説明

油水分離装置、油水分離システム、油水分離方法およびそれを用いた水再利用方法

【課題】多段にわたる煩雑な工程や特殊な設備によらず、しかも取り扱い性及び運転管理性が良く、加温された含油水の高度な油水分離を可能とし熱ロスを低減することを実現しうる油水分離装置、それを用いた油水分離システム、並びに油水分離方法及び水再利用方法を提供する。
【解決手段】オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法において、地中から回収した加温ビチュメン混合流体からビチュメンを取り出し、前記混合流体から分離された加温含油水に含まれる油分を除去する油水分離装置であって、前記加温含油水20Bを導入する容器15eと、該容器15e内に組み込まれ前記加温含油水に浸漬させた状態でろ過を行う浸漬ろ過膜61と、該ろ過膜61に向け気泡53を供給する気泡発生手段16とを有する油水分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法における含油水の油水分離装置、油水分離システム、油水分離方法およびそれを用いた水再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油資源の1つであるオイルサンドから回収されるビチュメンは、これまで予備的ないし次世代の代替資源としてしか見られてこなかった。しかし、ビチュメン自体は質的に劣悪であっても、そこから得られる製品は原油から得られるものと十分競争力があり、コストにおいても原油代替の可能性が高まってきた。またカナダオイルサンドは、サウジアラビアの原油に匹敵するほどの圧倒的な埋蔵量を誇っており、例えばカナダ国アルバータ州およびその周辺地域における炭化水素埋蔵量は世界のトップクラスである。そして何よりカナダは中東やアフリカなどの地政学的に不安定な地域と異なり投資リスクが極めて低い。エネルギーの安定した供給源の確保は資源に乏しい我が国を始め各国において極めて重要な課題であり、この観点からも今日の貴重な石油資源の供給地域として位置付けられるようになってきた。
かかるオイルサンドからのビチュメン生産において、近年、露天掘りでは開発が難しい深度に存在するものにも目が向けられ、この採収を可能にするSAGD(Steam Assisted Gravity Drainage)法、CSS(Cyclic Steam Stimulation)法といった油層内回収法が注目され、精力的にその技術開発がすすめられている(非特許文献1)。
【0003】
油層内回収法では、オイルサンド層内にある常温では流動しない高粘度の油に対し高温スチームを圧入することにより、加熱して油の粘度を下げ、このスチームが凝集した高温水と油とを回収する。そのため大量の高温スチームを造りだすための「水」が必要となる。例えば、後述するSAGD法ではスチーム生成のため油生産量の約3倍の水を使用する。他方、カナダにおいては州の厳しい環境基準により利用可能な取水量が制限されるほか、十分な容量を持つ廃水圧入層が近傍に存在しないため、水のリサイクルは必須となっている(非特許文献2参照)。
【0004】
上記ビチュメンの生産に使用する水のリサイクルのため、従来下記のような手法が取られてきた。まず従来法のフローについて説明する(図4,5参照)。油層内回収法で地中(オイルサンド層1)から回収されたビチュメン混合流体20Aは、フリー・ウオーター・ノックアウト(Free water Knockout)2に送られる。ここで処理したビチュメンを含む処理液を供給方向dに送り、さらにトリーター(Treater)3で処理し、冷却機51で冷却してビチュメンをオイル貯蔵タンク(Oil storage tank)4に貯蔵する。ここから必要に応じてビチュメン(製品)を出荷する。なお、図中、二等辺三角形を2つ組み合わせた蝶々形状の部分はバルブを表している。また、図4及び図5における*Aはここで各図の工程が連結されることを表している。
【0005】
これとは別にフリー・ウオーター・ノックアウト2で分離された含油水(生産水:Produced waterと呼ばれることもある。)20Bを供給方向dに送り、冷却器4で所定温度に冷却されたのちスキムタンク(Skim Tank)5に移行する。このとき、含油水の一部はトリーター3からも分離され移行する(供給方向d’参照)。また、フリー・ウオーター・ノックアウト2及びトリーター3では蒸発ガスも発生し、これもそれぞれ外部に排出する。次いで、インデュース・ガス・フローテーション(Induced Gas Flotation)6、ウォルナットシェルなどを用いたオイルリムーバルフィルタ(Oil Removal Filter)7、デオイルドタンク(Deoiled Tank)8という流れで、油分を分離除去し、従来の処理水20D’を回収する(後述する本発明の処理水20Dと区別するよう、20D’とした。)。この方法における油水分離は、基本的には油と水の比重差を利用した重力分離である。なお図中の囲みの中に記載された温度はその部分での流体の温度であり、濃度は油の含有濃度である。ただし、これらの具体的な温度や濃度等の記載により本発明が限定して解釈されるものではない。
【0006】
