説明

油脂の製造方法

【課題】融解性状(口溶け)がシャープであり、カカオ脂との相溶性が良好で、かつトランス脂肪酸が低含量であり、非ラウリン酸型であるノーテンパー型ハードバターとして使用できる油脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】SUS型トリグリセリドを50〜100質量%含有する第1の非ラウリン系油脂と、SSU型トリグリセリドを12〜38質量%含有する非ラウリン系エステル交換油とを含有する油脂A又は当該油脂Aを水素添加して得られる油脂Bを分別することにより軟質部を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂の製造方法に関するものであり、特に、ノーテンパー型ハードバターとして使用できる油脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カカオ脂の代用として使用されるハードバターは、一般に、テンパー型とノーテンパー型に分類される。
【0003】
テンパー型ハードバターは、カカオ脂とよく似た対称型トリグリセリドの構造を持つ類似脂から作られるので、カカオ脂との配合が容易であり、CBE(cocoa butter equivalent)と呼ばれている。
【0004】
一方、ノーテンパー型ハードバターは、カカオ脂と融解性状は似ているが、油脂構造は全く異なるものであり、ラウリン酸型と非ラウリン酸型に大きく分けられる。ラウリン酸型及び非ラウリン酸型の何れもカカオ脂との相溶性は低いが、カカオ脂と比べて価格的に安く、煩雑なテンパリング作業が不要で作業性が良いため、製菓・製パン領域にて広く使用されている。
【0005】
ノーテンパー型ハードバターの内、ラウリン酸型ハードバターは、典型的にはパーム核油を分別して得られる硬質部(パーム核ステアリン)を水素添加して極度硬化したものが知られている。この種のハードバターの融解性状は極めてシャープであるが、カカオ脂との相溶性が極端に悪いため、カカオ脂の配合率を極力少なくしなければならないことから、これを使用したチョコレートはカカオ風味に乏しいものとなる。また、ハードバターを構成する脂肪酸の50%以上がラウリン酸であることから、保存状態が悪くて加水分解が起こると風味が極端に悪くなるという難点がある。
【0006】
ノーテンパー型ハードバターの内、非ラウリン酸型ハードバターは、トランス酸型ハードバターとも言われ、典型的には、低融点パームオレイン又は大豆油等の液体油を異性化水素添加したもの、更に必要に応じて異性化水素添加したものを分別した硬質部又は中融点部が知られている。非ラウリン酸型ハードバターは、融解性状はラウリン酸型と比較してややシャープさに欠けるものの、カカオ脂との相溶性はラウリン酸型よりは良く、カカオ脂をラウリン酸型よりも比較的多く配合することができる。しかしながら、非ラウリン酸型ハードバターは、多量のトランス脂肪酸を含有するため、トランス脂肪酸の健康への悪影響が認識されるようになって以来、使用が敬遠されている。
【0007】
従って、融解性状(口溶け)がシャープであり、カカオ脂との相溶性が良好で、かつトランス脂肪酸が低含量である、非ラウリン酸型のノーテンパー型ハードバターの開発が求められている。
【0008】
トランス脂肪酸が低含量である、非ラウリン酸型のハードバターとしては、例えば、SUS型トリグリセリドに富む油脂の微水素添加油とSSU型トリグリセリドに富む油脂との混合からなるハードバターが知られている(特許文献1参照)。
【0009】
また、トランス脂肪酸を含有しない非ラウリン酸型のノーテンパー型ハードバターとしては、パーム中融点部とパームステアリンのエステル交換油の分別中融点部との混合からなるハードバター(特許文献2参照)や、SOS型トリグリセリドとSSO型トリグリセリドを所定範囲で含有し、固体脂指数とSt/Pを所定範囲としたノーテンパー型ハードバターが知られている(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2005/094598号公報
【特許文献2】特開平9−285255号公報
【特許文献3】特開平9−316484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のハードバターは、SSU型トリグリセリドに富む油脂をエステル交換と溶剤分別とを組合せた複雑な工程を経て得なければならず、工業化に有利なものではなかった。
【0012】
従って、本発明の目的は、融解性状(口溶け)がシャープであり、カカオ脂との相溶性が良好で、かつトランス脂肪酸が低含量であり、非ラウリン酸型であるノーテンパー型ハードバターとして使用できる油脂の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、工業化に有利な上記油脂の製造方法を提供することである。
【0013】
