波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサとそれらの取り付け方法
【課題】追加的に必要となる空間が極めて小さく、後発的に容易に脱着可能な波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサとそれらの取り付け方法とを実現することを目的とする
【解決手段】両端爪部を除いて断面略コの字状であって、波型ロッカースイッチの鍔部と、波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に両端爪部が配置され、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能であり、波型ロッカースイッチの押圧部の少なくとも一部を覆う波型ロッカースイッチ用保護カバーとする。
【解決手段】両端爪部を除いて断面略コの字状であって、波型ロッカースイッチの鍔部と、波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に両端爪部が配置され、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能であり、波型ロッカースイッチの押圧部の少なくとも一部を覆う波型ロッカースイッチ用保護カバーとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとその取り付け方法とに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、プリンタや電子複写機等のオフィス電子装置において、待機時の消費電力を抑制するために、一定時間待機状態が継続すると自動的に電源オフとなるように電源を制御する電源スイッチを備えた電子装置がある。
【０００３】
このような電子装置では、オペレータが電源のオン・オフの動作を随時行い得るようにし、またオペレータがオフ状態から電源の再投入を為し得るようにするため、装置本体の側面等に電源スイッチを配置している。
【０００４】
また、電源スイッチは、オペレータの操作しやすい位置に配置されることが好ましく、通称波型ロッカースイッチと呼ばれる形状のスイッチが多用されている。一方、オペレータが操作し易い配置に電源スイッチを設けた場合には、オペレータ等が意図せずに電源スイッチに接触することにより、不用意に電源をオン・オフさせてしまうことが懸念される。
【０００５】
これに対し意図せぬ電源スイッチ動作を防止するため、カバーを閉じた状態で、スイッチのオン動作のみを行い得るような開口をカバーに設けることで、節電モードからの立ち上がりを容易に行い得るスイッチカバーを具備する電源スイッチが提案されている。
【０００６】
すなわちスイッチ装置に対して、オン側のみを開口させたカバー部材を設けたことにより、シーソースイッチのように軽く作動する構造の波型ロッカースイッチに対しても、意図せぬスイッチ動作を防止できるスイッチカバー、また、電源をオンにする場合にのみ操作可能な開口部がカバー部材に設けられているので、電源再投入時の動作を容易に行うことができるスイッチカバー、また、カバー部材を透明または半透明な材料で構成する場合には、オフ側をも見ることができるので、スイッチに対する信頼性を確保することができるスイッチカバーが、下記特許文献１に開示されている。
【０００７】
特許文献１によれば、電源スイッチとして設けられるシーソースイッチに開閉自在に設けられるスイッチカバーとし、スイッチの一方作動部のみを覆うようにし、スイッチ全体を覆うようにして開閉するものであって、スイッチの一方作動部分を開口するようにし、一定時間経過後にオフ側に作動されるシーソースイッチを開閉自在に覆うスイッチカバーとするものであって、スイッチのオフ側のみを覆うようにすることが提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００２−２４５８８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかし、従来知られているスイッチカバーは、スイッチ取り付け部位の周囲に対して占める空間が追加的に多大に必要となるものであって、スイッチ周辺も含めた装置の小型化・軽量化の観点からは改善の余地があった。さらに、従来知られているスイッチカバーは、その取り付け構造が複雑であって、また、筐体等に対する追加的な加工が必要となるだけでなく、容易に脱着することができないものであった。
【００１０】
本発明は、上述した問題点に鑑み為されたものであり、追加的に必要となる空間が極めて小さく、後発的に容易に脱着可能な波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとその取り付け方法とを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーは、両端爪部を除いて断面略コの字状であって、波型ロッカースイッチの鍔部と、波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に両端爪部が配置され、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能であり、波型ロッカースイッチの押圧部の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
【００１２】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーは、好ましくはスライド動作を容易とするように、前面に滑り止め部を備えることを特徴とする。
【００１３】
本発明の取り付けスペーサは、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーを取り付けるための略ロの字状のスペーサであって、波型ロッカースイッチの鍔部と、波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に配置され、鍔部と筐体との間に両端爪部が配置される空間を生成するとともに、両端爪部のスライド動作可能領域を制限することを特徴とする。
【００１４】
本発明の取り付けスペーサは、好ましくは鍔部と筐体との間に配置された状態で、鍔部の外縁から突出しないことを特徴とする。
【００１５】
本発明の取り付けスペーサは、さらに好ましくは波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備えることを特徴とする。
【００１６】
本発明の取り付けスペーサは、さらに好ましくは波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌め込まれる切り欠き部を、対向する一対の側面に備えることを特徴とする。
【００１７】
本発明の取り付けスペーサは、さらに好ましくは波型ロッカースイッチ用保護カバーを押圧部に対応する位置で保持するように、波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部を係止する係止部を備えることを特徴とする。
【００１８】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムは、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、上述のいずれかの取り付けスペーサと、を備えることを特徴とする。
【００１９】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムの取り付け方法は、上述のいずれかに記載の取り付けスペーサを、筐体と波型ロッカースイッチの鍔部との間に挟持するように、筐体のスイッチ取り付け孔に波型ロッカースイッチを嵌め込む工程と、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部を広げるようにして、波型ロッカースイッチの一部を覆いながら、取り付けスペーサと両端爪部とを係合させる工程と、を有することを特徴とする。
【００２０】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムは、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、上述の取り付けスペーサとを備え、取り付けスペーサが、波型ロッカースイッチの長手方向の少なくとも一方向に延伸した形状であり、波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備え、波型ロッカースイッチ用保護カバーは、延伸方向に、波型ロッカースイッチの押圧部を覆わない位置にまでスライド可能とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【００２１】
