説明

泡洗剤吐出装置

【課題】構造の簡素化及び低コストを図りつつ、洗浄効果の高い泡洗剤を供給でき、しかも浴室内の水や湿気によるポンプの故障を防止しながら浴室外部から防水ケース内への電気配線が可能な泡洗剤吐出装置を提供すること。
【解決手段】液体洗剤を加圧して泡洗剤出口部13側に送り出すポンプ15は非防水ポンプからなり、防水ケース44の内部にポンプ15を隠蔽すると共に、防水ケース44に浴室4外部に連通する連通管61の一端部を接続し、該連通管61を介して浴室4外部から防水ケース44内部への電気配線79を行なうことができる泡洗剤吐出装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡洗剤吐出装置に関し、詳しくは非防水ポンプを隠蔽する防水ケース内部に浴室外部からの電気配線を通線するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から例えば特許文献1に示すように浴槽の内面に設けた洗浄ノズルから浴槽内に洗剤を吐出する洗剤吐出装置が知られている。この洗剤吐出装置は、剤タンクに貯留した液体洗剤をポンプにより浴槽の内面に湯水を供給する流路の一部に送り込み、これにより液体洗剤を含む湯水を浴槽内に吐出する。
【0003】
ところで上記特許文献1に示す洗剤吐出装置は単に洗剤を湯水で希釈したものを吐出するものであって、気泡を含む洗剤を吐出するものではなく、このため洗浄効果が低いという問題がある。
【0004】
さらに、浴室内に配置するにあたって、ポンプを浴室内の高多湿環境下に配置しているため、防水型ポンプを用いる必要があり、このため構造上大きくなり、高価になるといった問題がある。なお、ポンプを防水ケース内部に隠蔽した場合において万一、ポンプから水漏れした場合には、ポンプケース内部の浸水による絶縁劣化などの不安全現象がないような配慮が必要となる。例えば、ポンプケース内に水位センサを配置して浸水を検知したときにポンプの作動を止めるなどの配慮が必要となり、この場合、ポンプ装置が大掛かりとなり、高価になるといった問題もある。
【特許文献1】特開2003−61850号公報
【特許文献2】特開2002−370052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、構造の簡素化、低コストを図りつつ洗浄効果の高い泡洗剤を供給でき、しかも浴室内の水や湿気によるポンプの故障を防水ケースにて防止したものでありながら浴室外部から防水ケース内への電気配線を可能にして防水ケース内部の湿気による絶縁劣化などの不安全現象をなくすことができ、高い洗浄効果に加えて、高い安全性と信頼性を確保できる泡洗剤吐出装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、液体洗剤を溜める剤タンク12と、浴室4に設置されて泡洗剤を吐出する泡洗剤出口部13と、上記剤タンク12と上記泡洗剤出口部13とを接続する剤供給路14と、上記剤供給路14の途中に設けられて剤タンク12から供給された液体洗剤を加圧して泡洗剤出口部13側に送り出すポンプ15と、上記剤供給路14を流れる液体洗剤に空気を混入するエゼクター部16とを備えた泡洗剤吐出装置であって、上記ポンプ15は非防水ポンプからなり、防水構造の防水ケース44の内部に上記ポンプ15を隠蔽すると共に、上記防水ケース44に浴室4外部に連通する連通管61の一端部を接続し、該連通管61を介して浴室4外部から防水ケース44内部への電気配線79を行なうように構成したことを特徴としている。
【0007】
このような構成とすることで、ポンプ15にて圧送される液体洗剤にエゼクター部16から取り込んだ空気を混合して得た洗浄効果の高い泡洗剤を泡洗剤出口部13から供給できると共に、ポンプ15を非防水ポンプとして防水ケース44内に隠蔽したので、周囲の浴室4内の高多湿環境と遮断して水や湿気によるポンプ15の故障を防止でき、さらに、浴室4内の高多湿環境下にさらされない状態で防水ケース44内への電気配線79の通線が可能となる。
【0008】
また、上記連通管61はフレキシブルホースで形成されているのが好ましく、この場合、連通管61の一端を浴室4外部に引き出す際に浴室4の壁パネル8に設けられる開口部の施工位置が現場毎に異なった場合や、装置近傍に、給湯管、給水管などの一次配管が存在する場合にも、フレキシブルホースで柔軟に対応でき、これにより連通管61の施工上の制約がなくなり、施工性に優れたものとなる。
