説明

治療におけるアゼチジンカルボキサミド誘導体の使用



CB1レセプターにより媒介される障害の治療のための医薬の製造における、式(I)(式中、R1はアリールであり、R2はH、アルキル又はアリールであり、R3は水素又はアルキルである)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくはプロドラッグの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、カンナビノイドCB1レセプターによって媒介される障害の治療におけるアゼチジン-1-カルボキサミドの使用に関し、特に肥満及び過剰の食物摂取に伴うその他の摂食障害の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は環境因子によって影響される疾患プロセスであり、食餌療法及び運動といった伝統的な体重減少法は、治療薬によって補完する必要があると認識されている(S. Parker, 「Obesity: Trends and Treatments」, Scrip Reports, PJB Publications Ltd, 1996)。
【0003】
過体重と分類されるか又は肥満と分類されるかは、一般に、体重(kg)を身長の二乗(m2)で除して算出されるボディ・マス・インデックス(BMI)に基づいて決定される。したがってBMIの単位はkg/m2であり、年齢の各年代における最小死亡率を伴うBMI範囲を算出することが可能である。過体重は、25〜30kg/m2の範囲のBMIと定義され、肥満は30kg/m2より大きいBMIと定義される。この定義には、脂質(脂肪組織)に対するボディマス(筋肉)の比率を考慮していない点で問題がある。この点を考慮するために、肥満はまた、体脂肪含量に基づいて、男性では25%より多いと、女性では30%より多いと定義することができる。
【0004】
BMIが増加するにつれて、他の危険因子からは独立した種々の原因による死亡の危険が増大する。肥満に伴う最も一般的な疾患は、心血管疾患(特に高血圧)、糖尿病(肥満は糖尿病の進行を悪化させる)、胆嚢疾患(特にガン)及び生殖疾患である。研究により、体重の小幅な減少でさえ、冠性心臓疾患進行の危険の有意な減少に相当し得ることが明らかとなっている。
【0005】
抗肥満剤として市販されている化合物としては、オーリスタット(リダクティル(Reductil)(登録商標))及びシブトラミンが挙げられる。オーリスタット(リパーゼ阻害剤)は、脂質吸収を直接阻害するが、不快な(しかし比較的害にならない)副作用(例えば下痢)を高頻度で発現する傾向がある。シブトラミン(混合5-HT/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)は、患者によっては血圧及び心拍を増大させることがある。セロトニン遊離剤/再取り込み阻害剤であるフェンフルラミン(ポンディミン(Pondimin)(登録商標))及びデクスフェンフルラミン(リダックス(Redux)(商標))は、長期間(6ヶ月より長く)にわたって食物摂取及び体重を減少させると報告されている。しかし、両製品とも、使用に伴う心臓弁異常についての予備的な証拠が報告された後に回収された。したがって、より安全な抗肥満剤を開発する必要が存在する。
【0006】
現在、肥満の治療のためのCB1レセプターアンタゴニスト/インバースアゴニストの使用を支持する広範な前臨床及び臨床データが存在する。
【0007】
マリファナ(Cannabis sativa)の製剤は、5000年以上の間、医療目的及び娯楽目的の両方に使用されてきた。マリファナの主要な精神活性成分は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)(この植物から単離された60を超える関連するカンナビノイド化合物のメンバーの1つ)と同定されている。Δ9-THCは、カンナビノイド(CB)レセプターとのアゴニスト相互作用を介してその効果を発揮することが示されている。これまで、2つのカンナビノイドレセプターサブタイプが特徴付けられている(CB1及びCB2)。CB1レセプターサブタイプは、中枢神経系に優勢に見出され、末梢神経系及び種々の末梢器官にはあまり見出されない。CB2レセプターサブタイプは、リンパ組織及び細胞に優勢に見出される。今日までに、CB1及びCB2レセプターの両方と相互作用する3つの内因性アゴニスト(エンドカンナビノイド)が同定されている(アナンドアミド、2-アラキドニルグリセロール及びノラディンエーテル(noladin ether))。
【0008】
遺伝的肥満ラット及びマウスは、食物摂取行動に関連する脳領域で顕著に上昇したエンドカンナビノイドレベルを示す(Di Marzoら,2001 Nature 410: 822-825)。さらに、エンドカンナビノイドの増大したレベルが、通常の痩せ動物の絶食の際に観察される(Kirkhamら, British Journal of Pharmacology 2002, 136(4) 550-557)。エンドカンナビノイドの外因性適用により、Δ9-THC処置で観察される同じ生理学的効果(食欲刺激(Jamshidaら, British Journal of Pharmacology 2001, 134: 1151-1154)、痛覚脱失、低歩行運動(hypolocomotion)、低体温及びカタレプシーが含まれる)が導かれる。
【0009】
CB1(CB1-/-)及びCB2(CB2-/-)レセプターノックアウトマウスが、この2つのカンナビノイドレセプターサブタイプの具体的役割を解明するために使用されている。さらに、両方のレセプターでアゴニストとして作用するリガンド(例えばΔ9-THC)に関しては、これらマウスにより、どのレセプターサブタイプが特定の生理学的効果を媒介しているかを同定することが可能になった。CB1-/-マウスは、アゴニスト(例えばΔ9-THC)の行動上の効果に耐性であるが、CB2-/-マウスはそうではない。CB1-/-動物はまた、慢性的に高脂食餌に曝されることに伴う体重増加と、急性の食物欠乏の食欲刺激効果との両方に耐性であることが示されている。
【0010】
これらの知見は、CB1レセプターサブタイプの選択的活性化を介する、食物摂取及び体重の増加における内因性及び外因性の両方のカンナビノイドレセプターアゴニストの明確な役割を示唆する。
【0011】
カンナビノイドレセプターリガンドの治療上の可能性は広範に論評されている(Exp. Opin. Ther. Pat. 1998, 8, 301-313; Exp. Opin. Ther. Pat. 2000, 10, 1529-1538; Trends in Pharm. Sci. 2000, 21, 218-224; Exp. Opin. Ther. Pat. 2002, 12(10), 1475-1489)。
【0012】
CB1レセプターアンタゴニスト/インバースアゴニストとして特徴付けられた少なくとも1つの化合物(SR-141716A)が、肥満の治療について臨床試験中であることが知られている。
【0013】
WO 00/15609、WO 01/64632、WO 01/64633及びWO 01/64634は、CB1レセプターアンタゴニストとしてのアゼチジン誘導体を開示する。WO 02/28346は、肥満の治療のための、CB1レセプターアンタゴニストとしてのアゼチジン誘導体とシブトラミンとの組合せを開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
