説明

泥落とし装置及び農業機械

【課題】軟弱地盤における車両の走行性が損なわれることなく車輪に付着された泥土が掻き落とされる泥落とし装置及び農業機械の提供。
【解決手段】車輪102に付着した泥を掻き落とす泥掻体10を有する排泥部材6と、この排泥部材6を支持する支持部材5とを備えた泥落とし装置1である。排泥部材6は、車輪102の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体11を備えている。弾性体11は、コイルスプリングとされている。泥落とし装置1は、泥掻体10の位置が調整されうる位置決め調整機構を備えている。排泥部材6は、弾性体11と、この弾性体11の端部に取り付けられた泥掻体10とを備えている。弾性体が泥掻体とされていてもよい。弾性体が支持部材の側から車輪の赤道面に向かって軸方向に延びていてもよい。泥落とし装置1は、あらゆる農業機械に装着されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥落とし装置及び農業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
田植機では、水田等の軟弱な地盤において安定した推進性が確保されるために、環状のリムにゴム材料のような弾性材料が被覆されて形成される弾性輪体を備えた車輪が用いられる。この弾性輪体の外周面及び側面には、車輪の周方向に一定間隔でラグが配置される。このような車輪は、ラグを備えることにより、前進又は後進に必要とされる牽引力及び浮力を発生するように構成されている。
【0003】
ラグには、車輪の側方に大きく突出する羽根ラグ、側方への突出量が羽根ラグに比べて抑えられた三角ラグ、車輪赤道面に配列される台形ラグ等がある。
【0004】
田植機が軟弱な地盤を走行すると、その車輪の側面に、泥土が付着してしまう。特に、羽根ラグは、泥土が付着しやすい傾向にある。車輪は回転しているので、この車輪に付着した状態で泥土は上方に持ち上げられる。上方に持ち上げられた泥土は、その自重により落下する場合がある。落下した泥土によって、植え付けられたばかりの苗に、泥かぶり、折れ及び倒れが生じてしまう。車輪に泥土が付着した状態で田植機が舗装道路を走行すると、道路が汚されてしまう場合もある。車輪に付着した状態で泥土が乾燥すると、洗車時にこの泥土を除去することが困難になる場合もある。田植機以外の農業機械においても、同様の問題がある。
【0005】
左右の羽根ラグの泥はけ性と牽引力とのバランスが考慮された農用車輪が、特開2002−347404公報に開示されている。この車輪では、左右の羽根ラグの車軸方向の突出量が同一又は略同一とされている。そして、その弾性変形量又は弾性撓み量の大きなラグと小さなラグとが周方向に左右交互に配列されている。この弾性変形量及び弾性撓み量はラグの周方向厚みで制御される。この農用車輪では、左右の羽根ラグの弾性変形量又は弾性撓み量の差によって、泥土が振り落とされる構成とされている。
【0006】
車輪の回転を利用することにより、この車輪に付着した泥土が掻き落とされる泥落とし装置が、特開2001−80473公報に開示されている。この装置は、車輪の前後左右が取り囲まれうる大きな枠体を備えている。この枠体の前部及び後部は、車輪のトレッド面に付着した泥土を掻き落とす。そして、この枠体の側面内側には弾性材からなるブレードが固定されており、このブレードが車輪の側面に付着した泥土を掻き落とす。
【特許文献1】特開2002−347404公報
【特許文献2】特開2001−80473公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2002−347404公報に記載の農用車輪では、左右の羽根ラグの弾性変形量又は弾性撓み量の差によって、泥土が振り落とされる構成とされている。このようなラグの構成では、泥土の除去効果に確実性がないという問題がある。車輪の側方への突出が羽根ラグよりも抑えられている三角ラグ、及び、この突出がほとんどない台形ラグを備えた車輪では、左右のラグの弾性変形量又は弾性撓み量に差が生じないので、この差が利用されることによる泥土の除去はできない。従って、この車輪では、前述したような泥土の付着による問題が解消されない。
【0008】
特開2001−80473公報の泥落とし装置に備えられる枠体は、車輪の外径よりも大きくなければならない。このため、この装置の構成は、極めて大掛かりなものになってしまう。この装置が取り付けられた田植機では、車両質量が増えるので、水田のような軟弱地盤における走行性が低下してしまう。
【0009】
特開2001−80473公報に記載の装置では、掻き取られた泥土が枠体の前後の部分に付着堆積する。この付着堆積によって、泥土の塊が形成されてしまう。枠体が車輪の外径に対応した構成とされているので、この枠体は車輪の車軸と同等の高さに取り付けられる。このため、泥土の塊は、車軸と同等の高さ位置に形成されてしまう。この泥土の塊が、この高さ位置から落下してしまう場合がある。このようにして落下する泥土には勢いがあるので、植え付けられた苗の折れ及び倒れが助長されてしまう。この装置は車輪の前後左右を取り囲む枠体が泥土を掻き落とす構成とされているので、車輪の側面よりも軸方向内側に付着された泥土は掻き落とされないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、軟弱地盤における車両の走行性が損なわれることなく車輪に付着された泥土が掻き落とされる泥落とし装置及び農業機械の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る泥落とし装置は、車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材とを備えている。上記排泥部材は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている。
【0012】
弾性体が撓みと形状復元とを繰り返すことにより、排泥部材は、車輪に当接しつつ車輪の回転を妨げない。排泥部材は、繰り返し変形するため、当該変形に対する耐久性が極めて重要である。弾性体の撓みを利用する構成により、繰り返しの変形に対する耐久性が向上されうる。弾性体の撓みを利用する構成は、構造の単純化に役立つとともに、コストの低減に寄与しうる。弾性体の撓みを利用する構成は、弾性体の交換作業や装置のメインテナンスの容易化を達成しうる。
【0013】
好ましくは、上記泥落とし装置において、上記弾性体が、コイルスプリングからなる。コイルスプリングを撓ませる構成とすることにより、繰り返しの変形に対する耐久性がより一層向上しうる。
【0014】
好ましくは、上記泥落とし装置は、上記泥掻体の位置が調整されうる位置決め調整機構を備えている。
【0015】
好ましくは、上記泥落とし装置において、上記弾性体が上記泥掻体とされている。
【0016】
好ましくは、上記泥落とし装置において、上記弾性体が上記支持部材の側から上記車輪の赤道面に向かって軸方向に延びている。
【0017】
好ましくは、上記泥落とし装置において、上記排泥部材は、上記弾性体と、この弾性体の端部に取り付けられた上記泥掻体とを備えている。
【0018】
本発明に係る農業機械は、車輪と、泥落とし装置とを備えており、この泥落とし装置が、車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材とを備えている。上記排泥部材は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている。
【0019】
好ましくは、この農業機械において、上記弾性体が上記支持部材の側から上記車輪の赤道面に向かって軸方向に延びており、上記車輪が、スポークを備えている。このスポークが、上記車輪の回転に伴い上記弾性体の撓みと形状復元とを繰り返させるように構成されている。
【0020】
本発明に係る農業機械用車輪の泥落とし装置は、農業機械に装備された側方突出ラグ付き車輪の接地域を除く回転域外周部へ向けて農業機械の機体から延設される支持部材と、車輪回転時における側方突出ラグの回転域へ向けて上記支持部材から突設される排泥部材とを有している。そして上記排泥部材は、側方突出ラグの回転先行面に当接して付着泥土を掻き落とす泥掻体と、側方突出ラグの回転に伴ってこの泥掻体による側方突出ラグへの当接状態を維持させると共に、側方突出ラグの回転通過後には元位置へ復帰させる方向で弾性を生起する弾性体とを有している。
【0021】
このような泥落とし装置を農業機械に取り付けて、走行によって回転する車輪の側方突
出ラグに対し排泥部材が当接する状態にセットしておけば、側方突出ラグに付着した泥土
を確実に掻き落とすことができるようになる。
また泥掻体は弾性体を介して支持されているため、泥掻体は側方突出ラグに当接後、元位置(略水平状態)に復帰し、また次の側方突出ラグに当接するといった上下方向の首振り動作を繰り返すことになる。そのため、この泥落とし装置自体に関しても、泥土の付着が起こったとしても直ぐに振動で払い落とされる現象が得られることになり、堆積することがない。即ち、付着泥土が大きな塊となるのを防止できる。
【0022】
支持部材には、車輪の径方向に沿って排泥部材の位置調整を可能にする近接位置調整手段、接地地盤からの高さ方向に沿って排泥部材の位置調整を可能にする高さ調整手段、車輪の軸方向に沿って排泥部材の位置調整を可能にする左右位置調整手段、側方突出ラグに対して排泥部材の泥掻体が当接する当接角度の調整を可能にする角度調整手段を設けておくのが好適となる。これら近接位置調整手段、高さ調整手段、左右位置調整手段、角度調整手段等を設けることで、車輪としてその種類やサイズが異なるもの、或いは各種の農業機械に対しての汎用性を出せることになる。
【0023】
排泥部材の泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面に当接しつつ摺動する方向で、その先端部を円形断面に形成するのが好ましい。このようにすることで、側方突出ラグに対する当接及び摺接を円滑にできると共に、側方突出ラグに対する擦り傷等の発生を防止できる。排泥部材の泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面が車輪側面から突出する傾斜角度に合わせて、これと平行する角度で先端部を傾斜させるように形成することができる。このようにすることで、泥土の掻き落とし作用及び側方突出ラグに対する擦り傷防止作用を一層高めることができる。
【0024】
排泥部材の泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面に対して直角に近い角度で突き当てられ且つ車輪反転時に側方突出ラグとの引っ掛かりを防止するかたちでL型フック形、又は凸カーブを呈して形成すればよい。これらの形状を採用することで、泥土の掻き落とし作用を高めることができる。また、車輪反転時には、側方突出ラグとの引っ掛かりを防止して、側方突出ラグ及びこの泥落とし装置の破損を防止するうえで有益となる。排泥部材の泥掻体は、車輪側面へ向く側縁部が車輪側面に対して当接乃至近接する形状に形成するのが好適である。
【0025】
このようにすることで、側方突出ラグに付着した泥土だけでなく、車輪の側面に付着す
る泥土をも確実に掻き落とすことができるようになる。排泥部材は、泥掻体と弾性体とを別部材で形成しておき、互いに連結離反可能に設けるのが好適である。このようにすることで、泥掻体のみ、或いは弾性体のみの交換が可能となり、ランニングコストの低廉化等が図れる。また、弾性体については、弾性力の強弱によって別種のものを適宜試用しつつ選択できるようになるといった利点がある。
【0026】
排泥部材は、泥掻体と弾性体との間に繋ぎ板が設けられ、また弾性体の根本部にベース杆が設けられたものとすることができる。この場合は、泥掻体と繋ぎ板、繋ぎ板と弾性体、弾性体とベース杆がそれぞれ、締結手段によって固定すればよい。また、繋ぎ板を基礎として泥掻体が左右位置調整可能とされ、車輪の幅に応じて泥掻体と車輪との隙間調整ができるものとするのが好適である。
【0027】
本発明に係る農業機械用の泥落とし装置は、機体に取り付けられる保持部と、この保持部に取り付けられており機体の長さ方向に延在するステーと、このステーに取り付けられており車輪の側面に沿って機体の長さ方向に延在する泥掻体とを備えている。この保持部は、筒体と、この筒体に収容される緩衝体と、固定具とを備えている。このステーは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えている。この弾性体は、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている。
【0028】
本発明に係る農業機械は、機体と、車輪と、泥落とし装置とを備えている。この車輪は、その外周面にブロック状ラグのみを備えた前輪と、その外周面に羽根ラグを備えた後輪とを備えている。この泥落とし装置は、機体に取り付けられる保持部と、この保持部に取り付けられており機体の長さ方向に延在するステーと、このステーに取り付けられており車輪の側面に沿って機体の長さ方向に延在する泥掻体とを備えている。このステーは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えている
【0029】
好ましくは、この農業機械では、上記保持部は、筒体と、この筒体に収容される緩衝体と、固定具とを備えている。上記弾性体は、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている。
【0030】
本発明に係る農業機械は、機体と、車輪と、泥落とし装置とを備えている。この車輪は、その外周面にブロック状ラグのみを備えた前輪及び後輪を備えている。この泥落とし装置は、機体に取り付けられる保持部と、この保持部に取り付けられており機体の長さ方向に延在するステーと、このステーに取り付けられており車輪の側面に沿って機体の長さ方向に延在する泥掻体とを備えている。このステーは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えている。
【0031】
好ましくは、この農業機械では、上記保持部は、筒体と、この筒体に収容される緩衝体と、固定具とを備えている。上記弾性体は、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている。
【0032】
