説明

洗剤添加用粒子、洗剤組成物及び洗剤添加用粒子の製造方法

【課題】溶解性に優れ、保管中の洗剤組成物の固化を防止できる、洗剤添加用粒子及びその製造方法。
【解決手段】硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水とを造粒して得られる造粒粒子の表面を水不溶性無機粉体で被覆し、前記硫酸ナトリウムの含有量を60質量%以上とする。硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水とを造粒し造粒粒子を得る工程と、前記造粒粒子の表面を水不溶性無機粉体で被覆する工程とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤添加用粒子、洗剤組成物及び洗剤添加用粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣料用粒状洗剤等の洗剤組成物は、環境面への配慮から界面活性剤の含有量を低減する試みがなされている。そして、洗剤組成物中の界面活性剤の含有量低減に伴う、洗浄力の低下を防止し、さらなる洗浄力向上を図るため、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩を添加することが知られている。
【0003】
従来、洗剤組成物への無機塩の添加方法としては、例えば、無機塩と界面活性剤を含むスラリー液を噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子として得る方法が挙げられる。また例えば、界面活性剤を含有する噴霧乾燥粒子又は造粒洗剤粒子と、無機塩とを混合する方法が挙げられる。また例えば、界面活性剤を含有する噴霧乾燥粒子又は造粒洗剤粒子と、無機塩とを造粒する方法が挙げられる。
【0004】
こうして得られた洗剤組成物を洗濯等に用いると、洗濯液(水)中で無機塩が凝集物を形成し、洗濯液に溶解しにくくなる(不溶化)という問題があった。この不溶化は、無機塩の配合量が増えるほど、又は、洗濯液の水温が低いほど顕著となる。このような問題に対して、特定の溶解性を有する無機塩を組み合わせることで、不溶化の防止を図った含水無機粒子が提案されている(例えば、特許文献1)。
加えて、無機塩を配合した洗剤組成物は、保管中に固化しやすいという問題がある。この問題に対して、炭酸塩と硫酸塩とを特定の比率で配合したビルダー粒子の添加により、溶解性に優れ、かつ、保管中の固化防止が図れる洗剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−193091号公報
【特許文献2】特開2004−238529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、無機塩を配合した洗剤組成物には、さらなる溶解性の向上と、固化防止性の改善が求められている。加えて、無機塩の配合量をさらに増量したいという要望がある一方、無機塩の配合量を単に増量すると、得られる洗剤組成物は溶解性の低下や保管中の固化がしやすくなる傾向にある。
そこで、本発明は、無機塩の配合量が多くても、溶解性に優れ、保管中の固化を防止できる、洗剤添加用粒子、洗剤組成物及び洗剤添加用粒子の製造方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の洗剤添加用粒子は、硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水との造粒粒子の表面が水不溶性無機粉体で被覆され、前記硫酸ナトリウムの含有量が60質量%以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の洗剤添加用粒子の製造方法は、硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水とを造粒し造粒粒子を得る工程と、前記造粒粒子の表面を水不溶性無機粉体で被覆する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の洗剤組成物は、前記洗剤添加用粒子を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無機塩の配合量が多くても、溶解性の向上が図れ、保管中の固化を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(洗剤添加用粒子)
本発明の洗剤添加用粒子は、硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水との造粒粒子の表面が水不溶性無機粉体で被覆されたものである。
ここで「被覆」とは、造粒粒子の表面全体が水不溶性無機粉体で覆われた状態(被覆率100%)のみならず、造粒粒子の表面積の50%以上が覆われた状態を含むものである。前記被覆率は、該洗剤添加用粒子を電子顕微鏡等で観察した際、前記造粒粒子の表面積に対する前記水不溶性無機粉体が付着している面積の割合である。
【0012】
洗剤添加用粒子の平均粒子径は特に限定されないが、100〜1000μmが好ましく、300〜500μmがより好ましい。平均粒子径が100μm未満になると粉塵が発生しやすくなり、一方、1000μmを超えると本発明が目的とする溶解性が得られにくくなるおそれがある。