その後段で処理水20D’は、ライムソフナー(Lime Softener)9、ウイーク・アシッド・カチオン・ソフナー(Weak Acid Cation Softener)11という流れで硬度成分を除去し、ボイラー・フィード・ウオーター・タンク(Boiler feed water tank)13に貯蔵される。ここからボイラ供給水20Cとしてワンススルー式ボイラ(Once Through Type Boiler)(図示せず)に給水し、そこで発生した蒸気は、再度オイルサンド層からのビチュメンの回収に利用される。最近では、上記の工程d12における軟化処理に代えて、脱塩プロセスのひとつであるメカニカル・ベーパー・コンプレッション・ユニット14を適用したエバポレータ(Evaporator)12を利用して純水をつくり、これをボイラ供給水20Cとして汎用のドラム式ボイラ(Drum type Boiler)(図示せず)に給水するケースも増えている(図5の工程d13参照)。
【0007】
しかし上記従来のフローでは、油水分離に必要な機器および工程数が多く煩雑であり、設備費が高くつく。運転管理も難しい。また、熱交換器やボイラ内の配管で有機物系のスケールが析出し、その結果、熱応力起源の腐食割れを起こした例が報告されている(非特許文献2参照)。これは、重力分離法では、比較的粒径の大きな油分は除去できるが、粒径の小さな油分やエマルション化した油分は分離できないことが主要な原因と考えられる(非特許文献3参照)。また、工程d13のように後段の軟化・脱塩工程でエバポレータを適用する場合、エバポレータ内での有機物によるスケールトラブルが起きており、本法適用拡大の障壁となっている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】荻野清「カナダオイルサンドの開発〜さらなる挑戦」石油技術協会誌,第69巻,第6号(平成16年11月)612−620頁
【非特許文献2】清水信寿・中村常太「オイルサンド開発における水のリサイクル」石油技術協会誌,第70巻,第6号(平成17年11月)522−525頁
【非特許文献3】M.J.Plebon “TORR(TM)−The Next Generation of Hydrocarbon Extraction From Water”Journal of Canadian Petroleum Technology,Vol.43,No.9(Sep.2004)pp.1−4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来、SAGD法あるいはCSS法においては、含油水の油水を分離した後、さらに軟化処理してワンススルー式ボイラに給水するのが一般的である。消費水量の一層の削減、排水量の削減、薬品消費量の削減、エネルギー消費量の削減、CO排出量の削減、また設備コストの低減や運転管理の容易さなどに鑑みるとき、油水分離の後にエバポレータで脱塩水とし汎用のドラム式ボイラに給水する方法の採用が求められ、しかも上述したようなトラブルの懸念のない実際的な処理方法が強く望まれる。そしてまた、ボイラ手前で加温することを考慮すると、その前の油水分離工程で極力水温を下げずに処理することが望まれる。これが実現されれば、水処理システム全体における熱ロスを大幅に抑えることができる。例えば、120℃程度の高温で高度な油水分離が可能となれば、上記熱ロスを抑えてエバポレータとドラム式ボイラを採用することのメリットを大きく引き出すことができ、上述した多岐にわたる課題に対して応えうるプラントの設計が可能となり、処理効率、経済性、環境適合性等が大幅に向上する。
【0010】
上述のようなビチュメン生産の油層内回収法における加温含油水の油水分離に特有の課題に鑑み、本発明は、従来のような多段にわたる煩雑な工程や特殊な設備によらず、しかも取り扱い性及び運転管理性が良く、加温された含油水の高度な油水分離を可能とし熱ロスを低減することを実現しうる油水分離装置、それを用いた油水分離システム、並びに油水分離方法及び水再利用方法の提供を目的とする。
また、油層内回収法によるビチュメンの生産において加温含油水を再利用する際の工程数及び機器数を低減しシステム全体をコンパクト化することができ、また従来困難であった汎用のドラム式ボイラ設備の実際的な利用を可能とする、環境適合性及び経済性に優れる油水分離装置、それを用いた油水分離システム、並びに油水分離方法及び水再利用方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は下記の手段により達成された。
(1)オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法において、地中から回収した加温ビチュメン混合流体からビチュメンを取り出し、前記混合流体から分離された加温含油水に含まれる油分を除去する油水分離装置であって、前記加温含油水を導入する容器と、該容器内に組み込まれ前記加温含油水に浸漬させた状態でろ過を行う浸漬ろ過膜と、該ろ過膜に向け気泡を供給する気泡発生手段とを有することを特徴とする油水分離装置。
(2)前記容器内の加温含油水に溶解しているガスを減圧することによって発泡させる容器内圧力の調節手段を具備し、その発泡により生じた気泡を前記ろ過膜に向け供給する気泡として利用する(1)に記載の油水分離装置。
(3)前記容器が内部に隔壁を具備し、該隔壁を越えた油分濃度の高い過剰液を前記加温ビチュメン混合流体と合流するように戻す返戻手段を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の油水分離装置。