本発明に係る泥落とし装置は、支持部材と、排泥部材とを備えている。この支持部材は、車輪の一方の側面に沿って延びる第一アームと、この第一アームから車輪の軸方向に延びる第二アームと、この第二アームから車輪の他方の側面に沿って延びる第三アームとを備えている。この排泥部材は、第一アームの側から車輪の赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体と、第三アームの側から赤道面に向かって軸方向に延びる第二泥掻体とを備えている。
【0033】
好ましくは、この泥落とし装置では、上記第一泥掻体及び第二泥掻体は、車輪の回転方向に沿って力が与えられると撓み、この力が除かれると形状が復元する構成とされている。
【0034】
好ましくは、この泥落とし装置では、上記第一泥掻体及び第二泥掻体は、コイルスプリングからなる。
【0035】
好ましくは、この泥落とし装置は、上記第一泥掻体及び第二泥掻体の位置が調整されうる位置決め調整機構を備えている。
【0036】
本発明に係る農業機械は、車輪と、泥落とし装置とを備えている。この泥落とし装置は、支持部材と、排泥部材とを備えている。この支持部材は、この車輪の一方の側面に沿って延びる第一アームと、この第一アームからこの車輪の軸方向に延びる第二アームと、この第二アームから他方の側面に沿って延びる第三アームとを備えている。この排泥部材は、第一アームの側からこの車輪の赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体と、第三アームの側から赤道面に向かって軸方向に延びる第二泥掻体とを備えている。
【0037】
好ましくは、この農業機械では、上記車輪は、スポークを備えている。このスポークは、車輪の回転により上記第一泥掻体と第二泥掻体との間を通過するように構成されている。
【0038】
本発明に係る農業機械用の泥落とし装置は、機体に固定される保持部と、この保持部から機体の長さ方向に車輪の側面に沿って延在する泥掻体とを備えている。この泥掻体は、この保持部に直接固定されている。
【0039】
好ましくは、この泥落とし装置では、上記泥掻体は、その先端側に軸方向に延びる弾性体を備えている。
【0040】
本発明に係る農業機械は、機体と、車輪と、この車輪に取り付けられる泥落とし装置とを備えている。この車輪は、その外周面にラグを備えている。このラグは、ブロック状ラグのみで構成されている。この泥落とし装置は、この機体に固定される保持部と、この保持部からこの機体の長さ方向にこの車輪の側面に沿って延在する泥掻体とを備えている。この泥掻体は、この保持部に直接固定されている。
【0041】
好ましくは、この農業機械では、上記泥掻体は、その先端側に軸方向に延びる弾性体を備えている。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、車両の走行性を損なうことなく、車輪に付着された泥土を確実に掻き落とすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0044】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図7は、本発明に係る泥落とし装置1の第一実施形態を示している。この泥落とし装置1は、図8に示すように、田植機などの農業機械2が装備する後輪(推進輪)としての車輪102を作用対象として設けられている。なお図例の車輪102は、図1から明らかなように、車軸取付用ボス110のまわりに3本のスポーク105が中心部補強板106で補強されつつ放射状に突出され、これらスポーク105の各先端により、金属製リング状芯材をゴム等の弾性材中に埋設する(芯材まわりに弾性材が加硫付着された)弾性輪体111が支持されている。
【0045】
そしてこの弾性輪体111の外周部に、その周方向で互いに所定間隔をおいて側方突出ラグ100が設けられている。この側方突出ラグ100は、ボス110の車軸中心から径方向へ延ばした仮想線に対して傾斜する状態で、左右両側方(外方)へ向けて突出した、
所謂「羽根ラグ」である。この側方突出ラグ100は、弾性輪体111の両側面においてその内周端から外周端までにわたって設けられたものであって、その傾斜方向は、側方突出ラグ100の径方向内端が径方向外端よりも回転方向(前進時)の前側となる向きであり、従って車輪102の回転時に泥土等に対し、面と向かって沈んでゆくようになる方の面が回転先行面112となる。
【0046】
また弾性輪体111の外周縁となる車輪幅中央には、側方突出ラグ100の相互間に複数(図例では3個)の台形ラグ113が周方向に並んで設けられている。本発明に係る泥落とし装置1は、支持部材5と排泥部材6とを有している。支持部材5は、農業機械2の機体に対してこの泥落とし装置1を取り付けるための部分である。農業機械2の車両形体や車輪102の位置付けなどに応じて、農業機械2に対する取付箇所や取付部分の細部構造等を適宜採用すればよい。図例では農業機械2の下部から後方へ略水平状態に延出させる形体として、車輪102の回転域外周部のうち、車輪102の後側となる位置で排泥部材6を片持ち支持させるようにしてある。排泥部材6は、車輪102に付着した泥を掻き落とす。
【0047】
排泥部材6は、車輪102が回転するときに、この車輪102と一緒に回転するように
なる側方突出ラグ100の回転域へ向けて、支持部材5から突出状態で設けられている。
本実施形態では車輪102の左右両側部に側方突出ラグ100が設けられているので、こ
の排泥部材6も図2に示すように左右一対ある。この排泥部材6は泥掻体としてのスキージ部10と、弾性体としての弾性ステー部11とを有している。これらスキージ部10及び弾性ステー部11は、金属、樹脂、ゴムなどのうち、強度と弾性とを兼備する材料で形成する場合には、排泥部材6の全体(スキージ部10及び弾性ステー部11だけでなく後述のベース杆13及び繋ぎ板15を含む全部)として一体形成(溶接などの一体結合を含む)されたものでもよいが、本実施形態ではそれぞれ別部材により形成され、ボルト12によって連結されたものを示している。
【0048】
なお、左右の排泥部材6はベース杆13を共有するかたちで連結されており、このベース杆13に対して2本の弾性ステー部11が、車輪102の幅に対応させた所定間隔をおいてボルト等の締結手段14により結合され、双方の弾性ステー部11の先端間に繋ぎ板15を架設して、この繋ぎ板15を介して左右のスキージ部10をボルト12によりボルト結合させるようにしてある。ここにおいて、スキージ部10と弾性ステー部11とは、各同軸配置で同数設けられたものとしてあるが、同軸配置でないもの(スキージ部10については車輪幅に対応させるが弾性ステー部11についてはそれより広くても反対に狭くてもよい)としたり、左右のスキージ部10に対して1本の弾性ステー部11を共有させたりするということも可能である。
【0049】
繋ぎ板15とスキージ部10との連結部分では、いずれか一方に左右方向に長い長孔16を設けて、繋ぎ板15に対する左右のスキージ部10の位置調整が行えるようにしてある。スキージ部10は、金属板、樹脂板、ゴム板等を素材としてL型フック形に形成されている。このL型フック形の長辺側となる方の端部が、弾性ステー部11との連結に用いられる後端部20であり、短辺側となる方の端部が、側方突出ラグ100と当接する先端部21である。
【0050】
この排泥部材6は、車輪102の後方側において、後端部20(弾性ステー部11との連結部分)を後向きにし、先端部21を前向きで且つ下向きにするように設けられている。そして、車輪102の前進時の回転により地盤中から泥土をすくい上げるようにして浮き上がってくる側方突出ラグ100の回転先行面112に対して、その径方向内方端へスキージ部10の先端部21を直角に近い角度で突き当てるように位置調整されている。図3に示すように、この突き当て時において、スキージ部10が側方突出ラグ100に擦り傷をつけることがないように、スキージ部10の先端部21は円形断面に形成されている。
【0051】
またスキージ部10は、車輪102の側面へ向く側縁部が車輪102の側面に対して当接乃至近接する形状に形成されている。図例では直線状としている(図2等参照)が、車輪102の側面に膨らみ方向のきついカーブ(曲率半径の小さなカーブ)が付いている場合には、このカーブに沿わせるように凹カーブに形成してもよい。更に、図5に示すように、スキージ部10は、側方突出ラグ100の回転先行面112が車輪102の側面から突出する傾斜角度θに合わせて、これと平行する角度となるように、その先端部21が傾斜して形成されている。
【0052】
このようなことから、図6及び図7に示すように、スキージ部10は、側方突出ラグ100の回転先行面112に対し、その径方向内方端に当接し、その後、車輪102の回転に伴って回転先行面112の径方向外方端へ向けて当接状態を維持して摺接するようになり、結果、この回転先行面112に付着した泥土を確実に掻き落とすようになる。また同時に、車輪102の側面に付着した泥土をも確実に書き落とすようになる。弾性ステー部11は例えばコイルスプリングや板バネ(金属製でも樹脂製やゴム製でもよい)などである。上記したように、スキージ部10の後端部20とボルト等の締結手段12によって連結されている。
【0053】
図4に示すように、この弾性ステー部11によってスキージ部10は少なくとも上下方向に対して首振り自在となり、また外力負荷がなくなれば元の略水平状態に戻って、この略水平状態に保持するようになる。このようなことから、スキージ部10が上記のように側方突出ラグ100の回転先行面112に当接し摺接するとき、このスキージ部10による側方突出ラグ100への当接状態を適度な付勢力を伴って維持させることができるものである。また側方突出ラグ100がスキージ部10の届かない位置へと回転通過した後には、このスキージ部10を元位置(略水平状態)へ復帰するようになっている。弾性体としての弾性ステー部11は、車輪102の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す。
【0054】
なお、車輪102が反転するとき、スキージ部10がL型フック形を呈していること及びこのスキージ部10が弾性ステー部11によって支持されていることから、L型フック形の背部分が逆回転する側方吐出ラグ100により、下向きに、難なく撫で付けられるような状態になり、結果、側方突出ラグ100に対する不都合な引っ掛かりは何ら生じない。上記したようにスキージ部10と弾性ステー部11とはそれぞれ別部材であり、締結手段12により連結されたものとしてあるので、スキージ部10のみ、或いは弾性ステー部11のみの交換が可能である。
【0055】
このような排泥部材6を支持するための支持部材5では、図1及び図2に示すように、近接位置調整手段30、高さ調整手段31、左右位置調整手段32、角度調整手段33等が設けられている。近接位置調整手段30、高さ調整手段31、左右位置調整手段32及び角度調整手段33は、位置決め調整機構である。近接位置調整手段30は、車輪102の径方向(図例では水平方向である)に沿って排泥部材6の位置調整を可能にするためのものである。具体的には、農業機械2から後方へ向けて略水平に延びる本体軸35と、この本体軸35に対して摺動自在に保持されたスライド部材36とを有している。このスライド部材36を介して排泥部材6が設けられている。このスライド部材36には、本体軸35に対して位置決め(固定)するため、セットねじ等の適宜締結手段(図示略)が設けられている。
【0056】
高さ調整手段31は、接地地盤からの高さ方向に沿って排泥部材6の位置調整を可能にするためのものである。具体的には、近接位置調整手段30のスライド部材36から下向きに突設された縦杆37と、この縦杆37に対して摺動自在に保持された昇降部材38とを有している。この昇降部材38を介して排泥部材6が設けられている。この昇降部材38には、縦杆37に対する位置決め(固定)するため、セットねじ等の適宜締結手段(図示略)が設けられている。左右位置調整手段32は、車輪102の軸方向に沿って排泥部材6の位置調整を可能にするためのものである。本実施形態の場合、上記したように排泥部材6においてスキージ部10と弾性ステー部11との間に設けた繋ぎ板15を基礎として、長孔16に沿ったスキージ部10の左右位置調整を行えるようにしてあるため、この構造も左右位置調整のための一手段であると言えないこともない。しかし、この構造は個々のスキージ部10と車輪102との隙間調整が主である。
【0057】
そこでこの左右位置調整手段32としては、排泥部材6を、弾性ステー部11等をも含めた全体として更に積極的に位置調整することを目的としている。具体的には、高さ調整手段31の昇降部材38に設けられて左右へ貫通するガイド孔40が形成されたブラケット41と、このブラケット41のガイド孔40に左右貫通して摺動自在に保持されたアーム42とを有している。このアーム42は平面視L型に折曲されており、この折曲した先の部分で上記した排泥部材6のベース杆13を横突出状に片持ち支持するようになっている。
【0058】
そして、ブラケット41には、アーム42の根本側(左右方向に延びた部分)を位置決め(固定)するため、セットねじ等の適宜締結手段(図示略)が設けられている。角度調整手段33は、側方突出ラグ100に対して排泥部材6のスキージ部が当接する当接角度の調整を可能にするためのものである。本実施形態においては、上記した左右位置調整手段32がこの角度調整手段33をも兼ねるものとなっている。すなわち、ブラケット41のガイド孔40に対して差し込まれたアーム42の回動角度の調節を通じてベース杆13の角度調節ができ、このことが排泥部材6の角度調整に相当したものとなっている。
【0059】
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係る泥落とし装置1を農業機械2に取り付け、支持部材5の近接位置調整手段30、高さ調整手段31、左右位置調整手段32、角度調整手段33等を必要に応じて適宜操作して、排泥部材6のスキージ部10を車輪102に対して所定状態にセットしておけば、農業機械2の走行によって回転する車輪102の側方突出ラグ100に対して付着した泥土は、車輪102の回転に伴い、側方突出ラグ100の回転先行面112をその径方向内方端から径方向外方端へわたり摺接することによって、確実に掻き落とされるものである。
【0060】
また同時に、車輪102の側面に付着する泥土も、排泥部材6におけるスキージ部10の側縁によって確実に掻き落とされる。またスキージ部10は弾性ステー部11を介して支持されているため、スキージ部10は側方突出ラグ100に当接後、元位置(略水平状態)に復帰し、また次の側方突出ラグ100に当接するといった上下方向の首振り動作を繰り返すことになる。そのため、この泥落とし装置1自体に関しても、泥土の付着が起こったとしても直ぐに振動で払い落とされる現象が得られることになり、堆積することがない。即ち、付着泥土が大きな塊となるのを防止できる。
