応用することができ、特にファンデーション、化粧下地として使用することが好ましい。
【実施例】
【0037】
例中の%は、特記しない限り重量%である。
【0038】
合成例1
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム0.5gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにアクリル酸n−ブチル97g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−51℃であった。
【0039】
合成例2
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム0.5gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにメタクリル酸メチル6g、アクリル酸n−ブチル91g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−45℃であった。
【0040】
合成例3
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム0.55gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにメタクリル酸メチル16g、アクリル酸n−ブチル81g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−35℃であった。
【0041】
合成例4
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。ポリオキシエチレンラウリルエ一テル硫酸ナトリウム2g、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにメタクリル酸メチル16g、アクリル酸n−ブチル81g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、 若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−35℃であった。
【0042】
合成例5
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム0.5gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにメタクリル酸メチル33g、アクリル酸n−ブチル64g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−15℃であった。
【0043】
合成例6
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム0.5gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにメタクリル酸メチル37g、アクリル酸n−ブチル60g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−10℃であった。
【0044】
合成例7
反応容器にイオン交換水175gを入れ、70〜80℃に昇温した。過硫酸アンモニウム0.5gをイオン交換水5gに溶かした溶液を添加後に、窒素ガスを流して溶存酸素を除去した。滴下ロートにメタクリル酸メチル16g、2−エチルヘキシルアクリレート81g、アクリル酸3gを仕込んだ。攪拌下に反応容器を80℃まで昇温し、滴下ロートよりモノマーを3時間かけて滴下後、3時間熟成を行った。冷却後、NaOH水溶液によりアクリル酸の35%を中和し、pHを4〜8に調整した。pH調整後に、イオン交換水を一定量添加してトッピングを行い残留モノマーの除去や脱臭を行い、若干の凝集物を除去し固形分50%のポリマーエマルションを得た。このエマルションを乾燥させ皮膜化したものをDSCで測定した結果、Tgは−35℃であった。
【0045】
実施例1〜3及び比較例1〜4
合成例1〜7で得られたポリマーエマルションを用い、下記方法で表1に示す組成のW/O乳化型化粧下地を調製した。得られた化粧下地について、下記方法で、使用感、仕上がり及びW/O乳化物の安定性を評価した。結果を表2に示す。
【0046】
<化粧下地の調製法>
表1中の(9)〜(13)をあらかじめ混合粉砕したものを、(1)〜(3)を室温にて混合した油相の中に添加し、ディスパーにて分散させ、予め水相成分である(4)〜(8)を混合したものを攪拌しながら添加し、乳化してW/O乳化型化粧下地を調製した。
【0047】
<評価方法>
調製した化粧下地について、使用感(塗布時のカスの出やすさ、べたつき、突っ張り感、肌への追従性)、仕上がり(仕上がりの自然さ、粉っぽさのなさ、均一性(ムラのなさ)、パウダー化粧料の仕上がり、化粧持ち)及びW/O乳化物の安定性(40℃、湿度75%で半年保存)を評価した。仕上がりの自然さ、粉っぽさのなさ、均一性(ムラのなさ)の評価は肌に塗布した直後に、また、化粧持ちは塗布後4時間(室内で通常の生活環境下)での状態を評価した。評価は専門パネラー10名により各項目について、表3に示す評価基準で評価を行い、10名の平均値を算出した。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
*1:モノマーは以下の略号を用いた。
BA:アクリル酸n−ブチル
AA:アクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
【0051】
【表3】

【0052】
実施例4〜6及び比較例5〜8
合成例1〜7で得られたポリマーエマルションを用い、下記方法で表4に示す組成のW/O乳化型リキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションについて、実施例1と同様の方法で、使用感、仕上がり及びW/O乳化物の安定性を評価した。結果を表5に示す。
【0053】
<リキッドファンデーションの調製法>
表4中の(9)〜(18)をあらかじめ混合粉砕したものを、(1)〜(3)を室温にて混合した油相の中に添加し、ディスパーにて分散させ、予め水相成分である(4)〜(8)を混合したものを攪拌しながら添加し、乳化してW/O乳化型リキッドファンデーションを調製した。
【0054】
【表4】

【0055】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)及び成分(B)を含有する油中水型乳化化粧料
成分(A):(メタ)アクリル酸又はその塩/(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数3又は4のアルキル基)/(メタ)アクリル酸メチル共重合体からなり、そのガラス転移温度(Tg)が−45〜−15℃であるポリマーを含むソープフリーポリマーエマルション
成分(B):平均粒径が0.1〜50μmの粉体
【請求項2】
成分(A)のポリマーを構成する全モノマー成分に対する各モノマーの割合が、(メタ)アクリル酸又はその塩0.1〜10重量%、(メタ)アクリル酸n−ブチル64〜91重量%、(メタ)アクリル酸メチル0.1〜35.9重量%である、請求項1記載の油中水型乳化化粧料
【請求項3】
成分(A)と成分(B)の合計量に対する成分(A)の割合が重量比で、(A)/[(A)+(B)]=0.01〜0.85である請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(B)が、疎水化処理粉体である請求項1〜3いずれかに記載の油中水型乳化化粧料。

【公開番号】特開2006−8581(P2006−8581A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187349(P2004−187349)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】