説明

治療および診断用化合物

本発明は、式(I)によって表される遷移金属錯体またはその塩、または式(H)によって表される配位子またはその塩(上記式中、Xは遷移金属、好ましくはPtを表す)、およびそれらの使用および製造に関する。詳細には、本発明は、アミロイド疾患、特にアルツハイマー病の治療に有用な治療活性を有しうる化合物に関する。本発明はまた、治療および診断の方法におけるこれらの化合物の使用、およびこれらの化合物を含む薬剤並びに組成物の製造にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に化合物、およびそれらの使用および製造の方法に関する。詳細には、本発明はアミロイド疾患、特にアルツハイマー病の治療に有用な治療活性を有しうる化合物に関する。本発明はまた、アミロイド疾患の治療および診断の方法におけるこれらの化合物の使用、およびこれらの化合物を含む薬剤並びに組成物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
アミロイドーシスは、多数の「アミロイド沈着物」を形成するタンパク質フィブリルの細胞外沈着を特徴とする多数の疾患を既述する一般的用語である。これらの斑様沈着物は、脳のような局在化部位または全身に生じる可能性がある。これらの沈着物のフィブリル組成は、アミロイド疾患の様々な形態を識別する特性である。下記の疾患およびそれらの関連タンパク質は、アミロイド疾患として確認されている: 真性糖尿病2型(アミリン)、アルツハイマー病(Aβ 39-42)、パーキンソン病(α-シヌクレイン)、ハンティングトン病(ハンチンチン)、クロイツフェルト-ヤコブ病(大脳のPrP)、鬱血性心不全(PrPまたはトランスサイレチン)およびウシ海綿状脳症(PrP)。最近の報告によれば、年齢に関係した黄斑変性「AMD」とは、アミロイド沈着物を特徴とすることがあるもう一つの病気である。
【0003】
アルツハイマー病(AD)は、初老個体群における進行性痴呆の最も広く知られている原因である。ADは、患者の脳における特有な病変の存在を特徴とする。これらの脳の病変としては、神経フィブリル変化と呼ばれる異常細胞内フィラメント、およびアミロイド斑の細胞外沈着物が挙げられる。アミロイド沈着物は、アルツハイマー病患者の大脳血管壁にも見られる。アミロイド斑の主成分は、β-アミロイドペプチド(「Aベータ」または「Aβ」)と呼ばれる4キロダルトンのペプチド(39-43個の残基)として同定されている。アルツハイマー病の脳組織はAベータ斑を特徴とし、観察の結果、Aベータの沈着がニューロンの破壊の一因となっていることが示唆されている。Aベータは、培養およびイン・ビボのいずれにおいても成熟ニューロンにとって有毒であることが示されている。
【0004】
現在のところ、ADを包含する任意のアミロイド疾患の進行を治療または停止することができる薬剤はない。アセチルコリンエステラーゼ(AchE)2活性の阻害およびN-メチル-D-アスパルテート(NMDA)受容体の拮抗作用のようなADの治療法は、幾人かの患者の症状を僅かに改善するだけである。現在臨床上の進展における他の治療法は、免疫化または薬理学的操作により脳のAβアミロイドのレベルを制御することを目指している。Aβ産生に関与する2種類の酵素であるBACEおよびγ-セクレターゼを標的にする薬剤は、これらの酵素が特異的でなくかつNOTCHタンパク質などの様々な基質を処理するのでセクレターゼ阻害の副作用による懸念がある。
【0005】
Aベータペプチド凝集体は、酸化還元特性を有しかつ反応性酸素種を生成することができ、これが酵素および場合によっては細胞膜を攻撃して、神経毒性および脳細胞死を引き起こすことが報告されている。銅および亜鉛のような金属イオンの配位によりAベータの凝集が促進され、反応性酸素種および過酸化水素を生じることも報告されている。Cu、ZnおよびFeと適当な親和性を有する一般に利用可能な金属キレート化剤(TPEN、EGTAおよびバスキュプロイン)は、死体の脳組織の沈着したAベータを可溶化することができることが、研究により示されている。潜在的制限因子は、金属キレート化剤による処理は非特異的定義によるということである。金属結合親和性および組織選択性に対する制限はこの非選択性の効果を減少させるが、標的とした金属イオンはどこにでもありかつ本質的であり、非差別的除去に関連した本質的な危険性がある。
【0006】
アミロイド疾患、特にアルツハイマー病の治療または崩壊は、正確かつ使用できる画像化および患者診断技術を欠いていることによっても阻止される。例えば、11C-PIBの範囲から出てくるデーター脳Aベータの定量測定を非侵襲的に示し、その結果潜在的な抗アミロイド治療薬をモニターすることができるが、11Cの半減期が極めて短いため、臨床的設定における関連方法での11C-PIBの広範囲な応用は妨げられる。11C-PIBでは、極めて高価なPETスキャナー(価格 約2百万ドル)だけでなく、放射性同位体11Cの生成のためのイン・シテューサイクロトロン(価格 約2百万ドル)も必要である。従って、生産コストが高いことにより、11C-PIB PETスキャンニングが一般的なスクリーニング試験として公衆衛生上の影響力を有することを妨げている。
【0007】
従って、アミロイド疾患を治療する治療薬の場合と同様に、アミロイドーシス型疾患、特にADの根源的病原機構を標的とする新規な画像化剤がこのような疾患状態の早期診断のために求められている。
【0008】
本発明者らは、アミロイドタンパク質上の金属結合部位のプレオキュパント(preoccupants)または遮断薬として作用する新規な金属錯体を開発した。
【発明の概要】
【0009】
従って、本発明は、式(I) の遷移金属錯体またはその塩を提供する:
【化1】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Ru、Au、ReおよびRhからなる遷移金属から選択され
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択されるか、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2はH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【0010】
本発明はまた、式(I)の遷移金属錯体またはその薬学上許容可能な塩を、それを必要とする患者に投与することを含むアミロイド疾患の治療方法も提供する:
【化2】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Cd、Au、Re、RhおよびHgからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1がマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2はH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【0011】
本発明はまた、アミロイド疾患の治療用薬剤の製造における、式(I)の遷移金属錯体またはその塩の使用も提供する:
【化3】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Cd、Au、Re、RhおよびHgからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR"'は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【0012】
更に、本発明は、
(i) 式(I) の遷移金属錯体またはその塩の検出可能量を患者に投与し、
(ii) 上記患者のアミロイド沈着物への遷移金属錯体の結合を検出する
ことを含んでなるアミロイド疾患の診断方法も提供する:
【化4】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Cd、Au、Re、RhおよびHgからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R"'(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1がマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2はH、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3-R10はH、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成し、
ここで、R1-R10の1個、またはR9およびR10が一緒になって置換されたアリール、置換されたヘテロアリールまたは置換されたシクロアルケニルを形成する場合のアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルケニル基の置換基は、131I、123I、76Br、75Br、18F、18Fまたは蛍光残基からなる基であるかまたは該基を含んでなる)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】遊離配位子および金属錯体形態における試験化合物実施例4による濃度範囲にわたるアミロイド形成の阻害の棒グラフ。データーは蛍光単位として示している。
【図2】金属錯体(実施例4)を遊離配位子としての阻害なしと比較するジチロシン形成の阻害を示すゲル写真。データーは、ゲルバンドの目に見える存在として示している。
【図3】M 17ヒト神経芽腫細胞におけるそれぞれの白金錯体(実施例4および6)の濃度を示す棒グラフ。データーは、細胞ペレット試料における試験錯体のμg/gとして示される。
【図4】Aベータおよび実施例4による神経保護の存在下での一次皮質ニューロンの生存力を示す棒グラフ。データーは、Aベータ単独およびAベータ+化合物の存在下での細胞の生存力の百分率として示される。
【図5】マウス脳細胞のエクス・ビボでの長期増強(LTP)を示す棒グラフ。データーは、LTPの百分率および実施例4の存在下でのAベータによって誘発される毒性の救助として示される。
【図6】偽物と比較したタウタンパク質の不溶性画分の減少を示すグラフ。データーは、統合光学濃度(IOD)またはそれぞれの画分として示される。化合物は実施例6と呼ばれ、明細書で定義されている。
【図7】偽物と比較したタウタンパク質の可溶性画分の減少を示すグラフ。データーは、統合光学濃度(IOD)またはそれぞれの画分として示される。化合物は実施例6と呼ばれ、明細書で定義されている。
【図8】前駆体から分離された最終の放射能標識化合物(実施例9)を示すグラフ。データーは、数分間にわたる吸光度(275 nm)のレベルとして示される。化合物は、その前駆体である実施例11からの実施例9として表され、明細書で定義されている。
【図9】Aベータタンパク質の二量体性形態の存在を示すグラフ。データーはSELDI-TOFマススペクトルデーターとして表され、X軸はダルトンで表した質量である。化合物は実施例6と呼ばれ、明細書で定義されている。
【図10】実施例16で染色したヒト脳組織のPET画像。データーは、実施例16によって標的とされたタンパク質の蛍光画像として示される。
【図11】実施例16で染色したヒト脳組織のPET画像。データーは、実施例16によって標的とされたタンパク質の蛍光画像として示される。
【図12】実施例16で染色したヒト脳組織のPET画像。データーは、実施例16によって標的とされたタンパク質の蛍光画像として示される。
【図13】本発明の例示化合物の血漿中の濃度を示すグラフ。
【図14】アルファ-シヌクレインフィブリルの阻害を示すグラフ(%ThT結合対実施例4の濃度)。
【図15】様々な濃度の実施例4で5日間処理後のアルファ-シヌクレインタンパク質の崩壊を示す一連のEM画像。
【図16】3 : 1の化合物対Aベータ比での試験化合物である実施例1、4および3 (10μM)によるアミロイド形成の阻害を示すグラフ。
【図17】1 : 1の化合物対Aベータ比での試験化合物である実施例1、4および3 (10μM)によるアミロイド形成の阻害を示すグラフ。
【図18】本発明の例示化合物の脳における濃度を示すグラフ。
【図19】本発明の例示化合物の脳における濃度を示すグラフ。
【発明の具体的説明】
【0014】
本発明は、上記の発明の概要に記載したように、一般式Iの遷移金属錯体がアミロイドタンパク質の金属結合部位と相互作用することによってタンパク質コンホメーションと機能を変更することができるということを見出したことに基づいている。このような錯体は、本明細書では「アミロイド疾患」と呼ばれるアミロイド形成を特徴とする様々な疾患、特にアルツハイマー病および関連疾患の治療に大きな潜在的可能性を有する。
【0015】
「アルキル」とは、直鎖状または分岐状でありかつ好ましくは1-10個の炭素原子、更に好ましくは1〜6個の炭素原子を有することがある1価のアルキル基を表す。
【0016】
このようなアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシルなどが挙げられる。
【0017】
「アルキレン」とは、好ましくは1-10個の炭素原子を有し、更に好ましくは1-6個の炭素原子を有する二価アルキル基を表す。このようなアルキレン基の例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、およびプロピレン異性体(例えば、-CH2CH2CH2-および-CH(CH3)CH2-)などが挙げられる。
【0018】
「アリール」とは、単環(例えば、フェニル)または複合縮合環(multiple condensed rings)(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、好ましくは6〜14個の炭素原子を有する不飽和芳香族炭素環基を表す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0019】
「アリーレン」とは、二価アリール基であって、アリール基が上記の通りであるものを表す。
「アリールオキシ」とは、基アリール-O-であって、アリール基が上記の通りであるものを表す。
【0020】
「アリールアルキル」とは、好ましくはアルキレン残基に1-10個の炭素原子とアリール残基に6〜10個の炭素原子を有する-アルキレン-アリール基を表す。このようなアリールアルキル基の例としては、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。
【0021】
「アリールアルコキシ」とは、基アリールアルキル-O-であって、アリールアルキル基が上記の通りであるものを表す。このようなアリールアルコキシ基の例としては、ベンジルオキシなどが挙げられる。
【0022】
「アルコキシ」とは、基アルキル-O-であって、アルキル基が上記の通りであるものを表す。例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、第三ブトキシ、第二ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1,2-ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0023】
「アルケニル」とは、直鎖状または分岐状であり、好ましくは2-10個の炭素原子、更に好ましくは2〜6個の炭素原子を有しかつ少なくとも1個、好ましくは1-2個の炭素-炭素二重結合を有することがある一価アルケニル基を表す。例としては、エテニル(-CH=CH2)、n-プロペニル(-CH2CH=CH2)、イソ-プロペニル(-C(CH3)=CH2)、ブト-2-エニル(-CH2CH=CHCH3)などが挙げられる。
【0024】
「アルケニルオキシ」とは、基アルケニル-O-であって、アルケニル基が上記の通りであるものを表す。
【0025】
「アルケニレン」とは、好ましくは2-8個の炭素原子、更に好ましくは2-6個の炭素原子を有する二価アルケニル基を表す。例としては、エテニレン(-CH=CH-)およびフロペニレン異性体(例えば、-CH2CH=CH-および-C(CH3)=CH-)などが挙げられる。
【0026】
「アルキニル」とは、好ましくは2-10個の炭素原子、更に好ましくは2-6個の炭素原子を有しかつ少なくとも1個であり、好ましくは1-2個の炭素-炭素三重結合を有するアルキニル基を表す。アルキニル基の例としては、エチニル(-C= CH)、フロパルギル(-CH2C=CH)、ペント-2-イニル(-CH2C=CCH2-CH3)などが挙げられる。
【0027】
「アルキニルオキシ」とは、基アルキニル-O-であって、アルキニル基が上記の通りであるものを表す。
【0028】
「アルキニレン」とは、好ましくは2-8個の炭素原子、更に好ましくは2-6個の炭素原子を有する二価アルキニル基を表す。例としては、エチニレン(-C=C-)、プロピニレン(-CH2-C=C-)などが挙げられる。
【0029】
「アシル」とは、基H-C(O)-、アルキル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-およびヘテロシクリル-C(O)-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0030】
「オキシアシル」とは、基HOC(O)-、アルキル-OC(O)-、シクロアルキル-OC(O)-、アリール-OC(O)-、ヘテロアリール-OC(O)-およびヘテロシクリル-OC(O)-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0031】
アミノは、基-NR"R"であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0032】
「アミノアシル」とは、基-C(O)NR"R"であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0033】
「アシルアミノ」とは、基-NR"C(O)R"であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0034】
「アシルオキシ」とは、基-OC(O)-アルキル、-OC(O)-アリール、-C(O)O-ヘテロアリールおよび-C(O)O-ヘテロシクリルであって、アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0035】
「アミノアシルオキシ」とは、基-OC(O)NR"-アルキル、-OC(O)NR"-アリール、-OC(O)NR"-ヘテロアリールおよび-OC(O)NR"-ヘテロシクリルであって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0036】
「オキシアシルアミノ」とは、基-NR"C(O)O-アルキル、-NR"C(O)O-アリール、-NR"C(O)O-ヘテロアリールおよびNR"C(O)O-ヘテロシクリルであって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0037】
「オキシアシルオキシ」とは、基-OC(O)O-アルキル、-O-C(O)O-アリール、-OC(O)O-ヘテロアリールおよび-OC(O)O-ヘテロシクリルであって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0038】