ここで、トランス脂肪酸が低含量とは、トランス脂肪酸含量が22質量%以下であることをいい、好ましくはトランス脂肪酸含量が15質量%以下であることをいう。また、非ラウリン酸型とは、ラウリン酸含量が5質量%未満であることをいい、好ましくは、ラウリン酸含量が2質量%未満であることをいう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、SUS型トリグリセリドを50〜100質量%含有する第1の非ラウリン系油脂と、SSU型トリグリセリドを12〜38質量%含有する非ラウリン系エステル交換油とを含有する油脂A又は当該油脂Aを部分水素添加して得られる油脂Bを分別することにより軟質部を得る工程を有することを特徴とする油脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、融解性状(口溶け)がシャープであり、カカオ脂との相溶性が良好で、かつトランス脂肪酸が低含量であり、非ラウリン酸型であるノーテンパー型ハードバターとして使用できる油脂及びその製造方法を提供することができる。また、工業化に有利な上記油脂の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔本発明の実施の形態に係る油脂の製造方法〕
本発明の実施の形態に係る油脂の製造方法は、SUS型トリグリセリドを50〜100質量%含有する第1の非ラウリン系油脂と、SSU型トリグリセリドを12〜38質量%含有する非ラウリン系エステル交換油とを含有する油脂A又は当該油脂Aを部分水素添加して得られる油脂Bを分別することにより軟質部を得る工程を有する。ここで、Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸であり、Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸である。S及びUは炭素数16〜22であることが好ましく、炭素数16〜18であることがより好ましい。
【0017】
[油脂A及び油脂B]
本発明において、分別工程に付される前記油脂A及び前記油脂Bは、SUS型トリグリセリド(1,3−飽和−2−不飽和トリグリセリド)25〜70質量%、SSU型トリグリセリド(1,2−飽和−3−不飽和トリグリセリド及び2,3−飽和−1−不飽和トリグリセリド)2〜20質量%、SUS型トリグリセリドとSSU型トリグリセリドの合計が40〜85質量%であり、かつ、SSS型トリグリセリド(トリ飽和トリグリセリド)を4〜30質量%含有することが好ましい。
【0018】
前記油脂A及び前記油脂Bは、SUS型トリグリセリド含量が、30〜66質量%であることがより好ましく、35〜62質量%であることが更に好ましい。SSU型トリグリセリド含量は、4〜18質量%であることがより好ましく、6〜16質量%であることが更に好ましい。SUS型トリグリセリドとSSU型トリグリセリドの合計含量は、45〜80質量%であることがより好ましく、50〜75質量%であることが更に好ましい。SSS型トリグリセリド含量は、6〜28質量%であることが好ましく、8〜26質量%であることが更に好ましい。
【0019】
また、前記油脂A及び前記油脂Bは、トランス酸を2〜20質量%含有することが好ましく、4〜18質量%含有することがより好ましく、6〜16質量%含有することが更に好ましい。トランス酸が上記範囲にあると、低トランス酸であり、結晶性が良好な分別軟質部を得ることができる。
【0020】
また、前記油脂A及び前記油脂Bは、沃素価が10〜60であることが好ましく、20〜50であることがより好ましく、25〜45であることが更に好ましく、25〜40であることが最も好ましい。沃素価が上記範囲にあると、モールディング、コーティング、フィリング等に適した物性の分別軟質部を得ることができる。
【0021】
さらに、前記油脂A及び前記油脂Bは、融点が35〜55℃であることが好ましく、38〜52℃であることがより好ましく、40〜50℃であることが更に好ましく、42〜48℃であることが最も好ましい。融点が上記範囲にあると、モールディング、コーティング、フィリング等に適した物性の分別軟質部を得ることができる。
【0022】
[第1の非ラウリン系油脂]
本発明の実施の好ましい形態において、第1の非ラウリン系油脂は、沃素価が20〜55であり、SUS型トリグリセリドを50〜100質量%含有するものである。沃素価は25〜50であることが好ましく、30〜45であることがより好ましい。また、SUS型トリグリセリドの含量は、55〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。
【0023】
第1の非ラウリン系油脂の沃素価及びSUS型トリグリセリドの含量が上記範囲にあると、次に述べる非ラウリン系エステル交換油と混合して分別原料油脂(油脂A)とする場合のSUS型トリグリセリド含量の調整が容易である。
【0024】
本発明の実施の形態において、第1の非ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上(95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましい)であり、SUS型トリグリセリドを50〜100質量%(55〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい)含有する油脂であれば特に制限はないが、具体的には、カカオ代用脂として使用されるシア脂、マンゴー脂、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、パーム油等が挙げられ、また、これらの油脂を分別してSUS型トリグリセリドを濃縮した画分を使用することができる。また、ハイオレイック油脂に飽和脂肪酸を1,3位特異性リパーゼを用いてトリグリセリドの1,3位に導入した対称型トリグリセリド油脂を使用してもよい。第1の非ラウリン系油脂としては特に、パーム油やパーム分別油等のパーム系油脂が好ましく、パーム油を分別してSUS型トリグリセリドを濃縮したパーム中融点画分を使用することが経済的で好ましい。本実施の形態においては、これらから選ばれる1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態において、第1の非ラウリン系油脂は、油脂の結晶性を改質するために部分水素添加されていても良い。部分水素添加される場合、第1の非ラウリン系油脂は、トランス酸を5〜35質量%含有することが好ましく、10〜30質量%含有することがより好ましく、15〜25質量%含有することが更に好ましい。