なお、本稿において、平均粒子径は目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いた分級により求まる値である。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回の測定サンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿の上に残留したサンプルを篩毎に回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記(1)式により平均粒子径(質量50%)を求めることができる。
【0013】
【数1】

【0014】
洗剤添加用粒子の嵩密度は、洗剤添加用粒子を配合する洗剤組成物中の他の洗剤成分の嵩密度を勘案して決定することができ、例えば0.3g/mL以上とすることができ、好ましくは0.5〜1.3g/mL、より好ましくは0.6〜1.2g/mLの範囲で決定できる。かかる範囲であれば、他の洗剤成分との分級が回避できるためである。なお、本稿において嵩密度とは、JIS K3362−1998に従って測定される値である。
【0015】
洗剤添加用粒子を洗剤組成物中に配合する場合、洗剤組成物中の洗剤添加粒子の配合量は特に限定されないが、5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、洗剤組成物に配合した際、他の洗剤成分とのバランスがとれ、十分な洗浄力が発揮できる。
【0016】
[造粒粒子]
造粒粒子は、硫酸ナトリウム((a)成分)と、水溶性無機カリウム塩((b)成分)と、ポリカルボン酸塩((c)成分)と、水((d)成分)とを造粒したものである。
【0017】
<(a)成分:硫酸ナトリウム>
(a)成分である硫酸ナトリウムは公知のものを用いることができ、例えば、無水物であってもよいし水和物であってもよい。なお、市販品で入手可能な硫酸ナトリウムには様々なグレードがあるが、該グレードは本発明の利用を制限するものでなく、例えばその市販品の製造の際に混入する不純物や、品質安定化のために添加される保存安定剤や酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0018】
(a)成分の平均粒子径は特に限定されないが、例えば、100〜1000μmが好ましく、150〜800μmがより好ましい。平均粒子径が100μm未満であると粉塵が発生しやすくなり、一方、1000μmを超えると本発明が目的とする溶解性が得られにくくなるおそれがある。
【0019】
洗剤添加用粒子中の(a)成分の配合量は、60質量%以上であり、60〜90質量%が好ましく、75〜85質量%がより好ましい。本発明は、上記範囲のような高い配合量においても、優れた溶解性が得られると共に固化の防止(固化防止性)が図れるためである。
【0020】
<(b)成分:水溶性無機カリウム塩>
(b)成分である水溶性無機カリウム塩としては、例えば、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、珪酸カリウム、塩化カリウム、オルソリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、フィチン酸カリウム等が挙げられる。中でも、硫酸カリウム、炭酸カリウムが好ましく、硫酸カリウムがより好ましい。
【0021】
洗剤添加用粒子中の(b)成分の配合量は(a)成分の配合量を勘案して決定することができ、例えば、2〜25質量%が好ましく、4〜20質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、溶解性の向上と固化の防止が図れるためである。
(b)成分の(a)成分に対する比率は、(b)成分の配合量/(a)の配合量(質量比)が0.02〜0.4であることが好ましく、0.04〜0.35であることが好ましい。上記範囲内であれば、溶解性と固化防止性の向上が図れると共に、高い製造効率が得られるためである。
【0022】
<(c)成分:ポリカルボン酸塩>
(c)成分であるポリカルボン酸塩としては、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、マレイン酸−アクリル酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩等が挙げられる。中でも、アクリル酸重合体又は共重合体の塩が好ましく、マレイン酸−アクリル酸共重合体の塩がより好ましい。このような(c)成分を配合することで、洗剤添加用粒子の溶解性、固化防止性の向上が図れるためである。
【0023】
(c)成分の分子量は特に限定されないが、例えば、(c)成分としてマレイン酸−アクリル酸共重合体の塩を用いる場合には、重量平均分子量1000〜100000が好ましく、5000〜70000がより好ましい。上記範囲内であれば、製造時に良好な流動性を維持し、造粒が容易なためである。なお、本稿において重量平均分子量は、ポリアクリル酸を標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値である。
【0024】
洗剤添加用粒子中の(c)成分の配合量は、(a)成分及び(b)成分の配合量を勘案して決定することができ、例えば、純分換算で0.2〜3質量%が好ましく、0.3〜2質量%がより好ましく、0.3〜1.5質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、溶解性の向上が図れると共に、容易に造粒粒子を得ることができる。