【0009】
また、上記防水ケース44内部に溜まった水の水位が一定以上になると溜まった水を防水ケース44外部に排出するための排水弁50を設けると共に、該排水弁50が開く水位を防水ケース44と連通管61との接続位置よりも低い位置となるように構成するのが好ましく、この場合、万一、ポンプ15から水漏れして防水ケース44内に溜まった場合でも、防水ケース44内に溜まった水は一定水位以上になると排水弁50から排水されるので、防水ケース44内部の浸水による絶縁劣化などの不安全現象がなくなり、また従来のようにポンプケース内に水位センサを配置して浸水を検知したときにポンプ15の作動を止めるような複雑な構造をとる必要もないので、泡洗剤吐出装置1の小型化、低コスト化をより一層図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る泡洗剤吐出装置は、洗浄効果の高い泡洗剤をポンプにて送り出すことができると共に、該ポンプは非防水ポンプであるので、防水型ポンプを用いる場合と比較して、ポンプ装置が大掛かりとならず、構造の簡素化、低コストを図りつつ洗浄効果を高めることができる効果が得られる。さらに非防水ポンプを防水ケース内に隠蔽すると共に連通管を介して浴室外部から防水ケース内部への電気配線を行なうことにより、水や湿気によるポンプの故障を防止しながら、浴室外部から防水ケース内への電気配線が通線可能となり、結果、防水ケース内部の湿気による絶縁劣化などの不安全現象をなくすことができ、高い安全性と信頼性を確保できる効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の一例の泡洗剤吐出装置1は、図3に示す制御装置2及び操作器3と共に浴室4に設置されて浴室用の洗浄装置を構成するものである。そして利用にあたっては図1や図8に示すように泡洗剤吐出装置1に設けた泡洗剤出口部13に吐出ホース66を取り付けて、該吐出ホース66の先端部に設けた吐出ノズル65から泡洗剤を浴室4の内壁面や浴槽6の内面等に吹き付けるものである。またこのとき吐出ホース66を柔軟ホースで構成することで、吐出ノズル65の向きを任意に変えることができ、洗いにくい狭い場所や低い場所でも簡単に洗えるようになる。特に吐出ノズル55を逆さ向きにしなければならないような低い場所や隙間であっても、剤タンク12は固定されているため、吐出ノズル55を逆さ向きに使用した状態でも泡洗剤を確実に吐出させることができるようになる。
【0013】
図3及び図4に示すように浴室4は、床を構成する床パン7、浴室壁を構成する四方の壁パネル8、天井を構成する天井パネル9を備えたユニットバスルームからなる。床パン7の半部を構成する洗い場構成部分7aと反対側の半部は浴槽設置部7bとしてあり、該浴槽設置部7b上には浴槽6を設置している。浴槽6の上端部にはフランジ10aを周設してあり、浴槽6のフランジ10aの四方の外側端面のうち洗い場側を除く三方の外側端面を浴室4の壁パネル8に沿わせている。なお浴槽6の洗い場側は図4に示すようにエプロン5によって覆い隠される。
【0014】
浴槽6のフランジ10aにおいて平面視で洗い場側の隅部に対応する部分には泡洗剤吐出装置1を取り付けるための2個の取付孔11a、11b(図1参照)を並設してあり、本例では両取付孔11a、11bを形成した浴槽6のフランジ10aを泡洗剤吐出装置1が取り付けられる取付板10としている。図3のように泡洗剤吐出装置1は上記フランジ10aの取付孔11a、11bを形成した部分の下方である浴槽6の側壁と浴室4の壁パネル8とエプロン5とによって囲まれた空間に配設される。
【0015】
図1及び図2に示すように泡洗剤吐出装置1は、液体洗剤を溜める剤タンク12と、泡洗剤の出口となる泡洗剤出口部13と、剤タンク12と泡洗剤出口部13を接続する剤供給路14と、剤タンク12から供給された液体洗剤を加圧して泡洗剤出口部13側に送り出す剤供給路14の途中に設けたポンプ15と、剤供給路14を流れる液体洗剤に空気を混入する剤供給路14の途中に設けたエゼクター部16とを備えている。
【0016】
