説明

泡噴出器

【課題】装着する容器体の内容量を極力減じることなく一回の泡噴出量を多くすることができ、また、噴出する泡の形態も複数採用することができ、また、子供でも簡単に操作できて玩具としても使用できる泡噴出器を提案する。
【解決手段】容器体Aの上端開口を閉塞する蓋板12下部に、気泡層33及び吐出弁34を内蔵し、また,エアー導入孔35を有する気液混合室Rを備え、気液混合室下端部にパイプ42を垂下し、また、容器体上方に蛇腹管50を備え、蛇腹管下端部から容器体内上部へ逆止弁27を介して一方的に連通し、外部から蛇腹管下端部に吸気弁51を介して一方的に連結させた。そして、容器体内上部のエアーを利用して、蛇腹管の圧縮によりそのエアーと収納液を混合・発泡して泡状に噴出する如く構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
泡噴出器として、容器体に装着した泡噴出ポンプにより容器体内の液と空気とを混合して発泡させ、噴出口から噴出する如く構成したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記泡噴出器に於けるポンプは、液体シリンダ部の上部に同心円状の空気シリンダ部を連設したシリンダ部材を備え、また各シリンダ部にそれぞれ摺動可能に嵌合する液体ピストン部及び空気ピストン部を、上端に噴出用のヘッドを嵌着した軸部材と一体動可能に形成し、更に液体シリンダ部から軸部材内のメッシュを介してヘッドの噴出口に至る液流路と、空気シリンダ部からメッシュ上流の軸部材内に至る空気流路を備えて構成している。そして、コイルスプリングによる上方付勢力に抗してヘッドを押し下げることにより、液体シリンダ部内の液と空気シリンダ部内の空気を混合して発泡し、ヘッドの噴出口より泡状に噴出する如く構成している。
【0004】
従来の泡噴出器は上記した如く空気シリンダ部及び液体シリンダ部を備え、これらを容器体内に垂下する状態でその口部に固定する如く構成しているため、容器体内容量をそれらが減じる不都合があり、また、これ等の泡噴出器では一回の泡噴出量は各ピストン部のストローク幅等の液及び空気の排出量に比例する。そのため一回の泡噴出量を多くしようとすれば自ずから各シリンダの容量を大きくしなければならず、その結果、容器体内容量を更に減じるという結果となる。
【特許文献1】特開平08-133318 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、装着する容器体の内容量を極力減じることなく一回の泡噴出量を多くすることができ、また、噴出する泡の形態も複数採ることができ、更に、一回の泡の噴出量を簡単な操作により変更することができ、また、操作は子供ができる簡易なものであり、玩具としても使用することができ、更に、構造も簡単で安価に製造できる等種々の効果を発揮する泡噴出器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段として、容器体Aと、該容器体の口頸部3に装着した泡噴出ポンプBとからなり、前記泡噴出ポンプは、容器体Aの上端開口を閉塞する蓋板12下部に垂設するとともに、上部に起泡層33を、下部に吐出弁34をそれぞれ内蔵し、且つ、中間部に容器体A内と連通するエアー導入孔35を備えた気液混合室Rと、該気液混合室下端に連設して容器体A内下部に垂下させたパイプ42と、前記蓋板12を介して気液混合室Rの上端と連通して容器体側方へ突出するノズル19と、前記容器体A上方に圧縮可能に起立させた蛇腹管50とを備え、前記蛇腹管50下端部から容器体A内上部へ逆止弁27を介して一方的に連通させるとともに、外部から蛇腹管50下端部に吸気弁51を介して一方的に連通させた。
【0007】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、蛇腹管50を上方付勢させるコイルスプリングsを設けた。
【0008】
第3の手段として、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、前記蛇腹管50の周囲下部に第1カバー筒14を立設するとともに、蛇腹管50上部を被覆して蛇腹管50の押し下げが可能に第2カバー筒72を設け、第2カバー筒72を押し下げた蛇腹管50の圧縮状態で、第2カバー筒72を第1カバー筒14に係止可能に構成した。