【0061】
スキージ部10を2枚設ける場合は、各スキージ部10に対応させて弾性ステー部11も2本設けるのが好適となるため、これら2本の弾性ステー部11相互間には大きな空間が形成されることになるが、上記したスキージ部10による上下方向の首振り動作の繰り返しに伴い、この空間から直ぐに泥土が落とされることになる。そのため、スキージ部10、弾性ステー部11はもとより、ベース杆13や繋ぎ板15などの上に泥土が付着残留しること、及びこれが肥大化するといったことが確実に防止される(肥大化に伴い空間が埋まるといったことも当然に無い)。
【0062】
これらのことから、既に植え付け済みの苗103が落下する泥土の直撃で損傷するといった問題は、確実に解消される。殊に、スキージ部10の取付高さを比較的低位置(車輪102の中心付近から下)へ位置づけておくことで、地盤(圃場など)表面から車輪が出た瞬間に回転毎に泥が除去され付着泥土の肥大化が防止されるので、側方突出ラグ100や車輪102の側面から掻き落とされる泥土、或いはこの泥落とし装置1自体から払い落とされる泥土は、落下の勢いも小さく、むしろ「落下」と言うよりは静かに置き降ろされるといったイメージとなる。そのため、苗103の保護は確実なものとなる。
【0063】
また、舗装路面を落下泥土で汚損することもなく、また洗車時に車輪102に関して付着泥土の除去に苦労するといったこともなくなる。上記したように、この泥落とし装置1自体でも付着泥土の堆積がなく、大きな塊状になるといったことが無いので、この泥落とし装置1に関しても、付着泥土の除去に苦労するといったことがなくなる。ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。例えば、図9の変形例に示すように、排泥部材6のスキージ部10は、側面から見た形状として凸カーブを呈したものに形成することもできる。このような形状のスキージ部10でも、側方突出ラグ100の回転先行面112に対して比較的直角に近い角度で突き当てられることになり、また車輪102の反転時には側方突出ラグ100との引っ掛かりを防止できるものである。
【0064】
本発明に係る泥落とし装置1は、田植機以外の農業機械に適用することもできる。また車輪102は、前輪でも後輪でもよいし、全ての車輪を対象に取り付けてもよい。排泥部材6は、車輪102に対して一方側面のみを対象として取り付けることもできる。支持部材5の近接位置調整手段30、高さ調整手段31、左右位置調整手段32、角度調整手段33等に関しては、それらの有無、採用構造など、何ら限定されるものではない。
【0065】
上記実施形態の農業機械用車輪の泥落とし装置1によれば、車輪の側方突出ラグや車輪側面などに付着した泥土を確実に除去できるようになった。殊に、この泥落とし装置の取付位置(付着泥土の除去位置)を低位置にすることで、地盤(圃場など)表面から車輪が出た瞬間に回転毎に泥が除去され付着泥土の肥大化が防止されるので、既に植え付け済みの苗が泥土の直撃で損傷するといった問題は確実に解消される。また泥土を除去する部分(スキージ部)は側方突出ラグとの当接・離反を繰り返すことで上下方向に首振り動作するので、この泥落とし装置自体に付着する泥土も直ぐに振動で払い落とされ、堆積することがない。そのため付着泥土が大きな塊となるのを防止できる。これらのことから、舗装路面を落下泥土で汚損することも、洗車時に車輪やこの泥落とし装置自体に付着した泥土の除去に苦労するといったこともなくなる。
【0066】
図11は、本発明の第二実施形態に係る農業機械2xが示された正面図である。この農業機械2xは、機体4xと、車輪6xと、泥落とし装置8xとを備えている。この車輪6xは、前輪10x及び後輪12xから構成されている。この農業機械2xは、四輪タイプの田植機である。この機体4xには、田植機として機能するための装備が搭載されている。この農業機械2xでは、この泥落とし装置8xは、この前輪10xと後輪12xとに取り付けられている。この図11において、左右方向は、機体4xの長さ方向を表している。この紙面の左側は、この農業機械2xの前方側である。そして、この紙面の垂直方向は、車輪6xの軸方向を表している。
【0067】
前輪10xは、その外周面にブロック状ラグ14xのみを備えている。この農業機械2xでは、このブロック状ラグ14xは台形ラグ16x及び三角ラグ18xからなる。この台形ラグ16xは、この前輪10xの赤道面に配置されている。この台形ラグ16xの軸方向外側に延びる三角ラグ18xは、この台形ラグ16xの両側に、回転方向において左右交互に配置されている。後輪12xは、その外周面に台形ラグ16x及び羽根ラグ20xを備えている。この後輪12xでは、この台形ラグ16xと羽根ラグ20xとが、回転方向に交互に配置されている。この羽根ラグ20xは、側方に大きく突出している。三角ラグ18xの側方への突出は、この羽根ラグ20xに比べて、小さい。台形ラグ16xでは、このような側方への突出はない。従って、台形ラグ16x及び三角ラグ18xを備える前輪10xでは、側方への突出は小さい。羽根ラグ20xを備える後輪12xでは、側方への突出は大きい。なお、このようなラグを備えた車輪6xは、環状のリムにゴム材料が焼き付けられて形成される。
【0068】
図12は、図11の農業機械2xに備えられている泥落とし装置8xの一部が示された平面図である。この図12において、上下方向は、車輪6xの軸方向を表している。左右方向は、機体4xの長さ方向を表している。この紙面の左側は、この農業機械2xの前方側である。この泥落とし装置8xは、支持部材22xと排泥部材24xとを備えている。排泥部材24xは、車輪6xに付着した泥を掻き落とす。この支持部材22xは、機体4xに取り付けられるアーム部26xと、このアーム部26xから車輪6xの接地面に沿って配置される保持部28xとを備えている。この排泥部材24xは、この保持部28xに取り付けられており機体4xの長さ方向に延在するステー30xと、このステー30xに取り付けられており機体4xの長さ方向に延在するスキージ部材32xとを備えている。
【0069】
アーム部26xは、第一ロッド34xと、第二ロッド36xと、第三ロッド38xと、第一リング40xと、第二リング42xと、第三リング44xとを備える。第一ロッド34xは、後方側に向かって長さ方向に機体4xから延設されている。第二ロッド36xは機体4xの上下方向に延びている。この第二ロッド36xの上端には、第一リング40xが溶接で固定されている。第三ロッド38xには、折り曲げ加工がなされている。従って、この第三ロッド38xは、軸方向と長さ方向とに延びるように構成されている。第三ロッド38xのうち、軸方向に延びる部分は、第三リング44xを挿通している。機体4xの長さ方向に延びる部分は、その後方側において保持部28xと溶接で固定されている。なお、この農業機械2xでは、この第三リング44xと第二リング42xとは、溶接で固定されている。
【0070】
第一リング40xは、第一ロッド34xをスライドし、所定位置で固定されうる。第二リング42xは、第二ロッド36xをスライドし、所定位置で固定されうる。第三リング44xは、第三ロッド38xの軸方向に延びる部分をスライドし、所定位置で固定されうる。なお、この農業機械2xでは、第一ロッド34x、第二ロッド36x及び第三ロッド38xは、いずれも丸棒材で構成されている。各ロッドが、その断面が矩形とされた角材とされてもよい。
【0071】
保持部28xは、基板46xと、ボルト48xと、ナット50xとを備えている。基板46xは、軸方向に長い構成とされている。この保持部28xが、ボルト48x及びナット50x以外の別の締結手段を備えてもよい。図示されていないが、この基板46xの両側には、ボルト48xが挿通されうるボルト孔が開けられている。
【0072】
ステー30xは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体としてのコイルスプリング52xを備えている。このコイルスプリング52xの両端には、鉤54xa、54xbが形成されている。後方側に位置する鉤54xaが基板46xの下側にあてがわれて、その下にナット50xが配置される。ボルト48xは、基板46xの上側からボルト孔と鉤54xaの内側とに挿通される。そして、このボルト48xが、ナット50xにねじ込まれる。ボルト48xとナット50xとで締め付けられることにより、このコイルスプリング52xは基板46xに固定される。
【0073】
このコイルスプリング52xの材質としては、強度の観点から、金属材料が好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。
【0074】
スキージ部材32xは、泥掻体56xと、接続板58xと、ボルト60xと、ナット62xとを備えている。泥掻体56xは、車輪6xに付着した泥土64xを掻き落とす構成とされている。この農業機械2xでは、この泥掻体56xは、長さ方向に延びる柄66xと、この柄66xの端から路面に向かって下側に延びる爪68xとを備えている。この農業機械2xでは、2xの泥掻体56xが、車輪6xの側面に沿って機体4xの長さ方向に延在している。この泥掻体56xの先端は、丸めとされている。この泥掻体56xのステー30xの側には、調整孔70xが形成されている。この調整孔70xは、軸方向に長い形状とされている。なお、この泥掻体56xの形状は、ラグの形状、車輪6xのサイズ等が考慮されて、適宜決められる。
【0075】
泥掻体56xの材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。合成高分子材料としては、プラスチック材料及びゴム材料が例示される。強度及び汎用性の観点から、プラスチック材料が好ましい。プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール及びナイロンが例示される。
【0076】
接続板58xは、軸方向に長い構成とされている。図示されていないが、この接続板58xの両側には、ボルト60xが挿通されるボルト孔が開けられている。ボルト60xは、泥掻体56xの調整孔70x、接続板58xのボルト孔及びコイルスプリング52xの前方側に位置する鉤54xbの内側を挿通し、この鉤54xbの下に配置されるナット62xにねじ込まれる。このボルト60xとナット62xとで、コイルスプリング52x、接続板58x及び泥掻体56xが締め付けられることにより、スキージ部材32xがステー30に固定される。このように、弾性体としてのコイルスプリング52xの端部に、泥掻体56xが取り付けられている。前述したように、泥掻体56xの調整孔70xは軸方向に長い形状とされているので、この泥掻体56xの軸方向の位置が調整されうる。なお、このスキージ部材32xが、ボルト60x及びナット62x以外の別の締結手段で、ステー30xに固定されてもよい。このスキージ部材32xとステー30xとが、弾性材料であるゴム材料が用いられることにより、一の部材として形成されてもよい。
【0077】
この農業機械2xでは、第一リング40xが機体4xの長さ方向にスライドしうるので、泥掻体56xの長さ方向の位置が調整されうる。第二リング42xが上下方向にスライドしうるので、泥掻体56xの上下方向の位置が調整されうる。第三ロッド38xは軸方向にスライドしうるので、泥掻体56xの軸方向の位置が調整されうる。そしてこの第三ロッド38xは車輪6xと同じ方向に回転しうるので、泥掻体56xの長さ方向に対する角度も調整されうる。この農業機械2xには、このようなスライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。従って、この農業機械2xでは、圃場の状態、車輪6xの径、車輪6xの幅、泥土64xの付着状態等に応じて、泥掻体56xの位置が調整されうる。
【0078】
前述したように、この農業機械2xの前輪10xは、側方への突出が小さいブロック状ラグ14xで構成されている。泥掻体56xはこの前輪10xの側面に沿って配置されているので、この泥掻体56xは側面に付着した泥土64xを確実に掻き落とす。この農業機械2xの後輪12xは、側方に大きく突出する羽根ラグ20xを備えている。泥掻体56xは、接続板58xを介してコイルスプリング52xに固定されている。このため、この泥掻体56xは、このラグの回転先行面72xに接触しつつ、機体4xの長さ方向外側に移動することにより、回転先行面72xに付着した泥土64xを確実に掻き落とすことができる。弾性体としてのコイルスプリング52xは、前輪10xの回転に伴い、撓みと形状復元とを繰り返す。この泥掻体56xの先端は、丸めとされているので、泥掻体56xの先端とこの回転先行面72xとの接触時における抵抗が抑えられている。従って、この泥掻体56xは、回転先行面72xの上を滑らかに動きうる。
【0079】
この農業機械2xでは、車輪6xに付着した泥土64xが確実に掻き落とされうるので、泥土64xが、車輪6xに堆積することがない。掻き取られた泥土64xが堆積することがないので、泥土64xの塊は形成されない。この農業機械2xは、位置決め調整機構を備えているので、泥掻体56xが路面から低い位置に配置されうる。このため、掻き落とされる泥土64xの位置も低い。掻き落とされる泥土64xの位置が低いので、路面に落下する泥土64xの勢いが抑えられる。この農業機械2xでは、泥土64xが塊として落下しない上に、落下する泥土64xの勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0080】
図13は、本発明の第三実施形態に係る農業機械74xの一部が示された正面図である。この図13には、この農業機械74xの後輪76xの近傍が示されている。この農業機械74xの、後輪76x以外の構成は、図11に示された農業機械2xと同様である。この後輪76xは、その外周面に側方への突出が小さいブロック状ラグ78xのみを備えている。
【0081】
この農業機械74xでも、ステー30xは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する構成とされた弾性体としてのコイルスプリング52xを備えている。そして、スキージ部材32xは、車輪80xの側面に沿って配置される泥掻体56xを備えている。このため、この泥掻体56xは、車輪80xの側面に付着した泥土64xを確実に掻き落とせる。泥土64xが確実に掻き落とされるので、泥土64xが車輪80xに堆積することはない。この農業機械74xも、そのアーム部26xに図11の農業機械74xと同様の位置決め調整機構を備えているので、泥掻体56xが路面から低い位置に配置されうる。このため、掻き落とされる泥土64xの位置は低い。掻き落とされる泥土64xの位置が低いので、路面に落下する泥土64xの勢いが抑えられる。この農業機械74xでは、泥土64xが塊として落下しない上に、落下する泥土64xの勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0082】