加えて、(a)成分と(b)成分の合計量に対する(c)成分の比率は、(c)成分の配合量/[(a)成分の配合量+(b)成分の配合量](質量比)が0.001〜0.05であることが好ましく、0.005〜0.03であることがより好ましい。上記範囲内であれば、溶解性と固化防止性の向上が図れると共に、製造効率の向上が図れるためである。
【0025】
<(d)成分:水>
(d)成分である水は洗剤添加用粒子の性能を劣化させる成分が含まれていなければ特に限定されず、純水、脱イオン水、水道水等が挙げられる。
洗剤添加用粒子中の(d)成分の配合量は、(a)〜(c)成分の配合量に応じて決定することができ、例えば1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。上記下限値未満であると溶解性が低下し、上記上限値を超えると保管中に固化しやすくなるためである。
【0026】
[水不溶性無機粉体]
水不溶性無機粉体としては、例えば、結晶性もしくは非結晶性アルミノ珪酸塩、炭酸カルシウム等が挙げられ、中でも結晶性アミノ珪酸塩が好ましい。結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が挙げられ、中でもA型ゼオライトが好ましい。
水不溶性無機粉体の平均粒子径は、(a)成分及び(b)成分の平均粒子径を勘案して決定することができ、例えば、1〜20μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。上記範囲内であれば、造粒粒子の表面を均一に被覆することができるためである。
【0027】
洗剤添加用粒子中の水不溶性無機粉体の配合量は、造粒粒子の粒子径等を勘案して決定することができ、例えば、1〜15質量%が好ましく、1〜5質量%が好ましい。上記下限値未満であると保管中に固化しやすくなると共に流動性が低下するおそれがあり、上記上限値を超えると溶解性が低下するおそれがある。
【0028】
[洗剤添加用粒子の任意成分]
洗剤添加用粒子には、必要に応じ洗剤添加用粒子の機能を損なわない範囲で、無機ビルダー、有機ビルダー、蛍光剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、還元剤、金属捕捉剤、pH調整剤等、洗剤の構成成分として公知の成分を配合することができる。
【0029】
(界面活性剤含有粒子)
本発明の洗剤組成物には、洗剤添加用粒子に加え、界面活性剤等の洗剤成分を含有する粒子を界面活性剤含有粒子として配合することができる。界面活性剤含有粒子を配合することで、洗剤組成物の洗浄効果の向上を図ることができる。
【0030】
界面活性剤含有粒子の平均粒子径は300〜500μmが好ましい。上記範囲内であれば、洗剤添加用粒子と分級を起こしにくいためである。
【0031】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを配合してもよく、1種又は2種以上を併用することができる。
界面活性剤の配合量は特に限定されないが、洗剤組成物中の配合量が5〜80質量%であることが好ましく、10〜60質量%がより好ましい。かかる範囲であれば、十分な洗浄力を発揮できると共に、界面活性剤含有粒子の造粒が容易なためである。
【0032】
[アニオン界面活性剤]
アニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩。
(2)脂肪酸の平均炭素数が10〜20の高級脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩。
(3)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(4)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(5)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(6)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(7)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(8)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(9)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(10)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(11)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(12)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。また、これらのアニオン界面活性剤は混合物として使用してもよい。
【0033】
[ノニオン界面活性剤]
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル、より好ましくは10〜18モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
【0034】
CO(OA)OR ・・・(I)
【0035】
[式(I)中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは炭素数8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、mはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。]
