説明

注出口栓、注出口栓の製造法及び包装容器

【課題】容易に切断開封ができ、高度のバリア性を有し、注出口栓の成形製造工程の効率が高い注出口栓、注出口栓の製造法及び包装容器を提供する。
【解決手段】液体用紙容器2の注出孔3に設けられる注出筒4及び、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジ5を有するスパウト6と、好ましくはスパウトを覆うスクュー・キャップ7若しくはヒンジ付きキャップと、スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブ8とからなる注出口栓1であって、
注出孔を容器内側から覆い、プルタブからフランジにわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルム11を有し、ガスバリアフィルムが少なくとも容器壁と接合するフランジ上端面に一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料などを充填する容器のガスバリア性注出口栓、包装容器及び注出口栓の製造法器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、清涼飲料等の液体食品を充填する紙容器の注出口栓は、前もって注出口栓を成形し、紙容器へ若しくは容器成形前の包装材料へ、その容器若しくはその包装材料に穿孔された注出孔に内側から挿入して超音波シールなどで溶着して若しくは注出孔外側へ当てて溶着する第1の方法で、又は、紙容器用の包装材料に穿孔された注出孔へ射出成形によって注出口栓を直接に成形して装着しその包装材料から容器に成形する第2の方法で、装着される。
【0003】
上記第1の方法による注出口栓を装着する包装容器には、破断可能なように封止された液体用紙容器の注出孔に容器成形後に装着されたスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵された開封手段、例えば、開封刃及びプルリングなどとからなる注出口栓及びその液体用包装容器がある。(特許文献1及び2参照)
牛乳などが充填される屋根型の紙容器用の注ぎ口は、多く、容器成形後に充填機で包装材料(ブランク)にあけた穴に、内側からフランジ付の注ぎ口を挿入し、超音波シールなどでこのフランジをブランクに溶着する。
上記の注ぎ口には、1ピースの簡単な注ぎ口、プルリングを備えメンブレンを持つスパウトにネジ蓋を備えた2ピースの注ぎ口などが知られている。
【0004】
ポリエチレンコートの包装材料(ブランク)に熱溶着される関係で、注ぎ口も通常、ガスバリア性がないポリエチレンで作られる。いずれにしても、注出口栓が廉価にプラスチックで成形されるので、通常に成形された注出口栓には、バリア性は無い。
容器にガスバリア性が必要な場合、容器自体にバリア性を付与すると共に、スパウトのメンブレンを、ガスバリア性アルミ箔を積層したフィルムなどで裏打ちした2ピースの注ぎ口、あるいは、スパウト開口部を、アルミ箔を積層したフィルムでシールした2ピースの注ぎ口が採用される。
【0005】
上記第2の方法による注出口栓を装着する包装容器にガスバリア性が必要な場合、容器内側に対応する包装材料の注出孔内側を覆うように、射出成形のキャビティを有し、内底壁にガスバリアフィルムを載置した射出成形の第1金型を配設し、容器外側に対応する注出孔外側を覆うように、所定のキャビティを有する第2金型を配設し、キャビティ・ゲートから溶融樹脂をキャビティに射出して注出口栓の注出筒及びスパウトを成形し、ガスバリアフィルムと一体化する。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63-86021号公報
【特許文献2】特開平08-183555号公報
【特許文献3】国際公開WO2009/000927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記第1の方法による注出口栓を装着する包装容器では、スパウトのメンブレンをガスバリア性アルミ箔を積層したフィルムなどで裏打ちするので、プルリングを引いてメンブレンに設けた薄肉の脆化ラインを切断して開封するが、アルミ箔を含むフィルムの裏打ちのために開けにくくなり、また、開封するためにガスバリア性フィルムに耐熱性の高い延伸フィルムが使用できず、裏打ち工程の生産性が低くなる。
また、キャップ天面側にガスバリア性アルミ箔を裏打ちする別の態様でも、注ぎ口の筒状部にバリア性を付与できないため、高度のバリア性を期待できない。
【0008】
上記第2の方法による注出口栓を装着する包装容器では、包装材料の注出孔へ射出成形によって注出口栓を直接に成形するので、1個の注出孔へ1個の注出口栓を成形せざるえず、成形工程の生産性が低いという不都合がある。
