治療剤での癌の処置方法
【課題】癌の再発(relapse)を防止することを課題とする。
【解決手段】癌の処置において化学治療剤とヘッジホッグ阻害剤とを組み合せて使用する。
【解決手段】癌の処置において化学治療剤とヘッジホッグ阻害剤とを組み合せて使用する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、2007年12月27日に出願されたU.S.特許出願番号11/965,688、2007年12月27日に出願されたU.S.仮特許出願番号61/017,160、2008年12月1日に出願されたU.S.仮出願番号61/118,969の利益を主張する(これらの各々は、その全体において引用によって本願に組み込まれるものとする)。
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグシグナリングは、発生(development)の多くの段階において、特に左右対称性の形成において、必要不可欠である。ヘッジホッグシグナリングの欠損(loss)ないしは減少は、複数(ないし多数:multiple)の発生上の欠陥及び奇形形成に到り、最も顕著なものの1つは単眼症(cyclopia)である。
【0003】
多くの癌及び増殖性の状態(ないし条件:conditions)は、ヘッジホッグ経路に依存することが示されている。そのような細胞の成長及び生存は、本願に記載された化合物での処置によって影響され得る。最近では、ヘッジホッグ経路変異の活性化(activating)が、散発性の基底細胞癌(Xie et al. (1998) Nature 391: 90-2)、中枢神経系の原発的な(primitive)神経外胚葉性腫瘍(Reifenberger et al. (1998) Cancer Res 58: 1798-803)において生じることが報告されている。ヘッジホッグ経路の非制御の活性化は、膵臓癌、食道癌、胃癌を含むG1経路癌(G1 tract cancers)(Berman et al. (2003) Nature 425: 846-51, Thayer et al. (2003) Nature 425: 851-56)、肺癌(Watkins et al. (2003) Nature 422: 313-317)、前立腺癌(Karhadkar et al. (2004) Nature 431: 707-12, Sheng et al. (2004) Molecular Cancer 3: 29-42, Fan et al. (2004) Endocrinology 145: 3961-70)、乳癌(Kubo et al. (2004) Cancer Research 64: 6071-74, Lewis et al. (2004) Journal of Mammary Gland Biology and Neoplasia 2: 165-181)、及び肝細胞癌(Sicklick et al. (2005) ASCO conference, Mohini et al. (2005) AACR conference)などの多数の癌タイプにおいても示されている。
【0004】
例えば、ヘッジホッグ経路の小分子阻害(small molecule inhibition)は、基底細胞癌(Williams et al, 2003 PNAS 100: 4616-21)、髄芽腫(Berman et al., 2002 Science 297: 1559-61)、膵臓癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、胃腸の(gastrointestinal)癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51, 公開PCT出願WO 05/013800)、食道癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、肺癌(Watkins et al., 2003. Nature 422: 313-7)、及び前立腺癌(Karhadkar et al., 2004. Nature 431: 707-12)の成長を阻害することが示されている。
【0005】
更に、多くの癌タイプ、例えば、乳癌(Kubo et al., 2004. Cancer Research 64: 6071-4)、肝細胞癌(Patil et al., 2005. 96th Annual AACR conference, abstract #2942 Sicklick et al., 2005. ASCO annual meeting, abstract #9610)、血液学的な悪性腫瘍(hematological malignancies)(Watkins and Matsui, unpublished results)、基底細胞癌(Bale & Yu, 2001. Human Molec. Genet. 10:757-762, Xie et al., 1998 Nature 391: 90-92)、髄芽腫(Pietsch et al., 1997. Cancer Res. 57: 2085-88)、前立腺癌(Karhadkar et al., 2003, Nature, 431:846-851)、及び胃癌(Ma et al., 2005 Carcinogenesis May 19, 2005 (Epub))がヘッジホッグ経路の非制御の活性化を有することが示されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一般的には、治療上有効な量のヘッジホッグシグナリング経路阻害剤(本願では「ヘッジホッグ阻害剤」とも称する)を患者に投与することによって、癌治療(例えば、化学治療剤、放射線照射治療及び/又は外科手術での処置)を受けている又は受けていた癌患者の非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を延長する方法に関する。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療と同時に投与する。併用的な(concurrent)投与の場合には、癌治療を休止した後にヘッジホッグ阻害剤を投与し続けてもよい。他の実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療を休止(ないし終了:cease)した後に(すなわち、癌処置と重複する期間を伴わずに)投与する。
【0007】
他の実施形態において、本発明は、癌治療を休止した後に治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与することによって、以前に癌治療(例えば、化学治療剤、放射線照射治療及び/又は外科手術での処置)を受けていた癌患者の非再発性生存期間を延長する方法に関する。
【0008】
本願に記載される方法によって処置される癌は、肺癌(例えば、肺小細胞癌(small cell lung cancer)又は非肺小細胞癌(non-small cell lung cancer))、膀胱癌、卵巣癌、結腸癌、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病から選択することができる。本発明による肺小細胞癌の処置のためには、化学治療剤を、エトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択することができる。本発明による非肺小細胞癌の処置に適する化学治療剤の例は、ビノレルビン;シスプラチン;ドセタキセル;ペメトレキセド;エトポシド;ゲムシタビン;カルボプラチン;ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブおよびセツキシマブを含むターゲット治療(targeted therapies);放射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。本発明による膀胱癌の処置については、適する化学治療剤は、ゲムシタビン、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、放射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。本発明による卵巣癌の処置に適する化学治療剤の例は、パクリタキセル;ドセタキセル;カルボプラチン;ゲムシタビン;ドキソルビシン;トポテカン;シスプラチン;イリノテカン;ベバシズマブなどのターゲット治療;射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。本発明による結腸癌の処置については、適する化学治療剤の例は、パクリタキセル;5−フルオロウラシル;ロイコボリン;イリノテカン;オキサリプラチン;カペシタビン;ベバシズマブ、セツキシマブ及びパニツムマブを含むターゲット治療、放射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。
【0009】
他の視点において、本発明は、他の癌治療を受けている患者の癌を処置する方法であって、前記患者における増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップと、前記患者に対して医薬的に有効な量のヘッジホッグアンタゴニストを投与するステップとを含むことを特徴とする方法に関する。前記増強したヘッジホッグリガンドは、血液、尿、循環腫瘍細胞(circulating tumor cells)、腫瘍生検試料(biopsy)又は骨髄生検試料において検出することができる。前記増強したヘッジホッグリガンドは、ヘッジホッグリガンドに対するラベルされた形態の抗体の全身性の(systemic)投与の後に画像処理すること(imaging)によっても、検出することができる。前記増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップは、他の癌治療の投与の前に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、他の癌治療の投与の後に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、他の化学治療の投与後のヘッジホッグリガンドの量が他の化学治療の投与の前のヘッジホッグリガンドよりも多いか否かを決定するステップとを含むことができる。前記他の癌治療は、例えば、化学治療剤又は放射線照射治療であってもよい。
【0010】
他の視点において、本発明は、腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する1つ以上の化学治療剤(ないし療法剤)を確認(ないし同定)するステップと、腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する治療上有効な量の1つ以上の化学治療剤及び治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を投与するステップとによって、患者における癌を処置する方法に関する。前記ヘッジホッグリガンドの発現を増強する化学治療剤を確認(ないし同定)するステップは、腫瘍からの細胞を1つ以上の化学治療剤にインビトロで曝すステップと、該細胞におけるヘッジホッグリガンドを測定するステップとを含むことができる。
【0011】
ヘッジホッグ阻害剤の例は、以下の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩である
式Iの化合物のいくつかの医薬的に許容可能な塩の例は、塩酸塩である。
【0012】
いくつかの実施形態においては、ヘッジホッグ阻害剤を、ヘッジホッグ阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与するる。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、その必要がある患者に治療上有効な量の以下の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を投与するステップによって膵臓癌を処置する方法に関する
式Iの化合物の治療上許容可能な塩の例は、塩酸塩である。該方法は、式Iの化合物もしくはその医薬的に許容可能な塩と、1つ以上の化学治療剤との組み合わせ(例えば、ゲムシタビン、シスプラチン、エピルビシン、5−フルオロウラシル及びそれらの組み合わせ)の投与も含むことができる。化学治療剤での処置が休止した後に、式Iの化合物の投与を継続することができる。式Iの化合物は、式Iの化合物もしくはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ビヒクル及び化合物42で処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片(xenografts)に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図2】図2Aは、ビヒクル及び化合物42で処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片におけるヒトGli−1レベルを示すグラフである。図2Bは、ビヒクル及び化合物42で処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片におけるマウスGli−1レベルを示すグラフである。
【図3】図3は、ビヒクル、化合物42、ゲムシタビン、及び化合物42とゲムシタビンとの組み合わせで処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図4】図4は、ビヒクル、化合物42、ゲムシタビン、及び化合物42とゲムシタビンとの組み合わせで処置したMiaPaCa膵臓腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図5】図5は、ビヒクル、化合物42、エトポシド/カルボプラチン、及び化合物42とエトポシド/カルボプラチンとの組み合わせで処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図6】図6は、ビヒクル、化合物42、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクルで処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片、及びエトポシド/カルボプラチンの後に化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図7】図7Aは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるマウスのインディアンヘッジホッグのレベルを示すグラフである。図7Bは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるヒトのインディアンヘッジホッグのレベルを示すグラフである。
【図8】図8Aは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるマウスGli−1の発現レベルを示すグラフである。図8Bは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるヒトGli−1の発現レベルを示すグラフである。
【図9】図9Aは、未処置の(naive)UMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片と比較した[場合の]、ゲムシタビンで処置したUMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片におけるマウスのヘッジホッグリガンド発現レベルの変化を示すグラフである。図9Bは、未処置のUMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片と比較した、ゲムシタビンで処置したUMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片におけるヒトのヘッジホッグリガンド発現レベルの変化を示すグラフである。
【図10】図10は、未処置のUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞と比較した、ドキソルビシンで処置したUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック、インディアン及びデザートヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図11】図11は、未処置のA2780卵巣癌腫瘍細胞と比較した、カルボプラチン又はドセタキセルで処置したA2780卵巣癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック及びインディアンヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図12】図12は、未処置のIGROV−1卵巣癌腫瘍細胞と比較した、カルボプラチン又はドセタキセルで処置したIGROV−1卵巣癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック及びインディアンヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図13】図13は、未処置のH82肺小細胞癌腫瘍細胞と比較した、カルボプラチン又はドセタキセルで処置したH82肺小細胞癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック及びインディアンヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図14】図14は、正常酸素の(normoxic)条件に曝したUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞と比較した、低酸素の(hypoxia)条件に曝したUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞におけるソニックヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[詳細な記載]
本発明は、ヘッジホッグ阻害剤を投与することによって種々の癌を処置する方法に関する。ヘッジホッグ阻害剤は、他の癌治療(therapy)(1つ以上の化学治療剤(chemotherapeutics)、放射線照射治療及び/又は外科手術など)と組み合せて投与する。癌治療及びヘッジホッグ阻害剤は、同時ないし併行的に(concurrently)、又は逐次的に(sequentially)に投与してもよいし、又は併用的(concurrent)な組み合わせの投与後にヘッジホッグ阻害剤での単独治療(monotherapy)を実行してもよい。
【0016】
1つの視点において、本発明は、第1の治療剤及び第2の治療剤を患者に投与することによって癌を処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。該2つの薬剤は、同時に(すなわち、本質的に同時に、又は同一の処置内で)、あるいは逐次的に(すなわち、1つが他の直後に続くように、又は、その代わりに(alternatively)2つの投与の間においてギャップを伴うように)投与することができる。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、逐次的に(すなわち、第1の治療剤の後)に投与する。第1の治療剤は、[単一の]化学治療剤、あるいは、逐次的に又は組み合わせで投与される複数(ないし多数:multiple)の化学治療剤であり得る。処置することができる状態の例(症例)は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0017】
他の視点において、本発明は、第1の治療剤を患者に投与し、次に第2の治療剤と組み合せて第1の治療剤を投与するステップを含む癌を処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。処置することができる状態の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、AML及びCMLを含む。
【0018】
他の視点において、本発明は、ヘッジホッグ経路によって媒介される状態(condition)を、第1の治療剤及び第2の治療剤を患者に投与することによって処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。該2つの薬剤は、同時に(すなわち、本質的に同時に、又は同一の処置内で)、あるいは、逐次的に(すなわち、1つが他の直後に続くように、又は、その代わりに(alternatively)2つの投与の間にギャップを伴うように)投与することができる。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、逐次的に(すなわち、第1の治療剤の後)に投与する。第1の治療剤は、化学治療剤であり得る。処置することができる状態の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、AML及びCMLを含む。