本発明により、追加的に必要となる空間が極めて小さく、後発的に容易に脱着可能な波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとその取り付け方法とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】第一の実施形態の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、取り付けスペーサとを備える波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムを説明する概要図である。
【図２】波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムについて、波型ロッカースイッチとともに筐体に取り付ける直前の状態を説明する図である。
【図３】（ａ）は第一の実施形態の取り付けスペーサを説明する正面図であり、（ｂ）は第二の実施形態の取り付けスペーサを説明する正面図である。
【図４】取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーとを筐体に取り付ける直前の状態を説明する概要図である。
【図５】（ａ）が波型ロッカースイッチと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとが筐体に取り付けられた右側面図であり、（ｂ）が波型ロッカースイッチと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとが筐体に取り付けられた正面図である。
【図６】波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムを設置する方法の概要を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
実施形態で説明する波型ロッカースイッチ用保護カバーは、電子装置の電源スイッチなど誤操作を防止すべき重要なスイッチに対して設けられる。波型ロッカースイッチ用保護カバーは、波型ロッカースイッチと取り付け筐体との間に挟まれるようにして設けられる略ロの字形状のスペーサ（アダプタ）に取り付けられる。
【００２４】
スペーサの側面には、波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌り込むスライド溝または切り欠き部が設けられる。波型ロッカースイッチ用保護カバーは、スペーサ側面のスライド溝等に係合することで、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能となる。
【００２５】
このスライド動作により、波型ロッカースイッチ用保護カバーは、波型ロッカースイッチの二つの押圧部のいずれか一方を露出させたり覆ったり適宜調整することができる。また、スペーサ及びその側面のスライド溝等は、波型ロッカースイッチの長手方向に延伸された形状としてもよく、これにより波型ロッカースイッチの二つの押圧部を共に露出させる位置まで波型ロッカースイッチ用保護カバーをスライドさせることができる構成としてもよい。
【００２６】
（第一の実施形態）
図１は、第一の実施形態の波型ロッカースイッチ用保護カバー１００と、取り付けスペーサ２００とを備える波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を説明する概要図である。
【００２７】
図１においては、波型ロッカースイッチ３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００とが、電子装置の側面等である筐体４００に取り付けられた状態を示している。
【００２８】
図１に示すように、波型ロッカースイッチ３００は、第一押圧部３１０と第二押圧部３２０とを備える。第一押圧部３１０と第二押圧部３２０とは、いずれか一方を押圧状態とすれば他方が突出状態となって、いずれを押圧するかによって例えば電源のオンとオフとが切り替わるものである。
【００２９】
波型ロッカースイッチ用保護カバー１００は、第一押圧部３１０と第二押圧部３２０との少なくともいずれか一方の押圧動作を阻止するように、第一押圧部３１０または第二押圧部３２０の少なくともいずれか一方を覆うことができる。
【００３０】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００は、スライド操作時にオペレータの指が滑らないように、その前面に滑り止め部１１０を備える。滑り止め部１１０は、凸状の横線や凸状のドットやディンプルまたは任意形状の凹部等、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００のスライド操作がスムースに為し得る程度に、オペレータの指先と適切な摩擦力を生成し得るものであればよい。
【００３１】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００は断面が略コの字形状であるとともに、その両端部分に９０度内側に曲折した爪部１２０を備える。両端の爪部１２０は、取り付けスペーサ２００の両側面に設けられたスライド溝２１０に各々係合される。
【００３２】
すなわち、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０が左右一対のスライド溝２１０に各々係合した状態で、波型ロッカースイッチ３００の長手方向（図１における上下方向）にスライド動作することにより、第一押圧部３１０を覆うかまたは第二押圧部３２０を覆うかのいずれか任意の位置まで、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００をスライド動作させることが可能となる。
【００３３】
図２は、図１に示す波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００について、波型ロッカースイッチ３００とともに筐体４００に取り付ける直前の状態を説明する図である。
【００３４】
図２から理解できるように、波型ロッカースイッチ３００は、筐体４００の側壁等に設けられたスイッチ取り付け孔４１０に嵌め込んで設けられる。一般に、波型ロッカースイッチ３００は、取り付けられる筐体４００の板厚が異なる場合でも強固に保持されるように、返し部３４０が設けられている。
【００３５】
このため、波型ロッカースイッチ３００を取り付けた場合に、取り付けスペーサ２００と筐体４００との合計の厚さが、返し部３４０の最突出点を超えない程度の厚さとされることが好ましい。これにより、返し部３４０の最突出点が筐体４００の取り付け壁面内側（図２における右奥側）に位置することとなるので、返し部３４０の機能が発揮されて、取り付けスペーサ２００と波型ロッカースイッチ３００の鍔部３３０とが、強固に筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０周囲に押圧されて固定されることとなる。
【００３６】
なお、図２においては、係止部２２０を説明するために、スライド溝２１０の一部を欠損した状態で示している。係止部２２０は、左右一対のスライド溝２１０に対して左右対称にかつ上下２箇所に設けられる。また、係止部２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０（ａ），１２０（ｂ）に設けられた係止孔１２１（ａ），１２１（ｂ）と各々係合する。これにより、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００を第一押圧部３１０または第二押圧部３２０のいずれか一方を覆って保護する位置で保持することができる。
【００３７】
図３（ａ）は、第一の実施形態の取り付けスペーサ２００を説明する正面図である。図３（ａ）に示すように、取り付けスペーサ２００のスライド溝２１０（ａ），２１０（ｂ）には、凸状の係止部２２０（ａ），２２０（ｂ），２２０（ｃ），２２０（ｄ）が設けられている。これらの係止部２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０（ａ），１２０（ｂ）に設けられた係止孔１２１（ａ），１２１（ｂ）と係止関係を生成する構成であればよく、その形状や構造は限定されるものではない。
【００３８】
（第二の実施形態）