医療用薬剤としての使用に適切にする薬物動態学的及び薬力学的な特性を有する低分子CB1レセプターアンタゴニスト/インバースアゴニストに対する医学上の必要性が残されたままである。CB1レセプターにより媒介される障害(特に摂食障害(特には肥満))の新たな治療に対する医学上の必要性もまた残されたままである。本発明の目的は、このような医療用薬剤及び治療を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
ここに、ある種のアゼチジン-1-カルボキサミドが抗肥満剤として予測し得ない効能を示すことが見出された。これら化合物は、以前に、不安及び癲癇の治療用にWO-A-99/37612に記載された。これらアゼチジン-1-カルボキサミドは、CB1レセプターサブタイプと高い親和性で選択的に結合することが示されている。この化合物は、マウスにおいて外因性に適用されたカンナビノイドレセプターアゴニスト(例えばΔ9-THC)の効果を用量依存的に遮断することが示されている。さらに、この化合物は、摂食行動のラットモデル及びマウスモデルの両方で、食物摂取及び体重増加を減少させることが示されている。
【0016】
本発明によれば、CB1レセプターにより媒介される障害の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくはプロドラッグの使用が提供される:
【化1】

(式中、
R1はアリールであり、
R2はH、アルキル又はアリールであり、
R3は水素又はアルキルである)。
【0017】
式(I)の活性化合物は、カンナビノイド-1(CB1)レセプターでのアンタゴニスト及び/又はインバースアゴニストであり、CB1レセプターにより媒介される疾患の治療、予防及び抑制に有用である。本発明は、CB1レセプターに選択的に拮抗するためのこれら化合物の使用、並びに肥満及びその他の障害の治療におけるそのような使用に関する。
【0018】
本明細書における「アルキル」基への言及は、分枝鎖又は非分枝鎖の、環式又は非環式の、飽和又は不飽和(例えばアルケニル(アリルを含む)又はアルキニル(プロパルギルを含む))の炭化水素基を意味する。環式又は非環式である場合、アルキル基は、好ましくはC1〜C12、より好ましくはC1〜C8(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル)である。したがって、本明細書中で使用される用語「アルキル」は、アルキル(分枝鎖又は非分枝鎖)、アルケニル(分枝鎖又は非分枝鎖)、アルキニル(分枝鎖又は非分枝鎖)、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルを含むと理解される。環式アルキル基はまた、モノブリッジ又は多ブリッジの環式アルキル基であり得る。好ましい実施形態では、環式アルキル基は、好ましくはC3〜C12、より好ましくはC5〜C8であり、非環式アルキル基は、好ましくはC1〜C10、より好ましくはC1〜C6、より好ましくはメチル、エチル、プロピル(n-プロピル又はイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、第三ブチル又はsec-ブチル)又はペンチル(n-ペンチル及びイソ-ペンチルを含む)、より好ましくはメチルである。
【0019】
本明細書中で使用されるように、用語「低級アルキル」は、分枝鎖又は非分枝鎖の、環式又は非環式の、飽和又は不飽和(例えば、アルケニル又はアルキニル)の炭化水素基を意味する。ここで、環式低級アルキル基はC5、C6又はC7であり、非環式低級アルキル基はC1、C2、C3又はC4である。したがって、本明細書で使用される用語「低級アルキル」は、低級アルキル(分枝鎖又は非分枝鎖)、低級アルケニル(分枝鎖又は非分枝鎖)、低級アルキニル(分枝鎖又は非分枝鎖)、シクロ低級アルキル、シクロ低級アルケニル及びシクロ低級アルキニルを包含することが理解される。好ましくは、低級アルキル基は好ましくは、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル又はイソプロピル)又はブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又は第三ブチル)から選択され、好ましくはメチルである。
【0020】
本明細書中での「アリール」基への言及は、単環式又は二環式の芳香族基(例えば、フェニル又はナフチル)を意味し、好ましくは単環式芳香族基を意味する。
【0021】
本明細書中での「へテロアリール」基への言及は、1又はそれ以上のへテロ原子、好ましくは1、2又は3のへテロ原子、好ましくは1又は2のへテロ原子を含有する芳香族基を意味する。好ましくは、へテロ原子は、O、S及びNから、好ましくはO及びNから選択される。好ましくは、へテロアリール基は5員又は6員の環系から構成される。へテロアリール基は、好ましくは単環式又は二環式の環系であり、好ましくは単環式である。例として、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル及びイソベンゾフリルが挙げられる。
【0022】
本明細書中での非芳香族複素環基への言及は、N、O及びSから選択される1、2又は3のへテロ原子(好ましくは1又は2のへテロ原子(好ましくはN及びOから選択される))を含有する飽和又は部分的に不飽和の4員、5員、6員又は7員の環をいう。例としては、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル及びピロリジニルが挙げられる。
【0023】
アルキル及びアリール基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。1つの実施形態においては、本明細書中でR1〜R3及びR9〜R13として定義されるアルキル及びアリール基のみが、置換され得る。置換されている場合、一般に1〜3の置換基、好ましくは1又は2の置換基が存在する。
【0024】
置換基としては、
炭素含有基、例えば
アルキル
アリール、アリールアルキル (例えば、置換及び非置換のフェニル、置換及び非置換のベンジル)
【0025】
ハロゲン原子及びハロゲン含有基、例えば
ハロアルキル (例えば、トリフルオロメチル)
【0026】
酸素含有基、例えば
アルコール (例えば、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、(アリール)(ヒドロキシ)アルキル)
エーテル (例えば、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル)
アルデヒド (例えば、カルボキシアルデヒド(carboxaldehyde))
ケトン (例えば、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニルアルキル)
酸 (例えば、カルボキシ、カルボキシアルキル)
酸誘導体、例えばエステル (例えば、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルオキシアルキル)
