説明

注射薬供給装置

【課題】アンプルやバイアル等の注射薬をランダムに収納しつつ、損傷させることなく処理を高速化可能とする。
【解決手段】複数の棚10と、各棚10に設けられ、同種類の注射薬が収納されると共に、収納された注射薬を搬送する搬送手段を備えた注射薬収納容器9と、注射薬収納容器9から搬送される注射薬の搬送方向に沿って回転軸を配置され、外周部に注射薬を収容可能な収容部29を回転軸に沿って形成され、注射薬を収容部29に導入容易とし、かつ、収容部29に1本だけ保持可能とする導入補助部38eを有し、各収容部29に収容された注射薬を順次払出し可能な回転体21とを備える。導入補助部38eは、回転体21の一端面で、収容部の開口縁の一部を除去することにより形成される凹部38eで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプルやバイアルを注射箋データに従って自動的に供給する注射薬供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンプルやバイアル等の注射薬を自動供給する装置として、例えば、次のようなものが公知である。
【0003】
特許文献1及び2には、複数本の注射薬を整列させた状態でカセットに収納し、注射箋データ等に基づいて1本ずつ払い出すようにした構成が開示されている。
【0004】
特許文献3には、複数本の注射薬をランダムな状態で薬剤フィーダに収納し、注射箋データ等に基づいて1本ずつ払い出すようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−229660号公報
【特許文献2】特開平08−208039公報
【特許文献3】特開平08−258964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載の構成では、注射薬を整列させているため、コンパクトであるが、整列させる作業は煩雑で時間がかかる。一方、特許文献3に記載の構成では、薬剤フィーダへの注射薬の収納は容易であるが、占有体積が大きく、払出し速度を高めることが難しい。
【0007】
特に、注射薬はアンプル等の割れやすいものに収容されているため、処理を高速化すればする程、割れる危険性が高まる。
【0008】
また、注射薬の形態は多様化しているため、これらの特殊な形状に対応したものであることが求められている。
【0009】
そこで、本発明は、アンプルやバイアル等の注射薬をランダムに収納しつつ、損傷させることなく処理を高速化可能な注射薬供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するため、
注射箋データに基づいて該当する注射薬を自動供給するようにした注射薬供給装置において、
複数の棚と、
該各棚に設けられ、同種類の注射薬が収納される注射薬収納容器と、
前記注射薬を収容可能な収容部を外周部に形成され、前記注射薬を収容部に導入容易とし、かつ、収容部に1本だけ保持可能とする導入補助部を有し、前記回転体の回転により注射薬を長手方向に滑らせて収容部に収容し、収容された注射薬を順次払出し可能な回転体と、
を備え、
前記導入補助部は、前記回転体の一端面で、前記収容部の開口縁の一部を除去することにより形成される凹部で構成したものである。
【0011】
前記回転体は、前記導入補助部を形成した端面から突出し、注射薬をガイドして導入補助部から収容部へと導く突出部を備えるのが好ましい。
【0012】
前記回転体の突出部は、回転体の回転により注射薬を掬い取ることができるように薄肉に形成された掬取部と、該掬取部で掬い取った注射薬をガイドするガイド部とからなる起立壁で構成すればよい。
【0013】
前記回転体は、前記導入補助部を形成した端面が円錐状に形成されているのが好ましい。
【0014】
前記回転体の突出部は、先端に向かうに従って徐々に幅狭となるように形成してもよい。
【0015】
前記導入補助部は、前記回転体の一端面から突出し、注射薬収納容器から搬送される注射薬を収容部へと導くための複数の羽からなる羽部材で構成してもよい。
【0016】
また、本発明は、前記課題を解決するため、
注射箋データに基づいて該当する注射薬を自動供給するようにした注射薬供給装置において、
複数の棚と、
該各棚に設けられ、同種類の注射薬が収納される注射薬収納容器と、
前記注射薬を収容可能な収容部を外周部に形成され、前記収容部に収容された注射薬を順次払出し可能な回転体と、
を備え、
前記回転体の端面に、前記回転体の回転により注射薬をガイドして前記収容部へと導く突出部を形成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例に係る注射薬供給装置の正面図である。
