説明

治療化合物および処置

MT477ファミリーの化合物に関する組成物及び用途が開示される。上記化合物の特定の構造的特徴及び性質が詳細に記載される。これらの用途は、MT477ファミリーメンバーを患者に治療目的で投与する工程を含む。これらの組成物は、MT477ファミリーに属する化学物質及びこのような化学物質を含有する薬品を含む。図7は、種々の濃度のMT477、MT103及びシスプラチンにさらされたMCF−7細胞の増殖反応のグラフである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、「THERAPEUTIC AGENTS AND CORRESPONDING TREATMENTS」と題された、2004年7月9日に出願された米国特許第60/586,519号に対する優先権を主張し、これは、本明細書中において参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、一般的に、化学薬剤を用いて患者を処置する方法、及び癌を含む細胞増殖を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
癌は、多くの人々がかかる疾患であり、ヒト及び非ヒト動物の死因の主原因である。癌は、典型的に、多くの新たな細胞を作り出す細胞の制御不可能な成長によって成長する細胞を含む。多くの抗癌性薬物は、細胞増殖を阻害又は停止させる薬剤である。
【0004】
多くの抗癌性薬物は、癌及び腫瘍細胞に対して有効であることが知られているが、いくつかの癌及び腫瘍は、これらの薬物に対する応答が低い。さらに、多くの抗癌性薬物はさらに、体内で他の細胞を破壊する。このように、新規抗癌性薬物が望まれ、特定の癌種を標的化可能な薬物は、有用な治療オプションを提供することができる。
【0005】
細胞増殖を阻害する薬剤は、抗癌性薬物として有用である。国立癌研究所(NCI)は、抗癌性薬物の検査にかかわる米国政府の機関である。NCIは、3つの細胞株試験を用いた潜在的な抗癌性薬物の初期スクリーニング試験を頻繁に行なう。3つの細胞株はそれぞれ、癌性細胞の一種である。上記細胞は、候補薬物にさらされ、細胞増殖の停止及び/又は細胞の殺害における薬物の有効性が測定される。
【0006】
NCIは、典型的に、ほぼ約60の細胞株のさらなる集団を用いて最も見込みのある薬物を試験し、これは、通常60細胞株試験(60−cell line test)と称され、細胞増殖を停止し細胞を殺すのに必要とされる薬物の用量が測定される。癌細胞の成長をほぼ50%阻害するのに必要とされる薬物の用量は、その薬物のGI50濃度として報告される。GI50が低いほど、より有効な抗癌性薬物である。GI50は、−log(GI50)の単位でいくつか報告されており、−log(GI50)の値が高いほど、より有効な抗癌性薬物である。細胞増殖のほぼ100%を停止するのに必要な薬物の用量は、薬物の全増殖阻害(TGI)濃度として報告されている。細胞の数を細胞の元々の数の50%まで減らすのに必要な薬物の用量は、LC50濃度と称される。TGI又はLC50が低いほど、より強力な抗癌性薬物である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、例えば、以下の式1(a)及び1(b)に示されるような、治療化合物のMT477ファミリーに関する実施形態を含む。本明細書中に報告される試験は、多くの適用において、MT477が主要な癌薬物であるシスプラチンよりも有効であることを示す。本発明の実施形態は、患者の処置、例えば、癌治療、アポトーシス薬剤、及びプロテインキナーゼ薬剤のためにMT477ファミリーメンバーを用いる方法である。別の実施形態は、治療薬剤、抗菌薬剤、抗真菌薬剤、アポトーシス薬剤、プロテインキナーゼ薬剤、及び/又はホルモンアンタゴニストとしてMT477ファミリーメンバーを用いることである。別の実施形態は、MT477ファミリーメンバー、例えば、以下の式1〜35の化学物質を含む治療薬剤、アポトーシス薬剤、プロテインキナーゼ薬剤、及び/又はホルモンアンタゴニストである。本発明の実施形態は、式1〜35の化学物質を含む治療的に有効量の組成物を患者に提供又は投与する工程を含む、患者を処置するための組成物及び方法を含む。
【0008】
別の実施形態は、以下の式1〜35の化学物質又はそれらの種である。別の実施形態は、以下の式1〜35の化学物質に関連する薬学的組成物又はそれらの種である。別の実施形態は、例えば、インビトロ又はインビボで診断、検査、スクリーニング、又は処置のための、以下の式1〜35のうち1つの化学物質又はそれらの種を含む組成物を細胞にさらす工程を含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(好ましい実施形態の詳細な記載)
本明細書中でMT477と称される抗癌剤が開示され(式2(a))、この抗癌剤は、この分子の誘導体とともに、抗癌活性を有すると予想される。これらの化合物は、分子の位相特徴を分析し、有効であるものを予測するのに役立つコンピューターモデルを用いて開発された。これらのプロセスの予測能力は、実施例に記載されるものを含む候補化合物の首尾よいインビトロ及びインビボ試験によって確認された。抗癌性を与えると予想されるMT477に対して構造的類似性を有するMT477分子の変形例が本明細書中に記載される。
【0010】
新規抗癌性薬物の作成は、挑戦的なプロセスである。重要なステップは、初期スクリーニングのための候補薬物の選択である。これらの候補薬物を選択するための多くのアプローチが使用される。1つのアプローチは、抗癌剤として有用な物理化学的性質を有する分子を設計するためにコンピューターモデリングを使用することである。
【0011】
(コンピューターモデリング)
分子形状学習システムを組み込んだ位相的なコンピューターモデリングプログラムは、MT477によって例示される薬物の新規ファミリーを同定するために使用されている。モデリングプログラムは、有効な抗癌性薬物であることが知られている化学物質についての位相的な情報を与え、次のステップでは、研究下で、性質において薬物が共通の活性を示す共通の位相特徴を同定する。次いで、このプログラムは、共通の位相特徴を有する新規化学物質を同定する。このプログラムは、抗癌化合物である化学物質を同定するだけではなく、特定の種類の癌と戦うのに有効な化学物質を同定するために設計される。MT477は、このプログラムによって、癌細胞の成長を阻害する化学物質として同定された。さらに、MT477は、非小肺癌細胞に対して特定の効力を有する化合物として同定された。化合物がその機能とともに首尾よく同定されるという事実は、このコンピューターモデルによって予測される化合物の効力及び有用性の証拠となる。
【0012】
このコンピューターモデリングアプローチは、分子の物理化学的性質を決定するための分子トポロジーに依存する。位相的なアプローチは、記述的なコンピューターモデルを記載し構築するための数学的手段に依存する。これらのモデルを用いて、分子電荷密度単独又は隣接する電気的位相特徴に応答する特異的な構造活性相関を前もって設計することができる。位相的なアプローチは、振動変化又は構造変化によって影響を受けない分子の真実の構造的な不変条件を説明する。この局面のアプローチは、Galvez in J.Galvez et al,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,Vol.34,No.3,1994;J.Galvez et al,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,Vol.34,No.5,1994;J.Galvez et al.,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,Vol.35,No.2,1995;J.Galvez et al,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,Vol.6,No.19,1996;J.Galvez et al.,Journal of Molecular Graphics,Vol.14,1996;J.Galvez,Journal of Molecular Structure (Theochem),Vol 429,1998;J.V.de Julian−Ortiz,Journal of Molecular Graphics and Modeling,Vol 16,1998;Jesus V.de Julian−Ortiz et al,Journal of Medicinal Chemistry,Vol.42,No.17;Rafael Gozalbes et al,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,Vol.44,No.10,Oct.2000;M.J.Duart et al,Journal of Computer−Aided Molecular Design,Vol 15,2001;L.Lahuerta Zamora et al,Analytical Chemistry,Vol 73,No.17,September 1,2001に記載される。
【0013】
訓練されたモデルは、分子の生体活性位相学を予測し、新規活性化合物の設計を補助するために容易に解釈することができる。このアプローチは、以下の3つの利点をあわせもつ:同様の表面特性を示す分子を構造的に多様化するように表面形状を特徴付ける表現は、同様に処理される;活性分子及び不活性分子の両方の複数の配向及び構造を受け入れることができる新規の機械学習方法;及びよりよい予測モデルを作るために新規分子配向を作成するための中間モデルに適用する反復プロセス。このプログラムの2つの局面は上に記載され、よりよいモデルを作成するための物体を反復再配置する方法及び各物体が複数の表現を有する場合にモデルを訓練する方法は、生物学的活性モデリングだけではなく他の物理化学的特徴にも適用可能である。
【0014】
位相的なコンピューターモデリングプログラムによって作成される上記化合物の効力は、既知の癌細胞株を用いることによって通常のスクリーニングを用いて確認することができる。細胞株はNCI,American Tissue Type Culture、又は他の実験室から入手可能である。NCIは、抗癌性薬物を同定するための3細胞株試験をアセンブリし、60細胞株試験をアセンブリする(M.R.Boyd and KD.Paul,Some Practical Considerations and Applications of the NCI in vitro Drug Discovery Screen,Drug Dev.Res.34:91109,1995;M.R.Boyd,The NCI In Vitro Anticancer Drug Discovery Screen,Concept,Implementation,and Operation 1985−1995,In Drug Development: Preclinical Screening,Clinical trials and Approval,(Teicher,ed) Totowa,NJ,Humana Press,1997,pp.23−42を参照)。
【0015】
これらの同じコンピューターモデルは、MT103と称される化合物の効力を首尾よく予測した。MT103に関する詳細な検査情報は米国特許第6,919,376号に与えられる。ここで、MT477は、MT477の活性のベンチマークとしてのMT103と比較された。
【0016】
シスプラチンもまたMT477と比較された。シスプラチンは、最も広く処方され、多くの癌の有効な処置法の1つである。シスプラチンは、多くの種類の癌を処置するために使用され、睾丸、卵巣、膀胱、肺、及び胃の癌について広く処方されている。特定の理論によって束縛されないが、シスプラチンは、DNAに結合し、細胞の修復機構と干渉することによって癌細胞を殺し、最終的に細胞死をもたらすと考えられている。
【0017】
本明細書中で報告されているとおり、MT477は、一般的に、シスプラチンより有効であり、毒性が低い。以下の実施例は、MT477ファミリーの化合物が、有効で一般的な抗癌性薬剤であることを示す。
【0018】
(用語)
ヘテロ環との用語は、少なくとも2つの異なる元素を環原子として有する環状化合物の意味で本明細書中で使用される。環状化合物は、少なくとも1つの環、例えば、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の環を有する芳香族又は非芳香族であってもよい。環状化合物は、それぞれの環が少なくとも1つの原子を他の環と共有することを意味する多環状、例えば、2個の共通の原子を有する二環式環、1個の共通の原子を有する二環式環、2個の環を有し、それぞれが中央の環で2個の原子を共有する三環式基、又はそれぞれが他の環と少なくとも1個の原子を共有する3個の環を有する三環式基であってもよい。芳香族基は、4n+2π電子を含有する任意の共役環系であることができる。芳香族性を決定するために利用可能な多くの基準が存在する。芳香族性の定量的評価のために広く使用される基準は共鳴エネルギーである。いくつかの実施形態では、芳香族基の共鳴エネルギーは少なくとも10KJ/molである。さらなる実施形態では、芳香族基の共鳴エネルギーは0KJ/molより大きい。芳香族基は、4n+2π電子環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族ヘテロ環基として、又は4n+2π電子環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有しないアレーン又はアリール基として分類されてもよい。それにもかかわらず、芳香族ヘテロ環又はアレーン又はアリール基のいずれかは、4n+2π電子環中に結合した置換基中に少なくとも1個のヘテロ原子を含有してもよい。さらに、芳香族ヘテロ環又はアレーン又はアリール基のいずれかは、一環式又は多環式(例えば、二環式、三環式など)の芳香族環を含んでもよい。アレーンは、単環式又は多環式の芳香族炭化水素であり;アリールは、アレーンの環炭素原子から炭化水素を除去することによって形成される。
【0019】
芳香族ヘテロ環基の非限定例は、フラニル、チオフェニル、ピロリル、インドリル、カルバゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、ペタジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、アクリジンル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、アンチリジニル、プリニル、プテリジニル、アロキサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、ジベンゾ(l,4)ジオキシニル、チアントレニル、及びそれらの組み合わせである。芳香族ヘテロ環基はさらに、単結合(ビカルバゾリルにおけるような)又は連結基(1,6−ジ(10H−10−フェノチアジニル)ヘキサンにおけるような)のいずれかによってともに結合する上述の芳香族ヘテロ環基の任意の組み合わせを含んでもよい。連結基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。さらに、連結基内の脂肪族基又は芳香族基のいずれかは、少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、O、S、及びNを含んでもよい。アリール基の非限定例は、フェニル、ナフチル、ベンジル、又はトリル基、セキシフェニレン、フェナントレニル、アントラセニル、コロネニル、及びトラニルフェニルである。アリール基はさらに、単結合(ビフェニル基におけるような)又は連結基(スチルベニル、ジフェニルスルホン、アリールアミン基におけるような)のいずれかによってともに結合した上述のアリール基の任意の組み合わせを含んでもよい。連結基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。さらに、連結基内の脂肪族基又は芳香族基のいずれかは、少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、O、S、及びNを含んでもよい。アリールアミン基との用語は、(N,N−二置換)アリールアミン基(例えば、ジフェニルアミン、エチルフェニルアミン、及びジエチルアミン基)、ジュロリジニル基、及びカルバゾリル基を含む。
