説明

治療のためのエキソ−S−メカミラミンの方法、使用、及び化合物

本発明は、エキソ-S-メカミラミン及び薬物治療におけるエキソ-S-メカミラミンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年7月14日出願の米国特許仮出願第61/225,435号、及び2010年6月28日出願の米国特許仮出願第61/359,114号の優先権及び利益を主張し、それぞれ、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、エキソ-S-メカミラミン及び医学的処置におけるエキソ-S-メカミラミンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,101,916号は、薬学的に許容される担体と組み合わせてエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まない、治療有効量のエキソ-S-メカミラミン又は薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物を提供する。さらに、米国特許第7,101,916号は、そのエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まない、治療有効量のエキソ-S-メカミラミン又は薬学的に許容されるその塩を投与することにより、医学上の状態の治療を提供する。医学上の状態は、それだけには限らないが、(ニコチン、コカイン、アルコール、アンフェタミン、オピアート、他の覚醒剤及びそれらの組み合わせを含めた)薬物耽溺、禁煙を補助すること、禁煙に伴う体重増加を治療すること、高血圧、高血圧クライシス、ヘルペスI型及びII型、トゥレット症候群及び他の振戦、癌(小細胞肺癌など)、アテローム生成のプロファイル、神経精神医学的な障害(双極性障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、発作性疾患、パーキンソン病及び注意欠陥多動障害など)、慢性疲労症候群、クローン病、自律神経異常反射、及び収縮刺激性腸管障害が含まれる。
【0004】
大うつ病性障害(MDD)を含めたうつ病の治療に重点を置いて、米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health:NIMH)により、およそ1480万人の米国成人がMDDに罹患すると推定されている。うつ病を軽減するための連続させた代替治療法(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression)、すなわちSTAR*D、試験は、2001年から2006年の間にNIMHによって行われ、現在利用可能なMDDのための療法の不十分さを際立たせた。試験の参加者のおよそ63%は、シタロプラム単独のSSRIレジメンによる初期の治療後に寛解を達成しなかった。増強療法は、一次治療で解決しないうつ病の症状の治療に有用となり得る。Rushら、Acute and Longer-Term Outcomes in Depressed Outpatients Requiring One or Several Treatment Steps:A STAR*D Report、American Journal of Psychiatry、2006年11月;163号:1905〜1917頁を参照のこと。
【0005】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第US2008/0058345号では、抗うつ薬と組み合わせた又は同時投与によるメカミラミン又はその塩は、奏効が部分的な奏効であるか全く奏効がないかに関わらず、従来の療法に十分に奏効しない大うつ病性障害に罹患した個体を治療するために特に有用であることを示している。記載の通り、大うつ病性障害などの気分障害に罹患した患者の大部分は、彼らの症状の部分的な軽減を経験しているに過ぎない又は、実際に、全く奏効していない。前述したように、SSRIは、約30%と推定される非奏効性のレベルを有する。しかし、従来の療法への補助としてメカミラミン又はその塩による治療は、その隔たりを縮めると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,101,916号
【特許文献2】米国特許出願公開第US2008/0058345号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Acute and Longer-Term Outcomes in Depressed Outpatients Requiring One or Several Treatment Steps:A STAR*D Report、American Journal of Psychiatry、2006年11月;163号:1905〜1917頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の療法への部分的な若しくは非奏効者である対象において、寛解若しくは奏効のための治療を含めた症候の軽減へのある特定の焦点を有する、大うつ病性障害を含めたうつ病の有効な治療が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対するうつ病の1種又は複数の症状を低減する方法が含まれる。同様に、他の態様には、うつ病の1種又は複数の症状を低減するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、うつ病の1種又は複数の症状を治療するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0010】
本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対するうつ病の1種又は複数の症状をなくす方法が含まれる。同様に、他の態様には、うつ病の1種又は複数の症状をなくすための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、うつ病の1種又は複数の症状をなくすための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0011】
本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対するうつ病の1種若しくは複数の症状からの寛解率又は奏効率を増加する方法が含まれる。同様に、他の態様には、うつ病の1種若しくは複数の症状からの寛解率又は奏効率を増加するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、うつ病の1種若しくは複数の症状からの寛解率又は奏効率を増加するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0012】
本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対する寛解又は奏効のためにうつ病の1種若しくは複数の症状を治療する方法が含まれる。同様に、他の態様には、寛解又は奏効のためにうつ病の1種若しくは複数の症状を治療するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、寛解又は奏効のためにうつ病の1種若しくは複数の症状の治療のためのエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0013】
それぞれの態様のいくつかの実施形態において、1種又は複数の症状は、認知、注意、記憶、及び思考の速度の1種又は複数に関連し、ベースラインからの対象全般印象(Subject Global Impression)(認知尺度)の変化によって測定がなされる。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、1種又は複数の症状は、HAM-D、シーハン能力障害尺度(Sheehan Disability Scale)、又はシーハン易怒性尺度(Sheehan Irritability Scale)の一つ又は複数によって測定される。
【0014】
本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、抑うつの対象において認知機能を改善する方法が含まれる。同様に、他の態様には、抑うつの患者において認知機能を改善するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、抑うつの患者において認知機能を改善するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0015】
他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、対象において易怒性を低下させるための方法が含まれる。同様に、他の態様には、易怒性を低下させるための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、易怒性を低下させるための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0016】
