説明

注射可能な獣医学組成物

フロルフェニコールならびに1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーのエーテルおよびピロリドン溶媒を含む溶媒系を含む注射可能な獣医学組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物における微生物感染の治療のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウシ呼吸器病(BRD)は、世界中の酪農および牛肉産業の両方に対する経済的損失の主な原因の1つであり続けている。過度の死亡率、低い体重増加ならびに治療および予防のコストは産業に大きな負担をかけている。長年、抗菌治療は、BRD治療の頼みの綱である。現在、例えば、広域性抗生物質フロルフェニコールの注射可能な調合物であるNuflor(登録商標)などのBRDの治療に対して利用可能な多くの有効な抗菌剤がある。
【0003】
欧州特許第546018号は、10から50重量%のフロルフェニコール、10から65重量%のピロリドン溶媒、5から15重量%の減粘剤、および5から40重量%のポリエチレングリコールを含む注射可能なフロルフェニコールの組成物を開示している。しかしながら、この調合物は、特に寒冷な気象条件下では調合物の粘度が高くなりすぎるので、注射針通過性(syringeability)が低下し、投与が難しい。
【0004】
国際特許出願第WO92/04016号は、本質的に非プロトン性極性溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドンまたは2−ピロリドン)からなる溶媒系中のフロルフェニコールの組成物を開示している。
【0005】
国際特許出願第WO2004/014340号は、親水性および親油性の溶媒(例えば、ラウロカプラム、皮膚透過促進剤)の混合物を含む溶媒系中の20%フロルフェニコールの組成物を開示している。
【0006】
米国特許出願第US2004/0242546号は、担体としてトリアセチン、ジメチルアミドおよび/またはこれらの組み合わせを含むフロルフェニコールの組成物を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、容易に注射器に充填および注射器から排出でき、動物への投与後に抗菌化合物の有効血液濃度を提供する高濃度のフロルフェニコールおよび関連抗菌性化合物を有する別の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、溶媒系中にクロラムフェニコール、チアンフェニコールおよびフロルフェニコールの群から選択される抗菌化合物を含む、動物における微生物感染の治療のための組成物を提供し、この溶媒系が脂肪族エーテルアルコールおよびピロリドン溶媒を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の組成物は、クロラムフェニコール、チアンフェニコールおよびフロルフェニコールの群から選択される少なくとも1つの抗菌化合物を含む。
【0010】
抗生物質クロラムフェニコールおよびチアンフェニコールのフッ素含有類似体は、クロラムフェニコールおよびチアンフェニコールに対して感受性のある生物および抵抗性のある生物の両方に対する抗菌活性を有することが示されてきた。Schafer,T.W.et al.,“Novel Fluorine−Containing Analogs of chloramphenicol and thiamphenicol: Antibacterial and Biological Properties”in CURRENT CHEMOTHERAPY AND INFECTIOUS DISEASE P ROCEEDINGS OF THE 11TH ICC AND THE 19TH ICAA AMERICAN SOCIETY OF MICROBIOLOGY 1980,444−446を参照のこと。このような化合物およびこれらの製造方法の例は、米国特許第4,235,892号に記載され、特許請求されている。医学界は、ヒトを治療するのに有用な抗生物質を家畜に投与する場合、ヒトへの耐性菌の移転について、ますます関心を示してきている。抗生物質のクロラムフェニコール群は、現在、ヒトを治療するためにまれに用いられるので、この誘導体は、特に獣医学的使用に適している。特に関心があるのは、この3−フルオロ誘導体、3−デオキシ誘導体である。
【0011】
好ましい抗菌化合物は、フロルフェニコール(D−(トレオ)−1−p−メチルスルホニルフェニル−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノール)である。フロルフェニコールは、Schering−Plough Animal Healthにより販売されている市販製品であるNuflor(登録商標)中の有効成分である。米国特許第4,235,892号は、この化合物およびこの化合物の製造方法を記載している。この特許は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0012】