【0026】
第1の非ラウリン系油脂のトランス酸含量が上記範囲にあると、次に述べる非ラウリン系エステル交換油と混合して分別原料油脂(油脂A)とする場合のトランス酸含量の調整が容易であり、分別原料油脂を分別して得られる軟質部に機能性に優れた低トランス酸油脂が得られる。
【0027】
硬化(水素添加)の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができる。水素添加は、例えば、ニッケル触媒の下、水素圧0.02〜0.3Mpa、120〜200℃の条件にて行うことができる。
【0028】
[非ラウリン系エステル交換油]
本発明の実施の好ましい形態において用いられる非ラウリン系エステル交換油は、沃素価が8〜55であり、SSU型トリグリセリドを12〜38質量%含有するものである。沃素価は10〜50であることが好ましく、12〜45であることがより好ましく、15〜35であることがさらに好ましい。また、SSU型トリグリセリドの含量は、14〜34質量%であることが好ましく、16〜30質量%であることがより好ましい。なお、非ラウリン系エステル交換油のSUS含量は50質量%未満であり、20質量%以下であることが好ましい。
【0029】
非ラウリン系エステル交換油の沃素価及びSSU型トリグリセリドの含量が上記範囲にあると、既に述べた第1の非ラウリン系油脂と混合して分別原料油脂(油脂A)とする場合のSSU型トリグリセリド含量の調整が容易である。
【0030】
なお、SUS型トリグリセリド及びSSU型トリグリセリドの分析は、例えば、JAOCS.vol.70,11,1111−1114(1993)に準拠して油脂中のS2U型トリグリセリド(SUS+SSU)の含量を測定した後、SUS/SSU比をJ.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)、に準拠した方法により測定することで求めることができる。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態において、非ラウリン系エステル交換油の原料油脂としては、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上(95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましい)であり、その沃素価が非ラウリン系エステル交換油の沃素価を満たしていれば特に制限はなく、前述の第1の非ラウリン系油脂と同様のものを使用することができるが、特には、沃素価が10〜50であるパーム系油脂、あるいは、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上である油脂の極度硬化油とオレイン酸が50質量%以上である油脂との60:40〜90:10の混合油または前記極度硬化油と沃素価20〜70のパーム系油脂との30:70〜80:20の混合油等が挙げられる。
【0032】
より具体的には、上記パーム系油脂としては、パーム油及びパーム油の分別油であれば何れも使用することができる。具体的には、(1)パーム油の1段分別油であるパームオレイン及びパームステアリン、(2)パームオレインを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、(3)パームステアリンを分別した分別油(2段分別油)であるパームオレイン(ソフトパーム)及びパームステアリン(ハードステアリン)、等が例示できる。非ラウリン系エステル交換油の原料油脂としては、これらの1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。更に具体的には沃素価12〜45(好ましくは20〜35)である、パームステアリン、又は、パームステアリンとその他パーム系油脂との混合油、のエステル交換油であることが好ましい。
【0033】
油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上である油脂の極度硬化油としては、大豆油、菜種油、綿実油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、パーム油、牛脂、豚脂、魚油等の極度硬化油が例示でき、オレイン酸が50質量%以上である油脂としては、菜種油、高オレイン酸菜種油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸紅花油、パームオレイン、シア脂オレイン、サル脂オレイン等が例示できる。パーム系油脂は上述のとおりである。非ラウリン系エステル交換油の原料油脂としては、これらの2種あるいは3種以上を適宜選択して調製することができる。具体的には、パーム系油脂の極度硬化油とオレイン酸含量が50%質量%以上の菜種油との質量比60:40〜90:10の混合油をエステル交換した油脂、極度硬化菜種油と沃素価20〜70のパーム系油脂との30:70〜80:20の混合油をエステル交換した油脂等が例示できる。