図14は、本発明の第四実施形態に係る農業機械82xが示された正面図である。この農業機械82xは、機体4xと、車輪6xと、泥落とし装置84xとを備えている。機体4xには、田植機として機能するための装備が搭載されている。この車輪6xは、前輪10x及び後輪12xから構成される。この農業機械82xは、四輪タイプの田植機である。この泥落とし装置84xは、前輪10xと後輪12xとに取り付けられている。この図14において、左右方向は、機体4xの長さ方向を表している。この紙面の左側がこの農業機械82xの前方側である。この紙面の垂直方向が、車輪6xの軸方向を表している。なお、泥落とし装置84x以外の農業機械82xの構成は、図11の農業機械82xと同一である。
【0083】
前輪10xは、その外周面に三角ラグ18x及び台形ラグ16xからなるブロック状ラグ14xのみを備えている。このため、この前輪10xの側方への突出は小さい。後輪12xは、その外周面に台形ラグ16x及び羽根ラグ20xを備えている。このため、この後輪12xの側方への突出は、大きい。
【0084】
図15は、図14の農業機械82xに備えられている泥落とし装置84xの一部切り欠き正面図である。図16は、図15の泥落とし装置84xの平面図である。この泥落とし装置84xは、支持部材86xと排泥部材88xとを備えている。この支持部材86xは、機体4xに取り付けられるアーム部90xと、このアーム部90xから車輪6xの接地面に沿って配置される保持部92xとを備えている。この排泥部材88xは、この保持部92xに取り付けられており機体4xの長さ方向に延在するステー94xと、このステー94xに取り付けられており機体4xの長さ方向に延在するスキージ96xとを備えている。この泥落とし装置84xでは、この保持部92xとステー94x以外は、図12で示された泥落とし装置8xと同一の構成とされている。なお、この図15において、紙面の垂直方向が、軸方向である。左右方向が、機体4xの長さ方向である。図16においては、上下方向は車輪6xの軸方向を表している。左右方向は、車輪6xの機体4xの長さ方向を表している。
【0085】
アーム部90xは、第一ロッド98xと、第二ロッド100xと、第三ロッド102xと、第一リング104xと、第二リング106xと、第三リング108xとを備える。そして、このアーム部90xも、図11の農業機械2xに備えられた泥落とし装置8xと同様の位置決め調整機構を備えている。
【0086】
保持部92xは、筒体110xと、基板112xと、固定具114xと、緩衝体116xとを備えている。この保持部92xでは、2個の筒体110xが基板112xの両側に配置されている。保持部92xに備えられる筒体110xの数及び配置される場所は、適宜決められる。1個の筒体110xが基板112xの中央に配置されてもよい。
【0087】
ステー94xは、弾性体としてのコイルスプリング118xを備えている。このコイルスプリング118xは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する構成とされている。この農業機械82xでは、このコイルスプリング118xの一方の端が筒体110xに収容されている。このコイルスプリング118xの他方の端には、鉤120xが形成されている。
【0088】
スキージ96xは、泥掻体122xと、接続板124xと、ボルト126xと、ナット128xとを備えている。この泥掻体122xは、泥土64xを掻き落とす構成とされている。泥掻体122xは、コイルスプリング118xの端部に取り付けられている。この泥掻体122xは、車輪80xの側面に沿って配置されている。この泥掻体122xのステー94xの側には、調整孔130xが形成されている。図示されていないが、この接続板124xの両側には、ボルト126xが挿通されるボルト孔が開けられている。ボルト126xは、泥掻体122xの調整孔130x、接続板124xのボルト孔及びコイルスプリング118xの鉤120xの内側を挿通し、この鉤120xの下に配置されるナット128xにねじ込まれる。この農業機械82xにおいても、このボルト126xとナット128xとで、コイルスプリング118x、接続体及び泥掻体122xが締め付けられることにより、スキージ96xはステー94xに固定されている。この調整孔130xが軸方向に長い形状とされているので、泥掻体122xの軸方向の位置が調整されうる。
【0089】
この農業機械82xの前輪10xは、側方への突出が小さいブロック状ラグ14xで構成されている。泥掻体122xはこの前輪10xの側面に沿って配置されているので、この泥掻体122xは側面に付着した泥土64xを確実に掻き落とす。この農業機械82xの後輪12xは、側方に大きく突出する羽根ラグ20xを備えている。泥掻体122xは、接続板124xを介してコイルスプリング118xに固定されている。このため、この泥掻体122xは、このラグの回転先行面72xに接触しつつ、機体4xの長さ方向外側に移動することにより、回転先行面72xに付着した泥土64xを確実に掻き落とすことができる。弾性体としてのコイルスプリング118xは、後輪12xの回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す。この泥掻体122xの先端は、丸めとされているので、泥掻体122xの先端とこの回転先行面72xとの接触時における抵抗が抑えられている。従って、この泥掻体122xは、回転先行面72xの上を滑らかに動きうる。
【0090】
アーム部90xに位置決め調整機構が備えられているので、圃場の状態、車輪6xの径、車輪6xの幅、泥土64xの付着状態等に応じて、泥掻体122xの位置が調整されうる。このような農業機械82xでは、泥掻体122xが路面から低い位置に配置されうるので、掻き落とされる泥土64xの位置も低い。掻き落とされる泥土64xの位置が低いので、路面に落下する泥土64xの勢いが抑えられる。この農業機械82xでは、泥土64xが塊として落下しない上に、落下する泥土64xの勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0091】
図17は、図15のD−D線に沿った断面図である。この図17には、コイルスプリング118xが筒体110xに固定されている状態が示されている。この図17には、筒体110xと、コイルスプリング118xと、緩衝体116xと、ボルト132x及びナット134xからなる固定具114xが示されている。コイルスプリング118xの一部が、筒体110xに収容されている。この緩衝体116xは、筒体110xに収容されており、このコイルスプリング118xと筒体110xとの間に配置される。この筒体110xは、筒体110xの外側から内側に向かって貫かれた固定孔136xを備えている。この装置では、筒体110xの外側からこの固定孔136xに、ボルト132xがねじ込まれることにより、このボルト132xの先端が緩衝体116xを介してコイルスプリング118xの側面を押さえ付ける。このナット134xが、その外側から筒体110xを締め付けることで、ボルト132xが動かなくなるので、コイルスプリング118xが筒体110xに固定される。この装置では、このようにして、ステー94xが保持部92xに固定されうる。コイルスプリング118xが筒体110xに固定されているので、このコイルスプリング118xが変形したり、折れたりすることはない。このような泥落とし装置84xは、耐久性に優れる。なお、この固定具114xが、クランプ等で構成されてもよい。
【0092】
緩衝体116xは、所定の大きさとされたフラットシートとされてもよい。筒体110xの外側面形状に適応されうるように、この緩衝体116xが、予め、その断面が湾曲形状となるように成形された湾曲シートとされてもよい。この緩衝体116xが、筒体110xの全周を覆う構成とされてもよい。この緩衝体116xの材質としては、プラスチック材料及びゴム材料が好ましい。弾性変形の観点からは、ゴム材料であるのが好ましい。ゴム材料としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムが例示される。汎用性の観点から、天然ゴムが好ましい。
【0093】
発明者らは、この農業機械2x、82xの泥落とし装置8x、84xの耐久性について、詳細に検討している。この検討において、植え付け速度が1.5km/hから1.7km/hとされて、田植えが実施された場合の、泥落とし装置8x、84xの弾性体が破損に至るまでの時間が、計測されている。図11の農業機械2xに装着された泥落とし装置8xでは、作業開始から2時間でコイルスプリング52xの破損が確認されている。これに対し、この泥落とし装置84xでは、作業が40時間以上続けられても、コイルスプリング118xの破損は認めれなかったという検討結果が得られている。実機による検討結果においても、この泥落とし装置84xの耐久性は、図11の泥落とし装置8xの耐久性よりもさらに向上していることが確認されている。
【0094】
図18は、本発明の第五実施形態に係る農業機械138xの一部が示された正面図である。この図18には、この農業機械138xの後輪140xの近傍が示されている。この農業機械138xの、後輪140x以外の構成は、図14に示された農業機械82xと同様である。この後輪140xは、その側方への突出が小さいブロック状ラグ142xのみを備えている。
【0095】
この農業機械138xでも、ステー94xは、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する構成とされた弾性体としてのコイルスプリング118xを備えている。コイルスプリング118xは、車輪144xの回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す。そして、スキージ96xは、車輪144xの側面に沿って配置される泥掻体122xを備えている。このため、この泥掻体122xは、車輪144xの側面に付着した泥土64xを確実に掻き落とせる。泥土64xが確実に掻き落とされるので、泥土64xが車輪144xに堆積することはない。
【0096】
この農業機械138xの保持部92xも、基板112xと、筒体110xと、固定具114xと、緩衝体116xとを備えている。このコイルスプリング118xは、その一部が筒体110xに収容されかつ緩衝体116xを介して固定具114xで締め付けられることにより、固定されているので、このコイルスプリング118xが変形したり、折れたりすることはない。このような泥落とし装置84xは、耐久性に優れる。
【0097】
この農業機械138xのアーム部90xも図14の農業機械82xと同様の位置決め調整機構を備えているので、泥掻体122xが路面から低い位置に配置されうる。このため、掻き落とされる泥土64xの位置は低い。掻き落とされる泥土64xの位置が低いので、路面に落下する泥土64xの勢いが抑えられる。この農業機械138xでは、泥土64xが塊として落下しない上に、落下する泥土64xの勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0098】
第二〜第五実施形態に記載の泥落とし装置は車輪の側面に沿って配置される泥掻体を備えているので、車輪の側面に付着した泥土が確実に掻き落とされうる。従って、泥土が、車輪に堆積することがない。ステーが、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えている。このため、羽根ラグのように側方への突出が大きい車輪では、この泥掻体の先端がこの羽根ラグの回転先行面の上を接触しつつ、機体の長さ方向外側へ移動しうる。従って、この泥落とし装置は、羽根ラグの回転先行面に付着した泥土も掻き落とすことができる。この弾性体は、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている。このため、この泥落とし装置を備えた農業機械では、作業中にこの弾性体が変形することも、折れることもない。このような泥落とし装置は、耐久性に優れる。
【0099】
図19は、本発明の第六実施形態に係る農業機械2yが示された側面図である。この農業機械2yは、本体4yと、車輪6yと、泥落とし装置8yとを備えている。この本体4yには、田植機として機能するための装備が搭載されている。そして、この車輪6yは、前輪10yと後輪12yとから構成されている。この農業機械2yは、四輪タイプの田植機である。泥落とし装置8yは、後輪12yに取り付けられている。この図19において、この紙面の左側がこの農業機械2yの前方側である。この紙面の垂直方向が、車輪6yの軸方向を表している。なお、この農業機械2yが、二輪車とされてもよい。
【0100】
車輪6yの形態、サイズ等は、農業機械2yの仕様等が考慮されて、適宜決められる。この農業機械2yでは、車輪6yは、ハブ14ya、14ybと、このハブ14ya、14ybから放射状に延びるスポーク16ya、16ybと、このスポーク16ya、16ybの端に取り付けられる環状のリムと、このリムを被覆する弾性輪体18ya、18ybとを備えている。このハブ14ya、14ybに、車軸が嵌合される。この車輪6yに備えられるスポーク16ya、16ybは、3本である。このスポーク16ya、16ybが、4本以上とされてもよい。なお、この図19では、リムは、弾性輪体18ya、18ybに被覆されているので、図示されていない。
【0101】
スポーク16ya、16yb及びリムは、金属製のパイプからなる。スポーク16ya、16yb及びリムの材質としては、スチール及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。
【0102】
ハブ14ya、14yb及びスポーク16ya、16yb並びにスポーク16ya、16yb及びリムは、溶接で接合されている。なお、リベット止め、ボルト止め等の方法で、これらが接合されてもよい。なお、この農業機械2yでは、リムとの接合箇所に近接するスポーク16ya、16ybの一部も、弾性輪体18ya、18ybで被覆されている。このスポーク16ya、16ybにおいて、弾性輪体18ya、18ybで被覆されている箇所が被覆部20yである。
【0103】
