説明

洋風便器装置

【課題】便器の使用状態を監視して、使用者に便器の清掃の必要性を自動報知する洋風便器装置を提供することにある。
【解決手段】便器の使用状態を監視して、清掃要求を自動報知する機能を備えた洋風便器装置10であって、前記便器の使用情報、前記便器の汚れ情報のうち少なくともいずれか一方を、所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別する判別手段20と、清掃要求信号を出力する報知手段18a、18bとを備えており、前記判別手段の比較判別の結果に応じて、前記報知手段を作動させて、前記清掃要求信号を出力する構成にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器装置に関し、詳しくは、便器の使用状態を監視して、清掃要求を自動報知する機能を備えた洋風便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洋風便器装置では、便器の汚れの発生に対しては、目視で汚れの度合いを確認し、使用者の主観的な判断により、清掃の要、不要を判断している。
このような使用者の判断では、汚れの発生に気付かない場合や、意図的に清掃を避ける場合もあり、便器を清潔に保つことが困難であった。
【0003】
特に、ショッピングセンターやホテルなどの公共のスペースに設置される便器では、便器の使用状態を監視して、清潔に保つために清掃を促すことが望まれる。
一般家庭においても主観的判断ではなく、便器の使用状態を判断して、清掃を促すことにより、便器を清潔に保つことが望まれる。
【0004】
特許文献1では、図10に示すように、便座装置本体2に対し回動自在に取り付けられた便座3と、給水部4から水道水を給水しノズル5から吐水させることによって人体局部を洗浄する衛生洗浄装置を備えた便座装置1であって、該衛生洗浄装置通水路内のゴミ詰まりを保護するストレーナのメンテナンス時期を警告する発明が提案されている。
すなわち、便座装置1は、タイマーを内蔵する制御部6を有し、制御部6において、衛生洗浄装置の駆動時間をカウントし、延べの駆動時間が規定時間を超えると、警告発生部のブザー7からの警告音の発生、あるいは発光ダイオード8からの警告光の発光により、使用者にストレーナのメンテナンスが必要であることを警告する構成となっている。
【特許文献1】特開2003−275144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1で提案されている便座装置1では、脱臭装置や暖房装置、衛生洗浄装置等の便座装置1に内蔵される各種装置のメンテナンス時期を警告するに留まり、便器自体の清掃を促すものではなく、便器自体を清潔に保つことが困難であった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、便器の使用状態を監視して、使用者に便器の清掃の必要性を自動報知する洋風便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の洋風便器装置は、便器の使用状態を監視して、清掃要求を自動報知する機能を備えた洋風便器装置であって、前記便器の使用情報、前記便器の汚れ情報のうち少なくともいずれか一方を、所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別する判別手段と、清掃要求信号を出力する報知手段とを備えており、前記判別手段の比較判別の結果に応じて、前記報知手段を作動させて、前記清掃要求信号を出力する構成にしていることを特徴とする。
【0008】
請求項2では、請求項1において、前記報知手段は、便器本体に配設された光源を所定の態様で点灯あるいは点滅させることにより前記清掃要求信号を出力することを特徴とする。
【0009】
請求項3では、請求項2において、前記便器は、透光性の樹脂材からなるスカート部を備えており、該スカート部の内部に、前記光源を配設していることを特徴とする。
【0010】
請求項4では、請求項1において、前記報知手段は、便器本体に配設されたスピーカから所定の態様の音響を出力させることにより前記清掃要求信号を出力することを特徴とする。
【0011】
請求項5では、請求項4において、前記便器は、スカート部を備えており、該スカート部に、前記スピーカを配設していることを特徴とする。
【0012】
請求項6では、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記便器内部の汚れの発生箇所を検出する汚れ発生箇所検出手段を更に備えており、前記判別手段は、前記汚れ発生箇所検出手段の検出結果を前記便器の汚れ情報として、前記汚れ発生箇所に対応して予め定められた前記所定の基準情報と比較判別し、該比較判別の結果に応じて、前記報知手段を作動させて、前記汚れ発生箇所を特定して前記清掃要求信号を出力することを特徴とする。
【0013】
請求項7では、請求項1乃至6のいずれか1項において、リセットボタンを更に備えており、前記判別手段は、前記報知手段が前記清掃要求信号を所定時間出力した後は、前記リセットボタンの押下がなされない限り、前記便器を使用する毎に、前記報知手段を作動して、前記清掃要求信号を繰り返し出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至7に記載の洋風便器装置によれば、便器の使用情報、便器の汚れ情報のうち少なくともいずれか一方を、所定のタイミングで所定の基準情報と比較し、報知手段より清掃要求信号を出力させる構成としているので、使用者に便器の清掃の必要性を報知し、清掃を促すことができる。
【0015】
請求項2では、清掃要求信号を光源の点灯態様により出力する構成としているので、便器の清掃の必要性を、使用者の視覚に訴えることができる。
【0016】
請求項3では、透光性の樹脂材からなるスカート部の内部に配設した光源により清掃要求信号を出力する構成としているので、スカート部全体が、点灯あるいは点滅するため視認性が向上し、使用者に便器の清掃の必要性を強く促すことができる。
【0017】
請求項4では、清掃要求信号をスピーカから所定の態様の音響を出力する構成としているので、便器の清掃の必要性を、使用者の聴覚に訴えることができる。
