説明

油中水型孔版印刷用エマルションインク

【課題】インクの増粘による白抜け、印刷機からのインクの垂れだしや油はき(油分離)を抑制することが可能であって、両面印刷に使用した場合であっても、再転写汚れを抑制することが可能な油中水型孔版印刷用エマルションインクの提供。
【解決手段】油相および水相を有する油中水型孔版印刷用エマルションインクにおいて、油相成分中にシリカおよび樹脂を含有し、油相成分中に含まれるシリカを、比表面積が70〜270m2/gであり、かつ一次粒子径が30nm以下のものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型孔版印刷用エマルションインク、詳細にはシリカを含有する油中水型孔版印刷用エマルションインクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷方式は、孔版印刷用原紙を用いて製版を行い、製版により形成された原紙の穿孔部にインクを通過させて紙などの被印刷体に印刷を行うものであり、その操作性の良さ・簡便性によって、幅広い分野で利用されている。孔版印刷用インクとしては、油中水型(W/O型)のエマルションインクが一般的に用いられている。
【0003】
孔版印刷機を長期間使用せずに放置しておくと、印刷機の版胴内部に残されたエマルションインクは、エマルション内の水分が蒸発することにより、油相に対する水相の比率が減少し、インクの構造粘性が大幅に低下してインクが軟化する結果、印刷機からインクが垂れだすという問題がある。特にアゾ系顔料ではこれが顕著である。
【0004】
このような問題を解決する方法として、本出願人は、色材として染料を用いたエマルションインクに体質顔料を含ませることを提案している(特許文献1)。この方法によれば、版胴内に長期間放置した後もインクの軟化を抑えることができるので、印刷機からのインクの垂れ出しを抑制することが可能で、色彩や滲みや裏抜けが少ない良好な画像を得ることができる。また、特許文献2においては、吸油量を規定した体質顔料(有機ベントナイト、タルク)を油相中に含ませることを提案している。
【0005】
近年、孔版印刷機においても両面印刷の要求が増えてきている。しかし、上記のベントナイトを体質顔料として含有するエマルションインクを両面印刷に使用すると両面印刷時の1版目(表面)に印刷されたインクがプレスロールおよび搬送ロールに転写し、このプレスロールおよび搬送ロールに付着したインクが2版目(裏面)に転写することによる汚れ(転写汚れ)が発生するという問題がある。
【0006】
このような再転写汚れを防止する方法として、特許文献3には油相粘度を調整することによって、両面印刷時のローラーによる再転写汚れを抑制できることが記載されている。一方、特許文献4には活性エネルギー線硬化型インクにおいて、シリカの比表面積と一次粒子径を最適化することにより、インクの垂れを抑制することが可能であることが示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−191970号公報
【特許文献2】特開2001−311027号公報
【特許文献3】特開2001−164164号公報
【特許文献4】特開2009−35716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3に記載されている方法は再転写汚れをある程度抑制することは可能であるものの、エマルジョンインクは放置によって水分が蒸発し、構造粘性が大幅に低下するためインクの垂れだしを解決するという観点からは問題が残る。またエマルジョンインク特有の現象として、水分蒸発後においてはインク中の溶剤成分の蒸発によってインク中の顔料濃度が上昇し、インクの増粘が起こる。特許文献4に記載されている活性エネルギー線硬化型インクはエマルションインクではなく、白抜けという問題は発生しないため、特許文献4に記載されているようなシリカの比表面積と一次粒子径を調整することによって、この白抜けという問題が発生しないかどうか、エマルションインクでインクの垂れだしや再転写汚れを抑制できるかは不明である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、インクの増粘による白抜け、印刷機からのインクの垂れだしや油はき(油分離)を抑制することが可能であって、両面印刷に使用した場合であっても、再転写汚れを抑制することが可能な油中水型孔版印刷用エマルションインクを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の油中水型孔版印刷用エマルションインクは、油相および水相を有する油中水型孔版印刷用エマルションインクにおいて、前記油相成分中に含まれるシリカおよび樹脂を含み、前記油相成分中に含まれるシリカが、比表面積が70〜270(m2/g)であり、かつ一次粒子径が30nm以下であることを特徴とするものである。
【0011】
前記シリカは疎水性であることが好ましい。また、前記油相の粘度は、0.1〜0.5Pa・sであることがより好ましい。シリカの添加量はインク全量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