弾性輪体18ya、18ybは、ラグ22ya、22ybを備えている。この農業機械2yでは、ラグ22ya、22ybの形態は、前輪10yと後輪12yとで異なる構成とされている。前輪10yのラグ22yaは、突部24yと推進部26yとを備えている。この突部24yは、この車輪6yの赤道面に配置されている。この突部24yから軸方向外側に延びる推進部26yは、この突部24yの両側に、回転方向において左右交互に配置されている。後輪12yのラグ22ybは、直進誘導部28yと羽根部30yとを備えている。この直進誘導部28yと羽根部30yとは、回転方向に交互に配置されている。このラグ22ya、22ybの形態も、農業機械2yの仕様等が考慮されて決められる。したがって、後輪12yのラグ22ybが、突部24yと推進部26yとから構成されてもよい。なお、この農業機械2yでは、弾性輪体18ya、18ybはゴム材料から構成されている。
【0104】
図20は、図19の泥落とし装置8yの一部が後輪12yと共に示された部分拡大平面図である。図20において、紙面の左右方向が軸方向を表している。この泥落とし装置8yは、アダプター32yと、支持部材34yと、排泥部材36yとを備えている。図20中、一点鎖線CLyは、車輪6yの赤道面を表している。
【0105】
アダプター32yは、本体4yと支持部材34yとの間に位置している。このアダプター32yは、本体4yに取り付けられ、後輪12yに向かって延びている。この農業機械2yでは、アダプター32yの端部44yが軸方向に平行となるように折り曲げられている。なお、このアダプター32yの構成及び取り付け箇所は、農業機械2yの形態、車輪6yの大きさ等が考慮されて決められる。なお、支持部材34yが、直接、本体4yに取り付けられてもよい。
【0106】
支持部材34yは、車輪6yの一方の側面46yに沿ってアダプター32yから延びる第一アーム48yと、この第一アーム48yから軸方向に延びる第二アーム50yと、この第二アーム50yから車輪6yの他方の側面46yに沿って延びる第三アーム52yとを備えている。
【0107】
第一アーム48yは、一方の外端に第一リング54yと、他方の外端に第二リング56yとを備えている。第三アーム52yは、一方の外端に第三リング58yを備えている。第二アーム50yは、この第一リング54yと第三リング58yとで把持されることにより、第一アーム48yと第三アーム52yとに固定される。第二リング56yがアダプター32yを把持することにより、この支持部材34yはアダプター32yに固定される。
【0108】
排泥部材36yは、第一泥掻体60yと、第二泥掻体62yと、第一把捉体64yと、第二把捉体66yとを備えている。この第一泥掻体60yは、支持部材34yの側、即ち第一アーム48yの側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びている。この第一把捉体64yは、その外端に第四リング68yを備えている。そして、この第一把捉体64yは、第一アーム48yと第一泥掻体60yとの間に位置し、この第一泥掻体60yを固定するとともに、この第四リング68yで第一アーム48yを把持している。この第二泥掻体62yは、第三アーム52yの側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びている。この第二把捉体66yは、その外端に第五リング70yを備えている。この第二把捉体66yは、第三アーム52yと第二泥掻体62yとの間に位置し、この第二泥掻体62yを固定するとともに、この第五リング70yで第三アーム52yを把持している。
【0109】
第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yは、車輪6yの回転方向に沿って力が与えられると撓み、この力が除かれると、その形状が復元する構成とされている。泥掻体60y、62yは、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す。この農業機械2yでは、この第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yはコイルスプリングである。このコイルスプリングの材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。強度の観点から、このコイルスプリングの材質としては、金属材料が好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。なお、この第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yが、ゴム材料からなる棒材で構成されてもよい。この場合、ゴム材料としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムが例示される。汎用性の観点から、天然ゴムが好ましい。
【0110】
第一リング54y及び第三リング58yは、第二アーム50yをスライドし、この第二アーム50yの所定位置で固定されうる構成とされている。第四リング68yは、第一アーム48yをスライドし、この第一アーム48yの所定位置で固定されうる構成とされている。第五リング70yは、第三アーム52yをスライドし、この第三アーム52yの所定位置で固定されうる構成とされている。第二リング56yは、アダプター32yをスライドし、このアダプター32yの所定位置で固定されうる構成とされている。
【0111】
この農業機械2yでは、第一アーム48y、第二アーム50y、第三アーム52y及びアダプター32yは、いずれも丸棒材で構成されている。この丸棒材は、その断面が矩形とされた角材とされてもよい。図示されていないが、第一リング54yは第二アームが構成される丸棒材が挿通されうるスライド孔と、この第一リング54yの外周側面にこの丸棒材が固定されうるネジ部とを備えている。このネジ部は、ネジとネジ孔からなる。ネジがネジ孔にねじ込まれることにより、このネジが丸棒材の側面を押しつける。このネジの押しつけにより、丸棒材は固定される。この農業機械2yでは、第二リング56y、第三リング58y、第四リング68y及び第五リング70yは、この第一リング54yと同じ構成とされている。この農業機械2yには、このようなスライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。この農業機械2yでは、この位置決め調整機構によって、圃場の状態、車輪6yの径、車輪6yの幅、泥土の付着状態等に応じて、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yの位置が調整されうる。この農業機械2yでは、被覆部20yの付近に泥土が付着しやすい。したがって、この農業機械2yでは、被覆部20yが当接しうる位置に、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yが配置されている。なお、この位置決め調整機構が、クランプ等で構成されてもよい。
【0112】
この丸棒材及び固定具の材質は、強度の観点から、金属材料であるのが好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。
【0113】
図20において、両矢印線DAyは、車輪6y赤道面側に位置する第一泥掻体60yの先端72yaと第二泥掻体62yの先端72ybとの間の間隙を表している。点PAyは、この間隙DAyの中心を表している。この農業機械2yでは、この点PAyは、車輪6yの赤道面上に位置している。なお、この点PAyが赤道面上からずれてもよい。この第一排泥部の先端72yaと第二排泥部の先端72ybとが、接触してもよい。
【0114】
図21は、図20のE−E線に沿った断面図である。この図21には、この装置8yの第一泥掻体60yと、第一把捉体64yの一部と、第二泥掻体62yと、第二把捉体66yの一部と、被覆部20yとが、示されている。車輪6yの回転に伴い、この被覆部20yは、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに近接していく。そして、この被覆部20yは、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに当接する。図21中、矢印線Fは、車輪6yの回転方向を表している。
【0115】
図22は、被覆部20yが第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに当接している状態が示された断面図である。被覆部20yが第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに当接すると、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに力が付与される。この付与された力により、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yは撓む。被覆部20yは、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yを撓ませつつ、この両者の間を通過していく。被覆部20yがこの両者の間を通過すると、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに付与されていた力が除かれる。この第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yは形状復元性を有しているので、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに付与されていた力が除かれると、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yは図21に示された状態に戻る。この農業機械2yでは、このような第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yの撓みと形状復元とが繰り返されている。このように、スポーク16ya、16ybは、車輪6yの回転に伴い、弾性体としての泥掻体60y、62yの撓みと形状復元とを繰り返させるように構成されている。なお、この図22中においても、矢印線Fは、車輪6yの回転方向を表している。
【0116】
被覆部20yが第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yに当接することにより、この被覆部20yに付着された泥土が掻き落とされる。前述したように、この装置8yでは、被覆部20yが第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yの間を通過する構成とされているので、車輪6yの側面46yよりも軸方向内側に付着された泥土が確実に掻き落とされうる。掻き取られた泥土が付着堆積することがないので、泥土の塊は形成されない。
【0117】
この農業機械2yでは、その先端が赤道面を超える一の泥掻体で構成された排泥部材に比べて、被覆部20yが当接する第一泥掻体60y又は第二泥掻体62yの長さは短い。したがって、この農業機械2yでは、被覆部20yの摩耗が抑えられる。被覆部20yの摩耗が抑えられた農業機械2yでは、車輪6yの耐久性低下が抑えられる。
【0118】
この農業機械2yでは、従来の泥落とし装置のように、泥落とし装置8yが車輪6yの前後左右を覆う必要はないので、車両質量の増加は最小限に抑えられている。このため、水田のような軟弱地盤における走行性が低下することはない。これに加えて、排泥部材36yが路面からの高さが低い位置に配置されうるので、泥土が掻き落とされる高さ位置は低い。このため、路面に落下する泥土の勢いが抑えられる。この農業機械2yでは、泥土が塊として落下しない上に、落下する泥土の勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0119】
図23〜図25は、上記第六実施形態に係る排泥部材36yの変形例である排泥部材37yを示す。排泥部材36yでは、支持部材34y側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びている弾性体(コイルスプリング)が2つ設けられている。これに対して排泥部材37yでは、支持部材34y側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びている弾性体(コイルスプリング)が1つ設けられている。弾性体は、車輪6yの軸方向一方側のみに設けられている。以下の排泥部材37yの説明において、排泥部材36yと同一構成の部分については、排泥部材36yと同一の符合が付されるとともに適宜説明が省略される。
【0120】
排泥部材37yは、泥掻体61yと、把捉体65yとを備えている。この泥掻体61yは、支持部材34yの側、即ちアーム49yの側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びている。この把捉体65yは、その外端にリング69yを備えている。そして、この把捉体65yは、アーム49yと泥掻体61yとの間に位置し、この泥掻体61yを固定するとともに、このリング69yでアーム49yを把持している。
【0121】
泥掻体61yは、被覆部20y(又はスポーク16yb)の軸方向幅と重複する軸方向範囲に設けられている。泥掻体61yは、被覆部20y(又はスポーク16yb)の軸方向一端側位置から軸方向他端側位置までを横断している。つまり、泥掻体61は、被腹部20y(又はスポーク16yb)の軸方向幅の全体に亘って設けられている。泥掻体61yは、車輪6yの回転方向に沿って力が与えられると撓み、この力が除かれると、その形状が復元する構成とされている。泥掻体61yは、車輪6yの回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す。泥掻体61yはコイルスプリングである。このコイルスプリングの材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。強度の観点から、このコイルスプリングの材質としては、金属材料が好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。なお、この泥掻体61yが、ゴム材料からなる棒材で構成されてもよい。この場合、ゴム材料としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムが例示される。汎用性の観点から、天然ゴムが好ましい。
【0122】
