説明

波形ロッカースイッチとそのロッカーと波形ロッカースイッチのオンオフ切替方法

【課題】簡易かつ軽量コンパクトでありながら、誤操作を防止することが可能な波形ロッカースイッチを提供すること目的とする。
【解決手段】波形スイッチのオンオフ切替動作が入力されるオンオフ切替押圧部と、波形スイッチのオンオフ切替動作を抑止する切替動作抑止部と、オンオフ切替押圧部へのオンオフ切替動作作用と異なる向きの抑止解除動作が作用されて切替動作抑止部の抑止を解除する抑止解除動作作用部とを備える波形スイッチのロッカーとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤操作を防止する波形ロッカースイッチとそのロッカーと波形ロッカースイッチのオンオフ切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置等の電源投入用スイッチとして、波形ロッカースイッチが多用される。波形ロッカースイッチは、トグルスイッチやプッシュスイッチ、キースイッチ等に比較して、外観や構造、大きさの点で一般OA事務機器に向くとされている。
【0003】
波形ロッカースイッチは、突起部が比較的少なくデザイン性にも優れており、比較的安価かつ馴染みやすい操作感覚を有している。このため、日常的にスイッチ操作される一般OA事務機器に用いられ、また操作性向上の観点から比較的操作し易い箇所に波形ロッカースイッチが配置される場合もある。
【0004】
また、スイッチ操作者に対する操作性の向上と、それに伴う誤操作による予期せぬ電源投入・切断の切替誤動作の防止とを両立する目的で、種々の誤操作を防止する手段が提案されている。
【0005】
例えば下記特許文献1には、誤操作を防止するために操作ロックレバーを設けた波形スイッチが開示されている。また、特許文献1には、スイッチを操作する場合に、操作者が操作ロックレバーを押し上げてスイッチ操作することが記載されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、スイッチ操作部に略半分を覆う摺動可能なカバーを備えた誤操作防止カバー付波形スイッチが提案されている。また、特許文献2には、スイッチを操作する場合に、操作者がカバーを摺動させて操作面を露出させた上でスイッチ操作することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−216484号公報
【特許文献2】実開平5−17881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、誤操作を防止する従来の波形ロッカースイッチは、いずれも複数の部品に対する加工が必要であり構造が複雑であるので、比較的高価かつ比較的大型化する傾向にあった。そこで、簡易かつ軽量コンパクトでありながら、誤操作を防止することが可能な波形ロッカースイッチが望まれるところであった。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑み為されたものであり、簡易かつ軽量コンパクトでありながら、誤操作を防止することが可能な波形ロッカースイッチを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる波形スイッチのロッカーは、波形スイッチのオンオフ切替動作が入力されるオンオフ切替押圧部と、波形スイッチのオンオフ切替動作を抑止する切替動作抑止部と、オンオフ切替押圧部へのオンオフ切替動作作用と異なる向きの抑止解除動作が作用されて切替動作抑止部の抑止を解除する抑止解除動作作用部とを備える。
【0011】
また、この発明にかかる波形スイッチのロッカーは、好ましくは抑止解除動作作用部が、切替動作抑止部に備えられてもよい。
【0012】
また、この発明にかかる波形スイッチのロッカーは、さらに好ましくは切替動作抑止部が、オンオフ切替押圧部が押圧状態でない場合に、ロッカーを内装するスイッチケースの内縁に対して凸状態となってオンオフ切替押圧部の押圧動作を抑止し、抑止解除動作作用により、スイッチケースの内縁に対する凸状態を解除してスイッチケース内に嵌挿可能となってもよい。
【0013】
また、この発明にかかる波形スイッチのロッカーは、さらに好ましくは切替動作抑止部が、スイッチケースの内縁と対向する対向面に設けられる踏切板状弾性部材であってもよい。
【0014】
また、この発明にかかる波形スイッチのロッカーは、さらに好ましくは切替動作抑止部が、スイッチケースの内縁と対向する対向面に設けられ、自由状態において突出し、抑止解除動作入力により対向面に嵌挿されてもよい。
【0015】