この発明は、容易に切断開封ができ、高度のバリア性を有し、注出口栓の成形製造工程の効率が高い注出口栓、注出口栓の製造法及び包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の注出口栓は、液体用紙容器の注出孔に設けられる注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジを有するスパウトと、好ましくはスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップと、スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる注出口栓であって、
注出孔を容器内側から覆い、プルタブからフランジにわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有し、ガスバリアフィルムが少なくとも容器壁と接合するフランジ上端面に一体化されていることを特徴とする。
【0010】
この発明の好ましい態様では、ガスバリアフィルムがアルミ箔からなり、好ましくは、ポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルム、又はアルミ蒸着フィルムである。
【0011】
この発明の液体用包装容器は、紙基材と、最外及び最内に積層された熱可塑性樹脂層と、好ましくはガスバリア層とからなる包装材料より成形された包装紙容器であって、
紙容器の注出孔に設けられた注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジを有するスパウトと、好ましくはスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップと、スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる注出口栓を有し、
注出孔を容器内側から覆い、プルタブからフランジにわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有し、ガスバリアフィルムが少なくとも容器壁と接合するフランジ上端面に一体化されていることを特徴とする。
【0012】
この発明の注出口栓の製造法は、導電性バリア層と、少なくとも片側に積層された熱可塑性材料層とからなるウェブ状バリアフィルムを準備して連続的に搬送し、
組合せることによって注出口栓のスパウトとプルタブとに対応するキャビティを形成する単数若しくは複数の第1金型と単数若しくは複数の第2金型とを、搬送されているバリアフィルムを挟むように組合せて、プルタブからフランジにわたる対応キャビティをバリアフィルムで覆わせ、
形成されたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、溶融樹脂がバリアフィルムをプルタブからフランジにわたる対応キャビティの天井に押上げさせながら、キャビティ全体に溶融樹脂を満たしてスパウトとプルタブとを連続的に成形し、
成形されたスパウトとプルタブからウェブ状バリアフィルムをトリミングして、スパウトとプルタブを得て、
液体用紙容器の注出孔に設けられる注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジを有するスパウトと、好ましくはスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップと、スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる注出口栓であって、
注出孔を容器内側から覆い、プルタブからフランジにわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有し、ガスバリアフィルムが少なくとも容器壁と接合するフランジ上端面に一体化されている注出口栓を得る
ことを特徴とする。
【0013】
この発明の好ましい態様の包装容器の製造法では、所定間隔ごとに穿孔して注出孔を形成されたウェブ状包装材料若しくは頂壁に注出孔が設けられた包装容器を準備し、
この注出孔に容器内側からスパウトを挿入して、容器内壁面とフランジ上端面とを接触させ、
高周波誘導加熱によって、容器内壁面とフランジ上端面とをヒートシールする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、この発明の注出口栓は、液体用紙容器の注出孔に設けられる注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジを有するスパウトと、好ましくはスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップと、スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる。