【図2】図1に示す注射薬供給装置でのバケットの搬送経路を示す平面図である。
【図3】図1に示す注射薬収納容器の平面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図1に示す注射薬収納容器の扉の開放動作を示す概略図である。
【図6】図1に示す注射薬収納容器及びスペース容器の近傍側面図である。
【図7】他の例に係る注射薬収納容器及びスペース容器の近傍側面図である。
【図8】(a)は、図1に示すスペース容器の平面図、(b)は、(a)の正面断面図、(c)は、(a)に示す円盤の底面図である。
【図9】(a)他の例に係るスペース容器の平面図、(b)は、(a)の正面断面図、(c)は、(a)に示す円盤の底面図である。
【図10】(a)は、他の例に係るスペース容器の平面図、(b)は、図10(a)の正面図である。
【図11】図1に示す回転体の斜視図である。
【図12】回転体の他の例を示す斜視図である。
【図13】回転体の他の例を示す斜視図である。
【図14】回転体の他の例を示す斜視図である。
【図15】回転体の他の例を示す斜視図である。
【図16】回転体の他の例を示す斜視図である。
【図17】回転体の他の例を示す斜視図である。
【図18】(a)は、プラスチックアンプル用の注射薬収納容器の平面図、(b)は、(a)の正面断面図、(c)は、(a)の切断部の断面図である。
【図19】(a)は、プラスチックアンプル用の注射薬収納容器に使用される仕切部材の他の例を示す概略図、(b)は(a)からの動作状態を示す概略図である。
【図20】(a)は、プラスチックアンプル用の注射薬収納容器に使用される仕切部材の他の例を示す概略図、(b)は、(a)からの動作状態を示す概略図、(c)は、(b)からの動作状態を示す概略図である。
【図21】本実施例に係る収集リフターの正面図である。
【図22】図21からの動作状態を示す正面図である。
【図23】図22からの動作状態を示す正面図である。
【図24】本実施例に係る搬送コンベアユニットの平面図である。
【図25】本実施例に係る搬送コンベアユニットの動作状態を示す正面図である。
【図26】本実施例に係る受渡しユニットの正面図である。
【図27】図26からの動作状態を示す正面図である。
【図28】図27からの動作状態を示す正面図である。
【図29】図28からの動作状態を示す正面図である。
【図30】本実施例に係る冷所保管払出し装置の正面図及び側面図である。
【図31】(a)は、回転体の他の例を示す正面図、(b)は、(a)の左側面図、(c)は、(a)の右側面図である。
【図32】スペース容器に調整板及び液回収容器を設けた例を示す正面図である。
【図33】(a)は、図32の調整板の例を示す平面図、(b)は、(a)のI−I線断面図である。
【図34】(a)は、図32の調整板の他の例を示す平面図、(b)は、(a)のI−I線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る注射薬供給装置を示す。この注射薬供給装置は、注射薬払出し装置1、冷所保管払出し装置2、袋詰め装置3、及び、保管バケット積層装置4から構成されている。なお、この注射薬供給装置によって供給される注射薬は、アンプルやバイアル瓶等の容器に収容されているが、以下の説明では、これらの容器に収容されたものを総称して注射薬と記載している。
【0020】
注射薬払出し装置1は、マトリックス状に配置された各棚10に注射薬収納容器9を着脱可能にそれぞれ配設したものである。
【0021】
注射薬収納容器9は、図3及び図4に示すように、容器本体11に搬送ベルト12及び扉13を備えた構成である。容器本体11の一端部には、視認容易な上面に、品名ラベル84とバーコードラベル85がそれぞれ貼着されている。品名ラベル84は、注射薬収納容器9に補充する注射薬に誤りがないか否かを確認するためのものである。また、バーコードラベル85は、各棚10に配置される注射薬収納容器9に誤りがないか否かを確認するためのものである。搬送ベルト12は、容器本体11の底部に配設され、収容される注射薬を扉13側へと搬送する。搬送ベルト12のテンションは調整ネジ18により調整可能である。扉13は、容器本体11の他端側に、支軸14を中心として回転自在に取り付けられ、約120°の範囲で回動する。扉13の両側面には、前記支軸14の近傍に係止孔17と案内突部15a,15bとがそれぞれ形成されている。係止孔17には容器本体11に設けた係止爪16が係脱し、係止時、扉13を容器本体11の一端側開口部を閉鎖した状態に維持する。案内突部15a,15bは、棚10に設けた、形状の異なる案内ガイド溝19a,19bをそれぞれ摺動し、注射薬収納容器9を棚10に抜き差しする際、後述するようにして扉13を開閉する。