他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、抑うつの対象において易怒性を低下させるための方法が含まれる。同様に、他の態様には、抑うつの患者において易怒性を低下させるための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用が含まれる。同様に、他の態様には、抑うつの患者において易怒性を低下させるためのエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが含まれる。
【0017】
それぞれの態様のいくつかの実施形態において、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンは、少なくとも1種の他の治療に対して部分奏効者又は非奏効者である患者に投与される。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の他の治療は、うつ病を治療するために用いられる抗うつ薬又は統合失調症治療薬であった。いくつかの実施形態において、抗うつ薬は、SSRI又はSNRIである。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの用量は、毎日1mg又は2mgである。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、開始の速度、すなわちはっきりと認識できる効果までの時間の長さは、早くて約2週間である。このような観点から、時間は、効果の開始を除くものとして解釈されるべきではなく、より早期、すなわち1週間又は1日程度となり得る。むしろ、それぞれの態様のいくつかの実施形態には、薬物投与の約2週間以内に発現する効果が含まれる。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンは、少なくとも8週間の持続した効果を維持する。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与は、従来の療法よりも高い治療係数をもたらす。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与は、一次療法よりも高い治療係数をもたらす。それぞれの実施形態のある態様において、対象は、失認、注意欠陥、易怒性、不安、能力障害、生活の質の低下、又は記憶欠損の1種又は複数を特徴とするうつ病と診断される。
【0018】
本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン、及び1種又は複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬を含む組み合わせが含まれる。一実施形態では、組み合わせは、一緒に又は別々に、順次又は同時に、及び互いに近い時間の幅又は離れている時間の幅で投与されるそれぞれの有効成分を含む別々の剤形として行われ得る。本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン、1種又は複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬、及び発病を治療する、遅らせる、寛解率若しくは奏効率を増加させる、又はうつ病の1種又は複数の症状の進行を遅らせるための治療レジメンに関する指示とを含むキットが含まれる。一実施形態では、このようなキットは、ブリスター包装などの包装を含むこともできる。あるいは、このようなキットは、個別の処方及び別々に包装された医薬品としての各成分の投薬を提供することができるが、治療レジメンに関する指示と合わせたとき、このようなものは、本発明の範囲内であるものとする。このような観点から、かかる治療を処方された患者の根底にある診断は、任意の特定の障害である必要はない。むしろ、本発明は、疾患、障害、又は状態に関わらず、失認、注意欠陥、易怒性、不安、能力障害、生活の質の低下、又は記憶欠損の1種若しくは複数の対症療法を含むことができる。一実施形態では、本発明は、大うつ病性障害を対象とするが、本発明は、それに限定されるものではない。
【0019】
本発明の他の態様には、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンと、1種又は複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬と、1種又は複数の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が含まれる。一実施形態では、医薬組成物は、単位剤形となり得る。それぞれの態様のいくつかの実施形態において、抗うつ薬は、SSRI又はSNRIである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ハミルトンうつ病評定尺度(Hamilton depression rating scale)(HAMD≦7)によって測定された通り寛解率(HAM-D≦7)(ITT)を示す図である。プラセボとの隔たりは、2週目に示された。
【図2】寛解(QIDS-SR≦5)率(ITT N=265)を評定した対象を示し、QIDS-SR(≦5)における寛解率を例示している図である。プラセボとの隔たりは、2週目に示された。
【図3】奏効(QIDS-SR≧50%)率(ITT N=265)を評定した対象を示し、QIDS(ベースラインから評価項目の50%低減)における奏効率を例示する図である。隔たりは、1週目に示された。
【発明を実施するための形態】
【0021】
別段の記載がない限り、本明細書で用いられる、以下の用語及び語句は、以下の意味を有するものとする。ある特定の用語又は語句が特に定義されないという事実は、不定性又は明瞭さの欠如に関連付けられるべきではないが、むしろ本明細書中の用語は、これらの通常の意味の範囲内で用いられる。商品名が本明細書で用いられるとき、出願人は、商標製品及び商標製品の1種(又は複数)の原薬(API)を独立に含むものとする。
【0022】
ハミルトンうつ病評定尺度(HDRS)としても公知の又はHAM-D若しくはHAMDと省略される、うつ病に関するハミルトン評定尺度(HRSD)は、臨床医が患者の大うつ病の重症度を評定するために用いることができる複数の選択質問票である(Hamilton 1967年)。質問票は、気分の落ち込み、不眠、激越、不安及び体重減少などのうつ病において観察される症状の重症度を評定する。質問票は、現在医学研究においてうつ病を評定するために最も一般的に用いられる尺度の一つである。臨床医は、患者にインタビューすることによって及び患者の症状を観察することによってそれぞれの質問への有り得る奏効を選択する。それぞれの質問は、重症度を増加する複数の有り得る奏効を有する。ハミルトンの元の尺度は、17の質問を有したが、その後、別の研究者らは質問数が異なるHRSD尺度を開発し、その最大数は、29個である(HRSD-29)。臨床医は、モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)(MADRS)、ベックうつ病項目表(Beck Depression Inventory)(BDI)、ツング自己評定うつ病尺度(Zung Self-Rating Depression Scale)、ウェックスラーうつ病評定尺度(Wechsler Depression Rating Scale)、ラスキンうつ病評定尺度(Raskin Depression Rating Scale)、抑うつ症状尺度(Inventory of Depressive Symptomatology)(IDS)、簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology)(QIDS)、及び他の質問票の代わりに又はこれらと併せてHRSDを用いることができる。
【0023】
モンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRSと省略)は、精神科医が気分障害を有する患者におけるうつ病エピソードの重症度を測定するために用いることができる10項目の診断の質問票である(Montgomeryら 1979年)。HAMDよりも抗うつ薬及び治療の他の形態によってもたらされる変化により感受性がある、うつ病に関するハミルトン評定尺度(HAMD)への補助として1979年に英国及びスウェーデンの研究者らによって設計された。しかし、二つの測定値のスコア間に高度の統計上の相関がある。
【0024】
シーハン能力障害尺度(SDS)は、その一般的な設計のために精神科だけでなく他の多くの慢性の医学的疾患にも広く用いられている。これは、機能における障害を測定する。この尺度は、四つのスコア、すなわち、作業能力障害スコア、社会生活能力障害スコア、家庭生活能力障害スコア及び総体スコアを生成する。総体スコアは、三つの個別のスコア(作業:社会生活:家庭生活)の加算により生成される。有り得る最高スコアは、30である。
【0025】
