説明

洋上風力発電の風車設備の設置専用船、設置治具及び設置方法

【課題】短い工期で設置することができ、設置費用を押さえることができる洋上風力発電の風車設備の設置専用船、設置治具及び設置方法を提供する。
【解決手段】洋上風力発電の風車設備の設置専用船は、船体22と、この船体に設けた、昇降用レグ23とこの昇降用レグを昇降させる昇降手段24とよりなる自己昇降装置と、船体上に設けたクレーン装置50と、船体に設けた、1又は複数の風車設備8を起立した状態で保持する保持手段と、クレーン装置により吊り下げられる、保持手段に保持された風車設備に係合して風車設備を持ち上げる風車設備設置治具27とよりなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上風力発電の風車設備の設置専用船、設置治具及び設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洋上風力発電設備は、基本的に風が強い外洋に設置するほうが電力事業としては有利である。しかしながら、風が強いということは、それに伴って気象海象条件も悪くなる。現状の洋上風力発電設備の施工は、気象海象条件の影響を受けやすいので、洋上風力発電設備の設置場所が、電力事業として有利となる風が強い場所であるほど、設置にかかる工期が長くなり、それに伴い洋上風力発電設備の設置費用も膨大なものとなってしまう。
【0003】
このため、洋上において気象海象条件に左右されずに、いかに短い工期で洋上風力発電設備を設置できるかが一番の課題であり、従来においては、以下の3つの方法がある。
【0004】
(a)自己昇降装置付きの自航式のクレーン船を利用する方法。
【0005】
このクレーン船は、自己昇降装置を有し、この自己昇降装置は、図25に示すように、例えば、クレーン船1の四隅に鉛直方向に延びる昇降自在に設けた四本の昇降用レグ2と、この各昇降用レグ2を昇降する油圧ジャッキシステム3とからなり、上記油圧ジャッキシステム3を操作することにより、上記昇降用レグ2を下方に降ろして、上記昇降用レグ2を海底4に支持させて、そして、上記クレーン船1を海面上に持ち上げて(水切り)、上記クレーン船1を海面上で固定する。
【0006】
この方法においては、上記クレーン船1を岸壁につけて、タワーや、発電機等を内蔵するナセルや、ブレードなど、解体した各風車設備部品5を積み込み、この各風車設備部品5を、風力発電設置現場まで運搬する。そして、上記自己昇降装置により、上記クレーン船1をジャッキアップして水切りし、海面上で固定して、上記クレーン船1のクレーン6により、例えば、既に海底4に設置されている風力発電設備の基礎部となるモノパイル7上に、上記風車設備部品5を組み立てて、風車設備8を設置する。
【0007】
この方法によれば、上記クレーン船1は海面上で固定されているので、気象海象条件に左右されずに、短い工期で洋上風力発電設備を設置することができる。
【0008】
(b)自己昇降装置付き台船(Self Elevating Platform:以下「SEP台船」と略称する)を使用する方法。
【0009】
この方法においては、図26に示すように、風車設備設置用の大型クローラークレーン9を搭載した大型クローラークレーン用SEP台船10と、タワーや、発電機等を内蔵するナセルや、ブレードなど、解体した各風車設備部品5を積んだ資材運搬用SEP台船11とを、風力発電設置現場まで曳航する。そして、昇降用レグ2と油圧ジャッキシステム3とよりなる自己昇降装置により、上記各SEP台船10、11をジャッキアップして水切りし、海面上で固定して、上記大型クローラークレーン9により、例えば、既に海底4に設置されている風力発電設備の基礎部となるモノパイル7上に、上記風車設備部品5を組み立てて、風車設備8を設置する。
【0010】
この方法においても、各SEP台船10、11は海面上で固定されているので、気象海象条件に左右されずに、短い工期で洋上風力発電設備を設置することができる。
【0011】
(c)大型起重機船(フローティングクレーン)を使用して風車設備を一括して設置する方法。
【0012】
この方法においては、陸上(岸壁等)で、解体された風車設備部品5を組み立てて、この組み立てられた風車設備8を、大型起重機船12のクレーン13にて、特殊治具14を介して、一括して吊り下げる。そして、図27に示すように、上記風車設備8をそのまま吊り下げた状態で、上記大型起重機船12を風力発電設置現場まで曳航する。そして、例えば、既に海底4に設置されている、風力発電設備の基礎部となるジャケット15の上部に固定した一方の接続部材16と、上記特殊治具14の他方の接続部材17とを接続させて、上記風車設備8が揺れないようにしてから、上記風車設備8を上記ジャケット15上に一括して設置する。
【0013】
なお、上記特殊治具14は、図28に示すように、上記風車設備8のタワー18の下端部を固定すると共に、上記一方の接続部材16に接続される他方の接続部材17と、上記タワー18の上部分を貫通させて、上記風車設備8を吊り下げた時に、上記風車設備8の傾倒を防止するための環状の上部部材19と、上記他方の接続部材17と上記上部部材19とを連結するワイヤー20と、上記上部部材19に設けた、クレーン吊り下げ用の吊下ピース21とよりなる。
【0014】