【0036】
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
【0037】
中でも、ノニオン界面活性剤としては、上述した(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、特に、炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0038】
<カチオン界面活性剤>
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。中でも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0039】
<両性界面活性剤>
両性界面活性剤としては、例えばイミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0040】
界面活性剤含有粒子には、必要に応じて無機ビルダー、有機ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、蛍光剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤等、洗剤の構成成分として公知の成分を適宜配合することができる。
【0041】
界面活性剤含有粒子の製造方法は、特に限定されず、公知の製造方法により製造できる。例えば、スラリー調製工程、噴霧乾燥工程、捏和工程、粉砕工程等を経て製造する方法を用いることができる。
【0042】
(製造方法)
洗剤添加用粒子は、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、(a)成分と(b)成分と(c)成分と(d)成分とを造粒して造粒粒子を得る(造粒工程)。得られた造粒粒子の表面を水不溶性無機粉体で被覆し(被覆工程)、洗剤添加用粒子を得ることができる。
【0043】
[造粒工程]
造粒工程は、(a)成分と(b)成分と(c)成分と(d)成分とを造粒して造粒粒子を得る工程である。(a)〜(d)成分は、その全てを同時に混合し造粒してもよいし、(a)成分と(b)成分とを混合した後、(c)成分と(d)成分とを添加して造粒してもよい。(a)成分及び/又は(b)成分を核とし、この核に(c)成分を均一に付着させる観点からは、(a)成分と(b)成分とを混合した後、(c)成分と(d)成分とを添加して造粒することが好ましい。
なお、造粒工程では、ゼオライトを添加してもよい。水不溶性無機粉体の一部を添加することで、洗剤添加用粒子単独で保管した場合の固化防止性をさらに向上できる。加えて、該洗剤添加用粒子を配合した洗剤組成物に、より多くのゼオライトを配合することができる。
【0044】
(a)成分と(b)成分とを混合した後、(c)成分と(d)成分とを添加して造粒する場合、(c)成分と(d)成分とは、それぞれ独立して添加してもよいし、(c)成分を(d)成分に溶解した後、ポリカルボン酸塩水溶液として添加してもよい。(c)成分と(d)成分とを独立して添加する場合、(c)成分と(d)成分の添加順序は特に限定されないが、(d)成分を添加した後に、(c)成分を添加することが好ましい。
ポリカルボン酸塩水溶液として添加する場合、該水溶液には(d)成分の全量を用いてもよいし、一部を用いてもよい。ポリカルボン酸塩水溶液として添加する場合、該水溶液の粘度は、0.0001〜100Pa・sが好ましく、0.001〜50Pa・sがより好ましく、0.01〜5Pa・sがさらに好ましい。ポリカルボン酸水溶液の粘度が上記範囲内であれば、(a)成分と(b)成分との表面を(c)成分で効率的に被覆でき、かつ、容易に造粒できる。
該水溶液の粘度は、B8H形粘度計(株式会社東京計器製)を用い、ローターNo.4、回転数20rpmの条件で、回転開始から1分後の粘度を測定した値である。
【0045】
造粒工程における造粒方法は特に限定されないが、例えば、攪拌造粒法、転動造粒法が挙げられ、中でも攪拌造粒法が好適である。攪拌造粒法は、チョッパーにより粒子径の大きな造粒粒子を粉砕でき、造粒粒子の粒度のコントロールが容易なためである。
【0046】
攪拌造粒法には、公知の攪拌造粒機を用いることができ、中でも、撹拌羽根を備えた撹拌軸を内部の中心に有し、撹拌羽根が回転する際に撹拌羽根と器壁との間にクリアランスを形成する構造であることが好ましい。このような構造を有する撹拌造粒機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製)、ハイスピードミキサー(深江工業株式会社製)、バーチカルグラニュレーター(株式会社パウレック製)等の装置が挙げられる。特に好ましくは横型の混合槽で円筒の中心に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取付けて粉末の混合を行う形式のミキサーであり、例えばレディゲミキサー(株式会社マツボー製)、ブロシェアミキサー(大平洋機工株式会社製)である。
【0047】
攪拌造粒法においては、下記(2)式で表されるフルード数(Fr)を1〜16に調整することが好ましく、2〜9がより好ましい。Frが1未満であると、流動が不十分となり、得られた造粒粒子は(c)成分の付着が不均一となる場合がある。Frが16を超えると、造粒粒子に対する剪断力が強くなりすぎ、造粒粒子の表面に付着している(c)成分の欠損が多くなるおそれがある。
【0048】
Fr=V/(R×g) ・・・(2)