内蔵されたプルタブは、スパウトの注出筒をシール(封止)するので、流通過程及び保存期間に容器内容物を保存することができる。また、使用時には、例えば、プルリング等で引っ張ることで破断可能なであるので、開封することができる。
開封後には、液体用紙容器の注出孔から注出筒にかけて注出通路が形成されて、容器内容物を注ぎ出すことができる。
【0015】
好ましい態様において設けられるスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップによって、開封前の衛生状態の維持、開封後の再封止を可能にする。
スパウトのフランジは、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するので、注出口栓を容器に機械的密封的に固定することができる。
【0016】
この発明の特徴によれば、注出孔を容器内側から覆い、プルタブからフランジにわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有する。
ガスバリアフィルムが、バリア性の無い注出孔を覆うので、この部分で容器にバリア性を付与することができる。また、注出口栓と一体成形されているので、ガスバリアフィルムが固定されてバリア性の信頼性を確保することができ、開封に際しても開封を阻害することも無い。
【0017】
この発明の特徴によれば、ガスバリアフィルムが少なくとも容器壁と接合するフランジ上端面に一体化されている。
包装材料にガスバリア性がある場合、容器壁にバリア層が積層されている。このバリア層に最内シーラント層などを介してフランジと接合する。この発明において、このフランジ上端面にガスバリアフィルムが配置されているので、バリア性を損なう間隙が極めて狭く、バリア性の信頼性を確保することができる。
【0018】
この発明の好ましい態様では、ガスバリアフィルムがアルミ箔からなり、好ましくは、ポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルム、又はアルミ蒸着フィルムである。
この態様では、バリア層がアルミニュウム金属の導電性であるので、高周波磁界をかけることによって誘導加熱が起り、ヒートシールが容易にかつ確実にできるようになる。
【0019】
この発明の液体用包装容器は、紙基材と、最外及び最内に積層された熱可塑性樹脂層と、好ましくはガスバリア層とからなる包装材料より成形された包装紙容器である。
包装材料が熱可塑性樹脂層で積層(ラミネート/コート)されているので、縦シールされる場合に、熱可塑性樹脂(熱可塑性材料)がヒートシールに寄与する。また、好ましい態様において、ガスバリア層が積層されていると、容器自体にバリア性を付与することができる。
【0020】
この発明の液体用包装容器は、紙容器の注出孔に設けられた注出筒及び、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器壁と接合するフランジを有するスパウトと、好ましくはスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップと、スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる注出口栓を有する。
包装容器には、牛乳、清涼飲料等の液体食品が充填されている。プルタブは、スパウトの注出筒をシール(封止)するので、流通過程及び保存期間に上記内容物を保存することができる。また、消費者が容器開封時に、プルリングを引っ張ることで破断して開封することができる。
消費者は、容器の注出孔及び注出筒から、内容液を注ぎ出すことができる。
【0021】
好ましい態様のスパウトを覆うスクュー・キャップ若しくはヒンジ付きキャップによって、製造業者や流通業者は、開封前の衛生状態を維持することができ、消費者は開封後に再封止することができる。
スパウトのフランジは、注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するので、注出口栓を容器に機械的密封的に固定することができる。
【0022】
この発明の特徴によれば、容器自体にバリア層を有すると共に、注出孔を容器内側から覆い、プルタブからフランジにわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有する。
容器のバリア層が容器自体を囲い、しかも、ガスバリアフィルムが、バリア性の無い注出孔を覆うので、この部分で容器にバリア性を付与することができる。また、注出口栓と一体成形されているので、ガスバリアフィルムが固定されてバリア性の信頼性を確保することができ、開封に際しても開封を阻害することも無い。