【0018】
請求項5では、スカート部に配設したスピーカにより清掃要求信号を出力する構成としているので、使用者に近い位置から音響を出力させることができ、使用者に便器の清掃の必要性を強く促すことができる。
【0019】
請求項6では、汚れ発生箇所検出手段を更に備えており、汚れ発生箇所を特定して清掃要求信号の出力がなされるので、重点的にその箇所の清掃を促すことができる。
【0020】
請求項7では、リセットボタンの押下がなされない限り、便器を使用する毎に清掃要求信号を繰り返し出力する構成としているので、使用者に清掃の必要性の注意を繰り返し喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3は、第1実施形態に係る洋風便器装置を示し、図1は、本実施形態の洋風便器装置を示す概略斜視図、図2は、本実施形態に係る洋風便器装置の内部構成を示すブロック図、図3は、本実施形態に係る洋風便器装置で実行される比較判別機能、報知機能の基本動作を示すフローチャートである。
【0022】
図1に示す洋風便器装置10では、便器本体の後部に排水タンクを備えていない、水道配管直結方式、いわゆるタンクレスタイプのものを図示しているが、排水タンクを備えたものにも適用可能である。
図例の洋風便器装置10は、ボウル部14と、ボウル部14の外周に形設されたスカート部13と、ボウル部14の後方に位置する便蓋・便座設置部16に回動自在に枢着された便座12及び便蓋11と、スカート部13の後方位置に各種装置やボウル部14への排水を供給する吐出口などを内包するサイドカバー15を備えている。
【0023】
さらに本実施形態では、便蓋・便座設置部16の上面に、後述するリセットボタン19と報知手段を構成する報知用LED18aを備えた表示・操作部が配設され、サイドカバー15には、報知手段を構成するスピーカ18bが配設されている。
また、スカート部13の前方(立姿使用者近接側)に、人体の在、不在を検知する人体検知センサ17aと、便蓋・便座設置部16の前方(座姿使用者後方側)に、使用者の着座を検知する着座センサ17bが配設されている。
【0024】
本実施形態では、人体検知センサ17aが人体の在を検知すると、便蓋・便座設置部16に内蔵されている便蓋・便座自動開閉機構(不図示)を作動させ、便蓋11を起立状態(図1に示す状態)とし、その後、所定の時間、着座センサ17bからの着座検知の信号がないと、便座12も起立状態とする。所定時間経過後、あるいは、人体検知センサ17aが人体の不在を検知すると、便蓋11と便座12のうち少なくともいずれか一方を倒伏させ、自動排水装置(不図示)を作動して、ボウル部14に排水を自動的に行う構成となっている。
【0025】
また、着座センサ17bが使用者の着座を検知すると、サイドカバー15に内蔵されている脱臭装置(不図示)を作動させ、離座を検知すると、脱臭装置を停止させる構成としている。
尚、詳述は省略するが、洋風便器装置10は、ボウル部14に排泄された排泄物を流すための給水システム及び排水システムなどの便器装置として必要な他の構成を備えていることは当然である。
【0026】
次に、本実施形態に係る洋風便器装置10の内部構成を図2に基づいて説明する。
各種センサ17a乃至17fは、前述の人体検知センサ17a及び着座センサ17b以外も例示しており、便蓋開閉センサ17c及び便座開閉センサ17dは、それぞれ便蓋11及び便座12の開閉を検知することにより、便器の使用の有無を検知する。これらは、前述のような自動開閉機構を備えていない便器装置においては、それらの回転軸部分に、例えば、回転角を検知するセンサを設けることにより便器の使用の有無を検知し、また、前述のような自動開閉機構を備えた便器装置10では、自動開閉機構への通電を検知することにより、便器の使用の有無を検知することができる。
【0027】
排水レバーセンサ17eは、前述のような自動排水装置を備えていない場合に、特に有効で、排水レバー(不図示)の操作の有無を検知することにより、便器の使用の有無を検知する。
排水音検知センサ17fは、例えば、音波センサなどからなり、排水音に固有の周波数を検知することにより、便器の使用の有無を検知する。
【0028】
前記のように便器の使用の有無を検知し、後述するCPU20に計数カウンタを設けて、前記各種センサ17a乃至17fからの便器の使用検知の信号を受け取り、使用回数を計数することにより、便器の使用情報として使用回数が記憶手段(不図示)に記憶される構成となる。
尚、便器の使用の有無を検知する手段としては、前述の人体検知センサ17a、着座センサ17b及び図2に例示したものに限られず、便器の使用の有無を検知して、CPU20の計数カウンタにより計数が可能なものであれば、どのようなものであってもよい。
また、前述の各種センサ17a乃至17fの全てを備える必要はなく、それらのうち、少なくともいずれか一つを備える構成とすればよい。
さらに、便器の使用情報として、使用回数ではなく、後述するCPU20にクロックタイマを設けて、経過時間を便器の使用情報としてもよい。
【0029】
CPU20は、洋風便器装置10の各種装置を制御するとともに、判別手段を構成し、便器の使用情報を所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別する構成としている。
ここで、所定のタイミングとは、前記のように便器の使用情報を使用回数とした場合は、予め設定した使用回数以上となったとき、あるいは、便器の使用情報を経過時間とした場合は、予め設定した経過時間となったときとしてもよく、また、両者を組み合わせる構成としてもよい。
さらに、所定の基準情報とは、前記所定のタイミングと同様に、便器の使用情報を使用回数とした場合は、予め設定した使用回数、あるいは、便器の使用情報を経過時間とした場合は、予め設定した経過時間としてもよく、両者を組み合わせる構成としてもよい。
前記のように設定された所定の基準情報を超えると、報知手段18a、18bを作動させて、清掃要求信号を出力する構成としている。
【0030】
