説明

注出栓

【課題】引きちぎりタイプの注出栓に関し、注出中に内容物の流れが乱れずに所期した通りに注出できる上、注出後の液切れにも優れる注出栓を提案する。
【解決手段】本発明の注出栓は、容器本体40の充填空間Mにつながる貫通孔13を有し容器本体40の口部41に装着されるベース10と、貫通孔13を取り囲んで立ち上がるとともにその上部開口22を閉鎖して充填空間Mを封止する外筒20とを備え、外筒20に設けた破断予定線21に沿う引きちぎりにて内容物の注出を可能とするものであって、外筒20の内側に、連結部31を介して外筒20の内壁20aに一体連結するとともにその先端に充填空間M内の内容物を注出する注出口33を有する内筒30を設けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を充填した容器本体の口部に装着される注出栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばシャンプーやリンス、化粧品、整髪料、医薬品等の内容物を収容した容器本体の口部に装着される注出栓としては、例えば合成樹脂等によって形成され、使用前には容器本体の充填空間を密閉し、使用する直前に引きちぎりによって開封する、引きちぎりタイプの注出栓が知られている。このような注出栓として例えば特許文献1には、薄肉部を介して一体連結するもぎり栓部を有し、使用時には、このもぎり栓部を摘んで引っ張ることで薄肉部を破断させて、もぎり栓部を引きちぎって容器本体を開封する注出栓が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−126220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した引きちぎりタイプの注出栓は、容器本体に装着される注出栓本体部分と、引きちぎられる栓体部分とを一体連結しており、これらを1つの部材で構成することができるため、部材コストの削減に大きく寄与することができる反面、栓体部分の引きちぎりによって形成される注出栓本体部分の注出口は、その縁面が毛羽だったように荒れた状態(ギザギザ状)になってしまうことが通常である。このため、内容物を注出する際、注出口付近で内容物の流れが乱れやすくなり、特にこのタイプの注出栓を詰替え容器に適用した場合にあっては、相手方となる詰替えるべき容器の受給栓を通して内容物の詰替えを行うに際し、受給可能範囲が狭いため、所期した通りに内容物を注出することができずに周囲を汚してしまうおそれがあった。また、このように荒れた状態の注出口にあっては注出後の液切れも悪く、これらの不具合を解決した新たな注出栓の出現が、従来から強く望まれていた。
【0005】
本発明の課題は、引きちぎりタイプの注出栓に関し、内容物の流れが乱れずに所期した通りに注出できる上、注出後の液切れにも優れる新規な注出栓を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器本体の充填空間につながる貫通孔を有し該容器本体の口部に装着されるベースと、該貫通孔を取り囲んで立ち上がるとともにその上部開口を閉鎖して該充填空間を封止する外筒とを備え、該外筒に設けた破断予定線に沿う引きちぎりにて内容物の注出を可能とする注出栓であって、
前記外筒の内側に、連結部を介して該外筒の内壁に一体連結するとともにその先端に前記充填空間内の内容物を注出する注出口を有する内筒を設けることを特徴とする注出栓である。
【0007】
前記連結部は、上方から下方に向けて傾斜する傾斜壁であり、該傾斜壁の下端部に前記充填空間に連通する液戻し孔を設けることが望ましい。
【0008】
前記内筒の注出口は、前記傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口であることが望ましい。
【0009】
前記連結部は、上方から下方に向けて傾斜する傾斜壁であり、前記内筒の注出口は、該傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口であって、
前記傾斜開口の下端部を前記傾斜壁の下端部に接続するとともに、この接続部に該接続部から前記充填空間に向けて伸延する液戻しリブを設けることが望ましい。
【0010】
前記接続部の頂壁は、前記傾斜壁の傾斜する向きと反対方向に傾く傾斜頂壁であることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