(4)前記容器が、前記加温含油水の温度を60〜200℃に維持し、かつ前記容器内の圧力を0〜10kg/cmGに維持することができることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の油水分離装置。
(5)前記容器内のガスを前記気泡を発生するガスとして再利用するガス循環手段を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の油水分離装置。
(6)前記浸漬ろ過膜が円筒形状あるいは平膜形状であり、ろ過膜の外表面は前記気泡によって浄化される(1)〜(5)のいずれか1項に記載の油水分離装置。
(7)前記油層内回収法がSAGD法又はCSS法であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の油水分離装置。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の油水分離装置と、該装置の前記容器から取り出したろ過後の処理水を蒸留するエバポレータと、該蒸留水をビチュメンの回収に用いる水蒸気にするドラム式ボイラとを組み合わせた油層内回収法の水再利用システム。
(9)オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法において、地中から回収した加温ビチュメン混合流体からビチュメンを取り出し、前記混合流体から分離された加温含油水を浸漬式のろ過膜を内部に組み込んだ容器内に導入し、前記加温含油水で前記ろ過膜を浸漬した状態で前記加温含油水がろ過膜を通過するように移行させるとともに、前記ろ過膜に向け気泡を供給することを特徴とする油水分離方法。
(10)前記容器内の圧力を調節し前記加温含油水に含まれる成分を液中で発泡させ、前記ろ過膜に向けて供給する気泡とすることを特徴とする(9)に記載の油水分離方法。
(11)前記容器内の加温含油水の温度を60〜200℃に維持してろ過することを特徴とする(9)又は(10)に記載の油水分離方法。
(12)前記容器内を0〜10kg/cmGに維持してろ過することを特徴とする(9)〜(11)のいずれか1項に記載の油水分離方法。
(13)前記加温含油水の処理により、該処理後の処理水中の油分濃度を5mg/L以下とすることを特徴とする(9)〜(12)のいずれか1項に記載の油水分離方法。
(14)前記容器内で該容器内に設置した隔壁を越えた加温含油水を回収して返戻し、処理前のビチュメン混合流体と合流させる(9)〜(13)のいずれか1項に記載の油水分離方法。
(15)前記油層内回収法がSAGD法又はCSS法であることを特徴とする(9)〜(14)のいずれか1項に記載の油水分離方法。
(16)(9)〜(15)のいずれか1項に記載の油水分離方法で前記ろ過膜により処理された処理水をエバポレータにより蒸留し、該蒸留水をドラム式ボイラにより水蒸気としてビチュメンの地中からの回収のために再度用いることを特徴とするビチュメン生産の油層内回収法における水再利用方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、油層内回収法によるビチュメンの生産において加温含油水の油水分離を行うに当たり、従来のような多段にわたる煩雑な工程や特殊な設備によらず、しかも取り扱い性及び運転管理性が良く、加温された含油水の高度な油水分離を可能とし熱ロスを低減することができるという優れた作用効果を奏する。
また、本発明によれば、油層内回収法によるビチュメンの生産において、加温含油水を再利用する際の工程数及び機器数を低減しシステム全体をコンパクト化することができ、また従来困難であった汎用のドラム式ボイラ設備の実際的な利用を可能として、環境適合性及び経済性に優れた油水分離及び水再生処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の油水分離装置の一実施形態を利用したビチュメンの生産において加温含油水をろ過する過程を概略的に示したフロー図である。
【図2】図1に示した油水分離装置を拡大して模式的に示す側断面図である。
【図3】図2に示した装置のA−A線矢視断面を簡略化して示す平断面図である。
【図4】従来の油水分離方法における含油水のろ過の過程を概略的に示すフロー図である。
【図5】従来の油水分離方法におけるろ過された処理水をボイラに供給するまでの過程を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の油水分離装置は、オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法において、地中から回収した加温ビチュメン混合流体からビチュメンを取り出し、前記混合流体から分離された加温含油水に含まれる油分を除去する油水分離装置であり、前記加温含油水を導入する容器と、該容器内に組み込まれ前記加温含油水で浸漬させた状態でろ過を行う浸漬ろ過膜と、該ろ過膜に向け気泡を供給する気泡発生手段とを有する。
【0015】
オイルサンドからビチュメンを生産する方法として、大別すると、露天掘りによる方法と油層内回収法とがあるが、本発明の油水分離方法は後者に適用されるものである。油層内回収法として現在実際的に採用されているものは2種類であり、SAGD法とCSS法である。
【0016】