【0020】
脂環式化合物は、少なくとも1つの環、例えば、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の環を有する環状脂肪族化合物である。脂肪族化合物との用語は、アルカン又はアルケン又はアルキン又はそれらの誘導体である有機化合物を指す。脂環式化合物の例としては、シクロアルカン、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、及びビシクロ[2.2.1]ヘプタン基が挙げられる。ヘテロ環非芳香族化合物は、少なくとも1つの環及び少なくとも2つの異なる元素、例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、又はビシクロ[2.2.1]ヘプタン基の少なくとも1つの環炭素内で置換されたN、O、又はSを環中に有する化合物である。
【0021】
アルキルとの用語は、他に特定されない限り、飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素を指し、特定的には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルが挙げられる。アルキル基は、場合により、限定されないが、当業者に既知のような、保護されていないか又は必要な場合に保護された、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロシアノ、スルホン酸、サルフェート、ホスホン酸、ホスフェート、又はホスホネートから選択される1つ以上の基を含む任意の適切な基で置換することができる。アルケニルとの用語は、他に特定されない限り、少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖、分枝、又は環状(C5〜6の場合)の炭化水素であり、上述のように置換されていてもよい。アルキニルとの用語は、他に特定されない限り、直鎖又は分枝の、少なくとも1つの三重結合を有する炭化水素であり、上述のように置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、これらの置換基のサイズを、例えば、約150原子未満、約100原子未満、約50原子未満、又は約20原子未満に限定することが有用である。
【0022】
(置換基及び置換)
置換は、本明細書中で示される式中のある位置を占める化学基で、及び原子で自由に可能であり、化合物の性質に対する種々の物理的効果、例えば、移動度、感受性、溶解度、相溶性、安定性などは、一般的に当該技術分野で知られているとおりである。化学置換基の記載において、言語の使用に反映される当該技術分野の特定の実務が存在する。基との用語は、一般的に引用される化学存在物(例えば、アルキル基、アルケニル基、芳香族基、エポキシ基、アリールアミン基、芳香族ヘテロ環基、アリール基、脂環式基、脂肪族基、ヘテロ環非芳香族基など)が、この基の結合構造に一致する任意の置換基を有してもよいことを示す。例えば、用語「アルキル基」が使用される場合、この用語は、非置換の直鎖、分枝及び環状のアルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ドデシルなどを含むだけではなく、ヘテロ原子を有する置換基、例えば、3−エトキシルプロピル、4−(N−エチルアミノ)ブチル、3−ヒドロキシペンチル、2−チオールヘキシル、1,2,3−トリブロモプロピルなどを含む。しかし、このような命名法と一致するように、基礎となる基の基本的な結合構造を変える置換はこの用語には含まれない。例えば、フェニル基が引用される場合、置換、例えば、1−アミノフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、1,3,5−トリチオフェニル、1,3,5−トリメトキシフェニルなどは、この専門用語の意味内に入るが、1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルフェニルの置換は、この置換がフェニル基の環結合構造を置換によって非芳香族形態に変えることが必要とされるため、この専門用語の意味内には入らない。
【0023】
適切な置換としては、例えば、生物学的等価体、例えば、酸生物学的等価体及びエステル生物学的等価体が挙げられる。酸生物学的等価体は、対応するカルボキシル基に対して広く類似した生物学的類似性をもたらす化学的及び物理的類似性を有する基であり、例えば、Lipinski,Annual Reports in Medicinal Chemistry,1986,21 :p 283,“Bioisosterism in Drug Design;” Yun,Hwahak Sekye,1993,33:p576−579,“Application of Bioisosterism To New Drug Design;” Zhao,Huaxue Tongbao,1995,P34−38,“Bioisosteric Replacement And Development Of Lead Compounds In Drag Design;” and Graham,Theochem,1995,343:p105−109,“Theoretical Studies Applied To Drug Design: ab initio Electronic Distributions In Bioisosteres,”に記載されるものである(これらすべては本明細書中に参考として組み込まれる)。適切な酸生物学的等価体の例としては、例えば、−C(=O)−NHOH、−C(=O)−NH−CN、−C(=O)−CHOH、−C(=O)−CHSH、−SO−NHR、スルホ、ホスホノ、アルキルスルホニルカルバモイル、テトラゾイル、アリールスルホニルカルバモイル、ヘテロアリールスルホニルカルバモイル、N−メトキシカルバモイル、3−ヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾニイジニル又はヘテロ環フェノール、例えば、3−ヒドロキシイソオキサゾリル及び3−ヒドロキシ−1−メチルピラゾリルが挙げられる。適切なエステル生物学的等価体の例としては、例えば、−C(=O)SR、−COCHR、−C(=O)NHR、1,2,4−オキサジアゾール及び1,2,4−チアジアゾールが挙げられる。
【0024】
これら種々の基はすべて、場合により置換基で誘導体化されてもよい。このような「置換された」基上に存在してもよい適切な置換基としては、例えば、ハロゲン、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード;シアノ;H、ヒドロキシル基;エステル基:エーテル基;カルバメート、オキソ酸基、オキソカーボン基、オキソカルボン酸基、オキソ基、ケトン基;ニトロ;アジド;スルフヒドリル;アルカノイル、例えば、C1〜6アルカノイル基例えば、アセチルなど;カルボキサミド;アルキル基、1つ以上の不飽和結合を有する基を含むアルケニル及びアルキニル基;1つ以上の酸素結合を有するアルコキシ基;アリールオキシ、例えば、フェノキシ、アルキルチオ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;アミノアルキル基、例えば、1つ以上のN原子を有する基;炭素環状アリール;アリールオキシ、例えば、フェノキシ;1〜3個の別個の環又は縮合環を有するアラルキル;1〜3個の別個の環又は縮合環を有するアラルコキシ;又は1〜4個の別個の環又は縮合環を有する、例えば、1つ以上のN、O又はS原子を有するヘテロ芳香族、ヘテロ環、又はヘテロ脂環式基、例えば、クマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ及びピロリジニルが挙げられる。他の置換基は、O、S、Se、N、P、Si、Cを含む基を含んでもよく、2〜約150個の原子を有していてもよい。いくつかの実施形態では、これらの置換基のサイズを、例えば、約150原子未満、約100原子未満、約50原子未満、又は約20原子未満に限定することが有用である。
【0025】
他の適切な置換基としては、これらの及び他のN含有化合物、例えば、アミン、アミド、アミジウムイオン、アミンイミド、アミンオキシド、アミニウムイオン、アミノナイトレン、ナイトレン、アミノオキシド、ニトリル、及びニトリルイミドが挙げられる。他の適切な置換基としては、これら及び他のS含有化合物、例えば、スルホン酸、サルフェート、スルホネート、スルファミン酸、スルファン、スルファチド、スルフェンアミド、スルフェン、スルフェン酸、スルフェニウムイオン、スルフェニル基、スルフェニリウムイオン、スルフェニルナイトレン、スルフェニルラジカル、スルフィド、スルフィルイミン、スルフィミド、スルフイミン、スルフィンアミド、スルフィンアミジン、スルフィン、スルフィン酸、無水スルフィン酸、スルフィンイミン、スルフィニルアミン、スルホリピド、スルホンアミド、スルホンアミジン、スルホンジイミン、スルホン、スルホン酸、無水スルホン酸、スルホンアミド、スルホニウム化合物、スルホンフタレイン、スルホニルアミン、スルホキシド、スルホキシイミド、スルホキシイミン、硫黄ジイミド、チオール、チオアセタール、チオアルデヒド、チオアルデヒド、S−オキシド、チオ無水物、チオカルボン酸、チオシアネート、チオエーテル、チオヘミアセタール、チオケトン、チオケトンS−オキシド、チオレート、及びチオニルアミンが挙げられる。他の適切な置換基としては、これら及び他のO含有化合物、例えば、ROH(アルコール)、RCOOH(カルボン酸)、RCHO(アルデヒド)、RR’C=O(ケトン)、ROR’(エーテル)、及びRCOOR’(エステル)の形態を有するものが挙げられ、ここで、Rは結合又は原子を示す。他の適切な置換基としては、これら及び他のP含有化合物、例えば、ホスファン、ホスファニリデン、ホスファチジン酸、ホスファゼン、ホスフィンオキシド、ホスフィン、ホスフィン酸、ホスフィニデン、亜ホスフィン酸、ホスホグリセリド、リン脂質、ホスホン酸、ホスホニトリル、ホスホニウム化合物、ホスホニウムイリド、ホスホノ、亜ホスホン酸、リンアミド、及びホスホランが挙げられる。炭素は置換基を作るのに有用であり、ヘテロ原子構造中の炭素の数は、例えば、O、P、S、又はNを用いて2〜n個の原子が置換基を形成するのに使用される場合、例えば1〜n−1個であってもよい。本明細書中で命名される置換基上の適切な置換としては、例えば、生物学的等価体、例えば、酸生物学的等価体及びエステル生物学的等価体が挙げられる。いくつかの実施形態では、これらの置換基のサイズを、例えば、約150原子未満、約100原子未満、約50原子未満、又は約20原子未満に限定することが有用である。
【0026】
種々の置換基は、特許請求の範囲に記載の実施形態のいくつかの潜在的な組み合わせが、不安定であるか、又は作成することができない場合があると考えられる。当業者は、本明細書中の開示に基づく開示された属の化合物の中で、適切で安定な化合物を選択することができる。それゆえに、置換基は、一般的に、当業者によって従来より決定可能であるように、荷電した化合物又は基を形成することなく特定の置換元素について適切な価数を生じるこれらの置換基に限定される(滴定可能な荷電した基、安定な両性イオン形態及び価数を満たす形式的な不対スピンを有する三重中性基を除く)。
【0027】
(MT477ファミリーに対する導入)
式1(a)は、MT477ファミリーの全体的な一般構造を示し、その変形は本明細書中に記載される。すべての式において、水素原子は必ずしも示されず、関連する原子の価数を完全にするのに適切な位置で必要とされることを推定することができる。MT477は、位相的なコンピューターモデルを用いて抗癌剤であると示唆され、インビトロ細胞培養実験を用いて抗癌剤であると決定された。特定的には、MT477は、NCIによって試験され、他の独立した試験では、有効な抗癌性薬物であることが示され、以下の実施例において詳細に記載されるように、細胞増殖の有効な阻害剤であることが示された。同じモデルは、MT477ファミリーが一般的に生体活性であり、癌の阻害剤であることを示す。式1(a)は、MT477ファミリーについてのモチーフを示し、コンピューターモデリングによる治療機能に対して有意であることがわかった。本発明の一実施形態は薬物のファミリーであり、本明細書中でMT477ファミリーと称され(式1〜35)、これらは生体活性であり、細胞機能に影響を与え、癌を阻害する。
【0028】
式1(a)を参照すると、Aは、3個を超える接続した環を有する少なくとも三環式基又は環式基を有する多環式基を含み;Zは単結合又は連結基であり;及びYは環式基を含む:
A−Z−Y 式1(a)
連結基Zは、Aに結合する少なくとも1つの結合及びYに結合する少なくとも1つの結合を有する骨格を含む。Zは、Yの原子に対してAの原子が結合する単結合であってもよい。Yに対してAが結合する骨格に関して、この骨格は、最も少ない「ステップ」数を有するAからBへの経路であり;2つの経路が同様に少ないステップを有する場合、この経路のうち1つが骨格として処置される。リンカー中の結合は、1個の「ステップ」であり、単結合、二重結合、又は三重結合であってもよい。いくつかの実施形態では、連結基は、Aの1つの原子及びYの1つの原子に接続し;あるいは、連結基に接続するA及び/又はYの1個より多い原子が存在してもよく;例えば、環は、Yの少なくとも1つの原子に対してAの2つの原子が接続してもよい。いくつかの実施形態では、骨格は1〜20結合、1〜30結合、又は3〜10結合を有し;これらの明確に連結された結合内のすべての範囲が予想され、他の範囲が化合物の構造及び機能に適していることを当業者は、すぐに理解する。連結基の骨格は、例えば、脂肪族、環状、ヘテロ環、多環式、芳香族、芳香族ヘテロ環、脂環式、及びヘテロ環非芳香族であるものを含む、置換基及び置換を有してもよい。
【0029】
いくつかの環境では、連結基を記載することはさらに簡便であり、−(CH−X基としてのZは、C、S、O、N、又はPのうち少なくとも1つを有し;X、ここで、Xは、単結合、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、又は芳香族基であり;及び−(CH)nは、nが1〜約50の整数であり、1つ以上のメチレン基が、場合により、O、S、N、C、B、Si、P、C=O、O=S=O、ヘテロ環基、芳香族基、NR基、CR基、CR基、又はSiRにより交換された基であり、ここで、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、単結合、π結合、H、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、カルバメート、オキソカーボン基、アミノ基、アミド(amide)基、アミド(amido)基、ホスフェート基、スルホネート基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、芳香族基、又は環基の一部分である。上記基は、本明細書中に記載されるように置換されていてもよい。当業者は、従来の化学原理に基づいて本明細書中で表されるか又は請求される化合物の属から適切に安定な化合物を選択することができる。A、Z、及びYは、単結合、二重結合、三重結合によって互いに結合するか、又は相互接続した環構造であってもよい。
【0030】
式1(b)〜1(d)は、式1(a)の亜属を示す:
【0031】
【化24】