図３（ｂ）は、第二の実施形態の取り付けスペーサ２２００を説明する正面図である。第二の実施形態の取り付けスペーサ２２００は、第一の実施形態のスライド溝２１０に代えて切り欠き部２２１０（ａ），２２１０（ｂ）が設けられている。また、図４は、取り付けスペーサ２２００と波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００とを筐体４００に取り付ける直前の状態を説明する概要図である。図４においては、図２と対応する同一部位には同一の符号を付している。
【００３９】
図３と図４とに示すように、切り欠き部２２１０（ａ），２２１０（ｂ）には、凸状の係止部２２２０（ａ），２２２０（ｂ），２２２０（ｃ），２２２０（ｄ）が設けられている。これらの係止部２２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端爪部２１２０（ａ），２１２０（ｂ）に設けられた係止孔２１２１（ａ），２１２１（ｂ）と係止関係を生成する構成であればよく、その形状や構造は限定されるものではない。
【００４０】
図４から理解できるように、波型ロッカースイッチ３００は、筐体４００の側壁等に設けられたスイッチ取り付け孔４１０に嵌め込んで設けられる。一般に、波型ロッカースイッチ３００は、取り付けられる筐体４００の板厚が異なる場合でも強固に保持されるように、返し部３４０が設けられている。
【００４１】
このため、波型ロッカースイッチ３００を取り付けた場合に、取り付けスペーサ２２００と筐体４００との合計の厚さが、返し部３４０の最突出点を超えない程度の厚さとされることが好ましい。これにより、返し部３４０の最突出点が筐体４００の取り付け壁面内側（図４において右奥側）に位置することとなるので、返し部３４０の機能が発揮されて、取り付けスペーサ２２００と波型ロッカースイッチ３００の鍔部３３０とが、強固に筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０周囲外壁に押圧されて固定されることとなる。
【００４２】
また、係止部２２２０（ａ）〜２２２０（ｄ）は、左右一対の切り欠き部２２１０（ａ），２２１０（ｂ）に対して左右対称にかつ上下２箇所に設けられる。また、係止部２２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端爪部２１２０（ａ），２１２０（ｂ）に設けられた左右一対の係止孔２１２１（ａ），２１２１（ｂ）と各々係合する。これにより、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００を第一押圧部３１０または第二押圧部３２０のいずれか一方を覆って保護する位置で保持することができる。
【００４３】
このように、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００は、第一押圧部３１０と第二押圧部３２０との少なくともいずれか一方に対する押圧動作を阻止するように、第一押圧部３１０または第二押圧部３２０の少なくともいずれか一方を覆うことができる。
【００４４】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００は、スライド操作時にオペレータの指が滑らないように、その前面に滑り止め部２１１０を備える。滑り止め部２１１０は、凸状の横線や凸状のドットやディンプルまたは任意形状の凹部等、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００のスライド操作がスムースに為し得る程度に、オペレータの指先と適切な摩擦力を生成し得るものであればよい。
【００４５】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００は断面が略コの字形状であるとともに、その両端部分に９０度内側に曲折した爪部２１２０を備える。両端の爪部２１２０は、取り付けスペーサ２２００の両側面に設けられた切り欠き部２２１０に各々係合される。すなわち、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端の爪部２１２０は、鍔部３３０と筐体４００とで挟まれかつ切り欠き部２２１０によって形成された空間内をスライド移動することとなる。
【００４６】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端爪部２１２０が切り欠き部２２１０に嵌合した状態で、波型ロッカースイッチ３００の長手方向（図４における上下方向）にスライド動作することにより、第一押圧部３１０を覆うかまたは第二押圧部３２０を覆うかのいずれか任意の位置まで、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００をスライド動作させることが可能となる。
【００４７】
（第三の実施形態）
図５は、第三の実施形態の波型ロッカースイッチ５３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００とが、電子装置等の側面等である筐体５４００に取り付けられた状態を示している。図５（ａ）が波型ロッカースイッチ５３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００とが筐体５４００に取り付けられた右側面図を示し、図５（ｂ）が波型ロッカースイッチ５３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００とが筐体５４００に取り付けられた正面図を示している。
【００４８】
第三の実施形態においては、取り付けスペーサ５２００が、波型ロッカースイッチ５３００の長手方向（図５における左右方向）の一方に延伸されて設けられている。また、スライド溝５２１０も取り付けスペーサ５２００の延伸に対応して、波型ロッカースイッチ５３００の取り付け位置を超えて延伸して設けられる。
【００４９】
これにより、第一押圧部５３１０，５３２０を共に露出状態とする位置まで、波型ロッカースイッチ用保護カバー５１００をスライドさせることが可能となる。このため、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００は、頻繁なスイッチ動作確認や頻繁なスイッチ操作を遂行する必要がある電子装置のメンテナンスや調整時等において、波型ロッカースイッチ５３００全体を露出させる状態とすることができる。これにより、オン・オフスイッチ操作を容易に遂行することが可能となるので好ましい。
【００５０】
上述したように実施形態で説明した取り付けスペーサ２００，５２００は例えば２．２ミリメートル程度の厚さとすることができる。また、スライド溝２１０，５２１０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００の板圧に対応させて、例えば０．５ミリメートル程度の厚さとすることができる。また、取り付けスペーサ２００，５２００の外縁は、波型ロッカースイッチ３００，５３００の鍔部３３０の外縁からはみ出ない程度に、同一またはより小さい大きさとできる。
【００５１】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００は、波型ロッカースイッチ３００，５３００の最突出部をカバーできる程度の突出高さとできる。このため、波型ロッカースイッチ３００，５３００の周囲に追加的に必要となる空間が極めて小さくて済む。さらに、電子装置の筐体４００や波型ロッカースイッチ３００に対する追加的な加工や修正を要することなく、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００，５０００等を、既に取り付け済のロッカースイッチに後発的に追加して容易に設けることができる。
【００５２】
さらに、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００は、可撓性を有する例えば金属や樹脂等を成型等して作製することができる。波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００が可撓性を有することにより、その取り付け及び取り外しが容易となるので、好ましい。また、透明な材質で波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００を形成することで、波型ロッカースイッチ３００全体の可視化が図れるのでさらに好ましい。
【００５３】
図６は、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を設置する方法の概要を説明するフロー図である。図６に示す各フローに基づいて、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を設置する方法を以下に順次説明する。
【００５４】
（ステップＳ６１０）