【0023】
この発明の特徴によれば、ガスバリアフィルムが少なくとも容器壁と接合するフランジ上端面に一体化されている。
包装材料にガスバリア性がある場合、容器壁にバリア層が積層されている。このバリア層に最内シーラント層などを介してフランジと接合する。この発明において、このフランジ上端面にガスバリアフィルムが配置されているので、バリア性を損なう間隙が極めて狭く、バリア性の信頼性を確保することができる。
【0024】
この発明の好ましい態様では、容器自体のバリア層、注出口栓のガスバリアフィルムがアルミ箔からなり、好ましくは、ポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルム、又はアルミ蒸着フィルムである。
この態様では、バリア層がアルミニュウム金属の導電性であるので、高周波磁界をかけることによって誘導加熱が起り、ヒートシールが容易にかつ確実にできるようになる。
【0025】
この発明の注出口栓の製造法の第1のステップでは、導電性バリア層と、少なくとも片側に積層された熱可塑性材料層とからなるウェブ状バリアフィルムを準備して連続的に搬送する。
例えば、ウェブ状バリアフィルムはロール状に巻かれて保管され、製造時にこのロールからウェブ状バリアフィルムが引出される。
【0026】
この発明の注出口栓の製造法の第2のステップでは、単数若しくは複数の第1金型と単数若しくは複数の第2金型とで、搬送されているバリアフィルムを上下から挟み込む。
製造効率を向上させる為に、例えば、第1金型と第2金型との複数個の対を準備して複数の注出口栓を同時に成形することができる。
第1金型及び第2金型は、単数若しくは複数の金型部品からなり、成形形状や成形条件によって、金型設計を、適時適宜、変更、選択、改変することができる。
第1金型及び第2金型を組合せることによって注出口栓のスパウトとプルタブとに対応するキャビティを形成し、プルタブからフランジにわたる対応キャビティをバリアフィルムが覆う。
【0027】
この発明の注出口栓の製造法の第3のステップでは、形成されたキャビティ内に溶融樹脂を射出し、溶融樹脂がバリアフィルムをプルタブからフランジにわたる対応キャビティの天井に押上げさせながら、キャビティ全体に溶融樹脂を満たしてスパウトとプルタブとを連続的に成形する。
挟まれたバリアフィルムは、プルタブからフランジにわたる対応キャビティの底に位置する。プルタブからフランジにわたる対応キャビティの底から、そのキャビティ内に溶融樹脂を射出すると、溶融樹脂がバリアフィルムを押し上げながら、空洞側に移動する。その結果、プルタブからフランジにわたる対応キャビティの天井にバリアフィルムを押上げる。
この射出によって、キャビティ全体が溶融樹脂で満たされる。
【0028】
この発明の注出口栓の製造法の第4のステップでは、成形されたスパウトとプルタブからウェブ状バリアフィルムをトリミングして、スパウトとプルタブを得る。
トリミングは、パンチ、カッターなどの機械的切断具、レザー、ヒータなどの熱的切断具などを用いて、成形されたスパウトとプルタブからウェブ状バリアフィルムを切り離す。
トリミング工程の前後で、キャップをスパウトに設けることができる。
【0029】
この発明の包装容器の製造法では、得られた注出口栓は、上述のこの発明によるものである。所定間隔ごとに穿孔して注出孔を形成されたウェブ状包装材料若しくは頂壁に注出孔が設けられた包装容器を準備する。
この注出口栓を、この注出孔に容器内側からスパウトを挿入して、容器内壁面とフランジ上端面とを接触させ、高周波誘導加熱によって、容器内壁面とフランジ上端面とをヒートシールする。
包装材料にガスバリア性がある場合、容器壁にバリア層が積層されている。このバリア層に最内シーラント層などを介してフランジと接合する。この発明において、このフランジ上端面にガスバリアフィルムが配置されているので、バリア性を損なう間隙が極めて狭く、バリア性の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例の注出口栓が一容器例に接合されている状態を図示する一部断面外観図である。
【図2】本発明の注出口栓の製造法の一実施例で、第1の金型及び第2の金型が搬送されているバリアフィルムを上下から挟み、バリアフィルムが、プルタブからフランジにわたる対応キャビティの底に位置する状態を示す断面図である。
【図3】本発明の注出口栓の製造法の一実施例で、プルタブからフランジにわたる対応キャビティの底から溶融樹脂を射出し、溶融樹脂がバリアフィルムを押し上げる様子を示す断面図である。
【図4】本発明の注出口栓の製造法の一実施例で、溶融樹脂を射出し、プルタブからフランジにわたる対応キャビティの天井にバリアフィルムを押上げ、空洞側に移動する様子を示す断面図である。