この方法においては、風力発電設置現場において、風車設備を組み立てる必要がないので、短い工期で洋上風力発電設備を設置することができる。
【0015】
上記従来の自己昇降装置付きの船を用いて風車設備を設置する方法としては、例えば、特許文献1、特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−1750号公報
【特許文献2】特開2006−37397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の方法(a)は、現地で風車設備を組み立てながら設置するので、外洋での作業日数が多くなる。そのため、洋上風力発電設備の設置費用も膨大なものとなってしまう。
【0018】
また、従来の方法(b)も、現地で風車設備を組み立てながら設置するので、外洋での作業日数が多くなる。そのため、洋上風力発電設備の設置費用も膨大なものとなってしまう。
【0019】
また、SEP台船の大きさから、風車設備1基分しか現地へ運搬できない。そのため1基設置するごとに帰港し、風車設備部品を運搬しなければならない。
【0020】
また、上記従来の方法(c)は、自己昇降装置がないので、気象海象条件が極めて良好で安定している時でないと施工できない。
【0021】
また、風力発電設備の基礎部となるジャケット15の上部の一方の接続部材16に、上記特殊治具14の他方の接続部材17とを接続させた後、上記風車設備8を上記ジャケット15上に固定するまでの間、船の揺れに伴う上記特殊治具14の揺れを吸収するために、上記他方の接続部材17と上部部材19とはワイヤーにより接続する必要がある。このワイヤー接続のため、特殊治具14のセッティング時と解体時の作業が複雑になる。
【0022】
また、洋上風力発電設備の基礎部上に一方の接続部材16を取付ける必要があるが、モノパイルのように上端に一方の接続部材16を設置スペースがない場合には、この方法を用いることができない。
【0023】
また、1基しか吊り下げることができないので、設置効率が悪い。
【0024】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船は、船体と、この船体に設けた、昇降用レグとこの昇降用レグを昇降させる昇降手段とよりなる自己昇降装置と、上記船体上に設けたクレーン装置と、上記船体に設けた、1又は複数の風車設備を起立した状態で保持する保持手段と、上記クレーン装置により吊り下げられる、上記保持手段に保持された風車設備に係合して上記風車設備を持ち上げる風車設備設置治具とよりなることを特徴とする。
【0026】
また、上記クレーン装置は、上記風車設備に接触しない空間内で稼動できることを特徴とする。
【0027】
本発明の風車設備設置治具は、上記風車設備のタワーの下部分を支持する下部治具部と、上記風車設備のタワーの上部分を支持する上部治具部と、上記上部治具部と上記下部治具部とを所望の間隔を開けて連結する剛性のある連結具と、少なくとも上記下部治具部及び上記上部治具部のいずれか一方に係合可能な、上記タワーに設けた係合部とよりなることを特徴とする。
【0028】
また、少なくとも上記下部治具部と上部治具部のいずれか一方にタワー挟持手段を設け、上記タワー挟持手段は、上記タワーを、少なくとも2方向から挟持するタワー挟持部とよりなることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法は、昇降用レグとこの昇降用レグを昇降させる昇降手段とよりなる自己昇降装置と、クレーン装置と、複数の風車設備を起立した状態で保持する保持手段と、上記クレーン装置により吊り下げられる、上記保持手段に保持された各風車設備に係合して上記各風車設備を持ち上げる風車設備設置治具とよりなる船体であって、この船体の上記保持手段に複数の風車設備を保持させて、上記船体を、上記風車設備が接続される上記風力発電設備の基礎部に移動する第一の工程と、上記船体を上記自己昇降装置により持ち上げ、海面上で固定する第二の工程と、上記クレーン装置により、上記風車設備設置治具を介して風車設備を吊り下げ、上記基礎部上に移動する第三の工程と、上記基礎部に上記風車設備を固定する第四の工程と、上記船体を上記自己昇降装置により下げ、海面上での固定を解除し、上記船体を移動可能とし、上記船体を、他の風力発電設備の基礎部に移動する第五の工程と、上記他の風車設備について、上記第二の工程から上記第四の工程を行う第六の工程と、必要に応じて、上記第五、六の工程を1又は複数回繰り返す第七の工程とよりなることを特徴とする。
【0030】
また、風車設備設置治具は、上記風車設備のタワーの下部分を支持する下部治具部と、上記風車設備のタワーの上部分を支持する上部治具部と、上記上部治具部と上記下部治具部とを所望の間隔を開けて連結する剛性のある連結具と、少なくとも上記下部治具部及び上記上部治具部のいずれか一方に係合可能な、上記タワーに設けた係合部とよりなり、上記下部治具部及び上記上部治具部は、それぞれ環状に形成され、上記環状の下部治具部の一方側及び他方側において、それぞれ上記タワーを出し入れできるタワー挿入部を有する共に、上記環状の上部治具部の一方側及び他方側において、それぞれ上記タワーを出し入れできるタワー挿入部を有し、上記下部治具部及び上記上部治具部の一方側のタワー挿入部は、環状の上記下部治具部及び上記上部治具部内にタワーを入れる場合に開口し、上記下部治具部及び上記上部治具部の他方側のタワー挿入部は、環状の上記下部治具部及び上記上部治具部内にタワーを出す場合に開口することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、自己昇降装置の付いた船体を使用するので、気象海象条件の影響をあまり受ける事無く、風車設備の設置作業を行うことができる。