上述した第一アーム48yと同様、アーム49yは丸棒材で構成されている。また上述したように、第二アーム50y、第三アーム52y及びアダプター32yも、いずれも丸棒材で構成されている。この丸棒材は、その断面が矩形とされた角材とされてもよい。図示されていないが、排泥部材37yには、このようなスライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。この位置決め調整機構によって、圃場の状態、車輪6yの径、車輪6yの幅、泥土の付着状態等に応じて、泥掻体61yの位置が調整されうる。この農業機械2yでは、被覆部20yの付近に泥土が付着しやすい。したがって、この農業機械2yでは、被覆部20yが当接しうる位置に、泥掻体61yが配置されている。なお、この位置決め調整機構が、クランプ等で構成されてもよい。
【0123】
この丸棒材及び固定具の材質は、強度の観点から、金属材料であるのが好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。
【0124】
図24は、図23のG−G線に沿った断面図である。この図24には、泥掻体61yと、把捉体65yの一部と、被覆部20yとが、示されている。車輪6yの回転に伴い、この被覆部20yは、泥掻体61yに近接していく。そして、この被覆部20yは、泥掻体61yに当接する。図24中、矢印線Hは、車輪6yの回転方向を表している。
【0125】
図25は、被覆部20yが泥掻体61yに当接している状態が示された断面図である。被覆部20yが泥掻体61yに当接すると、泥掻体61yに力が付与される。この付与された力により、泥掻体61yは撓む。被覆部20yは、泥掻体61yを撓ませつつ、泥掻体61yの先端部を通過していく。被覆部20yがこの先端部を通過すると、泥掻体61yに付与されていた力が除かれる。この泥掻体61yは形状復元性を有しているので、泥掻体61yに付与されていた力が除かれると、泥掻体61yは図24に示された状態に戻る。このように、車輪6yの回転に伴い、弾性体である泥掻体61yの撓みと形状復元とが繰り返されている。このように、スポーク16ya、16ybは、車輪6yの回転に伴い、弾性体としての泥掻体60yの撓みと形状復元とを繰り返させるように構成されている。なお、この図25中においても、矢印線Hは、車輪6yの回転方向を表している。
【0126】
被覆部20yが泥掻体61yに当接することにより、この被覆部20yに付着された泥土が掻き落とされる。前述したように、被覆部20yが泥掻体61yと当接しつつ泥掻体61yの先端部を通過する構成とされているので、車輪6yの側面46yよりも軸方向内側に付着された泥土が確実に掻き落とされうる。掻き取られた泥土が付着堆積することがないので、泥土の塊は形成されない。
【0127】
図26は、本発明の第七実施形態に係る農業機械74yの一部が示された側面図である。この農業機械74yは、本体4yと、車輪6yと、泥落とし装置8yとを備えている。この農業機械74yも、車輪6yが前輪10yと後輪76yとから構成される四輪車である。この図26には、泥落とし装置8yの一部と、後輪76yとが示されている。この泥落とし装置8yは、後輪76yに取り付けられている。この後輪76yは、その内周面に突出する羽根ラグ78yを備えている。なお、この農業機械74yの後輪76y以外の構成は、図19の農業機械2yと同一である。したがって、この泥落とし装置8yは、排泥部材36yに備えられる第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yの位置が調整されうる位置決め調整機構を備えている。このため、この農業機械74yでは、走行性と泥土の掻き落としとのバランスが考慮された位置に、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yが配置されうる。したがって、この農業機械74yでは、第一泥掻体60y及び第二泥掻体62yと羽根ラグ78yとの干渉による走行性の低下は生じない。これに加えて、この農業機械74yは、車輪6yに付着した泥土を確実に掻き落とすことができる。
【0128】
図27は、本発明の第八実施形態に係る農業機械80yに備えられる泥落とし装置82yの一部が示された平面図である。この農業機械80yは、本体4yと、車輪6yと、泥落とし装置82yとを備えている。この農業機械80yの本体4yと車輪6yとは、図19の農業機械2yと同じ構成とされている。この農業機械80yも、車輪6yが前輪10yと後輪12yとから構成される四輪車である。この農業機械80yにおいても、泥落とし装置82yは、後輪12yに取り付けられている。この図27には、後輪12yの一部と、泥落とし装置82yの一部とが示されている。
【0129】
泥落とし装置82yは、アダプター84yと、支持部材86yと、排泥部材88yとを備えている。支持部材86yは、車輪6yの一方の側面46yに沿ってアダプター84yから延びる第一アーム90yと、この第一アーム90yから軸方向に延びる第二アーム92yと、この第二アーム92yから他方の側面46yに沿って延びる第三アーム94yとを備えている。排泥部材88yは、第一アーム90yの側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体96yと、第三アーム94yの側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びる第二泥掻体98yとを備えている。この第一泥掻体96y及び第二泥掻体98yはコイルスプリングである。
【0130】
図27において、両矢印線DByはこの第一泥掻体96yの先端100yaと第二泥掻体98yの先端100ybとの間の間隙を表している。両矢印線WByは、被覆部20yの軸方向における幅を表している。点PByは、間隙DByの中心である。この農業機械80yでは、この第一泥掻体96yの先端100ya及び第二泥掻体98yの先端100ybは、被覆部20yの軸方向外側に位置している。この先端100ya、100ybが被覆部20yの側面と接触するように構成されてもよい。したがって、この農業機械80yでは、この間隙DByは幅WByと同等以上に設定される。このような農業機械80yでは、第一泥掻体96y及び第二泥掻体98yと被覆部20yとが当接する領域が最小限に抑えられるので、被覆部20yの摩耗が抑えられる。被覆部20yの摩耗が抑えられるので、車輪6yの耐久性低下が抑えられる。この農業機械80yでは、この点PByは車輪6yの赤道面上に位置している。なお、この点PByが、赤道面上からずれてもよい。
【0131】
図28は、本発明の第九実施形態に係る農業機械102yに備えられる泥落とし装置104yの一部が示された平面図である。この農業機械102yは、本体4yと、車輪6yと、泥落とし装置104yとを備えている。この農業機械102yの本体4yと車輪6yとは、図19の農業機械2yと同じ構成とされている。この農業機械102yも、車輪6yが前輪10yと後輪12yとから構成される四輪車である。この農業機械102yにおいても、泥落とし装置104yは、後輪12yに取り付けられている。この図28には、後輪12yの一部と、泥落とし装置104yの一部とが示されている。
【0132】
泥落とし装置104yは、アダプター106yと、支持部材108yと、排泥部材110yとを備えている。支持部材108yは、車輪6yの一方の側面46yに沿ってアダプター106yから延びる第一アーム112yと、この第一アーム112yから軸方向に延びる第二アーム114yと、この第二アーム114yから車輪6yの他方の側面46yに沿って延びる第三アーム116yとを備えている。排泥部材110yは、支持部材108yの側、即ち、第一アーム112yの側から車輪6の赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体118yと、第三アーム116yの側から車輪6yの赤道面に向かって軸方向に延びる第二泥掻体120yとを備えている。図28で示された泥落とし装置104yと同じように、第一泥掻体118y及び第二泥掻体120yの赤道面側の先端122yは、被覆部20yの軸方向外側に位置している。なお、この農業機械102yでは、第一泥掻体118y及び第二泥掻体120yの赤道面側の先端122ya、122ybは、この被覆部20yと当接しない。
【0133】
図28において、両矢印線DCyはこの第一泥掻体118yの先端122yaと第二泥掻体120yの先端122ybとの間の間隙を表している。両矢印線WCyは、被覆部20yの軸方向における幅を表している。点PCyは、間隙DCyの中心である。この農業機械102yでは、この第一泥掻体118yの先端122ya及び第二泥掻体120yの先端122ybは、被覆部20yの軸方向外側に位置しているので、この間隙DCyは幅WCyよりも大きい。このような農業機械102yでは、第一泥掻体118y及び第二泥掻体120yと被覆部20yとの当接がないので、被覆部20yが摩耗しない。被覆部20yが摩耗しないので、車輪6yの耐久性は低下しない。この農業機械102yでは、この点PCyは、車輪6yの赤道面上に位置している。なお、この点PCyが、赤道面上からずれてもよい。
【0134】
この農業機械102yでは、第一泥掻体118y及び第二泥掻体120yと被覆部20yとの当接がないので、この第一泥掻体118y及び第二泥掻体120yに、撓み及び弾性復元が考慮されていない棒材が用いられてもよい。第一泥掻体118y及び第二泥掻体120yに棒材が用いられることにより、この泥落とし装置104yの製造コストが低減される。この棒材の断面形状としては、円又は矩形が例示される。この棒材の材質としては、金属材料及び合成高分子材料であるのが好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。合成高分子材料としては、プラスチック材料及びゴム材料が例示される。汎用性及び加工性の観点から、プラスチック材料が好ましい。プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール及びナイロンが例示される。
【0135】
第六〜第九実施形態の泥落とし装置は車輪の前後左右を覆う大掛かりな構成とされていないので、車両質量の増加は最小限に抑えられている。このため、水田のような軟弱地盤における走行性が低下することはない。これに加えて、この装置は路面からの高さが低い位置に取り付けられるので、泥土は路面からの高さが低い位置で掻き落とされる。この装置では、車輪の赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体及び第二泥掻体を備えている。このため、この装置は、車輪の側面よりも軸方向内側に付着された泥土を確実に掻き落とすことができる。掻き取られた泥土が付着堆積することはないので、泥土の塊は形成されない。この装置では、泥土が塊として落下しない上に、掻き落とされる高さ位置が低いので、苗等の損傷が助長されることはない。
【0136】
図29は、本発明の第十実施形態に係る農業機械2zが示された正面図である。この農業機械2zは、機体4zと、車輪6zと、泥落とし装置8zとを備えている。この機体4zには、田植機として機能するための装備が搭載されている。この車輪6zは、この機体4zの前方に装着される前輪10zと、この機体4zの後方に装着される後輪12zとから構成されている。この農業機械2zは、四輪タイプの田植機である。この泥落とし装置8zは、前輪10z及び後輪12zに取り付けられている。この図29において、横方向は、機体4zの長さ方向を表している。この紙面の左側が、この農業機械2zの前方側である。この紙面に対して垂直方向が、車輪6zの軸方向を表している。
【0137】
車輪6zは、鉄車14zと、この鉄車14zの半径方向外側にリング状の弾性輪体16zとを備えている。この鉄車14zはボス18zと、このボス18zから放射状に延びるスポーク20zと、このスポーク20zの端に固定されるリング状のリムとから構成されている。この車輪6zは、スポークタイプである。なお、このリムは、弾性輪体16zで覆われているので、図示されていない。
【0138】
弾性輪体16zは、その外周面にラグ22zを備えている。このラグ22zは、ブロック状ラグ24zのみで構成されている。このブロック状ラグ24zは、台形ラグ26z及び三角ラグ28zからなる。この弾性輪体16zは、車輪6zの側方への突出が大きい羽根ラグ22zを備えていない。この台形ラグ26zは、この車輪6zの赤道面に配置されている。この台形ラグ26zでは、車輪6zの側方への突出はない。三角ラグ28zは、この台形ラグ26zの軸方向外側に延びている。この三角ラグ28zは、この台形ラグ26zの両側に、回転方向において左右交互に配置されている。この三角ラグ28zの車輪6zの側方への突出は、羽根ラグ22zに比べて小さい。このような車輪6zの側方への突出は、小さい。なお、この農業機械2zに装着される前輪10z及び後輪12zのうち何れか一方の車輪6zのラグ22zが、ブロック状ラグ24zのみで構成されてもよい。この場合、そのラグ22zがブロック状ラグ24zのみで構成された車輪6zに、この泥落とし装置8zが取り付けられる。この農業機械2zが、補助車輪を備える場合がある。この場合、その外周面に羽根ラグ22zを備えることなくブロック状ラグ24zのみを備えた補助車輪に、この泥落とし装置8zが取り付けられてもよい。
【0139】
図30は、図29の農業機械2zに備えられている泥落とし装置8zの一部が示された平面図である。この図30において、上下方向は、車輪6zの軸方向を表している。この紙面の下側が、車輪6zの外側である。横方向は、機体4zの長さ方向を表している。この紙面の左側が、この農業機械2zの前方側である。一点鎖線CLzは、車輪6zの中心線を表している。この中心線CLzは、車輪6zの赤道面を通る。
【0140】
泥落とし装置8zは、支持部材30zと、泥掻体としてのスキージ32zとを備えている。この支持部材30zは、機体4zに固定されるアーム部34zと、このアーム部34zから車輪6zの接地面に沿って配置される保持部36zとを備えている。このスキージ32zは、この保持部36zから機体4zの長さ方向に延在している。
【0141】
アーム部34zは、その一方の端が機体4zに溶接されている第一ロッド38zと、第一リング40zがその一方の端に溶接されている第二ロッド42zと、折り曲げ加工がなされている第三ロッド44zと、第二リング46zと、第三リング48zとを備えている。この第一ロッド38zは、機体4zの後方側に向かって長さ方向に延在している。第二ロッド42zは、この第一リング40zから下方に向かって延在している。この第三ロッド44zは、折り曲げ加工がなされることにより、軸方向に延びる部分と長さ方向に延びる部分とを備えている。
【0142】