【0022】
各棚10には、前記注射薬収納容器9から供給される注射薬を1本ずつ取り出すために、図6に示すように、スペース容器20及び回転体21が設けられている。
【0023】
スペース容器20は、図8に示すように、対向する側壁22a,22bと傾斜する底面22cとで区画される溝形状である。側壁22aには、入口近傍に注射薬検出センサ86が設けられている。注射薬検出センサ86で注射薬が検出されない場合、前記注射薬収納容器9の搬送ベルト12(図6)を駆動することにより、スペース容器20内で注射薬が適量となるように補給する。なお、注射薬検出センサ86は、注射薬の払出し指令に基づいて一定時間だけ作動させるのが好ましい。また、スペース容器20の底面には円盤23が回転自在に設けられている。円盤23は、底面から僅かに突出する略円錐形状である。円盤23の表面には、図9に示すように、略楕円形状のラバーシート36を貼着するのが好ましい。図9では、ラバーシート36には段差部36aが形成され、この段差部36aが注射薬に引っ掛かって横向きに方向転換させることが可能である。また、円盤23は、スペース容器20の底部に配設したモータ24の駆動により、駆動ギア25を介して正逆回転する。これにより、前記注射薬収納容器9から供給される注射薬、例えば、20mlアンプルのような長尺なものでも確実に横向きに方向変換でき、後述する回転体21で搬送可能となる。なお、円盤23は、注射薬の転がり速度に合わせて低速回転させる。
【0024】
回転体21は、図11に示すように、外周面に、回転軸に沿う複数の円弧溝が周方向に等ピッチで形成されることにより、注射薬を保持する収容部29が形成されている。隣接する収容部29の仕切部38aは、回転体21が回転した際、注射薬を収容部29内にスムーズに導入すると共に、1本だけ適切に保持できるように凹状に形成され、径方向に対して斜めに形成され、本発明に係る導入補助部を構成している。回転体21の中央部には、図8Bに示すセンサ片34が出入するセンサ案内溝33が形成されている。センサ片34は、収容部29に注射薬が保持されていれば、その外周面に押圧されてセンサ案内溝33から押し出される。これにより、全ての収納部29に注射薬が収容されたか否かを判定可能である。また、回転体21は、前記スペース容器20の下部に設けたモータ24の駆動により、プーリ26及びベルト27を介して回転駆動する。但し、プーリ26の回転軸にはワンウェイクラッチが設けられ、プーリ26は一方向にのみ回転する。なお、モータ24は、前記センサ片34により、全ての収納部29に注射薬が収容されたことが検出されるまで駆動する。その後、払出指令に従って駆動する。
【0025】
回転体21の収容部29に保持された注射薬は、図21に示すように、収集リフター47に設けたソレノイド88を駆動し、開閉アーム35を回動させて出口30に設けたシャッター31(図10)を開閉することにより1本ずつ払い出される。払い出された注射薬は、出口30の近傍に設けた注射薬カウントセンサ87によって通過本数が計数される。
【0026】
収集リフター47は、図21に示すように、リフター筐体部47aの底面が、蝶番49で回動自在に連結した底板48及び落下高さ吸収板50で構成され、前記スペース容器20から回転体21を介して払い出された注射薬を収集する。底板48は開閉モータ51の駆動により、ギア52を介して回動する。落下高さ吸収板50は、前述のように、底板48の自由端縁部に蝶番49を中心として回動自在に連結されているため、収集コンベア63の上面に沿うように回動する。但し、落下高さ吸収板50は、それ自身が弾性変形するスポンジやブラシ等で構成すれば、蝶番49による連結は不要である。また、収集リフター47の上部には、各棚10の開閉アーム35を回動させるソレノイド88が設けられている。収集リフター47は、昇降支持部54を介して上下のプーリ55に掛け渡したタイミングベルト56に連結され、昇降モータ59の駆動により、案内レール53に沿って昇降する。なお、57は、収集リフター47との重量バランスを図るためのウエートである。
【0027】
収集リフター47の下方には、搬送コンベアユニット60が配設されている。搬送コンベアユニット60は、収集コンベア63と中央コンベア62を備えている。収集コンベア63は、収集コンベア駆動モータ65により駆動し、注射薬を中央コンベア62に搬送する。中央コンベア62は、モータ64(図24)の駆動により、収集コンベア63から搬送された注射薬をさらに受渡しユニット61に搬送する。中央コンベア62の上部には、押込みシャッターベルト66と、この押込みシャッターベルト66と共に回転する押込みシャッター67とが設けられている。なお、搬送コンベアユニット60に於ける収集コンベア63と中央コンベア62の配置は、図24に示す通りである。