「アシルイミノ」とは、基-C(NR")-R"であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0039】
「アシルイミノキシ」とは、基-O-C(NR")-R"であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0040】
「オキシアシルイミノ」とは、基-C(NR")-OR"であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0041】
「シクロアルキル」とは、単環(single cyclic ring)または複合縮合環(multiple condensed rings)を有し、好ましくは3-11個の炭素原子を含む環状アルキル基を表す。このようなシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンタニル、インダニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニルなどの複合環構造が挙げられる。
【0042】
「シクロアルケニル」とは、単環(single cyclic ring)または複合縮合環(multiple condensed rings)および少なくとも1個の内部不飽和の点を有し、好ましくは4-11個の炭素原子を含む環状アルケニル基を表す。適当なシクロアルケニル基としては、例えば、シクロブト-2-エニル、シクロペント-3-エニル、シクロヘキサ-4-エニル、シクロオクト-3-エニル、インデニルなどが挙げられる。
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを表す。
【0043】
「ヘテロアリール」とは、芳香族性についてのヒュッケル則(すなわち、4n + 2π電子を含む)を満たし、好ましくは2-10個の炭素原子および環内に酸素、窒素、セレンおよび硫黄から選択される1-4個のヘテロ原子を有し(かつ硫黄、セレンおよび窒素の酸化物を包含する)一価の芳香族複素環基を表す。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジル、ピロリルまたはそのN-オキシド、またはフリル)または複合縮合環(multiple condensed rings)(例えば、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、クマリニル、キノリニル、イソキノリニルまたはベンゾチエニル)を有することができる。例えば、R2またはR'が1個以上の環ヘテロ原子を有する所望により置換されたヘテロアリールである場合には、ヘテロアリール基は、C-CまたはC-ヘテロ原子結合、特にC-N結合を介して本発明の化合物のコア分子に結合することができることは言うまでもない。
【0044】
「ヘテロシクリル」とは、単環または複合縮合環(multiple condensed rings)、好ましくは1-8個の炭素原子および窒素、硫黄、酸素、セレンまたはリンから選択される1-4個のヘテロ原子を環内に有する一価の飽和または不飽和基を表す。最も好ましいヘテロ原子は窒素である。例えば、 R2またはR'が1個以上の環ヘテロ原子を有する所望により置換されたヘテロシクリルである場合には、ヘテロシクリル基は、C-CまたはC-ヘテロ原子結合、特にC-N結合を介して本発明の化合物のコア分子に結合することができることは言うまでもない。
【0045】
ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基としては、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、イソチアゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、テトラゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリノ、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル、トリアゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「ヘテロアリーレン」とは、二価ヘテロアリール基であって、ヘテロアリール基が上記の通りであるものを表す。
【0047】
「ヘテロシクリレン」とは、二価ヘテロシクリル基であって、ヘテロシクリル基が上記の通りであるものを表す。
「チオ」とは、基H-S-、アルキル-S-、シクロアルキル-S-、アリール-S-、ヘテロアリール-S-およびヘテロシクリル-S-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0048】
「チオアシル」とは、基H-C(S)-、アルキル-C(S)-、シクロアルキル-C(S)-、アリール-C(S)-、ヘテロアリール-C(S)-およびヘテロシクリル-C(S)-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0049】
「オキシチオアシル」とは、基HO-C(S)-、アルキルO-C(S)-、シクロアルキルO-C(S)-、アリールO-C(S)-、ヘテロアリールO-C(S)-およびヘテロシクリルO-C(S)-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0050】
「オキシチオアシルオキシ」とは、基HO-C(S)-O-、アルキルO-C(S)-O-、シクロアルキルO-C(S)-O-、アリールO-C(S)-O-、ヘテロアリールO-C(S)-O-およびヘテロシクリルO-C(S)-O-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0051】
「ホスホリルアミノ」とは、基-NR"-P(O)(R'")(0R"")であって、R"がH、アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアリールを表し、R'"がOR""を表すかまたはヒドロキシまたはアミノでありかつR""がアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアリールアルキルであり、アルキル、アミノ、アルケニル、アリール、シクロアルキルおよびアリールアルキルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0052】
「チオアシルオキシ」とは、基H-C(S)-O-、アルキル-C(S)-O-、シクロアルキル-C(S)-O-、アリール-C(S)-O-、ヘテロアリール-C(S)-O-およびヘテロシクリル-C(S)-O-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0053】
「スルフィニル」とは、基H-S(O)-、アルキル-S(O)-、シクロアルキル-S(O)-、アリール-S(O)-、ヘテロアリール-S(O)-およびヘテロシクリル-S(O)-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0054】
「スルホニル」とは、基H-S(O)2-、アルキル-S(O)2-、シクロアルキル-S(O)2-、アリール-S(O)2-、ヘテロアリール-S(O)2-およびヘテロシクリル-S(O)2-であって、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0055】
「スルフィニルアミノ」とは、基H-S(O)-NR"-、アルキル-S(O)-NR"-、シクロアルキル-S(O)-NR"-、アリール-S(O)-NR"-、ヘテロアリール-S(O)-NR"-およびヘテロシクリル-S(O)-NR"-であって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0056】
「スルホニルアミノ」とは、基H-S(O)2-NR"-、アルキル-S(O)2-NR"-、シクロアルキル-S(O)2-NR"-、アリール-S(O)2-NR"-、ヘテロアリール-S(O)2-NR"-およびヘテロシクリル-S(O)2-NR"-であって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0057】
「オキシスルフィニルアミノ」とは、基HO-S(O)-NR"-、アルキルO-S(O)-NR"-、シクロアルキルO-S(O)-NR"-、アリールO-S(O)-NR"-、ヘテロアリールO-S(O)-NR"-およびヘテロシクリルO-S(O)-NR"-であって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0058】
「オキシスルホニルアミノ」とは、基HO-S(O)2-NR"-、アルキルO-S(O)2-NR"-、シクロアルキルO-S(O)2-NR"-、アリールO-S(O)2-NR"-、ヘテロアリールO-S(O)2-NR"-およびヘテロシクリルO-S(O)2-NR"-であって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0059】
「アミノチオアシル」とは、基R"R"N-C(S)-であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環でありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0060】
「チオアシルアミノ」とは、基H-C(S)-NR"-、アルキル-C(S)-NR"-、シクロアルキル-C(S)-NR"-、アリール-C(S)-NR"-、ヘテロアリール-C(S)-NR"-およびヘテロシクリル-C(S)-NR"-であって、R"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルでありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0061】
「アミノスルフィニル」とは、基R"R"N-S(O)-であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環でありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0062】
「アミノスルホニル」とは、基R"R"N-S(O)2-であって、それぞれのR"が独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環でありかつそれぞれのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが本明細書に記載の通りであるものを表す。
【0063】
本明細書において、「所望により置換された」とは、ある基が、ヒドロキシル、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、アルキニルオキシ、アミノ、アミノアシル、チオ、アリールアルキル、アリールアルコキシ、アリール、アリールオキシ、カルボキシル、アシルアミノ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ホスホノ、スルホ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、オキシアシル、オキシム、オキシムエーテル、ヒドラゾン、オキシアシルアミノ、オキシスルホニルアミノ、アミノアシルオキシ、トリハロメチル、トリアルキルシリル、ペンタフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメタンチオ、トリフルオロエテニル、モノ-およびジ-アルキルアミノ、モノ-およびジ-(置換アルキル)アミノ、モノ-およびジ-アリールアミノ、モノ-およびジ-ヘテロアリールアミノ、モノ-およびジ-ヘテロシクリルアミノ、およびアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルなどから選択される様々な置換基を有する非対称ジ-置換アミンから選択される1個以上の基で置換または融合されて(縮合多環状基を形成する)ことがあるまたはないことを意味するものと理解され、固形支持材料への結合(例えば、ポリマー樹脂へ置換されたもの)を包含することもある。例えば、「所望により置換されたアミノ」基としては、アミノ酸およびペプチド残基を挙げることができる。所望により置換されたアルコキシの場合には、「所望により置換された」という用語は、1個以上の飽和炭素原子が O、S、NHなどのようなヘテロ原子またはヘテロ基に代替されうるkとを示してもよい。例えば、所望により置換されたアルコキシ基は、-O-CH2CH2-O-CH2CH2OHまたは他の長さのポリエチレングリコールのような基によって表すことができる。
【0064】
一態様によれば、R3〜R10の1または2個が置換されている(すなわち、水素以外である)。
【0065】
更に好ましい態様によれば、R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール基を形成する。更に好ましくは、R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたフェニル基を形成する。従って、好ましい態様によれば、本発明は、式(I')の遷移金属錯体またはその塩を提供する:
【化5】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Ru、Au、ReおよびRhからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3-R8およびR"-R14は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表す)。
【0066】
一態様によれば、式(I')の化合物のR3〜R8およびR11〜R14の1または2個は置換されている。
【0067】
もう一つの態様によれば、式(I')の化合物のR3〜R8およびR11〜R14の1個は置換されている。
【0068】
もう一つの態様によれば、式(I')の化合物の変数R3〜R8およびR11〜R14は水素を表す。
【0069】
式(I)および(I')の化合物におけるR3〜R14の置換基が存在するときには、それらの置換基は、
置換アリール基、好ましくはハロフェニル、アミノフェニル、カルボキシフェニル、ヒドロキシフェニル、シアノフェニル、ニトロフェニル、トリハロアルキルフェニル、およびアルキルフェニル、
アシル基、好ましくはホルミルアセチル、プロピオニル、ベンゾイル(所望によりメチル、メトキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチルまたはシアノで置換されたもの)、
アルコキシ基、好ましくはメトキシおよびエトキシ、
置換アルコキシ基、好ましくは炭水化物残基、
オキシアシル基、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、
アシルオキシ基、好ましくはアセトキシおよびプロピオキシ、
置換アリールアルキル基、好ましくは1-ヒドロキシベンジルおよび1-チオベンジル、
スルフィニル基、好ましくはメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ベンゼンスルフィニル(所望によりメチル、メトキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメタンまたはシアノで置換されたもの)、メトキシスルフィニル、エトキシスルフィニル、
スルホニル基、好ましくはメチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル(所望によりメチル、メトキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメタンまたはシアノで置換されたもの)、メトキシカルボ、トリフルオロメタン、
オキシアシルアミノ基、好ましくはメトキシカルボニルアミドおよびエトキシカルボニルアミド、
オキシチオアシル基、好ましくはメトキシチオカルボニルおよびエトキシチオカルボニル、
チオアシルオキシ基、好ましくはチオノアセトキシおよびチオノプロピオンオキシ、
スルフィニルアミノ基、好ましくはメチルスルフィニルアミノ、エチルスルフィニルアミノおよびベンゼンスルフィニルアミノ(所望によりメチル、メトキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメタンまたはシアノで置換されたもの)、
アミノ基、好ましくはN-メチルアミノおよびN,N'-ジメチルアミノ、
置換アミノ基、好ましくはL-バリン、 D- バリン、L-アラニン、D-アラニン、アスパラギン酸およびアラニルセリンの残基、
スルホニルアミノ基、好ましくはメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノおよびベンゼンスルホニルアミノ(所望によりメチル、メトキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメタンまたはシアノで置換されたもの)、
置換チオ基、好ましくはアルキルチオ、
オキシスルフィニルアミノ基、好ましくはメトキシスルフィニルアミノおよびエトキシスルフィニルアミノ、
オキシスルホニルアミノ基、好ましくはメトキシスルホニルアミノおよびエトキシスルホニルアミノ、
所望により置換されたアルケニル基、好ましくは1-プロペニル、ビニル、ニトロビニル、シアノビニル、またはトリフルオロビニルおよびスチリル(所望によりメチル、メトキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメタンまたはシアノで置換されたもの)、および
アルキニル基、好ましくは1-プロピニル、エチニルまたはトリメチルシリルエチニル
から選択することができる。
【0070】
式(I)および(I')の化合物の更に好ましい態様によれば、R2は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択される置換基である。
【0071】
更に一層好ましい態様によれば、R2は、所望により置換されたアルキルであり、更に好ましくはC1-7アルキル基、更に一層好ましくは末端が置換されているC1-4アルキル基である。好ましい置換基としては、カルボキシル(およびエステルのような誘導体)、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたヘテロアリール、および所望により置換されたスルホニルが挙げられる。好ましい所望により置換されたアミノ基としては、NH2、C1-4モノアルキルアミノ、所望により置換されたモノアリールアルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、第四アンモニウム塩、所望により置換されたベンゾイル、所望により置換されたスルホニル、およびアミノ酸およびペプチドの残基が挙げられる。
【0072】
R2が末端の置換されているアルキル基であるときの好ましい置換基群の例としては、
【化6】