保持部36zは、基板50zと、ボルト52zと、ナット54zとを備えている。基板50zは、軸方向に長い構成とされている。図示されていないが、この基板50zの両側には、ボルト52zが挿通されうるボルト孔が開けられている。この泥落とし装置8zでは、この基板50zの内側面56zと第三ロッド44zの長さ方向に延びる部分の外周面58zとが溶接で固定されている。
【0143】
スキージ32zは、車輪6zの側面に沿って配置されている。このスキージ32zは、保持部36zから機体4zの前方に向かって長さ方向に延びる柄60zと、この柄60zの端から路面に向かって下側に延びる爪62zとを備えている。この柄60zの保持部36zの側には調整孔64zが備えられている。この調整孔64zは、軸方向に長い形状とされている。この爪62zの先端は、丸めとされている。なお、このスキージ32zの形状は、ラグ22zの形状、車輪6zのサイズ等が考慮されて、適宜決められる。
【0144】
この泥落とし装置8zでは、基板50zの上に柄60zが配置される。ボルト52zは、調整孔64zとボルト孔とを挿通し、このボルト孔の下に配置されるナット54zにねじ込まれる。このボルト52zとナット54zとで、スキージ32zと基板50zとが締め付けられることにより、スキージ32zが保持部36zに直接固定される。前述したように、スキージ32zの調整孔64zは軸方向に長い形状とされているので、このスキージ32zの軸方向の位置が調整されうる。なお、このスキージ32zが、ボルト52z及びナット54z以外の別の締結手段で、保持部36zに固定されてもよい。
【0145】
第一リング40zは、この第一ロッド38zをスライドし、所定位置で固定されうる。第一リング40zが第一ロッド38zをスライドすることにより、スキージ32zの長さ方向の位置が調整されうる。第二リング46zは、この第二ロッド42zをスライドし、所定位置で固定されうる。第二リング46zが第二ロッド42zをスライドすることにより、このスキージ32zの高さ方向の位置が調整されうる。第三リング48zは、第三ロッド44zの軸方向に延びる部分をスライドし、所定位置で固定されうる。第三リング48zが第三ロッド44zの軸方向に延びる部分をスライドすることにより、このスキージ32zの軸方向の位置が調整されうる。この第三ロッド44zは車輪6zと同じ方向に回転するので、スキージ32zの長さ方向に対する角度も調整されうる。この農業機械2zには、このようなスライドロックによる位置決め調整機構が備えられている。このため、このスキージ32zは、圃場の状態、車輪6zの径、車輪6zの幅、泥土66zの付着状態等に応じて、最適な位置に配置されうる。
【0146】
前述したように、このスキージ32zは車輪6zの側面に沿って配置されている。このため、この農業機械2zでは、このスキージ32zが車輪6zの側面に付着している泥土66zを確実に掻き落とす。車輪6zに付着した泥土66zが確実に掻き落とされるので、泥土66zが車輪6zに堆積することはない。泥土66zが堆積することがないので、泥土66zの塊は形成されない。
【0147】
この農業機械2zは位置決め調整機構を備えているので、スキージ32zは路面から低い位置に配置されうる。このため、掻き落とされる泥土66zの位置は低い。掻き落とされる泥土66zの位置が低いので、路面に落下する泥土66zの勢いが抑えられる。この農業機械2zでは、泥土66zが塊として落下しない上に、落下する泥土66zの勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0148】
スキージ32zの材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。合成高分子材料としては、プラスチック材料及びゴム材料が例示される。強度及び汎用性の観点から、プラスチック材料が好ましい。プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール及びナイロンが例示される。
【0149】
図31は、本発明の第11実施形態に係る農業機械68zの一部が示された正面図である。この農業機械68zは、機体と、車輪70zと、泥落とし装置72zとを備えている。この農業機械68zは、この車輪70zが前輪及び後輪から構成される四輪タイプの田植機である。この図31には、車輪70zと、この車輪70zに取り付けられている泥落とし装置72zとが示されている。この農業機械68zの泥落とし装置72z以外の構成は、図29に示された農業機械68zと同様である。なお、この図31において、横方向は、機体の長さ方向を表している。この紙面の左側が、この農業機械68zの前方側である。この紙面に対して垂直方向が、車輪70zの軸方向を表している。
【0150】
図32は、図31の泥落とし装置72zの一部が示された平面図である。この図32において、上下方向は、車輪70zの軸方向を表している。この紙面の下側が、車輪70zの外側である。横方向は、機体の長さ方向を表している。この紙面の左側が、この農業機械68zの前方側である。一点鎖線CLzは、車輪70zの中心線を表している。この中心CLzは、車輪70zの赤道面を通る。
【0151】
泥落とし装置72zは、支持部材74zとスキージ76zとを備えている。この支持部材74zは、機体に固定されるアーム部78zと、このアーム部78zから車輪70zの接地面に沿って配置される保持部80zとを備えている。このスキージ76zは、この保持部80zから機体の長さ方向に延在している。このスキージ76zは、ボルト82z及びナット84zによって、この保持部80zに直接固定されている。この泥落とし装置72zのスキージ76z以外の構成は、図30に示された泥落とし装置72zと同様である。
【0152】
スキージ76zは、車輪70zの側面に沿って配置されている。このスキージ76zは、保持部80zから長さ方向に延びる柄86zと、この柄86zの端から路面に向かって下側に延びる爪88zとを備えている。この柄86zは、その保持部80z側に調整孔90zを備えている。この調整孔90zは、軸方向に長い形状とされている。この爪88zの先端は、丸めとされている。この泥落とし装置72zでは、車輪70zの内側に位置するスキージ76zが、その先端側に弾性体としての弾性部材92zをさらに備えている。
【0153】
弾性部材92zは爪88zの下側に位置しており、この爪88zの前面に固定されている。この弾性部材92zは、車輪70zの内側から外側に向かって軸方向に延びている。この弾性部材92zの先端は、車輪70zの赤道面を越えて車輪70zの外側に位置するスキージ76zの先端側に達している。なお、車輪70zの外側及び内側に位置するそれぞれのスキージ76zが、その先端側に、車輪70zの赤道面に向かって延びる弾性部材92zを備えてもよい。この場合、この弾性部材92zは、その先端が赤道面上に配置されるように構成されている。
【0154】
弾性部材92zは、この爪88zに溶接される固定部94zと、弾性体としてのコイルスプリング96zとを備えている。アーム部78zが位置決め調整機構を備えているので、このコイルスプリング96zは最適な位置に配置される。この車輪70zにおいて、スポーク20zと弾性輪体との間が境界部98zである。この泥落とし装置72zでは、この境界部98zが当接されうるように、このコイルスプリング96zは配置される。
【0155】
車輪70zの回転に伴い、境界部98zはコイルスプリング96zに当接する。境界部98zがコイルスプリング96zに当接すると、このコイルスプリング96zに力が付与される。この付与された力により、このコイルスプリング96zは撓む。この境界部98zは、このコイルスプリング96zを撓ませつつ、移動していく。この境界部98zがこのコイルスプリング96zとから遠ざかると、コイルスプリング96zに付与されていた力が除かれる。コイルスプリング96zに付与されていた力が除かれると、このコイルスプリング96zの形状が復元する。この農業機械68zでは、このようなコイルスプリング96zの撓みと形状復元とが繰り返されている。走行時において、力が付与されるとコイルスプリング96zは撓み、力が除かれるとコイルスプリング96zの形状が復元するので、走行性が損なわれることなく、境界部98zとコイルスプリング96zとの当接が繰り返される。
【0156】
境界部98zがコイルスプリング96zに当接するので、この境界部98zに付着された泥土66zが掻き落とされる。このため、この農業機械68zでは、車輪70zの側面よりも内側に付着された泥土66zが確実に掻き落とされうる。前述したように、このスキージ76zは車輪70zの側面に沿って配置されているので、車輪70zの側面に付着した泥土66zも確実に掻き落とされる。泥土66zが確実に掻き落とされるので、泥土66zが車輪70zに堆積することはない。泥土66zが堆積することがないので、泥土66zの塊は形成されない。この農業機械68zでは、位置決め調整機構が用いられて、このスキージ76zは路面からの高さが低い位置に配置されうる。このため、泥土66zは、路面からの高さが低い位置で掻き落とされる。掻き落とされる泥土66zの高さが低いので、路面に落下する泥土66zの勢いが抑えられる。この農業機械68zでは、泥土66zが塊として落下しない上に、落下する泥土66zの勢いが抑えられているので、苗等の損傷が防止されうる。
【0157】
コイルスプリング96zの材質としては、金属材料及び合成高分子材料が例示される。強度の観点から、このコイルスプリング96zの材質としては、金属材料が好ましい。金属材料としては、スチール、アルミニウム合金及びステンレススチールが例示される。耐食性の観点から、ステンレススチールが好ましい。なお、このコイルスプリング96zが、ゴム材料からなる棒材で構成されてもよい。この場合、ゴム材料としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びイソプレンゴムが例示される。汎用性の観点から、天然ゴムが好ましい。
【0158】
第十実施形態及び第11実施形態の泥落とし装置は車輪の側面に沿って延在する泥掻体としてのスキージを備えているので、車輪の側面に付着した泥土が確実に掻き落とされる。このため、泥土が車輪に堆積することがない。泥土が車輪に堆積することがないので、泥土の塊は形成されない。この泥落とし装置が取り付けられた農業機械では、泥土が塊として落下することはないので、苗等に泥かぶり、折れ及び倒れが生じることはない。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明に係る泥落とし装置は、種々の農業機械に装着されうる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】図1は、本発明に係る泥落とし装置の一実施形態の泥落とし装置を示した側面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線矢視図である。
【図3】図3は、図2のB−B線矢視図である。
【図4】図4は、図3に対応させて弾性ステー部の動きを説明した図である。
【図5】図5は、図1のC−C線矢視図である。
【図6】図6は、使用状況を説明した図(図2に対応)である。
【図7】図7は、使用状況を説明した図(図2に対応)である。
【図8】図8は、農業機械への取付例を示した側面図である。
【図9】図9は、排泥部材(スキージ部)の変形例を示した側面図である。
【図10】図10は、従来の問題現象を説明した側面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る農業機械が示された正面図である。
【図12】図12は、図11の農業機械に備えられている泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施形態に係る農業機械の一部が示された側面図である。
【図14】図14は、本発明のさらに他の実施形態に係る農業機械が示された正面図である。
【図15】図15は、図14の農業機械に備えられている泥落とし装置の一部切り欠き正面図である。
【図16】図16は、図15の泥落とし装置の平面図である。
【図17】図17は、図15のD−D線に沿った断面図である。
【図18】図18は、本発明のさらに他の実施形態に係る農業機械の一部が示された側面図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態に係る農業機械が示された側面図である。
【図20】図20は、図19の農業機械に取り付けられている泥落とし装置の一部が後輪と共に示された部分拡大平面図である。
【図21】図21は、図20のE−E線に沿った断面図である。被覆部が第一泥掻体及び第二泥掻体に当接している状態が示された断面図である。
【図22】図22は、被覆部が第一泥掻体及び第二泥掻体に当接し、第一泥掻体及び第二泥掻体が撓んている状態が示された断面図である。
【図23】図23は、図20に示された泥落とし装置の変形例の一部が示された部分拡大平面図である。
【図24】図24は、図23のG−G線に沿った断面図である。被覆部が泥掻体に当接している状態が示された断面図である。
【図25】図25は、被覆部が泥掻体に当接し、泥掻体が撓んでいる状態が示された断面図である。
【図26】図26は、他の実施形態に係る農業機械の一部が示された側面図である。
【図27】図27は、さらに他の実施形態に係る農業機械に備えられる泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【図28】図28は、さらに他の実施形態に係る農業機械に備えられる泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【図29】図29は、本発明の一実施形態に係る農業機械が示された正面図である。
【図30】図30は、図29の農業機械に備えられている泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【図31】図31は、本発明の他の実施形態に係る農業機械の一部が示された正面図である。
【図32】図32は、図31の泥落とし装置の一部が示された平面図である。
【符号の説明】
【0161】
1・・・泥落とし装置
2・・・農業機械
5・・・支持部材
6・・・排泥部材
10・・・スキージ部(泥掻体)
11・・・弾性ステー部(弾性体)
21・・・先端部
30・・・近接位置調整手段
31・・・高さ調整手段
32・・・左右位置調整手段
33・・・角度調整手段
100・・・側方突出ラグ
102・・・車輪
112・・・回転先行面
2x、74x、82x、138x・・・農業機械
4x・・・機体
6x、80x、144x・・・車輪
8x、84x・・・泥落とし装置
10x・・・前輪
12x、76x、140x・・・後輪
14x、78x、142x・・・ブロック状ラグ