[V:攪拌羽根の先端の周速(m/s)、R:攪拌羽根の回転半径(m)、g:重力加速度(m/s)]
【0049】
撹拌造粒法において、好適な造粒粒子を得るための回分式の造粒における造粒時間及び連続式の造粒における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、3〜10分がより好ましい。造粒時間(平均滞留時間)が0.5分未満であると、好適な平均粒子径及び嵩密度を得るための造粒制御が困難となり、粒度分布がブロードになりやすい。一方、20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0050】
転動造粒法には、公知の転動造粒機を使用することができる。中でもドラム状の円筒が回転して造粒する形式(ドラム型造粒機)が好ましく、特に任意の形状の邪魔板を装備しているものが好ましい。上記ドラム型造粒機としては、水平円筒型造粒機、日本粉体技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム型造粒機、撹拌羽根付ドラム型造粒機等が挙げられる。
【0051】
回分式における造粒時間、又は連続式における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、7〜15分がより好ましい。造粒時間(平均滞留時間)が0.5分未満であると、好適な平均粒子径及び嵩密度を得るための造粒制御が困難となり、粒度分布がブロードになりやすい。一方、20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0052】
[被覆工程]
被覆工程は、造粒工程で得られた造粒粒子の表面を水不溶性無機粉体で被覆する工程である。被覆工程には、公知の方法を用いることができ、例えば、攪拌造粒機、転動造粒機、流動層造粒機を用いて、被覆する方法が挙げられる。中でも、造粒工程に用いた装置と同じ装置を用いると、製造装置間の移送等、煩雑な作業を省略でき、生産性向上が図れる。
【0053】
例えば、被覆工程に攪拌造粒機を用いる場合には、回分式における被覆時間及び連続式における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、1〜10分がより好ましい。被覆時間(平均滞留時間)が0.5分未満であると、造粒粒子の表面の被覆が不均一になりやすく、20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0054】
また、例えば、被覆工程に転動造粒機を用いる場合には、回分式における被覆時間及び連続式における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、1〜10分がより好ましい。被覆時間(平均滞留時間)が0.5分未満であると、造粒粒子の表面の被覆が不均一になりやすく、20分を超えると、生産性が低下するためである。
【0055】
こうして得られた洗剤添加用粒子は、界面活性剤含有粒子と混合することで、洗剤組成物として調製できる。洗剤添加用粒子と界面活性剤含有粒子との混合は、特に限定されず、例えば、リボンミキサーやニーダー等を用いた粉体混合が挙げられる。またあるいは、界面活性剤含有粒子の表面にゼオライトを付着させる表面処理時に、ゼオライトと共に洗剤添加用粒子を用いて表面処理を行うことで、洗剤組成物を調製してもよい。
【0056】
洗剤組成物において、洗剤添加用粒子の配合量/界面活性剤含有粒子の配合量(質量比)で表される配合比率は、例えば、3/97〜97/3が好ましく、5/95〜80/20がより好ましく、10/90〜50/50がさらに好ましく、10/90〜30/70が特に好ましく、15/85〜25/75が最も好ましい。上記範囲内であれば、洗剤組成物を構成する各成分のバランスがとれ、優れた洗浄性が得られるためである。
【0057】
上述のとおり、本発明の洗剤添加用粒子は、(a)成分:硫酸ナトリウム、(b)成分:水溶性無機カリウム塩、(c)成分:ポリカルボン酸塩及び(d)成分:水を造粒した造粒粒子の表面が、水不溶性無機粉体で被覆されているため、溶解性に優れ、保管中における固化抑制に優れる。
【0058】
本発明における作用機序は明らかでないが、以下のことが推測される。(a)成分及び(b)成分は、水存在下で造粒することで、(a)成分と(b)成分とが部分的に水溶し、その後再結晶する。このため、(a)成分のナトリウムイオンと(b)成分のカリウムイオンとはその一部がイオン交換され、(a)成分及び(b)成分の表面にナトリウムとカリウムの複塩が生成するものと考えられる。
ここで、(a)成分は、35℃程度で水和水が失われ、固結しやすくなる。このような性状により、洗剤組成物は、(a)成分を多量に配合した場合、保管中に固化しやすくなる。しかしながら、上述のように(a)成分の表面には、複塩が生成しているため(a)成分同士が固結せず、高い流動性を維持したまま製造でき、かつ、保管中における固化を防止できる。
加えて、洗剤添加用粒子及び洗剤組成物は、(a)成分同士が固結しにくいため、洗濯液中で凝集することなく、優れた溶解性を発揮すると考えられる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
【0060】
(使用原料)
実施例及び比較例に使用した原料は以下のとおりである。