が挙げられる。
【0073】
他の好ましい置換基群としては、アミノ酸(例えば、グリシンおよびグルタミン酸)の残基およびペプチド残基 (例えば、HIV-tat(YGRKKRRQRRR)およびペントラチン(Pentratin; RQIKIWFQNRRMKWKK))が挙げられる。
【0074】
上記で定義した式(I)および(I')の化合物の更に一層好ましい態様によれば、XはPt、PdまたはRuであり、更に一層好ましくはPtである。この態様によれば、nは2または4の整数である。
【0075】
従って、もう一つの態様によれば、本発明は、式(I")の白金錯体またはその塩を提供する:
【化7】

(上記式中、
nは2または4の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3-R8およびR"-R14は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表す)。
【0076】
式(I")の化合物の更に一層好ましい態様によれば、R2は所望により置換されたアルキルであり、更に好ましくはC1-7アルキル基、更に一層好ましくは末端が置換されているC1-4アルキル基である。好ましい置換基としては、カルボキシル(およびエステルのような誘導体)、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたヘテロアリール、および所望により置換されたスルホニルが挙げられる。好ましい所望により置換されたアミノ基としては、NH2、C1-4モノアルキルアミノ、所望により置換されたモノアリールアルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、第四アンモニウム塩、所望により置換されたベンゾイル、所望により置換されたスルホニル、およびアミノ酸およびペプチドの残基が挙げられる。
【0077】
R2が末端の置換されているアルキル基であるときの好ましい置換基群の例としては、
【化8】

が挙げられる。
【0078】
他の好ましい置換基群としては、アミノ酸(例えば、グリシンおよびグルタミン酸)の残基およびペプチド残基(例えば、HIV-tat(YGRKKRRQRRR)および Pentratin (RQIKIWFQNRRMKWKK))が挙げられる。
【0079】
式(I)、(I')および(I")の遷移金属錯体に関して、整数nは中心原子Xの結合価、および含まれている配位子R1の数および電荷によってもによって変化することが理解される。例えば、R1が中性配位子を表す場合およびd-ブロック遷移元素の第一シリーズに関しては、下記の好ましい酸化状態が考えられる: Mn(II)(4配位、すなわち、n=2)、Mn(III)(6配位、すなわち、n=4)、Fe(II)(4配位、すなわち、n=2)、Fe(III)(6配位、すなわち、n=4)、Co(II)(4配位、すなわち、n=2)、Co(III)(6配位、すなわち、n=4)およびNi(II)(4配位、すなわち、n=2)。
【0080】
配位する配位子が二価である式(I")の化合物については、Pt(II)化合物(4-配位、すなわち、n=2の場合)は総てシス-コンホメーションであると理解される。Pt(IV)化合物は6-配位(すなわち、n=4の場合)である。
【0081】
好ましい態様によれば、金属錯体は正方平面系であり、好ましくはPd、PtおよびRu正方平面錯体である。
【0082】
式(I")のPt錯体に関しては、理論によって束縛しようとすれば、Pt(IV)6-配位八面体系は、プロドラッグとして機能して活性なPt(II)種を体内に(イン・ビボで)提供することもできるので、好ましい(すなわち、n=4)。
【0083】
式(I)、(I')および(I")の遷移金属錯体のもう一つの態様によれば、R1はハロゲン、アンモニア、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたオキシアシルであるか、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩、またはグリコール酸塩を形成する。
【0084】
一態様によれば、R1の2個は、
(i) 式のマロン酸塩:
【化9】

(上記式中、mは1-3の整数であり、R15およびR16は独立して水素、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシルオキシから選択されるか、またはR15およびR16は一緒になってC4-C6シクロアルカン環を形成する)、または
(ii) 式のシュウ酸塩:
【化10】

または
(iii) 式のグリコール酸塩:
【化11】

(上記式中、pは1-3の整数であり、R17およびR18は独立して水素、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシルオキシから選択されるか、またはR17およびR18は一緒になってC4-C6シクロアルカン環を形成する)
を形成する。
【0085】
好ましくは、式(I)、(I')および(I")の遷移金属錯体については、R1はハロゲンであり、更に一層好ましくはクロロである。
【0086】
もう一つの好ましい態様によれば、n = 4でありかつR1はOHとハロゲン、好ましくはクロロとの混合物である。もう一つの好ましい態様によれば、 n = 4でありかつR1は所望により置換されたアシルオキシとハロゲン、好ましくはクロロとの混合物である。更に一層好ましい態様によれば、Pt錯体は
【化12】

によって表される。
【0087】
本発明の遷移金属錯体は、式(II) の二座配位子を安定化した試薬である遷移金属錯体と錯体形成することによって生成される:
【化13】


【0088】
これは、好ましくは式(II)の配位子と遷移金属の安定化錯体との交換反応であって、金属と安定化錯体の結合が遷移金属と式(II)の配位子との間で形成される結合より不安定であるものによって達成される。一般的には、安定化した金属錯体は適当な溶媒に溶解した後、式(II)の配位子が付加される。配位子の付加は、固形物としてまたは遷移金属錯体の溶解に用いたのと同じ溶媒であることがあるまたは同じ溶媒でないことがある適当な溶媒の溶液として直接行うことができる。溶媒が異なる場合には、溶媒を反応物が反応溶媒混合物から沈澱しないように組み合わせる。好ましい溶媒としては、アルコール、ジメチルホルムアミドのような極性溶媒、またはジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素のような四塩化炭素、またはベンゼンおよびトルエンのような芳香族炭化水素、またはジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランのようなエーテルが挙げられる。遷移金属錯体の形成は、通常は反応混合物の色変化によってまたは例えば、195Pt-NMRおよび/またはG.C.のような分光器によって追跡することができる。本発明の遷移金属錯体は、単に反応溶媒を真空留去することによって改修することができる。錯体は、既知の手法によって更に精製してもよく、または更に精製することなく用いてもよい。
【0089】
非制限的例として、本発明の遷移金属錯体は、下記の工程図1に準じて調製することができる。
【0090】
工程図1
【化14】

【0091】
包括的工程図1によれば、式Dによって表される本発明の化合物は、適切に置換されたアルデヒドAを適切に置換されたイミダゾール(例えば、所望により置換されたベンズイミダゾール)とカップリングしてBを形成することによって調製することができる。カップリング反応は、例えば、Aとイミダゾールを1 : 1 THF/水中で接触させ、生成する混合物を還流下にて数時間 - 24時間加熱することによって行うことができる。形成してカップリング生成物Bは、カラムクロマトグラフィーのような標準的手法を用いて単離し、精製(必要ならば)することができる。
【0092】
工程図1によれば、R2基を次に加えて(工程(ii)参照)、式Cの化合物を形成する。例えば、R2が末端が置換されたアルキル残基である場合には、工程(ii)は 極性溶媒中適当な塩基の存在下にてBを末端が置換された1-ハロアルキル(例えば、(CH3)2NCH2CH2Br)と反応させることを含むアルキル化反応であることがある。
【0093】
工程図1の工程(iii)は、式Dの化合物を形成するための金属錯体形成工程を表す。これは、当該技術分野で知られている標準的条件下で起こることがあり、例えば、Fanizzi et al, Inorg. Chem., 1996, 35, 3173、およびBraddock and Meyer, JACS., 1973, 95, 3158を参照されたい。
【0094】
XがPtである本発明の錯体は、[Pt(DMSO)2Cl2]のようなPtで安定化した錯体を式Cと反応させることによって形成させることができる。Pd、Tc、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Au、Re、Rh、Hgについての他の適当な金属安定化錯体は、文献に知られておりまたは市販されており、例えば、Mnの六塩化物塩またはRuの三塩化物または四塩化物塩(例えば、RuCl3およびRuCl4)である。
【0095】
上記反応中に、多数の残基を保護する必要があることがある。適当な保護基は当該技術分野で周知であり、「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」, Greene T W, Wiley-Interscience, ニューヨーク, 1981のような多くの文献に記載されている。
【0096】
式(I)、(I')および(I")の他の化合物は、存在している置換基の付加、除去または修飾によって調製することができる。これは、「有機変換総説: 官能基調製入門(Comprehensive organic transformations: a guide to functional group preparations)」Larock R. C.著, ニューヨーク, VCH Publishers, Inc. 1989に記載されているような当該技術分野で周知の官能基相互変換についての標準的手法を用いることによって行うことができる。
【0097】
官能基相互変換の例は、CH3OH中で金属シアン化物触媒、例えばNaCNを用いまたは用いることなしにHNR*R**を加熱することによる-CO2CH3から-C(O)NR*R**; ピリジン中、例えばClC(O)Rを用いる-OHから-OC(O)R; アルキルイソチオシアネートまたはチオシアン酸を用いる-NHRから-NC(S)NR*R**; アルキルクロロホルメートを用いる-NHRから-NRC(O)OR*; イソシアネート、例えばHN=C=OまたはRN=C=Oを用いる処理による-NHRから-NRC(O)NR*R**; ピリジン中ClC(O)R*を用いる処理による-NHRから-NRC(O)R*; アルコール中で加熱することによるH3NR+OAc-を用いる-C(NR*R**)SRから-C(=NR)NR*R**; 不活性溶媒、例えばアセトン中R-Iを用いる-C(S)NR*R**から-C(NR*R**)SR; HNR*R**を用いる-C(S)NH2から-C(S)NR*R**(ここで、R*またはR**は水素ではない); 無水アルコール中で加熱することによるNH2CNを用いる-C(=NR*R**)-SRからあるいはEtOH中BrCNおよびNaOEtを用いる処理による-C(=NH)-NR*R**から-C(=NCN)-NR*R**; (RS)2C=NCNを用いる処理による-NHR*から-NR-C(=NCN)SR; ピリジン中で加熱することによるClSO2Rを用いる処理によって-NHR*から-NR**SO2R; ローソン試薬[2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-l,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド]を用いる処理による-NR*C(O)Rから-NR*C(S)R; 無水トリフリル酸(triflic anhydride)および塩基を用いる-NHRから-NRSO2CF3; Na(Hg)およびHCl/EtOHを用いる-CH(NH2)C(O)OR*から-CH(NH2)CHO; SOCl2、次にCH2N2、次にH2O/Ag2Oでの処理による-C(O)OHから-CH2C(O)OH; PhMgX/HX、次に無水酢酸、次にCrO3での処理による-CH2C(O)OCH3から-C(O)OH; R**CO3HによるRC(O)R*からR-OC(O)R*; Na/R*OHによる-C(O)OR*から-CCH2OH; シュガエフ反応による-CH2CH2OHから-CHCH2; クルティウス反応による-C(O)OHから-NH2; TsCl/塩基、次にH2Oによる-C(O)NHOHから-NH2; デス-マルティン・ペリオディナン試薬またはCrO3/水性H2SO4/アセトンを用いることによる-CHCHOHCHRから-CHC(O)CHR; CrO2Cl2による-C6H5CH3から-C6H5CHO; SnCl2/HClによる-CNから-CHO; PCl5による-C(O)NHRから-CN; N2H4/KOHによる-C(O)Rから-CH2Rである。
【0098】
上記工程図から、式(II)の化合物は本発明の遷移金属錯体の調製における重要な中間体であることを認めることができる。
【0099】
従って、もう一つの態様によれば、本発明は、式(II)の新規化合物、またはその塩を提供する:
【化15】

(上記式中、
R2は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【0100】
好ましくは、式(II)の化合物は、式(II')の化合物または塩である:
【化16】