剤タンク12には界面活性剤を含む洗剤原液を水で5〜10倍希釈して得た液体洗剤が貯留される。剤タンク12は横長でその長手方向の泡洗剤出口部13側の上面部に剤投入口部17を設けてあり、剤タンク12の下面部には剤排出口部18を設けている。
【0017】
図2に示すように剤投入口部17は剤タンク12の上面部から上方に突設して筒状に形成されるものであり、前記フランジ10aの一方の取付孔11aの下方に位置する下側筒体17aと、取付孔11aに上方から挿入される上側筒体17bとで構成してある。下側筒体17aの内周面に形成した雌ねじ部と上側筒体17bの外周面に形成した雄ねじ部を螺合することで両者は接続してある。
【0018】
剤投入口部17を構成する上側筒体17bの上端部は、図1に示すように、浴槽6のフランジ10aよりも上方に突出しており、フランジ10a上に流れる水等が剤投入口部17の上端開口から流入することを防止している。この上側筒体17bの上端部には有蓋筒状の投入口キャップ23が着脱自在に取り付けられ、投入口キャップ23を取り外すことで剤投入口部17から剤タンク12内に液体洗剤を補充できるようになっている。投入口キャップ23は、取付状態で投入口キャップ23の下端とフランジ10aの上面との間に浴室4内に連通する隙間が形成され、この隙間が投入口キャップ23の内周面と上側筒体17bの外周面との間の隙間、及び投入口キャップ23の上面部と上側筒体17bの上端部との間の隙間を通して、剤タンク12の内部に連通している。即ち投入口キャップ23は剤投入口部17を完全な密閉状態で閉塞するものではなく、非密閉状態で剤投入口部17に被嵌されるものである。なお図1の27は剤投入口部17に着脱自在に設けたストレーナであり、該ストレーナに27より剤投入口部17から剤タンク12内に補充される液体洗剤に含まれるゴミ等を捕集できるようになっている。
【0019】
図1及び図2に示すように剤タンク12の上面部において剤投入口部17側と反対側の部分は剤投入口部17を設けた部分よりも一段高くなっており、これにより剤タンク12の剤投入口部17と反対側の部分の上端部に空気溜まり部28を形成している。空気溜まり部28は剤タンク12の上面部の剤投入口部17を設けた部分よりも高い位置にあるため、剤タンク12に液体洗剤を一杯まで補充しても空気溜まり部28には液体洗剤が充填されず空気が溜まる。従って仮に冬季等に剤タンク12内に一杯に溜めた液体洗剤が凍結しても凍結した液体洗剤の膨張分を空気溜まり部28で吸収でき、液体洗剤の凍結による剤タンク12の破裂を防止できる。また空気溜まり部28の剤投入口部17側の端部の側面部には後述の剤供給路14の途中に設けた空気取込口部53(図5)に連通接続される空気排出口部29を設けている。
【0020】
剤供給路14はポンプ15よりも上流側の上流側流路30と、ポンプ15よりも下流側の下流側流路31で構成してある。
【0021】
上流側流路30は剤タンク12の剤排出口部18とポンプ15の吸込口部15aを接続する流路であって、剤タンク12の下面部から下方に垂設してあり、該上流側流路30の下流端は剤タンク12よりも下方の位置でポンプ15の吸込口部15aに接続してある。つまり上流側流路30及びポンプ15の吸込口部15aの上端は剤タンク12よりも下方に位置し、剤タンク12内に貯留された液体洗剤が剤タンク12とポンプ15の吸込口部15aの落差を利用してポンプ15の吸込口部15aに供給されるようになっている。従って液体洗剤を泡洗剤出口部13に送り出すためのポンプ15を本例のように非自吸式ポンプとすることができ、これによりポンプ15の小型化及びコストダウンを実現できる。また上流側流路30は剤タンク12の下面部から下方に垂設したものであるので、該上流側流路30において液体洗剤に含まれる空気は剤タンク12側に抜けやすく、これによりポンプ15のエア噛みを防止している。
【0022】
上流側流路30は、縦管32、センサケース34、エゼクター管35で形成してある。縦管32の上端部は剤タンク12の剤排出口部18に連通接続してある。図5に示すようにセンサケース34の内部には有底縦筒状の流路構成部36を形成してあり、該流路構成部36の上端部はセンサケース34の上面部に設けた接続用キャップ33を介して縦管32の下端部に連通接続してあり、また流路構成部36の下端部の側面部にはエゼクター管接続口部37を形成している。
【0023】