容器本体の口部に装着されるベースに、破断予定線を備えるとともに上部開口を閉鎖して容器本体の充填空間を封止する外筒を一体連結し、その外筒の内側に、連結部を介して外筒の内壁に一体連結するとともにその先端に前記充填空間内の内容物を注出する注出口を有する内筒を設けたので、破断予定線に沿う外筒上部の引きちぎりによって、内筒の注出口を露出させることができる。この場合、注出口の縁面は滑らかな状態のままであるので、内容物を乱れなく注出させることができ、また注出後の液切れも良好となる。このため、本発明の注出栓は特に、詰替えるべき容器の受給栓に向けて内容物を所期した通りに注出させることが必要な、詰替え容器の注出栓として好適である。
また、注出栓は、一体で形成することができるので、従来の引きちぎりタイプの注出栓と同様に、部品コストを十分に抑制することができる。
【0012】
内筒と外筒とを一体連結する連結部を、上方から下方に向けて傾斜する傾斜壁とし、この傾斜壁の下端部に充填空間に連通する液戻し孔を設ける場合は、横倒しや反転姿勢等により内筒の上方及び外側に貯溜された内容物をこの液戻し孔から充填空間内に速やかに回収することができるので、引きちぎりにて外筒を破断する際の液だれを有効に防止することができる。
【0013】
内筒の注出口を、傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口とする場合は、注出口の縁部に付着した内容物が、その縁部を伝って液戻し孔が設けられている側に向けて流れるので、注出口に付着していた内容物を液戻し孔に流れ込ませやすくなり、液戻し効果をより効果的に発揮させることができる。
更に、内容物注出時の傾倒姿勢の方向性を容易に認識することができ、スムーズな注出操作を可能とする。
【0014】
ここで、内筒と外筒とを一体連結する連結部を、上方から下方に向けて傾斜する傾斜壁とし、内筒の注出口を、傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口とするとともに、傾斜開口の下端部を前記傾斜壁の下端部に接続し、この接続部に、該接続部から充填空間に向けて伸延する液戻しリブを設ける場合は、内筒の上方及び外側に貯溜された内容物及び注出口の縁部に付着した内容物をこの接続部周辺に集めることができ、さらに、集まった内容物を、液戻しリブを伝わらせて充填空間内に流れ込ませることができるので、液戻し効果が十分に発揮される。
【0015】
接続部の頂壁を、傾斜壁の傾斜する向きと反対方向に傾く傾斜頂壁とする場合は、接続部周辺に向けて流れてくる内容物に逆向きの流れを与えることができるので、流れの変化によって接続部周辺に集まった内容物が溜まりにくくなり、液戻し効果を一層有効に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従う注出栓の実施の形態を示す、(a)は側面視での断面図、(b)はA−Aに沿う断面図である。
【図2】図1に示す注出栓の上部開口を閉鎖して容器の口部に装着した、(a)は側面視での断面図、(b)はB−Bに沿う断面図である。
【図3】本発明に従う他の注出栓の実施の形態を示す、(a)は平面図、(b)は側面視での断面図、(c)はC−Cに沿う断面図である。
【図4】図3に示す注出栓の上部開口を閉鎖して、容器の口部に装着した側面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う注出栓の実施の形態を示す、側面視での断面図、A−Aに沿う断面図であって、図2は、図1に示す注出栓の上部開口を閉鎖して、容器の口部に装着した平面図、側面視での断面図、B−Bに沿う断面図である。
【0018】
図1において、10は容器本体の口部に装着されるベースである。図示の例でベース10は、円板状の天壁11の縁部より垂下される環状壁12を有し、天壁11の中央部にその表裏を貫く貫通孔13を備えている。環状壁12の内面には、容器本体の口部に係合する注出栓側ねじ部12aが設けられている。なお、注出栓側ねじ部12aに代えて、アンダーカットで係合するようにしてもよい。また、図示の例では、環状壁12の下端開口に、容器本体に装着された際にベース10の回り止めとなる注出栓側凸部12bが設けられている。注出栓側凸部12bの回り止めとしての機能は、後述する。さらに、天壁11の裏面には、環状壁12から半径方向内側に間隔をあけて設けられる内側環状壁14が一体連結している。
【0019】
20は、貫通孔13を取り囲んで立ち上がり、ベース10と一体連結する外筒である。外筒20は、図1のA−A断面に示す例では円筒状となっているが、筒状であればよく、多角形の筒状であってもよい。また、外筒20は、引きちぎりによって破断する破断予定線21を備えている。図示の例では、環状の薄肉部を設けて破断予定線21を形成しているが、外筒20の上部及び下部を形成する材料に対し、破断予定線21を形成する部位を強度の弱い材料で形成して、これらを例えば二色成形で一体連結するようにしてもよい。
【0020】
また、外筒20の上部には上部開口22が設けられている。上部開口22は、例えば射出成形等で形成された時点においては、図1に示すように開口しているが、その後、熱を加えて溶着させたり接着剤等で接着したりすることで、図2に示すように壁面同士を固着して閉鎖される。