【0028】
受渡しユニット61は、図26に示すように、枠体68の底面を開閉可能な底シート70で構成したもので、図示しない昇降装置によって昇降する。枠体68の一端部には上下に延びる軸昇降部69が形成されている。また、枠体68の中央部にはモータ73及び75が設けられている。モータ73の回転軸にはギア74に噛合するギア73aが設けられている。ギア74にはアーム201が設けられ、その先端部と底シート70の一端部とはリンク202を介して回転自在に連結されている。アーム201の先端部は、リンク202の長孔202aに摺動自在に連結されている。一方、モータ75の回転軸にはギア75bに噛合するギア75aが固定されている。そして、ギア75bにはリンク203の一端部が回転自在に連結されている。また、リンク203の他端側には長孔203aが形成され、そこには前記軸昇降部69に昇降自在に設けた軸部69aが摺動自在に連結されている。底シート70の上面には、一対のガイド容器72が設けられている。各ガイド容器72は断面略C字形状で、注射薬の落下を防止している。なお、前記底シート70や前記ガイド容器72は、ブラシやスポンジ等の弾性材料で構成するようにしてもよい。
【0029】
袋詰め装置3は、払出し装置1,2から払い出された注射薬を袋詰めする。保管バケット積層装置4は、袋詰めした注射薬をバケット7内に保管する。
【0030】
冷所保管払出し装置2は、冷所、暗所保管指定の特殊注射薬を払い出すためのものである。この冷所保管払出し装置2は、図30に示すように、筐体枠78に断熱板79及び冷却装置82(例えば、三洋製PCU−T040HA)を設けることにより、内部に保冷空間(5℃±2℃)を形成している。保冷空間には、内面に沿って支持筐体80が設けられている。支持筐体80は、注射薬収納容器9、スペース容器20、回転体21、収集リフター47、搬送コンベアユニット60及び受渡しユニット61等の搬送手段を支持する。また、保冷空間は、断熱材からなる正面扉79によって開閉可能である、正面扉79には二重ガラスが埋め込まれており、内部の動作状況を確認可能である。また、前記注射薬収納容器9に注射薬が収納されているか否かは、前記センサ片34等での検出結果に基づいて、図示しない表示装置に表示される。また、各棚10は、高熱伝導性材料で形成されると共に各所に開口部が設けられ、前記冷却装置82からの冷気が十分に循環可能である。さらに、受渡しユニット61の下方には、投入扉83がスライド可能に設けられ、引き出した状態で、注射薬収集バケット5に注射薬を受け渡すことが可能となっている。これにより、冷気の流出が最小限に抑えられる。また、投入扉83の外周部には図示しない樋が設けられ、結露水が回収される。なお、結露水を効果的に樋で回収するために、投入扉83は少し開いた状態で、一旦停止させるのが好ましい。
【0031】
払出装置1,2及び袋詰め装置3の最下部には、図2に示すように、複数の注射薬収集バケット5を循環移動させるための搬送ライン6が設けられている。この搬送ライン6では、位置P1,P2で、払出装置1,2から払い出される注射薬がそれぞれ収集される。また、位置P3で、搬送ライン6から持ち上げられ、注射薬収集バケット5内の注射薬は袋詰め装置3で袋詰めされる。一方、袋詰め装置3及び保管バケット積層装置4の最下部には、搬送ライン8が設けられている。この搬送ライン8では、保管バケット積層装置4の位置P4から供給される保管バケット7が位置P5に移動して袋詰めされた注射薬が収集される。満載状態となった保管バケット7は、位置P6から位置P7へと搬送される。
【0032】
次に、前記構成の注射薬供給装置の動作を説明する。
【0033】
図示しないホストコンピュータや入力手段から注射箋データが入力されると、該当する注射薬が供給可能か否かを判断する。この判断は、注射薬収納容器9の装着時に予めコンピュータに記憶させた在庫管理データやセンサ片34での検出の有無等に基づいて行う。該当する注射薬がないか又は少ないと判断されれば、棚10から対応する注射薬収納容器9を取り外して補給する。
【0034】