SAGD法の具体的実施態様においては、水平井を数メートル間隔に2本掘削し、上位水平井(圧入井)から高温蒸気を圧入する。圧入蒸気は周囲に熱を伝達しながら上昇し、油層頂部や介在泥岩などによって上昇が止まるまで水蒸気チャンバーを形成し、熱を失って凝縮水に変化する。伝達熱によって粘性が低下したビチュメンと凝縮水は、高粘性ビチュメンとの境界面に沿って重力で下位水平井(生産井)に向かい、混合流体として生産される。ビチュメンを生産することで油層内に空隙が形成され、蒸気を連続的に圧入することが可能になり、低粘性化したビチュメン回収が継続される。
【0017】
CSS法の一実施態様では、以下の3段階を繰り返して生産を継続していく。(1)ある期間、井戸に水蒸気を圧入する。水蒸気の圧入を止め井戸を閉める。(2)水蒸気の熱がオイルサンド層に伝わり、ビチュメンが流動化するのを、しばらくのあいだ待つ。(3)井戸を開けて、井戸に流れ込んでくるビチュメンをポンプで汲み上げる。一つの井戸ではこの過程を繰り返すが、それだけではビチュメンを生産する期間が飛び飛びになってしまう。そのため、幾つかの井戸のグループごとに水蒸気圧入とビチュメン生産のタイミングを調整することで、全体として安定した生産量を維持することができる。
【0018】
図1は、本発明の油水分離装置の一実施形態を利用したビチュメンの生産において加温含油水をろ過する過程を概略的に示したフロー図である。ここでSAGD法ないしCSS法においては、上述のように地中のオイルサンド層に高温高圧の水蒸気を圧入して、オイルサンド層内のビチュメンの流動性を高め、地中のビチュメンを温水とともに回収する。まず回収したビチュメンを含む温水には、砂、重金属等が含まれている。ここからは上記でも概略説明したが、これを減圧した後セパレータ(フリー・ウオーター・ノックアウト2、トリーター3)に入れ、該セパレータによりビチュメン、加温含油水(生産水)、蒸発ガスに分離する。分離された加温含油水は、油を多く含んだ油汚濁水であり、冷却前では約120℃に加温されている(本発明において、「加温」とは外界の温度より高められていることをいい、例えば外界温度が約20℃であればこれより高められていることをいう。)。この加温含油水を本発明に係る油水分離ユニット15に導入し、その中から油を取り除く。ここからは従来法と同様の過程に移行し、デオイルド・ウオーター・タンク8を介して、図5の工程d12に示したように、油を取り除いた処理水(De-oiled Produced Water)20Dは、メークアップウオーター(Makeup water)として水井戸(Water Well)から汲み上げた水(Raw Water)を加え、ライムソフナー9、ウイーク・アシッド・カチオン・ソフナー(WAC)11を経てボイラ供給用水(BFW:Boiler Feed Water)20Cとして再使用される。本実施形態によればエバポレータ12を活用する工程d13の利用も実際的なものとして実現可能であるが、この点については後述する。なお、図中の直角に曲がることのある直線は流体を流通させる配管を表し、要所に矢印を付してその流通方向を明示している。
【0019】
SAGD法の各エリアでの詳細は下記のとおりである。
[坑井元エリア]
高圧スチ−ムはヘッダーから各圧入井ヘフローコントロールバルブを介し分配される。一方、生産井では圧入井からスチームがブレークスルーしないように流量制御して生産が行われている。生産流体はウェルヘッドセパレータからのべ一パー、液はヘッダーに集められ、油水分離エリアに向かう。液ヘッダーにはエマルション生成防止薬品が添加される。
[油水分離エリア]
生産された流体はオイルセパレータ(FWKO)に入り、べ一パー(炭化水素、水分、若干の硫化水素)、ビチュメン、及び、生産水の3相に分離される。ビチュメンはトリーターに移送され0.5%重量程度まで脱水される。その後、オイルクーラーにて冷却され貯油される。
[油分除去エリア]
油分分離エリアからの生産水は、1000ppm以上の油分を含んでいる。当エリアの基本構成は、スキムタンク、インデュース・ガス・フローテーション(IGF)、油水分離フィルタ(ウォルナットシェルなど)の3つであり、各々の機器で油分が除去される。
[軟水処理エリア]
このエリアでは、デオイルドウォーターを主とするプラント内の水をBFWとして再利用する為の処理が行われる。主要構成機器は、ホットorウォームライムソフナー、アフターフィルタ、ウイークアッシドカチオンイオン交換器(WAC)である。ライムソフナーでは硬質分(Hardness)、シリカ(Silica)を減じることになる。ライムソフナー処理水の濁度をアフターフィルタ(アンスラサイトを充填した圧力式フィルタ)で除去し、微量に残ったカルシウムイオン、マグネシウムイオンをWACで完全に除去する。メークアップ水は井戸より供給される。
[スチーム製造エリア]
WACで製造されたBFWはポンプで昇圧され、熱回収をおこなった後スチームジェネレーターへ向かう。スチームジェネレーターは天然ガスを燃料としている。ここで75−80%Quality Steam(重量比で75−80%が気相、20−25%が液相)が製造され、高圧スチームセパレーターで気液分離される。高圧スチームのほぼ全量が坑井元に運ばれ圧入されるが、一部は低圧スチームに減圧され必要箇所へ分配される。ブローダウン水は一部冷却され、ディスポーザル井に廃棄される。
従来のSAGD法ではスチームジェネレーターとして、OTSG(Once Through Steam Generator)が通常使われる。理由として、ボイラ給水中のTDSが高濃度(20,000ppm程度まで許容、設計は8000ppm)でも処理できる為である。ドラム式ボイラを使用する場合は高品質ボイラ給水が必要であり、エバポレータ等が必要になる。