30項目の抑うつ症状尺度(IDS)(Rushら 1986年、1996年)及び16項目の簡易抑うつ症状尺度(QIDS)(Rushら 2003年)は、うつ病症状の重症度を評価するために設計されている。IDS及びQIDSは共に、臨床医(IDS-C30及びQIDS-C16)及び自己評定版(IDS-SR30及びQIDS-SR16)において利用可能である。IDS及びQIDSは、American Psychiatry Association Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders - 第4版(DSM-IV)(APA 1994年)によって指定されたすべての基準症状ドメインを評価して、大うつ病エピソードを診断する。これらの評価は、症状の重症度の測定値として優先的に用いられているが、うつ病のスクリーニングのために用いることができる。評価前の7日間は、症状の重症度を評価するための通常の時間枠である。QIDS-C30及びQIDS-SR16は、非定型の症状、憂鬱症状又はこれらの一般的に関連する症状を評価するための項目を含まない大うつ病エピソードを特徴付けるために用いられる、九つの診断症状ドメインのみを包含する。QIDSの16項目はすべてIDSの中に含まれる。IDS-C30及びIDS-SR16には、基準症状、並びに一般に関連する症状(例えば、不安、易怒性)及び憂鬱に関連する項目、又は非定型の症状の特徴が含まれる。両方のバージョンは、研究及び臨床目的のために有用になる薬剤、精神療法、又は身体の治療による、変化に対して感受性である。IDS及びQIDSの心理測定的な特性は、どちらも様々な試験サンプルにおいて確立されている。Rush AJ、Trivedi MH、Ibrahim HMら、The 16-item Quick Inventory of Depressive Symptomatology(QIDS)、Clinician Rating(QIDS-C)、and Self-Report(QIDS-SR):a psychometric evaluation in patients with chronic major depression.Biol Psychiatry.;54巻:573〜583頁(2003年)を参照のこと。
【0026】
臨床全般印象評定尺度は、精神障害を有する患者の治療試験における症状の重症度、治療奏効及び治療の効力の一般に用いられる測定である(Guy、W.、1976年)。臨床全般印象-重症度尺度(CGI-S)は、同じ診断を有する患者との臨床医の過去の経験に対して、評価時に、臨床医が患者の病気の重症度を評定することを必要とする7点尺度である。全臨床経験を考慮して、患者は、評定時の精神疾患の重症度について評価される。
【0027】
臨床全般印象-改善尺度(CGI-I)は、患者の病気が介入の開始時のベースライン状態に関してどれくらい改善する又は悪化するかを評価することを臨床医に求める、7点尺度である。臨床全般印象効果指数(Clinical Global Impression Efficacy Index)は、治療の治療効果を評価する4点×4点評定尺度である。
【0028】
本明細書で用いられる場合、頭文字SSRIは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬又はセロトニン特異的再取り込み阻害薬、すなわち、うつ病、不安障害、及びいくつかの人格障害の治療において抗うつ薬として通常用いられる化合物の化合物クラスのクラスを意味する。SSRIは、セロトニン取り込み阻害薬のサブクラスを形成し、これには、同様に他の非選択的阻害薬が含まれる。セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬及び選択的セロトニン再取り込みエンハンサーはまた、セロトニン作動性の抗うつ薬である。従来の又は一次SSRIの非限定的な例には、シタロプラム(Celexa(商標)、Cipramil(商標)、Cipram(商標)、Dalsan(商標)、Recital(商標)、Emocal(商標)、Sepram(商標)、Seropram(商標)、Citox(商標));ダポキセチン(Priligy(商標));エスシタロプラム(Lexapro(商標)、Cipralex(商標)、Esertia(商標));フルオキセチン(Prozac(商標)、Fontex(商標)、Seromex(商標)、Seronil(商標)、Sarafem(商標)、Ladose(商標)、Fluctin(商標)(EUR)、Fluox(商標)(NZ)、Depress(商標)(UZB)、Lovan(商標)(AUS));フルボキサミン(Luvox(商標)、Fevarin(商標)、Faverin(商標)、Dumyrox(商標)、Favoxil(商標)、Movox(商標));インダルピン(indalpine)(Upstene(商標))(製造中止);パロキセチン(Paxil(商標)、Seroxat(商標)、Sereupin(商標)、Aropax(商標)、Deroxat(商標)、Divarius(商標)、Rexetin(商標)、Xetanor(商標)、Paroxat(商標)、Loxamine(商標));セルトラリン(Zoloft(商標)、Lustral(商標)、Serlain(商標));及びジメリジン(Zelmid(商標)、Normud(商標))(製造中止)が含まれる。SNRIの非限定的な例には、ベンラファキシン(Effexor(商標));デスベンラファキシン(Pristiq(商標));デュロキセチン(Cymbalta(商標)、Yentreve(商標));ミルナシプラン(Dalcipran(商標)、Ixel(商標)、Savella(商標));レボミルナシプラン(Levomilnacipran);シブトラミン(Meridia(商標)、Reductil(商標));ビシファジン(Bicifadine)(DOV-220,075);及びSEP-227162が含まれる。
【0029】
統合失調症治療薬が用いられ得る一般的な状態には、統合失調症、双極性障害及び妄想性障害が含まれる。統合失調症治療薬はまた、精神病性うつ病を含めた、うつ病などの、広範囲の他の診断に関連する精神病に対抗するために使われ得る。さらに、これらは、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定剤、向知性薬、抗攻撃薬(anti-aggressive)、抗衝撃薬(anti-impulsive)、自殺防止薬(anti-suicidal)、及び催眠(睡眠)薬として用いてもよい。本明細書で用いられる場合、従来の若しくは一次統合失調症治療薬には、それだけには限らないが、ハロペリドール(Haldol(商標)、Serenace(商標))及びドロペリドール(Droleptan(商標))を含めたブチロフェノン;クロルプロマジン(Thorazine(商標)、Largactil(商標))、デカノアートの形態で利用可能でもあるフルフェナジン(Prolixin(商標))、ペルフェナジン(Trilafon(商標))、プロクロルペラジン(Compazine(商標))、チオリダジン(Mellaril(商標))、トリフルオペラジン(Stelazine(商標))、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフルプロマジン(Vesprin(商標))、レボメプロマジン(Nozinan(商標))、プロメタジン(Phenergan(商標))、及びピモジド(Orap(商標))を含めた、フェノチアジン;クロルプロチキセン(Cloxan(商標)、Taractan(商標)、Truxal(商標))、クロペンチキソール(Sordinol(商標))、フルペンチキソール(Depixol(商標)、Fluanxol(商標))、チオチキセン(Navane(商標))、ズクロペンチキソール(Cisordinol(商標)、Clopixol(商標)、Acuphase(商標))を含めた、チオキサンテン;クロザピン(Clozaril(商標))、オランザピン(Zyprexa(商標))、リスペリドン(Risperdal(商標))、クエチアピン(Seroquel(商標))、ジプラシドン(Geodon(商標))、アミスルプリド(Solian(商標))、アセナピン(Saphris(商標))、パリペリドン(Invega(商標))、イロペリドン(Fanapt(商標))、ゾテピン(Nipolept(商標)、Losizopilon(商標)、Lodopin(商標)、Setous(商標))、及びセルチンドール(Serdolect(商標)、及びメキシコにおいてSerlect(商標))を含めて、非定型の統合失調症治療薬とも称される、第二世代統合失調症治療薬;アリピプラゾール(Abilify(商標))、ビフェプルノクス(bifeprunox)、カンナビジオール、テトラベナジン、及びLY2140023を含めた代謝型グルタミン酸受容体2アゴニストを含めた、第三世代統合失調症治療薬が含まれる。
【0030】
メカミラミン(N,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.1.1]ヘプタン-2-アミン塩酸塩、826-39-1)は開発され、臨床的に重要な降圧作用を有する神経節遮断薬として、Merck & Co., Inc.によって特徴付けられた(Stoneら、J Med Pharm Chem 5巻(4号):665〜90頁、1962年)。好ましい命名規則に依存して、メカミラミンの化学名はまた、N,2,3,3-テトラメチルノルボルナン-2-アミンとなり得る。化学名を生成するある特定の命名規則の使用は、本発明の範囲に影響を与えるべきではない。
【0031】
本明細書で別段の記載がない限り、「メカミラミン」という用語は、メカミラミン、ラセミ混合物としての立体異性体を意味し、又は精製された別々の鏡像異性体、類似体、遊離塩基、及び/又はそれらの塩の一つをも意味し得る。メカミラミンは、メカミラミンを生成する方法に関するその教示のために参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,986,142号に記載の方法及びプロセスに従って得ることができる。精製されたエキソ-S-メカミラミン及びエキソ-R-メカミラミンは、精製されたメカミラミン鏡像異性体の生成に関するその教示のために参照により本明細書にも組み込まれる、米国特許第7,101,916号において論じる方法及びその中で引用される参照に従って得ることができる。エキソ-S-メカミラミンはまた、S-メカミラミン、TC-5214、又は(S)-N,2,3,3-テトラメチルノルボルナン-2-アミンとも称することができ、薬学的に許容されるその塩を含む。