【0009】
第4の手段として、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、前記ノズル19を、筒状で先端面に第1噴出口20a を開口した本体部19a と、該本体部の先端に回動可能に嵌合させるとともに、先端面に第2噴出口20b を開口した蓋部19b とから構成し、噴出口20の開口面積を選択可能に構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の泡噴出器は、容器体A上方に於いて加圧用の蛇腹管50を圧縮可能に設けているため、容器体A内には小体積の気液混合室R及びパイプ42を収納すればよいため、容器体内収納量の減少が少なくてすみ、また、蛇腹管50の容量も大きなものを採用でき、一回の噴出量をより大きなものとすることができる。また、液面からの加圧により液を噴出するため、無駄なく収納液を使用できる利点もある。また、操作が簡便で子供でも使用でき、玩具としての使用も可能であり、多用途に使用できる利点もある。
【0011】
また、コイルスプリングsを設けたものは、圧縮された蛇腹管50を確実に伸長状態に復元でき、容量の大きな蛇腹管50や第2カバー筒72を備えた蛇腹管50であっても確実に復帰できる。
【0012】
また、前記蛇腹管50の周囲下部に第1カバー筒14を立設するとともに、蛇腹管50上部を被覆して蛇腹管50の押し下げが可能に第2カバー筒72を設け、第2カバー筒72を押し下げた蛇腹管50の圧縮状態で、第2カバー筒72を第1カバー筒14に係止可能に構成したものにあっては、蛇腹管50を圧縮したコンパクトな状態での保管が可能であり、また、蛇腹管50への埃等の付着を防止することができ、更に、第2カバー筒72が第1カバー筒14に案内されて横ぶれのない上下動を行えるため、蛇腹管50の圧縮,膨張の際にも規則正しい動きがとれ、蛇腹管50の変形等の不都合を生じるのを防止できる。
【0013】
前記ノズル19を、筒状で先端面に第1噴出口20a を開口した本体部19a と、該本体部の先端に回動可能に嵌合させるとともに、先端面に第2噴出口20b を開口した蓋部19b とから構成し、噴出口20の開口面積を選択可能に構成したものにあっては、広範囲の噴出及び遠方への小面積の噴出を容易に選択でき、用途にあわせた泡の噴出を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明泡噴出器の一例を示し、該泡噴出器1は、容器体Aと、泡噴出ポンプBとを備えている。
【0016】
容器体Aは、筒状の胴部2より縮径した口頸部3を起立して構成しており、合成樹脂を使用してブロー成形等により形成することができる。
【0017】
泡噴出ポンプBは、キャップ状部材10により容器体Aに固定している。キャップ状部材10は、容器体Aの口頸部3外周に螺着させた装着筒11を容器体Aの上端開口を閉塞する蓋板12より垂設している。蓋板12の周囲は若干隆起させ、その周縁部から上下に第1カバー筒14を延設している。第1カバー筒14は下端部を容器体Aの上面周縁部に嵌合させている。また、蓋板12の下面には嵌合筒部15を垂設し、この嵌合筒部15内の蓋板12に連通孔16を穿設している。更に、蓋板12上に、連通孔16に後部下部を連通して前方へ、内部に流路17を形成した連結管部18を設けており、その先端部にノズル19を嵌着している。キャップ状部材10の第1カバー筒14後部下端部には第1外気導入孔8を穿設するとともに、蓋板12の隆起部分後部に帯状の第2外気導入孔9を穿設して、後述する吸気弁と外部とを連通する如く構成している。
【0018】
ノズル19は連結管部18先端部に液密に基端部を嵌着させて先端面に外縁が横8の字状をなす第1噴出口20a を穿設した筒状の本体部19a と、該本体部19a の先端部外周に回動可能に嵌合させるとともに、先端面に外縁が横8の字状をなす第2噴出口20b を穿設した蓋部19b とを備えており,第1噴出口20a と第2噴出口20b とで噴出口20を形成している。そして、図5(a) に示す如く、第1噴出口20a と第2噴出口20b とが重なる場合には横長な広い面積の泡が噴出され、第2噴出口20b を縦長の位置に回動させると、中央の括れ部分のみが重複して図5(b) に示す如く細棒状に泡が噴出される如く構成している。尚、ノズル19の蓋部19b の直後の本体部19a から後方に、その部分のノズル19を被覆してスカート状のカバー28が第1カバー筒14前部表面に嵌着されている。