また、この発明にかかる波形ロッカースイッチは、上述に記載のロッカーを備えることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる波形ロッカースイッチのオンオフ切替方法は、ロッカースイッチのオンオフを切替える場合に、ロッカーに対して、オンオフ切替押圧部を押圧する押圧力と、オンオフ切替押圧部への押圧力と異なる向きの抑止解除力とを付与する工程を有する。
【発明の効果】
【0017】
簡易かつ軽量コンパクトでありながら、誤操作を防止することが可能な波形ロッカースイッチを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態にかかる波形ロッカースイッチの外観を説明する概念図である。
【図2】波形ロッカースイッチを斜めから観察した状態を説明する斜視図である。
【図3】波形ロッカースイッチのA−A′断面を説明する断面図である。
【図4】従来の波形ロッカースイッチについて簡単に説明する概念図である。
【図5】第二の実施形態にかかる波形ロッカースイッチの構成を説明する模式図である。
【図6】第三の実施形態にかかる波形ロッカースイッチの構成を説明する模式図である。
【図7】第四の実施形態にかかる波形ロッカースイッチの概要を説明する模式図である。
【図8】第五の実施形態にかかる波形ロッカースイッチの構成を説明する模式図である。
【図9】第六の実施形態にかかる波形ロッカースイッチの構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電子機器装置の製造業者は、装置の電源スイッチなどが操作者の意思に反した誤操作により投入・切断される状況を想定し、これを防止するために種々の対策を講じている。例えば、予期せぬ原因でスイッチ部分に物体が衝突し、その衝撃またはその押圧力でスイッチがオフ(電源断状態)、またはスイッチがオン(電源投入状態)となる場合も想定される。
【0020】
予期せぬスイッチの切替を防止するために、装置スイッチ部の装置構造を凹まして、物体がスイッチ部分に接触し難くするなどの対策が講じられる。しかし、このような対策は、誤操作の機会を低減させることができるものの、根本的な対応とはいうことはできない。そこで、安価かつ軽量コンパクトでありながらより確実に誤操作を防止可能な波形ロッカースイッチが望まれる。
【0021】
実施形態で説明する波形ロッカースイッチは、従来のロッカーを、典型的には一体成形されたストッパー片を備えたロッカーへと交換するだけで、その余の構成部品等には加工や追加付属品を要することなく、誤操作を防止することができるものとなる。ストッパー片は、ロッカーとスイッチケースとが対向するロッカーの側面に、スイッチ押圧動作が抑止されるように設ける。ストッパー片は、切替動作抑止部に対応する。
【0022】
実施形態で説明する波形ロッカースイッチは、パネルタイプのロッカースイッチにも好適であり、取り付け部や取り付け部材等には変更や加工を要することなく、誤操作を防止できる。なお、ロッカーとは後述するように、スイッチ操作部を構成する部材である。
【0023】
(第一の実施形態)
図1は、第一の実施形態にかかる波形ロッカースイッチ100(1)の外観を説明する概念図である。図1(a)と図1(b)とは、各々スイッチ押圧状態がオンまたはオフで相互に異なるオン状態またはオフ状態を説明する図である。
【0024】
図1において、波形ロッカースイッチ100(1)は、スイッチ操作者のオンオフ操作により動作するロッカー110(1)を備える。ロッカー110(1)は、スイッチ操作者の押圧動作を受ける第一オンオフ切替押圧部115a(1)と第二オンオフ切替押圧部115b(1)とを備える。第一オンオフ切替押圧部115a(1)と第二オンオフ切替押圧部115b(1)とは、いずれか一方が凸である場合に他方が凹となるように動作する。
【0025】
スイッチ操作者は、第一オンオフ切替押圧部115a(1)と第二オンオフ切替押圧部115b(1)との凸側となるいずれか一方を押圧することで、波形ロッカースイッチ100(1)のオンとオフとを切り替えることができる。また、波形ロッカースイッチ100(1)は、オンオフ切替動作を抑止する第一切替動作抑止部140a(1)と第二切替動作抑止部140b(1)を備える。
【0026】
また、ロッカー110(1)は、スイッチケース120の中に内装される。また、スイッチケース120の背面側には、複数の電極端子130が突出して設けられる。図1(a)に示すように、第一切替動作抑止部140a(1)は板バネ状の形状を有する。
【0027】