なお、極度硬化油は、沃素価が2以下であることが好ましい。
【0034】
エステル交換の方法は、特に制限はなく、通常の方法により行うことができ、ナトリウムメトキシド等の合成触媒を使用した化学的エステル交換、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも行うことができる。
【0035】
酵素的エステル交換は、位置特異性の乏しいエステル交換反応で行うことが好ましい。位置特異性の乏しいエステル交換反応を行うことのできるリパーゼ製剤としては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
【0036】
化学的エステル交換は、例えば、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行うことができる。
【0037】
酵素的エステル交換は、例えば、リパーゼ粉末又は固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.04〜5質量%添加した後、40〜80℃、好ましくは40〜70℃で0.5〜48時間、好ましくは0.5〜24時間攪拌しながら反応を行うことができる。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態において、非ラウリン系エステル交換油は、油脂の結晶性を改質するために部分水素添加されていても良い。部分水素添加される場合、非ラウリン系エステル交換油は、トランス酸を5〜35質量%含有することが好ましく、10〜30質量%含有することがより好ましく、15〜25質量%含有することが更に好ましい。
【0039】
非ラウリン系エステル交換油のトランス酸含量が上記範囲にあると、既に述べた第1の非ラウリン系油脂と混合して分別原料油脂(油脂A)とする場合のトランス酸含量の調整が容易であり、分別原料油脂を分別して得られる軟質部に機能性に優れた低トランス酸油脂が得られる。
なお、油脂の脂肪酸組成及びトランス酸含量は、例えば、AOCS Ce1f−96に準拠して分析することができる。
【0040】
なお、部分水素添加は、エステル交換前後のどちらで行ってもよい。エステル交換後に部分水素添加処理しても良いし、エステル交換の原料油脂が部分水素添加されていても良い。部分水素添加処理した非ラウリン系油脂をエステル交換することにより得られた非ラウリン系エステル交換油の品質が安定する点で、より好ましい。部分水素添加処理の方法は、前述した方法と同様に行なうことができる。
【0041】
[第2の非ラウリン系油脂]
本発明の好ましい実施の形態において、分別原料油脂は、SUS型トリグリセリド25〜70質量%、SSU型トリグリセリド2〜20質量%、SUS型トリグリセリドとSSU型トリグリセリドの合計が40〜85質量%であり、かつ、SSS型トリグリセリドを4〜30質量%含有する条件を満たす範囲内であれば、第1の非ラウリン系油脂と非ラウリン系エステル交換油脂の他に、任意成分として、第2の非ラウリン系油脂を含有しても良い。
第2の非ラウリン系油脂は、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数16以上の脂肪酸が90質量%以上である油脂であって、第1の非ラウリン系油脂と非ラウリン系エステル交換油を除いたものである。
具体的には、大豆油、高オレイン酸大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、紅花油、高オレイン酸紅花油、綿実油、コーン油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、牛脂、豚脂、魚油、シア脂オレイン、サル脂オレイン、カカオ脂オレイン等、及びそれらの硬化油(極度硬化油を含む)が例示できる。
第2の非ラウリン系油脂の分別原料油脂における含量は、0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0042】
[分別原料油脂(油脂A)を得る混合工程]
本発明の好ましい実施の形態において、第1の非ラウリン系油脂と、非ラウリン系エステル交換油とを混合して分別原料油脂(油脂A)を得る方法は、特に限定されるものではないが、第1の非ラウリン系油脂と非ラウリン系エステル交換油との混合割合(質量比)が40:60〜95:5であることが好ましく、45:55〜90:10であることがより好ましく、50:50〜85:15であることが更に好ましい。第1の非ラウリン系油脂と、非ラウリン系エステル交換油の分別原料油脂(油脂A)における合計含量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。混合は油脂が完全に溶解した状態で行うことが好ましい。
【0043】
[分別原料油脂(油脂B)を得る工程]
分別原料油脂は、第1の非ラウリン系油脂と非ラウリン系エステル交換油を混合して得た上記油脂Aを部分水素添加した油脂(油脂B)であることが好ましい。この場合、第1の非ラウリン系油脂及び非ラウリン系エステル交換油は、どちらも部分水素添加処理していない油脂を使用することが好ましいが、一方又は双方に部分水素添加処理した油脂を使用してもよい。