及びアミド (例えば、アミノカルボニル、モノ-又はジ-アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、モノ-又はジ-アルキルアミノカルボニルアルキル、アリールアミノカルボニル)
【0027】
窒素含有基、例えば
アミン (例えば、アミノ、モノ-又はジ-アルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-又はジ-アルキルアミノアルキル)
アジド
ニトリル (例えば、シアノ、シアノアルキル)
ニトロ
【0028】
硫黄含有基、例えば
チオール、チオエーテル、スルホキシド及びスルホン
(例えば、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオアルキル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアルキル)
【0029】
及び、1又はそれ以上(好ましくは1)のへテロ原子を含有する複素環基
(例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフリル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7-アザインドリル、イソインダゾリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリル、イソキノリル、ナフトリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンゾオキサジニル、キノキサジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル及びカルボリニル)
が挙げられ得る。
【0030】
アリール基がフェニルである場合、当該フェニルは、1又は2のへテロ原子(好ましくは、N、O及びSから、好ましくはN及びOから選択される)を任意に含有する5員又は6員の飽和環を形成する隣り合う置換基によって置換されていてもよい。この飽和環が2つの窒素原子を含有する場合、該環は、好ましくは6員環である。飽和環が2つの酸素原子を含有する場合、環は、5員又は6員の環であり得る。例としては、2,3-ジヒドロベンゾ[b]フラン-7-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b]チオフェン-6-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-8-イルが挙げられる。
【0031】
好ましい置換基としては、アルキル(ハロアルキルを含む)、アルコキシ(ハロアルコキシを含む)、アリール、ニトリル又はハロが挙げられる。好ましいハロゲン含有基としてはトリフルオロメチルが挙げられる。
【0032】
本明細書中で使用するように、用語「アルコキシ」はアルキル-O-を意味し、「アルコイル」はアルキル-CO-を意味する。
本明細書中で使用するように、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素基を意味し、好ましくはフッ素基又は塩素基を意味する。
【0033】
式(I)の化合物は、多くのジアステレオマー及び/又はエナンチオマーの形態で存在し得る。他に言及がなければ、本明細書中での「式(I)の化合物」への言及は、この化合物の全ての立体異性体形態をいい、混合物(ラセミ又は非ラセミ)での未分離の立体異性体及び精製形態の各立体異性体への言及を包含する。
【0034】
式(I)の化合物において、好ましくは、R1は置換又は非置換のフェニル又はナフチル(好ましくはフェニル)であり、より好ましくは、R1は置換されたフェニル又はナフチル(好ましくはフェニル)であり、より好ましくは、R1は1〜3の置換基を有するフェニル又はナフチル(好ましくはフェニル)であり、最も好ましくは、R1は1又は2の置換基を有するフェニル又はナフチル(好ましくはフェニル)である。好ましい置換基としては、アルキル、ハロ、ハロゲン含有基(例えば、ハロアルキル(特にハロメチル、例えばトリフルオロメチル))、チオアルキル、アルコキシ、アルキルスルホニル、及びモノ-又はジ-アルキルアミノカルボニルが挙げられる。特に好ましい置換基は、アルキル、ハロ、及びハロゲン含有基(例えば、ハロアルキル(特にハロメチル、例えばトリフルオロメチル))であり、より好ましくはハロ、及びハロゲン含有基(例えば、ハロアルキル(特にハロメチル、例えばトリフルオロメチル))である。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、R2は、アリール、好ましくは置換又は非置換のフェニル、より好ましくは置換されたフェニル、より好ましくは1〜3の置換基を有するフェニル、最も好ましくは1又は2の置換基を有するフェニルである。好ましい置換基としては、アルキル、ハロ、ハロゲン含有基(例えば、ハロアルキル(特にハロメチル、例えばトリフルオロメチル))、チオアルキル、アルコキシ、アルキルスルホニル、及びモノ-又はジ-アルキルアミノカルボニルが挙げられる。特に好ましい置換基は、アルキル、ハロ、及びハロゲン含有基(例えば、ハロアルキル(特にハロメチル、例えばトリフルオロメチル))であり、より好ましくはハロ、及びハロゲン含有基(例えば、ハロアルキル(特にハロメチル、例えばトリフルオロメチル))である。
【0036】
代替の実施形態において、R2はH又はアルキル(環式又は非環式)である。
【0037】
好ましい実施形態において、R3は、アルキルであり、好ましくはアルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、又は非置換で飽和の環式又は非環式の炭化水素から選択される。好ましくは、R3は、非環式炭化水素、好ましくは低級アルキルであり、1つの実施形態では置換されている。1又は2の置換基が存在し得、好ましくは1つの置換基が存在する。好ましい置換基は、本明細書の上記で言及した置換基であり、特にはヒドロキシ、アルコキシ、チオアルキル、アミノ、モノ-及びジ-アルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アリール(好ましくはフェニル)及び複素環基(へテロアリール及び非芳香族複素環基の両方を含む)である。R3が非環式アルキル基である場合、それは環式アルキル基で置換されていてもよく;R3が環式アルキル基である場合、それは非環式アルキル基で置換されていてもよい。置換基がへテロアリールである場合、へテロアリールは、好ましくは、1又はそれ以上のN、O又はS原子を含有する5員又は6員の環であり、好ましい基としてはチオフェニル、フラニル、イソオキサゾリル、チアゾリル及びベンゾチオフェニルが挙げられる。他の好ましい置換基としては、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、オキソピロリンジル(oxopyrrolindyl)及びベンゾジオキソリルが挙げられる。
【0038】
1つの実施形態において、R3は:
-(CHR9)n(CH2)mCR10R11R12
[式中、nは0又は1であり;
mは0、1、2又は3であり;
R9、R10、R11及びR12は、水素、アルキル(好ましくは低級アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは低級アルコキシ)、チオアルキル(好ましくはチオ低級アルキル)、アミノ、モノ-及びジ-アルキルアミノ(好ましくは低級アルキルアミノ)、アルコキシカルボニル(好ましくは低級アルコキシカルボニル)及びR13から選択され;