【0032】
【化25】

式1(b)〜1(d)を参照すると、2つの占められた位置を接続するそれぞれの線は化学結合であり、占められた位置及び空いた位置の間の線は無効であり、それぞれの位置が式中の元素又は基を有すると仮定する必要はないことを意味し、この場合には、それらと関連する位置及び結合は、式には存在しないと考えられる。式1(a)は、一実施形態では、式1(bc)に示されるように、位置A1〜A14を有し、少なくとも1つの環式基を含むYを有する三環式基を含むAを有する。式1(a)は、別の実施形態では、式1(c)に示されるように、位置Y1〜Y5を有する環式基を含むYを有する。式1(a)は、別の実施形態では、式1(d)に示されるように、位置A1〜A14を有し、位置Y1〜Y5を有する環式基を含むYを有する三環式基を含むAを有する。A、Z、Y、A1〜A14、及びY〜Y5は、単結合、二重結合、三重結合によって互いに結合するか、又は相互接続した環構造であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、式1(b)〜1(d)を参照すると、A〜Aは、独立して、C、S、O、P、又はNを含む。例えば、A3はSであり、A6はNであり、ASはOであり、A1、A2、A4、A5、及びAはCである。そして、Y1〜Y5は、独立して、C、S、O、P、又はNを含み、例えば、Y1はNであり、Y2〜Y5はCである。Zは連結基であり、例えば、A6を上述のY1に接続する3つの結合の骨格を有する。あるいは、A又はYの他の原子は、例えば、A1〜A14のうち1つ及びY1〜Y5のうち1つと接続することができる。適切な置換基は、小見出し「置換基及び置換」で記載されるものを含む。A、Z及びYについての置換基は、例えば、A8、Y2、及びY5のうち少なくとも1つに属するOを含んでもよい。そして、Zは、小見出し「置換基及び置換」で記載されるような置換を有する、例えば、1〜30結合の骨格、例えば、3個のC−C結合を含んでもよい。式1(e)は、3つの結合の骨格に沿ってY1にA6を接続する連結基の一例を示し、Z1及びZ2は、C、S、O、P又はNであってもよい。Z1及びZ2は、例えば、置換基、例えば、Z1及び/又はZ2に対する二重結合を有する酸素を有する基である。
【0034】
【化26】

本明細書中で示される構造のいずれかの立体異性体、例えば、ジアステレオマーは、本明細書中で示されるか又は記載される特定の構造の機能を有すると予想される。本明細書中で記載される式では、水素原子は示されず、水素原子が関連する原子の価数を完全に満たすのに適切なすべての位置にあると推定することができる。
【0035】
式2(a)は、MT477の構造を示し、この化合物は、以下に記載されるように、試験された化合物であり、顕著な生物学的活性を有することがわかっている。MT477の類似体は、構造的にフレキシブルな類似体であることができるか、又は構造的に制限された類似体であることができる。構造的に制限された類似体は、分子の中心核又はコア構造に沿って同様の構造を有する。構造的に制限された類似体は、分子のコア構造に沿って異なる構造を有する他の構造的にフレキシブルな類似体と比較すると、MT477とよく似た生物学的構造を有するようであった。同様の構造的関係は、本明細書中に記載される他の特定の構造についても同様であり得る。いいかえると、他の特定の構造が所望なパターンの活性を有する場合、構造的に制限された類似体は、特に、同様の生物学的機能を有することが予想される。
【0036】
式2(b)〜2(g)は、コンピュータによるシミュレーション及び構造共通性に基づき、式2(a)に匹敵する活性を有することが予想される他の実施形態を示す。式2(h)は、MT477ファミリーのいくつかの実施形態についての一般的な構造を示す。置換基は、式2(a)〜2(h)の構造上に配置されてもよく、ここで、置換基は、「置換基及び置換」の章で本明細書中で上に記載されるとおりである。さらに、式2(h)について、式2(h)のC及びSは、考慮される実施形態の置換基の観点で、その位置で必要とされる価数に依存して、C、S、O、P、又はNと相互に交換可能である。いくつかの実施形態では、それぞれの番号をつけられた位置についての置換基は、それぞれ150原子未満、それぞれ30未満、それぞれ10未満、又はそれぞれ5未満である。
【0037】
【化27】

【0038】
【化28】

【0039】
【化29】

【0040】
【化30】

別の実施形態が式3(a)に示される。A1、A2、A3、A5、A6、A8、A9、A10、A11、A14及びY1〜Y5はそれぞれ独立して、C、S、O、P、又はNを含む。位置R1〜R8及びT1〜T14は、例えば、空であるか、又は孤立電子対、単結合、π結合、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基又はカルボキシル基の生物学的等価体、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル又はエステル生物学的等価体、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、芳香族基、O、S、Se、N、P、Si、Cを含む基からなる群のメンバーである基から独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、位置R1〜R8及びT1〜T14は、それらの置換基を含んで約120未満の原子を有する。Zは連結基である。さらに、いくつかの実施形態では、位置R1〜R8及びT1〜T14は、例えば、以下の式9、10、及び12におけるように、互いに相互接続して環状構造を形成するように選択される。A、Z、Y、A1〜A14、及びY1〜Y5は、単結合、二重結合、三重結合によって互いに結合するか、又は相互接続した環構造であってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、T1〜T14のうち少なくとも1つは、例えば、式3(b)におけるような環式基であるように選択され、ここで、B1〜B4はそれぞれ独立して、C、S、O、P、又はNを含む。位置Anは、A1〜A14のうち1つと同一の基であるか、又は、少なくとも1つの結合を有する連結基によってA1〜A14のうち少なくとも1つに対して接続するC、S、O、P、又はNである基であり、ここで、連結基は、上に記載されるように、Zであってもよい。式3(b)を参照すると、位置v〜vは、例えば、空であるか、又は孤立電子対、単結合、π結合、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基又はカルボキシル基の生物学的等価体、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル又はエステル生物学的等価体、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、芳香族基、O、S、Se、N、P、Si、Cを含む基からなる群のメンバーである基から独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、位置v〜vは、それらの置換基を含んで約120未満の原子を有する。Zは連結基である。いくつかの実施形態では、A1〜A14又はY1〜Y5のうち少なくとも1つは、より小さな環を提供するように空であるように選択される。
【0042】
【化31】