【0032】
本明細書における参照について、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンには、エキソ-S-メカミラミンが、95重量%を超え、エキソ-R-メカミラミンが5重量%未満である場合が含まれる。より好ましくは、実質的に純粋なエキソ-S-メカミラミンは、98重量%を超え、エキソ-R-メカミラミンは、2重量%未満である。より好ましくは、実質的に純粋なエキソ-S-メカミラミンは、99重量%を超え、エキソ-R-メカミラミンは、1重量%未満である。さらにより好ましくは、実質的に純粋なエキソ-S-メカミラミンは、99.5重量%を超え、エキソ-R-メカミラミンは、0.5重量%未満である。最も好ましくは、実質的に純粋なエキソ-S-メカミラミンは、99.7重量%を超え、エキソ-R-メカミラミンは、0.3重量%未満である。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「薬学的に許容される」という用語は、配合物の他の成分に適合され、医薬組成物のレシピエントに有害でない、1種(又は複数)の担体、1種(又は複数)の賦形剤、1種(又は複数)の添加剤、又は本発明の化合物の塩の形態を意味する。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「医薬組成物」という用語は、場合によっては、1種又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は添加剤と混合した本発明の化合物を意味する。医薬組成物は、好ましくは、製造及び商品化目的のためにそれらが適するように環境条件へのある程度の安定性を示す。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「有効量」、「治療量」及び「有効用量」という用語は、所望の薬理学的効果又は治療効果を引き出すのに十分な本発明の化合物の量を意味し、したがって、障害の有効な治療をもたらす。障害の治療は、障害の発生又は進行並びに障害に伴う症状の発生又は進行を遅延させる又は防止することにより明らかにされ得る。障害の治療は、症状の減少又は除去、障害の進行の逆転、並びに患者の幸福への任意の他の寄与によっても明らかにされ得る。
【0036】
有効用量は、患者の状態、障害の症状の重症度、及び医薬組成物が投与される方式などの因子に応じて変わり得る。有効用量で投与されるために、化合物は、約0.1mgから約1000mg;いくつかの実施形態では、約0.1mgから10mg;いくつかの実施形態では、約1mgから約5mgという低い量で投与され得る。したがって、有効用量は通常、単一用量として、又は24時間にわたって投与することができる1回若しくは複数回の用量として投与することができる量を表す。用量は、1日1回でもよく1日2回(BID)、1日3回(QD)、1日4回(QID)、又はそれ以上の用量を提供するように分けてもよい。米国特許第7,101,916号で述べた通り、エキソ-S-メカミラミンは、静脈内、筋肉内、経皮的、くも膜下腔内、経口投与することができる又はボーラス注入によって投与することができる。エキソ-S-メカミラミンの用量は、約0.5mgから約1000mgであり、剤形に応じてエキソ-S-メカミラミンは、1日に1から4回投与することができる。いくつかの実施形態では、有効用量は、遊離塩基当量として、1日2回、経口で約1mg、約2mg、又は約4mgである。
【0037】
本発明には、塩の溶媒和物などのそれらの組み合わせを含めて、本明細書に記載される化合物の塩又は溶媒和物が含まれる。化合物は、溶媒和した、例えば水和させた、並びに溶媒和しない(unsolvated)形態で存在することができ、本発明は、かかるすべての形態を包含する。通常、絶対的ではないが、本発明の塩は、薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」という用語の範囲内で包含される塩は、本発明の化合物の非毒性の塩を意味する。適当な薬学的に許容される塩の例には、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、及び硝酸塩などの無機酸付加塩;酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びアスコルビン酸塩などの有機酸付加塩;アスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩などの酸性のアミノ酸との塩;ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩及びカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、及びN,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機塩基性の塩;及びリシン塩及びアルギニン塩などの塩基性アミノ酸との塩が含まれる。塩は、いくつかの場合では、水和物又はエタノール溶媒和物であり得る。いくつかの実施形態では、S-メカミラミン塩酸塩は、優先的な塩の形態である。
【0038】
バルク活性化学物質の形態で本発明の化合物を投与することが可能であるが、医薬組成物又は配合物の形態で化合物を投与することが好ましい。したがって、本発明の一態様には、式Iの1種若しくは複数の化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩及び1種若しくは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は添加剤を含む医薬組成物が含まれる。本発明の他の態様は、式Iの1種又は複数の化合物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩を1種又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤又は添加剤と混合することを含めた、医薬組成物の調製のためのプロセスを提供する。
【0039】
本発明の化合物が投与される方式は変わり得る。本発明の化合物は、好ましくは経口で投与される。経口投与のための好ましい医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、カプレット、シロップ剤、液剤、及び懸濁剤が含まれる。本発明の医薬組成物は、経時放出錠剤及びカプセル配合物などの調節放出剤形で提供することができる。
【0040】
経口医薬組成物の一実施形態には、約0.6mgS-メカミラミン塩酸塩;約6.1mg微結晶セルロース、グレードI;約102.5mg微結晶セルロース、グレードII;約6.0mgヒドロキシプロピルセルロース;約3.6mgクロスカルメロースナトリウム;約0.6mgコロイド状二酸化ケイ素;及び約0.6mgマグネシウムが含まれる。医薬組成物の一実施形態には、約1.2mgS-メカミラミン塩酸塩;約12.2mg微結晶セルロース、グレードI;約95.8mg微結晶セルロース、グレードII;約6.0mgヒドロキシプロピルセルロース;約3.6mgクロスカルメロースナトリウム;約0.6mgコロイド状二酸化ケイ素;及び約0.6mgマグネシウムが含まれる。医薬組成物の一実施形態には、約2.4mgS-メカミラミン塩酸塩;約24.4mg微結晶セルロース、グレードI;約82.4mg微結晶セルロース、グレードII;約6.0mgヒドロキシプロピルセルロース;約3.6mgクロスカルメロースナトリウム;約0.6mgコロイド状二酸化ケイ素;及び約0.6mgマグネシウムが含まれる。医薬組成物の一実施形態には、約4.9mgS-メカミラミン塩酸塩;約25.0mg微結晶セルロース、グレードI;約79.3mg微結晶セルロース、グレードII;約6.0mgヒドロキシプロピルセルロース;約3.6mgクロスカルメロースナトリウム;約0.6mgコロイド状二酸化ケイ素;及び約0.6mgマグネシウムが含まれる。製造のための一実施形態には、当技術分野で公知である通り添加剤をブレンドする及びふるいにかけることも含まれる。
【0041】
医薬組成物はまた、注射によって、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、くも膜下腔内、及び側脳室内に投与することもできる。静脈内投与は、注射の好ましい方法である。注射の適当な担体は、当業者に周知であり、5%ブドウ糖溶液、食塩水、及びリン酸緩衝食塩水が含まれる。
【0042】
配合物はまた、他の手段を用いて、例えば、直腸投与を用いて投与することができる。坐剤などの直腸投与に有用な配合物は、当業者に周知である。化合物はまた、吸入によって、例えば、エアゾール剤の形態で投与することもでき;ローション剤の形態でなどの局所的に;経皮パッチを用いて(例えば、Novartis and Alza Corporationから市販されている技術を用いることにより)などの経皮的に、粉体噴射により、又は口腔、舌下、若しくは鼻腔内吸収により投与することもできる。
【0043】
医薬組成物は、単位剤形で、又は複数若しくはサブユニット用量で配合することができる。本明細書に記載した医薬組成物の投与は、断続的な、又は漸進的な、連続的な、一定の又は制御された速度となり得る。医薬組成物は、温血動物、例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、雌ウシ、又はサルなどの哺乳動物に投与することができるが;有利には、ヒトに投与される。さらに、医薬組成物が投与される時刻及び1日当たりの回数は変わり得る。
【0044】
