説明

泡吐出容器

【課題】容器本体の押圧により泡を吐出する泡吐出容器において、容器本体の口部に螺合する螺合部と、泡吐出路を内部に有する泡吐出路形成部とを一体成型により1パーツとし、かつその成型精度とフォーマーキャップの外観を向上させる。
【解決手段】泡吐出容器1が、可撓性を有する容器本体2、容器本体の口部3に螺合するフォーマーキャップ10、及びフォーマーキャップ10から容器本体2内に延びたディップチューブ11を備え、容器本体2を押圧することで、容器本体2に収容された液体Aを泡状に吐出する。フォーマーキャップ10は、容器本体2の口部壁に外側から螺合する筒状壁22、インナーリング23、泡吐出路25を内部に有する泡吐出路形成部24、及び吸気筒53が一体成型により形成されたハウジング20を有する。吸気筒53はインナーリング23よりも上側に設けられ、吸気筒53の周面が、ハウジング20の非吸気筒部の外形で囲まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する容器本体を押圧することにより、容器本体内の液体を泡状に吐出させる泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する容器本体を押圧することにより、容器本体内の液体を泡状に吐出させる泡吐出容器はスクイズフォーマー容器とも称され、各種化粧料や洗浄剤などを泡状に吐出させる場合に使用されている。
【0003】
泡吐出容器の一般的な形態の一つとして、気液混合室を有すると共に、容器本体内に延びたディップチューブが接続されているフォーマーキャップが容器本体の口部に装着され、容器本体内からディップチューブを通して供給された液体と、容器本体内の空間から供給された空気とを気液混合室で混合して起泡させるものがある。このような泡吐出容器では、押圧により容器本体を変形させて液体を泡状に吐出させた後、押圧の解除後に容器本体の変形が復元するように、フォーマーキャップに外気の吸気機構を設けることが必要となる。このための手法として、フォーマーキャップの吐出口部を除く本体部分を、容器本体の口部に螺合により装着される螺合部と、泡を吐出口方向へ通す泡吐出経路部との2パーツで構成し、これらの嵌合の隙間に複雑な吸気経路を形成することが知られている(特許文献1)。
【0004】
これに対し、フォーマーキャップのパーツ数をより少なくし、コンパクトに形成したものとして、容器本体の口部に螺合により装着される螺合部と、泡を吐出口方向へ通す泡吐出経路部とを1パーツで構成し、ボール弁を組み込んだ吸気筒を螺合部と泡吐出路との間に設けたものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−33860号公報
【特許文献2】特開平10−29652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、図9に示す泡吐出容器1pのように、容器本体2の口部3に外側から螺合するフォーマーキャップ の螺合部21には、容器本体2の口部3とのシール性を確保するため、内面に螺旋がきってある筒状壁22のさらに内側にインナーリング23が形成され、筒状壁22とインナーリング23とで容器本体2の口部3の筒状壁4が挟まれるようにする。
【0007】
そのため、特許文献2の図1に記載のフォーマーキャップのように、ボール弁を螺合部のインナーリングよりも下に設けると、インナーリングと吸気筒が接近することにより金型構造が複雑になるのでインナーリングや吸気筒の成型精度が低下する場合がある。反対に、ボール弁をインナーリングよりも上に設けると、フォーマーキャップの外面において吸気筒が大きく突出するので外観が劣る。
【0008】