尚、便器の使用情報が、使用回数である場合において、複数のセンサにより便器の使用の有無を検知し、便器の使用回数を計数する場合、例えば、便蓋開閉センサ17cと便座開閉センサ17dにより検知する場合は、それぞれの検知の回数を、それぞれ計数し、所定の基準情報を、それぞれ設定してもよい。
例えば、所定の基準情報を便蓋11の開閉回数が200回、便座12の開閉回数が100回などとして、いずれかを超えたときに、報知手段18a、18bを作動させて、清掃要求信号を出力する構成としてもよい。
これにより、便器装置の設置場所、例えば、男性用、女性用、個人宅、公共スペースなどに応じて、柔軟に所定の基準情報を設定し、清掃を促すことができる。
【0031】
報知手段を構成する報知用LED(光源)18a及びスピーカ18bは、CPU20の比較判別の結果に応じて、清掃要求信号を出力する。
ここで、清掃要求信号の出力は、スピーカ18bからアラーム、音声メッセージなど、所定の態様の音響を出力する構成としてもよい。これにより、便器の清掃の必要性を、使用者の聴覚に訴えることができる。
また、報知用LED18aを所定の態様で点灯あるいは点滅させることにより清掃要求信号を出力する構成としてもよい。これにより、便器の清掃の必要性を、使用者の視覚に訴えることができる。
さらに、それらの音、光を組み合わせて出力する構成としてもよい。
ここで、本実施形態では、光源として、LED18aを適用しているが、これに限られず、ハロゲンランプ、蛍光灯など、点灯、点滅により清掃要求信号を出力し、報知するものであれば、どのようなものでも適用できる。
尚、本実施形態では、報知手段として、前記のように、報知用LED18aとスピーカ18bの2つの態様のものを設けているが、いずれか一つを設ける構成としてもよい。
【0032】
リセットボタン19は、報知手段18a、18bが清掃要求信号を所定時間出力した後は、その押下がなされない限り、CPU20の制御により、便器を使用する毎に、報知手段18a、18bが作動され、清掃要求信号を繰り返し出力させる機能として設けられている。これにより、使用者に清掃の必要性の注意を繰り返し喚起することができる。
尚、この場合は、清掃要求信号を種々異ならせて出力させる構成としてもよい。例えば、前記した音と、光による清掃要求信号の出力を使用毎に交互に出力するなどとしてもよい。これにより、使用者に清掃の必要性を強く認識させることができる。
【0033】
次に図3に基づいて、前記のように構成された、洋風便器装置10で実行される比較判別機能、報知機能の基本動作を説明する。
【0034】
まず、便器の使用を検知すると、便器の使用回数に1を加算し、便器の使用回数が予め設定された所定の基準情報以上かどうかを判断する一方、便器の使用を検知せず、リセットボタン19の押下もなされない場合は、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ100、102、103、107)。
【0035】
便器の使用を検知せず、リセットボタン19の押下がなされると、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ100、106、107)。
ここでは、リセットボタン19の押下がなされることにより、便器の使用回数、すなわち、便器の使用情報のリセットがなされ、使用者が清掃をすること、あるいは、清掃をしたことを前提としている。すなわち、使用者が清掃をした際に、リセットボタン19の押下を行うことにより、便器の使用回数がリセットされて、再度、便器の使用回数の計数がなされる構成としている。
これにより、使用者が自発的に清掃を行った際にも柔軟に対応できるものとなる。
【0036】
便器の使用回数が所定の基準情報以上と判断すると、報知手段18a、18bを作動して、前記のように清掃要求信号を出力する一方、便器の使用回数が所定の基準情報以上でない場合は、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ100、103、104)。
【0037】
次に、清掃要求信号が出力されている間に、リセットボタン19の押下がなされると、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ100、104〜106)。
すなわち、リセットボタン19は、使用者が清掃要求信号の出力を確認した際に操作し、その後は、便器が清掃されることを前提としている。
尚、清掃要求信号停止ボタン(不図示)を更に設け、清掃要求信号の出力を確認したときに、それを操作することで、清掃要求信号の出力を停止し、その後にリセットボタン19を操作する構成としてもよく、この場合は、便器の清掃後にリセットボタン19を操作すればよい。
【0038】
清掃要求信号が出力されている間に、リセットボタン19の押下がなされず、かつ、清掃要求信号の所定の出力時間を経過していない場合は、清掃要求信号の出力を継続する(ステップ104、105、108)。
一方、清掃要求信号が出力されている間に、リセットボタン19の押下がなされず、かつ、清掃要求信号の所定の出力時間を経過した場合は、便器の使用を検知するまで待機し、便器の使用を検知すると、清掃要求信号出力済みかどうかを判断し、清掃要求信号出力済みと判断すると、再度、前記ステップ104、105、108の動作を繰り返す(ステップ100、101、104、105、108)。
すなわち、CPU20の制御により、報知手段18a、18bが清掃要求信号を所定時間出力した後は、リセットボタン19の押下がなされない限り、便器を使用する毎に、報知手段18a、18bを作動して、清掃要求信号を繰り返し出力させる構成としている。
また、清掃要求信号の所定の出力時間を経過し、便器の使用を検知せず、リセットボタン19の押下がなされると、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ100、106、107)。
【0039】
前記のように、便器の使用状態として、便器の使用情報、すなわち、本実施形態では、便器の使用回数を計数して監視し、所定の基準情報として予め設定された使用回数と比較判別して、清掃要求信号を出力させる構成としているので、使用者に便器の清掃の必要性を報知し、清掃を促すことができる。