【0019】
他の視点において、本発明は、第1の治療剤を患者に投与し、次に第2の治療剤と組み合せて第1の治療剤を投与するステップを含み、ヘッジホッグ経路によって媒介される状態を処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。処置することができる状態の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、AML及びCMLを含む。
【0020】
本発明は、治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与することによって、癌治療(例えば、化学治療剤(小分子剤(small molecules)及びバイオ治療剤(biotherapeutics)、例えば、抗体を含む)での処置、放射線照射治療、外科手術、RNAi治療及び/又はアンチセンス(antisense)治療)を受けている又は受けていた癌患者における非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を延長する方法にも関連する。「非再発性生存期間」とは、本発明の分野における通常の知識を有する人によって理解されるように、癌処置の特異的なポイント(point)の後の、臨床的に定義される癌の再発性(relapse)がない期間の長さである。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療と同時に投与する。併用的な投与の場合には、癌治療を休止した後に、ヘッジホッグ阻害剤を投与し続けてもよい。他の実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療を休止した後に(すなわち、癌処置と重複(overlap)する期間を伴わずに)投与する。ヘッジホッグ阻害剤は、癌治療を休止した直後に投与してもよいし、又は癌治療の終了と、ヘッジホッグ阻害剤の投与との間に、時間におけるギャップ(gap)(例えば、およそ1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間又は1年間まで)が存在してもよい。ヘッジホッグ阻害剤での処置は、非再発性生存期間が維持される限り(例えば、1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間まで、又はより長い期間)継続することができる。
【0021】
1つの視点において、本発明は、癌治療を休止(ないし終了:cease)した後に治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与することによって、癌治療(例えば、化学治療剤(小分子剤及びバイオ治療剤、例えば、抗体を含む)での処置、放射線照射治療、外科手術、RNAi治療及び/又はアンチセンス治療)を以前に受けていた癌患者における非再発性生存期間を延長する方法に関する。癌治療を休止した直後にヘッジホッグ阻害剤を投与してもよいし、又は癌治療の終了とヘッジホッグ阻害剤の投与との間に、時間におけるギャップ(gap)(例えば、およそ1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間又は1年間まで)が存在してもよい。
【0022】
本発明に従ってヘッジホッグ阻害剤と組み合わせることができる癌治療は、外科的な処置、放射線照射治療、バイオ治療剤(インターフェロン、サイトカイン‐例えば、インターフェロンα、インターフェロンγ、及び腫瘍壊死性因子(tumor necrosis factor)−造血成長因子、モノクローナル血清治療、ワクチン及び免疫賦活薬(immunostimulants)など)、抗体(例えば、アバスチン、エルビタックス、リツキサン及びベキサール)、内分泌治療(ペプチドホルモン、副腎皮質ステロイド(corticosteroids)、エストロゲン、アンドロゲン及びアロマターゼ阻害剤を含む)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン及びメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴスクルクリン(goscrclin)及びリュープロリド酢酸塩(Leuprolide acetate))、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、遺伝子治療、骨髄移植、光線力学的治療(例えば、ベルトポルフィン(Vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光感受性物質(photosensitizer)Pc4、及びデメトキシヒポクレリンA(Demethoxy- hypocrellin A)(2BA-2-DMHA))、そして化学治療剤を含む。
【0023】
化学治療剤の例は、ゲムシタビン、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シタラビン(cytarbine [sic, cytarabine])、カンパテシン(campathecins)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンを含む。追加的な薬剤は、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustards)(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン及びメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、アルキルスルホナート(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン及びテモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキソール(Docetaxol))、エピポドフィリン(epipodophyllins)(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトテシン(9-Aminocamptothecin)、カンプトイリノテカン(Camptoirinotecan)、クリスナトール(Crisnatol)、及びマイトマイシンC(Mytomycin C [sic, Mitomycin C])、抗代謝物(anti-metabolites)、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート及びトリメトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン及びEICAR)、リボヌクレオチド(ribonuclotide [sic, ribonucleotide])還元酵素阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素及びデフェロキサミン)、ウラシルアナログ(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド(Ratitrexed [sic, Raltitrexed])及びカペシタビン)、シトシンアナログ (例えば、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド及びフルダラビン)、プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3アナログ(例えば、EB1089、CB1093及びKH1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン系神経毒(dopaminergic neurotoxins)(例えば、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD及びダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2及びペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン及びミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ATPase阻害剤(例えば、タプシガルジン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ)及びボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤を含む。
【0024】
本願に開示された方法を使用して処置することができる増殖性の疾患及び癌は、例えば、肺癌(肺小細胞癌(small cell lung cancer)及び非肺小細胞癌(non small cell lung cancer)を含む)、肺のシステムの他の癌、髄芽腫及び他の脳癌、膵臓癌、基底細胞癌、乳癌、前立腺癌、及び他の尿生殖器癌、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumors: GIST)及び消化管(gastrointestinal tract)の他の癌、結腸癌(colon cancer)、結腸直腸癌(colorectal cancer)、卵巣癌、造血システムの癌(多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及び骨髄形成異常症候群を含む)、真正多血症、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病;線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原生肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、メラノーマなどの軟部組織肉腫、及び他の皮膚癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌(stadenocarcinoma [sic, cystadenocarcinoma])、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、膀胱癌、及び他の尿生殖器癌、上皮癌、グリオーマ、アストロサイトーマ、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、食道癌、頭頚部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、家族性好酸球増加症(familiar hypereosinophilia)、慢性好酸球性白血病、甲状腺癌、神経内分泌癌および類癌腫を含む。
【0025】
本発明の或る方法は、現存する化学治療剤に良く(well)応答するが、高い再発性率(relapse rate)に苦しむ(を生ずる)癌を処置することにおいて、特に有効であり得る。これらの場合において、ヘッジホッグ阻害剤での処置は、患者の非再発性生存期間又は非再発性生存率を増加させることができる。そのような癌の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0026】
本発明は、癌患者の非再発性生存期間(率)を延長する方法における使用のための1つ以上の薬剤(medicaments)の調製のための化学治療剤及びヘッジホッグ阻害剤の使用も包含する。本発明は、化学治療剤で以前に処置された癌患者の非再発性生存期間を延長する方法における使用のための薬剤の調製におけるヘッジホッグ阻害剤の使用にも関連する。本発明は、膵臓癌患者を処置する方法における使用のための薬剤の調製におけるヘッジホッグ阻害剤の使用も包含する。
【0027】
複数の腫瘍タイプが、化学治療の後(本願の実施例11及び12参照)、そして低酸素(hypoxia)などの他のストレスに対する応答(実施例12参照)において、Hhリガンドの増大制御(up-regulation)を示すことがわかった。増大制御されるHhリガンドのタイプ(すなわち、ソニック、インディアン及び/又はデザート)及び増大制御の度合いは、腫瘍タイプ及び化学治療剤に依存して変化する。いずれの理論に結びつけられることなく、これらの結果は、ストレス(化学治療を含む)が、腫瘍細胞において、保護的な(protective)又は生存の(survival)メカニズムとして、ヘッジホッグリガンドの生産を誘導することを示唆する。この結果は、化学治療後の腫瘍由来のHhリガンドの増大制御が、生存する細胞集団に、腫瘍の再発に関して重要であるHh経路についての依存性を与えることができ、[該細胞集団を]Hh経路阻害に対して感受性にすることができることをさらに示唆する。
【0028】
従って、本発明の[1つの]視点は、化学治療の間又は後に、1つ以上のヘッジホッグリガンドの発現が増加したか否かを決定し、次にヘッジホッグ阻害剤を投与することによって癌を処置する方法である。リガンドの発現は、末梢血液及び/又は尿の中の可溶型のリガンドの検出によって(例えば、ELISAアッセイ又は放射免疫アッセイによって)、循環腫瘍細胞における可溶型のリガンドの検出によって(例えば、蛍光励起セルソーティング(fluorescence-activated cell sorting:FACS)アッセイ、免疫組織化学アッセイもしくは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイによって)、又は、腫瘍あるいは骨髄の生検試料(biopsies)における可溶型のリガンドの検出によって(例えば、免疫組織学的アッセイ、RT−PCRアッセイ又はインサイチュハイブリダイゼーションによって)測定することがきる。所定の患者の腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの検出は、前立腺癌患者におけるPSMAの検出(Bander, NH Nat Clin Pract Urol 2006; 3:216-225)と同様に、ラベルされた形態のヘッジホッグリガンドに対する抗体の全身性の(systemic)投与の後に、撮像ないし画像処理すること(imaging)によって、インビボで評価することもできた。患者における発現レベルを少なくとも2つの時点で測定して、リガンドの誘導が起こったか否かを決定することができる。例えば、ヘッジホッグリガンドの発現は、化学治療の前及び後において、化学治療の前及び化学治療が行われている間の1つ以上の時点において、又は、化学治療剤が行われている間の2つ以上の異なる時点において測定することができる。もし、ヘッジホッグリガンドが増大制御されるべきことを見出した場合には、ヘッジホッグ阻害剤を投与することができる。従って、患者におけるヘッジホッグリガンドの誘導の測定値は、患者が、他の化学治療との組み合わせでヘッジホッグ経路阻害剤[の投与]を受けるべきか、又は他の化学治療の後に受けるべきかを決定することができる。
【0029】
本発明の他の視点は、癌腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増加する1つ以上の化学治療剤を同定(ないし確認)して、ヘッジホッグリガンドの発現を増加する1つ以上の化学治療剤及びヘッジホッグ阻害剤を投与することによって、患者の癌を処置する方法に関する。どの化学治療剤がヘッジホッグの発現を増加するかを決定するために、治療の前に患者から腫瘍細胞を取出(ないし採取:removed)し、エキソビボで(ex vivo)化学治療剤のパネルに曝し、アッセイしてヘッジホッグリガンドの発現における変化を測定すことができる(例えば、Am. J. Obstet. Gynecol. Nov. 2003, 189(5): 1301-7; J. Neurooncol., Feb. 2004, 66(3): 365-75参照)。次に、1つ以上のヘッジホッグリガンドを増加させる化学治療剤を患者に投与する。1つ以上のヘッジホッグリガンドを増加させる化学治療剤は、単独で投与してもよいし、又は、1つ以上のヘッジホッグリガンドの増加を休止することができる、あるいはできない1つ以上の異なる化学治療剤との組み合わせで投与してもよい。ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤は、同時に(すなわち、本質的に同時に、又は同一の処置内で)、あるいは逐次的に(すなわち、1つが他の直後に続くように、あるいは(alternatively)、2つの投与の間においてギャップを伴うように)投与することができる。化学治療剤での処置が休止した後に、ヘッジホッグ阻害剤での処置を継続してもよい。従って、ヘッジホッグリガンドの発現を増大制御する能力に基づいて化学治療剤を選択し、(即ちそれは(in turn)、腫瘍にヘッジホッグ経路に対する依存性を与えて)、腫瘍をヘッジホッグ阻害剤での処置に対して感受性にすることができる。
【0030】
適するヘッジホッグ阻害剤は、U.S.特許7,230,004、U.S.特許出願公開番号2008/0293754、U.S.特許出願公開番号2008/0287420、及びU.S.特許出願公開番号2008/0293755に記載かつ開示される阻害剤を含む(該特許又は特許出願公開の全体の開示は、引用によって本願に組み込まれる)。他の適するヘッジホッグ阻害剤の例は、U.S.特許出願公開番号US2002/0006931、US2007/0021493及びUS2007/0060546、そして、国際出願公開番号WO2001/19800、WO2001/26644、WO2001/27135、WO2001/49279、WO2001/74344、WO2003/011219、WO2003/088970、WO2004/020599、WO2005/013800、WO2005/033288、WO2005/032343、WO2005/042700、WO2006/028958、WO2006/050351、WO2006/078283、WO2007/054623、WO2007/059157、WO2007/120827、WO2007/131201、WO2008/070357、WO2008/110611、WO2008/112913及びWO2008/131354に記載される阻害剤を含む。
【0031】
例えば、ヘッジホッグ阻害剤は、以下の構造を有する化合物、又はその医薬的に許容可能な塩であり得る:
(上記式において、
R1は、H、アルキル、−OR、アミノ、スルホンアミド、スルファミド、−OC(O)R5、−N(R5)C(O)R5、または糖であり;
R2は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル又はヘテロシクロアルキル;あるいは、R1及びR2は、一緒になって=O、=S、=N(OR)、=N(R)、=N(NR2)又は=C(R)2を形成し;
R3は、H、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
R4は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−OR、−C(O)R5、−CO2R5、−SO2R5、−C(O)N(R5)(R5)、−[C(R)2]q−R5、−[(W)−N(R)C(O)]qR5、−[(W)−C(O)]qR5、−[(W)−C(O)O]qR5、−[(W)−OC(O)]qR5、−[(W)−SO2]qR5、−[(W)−N(R5)SO2]qR5、−[(W)−C(O)N(R5)]qR5、−[(W)−O]qR5、−[(W)−N(R)]qR5、−W−NR3+X−又は−[(W)−S]qR5であり(ここで、各Wは、それぞれ独立してジラジカルであり、各qは、それぞれ独立して1、2、3、4、5又は6であり、X−は、ハライドである);
各R5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)2]P−R6(pは、0−6である)か、あるいは、同一の置換基上の任意の2つのR5は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0−3個のヘテロ原子を含む4−8員の任意に置換された環を形成することができ;
各R6は、独立して、ヒドロキシル、−N(R)COR、−N(R)C(O)OR、−N(R)SO2(R)、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)(R)、−SO2N(R)(R)、−N(R)(R)、−COOR、−C(O)N(OH)(R)、−OS(O)2OR、−S(O)2OR、−OP(O)(OR)(OR)、−NP(O)(OR)(OR)又は−P(O)(OR)(OR)であり;
但し、R2、R3がHであり、R4がヒドロキシルであるときには、R1は、ヒドロキシルであることができず;
R2、R3及びR4がHであるときには、R1は、ヒドロキシルであることができず;そして、
R2、R3及びR4がHであるときには、R1は、糖であることができない)。
【0032】
化合物の例は、以下の式の化合物及びそれらの医薬的に許容可能な塩を含む:
。
【0033】
本発明の方法に適するヘッジホッグ阻害剤の1つの例は、以下の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩である:
医薬的に許容可能な塩の例は、式Iの化合物の塩酸塩である。
【0034】
本発明において有用なヘッジホッグ阻害剤は、アミノ又はアルキルアミノなどの塩基性の(basic)官能基を含むことができるため、医薬的に許容可能な酸で医薬的に許容可能な塩を形成することができる。この点において、用語「医薬的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物の比較的に無毒性の無機酸添加塩及び有機酸添加塩を意味する。これらの塩は、インサイチュの投与ビヒクルあるいは投与形態(dosage form)の製造プロセスにおいて、又は、適する有機酸又は無機酸で化合物をそのフリーベース形態(free base form)に個別に処理し、形成された塩をその後の精製の間に単離することによって調製することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸(tosylate)塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(napthylate)、メシル酸塩、ベシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩及び同様のものを含む(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci 66:1-19参照)。
【0035】
本発明の医薬的に許容可能な塩は、従来の(conventional)無毒性の塩又は第4級アンモニウム塩の化合物、例えば、無毒性の有機酸又は無機酸からの[塩]を含む。例えば、そのような従来の無毒性塩は、塩酸塩、臭化水素酸(塩)、硫酸(塩)、スルファミン酸(塩)、リン酸(塩)、硝酸(塩)、及び同様のものなどの無機酸由来の塩、そして、酢酸(塩)、プロピオン酸(塩)、コハク酸(塩)、グリコール酸(塩)、ステアリン酸(塩)、乳酸(塩)、リンゴ酸(塩)、酒石酸(塩)、クエン酸(塩)、アスコルビン酸(塩)、パルミチン酸(塩)、マレイン酸(塩)、ヒドロキシマレイン酸(塩)、フェニル酢酸(塩)、グルタミン酸(塩)、安息香酸(塩)、サリチル酸(塩)(salicyclic [sic, salicylic]、スルファニル酸(塩)、2−アセトキシ安息香酸(塩)、フマル酸(塩)、トルエンスルホン酸(塩)、メタンスルホン酸(塩)、ベンゼンスルホン酸(塩)、エタンジスルホン酸(塩)、シュウ酸(塩)、イソチオ化物の(isothionic)の(塩)、及び同様のものなどの有機酸から調製される塩を含む。
【0036】
他のケースにおいて、本発明の化合物は、1つ以上の酸性の官能基を含むことができるので、医薬的に許容可能な塩基で医薬的に許容可能な塩を形成することが可能である。これらの場合において、用語「医薬的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物の比較的に無毒性の無機性塩基及び有機性塩基の添加塩を意味する。これらの塩は、同様に、インサイチュの投与ビヒクルあるいは投与形態の製造プロセスにおいて、又は、適する塩基(医薬的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩など)、アンモニア、あるいは医薬的に許容可能な有機性の第1級、第2級もしくは第3級アミンで化合物をそのフリーベース形態に個別に処理することによって調製することができる。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩及び同様のものを含む。代表的な塩基添加塩の形成に有用な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン及び同様のものを含む(例えば、上記Berge et al.参照)。
【0037】
本発明の方法を実施するために、ヘッジホッグ阻害剤及び/又は化学治療剤は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤と一緒に薬剤化された治療上有効な量の1つ以上のヘッジホッグ阻害剤及び/又は1つ以上の化学治療剤を含む医薬的に許容可能な組成物の形態で送達することができる。いくつかの場合において、ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤を、個別の医薬組成物の状態で投与し、かつ、(例えば、異なる物理的な及び/又は化学的な特徴のために)異なるルート(routes)によって投与する(例えば、1つの治療剤を経口的に投与し、一方では、他(other)を静脈内に投与する)ことができる。他の場合において、ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤を、個別であるが同一のルートを介して(例えば、両方とも経口的に、又は両方とも静脈内に)投与することができる。更に他の場合において、ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤を同一の医薬組成物の状態で投与することができる。
【0038】
医薬組成物は、以下のものに適用された医薬組成物を含む固形形態又は液体形態の投与剤へ、特別に製剤化することができる:経口投与剤、例えば、水薬(水性、非水性の溶液あるいは懸濁液)、錠剤(例えば、頬の、舌下の、そして全身性の吸収をターゲットにしたもの)、カプセル剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤;非経口的な投与剤、例えば、滅菌溶液あるいは懸濁液としての注射剤(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、あるいは硬膜外の注射剤)、又は持続性放出剤;局所(外用)投与剤、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏剤、あるいは制御性放出パッチあるいはスプレー;膣内あるいは直腸内に投与される薬剤、例えば、ペッサリー、クリームあるいは泡沫剤;舌下に;経眼的に(ocularly);経皮的に;経肺的に(pulmonarily);あるいは経鼻的に投与される薬剤。
【0039】
医薬組成物に採用することができる適する水性の、そして非水性の担体の例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び同様のものなど)及びそれらの適切な混合液、植物油(オリーブオイルなどの)、そして、注射可能な(injectable)有機エステル(オレイン酸エチルなど)を含む。適切な流動性は、例えば、被覆物質(coating material)(レシチンなど)の使用によって、分散剤(dispersions)のケースにおける必要とされる粒子の大きさの維持によって、そして界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0040】
これらの組成物は保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤(dispersing agent)、潤滑剤及び/又は抗酸化物質のなどのアジュバントも含むことができる。本発明の化合物についての微生物の活動の防止は、種々の抗菌性及び抗真菌性の薬剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸及び同様のものの包含によって保障することができる。等張性の薬剤(糖、塩化ナトリウム、及び同様のものなど)を組成物に含ませることも望ましい。さらに、注射可能な医薬形態の延長した期間での吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤の包含によって達成することができる。
【0041】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、ヘッジホッグ阻害剤及び/又は化学治療剤と、担体及び任意的な1以上の補助成分(accessory ingredients)とを会合物(association)にするステップを含む。一般的に、製剤は、本発明の化合物と、液体担体もしくは微粉固体担体(finely divided solid carriers)又はその両方とを均一的(uniformly)かつ緊密的(intimately)に会合させた後、必要に応じてその製品を成形することによって調製される。
【0042】
本発明のヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤は、それ自体で、あるいは、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて、例えば、およそ0.1から99%、又はおよそ10から50%、又はおよそ10から40%、又はおよそ10から30%、又はおよそ10から20%、又はおよそ10から15%の有効成分を含む医薬組成物として提供することができる。本発明の医薬組成物における有効成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性を与えずに特定の患者の所望の治療上の応答を達成することに有効な有効成分の量、組成及び投与の態様(mode)が得られるように変えることができる。
【0043】
選択される投与量のレベルは、例えば、採用される特定の化合物、投与のルート、投与時点ないし回数(time)、採用される特定の化合物の排泄率もしくは代謝率、吸収の割合及び程度、処置期間、採用される特定の化合物と組み合せて使用される他の薬剤(drugs)、化合物及び/又は物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態(condition)、通常の健康状態及び病歴ないし治療歴(prior medical history)及び医療分野において周知の同様の因子を含む種々の因子に依存する。
【0044】
一般的には、ヘッジホッグ阻害剤及び/又は化学治療剤の適する一日投与量(daily dose)は、治療効果を提供するために有効な最低(lowest)投与量の化合物の量である。そのような有効投与量は、一般的には、上記の諸因子に依存する。一般的には、患者への本発明の化合物の経口的、静脈内的、皮下的な投与量は、指示された(indicated)効果のために使用するときには、1日におよそ0.0001mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.001mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.01mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.1mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.0001mgからおよそ500mg、又は1日におよそ0.001mgからおよそ500mg、又は1日におよそ0.01mgからおよそ500mg、又は1日におよそ0.1mgからおよそ500mgの範囲である。一日に体重1キログラム当たり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲にわたる。
【0045】
この処置を受ける被検体(subject)は、霊長類、特にヒト、馬、牛、豚、羊、家禽、犬、猫、マウス及びラットを含む[処置の]必要がある任意の動物である。
【0046】
化合物は、毎日、1日おきに、1週間に3回、1週間に2回、1週間ごとに、又は2週間ごとに投与することができる。投与スケジュールは「休薬日(drug holiday)」を含むことができ、すなわち、薬剤を2週間投与して1週間休む、又は3週間投与して1週間休む、もしくは4週間投与して1週間休むなどか、あるいは休薬日無しで持続的に投与することができる。化合物は経口的に、静脈内に、腹腔内に、局所的に、経皮的に、筋肉内に、皮下的に、径鼻的に、舌下に、又は任意の他のルートで投与することができる。
【0047】
ヘッジホッグ阻害剤が他の処置(追加的な化学治療剤、放射線照射又は外科手術など)と組み合わせて投与されるので、各薬剤又は治療の投与量は、単一の薬剤治療の対応する投与量より低く(lower)なり得る。単一の薬剤治療の投与量は、例えば、1日に体量のキログラム当り、およそ0.0001からおよそ200mg、又はおよそ0.001からおよそ100mg、又はおよそ0.01からおよそ100mg、又はおよそ0.1からおよそ100mg、又はおよそ1からおよそ50mgの範囲であり得る。投与の仕方(mode)及び正確な投与量の決定は、通常の知識を有する医師の知識範疇の内に十分ある(well within)。
【0048】
一般的に記載される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、本発明の或る視点及び実施形態の例示の目的のためだけに含み、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1:ヘッジホッグ経路の活性
ヘッジホッグ経路特異的癌細胞(hedgehog pathway specific cancer cell)を死滅させる効果は、以下のアッセイを使用して確認することができる。C3H10T1/2細胞は、ソニックヘッジホッグペプチド(Shh-N)と接触した時に、骨芽細胞に分化する。分化の際に、これらの骨芽細胞は、酵素的なアッセイにおいて測定することができる高い(high)レベルのアルカリホスファターゼ(AP)を生産する(Nakamura et al., 1997 BBRC 237: 465)。従って、C3H10T1/2の骨芽細胞への分化(Shh依存的なイベント)をブロックする(block)化合物は、AP生産の減少によって確認(ないし同定)することができる(van der Horst et al., 2003 Bone 33: 899)。該アッセイの詳細は、以下に記載される。
【0050】
細胞培養
マウス胚性中胚葉の線維芽細胞C3H10T1/2細胞(ATCCから得た)を10%の熱失活させたFBS(Hyclone)、50ユニット/mlのペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen)を添加した基本MEM培地(Gibco/Invitrogen)において、37℃で、5%CO2の大気雰囲気(air atmosphere)で、培養した。
【0051】
アルカリホスファターゼアッセイ
C3H10T1/2細胞を、96ウェルに8x103細胞/ウェルの密度で蒔いた。細胞を密集状態(ないしコンフルエンス:confluence)まで成長させた(72時間)。ソニックヘッジホッグ(250ng/ml)及び/又は化合物処理の後に、細胞を110μLの溶解バッファー(50 mM Tris pH 7.4, 0.1% TritonX100)に溶解し、プレートを超音波処理し、ライセート(lysates)をスピンして(spun)、0.2μmのPVDFプレート(Corning)を通した。40μLのライセートを、1mg/mlのp−ニトロフェニルリン酸塩を含有するアルカリ性のバッファー溶液(Sigma)においてAP活性についてアッセイした。30分間37℃でインキュベートした後に、プレートを、405nmで、Envisionプレートリーダーで解読した。総タンパク質(量)(total protein)を、PierceからのBCAタンパク質アッセイキットで、製造者の指示(ないし説明書:instructions)に従って数量化(ないし定量)した。AP活性を総タンパク質(量)に対して規格化した。上述のアッセイを使用して、化合物42が20nM未満のIC50を有するヘッジホッグ経路のアンタゴニストであることを示した。
【0052】
実施例2:膵臓癌の単独治療モデル(Pancreatic Cancer Monotherapy Model)
化合物42の活性を、ヒト膵臓[癌]モデルにおいてテストした。BxPC−3細胞を、マウスの右足の横側(flank)に皮下的に移植した。腫瘍移植後42日目に、マウスを2つの群に無作為に分け(randomized)、ビヒクル(30% HPBCD)又は化合物42のどちらかの投与を受けさせた。化合物42は、40mg/kg/日で投与した(dosed)。25回の毎日の投与(daily doses)を受けさせた後に、化合物42は、ビヒクルコントロールと比較したときに、統計学的に腫瘍容積の成長をおよそ40%ずつ減少させた(p=0.0309)(図1参照)。
【0053】
実験(study)の終了[日]において、最終投与の4時間後に腫瘍を収集し、ヘッジホッグ経路遺伝子のq−RT−PCR解析によって、(オン)ターゲット応答を評価した。図2Aに示すように、ヒトGli−1は、ビヒクル又は処置群のいずれにおいても調節されなかった。しかしながら、ビヒクル処置群と比較した時に、マウスGli−1のmRNAレベルは、化合物42の処置群において有意に減少制御された(down-regulated)(図2B参照)。
【0054】
実施例3:膵臓癌の併用的な組み合わせ治療モデル(Pancreatic Cancer Concurrent Combination Therapy model)
BxPC−3膵臓癌異種移植片(xenografts)を保有する(bearing)動物を、化合物42と併用的に組み合せて、化学治療剤ゲムシタビン(gemcitabine)で処置した。化合物42を、40mg/kgの投与量で毎日の経口的な供与(oral gavage)によって投与した間に、ゲムシタビンを、100mg/kgの投与量で週に2回の腹腔内注射によって投与した。図3に示すように、これらの条件下において、腫瘍は、ゲムシタビン単独に対する33%応答、化合物42単独に対する55%応答、そして化合物42及びゲムシタビンの組み合わせに対する67%応答を示した。
【0055】
他のモデルにおいて、MiaPaCa膵臓癌異種移植片を保有する動物を、化合物42と併用的に組み合せて、化学治療剤ゲムシタビンで処置した。化合物42を、40mg/kgの投与量で毎日の経口的な供与によって投与した間に、ゲムシタビンを、100mg/kgの投与量で週に1回の腹腔内注射によって投与した。図4に示すように、これらの条件下において、腫瘍は、ゲムシタビン単独に対する52%応答、化合物42単独に対する50%応答、そして化合物42及びゲムシタビンの組み合わせに対する70%応答を示した。
【0056】
実施例4:肺癌の併用的な組み合わせ治療モデル(Lung Cancer Concurrent Combination Therapy model)
ヒト肺小細胞癌(small cell lung cancer:SCLC)腫瘍モデルにおける化合物42の活性をテストするために、LX22細胞を、雄性のNcrヌードマウスの右足の横側に皮下的に移植した。LX22は、化学的に未処置の患者由来のSCLCの主要な(primary)異種移植片モデルであり、マウスからマウスへの継代によって維持されて来た。この腫瘍は、臨床上の設定(setting)と近似の仕方(way)において、エトポシド/カルボプラチン化学治療剤に対して応答する。LX22は、化学治療処置の間に退行し、寛解(remission)の期間を通過し、そして次に再発し始める。
【0057】
LX−22肺小細胞癌の異種移植片を保有する動物を、化合物42と併用的に組み合せて、化学治療剤であるエトポシド及びカルボプラチンで処置した。この実験において、エトポシドを12mg/kgの投与量で静脈内のルートに連続的な3日間投与し、次に最初の投与から2週間後の単一の投与で投与した。カルボプラチンは、週に60mg/kgの投与量で、週に1回の3週間の静脈内注射によって投与した。化合物42は、40mg/kgの投与量で、毎日、エトポシド/カルボプラチン[処置]と同時又はエトポシド/カルボプラチン処置の直後のいずれかの経口的な供与(oral gavage)によって投与した。図5に示すように、これらの条件下において、腫瘍は、エトポシド/カルボプラチン単独の[投与]を受けさせた動物と比較した時に、全ての処置に対して全体的に(overall)40%応答を示した。
【0058】
実施例5:化学的抵抗性(chemo-resistant)の再発モデル
LX22モデルにおいて、化合物42の単一薬剤活性、及びその化学的抵抗性の再発を調節する能力(ability)をテストした。腫瘍移植後32日目に、マウスを3つの投与群に無作為に分け、ビヒクル(30% HBPCD)、化合物42、もしくは、エトポシド及びカルボプラチン(E/P)の化学治療剤の組み合わせの[投与を]受けさせた。化合物42は、40mg/kg/日の投与量で投与し、エトポシドは、12mg/kgで静脈内注射によって(i.v.)、腫瘍移植後34、35、36及び48日目に投与し、カルボプラチンは、60mg/kgで静脈内注射によって(i.v.)、腫瘍移植後34、41及び48日目に投与した。16回の連続的な投与の後に、化合物42で処置した群とビヒクル処置群との間の測定可能な差は無かった(図6参照)。50日目に、E/P処置マウスを更に無作為に分け、ビヒクル(30% HPBCD)又は化合物42の追加処置(follow-up treatment)のいずれかを受けさせた。化合物42は、40mg/kg/日で投与した。図6に示すように、35回の化合物42の連続的な投与の後に、ビヒクル群と比較して、処置群に、腫瘍の再発における実質的な遅延(82%)があった(p=0.0101)。