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸カリウム(LAS−K):直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS−H、ライオン株式会社製、ライポンLH−200、AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を噴霧乾燥粒子調製用スラリー中で48質量%水酸化カリウム溶液で中和したもの。表中、LAS−Hはカリウム塩として算出し、LAS−HとLAS−Kの合計量をLAS−Kとして示した。
・α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト:α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩含有ペースト(組成・・・脂肪酸鎖長;炭素数16/18、含有比(質量比)8/2、有効成分63%、ノニオン界面活性剤16%、ジ塩及びメチル硫酸塩等の不純物8%、水分13%、ライオン株式会社製)
・ノニオン界面活性剤:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基を持つアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン株式会社製、純分90%)・・・HLB;15.1〜15.6
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン株式会社製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12=1質量%、C14=10質量%、C16=24質量%、C18F0(ステアリン酸)=10質量%、C18F1(オレイン酸)=54質量%、C18F2(リノール酸):1質量%)
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0(四国化成株式会社製、平均粒子径;160〜180μm)
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子株式会社製、平均粒子径;320μm)
・硫酸カリウム:粉末(上野製薬株式会社製、平均粒子径;10〜50μmに粉砕して使用)
・炭酸カリウム:粉末(旭硝子株式会社製、平均粒子径;490μm)
・アクリル酸/マレイン酸共重合体の塩(MA剤):アクアリックTL−400(株式会社日本触媒製、重量平均分子量;50000、純分;40質量%の水溶液)
・ポリアクリル酸ナトリウム(PA剤):アクアリックDL40(株式会社日本触媒製、重量平均分子量;3500、純分;40質量%の水溶液)
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学工業株式会社製、平均粒子径:3μm、純分;80%)
・ラウリン酸:NAA−122(日本油脂株式会社、融点;43℃)
・酵素:プロテアーゼ(サビナーゼ12T)/アミラーゼ(ステインザイム12T)/リパーゼ(LIPEX100T)/セルラーゼ(セルクリーン4500T)(以上、ノボザイムズ・ジャパン株式会社製)=1/1/1/7(質量比)の混合物
・香料:特開2002−146399号公報[表11]〜[表18]に示す香料組成物A
・色素:群青(大日精化工業株式会社製、Ultramarine Blue)
【0061】
(評価方法)
<溶解性>
≪試験方法≫
100mLビーカーに洗剤添加用粒子10gを入れ、次いで水道水20gをゆっくり加え、氷上で10分間静置後、洗剤添加用粒子の凝集の度合いを、以下の基準に従い、硬さ、目視で評価した。
【0062】
≪評価方法≫
爪の跡が付かないもの:×
爪の跡が付く程度:△
指で押して崩せるもの:○
凝集しないもの:◎
洗剤組成物中で洗剤添加用粒子が偏在した際の溶け残りを考慮し、評価「○」以上を溶解性が良好と判断した。
【0063】
<流動性>
≪試験方法≫
製造した直後の洗剤添加用粒子を直径5cmの円筒形の筒に、高さが5cmになるように入れた。30℃の恒温槽内で、粒子に対して2.45Paの荷重を24時間加えて洗剤添加用粒子の円柱状成形体を得た(成形処理)。FORCE GAUGE(本体部:MX‐500N、検知部:ZP−500N、株式会社イマダ製)において5.32mm/秒の条件で検知部を降下させ、前記円柱状成型体の底部全面に荷重を徐々に加え、前記円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)を測定した。前記円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)により、下記評価基準に基づいて評価した。
【0064】
≪評価基準≫
◎:成型処理で円柱状成形体が形成されないもの
○:円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重が0.01kg以上0.5kg未満
△:円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重が0.5kg以上2kg未満
×:円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重が2kg以上
洗剤添加用粒子を洗剤組成物に配合するまで貯槽に保存し、その後、排出する際の排出性を鑑み、評価「△」以上(最大荷重:2kg未満)を良好と判断した。
【0065】
<布付着性>
布付着性の評価は、洗剤添加用粒子20質量部と界面活性剤含有粒子80質量部とを粉体混合した洗剤組成物を用いて評価した。
【0066】
≪試験方法≫