別の実施形態は式3(d)に示され、ここで、Aは、四環式環構造として示される。A1、A2、A3、A5、A6、A8、A9、A10、A11、A14〜A18及びY1〜Y5はそれぞれ独立して、C、S、O、P、又はNを含む。位置R1〜R8及びT1〜T24は独立して、例えば、空であるか、又は孤立電子対、単結合、π結合、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、芳香族基、O、S、Se、N、P、Si、Cを含む基からなる群のメンバーである基から独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、位置R1〜R8及びT1〜T24は、それらの置換基を含んで約120未満の原子を有する。Zは連結基である。さらに、いくつかの実施形態では、位置R1〜R8及びT1〜T24は、互いに相互接続して環状構造を形成するように選択される。いくつかの実施形態では、A1〜A24又はY1〜Y5のうち少なくとも1つは、より小さな環を提供するように空であるように選択される。いくつかの実施形態では、T1〜T14のうち少なくとも1つは、例えば、式3(b)におけるように、環式基であるように選択され、ここで、B1〜B4はそれぞれ独立してC、S、O、P、又はNを含む。位置An及び位置V〜Vは、式3(b)を参照して、上に記載されるように選択されてもよい。A、Z、Y、B、V、A〜A14、Y〜Y、B〜B、及びV〜Vは、単結合、二重結合、三重結合によって互いに結合するか、又は相互接続した環構造であってもよい。
【0043】
【化32】

さらに、特定の実施形態は、式4(a)〜4(j)に関する。式4(a)及び4(b)は、互いのR位置の相互接続を示す点線を示し、置換基間のこのような相互接続は、例えば、上に記載されるように、許容される。具体的な点線がない実施形態も、相互接続した位置を有していてもよい。
【0044】
式4(a)〜4(k)を参照すると、Xは、独立して、O、N、S、又はPから選択され;Q は、独立して、N又はCから選択され、Rは「置換基」の章で定義されるような置換基である。この命名法と一致して、いくつかの実施形態では、置換基又はそれぞれのRは、独立して、ハロゲン、R’、OR’、ヒドロキシル基、SR’、チオール基、N(R’)、SO2R’、OSO2R’、N(R’)2、NR’(CO)R’、(CO)N(R’)2、O(CO)N(R’)2、アミノ基、N、O、又はSから独立して選択される0〜2個のヘテロ原子を有する3〜7員間の飽和、部分的に不飽和の、又はアリール環であってもよく;それぞれのR’は、H、場合により飽和のC〜C脂肪族基、N、O、又はSから独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜8員環の飽和、部分的に不飽和の、又はアリール環から選択され、ここで、同じN、O、又はS原子上の2個のR’は、場合により前記N、O、又はSとともに、N、O、又はSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3員環の飽和、部分的に不飽和の、又はアリールを形成する。式4(a)〜4(j)中の特定の位置は、例えば、4(b)におけるように、Oによって交換されるRを有する。Oは、当業者によって決定可能なような結合における対応する他の調整を用いて単結合又は二重結合で結合されていてもよく、あるいは、及びヒドロキシル、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスファチジン酸、別の酸又は酸等価体であってもよい。
【0045】
【化33】

【0046】
【化34】

【0047】
【化35】

【0048】
【化36】

式4(k)を参照すると、式4(a)−4(j)の記載と一致して、X及びXは独立して、O、N、S又はPから選択され、Gは少なくとも2つの環を有する基であり、ここで、少なくとも1つの環は、少なくとも1つの他の環と共通の少なくとも2つの原子を有する。式4(k)の置換基は、上述の「置換基」の章に定義されるとおりであってもよい。式4(k)の原子の置換は、上に置換について記載されるとおりのものであってもよい。Gの例(ここで、Gは適切な価数を有するX及びXに結合した原子を含む)は、以下の式5〜33に示される上式の特定の実施形態である。
【0049】
【化37】

(ここで、Q〜Q及びRは上の式4(e)に記載されるとおりである)
【0050】
【化38】

(ここで、Q〜Q、X、Xは上の式4(f)に記載されるとおりである)
【0051】
【化39】

【0052】
【化40】

【0053】
【化41】

【0054】
【化42】

いくつかの実施形態は、特定の理論に束縛されないが、他の実施形態よりも生物学的に比較的活性であると考えられている。式34は、二環式環構造の1,4,8−トリチア−スピロ[4.5]デカ−2,6,9−トリエンを示し、これは、本明細書中に記載される実施形態のいくつかの一部分を形成してもよい。位置2、3、9、10での置換基(式34を参照)は、環を閉じる傾向はなく、すなわち、非環状である。これらの位置にカルボキシル、カルボニル、ヒドロキシルが存在すると、MT477ファミリーのプロテインキナーゼC−活性化能及びアポトーシスが高まる場合がある。位置(8)にSの代わりにP(又はホスフェート)が存在すると、さらに有用である場合がある。式34の基は、式1に記載されるような置換基で置換又は修飾されてもよい。
【0055】
【化43】

そして、式35は、基A、Z及びYを有する化合物を示し、基A、Z及びYは、本明細書中に示されるように選択される。ヒドロキシキノリン二環式環の位置6、7上の置換基は、環を閉じる傾向があるが、ヒドロキシキノリン二環式環の位置2上の置換基は環を閉じる傾向がない。位置1’(N−メチルピロリジンの炭素、式35を参照)及びピロリジン環の3’及び4’に異なるヘテロ原子(N、S、O)が存在すると、生物学的活性が向上する場合がある。リン性基(及びホスフェート基)はさらに、式35の位置2で有効である場合がある。式35の基は、式1に記載されるような置換基で置換又は修飾されてもよい。
【0056】
【化44】