【図5】本発明の注出口栓の製造法の一実施例で、射出によって、キャビティ全体が溶融樹脂で満たされた様子を示す断面図である。
【図6】本発明の注出口栓の製造法の一実施例で、第1から第4のステップを概略的に示す正面図及び側面図である。
【図7】本発明の一実施例の注出口栓が一屋根型容器例に接合されている状態を図示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面を参照して、この発明を実施するための形態、態様、実施例を具体的に説明する。
図1は、実施例の注出口栓1が、容器2に接合されている状態を図示する。この態様では、注出口栓1は、液体用紙容器2の注出孔3に設けられる注出筒4及び、注出筒4と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジ5を有するスパウト6と、スパウト6を覆うスクュー・キャップ7と、スパウト7を封止するように内蔵された破断可能なプルタブ8とからなる。
プルタブ8は、スパウト6の注出筒4をシール(封止)し、プルタブ8の上面に一体成形されたプルリング9で引っ張ることで、弱め線を持つスコア10に沿って破断し、開封する。
この開封後には、液体用紙容器2の注出孔3から注出筒4にかけて注出通路が形成されて、容器内容物を注ぎ出すことができる。
【0032】
この態様において、ネジ山を持つスパウト6を覆うスクュー・キャップ7は、注出筒4と螺合する。その他の態様では、ヒンジ付きキャップも適宜配設することもできる。
スパウト6のフランジ5は、注出筒4と一体化して注出孔3内周辺の容器内壁と接合する。スパウト6の注出筒4を、注出孔3内側から挿入して配設できる。
【0033】
この態様において、注出孔3を容器2内側から覆い、プルタブ8からフランジ5にわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルム11を有する。
ガスバリアフィルム11が、バリア性の無い注出孔3を覆う。この部分で容器2にバリア性を付与する。注出口栓と一体成形たガスバリアフィルム11は注出口栓に固定される。
【0034】
この態様において、ガスバリアフィルム11が容器内壁2aと接合するフランジ上端面5aに一体化されている。
包装材料にガスバリア性がある場合、容器壁にバリア層が積層されている。このバリア層に最内シーラント層などを介してフランジ5と接合する。このフランジ上端面5aにガスバリアフィルム11が配置されている。この態様で接合されるとバリア性を損なう間隙が極めて狭く、バリア性の信頼性を確保する。
【0035】
この態様では、ガスバリアフィルムがポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルムである。バリア層がアルミニュウム金属の導電性であるので、高周波磁界をかけることによって誘導加熱が起り、ヒートシールされる。
【0036】
図1に示す実施例の液体用包装容器2は、紙基材と、最外及び最内に積層された熱可塑性樹脂層と、ガスバリア層とからなる包装材料より成形された包装紙容器である。
包装材料が熱可塑性樹脂層で積層(ラミネート/コート)されているので、縦シールされる場合に、熱可塑性樹脂(熱可塑性材料)でヒートシールする。ガスバリア層が積層されていると、容器2自体にバリア性を付与する。
包装容器2には、牛乳、清涼飲料等の液体食品が充填されている。プルタブ8は、スパウト6の注出筒4をシール(封止)する。この内容物を保存する。また、消費者が容器開封時に、プルリング9を引っ張ることでスコアで破断して開封する。
消費者は、容器2の注出孔3及び注出筒4から、内容液を注ぎ出すことができる。
【0037】
スパウト6を覆うスクュー・キャップ7によって、製造業者や流通業者は、開封前の衛生状態を維持することができ、消費者は開封後に再封止することができる。
スパウト6のフランジ5は、注出筒4と一体化して注出孔3内周辺の容器内壁2aと接合するので、注出口栓1を容器2に機械的密封的に固定する。
【0038】
この例の容器2は、容器自体にバリア層を有すると共に、注出孔3を容器内側から覆い、プルタブ8からフランジ5にわたって注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルム11を有する。
容器のバリア層(図示せず)が容器自体を囲い、しかも、ガスバリアフィルム11が、バリア性の無い注出孔3を覆うので、この部分で容器2にバリア性を付与する。また、注出口栓と一体成形されているので、ガスバリアフィルム11が固定されてバリア性の信頼性を確保することができ、開封に際しても開封を阻害することも無い。
【0039】
この態様によれば、ガスバリアフィルム11が容器壁2aと接合するフランジ上端面5aに一体化されている。