(上記式中、
R2は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R8およびR11〜R14は、独立してH、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを表す)。
【0101】
好ましくは、式(II')の化合物について、R2は所望により置換されたアルキルであり、更に好ましくは末端が置換されたC1-7アルキル基(更に一層好ましくはC1-4アルキル基)である。
【0102】
理論によって束縛しようとするものではないが、本発明の遷移金属錯体は、老人斑を形成するアミロイドタンパク質に結合することによって作用すると考えられる。
【0103】
血液-脳関門(BBB)は、脳毛細血管内に密に詰め込まれている内皮細胞からなる膜構造である。BBBは、本質的な代謝脳機能を可能にしながら、普通の感染症や血液中を流れる多くの化学物質から脳を保護する作用をする。ある種の化学的性状で分子量が500ダルトン(500 u)未満の小分子だけがBBBを通り抜けることができ、このことが脳の特定の領域への治療薬の送達をかなり困難にしている。別の状況では細胞培養における診断および治療に有効なことがある多くの薬剤候補分子は、適当な量でBBBを通過せず、脳疾患の患者の治療に無効になる。本発明のもう一つの利点は、本発明の好ましい化合物がBBBを通り抜けるようにデザインされていることである。
【0104】
従って、本発明の化合物は、各種のアミロイド形成疾患の治療に用いることができる。このような疾患としては、真性糖尿病2型、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、ハンティングトン病、クロイツフェルト-ヤコブ病、鬱血性心不全、ウシ海綿状脳症および加齢性黄斑変性(AMD)が挙げられる。
【0105】
本発明は、アミロイド疾患の治療用薬剤の製造において、式(I)、(I')または(I")の化合物の使用についての準備も行う。
【0106】
式(I)、(I')または(I")の少なくとも1個の遷移金属錯体の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含んでなるアミロイド疾患の治療方法も提供される。
【0107】
本発明の遷移金属錯体は、組合せ療法に特に有用である可能性がある。組合せ療法では、薬学活性剤の任意の化学的に適合する組合せが式(I)、(I')または(I")の錯体の活性を除去しない限り、この組合せを包含するものと解釈される。本発明の錯体および他の薬剤は、個別に、連続してまたは同時に投与することができる。
【0108】
疾患がアミロイドーシスである場合には、他の薬剤としては、流体保持を制御するための利尿薬、メルファラン(アルケラン-幾つかの癌の治療にも用いられる薬剤)、抗炎症用コルチコステロイド、心臓律動を制御するための抗不整脈薬、または下痢を引き起こしまたは身体が栄養分を吸収するのを妨げることがある細菌を制御するための抗生物質を挙げることができる。他の薬剤としては、スタチン、エストロゲン、イチョウ(ginkgo biloba)、抗鬱薬、抗精神病薬または精神安定剤を挙げることができる。
【0109】
アミロイドーシス疾患がβ-アミロイド関連疾患、特にアルツハイマー病である場合には、他の薬剤としては、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンのようなコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)、ビタミンEまたはビタミンCのような酸化防止剤、所望により酸化窒素を放出するように修飾されたフルオロビプロフェンまたはイブプロフェンのような抗炎症薬(例えば、NCX-2216, NicOx製)、N-メチル-D-アスパルテート(NMDA)拮抗薬であるメマンチン、または17-β-エストラジオールのようなエストロゲン様薬剤を挙げることができる。
【0110】
治療用途には、本発明の化合物を治療有効量で患者に投与する。本明細書で用いられる治療有効量は、少なくとも部分的に所望な効果を達成し、または治療を行う疾患の特定のアミロイド疾患の発症を遅らせ、または進行を抑制し、または発症または進行を完全に停止または逆転することを包含するものと解釈される。
【0111】
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、所望な投与計画に準じて投与されるときに所望な治療活性を提供する化合物の量に関する。投薬は、分、時、日、週、月または年の間隔で、またはこれらの期間のいずれか1つにわたって連続的に行うことができる。適当な用量は、約0.1 ng/kg体重〜1 g/kg体重/用量の範囲内にある。用量は1 μg〜1 g/kg体重/用量の範囲であり、例えば1 mg〜1 g/kg体重/用量の範囲でよい。一態様によれば、用量は、1 mg〜500 mg/kg体重/用量の範囲とすることができる。もう一つの態様によれば、用量は、1 mg〜250 mg/kg体重/用量の範囲とすることができる。更にもう一つの好ましい態様によれば、用量は、1 mg〜100 mg/kg体重/用量の範囲、例えば50 mg/体重/用量までとすることができる。
【0112】
適当な用量および投与計画は担当医師が決定することができ、治療を行う特定の疾患、疾患の重篤度並びに患者の通常年齢、健康および体重によって変化することがある。
【0113】
本明細書で用いられる「被験者」または「患者」という用語は、薬学活性剤による治療または予防を必要とする疾患または病気のある任意の動物を表す。被験者または患者は哺乳類、好ましくはヒトでよく、またはヒト以外の霊長類または動物モデル試験で用いられるような霊長類以外の動物でもよい。本発明の錯体はヒトの医療での使用に適することは特に考慮されているが、それらはイヌおよびネコのような愛玩動物,およびウマ、ポニー、ロバ、ラバ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウシおよびヒツジのような家畜、または霊長類、ネコ、イヌ、ウシおよび有蹄動物のような動物園の動物の治療など、獣医治療にも応用することができる。
【0114】
本発明の遷移金属錯体は、単回用量または連続用量で投与することができる。活性成分は単独で投与することが可能であるが、これを組成物として、好ましくは薬学または獣医用組成物として含むのが好ましい。このような組成物の処方物は、当業者に周知である。組成物は、任意の適当なキャリヤー、希釈剤または賦形剤を含むことができる。これらは、あらゆる通常の溶媒、分散媒、増量剤、固形キャリヤー、コーティング、抗真菌および抗菌剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張および吸収剤などを包含する。本発明の組成物は他の補助的生理活性薬を含むこともできる。
【0115】
キャリヤーは、組成物の他成分と適合性でありかつ患者に有害でないという意味において薬学または獣医学上「許容可能」でなければならない。組成物は、経口、直腸、鼻、局所(口および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与に適するものが挙げられる。組成物は、単位用量形態で好都合に提供することができ、薬学の技術分野で周知の任意の方法によって調製することができる。このような方法は、活性成分を1個以上の補助成分を構成するキャリヤーと会合させる工程を含む。一般に、組成物は、活性成分を液体キャリヤーまたは微粉砕した固形キャリヤーまたは両方と均一かつ緊密に会合させた後、必要ならば、生成物を成形することによって調製される。
【0116】
経口投与に適する本発明の組成物は、それぞれ予め決められた量の活性成分を含むカプセル、サシェまたは錠剤のような不連続単位として、粉末または顆粒として、水性または非水性液体の溶液または懸濁液として、または油/水液体エマルションまたは水/油液体エマルションとして提供することができる。活性成分は、巨丸、舐剤またはペーストとして提供することもできる。獣医使用に具体的焦点を当てれば、経口組成物は水薬、飼料と混合するための粉末、顆粒またはペレット、または舌に塗布するためのペーストの形態であることができる。
【0117】
錠剤は、所望により1個以上の補助成分と共に圧縮または成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、所望により結合剤(例えば、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性または分散剤と混合した粉末または顆粒のような自由流動形態の活性成分を適当な機械で圧縮することによって調製することができる。成形した錠剤は、不活性液体希釈剤で加湿した粉末状化合物の混合物を適当な機械で成形することによって作製することができる。錠剤は、所望によりコーティングしまたは刻み目を入れ、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な比率で用いて活性成分を遅延または制御放出し、所望な放出プロフィールを提供するように処方することができる。錠剤は、所望により腸溶性コーティングを備え、胃以外の消化管の部分で放出させることができる。
【0118】
口での局所投与に適した組成物としては、風味付けした基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴムに活性成分を含んでなるロゼンジ、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性基剤に活性成分を含んでなる香錠、および適当な液体キャリヤー中に活性成分を含んでなる含嗽剤が挙げられる。
【0119】
皮膚への局所投与に適する組成物は、任意の適当なキャリヤーまたは塩基に溶解または懸濁した化合物を含んでなることができ、かつローション、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏などの形態であることができる。適当なキャリヤーとしては、鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール(cetearyl alcohol)、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。経皮パッチを用いて、本発明の化合物を投与することもできる。
【0120】
直腸投与用の組成物は、例えば、カカオ脂、グリセリン、ゼラチンまたはポリエチレングリコールを含んでなる適当な基剤を有する座剤として提供することができる。
【0121】
膣投与に適する組成物は、活性成分の他に適当であることが当該技術分野で知られているようなキャリヤーを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー処方物として提供することができる。
【0122】
非経口投与に適する組成物としては、酸化防止剤、緩衝剤、殺菌剤、および組成物を想定した受容者の血液と等張性にする溶質を含むことがある水性および非水性の等張滅菌注射溶液、および懸濁剤と増粘剤を含むことがある水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。組成物は、例えばアンプルおよびバイアル単位-用量または複数回-用量の密封容器に入れて提供することができ、また使用直前に滅菌液体キャリヤー、例えば注射用水を添加するだけでよい凍結乾燥(凍結乾燥)条件で保管することができる。即時調合注射溶液および懸濁液は、上記した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。獣医組成物に具体的焦点を当てれば、非経口投与としては懸濁液または溶液を乳首を介して乳腺に導入する乳房内注射が挙げられる。
【0123】
好ましい単位用量組成物は、本明細書で上記したように、活性成分の1日用量または単位、1日未満用量(daily sub-dose)、またはそれらの適当な小部分を含むものである。
【0124】
上記で詳しく説明した活性成分の他に、本発明の組成物は当該組成物の種類に関して当該技術分野では一般的な他の薬剤を含むことがあり、例えば経口投与に適するものとしては結合剤、甘味料、増粘剤、香味料、崩壊剤、コーティング剤、防腐剤、滑沢剤および/または時間遅延剤のような他の薬剤を挙げることができる。適当な甘味料としては、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルタームまたはサッカリンが挙げられる。適当な崩壊剤としては、トウモロコシ澱粉、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンゴム、ベントナイト、アルギン酸または寒天が挙げられる。適当な香味料としては、ハッカ油、冬緑油、サクランボ、オレンジまたはラズベリーフレーバーが挙げられる。適当なコーティング剤としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸のポリマーまたはコポリマーおよび/またはそれらのエステル、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、セラックまたはグルテンが挙げられる。適当な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α-トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。適当な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクが挙げられる。適当な時間遅延剤としては、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが挙げられる。
【0125】
好ましくは、本発明の遷移金属錯体は、薬学上許容可能な塩として患者に投与することができる。しかしながら、薬学上許容可能でない塩は薬学上許容可能な塩の調製または獣医用途での中間体として有用なことがあるので、これらも本発明の範囲内にあることを理解されるであろう。適当な薬学上許容可能な塩としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸および臭化水素酸のような薬学上許容可能な無機酸の塩、および酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸のような薬学上許容可能な有機酸の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
塩基塩(base salts)としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムのような薬学上許容可能なカチオンを用いて形成されるものが挙げられるが、これらに限定されない。詳細には、本発明は、その範囲内にリン酸基のカチオン性塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩、またはアルキルエステル(例えば、メチル、エチル)を包含する。
【0127】
塩基性窒素を含む基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルのようなハロゲン化低級アルキル、および硫酸ジメチルおよびジエチルのような硫酸ジアルキルなどのような薬剤により四級化することができる。
【0128】
式(I)、(I')または(I")の遷移金属錯体のプロドラッグである任意の化合物も、本発明の範囲および精神内にあることが理解されるであろう。「プロドラッグ」という用語はその最も広義で用いられ、本発明の化合物にイン・ビボで転換される誘導体を包含する。このような誘導体は当業者には容易に思い浮かぶものであり、例えば、遊離のヒドロキシ基(例えば、R2位)が酢酸またはリン酸エステルのようなエステルに転換され、または遊離アミノ基(例えば、R2位)がアミド(例えば、α-アミノ酸アミド)に転換される化合物が挙げられる。本発明の化合物をエステル化、例えば、アシル化する手順は当該技術分野で周知であり、適当な触媒または塩基の存在下にて適当なカルボン酸、無水物または塩化物による化合物の処理を含むことがある。
【0129】
本発明の錯体は遊離化合物または溶媒和物(例えば、水和物)として結晶形態であることができ、いずれの形態も本発明の範囲内にあるものと解釈される。溶媒和の方法は、当該技術分野で一般に知られている。
【0130】
本発明の化合物は不斉中心を有することがあり、従って、2個以上の立体異性形態で存在することができることも理解されるであろう。従って、本発明は、1個以上の不斉中心で実質的に純粋な形態の化合物、例えば約90% eeを上回る、例えば約95%または97% eeまたは99% eeを上回る、並びにラセミ混合物などそれらの混合物にも関する。このような異性体は、例えば、キラル中間体を用いる不斉合成によって調製することができ、または混合物を通常の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分割剤の使用によって分割することができる。
【0131】
更に、置換パターンによっては、本発明の化合物は互変異性を受けることができることがある。従って、本発明の化合物の総ての可能な互変異性体は、本発明の範囲および精神内にある。
【0132】
治療使用に加えて、本発明の金属錯体は診断手段として用いることができる。
もう一つの態様によれば、本発明は、131I、123I、76Br、75Br、18F、18Fまたは蛍光残基で適当に置換されている式(I)、(I'),および(I")の遷移金属錯体を提供する。このような錯体は、アミロイド疾患をイン・ビボ(すなわち、死前)で診断するためのアミロイド画像化技術に有用なことがある。「標識」プローブとして見ることができるこのような錯体は、生験または死後の組織標本におけるアミロイド沈着物の定量に用いることもできる。
【0133】
もう一つの態様によれば、本発明は、
(i) 式(I)、(I')または(I")の遷移金属錯体またはその塩の検出可能量を患者に投与し、
(ii) 遷移金属錯体の上記患者におけるアミロイド沈着物への結合を検出する
ことを含んでなるアミロイド疾患の診断方法であって、
遷移金属錯体またはその塩が131I、123I、76Br、75Br、18F、19Fまたは蛍光残基からなる少なくとも1個の標識を特徴とする、方法を提供する。
【0134】
上記の方法は、アミロイドーシス関連疾患を有すると思われる患者の診断に用いることができる。この方法は、患者の身体(好ましくは、脳)におけるアミロイド沈着物の存在、大きさおよび部位を決定するのに用いることもできる。
【0135】
本明細書で開示される診断方法は、本発明の標識した遷移金属錯体を磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像化(MRI)、ポジトロン放射断層法(PET)または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)のようなガンマー線画像化のような非侵襲性画像化法と共に用いることを表す。このような手法は、イン・ビボでのアミロイド沈着の定量および診断に用いることができる。イン・ビボ画像化のために、診断に用いる器械の種類は、特定の標識によって変化する。例えば、放射性同位体および19Fが、本明細書に記載の診断方法に適する。適当な標識を選択するときに考慮すべき要因としては、検出されることになる崩壊の種類および選択した放射性核種が挙げられる。適当な放射性同位体としては、131I、123I、18F、75Brおよび76Brなどのβ-エミッター、γ-エミッター、ポジトロン-エミッターおよびX線エミッターが挙げられる。MRIまたはMRSに用いられる適当な安定同位体としては、19Fが挙げられる。生験または死後組織の分析に適当な放射性同位体としては、125Iが挙げられる。好ましい放射性標識は、PET分析用の18F、SPECT 画像化用の123IおよびMRS/MRI用の19Fである。
【0136】
放射性標識は、式(I)、(I')または(I")の存在する化合物に標準的化学を用いて付加することができ、または式(I)、(I')または(I")の化合物の合成中に組込むことができる。
【0137】
好ましくは、放射性標識は、式(I)、(I')または(I")の化合物におけるR2基に付加されまたはその部分を形成する。
【0138】
同様に、本発明の化合物が如何に容易に血液-脳関門を通り抜けるかの測定を補助するため、R2は好都合には、発色団、フルオロフォアまたは化学ルミネッセンス標識を含んでなり、本明細書ではまとめて「蛍光残基」と呼ぶ。一態様によれば、R2は発色団を含んでなる。適当な発色団は当業者に知られており、広汎なアリールおよびヘテロアリール化合物が挙げられる。このような発色団は、紫外線を照射した後に好都合に検出することができる。一態様によれば、発色団はナフチル誘導体、1,2,3-トリアゾール誘導体またはテトラゾール誘導体である。もう一つの態様によれば、R2は下記の置換基の任意の1つから選択される。
【化17】