注射薬収納容器9は、棚10に装着した状態では、図5Aに示すように、扉13が全開し、案内突部15a,15bが案内ガイド溝19a,19bの第1水平部aに位置する。そして、注射薬収納容器9が棚10から引き抜かれると、まず、図5Bに示すように、案内突部15a,15bが案内ガイド溝19a,19bの第1傾斜部bを移動し、扉13が支軸14を中心として水平位置まで回動する。そして、図5Cに示すように、案内突部15bが第1傾斜部bから第2傾斜部cに移動する際、案内突部15aは第1傾斜部bを移動する。このため、案内突部15bが第1傾斜部bから第2傾斜部cに方向変換される際、その屈曲部分に引っ掛かることがなく、扉13はスムーズに起き上がる。続いて、図5Dに示すように、案内突部15aが第1傾斜部bから第2傾斜部cに移動する際、案内突部15bは第2傾斜部cを移動する。この場合、前記同様、案内突部15aが第1傾斜部bと第2傾斜部cの境界の屈曲部分に引っ掛かることがなく、扉13はスムーズに起き上がる。その後、図5Eに示すように、案内突部15a,15bが案内ガイド溝19a,19bの第2水平部dに至り、係止孔17に係止爪16が係止することにより、扉13は閉鎖状態に維持される。したがって、棚10から注射薬収納容器9を取り出した状態では、内部に残留する注射薬が飛び出すことはない。
【0035】
このようにして、棚10から注射薬収納容器9が取り出されれば、該当する同種類の注射薬を収納し、再び元の棚10に装着する。このとき、注射薬収納容器9に収納する注射薬の種類は、品名ラベル84により確認し、注射薬収納容器9を装着する棚10は、バーコードラベル85を図示しないバーコードリーダーで読み取ることにより確認する。なお、装着時、注射薬収納容器9の扉13の回動動作は、前述とは逆に、図5Eから図5Aに示すように変化し、扉13は全開状態となる。
【0036】
注射箋データに基づいて該当する注射薬を供給可能であれば、センサ片34で回転体21の全収容部29に注射薬が収容されているか否かを判断する。全収容部29に注射薬が収容されていなければ、搬送ベルト12によりスペース容器20内の注射薬を搬送する。このとき、モータ24を駆動して円盤23を正逆回転させることにより、注射薬を横向きとして回転体21の収容部29に収容容易とする。また、モータ24の駆動に伴い、回転体21の回転も開始されるので、円盤23で横向きとなった注射薬は、開いている収容部29に順次収容される。このため、注射薬の供給を効率的に行うことができる。
【0037】
続いて、図21に示すように、収集リフター47を駆動して所定の棚10まで移動させ、ソレノイド88を駆動することにより、開閉アーム35を介してシャッター31を開閉する。これにより、回転体21の各収容部29に保持された注射薬が順次出口30から排出される。注射薬の排出数は、センサ87によってカウントし、所定数に達すれば、モータ24等の駆動を停止する。
【0038】
回転体21から順次払い出された注射薬を回収した収集リフター47は、昇降モータ59の駆動により降下し、搬送コンベアユニット60の収集コンベア63の上方近傍で停止する。ここで、開閉モータ51を駆動して底板48を開放し、落下高さ吸収板50を収集コンベア63の上面に沿わせた状態で、収集コンベア63上に注射薬を供給する。そして、図23に示すように、昇降モータ59を逆転させて収集リフター47を上動させることにより、収集リフター47内の注射薬を収集コンベア63上に、順次、全て移動させる。これにより、注射薬に衝撃を与えることなく、スムーズに収集コンベア63に移動させることが可能である。また、収集リフター47は次の注射薬を収集するため、昇降モータ59を駆動して該当する棚10に移動する。このとき、開閉モータ51を駆動して底板48で底面を閉塞する。
【0039】
収集コンベア63は、図25Aに示すように収集リフター47から移された注射薬を、図25Bに示すように、中央コンベア62に搬送する。中央コンベア62では、図25Cに示すように、押込みシャッター67により注射薬が一旦滞留する。受渡しユニット61の受取りが可能となれば、図25Dに示すように、押込みシャッターベルト66を駆動して押込みシャッター67を開放し、受渡しユニット61に注射薬を搬送する。このとき、図25Eから図25Fに示すように、前記押込みシャッターベルト66の駆動を続行し、押込みシャッター67を元の位置まで1周させる。これにより、中央コンベア62上の注射薬を、確実に受渡しユニット61内に搬送することが可能となる。
【0040】