これに対し、本発明は、フォーマーキャップの螺合部と泡吐出形成部とを一体成型により1パーツとし、かつフォーマーキャップの外観を損なうことなく、フォーマーキャップの成型精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、泡吐出容器のフォーマーキャップを構成する、容器本体の口部に螺合する螺合部と、泡吐出路を内部に有する泡吐出路形成部とを一体成型により1パーツとして形成するにあたり、吸気筒をインナーリングよりも上側に設けると成型精度を向上させることができ、かつその一体成型物の外形によって吸気筒の周面が覆われるようにすると、フォーマーキャップの外観が損なわれないことを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、可撓性を有する容器本体、容器本体の口部に螺合するフォーマーキャップ、及びフォーマーキャップから容器本体内に延びたディップチューブを備え、容器本体を押圧することで、容器本体に収容された液体を容器本体内の空間から供給された空気と混合して泡状に吐出する泡吐出容器であって、
フォーマーキャップが、容器本体の口部壁に外側から螺合する筒状壁、筒状壁の内側に垂下したインナーリング、泡吐出路を内部に有する泡吐出路形成部、及び外気を容器本体内に吸気する吸気筒が一体成型により形成されたハウジングを有し、
吸気筒がインナーリングよりも上側に設けられ、吸気筒の周面が、ハウジングの非吸気筒部の外形で囲まれている泡吐出容器を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の泡吐出容器によれば、容器本体の口部に螺合する筒状壁と、筒状壁の内側に垂下したインナーリングと、泡吐出路を内部に有する泡吐出路形成部と、外気を容器本体内に吸気する吸気筒とを一体成型により1パーツとして形成するので、フォーマーキャップを構成する部材数を減らし、製造コストを低下させることができる。この場合、吸気筒をインナーリングよりも上側に設けるので、一体成型に用いる金型の成型精度を向上させることができる。
【0012】
また、吸気筒をインナーリングよりも上側に設けるにも関わらず、吸気筒の外周がハウジングの外形で囲まれることにより、フォーマーキャップの外形において吸気筒が突出しないので、フォーマーキャップの外観も優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例の泡吐出容器の斜視図(a)及び正面図(b)である。
【図2】図2は、図1の泡吐出容器のフォーマーキャップ部分の縦断面図である。
【図3】図3は、図2のフォーマーキャップにおける液体の流れと気体の流れと泡の流れの説明図である。
【図4】図4は、図2のフォーマーキャップが使用する外側筒状部の上面図(a)及び斜視図(b)である。
【図5】図5は、異なる実施例の泡吐出容器のフォーマーキャップ部分の斜視図(a)及びその部分断面図(b)である。
【図6】図6は、異なる実施例の泡吐出容器のフォーマーキャップ部分の部分断面図である。
【図7】図7は、異なる実施例の泡吐出容器のフォーマーキャップ部分の部分断面図である。
【図8】図8は、異なる実施例の泡吐出容器のフォーマーキャップ部分の斜視図(a)及び部分断面図(b)(c)である。
【図9】図9は、泡吐出容器の斜視図(a)、及びその泡吐出容器のフォーマーキャップと容器本体との螺合部付近の断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0015】
図1(a)は、本発明の一実施例の泡吐出容器1の斜視図、同図(b)はその吐出口側から見た正面図、図2は、その泡吐出容器1のフォーマーキャップ10部分の縦断面図である。
【0016】
この泡吐出容器1は、可撓性を有するプラスチック製で、起泡性の液体Aが収容される容器本体2と、容器本体2の上端部の口部に着脱自在に装着されるフォーマーキャップ10と、フォーマーキャップ10から容器本体2内に延びたディップチューブ11を備えており、泡吐出容器1を正立状態にして容器本体2の胴部を図1(b)のニ点鎖線で示すように押圧変形させることにより、容器本体2に収容された液体Aを容器本体2内の空間から供給された空気と混合して泡状にし、フォーマーキャップ10の吐出口12から吐出させるものである。
【0017】
容器本体2の材質としては、所謂スクイズ性(即ち、押圧性及びスクイズバック性)が良好な、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂を単独又は適宜複数種混合して用いることができる。
【0018】