波型ロッカースイッチ３００を筐体４００に取り付け済であるか否かを判断する。波型ロッカースイッチ３００を筐体４００に取り付け済である場合には、ステップＳ６２０へと進む。また、波型ロッカースイッチ３００を筐体４００に取り付け済でない場合には、ステップＳ６３０へと進む。
【００５５】
（ステップＳ６２０）
波型ロッカースイッチ３００を筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０から脱抜する。通常、波型ロッカースイッチ３００への電気的接続を形成するコネクタは、電子装置側の嵌合コネクタから脱抜可能に構成されている。このため、波型ロッカースイッチ３００を筐体４００から一時的に引き抜いても、再度挿入すれば元通り再接続されるので差し支えない。
【００５６】
（ステップＳ６３０）
波型ロッカースイッチ３００に、取り付けスペーサ２００を嵌め込む。取り付けスペーサ２００は、波型ロッカースイッチの返し部３４０の最突出部位を超えて鍔部３３０に当接するまで嵌め込むことが好ましい。
【００５７】
（ステップＳ６４０）
波型ロッカースイッチ３００と、嵌め込まれた取り付けスペーサ２００とを、筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０に嵌め込む。スイッチ取り付け孔４１０は、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を設置する場合でも、何ら追加的な加工を要することがなく使用できる。
【００５８】
（ステップＳ６５０）
波型ロッカースイッチ３００と、嵌め込まれた取り付けスペーサ２００とを、筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０に、さらに奥へと押し込む。この場合に、「パチン」と嵌合音が鳴るなどして、筐体４００が、返し部３４０の最突出部位を超えて取り付けスペーサ２００に当接する状態まで、押し込むものとする。このため、取り付けスペーサ２００の厚さについては、取り付けスペーサ２００の厚さと筐体４００の厚さとを合算した値が、鍔部３３０から返し部３４０の最突出部位までの間隔を超えない程度とする。
【００５９】
（ステップＳ６６０）
波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０（ａ），１２０（ｂ）を広げて、両端爪部１２０がスライド溝２１０に嵌合するように、波型ロッカースイッチ３００の手前側から筐体４００側へと波型ロッカースイッチ用保護カバー１００を、取り付けスペーサ２００に嵌め込む。波型ロッカースイッチ用保護カバー１００が可撓性を有する材質で成型されていることにより、この作業は極めて容易に遂行可能となる。
【００６０】
（ステップＳ６７０）
波型ロッカースイッチ用保護カバー１００が、波型ロッカースイッチ３００の第一押圧部３１０と第二押圧部３２０とのいずれか一方に対応する位置にくるまで、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の滑り止め部１１０を上下方向に押しながらスライドさせる。
【００６１】
（ステップＳ６８０）
取り付けスペーサ２００の係止部２２０と、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の係止孔１２１とが互いに係合する位置で停止させる。これにより、筐体４００に振動や衝撃が加わったり傾斜している場合等であっても、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００が所望の位置で保持されて任意の押圧部を覆うこととなるので、誤操作を防止することができる。
【００６２】
上述した波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００等は、各実施形態での説明に限定されることはなく、開示される技術思想のもと自明な範囲内で、適宜その構造や形状及び材料等を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【００６３】
本発明は、各種電子部品が実装されかつ電源スイッチを配置された電子装置等全般に幅広く適用できる。
【符号の説明】
【００６４】
１００・・波型ロッカースイッチ用保護カバー、１１０・・滑り止め部、１２０・・爪部、２００・・取り付けスペーサ、２１０・・スライド溝、３００・・波型ロッカースイッチ、３１０・・第一押圧部、３２０・・第二押圧部、４００・・筐体、１０００・・波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとその取り付け方法とに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、プリンタや電子複写機等のオフィス電子装置において、待機時の消費電力を抑制するために、一定時間待機状態が継続すると自動的に電源オフとなるように電源を制御する電源スイッチを備えた電子装置がある。
【０００３】
このような電子装置では、オペレータが電源のオン・オフの動作を随時行い得るようにし、またオペレータがオフ状態から電源の再投入を為し得るようにするため、装置本体の側面等に電源スイッチを配置している。
【０００４】
また、電源スイッチは、オペレータの操作しやすい位置に配置されることが好ましく、通称波型ロッカースイッチと呼ばれる形状のスイッチが多用されている。一方、オペレータが操作し易い配置に電源スイッチを設けた場合には、オペレータ等が意図せずに電源スイッチに接触することにより、不用意に電源をオン・オフさせてしまうことが懸念される。
【０００５】
これに対し意図せぬ電源スイッチ動作を防止するため、カバーを閉じた状態で、スイッチのオン動作のみを行い得るような開口をカバーに設けることで、節電モードからの立ち上がりを容易に行い得るスイッチカバーを具備する電源スイッチが提案されている。
【０００６】
すなわちスイッチ装置に対して、オン側のみを開口させたカバー部材を設けたことにより、シーソースイッチのように軽く作動する構造の波型ロッカースイッチに対しても、意図せぬスイッチ動作を防止できるスイッチカバー、また、電源をオンにする場合にのみ操作可能な開口部がカバー部材に設けられているので、電源再投入時の動作を容易に行うことができるスイッチカバー、また、カバー部材を透明または半透明な材料で構成する場合には、オフ側をも見ることができるので、スイッチに対する信頼性を確保することができるスイッチカバーが、下記特許文献１に開示されている。
【０００７】
特許文献１によれば、電源スイッチとして設けられるシーソースイッチに開閉自在に設けられるスイッチカバーとし、スイッチの一方作動部のみを覆うようにし、スイッチ全体を覆うようにして開閉するものであって、スイッチの一方作動部分を開口するようにし、一定時間経過後にオフ側に作動されるシーソースイッチを開閉自在に覆うスイッチカバーとするものであって、スイッチのオフ側のみを覆うようにすることが提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００２−２４５８８４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかし、従来知られているスイッチカバーは、スイッチ取り付け部位の周囲に対して占める空間が追加的に多大に必要となるものであって、スイッチ周辺も含めた装置の小型化・軽量化の観点からは改善の余地があった。さらに、従来知られているスイッチカバーは、その取り付け構造が複雑であって、また、筐体等に対する追加的な加工が必要となるだけでなく、容易に脱着することができないものであった。
【００１０】
本発明は、上述した問題点に鑑み為されたものであり、追加的に必要となる空間が極めて小さく、後発的に容易に脱着可能な波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとその取り付け方法とを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーは、両端爪部を除いて断面略コの字状であって、波型ロッカースイッチの鍔部と、波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に両端爪部が配置され、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能であり、波型ロッカースイッチの押圧部の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
【００１２】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーは、好ましくはスライド動作を容易とするように、前面に滑り止め部を備えることを特徴とする。