【0044】
[分別原料油脂(油脂A,B)の具体例]
分別原料油脂(油脂A,B)の好ましい具体的な例としては、第1の非ラウリン系油脂と部分水素添加処理がされた非ラウリン系エステル交換油、部分水素添加処理がされた第1の非ラウリン系油脂と非ラウリン系エステル交換油、部分水素添加処理がされた第1の非ラウリン系油脂と部分水素添加処理がされた非ラウリン系エステル交換油があるが、中でも、第1の非ラウリン系油脂と部分水素添加処理がされた非ラウリン系エステル交換油が好ましく、特に、部分水素添加処理がされた非ラウリン系エステル交換油が、部分水素添加処理の後エステル交換されたものであることが好ましい。
【0045】
より具体的な好ましい組み合わせとしては、部分水素添加パーム中融点画分(沃素価30〜45)とパームステアリンのエステル交換油(沃素価15〜35)、パーム中融点画分(沃素価30〜45)と部分水素添加パームステアリンのエステル交換油(沃素価15〜35)、パーム中融点画分(沃素価30〜45)とパームステアリンのエステル交換油(沃素価15〜35)との混合油の部分水素添加油があり、混合比率は何れも45:55〜90:10が好ましい。中でも、パーム中融点画分(沃素価30〜45)と部分水素添加パームステアリンのエステル交換油(沃素価15〜35)が好ましく、特に、部分水素添加パームステアリンのエステル交換油(沃素価15〜35)が、部分水素添加後にエステル交換されたものが好ましい。
【0046】
[分別原料油脂を分別する工程]
上記分別原料油脂を分別して軟質部を得る工程における分別の方法は、特に限定されない。例えば、ドライ分別、乳化分別、溶剤分別等により行なうことができ、特に、ドライ分別により経済的に行なうことができる。ドライ分別は、一般的には槽内で攪拌しながら分別原料油脂を冷却し、結晶を析出させた後、圧搾及び/又はろ過によって硬質部(結晶画分)と軟質部(液状画分)を得ることにより行なうことができる。分別温度は、求められる分別油脂の性状によっても異なるが33〜45℃で行なうことができる。軟質部に一般的なハードバターを得る場合、分別温度は35〜43℃が適当である。
【0047】
以上の工程を経ることにより、軟質部を得ることができる。
【0048】
[軟質部]
得られた軟質部は、沃素価が25〜50、融点が25〜45℃であり、炭素数16以上の脂肪酸が95質量%以上、トランス脂肪酸含量が22質量%以下、ラウリン酸が5質量%未満である。好ましくは、沃素価が30〜45、融点が30〜40℃であり、炭素数16以上の脂肪酸が98質量%以上、トランス脂肪酸含量が15質量%以下、ラウリン酸が2質量%未満である。
【0049】
また、本実施の形態に係る軟質部は、汎用性のあるハードバターの場合、25℃におけるSFC(固体脂含量)が40〜70%であることが好ましく、より好ましくは45〜70%、さらに好ましくは50〜70%であり、30℃におけるSFCが20〜50%であることが好ましく、より好ましくは23〜50%、さらに好ましくは25〜50%であり、35℃におけるSFCが5〜25%であることが好ましく、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは5〜16%である。
SFCの値はIUPAC法2.150a Solid Content determination in Fats by NMRに準じて測定することができる。
【0050】
当該軟質部は、カカオ脂の代用の油脂、すなわち、ノーテンパー型ハードバターとして使用できる。当該軟質部(ノーテンパー型ハードバター)は、チョコレート類の他、クリーム、フィリング、コーティング等の油性食品に使用でき、油性食品の油脂中に5〜100質量%使用できる。
【0051】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)融解性状(口溶け)がシャープであり、カカオ脂との相溶性が良好で、かつ通常のトランス酸型ハードバター(トランス酸含量35〜55質量%)と比べて有意にトランス脂肪酸が低含量であり、非ラウリン酸型であるノーテンパー型ハードバターを提供することができる。
【0052】
(2)本実施の形態に係るノーテンパー型ハードバターは、ラウリン酸含量が極めて低いため、ラウリン酸リッチな代用脂特有の欠点であるカカオ脂との相溶性が改善され、カカオ風味が豊かなチョコレートを実現でき、また、同欠点であるソーピー臭(油脂が何等かの原因で加水分解され、遊離脂肪酸が生成すると発生する不快臭)が発生しにくくなる。
【0053】
(3)操作が煩雑で、かつ設備が大掛かりでコスト高となる溶剤分別の方法によらずとも、ドライ分別により、典型的には1回のドライ分別により、所望の軟質部を得ることができるため、極めて簡便、かつ経済的に上記ノーテンパー型ハードバターを製造することができる。
【0054】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
〔分析方法〕
脂肪酸組成及びトランス酸は、AOCS Ce1f−96に準拠して分析した。
S2U型トリグリセリド(SUS+SSU)、SSS型トリグリセリドの分析は、JAOCS.vol.70,11,1111−1114(1993)に準拠して行った。