ここで、R13は、アルキル(好ましくは低級アルキル、好ましくはメチル)、ハロゲン(好ましくはフルオロ、クロロ及びブロモ)、アルコキシ(好ましくは低級アルコキシ、好ましくはメトキシ)、オキソ、アリール、へテロアリール及び非芳香族複素環から好ましくは選択される1又はそれ以上(好ましくは1又は2、好ましくは1)の基により任意に置換されていてもよい、アリール、へテロアリール及び非芳香族複素環から選択される]から選択される。
【0039】
好ましくは、mは0又は1又は2であり、好ましくは0又は1であり、好ましくは0である。
好ましくは、nは0である。
【0040】
1つの実施形態において、R10、R11及びR12の少なくとも1つ(より好ましくは少なくとも2つ)は水素から選択される。更なる実施形態では、R10、R11及びR12の少なくとも1つ(より好ましくは少なくとも2つ)はメチルから選択される。
【0041】
更なる実施形態において、R3は、環式アルキル(シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルナニル及びアダマンチルを含む)から選択され、好ましくはシクロペンチル及びシクロヘキシルから選択される。
【0042】
好ましいR3基は、第三ブチル、sec-ブチル、イソブチル、イソプロピル、n-プロピル及びエチルであり、特には第三ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びイソプロピルであり、特には第三ブチルである。
【0043】
式(I)の化合物としては、
R1 R2 R3
4-Cl-C6H4 4-Cl-C6H4 アリル
4-Cl-C6H4 4-Cl-C6H4 2-ヒドロキシプロピル
が挙げられる。
【0044】
本発明の更なる観点によれば、CB1レセプターによって媒介される障害の治療方法が提供され、その方法は、そのような治療を必要とする被検体への有効用量の式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくはプロドラッグの投与から構成される。
【0045】
本発明が指向する疾患及び障害は、精神病、精神分裂病、認知障害、注意欠陥障害、胃腸障害(例えば胃腸運動性の機能不全又は下痢)、禁煙、肥満及び過剰の食物摂取に伴うその他の摂食障害(過食症及び強迫的摂食障害を含む)、及び関連する健康合併症(インスリン非依存性真性糖尿病を含む)である。本発明は、特に、肥満及び過剰の食物摂取に伴うその他の摂食障害、及び関連する健康合併症(インスリン非依存性真性糖尿病を含む)を指向し、特には肥満及び過剰の食物摂取に伴うその他の摂食障害を指向し、特には肥満を指向する。
【0046】
代替の実施形態において、本発明は、禁煙及びその促進を指向する。
【0047】
更なる代替の実施形態において、本発明は、胃腸障害(例えば胃腸運動性の機能不全又は下痢)を指向する。
【0048】
本発明は、ヒト又は動物の被検体に関して、より好ましくは哺乳動物被検体に関して、より好ましくはヒト被検体に関して用いられ得る。
【0049】
本明細書中で使用されているように、本明細書で使用される用語「治療」は予防治療を包含する。
【0050】
本明細書中で使用されているように、用語「プロドラッグ」は、式(I)の化合物の医薬的に許容される任意のプロドラッグを意味する。例えば、式(I)の化合物は、遊離の−OH基が(例えば、エステル、アミド又はホスフェート結合を介して)適切な基(この基は、例えばアルキル、アリール、ホスフェート、糖、アミン、グリコール、スルホネート又は酸官能基を含有していてもよい)で誘導体化されているプロドラッグ形態で製造されてもよい。ここで、当該適切な基は、時として投与後又は所望の生物学的環境に曝されたとき、それが除去/切断(例えば加水分解により)されて式(I)の化合物が顕わになるように適切に不安定である。
【0051】
本明細書中で使用されているように、用語「医薬的に許容される塩」は、式(I)の化合物の医薬的に許容される任意の塩を意味する。塩は、医薬的に許容される非毒性の酸及び塩基(無機及び有機の酸及び塩基を含む)から製造され得る。このような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸(pamoic acid)、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。特に好ましいのは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及びメタンスルホン酸であり、最も特に好ましいのはメタンスルホン酸塩である。許容される塩基性の塩としては、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム)およびアルミニウムの塩が挙げられる。
【0052】
式(I)の化合物は、上記の障害の治療に有用な1又はそれ以上の追加の薬物との組合せで使用されてもよい。この成分は、同じ製剤中又は同時若しくは逐次投与用の別個の製剤中に存在する。
【0053】
式(I)の化合物は、反応スキーム1(Pは窒素保護基)に従って製造され得る。R1、R2及びR3は前述のとおりである。エーテル(IV)は、アゼチジノール(II)と、アリールアルカノール(III、X=OH)及びジエチルアゾジカルボキシレート及びトリフェニルホスフィンとの又はアリールアルキルのクロリド、ブロミド、ヨーダイド、メシレート若しくはトシレート(III、X=Cl、Br、I、メシレート、トシレート)及び強塩基(例えば水素化ナトリウム)との反応によって生成されてもよい。アゼチジン(V)の生成は、(IV)と適切な窒素脱保護剤との反応によって達成されてもよい。例えば、Pがジフェニルメチル基である場合、脱保護は、1-クロロエチルクロロホルメートでの処理に続くメタノールでの処理により実行されてもよい。尿素(I)は、アゼチジン(V)とN-アルキルイソシアネート又はN-アルキルカルバモイルクロリド及び塩基(例えばトリエチルアミン又は炭酸カリウム)との反応により生成される。或いは、尿素は、中間体(例えば第二級アミン(V))を単離することなく、アゼチジン(IV)から直接製造してもよい。例えば、Pがジフェニルメチル基であるとき、アゼチジン(IV)をホスゲンで処理し、続いてアミンR3NH2で処理して、尿素(I)を直接得てもよい。
【0054】
反応スキーム1
【化2】