【0059】
実施例6:結腸癌(Colon Cancer)の組み合わせ治療モデル
Colo205結腸癌異種移植片を保有する動物は、化合物42と組み合わせて化学治療剤5−フルオロウラシル(5-fluorouracil)で処置した。5−フルオロウラシルは、50mg/kg又は100mg/kgのいずれかの投与量で、週に1回の2週間の静脈内注射として投与した。化合物42は、40mg/kgで毎日の21日間の経口的な供与として投与した。これらの条件下において、腫瘍は、5−フルオロウラシル単独に対する又は化合物42との組み合わせにおける68%[応答]を示した。
【0060】
実施例7:結腸癌の化学的抵抗性の再発モデル
動物は、SW620結腸癌細胞を移植される。腫瘍を保有する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、パクリタキセル(paclitaxel)を投与される。これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0061】
或いは(Alternatively)、Colo205結腸癌細胞は、実験動物に移植される。腫瘍を保有する動物は、腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、5−フルオロウラシルを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0062】
実施例8:卵巣癌モデル
IGROV−1卵巣癌の異種移植片を保有するマウスを、連続的な21日間の毎日の40mg/kgでの化合物42の投与で処置した。腫瘍の成長に対する実質的な影響(effect)は、この投与量で、この特定の卵巣癌細胞の異種移植片では、観察されなかった。更なる実験(study)において、IGROV−1卵巣癌異種移植片を保有するマウスを、連続的な5日間の毎日の15mg/kgでのパクリタキセルの投与で処置した後に、連続的な21日間の40mg/kgでの化合物42の投与で処置した。再度、腫瘍の成長に対する実質的な影響は、これらの投与量で、この特定の卵巣癌細胞の異種移植片では、観察されなかった。
【0063】
他の卵巣癌細胞タイプが化合物42での処置に対して応答するか[否か]を決定するために、SKOV−3、OVCAR−4又はOVCAR−5卵巣癌細胞は、実験動物に移植される。単独治療(monotherapy)及び併用的な組み合わせ治療(concurrent combination therapy)の影響を決定するために、腫瘍を保有する動物は、パクリタキセル[単独]又はカルボプラチン単独、化合物42単独、あるいは化合物42とパクリタキセルと[の組み合わせ]、もしくは[化合物42と]カルボプラチンとの組み合わせを投与される。逐次的な組み合わせ治療(sequential combination therapy)の影響を決定するために、腫瘍を保持する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、パクリタキセル又はカルボプラチンを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0064】
実施例9:膀胱癌(Bladder Cancer)モデル
単独治療及び併用的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、UMUC−3膀胱癌細胞を移植される。次に、腫瘍を保有する動物は、ゲムシタビン/シスプラチン(cisplatin)単独、化合物42単独、又は3つの薬剤の組み合わせを投与される。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0065】
逐次的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、UMUC−3膀胱癌細胞を移植され、次に、腫瘍を保持する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、ゲムシタビン及びシスプラチンの組み合わせを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0066】
他には(Alternatively)、SW780膀胱癌細胞は、実験動物に移植される。単独治療及び併用的な組み合わせ治療の影響を決定するために、腫瘍を保有する動物は、ゲムシタビン/シスプラチン単独、化合物42単独、又は3つの薬剤の組み合わせを投与される。逐次的な組み合わせ治療の影響を決定するために、腫瘍を保有する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、ゲムシタビン/シスプラチンの組み合わせを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0067】
実施例10:非小細胞癌(Non-Small Cell Cancer)モデル
単独治療及び併用的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、NCI−H1650非肺小細胞癌細胞を移植される。次に、腫瘍を保有する動物は、ゲフィチニブ(gefitinib)単独、化合物42単独、あるいは2つの薬剤の組み合わせを投与される。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0068】
逐次的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、NCI−H1650非肺小細胞癌細胞を移植され、次に、腫瘍を保有する動物は、それらの腫瘍がゲフィチニブ処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、ゲフィチニブを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0069】
実施例11:ヘッジホッグリガンドの誘導実験
LX22モデルにおける追跡実験(follow up studies)を設計(ないしデザイン)し、エトポシド及びカルボプラチン(E/P)処置後の化合物42によるHh経路調節を調査した。上述の実施例4において記載されたように、LX22肺小細胞癌異種移植片を保有する動物を、エトポシド及びカルボプラチンで処置した。単一投与の(single dose)化合物42(40mg/kg)は、採取された各時点の24時間前に投与した。未処置(Naive)の腫瘍を、化学治療処置の前に、ベースラインレベルの5匹の動物から採取した。4匹の動物からの腫瘍を、1、4、7、及び10日目に採取し、3匹の動物からの腫瘍を14日目に採取した。サンプルを、q−RT−PCR解析、及び組織学的/免疫組織学的な評価のために採取した。RNAを抽出し、最初にcDNAに転換し、次にワンステップマスターミックス(FAST method on 7900)を使用することによってq−RT−PCR解析を完成させた。
【0070】
この実験の結果は、RT−PCR及び免疫組織学の両方によって測定した場合に、Hhリガンド、特にインディアンHh(IHH)が、化学治療の後に、ヒト腫瘍細胞及び周囲のマウス間質細胞(surrounding murine stroma cells)において増大制御(up-regulated)されたことを示した(図7A及び7B参照)。更に、間質由来のマウスGli−1、及び腫瘍由来のヒトGli−1は、腫瘍由来のリガンドに対する応答が誘導された。マウスGli−1の発現は、未処置の腫瘍における発現レベルと比較して、E/P処置の休止後の少なくとも14日間上昇したままであり、化合物42の投与によって阻害されたが(図8A)参照)、一方では、ヒトGli−1の発現は、化合物42の投与によっては影響されなかった(図8B参照)。いずれの理論に結びつけられることなく、腫瘍由来のHhリガンドの化学治療後の増大制御は、生存する細胞集団に、腫瘍の再発に関して重要であるHh経路の依存性を与えることができると信じられる。これらの発見は、腫瘍と、以前にHhシグナリングに関して重要であることが示された周囲の間質との間で観察されたパラクリン(傍分泌)クロストーク(paracrine crosstalk)(Yauch et al., 2008, Nature 455:406-410)と符合する。
【0071】
実施例12:ヘッジホッグリガンドの誘導実験
化学治療後のHhリガンドの誘導を、他の癌腫瘍モデルでも実験した。インビボでUMUC−3膀胱癌異種移植片を保有するマウスを、100mg/kgのゲムシタビンで、週に1回、4週間処置した。腫瘍は、LX22モデルにおいて最終投与の投与24時間後に観察されたIHH発現と類似する増加したIHH発現を示した(図9A及び9B参照)。インビトロ実験は、ドキソルビシン(doxorubicin)又はゲムシタビンのいずれかに12−24時間曝されたUMUC−3細胞において、3つ全てのHhリガンド(ソニック、インディアン及びデザート)が増大制御されたことを示した(図10におけるドキソルビシンのデータ参照)。追加的なインビトロ実験は、IHH発現は、A2780卵巣癌細胞においてカルボプラチンでの処置後に増加したが、一方では、ソニックHh(SHH)発現は影響されなかったこと(図11参照)、そして、IHH及びSHHの両方の発現は、ドセタキセル(docetaxel)で処置したIGROV−1細胞において増加し、SHHは、より大きな度合い(greater degree)まで増大制御されたこと(図12参照)を示した。更なるインビトロ実験は、肺小細胞癌H82細胞において、SHHはドセタキセルによって増大制御され、カルボプラチンでは増大制御されないが、一方では、IHHはいずれの薬剤によっても増大制御されないことを示す(図13参照)。
【0072】
化学治療剤以外の細胞性のストレスがHhリガンド発現を増大制御するか[否か]を決定するために、MUC−3細胞を、インビトロにおいて、低酸素(hypoxia)を含む種々のストレス要因(stressors)に曝した。正常酸素の(normoxic)コントロールと比較して、SHHリガンド発現はRNA及びタンパク質のレベルの両方で増加した(図14参照)。
【0073】
概略(summary)としては、複数の腫瘍タイプが、化学治療後のHhリガンドの増大制御を示す。増大制御されたHhリガンドのタイプ(すなわち、ソニック、インディアン及び/又はデザート)、及び増大制御の度合いは、腫瘍タイプ及び化学治療剤に依存して変化する。いずれの理論に結びつけられることなく、これらの結果は、ストレス(化学治療剤を含む)が、腫瘍細胞において、保護的な(protective)又は生存の(survival)メカニズムとして、ヘッジホッグリガンドの生産を誘導することを示唆する。これらの結果は、生存するサブ集団(sub-population)は、Hh経路に依存的であり得るため、Hh経路阻害に対して感受性であり得ることをさらに示唆する。まとめると、これらの結果は、ヘッジホッグ阻害は、初期的には化学応答性であるが最終的には再発性(relapse)である臨床上の指示(indications)(肺小細胞癌、非肺小細胞癌、膀胱癌、結腸癌又は卵巣癌など)における非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を増加させることを示す。
【0074】
本発明の分野における通常の知識を有する人は、ルーチン的な実験方法を上回る[方法]を使用せずに、本願に記載された発明の特異的な実施形態と同等ないし均等の多数の態様(many equivalents)を認識するだろうし、あるいは、確認することができる。そのような同等ないし均等のものが、特許請求の範囲に記載の請求項に包含されるものとする。
【関連出願】
【0001】
本発明は、2007年12月27日に出願されたU.S.特許出願番号11/965,688、2007年12月27日に出願されたU.S.仮特許出願番号61/017,160、2008年12月1日に出願されたU.S.仮出願番号61/118,969の利益を主張する(これらの各々は、その全体において引用によって本願に組み込まれるものとする)。
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグシグナリングは、発生(development)の多くの段階において、特に左右対称性の形成において、必要不可欠である。ヘッジホッグシグナリングの欠損(loss)ないしは減少は、複数(ないし多数:multiple)の発生上の欠陥及び奇形形成に到り、最も顕著なものの1つは単眼症(cyclopia)である。
【0003】
多くの癌及び増殖性の状態(ないし条件:conditions)は、ヘッジホッグ経路に依存することが示されている。そのような細胞の成長及び生存は、本願に記載された化合物での処置によって影響され得る。最近では、ヘッジホッグ経路変異の活性化(activating)が、散発性の基底細胞癌(Xie et al. (1998) Nature 391: 90-2)、中枢神経系の原発的な(primitive)神経外胚葉性腫瘍(Reifenberger et al. (1998) Cancer Res 58: 1798-803)において生じることが報告されている。ヘッジホッグ経路の非制御の活性化は、膵臓癌、食道癌、胃癌を含むG1経路癌(G1 tract cancers)(Berman et al. (2003) Nature 425: 846-51, Thayer et al. (2003) Nature 425: 851-56)、肺癌(Watkins et al. (2003) Nature 422: 313-317)、前立腺癌(Karhadkar et al. (2004) Nature 431: 707-12, Sheng et al. (2004) Molecular Cancer 3: 29-42, Fan et al. (2004) Endocrinology 145: 3961-70)、乳癌(Kubo et al. (2004) Cancer Research 64: 6071-74, Lewis et al. (2004) Journal of Mammary Gland Biology and Neoplasia 2: 165-181)、及び肝細胞癌(Sicklick et al. (2005) ASCO conference, Mohini et al. (2005) AACR conference)などの多数の癌タイプにおいても示されている。
【0004】
例えば、ヘッジホッグ経路の小分子阻害(small molecule inhibition)は、基底細胞癌(Williams et al, 2003 PNAS 100: 4616-21)、髄芽腫(Berman et al., 2002 Science 297: 1559-61)、膵臓癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、胃腸の(gastrointestinal)癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51, 公開PCT出願WO 05/013800)、食道癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、肺癌(Watkins et al., 2003. Nature 422: 313-7)、及び前立腺癌(Karhadkar et al., 2004. Nature 431: 707-12)の成長を阻害することが示されている。
【0005】
更に、多くの癌タイプ、例えば、乳癌(Kubo et al., 2004. Cancer Research 64: 6071-4)、肝細胞癌(Patil et al., 2005. 96th Annual AACR conference, abstract #2942 Sicklick et al., 2005. ASCO annual meeting, abstract #9610)、血液学的な悪性腫瘍(hematological malignancies)(Watkins and Matsui, unpublished results)、基底細胞癌(Bale & Yu, 2001. Human Molec. Genet. 10:757-762, Xie et al., 1998 Nature 391: 90-92)、髄芽腫(Pietsch et al., 1997. Cancer Res. 57: 2085-88)、前立腺癌(Karhadkar et al., 2003, Nature, 431:846-851)、及び胃癌(Ma et al., 2005 Carcinogenesis May 19, 2005 (Epub))がヘッジホッグ経路の非制御の活性化を有することが示されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、一般的には、治療上有効な量のヘッジホッグシグナリング経路阻害剤(本願では「ヘッジホッグ阻害剤」とも称する)を患者に投与することによって、癌治療(例えば、化学治療剤、放射線照射治療及び/又は外科手術での処置)を受けている又は受けていた癌患者の非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を延長する方法に関する。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療と同時に投与する。併用的な(concurrent)投与の場合には、癌治療を休止した後にヘッジホッグ阻害剤を投与し続けてもよい。他の実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療を休止(ないし終了:cease)した後に(すなわち、癌処置と重複する期間を伴わずに)投与する。
【0007】
他の実施形態において、本発明は、癌治療を休止した後に治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与することによって、以前に癌治療(例えば、化学治療剤、放射線照射治療及び/又は外科手術での処置)を受けていた癌患者の非再発性生存期間を延長する方法に関する。
【0008】
本願に記載される方法によって処置される癌は、肺癌(例えば、肺小細胞癌(small cell lung cancer)又は非肺小細胞癌(non-small cell lung cancer))、膀胱癌、卵巣癌、結腸癌、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病から選択することができる。本発明による肺小細胞癌の処置のためには、化学治療剤を、エトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択することができる。本発明による非肺小細胞癌の処置に適する化学治療剤の例は、ビノレルビン;シスプラチン;ドセタキセル;ペメトレキセド;エトポシド;ゲムシタビン;カルボプラチン;ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブおよびセツキシマブを含むターゲット治療(targeted therapies);放射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。本発明による膀胱癌の処置については、適する化学治療剤は、ゲムシタビン、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、放射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。本発明による卵巣癌の処置に適する化学治療剤の例は、パクリタキセル;ドセタキセル;カルボプラチン;ゲムシタビン;ドキソルビシン;トポテカン;シスプラチン;イリノテカン;ベバシズマブなどのターゲット治療;射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。本発明による結腸癌の処置については、適する化学治療剤の例は、パクリタキセル;5−フルオロウラシル;ロイコボリン;イリノテカン;オキサリプラチン;カペシタビン;ベバシズマブ、セツキシマブ及びパニツムマブを含むターゲット治療、放射線照射治療及びそれらの組み合わせを含む。
【0009】
他の視点において、本発明は、他の癌治療を受けている患者の癌を処置する方法であって、前記患者における増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップと、前記患者に対して医薬的に有効な量のヘッジホッグアンタゴニストを投与するステップとを含むことを特徴とする方法に関する。前記増強したヘッジホッグリガンドは、血液、尿、循環腫瘍細胞(circulating tumor cells)、腫瘍生検試料(biopsy)又は骨髄生検試料において検出することができる。前記増強したヘッジホッグリガンドは、ヘッジホッグリガンドに対するラベルされた形態の抗体の全身性の(systemic)投与の後に画像処理すること(imaging)によっても、検出することができる。前記増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップは、他の癌治療の投与の前に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、他の癌治療の投与の後に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、他の化学治療の投与後のヘッジホッグリガンドの量が他の化学治療の投与の前のヘッジホッグリガンドよりも多いか否かを決定するステップとを含むことができる。前記他の癌治療は、例えば、化学治療剤又は放射線照射治療であってもよい。