包装材料にガスバリア性があり、容器壁2aにバリア層が積層されている。このバリア層に最内シーラント層などを介してフランジ5、5aと接合する。このフランジ上端面5aにガスバリアフィルム11が配置されているので、バリア性を損なう間隙が極めて狭く、バリア性の信頼性を確保する。
【0040】
この態様では、容器自体のバリア層、注出口栓のガスバリアフィルムがポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルムである。
バリア層のアルミ箔がアルミニュウム金属の導電性であるので、高周波磁界をかけることによって誘導加熱が起り、ヒートシールが容易にかつ確実にできる。
【0041】
図2乃至図6を参照して、この発明による一実施例の注出口栓の製造法を示す。
図6は、この製造法の一実施例である第1から第4のステップを概略的に示す。
第1のステップでは、導電性バリア層と、両側に積層された熱可塑性材料層とからなるウェブ状バリアフィルム11を準備して連続的に搬送する。ウェブ状バリアフィルム11はロール状に巻かれて保管され、製造時にこのロールからウェブ状バリアフィルム11が引出される。
【0042】
この製造法の第2のステップでは、図2乃至図6に示されるように、射出成形ステーション12で、単数の第1金型13と3個の第2金型14a、14b、14cとで、搬送されているバリアフィルム11を上下から挟み込む。
製造効率を向上させる為に、図6に示すように、第1金型13と第2金型14との複数個の対を準備して複数の注出口栓1を同時に成形する。
注出口栓は、生産コストを下げるため、例えば、24キャビティ、32キャビティなどを用いて、多数の注出口栓を一時に生産される。
上述の様に、ロール状に巻かれた、成型面積に見合った幅の上記フィルムを、巻出し機からテンションを制御しながら、射出機へ供給し、固定型と稼動型の間に当該フィルムを挟み込み、多数個の注ぎ口をフィルム上に成型する。
【0043】
図2に示すように、第1金型13及び第2金型14を組合せることによって注出口栓1のスパウト6とプルタブ8とに対応するキャビティ6x、8xを形成し、プルタブ8からフランジ5にわたる対応キャビティ8x、5xをバリアフィルム11が覆う。
【0044】
注出口栓の製造法の第3のステップでは、図3〜図5に示されるように、形成されたキャビティ5x、6x、8x、9x内に溶融樹脂16をゲート15から射出する。
溶融樹脂16がバリアフィルム11をプルタブからフランジにわたる対応キャビティ5x、8xの天井に押上げさせながら移動する。キャビティ全体に溶融樹脂を満たしてスパウトとプルタブとを成形する。
図2に示すように、挟まれたバリアフィルム11は、プルタブからフランジにわたる対応キャビティ5x、8xの底に位置する。
【0045】
図3に示すように、プルタブ8からフランジ5にわたる対応キャビティ5x、8xの底から、そのキャビティ内に溶融樹脂16をゲート15射出すると、溶融樹脂16がバリアフィルム11を押し上げながら、空洞側に移動する。その結果、プルタブ8からフランジ5にわたる対応キャビティ5x、8xの天井にバリアフィルムを押上げる。
図4〜図5に示すように、この射出によって、キャビティ全体5x、6x、8x、9xが溶融樹脂16で満たされる。
【0046】
この注出口栓の製造法の第4のステップでは、トリミングステーション17によって、成形された注出口栓1のスパウトとプルタブからウェブ状バリアフィルム11をトリミングして、注出口栓1のスパウトとプルタブを得る。
トリミングは、例えば、パンチ、カッターなどの機械的切断具、レザー、ヒータなどの熱的切断具などを用いて、成形されたスパウトとプルタブからウェブ状バリアフィルム11を切り離す。
射出成型された注出口栓は、このフィルムがキャリアとして、成型された注出口栓を、次の工程へ運ぶ役割をする。
フィルムは引き取りローラーなどでで引き出され、トリミングユニットへ搬送される。トリミングユニットでは、パンチ&ダイなどで注出口栓を切り離し、トリムされたフィルムは巻取り機で巻きとられる。
【0047】
ネジ蓋の代わりに、注出口栓自体にヒンジを介したキャップを成型した1ピースの注出口栓も成型が可能である。
切り離された注出口栓は、取り出され、パーツソーターなどで整列されて組立機へ送られ、ネジ蓋を組んで、梱包、納入される。
次いで、容器に溶着されて使用される。このキャップではフランジの上面、容器内面に触れる側にPE/アルミ箔 /PEを配置できるので、容器との溶着手段として、超音波だけではなく、高周波誘導加熱の利用も可能となる。
フランジの上にアルミ箔があるため、容器のアルミ箔層との間には容器内層のPE層とフランジ上面のシーラント層があるだけなので、高いバリアー性が期待できる。
【0048】
この発明による包装容器の実施例の製造法では、得られた注出口栓は、上述の態様によるものである。所定間隔ごとに穿孔して注出孔を形成されたウェブ状包装材料若しくは、図7に図示されるような、頂壁に注出孔が設けられた包装容器を準備する。