第一切替動作抑止部140a(1)は、第二切替動作抑止部140b(1)がスイッチケース120の中に収納された状態において、スイッチケース120の内縁121に板バネ状の一端が掛かるように突出する。板バネ状の第一切替動作抑止部140a(1)の多端は、ロッカー110(1)の第一オンオフ切替押圧部115a(1)近傍において、ロッカー110(1)上面と一体的に成形される。
【0028】
また、第二切替動作抑止部140b(1)は、第一切替動作抑止部140a(1)がスイッチケース120の中に収納された状態において、スイッチケース120の内縁122に板バネ状の一端が掛かるように突出する。板バネ状の第二切替動作抑止部140b(1)の多端は、ロッカー110(1)の第二オンオフ切替押圧部115b(1)近傍において、ロッカー110(1)の上面と一体的に成形される。
【0029】
すなわち、第一切替動作抑止部140a(1)と第二切替動作抑止部140b(1)とが、各々押圧されてスイッチケース120内に収納される場合には、各板バネが縮んだ状態となって内縁121,122の内側に収納される。また、第一切替動作抑止部140a(1)と第二切替動作抑止部140b(1)とは、スイッチケース120内から露出する場合には、板バネが伸びた状態となって内縁121,122の外側に突出する。
【0030】
図2は、波形ロッカースイッチ100(1)を斜めから観察した状態を説明する斜視図である。図2に示すように、ロッカー110(1)は、押圧上面210から連続した板バネ状の第一切替動作抑止部140a(1)と第二切替動作抑止部140b(1)とを備える。
【0031】
また、図3は、図1(a)に示す波形ロッカースイッチ100(1)のA−A′断面を説明する断面図である。図3において、ロッカー110(1)は、スイッチケース310a(1)に嵌挿される。また、ロッカー110(1)は、ロッカー支点330を中心に所定の回動範囲内で回動する。
【0032】
また、ロッカー110(1)は、押しバネ340により、押し棒350を介して可動片360に対して相対的に所定の押圧力を加えられる。この相対的な所定の押圧力により、可動片360は、接点370と確実に接触することができる。なお、可動片360は、共通端子390の支点395を中心に、一定の回動範囲内で回動して、二つの接点370のいずれか一方と共通端子390との間の電気的接続を担う。
【0033】
二つの接点370は、各々固定電極端子380a,380bと電気的に接続される。また、固定電極端子380a,380bには、不図示の外部配線が接続される。図3において、ロッカー110(1)の上面にある第一オンオフ切替押圧部115a(1)には、スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられる。
【0034】
スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられても、図3に示すように、第一切替動作抑止部140a(1)の下端が、スイッチケース310a(1)の内縁320a(1)に対してストッパーとなることから、このままでは波形ロッカースイッチ100(1)のオンオフ切替えはできない。
【0035】
そこで、スイッチ操作者は、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fを抑止解除動作作用部145a(1)に加える。第一切替動作抑止部140a(1)は、スイッチ操作者が抑止解除動作作用部145a(1)に抑止解除力Fを加えることで、第一切替動作抑止部140a(1)の下端とスイッチケース310a(1)の内縁320a(1)との間でのストッパーが解除される。これにより、第一切替動作抑止部140a(1)は、スイッチケース310a(1)の内縁320a(1)内側に収納可能となる。
【0036】
また、図3に示す状態では、第二切替動作抑止部140b(1)は、スイッチケース310b(1)の内縁320b(1)に収納されている。スイッチ操作者が、押圧力Fと抑止解除力Fとをロッカー110(1)に加えることにより、オンオフ切替動作がされると、第二切替動作抑止部140b(1)が、外方に展開してスイッチケース310b(1)の内縁320b(1)の外部へと突出する。これにより、第二切替動作抑止部140b(1)の下端が、内縁320b(1)に対してストッパーとなる。
【0037】
ここで、比較のために従来の波形ロッカースイッチについて簡単に説明する。図4は、従来の波形ロッカースイッチ400について簡単に説明する概念図である。図4に示すように、波形ロッカースイッチ400は押圧力Fが加わることで、容易にオンオフが切り替わることが可能である。また、押圧力Fが何に起因するかを問わずに切り替わるので、予期せぬ衝撃や予期せぬ接触等によりオンオフが切り替わることとなる。
【0038】