【0020】
本実施態様のフローにおいては約120℃(範囲としていえば例えば80〜120℃)に加温状態が維持されている加温含油水20Bを油水分離ユニット(デオイリング・ドラム)15に送る。この油水分離ユニットの好ましい実施形態については、図2,3に基づいて後で詳しく説明する。含油水20Bには一般的に1000ppm(範囲としていえば例えば1000〜3000ppm)の油分が含まれているが、本実施態様の例ではこれを1ppm以下にすることを目標とする。この目標濃度は特に限定されないが、10ppm以下に抑えることが好ましく、5ppm以下がより好ましく、1ppm以下がさらに好ましく、0.1ppm以下が特に好ましい。従来の分離方法によれば、前処理等多段のプロセスを必要とし、かつその処理水の油分濃度は、しばしば10ppmを越えているのが実情である(M.K.Bride “High efficiency de−oiling for improved produced water quality”, IWC−06−15参照)。
【0021】
本実施態様では耐熱性に優れるポリテトラフルオロエチレン製のろ過膜やセラミックろ過膜を好適に採用可能であるため、冷却器51による予備冷却幅を更に狭め、必要によっては冷却せずに油水分離ユニットへ送ってもよい。後段のエバポレータに加熱したまま送ることを考慮し、熱ロスを低減する観点からは、例えば油水分離ユニット15における分離を60〜200℃で行うことが好ましく、85〜135℃で行うことがより好ましく、90〜120℃で行うことが特に好ましい。そして、ろ過後の処理水も冷却せずにエバポレータ12に送ってもよい。すなわち、図1では処理水供給方向dで示した流路の冷却機51が介在されているが、これを省略することができる。このように熱ロスを低減することは、とりわけカナダのような寒冷地で加熱のためのエネルギー消費量が大きくなる地域では重要であり、本実施態様の大きな利点である。
【0022】
本実施態様によれば、上記油水分離ユニット15から取り出された処理水20Dがデオイルドタンク8を介して直接エバポレータ12に送る工程d13を好適に採用可能である(図5参照)。そして、本実施態様においてエバポレータに送られた処理水20Dは、従来法の場合に比べて粒径のかなり小さな油分まで除去でき、エバポレータ内でスケーリングを起こす有機物が好適に除去される。そのため、連続的に処理するときにも、エバポレータの頻繁なクリーニングを行う必要がなく、処理のための運転効率を大幅に高めることができる。したがって、図1に示した*Aを図5の*Bに連結して、ろ過後の処理水20Dをそのまま直接エバポレータに送ってもよい。このとき、エバポレータ直前の冷却機51を省略してもよいことは上記と同様である。なお、本発明において、スケーリングとは、有機物に由来する炭化物、カルシウムなどの硬度成分に拠るものをいう。
【0023】
さらに本実施態様による大きな利点の1つに一般的なドラム式のボイラを使用できることが挙げられる。これは、従来、再生された水(ボイラ供給水20C)をビチュメンの生産のために圧入井に導入する高圧高温の水蒸気とするために、極めて特殊性の高いワンススルー式のボイラを用いてきたが、これに頼らなくてよいことを意味しビチュメン生産に係るコスト競争力を大幅に高めるものである。換言すれば、本実施態様において上述の特有の油水分離手段を採用したことによりエバポレータの実際的な利用が可能となる。その結果、加温含油水が前記両者(油水分離×蒸留)により相乗的に浄化され、極めてクリーンな蒸留水がボイラ供給水20Cとして利用可能となる。
【0024】
本発明において水再生処理フローは上記に限定されるものではなく、例えば処理水20Dとした後に、工程d12(図5参照)と同様の設備を介した処理を行ってもよい。なお、本発明に適用される各設備ないし機器は通常この種の処理に用いるものを採用すればよく、例えば非特許文献1〜3の記載などを参考に構成することができる。具体的に、セパレータとしてはNATCO社製やKVAERNER社製などが挙げられ、エバポレータとしてはGE社製やAQUATECH社製などが挙げられ、ワンススルー式のボイラとしてはTIW社製やATS社製などが挙げられ、ドラム式ボイラとしてはB&W社製やC.B.NEBRASKA BOILER社製などが挙げられる。
【0025】
図2は図1に示した油水分離装置を拡大して模式的に示す側断面図であり、図3は図2に示した装置のA−A線矢視断面を簡略化して示す平断面図である。図2の円内はろ過モジュール60の内部を大きく拡大して示す部分断面模式図である。本実施態様の油水分離装置には浸漬ろ過膜が採用されている。浸漬ろ過とは、ろ過すべき液体中にろ過膜を浸し、この液体が前記ろ過膜を通過するようにしてろ過を行うことを言う。典型的には、円筒状のろ過膜を利用した吸引ろ過が挙げられ、円筒状のろ過膜を液体中に浸漬し、この円筒状膜の内部空間に負圧を発生させ、膜の外部の液体を内部空間に移行させ、そのときろ過膜を通過することでろ過を行う。さらに円筒状ろ過膜の内部空間から液体を吸い上げ、処理水を回収することができる。本実施態様においては吸引路17に処理液20Dを移行させるために、円筒状ろ過膜61の内部空間を吸引路17を介して吸引ポンプ(図示せず)により吸引(吸引方向d)する方法のほか、油水分離ユニット(デオイリング・ドラム)15の加圧容器15e内を加圧し吸引路17側の圧力が相対的に低くなる状況とすることで行ってもよい。