【0032】
また、風車設備設置治具を用いることで、風車設備のクレーンの取り付け、取り外しが容易となる。また、複数の風車設備の運搬、設置が容易となる。
【0033】
また、風車設備、特にブレードに接触しない範囲でクレーン作業ができるので、クレーン装置のブームやワイヤーの接触による風車設備のブレードの損傷を防止し、かつ、小型のクレーンで風車設備の移動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船の側面図である。
【図2】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船の正面図である。
【図3】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の正面図である。
【図4】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の下部治具部の平面図である。
【図5】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の下部治具部の正面図である。
【図6】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の上部治具部の平面図である。
【図7】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の上部治具部の正面図である。
【図8】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の他の実施例の正面図である。
【図9】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の他の実施例の側面図である。
【図10】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の他の実施例の下部治具部の平面図である。
【図11】本発明の洋上風力発電の風車設備の風車設備設置具の他の実施例の上部治具部の平面図である。
【図12】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用正面図である。
【図13】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図14】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図15】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図16】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図17】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図18】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図19】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図20】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図21】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船の風車設備設置具に用いる伸縮装置の説明用側面図である。
【図22】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船の他の実施例の側面図である。
【図23】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船の他の実施例の正面図である。
【図24】本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船の他の実施例の説明用の正面図である。
【図25】従来の洋上風力発電の風車設備の設置方法の説明用側面図である。
【図26】従来の洋上風力発電の風車設備の他の設置方法の説明用側面図である。
【図27】従来の洋上風力発電の風車設備の更に他の設置方法の説明用側面図である。
【図28】従来の洋上風力発電の風車設備の更に他の設置方法の説明用正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0036】