式(I)の化合物(R1及びR2はアリールである)は、反応スキーム2(Pは窒素保護基)に従って製造され得る。R1、R2及びR3は前述のとおりである。エーテル(IV)は、水の除去(例えば標準的なディーン・スターク条件下での水の共沸除去)を伴うアゼチジノール(II)とベンズヒドロール(III、X=OH)との反応によって生成されてもよい。エーテル(IV)はまた、アゼチジノール(II)と、適切な脱離基で置換されたベンズヒドリル基(III、X=Cl、Br、I、メシレート、トシレート)及び強塩基(例えば水素化ナトリウム)との反応によって生成されてもよい。アゼチジン(V)の生成は、(IV)と適切な窒素脱保護剤との反応によって達成されてもよい。例えば、Pがベンズヒドリル基である場合、脱保護は、1-クロロエチルクロロホルメートでの処理に続くメタノールでの処理により実行されてもよい。脱保護されたアゼチジン(V)は、塩酸塩として直接単離できるか、又は塩基性化により遊離塩基として単離できる。尿素(I)は、アゼチジン(V)とN-アルキルイソシアネート又はN-アルキルカルバモイルクロリド及び塩基(例えばトリエチルアミン又は炭酸カリウム)との反応により生成することができる。或いは、尿素は、中間体のアゼチジン(V)を単離することなく、保護されたアゼチジン(IV)から直接製造してもよい。例えば、Pがベンズヒドリル基であるとき、アゼチジン(IV)をホスゲンで処理し、続いてアミンR3NH2で処理して、尿素(I)を直接得てもよい。アゼチジン(V)はまた、例えばトリホスゲンで処理することにより、対応するカルバモイルクロリド(VI)に変換してもよい。この中間体カルバモイルクロリド(VI)は、アミンR3NH2と反応して尿素(I)を与えことができる。
【0055】
反応スキーム2
【化3】

【0056】
本発明は更に、有効量の式(I)の化合物を、医薬的に許容される担体又は賦形剤と組み合せて含む医薬組成物、及び、有効量の式(I)の化合物を医薬的に許容される担体又は賦形剤と組み合せることからなるそのような組成物の製造方法を提供する。
【0057】
効力を更に増大させるために、組成物は、安定性及び分散性を補助する成分及び活性成分の代謝を減少させる成分、例えばデキストラン又はシクロデキストリン又はそれらのエーテル誘導体を含有してもよい。
【0058】
医薬的に許容される担体がシクロデキストリン又はそのエーテル誘導体を含む組成物のためには、活性成分は、混合前、混合の間又は混合後に更なる医薬的に許容される成分を任意に追加して、シクロデキストリン又はそのエーテル誘導体の水溶液と親密に混合する。このように得られた溶液は任意に凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥残留物は任意に水で再構成されてもよい。
【0059】
本発明の実施形態において、組成物は更に、緩衝系、等張化剤及び水を含む。
【0060】
式(I)の化合物は、経口使用に適切な形態(例えば、錠剤、カプセル剤、水性又は油状の溶液、懸濁液又は乳濁液)、局所使用(経粘膜的及び経皮的使用を含む)に適切な形態(例えば、クリーム、軟膏(ointment)、ゲル、水性若しくは油性の溶液若しくは懸濁液、軟膏(salve)、パッチ又は硬膏)、鼻使用に適切な形態(例えば、嗅剤、鼻スプレー又は点鼻剤)、膣又は直腸使用に適切な形態(例えば坐剤)、吸入による投与に適切な形態(例えば、微粉化した粉剤又は液体エアロゾル)、舌下又は頬腔(buccal)使用に適切な形態(例えば錠剤又はカプセル剤)、又は非経口的使用(静脈内、皮下、筋内、動脈内又は点滴を含む)に適切な形態(例えば、滅菌の水性又は油性の溶液又は懸濁液)で投与されてもよい。一般に、上記組成物は、薬学の分野における当業者に周知の標準的な技術を使用し、従来の賦形剤を使用して従来の様式で調製され得る。好ましくは、化合物は経口投与される。
【0061】
経口投与のためには、式(I)の化合物は、一般に、錠剤若しくはカプセル剤の形態で又は水性の溶液若しくは懸濁液として提供される。
【0062】
経口使用のための錠剤は、医薬的に許容される賦形剤(例えば、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤及び防腐剤)と混合された活性成分を含み得る。適切な不活性希釈剤としては、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カルシウム、及びラクトースが挙げられ、他方、コーンスターチ及びアルギン酸は適切な崩壊剤である。結合剤としてデンプン及びゼラチンを挙げてもよく、他方、滑沢剤は、存在する場合、一般にはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクである。所望であれば、錠剤は、胃腸管での吸収を遅延させるために、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンのような物質でコーティングされてもよい。
【0063】
経口使用のためのカプセル剤は、活性成分が固体希釈剤と混合されている硬カプセル剤(hard gelatin capsule)、及び、活性成分が水又は油(例えば落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油)と混合されている軟カプセル剤(soft gelatin capsule)を包含する。或いは、活性成分は、賦形剤、界面活性剤若しくは可溶化剤(例えばラブラフィル(Labrafil)(登録商標)、ラブラゾル(Labrasol)(登録商標)又はミグリオール(Miglyol)(登録商標))、又はそれらの適切な混合物と混合されてもよい。
【0064】
筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内の使用には、式(I)の化合物は、一般に、適切なpH及び等張性に緩衝化された滅菌の水性の溶液又は懸濁液で提供される。適切な水性ビヒクルとしてはリンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウムが挙げられる。水性懸濁液としては、懸濁化剤(例えば、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及びトラガカントゴム)及び湿潤剤(例えばレシチン)を挙げてもよい。水性懸濁液に適切な防腐剤としてはエチルp-ヒドロキシベンゾアート及びn-プロピルp-ヒドロキシベンゾアートが挙げられる。
【0065】
使用する投薬量レベルは、使用する化合物、患者が示す症状の重篤度及び患者の体重に依存して、かなりの広範囲にわたって変化し得ることが理解される。
【0066】
本発明は、ここで、以下の薬理学的な実施例を参照して詳細に記載される。この実施例は本発明の範囲を説明することを意図され、限定する意図はないことが理解される。
【実施例】
【0067】
実施例
合成実施例
1-(ジフェニルメチル)-3-アゼチジノールの製造
この化合物は、Anderson及びLok(J. Org. Chem., 1972, 37, 3953;この開示は本明細書中に参考として援用する)の方法に従って製造した(m.p. 111〜112℃(lit. m.p. 113℃))。
【0068】
3-(4-クロロベンジルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(1)の製造
DMF(100mL)中の1-ジフェニルメチル-3-アゼチジノール(25ミリモル)の溶液を、0℃にて、DMF(50mL)中のNaHの懸濁液(油中に60%分散, 30ミリモル)に加えた。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、次いで0℃にて4-クロロベンジルクロリド(25ミリモル)を滴下して加え、反応混合物を室温にて3時間撹拌した。反応物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し(3×50mL)、抽出物を水及び塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、そして真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー[SiO2;ヘキサン−酢酸エチル(9:1)]により精製して、生成物を黄色の油として得た(7.3g, 80%)。この物質を更に精製することなく次工程で使用した。