【0139】
他の態様によれば、R2は蛍光または化学ルミネッセンス標識を含んでなる。適当な標識は、当業者に知られている。例えば、蛍光標識化合物としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、メチルローダミン、テトラメチルローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルー、ルシファー・イエロー、フルオレスカミンおよびそれらの誘導体が挙げられる。化学ルミネッセンス標識化合物としては、例えば、ルミノール、イソルミノール、テロマティック・アクリジニウム・エステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、ルシフェリンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0140】
診断法に用いられる標識した遷移金属錯体の投与量は、患者の年齢、性別、体重および状態によって変化する。これは、熟練医師が必要に応じて調整することができる。診断画像化に必要な標識プローブの量は比較的僅かであることは、当業者であれば理解されるであろう。用量は0.001 mg/kg〜1000 mg/kgの範囲とすることができるが、0.1 mg/kg〜100 mg/kgの範囲の少量が好ましい。
【0141】
担当の診断医師であれば、本発明の標識した遷移金属錯体を局所的または全身的(例えば、静脈内、髄腔内、動脈内など)に投与することができる。投与後に、標識した遷移金属錯体をアミロイドタンパク質と十分な時間結合させる。これには、30分 - 2日間を要する可能性がある。検討を行っている患者の領域を、上記の標準的画像化法によって走査する。脳画像化、例えば、AD診断に関しては、好ましくは標識した遷移金属錯体の結合量(総および特異結合)を測定し、患者の小脳に結合した標識遷移金属錯体の量との比として比較した。この比を、次に年齢を合わせた正常脳での同じ比と比較する。
【0142】
当業者であれば、本明細書に記載の発明は、具体的に記載されたもの以外の変化および修飾を受けやすいことを理解されるであろう。本発明は、精神および範囲内にある総ての変化および修飾を包含することを理解すべきである。本発明は、本明細書に個別的または集合的に表されまたは示される総ての工程、特徴、組成物および化合物、および上記工程または特徴の任意の2個以上のいずれかおよび総ての組合せをも包含する。
【0143】
本明細書および後に続く特許請求の範囲を通して、文脈が他の状態を必要としない限り、「含んでなる」という語、および「含んでなる(comprises)」および「含んでなる(comprising)」という語尾変化は、明確に規定された整数または工程または整数または工程の群の包含を意味するが、任意の他の整数または工程または整数または工程の群の除外を意味しないことを理解されるであろう。
【0144】
任意の従来の公表文献(またはそれに由来する情報)、または知られている任意の事項に関する本明細書の参照文献は、従来の公表文献(またはそれに由来する情報)または知られている事項が、本明細書が関係する努力の分野において通常の一般的知識の部分を形成するということの承認または容認または任意の形態の示唆ではなくかつそのように考えるべきではない。
【0145】
本発明の幾つかの態様を下記の実施例に関して説明するが、これらの実施例は単に例示のためのものであり、これまでに記載した普遍性の範囲を制限しようとするものではない。
【実施例】
【0146】
合成プロトコル
A- 式(C)の配位子の合成
【化18】

【0147】
工程(i) 一般的手順(I) - ベンズイミダゾール
アルデヒドA(10ミリモル)およびo-フェニレンジアミン(10ミリモル)を1:1 THF/水(30 ml)に溶解したものを、還流温度で24時間攪拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(100 ml)で希釈した。有機層を分離して、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を真空濃縮して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチルおよび石油エーテル)に付し、ベンズイミダゾールBを得た。
【0148】
工程(ii) 一般的手順(II) - ベンズイミダゾールのアルキル化
ベンズイミダゾールB(10ミリモル)、o-置換塩化アルキル塩酸塩(12ミリモル)および炭酸セシウム(30ミリモル)をDMF(30 ml)に溶解したものを、80℃で一晩攪拌した。反応混合物を冷却し、氷-水に投入し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を真空濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)に付し、生成物Cを得た。
【0149】
B- 式(D)の錯体の合成
【化19】

【0150】
工程(iii) 一般的手順(III) - 白金(II)錯体形成
遊離配位子C(1ミリモル)をメタノール(10 ml)に溶解したものを加え[Pt(DMSO)2Cl2](1ミリモル)、室温で48-60時間攪拌した。白金(II)錯体が沈澱し、これを濾別した。錯体Dを1H NMR、195Pt NMRおよびマススペクトロメトリーによって分析することができる。
【0151】
C- 式(E)の錯体の合成
【化20】

【0152】
工程(iv) 一般的手順(IV) - 白金(IV)錯体形成
遊離配位子Cおよびヘキサクロロ白金酸(H2[PtCl6].6H2O)をジメチルスルホキシドに室温で4-5日間加えた。反応混合物を希重炭酸ナトリウム水溶液に投入して、沈殿物を得た。固形物を濾別し、メタノールに続いてエーテルで洗浄し、白金(IV)錯体Eを得た。錯体は、1H NMR、195Pt NMRおよびマススペクトロメトリーによって分析することができる。
【0153】
【化21】

【0154】
工程(v) 一般的手順(V) - 白金(IV)錯体形成の別法
D (1ミリモル)をアセトン(6 ml)に懸濁し、これにH2O2(35重量%水溶液、6 ml)を加えた。反応混合物を50℃で16時間攪拌した。均質混合物を冷却し、真空濃縮した。残基を水(20 ml)で希釈し、固形物を得て、これを濾別して、Fを得た。
【0155】
【化22】

【0156】
工程(vi) - 一般的手順(VI) - 白金(IV)錯体形成のもう一つの方法
酸化生成物F(200 mg)をジクロロメタン(10 ml)に溶解し、これに無水プロピオン酸(0.5 ml)を加えた。混合物を還流温度で24時間攪拌した。溶液を得て、これを次に減圧留去した。油状残基を水に懸濁し、室温で2時間攪拌した。溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水、塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶液を真空濃縮し、 残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アセトン-ジクロロメタン)に付し、求める生成物Gを妥当な収量で得た(最適化は進行中)。
【0157】
実施例1
【化23】

【0158】
一般的手順IおよびIIIに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 13.41 (br s, 1H), 9.57 (d, J = 4.8Hz, 1H), 8.85 (d, J = 8Hz, 1H), 8.71 (d, J = 7.2Hz, 1H), 8.42 (d, J- 8.4Hz, 1H), 8.32 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.0 (dd, J = 8, 7.6Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 8.4, 5.2Hz, 1H), 7.62 (d, J = 7.6Hz, 1H), 7.37 (m, 2H); ESI-MS (CH3CN-H2O, -veモード): m/z 510 [M-H]-.
【0159】
実施例2
【化24】

【0160】
一般的手順IおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO, 500MHz): δ 14.82 (br s, 1H), 9.77 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 30Hz, 1H), 9.05 (d, J = 8Hz, 1H), 8.80 (d, J = 7.5Hz, 1H), 8.64 (m, 1H), 8.53 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.12 (dd, J = 8, 7.5Hz, 1H), 8.0 (d, J = 8Hz, 1H), 7.76 (m, 1H), 7.4 (m, 2H); ESI-MS (CH3CN-H2O, -veモード): m/z 581 [M-H]-.
【0161】
実施例3
【化25】

【0162】
一般的手順I、IIおよびIIIに従って調製。
1H NMR (DMSO, 500MHz): δ 9.47 (d, J = 5.2Hz, 1H), 8.86 (d, J = 7 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 7Hz, 1H), 8.48 (m, 1H), 8.44 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.99 (dd, J = 8, 7.5 Hz, 1H), 7.8 (m, 1H), 7.70 (dd, J = 8.5, 8.5Hz, 1H), 7.45 (m, 2H), 5.2 (br s, 2H); 195Pt NMR* (DMSO): δ -2011.
【0163】
実施例4
【化26】

【0164】
一般的手順I、IIおよびIIIに従って調製し、黄色固形物として改修。
1H NMR (DMSO): δ 9.47 (dd, J = 4.4, 1.2Hz, 1H), 8.87 (m, 2H), 8.50 (dd, J = 6.8, 2.4Hz, 1H), 8.46 (d, J= 8Hz, 1H), 8.03 (dd, J = 8, 7.6 Hz, 1H), 7.84 (m, 1H), 7.68 (dd, J = 8.4, 5.2 Hz, 1H), 7.45 (m, 2H), 4.42 (br t, 2H), 1.75 (br t, 2H), 1.87 (s, 3H);
195Pt NMR* (DMSO): δ -2001.
【0165】
実施例5
【化27】

【0166】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.67 (dd, JH-H = 5.6Hz, JH-Pt = 33.2Hz, 1H), 9.05 (d, J = 8Hz, 1H), 8.86 (m, 1H), 8.53 (d, J = 8Hz, 1H), 8.45 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.0 (m, 2H), 7.90 (m, 1H), 7.56 (m, 2H), 5.33 (br s, 2H);
195Pt NMR* (DMSO): δ -2.11;
ESI-MS (CH3CN-H2O, -veモード): m/z 638 [M-H]-.
【0167】
実施例6
【化28】

【0168】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.63 (dd, JH-H = 5.6Hz, JH-Pt = 33.2Hz, 1H), 9.05 (d, J = 8Hz, 1H), 8.96 (m 1H), 8.83 (m, 1H), 8.53 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.09 (m, 2H), 7.94 (m, 1H), 7.55 (m, 2H), 4.48 (br m, 2H), 2.69 (br m, 2H), 1.92 (br s, 3H);
195Pt NMR* (DMSO): δ -2.11;
ESI-MS (CH3CN-H2O, -veモード): m/z 689 [M+K]- 582 [M-2XC1]-.
【0169】
実施例7
【化29】

【0170】
一般的手順I、IIおよびIIIに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.44 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.87 (dd, J = 8, 7.2 Hz5 2H), 8.50 (dd, J = 9.2, 5.2 Hz, 1H), 8.46 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 8.02 (dd, J = 8, 7.6 Hz, 1H), 7.84 (dd, J = 9.2, 2.4 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 8.4, 5.2 Hz, 1H), 7.37 (m, 1H), 4.40 (br t, 2H), 2.46 (br t, 2H), 1.81 (S, 3H).
【0171】
実施例8
【化30】

【0172】
一般的手順I、IIおよびIIIに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.46 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.87 (dd, J = 8, 7.2 Hz, 2H), 8.4 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.24 (dd, J= 9.6, 2.8 Hz, 1H), 8.03 (dd, J = 8, 7.6 Hz, 1H), 7.92 (dd, J = 9.2, 4.8 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 8, 5.6 Hz, 1H), 7.34 (m, 1H), 4.42 (br t, 2H), 2.50 (br t, 2H), 1.84 (s, 3H).
【0173】
実施例9
【化31】

【0174】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.63 (dd, JH-H = 5.6Hz, JH-Pt = 33.2Hz, 1H), 9.06 (d, J = 7.6Hz, 1H), 8.85 (dd, J = 9.2, 4.8 Hz, 1H), 8.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.09 (m, 4H), 7.51 (m, 1H), 4.57 (br m, 2H), 3.87 (br m, 2H), 2.87 (br s, 3H).
【0175】
実施例10
【化32】

【0176】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.63 (dd, JH-H = 5.6Hz, JH-Pt = 33.6Hz, 1H), 9.06 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.60 (m, 3H), 8.10 (m, 3H), 7.60 (m, 1H), 4.67 (br m, 2H), 3.86 (br m, 2H), 2.92 (br s, 3H).
【0177】
実施例11
【化33】

【0178】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.63 (dd, JH-H = 5.2Hz, JH-Pt = 32.8Hz, 1H), 9.06 (d, J = 7.2Hz, 1H), 8.76 (d, J = 8.8Hz, 1H), 8.56 (d, J = 8Hz, 1H), 8.35 (br s, 1H), 8.11 (m, 2H), 8.07 (dd, J = 8, 5.6Hz, 1H), 7.76 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.6 (br m, 2H), 2.87 (br m, 2H), 1.97 (br s, 3H);
195Pt NMR* (DMSO): δ 25.63.
【0179】
実施例12
【化34】