受渡しユニット61は、図示しない昇降装置によって昇降し、注射薬収集バケット5の底面に接近した位置で停止する。そして、受渡し第1モータ73を駆動し、図27に示すように、アーム201及びリンク202を介して、軸部69aを中心として底シート70及びガイド容器72を回動させ、底面を開放する。これにより、注射薬が注射薬収集バケット5に移される。さらに、受渡し第1モータ73の駆動を続行すると共に、受渡し第2モータ75を駆動することにより、軸昇降部69に沿って軸部69aを上動させ、図28に示すように、底シート70及びガイド容器72の傾斜角度を最大とし、全ての注射薬を注射薬収集バケット5に移送する。注射薬収集バケット5への注射薬の移送が完了すれば、受渡し第1モータ73を逆転駆動し、図29に示すように、リンク203を移動させた後、受渡し第2モータ76を逆転駆動することにより、図26に示す元の位置に復帰させる。
【0041】
なお、前記実施形態では、回転体21を、その軸心方向が、搬送される注射薬の長手方向と平行となるように配置したが、図7、詳しくは図10に示すように直交するように配置してもよい。
【0042】
すなわち、回転体21は、スペース容器20に設けられ、モータ24の駆動により駆動ギア25を介して回転駆動する。回転体21の出口30近傍には、シュート32が接続されている。このシュート32は、ソレノイド88によって開閉する。
【0043】
回転体21は、導入部に羽部材37を備え、羽部材37に乗った注射薬が回転体の回転に沿って注射薬の長手方向に滑り収納部29に導入される。
【0044】
注射薬は、シュート32に1本と回転体21に設けられた複数の収納部29に貯留される。
【0045】
また、前記図7に採用する回転体21としては、図11に示す構造のものに限らず、図12ないし図17、図31、図32に示す構造とすることもできる。
【0046】
図12に示す回転体21は円錐形状で、一端側に向かって徐々に収容部29の深さが浅くなっている。つまり、注射薬を導入容易なように、仕切部38aの高さが抑えられている。
【0047】
図13ないし図16に示す回転体21は、バイアル瓶の払出しに適している。
【0048】
図13に示す回転体21は、外周面から軸方向に所定間隔で形成される複数の溝と、収容部29に連続する段部38cとを備えている。段部38cは、直立するバイアル瓶を横倒しにして収容部29への収容を容易とする。ここでは、この段部38cが本発明の導入補助部を構成している。
【0049】
図14及び図15に示す回転体21は、回転軸を中心とする点対称の位置(図14では2箇所、図15では4箇所)に、略U字形状の収容部29が、バイアルの直径よりも若干大きくなるように、回転軸の近傍まで形成されている。回転体21の一端面では、収容部29の開口縁の一部が斜めに除去されることにより、本発明の導入補助部38eが形成されている。これにより、回転体21が回転すると、効率的に注射薬が収容部29内に導入される。
【0050】
図16に示す回転体21は、回転中心から偏心した位置1箇所に収容部29が設けられている。収容部29の長さは注射薬の長さにほぼ一致し、2本同時に払い出されることが防止されている。また、収容部29は、回転体21の一端面外周側から他端面中心側に向かって傾斜している。収容部29の一端側開口縁の一部が斜めに除去されることによりガイド凹部38bが形成されている。また、前記収容部29の一端側開口部の周囲には、起立壁42が形成されている。起立壁42は、回転体21の回転により注射薬を容易に掬い取ることができるように薄肉となった掬取部38fと、この掬取部38fで掬い取った注射薬をガイドするガイド部38hとを備える。そして、前記ガイド凹部38bと前記起立壁42とで本発明の導入補助部を構成している。また、回転体21は、下端外周部にギア25を形成され、動力が伝達されるようになっている。
【0051】
この回転体21によれば、ギア25を介して回転すると、傾斜したスペース容器20内の注射薬は、掬取部38fがスペース容器20の底面に沿った位置で収容部29に導かれる。またこのとき、完全に収容部29内に収容されていない注射薬は、ガイド部38hにガイドされながら、確実に収容部29内に導かれる。回転体21がほぼ180°回転した状態で、収容部29が斜め下方に向かうため、この収容部29に収容された注射薬が払い出される。
【0052】
図17に示す回転体21は、アンプルの払出しに適したもので、回転中心から偏心した位置に、3箇所等分で収容部29が形成され、一端面38iが円錐状となっている点で、図16に示す回転体21とは相違している。
【0053】
この回転体21によれば、一端の円錐面38iが、注射薬が積層されることを防止する。これにより、上方の注射薬に押え付けられて収容部29への導入を阻止されることがなくなる。なお、起立壁42の回転中心に向かう平坦部38jは、複数本の注射薬が掬い上げられることを防止する。
【0054】