エキソ-S-メカミラミンは、これらの障害若しくは状態の治療又は予防に有用な様々な他の適当な治療薬と併用して用いることができる。したがって、本発明の一実施形態には、他の治療化合物と併用した本発明の化合物の投与が含まれる。例えば、本発明の化合物は、他のNNRリガンド(バレニクリンなど)、NNRのアロステリックモジュレーター、酸化防止剤(遊離基スカベンジング剤など)、抗菌剤(ペニシリン抗生物質など)、抗ウイルス薬(ジドブジン及びアシクロビルなどのヌクレオシド類似体など)、抗凝血薬(ワルファリンなど)、抗炎症薬(NSAIDなど)、解熱薬、鎮痛薬、麻酔薬(手術に用いられるなど)、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル及びガランタミンなど)、統合失調症治療薬(ハロペリドール、クロザピン、オランザピン、及びクエチアピンなど)、免疫抑制薬(シクロスポリン及びメトトレキサートなど)、神経保護薬、ステロイド(ステロイドホルモンなど)、コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾンなど)、ビタミン、鉱物、栄養補助食品、抗うつ薬(イミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン、ベンラファキシン、及びデュロキセチンなど)、抗不安薬(アルプラゾラム及びブスピロンなど)、抗痙攣薬(フェニトイン及びガバペンチンなど)、血管拡張薬(プラゾシン及びシルデナフィルなど)、気分安定剤(バルプロ酸及びアリピプラゾールなど)、抗癌薬(抗増殖剤など)、抗高血圧薬(アテノロール、クロニジン、アムロピジン(amlopidine)、ベラパミル、及びオルメサルタンなど)、緩下薬、便軟化剤(stool softener)、利尿薬(フロセミドなど)、抗スパスモティック(ジサイクロミンなど)、抗ジスキネシア薬及び抗潰瘍薬剤(エソメプラゾールなど)と併用して用いることができる。薬学的に有効な薬剤のこのような組み合わせは、一緒に若しくは別々に投与することができ、別々に投与するとき、投与は、任意の順序で、同時に若しくは順次行うことができる。化合物又は薬剤の量及び投与の相対的なタイミングは、所望の治療効果を達成するために選択される。本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせた投与は、(1)両方の化合物を含めた単一医薬組成物;又は(2)化合物の一つをそれぞれ含む別々の医薬組成物を、同時に投与することによる組み合わせとなり得る。あるいは、組み合わせは、一方の治療薬がまず投与され、次にもう一方が投与される逐次的なやり方で別々に投与することができる。かかる逐次的な投与は、時間の幅が近くても時間の幅が離れていてもよい。本発明の他の態様には、本発明の化合物の治療上若しくは予防上有効量及び化学療法、放射線療法、遺伝子治療、又は免疫療法を含めた1種若しくは複数の他の療法を対象に投与すること含む、併用療法が含まれる。
【0045】
別段の記載がない限り、本明細書に示す構造は、1種又は複数の同位体濃縮原子の存在のみにおいて異なる化合物が含まれることをも意味する。重水素又はトリチウムによる水素原子の置換、又は13C若しくは14C濃縮炭素による炭素原子の置換を除いて本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。例えば、重水素は、生物学的活性化合物の薬物動態及び代謝を試験するために広く用いられている。重水素が、化学的展望から水素と同様に挙動するが、重水素-炭素結合と水素-炭素結合との間の結合エネルギー及び結合の長さにおいて有意差がある。その結果、生物学的活性化合物中の重水素による水素の置換は、その生化学的な効力及び選択性を全体として保持するが、その同位体のない相当物に比べて有意に異なる吸収、分布、代謝、及び/又は排泄(ADME)特性を表す化合物になり得る。したがって、重水素置換は、いくつかの生物学的活性化合物の薬物効果、安全性、及び/又は忍容性を改善し得る。
【実施例】
【0046】
シタロプラム単独による一次治療に適切に奏効しなかった対象において、大うつ病性障害、すなわちMDDのための増強(上乗せ)治療としての、エキソ-S-メカミラミンの第2b相臨床試験を実施した。試験のための主要アウトカム測定における結果、うつ病に関するハミルトン評定尺度-17、又はHAM-DにおけるベースラインからのTC-5214とプラセボとの平均の変化は、治療する目的ベースで、TC-5214(p<0.0001)にとって、非常に統計的に有意であった。うつ病、易怒性、能力障害、認知、病気の重症度及び全般的な改善の評価を含めて、試験の第2の効果測定のすべての結果はまた、治療する目的ベースで、TC-5214にとって、統計的に有意であった。
【0047】
MDDのための増強治療としてのTC-5214の第2b相臨床試験は、インドにおいて20ヵ所及び米国において三ヵ所で実施した第2相試験であった。第1相において、MDDを伴う対象579名は、8週間シタロプラム臭化水素酸塩、すなわち、最初の4週間1日20mg及び次の4週間1日40mgによる一次治療を受けた。シタロプラム、Celexa(登録商標)として米国で販売されているMDDの認可された治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬として公知の薬物クラスからである。8週間の終了時に、MADRSスコアが50パーセント未満改善し、CGI-SIスコアが4以上であった対象を、部分若しくは非奏効者と見なし、試験の二重盲検第2相にランダム化した。
【0048】
二重盲検第2相において、対象は、これらのシタロプラム治療を継続し、また、さらに8週間上乗せTC-5214又は上乗せプラセボを受けた。TC-5214の1日投与量は、最初に2mgであり、研究者の判断で、忍容性及び治療奏効に基づいて4mg及び8mgに増加され得る。
【0049】
試験の主要アウトカム測定は、16週目でHAM-Dにより測定した通り二重盲検ベースラインからのTC-5214とプラセボとの平均の変化であった。データセットを処理する目的には、第2相において対象265名を含めた。
【0050】
より詳細には、シタロプラムに不適格な奏効者であった大うつ病性障害(MDD)を有する対象における補助的療法としての、TC-5214の多施設二重盲検、ランダム化、プラセボ対照、平行群、柔軟性のある用量漸増試験を、US及びインドの施設において実施した。本試験は、スクリーニング期間、ベースライン/休薬期間、非盲検相、二重盲検相、及びフォローアップ来診からなった。試験の対象の参加は、治療の16週までの間継続することができた。他の抗うつ薬のための28日までの休薬期間後、MDD及びMADRS総体スコア>/=28及び臨床全般印象-重症度(CGI-S)スコア>/=4を有する対象を、試験の非盲検シタロプラム単独相に1日目で組み込んだ。この相は、シタロプラム(CIT)用量を1日1回量20mg(1日目から4週目まで)から40mg(4週目から8週目まで)に増加させながら8週続いた。総数579名の対象は、非盲検シタロプラム相に参加した。8週目に、40mgCITを許容するが、MADRSスコアがベースラインから<50%に低減し、17以上であり、CGI-S≧4であった対象を、不適格な奏効者とみなした。これらの対象(n=270)を、継続したCITへの上乗せ療法としてのプラセボ又はTC-5214-23を受けるために二重盲検のやり方でランダム化した。試験の二重盲検相はまた、8週(8週から16週)続いた。試験薬、TC-5214-23又はプラセボを、1日2mg(1日2回[BID]1mg投与)で開始し、CIT(40mgPO qd)を継続するために上乗せした。治療の2週間後、TC-5214の用量は、4mg(2mgBID)まで増加させても、良好な忍容性及び不適切な治療奏効に基づいて用量を漸増(up-titration)しながら、変更せずに継続してもよい。さらに2週間後、TC-5214の用量は、良好な忍容性及び不適切な治療奏効に基づいて、研究者によって適切と判断された場合、8mg(4mgBID)まで再び増加させることができる。試験の二重盲検相中の任意の時間で、プラセボ又はTC-5214-23は、受け入れられない有害事象(AE)の発生後、以前の用量レベルに低減することができた。2mgを許容しなかった対象を、本試験から離脱させた。本試験の二重盲検相(16週)を完了した対象は、試験薬剤を最後に投与してから2から3週間でフ
ォローアップ来診した。このフォローアップで、再発の任意の徴候又は症状を評価した。対象が、任意の理由のために8週から16週の間で試験を途中で中止した場合、研究者は、二重盲検上乗せ治療相の終了を達成した対象を想定し、すべての評価を治験実施計画書に適合したものとして行うために全力を尽くすものとした。これらの評価は、できるだけ早く及び中断の2週間以内になされるものとした。効果アウトカム測定における8週から16週のLOCFの平均の差は、すべての主要(HAMD-17総体スコア;P<0.0001)及び副次評価項目(MADRS総体スコア;簡易うつ病総体症状尺度-自記式質問用紙[QIDS-SR];臨床全般印象-病気の重症度(CGI-S);CGI-全般改善[CGI-GI];シーハン易怒性尺度[SIS]スコア;シーハン能力障害尺度[SDS]スコア;及びその三つのSGI-認知サブスケールスコア[記憶、注意、及び思考の速度]を有する対象全般印象-認知[SGI-認知]尺度総体スコア:すべてP<0.0001)についてTC-5214-23にとって統計的に有意であった。年齢、性別、部位、又は喫煙状態の機能としての結果に意味のある差はなかった。表1及び2は、ITT母集団についての主要及び第2副次有効性評価項目結果を示す。
【表1】