センサケース34の流路構成部36は縦管32の内径よりも大径に形成してあり、該流路構成部36内には液体洗剤の水位を検出する水位センサ38を配置している。水位センサ38は流路構成部36の底面部に形成したセンサ取付用孔部39に下端部を取り付けて固定してある。水位センサ38はフロートセンサからなり、流路構成部36の底面部から上方に突出する柱状部40と、柱状部40に上下に移動自在に設けた浮子41を備えている。柱状部40のエゼクター管接続口部37よりも上方に位置する部分にはリードスイッチ(図示せず)を内蔵している。リードスイッチは浮子41がリードスイッチと同レベルに位置した際に該浮子41に設けた磁石(図示せず)の磁力によりON/OFFが切り替えられるものであり、このリードスイッチのON/OFFにより流路構成部36内の液体洗剤の水位が所定レベル以下であるか否かを検知し、制御装置2はこれにより剤タンク12内が空であるか否かを検知できるようになっている。
【0024】
センサケース34の泡洗剤出口部13側の外側面には連結用筒部42を一体に突設している。連結用筒部42の内側には前述のエゼクター管接続口部37を設けてあり、該エゼクター管接続口部37には略横管状のエゼクター管35の一端部を連通接続している。エゼクター管35の他端部は連結用筒部42の端部開口から外側方に突出して、防水ケース44に収納したポンプ15の吸込口部15aに連通接続してあり、これにより上流側から順に設けた縦管32、接続用キャップ33の内側に形成された流路部、流路構成部36、エゼクター管35で上流側流路30が構成される。
【0025】
エゼクター管35の内部には上流側流路30の一部を構成する絞り部51を形成している。絞り部51は下流側に行く程径が小さくなるテーパー筒状に形成してあり、絞り部51の外周面とエゼクター管35の内周面との間には環状の空間52を形成している。エゼクター管35の上面部には空間52に連通するエゼクター部16として空気取込口部53を形成している。空気取込口部53にはセンサケース34に設けた空気取込管54の一端を連結用筒部42内において接続してあり、空気取込管54の他端はセンサケース34の連結用筒部42に設けた孔部78を貫通して上方に突出している。センサケース34から上方に突出した空気取込管54の他端は図1の一点鎖線で示したホースを介して剤タンク12の空気排出口部29に連通接続してあり、即ちエゼクター管35内の空間52は、前記空気取込口部53、空気取込管54、ホース、空気排出口部29からなる空気供給路55を介して剤タンク12の空気溜まり部28に連通接続される。
【0026】
上記によりポンプ15を駆動した場合には、エゼクター管35内の液体洗剤の流れにより絞り部51の先端近傍で負圧が発生し、この負圧により剤タンク12の空気溜まり部28にある空気が空気供給路55を介してエゼクター管35内に供給されると共に、前述の投入口キャップ23と剤投入口部17との間に形成した隙間を介して浴室4内の空気が剤タンク12内に供給される。この結果、エゼクター管35内を流れる液体洗剤に空気取込口部53からの空気が混合され、この空気を混合した液体洗剤(つまり泡洗剤)がポンプ15側に送られる。
【0027】
ここで上流側流路30の流れる液体洗剤に空気を取り込むにあたって、空気取込口部53を直接大気開放せず、剤タンク12を介して大気開放したのは以下の理由による。即ち空気供給路55を仮に直接大気開放した場合には、ポンプ15を運転状態から停止した際に剤供給路14内の液体洗剤が空気取込口部53から空気供給路55側へと逆流して外部へ漏れ出す恐れがあり、本例では空気取込口部53を剤タンク12を介して大気開放することで、逆流した液体洗剤を空気排出口部29から剤タンク12の空気溜まり部28内に戻すようにしたのである。
【0028】
ポンプ15は前述したように非自吸式ポンプであり、尚且つ非防水ポンプである。ポンプ15は非防水ポンプであるが故に、図1及び図5に示すように防水ケース44内に収納してあり、これにより周囲の浴室4内の環境と遮断して水や湿気によるポンプ15の故障を防止している。なおこのポンプ15としてはインペラ式、ダイヤフラム式、プランジャ式などのいずれのタイプのポンプを用いても良いが、好ましくは泡洗剤を攪拌する機能を備えたインペラ式やダイヤフラム式のポンプを用いて、吐出される泡洗剤に含まれる気泡を微細化するのが良い。泡洗剤に含まれる気泡の径を微細化すると、気泡の表面積が大きくなって汚れに対する接触効率が高まり洗浄力を高まる、壁面上での滞留時間が長くなる等の利点があるからであり、より好ましくは上記インペラ式やダイヤフラム式ポンプを採用して気泡の径を10〜100μmの範囲で且つボイド率が50〜80%の泡洗剤を吐出するのが良い。