上述したように、波形ロッカースイッチ100(1)は、スイッチ操作者が押圧力Fと、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fとの二つの力をロッカー110(1)に加えた場合にオンオフ切替え動作ができる。このため、波形ロッカースイッチ100(1)は、予期せぬ衝撃や予期せぬ接触等によりオンオフが切り替わることを抑止し、スイッチ操作者の確実なオンオフ切替え意図に基づいて切替え動作することができる。
【0039】
また、波形ロッカースイッチ100(1)は、スイッチ操作者が片手で押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fとの二つの力をロッカー110(1)に加えることが可能であるので、操作性の点においても優れる。また、波形ロッカースイッチ100(1)は、ロッカー110(1)のみの形状変更で対応可能であるので、他の部品等への加工や組み立て変更等を要さず、安価かつ軽量で簡易な構成となる。
【0040】
なお、波形ロッカースイッチ100(1)は、第一切替動作抑止部140a(1)と第二切替動作抑止部140b(1)とを共に備えてもよく、いずれか一方のみを備えてもよい。
【0041】
(第二の実施形態)
図5は、第二の実施形態にかかる波形ロッカースイッチ100(2)の構成を説明する模式図である。図5においては、図3と対応する部位には対応する符号を付して、説明の重複を避けるためにここではその説明を簡便にすることとする。
【0042】
図5において、ロッカー110(2)は、スイッチケース310a(1)に嵌挿される。また、ロッカー110(2)は、ロッカー支点330を中心に所定の回動範囲内で回動する。
【0043】
また、ロッカー110(2)の上面にある第一オンオフ切替押圧部115a(2)には、スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられる。スイッチ操作者からの押圧力Fが第一オンオフ切替押圧部115a(2)に加えられても、図5に示すように、第一切替動作抑止部140a(2)の外側段差部が、スイッチケース310a(1)の内縁320a(1)に対して引っ掛かりストッパーとなることから、このままでは波形ロッカースイッチ100(2)のオンオフ切替えはできない。
【0044】
そこで、スイッチ操作者は、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fを抑止解除動作作用部145a(2)に加える。第一切替動作抑止部140a(2)は、スイッチ操作者が抑止解除動作作用部145a(2)に抑止解除力Fを加えることで、第一切替動作抑止部140a(2)の外側段差部とスイッチケース310a(1)の内縁320a(1)とによるストッパーが解除される。これにより、第一切替動作抑止部140a(2)は、スイッチケース310a(1)の内縁320a(1)内側に収納可能となる。
【0045】
また、図5には示していないが、第二切替動作抑止部140b(2)を設けてもよい。第二切替動作抑止部140b(2)は、スイッチケース310b(1)の内縁320b(1)に収納される。スイッチ操作者が、押圧力Fと抑止解除力Fとをロッカー110(2)に加えることによりオンオフ切替動作がされると、第二切替動作抑止部140b(2)が、外方に展開してスイッチケース310b(1)の内縁320b(1)の外部へと突出する。これにより、第二切替動作抑止部140b(2)の外側段差部が、内縁320b(1)に対してストッパーとなる。
【0046】
なお、波形ロッカースイッチ100(2)は、第一切替動作抑止部140a(2)と第二切替動作抑止部140b(2)とを共に備えてもよく、いずれか一方のみを備えてもよい。
【0047】
(第三の実施形態)
図6は、第三の実施形態にかかる波形ロッカースイッチ100(3)の構成を説明する模式図である。図6においては、図3,図5と対応する部位には対応する符号を付して、説明の重複を避けるためにここではその説明を簡便にすることとする。
【0048】
図6において、ロッカー110(3)は、スイッチケース310a(1)に嵌挿される。また、ロッカー110(3)は、ロッカー支点330を中心に所定の回動範囲内で回動する。
【0049】
また、ロッカー110(3)の上面にある第一オンオフ切替押圧部115a(3)には、スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられる。スイッチ操作者からの押圧力Fが第一オンオフ切替押圧部115a(2)に加えられても、図6に示すように、第一切替動作抑止部140a(3)の外側段差部が、スイッチケース310a(1)の内縁320a(1)に対して引っ掛かりストッパーとなることから、このままでは波形ロッカースイッチ100(3)のオンオフ切替えはできない。