【表2】

【0051】
図1に示した通り、寛解率をハミルトンうつ病評定尺度によって測定し、HAMDスコア≦7を提供した。プラセボとの隔たり、すなわち、作用の開始を、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することによるうつ病の1種若しくは複数の症状からの寛解率又は奏効率について、2週目又はその前に観察した。
【0052】
図2は、寛解(QIDS-SR≦5)率を評定した対象(ITT N=265)を示し、QIDS-SR(≦5)における寛解率を例示する。プラセボとの隔たりを、すなわち、再び、エキソ-S-メカミラミンの効果が現れるのを2週目又はその前に観察して、寛解又は奏効を提供した。
【0053】
図3は、奏効(QIDS-SR≧50%)率を評定した対象(ITT N=265)を示し、QIDS(ベースラインと評価項目の間で50%低減)における奏効率を例示する。プラセボとの隔たりを、すなわち、再び、エキソ-S-メカミラミンの効果が現れるのを1週間目又はその前に観察して、寛解又は奏効を提供した。
【0054】
有効性評価項目に関して、以下の表は、別段の指定がない限り、ITT(Intent-to-treat)及びPP(Per Protocol)母集団に用いた効果を示す。主な推測は、ITT母集団を用いた16週の来診に基づいた。ベースラインからの変化を、個別の治療中の値からベースライン値を減じることによって得た。16週からの変化を、16週の値を個別のフォローアップ来診(18週/19週)値から減じることによって得た。ベースライン又は16週又は治療中又はフォローアップ値が欠測していた場合、ベースライン又は16週の値からの変化はまた、欠測に設定された。欠測データを説明するために、最終観測の引き延ばし(last observation carry forward)(LOCF)方法を、ITT及びPP母集団に用いた。したがって、早期の中断での観測を含めて、対象についての最後の利用可能な治療中観測を用いてその後の欠測データポイントを推定した。効果について、ベースラインデータを、二重盲検増強相における8週目に電子症例報告形式ページを収集した。
【0055】
表3は、ITT及びPP母集団について8週目、16週目、及び18週目におけるHAMD-17の観察されたスコアの要約を示す。
【表3】

【0056】
表4は、ITT及びPP母集団についてのHAMD-17の主要な効果分析結果を示す。
【表4】

【0057】
TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてプラセボと比較してHAMD-17総体スコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0058】
副次評価項目についての分析を、ITT及びPP母集団で行った。副次評価項目を以下の通り表5に示した。
【表5】

【0059】
QIDS-SRに関して、表6に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団のプラセボ群と比較してQIDS-SRスコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。TC-5214群はまた、PP母集団のプラセボ群と比較してQIDS-SRスコアにおいて18週目に統計的に有意な減少を有した。
【表6】

【0060】
HAMD不安/身体化に関して、表7に示される通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較してHAMD不安/身体化サブスケールスコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。
【表7】

【0061】
MADRSに関して、表8に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較してMADRS総体スコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。
【表8】

【0062】
寛解のMADRS比率に関して、第1の評価項目は、16週目にMADRSスコア≦10によって定義される通り寛解となると評価される対象の比率であった。第2の評価項目は、16週目にMADRSスコア≦によって定義される通り、寛解となると評価される対象の比率であった。フィッシャー直接確率法を用いて、二つの治療群間で寛解した対象の比率を比較した。表9及び10はそれぞれ、各群の第2の効果分析を示す。
【表9】

【表10】

【0063】
表9及び10に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団のMADRS≦10又は≦12によって評価される通り、プラセボ群と比較して、寛解基準を満たす対象の比率がより高かった。すべての差は、統計的に有意であり(P<0.0001)、TC-5214がMADRS寛解率についてプラセボよりも優れていることを実証する。
【0064】
奏効者のMADRS比率に関して、評価項目は、≧50%のベースラインからのMADRS低減によって定義される通り奏効者であると評価された対象の比率であった。フィッシャー直接確率法を用いて二つの治療群間で奏効者の比率を比較した。
【表11】

【0065】
表11に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのベースライン≧50%からのMADRS低減によって評価される通り、プラセボ群と比較して、奏効者の比率がより高かった。すべての差は、統計的に有意であり(P<0.0001)、TC-5214がMADRS奏効率に関してプラセボよりも優れていることを実証する。
【0066】
寛解のHAMD-17比率に関して、第1の評価項目は、16週目に≦7のHAMD-17スコアによって定義される通り寛解であると評価された対象の比率であった。第2の評価項目は、16週目に≦10のHAMD-17スコアによって定義される通り、寛解となると評価された対象の比率であった。フィッシャー直接確率法を用いて各二重盲検来診の二つの治療群間で寛解した対象の比率を比較した。
【表12】