【0021】
さらに、外筒20には、破断予定線21よりも上方に、摘み部23を設けることが好ましい。これにより、摘み部23を介して外筒20の上部が引き上げられやすくなるので、引きちぎり作業が容易に行えることとなる。また、摘み部23には、指掛かり部23aを設けることが好ましい。
【0022】
30は、外筒20の内側に設けられる内筒である。図1に示すように内筒30は、外筒20の内壁20aに、連結部31を介して一体連結されている。ここで、連結部31は、容器本体の口部に取り付けられた際に、上方となる側から下方となる側に向けて傾斜する傾斜壁であることが好ましく、また、その下方となる側には、連結部31の表裏を貫通する液戻し孔32を設けることが好ましい。
【0023】
内筒30の頂部は、容器本体の充填空間内からの内容物を注出する注出口33となっている。図1に示すように注出口33は、上述した傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口であることが好ましい。また、注出口33には、内容物の液切れ効果を十分に発揮させるべく、僅かに外側に湾曲させたリップ33aを設けることが好ましい。
【0024】
上記のように構成される注出栓は、図2に示すように容器本体40の口部41に装着される。口部41の外面には、注出栓側ねじ部12aに対応する口部側ねじ部41aが形成されており、注出栓を容器本体40に対して最後までねじ込むことで装着が完了する。なおこの場合、注出栓の内側環状壁14は、口部41の内面に液密に当接しているので、容器本体40の充填空間M内に収容される内容物が、注出栓と口部41との隙間から漏れ出すおそれがない。また、口部41には、図2のB−B断面(ねじ込み終了直前の状態)に示すように口部側凸部41bが設けられていて、図の矢印の向きに回転させると、注出栓側凸部12bが口部側凸部41bを乗り越えてねじ込みが終了する。これによりねじ込み終了後は、注出栓側凸部12bと口部側凸部41bとの係合によって、簡単には注出栓を逆方向側へ回転させることができないので、不用意な注出栓の取り外しが防止される。
【0025】
その後、摘み部23を引き上げると、外筒20は破断予定線21で破断して、摘み部23を伴う外筒20の上部が引きちぎられ、内筒30の注出口33が露出する。ここで、内筒30の内側は、容器本体40の充填空間Mにつながっているので、容器本体40を傾倒姿勢に変移させることによって、充填空間M内の内容物をその流れを乱すことなく注出させることができ、また、注出後の液切れも良好となる。
【0026】
そして、図2に示すように連結部31を、上述した傾斜壁とし、また、この傾斜壁の下端部に充填空間に連通する液戻し孔32を設ける場合は、固着閉鎖した外筒20の上部開口22と内筒30の間に形成される空間領域や内筒30外側に貯溜される内容物を傾斜壁の下端側に集めて、液戻し孔32から充填空間M内に回収することができるので、引きちぎりにて外筒を破断する際の液だれが有効に防止される。
【0027】
また、図2に示すように注出口33を、傾斜壁である連結部31と同方向に傾く傾斜開口とする場合は、注出口33の縁部に付着した内容物が、注出口33の縁部を伝い、液戻し孔32が設けられている側に向けて流れるので、液戻し孔32に流れ込ませやすくなり、液戻し効果をより効果的に発揮させることができる。
更に、内容物注出時の傾倒姿勢の方向性を容易に認識することができ、スムーズな注出操作を可能とする。
【0028】
なお、摘み部23は、連結部31が傾斜壁である場合、図示のように傾斜方向が下方となる側に設けることが好ましい。これにより、摘み部23を、図2に示す矢印の向きに傾けながら引き上げるにあたり、内筒30が邪魔になることがないので、引きちぎり作業が容易となる。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、本発明に従う他の注出栓について具体的に説明する。
図3は、本発明に従う他の注出栓の実施の形態を示す、平面図、側面視での断面図、C−Cに沿う断面図であって、図4は、図3に示す注出栓の上部開口を閉鎖して、容器の口部に装着した側面視での断面図である。なお、上述した図1、図2に示す注出栓と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付して、説明は省略する。
【0030】