図1及び図2は、本発明の第1の実施例の洋上風力発電の風車設備の設置専用船を示し、22は、自航式又は非自航式の船体を示し、この船体22は、この船体22の例えば四隅に鉛直方向に延びる昇降自在に設けた昇降用レグ23とこの各昇降用レグ23を昇降する油圧ジャッキシステムなどの昇降手段24とよりなる自己昇降装置を有する。そして、上記昇降手段24を操作して、上記昇降用レグ23を下方に降ろして、上記昇降用レグ23を海底4に支持させて、そして、上記船体22を海面上に持ち上げることにより、上記船体22を海面上に固定できる。
【0037】
また、上記船体22の上面には、1又は、例えば、船首から船尾に向かって、所望の間隔を開けて複数の風車設備8を起立した状態で保持する保持具(図示せず)が設けられている。なお、上記風車設備8は、その積み込み、運搬から設置の間、上記風車設備8のブレードのうちの1枚のブレードを鉛直下方に向いた位置で固定し、回転しないようにする。
【0038】
45は、上記船体22に設けたクレーン装置を示し、このクレーン装置45は、例えば、上記船体22上の上記風車設備の保持具の両側にそれぞれ設けた2つのクレーンレール25,25と、この各クレーンレール25を走行自在な走行クレーン26とよりなる。
【0039】
なお、上記各クレーンレール25を2台以上の走行クレーンが走行するようにしてもよい。
【0040】
また、上記クレーン装置45は、固定クレーンや船体22上を走行するクレーン車であってもよい。
【0041】
また、例えば、上記各走行クレーン26のブームの先端部を、上記風車設備8のブレードに接触しない、図24に示す空間A内で稼動できるようにし、そして、上記各走行クレーン26のブームの先端部を上記空間A内に位置させて、後述する風車設備設置治具27を吊り上げるようにする。
【0042】
すなわち、上記空間Aとは、風車設備8のブレードのうち、左右に延びるブレードよりも下の領域であり、上記左右に延びるブレードと、上記走行クレーン26のブームの先端部との間に間隙を有して、かつ、上記走行クレーン26のブームの先端部が上記左右に延びるブレードよりも下方に位置する関係で、上記各走行クレーン26のブームの先端部を位置させて、上記風車設備設置治具27を吊り上げるようにする。
【0043】
なお、上記走行クレーン26のブームの先端部は、上記風車設備8及び風車設備設置治具27の重心位置よりも高い位置で、上記風車設備設置治具を吊り上げるようにする。
【0044】
以上のように、上記走行クレーン26のブームの先端部を上記空間A内で稼動できるようにして、上記ブレードの下の位置で上記風車設備設置治具を吊り上げるようにすれば、上記各走行クレーン26のブーム及びワイヤーが、上記風車設備8のブレードに接触することなく、風車設備8を吊り上げることができ、また、上記風車設備8を船体22の保持具から海上のモノパイル7上まで移動させることが可能となる。
【0045】
27は、上記船体22に設けた風車設備設置治具を示し、この風車設備設置治具27は、上記走行クレーン26により吊り下げられた時に、上記保持具により保持された風車設備8と係合し、上記風車設備8を持ち上げるように構成されている。
【0046】
上記風車設備設置治具27は、図3〜図7に示すように、風車設備8のタワー18の下部分を支持する、例えば環状の下部治具部28と、上記風車設備8のタワー18の上部分を支持する、例えば環状の上部治具部29と、上記下部治具部28と上記上部治具部29とを所望の間隔を開けて連結する、例えば鋼管などの剛性のある連結具30と、上記下部治具部28に係合可能な、上記風車設備8のタワー18に設けた係合部、例えば、上記タワー18の下部外周面に突出して設けた2つの係合ブラケット31、31とよりなる。
【0047】
なお、上記係合ブラケット31は、1つであっても、2以上であってもよい。
【0048】
また、上記下部治具部28は、図4及び図5に示すように、例えば、所望の間隔を開けた2枚の例えば矩形状の下部ベース部32、32と、この2枚の下部ベース部32、32の両端部をそれぞれ連結する取り外し可能な一方及び下部ビーム部材33、33とよりなり、上記下部治具部28は、上記下部ベース部32、32と上記下部ビーム部材33、33により環状に形成されている。そして、上記環状の下部治具部28から一方又は他方の下部ビーム33、33を取り外すことにより、タワー挿入部が形成される。
【0049】
また、上記各部材32、33で囲まれて形成された空隙部34は、上記風車設備8のタワー18の下部分を挿入できる大きさに形成される。
【0050】
また、上記係合ブラケット31の突出長さは、図5に示すように、上記下部治具部28の間隙部34に、上記係合ブラケット31が上記下部治具部28よりも上に位置するように上記風車設備8のタワー18の下部を挿入した状態において、上記走行クレーン26により上記風車設備設置治具27を吊り下げた時に、上記下部治具部28が上記係合ブラケット31に係合して、上記風車設備8を持ち上げることができる長さに形成されている。
【0051】
また、上記上部治具部29は、図6及び図7に示すように、所望の間隔を開けて設けた2枚の例えば矩形状の上部ベース部35、35と、この2枚の上部ベース部35、35の両端をそれぞれ連結する取り外し可能な一方及び上部ビーム部材36、36とよりなり、上記上部ベース部35、35と上記ビーム36、36により環状に形成されている。そして、上記環状の上部治具部29から一方又は他方の上部ビーム36、36を取り外すことにより、タワー挿入部が形成される。
【0052】