尚、本実施形態では、便器の使用情報として、便器の使用回数を例示したが、前述のように、経過時間を便器の使用情報としてもよい。この場合、清掃要求信号の出力は、所定の基準情報として、予め設定された経過時間を経過した後、次の便器の使用を検知した際に出力する構成としてもよい。
これにより、使用者や清掃する者が、便器近傍にいない場合は報知されず、省電力化を図ることができるとともに、清掃の必要性を認識させることができる。
【0040】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図4乃至図6は、第2実施形態に係る洋風便器装置を示し、図4は、本実施形態の洋風便器装置を示す概略斜視図、図5は、本実施形態に係る洋風便器装置の内部構成を示すブロック図、図6は、本実施形態に係る洋風便器装置で実行される比較判別機能、報知機能の基本動作を示すフローチャートである。
【0041】
第1実施形態との相違点は、便器の使用情報ではなく、便器の汚れ情報を所定の基準情報と比較判別する構成としている点であり、他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0042】
詳しくは、図4に示すように、本実施形態に係る洋風便器装置10Aは、便蓋11の裏面に、ボウル部14を撮影する撮像カメラ(CCD)22と、撮像カメラ22の駆動に対応してボウル部14を照射するLED23が配設されている。
尚、ボウル部14を撮影する撮像カメラ22として本実施形態では、CCD型のカメラを適用しているが、これに限られず、公知のものが適用でき、例えば、MOS型、CMOS型など、どのようなものでも適用可能である。
また、本実施形態では、撮像カメラ22を、便蓋11の裏面に配設しているが、便座12の裏面、あるいは便蓋11の裏面と便座12の裏面の両方に、撮像カメラを配設する構成としてもよい。
さらに、LED23としては、撮像カメラ22の駆動に対応してボウル部14を照射するものであれば、どのようなものでもよく、LEDに限らず、ハロゲンランプ、蛍光灯など公知のものが適用可能である。
【0043】
次に、本実施形態に係る洋風便器装置10Aの内部構成を図5に基づいて説明する。
撮像カメラ22は、所定のタイミングでボウル部14を撮影する。撮影された画像は、撮像カメラ22に内蔵されているバッファメモリ(不図示)に蓄積され、A/D変換器(不図示)によりアナログ信号からデジタル信号に変換されて、記憶手段21に現画像データ21aとして記憶される。
【0044】
ここで、撮像カメラ22がボウル部14を撮影する所定のタイミングは、便器を使用する毎に、例えば、人体検知センサ17aにより人体の在を検知した後の不在を検知した使用後のタイミングや、使用後に手動・自動による便蓋11や便座12が閉じられた後のタイミング、手動・自動による排水動作の後のタイミングなど、使用を検知する毎に撮影してもよい。
これらのタイミングの検知には、第1実施形態にて説明した各種センサ17b乃至17fなどによる便器の使用の検知により行う構成としてもよい。
【0045】
また、CPU20にクロックタイマを設け、一定の時間経過毎に、例えば、24時間毎に撮影するなどとしてもよく、あるいは、CPU20に計数カウンタを設け、前記各種センサ17a乃至17fの検知により便器の使用回数を計数して、所定値に達する毎に、例えば、50回使用される毎に撮影するなどとしてもよい。
これにより、使用の度に撮影する場合と比べて、省電力化を図ることができる。
【0046】
尚、撮像カメラ22によるボウル部14の撮影は、便蓋11が開いた状態でなされるようにしてもよいが、前記のように便蓋11の閉じられるタイミングを検知して、便蓋11が閉じた状態でなされるようにすることが好ましい。
これにより、外光の変化などによる影響を受けずにボウル部14の撮影をすることができ、外光の変化などによる明暗補正などを行う必要がないものとできる。
また、ボウル部14の全体が撮影できるように撮像カメラ22の視野角を設定することが好ましい。この場合、便蓋11が開いた状態、閉じた状態のいずれかでボウル部14の撮影をする場合は、それぞれに応じた視野角として設定する、あるいは、撮像カメラ22に駆動手段を設けて、便蓋11の状態(開いた状態、閉じた状態)に合わせて、自動的に位置調整を行う構成としてもよい。
尚、便蓋11が閉じた状態で撮影がなされる場合は、撮像カメラ22の駆動に対応させて、LED23によりボウル部14を照射することが好ましい。
さらに、撮像カメラ22に駆動手段を設けて、ボウル部14全体を一度に撮影するのではなく、例えば、2度に分けて撮影し、ボウル部14の画像を2分割としてもよい。
【0047】
CPU20は、洋風便器装置10Aの各種装置を制御するとともに、第1実施形態と同様に判別手段を構成し、便器の汚れ情報を所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別する構成としている。
すなわち、本実施形態では、撮像カメラ22で撮影されたボウル部14の現画像データ21aと、予め準備された基準画像データ21bとを比較し、その比較結果を便器の汚れ情報として記憶して、予め設定された所定の基準情報と比較判別し、便器の汚れ情報が所定の基準情報を超えたと判断したときに、報知手段18a、18bを作動して清掃要求信号を出力させる構成としている。
ここで、便器の汚れ情報を所定の基準情報と比較判別する所定のタイミングは、前記した撮像カメラ22の撮影のタイミングに合わせて、その都度、行うようにしてもよく、また、撮影は便器の使用毎に行い、CPU20にクロックタイマを設け、一定の時間経過毎に、例えば、24時間毎に比較判別するなどとしてもよく、あるいは、CPU20に計数カウンタを設け、前述のような各種センサ17a乃至17fの検知により便器の使用回数を計数して、所定値に達する毎に、例えば、50回使用される毎に比較判別するなどとしてもよい。
【0048】
記憶手段21には、予め準備された基準画像データ21bが記憶されており、撮像カメラ22で撮影された画像は、現画像データ21aとして記憶され、前記したCPU20により比較され、便器の汚れ情報として記憶される。
ここで、基準画像データ21bは、撮像カメラ22で撮影されたものに限られず、例えば、製造時に他の撮像手段でボウル部14を撮影し、記憶手段21に予め記憶させる構成としてもよい。