【表13】

【0067】
ほぼあらゆる評価の週で、TC-5214群は、ITT及びPP母集団のHAMD-17によって評価される通りプラセボ群と比較して寛解において対象の比率がより高かった。観測は、10週(スコア≦10)、12週、14週、16週、及び18週(両群)であり、統計的に有意差を示し、TC-5214がプラセボよりも優れていることを実証する。
【0068】
奏効者のHAMD-17比率に関して、評価項目は、ベースライン≧50%からのHAMD-17低減によって定義される通り、奏効者であると評価された対象の比率であった。フィッシャー直接確率法を用いて各二重盲検来診の二つの治療群間で奏効者の比率を比較した。
【表14】

【表15】

【0069】
ほぼあらゆる評価の週で、TC-5214群は、ITT(表14)及びPP(表15)母集団の≧50%のベースラインからのHAMD低減によって評価される通りプラセボ群と比較して奏効者の比率がより高かった。奏効者の比率の統計的有意差を、ITT及びPP母集団について10週、12週、14週、16週、及び18週目に観察した。結果は、TC-5214が各統計的に有意な比較についてプラセボよりも優れていたことを実証する。
【0070】
寛解のQIDS比率に関して、評価項目は、≦5のQIDSスコアによって定義される通り寛解となることが評価された対象の比率であった。表16は、ITT母集団についてのQIDS寛解をもたらし、表17は、PP母集団についてのQIDS寛解をもたらす。
【表16】

【表17】

【0071】
あらゆる評価の週で、TC-5214群は、ITT及びPP母集団の≦5のQIDSスコアによって評価される通りプラセボ群と比較して寛解した対象の比率がより高かった。TC-5214群とプラセボ群との寛解の比率における統計的有意差は、ITT及びPP母集団について14週、16週、及び18週目に観察した。結果は、TC-5214が各統計的に有意な比較についてプラセボよりも優れていたことを実証する。
【0072】
奏効者のQIDS比率に関して、評価項目は、ベースライン≧50%からのQIDS低減によって定義される通り奏効者であると評価された対象の比率であった。表18及び19は、それぞれITT及びPP母集団の結果をもたらす。
【表18】

【表19】

【0073】
あらゆる評価の週で、TC-5214群は、ITT及びPP母集団の≧50%のベースラインからQIDS低減によって評価された通り、プラセボ群と比較して奏効者の比率がより高かった。TC-5214群とプラセボ群との間の奏効の比率における統計的有意差は、両母集団について10週、14週、16週、及び18週目に観察された。結果は、TC-5214が各統計的に有意な比較についてプラセボよりも優れていたことを実証する。
【0074】
CGI-SIに関して、評価項目は、CGI-SIにおいて8週から16週までの変化であった。CGI-SIにおけるベースライン(8週)から16週までの変化を、ANCOVAを用いて分析した。表20は、CGI-SIについての第2の効果分析結果をもたらす。
【表20】

【0075】
表20に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較して、CGI-SIスコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0076】
CGI-Iに関して、評価項目は、CGI-Iにおいて8週(二重盲検ベースライン)から16週及び18週の変化であった。変化を、ANCOVAを用いて分析した。さらに、探索的分析は、すべての来診の週でCGI-Iを評価したものを行った。表21は、CGI-Iについての第2の効果分析結果をもたらす。
【表21】

【0077】
表21に示す通り、TC-5214群は、16週目に及び18週目にITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較して、CGI-Iスコアにおけるベースラインから、統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0078】
SDSについて、評価項目は、SDSの8週(二重盲検ベースライン)から16週までの変化であった。変化を、ANCOVAを用いて分析した。第2の効果分析結果を、表22に示す。
【表22】

【0079】
表22に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較して、SDSスコアにおけるベースラインから統計的に有意な減少(改善)を有した。SDS個別項目(作業-学校;社会生活;及び生活-家庭の責任)について、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較して、ベースラインから統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0080】
SISについて、評価項目は、SISの8週(二重盲検ベースライン)から16週までの変化であった。変化を、ANCOVAを用いて分析した。各SIS項目スコアをやはり、ANCOVAを用いて分析した。第2の効果分析結果を表23に示す。
【表23】

【0081】
表23に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較して、SIS総体スコアにおいてベースラインから統計的に有意な減少(改善)を有した。他者に持つ怒り;自己に持つ怒り;いらいら;欲求不満;易怒性;不機嫌;及び癇癪を含めた、SIS個別項目をも評価し、それぞれについての表を、対応するそれぞれの順序で本明細書で示した。
【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【0082】
各SIS個別項目について、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボ群と比較してベースラインから統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0083】
SGI-認知に関して、評価項目は、SGI-認知についての16週目の結果であった。16週目のSGI-認知複合スコア及び各尺度を、16週目にANOVAを用いて分析した。表31は、SGI-認知の第2の効果分析結果を示す。
【表31】

【0084】
表31に示す通り、TC-5214群は、ITT及びPP母集団についてのプラセボと比較して16週目に統計的に有意なより低い合計SGI-認知スコアを有した。
【0085】
探索的分析は、それぞれの個別のHAMD-17因子スコアについて8週(二重盲検ベースライン)から16週までの治療群における差を評価した。要約を、表32に示す。
【表32】

【0086】
表32に示す通り、TC-5214群は、自殺及び病識サブスケールを除く、ITT母集団のプラセボ群と比較してそれぞれのHAMD-17サブスケールスコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0087】
探索的分析は、ITT母集団の8週、9週、10週、12週、14週、及び16週目のHAMD-17総体スコアにおける治療群間の差を評価した。記号表33は、HAMD-17素点についての効果の早期開始を示す。
【0088】
記号表33
【表33】

【0089】
示す通り、TC-5214群は、10週、12週、14週、及び16週目のプラセボ群と比較してベースラインから統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0090】
探索的分析は、各個別のMADRS因子スコアについての8週(二重盲検ベースライン)から16週の変化における治療群の差を評価した。要約を、表34に示す。
【表34】

【0091】
示す通り、TC-5214群は、ITT母集団についてのプラセボ群と比較して各MADRSサブスケールスコアにおけるベースラインからの統計的に有意な減少(改善)を有した。
【0092】
観察された特定の薬理学的反応は、選択された若しくは医薬用担体に存在するかどうかある特定の塩の形態を含めて、特定の活性化合物、並びに配合物のタイプ及び使用される投与モードに従って及びそれらに応じて変わり得、結果におけるかかる予想される変動又は差は、本発明の実施に従って考えられる。
【0093】
本発明の個々の実施形態が本明細書において例示され、詳細に記載されるが、本発明はそれに限られない。上記の詳細な説明は、本発明の例示として提供され、本発明の任意の限定を成すものとみなすべきではない。修正形態は、当業者に明らかであり、本発明の精神から逸脱しないすべての修正形態は、添付した特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。
【0094】
方法及び手順への言及は、以下の例示的な治験実施計画書についてなされる。
【0095】
例示的な治験実施計画書
【表35】