【００１３】
本発明の取り付けスペーサは、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーを取り付けるための略ロの字状のスペーサであって、波型ロッカースイッチの鍔部と、波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に配置され、鍔部と筐体との間に両端爪部が配置される空間を生成するとともに、両端爪部のスライド動作可能領域を制限することを特徴とする。
【００１４】
本発明の取り付けスペーサは、好ましくは鍔部と筐体との間に配置された状態で、鍔部の外縁から突出しないことを特徴とする。
【００１５】
本発明の取り付けスペーサは、さらに好ましくは波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備えることを特徴とする。
【００１６】
本発明の取り付けスペーサは、さらに好ましくは波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌め込まれる切り欠き部を、対向する一対の側面に備えることを特徴とする。
【００１７】
本発明の取り付けスペーサは、さらに好ましくは波型ロッカースイッチ用保護カバーを押圧部に対応する位置で保持するように、波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部を係止する係止部を備えることを特徴とする。
【００１８】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムは、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、上述のいずれかの取り付けスペーサと、を備えることを特徴とする。
【００１９】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムの取り付け方法は、上述のいずれかに記載の取り付けスペーサを、筐体と波型ロッカースイッチの鍔部との間に挟持するように、筐体のスイッチ取り付け孔に波型ロッカースイッチを嵌め込む工程と、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部を広げるようにして、波型ロッカースイッチの一部を覆いながら、取り付けスペーサと両端爪部とを係合させる工程と、を有することを特徴とする。
【００２０】
本発明の波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムは、上述の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、上述の取り付けスペーサとを備え、取り付けスペーサが、波型ロッカースイッチの長手方向の少なくとも一方向に延伸した形状であり、波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備え、波型ロッカースイッチ用保護カバーは、延伸方向に、波型ロッカースイッチの押圧部を覆わない位置にまでスライド可能とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【００２１】
本発明により、追加的に必要となる空間が極めて小さく、後発的に容易に脱着可能な波型ロッカースイッチ用保護カバーと取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとその取り付け方法とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】第一の実施形態の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、取り付けスペーサとを備える波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムを説明する概要図である。
【図２】波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムについて、波型ロッカースイッチとともに筐体に取り付ける直前の状態を説明する図である。
【図３】（ａ）は第一の実施形態の取り付けスペーサを説明する正面図であり、（ｂ）は第二の実施形態の取り付けスペーサを説明する正面図である。
【図４】取り付けスペーサと波型ロッカースイッチ用保護カバーとを筐体に取り付ける直前の状態を説明する概要図である。
【図５】（ａ）が波型ロッカースイッチと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとが筐体に取り付けられた右側面図であり、（ｂ）が波型ロッカースイッチと波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムとが筐体に取り付けられた正面図である。
【図６】波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムを設置する方法の概要を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
実施形態で説明する波型ロッカースイッチ用保護カバーは、電子装置の電源スイッチなど誤操作を防止すべき重要なスイッチに対して設けられる。波型ロッカースイッチ用保護カバーは、波型ロッカースイッチと取り付け筐体との間に挟まれるようにして設けられる略ロの字形状のスペーサ（アダプタ）に取り付けられる。
【００２４】
スペーサの側面には、波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部が嵌り込むスライド溝または切り欠き部が設けられる。波型ロッカースイッチ用保護カバーは、スペーサ側面のスライド溝等に係合することで、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能となる。
【００２５】
このスライド動作により、波型ロッカースイッチ用保護カバーは、波型ロッカースイッチの二つの押圧部のいずれか一方を露出させたり覆ったり適宜調整することができる。また、スペーサ及びその側面のスライド溝等は、波型ロッカースイッチの長手方向に延伸された形状としてもよく、これにより波型ロッカースイッチの二つの押圧部を共に露出させる位置まで波型ロッカースイッチ用保護カバーをスライドさせることができる構成としてもよい。
【００２６】
（第一の実施形態）
図１は、第一の実施形態の波型ロッカースイッチ用保護カバー１００と、取り付けスペーサ２００とを備える波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を説明する概要図である。
【００２７】
図１においては、波型ロッカースイッチ３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００とが、電子装置の側面等である筐体４００に取り付けられた状態を示している。
【００２８】
図１に示すように、波型ロッカースイッチ３００は、第一押圧部３１０と第二押圧部３２０とを備える。第一押圧部３１０と第二押圧部３２０とは、いずれか一方を押圧状態とすれば他方が突出状態となって、いずれを押圧するかによって例えば電源のオンとオフとが切り替わるものである。
【００２９】
波型ロッカースイッチ用保護カバー１００は、第一押圧部３１０と第二押圧部３２０との少なくともいずれか一方の押圧動作を阻止するように、第一押圧部３１０または第二押圧部３２０の少なくともいずれか一方を覆うことができる。
【００３０】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００は、スライド操作時にオペレータの指が滑らないように、その前面に滑り止め部１１０を備える。滑り止め部１１０は、凸状の横線や凸状のドットやディンプルまたは任意形状の凹部等、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００のスライド操作がスムースに為し得る程度に、オペレータの指先と適切な摩擦力を生成し得るものであればよい。
【００３１】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００は断面が略コの字形状であるとともに、その両端部分に９０度内側に曲折した爪部１２０を備える。両端の爪部１２０は、取り付けスペーサ２００の両側面に設けられたスライド溝２１０に各々係合される。
【００３２】