【0049】
また、現画像データ21aと基準画像データ21bとの比較は、公知の画像認識技術を適用でき、例えば、濃淡処理によりデジタル信号に変換され、画素毎に白から黒までの濃淡が256階調の輝度値で現されている場合、基準画像データ21bの輝度値と、現画像データ21aの輝度値を比較することにより行う構成としてもよい。
【0050】
その場合、詳述は省略するが、各画像データにおける輝度値の平均値、標準偏差、最大値や最小値を計算し、濃淡の比較を行う。
例えば、256階調の輝度値を黒が0として、数字が増えるにつれて、灰色から最終的に白となり、白を255とすると、画素毎に処理された各画像データの輝度値の平均値をそれぞれ計算し、基準画像データ21bの輝度値の平均値と、現画像データ21aの輝度値の平均値を比較する。
この際、ボウル部14の画像データを分割し、特に汚れやすい部分を特徴箇所として抽出し、その部分のみの比較を行う構成としても良い。
【0051】
前記のように輝度値の平均値を比較し、基準画像データ21bの平均値よりも現画像データ21aの平均値が低い、すなわち、濃いと判断された場合は、汚れの発生があると判断し、その汚れ情報と予め設定された所定の基準情報とを比較判別する。
ここで、所定の基準情報は、基準画像データ21bの輝度値の平均値と同じとして設定してもよいが、ある程度の幅を持たせて、基準画像データ21bの輝度値の平均値に、一定の値を加えたものを所定の基準情報としてもよい。
これにより、便器の設置場所等に合わせて、汚れの検知、報知の幅を持たせることができる。
尚、前記したように基準画像データ21bと現画像データ21aとの比較は、これに限られず、公知の画像認識技術が適用でき、また、撮像手段の種類、解像度などに応じて適用するのが好ましい。
【0052】
また、更に、操作部などに、基準画像データ21bを更新する汚れリセット操作スイッチを設けて、CPU20の制御により、リセット操作される毎に、ボウル部14の画像を撮影して、その画像を基準画像データ21bとして更新する構成としてもよい。
この場合、前記した所定の基準情報、すなわち、前記のように各画像データの輝度値の平均値を比較することにより、便器の汚れ情報として記憶する場合は、更新された基準画像データ21bから輝度値の平均値を再計算し、一定の値を加えたものを所定の基準情報として、同様に更新される構成とすることが好ましい。
これにより、ボウル部14に、例えば経年変化等による除去できない汚れが発生した場合でも、ボウル部14の清掃後などにリセット操作をすると、基準画像データ21bが更新されるので、柔軟に対応できるものとなる。
【0053】
次に図6に基づいて、前記のように構成された、洋風便器装置10Aで実行される比較判別機能、報知機能の基本動作を説明する。
【0054】
まず、便器の使用を検知すると、便器の使用回数に1を加算し、便器の使用回数が予め設定された所定基準以上かどうかを判断する一方、便器の使用を検知せず、リセットボタン19の押下もなされない場合は、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ200、202、203、210)。
便器の使用を検知せず、リセットボタン19の押下がなされると、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ200、209、210)。
便器の使用回数が所定基準以上と判断すると、撮像カメラ22を駆動して、ボウル部14を撮影し、その画像を現画像データ21aとして記憶し、現画像データ21aと基準画像データ21bを前記したように比較して、便器の汚れ情報として記憶する(ステップ203〜205)。
【0055】
次に、便器の汚れ情報が所定の基準情報を超えたと比較判別すると、報知手段18a、18bを作動して、前記のように清掃要求信号を出力する一方、便器の汚れ情報が所定の基準情報を超えていない場合は、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで、待機する(ステップ200、206、207、209)。
すなわち、本実施形態では、便器の使用回数を計数して所定値に達する毎に、ボウル部14の撮影、便器の汚れ情報と所定の基準情報との比較判別をする構成としている。
【0056】
次に、清掃要求信号が出力されている間に、リセットボタン19の押下がなされると、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ200、207〜209)。
清掃要求信号が出力されている間に、リセットボタン19の押下がなされず、かつ、清掃要求信号の所定の出力時間を経過していない場合は、清掃要求信号の出力を継続する(ステップ207、208、211)。
【0057】
一方、清掃要求信号が出力されている間に、リセットボタン19の押下がなされず、かつ、清掃要求信号の所定の出力時間を経過した場合は、便器の使用を検知するまで待機し、便器の使用を検知すると、清掃要求信号出力済みかどうかを判断し、清掃要求信号出力済みと判断すると、再度、前記ステップ207、208、211の動作を繰り返す(ステップ200、201、207、208、211)。
すなわち、第1実施形態と同様に、CPU20の制御により、報知手段18a、18bが清掃要求信号を所定時間出力した後は、リセットボタン19の押下がなされない限り、便器を使用する毎に、報知手段18a、18bを作動して、清掃要求信号を繰り返し出力させる構成としている。
また、清掃要求信号の所定の出力時間を経過し、便器の使用を検知せず、リセットボタン19の押下がなされると、便器の使用回数をリセットし、便器の使用を検知するまで待機する(ステップ200、209、210)。
【0058】
尚、本実施形態では、ボウル部14の撮影を、便器の使用回数が所定値に達する毎に行い、基準画像データ21bと比較する構成としているが、前記したように、便器の使用がなされる毎に行う構成としてもよく、また、一定の時間経過毎に行う構成としてもよい。
さらに、便蓋11が閉じたことを検知して、前記したように、便蓋11が閉じた状態で、撮像カメラ22を駆動してボウル部14を撮影する構成としてもよい。