【0010】
他の視点において、本発明は、腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する1つ以上の化学治療剤(ないし療法剤)を確認(ないし同定)するステップと、腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する治療上有効な量の1つ以上の化学治療剤及び治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を投与するステップとによって、患者における癌を処置する方法に関する。前記ヘッジホッグリガンドの発現を増強する化学治療剤を確認(ないし同定)するステップは、腫瘍からの細胞を1つ以上の化学治療剤にインビトロで曝すステップと、該細胞におけるヘッジホッグリガンドを測定するステップとを含むことができる。
【0011】
ヘッジホッグ阻害剤の例は、以下の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩である
式Iの化合物のいくつかの医薬的に許容可能な塩の例は、塩酸塩である。
【0012】
いくつかの実施形態においては、ヘッジホッグ阻害剤を、ヘッジホッグ阻害剤又はその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与するる。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、その必要がある患者に治療上有効な量の以下の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を投与するステップによって膵臓癌を処置する方法に関する
式Iの化合物の治療上許容可能な塩の例は、塩酸塩である。該方法は、式Iの化合物もしくはその医薬的に許容可能な塩と、1つ以上の化学治療剤との組み合わせ(例えば、ゲムシタビン、シスプラチン、エピルビシン、5−フルオロウラシル及びそれらの組み合わせ)の投与も含むことができる。化学治療剤での処置が休止した後に、式Iの化合物の投与を継続することができる。式Iの化合物は、式Iの化合物もしくはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、ビヒクル及び化合物42で処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片(xenografts)に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図2】図2Aは、ビヒクル及び化合物42で処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片におけるヒトGli−1レベルを示すグラフである。図2Bは、ビヒクル及び化合物42で処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片におけるマウスGli−1レベルを示すグラフである。
【図3】図3は、ビヒクル、化合物42、ゲムシタビン、及び化合物42とゲムシタビンとの組み合わせで処置したBxPC−3膵臓腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図4】図4は、ビヒクル、化合物42、ゲムシタビン、及び化合物42とゲムシタビンとの組み合わせで処置したMiaPaCa膵臓腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図5】図5は、ビヒクル、化合物42、エトポシド/カルボプラチン、及び化合物42とエトポシド/カルボプラチンとの組み合わせで処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図6】図6は、ビヒクル、化合物42、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクルで処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片、及びエトポシド/カルボプラチンの後に化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片に関する経時的な腫瘍容積の変化を示すグラフである。
【図7】図7Aは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるマウスのインディアンヘッジホッグのレベルを示すグラフである。図7Bは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるヒトのインディアンヘッジホッグのレベルを示すグラフである。
【図8】図8Aは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるマウスGli−1の発現レベルを示すグラフである。図8Bは、エトポシド/カルボプラチンの後にビヒクル又は化合物42で処置したLX22肺小細胞癌腫瘍異種移植片におけるヒトGli−1の発現レベルを示すグラフである。
【図9】図9Aは、未処置の(naive)UMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片と比較した[場合の]、ゲムシタビンで処置したUMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片におけるマウスのヘッジホッグリガンド発現レベルの変化を示すグラフである。図9Bは、未処置のUMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片と比較した、ゲムシタビンで処置したUMUC−3膀胱癌腫瘍異種移植片におけるヒトのヘッジホッグリガンド発現レベルの変化を示すグラフである。
【図10】図10は、未処置のUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞と比較した、ドキソルビシンで処置したUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック、インディアン及びデザートヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図11】図11は、未処置のA2780卵巣癌腫瘍細胞と比較した、カルボプラチン又はドセタキセルで処置したA2780卵巣癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック及びインディアンヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図12】図12は、未処置のIGROV−1卵巣癌腫瘍細胞と比較した、カルボプラチン又はドセタキセルで処置したIGROV−1卵巣癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック及びインディアンヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図13】図13は、未処置のH82肺小細胞癌腫瘍細胞と比較した、カルボプラチン又はドセタキセルで処置したH82肺小細胞癌腫瘍細胞におけるヒトのソニック及びインディアンヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【図14】図14は、正常酸素の(normoxic)条件に曝したUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞と比較した、低酸素の(hypoxia)条件に曝したUMUC−3膀胱癌腫瘍細胞におけるソニックヘッジホッグリガンドの発現の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[詳細な記載]
本発明は、ヘッジホッグ阻害剤を投与することによって種々の癌を処置する方法に関する。ヘッジホッグ阻害剤は、他の癌治療(therapy)(1つ以上の化学治療剤(chemotherapeutics)、放射線照射治療及び/又は外科手術など)と組み合せて投与する。癌治療及びヘッジホッグ阻害剤は、同時ないし併行的に(concurrently)、又は逐次的に(sequentially)に投与してもよいし、又は併用的(concurrent)な組み合わせの投与後にヘッジホッグ阻害剤での単独治療(monotherapy)を実行してもよい。
【0016】
1つの視点において、本発明は、第1の治療剤及び第2の治療剤を患者に投与することによって癌を処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。該2つの薬剤は、同時に(すなわち、本質的に同時に、又は同一の処置内で)、あるいは逐次的に(すなわち、1つが他の直後に続くように、又は、その代わりに(alternatively)2つの投与の間においてギャップを伴うように)投与することができる。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、逐次的に(すなわち、第1の治療剤の後)に投与する。第1の治療剤は、[単一の]化学治療剤、あるいは、逐次的に又は組み合わせで投与される複数(ないし多数:multiple)の化学治療剤であり得る。処置することができる状態の例(症例)は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0017】
他の視点において、本発明は、第1の治療剤を患者に投与し、次に第2の治療剤と組み合せて第1の治療剤を投与するステップを含む癌を処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。処置することができる状態の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、AML及びCMLを含む。
【0018】
他の視点において、本発明は、ヘッジホッグ経路によって媒介される状態(condition)を、第1の治療剤及び第2の治療剤を患者に投与することによって処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。該2つの薬剤は、同時に(すなわち、本質的に同時に、又は同一の処置内で)、あるいは、逐次的に(すなわち、1つが他の直後に続くように、又は、その代わりに(alternatively)2つの投与の間にギャップを伴うように)投与することができる。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、逐次的に(すなわち、第1の治療剤の後)に投与する。第1の治療剤は、化学治療剤であり得る。処置することができる状態の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、AML及びCMLを含む。
【0019】
他の視点において、本発明は、第1の治療剤を患者に投与し、次に第2の治療剤と組み合せて第1の治療剤を投与するステップを含み、ヘッジホッグ経路によって媒介される状態を処置する方法であって、第2の治療剤が、ヘッジホッグ阻害剤であることを特徴とする方法に関する。処置することができる状態の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、AML及びCMLを含む。
【0020】
本発明は、治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与することによって、癌治療(例えば、化学治療剤(小分子剤(small molecules)及びバイオ治療剤(biotherapeutics)、例えば、抗体を含む)での処置、放射線照射治療、外科手術、RNAi治療及び/又はアンチセンス(antisense)治療)を受けている又は受けていた癌患者における非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を延長する方法にも関連する。「非再発性生存期間」とは、本発明の分野における通常の知識を有する人によって理解されるように、癌処置の特異的なポイント(point)の後の、臨床的に定義される癌の再発性(relapse)がない期間の長さである。いくつかの実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療と同時に投与する。併用的な投与の場合には、癌治療を休止した後に、ヘッジホッグ阻害剤を投与し続けてもよい。他の実施形態では、ヘッジホッグ阻害剤を、癌治療を休止した後に(すなわち、癌処置と重複(overlap)する期間を伴わずに)投与する。ヘッジホッグ阻害剤は、癌治療を休止した直後に投与してもよいし、又は癌治療の終了と、ヘッジホッグ阻害剤の投与との間に、時間におけるギャップ(gap)(例えば、およそ1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間又は1年間まで)が存在してもよい。ヘッジホッグ阻害剤での処置は、非再発性生存期間が維持される限り(例えば、1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間まで、又はより長い期間)継続することができる。
【0021】
1つの視点において、本発明は、癌治療を休止(ないし終了:cease)した後に治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与することによって、癌治療(例えば、化学治療剤(小分子剤及びバイオ治療剤、例えば、抗体を含む)での処置、放射線照射治療、外科手術、RNAi治療及び/又はアンチセンス治療)を以前に受けていた癌患者における非再発性生存期間を延長する方法に関する。癌治療を休止した直後にヘッジホッグ阻害剤を投与してもよいし、又は癌治療の終了とヘッジホッグ阻害剤の投与との間に、時間におけるギャップ(gap)(例えば、およそ1日、1週間、1ヶ月間、6ヶ月間又は1年間まで)が存在してもよい。
【0022】
本発明に従ってヘッジホッグ阻害剤と組み合わせることができる癌治療は、外科的な処置、放射線照射治療、バイオ治療剤(インターフェロン、サイトカイン‐例えば、インターフェロンα、インターフェロンγ、及び腫瘍壊死性因子(tumor necrosis factor)−造血成長因子、モノクローナル血清治療、ワクチン及び免疫賦活薬(immunostimulants)など)、抗体(例えば、アバスチン、エルビタックス、リツキサン及びベキサール)、内分泌治療(ペプチドホルモン、副腎皮質ステロイド(corticosteroids)、エストロゲン、アンドロゲン及びアロマターゼ阻害剤を含む)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン及びメゲストロール)、LHRHアゴニスト(例えば、ゴスクルクリン(goscrclin)及びリュープロリド酢酸塩(Leuprolide acetate))、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド及びビカルタミド)、遺伝子治療、骨髄移植、光線力学的治療(例えば、ベルトポルフィン(Vertoporfin)(BPD-MA)、フタロシアニン、光感受性物質(photosensitizer)Pc4、及びデメトキシヒポクレリンA(Demethoxy- hypocrellin A)(2BA-2-DMHA))、そして化学治療剤を含む。
【0023】
化学治療剤の例は、ゲムシタビン、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シタラビン(cytarbine [sic, cytarabine])、カンパテシン(campathecins)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンを含む。追加的な薬剤は、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustards)(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン及びメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、アルキルスルホナート(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン及びテモゾロミド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキソール(Docetaxol))、エピポドフィリン(epipodophyllins)(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトテシン(9-Aminocamptothecin)、カンプトイリノテカン(Camptoirinotecan)、クリスナトール(Crisnatol)、及びマイトマイシンC(Mytomycin C [sic, Mitomycin C])、抗代謝物(anti-metabolites)、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート及びトリメトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン及びEICAR)、リボヌクレオチド(ribonuclotide [sic, ribonucleotide])還元酵素阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素及びデフェロキサミン)、ウラシルアナログ(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラルチトレキセド(Ratitrexed [sic, Raltitrexed])及びカペシタビン)、シトシンアナログ (例えば、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド及びフルダラビン)、プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3アナログ(例えば、EB1089、CB1093及びKH1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン系神経毒(dopaminergic neurotoxins)(例えば、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD及びダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2及びペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン及びミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミル)、Ca2+ATPase阻害剤(例えば、タプシガルジン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドマイド、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ)及びボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤を含む。
【0024】
本願に開示された方法を使用して処置することができる増殖性の疾患及び癌は、例えば、肺癌(肺小細胞癌(small cell lung cancer)及び非肺小細胞癌(non small cell lung cancer)を含む)、肺のシステムの他の癌、髄芽腫及び他の脳癌、膵臓癌、基底細胞癌、乳癌、前立腺癌、及び他の尿生殖器癌、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumors: GIST)及び消化管(gastrointestinal tract)の他の癌、結腸癌(colon cancer)、結腸直腸癌(colorectal cancer)、卵巣癌、造血システムの癌(多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及び骨髄形成異常症候群を含む)、真正多血症、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病;線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原生肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、メラノーマなどの軟部組織肉腫、及び他の皮膚癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌(stadenocarcinoma [sic, cystadenocarcinoma])、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、膀胱癌、及び他の尿生殖器癌、上皮癌、グリオーマ、アストロサイトーマ、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、食道癌、頭頚部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、家族性好酸球増加症(familiar hypereosinophilia)、慢性好酸球性白血病、甲状腺癌、神経内分泌癌および類癌腫を含む。