【0029】
図5に示すように、ポンプ15の側面に設けた吸込口部15aに対向する防水ケース44の外側面部の下部には連通孔57を形成してあり、センサケース34から突出したエゼクター管35の端部はこの連通孔57を挿通してポンプ15の吸込口部15aに接続してある。防水ケース44の外側面部の連通孔57の周縁部にはセンサケース34の連結用筒部42の外周面に周設した鍔部58をねじ具59(図2参照)により固着してあり、これによりセンサケース34は防水ケース44に取り付けてある。
【0030】
下流側流路31はポンプ15の吐出口部15bと泡洗剤出口部13を接続する流路であって、防水ケース44の上面部に貫設した防水ケース44とは別体の接続口部63と、該接続口部63と取付孔11bに設けた泡洗剤出口部13を連通接続する下流側管64とで構成してある。接続口部63の上流側はポンプ15の上面に設けた吐出口部15bに防水ケース44内において連通接続してある。なお、防水ケース44の上面部と接続口部63の接続部分や、センサケース34と防水ケース44の接続部分はシール材などを用いて密閉しており、これにより防水ケース44の内側空間は連通孔57と後述の連通管接続筒部60を除いて密閉されている。
【0031】
防水ケース44のセンサケース34と反対側の外側面部の上部には連通管接続筒部60を形成している。連通管接続筒部60にはフレキシブルホースからなる連通管61の一端部を接続してあり、図6に示すように連通管61の他端部は浴室4の壁パネル8に貫設した浴室外接続管90に連通接続している。なお、連通管61の他端部を浴室外接続管90に接続する構造に限らず、例えば浴室外接続管90を省略して、連通管61の他端部を浴室4の壁パネル8に穿孔した穴部の周囲に押し当てた状態で保持する構成であってもよい。
【0032】
また図5のように防水ケース44の内側空間は上記連通管接続筒部60よりも下方に位置する連結用筒部42を介してセンサケース34内に形成した排水用空間部45に連通しており、該排水用空間部45は連結用筒部42を除いて密閉状態とした空間を形成している。排水用空間部45はセンサケース34の下部に形成してあり、詳しくはセンサケース34内において流路構成部36の底部とセンサケース34の下面部の間に形成している。排水用空間部45の底面を構成するセンサケース34の下面部には挿通用孔部46を設けている。水位センサ38は挿通用孔部46及びセンサ取付用孔部39を介してセンサケース34の流路構成部36内に挿入され、センサ取付用孔部39に取り付けられる。挿通用孔部46には該孔部46を閉塞してセンサケース34の下面部の一部を構成する蓋47を着脱自在に取り付けている。
【0033】
蓋47の中央部には上下に貫通する水抜孔48を穿設してあり、該水抜孔48は連通管接続筒部60及び連結用筒部42よりも下方に位置して弾性変形可能な排水弁50により閉塞されている。排水弁50は通常時は自身の弾性により閉じた状態を維持し、この状態では排水用空間部45に連通する防水ケース44の内側空間は連通管接続筒部60を除いて密閉状態となる。従って防水ケース44の内側空間は周囲の浴室4内の環境と遮断されて防水性が確実に保たれている。また防水ケース44内には剤供給路14内の液体洗剤が漏れ出し、この液体洗剤が防水ケース44内及びこれに連通する排水用空間部45に溜まってポンプ15を故障させる恐れがあるが、この場合には排水用空間部45に溜まった液体洗剤の液圧により排水弁50が弾性変形して開くように設定してある。従って万一防水ケース44内に液体洗剤が漏れ出したとしても、この液体洗剤を排水弁50を介してセンサケース34の外部に排出でき、これにより液漏れによるポンプ15の故障を防止できる。なお排水弁50から排出した液体洗剤はセンサケース34下方の床パン7の浴槽設置部7b上に落下し、浴槽設置部7bに設けた排水口等から排水される。
【0034】
図2に示すように浴槽6のフランジ10aの取付孔11bに設けた泡洗剤出口部13は、取付孔11b部分の下方に位置する下側筒状体13aと、取付孔11bに上方から挿入される上側筒状体13bとで構成してあり、下側筒状体13aの内周面に形成した雌ねじ部と上側筒状体13bの外周面に形成した雄ねじ部を螺合することで両者は接続してある。