【0180】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.63 (dd, JH-H = 5.2Hz, JH-Pt = 32.4Hz, 1H), 9.07 (d, J = 7.2Hz, 1H), 9.04 (d, J = 2Hz, 1H), 8.57 (d, J = 8Hz, 1H), 8.12 (m, 2H), 8.07 (dd, J = 8, 6.8Hz, 1H), 8.07 (dd, J = 8, 5.6Hz, 1H), 8.01 (m, 2H), 7.79 (br d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.6 (br m, 2H), 2.87 (br m, 2H), 1.97 (br s, 3H);
195Pt NMR* (DMSO): δ 24.46.
【0181】
実施例13
【化35】

【0182】
実施例5のエステル化によって調製。
1H NMR (DMSO, 500MHz ): δ 9.66 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 32.5Hz, 1H), 9.07 (dd, J = 8, 1.5Hz, 1H), 8.85 (m, 1H), 8.55 (d, J = 7.5Hz, 1H), 8.47 (d, J = 7.5Hz, 1H), 8.10 (dd, J = 8, 5.5Hz, 1H), 8.07 (t, J = 8Hz, 1H), 7.92 (m, 1H), 7.58 (m, 2H), 5.5 (br s, 2H), 2.87 (q, J = 7Hz, 2H), 1.97 (t, J = 7Hz, 3H);
195Pt NMR* (DMSO): δ 32.86;
ESI-MS (CH3CN-H2O, -veモード): m/z 667.
【0183】
実施例14
【化36】

【0184】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.65 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 32.5Hz, 1H), 9.05 (d, J = 8Hz, 1H), 8.83 (d, J = 8Hz, 1H), 8.55 (dd, J - 6.5, 3Hz, 2H), 8.08 (dd, J = 7.5, 7.5Hz, 2H), 7.99 (d, J = 8Hz, 1H), 7.57 (m, 2H), 4.35 (br m, 2H), 2.76 (t, J = 6.5Hz, 2H), 2.45 (br m, 2H).
【0185】
実施例15
【化37】

【0186】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.65 (dd, JH-H = 5Hz, JH-Pt = 23Hz, 1H), 9.07 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.86 (d, J = 7.5Hz, 1H), 8.56 (d, J = 7.5, 1H), 8.52 (d, J = 7.5, 1H), 8.08 (m, 2H), 8.02 (d, J = 8Hz, 1H), 7.60 (m, 2H), 4.50 (br m, 2H), 3.57 (br m, 2H).
【0187】
実施例16
【化38】

【0188】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.46 (dd, J = 5.5, 1.5 Hz, 1H), 8.87 (dd, J = 8.5, 1.5 Hz, 1H), 8.70 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.47 (m, 1H), 8.45 (d, J = 8Hz, 1H), 8.40 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.12 (t, J= 6 Hz, IH、-NH), 8.0 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.9 (t, J = 8Hz, 1H), 7.80 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 7.67 (m, 2H), 7.53 (dd, J = 8.5, 7.5Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.5, 8.5Hz, 1H), 7.44 (m, 2H), 7.21 (d, J = 8Hz, 1H), 4.41 (brピーク, 2H), 3.12 (brピーク, 2H), 2.8 (s, 6H);
ESI-MS (CH3CN-H2O, -veモード): m/z 787.9.
【0189】
実施例17
【化39】

【0190】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.55 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 32.5Hz, 1H), 8.86 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.79 (d, J =7, 2H), 8.40 (br t, J = 5Hz, IH、-NH), 8.35 (d, J = 8Hz, 1H), 8.08 (m, 2H), 7.87 (dd, J = 7.5, 6Hz, 1H), 7.56 (m, 2H), 7.43 (dd, J = 8, 8Hz, 2H), 7.12 (dd, J = 9, 8.5Hz, 2H), 4.72 (br m, 2H), 3.61 (br m, 2H).
【0191】
実施例18
【化40】

【0192】
一般的手順I、IIおよびIIIに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.47 (dd, J = 5, 1.5Hz, 1H), 8.88 (dd, J = 8, 1.5Hz. 1H), 8.61 (d, J = 7.5Hz, 1H), 8.47 (m, 2H), 8.05 (dd, J - 8, 7.5 Hz, 1H), 7.84 (m, 1H), 7.69 (dd, J = 8.5, 5 Hz, 1H), 7.47 (m, 2H), 4.29 (brピーク, 2H), 1.76 (m, 2H), 1.25 (m, 2H), 0.82 (t, J = 7.5Hz, 3H).
【0193】
実施例19
【化41】

【0194】
一般的手順I、IIおよびIVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.63 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 36.5Hz, 1H), 9.06 (d, J = 7.5Hz, 1H), 8.83 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.56 (d, J = 7Hz, 1H), 8.54 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.13 (dd, J - 8, 7.5Hz, 1H), 8.08 (dd, J = 8.5, 5.5Hz 1H), 7.94 (d, J = 7Hz, 1H), 7.56 (m, 2H), 4.37 (brピーク, 2H), 1.84 (m, 2H), 1.71 (m, 1H), 0.93 (d, J = 7Hz, 6H).
【0195】
実施例20
【化42】

【0196】
一般的手順I、IIおよびIIIに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.47 (dd, J = 5, 1.5Hz, 1H), 8.88 (dd, J = 8, 1.5Hz. 1H), 8.62 (d, J = 6.5Hz, 1H), 8.47 (m, 2H), 8.05 (dd, J = 8, 7.5 Hz, 1H), 7.82 (m, 1H), 7.69 (dd, J = 8.5, 5 Hz, 1H), 7.47 (m, 2H), 4.29 (brピーク, 2H), 1.68 (m, 2H), 1.59 (m, 2H), 0.85 (d, J = 6.5Hz, 6H).
【0197】
実施例21
【化43】

【0198】
一般的手順I、II、IIIおよびVに従って調製。
1H NMR (DMSO): δ 9.52 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 34.5Hz, 1H), 8.96 (d, J = 7Hz, 1H), 8.73 (d, J = 8Hz, 1H), 8.53 (d, J - 7Hz, 1H), 8.47 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.05 (dd, J = 8, 7.5Hz, 1H), 7.98 (dd, J = 8.5, 5.5Hz 1H), 7.87 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.51 (m, 2H), 4.48 (brピーク, 1H), 4.25 (brピーク, 1H), 1.81 (br m, 1H), 1.72 (m, 2H), 0.89(br s, 6H).
【0199】
実施例22
【化44】

【0200】
一般的手順I、II、III、VおよびVIに従って調製。
1H NMR (DMSO, 8O0C): δ 9.54 (dd, JH-H = 5.5Hz, JH-Pt = 31Hz, 1H), 8.91 (dd, J = 8.5, IHz, 1H), 8.65 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.62 (dd, J = 7.5, IHz, 1H), 8.48 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.05 (dd, J = 8, 7.5Hz, 1H), 7.93(dd, J = 8, 5.5Hz 1H), 7.86 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.48 (m, 2H), 4.52 (t, J = 8Hz, 2H), 1.87 (brピーク, 4H), 1.50 (m, 3H), 0.76(d, J = 5.5Hz, 6H), 0.55 (t, J = 7.5Hz, 6H).
ESI-MS (CH3CN-H2O, +veモード): m/z 728.1.
195Pt NMRスペクトルは、外部標準として-1630 ppmのK2PtCl4 (D2O)を用いてVarian INOVA-400分光計で記録した。
【0201】
生物学的データー
【0202】
表1
【表1−1】