このろ過膜については、必ずしも円筒状である必要はなく、平膜状であってもよい。ここで、平膜状というのは、2枚のシート状平膜をスペーサーをはさんで平行位置に固定した膜エレメントを等間隔で配置したモジュール、あるいは、セラミック製の平板の内部に集水用の通路を設け、これを等間隔で配置したモジュールであり、平膜エレメント間の隙間が原液の流路となり、平膜エレメントの内部の集水部を通してろ過水が集められる。
本実施態様において上記浸漬ろ過膜及びその具体的な操作手順等は従来知られている物や手法を適用することができ、例えば、(社)日本水環境学会・膜を利用した処理技術研究委員会編「未循環の時代 膜を利用した水再生」39−49頁、有限責任中間法人 膜分離技術振興会・膜浄水委員会 監修、浄水膜(第2版)編集委員会 編集「浄水膜(第2版)」216頁以下、特開昭61−129094等を参照することができる。
【0026】
本実施形態の油水分離ユニット15には、先端出口15dがT字になって上方に突出する導入配管15aを介して加温含油水20Bが供給される(供給方向d参照)。すると、加温含油水が油水分離ユニット15の外殻を構成する加圧容器15e内に充満し、上述したろ過膜モジュール60を含油水20Bで浸漬する。このろ過膜モジュールは吸引路17に接続されており、ここからろ過された処理水20Dを回収する。この吸引は上述のように吸引ポンプを吸引路に接続して行ってよいが、本実施形態においては、加圧容器内の圧力Pと吸引路側の圧力Pとに差を設け、処理水20Dの移行が行われるようにしている。加圧容器内の圧力Pは特に限定されないが、0〜10kg/cmGとなるように設定することが好ましく、2〜5kg/cmGとなるように設定することがより好ましい。上記吸引路側との差圧(P−P)は0〜5kg/cmとなるように設定することが好ましく、0.5〜2kg/cmとなるように設定することがより好ましい。
【0027】
本実施形態の油水分離ユニット15においては、さらに内部に気泡発生手段としての細孔配設管16が導入されている。この細孔配設管16は、加温含油水に浸漬し、ろ過膜モジュール60の鉛直方向直下に位置するように配置している。そして、この細孔配設管にガスボンベ等のガス供給手段から所定のガスを供給し(供給方向d参照)ろ過膜モジュールに向け気泡53を発生させる。このとき図1では図示していなかったが、図2に示したように加圧容器内のガス55を回収して循環ブロア56を介して循環させ(ガス循環手段:循環ブロア56,循環流路19)、再度細孔配設管16に送り込み、気泡53として加温含油水内に発生させてもよい。
【0028】
この気泡のろ過膜に作用する状態について、さらに図2の円内に示した拡大図により説明する。本実施形態のろ過膜モジュール60においては、その内部に円筒状のろ過膜がその長手方向が鉛直方向に配向するように多数配設されている。液中に発生した気泡53は重力に逆らって方向dに向かって加温含油水20B中を上昇する。このとき、含油水中に含まれる油54も水より比重が低いため上昇する傾向にある。しかし、油分の中にはやや比重が重いものや、微細液滴となってエマルション化しているものなどがあり、液中を分散して浮遊する成分もある。上記の気泡53はこの浮遊した油分54に吸着し、一気に液表面s側に向けて上昇させる作用がある。さらに本実施形態においては、気泡53をろ過膜61に向け発生させているので、ろ過が進行するなかでろ過膜の表面に付着した油分54を膜表面から引き剥がし、前記と同様に液表面sに向け上昇させる作用を発揮する。これらの作用が相まって、ろ過膜61により含油水のろ過を連続して行っても膜表面が清浄化され良好なろ過性能が持続し、かつ後述するろ過排水の効率的な回収を実現することができる。
【0029】
気泡をなすガス成分は特に限定されないが、窒素や天然ガスであることが好ましい。このとき、本発明においては、加圧容器内に供給する前の加温含油水の流通圧Pより容器内の圧力Pより低く設定しておき、その差圧(P−P)により加温含油水20B中の溶解成分を発泡させて、前記の気泡53として利用してもよい。このような発泡成分としては加温含油水に含まれる天然ガスが挙げられる。上記の差圧(P−P)は特に限定されないが、0〜5kg/cmとなるように設定することが好ましく、1〜3kg/cmとなるように設定することがより好ましい。気泡をなすガスの供給量は特に限定されず、処理する含油水の量と膜面積により大きく異なるが、典型的な設定において、上記膜の浄化作用と油分の上昇作用とを考慮して、0〜10Nlit/min/mとすることが好ましく、2〜5Nlit/min/mとすることがより好ましい。なお、気泡をなすガス成分としては、容器内の有機成分と接触して発火したり、あるいは金属部分が腐食したりしないよう、酸素は用いないことが好ましい。
【0030】