SUS型トリグリセリド、SSU型トリグリセリドの分析は、S2U型トリグリセリド含量を基に、SUS/SSU比をJ.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)、に準拠した方法により測定することにより求めた。
ここで、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸である。トリグリセリドは以後、TGと略することがある。
また、SFCの測定は、IUPAC法2.150a Solid Content determination in Fats by NMRに従って行った。
【0056】
〔軟質部の製造〕
分別原料油脂(油脂A,B)として、以下の第1の非ラウリン系油脂(SY1〜SY5)、非ラウリン系エステル交換油(IE1〜IE4)、第2の非ラウリン系油脂(HPS)を使用した混合油を得て、実施例A〜Iの軟質部の製造を行なった。
【0057】
第1の非ラウリン系油脂としては、以下のものを使用した。
SY1:パーム中融点画分(沃素価32.5、SUS型TG85.2質量%、SSU型TG6.4質量%、SSS型TG2.4質量%、炭素数16以上の脂肪酸99.0質量%、トランス脂肪酸0.0質量%、マレーシアISF社製)
SY2:パーム中融点画分(沃素価36.8、SUS型TG75.0質量%、SSU型TG7.4質量%、SSS型TG3.0質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.7質量%、トランス脂肪酸0.0質量%、マレーシアISF社製)
SY3:パーム中融点画分(沃素価40.6、SUS型TG70.4質量%、SSU型TG7.0質量%、SSS型TG2.3質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.7質量%、トランス脂肪酸0.0質量%、マレーシアISF社製)
SY4:部分水素添加パーム中融点画分(沃素価38.2、SUS型TG65.4質量%、SSU型TG8.1質量%、SSS型TG3.1質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.8質量%、トランス脂肪酸10.0質量%、マレーシアISF社製)
SY5:部分水素添加パーム中融点画分(沃素価40.6、SUS型TG58.3質量%、SSU型TG8.0質量%、SSS型TG2.0質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.9質量%、トランス脂肪酸23.6質量%、マレーシアISF社製)
【0058】
非ラウリン系エステル交換油としては、以下のものを使用した。エステル交換は、常法に従い、原料油脂を十分に乾燥させ、ナトリウムメトキシドを原料油脂に対して0.2質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌しながら反応を行った。
IE1:パームステアリンのエステル交換油(沃素価15.7、SUS型TG9.8質量%、SSU型TG19.3質量%、SSS型TG61.3質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.8質量%、トランス脂肪酸0.0質量%)
IE2:パームステアリンのエステル交換油(沃素価22.9、SUS型TG11.8質量%、SSU型TG23.6質量%、SSS型TG48.4質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.6質量%、トランス脂肪酸0.0質量%)
IE3:部分水素添加パームステアリンのエステル交換油(沃素価31.2、SUS型TG13.1質量%、SSU型TG26.5質量%、SSS型TG29.2質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.7質量%、トランス脂肪酸21.2質量%)
IE4:パームステアリン(沃素価30)60部と極度硬化菜種油(沃素価1)40部からなる混合油のエステル交換油(沃素価18.4、SUS型TG11.5質量%、SSU型TG23.1質量%、SSS型TG53.9質量%、炭素数16以上の脂肪酸99.0質量%、トランス脂肪酸0.0質量%)
【0059】
第2の非ラウリン系油脂としては、以下のものを使用した。
HPS:パームステアリンの極度硬化油(沃素価0.5、SUS型TG0.0質量%、SSU型TG0.0質量%、SSS型TG95.1質量%、炭素数16以上の脂肪酸98.8質量%、トランス脂肪酸0.0質量%、マレーシアISF社製)
【0060】
実施例A
第1の非ラウリン系油脂としてSY1を60質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE3を40質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点43℃、沃素価31.9、SUS型TG58.0質量%、SSU型TG14.5質量%、SSS型TG12.5質量%、トランス脂肪酸8.6質量%)を得た。次に、当該混合油を38〜41℃でドライ分別して、収率82%で分別軟質部Aを得た。
【0061】
実施例B
第1の非ラウリン系油脂としてSY1を49質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE3を49質量%と、第2の非ラウリン系油脂としてHPSを2質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点45℃、沃素価31.0、SUS型TG48.0質量%、SSU型TG16.0質量%、SSS型TG16.9質量%、トランス脂肪酸10.6質量%)を得た。次に、当該混合油を38〜41℃でドライ分別して、収率73%で分別軟質部Bを得た。