【0059】
さらにまた、清掃要求信号の出力は、便器の汚れ情報が所定の基準情報以上と判断した後、直ぐに出力する構成としてもよいが、次回、便器の使用を検知した際に、報知する構成としてもよい。これにより、特に、前記したような一定の時間経過毎に、撮影、比較判別を行う場合でも、使用者や清掃する者が、便器近傍にいない場合は報知されず、省電力化を図ることができるとともに、確実に汚れの発生を認識させることができる。
【0060】
前記のように、便器の使用状態として、便器の汚れ情報、すなわち、撮像カメラ22で撮影されたボウル部14の現画像データ21aと、予め準備された基準画像データ21bとを比較し、その比較結果を便器の汚れ情報として記憶して、予め設定された所定の基準情報と比較判別して監視し、便器の汚れ情報が所定の基準情報を超えたと判断したときに、報知手段18a、18bを作動して清掃要求信号を出力させる構成としているので、使用者に便器の清掃の必要性を報知し、清掃を促すことができる。
また、便器の使用回数や経過時間などにより便器の使用状態を定量的に判断し、清掃要と判別するのではなく、各画像データの比較により汚れの発生を客観的に判別できるので、より効果的に、使用者に清掃の必要性を認識させることができる。
【0061】
尚、第1実施形態にて例示した便器の使用情報により便器の使用状態を監視する構成と、本実施形態で例示した便器の汚れ情報により便器の使用状態を監視する構成とを組み合わせて、それぞれに設定された所定の基準情報と比較判別し、清掃要求信号を出力させる構成としてもよい。
【0062】
また、便器の汚れ情報は、本実施形態のように撮像カメラ22で撮影された画像データに基づいた画像認識によるものではなく、例えば、便蓋11の裏面に、撮像カメラ22に換えて光電色彩計、分光測色計、分光光度計などの色彩計や色差計を配設して、該色彩計などにより、ボウル部14の色彩を前記したような所定のタイミングで測定し、その測定結果を前記したような所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別し、前記したように比較判別の結果に応じて、報知手段18a、18bを作動させる構成としてもよい。
この場合、色彩計は、光源、受光素子などを有した色彩色差計などの公知のものが適用可能であり、例えば、CIE(国際照明委員会)で定められたCIE1976L*a*b*表色系などを用いて示された明度、色相、彩度の測色値から色差式に基づいて、色差値を算出し、基準情報として予め記憶手段21に基準色差値を記憶あるいは、前記したようにリセット操作される毎に基準色差値を更新し、基準色差値として記憶して、該基準色差値と、測定された色彩から算出された前記色差値とを比較判別して、その色差△Eが例えば△E≧5.0であれば、汚れの発生があると判断し、報知手段18a、18bを作動させるなどとしてもよい。
【0063】
尚、前記色彩計などによるボウル部14の色彩の測定に際しては、ボウル部14の全体の色彩が測定できるように、その測定径に合わせて駆動手段などにより駆動し、ボウル部14の色彩を分割して測定することが好ましい。
この場合は、前記した基準色差値も分割して測定したエリア毎に設定するようにすればよい。
また、前記したように分割して測定しエリア毎に基準色差値を設定する場合には、例えば、特に汚れの発生し易い箇所の基準色差値からの色差△Eを低く設定、すなわち、汚れの発生を早期に報知する構成とし、汚れの発生のし難い箇所の基準色差値からの色差△Eを高く設定するなどとしてもよい。
これによれば、汚れの発生箇所の汚れの発生度合いに応じて、柔軟に対応でき、例えば、目に付きやすいボウル部14の後方や特に立姿使用者による尿の飛散が多い箇所など、汚れが目に付きやすい箇所の汚れの発生を早期に報知することができる。
【0064】
次に、図7(a)、(b)に基づいて、報知手段の変形例を説明する。
図7(a)は、本発明に係る洋風便器装置が備える報知手段の変形例を示し、スカート部13Aの内部を示す概略斜視図であり、前記した第1実施形態、第2実施形態で例示した各洋風便器装置に適用されるものである。
詳しくは、本変形例では、スカート部13Aは、透光性の樹脂材からなり、そのスカート部13Aの内部に報知手段を構成する報知用LED(光源)38aを配設している。
この報知用LED30aからの清掃要求信号の出力、すなわち、点灯あるいは点滅は、前記した第1実施形態、第2実施形態と同様に判別手段20の制御により行われる。
【0065】
このような構成によれば、スカート部13Aの透光性により、スカート部13A全体が、点灯あるいは点滅するため視認性が向上し、使用者に便器の清掃の必要性を強く促すことができる。
この場合、例えば、便器のインテリア照明として、報知用LED38aを兼用してもよく、あるいは、発光色を換えるなどすれば、特に、公共のスペースや来客が多い個人宅などに便器が設置される場合にも、清掃担当者や家主以外の第三者などに、汚れの発生を認識させることなく使用させることができるとともに、清掃担当者や家主などには、より清掃の必要性の注意を喚起することができる。
尚、報知用LED38aは、図示したようなボウル部14の略中央位置真下に一つ配設するのではなく、複数設けてもよく、また、例えば、スカート部13Aの正面、左右などの裏面(内面)に、配設する構成としてもよい。
【0066】
図7(b)は、本発明に係る洋風便器装置が備える報知手段の他の変形例を示し、スカート部13Bの正面図であり、前記した第1実施形態、第2実施形態で例示した各洋風便器装置に適用されるものである。
詳しくは、本変形例では、スカート部13Bに、報知手段を構成する2つのスピーカ38bを配設しており、それぞれ下向きに形設され、左右に向けて音響が出力される構成としている。これにより、トイレ室内の床面、ドア、側壁等に反射してトイレの空間全体に音響が広がり、使用者の耳によく届く構成となる。
このスピーカ38bからの清掃要求信号の出力、すなわち、アラームや音声メッセージなどの出力は、前記した第1実施形態、第2実施形態と同様に判別手段20の制御により行われる。
【0067】
このような構成によれば、使用者に近い位置から音響を出力させることができ、使用者に便器の清掃の必要性を強く促すことができる。