二槽式洗濯機(三菱電機株式会社製、CW−C30A1−H)に、5℃の水道水30Lを張り、被洗物として綿肌シャツ6枚、ポリエステルシャツ2枚、アクリルシャツ2枚を投入し、浴比(被洗物の質量に対する洗浄液の質量)20倍に調整した。被洗物はそれぞれ折り畳んで水面に浮かべた。被洗物の中心に調製した洗剤組成物30gを乗せ、布と共に5分間浸漬後、弱水流で5分間撹拌した。排水後、布を1分間脱水し、布上及び洗濯機中にある溶け残りを拾い出し、目視にて溶け残り量を、下記評価基準に基づいて評価した。
【0067】
≪評価基準≫
◎:溶け残りがほとんどない
○:溶け残りがやや見られるが問題ないレベル
△:溶け残りが目立つ
×:溶け残りが著しく見られる
家庭における使用性を考慮し、洗剤混合物としては評価「○」以上を良好と判断した。
【0068】
<固化防止性>
固化防止性の評価は、洗剤添加用粒子20質量部と界面活性剤含有粒子80質量部とを粉体混合した洗剤組成物を用いて評価した。
≪試験方法≫
固化防止性は、洗剤添加用粒子に代えて、洗剤組成物を用いた他は、上記の「<流動性>」と同様にして試験した。洗剤組成物の円柱状成型体が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)により、下記評価基準に基づいて評価した。
【0069】
≪評価基準≫
◎:成型処理で円柱状成形体が形成されないもの
○:円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重が0.01kg以上0.5kg未満
△:円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重が0.5kg以上2kg未満
×:円柱状成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重が2kg以上
洗剤組成物を長期保管した後の使用感を鑑み、評価「○」以上(最大荷重:0.5kg未満)を良好と判断した。
【0070】
(製造例1)界面活性剤含有粒子の調製
表1に示す成分を、攪拌機、ジャケットを有する反応装置内に投入し、水に溶解分散させ(攪拌機のジャケット温度75℃)、固形分濃度60質量%の乾燥噴霧粒子調製用スラリーを調製した。
次いで、このスラリーを向流式乾燥塔を用いて以下の条件で噴霧乾燥し、噴霧乾燥塔の下部より噴霧乾燥粒子コート被覆剤としてA型ゼオライトの一部(2質量%)を導入して噴霧乾燥粒子を得た。
・噴霧乾燥装置:向流式、塔径2.0m、有効長5.0m
・微粒化方式:加圧ノズル方式
・噴霧圧力:30kg/cm
・熱風入口温度:250℃
・熱風出口温度:100℃
得られた噴霧乾燥粒子の平均粒子径は300μm、嵩密度は0.3g/mL、水分含有量は5質量%であった。
水分含有量(質量%)の測定は、Kett水分計(商品名、株式会社ケツト科学研究所製;赤外線水分計)により測定した。測定条件は170℃、20分で行った。
【0071】
【表1】

【0072】
得られた噴霧乾燥粒子72.3質量部と、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト15質量部、ノニオン界面活性剤2質量部、水0.5質量部を連続ニーダー(栗本鐵工所社製、KRC−S4型)に投入し、捏和して(ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度:ジャケット入り口5℃、出口25℃(ジャケットに通水して冷却))、ドウ状物を調製した。得られたドウ状物の温度は55±15℃であった。
【0073】
得られたドウ状物を、ペレッターダブル(不二パウダル株式会社製、製品名:EXD−100型)に投入し、孔径約10mm、厚さ10mmのダイスから押し出すと同時に切断し、ペレット状成形体(直径約10mm、長さ70mm以下(実質的には5mm以上))を得た(ペレッターのカッター周速は5m/s)。
【0074】
得られたペレット状成形体89.8質量部に、粉砕助剤としてのA型ゼオライト6.5質量部を添加し、送風共存下で3段直列に配置されたフィッツミル(ホソカワミクロン株式会社製、DKA−6型)を用いて粉砕して粉体を得た。粉砕条件は以下の通りとした。得られた粉体の温度は30±10℃であった。
・送風温度:15±3℃。
・送風量(気/固の比率):2.8±0.25m/kg。
・スクリーン径:1段目6mm、2段目4mm、3段目2mm。
・粉砕機回転数:4700rpm(周速約60m/s)。
・処理速度:230kg/hr。
【0075】
水平円筒転動ドラム(直径0.70m、長さ1.40m、傾斜角3°、厚さ1mm×高さ50mm×長さ350mmの邪魔板15枚付き)に、処理速度が240kg/hrになるように前記粉体96.3質量部及びゼオライト2質量部を投入し、混合すると同時にノニオン界面活性剤0.5質量部を噴霧した。ノニオン界面活性剤は圧力円錐ノズルKシリーズ(株式会社いけうち製)を用い、噴霧圧力0.5〜1.5MPaで噴霧した。その後、色素(20質量%水溶液)0.1質量部、香料0.1質量部を噴霧した後、酵素1質量部を添加して界面活性剤含有粒子(平均粒子径:360μm、嵩密度:0.85g/mL)を得た。なお、調製した界面活性剤含有粒子の水分は、Kett水分計(商品名、株式会社ケツト科学研究所製;赤外線水分計、測定条件は130℃、20分)により測定した結果、7質量%であった。
【0076】
(実施例1、3、4、5)