もう1つの好ましい抗菌化合物は、D−(トレオ)−1−p−メチルスルホニルフェニル−2−ジフルオロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールである。これらの好ましい抗菌化合物の製造方法およびこのような方法において有用な中間体は、米国特許第4,311,857号;第4,582,918号;第4,973,750号;第4,876,352号;第5,227,494号;第4,743,700号;第5,567,844号;第5,105,009号;第5,382,673号;第5,352,832号;および第5,663,361号に記載されている。もう1つの好ましい抗生物質は、チアンフェニコールである。
【0013】
フロルフェニコールまたは他の抗菌化合物の濃度は、一般に10%w/vから60%w/v、好ましくは20%w/vから50%w/vである。特に好ましいのは、30から45%w/vのフロルフェニコールを含む組成物である。
【0014】
本発明による組成物中の溶媒系は、脂肪族エーテルアルコールおよびピロリドン溶媒を含む。動物における微生物感染の治療のための組成物は、好ましくは溶媒系中に1から89%v/vの脂肪族エーテルアルコールおよび1から89%w/vのピロリドン溶媒を含む。
【0015】
本発明に従って好ましいのは、脂肪族エーテルアルコールが1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーのエーテルである組成物である。本発明に従って特に好ましいのは、その担体が、1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーの末端モノエーテルである組成物である。
【0016】
担体として、低分子量のモノオキシ−またはポリオキシ−アルカンジオールの薬学的に許容できるC1から5のアルキルまたはテトラヒドロフルフリルジ−または部分−エーテルが有用である。
【0017】
適した成分は、例えば2から12個の、特に4個の炭素原子を含む、モノ−またはポリ−、特にモノ−またはジ−オキシ−アルカンジオールの、ジ−または部分−エーテル、特に部分−エーテルである。好ましくは、モノ−またはポリ−オキシ−アルカンジオール部分は、直鎖状である。特に本発明による使用に適するのは、式I:
−[O−(CH−OR(I)
(式中、RはC1から5のアルキルまたはテトラヒドロフルフリルであり、
は水素、C1から5のアルキルまたはテトラヒドロフルフリルであり、および
xは、1から6の、特に1から4の、最も特に約2の整数である。)
のジ−または部分−エーテルである。
【0018】
本発明による使用に特に好ましいのは、上記で定義したような部分エーテル、例えば式I:(式中、Rは、水素である。)の製品である。
【0019】
上記で定義したエーテル中のC1から5のアルキル部分は、分枝状であっても、または直鎖状であってもよく、例えばこれは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチルおよびt−ブチル基を含む。
【0020】
このようなエーテルは、知られている製品であり市販されているものであるか、または知られている製品に類似して製造したものでもよい。本発明に関する使用のための特に好ましい式Iの製品は、知られており、商品名Transcutolで市販されている。
【0021】
Transcutol(CAS番号31692−85−0)は、式I(式中、R=C、R=Hおよびx=2)の化合物ジエチレングリコールモノエチルエーテルである。本発明による使用のための製品は公知のものであり、例えば、Gattefosse社(St Priest, France)製の商品名Transcutol(登録商標)、特に製品Transcutol(登録商標)PおよびHPとして市販されている。
【0022】
Transcutolの別名は、1−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクタン、2−(2’−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエチオキシ)エタノール、3,6−ジオキサ−1−オクタノール、3,6−ジオキサ−1−オクタノール、3,6−ジオキサオクタン−1−オール、アエチルジアエチレングリコール、APV、カルビトール、カルビトールセロソルブ、カルビトール溶媒、DEGEE、DEGMEE、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリコールモノエチルエーテル、Dioxitol、Dowanol、Dowanol 17、Dowanol DE、Ektasolve DE、エタノール、2,2’−オキシビス−、モノエチルエーテル、エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)−、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル、エトキシジグリコール、エトキシジグリコール、エチルカルビトール、エチルジエチレングリコール、エチルジゴール、エチルジエチレングリコール、エチルカルビトールである。
【0023】
テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテルまたはα−(テトラヒドロフラニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)としても知られているグリコフロール(CAS番号57−55−6)は、式I(式中、R=[CHEM−3]、R=H、およびxは、1から2の平均値を有する。)を有する。これは、約190の平均分子量、約80から100℃の沸点(40N/mにおいて)、約1.070から1.090g/cmの密度(20℃において)、約300から400のヒドロキシ価、約1.4545の屈折率(ナトリウムD線、589mm)(40℃において)、および約8から18mNs/mの粘度(20℃において)を有する(”Handbook of Pharmaceutical Excipients,published by American Pharmaceutical Association/The Pharmaceutical Society of Great Britain(1986),p.127およびFiedler,”Lexikon der Hilfstoffe”,3rd edition(1989),p.577を参照のこと)。
【0024】
グリコフロールの正確な特性は、相対的な純度に従って変動する。従って、より低い品質等級のものは、有意な量のテトラヒドロフルフリルアルコールおよび他の不純物を含む。
【0025】
グリコフロールの別名は、グリコフロール75、テトラグリコール、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(テトラヒドロフラニル)−ω−ヒドロキシ−(9CI)である。テトラグリコールはまた、テトラヒドロフルフリルアルコールの別名としても用いられる。
【0026】
本発明の組成物類中に存在する脂肪族エーテルアルコールの量は、1から89%v/vであり、1つの実施形態において、好ましくは15から25%、もう1つの実施形態において、1から89%v/v、20から50%v/v、25から45%v/v、および特に好ましくは30から40%v/vである。
【0027】
本発明による組成物に適したピロリドン溶媒は、特に2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンである。好ましい溶媒は、N−メチル−2−ピロリドンである。本発明による使用に適した化合物の例は、公知のものあり、例えばInternational Specialty Products社(Wayne,New Jersey,U.S.A.)製の商品名Pharmasolv(登録商標)で市販されているものである。特に適しているのは、製品Polysolv(登録商標)Vである。
【0028】
本発明の組成物中のピロリドン溶媒の量は、1から89%w/v、好ましくは20から50%w/vを構成してよい。特に好ましいのは、30%w/vから40%のピロリドン溶媒を含む組成物である。
【0029】
ピロリドン溶媒の量とフロルフェニコールの量との間の比は、0.6から1.1の間であり、特に好ましいのは、0.7から0.9の間の比である。
【0030】
本発明による組成物は、さらに当分野で知られている更なる薬学的賦形剤を含んでよい。このような薬学的賦形剤は、例えば“Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy”(20.Edition,2000)に記載されており、これは本明細書中に参照により組み込まれる。このような成分は、保存剤、キレート剤、酸化防止剤および安定剤を含む。保存剤の例としては、メチルp−ヒドロキシベンゾエート(メチルパラベン)およびプロピルp−ヒドロキシベンゾエート(プロピルパラベン)が挙げられる。キレート剤の例としては、エデト酸ナトリウムが挙げられる。酸化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびモノチオグリセリンナトリウムが挙げられる。
【0031】
本明細書中で企図される組成物は、望むなら2つ以上の薬学的有効成分を含むことができる。
【0032】
本発明の組成物を調製するために、溶媒または溶媒の一部を混合容器に入れ、その後、残りの賦形剤および有効成分を入れる。全ての固形分が溶解するまで混合物を混合する。組成物を最終容量にするための更なる溶媒を、必要であれば加えてよい。上記で列挙したような添加剤をその容器に含ませ、その調合物中に混合してよい(添加の順序は、重要ではない。)。
【0033】
本発明の組成物は望ましい特性を表し、この特性は、比較的高濃度のフロルフェニコールまたは他の抗菌化合物の投与のために有用な特徴である。組成物は、物理的および化学的に安定である。組成物は、望ましい粘性特徴を有し、これは、広範な温度範囲にわたる良好な注射針通過性を可能とし、滅菌フィルター膜を通過する際の良好な流速などの処理の容易性を可能にする。
【0034】
「注射針通過性である」は、懸濁液をアンプル/バイアルから、16から18ゲージの針を備えた注射器中に容易に抜き取ることができ、続いてこのような注射器から、16から18ゲージの針を通して筋肉内(im)または皮下(sc)に注射することができるということを意味する。
【0035】
本発明による組成物は、現在利用可能な組成物よりも、より良好な注射針通過性を示す。従来技術の調合物および本発明による組成物の流体力学的な特性および注射針通過性を、表1および2に示す。実験1および2は、ウシへのi.m.およびs.c.投与後の本発明による組成物の薬物動態学的な評価を示す。
【0036】
本発明による組成物は、ウシおよび他のウシ科、ブタおよび他の大型哺乳動物に特に有用である。
【0037】