円筒状のろ過膜61をなす材料は特に限定されないが、耐熱性を考慮して例えば上述のようなPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の膜が挙げられる。また、平膜状のろ過膜としては、PTFE製のものの他、セラミック製の膜が挙げられる。本発明においては、中でも、ろ過膜としてポリテトラフルオロエチレン製のものを用いることが取り扱い性が高く、また重量が軽減されメンテナンスが容易である等の点で好ましい。この点、多孔質素材からなる中空管を用い、その親・疎水性を利用して油水分離することを提案するものがあるが(特開2004−141753号公報、特開2007−185599号公報参照)、重質油をも含むビチュメンを取り出した後の加温された含油水の分離に適用できるかは実証されていない。むしろ合成高分子製のろ過膜を含油水に用いることは、従来敬遠されてきた(「膜の劣化とファウリング対策」NTS(2008年)88頁,特許文献2参照)。ろ過膜の開孔径は特に限定されないが、ろ過効率とろ過性能を考慮して、0.01〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。ろ過膜の円筒形状において内部空間の直径(外径)は特に限定されないが、吸引性能を考慮して、1〜4mmに設定することが好ましく、1〜2mmに設定することがより好ましい。ろ過膜の厚さも特に限定されないが、上記と同様にろ過効率やろ過性能を考慮して、0.5〜1.5mmに設定することが好ましく、0.5〜1mmに設定することがより好ましい。
【0031】
本実施形態の油水分離ユニット15においては、さらに隔壁15cがその内部に設けられている、この隔壁の内側に上記の加温含油水が充填されており、膜ろ過が行われる。さらに本実施形態によれば、上記のように油分の自然な上昇とともに、気泡に随伴して油分が液表面sに向かって上昇してくる。これにより、隔壁15c内の加温含油水20Bは液表面側、すなわち鉛直方向の上方ほど高い油分濃度となっている。これに対し容器内には前記供給配管15aから連続的に加温含油水が供給されており、過剰量となった加温含油水20Bは隔壁15cを越えて隔壁外方へ流れ出す(方向d11参照)。このようにして油分濃度の高いろ過排水20Eは隔壁15cを介して容器中央から側円方向に移行して分離され、排液配管15bから回収され(方向d参照)、たとえばフリー・ウオーター・ノックアウト2に返戻される(返戻手段:返戻ポンプ52,排液配管15b)。隔壁15cの高さは特に限定されないが、ろ過膜モジュール60が加温含油水に十分に浸漬する高さであることが好ましい。加温含油水の容器内への供給速度は特に限定されず、容器の大き等にも大きく依存するが、典型的な設定としていえば10〜200m/hrであることが好ましく、50〜100m/hrであることがより好ましい。加圧容器の大きさも同様に、油層内回収法に適用することを考慮し、5〜200m程度のものを用いることが好ましい。
【0032】
以上、上記図面に基づき本発明の好ましい実施形態及びそれにより奏する作用効果及び利点について詳細に説明した。さらに従来の油水分離法における課題を述べると、これまでに提案され実施されてきた方法では、機器数が多く複雑であり、設備費が高く、運転管理も難しい。特に、含油水(Produced water)は通常120〜130℃の高温であるため、従来の油水分離法では一度85〜80℃に熱交換器で減温する必要があるが、この熱交換器はファウリングトラブルのため頻繁に洗浄する必要があり、稼働率低下の一因であった。本発明の好ましい実施形態に係る装置及び方法によればかかる課題を解決することができる。
また、最近、油水分離のためセラミック膜を内圧式のクロスフローで適用することが検討されているが、この場合、ファウリング防止のため膜表面の線速度を高く維持する必要があり、処理水量の5倍程度の高流量での循環が求められる。これを克服しようとすれば極めて大きな循環ポンプと大口径のヘッダー配管が必要となり、設備コストだけでなく、電力消費量等の運転コストも大幅に上昇するという問題があり、場合により実用化の障害となる。さらに、クロスフローろ過の場合、循環水中で濃縮が起こる。例えば、ブローダウン量を5%とすれば循環流路内の油濃度は20倍となり、具体的に供給液の油分が1,000ppmなら、循環液中の油分は20,000ppmとなる。透過液中の油分濃度を目標値である10ppm以下にすることが難しくなることも想定される。本発明の好ましい実施形態によれば、上記のようなろ過装置系内の過剰濃縮も起こらず、油濃度を極めて低く抑えた処理水の供給にも、過剰な設備や運転コストの増大を招かず好適に対応することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 オイルサンド層(Oil sand layer)
2 フリー・ウオーター・ノックアウト(Free water Knockout)
3 トリーター(Treater)
4 オイル貯蔵タンク(Oil storage tank)
5 スキムタンク(Skim tank)
6 インデュース・ガス・フローテーション(Induced gas floatation)
7 オイルリムーバルフィルタ(Oil removal filter)
8 デオイルド・ウオーター・タンク(De-oiled water tank)
9 ライムソフナー(Lime softener)
11 ウイーク・アシッド・カチオン・ソフナー(Weak acid cation softener)
12 エバポレータ(Evaporator)
13 ボイラー・フィード・ウオーター・タンク(Boiler feed water tank)
14 メカニカル・ベーパー・コンプレッション・ユニット
(Mechanical vapor compression unit)
15 油水分離ユニット−デオイリング・ドラム(De-oiling drum)
15a 導入配管
15b 排液配管