【0069】
実施例1.3-(4-クロロベンジルオキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(2)
ホスゲン溶液(トルエン中1.75M, 24ミリモル)を、0℃にて、CH2Cl2(40mL)中の化合物(1)(20ミリモル)の溶液に加えた。反応混合物を室温にて90分間撹拌し、真空下で濃縮し、次いでCH2Cl2(40mL)に再溶解し、そして0℃のアリルアミン(42ミリモル)で処理した。反応物を4時間室温にて撹拌し、次いで水(40mL)を加え、そして層を分離した。水性層を更なるCH2Cl2で抽出した(2×40mL)。有機層を希HCl(20ミリモル)及び塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、そして真空下で濃縮した。残留物を、ジエチルエーテルを用いてすり砕いて、生成物(2)を結晶固体として得た(3.5g, 60%)(m.p. 110-111℃)。以下を見出した:C, 59.84; H, 6.11; N, 9.98。C14H17ClN2O2は以下を必要とする:C, 59.89; H, 9.6.10; N, 9.97%。
【0070】
3-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(3)の製造
この物質は、1-ジフェニルメチル-3-アゼチジノール(6.0g)及びα,3,4-トリクロロトルエンから、化合物(1)について記載した手順を用いて製造した(収率92%)。
【0071】
実施例2.3-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(4)
この物質は、化合物(3)(9.2g)から、化合物(2)について記載した手順を用いて製造した(収率75%)(m.p. 88-89℃)。以下を見出した:C, 53.43; H, 5.18; N, 8.85, C14H16C12N202は以下を必要とする:C, 53.35; H, 5.12; N, 8.88%。
【0072】
3-(3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(5)の製造
この物質は、1-ジフェニルメチル-3-アゼチジノール(5g)及びα'-ブロモ-α,α,α-トリフルオロ-m-キシレンから、化合物(1)について記載した手順を用いて製造した(収率91%)。
【0073】
実施例3.3-(3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(6)
この物質は、化合物(5)(7.5g)から、化合物(1)について記載した手順を用いて製造した(収率64%)(m.p. 108℃)。以下を見出した:C, 57.29; H, 5.44; N, 8.87, C15H17F3N2O2は以下を必要とする:C, 57.32; H, 5.45; N, 8.91%。
【0074】
3-(4-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(7)の製造
この物質は、1-ジフェニルメチル-3-アゼチジノール(6.0g)及びα'-ブロモ-α,α,α-トリフルオロ-p-キシレンから、化合物(1)について記載した手順を用いて製造した(収率77%)。
【0075】
実施例4.3-(4-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(8)
この物質は、化合物(7)(7.7g)から、化合物(2)について記載した手順を用いて製造した(収率72%)(m.p. 120℃)。以下を見出した:C, 57.27; H, 5.45; N, 8.86。C15H17F3N2O2は以下を必要とする:C, 57.32; H, 5.45, N, 8.91%。
【0076】
3-(4-フルオロベンジルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(9)の製造
この物質は、1-ジフェニルメチル-3-アゼチジノール(6.0g)及び4-フルオロベンジルブロミドから、化合物(1)について記載した手順を用いて製造した(収率83%)。
【0077】
実施例5.3-(4-フルオロベンジルオキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(10)
この物質は、化合物(9)から、化合物(2)について記載した手順を用いて製造した(m.p. 97-99℃)。以下を見出した:C, 63.57; H, 6.59; N, 10.66。C14H17ClN2O2は以下を必要とする:C, 63.62; H, 6.48; N, 10.59。
【0078】
3-(ビス-(4-クロロフェニル)メトキシ-1-ジフェニルメチル)アゼチジン(11)の製造
ベンゼン(100mL)中の4,4'-ジクロロベンズヒドロール(25ミリモル)、p-トルエンスルホン酸(18.4ミリモル)及び1-(ジフェニルメチル)-3-アゼチジノール(8.4ミリモル)の溶液を、ディーン・スターク装置中で還流下に3時間加熱した。この溶液を冷却し、炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液, 100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、そして真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー[SiO2;ヘキサン−ジエチルエーテル(5:1)]により精製して、生成物(11)を濃厚な油(静置により結晶化)として得た(2.4g, 62%)。
【0079】
実施例6.3-(ビス(4-クロロフェニル)メトキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(12)
この物質は、化合物(11)から、化合物(2)について記載した手順を用いて、結晶固体として製造した(収率17%)。以下を見出した:C, 56.38; H, 5.10; N, 6.51。C20H20C12N2O2・2H2Oは以下を必要とする:C, 56.21; H, 5.66; N, 6.56%。
【0080】
実施例7.(R)-3-(ビス(4-クロロフェニル)メトキシ)-N-(2-ヒドロキシプロピル)アゼチジン-1-カルボキサミド(13)の製造
この物質は、化合物(11)及び(R)-(-)-1-アミノ-2-プロパノールから、化合物(2)について記載した手順を用いて、結晶固体として製造した(収率57%)。以下を見出した:C, 58.74; H, 5.42; N, 6.84。C20H22C12N2O3は以下を必要とする:C, 58.69; H, 5.42; N, 6.84%。
【0081】
実施例8.3-(3-トリフルオロメチル)ベンジルオキシ-N-アゼチジン-1-カルボキサミド(14)