なお、上記2枚の上部ベース部35、35は、それぞれ、上記下部ベース部32、32に対向する位置に設けられている。
【0053】
また、上記各部材35、36で囲まれて形成された間隙部37は、上記風車設備8のタワー18の上部分を挿入できる大きさに形成されている。
【0054】
54は、上記タワー18のタワー挟持手段を示し、このタワー挟持手段54は、上記各上部ベース部35、35の上面に、それぞれ互いに対向して設けた一方及び他方のタワー挟持部38、38とより、この一方及び他方のタワー挟持部38の少なくとも一つはジャッキなどの押圧装置よりなる。そして、上記一方及び他方の挟持部38、38により上記上部治具部29の空隙部37内に挿入されたタワー18を挟持押圧して固定し、上記風車設備8を上記風車設備設置治具14に固定できるようにして、移動中の風車設備8の振れを抑制する。
【0055】
なお、上記タワー挟持手段54は、一方及び他方のタワー挟持部38により2方向からタワー18を挟持する他に、3つ以上のタワー挟持部38により3方向以上からタワー18を挟持するようにしてもよい。そして、3つ以上のタワー挟持部38の少なくとも一つはジャッキなどの押圧装置とする。
【0056】
また、一方及び他方のタワー挟持部38のうち、例えば、一方のタワー挟持部38をジャッキとし、他方のタワー挟持部38を上記上部ベース35としてもよい。
【0057】
39は、上記各上部ベース部35の上面の両端に設けた、上記走行クレーン26の吊下ピースを示す。
【0058】
また、上記連結具30は、上記各上部ベース部35の下面の両端と、これに対応する各下部ベース部32の上面の両端とがそれぞれ連結されている。なお、上記連結具30には、階段やエレベータなどの昇降設備を設け、下部治具部28から上部治具部29に上がれるようになっている。
【0059】
なお、上記風車設備設置治具27は、上記2枚の下部ベース部32及び上記2枚の上部ベース部35を、それぞれ一方及び他方の舷側を向くようにし、上記一方及び他方の下部ビーム部材33及び上記一方及び他方の上部ビーム部材36を、それぞれ船首側及び船尾側に向くようにして、上記船体22上に載置する。
【0060】
そして、一方のクレーンレール25を走行する走行クレーン26により、上記一方の上部ベース部35の両端の吊下ピース39を吊り下げ、他方のクレーンレール25を走行する走行クレーン26により、上記他方の上部ベース部35の両端の吊下ピース39を吊り下げるようにする。
【0061】
これにより、上記風車設備設置治具27を上記風車設備8に係合しない程度に吊り下げて、上記環状の下部治具部28から船首側の一方の下部ビーム部材33を取り外して、環状の下部治具部28の前側を開口し、また、上部治具部29から船首側の一方の上部ビーム部材36を取り外して、環状の上部治具部29の前側を開口すれば、上記走行クレーン26を移動させるだけで、上記風車設備設置治具27内に船首側から上記風車設備8のタワー18を出し入れできるようになる。
【0062】
同様に、上記環状の下部治具部28から船尾側の他方の下部ビーム部材33を取り外して、環状の下部治具部28の後側を開口し、また、上部治具部29から船尾側の他方の上部ビーム部材36を取り外して、環状の上部治具部29の後側を開口すれば、上記走行クレーン26を移動させるだけで、上記風車設備設置治具27内に船尾側から風車設備8のタワー18を出し入れできる。
【0063】
なお、上記係合ブラケット31を上記風車設備8のタワー18の下部外周面に設ける代わりに、上記タワー18の中間部外周面に設け、上記走行クレーン26により上記風車設備設置治具27を吊り上げた時に、上記上部治具部29が上記係合ブラケット31に係合するようにしてもよい。或いは、上記タワー18の下部外周面及び中間部外周面にそれぞれ係合ブラケット31を設けるようにしてもよい。
【0064】
また、上記上部治具部29にタワー挟持手段54を設ける代わりに、上記下部治具部28にタワー挟持手段54を設けるようにしてもよい。或いは、上記上部治具部29及び上記下部治具部28にそれぞれタワー挟持手段54を設けるようにしてもよい。
【0065】
また、図8〜図11は、本発明の風車設備設置治具27の他の実施例を示す。この他の実施例においては、上記環状の下部治具部28を、下部ベース部32、32と下部ビーム部材33、33とにより構成する代わりに、図10に示すように、タワー挿入部、即ち、上記タワー18の挿入用の開口部46を有する環状部材47よりなるものとする。
【0066】
また、上記環状の上部治具部29を、上部ベース部35、35と上部ビーム部36、36とにより構成する代わりに、図11に示すように、タワー挿入部、即ち、上記タワー18の挿入用の開口部48を有する環状部材49よりなるものとする。
【0067】
上記他の実施例の風車設備設置治具27によれば、上記風車設備8に上記風車設備治具部27を設置し、撤去するのが容易になる。そして、上記他の実施例の風車設備設置治具27においては、クレーン操作により、上記風車設備設置治具27の開口部46、48の方向を変えるなどして、風車設備8を出し入れするようにする。
【0068】
次に本発明の洋上風力発電設備の設置専用船及び風車設備設置治具を用いた、風車設備の設置方法を説明する。
【0069】