図31に示す回転体21は、大型のアンプルの払出しに適している。すなわち、図31に示す回転体21では、一端面の偏心した位置から中心側に向かって若干傾斜するように傾斜孔29aが穿設され、他端側では他端面のみならず側方にも開口している。また、回転体21の一端面には、先端に向かって徐々に幅狭となる導入補助部材38が傾斜孔29aに連続するように形成されている。導入補助部材38は、アンプルを傾斜孔29a内に導きやすくする役割を果している。また、前記回転体21は射出成形により形成される一体物であり、外周側には格子状のリブにより樹脂の使用量が抑制されている。この構成により、前記スペース容器20の取付部分の形状を変更することなく、大型のアンプルを払い出すことが可能となる。
【0055】
また、前記実施形態では、前記回転体21は、注射薬の寸法に応じた長さに形成されているが、図32に示すように、スペース容器20に回転体21の長さの違いに応じた適切な枚数の調整板100を介在させることにより、共用化を図ることが可能となる。この場合、調整板100には、例えば、図33A,B、図34A,Bに示すように、回転体21に形成される傾斜孔29aの数及び形成位置に応じて貫通孔104を形成すればよい。
【0056】
また、前記実施形態では、一般的な形状のアンプル等に収容した注射薬を払い出す構成を示したが、複数本連接された特殊形状のプラスチックアンプルであっても、図18に示す注射薬収納容器9を使用することにより1本ずつ払い出すことができる。
【0057】
図18に示す注射薬収納容器9は、底部に搬送ベルト12を備え、一端部に切断部39及び貯留部40を設けられている。切断部39は、図18Cに示すように、カッター41と、その両側に配設した位置決め部材42とを備える。切断部39は、図示しないカムにより昇降する。そして、切断時には、位置決め部材42がプラスチックアンプルを位置決めし、カッター41が接続部を切断する。貯留部40は、下部にソレノイド88により開閉駆動するシャッター31を備える。シャッター31の開閉により払い出されたプラスチックアンプルは、センサ43,44によって検出され、通過本数がカウントされる。この場合、各センサ43,44の感度を高めるため、スペース容器20をABS等の黒色の樹脂で構成するのが好ましい。
【0058】
注射薬収納容器9内には、昇降可能に仕切部材45が設けられ、プラスチックアンプルを上下2段に配列することが可能となっている。仕切部材45は、下段のプラスチックアンプルを払い出した後、降下し、上段のプラスチックアンプルを搬送ベルト12に載置して払出し可能とする。
【0059】
前記仕切部材45に代えて、例えば、図19A及び図19Bに示すように、回転軸に仕切羽根46aを4箇所等分に設けた構成の仕切部材46を使用することもできる。この仕切部材46は、プラスチックアンプルの両端部にそれぞれ配設し、仕切羽根46aを上段及び下段に配列したプラスチックアンプルの間に位置させる。そして、下段のプラスチックアンプルが全て払い出されれば、回転軸を90°回転させ、上段のプラスチックアンプルを下段に移動させる。このとき、下段に移動したプラスチックアンプルの両端上方には次の仕切羽根46aが位置するので、次のプラスチックアンプルを上段に配設することが可能である。
【0060】
また、前記仕切部材46は、図20に示すように、中間部で屈曲した仕切羽根46aを5枚等分で備えた構成とすると、プラスチックアンプルを3段重ねで配設することが可能となる。
【0061】
また、前記スペース容器20には、図32に示すように、シャッター31の下流側に漏れ液を回収するための液回収容器101を設けることもできる。すなわち、アンプルは、回転体21の回転により、順次傾斜孔29aを介して払い出されるので、落下等の衝撃を受けることがあり、破損して内容液が漏れ出ることがある。そこで、内容液によって広い範囲が汚れることがないように、前記液回収容器101によって回収する。なお、アンプルはスペース容器20の回転体21の上流側では滅多に破損することはないが、万一の場合に備えて、この上流底面から液回収容器101側に至るホース等を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…注射薬払出し装置
2…冷所保管払出し装置
3…袋詰め装置
4…保管バケット積層装置
9…注射薬収納容器
10…棚
11…容器本体
12…搬送ベルト
13…扉
14…支軸
15a、15b…案内突部
16…係止爪
17…係止孔
18…調整ネジ
19a、19b…案内ガイド溝
20…スペース容器
21…回転体
22a、22b…側壁
22c…底面
23…円盤
24…モータ
25…駆動ギア
26…プーリ
27…ベルト
29…収容部
29a…傾斜孔
30…出口
31…シャッター
32…シュート
33…センサ案内溝
34…センサ片