尚、本変形例では、前記のように、スピーカ38bを2つ設け、スカート部13Bの比較的前側(立姿使用者手前側)、かつ、低い位置に下向きに形設しているが、これに限られず、一つあるいは、3つ以上設ける構成としてもよく、また、例えば、スカート部13Bの後方位置に設ける構成としてもよい。
【0068】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図8及び図9は、第3実施形態に係る洋風便器装置を示し、図8は、本実施形態の洋風便器装置の内部構成を示すブロック図、図9は、同実施形態における報知手段の一例を示す概略正面図である。
【0069】
第2実施形態との相違点は、自動排水装置を備えておらず、便器内部の汚れの発生箇所を検出する汚れ発生箇所検出手段を更に備えている点、報知手段及びリセットボタンの構成であり、同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
本実施形態に係る洋風便器装置10Bは、汚れ発生箇所検出手段を構成する撮像カメラ22Aと、トイレ室内壁に配設され、便器本体と各種信号を送受信する便器用リモートコントローラ40とを備えている。
【0070】
便器用リモートコントローラ40は、図9に示すように、便器本体との各種信号の送受信を無線により可能にする赤外線センサ41と、ボウル部14に排泄された排泄物を流す排水動作を行わせるための流すボタン大42及び流すボタン小43と、便器本体の各種装置の作動を停止する停止ボタン44と、おしり洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルなどの局部洗浄装置(不図示)を作動させるおしり洗浄作動ボタン45及びビデ洗浄作動ボタン46と、乾燥装置(不図示)を作動させる乾燥作動ボタン47と、前記第2実施形態の報知手段18a、18bに換えて、報知手段を構成し、LCDやCRTなどからなる報知用パネル48a及びスピーカ48bと、前記第2実施形態のリセットボタン19に換えて、同様の機能を有するリセットボタン49とを備えている。
尚、便器本体側にも便器用リモートコントローラ40との各種信号の送受信を無線により可能にする赤外線センサ(不図示)が設けられている。
【0071】
撮像カメラ22Aは、第2実施形態と同様、CCDカメラで構成されており、本実施形態では、第2実施形態とは異なり、撮影したボウル部14の画像データ、すなわち検出結果を予め定められたエリア毎に分割して現画像データ21aとして記憶手段21に記憶させる構成とし、汚れの発生箇所を検出する汚れ発生箇所検出手段として機能する。
また、基準画像データ21bも前記同様のエリア毎に記憶されており、それぞれのエリア毎に現画像データ21aと基準画像データ21bとを比較し、便器の汚れ情報として記憶される。
予め定められたエリアは、例えば、図9に示すように、ボウル部14を12に区切り、12のエリアとして記憶されている。
尚、エリア毎に分割して記憶する構成とせず、前記したように撮像カメラ22Aに駆動手段を設けて、エリア毎に撮影して、それぞれを記憶させる態様としてもよい。
【0072】
判別手段を構成するCPU20は、前記第2実施形態同様、便器の汚れ情報を所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別する構成としているが、ここで、所定の基準情報は、汚れ発生箇所、すなわち、前記エリア毎に対応して予め定められており、エリア毎に汚れの発生の有無を判断し、比較判別し、その比較判別の結果に応じて、後述する報知手段48a、48bを作動させる構成とされている。
また、本実施形態では、所定の基準情報として、4段階の値を記憶しており、前記エリア毎にいずれの基準情報を越えたかを判断し、汚れ度として後述する報知用パネル48aに出力させる構成としている。
4段階の値の設定は、例えば、前記第2実施形態にて説明した輝度値の平均値の比較により汚れの発生を判断するものでは、エリア毎の輝度値の平均値にそれぞれ4段階の異なる値を加える、あるいは、色差値の比較により汚れの発生を判断するものでは、4段階の異なる色差△Eを設定することにより行う態様としてもよい。
尚、説明は省略するが、便器本体全体の基本的構成、所定のタイミング及び所定の基準情報の基本的態様、比較判別機能、報知機能の基本動作は、前記第2実施形態と同様である。
また、便器の汚れ情報は、本実施形態のように撮像カメラ22Aで撮影された画像データに基づいた画像認識によるものではなく、前記第2実施形態で説明した色彩計などを適用して、色差値に基づくものとしてもよい。
さらに、汚れ度合いを出力するための所定の基準情報として、本実施形態では4段階の値を基準情報として記憶させる態様としているが、4段階に限られず、3段階以下、4段階以上の値を基準情報として設定し、記憶させる態様としてもよい。
【0073】
報知手段を構成する報知用パネル48aは、CPU20の比較判別の結果に応じて、清掃要求信号を出力するが、本実施形態では、汚れ発生箇所を特定して出力する構成としている。
すなわち、報知用パネル48aは、ボウル部14を模式的に示し、そのボウル部14を12のエリアに分割した画像データとして表示し、汚れの発生があると判断したエリアの色を変えて表示することにより、その箇所に対応する部分に汚れが発生していることを使用者に報知する。これにより、使用者に汚れの発生箇所を特定して、重点的にその箇所の清掃を促すことができる。
さらに、本実施形態では、濃淡あるいは色を変えて、前記したように4段階の基準情報で汚れ度が比較判別され、併せて報知用パネル48aにより清掃要求信号として出力する構成としている。例えば、図9では、立姿使用者手前の右側部分の汚れ度が一番多いことを図示している。
これにより、汚れ発生箇所の汚れ度合いも使用者に客観的に認識させることができ、使用者に汚れ度合いに応じた清掃の必要性を認識させることができる。
【0074】
尚、本実施形態では、報知用パネル48aを便器用リモートコントローラ40に設けたものを例示しているが、便器本体の操作部等に設ける構成としてもよい。