【0035】
泡洗剤出口部13を構成する上側筒状体13bの下端部には下側筒状体13aよりも下方に突出する下流側管接続口部70(図1)を形成してあり、該下流側管接続口部70に下流側管64を接続してある。上側筒状体13bの上端部は浴槽6のフランジ10aよりも上方に突出し、フランジ10a上に流れる水等が泡洗剤出口部13の上端開口から流入することを防止している。またこの上側筒状体13bの上部には図12に示すようにフレキシブルな吐出ホース66を着脱自在に接続可能となっている。また泡洗剤出口部13に吐出ホース66を接続しない場合は、この泡洗剤出口部13の上側筒状体13bの上端部に有蓋筒状の出口部キャップ71(図2)が着脱自在に取り付けられる。
【0036】
図7に示す吐出ホース66はその一端部に手で把持できる吐出ノズル65を設けると共に他端部にアダプター部67を設けてあり、図8に示すようにアダプター部67を上側筒状体13bの上部に着脱自在に取り付けて接続される。吐出ホース66の先端部に設けた吐出ノズル65は、複数の孔から泡洗剤をシャワー状に吐出するシャワー噴射状態と、一つの孔から泡洗剤を吐出するストレート噴射状態と、泡洗剤の吐出を停止する吐出停止状態のうち、いずれかの状態に切替可能としてある。また吐出ホース66のアダプター部67には図1に示す逆止弁75を設けている。逆止弁75は、アダプター部67を泡洗剤出口部13に接続した図1の状態では泡洗剤出口部13に設けたピン56によって押圧されてアダプター部67内の流路を開き、アダプター部67を泡洗剤出口部13に接続していない状態ではばね等の弾性力によりアダプター部67内の流路を閉じるように復帰するものであり、この逆止弁75により泡洗剤出口部13から取り外した吐出ホース66のアダプター部67から吐出ホース66内に残った液体洗剤が漏れ出て人にかかることを防止している。
【0037】
また上記防水ケース44内のポンプ15及びセンサケース34内の水位センサ38の夫々に接続した電気配線79は、図3に示すように連通管61及び浴室外接続管90を介して浴室4の壁裏85に引き出され、浴室4の天井裏に設けた制御装置2に接続される。ここで図5に示すポンプ15を収納した防水ケース44の内側空間は連通管61を介して浴室4の壁裏85に連通しているので、防水ケース44内は浴室4外部と同環境、即ち浴室4内のように湿気を含まず乾燥した状態となり、これにより非防水式のポンプ15及びポンプ15に接続される電気配線79の保護が図られている。なお、ポンプ15と電気配線79との接続位置は、連通管61の下面位置よりも上方位置で行なわれており、この電気配線79が連通管61内に通線されている。また水位センサ38に接続した電気配線79はセンサケース34の排水用空間部45から連結用筒部42を介して防水ケース44内に導入され、この後、連通管61及び浴室外接続管90を介して浴室4の壁裏に引き出される。
【0038】
制御装置2は浴室4の壁に設けた操作器3や、浴室4の隣室等に設けた主電源スイッチ72(図3)を介して電源に接続してある。また制御装置2は水位センサ38により流路構成部36内の液体洗剤の水位が所定レベル以下であることを検知した場合には、ポンプ15を強制停止すると共に、操作器3に設けたランプからなる表示部73(図9)により剤タンク12内の液体洗剤が空になったことを報知する。なおこの報知手段としては前記表示部73に限定されるものではなく、音声などであっても良い。また制御装置2はタイマーにより泡洗剤吐出装置1の使用時間(即ちポンプ15の運転時間)が所定時間を越えることでもポンプ15を強制停止するように設定してあり、即ちポンプ15は水位センサ38とタイマーとでポンプ15の空運転を二重に防止している。
【0039】
上記浴室洗浄システムを用いて清掃を行なうには、浴槽6のフランジ10aに設けた泡洗剤出口部13に吐出ホース66を接続した状態で、操作器3に設けた操作釦74(図9)を操作してポンプ15の運転を開始する。ポンプ15を運転すると、前述したように剤タンク12内の液体洗剤が上流側流路30に流れると共にエゼクター部16からこの液体洗剤に空気が混入され、次にポンプ15及び下流側流路31を経て泡洗剤出口部13に至り、この後、吐出ホース66を通って吐出ノズル65から吐出され、これにより例えば吐出ノズル65から吐出される泡洗剤を浴室4の壁や浴槽6の内面などに吹き付け、この後、付着した泡洗剤を水などで洗い流すなどして浴室4の清掃を行なうことができる。