【0062】
実施例C
第1の非ラウリン系油脂としてSY4を80質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE1を20質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点45℃、沃素価33.2、SUS型TG54.6質量%、SSU型TG10.0質量%、SSS型TG14.6質量%、トランス脂肪酸8.0質量%)を得た。次に、当該混合油を38〜41℃でドライ分別して、収率70%で分別軟質部Cを得た。
【0063】
実施例D
第1の非ラウリン系油脂としてSY5を50質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE2を50質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点48℃、沃素価31.5、SUS型TG35.1質量%、SSU型TG15.8質量%、SSS型TG24.8質量%、トランス脂肪酸11.8質量%)を得た。次に、当該混合油を38〜41℃でドライ分別して、収率54%で分別軟質部Dを得た。
【0064】
実施例E
第1の非ラウリン系油脂としてSY3を90質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE1を10質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点36℃、沃素価37.9)を得た。次いでニッケル触媒を用いて水素添加を行い部分水素添加油(融点44℃、沃素価35.9、SUS型TG61.5質量%、SSU型TG6.8質量%、SSS型TG8.8質量%、トランス脂肪酸11.9質量%)を得た。当該部分水素添加油を38〜41℃でドライ分別して、収率71%で分別軟質部Eを得た。
【0065】
実施例F
第1の非ラウリン系油脂としてSY2を80質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE1を20質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点42℃、沃素価32.6)を得た。次いでニッケル触媒を用いて水素添加を行い部分水素添加油(融点45℃、沃素価30.8、SUS型TG59.5質量%、SSU型TG9.7質量%、SSS型TG14.6質量%、トランス脂肪酸10.4質量%)を得た。当該部分水素添加油を38〜41℃でドライ分別して、収率65%で分別軟質部Fを得た。
【0066】
実施例G
第1の非ラウリン系油脂としてSY3を70質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE2を30質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点43℃、沃素価35.3)を得た。次いでニッケル触媒を用いて水素添加を行い部分水素添加油(融点46℃、沃素価32.4、SUS型TG50.5質量%、SSU型TG11.1質量%、SSS型TG16.2質量%、トランス脂肪酸13.2質量%)を得た。当該部分水素添加油を38〜41℃でドライ分別して、収率59%で分別軟質部Gを得た。
【0067】
実施例H
第1の非ラウリン系油脂としてSY3を50質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE2を50質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点51℃、沃素価32.0)を得た。次いでニッケル触媒を用いて水素添加を行い部分水素添加油(融点50℃、沃素価30.2、SUS型TG39.2質量%、SSU型TG14.5質量%、SSS型TG25.0質量%、トランス脂肪酸6.8質量%)を得た。当該部分水素添加油を38〜41℃でドライ分別して、収率65%で分別軟質部Hを得た。
【0068】
実施例I
第1の非ラウリン系油脂としてSY1を65質量%と、非ラウリン系エステル交換油としてIE4を35質量%とを完全に溶解混合して混合油(融点47℃、沃素価26.3、SUS型TG56.5質量%、SSU型TG13.1質量%、SSS型TG22.4質量%、トランス脂肪酸0.0質量%)を得た。次に、当該混合油を38〜41℃でドライ分別して、収率70%で分別軟質部Iを得た。
【0069】
参考例1は、典型的な高トランス酸型のハードバターの例であり、参考例2は、典型的なラウリン酸型ハードバターの例である。
【0070】
実施例A〜Iで得られた軟質部について、沃素価、融点、炭素数16以上の脂肪酸及びトランス酸の測定を行い、測定結果を表1〜3に示した。また、参考例1,2の脂肪酸組成、沃素価、融点、炭素数16以上の脂肪酸及びトランス酸を表4に示した。
また、SFCの測定をIUPAC法2.150a Solid Content determination in Fats by NMRに準じて行い、測定結果を表1〜4に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