図12に示すように、上記船体22を岸壁40につけて、上記自己昇降装置により、上記船体22をジャッキアップして海面上に固定する。そして、岸壁40において、大型クローラークレーン41等により、上記船体22上に、タワーと、発電機等を内蔵するナセルと、ブレードとよりなる風車設備8を1又は複数組み立て、この1又は複数の風車設備8を上記保持具(図示せず)により起立した状態で保持させる。
【0070】
また、上記風車設備設置治具27を、例えば、上記船体22の一番船尾側の風車設備8に挿入して、上記船体22上に載置する。なお、上記係合ブラケット31は、上記下部治具部28よりも上方に位置するようにする。
【0071】
なお、上記風車設備設置治具27の一方及び他方の下部ビーム部材33、33をそれぞれ船体22の船首側及び船尾側に向くように位置させる。これにより、一方及び他方の上部ビーム部材36、36も船首側及び船尾側に向くようになる。
【0072】
これにより、上記船首側及び船尾側のいずれかの一方の上下のビーム部材33、36を取り外し、上記走行クレーン26によって、上記風車設備設置治具27を、上記風車設備8に係合しない程度に吊り下げて、上記風車設備設置治具27をクレーンレール25に沿って移動させれば、上記風車設備設置治具27を上記風車設備8に出し入れできるようになる。
【0073】
次に、上記自己昇降装置により、1又は複数の風車設備を積み込んだ上記船体22をジャッキダウンして、海面上での固定を解除し、上記船体22を移動可能にする。
【0074】
そして、洋上風車設備設置現場まで移動し、図13及び図14に示すように、上記船体22の船尾を、例えば、既に海底4に設置されている、風力発電設備の基礎部となるモノパイル7側に向け、上記船体22を、上記自己昇降装置によりジャッキアップして、海面上に固定する。なお、上記風力発電設備の基礎部は、海面上に固定されたフロート(図示せず)上に設置されている場合もある。
【0075】
次に上記船体22の両舷の2台の走行クレーン26により、上記風車設備設置治具27の吊下ピース39をそれぞれ玉掛けして、上記風車設備設置治具27を吊り下げれば、図15及び図16に示すように、上記係合ブラケット31が上記下部治具部28の下部ベース部32に引っ掛かって係合して、上記風車設備8を持ち上げることができる。
【0076】
そして、上記風車設備8を地切りした後に、上記一方及び他方の挟持部38、38により上記風車設備8のタワー18の上部を挟持押圧して、上記風車設備設置治具27を上記風車設備8に固定して、吊り下げ中に、上記風車設備が振れるのを抑制する。
【0077】
次に、上記両舷の2台の走行クレーン26を上記クレーンレール25に沿って船尾側に移動し、そして、図17に示すように、上記風車設備8を上記モノパイル7上部まで移動させ、上記走行クレーン26を操作して、上記風車設備8を上記モノパイル7上に下ろして、上記モノパイル7の上端と上記タワー18の下端をボルト等で接続して、上記風車設備8の設置を完了させる。
【0078】
設置完了後は、上記挟持部38を緩め、上記風車設備設置治具27から上記風車設備8の固定を解除する。
【0079】
そして、上記下部治具部28から他方の下部ビーム部材33を取り外して、環状の下部治具部28の後側を開口し、また、上部治具部29から他方の上部ビーム部材36を取り外して、環状の上部治具部29の後側を開口し、上記走行クレーン26を船首側に移動させれば、図18に示すように、上記設置した風車設備8から、上記風車設備設置治具27を取り外すことができる。
【0080】
なお、係合ブラケット31が取り外し式の場合には、上記係合ブラケット31を上記タワー18から取り外してもよい。
【0081】
上記設置した風車設備8から、上記風車設備設置治具27を取り外した後に、上記下部治具部28に他方の下部ビーム部材33を取り付けて、環状の下部治具部28の後側を閉口し、また、上部治具部29に他方の上部ビーム部材36を取り付けて、環状の上部治具部29の後側を閉口する。
【0082】
次に、上記下部治具部28から一方の下部ビーム部材33を取り外して、環状の下部治具部28の前側を開口し、また、上部治具部29から一方の上部ビーム部材36を取り外して、環状の下部治具部28の前側を開口し、上記走行クレーンを船首側に移動させれば、図19に示すように、2台目の風車設備8に上記風車設備設置治具27を取付けることができる。
【0083】
そして、再度、上記下部治具部28に一方の下部ビーム部材33を取り付けて、環状の下部治具部28の前側を閉口し、また、上部治具部29に一方の上部ビーム部材36を取り付けて、環状の下部治具部28の前側を閉口する。
【0084】
次に、図20に示すように、上記自己昇降装置により、上記船体22をジャッキダウンして、上記船体22を移動可能にして、次の洋上風車設備設置現場まで移動する。
【0085】
そして、以上を繰り返せば、複数の風車設備8を洋上に設置できるようになる。
【0086】
なお、図21に示すように、例えば、上記モノパイル7及びタワー18が筒状の場合に、上記モノパイル7の上部の互いに対向する2箇所の内周面に、伸縮装置設置用の一方のブラケット42を固定し、また、上記風車設備8のタワー18の下部内周面の上記一方のブラケット42に対応する位置に、それぞれ伸縮装置設置用の他方のブラケット43を固定し、上記一方のブラケット42と他方のブラケット43間に位置合わせ調整用の補助ジャッキなどの伸縮装置44を設置できるようにしてもよい。