前記樹脂はアルキド樹脂またはフェノール樹脂であることが好ましい。樹脂の添加量はインク全量に対して3〜25質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の油中水型孔版印刷用エマルションインクは、油相成分中におよび樹脂を含み、含まれるシリカの比表面積が70〜270(m2/g)であり、かつ一次粒子径が30nm以下であるため、インクの増粘による白抜けや、印刷機からのインクの垂れだしを抑制することが可能であるとともに、両面印刷に使用した場合における再転写汚れをも抑制することができる。
とりわけ、シリカが疎水性の場合には、インクの垂れだし、油はきをより効果的に抑制することが可能である。
【0013】
従来のエマルションインクにおいては、再転写抑制効果を得るために、インク中に含むベントナイトなどを減量したり、油相粘度を低下させたりして、用紙に対するインクの浸透性を高めていたが、一方でインク垂れや印刷濃度が充分でなかった。つまり、従来のエマルションインクにおいては、再転写抑制効果を重要視する場合には、多少のインクの垂れや印刷濃度は犠牲にし、インクの垂れや印刷濃度を重要視する場合には、再転写抑制効果はある程度犠牲にするといったように、どちらかに軸足をおく処方をせざるを得なかった。本発明の油中水型孔版印刷用エマルションインクは、従来の相対する効果を両立することが可能なものである。
【0014】
なお、特許文献4に記載されている活性エネルギー線硬化型インクは、インクを硬化することで再転写抑制効果を得ることができるため、そもそも再転写汚れといった問題が具現化することはなく、インク垂れのみを抑制させればよいという点で本発明のエマルションインクとは事情が大きく異なる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の油中水型孔版印刷用エマルションインクは、油相および水相を有する油中水型孔版印刷用エマルションインク(以下、単にインクという)において、油相成分中にシリカおよび樹脂を含有し、このシリカの比表面積が70〜270m2/gであり、かつ一次粒子径が30nm以下であることを特徴とする。
【0016】
シリカの比表面積は70〜270m2/gであり、90〜220m2/gの範囲がより好ましく、さらには110〜200m2/gの範囲が望ましい。シリカの比表面積が70m2/gよりも小さくなると、再転写汚れが発生する上、インクの垂れだしや油はきが起こる。一方で、シリカの比表面積が270m2/gよりも大きくなると、エマルションインク特有の白抜けが発生しやすくなる。なお、シリカの比表面積は、シリカ1gあたりの表面積を意味し、BET法により測定することができる。
【0017】
シリカの一次粒子径は30nm以下であり、20nm以下であることがより好ましく、さらには16nm以下であることが望ましい。一次粒子径が30nmより大きくなると、転写汚れは発生しやすくなる。なお、シリカの一次粒子径はシリカの球状の粒子の大きさであり、シリカ粒子を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径として求めることができる。
【0018】
本発明に用いられるシリカは親水性、疎水性いずれのシリカでも用いることが可能であるが、エマルションインクは水の比率が多く、親水性シリカの場合はエマルションインクの水相に引きずられてインク垂れや油はきが発生しやすくなる場合があるため、エマルションインクの油相成分の極性に近い疎水性シリカの方がより好ましい。また、油相成分の構成溶剤は低極性であるため、シリカの分散安定性の点でも疎水性シリカの方がより好ましい。ここで、疎水性シリカとは、親水性シリカ(親水性シリカは分子の表面にOH基を有するシリカ)の表面のOH基の約75%を、メチル基等の疎水性基で置換(疎水化処理)したシリカである。
【0019】
疎水性シリカとしては、アエロジルR202、R805、R812、R812S、R972、R974、RY200、RY200(デグサエボニック社製)等を好適にあげることができ、これらは単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。また、下記親水性シリカと組み合わせて用いることもできる。
【0020】
親水性シリカとしては、アエロジル90G、130、200、MOX80(デグサエボニック)等を好適にあげることができ、これらも単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて、また上記疎水性シリカと適宜組み合わせて用いることもできる。
【0021】
本発明において、シリカの添加量は、シリカの比表面積の大きさ、一次粒子径の大きさにもよるが、概ね、インク全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%、さらには0.5〜3.0質量%の範囲であることが好ましい。
【0022】
樹脂はインクに粘度を付与し、エマルションの安定性を向上させるもので、油相に溶解するものが用いられる。樹脂を含ませることにより、シリカや顔料の分散性、紙への定着性、転写汚れの抑制を向上させることができる。樹脂としては、たとえば、ロジン、ギルソナイト、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂、天然ゴム誘導体樹脂等を好ましく用いることができ、アルキド樹脂、フェノール樹脂をより好ましく用いることができる。また、アルキド樹脂またはロジン変性樹脂とアルミニウムキレート化合物またはアルミニウムアルコラートとの反応生成物も、好ましく用いることができる。