図2に示すように、フォーマーキャップ10は、容器本体2の口部3に外側から螺合する筒状壁22と、筒状壁22の内側に形成されたインナーリング23と、フォーマーキャップ10内で形成された泡を吐出口12方向へ通す泡吐出路25を内部に有する泡吐出路形成部24と、外気を容器本体内に吸気する吸気筒53が一体成型により1パーツに成形されたハウジング20を有している。
【0019】
ここで、筒状壁22は外形が円筒状で、その内面に、容器本体2の口部3に螺合する螺旋を有し、インナーリング23は、ハウジング内の筒状壁22近傍の天面28から垂下している。筒状壁22とこれに環状の連結部(連結環)29を介して連結したインナーリング23とで容器本体2の口部3の筒状壁4が挟まれるように形成されており、これによりフォーマーキャップ10のシーリング性を確保している。
【0020】
泡吐出路形成部24は、外形的には筒状壁22の上に形成された円筒状部24aとその上に突出した部分球状部24bを有し、これらが、泡吐出路形成部24の内部の泡吐出路25を概略覆うように形成されている。泡吐出路形成部24の下側の円筒状部24aは、その外形が筒状壁22よりも小径に形成されているために、その外形に連結部29が顕れ、筒状壁22と泡吐出路形成部24の間に段部xが形成されている。このように構成したことで、筒状壁22の外周を泡吐出路形成部24のそれと一致させたときに泡吐出路形成部24の壁厚が過度に厚くなることによる成型時のヒケの発生を防止している。
【0021】
泡吐出路形成部24の一端には、ハウジング20と別パーツの先端ノズル部材13が接続されており、その先端の吐出口12に泡吐出路形成部24内の泡吐出路25を連通させている。先端ノズル部材13は、泡吐出路形成部24から筒状壁22の概略半径方向に突出し、吐出口12の開口面の向き(即ち、開口面の法線方向)が、容器本体2の起立方向に対して傾き、略水平ないしやや下向きとなっている。
【0022】
泡吐出路25の吐出口12と反対側の端部は筒状壁26となって、ハウジング20内に垂下している。この筒状壁26には、後述するように、容器本体2に収容された液体Aをフォーマーキャップ10内で起泡させるための空気導入路p1、p2と液導入路qとそれらの合流部rを形成する二重の筒状部材(外側筒状部30、内側筒状部31)が接続される。
【0023】
吸気筒53は、その内部に吸気弁としてボール弁50を有している。即ち、ボール弁50は、容器本体2の押圧変形により液体Aを泡状に吐出させるときには、ボール51が流路を閉じるが、押圧を解除するとボール51が自重で落下して流路を開き、外気を容器本体2内に流入させ、容器本体2の変形を復元させる。吸気弁として樹脂弁を設ける場合には、泡吐出時の押圧による容器本体2の変形を、押圧解除後に容器本体2の構成樹脂の可撓性により復元させ、それに伴う容器本体2の減圧により樹脂弁を開かせ、外気を容器本体2内に流入させるため、容器本体2の構成樹脂として剛性の高いものを使用することが必要となる。これに対し、本実施例の泡吐出容器1のように、吸気弁としてボール弁50を使用すると、容器本体2に必要とされる剛性を低下させることができる。このため、容器本体2の形成に必要となる樹脂量を小さくすることができ、また、泡吐出時には、軽い力で容器本体2を押圧変形させることが可能となる。
【0024】
この泡吐出容器1においては、吸気筒53がインナーリング23よりも上側に、即ち、容器本体2に泡吐出路形成部24を取り付けるための筒状壁22とインナーリング23とを連結する連結部(連結環)29の上方に形成され、かつ、吸気筒53の周面が、ハウジング20の非吸気筒部の外形で囲まれ、吸気筒53の周面の周りに溝55が形成されていることを特徴としている。ここで、吸気筒53がインナーリング23よりも上側に形成されているとは、吸気筒53とインナーリング23とが垂直方向においては重なること無く、言い換えると、吸気筒53の下端部(溝55の底面)53aがインナーリング23の上端部23aよりも上側に形成されていることをいう。このため、この泡吐出容器1によれば、吸気筒53の下端部53aをインナーリング23の上端部23aより下にして、吸気筒53とインナーリング23とを垂直方向で重なる位置とした場合に比して、ハウジング20の一体成型に使用する金型の複雑さが低減し、それにより成型精度を向上させることができる。また、吸気筒53の周面が、ハウジング20の非吸気筒部、より具体的にはハウジング20の上部を形成する部分球状部24bの外形で囲まれているため、フォーマーキャップ10の外観上、吸気筒53が突出せず、デザイン性の優れたものとなる。