【0040】
ここで図1に示す泡洗剤吐出装置1は、構成する部品、即ち剤投入口部17、剤タンク12、縦管32、センサケース34、連結用筒部42、エゼクター管35、防水ケース44、ポンプ15、下流側管64、連通管61、泡洗剤出口部13は全て一体的に連結してあり、泡洗剤吐出装置1は全体が一つのユニットとなっている。
【0041】
そして泡洗剤吐出装置1は工場などの現場へ搬送される前の段階で予め組み立てられた状態で上記のようにユニット化され、このユニット化された泡洗剤吐出装置1を現場で設置するようにしてある。つまり上記ユニット化された泡洗剤吐出装置1を浴槽6のフランジ10a(取付板10)に取り付けるには、剤投入口部17及び泡洗剤出口部13を、既述の下側筒体17aと上側筒体17bの螺合及び下側筒状体13aと上側筒状体13bの螺合により、フランジ10aの取付孔11a、11bの夫々に取り付け、これによりユニット化された泡洗剤吐出装置1をフランジ10aに吊り下げる。このように泡洗剤吐出装置1はユニット化されたものであるため、フランジ10aの下面側への設置を容易に行なうことができる。
【0042】
なお上記ユニット化された泡洗剤吐出装置1は剤投入口部17及び泡洗剤出口部13の二箇所のみで支持するものであっても良いし、また剤投入口部17及び泡洗剤出口部13で支持する点は同じだが、この取り付けに加えて図10に示すように浴室4の壁に支持金具81を取り付け、この支持金具81で補助的に泡洗剤吐出装置1を支持しても良い。またこの場合は泡洗剤吐出装置1をバランス良く支持するために、図10のように支持金具81で剤タンク12の剤投入口部17と反対側の端部及び防水ケース44を支持するのが良い。なお図10の82はスペーサである。
【0043】
しかして、上記構成の泡洗剤吐出装置1にあっては、液体洗剤にエゼクター部16から取り込んだ空気を混合して得た泡洗剤をポンプ15により泡洗剤出口部13から吐出させることができ、泡洗剤に含まれる気泡により洗浄効果を高めることができる。
【0044】
またポンプ15は非防水ポンプからなり、これを防水ケース44内に隠蔽したことにより、周囲の浴室4内の高多湿環境と遮断して水や湿気による非防水ポンプの故障を防止している。従って、防水型ポンプを用いる場合と比較して、ポンプ装置が大掛かりとならず、しかも、本例のポンプ15は非自吸式であるので、構造の簡素化、小型化、低コストを図ることができる。
【0045】
また上記非防水のポンプ15は防水ケース44に隠蔽され、この防水ケース44を連通管61、浴室外接続管90を介して浴室4外部に連通させ、この連通管61,90を介して浴室4外部から防水ケース44内の電気配線79を通線するようにしたので、浴室4内の高多湿環境下にさらされない状態で防水ケース44内への電気配線79が可能となる。従って、防水ケース44内部の湿気による絶縁劣化などの不安全現象をなくすことができる結果、高い安全性と信頼性を確保でき、さらにポンプ15の音や振動が浴室4内へ伝播するのを遮断でき、静音性を確保できる。
【0046】
また本例では連通管61をフレキシブルホースで構成しているので、連通管61の一端を浴室4の壁パネル8を貫通する浴室外接続管90の端部に接続する場合に、その浴室外接続管90の端部の施工位置(穴あけ位置)が現場毎に異なった場合でも、連通管61と浴室外接続管90との接続に柔軟に対応できるようになる。また、泡洗剤吐出装置1近傍に給湯管、給水管などの一次配管が存在する場合にも、一次配管を避けてフレキシブルホースを施工できるので、施工上の制約がなくなり、施工性が向上する。
【0047】