上式の特定の実施形態は、以下の式36〜45に示される。
【0057】
【化45】

【0058】
【化46】

【0059】
【化47】

【0060】
【化48】

【0061】
【化49】

(化合物の合成)
MT477ファミリーについての例示的な反応スキームを以下のスキームIに示す。
【0062】
【化50】

スキームIは、概して、MT477ファミリーのメンバーを作成するのに使用可能な合成経路を示す。化合物Iは、アセトン中でIを用い、加熱条件下で反応させることにより所定の前駆体から作成される。化合物Iは、加熱条件下でジメチルホルムアミド中でSと反応し、化合物IIになり、この化合物IIは、トルエン中で反応剤Aと混合され、加熱条件下で化合物IIIを生成する。化合物IIIは、トルエン中で反応剤Bと混合され、加熱条件下で化合物IVを生成する。スキームIは、市販の前駆体から反応剤Aの生成をさらに示す。Beilsteinは、これらの合成プロトコル及び関連合成プロトコルに関するさらなる詳細を含有する。当業者は、本明細書中に記載されるようなこれらのMT477の変形例及びMT477の特徴を共有するこの化学物質のファミリーのメンバーである他の化学物質を合成することができる。
【0063】
さらなる情報は、2,4−ジメチルキノリン中の化合物I(CAS 51035−27−9)、organic synthesis,coll.Vol.3,p.329;vol.28,p.49、Novel facile synthesis of 2,2,4 substituted 1,2−dihydroquinolines via a modified Skraup reaction,Tetrahedron Letters,volume 43,issue 21,20 May 2003,pages 3907−3910、及びEfficient microwave−assisted synthesis of quinolones and dihydroquinolones under solvent−free conditions,Tetrahedron,volume 59,issue 6,3 February 2003,pages 813−819に関して提供される。化合物IIに関するさらなる情報は、2,2−ジアルキル−1,2−ジヒドロキノリンの反応において見出される。Part IV.4,5−dihydro−4,4−dimethyl−1H−1,2−dithiolo[3,4−c]quinoline−1−thiones,J.P.Brown.J.Chem.Soc.(C),1968.p.1074。化合物IIIに関するさらなる情報は、Zhurnal Oganisheskoi Khim.January 1988,volume 24,Number 1,part 2,page 208に見出される。酸とペプチドのカップリング型反応は代替経路であることを注記する。化合物IVに関するさらなる情報は、アセチレン性親双極子を用いた1,3−双極子環化付加反応における4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1,2−ジチオロ−[3,4−c]キノロン−1−チオン中に見出される。K.Shikhaliev,et al.Chemistry of Heterocyclic Compounds,vol.35,no.5,1999。
【0064】
MT477ファミリーの特定の実施形態は、酸素原子を有する基の置換又は置換基に関する。適切な反応は、例えば、エーテル結合−C−O−C−の形成を含む。エーテル結合は、2つの対応するアルコールの硫酸触媒による脱水素から、又はハロゲン置換された化合物とアルコキシドとの反応から得ることができることを当業者は認識する。特定の実施形態では、−C−C−C−結合が必要である。炭素−炭素結合はGrignard試薬を用いて形成可能であり、ここで、化合物R−C−MgBrは化合物Br−C−R’R”と反応してR−C−C−R’R”を形成する。いくつかの実施形態は、MT477ファミリーにおけるリンの使用に関する。種々の他の反応スキームは、本明細書中の代表的な教示に基づくMT477ファミリー内の種々の安定な化合物を形成するために、当業者によって行なうことができる。
【0065】
リンは、多価であり、種々の数の原子と結合を作ることができ(配位数)、配位数は1〜6で変動可能である。リンは、多くの他の元素と結合を作ることができ、その必要な価数を満足するのに適しているように、式及び反応スキームで置換することができる。受容体から電子を容易に受け取る空のd軌道を有する。多くの環境において、リンは、その結合数を拡張して、炭素よりも容易に置換反応を介して新しい基をつくることができる。リンは、酸素、窒素及び硫黄と容易に結合を形成することができ、さらに、炭素と結合を形成することができる。これらの4つの結合は、有機化合物に対するリンの結合を可能にし、有機リン化合物を作成する。リン化学についての参考文献としては、例えば、A Guide to Organophosphorus Chemistry,Louis D.Quin,January 2000 (ISBN: 0−471−31824−8);Organophosphorus Chemistry − A Practical Approach in Chemistry,Edited by Patrick J Murphy,University of Wales,Bangor,June 2004が挙げられる。種々の他の反応スキームは、本明細書中の代表的な教示に基づくMT477ファミリー内の種々の安定な化合物を形成するために、当業者によって行なわれる。
【0066】
(MT477ファミリー化合物)
本明細書中に記載される化合物は、種々の癌に対する活性について設計される。実施例1〜5に示されるように、MT477は、細胞株の成長を阻害するのに好ましい結果と有して証明されるように、複数の癌に対してインビトロ活性を示し、白血病、非小細胞肺癌、結腸癌、中枢神経系癌、黒色腫、前立腺癌、及び乳癌について予想される。多くの細胞株について測定された高い−log10GI50値は、MT477、及び関連する化合物が、癌の処置に有用であるか、又は細胞増殖又は生存を阻害するのに有用であると予想することができることを示す。
【0067】
コンピューターモデリング及び他の化学物質との比較は、MT477及びMT477ファミリーが抗癌剤であり、アポトーシス薬剤、プロテインキナーゼ薬剤、及びホルモンアンタゴニストの誘発剤であることを示す。実施例1及び5は、MT477ファミリーの効力を予測するコンピューターモデルの結果を示す。実施例1及び5に示されるように、このような比較に使用される化学物質は、パクリタキセル、トポテカン、エトポシド、タモキシフェン、アナストロゾール、及びフルタミドである。他の実施例は、このコンピューターモデルがMT477の有効性を首尾よく予測したことを示す。
【0068】
MT477ファミリーの薬物が一般的に所望な特徴を有するため(例えば、実施例1及び5に概要が示され、コンピューターモデリング及び比較によって示されるように)、これらの薬物は、アポトーシス薬剤、プロテインキナーゼ薬剤(例えば、PKC−α調整)、及びホルモンアンタゴニストとして患者中で作用し、癌を阻害して患者を処置するために使用されてもよい。細胞はインビトロ及びインビボで、この目的のためにMT477ファミリーのメンバーにさらされてもよい。MT477及びMT477ファミリーは、特定の癌種を処置又は治癒するための薬物としてだけではなく、ヒト及び非ヒト動物における特定の癌種を阻害する薬物としても有用であることができる。さらに、アポトーシス薬剤、及びホルモンアンタゴニストは、多くの様式で使用される重要な商業的製品であり;同様に、MT477ファミリーのメンバーはさらに、このような目的のために使用されてもよい。さらに、潜在的な用途としては、診断薬、細胞検査、及び市販される化学試薬としての使用を含む。
【0069】
さらに、MT477ファミリーの化学物質は、インビトロ又はインビボで細胞増殖を示すか又は停止し、細胞を殺し、又は細胞の成長を阻害するために、インビトロ又はインビボで使用されてもよい。アポトーシス誘発剤、プロテインキナーゼ薬剤、及びホルモンアンタゴニストは、細胞のインビトロ及びインビボ処置のための価値ある研究ツールである。抗菌剤及び抗真菌剤は、多くの環境下(例えば、居住環境、商業的環境、病院環境、及び産業的環境)で、微生物及び真菌をインビトロ、インビボ、ex vivoで抑制し、阻害し、及び/又は殺すために価値ある製品である。これらの化合物は、患者のための最も適切な治療を達成するため、又は他の目的のために、単独又は他の薬物と組み合わせて使用されてもよい。適切な患者は、このような治療から利点を受け得る任意の動物を含み、哺乳動物、例えば、ヒト、家畜動物及び愛玩動物を含む。
【0070】
癌の一種に対して有効な抗癌化合物は、他の種類の癌に対して抗癌効果を有することを予想することができる。実施例3(例えば表3)に示されるように、MT477は広範囲の種類の癌に対して活性を示す。本明細書中に記載されるいくつかの化合物は、特定の種類の癌における使用に臨床的に好ましい場合があるが、これらの化合物はさらに、種々の癌、限定されないが、以下の癌腫、例えば、膀胱、胸、結腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、食道、胆嚢−膀胱、卵巣、膵臓、胃、頸部、甲状腺、前立腺、及び皮膚(扁平上皮癌を含む);リンパ系の造血器腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞白血病及びバーキットリンパ腫を含む);骨髄細胞系列の造血器腫瘍(急性及び慢性の骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病を含む);間葉細胞由来の腫瘍(線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む);中枢神経系及び末端神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫及び神経鞘腫を含む);他の腫瘍(黒色腫、セミノーマ、奇形癌腫、骨肉腫、xenoderoma pigmentosum、keratoctanthoma、甲状腺 濾胞腺癌及びカポジ肉腫を含む)の処置において有用であると予想される。本発明の別の実施形態によれば、本発明の化合物は、細胞増殖性障害、例えば、アルツハイマー疾患、ウイルス感染、自己免疫疾患及び神経変性障害の治療に関する。
【0071】
MT477及びMT477ファミリーはさらに、医学デバイスと組み合わせて送達される場合有用である。例えば、このデバイスは、短時間又は長期間移植可能であってもよい。他の医学デバイスは、体内に一時的にのみ導入可能である。期間が延長されたインプラントの例は、例えば、血管又は他の身体部分において使用するステント、心臓弁、人工心臓、及び留置カテーテルである。短時間移植可能なデバイスの例としては、短期カテーテル、人工肺ライン、血液ポンプ、血液フィルター、及び薬物送達システムが挙げられる。一時的にのみ導入されるデバイスの例は、例えば、血管形成及び迅速に分解可能なデバイスのためのガイドワイヤ、バルーンである。MT477ファミリーのメンバーとともに使用される他の医学デバイスは、血管と一時的に、永久に、又は半永久的に接触して使用されるデバイスであってもよく、例えば、センサ、バイオセンサ、及び診断キットである。
【0072】
MT477ファミリー化合物の1つの用途は、移植されたデバイスの周囲で細胞増殖を阻害することである。阻害は、短期間、例えば、身体の炎症反応が最も活発な間、又は長期間であってもよい。例えば、MT477ファミリーメンバーは、持続性放出、遅延性放出のストラテジー、例えば、腸溶性コーティングを用いて送達されてもよい。細胞増殖の阻害は、血管形成後の再狭窄の予防又は血管へのステントの移植の重要なストラテジーである。細胞増殖の阻害はさらに、移植されたデバイスの生体適合性を向上させてデバイスに対する身体反応を最小限にするための重要なストラテジーである。
【0073】
細胞は、MT477ファミリーのメンバーにさらされてもよい。MT477ファミリーのメンバーにさらすことは、例えば、治療的処置、検査、診断及び研究のために有用であり得る。MT477の活性は、細胞代謝及び機能の特定の局面、例えば、細胞増殖、又は疾患状態(例えば、癌)のモデルを研究するために有用である。細胞は、広く使用される用語であり、インビトロ、インビボでの細胞、原核生物、真核生物及び真菌を含む。
【0074】
(組成物の投与)
本明細書中に記載される化合物の薬学的に受容可能な塩は、当業者に既知の方法、例えば、Pharmaceutical Salts: Properties,Selection,and Use,P.Heinrich Stahl (Editor),Camille G.Wermuth (Editor) June 2002で合成されてもよい。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離塩形態と化学量論量の適切な塩とを水中又は有機溶媒中で反応させるか、又は水及び有機溶媒の混合物中で反応させることによって調製;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。いくつかの適切な塩のリストは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985中に見出される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される化合物は、癌又は腫瘍の処置のために1つ以上の増強剤及び/又は化学治療剤と組み合わせて使用される。増強剤及び組み合わせ治療の例及び記載は、例えば、米国特許第6,290,929号及び同第6,352,844号に与えられる。
【0076】
本明細書中に記載される化合物は、1個の活性薬物又は他の抗癌性癌化合物、及び他の癌又は腫瘍の成長を阻害する化合物を含むそれらの混合物として投与されてもよい。上記化合物は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ剤、縣濁液、シロップ、及びエマルションを含む経口投薬形態で投与されてもよい。さらに、上記化合物は、静脈内(ボーラス又は注入)、腹腔内、皮下又は筋肉内形態で投与されてもよい。
【0077】
本明細書中に記載される化合物は、典型的に、従来の薬学的実施と一致するような意図された投与形態に関して適切に選択される、適切な薬学的希釈剤、賦形剤、増量剤、又はキャリア(本明細書中で、薬学的に受容可能なキャリア、又はキャリアと称される)と混合して投与される。送達可能な化合物は、経口、直腸、局所的、静脈内注射又は非経口投与のための適切な形態である。キャリアは固体又は液体を含み、キャリアの種類は、使用される投与の種類に基づいて選択される。上記化合物は、既知の量の化合物を有する投薬量として投与されてもよい。
【0078】
本明細書中に記載の物質及び方法に有用な投薬形態を作るための技術及び組成物は、例えば、以下の参考文献中にある:7 Modern Pharmaceutics,Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes,Editors,1979);Pharmaceutical Dosage Fors: Tablets (Lieberman et al.,1981);Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976);Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th cd,(Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton,Trevor Jones,Eds.,1992);Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7.(David Ganderton,Trevor Jones,James McGinity,Eds,,1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences,Series 36 (James McGinity,Ed.,1989);Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drags and the Pharmaceutical Sciences,Vol 61 (Alain Rolland.Ed,1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences.Series in Pharmaceutical Technology;J.G.Hardy,S.S.Davis,Clive G.Wilson,Eds.);Modern Pharmaceutics Drags and the Pharmaceutical Sciences,Vol 40 (Gilbert S.Banker,Christopher T.Rhodes,Eds.)。
【0079】
適切なバインダー、滑剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動性誘発剤、及び融解剤は、例えば、丸薬のためのキャリアとして含まれてもよい。例えば、活性薬物成分は、経口の、非毒性の、薬学的に受容可能な不活性キャリア、例えば、ラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わせることができる。
【0080】
適切なバインダーとしては、例えば、デンプン、ゼラチン、天然の糖、例えば、グルコース又はβ−ラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然及び合成のゴム、例えば、アカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投薬形態において使用される滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0081】
上記化合物はさらに、リポソーム送達システム、例えば、小さな単層小嚢、大きな単層小嚢、及び多重膜小嚢とともに使用されてもよい。リポソームは、種々のリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンから形成することができる。
【0082】
上記化合物はさらに、標的化可能な薬物キャリア又はプロドラッグとしてポリマーにカップリングさせてもよい。薬物の制御放出を達成するのに有用な適切な生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のコポリマー、カプロラクトン、ポリヒドロキシブタン酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、及びヒドロゲル、好ましくは共有結合したヒドロゲルが挙げられる。
【0083】
上記活性化合物は、固体投薬形態、例えば、カプセル、錠剤、及び粉末で、又は液体投薬形態、例えば、エリキシル、シロップ、及び縣濁液で経口投与することができる。上記活性化合物はさらに、非経口の滅菌液体の投薬形態で投与することができる。
【0084】
カプセルは、活性化合物及び粉末化したキャリア、例えば、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含有してもよい。同様に、このような希釈剤は、圧縮錠剤を作るのに使用することができる。錠剤及びカプセルは両方とも、活性化合物を連続して放出するか、又は長期間放出するために提供される迅速に放出する製品又は持続性放出製品として製造することができる。化合物を送達可能な形態は、望ましくない味をマスキングするため、及び錠剤を大気から保護するために糖コーティング又はフィルムコーティングすることができるか、又は胃腸管で選択的に消化されるために腸溶性コーティングすることができる。
【0085】
液体としての経口投与のために、薬物成分は、任意の経口の、非毒性の、薬学的に受容可能な不活性キャリア、例えば、エタノール、グリセリン、水などと組み合わせてもよい。液体形態の例としては、水、薬学的に受容可能な脂肪及びオイル、アルコール又は他の有機溶媒の溶液又は縣濁液(エステル、エマルション、シロップ又はエリキシル、縣濁液、非発泡性顆粒から再構築された溶液及び/又は縣濁液及び発泡性の顆粒から再構築された発泡性の調製物を含む)が挙げられる。液体投薬形態は、例えば、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、縣濁剤、希釈剤、甘味剤、増粘剤、及び融解剤を含有してもよい。
【0086】
経口投与のための液体投薬形態は、必要な場合には着色剤及び香味剤を含有することができる。概して、水、適切なオイル、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、及び関連する糖溶液及びグリコール、例えば、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールは、非経口溶液のための適切なキャリアである。非経口投与のための溶液は、好ましくは、活性成分の水溶性塩、適切な安定化剤、及び必要な場合、緩衝基質を含有する。酸化防止剤は、例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸を単独又は適切な安定化剤と組み合わせられる。さらに、クエン酸及びその塩及びナトリウム EDTAが使用される。加えて、非経口溶液は、防腐剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、メチル−又はプロピル−パラベン、及びクロロブタノールを含有することができる。適切な薬学的キャリアは、この分野において表儒的な参考文献である、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Companyに記載される。
【0087】
本明細書中に記載される化合物はさらに、適切な鼻腔内ビヒクルの使用を介して、又は当業者に既知の経皮的な皮膚用パッチ剤の形態を用いて経皮的経路を介して投与されてもよい。経皮的な送達システムの形態で投与するために、投薬量の投与は、一般的に、断続的な投薬法よりも連続的である。非経口及び静脈内形態はさらに、選択された注射又は送達システムの種類に適合させるようなミネラル及び他の物質を含んでもよい。
【0088】
本明細書中で記載される化合物はさらに、癌の処置、又は他の目的のために薬学的キットを使用してもよく、この薬学的キットは、治療的に有効量の上記化合物を含む薬学的組成物を含有する1つ以上の容器を含む。このようなキットは、所望な場合、1つ以上の種々の成分、例えば、上記化合物を含む容器、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアを含む容器、さらなる容器、及び指示をさらに含んでもよい。指示は、印刷されていても電子形態、例えば、挿入物又はラベルの形態で提供されてもよく、投与される成分の量、投与のためのガイドライン、及び/又は成分の混合のためのガイドラインを示す。
【0089】
投薬レベルは、体重1kgあたり1日あたりに活性化合物約0.01mg〜約2000 mgを含むのが好ましい投薬量であり;当業者は、これらの明確な値の間のすべての投薬量及び範囲、例えば、0.01〜100mg/kg、及び0.1〜50 mg/kgが予想されることを認識する。1個の投薬形態を作るためにキャリア物質と混合されてもよい活性化合物の量は、処置される宿主及び特定の投薬モードに依存して変動する。投薬単位形態は、一般的に、活性薬物約0.01mg〜約10,000mgを含有し;当業者は、これらの明確な値の間のすべての投薬量及び範囲、例えば、0.01〜100mg/kg、及び0.1〜50 mg/kgが予想されることを認識する。しかし、理解される。任意の特定の患者のための特定の投薬レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与時間、投与形態及び排出速度、治療を受ける特定の疾患の組み合わせ及び重篤度を含む種々の因子に依存する。例えば、MT477ファミリーの化合物の経口又は静脈内投与のために適用される適切な投薬量は、1回の投薬あたり約0.01〜約1000mgの範囲で、1週間に1度〜1日に5回までであってもよい。
【0090】
本明細書中に記載される化合物の投与方法は、処置される特定の種類の癌又は腫瘍の処置において有用である任意の適切な方法であることができる。処置は、経口、直腸、局所的、非経口投与又は腫瘍又は癌への注射による静脈内投与であってもよい。有効量の適用方法はさらに、処置される障害又は疾患に依存して変動する。非経口処置は、例えば、適切なキャリア、適用を容易にするさらなる癌を阻害する化合物又は化合物又は希釈剤とともに処方化される本明細書中に記載される化合物の静脈内、皮下又は筋肉内適用であってもよい。本発明の特定の実施形態は、例えば、式1〜5におけるような、本発明中に記載される化合物を含有する組成物を含む。
【実施例】
【0091】
(実施例1:MT477は、位相的なコンピューターモデリングによって有効な抗癌剤であることが予想された)
表1は、MT477についての位相的なコンピューターモデルの出力結果を示す。この出力結果は、MT477及び関連化合物が有効な抗癌剤であることを示す。このコンピューターモデルのためのコントロールとして、コンピューターモデルはさらに、既知の抗癌剤、例えば、パクリタキセル及びトポテカン、及びイフォスファミド及びブスルファン、及び典型的に抗癌剤としては使用されない薬剤についての結果を予測するために使用された。表1に示されるように、MT477は、表1に記載される癌について少なくとも6.3の−logGI50を有し、複数の種類の癌について有効であることが予測される。
【0092】
表1:MT477及び選択された抗癌化合物についての位相的なコンピューターモデルの結果
【0093】
【表1−1】