【0025】
一方、本実施例の泡吐出容器1において、容器本体2に収容された液体Aをフォーマーキャップ10内で起泡させるための、フォーマーキャップ10内における空気導入路と液導入路の構成について特に制限はないが、例えば、図2に示すように空気導入路p(p1、p2)と液導入路qを形成し、その合流部rで起泡させ、第1、第2のメッシュ40、41を通して吐出させるものとすることができる。
【0026】
即ち、このフォーマーキャップ10では、一体成型されたハウジング20に、外側筒状部30と、外側筒状部30内に嵌入された内側筒状部31が取り付けられている。図3はこれらの嵌入状態と、液体及び気体の流れを示す断面図であり、図4は外側筒状部30の上面図(a)及び斜視図(b)である。これらの図に示すように、外側筒状部30と内側筒状部31は、それらの下部30a、31aでは、外側筒状部30の内壁と内側筒状部31の外壁が直接対向しているが、上部30b、31bでは、ハウジング20から垂下した筒状壁26を、外側筒状部30の内壁と内側筒状部31の外壁とが挟持するように対向している。
【0027】
外側筒状部30は、その下端が、ディップチューブ11が嵌入されるディップチューブホルダー32となっており、外側筒状部30の内部が、嵌入されたディップチューブ11と連通している。このディップチューブ11は、泡吐出容器1を吐出口12側に傾けて使用したときに容器本体2内の液体Aを残り無く吐出できるように、くの字型に屈曲し、その先端開口部を容器本体2の底部で吐出口12側に向けている。
【0028】
内側筒状部31は有底筒状で、その閉じられた底部をディップチューブ11側に向けている。また、内側筒状部31は、ディップチューブ11と反対側の開口端に第1メッシュ40を有し、その下流が泡吐出路25及び吐出口12に繋がっている。なお、泡吐出路25内には、さらに第2メッシュ41が設けられている。
【0029】
第1の空気導入路p1は、外側筒状部30の上縁部内壁に周方向に設けられた段差34と、その上を覆うハウジング20の筒状壁26の環状凸部27との間に形成されている。
【0030】
第1の空気導入路p1の空気取り入れ口p0は、該第1の空気導入路p1の吐出口12と反対側領域(即ち、吐出口12に対して正反対の位置から90度の範囲)の1箇所で、筒状壁26の環状凸部27が切り欠かれて開口することにより形成され、その空気取り入れ口p0により第1の空気導入路p1が容器本体2内の上部空間2aと連通している。
【0031】
第2の空気導入路p2は、第1の空気導入路p1から分岐するように形成されたもので、外側筒状部30の内壁の段差34から中央部の合流部rまでの6本の縦溝35と、ハウジング20の筒状壁26との間隙、及び外側筒状部30の段部30cの内壁と内側筒状部31との間隙により形成されている。
【0032】
液導入路qは、外側筒状部の下部30aの内壁に形成された縦溝36と内側筒状部の下部31aとの間隙により形成され、合流部rと反対側端部でディップチューブ11に連通している。
【0033】
合流部rは、第2の空気導入路p2と液導入路qとの合流部であり、内側筒状部31に形成された連通孔33により内側筒状部31の内部と連通している。
【0034】
この泡吐出容器1は、次のように使用される。まず、容器本体2内に起泡性の液体Aを収容した状態で、容器本体2の胴部を押圧して凹ませる。これにより、容器本体2内の内圧が高まり、図3に示すように液体Aがディップチューブ11を通り、複数の液導入路qで分岐し、複数の合流部rに供給されると共に、外側筒状部30の吐出口12と反対側領域で開口した空気取り入れ口p0から、容器本体2の上部空間の空気Bが第1の空気導入路p1及びそれから分岐した複数の第2の空気導入路p2を経て複数の合流部rに供給される。これにより複数の合流部rで液体Aが均質に起泡し、その泡Cが連通孔33を通して内側筒状部31の内部に吐出され、そこで複数の合流部rで形成された泡Cが合流する。合流した泡Cは、第1メッシュ40、第2メッシュ41を順次通って泡質が改善され、吐出口12から吐出される。次に、容器本体2への押圧を解除するとボール弁50のボール51が自重でその掛止位置まで落ちてボール弁50が開き、その結果、容器外の空気が容器本体2内に入り、容器本体2内が常圧に戻ると共に、容器本体2の可撓性により容器本体2は押圧前の形状に戻る。以降、この押圧とその解除を繰り返すことにより、容器本体2内の液体Aを泡状に吐出することができる。