【0050】
そこで、スイッチ操作者は、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fを抑止解除動作作用部145a(3)に加える。第一切替動作抑止部140a(3)は、スイッチ操作者が抑止解除動作作用部145a(3)に抑止解除力Fを加えることで、第一切替動作抑止部140a(3)の外側段差部とスイッチケース310a(1)の内縁320a(1)との間でのストッパーが解除される。これにより、第一切替動作抑止部140a(3)は、スイッチケース310a(1)の内縁320a(1)内側に収納可能となる。
【0051】
また、図6には示していないが、第二切替動作抑止部140b(3)を設けてもよい。第二切替動作抑止部140b(3)は、スイッチケース310b(1)の内縁320b(1)に収納される。スイッチ操作者が、押圧力Fと抑止解除力Fとをロッカー110(3)に加えることによりオンオフ切替動作がされると、第二切替動作抑止部140b(3)が、外方に展開してスイッチケース310b(1)の内縁320b(1)の外部へと突出する。これにより、第二切替動作抑止部140b(3)の外側段差部が、内縁320b(1)に対してストッパーとなる。
なお、波形ロッカースイッチ100(3)は、第一切替動作抑止部140a(3)と第二切替動作抑止部140b(3)とを共に備えてもよく、いずれか一方のみを備えてもよい。
【0052】
(第四の実施形態)
図7は、第三の実施形態にかかる波形ロッカースイッチ100(4)の構成を説明する模式図である。図7においては、図3,図5,図6と対応する部位には対応する符号を付して、説明の重複を避けるためにここではその説明を簡便にすることとする。
【0053】
図7において、ロッカー110(4)は、スイッチケース310に嵌挿される。また、ロッカー110(4)は、所定の回動範囲内で回動する。
【0054】
また、ロッカー110(4)の上面にある不図示の第一オンオフ切替押圧部には、スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられる。スイッチ操作者からの押圧力Fが第一オンオフ切替押圧部に加えられても、図7に示すように、第一切替動作抑止部710aと第二切替動作抑止部710bとの外側段差部が、スイッチケース310の内縁320(4)に対して引っ掛かりストッパーとなることから、このままでは波形ロッカースイッチ100(4)のオンオフ切替えはできない。
【0055】
そこで、スイッチ操作者は、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fを不図示の抑止解除動作作用部に加える。第一切替動作抑止部710aと第二切替動作抑止部710bとは、スイッチ操作者が抑止解除動作作用部に抑止解除力Fを加えることで、第一切替動作抑止部710aと第二切替動作抑止部710bとの外側下端と、スイッチケース310の内縁320(4)との間でのストッパーが解除される。これにより、第一切替動作抑止部710aと第二切替動作抑止部710bとは、スイッチケース310の内縁320(4)内側に収納可能となる。
【0056】
また、図7には示していないが、図7で内縁320(4)内側に挿入されて隠れているロッカー110(4)の側面に、第一切替動作抑止部710aと第二切替動作抑止部710bとを設けてもよい。波形ロッカースイッチ100(4)は、第一切替動作抑止部710aと第二切替動作抑止部710bとを共に備えてもよく、いずれか一方のみを備えてもよい。また、内縁320(4)内側に挿入され得るロッカー110(4)の四つの側面のうち、少なくとも一つの側面に切替動作抑止部を設けてもよく、全ての側面に切替動作抑止部を設けてもよい。
【0057】
(第五の実施形態)
図8は、第五の実施形態にかかる波形ロッカースイッチ100(5)の構成を説明する模式図である。図7においては、図3,図5,図6,図7と対応する部位には対応する符号を付して、説明の重複を避けるためにここではその説明を簡便にすることとする。
【0058】
図8において、ロッカー110(5)は、スイッチケース310a(2)に嵌挿される。また、ロッカー110(5)は、ロッカー支点330を中心に所定の回動範囲内で回動する。スイッチケース310a(2)の内壁は、内縁320a(2)にかけて段差のないスロープ状に形成してもよい。
【0059】