また本例では、排水用空間部45の下面側に、連通管接続筒部60及び連結用筒部42よりも下方に位置する水抜孔48を穿設し、該水抜孔48を弾性変形可能な排水弁50により開閉自在に閉塞している。この排水弁50は、排水用空間部45に溜まった水の水位が一定未満のときは排水弁50自らの弾性力で閉じた状態を維持し、ポンプケス44の内側空間は、連通管接続筒部60を除いて密閉状態とする。排水用空間部45内の水位が一定以上になると、排水弁50は弾性変形して水抜孔48を開き、溜まった水が水抜孔48から防水ケース44外部に排出されるようになる。そのうえ、連通管61と接続される防水ケース44の連通管接続筒部60は、排水用空間部45の下面側に配置される排水弁50よりも上方位置に配置されている。これにより防水ケース44内に溜まった水が一定水位以上になる連結用筒部42を越えて排水弁50側に流入して排水弁50を開いて外部に排水されるので、防水ケース44内の水位が連通管61に達する心配がなく、従って、防水ケース44内の水が連通管61から浴室4外部に漏出するのを確実に防止でき、被害拡大の虞がなくなる。さらに言えば排水弁50の作動水位(排水弁50が開く水位)を連通管接続筒部60及び連結用筒部42の高さよりも低い水位に設定したことにより、万一、ポンプ15から水漏れした場合でも、排水弁50から自動排水されるので防水ケース44内部の浸水による絶縁劣化などの不安全現象がなくなる。結果、従来のようにポンプケース内に水位センサを配置して浸水を検知したときにポンプ15の作動を止めるような複雑な構造をとる必要もなくなるので、泡洗剤吐出装置1をより小型化でき、コストの一層の低減を図ることができる。なお、排水弁50として電磁弁を用いることも可能である。
【0048】
前記実施形態では泡洗剤吐出装置1が取り付けられる取付板10を浴室4に設置した浴槽6のフランジ10aで構成したが、取付板10はこれに限定されるものではなく、例えば浴室4の壁に設けられるカウンタ80(図4)の上面部などであっても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態の一例の泡洗剤吐出装置の取付構造を示す断面図である。
【図2】同上の泡洗剤吐出装置の斜視図である。
【図3】同上の泡洗剤吐出装置を設置する浴室の全体斜視図である。
【図4】同上の浴室内の斜視図である。
【図5】同上のセンサケース及び防水ケース部分の拡大図である。
【図6】同上の連通管と浴室の壁の連結部分を示す断面図である。
【図7】同上の吐出ホースの斜視図である。
【図8】同上の泡洗剤出口部に吐出ホースを取付けた状態を示す浴槽のフランジ部の平面図である。
【図9】同上の泡洗剤出口部近傍の拡大図である。
【図10】泡洗剤吐出装置を支持金具で補助的に支持した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 泡洗剤吐出装置
4 浴室
12 剤タンク
13 泡洗剤出口部
14 剤供給路
15 ポンプ
16 エゼクター部
44 防水ケース
50 排水弁
61 連通管
79 電気配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤を溜める剤タンクと、浴室に設置されて泡洗剤を吐出する泡洗剤出口部と、上記剤タンクと上記泡洗剤出口部とを接続する剤供給路と、上記剤供給路の途中に設けられて剤タンクから供給された液体洗剤を加圧して泡洗剤出口部側に送り出すポンプと、上記剤供給路を流れる液体洗剤に空気を混入するエゼクター部とを備えた泡洗剤吐出装置であって、上記ポンプは非防水ポンプからなり、防水構造の防水ケースの内部に上記ポンプを隠蔽すると共に、上記防水ケースに浴室外部に連通する連通管の一端部を接続し、該連通管を介して浴室外部から防水ケース内部への電気配線を行なうように構成したことを特徴とする泡洗剤吐出装置。
【請求項2】
上記連通管はフレキシブルホースで形成されていることを特徴とする請求項1記載の泡洗剤吐出装置。
【請求項3】
上記防水ケース内部に溜まった水の水位が一定以上になると溜まった水を防水ケース外部に排出するための排水弁を設けると共に、該排水弁が開く水位を防水ケースと連通管との接続位置よりも低い位置となるように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の泡洗剤吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−154610(P2008−154610A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343330(P2006−343330)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】