【0035】
このように本実施例の泡吐出容器1によれば、空気導入路pと液導入路qをそれぞれ複数設けて空気と液体を混合することにより、気液混合効率を高め、泡質を均質化することができる。
【0036】
また、この泡吐出容器1によれば、空気取り入れ口p0が第1の空気導入路p1の吐出口12と反対側に形成されているので、液体Aを泡状に吐出させるにあたり、容器本体2の胴部の押圧時に容器本体2を吐出口12方向に傾けても、空気取り入れ口p0が液体Aで塞がれ難い。このため、空気取り入れ口p0が液体Aで塞がれることによる泡質の低下を起こりにくくすることができる。
【0037】
さらに、空気取り入れ口p0が、外側筒状部30の上端、即ち概略水平に延びた泡吐出路25の直下に形成されることになり、容器本体2内において液体Aの液面から最大限離れた位置をとる。したがって、容器本体2内の液体Aが泡立った場合でも、その泡で空気取り入れ口p0が塞がれることを防止でき、良好な泡を吐出させることが可能となる。
【0038】
加えて、合流部rは容器本体2の口部3の上下方向の幅内、言い換えると口部3を形成し、外壁に螺子が設けられた筒の内部に位置しており、空気取り入れ口p0を液体Aの液面から離すために、容器本体2の口部3を形成する筒の上縁よりも上方に気液合流部を位置させることは不要である。したがって、この泡吐出容器1によればフォーマーキャップ10をコンパクトに構成することが可能となる。
【0039】
また、この泡吐出容器1によれば、外側筒状部30と内側筒状部31との間にハウジング20の筒状壁26を嵌入させるので、これらの嵌合力を高めることができる。したがって、泡吐出容器1の輸送時などにディップチューブ11に該ディップチューブ11の先端部の向きを変えさせる回転力がかかっても、ディップチューブ11の先端部の向きが変わり難いので好ましい。
【0040】
本発明は、種々の態様をとることができる。例えば、吸気筒53の周面を囲むハウジング20の外形は、吐出口12近傍以外において、筒状壁22と円筒状部24aと部分球状部24bとが順次重なった段付きの円柱形状に限らず、例えば、筒状壁22の上にドーム型に部分球状部を形成し、ドーム型の部分球状部内に泡吐出路25が形成されるようにしてもよい。
【0041】
また、図5の泡吐出容器1Bのように、フォーマーキャップ10Bに、吸気筒53の上面を覆う天壁56を設け、吸気孔54を横向きに開口してもよい。これにより、仮に泡吐出容器1Bの振とう等により容器本体2内で液体Aが泡立ち、その泡が吸気孔54から噴出する場合でも、その泡は横向きに噴出し、吸気筒53の周りの溝55に溜まるので、無用の液だれが生じることを防止できる。また、吸気孔54に塵が詰まることなども防止できる。
【0042】
図6のフォーマーキャップ10Cのように、ハウジング20の一体成型時に、吸気筒53の周りの溝55の縁部から延びる板状の吸気孔カバー57を一体成型し、それを基部で折り曲げ、破線のように吸気孔54上を開閉自在に覆えるようにしてもよい。これによっても、吸気孔54に塵が詰まることを防止でき、また、吸気孔54が使用者の目にふれなくなるので、使用者が吸気孔54に無用に触ることを防止できる。
【0043】
図7のフォーマーキャップ10Dのように、ハウジング20の一体成型時に、吸気筒53の天壁56から延びる板状の吸気孔カバー58を一体成型し、それを基部で折り曲げ、破線のように吸気孔54上を開閉自在に覆えるようにしてもよい。これによっても、吸気孔54に塵が詰まることを防止でき、また、吸気孔54が使用者の目にふれなくなるので、使用者が吸気孔54に無用に触ることを防止できる。
【0044】
図8(a)のフォーマーキャップ10Eのように、吸気筒53の周りの溝55に挿入されることにより吸気筒53上を着脱自在に覆う有底筒状の吸気筒キャップ59を、ハウジング20とは別体に形成してもよい。この場合、吸気筒キャップ59には、空気取り込み用の穴60又はスリットを設けておくことが好ましい。同図(b)は、吸気筒キャップ59を溝55に挿入する前の吸気筒53付近の断面図、同図(c)は、吸気筒キャップ59を溝55に挿入した後の吸気筒53付近の断面図である。