35…開閉アーム
36…ラバーシート
36a…段差部
37…羽部材
38…導入補助部材
38a…仕切部
38b…ガイド凹部(導入補助部)
38c…段部(導入補助部)
38e…導入補助部
38f…掬取部
38h…ガイド部
38i…円錐面
38j…平坦部
39…切断部
40…貯留部
41…カッター
42…起立壁(導入補助部)
43…センサ
45…仕切部材
46…仕切部材
46a…仕切羽根
47…収集リフター
47a…リフター筐体部
48…底板
49…蝶番
50…吸収板
51…開閉モータ
52…ギア
53…案内レール
54…昇降支持部
55…プーリ
56…タイミングベルト
57…ウエート
59…昇降モータ
60…搬送コンベアユニット
61…受渡しユニット
62…中央コンベア
63…収集コンベア
64…モータ
66…シャッターベルト
67…シャッター
68…枠体
69…軸昇降部
69a…軸部
70…底シート
73…モータ
73a…ギア
74…ギア
75…モータ
75a…ギア
75b…ギア
78…筐体枠
79…正面扉
80…支持筐体
82…冷却装置
83…投入扉
100…調整板
101…液回収容器
101…前記液回収容器
104…貫通孔
201…アーム
202…リンク
202a…長孔
203…リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射箋データに基づいて該当する注射薬を自動供給するようにした注射薬供給装置において、
複数の棚と、
該各棚に設けられ、同種類の注射薬が収納される注射薬収納容器と、
前記注射薬を収容可能な収容部を外周部に形成され、前記注射薬を収容部に導入容易とし、かつ、収容部に1本だけ保持可能とする導入補助部を有し、前記回転体の回転により注射薬を長手方向に滑らせて収容部に収容し、収容された注射薬を順次払出し可能な回転体と、
を備え、
前記導入補助部は、前記回転体の一端面で、前記収容部の開口縁の一部を除去することにより形成される凹部で構成したことを特徴とする注射薬供給装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記導入補助部を形成した端面から突出し、注射薬をガイドして導入補助部から収容部へと導く突出部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の注射薬供給装置。
【請求項3】
前記回転体の突出部は、回転体の回転により注射薬を掬い取ることができるように薄肉に形成された掬取部と、該掬取部で掬い取った注射薬をガイドするガイド部とからなる起立壁で構成したことを特徴とする請求項2に記載の注射薬供給装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記導入補助部を形成した端面が円錐状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の注射薬供給装置。
【請求項5】
前記回転体の突出部は、先端に向かうに従って徐々に幅狭となるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の注射薬供給装置。
【請求項6】
前記導入補助部は、前記回転体の一端面から突出し、注射薬収納容器から搬送される注射薬を収容部へと導くための複数の羽からなる羽部材で構成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の注射薬供給装置。
【請求項7】
注射箋データに基づいて該当する注射薬を自動供給するようにした注射薬供給装置において、
複数の棚と、
該各棚に設けられ、同種類の注射薬が収納される注射薬収納容器と、
前記注射薬を収容可能な収容部を外周部に形成され、前記収容部に収容された注射薬を順次払出し可能な回転体と、
を備え、
前記回転体の端面に、前記回転体の回転により注射薬をガイドして前記収容部へと導く突出部を形成したことを特徴とする注射薬供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−116564(P2011−116564A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47931(P2011−47931)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2001−570539(P2001−570539)の分割
【原出願日】平成13年3月26日(2001.3.26)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】