説明

油性固形化粧料

【課題】製造時の充填成型性、形状保持性を損なわず、経時での発汗も抑えられ、使用に際してスポンジ、パフ、チップ、手での取れもよく、或いは直接肌に塗布する際にも取れがよく、塗布後のキラメキ感が良好な油性固形化粧料を提供する。
【解決手段】本発明は、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン1〜15重量%と、固形油分1〜15重量%と、液状油分25〜55重量%と、粉体25〜55重量%と、を含む油性固形化粧料にあって、前記粉体として光輝性粉体を化粧料全量中に15〜35重量%を含有する油性固形化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形油分、液状油分、粉体を中心に構成された油性固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油性固形化粧料は、ファンデーション、アイシャドウ、チークカラー、アイカラー、アイブロー、フェースパウダー、下地ファンデーション、口紅などのメーキャップ化粧料に汎用されている剤型の一種である。このような油性固形化粧料は、固形油分、液状油分および顔料などの粉体を骨格として構成されている。
更に、親油性ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルが、製造時の形状保持性、充填成型性の観点(特許文献1)、発汗抑制の観点(特許文献2)から使用されている。
【0003】
油性化粧料においては、製造時の充填成型性、形状保持性、経時での発汗性、使用性などの基本機能が重要である。
また、この使用性において、油性固形化粧料を、パフ、スポンジ、チップあるいは直接手に取って肌につけたり、直接油性固形化粧料を肌につけたりするので、このときの油性固形化粧料の取れやすさ、肌へのつきやすさが、特に重要な機能である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−300807号公報
【特許文献2】特開2004−51500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、まだ、充分に前述の機能に対して満足のいくものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明は、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン1〜15重量%と、固形油分1〜15重量%と、液状油分25〜55重量%と、粉体25〜55重量%と、を含む油性固形化粧料にあって、前記粉体として光輝性粉体を化粧料全量中に15〜35重量%を含有する油性固形化粧料とすることにより、製造時の充填成型性、形状保持性を損なわず、経時での発汗も抑えられ、使用に際して油性固形化粧料のスポンジ、パフ、チップ、手での取れもよく、或いは直接肌に塗布する際にも取れがよく、また、肌に塗布した後のキラメキ感も良好であった。
【発明の効果】
【0007】
油性固形化粧料において製造時の充填成型性、形状保持性を損なわず、経時での発汗も抑えられ、使用に際して油性固形化粧料のスポンジ、パフ、チップ、手での取れもよく、或いは直接肌に塗布する際にも取れがよい。また、肌に塗布した後のキラメキ感も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
なお、以下の%は重量%を示し、以後%のみ表示する。
【0009】
本発明では、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン1〜15%と、固形油分1〜15%と、液状油25〜55%と、粉体25〜55%と、を含む油性固形化粧料にあって、前記粉体として光輝性粉体を化粧料全量中に15〜35%を含有する油性固形化粧料である。
【0010】
本発明に用いられる(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンは、パルミチン酸及び2−エチルヘキサン酸がデキストリンにエステル結合したもので親油性ゲル化剤として知られており、市販品としては、レオパールTT2(千葉製粉社製)などが挙げられる。
【0011】
本発明では、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンの含有量は1〜15%であればよい。(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンの含有量が1%未満では、充填成型性、発汗性、取れやすさにおいて好ましくない。15%を越えると化粧料が取れにくくなり、好ましくない。
【0012】
本発明に用いられる固形油分は、常温で固形のもので、通常化粧品に使用されるものであればよく、炭化水素、ロウ、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸、脂肪酸エステル類等が使用できる。具体的には、固形パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素、硬化油、モクロウ等の油脂、蜜蝋、ラノリン、キャンデリラワックス、カルナウバロウ等のロウ、ステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリル等の脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの固形油分は少なくとも1種以上が選択される。
【0013】
本発明に用いられる固形油分の含有量として、油性固形化粧料の全量中1〜15%である。好ましくは、4〜10%である。1%未満では、形状保持性、発汗性、取れやすさにおいて、好ましくない。また、15%を超えると化粧料の取れが悪く、好ましくない。
【0014】
本発明に用いられる液状油分としては、常温で液状の油分で通常化粧料で汎用されるものでよく、具体的には、流動パラフィン、スクワランなどの炭化水素油、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、トリカプリル・カプリン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のエステル油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油等の植物油、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の液状高級アルコール、イソステアリン酸、オレイン酸などの液状高級脂肪酸、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油などが挙げられる。これらの液状油分は少なくとも1種以上が選択される。
【0015】
本発明に用いられる液状油分の含有量は、25〜55%であり、好ましくは、30〜50%である。25%未満では、充填成型性、取れやすさの観点から好ましくない。また、55%を超えると形状保持性、発汗性、取れやすさの点で好ましくない。
【0016】
本発明に用いられる粉体は、化粧品で通常使用される光輝性粉体類及びその他の無機粉体類、有機粉体類が用いられる。光輝性粉体類としては、具体的には、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、魚鱗箔、酸化鉄被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末等が挙げられる。
【0017】
また、その他の粉体としてコンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、黒雲母、硫酸バリウム、ベントナイト等の無機粉体、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、セルロース樹脂などの有機粉体が挙げられる。これらの粉体は1種または2種以上が組み合わせて用いられる。
【0018】
本発明に用いられる粉体の含有量は、油性固形化粧料全量中に25〜55%である。
好ましくは、30〜50%である。25%未満では、充填成型性、発汗性の点で、好ましくない。また、55%を超えると化粧料の容器への充填時に流れ込みが悪くなり、充填成型性の観点から好ましくない。
この粉体中に光輝性粉体を油性固形化粧料全量中に15〜35%を含有する。
【0019】
更に、本発明に用いられるその他の成分としては、任意成分として化粧料で通常使用される防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、薬剤、香料等も適宜配合することができる。
【0020】
これらの任意成分は1種又は2種以上を組み合わせて効果を損なわない範囲にて配合することができる。
【0021】
本発明の油性固形化粧料の製造方法は、例えば、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンを液状油分に分散させた後、加温溶解する。溶解後、固形油分を添加し、加熱溶解させ混合攪拌する。更に、光輝性粉体を含む粉体を加えディスパーにて充分に均一に攪拌混合した後、容器に充填し、冷却成型する方法が挙げられる。
【0022】
本発明について以下に実施例を挙げて更に詳述するが、本発明はこれにより限定されるものでない。
【実施例】
【0023】
実施例に先立ち、各実施例で採用した各評価項目の評価方法について説明する。
【0024】
[充填成型性]
試料を型に流し込み、冷却成型したものの、充填のムラ、気泡の混入を目視にて観察した。良好な充填成型性を有するものから、充填のムラ、気泡の混入が多く発生しているものを◎、○、△、×の4段階の基準で評価した。
【0025】
[形状保持性]
試料を40℃にて1週間垂直に放置した後、室温にて2時間放置して、形状の観察を行った。試料の形状に問題が無く良好なものから、表面が垂れたり、形状が保持できていないものを◎、○、△、×の4段階で評価した。
【0026】
[発汗性]
試料を40℃にて1週間放置した後、室温にて2時間放置して、化粧料表面の観察を行なった。試料表面に発汗や発汗跡が無く良好なものから、および発汗跡や表面のテカリなどが発生しているものを◎、○、△、×の4段階で評価した。
【0027】
[取れやすさ]
20名のパネラーが、試料を手に取ったときの試料の取れやすさにつき、以下の4段階にて評価した。
◎ ・・・・18名以上が良好と回答
○ ・・・・14名以上、18名未満が良好と回答
△ ・・・・10名以上、14名未満が良好と回答
×・・・・10名未満が良好と回答
【0028】
[キラメキ感]
20名のパネラーが、試料を塗布したときの試料のキラメキ感につき、以下の4段階にて評価した。