また、ロッカー110(5)の上面にある第一オンオフ切替押圧部115a(5)には、スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられる。スイッチ操作者からの押圧力Fが第一オンオフ切替押圧部115a(5)に加えられても、図8に示すように、第一切替動作抑止部140a(5)が、スイッチケース310a(2)の内縁320a(2)に対して引っ掛かりストッパーとなることから、このままでは波形ロッカースイッチ100(5)のオンオフ切替えはできない。
【0060】
第一切替動作抑止部140a(5)は、ロッカー110(5)の側面に設けられた挿入孔にバネ等による力で側面から突出可能に係止されてもよい。また、第一切替動作抑止部140a(5)は、ロッカー110(5)の任意の側面に、任意の数だけ設けてもよい。
【0061】
そこで、スイッチ操作者は、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fを抑止解除動作作用部145a(5)に加える。第一切替動作抑止部140a(5)は、スイッチ操作者が抑止解除動作作用部145a(5)に抑止解除力Fを加えることで、第一切替動作抑止部140a(5)とスイッチケース310a(2)の内縁320a(2)との間でのストッパーが解除される。これにより、第一切替動作抑止部140a(5)は、スイッチケース310a(2)の内縁320a(2)内側に収納可能となる。
【0062】
また、図8には示していないが、第二切替動作抑止部140b(5)を設けてもよい。第二切替動作抑止部140b(5)は、スイッチケース310b(2)の内縁320b(2)に収納される。スイッチ操作者が、押圧力Fと抑止解除力Fとをロッカー110(5)に加えることによりオンオフ切替動作がされると、第二切替動作抑止部140b(5)が、外方に展開してスイッチケース310b(2)の内縁320b(2)の外部へと突出する。これにより、第二切替動作抑止部140b(5)が、内縁320b(2)に対してストッパーとなる。
【0063】
なお、波形ロッカースイッチ100(5)は、第一切替動作抑止部140a(5)と第二切替動作抑止部140b(5)とを共に備えてもよく、いずれか一方のみを備えてもよい。
【0064】
(第六の実施形態)
図9は、第六の実施形態にかかる波形ロッカースイッチ100(6)の構成を説明する模式図である。図9においては、上述した図8等と対応する部位には対応する符号を付して、説明の重複を避けるためにここではその説明を簡便にすることとする。
【0065】
図9において、ロッカー110(6)は、スイッチケース310a(2)に嵌挿される。また、ロッカー110(6)は、ロッカー支点330を中心に所定の回動範囲内で回動する。
【0066】
また、ロッカー110(6)の上面にある第一オンオフ切替押圧部115a(6)には、スイッチ操作者からの押圧力Fが加えられる。スイッチ操作者からの押圧力Fが第一オンオフ切替押圧部115a(6)に加えられても、図9に示すように、第一切替動作抑止部140a(6)が、スイッチケース310a(2)の内縁320a(2)に対して引っ掛かりストッパーとなることから、このままでは波形ロッカースイッチ100(6)のオンオフ切替えはできない。
【0067】
第一切替動作抑止部140a(6)は、ロッカー110(6)の側面に設けられた挿入孔にバネ930等による力で側面から突出可能に係止されてもよい。また、第一切替動作抑止部140a(6)は、ロッカー110(6)の任意の側面に、任意の数だけ設けてもよい。
【0068】
そこで、スイッチ操作者は、押圧力Fと異なる向きの抑止解除力Fを抑止解除動作作用部145a(6)に加える。図9においては、リング状の引き輪910が、抑止解除動作作用部145a(6)を有することとなる。リング状の引き輪910は、第一オンオフ切替押圧部115a(6)に近接して配置され、ワイヤ920等により第一切替動作抑止部140a(6)と連接される。すなわち、リング状の引き輪910を引き挙げると、バネ930の伸び力に抗して第一切替動作抑止部140a(6)がロッカー110(6)内に収納される。
【0069】
第一切替動作抑止部140a(6)は、スイッチ操作者が抑止解除動作作用部145a(6)に抑止解除力Fを加えることで、第一切替動作抑止部140a(6)とスイッチケース310a(2)の内縁320a(2)との間でのストッパーが解除される。これにより、第一切替動作抑止部140a(6)は、スイッチケース310a(2)の内縁320a(2)内側に収納可能となる。
【0070】
また、図9には示していないが、第二切替動作抑止部140b(6)を設けてもよい。第二切替動作抑止部140b(6)は、スイッチケース310b(2)の内縁320b(2)に収納される。スイッチ操作者が、押圧力Fと抑止解除力Fとをロッカー110(6)に加えることによりオンオフ切替動作がされると、第二切替動作抑止部140b(6)が、外方に展開してスイッチケース310b(2)の内縁320b(2)の外部へと突出する。これにより、第二切替動作抑止部140b(6)が、内縁320b(2)に対してストッパーとなる。