【0023】
樹脂の含有量は、インク全質量に対して3〜25質量%であることが好ましく、8〜20質量%であることがより好ましい。樹脂の含有量が3質量%より少なくなると、シリカの分散性が悪くなって、インク垂れや油はきを抑制しにくくなる。また、インクの油相粘度が低くなってしまい、インクの転写量が過剰になってしまうため好ましくない。樹脂の含有量が25質量%より多くなると、インクの油相粘度が高くなってしまい、被印刷体への浸透が遅くなってしまうため好ましくない。
【0024】
本発明のインクは、油相と水相とからなり、油相は、上記シリカおよび樹脂以外に、溶剤、着色剤、分散剤から主として構成されるが、必要に応じて、ゲル化剤、酸化防止剤等の公知の成分を適宜含ませることができる。油相の粘度は、0.1〜0.5Pa・sの範囲であることが好ましく、0.2〜0.4Pa・sの範囲であることがより好ましい。油相の粘度が0.1Pa・s未満である場合には、紙などの被印刷体への浸透は早いがインクの転写量が過剰になって再転写を効果的に抑制することが困難となる。一方で、油相の粘度が0.5Pa・sよりも多くなると被印刷体への浸透が遅くなり、やはり再転写を効果的に抑制することが困難となる。
【0025】
溶剤としては、非極性溶剤及び極性溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、または、単一の相を形成する限り、2種以上を組み合わせて使用できる。非極性溶剤としては、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の石油系炭化水素溶剤を使用でき、具体的には、ドデカンなどの脂肪族飽和炭化水素類、エクソンモービル社製「アイソパー、エクソール」(いずれも商品名)、新日本石油社製「AFソルベント」(商品名)、サン石油社製「サンセン、サンパー」(いずれも商品名)等が挙げられる。極性溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。溶剤の含有量は、インク全質量に対して1〜50質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましい。
【0026】
着色剤としては、染料及び顔料の何れも使用可能であるが、印刷物の耐候性が高いことから、顔料を使用することが好ましい。顔料としては、有機顔料、無機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ピリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。とりわけ、アゾ系顔料は本発明の効果が特に顕著に確認できる顔料である。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。着色剤は、インク全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0027】
着色剤として顔料を使用する場合、油相中における顔料の分散を良好にするために、油相に顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を用いることができ、中でも主鎖にポリアミド構造を有し、側鎖にポリエステル構造を有した櫛型のポリマーが好ましい。顔料分散剤の含有量は、インク全質量に対して0〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
【0028】
水相は、水、電解質、水蒸発防止剤、水溶性高分子、防黴剤、防腐剤、pH調整剤、凍結防止剤、顔料・染料等の着色剤等を常法に従って適宜分散及び混合することにより調製することができる。
油相と水相の比は、油相20〜50質量%及び水相80〜50質量%であることが好ましい。
【0029】
本発明のインクは、公知の方法で調製することができる。例えば油相は、公知の分散機でシリカ、着色剤を溶剤に分散した後、さらに溶剤で希釈し、その他の油相成分を添加して調製することができる。希釈には、それ自体公知の撹拌機を使用することができる。水相は、水相の成分を、撹拌機により水に混合・溶解することにより調製することができる。そして、公知の乳化機を使用し、攪拌下の油相中に水相を滴下することにより、本発明のインクを得ることができる。これらの分散、稀釈、乳化等を行うにあたって採用される条件等は、適宜選択することができる。
以下に本発明の油中水型孔版印刷用エマルションインクの実施例を示す。
【実施例】
【0030】
(インクの調製)
下記表1に示す配合(表1に示す数値は質量部である)により、以下の手順に従い、各実施例、比較例のインクを調製した。まず、シリカ(表1中、シリカA〜Cは疎水性シリカ(デグサエボニック社製)、シリカD〜Fは親水性シリカ(デグサエボニック社製)である)、顔料として縮合アゾ顔料、樹脂成分としてアルキド樹脂(荒川化学工業株式会社製)、界面活性剤としてソルビタンモノオレエート(花王株式会社製)、溶剤としてAF6号ソルベントを混合し、三本ロールで充分に分散した。この油相中に水、グリセリンおよび硫酸マグネシウム7水和物を混合した水相混合溶液を徐々に滴下し、攪拌翼を回転させて乳化を行い、油中水型孔版印刷用エマルションインクを得た。