0℃のジクロロメタン(15mL)中の3-(3-トリフルオロメチル)ベンジルオキシ-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(5)(5.3ミリモル)の溶液に、ホスゲンの溶液(トルエン中1.75M, 6.4ミリモル)を加えた。反応混合物を室温にて2時間撹拌し、真空下で濃縮し、次いでTHF(15mL)に再溶解し、そして水酸化アンモニウム(5mL)で処理した(0℃にて一度に(in one portion)加えた)。反応物を激しく15時間室温にて撹拌し、次いで水(50mL)及び酢酸エチル(40mL)を加え、そして層を分離した。水性層を酢酸エチルで抽出し(2×40mL)、乾燥し(MgSO4)、そして真空下で濃縮した。残留物を、酢酸エチル(10mL)を用いてすり砕いて、(14)を固体として得た(0.91g, 63%)(mp. 167℃(酢酸エチル))。
以下を見出した:C, 52.44; H, 4.72; N, 10.23。C14H17ClN2O2は必要とする:C, 52.56; H, 4.78; N, 10.21。
【0082】
3-(1-(3-トリフルオロメチルフェニル)エチルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(15)の製造
窒素下でかつ0℃に冷却したジクロロメタン(150mL)中のa-メチル-3-トリフルオロメチルベンジルアルコール(53ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(105ミリモル)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(63.1ミリモル)を滴下して10分間にわたって加えた。反応物を15時間撹拌した。水(200mL)を加え、得られた混合物を10分間撹拌し、炭酸カリウム(10%wt/wt水溶液, 200mL)に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した(3×150mL)。合わせた有機抽出物を塩水(50mL)で一度洗浄し、次いで乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮した。残留物をエチルエーテルに溶解し、そしてシリカのパッドに通して洗浄し、更なるエーテルで溶離した。濾液を真空下で濃縮した。この物質を、下記に示すように、直接使用した。
【0083】
ジメチルホルムアミド(20mL)中の1-ジフェニルメチル-3-アゼチジノール(42ミリモル)の溶液を、ピペットにより、0℃のジメチルホルムアミド(80mL)中のNaHの懸濁液(油中に60%分散, 50ミリモル)に加えた。反応混合物を室温にて15分間撹拌し、上記からの粗製物質(推定53ミリモル)を0℃のジメチルホルムアミド(30mL)中の溶液として滴下して加え、そして反応混合物を室温にて2時間撹拌した。反応物を水(200mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出し(3×50mL)、抽出物を水(200mL)及び塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、そして真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(SiO2;ヘキサン/酢酸エチル 9/1)により精製して、3-(1-(3-トリフルオロメチルフェニル)エチルオキシ)-1-(ジフェニルメチル)アゼチジン(15)を黄色の油として得た(11.2g, 収率65%)。この物質を更に精製することなく次工程で使用した。
【0084】
実施例9.3-(1-(3-トリフルオロメチルフェニル)エチルオキシ)-アゼチジン-1-カルボキサミド(16)
この物質は、化合物(15)から、化合物(14)について記載した手順を用いて、結晶固体として製造した(収率62%)(mp. 130.5-131.5℃(ジイソプロピルエーテル))。
以下を見出した:C, 54.24; H, 5.26; N, 9.69。C14H17ClN2O2は以下を必要とする:C, 54.17; H, 5.24.; N, 9.71。
【0085】
実施例9の個々のエナンチオマーは、キラルアルコールを使用したこと以外は化合物16について記載した同じ合成方法全体を用いて製造する。実施例9のR-エナンチオマーは、適切なキラル1-(3-トリフルオロメチル)フェニルエチルアルコールから製造した。キラルアルコールは、3'-トリフルオロメチル-アセトフェノンから、立体選択的還元により、例えばボラン及び適切なキラル補助基又はキラル触媒(Corey, EJ; Bakshi, RK; Shibata S. J. Amer. Chem. Soc., 1987, 109, 5551-5553又はPickard, ST and Smith, HE. J. Amer. Chem. Soc., 1990, 112, 5741-5747を参照)を用いて製造し得る。
【0086】
実施例10〜43 − 表1を参照
これら生成物は、化合物(2)について記載した手順を用いて製造した。
【0087】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0088】
表1の脚注
脚注a:IR: 3296, 2980, 2943, 2877, 1638, 1545, 1400, 1377, 1330, 1203, 1166, 1127, 1073, 706 cm-1
脚注b:IR: 3319, 2963, 2872, 1634, 1549, 1469, 1403, 1327, 1269, 1184, 1130, 1083, 818 cm-1
【0089】
実施例44.3-((3-クロロフェニル)メトキシ)-アゼチジン-1-カルボキサミド(51)
この物質は、化合物(1)から、化合物(14)について記載した手順を用いて、結晶固体として製造した(収率87%)(m.p. 163-165.5℃(ジイソプロピルエーテル)。
以下を見出した:C, 55.49; H, 5.45; N, 11.40。C11H13ClN2O2は以下を必要とする:C, 54.89; H, 5.44.; N, 11.63。
【0090】
アッセイ手順
CB1レセプターへの結合
式Iの化合物の組換えヒトCB1レセプターへの結合は、インビトロで、Rinaldi-Carmonaら(Rinaldi-Carmona, M., Pialot, F., Congy, C., Redon, E., Barth, F., Bachy, A., Breliere, J. C., Soubre, P., LeFur, G., Life Sci. 1996, 58(15), 1239-1247)により記載された手順を参照して標準的な方法により決定した。組換えhCB1レセプターを発現するHEK293細胞から膜を調製した。結合アッセイは、[3H]-SR-141716A(1nM最終濃度)、膜及び試験化合物を含有する総量250μLで実施する。非特異的結合は、CP55,940(10μM)を使用して決定する。系列希釈は、DMSO中の10mM溶液としての試験化合物から出発して実施する。化合物は、10-10M〜10-5Mの濃度範囲にわたって試験する。Ki値は、Cheng-Prusoff式を使用してIC50値から算出する。
【0091】
このように決定した式(I)の化合物の活性を表2に示す。
【表2】

【0092】
マウスにおけるΔ9-THC誘導性低歩行運動の遮断