すなわち、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０が左右一対のスライド溝２１０に各々係合した状態で、波型ロッカースイッチ３００の長手方向（図１における上下方向）にスライド動作することにより、第一押圧部３１０を覆うかまたは第二押圧部３２０を覆うかのいずれか任意の位置まで、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００をスライド動作させることが可能となる。
【００３３】
図２は、図１に示す波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００について、波型ロッカースイッチ３００とともに筐体４００に取り付ける直前の状態を説明する図である。
【００３４】
図２から理解できるように、波型ロッカースイッチ３００は、筐体４００の側壁等に設けられたスイッチ取り付け孔４１０に嵌め込んで設けられる。一般に、波型ロッカースイッチ３００は、取り付けられる筐体４００の板厚が異なる場合でも強固に保持されるように、返し部３４０が設けられている。
【００３５】
このため、波型ロッカースイッチ３００を取り付けた場合に、取り付けスペーサ２００と筐体４００との合計の厚さが、返し部３４０の最突出点を超えない程度の厚さとされることが好ましい。これにより、返し部３４０の最突出点が筐体４００の取り付け壁面内側（図２における右奥側）に位置することとなるので、返し部３４０の機能が発揮されて、取り付けスペーサ２００と波型ロッカースイッチ３００の鍔部３３０とが、強固に筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０周囲に押圧されて固定されることとなる。
【００３６】
なお、図２においては、係止部２２０を説明するために、スライド溝２１０の一部を欠損した状態で示している。係止部２２０は、左右一対のスライド溝２１０に対して左右対称にかつ上下２箇所に設けられる。また、係止部２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０（ａ），１２０（ｂ）に設けられた係止孔１２１（ａ），１２１（ｂ）と各々係合する。これにより、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００を第一押圧部３１０または第二押圧部３２０のいずれか一方を覆って保護する位置で保持することができる。
【００３７】
図３（ａ）は、第一の実施形態の取り付けスペーサ２００を説明する正面図である。図３（ａ）に示すように、取り付けスペーサ２００のスライド溝２１０（ａ），２１０（ｂ）には、凸状の係止部２２０（ａ），２２０（ｂ），２２０（ｃ），２２０（ｄ）が設けられている。これらの係止部２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０（ａ），１２０（ｂ）に設けられた係止孔１２１（ａ），１２１（ｂ）と係止関係を生成する構成であればよく、その形状や構造は限定されるものではない。
【００３８】
（第二の実施形態）
図３（ｂ）は、第二の実施形態の取り付けスペーサ２２００を説明する正面図である。第二の実施形態の取り付けスペーサ２２００は、第一の実施形態のスライド溝２１０に代えて切り欠き部２２１０（ａ），２２１０（ｂ）が設けられている。また、図４は、取り付けスペーサ２２００と波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００とを筐体４００に取り付ける直前の状態を説明する概要図である。図４においては、図２と対応する同一部位には同一の符号を付している。
【００３９】
図３と図４とに示すように、切り欠き部２２１０（ａ），２２１０（ｂ）には、凸状の係止部２２２０（ａ），２２２０（ｂ），２２２０（ｃ），２２２０（ｄ）が設けられている。これらの係止部２２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端爪部２１２０（ａ），２１２０（ｂ）に設けられた係止孔２１２１（ａ），２１２１（ｂ）と係止関係を生成する構成であればよく、その形状や構造は限定されるものではない。
【００４０】
図４から理解できるように、波型ロッカースイッチ３００は、筐体４００の側壁等に設けられたスイッチ取り付け孔４１０に嵌め込んで設けられる。一般に、波型ロッカースイッチ３００は、取り付けられる筐体４００の板厚が異なる場合でも強固に保持されるように、返し部３４０が設けられている。
【００４１】
このため、波型ロッカースイッチ３００を取り付けた場合に、取り付けスペーサ２２００と筐体４００との合計の厚さが、返し部３４０の最突出点を超えない程度の厚さとされることが好ましい。これにより、返し部３４０の最突出点が筐体４００の取り付け壁面内側（図４において右奥側）に位置することとなるので、返し部３４０の機能が発揮されて、取り付けスペーサ２２００と波型ロッカースイッチ３００の鍔部３３０とが、強固に筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０周囲外壁に押圧されて固定されることとなる。
【００４２】
また、係止部２２２０（ａ）〜２２２０（ｄ）は、左右一対の切り欠き部２２１０（ａ），２２１０（ｂ）に対して左右対称にかつ上下２箇所に設けられる。また、係止部２２２０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端爪部２１２０（ａ），２１２０（ｂ）に設けられた左右一対の係止孔２１２１（ａ），２１２１（ｂ）と各々係合する。これにより、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００を第一押圧部３１０または第二押圧部３２０のいずれか一方を覆って保護する位置で保持することができる。
【００４３】
このように、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００は、第一押圧部３１０と第二押圧部３２０との少なくともいずれか一方に対する押圧動作を阻止するように、第一押圧部３１０または第二押圧部３２０の少なくともいずれか一方を覆うことができる。
【００４４】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００は、スライド操作時にオペレータの指が滑らないように、その前面に滑り止め部２１１０を備える。滑り止め部２１１０は、凸状の横線や凸状のドットやディンプルまたは任意形状の凹部等、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００のスライド操作がスムースに為し得る程度に、オペレータの指先と適切な摩擦力を生成し得るものであればよい。
【００４５】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００は断面が略コの字形状であるとともに、その両端部分に９０度内側に曲折した爪部２１２０を備える。両端の爪部２１２０は、取り付けスペーサ２２００の両側面に設けられた切り欠き部２２１０に各々係合される。すなわち、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端の爪部２１２０は、鍔部３３０と筐体４００とで挟まれかつ切り欠き部２２１０によって形成された空間内をスライド移動することとなる。
【００４６】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００の両端爪部２１２０が切り欠き部２２１０に嵌合した状態で、波型ロッカースイッチ３００の長手方向（図４における上下方向）にスライド動作することにより、第一押圧部３１０を覆うかまたは第二押圧部３２０を覆うかのいずれか任意の位置まで、波型ロッカースイッチ用保護カバー２１００をスライド動作させることが可能となる。
【００４７】
（第三の実施形態）
図５は、第三の実施形態の波型ロッカースイッチ５３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００とが、電子装置等の側面等である筐体５４００に取り付けられた状態を示している。図５（ａ）が波型ロッカースイッチ５３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００とが筐体５４００に取り付けられた右側面図を示し、図５（ｂ）が波型ロッカースイッチ５３００と波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００とが筐体５４００に取り付けられた正面図を示している。
【００４８】
第三の実施形態においては、取り付けスペーサ５２００が、波型ロッカースイッチ５３００の長手方向（図５における左右方向）の一方に延伸されて設けられている。また、スライド溝５２１０も取り付けスペーサ５２００の延伸に対応して、波型ロッカースイッチ５３００の取り付け位置を超えて延伸して設けられる。
【００４９】