【0096】

【0097】

【0098】

【0099】

【0100】

【0101】

【0102】

【0103】

【0104】

【0105】

【0106】

【0107】

【0108】

【0109】

【0110】

【0111】

【0112】

【0113】

【0114】

【0115】

【0116】

【0117】

【0118】

【0119】

【0120】

【0121】

【0122】

【0123】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】

【0132】

【0133】

【0134】

【0135】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【0141】

【0142】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

【0157】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】

【0162】

【0163】

【0164】

【0165】

【0166】

【0167】

【0168】

【0169】

【0170】

【0171】

【0172】

【0173】

【0174】

【0175】

【0176】

【0177】

【0178】

【0179】

【0180】

【0181】

【0182】

【0183】

【0184】

【0185】

【0186】

【0187】

【0188】

【0189】

【0190】

【0191】

【0192】

【0193】

【0194】

【0195】

【0196】

【0197】

【0198】

【0199】

【0200】

【0201】

【0202】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対してうつ病の1種又は複数の症状を低減する方法。
【請求項2】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対してうつ病の1種又は複数の症状をなくす方法。
【請求項3】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対してうつ病の1種若しくは複数の症状からの寛解率又は奏効率を増加する方法。
【請求項4】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、それが必要な対象に対して寛解又は奏効のためにうつ病の1種又は複数の症状を治療する方法。
【請求項5】
1種又は複数の症状が、
a.認知、
b.注意、
c.記憶、及び
d.思考の速度
の1種又は複数に関連し、ベースラインからの対象全般印象-認知尺度変化によって測定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1種又は複数の症状が、HAM-D、シーハン能力障害尺度、シーハン易怒性尺度、MADRS、IDS、又はQIDSの1種又は複数によって測定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、うつ病の対象における認知機能を改善するための方法。
【請求項8】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、対象における易怒性を低下させるための方法。
【請求項9】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンを投与することにより、うつ病の対象における易怒性を低下させるための方法。
【請求項10】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが、少なくとも1種の他の治療に対して部分奏効者又は非奏効者である対象に投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
他の治療が、抗うつ薬又は統合失調症治療薬であった、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗うつ薬が、SSRI又はSNRIである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの用量が、1日1mg又は2mgである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
開始の速度が、約2週間である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが、少なくとも8週間の持続効果を維持する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与が、従来の療法よりも高い治療係数をもたらす、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与が、一次療法よりも高い治療係数をもたらす、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
対象が、失認、注意欠陥、易怒性、不安、能力障害、生活の質の低下、又は記憶欠損の1種又は複数を特徴とするうつ病と診断される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
a.エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン、及び
b.1種若しくは複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬
を含む組み合わせ。
【請求項20】
a.エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン、
b.1種若しくは複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬、及び
c.発病を治療する、遅らせる、寛解若しくは奏効率を増加させる、又はうつ病の1種若しくは複数の症状の進行を遅らせるための治療レジメンに関する指示
を含むキット。
【請求項21】
a.エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン、及び
b.1種若しくは複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬、及び
c.1種又は複数の薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項22】
1種若しくは複数の抗うつ薬又は統合失調症治療薬が、SSRI又はSNRIである、請求項19から21のいずれか一項に記載の組み合わせ、キット、又は組成物。
【請求項23】
1種若しくは複数の症状が、失認、注意欠陥、易怒性、不安、能力障害、生活の質の低下、又は記憶欠損から選択される、請求項20に記載のキット。
【請求項24】
うつ病の1種又は複数の症状を低減するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項25】
うつ病の1種又は複数の症状をなくすための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項26】
うつ病の1種又は複数の症状からの寛解率又は奏効率を増加するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項27】
寛解又は奏効のためにうつ病の1種又は複数の症状を治療するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項28】
1種又は複数の症状が、
a.認知、
b.注意、
c.記憶、及び
d.思考の速度
の1種又は複数に関連し、ベースラインからの対象全般印象-認知尺度変化によって測定される、請求項24から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
1種若しくは複数の症状が、HAM-D、シーハン能力障害尺度、シーハン易怒性尺度、MADRS、IDS、又はQIDSの1種又は複数によって測定される、請求項24から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
うつ病の対象における認知機能を改善するための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項31】
易怒性を低下させるための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項32】
うつ病の対象における易怒性を低下させるための医薬品の製造におけるエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの使用。
【請求項33】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが、少なくとも1種の他の治療に対して部分奏効者又は非奏効者である対象のために使用される、請求項24から32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
他の治療が、抗うつ薬又は統合失調症治療薬であった、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
抗うつ薬が、SSRI又はSNRIである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの用量が、1日1mg又は2mgである、請求項24から35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
開始の速度が、約2週間である、請求項24から36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが、少なくとも8週間の持続効果を維持する、請求項24から17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与が、従来の療法よりも高い治療係数をもたらす、請求項24から38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与が、一次療法よりも高い治療係数をもたらす、請求項24から39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
対象が失認、注意欠陥、易怒性、不安、能力障害、生活の質の低下、又は記憶欠損の1種又は複数を特徴とするうつ病と診断される、請求項24から40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
それが必要な対象に対してうつ病の1種又は複数の症状を低減するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項43】
それが必要な対象に対してうつ病の1種又は複数の症状をなくすための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項44】
それが必要な対象に対してうつ病の1種又は複数の症状からの寛解率又は奏効率を増加するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項45】
それが必要な対象に対して寛解又は奏効のためにうつ病の1種又は複数の症状を治療するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項46】
1種又は複数の症状が、
a.認知、
b.注意、
c.記憶、及び
d.思考の速度
の1種又は複数に関連し、ベースラインからの対象全般印象-認知尺度変化によって測定される、請求項42から45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
1種若しくは複数の症状が、HAM-D、シーハン能力障害尺度、シーハン易怒性尺度、MADRS、IDS、又はQIDSの1種又は複数によって測定される、請求項42から45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
うつ病の対象における認知機能を改善するための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項49】
対象における易怒性を低下させるための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項50】
うつ病の対象における易怒性を低下させるためのエキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミン。
【請求項51】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが、少なくとも1種の他の治療に対して部分奏効者又は非奏効者である対象に投与される、請求項42から50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
他の治療が、抗うつ薬又は統合失調症治療薬であった、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
抗うつ薬が、SSRI又はSNRIである、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの用量が、1日1mg又は2mgである、請求項42から53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
開始の速度が、約2週間である、請求項42から54のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンが、少なくとも8週間の持続効果を維持する、請求項42から55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項57】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与が、従来の療法よりも高い治療係数をもたらす、請求項42から56のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項58】
エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないエキソ-S-メカミラミンの投与が、一次療法よりも高い治療係数をもたらす、請求項42から57のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
対象が、失認、注意欠陥、易怒性、不安、能力障害、生活の質の低下、又は記憶欠損の1種又は複数を特徴とするうつ病と診断される、請求項42から58のいずれか一項に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−533547(P2012−533547A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520697(P2012−520697)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/041685
【国際公開番号】WO2011/008686
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】