【0203】
【表1−2】

【0204】
【表1−3】

【0205】
【表1−4】

【0206】
【表1−5】

【0207】
(i) アミロイド形成の阻害
この分析は、白金化合物(薬剤)がAベータ凝集を阻害できることを示している。Aベータを、遊離配位子およびその白金錯体実施例4と共にCuを用いて/用いることなくPBS緩衝液中で37℃で24時間-48時間インキュベーションした。結果は、図1に示されるように実施例4についての用量応答を示す。本発明の他の化合物についての阻害データーは、図XおよびXに示す。
【0208】
(ii) ジチロシン形成の阻害 - 「CuTy」分析
CuTy分析は、試験化合物がAβの二量体以上のオリゴマーを形成する金属介在架橋反応を阻害する能力を評価するウェスタンブロット分析である。この分析は、推定薬剤が酸化還元活性金属についてAβと匹敵するかあるいはAβ金属結合部位で競合的に結合することによってこれらの金属を置換する作用を行う工程を設計する。
【0209】
Aベータペプチド金属結合部位が競合的アフィニティー結合剤でブロックされると、これはジチロシンペプチド(Aベータの二量体)の形成を阻害する。この分析では、ジチロシン架橋の生成は、実施例4およびその遊離配位子と共にPBS緩衝液中でH2O2(250μm)、CuCl2(25μm)の存在下にてAベータ(1-42)モノマーをインキュベーションすることによって観察された。反応を37℃にて24時間ゆっくり回転させながらインキュベーションした後、反応を完結させる目的でEDTAを加えて反応停止した。ジチロシン架橋は、ジチロシン残基に特異的な1C3抗体を用いてウェスタンブロット法によって測定した。図2は、実施例4の効果を示している。
【0210】
オリゴマー化のプロトコル
材料
Aβ 1-40/1-42 (Keck Laboratory); HFIP (Sigma-Aldrich, カタログ番号105228); CuCl2 (BDH Laboratory Supplies, カタログ番号100884E); グリシン(Ajax Finechem, カタログ番号A1083); L-アスコルビン酸(Sigma カタログ番号A-0278); PBS (Sigma, カタログ番号D8662); DMSO (Ajax Finechem カタログ番号A2225); NaOH (Sigma, カタログ番号S-5851); 2-メルカプトエタノール(Sigma, カタログ番号M-7154); トリス (BDH, カタログ番号103157P); トリシン(Sigma, カタログ番号T-5816); SDS (Bio-Rad Labororatories, カタログ番号161-0302); ECL (Amersham, カタログ番号RPN2106V1); ウサギ抗マウス免疫グロブリンHRP (DAKO カタログ番号P0260); 10-20% トリシンゲル10ウェル(Invitrogen カタログ番号EC6625 Box)。
【0211】
保存液
Cu(II)(1 mM)-グリシン(6 mM)のPBS溶液; L-アスコルビン酸(5 mM)のPBS溶液; NaOH (0.02M)のMQ H2O溶液; TBST: トリス緩衝食塩水/0.1 % Tween 20。
【0212】
ウェスタンブロット法による分析
試料を10-20 %グラディエントプレキャストトリシンゲル(A-11抗体に対して4-12%トリス グリシン)(Novex)に置く。ランニング緩衝液-トリス-トリシン(0.1 M トリス pH 8.25, 0.1 Mトリシン, 0.1% SDS)。試料緩衝液-4x (red); SDS 16%; グリセロール60%; トリス200 mM; トリシン200mM; フェノールレッド0.02%; 10% β-メルカプトエタノール; 試料30 μlおよび4xSB 10 μlを混合し、5分間煮沸する。試料をゲルに載せて、実験を行う。ニトロセルロース膜に移す。トランスファー緩衝液-25 mM トリス, 192 mMグリシン, 20%メタノール; 移した後、膜を5分間煮沸し、次いで10%脱脂乳/TBST(0.01% Tween 20)中室温にて1時間ブロックし、一次抗体*3%BSA/TBST(0.01% Tween20)中4℃ O/Nまたは室温で1時間精査する。TBSTで15分間3回洗浄し、二次抗体-ヤギ抗ウサギIgG HRP (DAKO)で室温にて1時間精査し、TBST中で15分間3回洗浄し、化学ルミネッセンス試薬を用いてブロットを展開する。
*ジチロシンの検出用一次抗体は、抗ジチロシンモノクローナル抗体1C3である[Kato, Y. et al (2000), Biochem. Biophys.Res. Commun. 275, 11-5.]。
【0213】
オリゴマー化は、完全長Aベータを認識する一般的抗体とペプチドの可溶性オリゴマー形態の検出のみが記載されている特異抗体を用いて検出することもできる(Lesne, S. et al (2006) Nature Vol 440|16 March 2006|doi: 10.1038/Nature04533).
【0214】
(iii) 細胞毒性
化合物例4および6を、M17および一次皮質ニューロン細胞(primary皮質 neuronal細胞)を含む各種細胞系でスクリーニングし、白金錯体の毒性を測定した。M17ヒト神経芽細胞腫を、化合物と共に37℃で48時間インキュベーションした。図3は、細胞ペレットに見出されるそれぞれの白金錯体化合物のμg/gでの量を示し、化合物の細胞膜を通過する能力を明らかにしている。白金錯体濃度をICP/MSによって測定し、細胞生存率は>85%(高)となり、試験化合物に毒性がないことを明らかにしている。
【0215】
細胞毒性プロトコル
ペプチドおよび実施例の調製: 実施例化合物を、微量天秤を用いて秤量した。それらをDMSO(HybriMax)に初期濃度50 mMまで溶解した後、4、2および1 mM保存濃度までDMSOで希釈した。薬剤は、Aβに加えるまで暗所保管した。Aβペプチドは、以前に公表した通りに調製した(Ciccotosto JBC 2004)。簡単に説明すれば、Aβを20 mM NaOHに溶解し、水および最後に10X PBSで2:7:1部の比率に希釈した。ペプチドを水中で音波処理し、遠心分離し、ペプチド濃度をOD214の吸光度を測定し、分子消光係数を用いて測定し、ペプチドの濃度を正確に計算した。
【0216】
一次ニューロン培養物: 皮質ニューロン培養物は、以前に報告した通りに調製した(Ciccotosto, JBC 2004)。簡単に説明すれば、胚性の14日BL6Jxl29svマウス皮質を除去し、髄膜を切り離し、0.025%(w/v)トリプシン中で分離する。分離した細胞をポリ-L-リシンをコーティングし滅菌した48ウェルの培養プレートで、培養培地(MEM/10% FCS/5% HS)中150,000個/cm2の密度で培養した。培養物を37℃で5% CO2中に2時間保持した後、培養培地をB27添加物を補足した神経細胞用基礎成長培地に換えた。この方法により、ニューロンに極めて富む培養物を生じた。
【0217】
細胞毒性実験の組立: 6 DIVで、薬剤化合物をAβペプチドと共にまたはなしで2 - 10分間インキュベーションし、B27を補足し酸化防止剤を欠いている新鮮な神経細胞用培地で希釈し、十分に混合した。存在する培地を廃棄し、Aβおよび薬剤を含む培地を皮質ニューロンを含むウェルに加えた。それぞれの分析は3回行い、分析は2度反復した。
【0218】
細胞生存率分析: 細胞生存を位相差顕微鏡法によって観察し、細胞生存率をMTS分析を用いて定量した(Promega, マジソン, ウィスコンシン)。4日間の処理の後、実験で調節した培地をB27を補足し酸化防止剤を欠いている新鮮な神経細胞用培地に換え、10% v/v MTSをそれぞれのウェルに加えた。次に、プレートを5% CO2中37℃で3時間インキュベーションした。200 μlの培地の150 μlを96ウェルプレートに移し、それぞれのウェルにおけるあらゆる色変化をWallac Victor Mμltireaderを用いて490 nmの吸光度を特定することによって測定し、無細胞培地でインキュベーションしたMTSのバックグラウンドの読みをそれぞれの値から差し引いた後に計算した。データーを、未処理ビヒクルコントロール値の百分率として規格化して、計算した。データーは、平均値 +/- SEMとして示す。
【0219】
(iv) 神経保護:
Aベータはニューロン細胞培養物には毒性であるので、この毒性を阻害する白金錯体の能力を、神経保護分析で測定した。この分析では、マウス胚(E 14)から単離した一次皮質ニューロンを6日間培養した後、それらを実施例4の存在下にてAベータペプチドおよびAベータで37℃で4日間処理した。Aβは、最初に20 mM NaOHに1 mMの濃度まで溶解することによって調製し、5分間音波処理した。次いで、ペプチドをH2Oおよび10 X PBSで200 μM Aβ/1X PBSの最終濃度まで希釈した。ペプチドを再度5分間音波処理した後、14000 rpmで5分間遠心分離し、新しい試験管に移した。実験は3回行った。Aベータの毒性から救助する薬剤の能力を、MTSの読みを用いて測定し、結果を図4に示す。
【0220】
(v) 長期増強(LTP)研究:
このイン・ビトロ分析では、ADにおけるAベータシナプス毒性のモデルとしての長期増強のAベータ調節を決定する。実施例4をこの分析で検討し、図5に示されるように白金錯体がAベータによって誘発される毒性を救助していることを見出した。
【0221】
この分析では、14 - 40日齢のC57B16マウスを、メルボルン大学動物倫理綱領指針に従ってハロタン吸入による麻酔下で斬首した。脳を速やかに取りだし、氷冷した人工脳脊髄液(ACSF)中で冷却した。ACSFは、(mMで)124 NaCl、2.5 KCl、2 MgSO4、2 CaCl2、10 D-グルコース、1.25 NaH2PO4, 26 NaHCO3を含み、95% O2/5% CO2(pH 7.35, HCl/NaHCO3)をガス供給した。Aベータ42およびシスプラチンをDMSOに溶解し、0.3%に制御したDMSOレベルでACSFビヒクル中で30分間のプレインキュベーションによって薄片に投与した。総ての実験はインターリーブして(interleaved)室温で行った。電場電位を、CA1領域の放射繊維層を刺激して記録することによって海馬の350 μm横断面で記録した。記録は、10 kHz低域8-ポールBessel濾波を有する20Xプリアンプ(Krohn-Hite Corp. モデル3381フィルター/アンプ)に接続したブリッジモードのNPI微小電極アンプで行った。シグナルは、Digidata 1322 A A/D変換器(Axon Instruments)でデジタル化し、pClamp 8.2または9.0ソフトウェア(Axon Instruments)を用いてパソコンのハードドライブに保管した。ベースライン刺激強度をそれぞれの実験の開始時に較正し、fEPSPの最大スロープの20-30%の応答を生成した。テタニー刺激は、試験刺激の代わりに試験強度で送られる1秒100 Hzパルスであった。データーを、pClamp 8.2、Microsoft ExcelおよびGraphPad Prism 3.03ソフトウェアを用いてオフラインで分析した。それぞれの電場の興奮性シナプス後電位(fEPSP)の勾配を、シナプス前繊維斉射(pre-synaptic fiber volley)のピークとfEPSPの間のデーター点の線形回帰によって決定した。規格化fEPSPの勾配は、テタニーの前30 - 20分の間のベースラインの平均勾配の百分率として表した。長期増強は、それぞれの薄片についてテタニーの55-60分の規格化データーを平均することによって定量した。結果を、平均値 +/- 標準誤差として表し、統計学的有意性は95%の信頼性間隔で対応のないt検定を用いて決定した。
【0222】
脳薄片についての実験処理プロトコル
薄片を24ウェルプレートに移し、実験化合物を用いてまたは用いることなく室温でガス供給したACSF中で30分間プレインキュベーションし、直後に電気生理学的記録を行った。Aベータ42をHFIPに溶解し、乾燥し、DMSOに再懸濁し、小部分に分けて-20℃で保管した。Aベータ42の小分け試料は、速やかに融解し、直ちに使用した。Aベータ42(3)およびシスプラチンを、使用直前にDMSOに溶解した。最終DMSO濃度は、総てのプレインキュベーションにおいて0.3%に調節した。
【0223】
(vi) タウリン酸化の減少
微小管結合タンパク質タウは、生理学的条件下では極めて可溶性である。しかしながら、タウオパシーでは、タウタンパク質が凝集して、不溶性フィラメントおよび神経フィブリル変化(NFT)となる。
【0224】
タウオパシーとしては、繊維状のニューロン内タウ凝集体がホールマーク病変を構成する臨床上広汎な群の散在性および家族性の神経変性疾患が挙げられる。タウタンパク質は、微小管集合を促進しかつ微小管ネットワークに安定性を付与する微小管結合タンパク質である(Weingarten MD, Lockwood AH、Hwo SY, Kirschner MW (1975)「微小管集合に本質的なタンパク質因子」. Proc Natl Acad Sci USA 72: 1858-1862; Cleveland DW, Hwo SY, Kirschner MW (1977) 「精製チューブリンから微小管の集合を誘発する微小管結合タンパク質であるタウの精製」. J Mol Biol 116: 207-225)。タウオパシーでは、異常高ホスホリル化タウは重合して直線状フィラメントおよび対になった螺旋状フィラメント(PHF)となり、これが凝集して神経フィブリル変化(NFT)を形成する。アルツハイマー病(AD)および進行性核上性麻痺(PSP)のようなタウオパシーにおけるタウタンパク質の進行性蓄積は、神経変性における要因としてのタウに影響を与える。
【0225】
図6に示されるデーターは、形質転換マウスの実施例6の化合物による治療を示している。タウの高ホスホリル化はADのもう一つのバイオマーカーであり、ADに関連した認識障害に関与していると考えられる。図6は、不溶性画分を示している。図7は、可溶性画分を示している。
【0226】
タウレベルプロトコル
このプロトコルの目的は、ビヒクル群に対する治療群からの可溶性(SN)および不溶性(ペレット)の総タウおよびホスホ-タウセリン-396のレベルを比較することである。
【0227】
組織標本
脳を秤量した後、冷凍した(湿重量)。 氷冷PBS pH7.4(EDTA不含プロテアーゼ阻害薬1錠を含む50ml PBS)1 mlを脳に加えた。脳を40%強度で2 X -15秒間バースト(bursts)のためまたは均質になるまで氷上で音波処理した。試料を100,000gで4℃にて30分間遠心分離し、上清を集めて小分けした。同一体積を第一の均質化工程についてそれぞれ個々の試料に加えた後、上記と同様に音波処理した。次いで、ペレットもそれに応じて小分けした。
【0228】
総ての試料についてのタンパク質レベルの測定
BCA分析キット(Pierce)を用いて、ペレットおよびSN試料のタンパク質濃度を測定した。
【0229】
ペレットおよびSNの20 μl分量を1 : 10に希釈、すなわちPBS180 μlを加えた。
【0230】
BCA分析法によりタンパク質濃度を測定した。吸光度レベルは、約0.1-1.5吸光度であった。エクセルプログラムを用いて、20μlの分量を用いてSNのタンパク質4.5 μg/μlおよびペレットのタンパク質0.3 μg/μlの保存液を作るのに要するPBSの体積を測定した。
【0231】
ウェスタンブロット法用の試料の調製
それぞれの試料のタンパク質含量をBCA分析によって決定したならば、SNのタンパク質4.5 μg/μl試料およびペレットのタンパク質0.3 μg/ μl試料を調製した。SNの45μg/μl保存溶液およびペレットの0.3μg/μl保存溶液の10μlの分量を採取し、それぞれ45および3μgタンパク質/レーン試料を作成した。10% メルカプトエタノールを含むSBx4 (dH20でx 2に希釈) 10 μlを、それぞれの10 μl試料に加えた。
【0232】
試料を90℃で10分間加熱した。試料を約10秒間パルス遠心分離した。試料を4-12%ビス-トリスゲルである20ウェルゲル(Criterion Gel, BioRad)に載荷した。ゲルを115Vで10分間、次いで180Vで45分間(ホスホタウ 11Nov07)および120Vで72分間の後、180Vで26分間総タウ(19Nov07)について、MES緩衝液中室温で運転した。ゲルをiblotプログラム3を用いて6分間移した。膜をマイクロ波で1xPBS(予備加熱)中で5分間加熱した。膜を5%脱脂乳/TBST中で室温でブロックした。
【0233】
一次抗体を用いて4℃で1時間 一晩精査した:抗総タウ (ウサギに生じた抗ヒト)(DAKO; 1:2000, ブロット当たり10μl/20ml)/TBSTまたは抗ホスホ-タウ(pS-396; TBST中ブロット当たり10μl/15ml)。翌日、ブロットをTBSTで約6 x 10分間洗浄した。二次抗体を用いて室温にて1時間精査した: 抗ウサギHRP (DAKO)TBSTで1:5000に希釈(ブロット当たり4μl/20ml)。ブロットをTBSTを用いて更に6 x 10分間洗浄した。ECL試薬(Amersham)を用いて、ブロットを展開した(ブロット当たり8ml、 1 : 1の比の試薬AおよびB)。ブロットをECL中で2分間インキュベーションした。
【0234】
総ての膜は、ホスホタウ ペレット(30s)をスーパーオートで捕捉したことを除き、スーパーセッティングで4秒間(オート)の捕捉時間で「LAS-4000」(Fujifilm)画像捕捉装置を用いて捕捉した。約49および62 kDaの間に現れる面積を、Mμlti Gaμge V3.0ソフトウェアプログラムを用いて定手領した。IOD (光学濃度)を用いて、ホスホ-タウまたは総-タウの相対レベルについて処理およびビヒクル群を比較した。
【0235】
統計学的評価を行い、ペレットおよびSN試料についてのIOD(統合光学濃度)について「t-検定: 不平等分散を想定する二試料」を用いるビヒクル対処理群を比較した。また、ビヒクルと薬剤処理動物との間のホスホタウ:総タウ比の差も比較した。
【0236】
(vii) 画像化剤の調製 - 分離方法
放射能標識した化合物を作成するため、標準的分析的HPLC法を行い、最終的な放射能標識化合物をその前駆体から分離できるようにする。
【0237】
図8は、最終化合物である実施例9のその前駆体である実施例11からのHPLC分離を示す。実施例9はF19(標準)を用いるコールドおよびF18を用いるホットである。
【0238】
(viii) イン・ビトロマウス - Aベータ分析:
実施例6を、アルツハイマー病のTG2576マウスモデルで試験した。試験の終わりに、脳を集め、可溶性および不溶性画分に分画化した。これらの画分を、次に、図9に示されるように、薬剤に対するバイオマーカー変化を考察するSELDI-TOFマススペクトルによって分析した。APP/Aベータを標的とする4G8抗体を用いて、数個の変化が観察された。上記のマススペクトル上の長方形は、未治療動物からの上清画分では、9260Daの質量を有するピークがあり、これはAベータの二量体形態と一致することを示している。このピークは、治療した動物では存在しない。図のX軸はダルトンで表した質量である。Aベータ二量体の質量範囲は、上記で同定している。
【0239】
SELDI-TOFプロトコル
PS10 ProteinChipアレイを用い、抗体(4G8)/PBS(0.25 mg/ml)2 μlの容積をチップおよびネガティブコントロールとしてのウシIgGのそれぞれのスポットに加えた。アレイを、恒湿室で4℃で一晩インキュベーションした。抗体を取りだし、ブロック緩衝液(0.5M エタノールアミン/PBS)を加え(10 μl)、アレイ60分間インキュベーションした。ブロック緩衝液を取りだし、それぞれのスポットを0.5% Triton X-100/PBS(洗浄緩衝液)10μlで5分間洗浄した。溶媒を除去し、スポットPBS 10μlで5分間洗浄した。試料15μlの容積をそれぞれのスポットに加え、アレイを室温で3時間インキュベーションした。試料を取りだし、それぞれのスポットを洗浄緩衝液60 μlで2回10秒間洗浄した後、PBS洗浄を60μl PBSで2回10秒間行い、最後にアレイを60μlの1 mM HEPESで1 mM 2回10秒間洗浄した。アレイを風乾した。シナピン酸(SPA, 50% (v/v)アセトニトリルで50%飽和およびTFA中で0.5%)を lμlの容積で、それぞれのスポットに2回適用した。アレイをそれぞれの適用の間に風乾した。
【0240】
総てのインキュベーションおよび洗浄は、振盪テーブル上で行った。チップをPBSIIC、SELDI-TOF MSで分析し、ピークCiphergen ProteinChipソフトウェア3.1を用いて分析した。
【0241】
試料は、下記のように処理した。
ペレットおよび上清は、同様に処理した。
試料60 μlを、尿素(8M)7.5μl、洗浄緩衝液10μlおよびPB 10μlと混合し、その混合物15μlをスポット当たりに装填した。
【0242】
(ix) バイオアベイラビリティープロトコル
脳(および肝臓および腎臓)組織
濃硝酸(HNO3)(Aristar, BDH) x mlをそれぞれの凍結乾燥した組織に加え、それらを室温で一晩消化した。試料を、加熱ブロックを用いて90℃で20分間加熱することによって更に消化した。次に、試料を加熱ブロックから取りだし、過酸化水素(H2O2)(Aristar, BDH) x mlの等容をそれぞれの試料に加えた。試料を発泡(消化)を約30分間停止した後、70℃で更に15分間再加熱した。
【0243】
それぞれの種類の組織試料について、消化後の平均減少体積を測定した(減少容積と呼ぶ)。試料を、1%硝酸希釈剤で3倍に希釈した。
【0244】
コントロールとして、予備ブランク試験管(組織を加えていない)およびウシ肝臓1577b NIST SRM (20 mgおよび40 mg乾燥重量)を、試料と同様に処理した。「BL SRM」参照。
【0245】
脳および腎臓については、X= 0.4 mlであり、肝臓については、0.6 mlである。
【0246】
脳上清(SN)試料:
SN (350μl)分量を融解したとき、試料には多数の沈澱/凝集塊があった。可溶性の部分を取り出すには、試料は短時間パルス遠心分離して沈澱をペレット化しなければならなかった。SN(350μl)試験管から、3 x 100 μlの分量を取りだし、これを1%硝酸希釈剤900 μlに(希釈因子1/10)3回加えた。
【0247】
血漿試料:
血漿の80 μl分量に、1%硝酸希釈剤0.8mlを加えた(希釈因子 1/11)。
【0248】
測定は、日常的他元素分析に適する操作条件下でVarian UltraMass ICPMS装置を用いて行った。この装置は、Mn、Fe、Cu、ZnおよびPtについて1%硝酸中で調製した保証付多元素ICPMS標準溶液(ICP-MS-CA12-1, AccuStandard)のブランク、10、50および100 ppbを用いて較正した。イットリウム(Y 89) 100 ppbを含む保証付内部標準溶液を、内部コントロール(ICP-MS-IS-MIXI-I, AccuStandard)としてT-ピースを介して用いた。
【0249】
結果を、組織の湿重量1 g当たりの金属のマイクログラム数(μg/g)として表し、血漿試料については、μM/1とのみ表した。
【0250】
(x) ヒト脳組織のPET配位子染色-プロトコル
総ての処置は、室温で行った。脳切片は、マイクロンメーターで7ミクロンに切断した。
新たに冷凍したまたはホルマリン/パラフィン固定した組織についてノート処置を用いることができ、組織工程の適用可能な組織標本を用い、次に「対比染色」処置に従う。
【0251】
ホルマリン/パラフィン固定組織について:
1. ガラスキャリッジに組織切片を含むスライドを置き、Shellex溶液に2-3分間浸漬する(3回行う)。
2. スライドを100%エタノールに浸漬し、2 分間インキュベーションする。
3. スライドを90%エタノールに浸漬し、2 分間インキュベーションする。
4. スライドを70%エタノールに浸漬し、2 分間インキュベーションする。
5. スライド脱イオン水に浸漬し、>2 分間振盪する。
6. 脱イオン水を換えて反復し、切片を常時湿った状態に保持する。
7. 切片を恒湿室に移す。
【0252】
新鮮な凍結組織について:
1. 切片を室温で10分間融解させる。
2. 恒湿室でスライドに脱イオン水を被せる。
【0253】
対比染色
恒湿室を設定する。組織は前加湿し、竹の棒を集めて、スライドを上に載せることができるようにする。
1. スライドを恒湿室に移し、水で湿った状態に保つ。
2. Dakoペンで組織の回りに円を描き、疎水性バリヤーを生じる。
【0254】
自己蛍光の消光
3. 切片を水に近づける。
4. PBS中で1 x 5分間洗浄。
5. 0.25% KMnO4(PBS中)で20分間。
6. PBS中で2 x 2分間洗浄。
7. 褐色洗浄液がなくなるまで1%メタ重亜硫酸カリウムおよび1%シュウ酸(PBS中)で1-6分間。
8. PBS中で3 x 2分間洗浄。
【0255】
化合物染色(Klunkから改良)
9. 2% BSA(PBS pH 7.0中)で10分間。
10. 100 μM 化合物x (PBS中)で30分間。
11. 2% BSA (PBS中)で4分間洗浄。
12. PBSで3 x 2分間洗浄。
13. dH2Oに浸漬。
14. Dako水性取付媒質(蛍光検出用)を有するカバーグラス。
【0256】
顕微鏡法による画像化
PiB顕微鏡法による画像化- UVフィルター(365/420)下で可視化。
VJ35顕微鏡法による画像化 - 下記のフィルターセットを使用する:
- 47CFP =フィルターセット47 (EM BP 436/20, BS FT 455, EM BP480/40)*
- 365/80nm
- 420/440
* VJ35 このフィルターセットを用いて最もよく可視化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の遷移金属錯体またはその塩:
【化1】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Ru、Au、ReおよびRhからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'" (ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1がマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【請求項2】
R3〜R10の1または2個が置換されている、請求項1に記載の遷移金属錯体。
【請求項3】
式(I')の遷移金属錯体またはその塩:
【化2】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Ru、Au、ReおよびRhからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R8およびR"〜R14は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表す)。
【請求項4】
式(I')の化合物のR3〜R8およびR11〜R14の1または2個が置換されている、請求項3に記載の遷移金属錯体。
【請求項5】
式(I')の化合物のR3〜R8およびR11〜R14の1個が置換されている、請求項3に記載の遷移金属錯体。
【請求項6】
式(I')の化合物のR3〜R8およびR11〜R14が水素を表す、請求項3に記載の遷移金属錯体。
【請求項7】
R2が、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択される置換基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
【請求項8】
R2が、所望により置換されたC1-7アルキルである、請求項7に記載の遷移金属錯体。
【請求項9】
R2が、末端が置換されているC1-4アルキル基である、請求項7に記載の遷移金属錯体。
【請求項10】
置換基が、カルボキシル(およびエステルのような誘導体)、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたヘテロアリール、および所望により置換されたスルホニルから選択される、請求項9に記載の遷移金属錯体。
【請求項11】
所望により置換されたアミノ基が、NH2、C1-4モノアルキルアミノ、所望により置換されたモノアリールアルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、第四アンモニウム塩、所望により置換されたベンゾイル、所望により置換されたスルホニル、およびアミノ酸およびペプチドの残基から選択される、請求項10に記載の遷移金属錯体。
【請求項12】
置換基が、
【化3】