【0025】
本発明の或る方法は、現存する化学治療剤に良く(well)応答するが、高い再発性率(relapse rate)に苦しむ(を生ずる)癌を処置することにおいて、特に有効であり得る。これらの場合において、ヘッジホッグ阻害剤での処置は、患者の非再発性生存期間又は非再発性生存率を増加させることができる。そのような癌の例は、肺癌(例えば、肺小細胞癌又は非肺小細胞癌)、膀胱癌、卵巣癌、乳癌、結腸癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
【0026】
本発明は、癌患者の非再発性生存期間(率)を延長する方法における使用のための1つ以上の薬剤(medicaments)の調製のための化学治療剤及びヘッジホッグ阻害剤の使用も包含する。本発明は、化学治療剤で以前に処置された癌患者の非再発性生存期間を延長する方法における使用のための薬剤の調製におけるヘッジホッグ阻害剤の使用にも関連する。本発明は、膵臓癌患者を処置する方法における使用のための薬剤の調製におけるヘッジホッグ阻害剤の使用も包含する。
【0027】
複数の腫瘍タイプが、化学治療の後(本願の実施例11及び12参照)、そして低酸素(hypoxia)などの他のストレスに対する応答(実施例12参照)において、Hhリガンドの増大制御(up-regulation)を示すことがわかった。増大制御されるHhリガンドのタイプ(すなわち、ソニック、インディアン及び/又はデザート)及び増大制御の度合いは、腫瘍タイプ及び化学治療剤に依存して変化する。いずれの理論に結びつけられることなく、これらの結果は、ストレス(化学治療を含む)が、腫瘍細胞において、保護的な(protective)又は生存の(survival)メカニズムとして、ヘッジホッグリガンドの生産を誘導することを示唆する。この結果は、化学治療後の腫瘍由来のHhリガンドの増大制御が、生存する細胞集団に、腫瘍の再発に関して重要であるHh経路についての依存性を与えることができ、[該細胞集団を]Hh経路阻害に対して感受性にすることができることをさらに示唆する。
【0028】
従って、本発明の[1つの]視点は、化学治療の間又は後に、1つ以上のヘッジホッグリガンドの発現が増加したか否かを決定し、次にヘッジホッグ阻害剤を投与することによって癌を処置する方法である。リガンドの発現は、末梢血液及び/又は尿の中の可溶型のリガンドの検出によって(例えば、ELISAアッセイ又は放射免疫アッセイによって)、循環腫瘍細胞における可溶型のリガンドの検出によって(例えば、蛍光励起セルソーティング(fluorescence-activated cell sorting:FACS)アッセイ、免疫組織化学アッセイもしくは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイによって)、又は、腫瘍あるいは骨髄の生検試料(biopsies)における可溶型のリガンドの検出によって(例えば、免疫組織学的アッセイ、RT−PCRアッセイ又はインサイチュハイブリダイゼーションによって)測定することがきる。所定の患者の腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの検出は、前立腺癌患者におけるPSMAの検出(Bander, NH Nat Clin Pract Urol 2006; 3:216-225)と同様に、ラベルされた形態のヘッジホッグリガンドに対する抗体の全身性の(systemic)投与の後に、撮像ないし画像処理すること(imaging)によって、インビボで評価することもできた。患者における発現レベルを少なくとも2つの時点で測定して、リガンドの誘導が起こったか否かを決定することができる。例えば、ヘッジホッグリガンドの発現は、化学治療の前及び後において、化学治療の前及び化学治療が行われている間の1つ以上の時点において、又は、化学治療剤が行われている間の2つ以上の異なる時点において測定することができる。もし、ヘッジホッグリガンドが増大制御されるべきことを見出した場合には、ヘッジホッグ阻害剤を投与することができる。従って、患者におけるヘッジホッグリガンドの誘導の測定値は、患者が、他の化学治療との組み合わせでヘッジホッグ経路阻害剤[の投与]を受けるべきか、又は他の化学治療の後に受けるべきかを決定することができる。
【0029】
本発明の他の視点は、癌腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増加する1つ以上の化学治療剤を同定(ないし確認)して、ヘッジホッグリガンドの発現を増加する1つ以上の化学治療剤及びヘッジホッグ阻害剤を投与することによって、患者の癌を処置する方法に関する。どの化学治療剤がヘッジホッグの発現を増加するかを決定するために、治療の前に患者から腫瘍細胞を取出(ないし採取:removed)し、エキソビボで(ex vivo)化学治療剤のパネルに曝し、アッセイしてヘッジホッグリガンドの発現における変化を測定すことができる(例えば、Am. J. Obstet. Gynecol. Nov. 2003, 189(5): 1301-7; J. Neurooncol., Feb. 2004, 66(3): 365-75参照)。次に、1つ以上のヘッジホッグリガンドを増加させる化学治療剤を患者に投与する。1つ以上のヘッジホッグリガンドを増加させる化学治療剤は、単独で投与してもよいし、又は、1つ以上のヘッジホッグリガンドの増加を休止することができる、あるいはできない1つ以上の異なる化学治療剤との組み合わせで投与してもよい。ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤は、同時に(すなわち、本質的に同時に、又は同一の処置内で)、あるいは逐次的に(すなわち、1つが他の直後に続くように、あるいは(alternatively)、2つの投与の間においてギャップを伴うように)投与することができる。化学治療剤での処置が休止した後に、ヘッジホッグ阻害剤での処置を継続してもよい。従って、ヘッジホッグリガンドの発現を増大制御する能力に基づいて化学治療剤を選択し、(即ちそれは(in turn)、腫瘍にヘッジホッグ経路に対する依存性を与えて)、腫瘍をヘッジホッグ阻害剤での処置に対して感受性にすることができる。
【0030】
適するヘッジホッグ阻害剤は、U.S.特許7,230,004、U.S.特許出願公開番号2008/0293754、U.S.特許出願公開番号2008/0287420、及びU.S.特許出願公開番号2008/0293755に記載かつ開示される阻害剤を含む(該特許又は特許出願公開の全体の開示は、引用によって本願に組み込まれる)。他の適するヘッジホッグ阻害剤の例は、U.S.特許出願公開番号US2002/0006931、US2007/0021493及びUS2007/0060546、そして、国際出願公開番号WO2001/19800、WO2001/26644、WO2001/27135、WO2001/49279、WO2001/74344、WO2003/011219、WO2003/088970、WO2004/020599、WO2005/013800、WO2005/033288、WO2005/032343、WO2005/042700、WO2006/028958、WO2006/050351、WO2006/078283、WO2007/054623、WO2007/059157、WO2007/120827、WO2007/131201、WO2008/070357、WO2008/110611、WO2008/112913及びWO2008/131354に記載される阻害剤を含む。
【0031】
例えば、ヘッジホッグ阻害剤は、以下の構造を有する化合物、又はその医薬的に許容可能な塩であり得る:
(上記式において、
R1は、H、アルキル、−OR、アミノ、スルホンアミド、スルファミド、−OC(O)R5、−N(R5)C(O)R5、または糖であり;
R2は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル又はヘテロシクロアルキル;あるいは、R1及びR2は、一緒になって=O、=S、=N(OR)、=N(R)、=N(NR2)又は=C(R)2を形成し;
R3は、H、アルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
R4は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、−OR、−C(O)R5、−CO2R5、−SO2R5、−C(O)N(R5)(R5)、−[C(R)2]q−R5、−[(W)−N(R)C(O)]qR5、−[(W)−C(O)]qR5、−[(W)−C(O)O]qR5、−[(W)−OC(O)]qR5、−[(W)−SO2]qR5、−[(W)−N(R5)SO2]qR5、−[(W)−C(O)N(R5)]qR5、−[(W)−O]qR5、−[(W)−N(R)]qR5、−W−NR3+X−又は−[(W)−S]qR5であり(ここで、各Wは、それぞれ独立してジラジカルであり、各qは、それぞれ独立して1、2、3、4、5又は6であり、X−は、ハライドである);
各R5は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)2]P−R6(pは、0−6である)か、あるいは、同一の置換基上の任意の2つのR5は、一緒になってN、O、S及びPから選択される0−3個のヘテロ原子を含む4−8員の任意に置換された環を形成することができ;
各R6は、独立して、ヒドロキシル、−N(R)COR、−N(R)C(O)OR、−N(R)SO2(R)、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)(R)、−SO2N(R)(R)、−N(R)(R)、−COOR、−C(O)N(OH)(R)、−OS(O)2OR、−S(O)2OR、−OP(O)(OR)(OR)、−NP(O)(OR)(OR)又は−P(O)(OR)(OR)であり;
但し、R2、R3がHであり、R4がヒドロキシルであるときには、R1は、ヒドロキシルであることができず;
R2、R3及びR4がHであるときには、R1は、ヒドロキシルであることができず;そして、
R2、R3及びR4がHであるときには、R1は、糖であることができない)。
【0032】
化合物の例は、以下の式の化合物及びそれらの医薬的に許容可能な塩を含む:
。
【0033】
本発明の方法に適するヘッジホッグ阻害剤の1つの例は、以下の式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩である:
医薬的に許容可能な塩の例は、式Iの化合物の塩酸塩である。
【0034】
本発明において有用なヘッジホッグ阻害剤は、アミノ又はアルキルアミノなどの塩基性の(basic)官能基を含むことができるため、医薬的に許容可能な酸で医薬的に許容可能な塩を形成することができる。この点において、用語「医薬的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物の比較的に無毒性の無機酸添加塩及び有機酸添加塩を意味する。これらの塩は、インサイチュの投与ビヒクルあるいは投与形態(dosage form)の製造プロセスにおいて、又は、適する有機酸又は無機酸で化合物をそのフリーベース形態(free base form)に個別に処理し、形成された塩をその後の精製の間に単離することによって調製することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸(tosylate)塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(napthylate)、メシル酸塩、ベシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩およびラウリルスルホン酸塩及び同様のものを含む(例えば、Berge et al. (1977) "Pharmaceutical Salts", J. Pharm. Sci 66:1-19参照)。
【0035】
本発明の医薬的に許容可能な塩は、従来の(conventional)無毒性の塩又は第4級アンモニウム塩の化合物、例えば、無毒性の有機酸又は無機酸からの[塩]を含む。例えば、そのような従来の無毒性塩は、塩酸塩、臭化水素酸(塩)、硫酸(塩)、スルファミン酸(塩)、リン酸(塩)、硝酸(塩)、及び同様のものなどの無機酸由来の塩、そして、酢酸(塩)、プロピオン酸(塩)、コハク酸(塩)、グリコール酸(塩)、ステアリン酸(塩)、乳酸(塩)、リンゴ酸(塩)、酒石酸(塩)、クエン酸(塩)、アスコルビン酸(塩)、パルミチン酸(塩)、マレイン酸(塩)、ヒドロキシマレイン酸(塩)、フェニル酢酸(塩)、グルタミン酸(塩)、安息香酸(塩)、サリチル酸(塩)(salicyclic [sic, salicylic]、スルファニル酸(塩)、2−アセトキシ安息香酸(塩)、フマル酸(塩)、トルエンスルホン酸(塩)、メタンスルホン酸(塩)、ベンゼンスルホン酸(塩)、エタンジスルホン酸(塩)、シュウ酸(塩)、イソチオ化物の(isothionic)の(塩)、及び同様のものなどの有機酸から調製される塩を含む。
【0036】
他のケースにおいて、本発明の化合物は、1つ以上の酸性の官能基を含むことができるので、医薬的に許容可能な塩基で医薬的に許容可能な塩を形成することが可能である。これらの場合において、用語「医薬的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物の比較的に無毒性の無機性塩基及び有機性塩基の添加塩を意味する。これらの塩は、同様に、インサイチュの投与ビヒクルあるいは投与形態の製造プロセスにおいて、又は、適する塩基(医薬的に許容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩など)、アンモニア、あるいは医薬的に許容可能な有機性の第1級、第2級もしくは第3級アミンで化合物をそのフリーベース形態に個別に処理することによって調製することができる。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩及び同様のものを含む。代表的な塩基添加塩の形成に有用な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン及び同様のものを含む(例えば、上記Berge et al.参照)。
【0037】
本発明の方法を実施するために、ヘッジホッグ阻害剤及び/又は化学治療剤は、1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤と一緒に薬剤化された治療上有効な量の1つ以上のヘッジホッグ阻害剤及び/又は1つ以上の化学治療剤を含む医薬的に許容可能な組成物の形態で送達することができる。いくつかの場合において、ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤を、個別の医薬組成物の状態で投与し、かつ、(例えば、異なる物理的な及び/又は化学的な特徴のために)異なるルート(routes)によって投与する(例えば、1つの治療剤を経口的に投与し、一方では、他(other)を静脈内に投与する)ことができる。他の場合において、ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤を、個別であるが同一のルートを介して(例えば、両方とも経口的に、又は両方とも静脈内に)投与することができる。更に他の場合において、ヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤を同一の医薬組成物の状態で投与することができる。
【0038】
医薬組成物は、以下のものに適用された医薬組成物を含む固形形態又は液体形態の投与剤へ、特別に製剤化することができる:経口投与剤、例えば、水薬(水性、非水性の溶液あるいは懸濁液)、錠剤(例えば、頬の、舌下の、そして全身性の吸収をターゲットにしたもの)、カプセル剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤;非経口的な投与剤、例えば、滅菌溶液あるいは懸濁液としての注射剤(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、あるいは硬膜外の注射剤)、又は持続性放出剤;局所(外用)投与剤、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏剤、あるいは制御性放出パッチあるいはスプレー;膣内あるいは直腸内に投与される薬剤、例えば、ペッサリー、クリームあるいは泡沫剤;舌下に;経眼的に(ocularly);経皮的に;経肺的に(pulmonarily);あるいは経鼻的に投与される薬剤。
【0039】
医薬組成物に採用することができる適する水性の、そして非水性の担体の例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び同様のものなど)及びそれらの適切な混合液、植物油(オリーブオイルなどの)、そして、注射可能な(injectable)有機エステル(オレイン酸エチルなど)を含む。適切な流動性は、例えば、被覆物質(coating material)(レシチンなど)の使用によって、分散剤(dispersions)のケースにおける必要とされる粒子の大きさの維持によって、そして界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0040】
これらの組成物は保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤(dispersing agent)、潤滑剤及び/又は抗酸化物質のなどのアジュバントも含むことができる。本発明の化合物についての微生物の活動の防止は、種々の抗菌性及び抗真菌性の薬剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸及び同様のものの包含によって保障することができる。等張性の薬剤(糖、塩化ナトリウム、及び同様のものなど)を組成物に含ませることも望ましい。さらに、注射可能な医薬形態の延長した期間での吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤の包含によって達成することができる。
【0041】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、ヘッジホッグ阻害剤及び/又は化学治療剤と、担体及び任意的な1以上の補助成分(accessory ingredients)とを会合物(association)にするステップを含む。一般的に、製剤は、本発明の化合物と、液体担体もしくは微粉固体担体(finely divided solid carriers)又はその両方とを均一的(uniformly)かつ緊密的(intimately)に会合させた後、必要に応じてその製品を成形することによって調製される。
【0042】
本発明のヘッジホッグ阻害剤及び化学治療剤は、それ自体で、あるいは、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて、例えば、およそ0.1から99%、又はおよそ10から50%、又はおよそ10から40%、又はおよそ10から30%、又はおよそ10から20%、又はおよそ10から15%の有効成分を含む医薬組成物として提供することができる。本発明の医薬組成物における有効成分の実際の投与量レベルは、患者に毒性を与えずに特定の患者の所望の治療上の応答を達成することに有効な有効成分の量、組成及び投与の態様(mode)が得られるように変えることができる。
【0043】
選択される投与量のレベルは、例えば、採用される特定の化合物、投与のルート、投与時点ないし回数(time)、採用される特定の化合物の排泄率もしくは代謝率、吸収の割合及び程度、処置期間、採用される特定の化合物と組み合せて使用される他の薬剤(drugs)、化合物及び/又は物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態(condition)、通常の健康状態及び病歴ないし治療歴(prior medical history)及び医療分野において周知の同様の因子を含む種々の因子に依存する。
【0044】