これにより、第一押圧部５３１０，５３２０を共に露出状態とする位置まで、波型ロッカースイッチ用保護カバー５１００をスライドさせることが可能となる。このため、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム５０００は、頻繁なスイッチ動作確認や頻繁なスイッチ操作を遂行する必要がある電子装置のメンテナンスや調整時等において、波型ロッカースイッチ５３００全体を露出させる状態とすることができる。これにより、オン・オフスイッチ操作を容易に遂行することが可能となるので好ましい。
【００５０】
上述したように実施形態で説明した取り付けスペーサ２００，５２００は例えば２．２ミリメートル程度の厚さとすることができる。また、スライド溝２１０，５２１０は、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００の板圧に対応させて、例えば０．５ミリメートル程度の厚さとすることができる。また、取り付けスペーサ２００，５２００の外縁は、波型ロッカースイッチ３００，５３００の鍔部３３０の外縁からはみ出ない程度に、同一またはより小さい大きさとできる。
【００５１】
また、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００は、波型ロッカースイッチ３００，５３００の最突出部をカバーできる程度の突出高さとできる。このため、波型ロッカースイッチ３００，５３００の周囲に追加的に必要となる空間が極めて小さくて済む。さらに、電子装置の筐体４００や波型ロッカースイッチ３００に対する追加的な加工や修正を要することなく、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００，５０００等を、既に取り付け済のロッカースイッチに後発的に追加して容易に設けることができる。
【００５２】
さらに、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００は、可撓性を有する例えば金属や樹脂等を成型等して作製することができる。波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００が可撓性を有することにより、その取り付け及び取り外しが容易となるので、好ましい。また、透明な材質で波型ロッカースイッチ用保護カバー１００，５１００を形成することで、波型ロッカースイッチ３００全体の可視化が図れるのでさらに好ましい。
【００５３】
図６は、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を設置する方法の概要を説明するフロー図である。図６に示す各フローに基づいて、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を設置する方法を以下に順次説明する。
【００５４】
（ステップＳ６１０）
波型ロッカースイッチ３００を筐体４００に取り付け済であるか否かを判断する。波型ロッカースイッチ３００を筐体４００に取り付け済である場合には、ステップＳ６２０へと進む。また、波型ロッカースイッチ３００を筐体４００に取り付け済でない場合には、ステップＳ６３０へと進む。
【００５５】
（ステップＳ６２０）
波型ロッカースイッチ３００を筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０から脱抜する。通常、波型ロッカースイッチ３００への電気的接続を形成するコネクタは、電子装置側の嵌合コネクタから脱抜可能に構成されている。このため、波型ロッカースイッチ３００を筐体４００から一時的に引き抜いても、再度挿入すれば元通り再接続されるので差し支えない。
【００５６】
（ステップＳ６３０）
波型ロッカースイッチ３００に、取り付けスペーサ２００を嵌め込む。取り付けスペーサ２００は、波型ロッカースイッチの返し部３４０の最突出部位を超えて鍔部３３０に当接するまで嵌め込むことが好ましい。
【００５７】
（ステップＳ６４０）
波型ロッカースイッチ３００と、嵌め込まれた取り付けスペーサ２００とを、筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０に嵌め込む。スイッチ取り付け孔４１０は、波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００を設置する場合でも、何ら追加的な加工を要することがなく使用できる。
【００５８】
（ステップＳ６５０）
波型ロッカースイッチ３００と、嵌め込まれた取り付けスペーサ２００とを、筐体４００のスイッチ取り付け孔４１０に、さらに奥へと押し込む。この場合に、「パチン」と嵌合音が鳴るなどして、筐体４００が、返し部３４０の最突出部位を超えて取り付けスペーサ２００に当接する状態まで、押し込むものとする。このため、取り付けスペーサ２００の厚さについては、取り付けスペーサ２００の厚さと筐体４００の厚さとを合算した値が、鍔部３３０から返し部３４０の最突出部位までの間隔を超えない程度とする。
【００５９】
（ステップＳ６６０）
波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の両端爪部１２０（ａ），１２０（ｂ）を広げて、両端爪部１２０がスライド溝２１０に嵌合するように、波型ロッカースイッチ３００の手前側から筐体４００側へと波型ロッカースイッチ用保護カバー１００を、取り付けスペーサ２００に嵌め込む。波型ロッカースイッチ用保護カバー１００が可撓性を有する材質で成型されていることにより、この作業は極めて容易に遂行可能となる。
【００６０】
（ステップＳ６７０）
波型ロッカースイッチ用保護カバー１００が、波型ロッカースイッチ３００の第一押圧部３１０と第二押圧部３２０とのいずれか一方に対応する位置にくるまで、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の滑り止め部１１０を上下方向に押しながらスライドさせる。
【００６１】
（ステップＳ６８０）
取り付けスペーサ２００の係止部２２０と、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００の係止孔１２１とが互いに係合する位置で停止させる。これにより、筐体４００に振動や衝撃が加わったり傾斜している場合等であっても、波型ロッカースイッチ用保護カバー１００が所望の位置で保持されて任意の押圧部を覆うこととなるので、誤操作を防止することができる。
【００６２】
上述した波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム１０００等は、各実施形態での説明に限定されることはなく、開示される技術思想のもと自明な範囲内で、適宜その構造や形状及び材料等を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【００６３】
本発明は、各種電子部品が実装されかつ電源スイッチを配置された電子装置等全般に幅広く適用できる。
【符号の説明】
【００６４】
１００・・波型ロッカースイッチ用保護カバー、１１０・・滑り止め部、１２０・・爪部、２００・・取り付けスペーサ、２１０・・スライド溝、３００・・波型ロッカースイッチ、３１０・・第一押圧部、３２０・・第二押圧部、４００・・筐体、１０００・・波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
両端爪部を除いて断面略コの字状であって、波型ロッカースイッチの鍔部と、前記波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に前記両端爪部が配置され、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能であり、前記波型ロッカースイッチの押圧部の少なくとも一部を覆う
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバー。
【請求項２】
請求項１に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーにおいて、
前記スライド動作を容易とするように、前面に滑り止め部を備える
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバー。
【請求項３】
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーを取り付けるための略ロの字状のスペーサであって、
前記波型ロッカースイッチの鍔部と、前記波型ロッカースイッチが取り付けられる前記筐体との間に配置され、