から選択される、請求項9に記載の遷移金属錯体。
【請求項13】
XがPt、PdまたはRuである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の遷移金属錯体。
【請求項14】
式(I")の白金錯体またはその塩:
【化4】

(上記式中、
nは2または4の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R8およびR11〜R14は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表す)。
【請求項15】
R2が、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択される置換基である、請求項14に記載の白金錯体。
【請求項16】
R2が、所望により置換されたアルキルである、請求項15に記載の白金錯体。
【請求項17】
R2が、置換されたC1-7アルキルである、請求項15に記載の白金錯体。
【請求項18】
R2が、末端が置換されたC1-4アルキル基である、請求項16に記載の白金錯体。
【請求項19】
置換基が、カルボキシル(およびエステルのような誘導体)、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたヘテロアリール、および所望により置換されたスルホニルから選択される、請求項16に記載の白金錯体。
【請求項20】
所望により置換されたアミノ基が、NH2、C1-4モノアルキルアミノ、所望により置換されたモノアリールアルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、第四アンモニウム塩、所望により置換されたベンゾイル、所望により置換されたスルホニル、およびアミノ酸およびペプチドの残基から選択される、請求項19に記載の白金錯体。
【請求項21】
置換基が、
【化5】

から選択される、請求項19に記載の白金錯体。
【請求項22】
n=2である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の白金錯体。
【請求項23】
n=4である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の白金錯体。
【請求項24】
それぞれのR1がクロロである、請求項14〜23のいずれか一項に記載の白金錯体。
【請求項25】
n = 2またはn = 4であり、それぞれのR1がPt原子と一緒になって
【化6】

を表す、請求項14〜23のいずれか一項に記載の白金錯体。
【請求項26】
式(II)の化合物またはその塩:
【化7】

(上記式中、
R2は、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【請求項27】
式(I) の遷移金属錯体またはその薬学上許容可能な塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、アミロイド疾患の治療方法:
【化8】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Cd、Au、Re、RhおよびHgからなる遷移金属から選択され、
nは2-6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【請求項28】
アミロイド疾患の治療用の薬剤の製造における、式(I)の遷移金属錯体またはその塩の使用:
【化9】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Cd、Au、Re、RhおよびHgからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成する)。
【請求項29】
アミロイド疾患の診断方法であって、
(i) 式(I) の遷移金属錯体またはその塩の検出可能量を患者に投与し、
(ii)前記患者における前記遷移金属錯体のアミロイド沈着物への結合を検出することを含んでなる、方法:
【化10】

(上記式中、
Xは、Pt、Tc、Pd、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Cd、Au、Re、RhおよびHgからなる遷移金属から選択され、
nは2〜6の整数であり、
それぞれのR1は、ハロゲン、NR'R"R'"(ここで、それぞれのR'、R"およびR'"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、SR'R"(ここで、それぞれのR'およびR"は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびオキシアシルから独立して選択される)、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換された炭水化物から独立して選択され、または任意の2個のR1はマロン酸塩、シュウ酸塩またはグリコール酸塩を形成し、
R2は、H、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換された炭水化物、および所望により置換されたチオアシルから選択され、
それぞれのR3〜R10は、H、カルボキシ、シアノ、ジハロメトキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、ペンタハロエチル、ホスホノ、ホスホリルアミノ、ホスフィニル、チオ、スルフィニル、スルホニル、トリハロエテニル、トリハロメタンチオ、トリハロメトキシ、トリハロメチル、所望により置換されたアシル、所望により置換されたアシルアミノ、所望により置換されたアシルイミノ、所望により置換されたアシルイミノオキシ、所望により置換されたアシルオキシ、所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換されたアリールアルコキシ、所望により置換されたアルケニル、所望により置換されたアルケニルオキシ、所望により置換されたアルコキシ、所望により置換されたアルキル、所望により置換されたアルキニル、所望により置換されたアルキニルオキシ、所望により置換されたアミノ、所望により置換されたアミノアシル、所望により置換されたアミノアシルオキシ、所望により置換されたアミノスルホニル、所望により置換されたアミノチオアシル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたアリールアミノ、所望により置換されたアリールオキシ、所望により置換されたシクロアルケニル、所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロシクリル、所望により置換されたオキシアシル、所望により置換されたオキシアシルアミノ、所望により置換されたオキシアシルイミノ、所望により置換されたオキシアシルオキシ、所望により置換されたオキシスルフィニルアミノ、所望により置換されたオキシスルホニルアミノ、所望により置換されたオキシチオアシル、所望により置換されたオキシチオアシルオキシ、所望により置換されたスルフィニル、所望により置換されたスルフィニルアミノ、所望により置換されたスルホニル、所望により置換されたスルホニルアミノ、所望により置換されたチオ、所望により置換されたチオアシル、所望により置換されたチオアシルアミノ、または所望により置換されたチオアシルオキシを独立して表し、または
R9およびR10は一緒になって、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、または所望により置換されたシクロアルケニルを形成し、
ここで、R1〜R10の1個、またはR9およびR10が一緒になって置換されたアリール、置換されたヘテロアリールまたは置換されたシクロアルケニルを形成する場合のアリール、ヘテロアリールまたはシクロアルケニル基の置換基は、131I、123I、76Br、75Br、18F、18Fまたは蛍光残基からなる基であるかまたは該基を含んでなる)。
【請求項30】
(i) 請求項1〜20のいずれか一項に記載の遷移金属錯体またはその塩の検出可能量を患者に投与し、
(ii) 遷移金属錯体の上記患者におけるアミロイド沈着物への結合を検出する
ことを含んでなるアミロイド疾患の診断方法であって、
遷移金属錯体またはその塩が131I、123I、76Br、75Br、18F、19Fまたは蛍光残基からなる少なくとも1個の標識を特徴とする、方法。
【請求項31】
下記から選択される遷移金属錯体またはその塩:
【化11】

【化12】


【化13】



【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−505387(P2011−505387A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536289(P2010−536289)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001802
【国際公開番号】WO2009/070847
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(503004149)プラナ バイオテクノロジー リミティッド (9)
【Fターム(参考)】