【0087】
なお、上記一方のブラケット42及び上記他方のブラケット43を、それぞれモノパイル7、タワー18の外周面に固定するようにしてもよい。
【0088】
これにより、上記モノパイル7上に上記風車設備8を設置する時に、上記一方及び他方のブラケット42、43間に上記伸縮装置44を介在させれば、最終的な位置合わせが容易になり、また、設置時の衝撃を緩和することができるようになる。
【0089】
本発明の洋上風力発電の風車設備の設置専用船及び設置方法によれば、洋上ではなく、岸壁で風車設備を組み立てるので、気象海象条件の影響をあまりうけることなく組立て作業を行うことができる。そして、工期の短縮を図ることができる。
【0090】
また、自己昇降装置の付いた船体を使用するので、洋上風力発電設備の設置場所の気象海象条件の影響をあまり受ける事無く、風車設備の設置作業を行うことができる。
【0091】
また、風車設備を組み立てた状態で、風力発電設備設置現場に移動し、一括して現地で設置するので、工期の短縮を図ることができる。
【0092】
また、風車設備設置治具を用いることで、風車設備のクレーンの取り付け、取り外しが容易となる。
【0093】
また、2台のクレーンを用いているので、風車設備の高い位置から吊り下げる必要がなくなり、大型のクレーンを用いる必要がなくなる。
【0094】
また、クレーンを移動した場合でも、組み立てた風車設備のブレードに接触しない大きさのクレーンを用いれば、船体上で複数の風車設備の運搬が容易となる。
【0095】
また、風車設備設置治具の上部と下部を剛結合しているので、治具の設置、解除が容易になる。
【0096】
また、風力発電設備の基礎部の形式(モノパイル、組杭、ジャケット、重力式、浮体式)を問わず設置が可能となる。
【実施例2】
【0097】
図22及び図23は本発明の第2の実施例を示す。この第2の実施例においては、上記第1の実施例の風車設備の設置専用船において、クレーン装置45として、クレーンレール25及び走行クレーン26を用いる代わりに、2台の固定クレーン50,50を用いる。そして、この2台の固定クレーンを上記船体22の風車設備8の保持具の両側に設置する。
【0098】
また、上記風車設備の積み込み、運搬から設置の間、上記ブレード53のうちの1枚のブレード53aを鉛直下方に向いた位置で固定し、回転しないようにする。
【0099】
また、図24に示すように、上記各固定クレーン50のブーム51の先端部51aを、上記風車設備8のブレード53に接触しない空間A内で稼動できるようにし、そして、上記各固定クレーン50のブーム51の先端部51aを上記空間A内に位置させて、上記風車設備設置治具27を吊り上げるようにする。
【0100】
すなわち、上記空間Aとは、図24に示すように、各風車設備8のブレード53のうち、左右に延びるブレード53bよりも下の領域であり、上記左右に延びるブレード53bと、上記固定クレーン50のブーム51の先端部51aとの間に間隙を有して、かつ、上記固定クレーン50のブーム51の先端部51aが上記左右に延びるブレード53bよりも下方に位置する関係で、上記各固定クレーン50のブーム51の先端部51aを位置させて、上記風車設備設置治具27を吊り上げるようにする。
【0101】
なお、上記固定クレーン50のブーム51の先端部51aは、上記風車設備8及び風車設備設置治具の重心位置よりも高い位置で、上記風車設備設置治具を吊り上げるようにする。
【0102】
本発明の第2の実施例においては、上記2台の固定クレーン50、50により、上記風車設備治具27の吊下ピース39をそれぞれ玉掛けして、上記第1の実施例と同様に、上記風車設備8を持ち上げ、上記風車設備8を上記モノパイル7上部まで移動させ、上記固定クレーンを操作して、上記風車設備8を上記モノパイル7上に下ろして、上記モノパイル7の上端と上記タワー18の下端をボルト等で接続して、上記風車設備8の設置を完了する。
【0103】
本発明の第2の実施例においては、上記固定クレーン50のブーム51の先端部51aを上記空間A内で稼動するようにして、上記ブレード53bの下の位置で上記風車設備設置治具を吊り上げるようにしたので、上記各固定クレーン50のブーム51及びワイヤー52が、上記風車設備8のブレード53に接触することなく、風車設備8を吊り上げることができ、また、上記風車設備8を船体22の保持具から海上のモノパイル7上まで移動させることが可能となる。
【0104】
また、小型のクレーンで風車設備の移動が可能となる。
【符号の説明】
【0105】
1 クレーン船
2 昇降用レグ
3 ジャッキシステム
4 海底
5 風車設備部品
6 クレーン
7 モノパイル
8 風車設備
9 大型クローラークレーン
10 SEP台船
11 SEP台船
12 大型起重機船
13 クレーン
14 特殊治具
15 ジャケット
16 一方の接続部材
17 他方の接続部材
18 タワー
19 上部部材
20 ワイヤー
21 吊下ピース
22 船体
23 昇降用レグ
24 昇降手段
25 クレーンレール
26 走行クレーン
27 風車設備設置治具
28 下部治具部
29 上部治具部
30 連結具