この注出口栓を、この注出孔に容器内側からスパウトを挿入して、容器内壁面とフランジ上端面とを接触させ、高周波誘導加熱によって、容器内壁面とフランジ上端面とをヒートシールする。
包装材料にガスバリア性がある場合、容器壁にバリア層が積層されている。このバリア層に最内シーラント層などを介してフランジと接合する。この発明において、このフランジ上端面にガスバリアフィルムが配置されているので、バリア性を損なう間隙が極めて狭く、バリア性の信頼性を確保することができる。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 注出口栓
2 容器
3 注出孔
4 注出筒
5 フランジ
6 スパウト
7 キャップ
8 プルタブ
9 プルリング
10 スコア
11 ガスバリアフィルム
12 射出成形ステーション
13 第1金型
14 第2金型
15 ゲート
16 溶融樹脂
17 トリミングステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体用紙容器の注出孔に設けられる注出筒及び、該注出筒と一体化して注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジを有するスパウトと、該スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる注出口栓であって、
該注出孔を容器内側から覆い、該プルタブから該フランジにわたって該注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有し、該ガスバリアフィルムが少なくとも該容器壁と接合する該フランジ上端面に一体化されている
ことを特徴とする注出口栓。
【請求項2】
該ガスバリアフィルムがポリエチレン/アルミ箔/ポリエチレンの積層フィルムである、請求項1記載の出口栓。
【請求項3】
紙基材と、最外及び最内に積層された熱可塑性樹脂層とより成形された包装紙容器であって、
該紙容器の注出孔に設けられた注出筒及び、該注出筒と一体化して該注出孔内周辺の容器内壁と接合するフランジを有するスパウトと、該スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる注出口栓を有し、
該注出孔を容器内側から覆い、該プルタブから該フランジにわたって該注出口栓と一体成形されたガスバリアフィルムを有し、該ガスバリアフィルムが少なくとも該容器壁と接合する該フランジ上端面に一体化されている
ことを特徴とする液体用包装容器。
【請求項4】
導電性バリア層と、少なくとも片側に積層された熱可塑性材料層とからなるウェブ状バリアフィルムを準備して連続的に搬送し、
組合せることによって注出口栓のスパウトとプルタブとに対応するキャビティを形成する単数若しくは複数の第1金型と単数若しくは複数の第2金型とを、搬送されている該バリアフィルムを挟むように組合せて、該プルタブから該フランジにわたる対応キャビティを該バリアフィルムで覆わせ、
形成された該キャビティ内に溶融樹脂を射出し、該溶融樹脂が該バリアフィルムを該プルタブから該フランジにわたる対応キャビティの天井に押上げさせながら、キャビティ全体に該溶融樹脂を満たして該スパウトと該プルタブとを連続的に成形し、
成形された該スパウトと該プルタブから該ウェブ状バリアフィルムをトリミングして、該スパウトと該プルタブを得て、
液体用紙容器の注出孔に設けられる注出筒及び、該注出筒と一体化して該注出孔内周辺の容器内壁と接合する該フランジを有する該スパウトと、該スパウトを封止するように内蔵された破断可能なプルタブとからなる該注出口栓であって、
該注出孔を容器内側から覆い、該プルタブから該フランジにわたって該注出口栓と一体成形された該ガスバリアフィルムを有し、該ガスバリアフィルムが少なくとも該容器壁と接合する該フランジ上端面に一体化されている該注出口栓を得る
ことを特徴とする注出口栓の製造法。
【請求項5】
所定間隔ごとに穿孔して該注出孔を形成されたウェブ状包装材料若しくは頂壁に注出孔が設けられた包装容器を準備し、
該注出孔に容器内側から該スパウトを挿入して、該容器内壁面と該フランジ上端面とを接触させ、
高周波誘導加熱によって、該容器内壁面と該フランジ上端面とをヒートシールする、請求項4記載の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−230798(P2011−230798A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102774(P2010−102774)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】