【0094】
【表1−2】

MT477の薬物動態性能が計算され、いくつかの予想における結果により化学物質の有効性が示された。この予測は、MT477が約72時間の予測された最終的な排泄の半減期を有する2〜3コンパートメントモデルによって崩壊することを示す。約0.04mg/Lの平均ピーク血漿濃度は、投薬の約2時間後に起こるべきである。総クリアランスは、約55〜80L/hであると概算される。MT477の予想された平均経口バイオアベイラビリティは、血漿中で約20%及び約90%のMT477が体内のタンパク質に結合する。MT477と似た構造を有する類似体は、同様の薬物動態性能を有すると予想される。
【0095】
(実施例2:NCI3細胞株試験はMT477が有効な抗癌剤であることを示す)
本実施例は、MT477が、インビトロ細胞検査によって有効な抗癌剤であると予測されることを示す。本実施例における検査は、3細胞株パネル試験ごとにNCIによって行なわれ、その結果は、未処置のコントロール細胞と比較して処置された細胞の成長割合として報告される。有効な化合物であること、及びさらなる検査が行なわれるための基準は、試験された化合物が、3つの細胞株の任意の1つの成長がほぼ32%以下にまで減少させることである。表2に示されるように、MT477は、通常受け入れられる科学的に受容された基準と比較して、かなり有効であった;実際に、MT477は3つの細胞株のすべての成長を、0.05ミリモルの試験濃度でゼロになるまで減少させた。
【0096】
表2:MT477は、NCI3細胞株試験によって有効であることが示された
【0097】
【表2】

試験を行なうための方法は、以下の実施例3に記載されるが、ただし、細胞は単一の濃度(5×10−5モル濃度)のMT477にさらされ、比色分析の決定は、アラマーブルーを用いて行なわれた(Biotechniques 21 (5):780−782 (1996))。
【0098】
(実施例3:NCI複数細胞株試験は、MT477が有効な抗癌性薬物であることを示す)
NCIは、MT477の60細胞株試験を試験し、それぞれの細胞株についてMT477のGI50、TGI、及びLC50値を報告し、本明細書中表3で報告した。
【0099】
表3:薬物MT477についてのNCI複数細胞株試験は、0.05ミリモル濃度の最大用量で、モル濃度として報告された。
【0100】
【表3−1】

【0101】
【表3−2】

【0102】
【表3−3】

方法論:NCIは、約60のヒト細胞株に対してMT477薬物の試験を行ない、10倍希釈でMT477の5つの濃度の最小値で、5(10)−5モル濃度を超えない薬物が使用された。48時間の薬物連続暴露が使用され、スルホローダミンB(SRB)タンパク質アッセイを使用して、細胞の生存率及び成長を概算した。癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞株を、5%ウシ胎児結成及び2mMのL−グルタミンを含有するRPMI1640培地で成長させた。細胞を96ウェルマイクロタイタープレートに、個々の細胞株が二倍になる時間に依存して、5,000〜40,000細胞/ウェルの接種密度で100μL接種した。細胞を接種した後、マイクロタイタープレートを37℃、5%CO、95%空気、及び100%相対湿度で24時間インキュベートした後、実験薬物を添加した。
【0103】
24時間後、それぞれの細胞株につき2つのプレートを系中でTCAを用いて固定化し、薬物添加時間(Tz)でそれぞれの細胞株の細胞集合の測定値を示した。使用前に所望な最終最大試験濃度になるようにMT477をジメチルスルホキシドで400倍に可溶化し、凍結乾燥した。薬物添加時間に、凍結濃縮物のアリコートを融解し、50ng/mlのゲンタマイシンを含有する完全培地を用いて最終の所望の最大試験濃度の2倍にまで希釈した。さらに4倍、10倍又は1/2log連続希釈を行ない、全部で5つの薬物濃度及びコントロールを得た。これらの異なる薬物希釈物の100μlのアリコートを、すでに100μlの培地を含有する適切なマイクロタイターウェルに添加し、所望の最終薬物濃度を得た。
【0104】
薬物を添加した後に、プレートをさらに37℃、5%CO、95%空気、及び100%相対湿度で48時間インキュベートした。粘着性細胞について、冷TCAを添加することによってアッセイを終了させた。冷50%(w/v)TCA50μl(最終濃度、10%TCA)とともに細胞を系中で穏やかに攪拌することによって固定化し、4℃で60分間インキュベートした。上澄みを捨て、プレートを水道水で5回洗浄し、風乾した。スルホローダミンB(SRB)溶液(100μl)を1%酢酸中で0.4%(w/v)でそれぞれのウェルに添加し、プレートを室温で10分間インキュベートした。染色した後、結合していない色素を1%酢酸で5回洗浄することによって除去し、プレートを風乾した。次いで、結合した染色を10mMのtrizma塩基で可溶化し、吸収を自動化プレートリーダーで515nmで読み取った。縣濁液細胞について、この方法論は、80%TCA50μl(最終濃度、16%TCA)を穏やかに添加することによってウェルの底に安定化された細胞を固定することによって終了させる以外は、同じであった。7つの吸収測定値(時間0、(Tz)、コントロール成長、(C)、及び5つの濃度レベルでの薬物存在下での試験成長(Ti))を用いて、成長割合をそれぞれの薬物濃度レベルで計算した。成長阻害割合は以下のように計算した:
Ti>/=Tzの場合、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100
Ti<Tzの場合、[(Ti−Tz)/Tz]×100
3つの用量応答パラメーターを、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100=50からそれぞれの50%の実験的薬剤成長阻害(GI50)について計算し、これは、薬物のインキュベーション中にコントロール細胞において正味のタンパク質増加(SRB染色によって測定されるような)を50%減少させる薬物濃度である。全増殖阻害(TGI)を与える薬物濃度は、Ti=Tzから計算した。薬物のLC50濃度は、処置後の細胞の正味の欠損を示すその初期と比較されるような薬物処置の終了時に、測定されたタンパク質を50%減少、これは、[(Ti−Tz)/Tz]×100=−50から計算した。活性レベルに到達する場合、これらの3つのパラメーターのそれぞれについて値が計算されるが、効果が到達しない場合、又は進行する場合、このパラメーターについての値は、試験された最大濃度よりも大きいか、又は最小濃度よりも小さい。
【0105】
(実施例4:MT477ファミリーは、多くの種類の癌細胞を効果的に阻害する)
本実施例は、MT477がヒトの癌を処置するのに有効な薬物であることを示す。MT477は、種々の肺癌細胞株を用いて種々の濃度で試験され、癌細胞の成長を効果的に阻害した。図1〜15を参照。驚くべきことに、MT477はさらに、多くの適用において、MT103又はシスプラチンよりも協力である。
方法
独立した実験室に上述の実施例3の方法が適用され、図1〜15に示されるデータを得た。しかし、細胞増殖は、MTT染料変換アッセイを用いて評価された。MTTアッセイの記載は、例えば以下に与えられる:American type Cell Culture Collectionによって発行された「MTT1 Cell Assay」。
【0106】
図1及び2は、MT477、MT103、及びシスプラチンに対する正常なヒト肺線維芽細胞の反応を示す。MT477は、シスプラチンと類似の細胞毒性プロフィールを有する。
【0107】
図3及び4は、MT477、MT103、及びシスプラチンに対するHOP−92細胞の反応を示す。
【0108】
図5は、MT477、MT103、及びシスプラチンに対するH226細胞の反応を示す。驚くべきことに、MT477は、シスプラチンよりも効果的である。HOP−92細胞及びH226 細胞は、非小細胞肺癌のモデルであり、それゆえに、MT477は、この状態を処置するのに有効であると予想される。
【0109】
図6はMT477、MT103、及びシスプラチンに対するヒト内皮静脈細胞の反応を示す。MT477は、シスプラチンと類似の細胞毒性プロフィールを有する。
【0110】
図7は、MT477、MT103、及びシスプラチンに対するMCF−7細胞の反応を示す。図8は、マウス哺乳動物細胞株の反応を示す。驚くべきことに、MT477は、シスプラチンよりも有効である。MCF−7細胞及びSCK細胞は乳癌のモデルであり、それゆえに、MT477は、この状態を処置するのに有効であると予想される。
【0111】
図9は、MT477、MT103、及びシスプラチンに対するLewis肺細胞の反応を示す。図10は、24及び48時間での正常なヒト肺細胞の反応を示す。驚くべきことに、MT477はシスプラチンよりも有効である。MT477は、ヒト及びマウスの肺細胞株において有効であり、MT477は種を超えて強い反応を有する。
【0112】
図11〜15は、MT477が非常に低い用量(マイクロモルの投薬量を含む)でさえ有効であることを示す。これらの図は、H226細胞(図11)、HOP−92細胞(図12)、A549細胞(図13)、及びACHN細胞(図14)における効力を示す。
【0113】
(実施例5 MT477の類似体は効果的な治療薬剤であると決定された)
位相的なコンピューターモデルの結果は、MT477ファミリーのメンバーが効果的な治療薬剤であることを示した。表4A〜4Jは、コンピューターモデルで試験され、有効であることが決定された化合物を示す。効力の種々のカテゴリーが予測された。この予測により、単にガイドラインが提供されただけではなく、機能性の詳細な予測も提供された。50 %成長阻害(GI50)は、表中に−log(GI50)として報告され、この値が高いほど、値が低い場合よりも効力が高く、4未満の値はほとんど効力がないことを示す。MCF7値は、胸MCF7細胞株に対する活性を予測することに関連し、これにより乳癌を予測する。NCI−H460値は、H460細胞株に対する効力を予測するものであり、これにより肺癌に対する活性を予測するものである。SF268値は、SF268細胞株に対する効力を予測するものであり、これにより中枢神経系の癌に対する活性を予測する。H226値は、H226細胞株に対する活性を予測し、これにより非小細胞肺癌に対する活性を予測する。PKC可能性、PKCアクチベーター、及びPKC log(KI)は、プロテインキナーゼC(PKC)活性の調整の予測値を指す。アセチルCh、可能性及びアセチルCh、効力(DDT=1)は、アセチルコリナーゼ酵素活性の影響の可能性を指す。アポトーシス可能性、アポトーシス(Inds% PKC)、及びアポトーシス (カスパーゼ)は、アポトーシスになる可能性を指す。抗ホルモン及び抗ホルモン(アロマターゼ)は、抗ホルモンである可能性を指す。抗有糸分裂、抗有糸分裂チューブリン及び抗有糸分裂チューブリン(Col)は、潜在的な抗有糸分裂活性を指す。トポイソメラーゼIは、トポイソメラーゼ活性を指す。薬理学的投薬量及び動力学モデルは、性質、例えば、腸での吸収、尿排泄量(%)、腎外性排出、代謝(%hep,elim)、血漿中の結合(%)、クリアランス(L/h)、Vd(L)、半減期β(時間)、ピーク時間(h)、ピーク濃度(mg/L)、毒性の可能性及び高い毒性の可能性を予測するために使用された。モデル化され予測されたさらなる性質は、Id50ラット経口(mg/kg)、抗新生物性Id50ラット経口(mg/kg)neoの毒性、Id50ラットiv(mg/kg)、HM 治療指数、経口noelラット亜慢性、経口noelラット慢性、発癌の可能性、発癌性の強さ、変異原性の可能性、変異原性の強さ、神経毒性の可能性、神経毒性(強さ)、血液毒性の可能性、細胞毒性(マイクロモルで)、奇形発生の可能性、及び分子量を用いた急性毒性である。このように、PKC可能性は、プロテインキナーゼC(PKC)と相互作用する可能性に関し、PKCアクチベーターは、プロテインキナーゼC(PKC)を活性化する可能性に関し、PKC log(Ki)は、相互作用(活性化)定数に関し、アセチルch可能性は、アセチルコリンエステラーゼ阻害に関し、DDT=1は、参照化合物、この場合にはDDTに対して発現する効力に関し、アポトーシス可能性は、PKC活性かに関連するアポトーシスの可能性に関し、アポトーシス(カスパーゼ)は、カスパーゼ経路によるアポトーシスに関し、抗有糸分裂チューブリンはチューブリンによる抗有糸分裂活性に関し、抗有糸分裂チューブリン(col)は、チューブリン−コルヒチンによる抗有糸分裂活性にし、クリアランス(L/h)は、位相的なモデルIによる総クリアランスの予測に関し、クリアランス(L/h) 2は、総クリアランス by 位相的なモデルIIによる総クリアランスの予測に関する。毒性の可能性は毒性に関し、高い毒性は、毒性の一般的な予測であり、LD50は急性毒性の一般的なモデルに関し、LD50−neoは抗新生物性の毒性のモデルに関し、ivは静脈内のモデルに関し、治療指数は、LD50−経口ラット(mg/kg)間の指数に関し、ヒトへの1日の用量をmg/日で予想し、noelは有効なレベルが観察されなかったことに関する。
【0114】
【表4−1】