図3に示す130は、外筒20の内側に設けられる内筒である。内筒130は、外筒20の内壁20aに、連結部131を介して一体連結されている。ここで、連結部131は、容器本体の口部に取り付けられた際に、上方となる側から下方となる側に向けて傾斜する傾斜壁となっている。内筒130の頂部は、容器本体の充填空間内からの内容物を注出する注出口133となっている。また、注出口133は、上述した傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口となっている。そしてこれらの場合、傾斜開口の下端部を傾斜壁の下端部に接続するとともに、この接続部134に、接続部134から充填空間Mに向けて伸延する液戻しリブ135を設けることが好ましい。また、注出口133には、内容物の液切れ効果を十分に発揮させるべく、僅かに外側に湾曲させたリップ133aを設けることが好ましい。
【0031】
そして、図3に示すように、接続部134の頂壁134aは、傾斜壁の傾斜する向きと反対方向に傾く中心側が低い傾斜頂壁であることが好ましい。
【0032】
上記のように構成される注出栓を、図4に示すように容器本体40の口部41に装着し、摘み部23を引き上げると、外筒20は破断予定線21で破断して、摘み部23を伴う外筒20の上部が引きちぎられ、内筒130の注出口133が露出する。そして、図4に示す注出栓においても、注出口133の縁面は滑らかな状態のままであるので、充填空間M内の内容物をその流れを乱すことなく注出させることができ、また、注出後の液切れも良好となる。
【0033】
そして、図4に示すように連結部131を、上述した傾斜壁とし、注出口133を、傾斜壁である連結部131と同方向に傾く傾斜開口とするとともに、傾斜開口の下端部を傾斜壁の下端部に接続し、この接続部134に液戻しリブ135を設ける場合は、内筒130の外側に付着した内容物及び注出口133の縁部に付着した内容物をこの接続部134周辺に集めることができ、さらに、集まった内容物を、液戻しリブ135を伝わらせて充填空間M内に流れ込ませることができるので、液戻し効果を十分に発揮させることが可能となる。
【0034】
また、接続部134の頂壁134aを、傾斜壁の傾斜する向きと反対方向に傾く中心側が低い傾斜頂壁とする場合は、接続部134周辺に向けて流れてくる内容物に逆向きの流れを与えることができるので、流れの変化によって内容物が溜まりにくくなり、液戻し効果が一層有効に発揮できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、引きちぎりタイプの注出栓に関し、注出中に内容物の流れが乱れることなく所期した通りに注出できる上、注出後は液切れが良好であって、しかも引きちぎりにて外筒を破断する際の液だれが起きにくい、使い勝手のよい注出栓を提供することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 ベース
13 貫通孔
20 外筒
20a 内壁
21 破断予定線
22 上部開口
30 内筒
31 連結部
32 液戻し孔
33 注出口
40 容器本体
41 口部
130 内筒
131 連結部
133 注出口
134 接続部
134a 頂壁
135 液戻しリブ
M 充填空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の充填空間につながる貫通孔を有し該容器本体の口部に装着されるベースと、該貫通孔を取り囲んで立ち上がるとともにその上部開口を閉鎖して該充填空間を封止する外筒とを備え、該外筒に設けた破断予定線に沿う引きちぎりにて内容物の注出を可能とする注出栓であって、
前記外筒の内側に、連結部を介して該外筒の内壁に一体連結するとともにその先端に前記充填空間内の内容物を注出する注出口を有する内筒を設けることを特徴とする注出栓。
【請求項2】
前記連結部は、上方から下方に向けて傾斜する傾斜壁であり、該傾斜壁の下端部に前記充填空間に連通する液戻し孔を設けてなる請求項1に記載の注出栓。
【請求項3】
前記内筒の注出口は、前記傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口である請求項2に記載の注出栓。
【請求項4】
前記連結部は、上方から下方に向けて傾斜する傾斜壁であり、前記内筒の注出口は、該傾斜壁と同方向に傾く傾斜開口であって、
前記傾斜開口の下端部を前記傾斜壁の下端部に接続するとともに、この接続部に該接続部から前記充填空間に向けて伸延する液戻しリブを設けてなる請求項1に記載の注出栓。
【請求項5】
前記接続部の頂壁は、前記傾斜壁の傾斜する向きと反対方向に傾く傾斜頂壁である請求項4に記載の注出栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49448(P2013−49448A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187903(P2011−187903)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】