【0031】
(評価)
(1週間放置後の白抜け)
実施例1〜5および比較例1〜4のインクを用いて孔版印刷機リソグラフRZ970(理想科学工業株式会社製)により印刷を行った後、1週間放置し、放置後にオートアイドリングを1回実施後、製版・印刷を行った。白抜けは画像が白くかすれる現象であり、ドラムスキージ直下で顕著に発生する。白抜けは印刷毎で次第に消失するため、以下のように評価した。
○:白抜けは発生しない、または発生しても10枚未満の印刷で消失する
△:白抜けが発生し、10〜50枚の印刷で消失する
×:白抜けが発生し、50枚印刷しても消失しない
【0032】
(インク垂れ、油はき)
孔版印刷機リソグラフRZ970のドラム版胴内部のスキージローラー上に実施例1〜5および比較例1〜4のインクを載せた状態でインクを1000回転させ、その後4週間放置し、インクの垂れと油はきを観察し、以下のように評価した。
○:インクが垂れ落ちず、油はきしない
△:2〜4週間でインクが垂れ落ち、油はきする
×:2週間以内にインクが垂れ落ち、油はきする
【0033】
(再転写)
実施例1〜5および比較例1〜4のインクを用いて孔版印刷機リソグラフRZ970により印刷してから30秒後、印刷面を裏返して両面印刷を行った時の印刷面の汚れを目視により観察し、以下のように評価した。なお、再転写の評価は定常時と印刷機を1週間放置後で評価し、定常時は、印刷ドラム内のインクがフレッシュな状態で、1週間放置後は、オートアイドリングを1回実施後、製版・印刷した。
○:汚れが少ない
△:汚れがやや多い
×:汚れが多い
【0034】
【表1】

【0035】
実施例1〜5に示すように、本発明のインクは、油相成分中に含まれるシリカの比表面積が70〜270m2/gの範囲であって、一次粒子径が30nm以下であるため、印刷機からのインクの垂れだしやインクの増粘による白抜けを抑制でき、両面印刷をした場合の再転写汚れも抑制された。シリカの比表面積が70m2/gよりも小さい比較例1では、再転写汚れに効果的な一次粒子径を有していても、両面印刷をした場合の再転写汚れが顕著で、インクの垂れだしや油はきが発生した。一方、シリカの比表面積が270m2/gよりも大きい比較例2では、顕著に白抜けが発生した。また、比表面積が本発明の範囲であっても、一次粒子径が30nmよりも大きい比較例3では両面印刷をした場合の再転写汚れが顕著であった。
【0036】
このことから、明らかなように、印刷機からのインクの垂れだしやインクの増粘による白抜け、両面印刷をした場合における再転写汚れの全てを満足できるレベルとするためには、油相成分中に含まれるシリカの比表面積と一次粒子径を、ともに本発明の範囲内とすることが極めて重要であることが看取できる。
なお、実施例1〜3と実施例4の比較より、シリカが疎水性の場合には、インクの垂れだし、油はきをより効果的に抑制することが可能であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相および水相を有する油中水型孔版印刷用エマルションインクにおいて、前記油相成分中にシリカおよび樹脂を含有し、前記油相成分中に含まれるシリカが、比表面積が70〜270m2/gであり、かつ一次粒子径が30nm以下であることを特徴とする油中水型孔版印刷用エマルションインク。
【請求項2】
前記シリカが疎水性であることを特徴とする請求項1記載の油中水型孔版印刷用エマルションインク。
【請求項3】
前記油相の粘度が0.1〜0.5Pa・sであることを特徴とする請求項1または2記載の油中水型孔版印刷用エマルションインク。
【請求項4】
前記樹脂がアルキド樹脂であることを特徴とする請求項1、2または3記載の油中水型孔版印刷用エマルションインク。
【請求項5】
前記シリカがインク全量に対し0.1〜10質量%、前記樹脂がインク全量に対し3〜25質量%含まれることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の油中水型孔版印刷用エマルションインク。
【請求項6】
前記シリカがインク全量に対し0.5〜3質量%、前記樹脂がインク全量に対し8〜20質量%含まれることを特徴とする請求項5記載の油中水型孔版印刷用エマルションインク。
【請求項7】
前記顔料がアゾ系顔料であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の油中水型孔版印刷用エマルションインク。

【公開番号】特開2011−111479(P2011−111479A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266968(P2009−266968)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【復代理人】
【識別番号】100111040
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 淑子
【Fターム(参考)】