前記鍔部と前記筐体との間に前記両端爪部が配置される空間を生成するとともに、前記両端爪部のスライド動作可能領域を制限する
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項４】
請求項３に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記鍔部と前記筐体との間に配置された状態で、前記鍔部の外縁から突出しない
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項５】
請求項３または請求項４に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備える
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項６】
請求項３または請求項４に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部が嵌め込まれる切り欠き部を、対向する一対の側面に備える
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項７】
請求項５または請求項６に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーを前記押圧部に対応する位置で保持するように、前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部を係止する係止部を備える
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項８】
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、
請求項３乃至請求項７のいずれか一項に記載の取り付けスペーサと、
を備えることを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム。
【請求項９】
請求項３乃至請求項７のいずれか一項に記載の取り付けスペーサを、前記筐体と前記波型ロッカースイッチの鍔部との間に挟持するように、前記筐体のスイッチ取り付け孔に前記波型ロッカースイッチを嵌め込む工程と、
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部を広げるようにして、前記波型ロッカースイッチの一部を覆いながら、前記取り付けスペーサと前記両端爪部とを係合させる工程と、を有する
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムの取り付け方法。
【請求項１０】
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、
請求項３に記載の取り付けスペーサと、を備え
前記取り付けスペーサは、前記波型ロッカースイッチの長手方向の少なくとも一方向に延伸した形状であり、前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備え、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーは、前記延伸方向に、前記波型ロッカースイッチの前記押圧部を覆わない位置にまでスライド可能とされる
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム。
【請求項１】
両端爪部を除いて断面略コの字状であって、波型ロッカースイッチの鍔部と、前記波型ロッカースイッチが取り付けられる筐体との間に前記両端爪部が配置され、波型ロッカースイッチの長手方向にスライド動作可能であり、前記波型ロッカースイッチの押圧部の少なくとも一部を覆う
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバー。
【請求項２】
請求項１に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーにおいて、
前記スライド動作を容易とするように、前面に滑り止め部を備える
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバー。
【請求項３】
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーを取り付けるための略ロの字状のスペーサであって、
前記波型ロッカースイッチの鍔部と、前記波型ロッカースイッチが取り付けられる前記筐体との間に配置され、
前記鍔部と前記筐体との間に前記両端爪部が配置される空間を生成するとともに、前記両端爪部のスライド動作可能領域を制限する
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項４】
請求項３に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記鍔部と前記筐体との間に配置された状態で、前記鍔部の外縁から突出しない
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項５】
請求項３または請求項４に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備える
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項６】
請求項３または請求項４に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部が嵌め込まれる切り欠き部を、対向する一対の側面に備える
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項７】
請求項５または請求項６に記載の取り付けスペーサにおいて、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーを前記押圧部に対応する位置で保持するように、前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの両端爪部を係止する係止部を備える
ことを特徴とする取り付けスペーサ。
【請求項８】
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、
請求項３乃至請求項７のいずれか一項に記載の取り付けスペーサと、
を備えることを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム。
【請求項９】
請求項３乃至請求項７のいずれか一項に記載の取り付けスペーサを、前記筐体と前記波型ロッカースイッチの鍔部との間に挟持するように、前記筐体のスイッチ取り付け孔に前記波型ロッカースイッチを嵌め込む工程と、
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部を広げるようにして、前記波型ロッカースイッチの一部を覆いながら、前記取り付けスペーサと前記両端爪部とを係合させる工程と、を有する
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバーシステムの取り付け方法。
【請求項１０】
請求項１または請求項２に記載の波型ロッカースイッチ用保護カバーと、
請求項３に記載の取り付けスペーサと、を備え
前記取り付けスペーサは、前記波型ロッカースイッチの長手方向の少なくとも一方向に延伸した形状であり、前記波型ロッカースイッチ用保護カバーの前記両端爪部が嵌め込まれるスライド溝を、対向する一対の側面に備え、
前記波型ロッカースイッチ用保護カバーは、前記延伸方向に、前記波型ロッカースイッチの前記押圧部を覆わない位置にまでスライド可能とされる
ことを特徴とする波型ロッカースイッチ用保護カバーシステム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１２−１５０９７４（Ｐ２０１２−１５０９７４Ａ）
【公開日】平成２４年８月９日（２０１２．８．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−８４３０（Ｐ２０１１−８４３０）
【出願日】平成２３年１月１９日（２０１１．１．１９）
【出願人】（０００２３７６６２）富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月９日（２０１２．８．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月１９日（２０１１．１．１９）
【出願人】（０００２３７６６２）富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]