15c 隔壁
15d 先端出口
15e 容器
16 気泡発生手段(細孔配設管)
17 ろ過膜吸引管
18 ガス供給手段
19 ガス循環路
20A ビチュメン混合流体
20B 含油水
20C ボイラ供給水
20D 処理水
20E ろ過排水
51 冷却器
52 ポンプ
53 気泡
54 油分
55 容器内のガス
56 循環ブロア
60 ろ過膜モジュール
61 円筒状ろ過膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法において、地中から回収した加温ビチュメン混合流体からビチュメンを取り出し、前記混合流体から分離された加温含油水に含まれる油分を除去する油水分離装置であって、前記加温含油水を導入する容器と、該容器内に組み込まれ前記加温含油水に浸漬させた状態でろ過を行う浸漬ろ過膜と、該ろ過膜に向け気泡を供給する気泡発生手段とを有することを特徴とする油水分離装置。
【請求項2】
前記容器内の加温含油水に含まれる溶解しているガスを減圧することで発泡させる容器内圧力の調節手段を具備し、その発泡により生じた気泡を前記ろ過膜に向け供給する気泡として利用する請求項1に記載の油水分離装置。
【請求項3】
前記容器が内部に隔壁を具備し、該隔壁を越えた油分濃度の高い過剰液を前記加温ビチュメン混合流体と合流するように戻す返戻手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の油水分離装置。
【請求項4】
前記容器が、前記加温含油水の温度を60〜200℃に維持し、かつ前記容器内の圧力を0〜10kg/cmGに維持することができることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油水分離装置。
【請求項5】
前記容器内のガスを前記気泡を発生するガスとして再利用するガス循環手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の油水分離装置。
【請求項6】
前記浸漬ろ過膜が円筒形状あるいは平膜形状であり、ろ過膜の外表面は前記気泡によって浄化される請求項1〜5のいずれか1項に記載の油水分離装置。
【請求項7】
前記油層内回収法がSAGD法又はCSS法であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の油水分離装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の油水分離装置と、該装置の前記容器から取り出したろ過後の処理水を蒸留するエバポレータと、該蒸留水をビチュメンの回収に用いる水蒸気にするドラム式ボイラとを組み合わせた油層内回収法の水再利用システム。
【請求項9】
オイルサンドからビチュメンを生産する油層内回収法において、地中から回収した加温ビチュメン混合流体からビチュメンを取り出し、前記混合流体から分離された加温含油水を浸漬式のろ過膜を内部に組み込んだ容器内に導入し、前記加温含油水で前記ろ過膜を浸漬した状態で前記加温含油水がろ過膜を通過するように移行させるとともに、前記ろ過膜に向け気泡を供給することを特徴とする油水分離方法。
【請求項10】
前記容器内の圧力を調節し前記加温含油水に含まれる成分を液中で発泡させ、前記ろ過膜に向けて供給する気泡とすることを特徴とする請求項9に記載の油水分離方法。
【請求項11】
前記容器内の加温含油水の温度を60〜200℃に維持してろ過することを特徴とする請求項9又は10に記載の油水分離方法。
【請求項12】
前記容器内を0〜10kg/cmGに維持してろ過することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の油水分離方法。
【請求項13】
前記加温含油水の処理により、該処理後の処理水中の油分濃度を5mg/L以下とすることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の油水分離方法。
【請求項14】
前記容器内で該容器内に設置した隔壁を越えた加温含油水を回収して返戻し、処理前のビチュメン混合流体と合流させる請求項9〜13のいずれか1項に記載の油水分離方法。
【請求項15】
前記油層内回収法がSAGD法又はCSS法であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の油水分離方法。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか1項に記載の油水分離方法で前記ろ過膜により処理された処理水をエバポレータにより蒸留し、該蒸留水をドラム式ボイラにより水蒸気としてビチュメンの地中からの回収のために再度用いることを特徴とするビチュメン生産の油層内回収法における水再利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−84676(P2011−84676A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239857(P2009−239857)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000222174)東洋エンジニアリング株式会社 (69)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】