【0019】
また、蓋板12の上記連結管部18後方位置には筒状隆起部22を設けており、この筒状隆起部22の頂部に弁孔23を穿設している。筒状隆起部22内には弁部材を嵌合しており、該弁部材は、筒状隆起部22内周に嵌合した筒部24の上端に一部をヒンジ25で連結した弁板26を延設し、該弁板26により上記弁孔23を開閉可能に閉塞して上方より下方へ一方的に連通する逆止弁27を構成している。
【0020】
上記嵌合筒部15内には筒部材30を嵌着している。この筒部材30は、テーパ部31を介して下端部を小径のパイプ嵌合筒32に形成した筒状をなしており、内部を気液混合室Rとしている。この気液混合室Rの上部には起泡層33を、下部には吐出弁34をそれぞれ内蔵しており、また、中間部の筒壁には容器体A内と連通するエアー導入孔35を設けている。
【0021】
起泡層33は混合したエアー及び収納液を起泡及び整泡するための層で、二重のメッシュ構造としている。図示例ではメッシュ36を一端に張設した筒体37を一対用意して、各メッシュ36を離間させる位置に二つの筒体37をメッシュ嵌合筒38内に嵌合させ、更にそのメッシュ嵌合筒38を前記筒部材30内上部に嵌合させている。このメッシュ嵌合筒38は下部をやや小径に形成し、下端内面より周方向複数突設した連結片により中心下方へ弁押え棒39を垂設している。尚、メッシュは図示例の如き二層構造のものに限らず一層設けても初期の目的を達成でき、また、メッシュに代えて例えば多孔質部材を嵌合させることにより起泡層33を形成しても良い。
【0022】
吐出弁34は、前記テーパ部31内面下部を弁座とし、また筒部材30の内面下部に周方向複数突設した案内リブ40により上下動可能に弁座上に載置した玉状弁体41を設けて構成している。更に前記パイプ嵌合筒32にパイプ42の上端を嵌着させ、その下端を容器体A内下部に垂下させている。エアー導入孔35の外側の嵌合筒部15には下端に開口する凹溝43を凹設し、該凹溝43を介して容器体A内に連通する如く構成している。
【0023】
容器体A上方には蛇腹管50を圧縮可能に起立させており、その下端部から容器体A内上部へ上記逆止弁27を介して一方的に連通させるとともに、外部から下端部に吸気弁51を介して一方的に連通させている。
【0024】
図示例では、連結部材61を介して蛇腹管50を起立させている。該連結部材61は前部に設けた切欠部62により前記連結管部18を跨いで蓋板12上に下面を当接させた支持筒63を底板64裏面より垂設し、また支持筒63の一部を共有して前記筒状隆起部22外周に密嵌する連絡筒65を底板64裏面より垂設している。更に、底板64周縁より螺筒66を立設するとともに、螺筒66内方所定位置にシール筒67を立設している。また、シール筒67内の上記連絡筒65内の底板64に透孔68を穿設して連絡筒65内とシール筒67内とを連通させている。また、シール筒67内に吸気弁51を形成するための筒状陥没部69を凹設してその底部に弁孔70を開口している。この筒状陥没部69内には上記逆止弁27を形成する弁部材と同様形態の弁部材が嵌着されており、その弁板26により弁孔70を開閉可能に閉塞して下方から上方へ一方的に連通させて吸気弁51を構成している。この場合の外気導入は前記第1外気導入孔8、第2外気導入孔9、切欠部62を介して行っている。
【0025】
蛇腹管50は、ジクザグの凹凸を周囲に設けた上端閉塞下端開口の筒状をなし、下端の開口より筒状口部52を突設し、該筒状口部52を前記螺筒66に螺合させるとともに、筒状口部52内周をシール筒67に液密に嵌合させている。また、連結部材61の底板64と蛇腹管50の頂板との間にコイルスプリングsを介在させて蛇腹管50を常時上方へ付勢している。
【0026】
また、図示例では、蛇腹管50の周囲下部に上記第1カバー筒14を立設するとともに、蛇腹管50上部を被覆して蛇腹管50の押し下げが可能に第2カバー筒72を設けている。そして、第2カバー筒72を押し下げた蛇腹管50の圧縮状態で第2カバー筒72を係止可能に構成している。第1カバー筒14の内周下部には係止突起53を突設し、第2カバー筒72の内周下端部に突設した係合突起54を係合させて抜け出し防止を図っている。また、第2カバー筒72には摘み片55を突設している。
【0027】