表1〜4に示した測定結果より、実施例A〜Iで得られた軟質部は、参考例1に比べて、トランス脂肪酸含量が低いものであることが分かる。また、表1〜3に示した測定結果(SFC値)より、実施例A〜Iで得られた混合油軟質部は、融解性状(口溶け)が良好(シャープ)であることが分かる(F、Hは耐熱性に優れているため、被覆用途に適したものである。Iは冷食用途に適したものである)。
【0076】
〔口溶け評価試験〕
分別軟質部A、C、F及び参考例1のハードバターについて、表5の配合に従ってノーテンパー型のチョコレートの試作を行い、専門パネラ5名により試食評価したところ、パネラ全員が分別軟質部A、C、F使用のチョコレートは参考例1のハードバター使用のチョコレートと同等以上に口溶けが良好であると評価した。
【0077】
【表5】

【0078】
〔カカオ脂との相溶性の評価試験〕
分別軟質油A、C、F及び参考例2のハードバターについて、カカオ脂との相溶性の評価をハードバターとカカオ脂との混合比(ハードバター/カカオ脂)が95/5、90/10、85/15、80/20における各測定温度において測定したSFCに基づいて以下の式に従って相溶度を計算した。評価結果(測定結果)を表6〜9に示す。各混合比、各温度における相溶度が高いほどカカオ脂との相溶性が良好である。
【0079】
相溶度(%)=(各混合比各温度における実測SFC)/(該温度におけるハードバター実測SFCとカカオ脂実測SFCとに基づく、該混合比による加重平均SFC)×100
【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
表6〜9より、分別軟質油A、C、Fは、参考例2のハードバターより良好なカカオ脂との相溶性(30〜35℃での相溶性が良いので耐熱性が低下しにくい)を有することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SUS型トリグリセリドを50〜100質量%含有する第1の非ラウリン系油脂と、SSU型トリグリセリドを12〜38質量%含有する非ラウリン系エステル交換油とを含有する油脂A又は当該油脂Aを部分水素添加して得られる油脂Bを分別することにより軟質部を得る工程を有することを特徴とする油脂の製造方法。
【請求項2】
前記油脂A及び前記油脂Bは、SUS型トリグリセリド25〜70質量%、SSU型トリグリセリド2〜20質量%、SUS型トリグリセリドとSSU型トリグリセリドの合計が40〜85質量%であり、かつ、SSS型トリグリセリドを4〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の油脂の製造方法。
【請求項3】
前記油脂A及び前記油脂Bは、トランス酸を2〜20質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の油脂の製造方法。
【請求項4】
前記第1の非ラウリン系油脂は、トランス酸を5〜35質量%含有することを特徴とする請求項3に記載の油脂の製造方法。
【請求項5】
前記非ラウリン系エステル交換油は、トランス酸を5〜35質量%含有することを特徴とする請求項3に記載の油脂の製造方法。
【請求項6】
前記非ラウリン系エステル交換油は、部分水素添加された非ラウリン系油脂をエステル交換した油脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の油脂の製造方法。
【請求項7】
前記油脂A及び前記油脂Bは、沃素価が10〜60であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の油脂の製造方法。
【請求項8】
前記第1の非ラウリン系油脂は、沃素価が20〜55のパーム系油脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の油脂の製造方法。
【請求項9】
前記パーム系油脂は、パーム油及び/又はパーム分別油であることを特徴とする請求項8に記載の油脂の製造方法。
【請求項10】
前記油脂Aは、前記第1の非ラウリン系油脂と前記非ラウリン系エステル交換油の含有比(質量比)が40:60〜95:5であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の油脂の製造方法。
【請求項11】
前記油脂Aは、前記第1の非ラウリン系油脂以外の非ラウリン系油脂(第2の非ラウリン系油脂)を更に含有していることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の油脂の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の油脂の製造方法により得られる軟質部。
【請求項13】
請求項12に記載の前記軟質部を使用して製造されることを特徴とする油性食品。

【公開番号】特開2011−74254(P2011−74254A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227984(P2009−227984)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【特許番号】特許第4651734号(P4651734)
【特許公報発行日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】