【0115】
【表4−2】

【0116】
【表4−3】

【0117】
【表4−4】

【0118】
【表4−5】

【0119】
【表4−6】

【0120】
【表4−7】

【0121】
【表4−8】

【0122】
【表4−9】

【0123】
【表4−10】

【0124】
【表4−11】

【0125】
【表4−12】

【0126】
【表4−13】

【0127】
【表4−14】

【0128】
【表4−15】

本明細書中に記載される実施例は例示的なものであり、本発明の範囲又は精神を限定することを意図するものではない。MT477ファミリーの多くの実施形態が本明細書中に記載されており;この開示を読んだ後に、達成可能なさらなる改変及び変形を当業者は理解し;それゆえに、このような改変及び変形は、本開示の範囲内にある。本明細書中に引用される特許、特許明細書、雑誌刊行物、及び出版物は、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされた正常なヒト肺線維芽細胞の生育反応についてのグラフである。
【図2】図2は、図1のものよりも比較的低めの濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされた正常なヒト肺線維芽細胞の生育反応についてのグラフである。
【図3】図3は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたHOP−92の生育反応についてのグラフである。
【図4】図4は、図3のものよりも比較的低めの濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたHOP−92の生育反応についてのグラフである。
【図5】図5は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたH226細胞の生育反応についてのグラフである。
【図6】図6は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたヒト内皮静脈内皮細胞の生育反応についてのグラフである。
【図7】図7は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたMCF−7細胞の生育反応についてのグラフである。
【図8】図8は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたSCK細胞の生育反応についてのグラフである。
【図9】図9は、種々の濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたLewis肺細胞の生育反応についてのグラフである。
【図10】図10は、低濃度のMT477、MT103、又はシスプラチンにさらされた24時間後のヒト線維芽細胞についての成長のグラフである。
【図11】図11は、低濃度のシスプラチン、MT477、又はMT103にさらされた24時間後のヒト線維芽細胞についての成長のグラフである。
【図12】図12は、低濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされた24時間後のH226細胞についての生育反応のグラフである。
【図13】図13は、低濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたHOP−92細胞についての生育反応のグラフである。
【図14】図14は、低濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたA549細胞についての生育反応のグラフである。
【図15】図15は、低濃度のMT477、MT103、及びシスプラチンにさらされたACHN細胞についての生育反応のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を処置するための方法であって、当該方法は、式A−Z−Yを含む化学物質を含む治療的に有効量の組成物を該患者に投与する工程を含み、ここで、Aは三環式基を含み;Zは、1〜30個の結合を有する骨格に沿ってYにAを接続する連結基であり;及びYは、C、S、O、N、又はPのうち少なくとも1つを含む環式基を含む、方法。
【請求項2】
A、Y、及びZのうち少なくとも1つが、ハロゲン、H、ヒドロキシル基;エステル基;エーテル基;オキソ酸基、オキソカーボン基、オキソカルボン酸基、オキソ基、ケトン基;ニトロ基;アジド基;スルフヒドリル基;アルカノイル基、カルボキサミド基;アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基;アリールオキシ基、アルキルチオ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;アミノアルキル基、アラルコキシ基、ヘテロ芳香族基、ヘテロ環基、ヘテロ脂環式基、アミン基、アミド基、アミジウムイオン基、アミンイミド基、アミンオキシド基、アミニウムイオン基、アミノナイトレン基、ナイトレン基、アミノオキシド基、ニトリル基、ニトリルイミド基、スルホン酸基、サルフェート基、スルホネート基、スルファミン酸基、スルファン基、スルファチド基、スルフェンアミド基、スルフェン基、スルフェン酸基、スルフェニウムイオン基、スルフェニル基、スルフェニリウムイオン基、スルフェニルナイトレン基、スルフェニルラジカル基、スルフィド基、スルフィルイミン基、スルフィミド基、スルフイミン基、スルフィンアミド基、スルフィンアミジン基、スルフィン基、スルフィン酸基、無水スルフィン酸基、スルフィンイミン基、スルフィニルアミン基、スルホリピド基、スルホンアミド基、スルホンアミジン基、スルホンジイミン基、スルホン基、スルホン酸基、無水スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニウム基、スルホンフタレイン基、スルホニルアミン基、スルホキシド基、スルホキシイミド基、スルホキシイミン基、硫黄ジイミド基、チオール基、チオアセタール基、チオアルデヒド基、チオアルデヒドS−オキシド基、チオ無水物基、チオカルボン酸基、チオシアネート基、チオエーテル基、チオヘミアセタール基、チオケトン基、チオケトンS−オキシド基、チオレート基、チオニルアミン基、アルコール基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基、エーテル基、エステル基、ホスファン基、ホスファニリデン基、ホスファチジン酸基、ホスファゼン基、ホスフィンオキシド基、ホスフィン基、ホスフィン酸基、ホスフィニデン基、亜ホスフィン酸基、ホスホグリセリド基、リン脂質基、ホスホン酸基、ホスホニトリル基、ホスホニウム基、ホスホニウムイリド基、ホスホノ基、亜ホスホン酸基、リンアミド基、ホスホラン基、酸生物学的等価体及びエステル生物学的等価体、−C(=O)−NHOH基、−C(=O)−NH−CN基、−C(=O)−CHOH基、−C(=O)−CHSH基、−SO−NH基、スルホ基、ホスホノ基、アルキルスルホニルカルバモイル基、テトラゾイル基、アリールスルホニルカルバモイル基、ヘテロアリールスルホニルカルバモイル基、N−メトキシカルバモイル基、3−ヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン基、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾニリジニル基、ヘテロ環フェノール基、3−ヒドロキシイソオキサゾリル基、3−ヒドロキシ−1−メチルピラゾリル基、−C(=O)SH基、−COCH2H基、−C(=O)NH基、1,2,4−オキサジアゾール基または1,2,4−チアジアゾール基であるように選択される少なくとも1つの置換基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
A、Y、及びZのうち少なくとも1つが、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、カルバメート基、オキソカーボン基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル基、エステル基、ケトン基、環式基、脂環式基、芳香族基、又はヘテロ環基を含む少なくとも1つの置換基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化学物質が以下の式
【化1】