31 係合ブラケット
32 下部ベース部
33 下部ビーム部材
34 空隙部
35 上部ベース部
36 上部ビーム部材
37 空隙部
38 挟持部
39 吊下ピース
40 岸壁
41 大型クローラークレーン
42 ブラケット
43 ブラケット
44 伸縮装置
45 クレーン装置
46 開口部
47 環状部材
48 開口部
49 環状部材
50 固定クレーン
51 ブーム
51a 先端部
52 ワイヤー
53 ブレード
54 挟持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、この船体に設けた、昇降用レグとこの昇降用レグを昇降させる昇降手段とよりなる自己昇降装置と、上記船体上に設けたクレーン装置と、上記船体に設けた、1又は複数の風車設備を起立した状態で保持する保持手段と、上記クレーン装置により吊り下げられる、上記保持手段に保持された風車設備に係合して上記風車設備を持ち上げる風車設備設置治具とよりなることを特徴とする洋上風力発電の風車設備の設置専用船。
【請求項2】
上記クレーン装置は、上記風車設備に接触しない空間内で稼動できることを特徴とする請求項1記載の洋上風力発電の風車設備の設置専用船。
【請求項3】
上記風車設備設置治具は、上記風車設備のタワーの下部分を支持する下部治具部と、上記風車設備のタワーの上部分を支持する上部治具部と、上記上部治具部と上記下部治具部とを所望の間隔を開けて連結する剛性のある連結具と、少なくとも上記下部治具部及び上記上部治具部のいずれか一方に係合可能な、上記タワーに設けた係合部とよりなることを特徴とする請求項1または2記載の洋上風力発電の風車設備の設置専用船。
【請求項4】
少なくとも上記下部治具部と上部治具部のいずれか一方にタワー挟持手段を設け、上記タワー挟持手段は、上記タワーを、少なくとも2方向から挟持するタワー挟持部とよりなることを特徴とする請求項3記載の洋上風力発電の風車設備の設置専用船。
【請求項5】
洋上風力発電の風車設備のタワーの下部分を支持する下部治具部と、
上記風車設備のタワーの上部分を支持する上部治具部と、
上記上部治具部と上記下部治具部とを所望の間隔を開けて連結する剛性のある連結具と、
少なくとも上記下部治具部及び上記上部治具部のいずれか一方に係合可能な、上記タワーに設けた係合部とよりなることを特徴とする風車設備設置治具。
【請求項6】
少なくとも上記下部治具部と上部治具部のいずれか一方にタワー挟持手段を設け、上記タワー挟持手段は、上記タワーを、少なくとも2方向から挟持するタワー挟持部とよりなることを特徴とする請求項5記載の風車設備設置治具。
【請求項7】
昇降用レグとこの昇降用レグを昇降させる昇降手段とよりなる自己昇降装置と、クレーン装置と、複数の風車設備を起立した状態で保持する保持手段と、上記クレーン装置により吊り下げられる、上記保持手段に保持された各風車設備に係合して上記各風車設備を持ち上げる風車設備設置治具とよりなる船体であって、
この船体の上記保持手段に複数の風車設備を保持させて、上記船体を、上記風車設備が接続される上記風力発電設備の基礎部に移動する第一の工程と、
上記船体を上記自己昇降装置により持ち上げ、海面上で固定する第二の工程と、
上記クレーン装置により、上記風車設備設置治具を介して風車設備を吊り下げ、上記基礎部上に移動する第三の工程と、
上記基礎部に上記風車設備を固定する第四の工程と、
上記船体を上記自己昇降装置により下げ、海面上での固定を解除し、上記船体を移動可能とし、上記船体を、他の風力発電設備の基礎部に移動する第五の工程と、
上記他の風車設備について、上記第二の工程から上記第四の工程を行う第六の工程と、
必要に応じて、上記第五、六の工程を1又は複数回繰り返す第七の工程と
よりなることを特徴とする洋上風力発電の風車設備の設置方法。
【請求項8】
上記風車設備設置治具は、上記風車設備のタワーの下部分を支持する下部治具部と、上記風車設備のタワーの上部分を支持する上部治具部と、上記上部治具部と上記下部治具部とを所望の間隔を開けて連結する剛性のある連結具と、少なくとも上記下部治具部及び上記上部治具部のいずれか一方に係合可能な、上記タワーに設けた係合部とよりなり、
上記下部治具部及び上記上部治具部は、それぞれ環状に形成され、
上記環状の下部治具部の一方側及び他方側において、それぞれ上記タワーを出し入れできるタワー挿入部を有する共に、上記環状の上部治具部の一方側及び他方側において、それぞれ上記タワーを出し入れできるタワー挿入部を有し、
上記下部治具部及び上記上部治具部の一方側のタワー挿入部は、環状の上記下部治具部及び上記上部治具部内にタワーを入れる場合に開口し、
上記下部治具部及び上記上部治具部の他方側のタワー挿入部は、環状の上記下部治具部及び上記上部治具部内にタワーを出す場合に開口することを特徴とする請求7記載の洋上風力発電の風車設備の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−63767(P2013−63767A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189960(P2012−189960)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】