一般的には、ヘッジホッグ阻害剤及び/又は化学治療剤の適する一日投与量(daily dose)は、治療効果を提供するために有効な最低(lowest)投与量の化合物の量である。そのような有効投与量は、一般的には、上記の諸因子に依存する。一般的には、患者への本発明の化合物の経口的、静脈内的、皮下的な投与量は、指示された(indicated)効果のために使用するときには、1日におよそ0.0001mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.001mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.01mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.1mgからおよそ100mg、又は1日におよそ0.0001mgからおよそ500mg、又は1日におよそ0.001mgからおよそ500mg、又は1日におよそ0.01mgからおよそ500mg、又は1日におよそ0.1mgからおよそ500mgの範囲である。一日に体重1キログラム当たり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲にわたる。
【0045】
この処置を受ける被検体(subject)は、霊長類、特にヒト、馬、牛、豚、羊、家禽、犬、猫、マウス及びラットを含む[処置の]必要がある任意の動物である。
【0046】
化合物は、毎日、1日おきに、1週間に3回、1週間に2回、1週間ごとに、又は2週間ごとに投与することができる。投与スケジュールは「休薬日(drug holiday)」を含むことができ、すなわち、薬剤を2週間投与して1週間休む、又は3週間投与して1週間休む、もしくは4週間投与して1週間休むなどか、あるいは休薬日無しで持続的に投与することができる。化合物は経口的に、静脈内に、腹腔内に、局所的に、経皮的に、筋肉内に、皮下的に、径鼻的に、舌下に、又は任意の他のルートで投与することができる。
【0047】
ヘッジホッグ阻害剤が他の処置(追加的な化学治療剤、放射線照射又は外科手術など)と組み合わせて投与されるので、各薬剤又は治療の投与量は、単一の薬剤治療の対応する投与量より低く(lower)なり得る。単一の薬剤治療の投与量は、例えば、1日に体量のキログラム当り、およそ0.0001からおよそ200mg、又はおよそ0.001からおよそ100mg、又はおよそ0.01からおよそ100mg、又はおよそ0.1からおよそ100mg、又はおよそ1からおよそ50mgの範囲であり得る。投与の仕方(mode)及び正確な投与量の決定は、通常の知識を有する医師の知識範疇の内に十分ある(well within)。
【0048】
一般的に記載される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、本発明の或る視点及び実施形態の例示の目的のためだけに含み、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0049】
実施例1:ヘッジホッグ経路の活性
ヘッジホッグ経路特異的癌細胞(hedgehog pathway specific cancer cell)を死滅させる効果は、以下のアッセイを使用して確認することができる。C3H10T1/2細胞は、ソニックヘッジホッグペプチド(Shh-N)と接触した時に、骨芽細胞に分化する。分化の際に、これらの骨芽細胞は、酵素的なアッセイにおいて測定することができる高い(high)レベルのアルカリホスファターゼ(AP)を生産する(Nakamura et al., 1997 BBRC 237: 465)。従って、C3H10T1/2の骨芽細胞への分化(Shh依存的なイベント)をブロックする(block)化合物は、AP生産の減少によって確認(ないし同定)することができる(van der Horst et al., 2003 Bone 33: 899)。該アッセイの詳細は、以下に記載される。
【0050】
細胞培養
マウス胚性中胚葉の線維芽細胞C3H10T1/2細胞(ATCCから得た)を10%の熱失活させたFBS(Hyclone)、50ユニット/mlのペニシリン及び50μg/mlのストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen)を添加した基本MEM培地(Gibco/Invitrogen)において、37℃で、5%CO2の大気雰囲気(air atmosphere)で、培養した。
【0051】
アルカリホスファターゼアッセイ
C3H10T1/2細胞を、96ウェルに8x103細胞/ウェルの密度で蒔いた。細胞を密集状態(ないしコンフルエンス:confluence)まで成長させた(72時間)。ソニックヘッジホッグ(250ng/ml)及び/又は化合物処理の後に、細胞を110μLの溶解バッファー(50 mM Tris pH 7.4, 0.1% TritonX100)に溶解し、プレートを超音波処理し、ライセート(lysates)をスピンして(spun)、0.2μmのPVDFプレート(Corning)を通した。40μLのライセートを、1mg/mlのp−ニトロフェニルリン酸塩を含有するアルカリ性のバッファー溶液(Sigma)においてAP活性についてアッセイした。30分間37℃でインキュベートした後に、プレートを、405nmで、Envisionプレートリーダーで解読した。総タンパク質(量)(total protein)を、PierceからのBCAタンパク質アッセイキットで、製造者の指示(ないし説明書:instructions)に従って数量化(ないし定量)した。AP活性を総タンパク質(量)に対して規格化した。上述のアッセイを使用して、化合物42が20nM未満のIC50を有するヘッジホッグ経路のアンタゴニストであることを示した。
【0052】
実施例2:膵臓癌の単独治療モデル(Pancreatic Cancer Monotherapy Model)
化合物42の活性を、ヒト膵臓[癌]モデルにおいてテストした。BxPC−3細胞を、マウスの右足の横側(flank)に皮下的に移植した。腫瘍移植後42日目に、マウスを2つの群に無作為に分け(randomized)、ビヒクル(30% HPBCD)又は化合物42のどちらかの投与を受けさせた。化合物42は、40mg/kg/日で投与した(dosed)。25回の毎日の投与(daily doses)を受けさせた後に、化合物42は、ビヒクルコントロールと比較したときに、統計学的に腫瘍容積の成長をおよそ40%ずつ減少させた(p=0.0309)(図1参照)。
【0053】
実験(study)の終了[日]において、最終投与の4時間後に腫瘍を収集し、ヘッジホッグ経路遺伝子のq−RT−PCR解析によって、(オン)ターゲット応答を評価した。図2Aに示すように、ヒトGli−1は、ビヒクル又は処置群のいずれにおいても調節されなかった。しかしながら、ビヒクル処置群と比較した時に、マウスGli−1のmRNAレベルは、化合物42の処置群において有意に減少制御された(down-regulated)(図2B参照)。
【0054】
実施例3:膵臓癌の併用的な組み合わせ治療モデル(Pancreatic Cancer Concurrent Combination Therapy model)
BxPC−3膵臓癌異種移植片(xenografts)を保有する(bearing)動物を、化合物42と併用的に組み合せて、化学治療剤ゲムシタビン(gemcitabine)で処置した。化合物42を、40mg/kgの投与量で毎日の経口的な供与(oral gavage)によって投与した間に、ゲムシタビンを、100mg/kgの投与量で週に2回の腹腔内注射によって投与した。図3に示すように、これらの条件下において、腫瘍は、ゲムシタビン単独に対する33%応答、化合物42単独に対する55%応答、そして化合物42及びゲムシタビンの組み合わせに対する67%応答を示した。
【0055】
他のモデルにおいて、MiaPaCa膵臓癌異種移植片を保有する動物を、化合物42と併用的に組み合せて、化学治療剤ゲムシタビンで処置した。化合物42を、40mg/kgの投与量で毎日の経口的な供与によって投与した間に、ゲムシタビンを、100mg/kgの投与量で週に1回の腹腔内注射によって投与した。図4に示すように、これらの条件下において、腫瘍は、ゲムシタビン単独に対する52%応答、化合物42単独に対する50%応答、そして化合物42及びゲムシタビンの組み合わせに対する70%応答を示した。
【0056】
実施例4:肺癌の併用的な組み合わせ治療モデル(Lung Cancer Concurrent Combination Therapy model)
ヒト肺小細胞癌(small cell lung cancer:SCLC)腫瘍モデルにおける化合物42の活性をテストするために、LX22細胞を、雄性のNcrヌードマウスの右足の横側に皮下的に移植した。LX22は、化学的に未処置の患者由来のSCLCの主要な(primary)異種移植片モデルであり、マウスからマウスへの継代によって維持されて来た。この腫瘍は、臨床上の設定(setting)と近似の仕方(way)において、エトポシド/カルボプラチン化学治療剤に対して応答する。LX22は、化学治療処置の間に退行し、寛解(remission)の期間を通過し、そして次に再発し始める。
【0057】
LX−22肺小細胞癌の異種移植片を保有する動物を、化合物42と併用的に組み合せて、化学治療剤であるエトポシド及びカルボプラチンで処置した。この実験において、エトポシドを12mg/kgの投与量で静脈内のルートに連続的な3日間投与し、次に最初の投与から2週間後の単一の投与で投与した。カルボプラチンは、週に60mg/kgの投与量で、週に1回の3週間の静脈内注射によって投与した。化合物42は、40mg/kgの投与量で、毎日、エトポシド/カルボプラチン[処置]と同時又はエトポシド/カルボプラチン処置の直後のいずれかの経口的な供与(oral gavage)によって投与した。図5に示すように、これらの条件下において、腫瘍は、エトポシド/カルボプラチン単独の[投与]を受けさせた動物と比較した時に、全ての処置に対して全体的に(overall)40%応答を示した。
【0058】
実施例5:化学的抵抗性(chemo-resistant)の再発モデル
LX22モデルにおいて、化合物42の単一薬剤活性、及びその化学的抵抗性の再発を調節する能力(ability)をテストした。腫瘍移植後32日目に、マウスを3つの投与群に無作為に分け、ビヒクル(30% HBPCD)、化合物42、もしくは、エトポシド及びカルボプラチン(E/P)の化学治療剤の組み合わせの[投与を]受けさせた。化合物42は、40mg/kg/日の投与量で投与し、エトポシドは、12mg/kgで静脈内注射によって(i.v.)、腫瘍移植後34、35、36及び48日目に投与し、カルボプラチンは、60mg/kgで静脈内注射によって(i.v.)、腫瘍移植後34、41及び48日目に投与した。16回の連続的な投与の後に、化合物42で処置した群とビヒクル処置群との間の測定可能な差は無かった(図6参照)。50日目に、E/P処置マウスを更に無作為に分け、ビヒクル(30% HPBCD)又は化合物42の追加処置(follow-up treatment)のいずれかを受けさせた。化合物42は、40mg/kg/日で投与した。図6に示すように、35回の化合物42の連続的な投与の後に、ビヒクル群と比較して、処置群に、腫瘍の再発における実質的な遅延(82%)があった(p=0.0101)。
【0059】
実施例6:結腸癌(Colon Cancer)の組み合わせ治療モデル
Colo205結腸癌異種移植片を保有する動物は、化合物42と組み合わせて化学治療剤5−フルオロウラシル(5-fluorouracil)で処置した。5−フルオロウラシルは、50mg/kg又は100mg/kgのいずれかの投与量で、週に1回の2週間の静脈内注射として投与した。化合物42は、40mg/kgで毎日の21日間の経口的な供与として投与した。これらの条件下において、腫瘍は、5−フルオロウラシル単独に対する又は化合物42との組み合わせにおける68%[応答]を示した。
【0060】
実施例7:結腸癌の化学的抵抗性の再発モデル
動物は、SW620結腸癌細胞を移植される。腫瘍を保有する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、パクリタキセル(paclitaxel)を投与される。これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0061】
或いは(Alternatively)、Colo205結腸癌細胞は、実験動物に移植される。腫瘍を保有する動物は、腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、5−フルオロウラシルを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0062】
実施例8:卵巣癌モデル
IGROV−1卵巣癌の異種移植片を保有するマウスを、連続的な21日間の毎日の40mg/kgでの化合物42の投与で処置した。腫瘍の成長に対する実質的な影響(effect)は、この投与量で、この特定の卵巣癌細胞の異種移植片では、観察されなかった。更なる実験(study)において、IGROV−1卵巣癌異種移植片を保有するマウスを、連続的な5日間の毎日の15mg/kgでのパクリタキセルの投与で処置した後に、連続的な21日間の40mg/kgでの化合物42の投与で処置した。再度、腫瘍の成長に対する実質的な影響は、これらの投与量で、この特定の卵巣癌細胞の異種移植片では、観察されなかった。
【0063】
他の卵巣癌細胞タイプが化合物42での処置に対して応答するか[否か]を決定するために、SKOV−3、OVCAR−4又はOVCAR−5卵巣癌細胞は、実験動物に移植される。単独治療(monotherapy)及び併用的な組み合わせ治療(concurrent combination therapy)の影響を決定するために、腫瘍を保有する動物は、パクリタキセル[単独]又はカルボプラチン単独、化合物42単独、あるいは化合物42とパクリタキセルと[の組み合わせ]、もしくは[化合物42と]カルボプラチンとの組み合わせを投与される。逐次的な組み合わせ治療(sequential combination therapy)の影響を決定するために、腫瘍を保持する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、パクリタキセル又はカルボプラチンを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0064】
実施例9:膀胱癌(Bladder Cancer)モデル
単独治療及び併用的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、UMUC−3膀胱癌細胞を移植される。次に、腫瘍を保有する動物は、ゲムシタビン/シスプラチン(cisplatin)単独、化合物42単独、又は3つの薬剤の組み合わせを投与される。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0065】
逐次的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、UMUC−3膀胱癌細胞を移植され、次に、腫瘍を保持する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、ゲムシタビン及びシスプラチンの組み合わせを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0066】
他には(Alternatively)、SW780膀胱癌細胞は、実験動物に移植される。単独治療及び併用的な組み合わせ治療の影響を決定するために、腫瘍を保有する動物は、ゲムシタビン/シスプラチン単独、化合物42単独、又は3つの薬剤の組み合わせを投与される。逐次的な組み合わせ治療の影響を決定するために、腫瘍を保有する動物は、それらの腫瘍が化学治療処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、ゲムシタビン/シスプラチンの組み合わせを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0067】
実施例10:非小細胞癌(Non-Small Cell Cancer)モデル
単独治療及び併用的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、NCI−H1650非肺小細胞癌細胞を移植される。次に、腫瘍を保有する動物は、ゲフィチニブ(gefitinib)単独、化合物42単独、あるいは2つの薬剤の組み合わせを投与される。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0068】
逐次的な組み合わせ治療の影響を決定するために、動物は、NCI−H1650非肺小細胞癌細胞を移植され、次に、腫瘍を保有する動物は、それらの腫瘍がゲフィチニブ処置に対して応答するような期間(ないし回数:time)、ゲフィチニブを投与される。次に、これらの動物は、2つの群(1つはビヒクルの[投与を]受けさせる群、1つは化合物42の[投与を]受けさせる群)に無作為に分けられる。異なる治療に対する腫瘍の応答は、本願に議論されたように決定される。
【0069】
実施例11:ヘッジホッグリガンドの誘導実験
LX22モデルにおける追跡実験(follow up studies)を設計(ないしデザイン)し、エトポシド及びカルボプラチン(E/P)処置後の化合物42によるHh経路調節を調査した。上述の実施例4において記載されたように、LX22肺小細胞癌異種移植片を保有する動物を、エトポシド及びカルボプラチンで処置した。単一投与の(single dose)化合物42(40mg/kg)は、採取された各時点の24時間前に投与した。未処置(Naive)の腫瘍を、化学治療処置の前に、ベースラインレベルの5匹の動物から採取した。4匹の動物からの腫瘍を、1、4、7、及び10日目に採取し、3匹の動物からの腫瘍を14日目に採取した。サンプルを、q−RT−PCR解析、及び組織学的/免疫組織学的な評価のために採取した。RNAを抽出し、最初にcDNAに転換し、次にワンステップマスターミックス(FAST method on 7900)を使用することによってq−RT−PCR解析を完成させた。
【0070】
この実験の結果は、RT−PCR及び免疫組織学の両方によって測定した場合に、Hhリガンド、特にインディアンHh(IHH)が、化学治療の後に、ヒト腫瘍細胞及び周囲のマウス間質細胞(surrounding murine stroma cells)において増大制御(up-regulated)されたことを示した(図7A及び7B参照)。更に、間質由来のマウスGli−1、及び腫瘍由来のヒトGli−1は、腫瘍由来のリガンドに対する応答が誘導された。マウスGli−1の発現は、未処置の腫瘍における発現レベルと比較して、E/P処置の休止後の少なくとも14日間上昇したままであり、化合物42の投与によって阻害されたが(図8A)参照)、一方では、ヒトGli−1の発現は、化合物42の投与によっては影響されなかった(図8B参照)。いずれの理論に結びつけられることなく、腫瘍由来のHhリガンドの化学治療後の増大制御は、生存する細胞集団に、腫瘍の再発に関して重要であるHh経路の依存性を与えることができると信じられる。これらの発見は、腫瘍と、以前にHhシグナリングに関して重要であることが示された周囲の間質との間で観察されたパラクリン(傍分泌)クロストーク(paracrine crosstalk)(Yauch et al., 2008, Nature 455:406-410)と符合する。
【0071】
実施例12:ヘッジホッグリガンドの誘導実験
化学治療後のHhリガンドの誘導を、他の癌腫瘍モデルでも実験した。インビボでUMUC−3膀胱癌異種移植片を保有するマウスを、100mg/kgのゲムシタビンで、週に1回、4週間処置した。腫瘍は、LX22モデルにおいて最終投与の投与24時間後に観察されたIHH発現と類似する増加したIHH発現を示した(図9A及び9B参照)。インビトロ実験は、ドキソルビシン(doxorubicin)又はゲムシタビンのいずれかに12−24時間曝されたUMUC−3細胞において、3つ全てのHhリガンド(ソニック、インディアン及びデザート)が増大制御されたことを示した(図10におけるドキソルビシンのデータ参照)。追加的なインビトロ実験は、IHH発現は、A2780卵巣癌細胞においてカルボプラチンでの処置後に増加したが、一方では、ソニックHh(SHH)発現は影響されなかったこと(図11参照)、そして、IHH及びSHHの両方の発現は、ドセタキセル(docetaxel)で処置したIGROV−1細胞において増加し、SHHは、より大きな度合い(greater degree)まで増大制御されたこと(図12参照)を示した。更なるインビトロ実験は、肺小細胞癌H82細胞において、SHHはドセタキセルによって増大制御され、カルボプラチンでは増大制御されないが、一方では、IHHはいずれの薬剤によっても増大制御されないことを示す(図13参照)。
【0072】
化学治療剤以外の細胞性のストレスがHhリガンド発現を増大制御するか[否か]を決定するために、MUC−3細胞を、インビトロにおいて、低酸素(hypoxia)を含む種々のストレス要因(stressors)に曝した。正常酸素の(normoxic)コントロールと比較して、SHHリガンド発現はRNA及びタンパク質のレベルの両方で増加した(図14参照)。
【0073】