16xa、16xb・・・台形ラグ
18x・・・三角ラグ
20x・・・羽根ラグ
22x、86x・・・支持部材
24x、88x・・・排泥部材
26x、90x・・・アーム部
28x、92x・・・保持部
30x、94x・・・ステー
32x、96x・・・スキージ
34x、98x・・・第一ロッド
36x、100x・・・第二ロッド
38x、102x・・・第三ロッド
40x、104x・・・第一リング
42x、106x・・・第二リング
44x、108x・・・第三リング
46x、112x・・・基板
48x、60x、126x、132x・・・ボルト
50x、62x、128x、134x・・・ナット
52x、118x・・・コイルスプリング
54xa、54xb、120x・・・鉤
56x、122x・・・泥掻体
58x、124x・・・接続板
64x・・・泥土
66x・・・柄
68x・・・爪
70x、130x・・・調整孔
72x・・・回転先行面
110x・・・筒体
114x・・・固定具
116x・・・緩衝体
136x・・・固定孔
2y、74y、80y、102y・・・農業機械
4y・・・本体
6y・・・車輪
8y、82y、104y・・・泥落とし装置
10y・・・前輪
12y、76y・・・後輪
14ya、14yb・・・ハブ
16ya、16yb・・・スポーク
18ya、18yb・・・弾性輪体
20y・・・被覆部
22ya、22yb・・・ラグ
24y・・・突部
26y・・・推進部
28y・・・直進誘導部
30y・・・羽根部
32y、84y、106y・・・アダプター
34y、86y、108y・・・支持部材
36y、88y、110y・・・排泥部材
42y・・・底部
44y・・・端部
46y・・・側面
48y、90y、112y・・・第一アーム
50y、92y、114y・・・第二アーム
52y、94y、116y・・・第三アーム
54y・・・第一リング
56y・・・第二リング
58y・・・第三リング
60y、96y、118y・・・第一泥掻体
62y、98y、120y・・・第二泥掻体
64y・・・第一把捉体
66y・・・第二把捉体
68y・・・第四リング
70y・・・第五リング
72ya、72yb、100ya、100yb、122ya、122yb・・・先端
78y・・・羽根ラグ
124y・・・リム
2z、68z・・・農業機械
4z・・・
6z、70z・・・車輪
8z、72z・・・泥落とし装置
10z・・・前輪
12z・・・後輪
14z・・・鉄車
16z・・・弾性輪体
18z・・・ボス
20z・・・スポーク
22z・・・ラグ
24z・・・ブロック状ラグ
26z・・・台形ラグ
28z・・・三角ラグ
30z、74z・・・支持部材
32z、76z・・・スキージ
34z、78z・・・アーム部
36z、80z・・・保持部
38z・・・第一ロッド
40z・・・第一リング
42z・・・第二ロッド
44z・・・第三ロッド
46z・・・第二リング
48z・・・第三リング
50z・・・基板
52z・・・ボルト
54z・・・ナット
56z・・・内側面
58z・・・外周面
60z、86z・・・柄
62z、88z・・・爪
64z、90z・・・調整孔
66z・・・泥土
92z・・・弾性部材(弾性体)
94z・・・固定部
96z・・・コイルスプリング
98z・・・境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材とを備え、
上記排泥部材は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている泥落とし装置。
【請求項2】
上記弾性体が、コイルスプリングからなる請求項1に記載の泥落とし装置。
【請求項3】
上記泥掻体の位置が調整されうる位置決め調整機構を備えている請求項1に記載の泥落とし装置。
【請求項4】
上記弾性体が上記泥掻体とされている請求項1に記載の泥落とし装置。
【請求項5】
上記弾性体が上記支持部材の側から上記車輪の赤道面に向かって軸方向に延びている請求項4に記載の泥落とし装置。
【請求項6】
上記排泥部材は、上記弾性体と、この弾性体の端部に取り付けられた上記泥掻体とを備えている請求項1に記載の泥落とし装置。
【請求項7】
車輪と、泥落とし装置とを備えており、
この泥落とし装置が、車輪に付着した泥を掻き落とす泥掻体を有する排泥部材と、この排泥部材を支持する支持部材とを備え、
上記排泥部材は、車輪の回転に伴い撓みと形状復元とを繰り返す弾性体を備えている農業機械。
【請求項8】
上記弾性体が上記支持部材の側から上記車輪の赤道面に向かって軸方向に延びており、
上記車輪が、スポークを備えており、
このスポークが、上記車輪の回転に伴い上記弾性体の撓みと形状復元とを繰り返させるように構成されている請求項7に記載の農業機械。
【請求項9】
農業機械に装備された側方突出ラグ付き車輪の接地域を除く回転域外周部へ向けて農業機械の機体から延設される支持部材と、車輪回転時における側方突出ラグの回転域へ向けて上記支持部材から突設される上記排泥部材とを有し、上記排泥部材は、側方突出ラグの回転先行面に当接して付着泥土を掻き落とす上記泥掻体と、側方突出ラグの回転に伴ってこの泥掻体による側方突出ラグへの当接状態を維持させると共に側方突出ラグの回転通過後には元位置へ復帰させる方向で弾性を生起する弾性体とを有していることを特徴とする農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項10】
支持部材には、車輪の径方向に沿って排泥部材の位置調整を可能にする近接位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項11】
上記支持部材には、接地地盤からの高さ方向に沿って排泥部材の位置調整を可能にする高さ調整手段が設けられていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項12】
上記支持部材には、車輪の軸方向に沿って排泥部材の位置調整を可能にする左右位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項13】
上記支持部材には、側方突出ラグに対して排泥部材の泥掻体が当接する当接角度の調整を可能にする角度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項14】
上記排泥部材の上記泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面に当接しつつ摺動する方向で先端部が円形断面に形成されていることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項15】
上記排泥部材の泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面が車輪側面から突出する傾斜角度(θ)と平行する角度で先端部が傾斜して形成されていることを特徴とする請求項9から請求項14のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項16】
上記排泥部材の泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面に対して直角に近い角度で突き当てられ且つ車輪反転時に側方突出ラグとの引っ掛かりを防止するかたちでL型フック形に形成されていることを特徴とする請求項9から請求項15のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項17】
上記排泥部材の泥掻体は、側方突出ラグの回転先行面に対して突き当てられ且つ車輪反転時に側方突出ラグとの引っ掛かりを防止するかたちで凸カーブを呈して形成されていることを特徴とする請求項9から請求項16のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項18】
上記排泥部材の泥掻体は、車輪側面へ向く側縁部が車輪側面に対して当接乃至近接する形状に形成されていることを特徴とする請求項9から請求項17のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項19】
上記排泥部材は、泥掻体と弾性体とが別部材で形成され、互いに連結離反可能に設けられていることを特徴とする請求項9から請求項18のいずれかに記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項20】
上記排泥部材は、泥掻体と弾性体との間に繋ぎ板が設けられていると共に、弾性体の根本部にベース杆が設けられており、泥掻体と繋ぎ板、繋ぎ板と弾性体、弾性体とベース杆がそれぞれ締結手段によって固定されていることを特徴とする請求項19に記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項21】
上記排泥部材は、泥掻体と弾性体との間に繋ぎ板が設けられており、この繋ぎ板を基礎として泥掻体が左右位置調整可能とされ、車輪の幅に応じて泥掻体と車輪との隙間調整が可能とされていることを特徴とする請求項19に記載の農業機械用車輪の泥落とし装置。
【請求項22】
機体に取り付けられる保持部と、この保持部に取り付けられており機体の長さ方向に延在するステーと、このステーに取り付けられており車輪の側面に沿って機体の長さ方向に延在する泥掻体とを備えており、この保持部が、筒体と、この筒体に収容される緩衝体と、固定具とを備えており、このステーが、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えており、この弾性体が、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている農業機械用の泥落とし装置。
【請求項23】
機体と、車輪と、泥落とし装置とを備えており、
この車輪が、その外周面にブロック状ラグのみを備えた前輪と、その外周面に羽根ラグを備えた後輪とを備えており、
この泥落とし装置が、機体に取り付けられる保持部と、この保持部に取り付けられており機体の長さ方向に延在するステーと、このステーに取り付けられており車輪の側面に沿って機体の長さ方向に延在する泥掻体とを備えており、
このステーが、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えている農業機械。
【請求項24】
上記保持部が、筒体と、この筒体に収容される緩衝体と、固定具とを備えており、
上記弾性体が、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている請求項23に記載の農業機械。
【請求項25】
機体と、車輪と、泥落とし装置とを備えており、
この車輪が、その外周面にブロック状ラグのみを備えた前輪及び後輪を備えており、
この泥落とし装置が、機体に取り付けられる保持部と、この保持部に取り付けられており機体の長さ方向に延在するステーと、このステーに取り付けられており車輪の側面に沿って機体の長さ方向に延在する泥掻体とを備えており、
このステーが、力が付与されると撓みこの力が除かれると復元する弾性体を備えている
農業機械。
【請求項26】
上記保持部が、筒体と、この筒体に収容される緩衝体と、固定具とを備えており、
上記弾性体が、その一部が筒体に収容されかつ緩衝体を介して固定具で締め付けられることにより、筒体に固定されている請求項25に記載の農業機械。
【請求項27】
支持部材と、排泥部材とを備えており、
この支持部材が、車輪の一方の側面に沿って延びる第一アームと、この第一アームから車輪の軸方向に延びる第二アームと、この第二アームから車輪の他方の側面に沿って延びる第三アームとを備えており、
この排泥部材が、第一アームの側から車輪の赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体と、第三アームの側から赤道面に向かって軸方向に延びる第二泥掻体とを備えている泥落とし装置。
【請求項28】
上記第一泥掻体及び第二泥掻体が、車輪の回転方向に沿って力が与えられると撓み、この力が除かれると形状が復元する構成とされている請求項27に記載の泥落とし装置。
【請求項29】
上記第一泥掻体及び第二泥掻体が、コイルスプリングからなる請求項28に記載の泥落とし装置。
【請求項30】
上記第一泥掻体及び第二泥掻体の位置が調整されうる位置決め調整機構を備えている請求項27から29のいずれかに記載の泥落とし装置。
【請求項31】
車輪と、泥落とし装置とを備えており、
この泥落とし装置が、支持部材と、排泥部材とを備えており、
この支持部材が、この車輪の一方の側面に沿って延びる第一アームと、この第一アームからこの車輪の軸方向に延びる第二アームと、この第二アームから他方の側面に沿って延びる第三アームとを備えており、
この排泥部材が、第一アームの側からこの車輪の赤道面に向かって軸方向に延びる第一泥掻体と、第三アームの側から赤道面に向かって軸方向に延びる第二泥掻体とを備えている農業機械。
【請求項32】
上記車輪が、スポークを備えており、
このスポークが、車輪の回転により上記第一泥掻体と第二泥掻体との間を通過するように構成されている請求項31に記載の農業機械。
【請求項33】
機体に固定される保持部と、この保持部から機体の長さ方向に車輪の側面に沿って延在する泥掻体とを備えており、
この泥掻体が、この保持部に直接固定されている農業機械用の泥落とし装置。
【請求項34】
上記泥掻体が、その先端側に軸方向に延びる弾性体を備えている請求項33に記載の泥落とし装置。
【請求項35】
機体と、車輪と、この車輪に取り付けられる泥落とし装置とを備えており、
この車輪が、その外周面にラグを備えており、
このラグが、ブロック状ラグのみで構成されており、
この泥落とし装置が、この機体に固定される保持部と、この保持部からこの機体の長さ方向にこの車輪の側面に沿って延在する泥掻体とを備えており、
この泥掻体が、この保持部に直接固定されている農業機械。
【請求項36】
上記泥掻体が、その先端側に軸方向に延びる弾性体を備えている請求項35に記載の農業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2007−55579(P2007−55579A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132340(P2006−132340)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【分割の表示】特願2005−310246(P2005−310246)の分割
【原出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】