上記の如く構成した泡噴出器1は図1の状態で保管等する。そして、使用する場合には、摘み片55を掴んで第2カバー筒72を回動させることにより係止突起53から係合突起54を外し、それによって蛇腹管50及びコイルスプリングsの弾性復元力により図2に示す状態に蛇腹管50が膨張する。この際,吸気弁51を介して外気が蛇腹管50内に導入される。次いで、第2カバー筒72を押圧して蛇腹管50を圧縮する。この際第2カバー筒72が第1カバー筒14に案内されて真っ直ぐ下降するため、蛇腹管50の弾性変形も規則的に行える。蛇腹管50の圧縮に伴って、逆止弁27が開き容器体A内上部が加圧されると、収納液は液面を加圧されてパイプ42を介して吐出弁34を開き気液混合室R内に圧入される。一方、加圧空気はエアー導入孔35より気液混合室R内に圧入されてここで収納液と混合し、更に上方の起泡層33により泡立ち、また整泡されて流路17を介してノズル19の先端噴出口20から噴出される。蛇腹管50の押圧を解除するとその弾性復元力により蛇腹管50は元の状態に復元する。この際、吸気弁51を介して外気が蛇腹管50内に導入される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明泡噴出器の蛇腹管圧縮係止状態の縦断面図である。(実施例1)
【図2】本発明泡噴出器の蛇腹管伸長状態の縦断面図である。(実施例1)
【図3】本発明泡噴出器の要部拡大断面図ある。(実施例1)
【図4】本発明泡噴出器のノズルの拡大した分解斜視図である。(実施例1)
【図5】本発明泡噴出器の噴出形態を説明する説明図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0029】
3…口頸部,12…蓋板,14…第1カバー筒,19…ノズル,19a …本体部,19b …蓋部, 20…噴出口,20a …第1噴出口,20b …第2噴出口,27…逆止弁,33…起泡層,
34…吐出弁,35…エアー導入孔,42…パイプ,50…蛇腹管,51…吸気弁,
72…第2カバー筒,A…容器体,B…泡噴出ポンプ,R…気液混合室,
s…コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体Aと、該容器体の口頸部3に装着した泡噴出ポンプBとからなり、前記泡噴出ポンプは、容器体Aの上端開口を閉塞する蓋板12下部に垂設するとともに、上部に起泡層33を、下部に吐出弁34をそれぞれ内蔵し、且つ、中間部に容器体A内と連通するエアー導入孔35を備えた気液混合室Rと、該気液混合室下端に連設して容器体A内下部に垂下させたパイプ42と、前記蓋板12を介して気液混合室Rの上端と連通して容器体側方へ突出するノズル19と、前記容器体A上方に圧縮可能に起立させた蛇腹管50と、蛇腹管50を上方付勢させるコイルスプリングsとを備え、前記蛇腹管50下端部から容器体A内上部へ逆止弁27を介して一方的に連通させるとともに、外部から蛇腹管50下端部に吸気弁51を介して一方的に連通させたことを特徴とする泡噴出器。
【請求項2】
蛇腹管50を上方付勢させるコイルスプリングsを設けてなる請求項1記載の泡噴出器。
【請求項3】
前記蛇腹管50の周囲下部に第1カバー筒14を立設するとともに、蛇腹管50上部を被覆して蛇腹管50の押し下げが可能に第2カバー筒72を設け、第2カバー筒72を押し下げた蛇腹管50の圧縮状態で、第2カバー筒72を第1カバー筒14に係止可能に構成してなる請求項1又は請求項2のいずれかに記載の泡噴出器。
【請求項4】
前記ノズル19を、筒状で先端面に第1噴出口20a を開口した本体部19a と、該本体部の先端に回動可能に嵌合させるとともに、先端面に第2噴出口20b を開口した蓋部19b とから構成し、噴出口20の開口面積を選択可能に構成してなる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の泡噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−230578(P2007−230578A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51949(P2006−51949)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】