概略(summary)としては、複数の腫瘍タイプが、化学治療後のHhリガンドの増大制御を示す。増大制御されたHhリガンドのタイプ(すなわち、ソニック、インディアン及び/又はデザート)、及び増大制御の度合いは、腫瘍タイプ及び化学治療剤に依存して変化する。いずれの理論に結びつけられることなく、これらの結果は、ストレス(化学治療剤を含む)が、腫瘍細胞において、保護的な(protective)又は生存の(survival)メカニズムとして、ヘッジホッグリガンドの生産を誘導することを示唆する。これらの結果は、生存するサブ集団(sub-population)は、Hh経路に依存的であり得るため、Hh経路阻害に対して感受性であり得ることをさらに示唆する。まとめると、これらの結果は、ヘッジホッグ阻害は、初期的には化学応答性であるが最終的には再発性(relapse)である臨床上の指示(indications)(肺小細胞癌、非肺小細胞癌、膀胱癌、結腸癌又は卵巣癌など)における非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を増加させることを示す。
【0074】
本発明の分野における通常の知識を有する人は、ルーチン的な実験方法を上回る[方法]を使用せずに、本願に記載された発明の特異的な実施形態と同等ないし均等の多数の態様(many equivalents)を認識するだろうし、あるいは、確認することができる。そのような同等ないし均等のものが、特許請求の範囲に記載の請求項に包含されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学治療剤(chemo therapeutic)で処置を受けている癌患者の非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を延長させる方法であって、
治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記ヘッジホッグ阻害剤を化学治療剤と同時に投与することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学治療剤での処置が休止した後に、前記ヘッジホッグ阻害剤の投与を継続することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘッジホッグ阻害剤を、化学治療剤での処置が休止した後に投与することを特徴とする請求項1項に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記肺癌が、肺小細胞癌(small cell lung cancer)及び非肺小細胞癌(non-small cell lung cancer)から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がエトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が非肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がビノレルビン、シスプラチン、ドセタキセル、ペメトレキセド、エトポシド、ゲムシタビン、カルボプラチン、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記癌が膀胱癌であり、かつ、前記化学治療剤がゲムシタビン、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記癌が卵巣癌であり、かつ、前記化学治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、トポテカン、シスプラチン、イリノテカン、ベバシズマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記癌が結腸癌であり、かつ、前記化学治療剤がパクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヘッジホッグ阻害剤が式I:
の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬的に許容可能な塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヘッジホッグ阻害剤を、ヘッジホッグ阻害剤及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物として投与することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
以前に化学治療剤で処置された癌患者の非再発性生存期間(ないし率)を延長させる方法であって、
治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を、該化学治療剤での処置が休止した後に患者に投与するステップを含む方法。
【請求項16】
前記癌が、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、結腸癌、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記肺癌が肺小細胞癌及び非肺小細胞癌から選択されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がエトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が非肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がビノレルビン、シスプラチン、ドセタキセル、ペメトレキセド、エトポシド、ゲムシタビン、カルボプラチン、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が膀胱癌であり、かつ、前記化学治療剤がゲムシタビン、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が卵巣癌であり、かつ、前記化学治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、トポテカン、シスプラチン、イリノテカン、ベバシズマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が結腸癌であり、化学治療剤がパクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記ヘッジホッグ阻害剤が式I:
の化合物又は医薬的に許容可能な塩を含むことを特徴とする請求項15〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬的に許容可能な塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ヘッジホッグ阻害剤を、ヘッジホッグ阻害剤もしくはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与することを特徴とする請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
膵臓癌を処置する方法であって、
その必要がある患者に治療上有効な量の式I:
の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法。
【請求項27】
前記医薬的に許容可能な塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記式Iの化合物を、化学治療剤と組み合せて投与することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記化学治療剤が、ゲムシタビン、シスプラチン、エピルビシン、5−フルオロウラシル及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化学治療剤での処置が休止した後に、前記式Iの化合物の投与を継続することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記式Iの化合物を、式Iの化合物もしくはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与することを特徴とする請求項26〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
他の癌治療を受けている患者の癌を処置する方法であって、
前記患者における増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップと、
前記患者に医薬的に有効な量のヘッジホッグアンタゴニストを投与するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記増強したヘッジホッグリガンドを、血液、尿、循環腫瘍細胞、腫瘍生検試料(biopsy)又は骨髄生検試料において検出することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップが、
他の癌治療の投与の前に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、
他の癌治療の投与の後に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、
他の化学治療の投与後のヘッジホッグリガンドの量が他の化学治療の投与の前のヘッジホッグリガンドよりも多いか否かを決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
他の癌治療が化学治療剤であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
患者における癌を処置する方法であって、
腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する1つ以上の化学治療剤を確認(ないし同定)するステップと、
腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する治療上有効な量の1つ以上の化学治療剤及び、治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を投与するステップと、
を含む方法。
【請求項37】
前記腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する1つ以上の化学治療剤を確認(ないし同定)するステップが、
腫瘍からの細胞を1つ以上の化学治療剤にインビトロで曝すステップと、
該細胞におけるヘッジホッグリガンドを測定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項1】
化学治療剤(chemo therapeutic)で処置を受けている癌患者の非再発性生存期間(ないし率)(relapse free survival)を延長させる方法であって、
治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を患者に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記ヘッジホッグ阻害剤を化学治療剤と同時に投与することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学治療剤での処置が休止した後に、前記ヘッジホッグ阻害剤の投与を継続することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘッジホッグ阻害剤を、化学治療剤での処置が休止した後に投与することを特徴とする請求項1項に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記肺癌が、肺小細胞癌(small cell lung cancer)及び非肺小細胞癌(non-small cell lung cancer)から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がエトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が非肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がビノレルビン、シスプラチン、ドセタキセル、ペメトレキセド、エトポシド、ゲムシタビン、カルボプラチン、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記癌が膀胱癌であり、かつ、前記化学治療剤がゲムシタビン、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記癌が卵巣癌であり、かつ、前記化学治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、トポテカン、シスプラチン、イリノテカン、ベバシズマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記癌が結腸癌であり、かつ、前記化学治療剤がパクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヘッジホッグ阻害剤が式I:
の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬的に許容可能な塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヘッジホッグ阻害剤を、ヘッジホッグ阻害剤及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物として投与することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
以前に化学治療剤で処置された癌患者の非再発性生存期間(ないし率)を延長させる方法であって、
治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を、該化学治療剤での処置が休止した後に患者に投与するステップを含む方法。
【請求項16】
前記癌が、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、結腸癌、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記肺癌が肺小細胞癌及び非肺小細胞癌から選択されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がエトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が非肺小細胞癌であり、かつ、前記化学治療剤がビノレルビン、シスプラチン、ドセタキセル、ペメトレキセド、エトポシド、ゲムシタビン、カルボプラチン、ベバシズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が膀胱癌であり、かつ、前記化学治療剤がゲムシタビン、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペメトレキセド、マイトマイシンC、5−フルオロウラシル、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が卵巣癌であり、かつ、前記化学治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、トポテカン、シスプラチン、イリノテカン、ベバシズマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が結腸癌であり、化学治療剤がパクリタキセル、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、放射線照射治療及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記ヘッジホッグ阻害剤が式I:
の化合物又は医薬的に許容可能な塩を含むことを特徴とする請求項15〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬的に許容可能な塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ヘッジホッグ阻害剤を、ヘッジホッグ阻害剤もしくはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与することを特徴とする請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
膵臓癌を処置する方法であって、
その必要がある患者に治療上有効な量の式I:
の化合物又はその医薬的に許容可能な塩を投与するステップを含む方法。
【請求項27】
前記医薬的に許容可能な塩が塩酸塩であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記式Iの化合物を、化学治療剤と組み合せて投与することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記化学治療剤が、ゲムシタビン、シスプラチン、エピルビシン、5−フルオロウラシル及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記化学治療剤での処置が休止した後に、前記式Iの化合物の投与を継続することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記式Iの化合物を、式Iの化合物もしくはその医薬的に許容可能な塩と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物として投与することを特徴とする請求項26〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
他の癌治療を受けている患者の癌を処置する方法であって、
前記患者における増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップと、
前記患者に医薬的に有効な量のヘッジホッグアンタゴニストを投与するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記増強したヘッジホッグリガンドを、血液、尿、循環腫瘍細胞、腫瘍生検試料(biopsy)又は骨髄生検試料において検出することを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記増強したヘッジホッグリガンドを検出するステップが、
他の癌治療の投与の前に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、
他の癌治療の投与の後に患者のヘッジホッグリガンドを測定するステップと、
他の化学治療の投与後のヘッジホッグリガンドの量が他の化学治療の投与の前のヘッジホッグリガンドよりも多いか否かを決定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
他の癌治療が化学治療剤であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
患者における癌を処置する方法であって、
腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する1つ以上の化学治療剤を確認(ないし同定)するステップと、
腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する治療上有効な量の1つ以上の化学治療剤及び、治療上有効な量のヘッジホッグ阻害剤を投与するステップと、
を含む方法。
【請求項37】
前記腫瘍におけるヘッジホッグリガンドの発現を増強する1つ以上の化学治療剤を確認(ないし同定)するステップが、
腫瘍からの細胞を1つ以上の化学治療剤にインビトロで曝すステップと、
該細胞におけるヘッジホッグリガンドを測定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−522773(P2011−522773A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540875(P2010−540875)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088222
【国際公開番号】WO2009/086416
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507063584)インフィニティ ファーマスーティカルズ、インク. (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088222
【国際公開番号】WO2009/086416
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(507063584)インフィニティ ファーマスーティカルズ、インク. (6)
【Fターム(参考)】
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