【0045】
さらに、本発明の泡吐出容器においては、空気導入路pと液導入路qをそれぞれ複数設けて空気と液体を混合するにあたり、外側筒状部30の上縁部の段差34や、外側筒状部の上部30bの内壁の溝35により第1、第2の空気導入路p1、p2を形成することに代えて、外側筒状部30に対向する筒状壁26や内側筒状部31の上部31bの外壁に溝を設けることにより空気導入路pを形成してもよい。
【0046】
同様に、外側筒状部の下部30aの内壁の溝36により液導入路qを形成することに代えて、内側筒状部の下部31aの外壁に溝を形成することにより液導入路qを形成してもよい。
【0047】
本発明の泡吐出容器において、吐出口の形状等に特に制限はなく、櫛歯などの塗布具を装着させてもよい。また、第1、第2のメッシュ40、41の配設位置は適宜変更することができ、メッシュの配設数を低減あるいは増加させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の泡吐出容器は、毛髪、顔、身体等に使用する化粧料や、バス、キッチン、トイレ等に使用する洗浄剤等を泡状に吐出させる容器として有用である。
【符号の説明】
【0049】
1、1B、1p 泡吐出容器
2 容器本体
3 口部
4 容器本体の筒状壁
10、10B、10C、10D、10E、10p フォーマーキャップ
11 ディップチューブ
12 吐出口
13 先端ノズル部材
20 ハウジング
21 螺合部
22 筒状壁
23 インナーリング
24 泡吐出路形成部
24a 円筒状部
24b 部分球状部
25 泡吐出路
26 ハウジングの筒状壁
27 環状凸部
28 天面
29 連結部
30 外側筒状部
30a 外側筒状部の下部
30b 外側筒状部の上部
30c 外側筒状部の段部
31 内側筒状部
31a 内側筒状部の下部
31b 内側筒状部の上部
32 ディップチューブホルダー
33 連通孔
34 段差
35 縦溝
36 縦溝
40 第1メッシュ
41 第2メッシュ
50 ボール弁
51 ボール
53 吸気筒
54 吸気孔
55 溝
56 天壁
57 吸気孔カバー
58 吸気孔カバー
59 吸気筒キャップ
60 穴
A 液体
B 空気
C 泡
p0 空気取り入れ口
p1 第1の空気導入路
p2 第2の空気導入路
q 液導入路
r 合流部
x 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する容器本体、容器本体の口部に螺合するフォーマーキャップ、及びフォーマーキャップから容器本体内に延びたディップチューブを備え、容器本体を押圧することで、容器本体に収容された液体を容器本体内の空間から供給された空気と混合して泡状に吐出する泡吐出容器であって、
フォーマーキャップが、容器本体の口部壁に外側から螺合する筒状壁、筒状壁の内側に垂下したインナーリング、泡吐出路を内部に有する泡吐出路形成部、及び外気を容器本体内に吸気する吸気筒が一体成型により形成されたハウジングを有し、
吸気筒がインナーリングよりも上側に設けられ、吸気筒の周面が、ハウジングの非吸気筒部の外形で囲まれている泡吐出容器。
【請求項2】
吸気筒内にボール弁が設けられている請求項1記載の泡吐出容器。
【請求項3】
ハウジングが吸気筒の外周に溝を有し、吸気筒において吸気孔が横向きに開口している請求項1又は2記載の泡吐出容器。
【請求項4】
ハウジングに、吸気孔上を開閉自在に覆う板状の吸気孔カバーが延設されている請求項1〜3のいずれかに記載の泡吐出容器。
【請求項5】
吸気筒上を着脱自在に覆う吸気筒キャップを有する請求項1〜3のいずれかに記載の泡吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−1242(P2012−1242A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137653(P2010−137653)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】