〔式中、A〜A14は独立してC、S、O、又はNを含む〕
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
〜A14のうち少なくとも1つが、置換環式基を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Yが少なくとも4個の環原子を有する環式基である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記化学物質が以下の式
【化2】

〔式中、Y〜Yは独立してC、S、O、又はNを含む〕
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記化学物質が以下の式
【化3】

〔式中、A〜A14及びY〜Yは独立してC、S、O、又はNを含む〕
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記式が、A〜A14のうち2個の原子とY〜Yのうち2個の原子との間に二重結合又は三重結合をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化学化合物が以下からなる群
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

のメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化学物質が以下の式
【化10】

を含む式を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化学物質が以下の式
【化11】

〔式中、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11、A14及びY〜Yはそれぞれ独立して、C、S、O、P、又はNを含み、
〜R及びT〜T14は独立して、空であるか、又は孤立電子対、単結合、π結合、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、又は芳香族基である基から選択される〕
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
〜R及びT〜T14のうち少なくとも2個が、互いに相互接続して環状構造の少なくとも一部分を形成するように選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
〜A14のうち少なくとも1つは、下式
【化12】

〔B〜Bはそれぞれ独立してC、S、O、P、又はNを含む〕
中のAである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
〜Bのうち少なくとも1つが、孤立電子対、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、及び芳香族基からなる群のメンバーである置換基をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式A−Z−Yを含む治療的に有効量の化学物質と関連して、薬学的に受容可能なキャリア又は希釈剤を含み、ここで、Aは三環式基を含み;Zは、1〜30個の結合を有する骨格に沿ってYにAを接続する連結基であり;及びYは、C、S、O、N、又はPのうち少なくとも1つを含む環式基を含む、薬学的組成物。
【請求項17】
前記化学物質が塩である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記キャリア又は希釈剤が、バインダー、滑剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動性誘発剤、及び融解剤からなる群の少なくとも1つのメンバーを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
A、Y、及びZのうち少なくとも1つが、ハロゲン、H、ヒドロキシル基;エステル基;エーテル基;オキソ酸基、オキソカーボン基、オキソカルボン酸基、オキソ基、ケトン基;ニトロ基;アジド基;スルフヒドリル基;アルカノイル基、カルボキサミド基;アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基;アルキルチオ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;アミノアルキル基、アラルコキシ基、ヘテロ芳香族基、ヘテロ環基、ヘテロ脂環式基、アミン基、アミド基、アミジウムイオン基、アミンイミド基、アミンオキシド基、アミニウムイオン基、アミノナイトレン基、ナイトレン基、アミノオキシド基、ニトリル基、ニトリルイミド基、スルホン酸基、サルフェート基、スルホネート基、スルファミン酸基、スルファン基、スルファチド基、スルフェンアミド基、スルフェン基、スルフェン酸基、スルフェニウムイオン基、スルフェニル基、スルフェニリウムイオン基、スルフェニルナイトレン基、スルフェニルラジカル基、スルフィド基、スルフィルイミン基、スルフィミド基、スルフイミン基、スルフィンアミド基、スルフィンアミジン基、スルフィン基、スルフィン酸基、無水スルフィン酸基、スルフィンイミン基、スルフィニルアミン基、スルホリピド基、スルホンアミド基、スルホンアミジン基、スルホンジイミン基、スルホン基、スルホン酸基、無水スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニウム基、スルホンフタレイン基、スルホニルアミン基、スルホキシド基、スルホキシイミド基、スルホキシイミン基、硫黄ジイミド基、チオール基、チオアセタール基、チオアルデヒド基、チオアルデヒドS−オキシド基、チオ無水物基、チオカルボン酸基、チオシアネート基、チオエーテル基、チオヘミアセタール基、チオケトン基、チオケトンS−オキシド基、チオレート基、チオニルアミン基、アルコール基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基、エーテル基、エステル基、ホスファン基、ホスファニリデン基、ホスファチジン酸基、ホスファゼン基、ホスフィンオキシド基、ホスフィン基、ホスフィン酸基、ホスフィニデン基、亜ホスフィン酸基、ホスホグリセリド基、リン脂質基、ホスホン酸基、ホスホニトリル基、ホスホニウム基、ホスホニウムイリド基、ホスホノ基、亜ホスホン酸基、リンアミド基、またはホスホラン基、酸生物学的等価体及びエステル生物学的等価体、−C(=O)−NHOH基、−C(=O)−NH−CN基、−C(=O)−CHOH基、−C(=O)−CHSH基、−SO−NH基、スルホ基、ホスホノ基、アルキルスルホニルカルバモイル基、テトラゾイル基、アリールスルホニルカルバモイル基、ヘテロアリールスルホニルカルバモイル基、N−メトキシカルバモイル基、3−ヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン基、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾニリジニル基、ヘテロ環フェノール基、3−ヒドロキシイソオキサゾリル基、3−ヒドロキシ−1−メチルピラゾリル基、−C(=O)SH基、−COCH2H基、−C(=O)NH基、1,2,4−オキサジアゾール基または1,2,4−チアジアゾール基であるように選択される少なくとも1つの置換基をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
A、Y、及びZのうち少なくとも1つが、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、カルバメート基、オキソカーボン基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル基、エステル基、ケトン基、環式基、脂環式基、芳香族基、又はヘテロ環基を含む少なくとも1つの置換基をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記化学物質が以下の式
【化13】

〔式中、A〜A14は独立してC、S、O、又はNを含む〕
を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
〜A14のうち少なくとも1つが置換環式基を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
Yが少なくとも4個の環原子を有する環式基である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記化学物質が以下の式
【化14】

〔式中、Y〜Yは独立してC、S、O、又はNを含む〕
を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
前記化学物質が以下の式
【化15】

〔式中、A〜A14及びY〜Yは独立してC、S、O、又はNを含む〕
を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項26】
前記式が、A〜A14のうち2個の原子とY〜Yのうち2個の原子との間に二重結合又は三重結合をさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記化学化合物が以下からなる群
【化16】

【化17】

のメンバーである、請求項16に記載の組成物。
【請求項28】
前記化学物質が以下の式
【化18】

を含む式を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項29】
前記化学物質が以下の式
【化19】

〔式中、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11、A14及びY〜Yはそれぞれ独立して、C、S、O、P、又はNを含み、
〜R及びT〜T14は独立して、例えば、空であるか、又は孤立電子対、単結合、π結合、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、または芳香族基である基から選択される〕
を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項30】
〜R及びT〜T14のうち少なくとも2つが、互いに相互接続して環状構造の少なくとも一部分を形成するように選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
〜A14のうち少なくとも1つは、下式
【化20】

〔B〜Bはそれぞれ独立してC、S、O、P、又はNを含む〕
中のAnである、請求項16に記載の組成物。
【請求項32】
〜Bのうち少なくとも1つが、孤立電子対、H、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール基、スルホネート基、カルボキシル基、アミノ基、アミド(amido)基、アミド(amide)基、ホスフェート基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、オキソ基、エーテル、エステル、ケトン、カルボキシル、環式基、脂環式基、ヘテロ環基、および芳香族基からなる群のメンバーである置換基をさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
下式
【化21】

を含む治療的に有効量の化学物質と関連して、薬学的に受容可能なキャリア又は希釈剤を含み、ここで、X及びXは独立して、O、N、S又はPから選択され、Gは少なくとも2つの環を有する基であり、ここで、それぞれの環は、少なくとも1つの他の環と共通の少なくとも2つの原子を有し、GはX及びXの両方に結合する原子を含む、薬学的組成物。
【請求項34】
前記化学物質が塩である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記キャリア又は希釈剤が、バインダー、滑剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流動性誘発剤、及び融解剤からなる群の少なくとも1つのメンバーを含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
ハロゲン、H、ヒドロキシル基;エステル基;エーテル基;オキソ酸基、オキソカーボン基、オキソカルボン酸基、オキソ基、ケトン基;ニトロ基;アジド基;スルフヒドリル基;アルカノイル基、カルボキサミド基;アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基;アリールオキシ基、アルキルチオ基;アルキルスルフィニル基;アルキルスルホニル基;アミノアルキル基、アラルコキシ基、ヘテロ芳香族基、ヘテロ環基、ヘテロ脂環式基、アミン基、アミド基、アミジウムイオン基、アミンイミド基、アミンオキシド基、アミニウムイオン基、アミノナイトレン基、ナイトレン基、アミノオキシド基、ニトリル基、ニトリルイミド基、スルホン酸基、サルフェート基、スルホネート基、スルファミン酸基、スルファン基、スルファチド基、スルフェンアミド基、スルフェン基、スルフェン酸基、スルフェニウムイオン基、スルフェニル基、スルフェニリウムイオン基、スルフェニルナイトレン基、スルフェニルラジカル基、スルフィド基、スルフィルイミン基、スルフィミド基、スルフイミン基、スルフィンアミド基、スルフィンアミジン基、スルフィン基、スルフィン酸基、無水スルフィン酸基、スルフィンイミン基、スルフィニルアミン基、スルホリピド基、スルホンアミド基、スルホンアミジン基、スルホンジイミン基、スルホン基、スルホン酸基、無水スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニウム基、スルホンフタレイン基、スルホニルアミン基、スルホキシド基、スルホキシイミド基、スルホキシイミン基、硫黄ジイミド基、チオール基、チオアセタール基、チオアルデヒド基、チオアルデヒドS−オキシド基、チオ無水物基、チオカルボン酸基、チオシアネート基、チオエーテル基、チオヘミアセタール基、チオケトン基、チオケトンS−オキシド基、チオレート基、チオニルアミン基、アルコール基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基、エーテル基、エステル基、ホスファン基、ホスファニリデン基、ホスファチジン酸基、ホスファゼン基、ホスフィンオキシド基、ホスフィン基、ホスフィン酸基、ホスフィニデン基、亜ホスフィン酸基、ホスホグリセリド基、リン脂質基、ホスホン酸基、ホスホニトリル基、ホスホニウム基、ホスホニウムイリド基、ホスホノ基、亜ホスホン酸基、リンアミド基、又はホスホラン基、酸生物学的等価体及びエステル生物学的等価体、−C(=O)−NHOH基、−C(=O)−NH−CN基、−C(=O)−CHOH基、−C(=O)−CHSH基、−SO−NH基、スルホ基、ホスホノ基、アルキルスルホニルカルバモイル基、テトラゾイル基、アリールスルホニルカルバモイル基、ヘテロアリールスルホニルカルバモイル基、N−メトキシカルバモイル基、3−ヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン基、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾニリジニル基、ヘテロ環フェノール基、3−ヒドロキシイソオキサゾリル基、3−ヒドロキシ−1−メチルピラゾリル基、−C(=O)SH基、−COCH2H基、−C(=O)NH基、1,2,4−オキサジアゾール基または1,2,4−チアジアゾール基、
【化22】

であるように選択される少なくとも1つの置換基をさらに含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
Gが下式
【化23】

を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
請求項33に記載の化合物を患者に投与する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−505931(P2008−505931A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520588(P2007−520588)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/024577
【国際公開番号】WO2006/010127
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507006101)メディスィン テクノロジーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】