ウシ呼吸器病の治療に加えて、本発明の組成物はまた、ブタ呼吸器病、腐蹄症、急性乳腺炎、伝染性結膜炎(感染性角結膜炎)、急性肺炎、子宮炎および腸炎など感染性疾病の治療にも適している。このような疾病の治療に対する投与計画は、上記で説明したとおりになるであろう。
【0038】
本発明による組成物は、一般に、体重1キログラム当たり1mgから100mgの抗菌化合物でウシに投与される。好ましくは、本発明の組成物は、体重1キログラム当たり20mgから50mgの抗菌化合物でウシ科動物に投与される。
【0039】
より好ましくは投与量は、40mg/kgの抗菌化合物であり、一回で皮下に投与される。最初の投与およびその48時間後の投与の2回の投与で20mg/kgを投与することもまた、好ましい。
【0040】
本発明による組成物は、一般に、体重1キログラム当たり15mgから100mgの抗菌化合物の投与量でブタに投与される。好ましくは、本発明の組成物は、体重1キログラム当たり20mgから50mgの抗菌化合物でブタに投与される。
【0041】
組成物は、1日に1回投与するかまたは複数の投与量に分けられ得る。しばしば、1回のみの投与がその感染を治療するのに十分である。いくつかの状況において、1回の投与およびその48時間後の2回目の投与が動物を治療するために必要である。
【0042】
「有効量」は、感染、侵襲または疾患に対する特定の症状を軽減するために、または動物を感染、侵襲または疾患から保護するために必要な投与量である。正確な投与量は、感染の段階および重症度、組成物に対する感染生体の感受性ならびに治療される動物種の個別の特徴に依存するが、このことは当業者に理解されるであろう。
【0043】
以下の実施例は、本発明を詳細に記載する。本発明の一定の現在好ましい実施形態が、本明細書中で記載されてきたが、記載された実施形態の変形および改変が本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることは、本発明が属する当分野の当業者には明らかであろう。
【0044】
(実施例)
【実施例1】
【0045】
注射可能な溶液(調合物A)を、以下のもの:
成分 重量/ml、
フロルフェニコール 45g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 30g、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 全容量が100mlになるまで、
から調製する。
【0046】
この溶液を、以下の手順:N−メチル−2−ピロリドンおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルをよく混合し、次いで、フロルフェニコールを混合物中で溶解して澄んだ溶液を濾過により滅菌する、に従って調製する。
【実施例2】
【0047】
注射可能な溶液(調合物B)を、以下のもの:
成分 重量/ml
フロルフェニコール 45g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 30g、
グリコフロール 全容量が100mlになるまで、
から調製する。
【0048】
この溶液を、以下の手順:N−メチル−2−ピロリドンおよびグリコフロールをよく混合し、次いで、フロルフェニコールを混合物中で溶解して澄んだ溶液を濾過により滅菌する、に従って調製する。
【実施例3】
【0049】
注射可能な溶液(調合物C)を、実施例1に示される方法に従って調製する。
成分 重量/ml
フロルフェニコール 40g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 30g、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 全容量が100mlになるまで
【実施例4】
【0050】
注射可能な溶液(調合物D)を、実施例2に示される方法に従って調製する。
成分 重量/ml
フロルフェニコール 40g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 30g、
グリコフロール 全容量が100mlになるまで
【実施例5】
【0051】
注射可能な溶液(調合物E)を、実施例2に示される方法に従って調製する。
成分 重量/ml
フロルフェニコール 45g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 37g、
グリコフロール 全容量が100mlになるまで
【実施例6】
【0052】
注射可能な溶液(調合物F)を、実施例1に示される方法に従って調製する。
成分 重量/ml
フロルフェニコール 30g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 30g、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 全容量が100mlになるまで
【実施例7】
【0053】
注射可能な溶液(調合物G)を、実施例1に示される方法に従って調製する。
成分 重量/ml
フロルフェニコール 45g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 35g、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 全容量が100mlになるまで