【0071】
なお、波形ロッカースイッチ100(6)は、第一切替動作抑止部140a(6)と第二切替動作抑止部140b(6)とを共に備えてもよく、いずれか一方のみを備えてもよい。
【0072】
上述した波形ロッカースイッチ100は、実施形態での説明に限定されることはなく、自明な範囲でその構成を変更して用いることができる。また、各実施形態で説明した波形ロッカースイッチ100は、各々の実施形態での説明に限定されることはなく、適宜組み合わせまたは取捨選択適用して用いてもよい。
【0073】
各実施形態で説明した波形ロッカースイッチ100は、簡易な構造で安価かつ小型・軽量にスイッチの誤操作を抑止することが可能であるので好ましい。また、波形ロッカースイッチ100は、スイッチ操作者によるスイッチ操作性を損なうことなく、片手のワンモーションでスイッチ操作することが可能であるので好ましい。また、上述の各波形ロッカースイッチ100は、スイッチ操作者からの異なる2方向の力が加わると、オンオフ切り替え動作が可能となるので、予期せぬ誤動作を抑止しスイッチ操作者の確実な操作意図に基づいた動作が可能となる。
【0074】
また、波形ロッカースイッチ100は、ポリアセタール(POM)で作成してもよい。ポリアセタールは、機械的強度に優れ耐摩耗性に優れると共に、繰り返し荷重に耐える特性を有する。また、優れた弾性を有することから切替動作抑止部の構成部材として好適である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、通信機器等の電子機器装置や照明用の電源スイッチ等の誤操作防止に利用できる。
【符号の説明】
【0076】
100(1)・・波形ロッカースイッチ,110(1)・・ロッカー、120・・スイッチケース、122・・内縁、130・・電極端子、115a(1)・・第一オンオフ切替押圧部、140a(1)・・第一切替動作抑止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形スイッチのオンオフ切替動作が入力されるオンオフ切替押圧部と、前記波形スイッチのオンオフ切替動作を抑止する切替動作抑止部と、前記オンオフ切替押圧部へのオンオフ切替動作作用と異なる向きの抑止解除動作が作用されて前記切替動作抑止部の抑止を解除する抑止解除動作作用部と、を備える
ことを特徴とする波形スイッチのロッカー。
【請求項2】
請求項1に記載の波形スイッチのロッカーにおいて、
前記抑止解除動作作用部は、前記切替動作抑止部に備えられる
ことを特徴とする波形スイッチのロッカー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の波形スイッチのロッカーにおいて、
前記切替動作抑止部は、
前記オンオフ切替押圧部が押圧状態でない場合に、前記ロッカーを内装するスイッチケースの内縁に対して凸状態となって前記オンオフ切替押圧部の押圧動作を抑止し、前記抑止解除動作作用により、前記スイッチケースの内縁に対する凸状態を解除して前記スイッチケース内に嵌挿可能となる
ことを特徴とする波形スイッチのロッカー。
【請求項4】
請求項3に記載の波形スイッチのロッカーにおいて、
前記切替動作抑止部は、前記スイッチケースの内縁と対向する対向面に設けられる踏切板状弾性部材である
ことを特徴とする波形スイッチのロッカー。
【請求項5】
請求項3に記載の波形スイッチのロッカーにおいて、
前記切替動作抑止部は、前記スイッチケースの内縁と対向する対向面に設けられ、自由状態において突出し、前記抑止解除動作入力により前記対向面に嵌挿される
ことを特徴とする波形スイッチのロッカー。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のロッカーを備える波形ロッカースイッチ。
【請求項7】
請求項6に記載の波形ロッカースイッチのオンオフ切替方法であって、
前記ロッカースイッチのオンオフを切替える場合に、
前記ロッカーに対して、
前記オンオフ切替押圧部を押圧する押圧力と、前記オンオフ切替押圧部への押圧力と異なる向きの前記抑止解除力とを付与する工程
を有することを特徴とする波形ロッカースイッチのオンオフ切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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