表2の組成に従い、(a)成分と(b)成分とを、鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのレディゲミキサー(株式会社マツボー製、M20型)に投入し(充填率30容量%)、主軸200rpmの撹拌を開始した(チョッパーは停止) 。撹拌開始後30秒後に、(c)成分を(d)成分で希釈したもの(使用原料として記載のMA剤又はPA剤の水溶液を水で希釈したもの)を60秒間かけて添加しながら造粒し、造粒粒子を得た(造粒工程)。レディゲミキサーの撹拌を継続しつつ、水不溶性無機粉体であるA型ゼオライトを30秒間かけ、造粒粒子に添加し被覆した(被覆工程)。
こうして洗剤添加用粒子を得、得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価した。
【0077】
得られた洗剤添加用粒子20質量部と製造例1で得られた界面活性剤含有粒子80質量部とを水平円筒型転動造粒機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に、内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を4枚有するもの)に、充填率20容積%となるように入れ 、回転数22rpm、25℃ の条件で3分間混合し、洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物について、布付着性及び固化防止性を評価した。
【0078】
(実施例2)
造粒工程で、A型ゼオライト10質量部を(a)成分及び(b)成分と混合した以外は実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0079】
(比較例1)
表3の組成に従い、A型ゼオライトで造粒粒子を被覆しなかった以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0080】
(比較例2)
表3の組成に従い、造粒工程で(c)成分を添加せず、A型ゼオライトで造粒粒子を被覆しなかった以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0081】
(比較例3)
表3の組成に従い、造粒工程で(b)成分及び(c)成分を添加せず、A型ゼオライトで造粒粒子を被覆しなかった以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0082】
(比較例4)
表3の組成に従い、(a)成分単独で洗剤添加用粒子とした以外は、実施例1と同様にして洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0083】
(比較例5、6)
表3の組成に従い、(a)成分の一部を(a)’成分に置き換え、造粒工程で(b)成分を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0084】
(比較例7)
表3の組成に従い、(a)成分を(a)’成分とし、造粒工程で(b)成分を添加せず、(c)成分を(d)成分で希釈したものを添加した後、ラウリン酸を添加した以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0085】
(比較例8)
表3の組成に従い、造粒工程で(c)成分を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0086】
(比較例9)
表3の組成に従い、造粒工程で(b)成分を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして洗剤添加用粒子と洗剤組成物を得た。得られた洗剤添加用粒子について、溶解性と流動性を評価し、洗剤組成物について布付着性及び固化防止性を評価した。
【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
表2の実施例1〜4に示すとおり、(a)成分と(b)成分を混合し、さらに(c)成分と(d)成分とを添加して造粒した造粒粒子を水不溶性無機粉体で被覆した洗剤添加用粒子は、溶解性及び流動性が良好であった。加えて、実施例1〜4の洗剤添加用粒子を配合した洗剤組成物は、布付着性及び固化防止性が良好であった。
一方、比較例1〜6の洗剤添加用粒子を配合した洗剤組成物は、いずれも固化防止性が実施例1〜5に比べて劣っていた。加えて、比較例2〜6は、布付着性においても、実施例1〜5に比べて劣っていた。
さらに、比較例8、9の洗剤添加用粒子は、溶解性が実施例1〜5に比べて劣っていた。比較例8、9の洗剤粒子を配合した洗剤組成物は、布付着性が実施例1〜5に比べて劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水との造粒粒子の表面が水不溶性無機粉体で被覆され、前記硫酸ナトリウムの含有量が60質量%以上であることを特徴とする洗剤添加用粒子。
【請求項2】
硫酸ナトリウムと水溶性無機カリウム塩とポリカルボン酸塩と水とを造粒し造粒粒子を得る工程と、
前記造粒粒子の表面を水不溶性無機粉体で被覆する工程とを有することを特徴とする、請求項1に記載の洗剤添加用粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の洗剤添加用粒子を含有することを特徴とする、洗剤組成物。

【公開番号】特開2010−195892(P2010−195892A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41036(P2009−41036)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】