また、汚れ発生箇所を特定して清掃要求を出力する態様は、前記した構成に限られず、報知用パネル48aをLCDやCRTなどで構成せず、LEDなどの光源をエリア毎に対応して報知用パネル48aに配設して、汚れ発生箇所と判断された箇所に対応するLEDを点灯、点滅させる態様としてもよい。
さらに、スピーカ48bあるいは前記した便器本体に配設されたスピーカ18b、38bにより、例えば、「ボウル面の手前側が汚れています。」などの音響を出力させることにより行う態様、ボウル部14に各エリアに対応した透孔部を設け、該透孔部にLEDなどの光源を配設して、汚れ発生箇所と判断された箇所に対応するLEDを点灯、点滅させる態様、前記図7(a)に基づいて説明した態様と同様に、スカート部13Aの内部に複数の色の異なるLEDなどの光源を配設して、汚れ発生箇所を色の種類に応じて予め対応させて設定して、色毎の出力により汚れ発生箇所を特定する態様としてもよい。
【0075】
さらにまた、音響の出力により行う場合には、汚れ発生箇所に適した、清掃器具や清掃方法なども併せて出力する構成としてもよい。
また、音響の出力により清掃部位に適した清掃器具や清掃方法などを案内するガイドモードを備える構成としてもよい。例えば、その押下げにより清掃がなされることを前提とするリセットボタン49を清掃ガイドヘルプボタンとして兼用し、その押下げにより各種操作ボタン42乃至47が、どの部位のガイドボタンを構成するかを案内して、押下げられたボタンに応じて、清掃部位に適した推奨洗剤や推奨清掃器具(金属ブラシの可否、スポンジ、布など)などを音声で案内する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の一例を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態における内部構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態で実行される比較判別機能、報知機能の基本動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の他例を示す概略斜視図である。
【図5】同実施形態における内部構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態で実行される比較判別機能、報知機能の基本動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る洋風便器装置が備える報知手段の変形例を示し、(a)は、スカート部内部を示す概略斜視図、(b)はスカート部の正面図である。
【図8】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の更に他例の内部構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態における報知手段の一例を示す概略正面図である・
【図10】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
10、10A、10B 洋風便器装置
13、13A、13B スカート部
18a、38a 報知用LED(報知手段、光源)
18b、38b、48b スピーカ(報知手段)
19、49 リセットボタン
20 CPU(判別手段)
22A 撮像カメラ(汚れ発生検出手段)
48a 報知用パネル(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の使用状態を監視して、清掃要求を自動報知する機能を備えた洋風便器装置であって、
前記便器の使用情報、前記便器の汚れ情報のうち少なくともいずれか一方を、所定のタイミングで所定の基準情報と比較判別する判別手段と、清掃要求信号を出力する報知手段とを備えており、前記判別手段の比較判別の結果に応じて、前記報知手段を作動させて、前記清掃要求信号を出力する構成にしていることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記報知手段は、便器本体に配設された光源を所定の態様で点灯あるいは点滅させることにより前記清掃要求信号を出力することを特徴とする洋風便器装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記便器は、透光性の樹脂材からなるスカート部を備えており、該スカート部の内部に、前記光源を配設していることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記報知手段は、便器本体に配設されたスピーカから所定の態様の音響を出力させることにより前記清掃要求信号を出力することを特徴とする洋風便器装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記便器は、スカート部を備えており、該スカート部に、前記スピーカを配設していることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記便器内部の汚れの発生箇所を検出する汚れ発生箇所検出手段を更に備えており、
前記判別手段は、前記汚れ発生箇所検出手段の検出結果を前記便器の汚れ情報として、前記汚れ発生箇所に対応して予め定められた前記所定の基準情報と比較判別し、該比較判別の結果に応じて、前記報知手段を作動させて、前記汚れ発生箇所を特定して前記清掃要求信号を出力することを特徴とする洋風便器装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
リセットボタンを更に備えており、
前記判別手段は、前記報知手段が前記清掃要求信号を所定時間出力した後は、前記リセットボタンの押下がなされない限り、前記便器を使用する毎に、前記報知手段を作動して、前記清掃要求信号を繰り返し出力させることを特徴とする洋風便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−25327(P2008−25327A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289453(P2006−289453)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】