式(I)の化合物のインビボ活性を、雄性C57B1/6マウスにおいてΔ9-THC急性全身投与により誘導した歩行運動挙動の減少に拮抗する能力についてアッセイする。手順は以下のとおりであった。
【0093】
試験化合物は、30mg/kgの用量での急性経口又は腹腔内投与後にアッセイする。各研究は、被検体間計画(代表的にはn=8)を利用し、試験薬剤の用量の効果をビヒクル及びポジティブコントロールのそれと比較する。
【0094】
試験化合物投与の経路、薬物容量及び注入−試験間隔は、使用する化合物に依存する。試験の10分前に、3mg/kg用量Δ9-THC(又はビヒクル)をマウスにi.p.経路で投与する。自動化ボックス(AM-1052活動モニター、Benwick Electronics、Linton Instrumentation)を使用して、歩行運動活動の尺度としてフォトセルビームの中断を記録する。光ビームを金属グリッド上に7×4マトリクスで配備する。16のグリッドを直列に接続し、各グリッドに、穿孔された平坦なPerspex蓋を有するPerspexボックス(20(幅)×40(長さ)×20(高さ)cm)を配置する。マウスをPerspexボックスに一匹ずつ配置し、16の全てのボックスでの活動の記録を同時に開始する。マウスを平穏に放置して15分間この奇抜な活動モニターボックスを探索させる一方で、ビーム中断を記録する。
【0095】
歩行運動活動データを、被検体間因子として薬物処置を用いて一元配置分散分析(ANOVA)に付する。どの処置手段がコントロール平均と有意に差があるかを評価するために、Dunnett検定の成績により顕著な主たる効果を追跡する。ビヒクル/Δ9-THC群と試験化合物/Δ9-THC群との間の有意差を、Newman-Keuls検定により評価する。全ての統計学的分析を、Statistica Software Version 6.0(Statsoft Inc.)及びMicrosoft Excel 7.0(Microsoft Corp.)を用いて実行した。
【0096】
摂食行動の調節
食餌制限をしたListerフードを被せた雄性ラット(male food-deprived Lister-hooded rat)における食餌消費量を測定することによって摂食行動を調節する能力について式(I)の化合物のインビボ活性を以下のとおりアッセイする。
【0097】
試験化合物を急性投与後に評価する。各研究は、被検体間計画(代表的にはn=8)を利用し、試験薬剤の用量の効果をビヒクル及びポジティブコントロールのそれと比較する。
【0098】
食欲抑制薬シブトラミン又は参照CB1レセプターアンタゴニストSR141716Aを、通常、ポジティブコントロールとする。薬物投与の経路、薬物容量及び注入−試験間隔は、使用する化合物に依存する。注入−試験間隔は、投薬と食餌再提示との間の時間である。代表的には、食餌再提示の時点で18時間食餌が与えられていないように動物を絶食させる。食餌消費量を所定の時点(代表的には投与の1、2及び4時間後)でアッセイする。食餌摂取データを被検体間因子として薬物を用いて一元配置分散分析(ANOVA)に付する。どの処置手段がコントロール平均と有意に差があるかを評価するために、Dunnett検定の成績により顕著な主たる効果を追跡する。全ての統計学的分析を、Statistica Software Version 6.0(Statsoft Inc.)及びMicrosoft Excel 7.0(Microsoft Corp.)を用いて実行した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CB1レセプターにより媒介される障害の治療のための医薬の製造における、式(I)
【化1】

(式中、
R1はアリールであり、
R2はH、アルキル又はアリールであり、
R3は水素又はアルキルである)
の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくはプロドラッグの使用。
【請求項2】
R1が置換又は非置換のフェニル又はナフチルである請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R1が1、2又は3の置換基を有する請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
R1がクロロフェニル又は(トリフルオロメチル)フェニルである請求項1、2又は3に記載の使用。
【請求項5】
R2がアリールである請求項1、2、3又は4に記載の使用。
【請求項6】
R3がアルキルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
化合物が3-(ビス(4-クロロフェニル)メトキシ)-N-(2-プロペニル)アゼチジン-1-カルボキサミド及び(R)-3-(ビス(4-クロロフェニル)メトキシ)-N-(2-ヒドロキシプロピル)アゼチジン-1-カルボキサミドから選択される請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬が、医薬的に許容される担体と、活性成分として有効量の式(I)の化合物を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
治療を必要とする被検体への有効用量の請求項1〜8のいずれか1項に規定される式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩若しくはプロドラッグの投与を含む、CB1レセプターによって媒介される障害の治療方法。
【請求項10】
障害が、精神病、精神分裂病、認知障害、注意欠陥障害、胃腸障害、禁煙、肥満及び過剰の食物摂取に伴うその他の摂食障害、及びインスリン非依存性真性糖尿病から選択される請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用又は方法。
【請求項11】
障害が肥満である請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用又は方法。
【請求項12】
禁煙のための請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用又は方法。
【請求項13】
障害が胃腸障害である請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用又は方法。

【公表番号】特表2006−525297(P2006−525297A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506193(P2006−506193)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001812
【国際公開番号】WO2004/096209
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(505406637)ヴァーナリス リサーチ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】VERNALIS RESEARCH LIMITED
【住所又は居所原語表記】Oakdene Court,613 Reading Road,Winnersh RG41 5UA,United Kingdom
【Fターム(参考)】