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
実験1
調合物AおよびBならびに参照の従来技術調合物を、40mg/kgのフロルフェニコールの投与量で206から279kgBWのウシに皮下投与した。
【0058】
調合物Aを交差法(6頭の動物を調合物Aで処置し、その29日後に参照の従来技術調合物で処置し、6頭の動物を、その反対の方法で処置した。)により試験した。Bの薬物動態学的プロフィールを単一治療計画において調査した(n=6)。各治療の前および1、2、4、6、8、10、24、48、72、96、120、144および288時間後に採取した血漿サンプル中のフロルフェニコール濃度をHPLCによって測定し、薬物動態学的パラメータを算出した。
【0059】
【表4】

【0060】
実験2
実験2において、調合物A、EおよびFの薬物動態学的パラメータを、参照の従来技術調合物と比較して評価した。
【0061】
186から241kgの体重(BW)の6頭のウシ(3頭の雌ウシおよび3頭の雄ウシ)の群を、40mgフロルフェニコール/kgBW×1回の投与量で皮下、または48時間間隔で20mgフロルフェニコール/kgBW×2回の投与量で筋肉内処置した。
【0062】
各治療の前および各治療の1、2、4、6、8、10、24、48、72、96、120、144および288時間後に採取した血漿サンプル中のフロルフェニコール濃度をHPLCによって測定し、薬物動態学的パラメータを算出した。
【0063】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】フロルフェニコールの血漿濃度−時間曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒系中にフロルフェニコールを含む、動物における微生物感染の治療のための組成物であり、前記溶媒系が、1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーのエーテルおよびピロリドン溶媒を含むことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーのエーテルが、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびテトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテルからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーのエーテルが、ジエチレングリコールモノエチルエーテルであることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
フロルフェニコールが、30%から45%w/vの量で存在することを特徴とする、請求項1から3に記載の組成物。
【請求項5】
ピロリドン溶媒が、2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1から4に記載の組成物。
【請求項6】
フロルフェニコールに対するピロリドン溶媒の量の比が、0.6から1.1の間であることを特徴とする、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
1から89%v/vの1,2−エタンジオールオリゴマーまたはポリマーのエーテルおよび1から89%w/vのピロリドン溶媒を含むことを特徴とする、請求項1から6に記載の組成物。
【請求項8】
フロルフェニコール 45g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 35g、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 全容量が100mlになるまで、
からなる、請求項1から7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
フロルフェニコール 45g、
N−メチル−2−ピロリドン(NMP) 30g、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 全容量が100mlになるまで、
からなる、請求項1から7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
動物における微生物感染の治療または予防のための医薬を製造するための、請求項1から9に記載の組成物の使用。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−524311(P2008−524311A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547484(P2007−547484)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056950
【国際公開番号】WO2006/067138
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(506196247)インターベツト・インターナシヨナル・ベー・ベー (85)
【Fターム(参考)】