・・・・18名以上が良好と回答

・・・・14名以上、18名未満が良好と回答

・・・・10名以上、14名未満が良好と回答
×・・・・10名未満が良好と回答
【0029】
表1〜表3に示す組成からなる油性固形化粧料(アイカラー)を調整し、これを評価試料として、前記評価方法に基づき、各評価項目の判定を実施した。結果を併せて表1〜表3に示す。
【0030】
(調整法)
実施例1〜3及び比較例1〜3では、原料1〜10を約100℃で加熱溶解し、混合攪拌させた。さらに、原料11〜15を添加し、ディスパーにて均一になるまで混合攪拌した後、容器に流し込み、冷却成型し、アイカラーを得た。
実施例4〜5及び比較例4〜12についてもこれに準じて調整しアイカラーを得た。
【0031】
なお、表1〜表3に示される親油性ゲル化剤である(注1)〜(注4)の原料については、それぞれ下記の市販品を使用した。
(注1):千葉製粉社製 レオパールTT2
(注2):千葉製粉社製 レオパールKL2
(注3):千葉製粉社製 レオパールMKL2
(注4):千葉製粉社製 レオパールISK2
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
表1〜3からわかるように本発明に関わる実施例1〜5は、全ての評価項目において良好であった。
【0036】
一方、本発明以外の多糖脂肪酸エステルである親油性ゲル化剤を使用した比較例1〜3では、取れやすさに問題があり、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンの含有量が、本発明の範囲外である比較例7〜8では、取れやすさ、発汗性などに問題があった。
【0037】
また、固形油分が本発明の範囲外である比較例4〜5や液状油分が本発明の範囲外である比較例9〜10では、取れやすさ、発汗性などに問題があった。
更に、粉体や光輝性粉体が本発明の範囲外である比較例11〜12においては充填成型性などに問題があった。
【0038】
以下に処方例として実施例6を示す。
【0039】
[実施例6] フェイスパウダー
(配合成分) (重量%)
(1)(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン(注1) 10.0%
(2)ポリエチレンワックス
8.0%
(3)マイクロクリスタリンワックス
2.0%
(4)ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール
32.0%
(5)リンゴ酸ジイソステアリル
1.9%
(6)セスキイソステアリン酸ソルビタン
1.0%
(7)ジメチコン
0.1%
(8)セリサイト
7.9%
(9)マイカ
10.0%
(10)メタクリル酸メチルクロスポリマー
12.0%
(11)酸化鉄
0.1%
(12)合成金雲母
10.0%
(13)雲母チタン
5.0%
(製法)
(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンを液状油分に分散させた後加温溶解する。溶解後、固形油分を添加し、加熱溶解させ混合攪拌する。更に、光輝性粉体を含む粉体を加えディスパーにて充分に均一に攪拌混合した後、容器に充填し、冷却成型し、フェースパウダーを得た。
【0040】
以上の実施例6は、製造時の充填成型性、形状保持性を損なわず、経時での発汗も抑えられ、使用に際してスポンジ、パフでの取れもよく、或いは直接肌に塗布する際にも取れがよい油性固形化粧料であった。また、肌に塗布した後のキラメキ感も良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン1〜15重量%と、固形油分1〜15重量%と、液状油分25〜55重量%と、粉体25〜55重量%と、を含む油性固形化粧料にあって、前記粉体として光輝性粉体を化粧料全量中に15〜35重量%を含有する油性固形化粧料。
【請求項2】
固形油分が4〜10重量%、液状油分が30〜50重量%、粉体が30〜50重量%である請求項1記載の油性固形化粧料。
















【公開番号】特開2009−286765(P2009−286765A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144041(P2008−144041)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】