説明

洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法

【課題】高濃度の界面活性剤を含有する液体洗浄剤にも安定に配合可能で、色や匂いにおいても優れた高分子ビルダーを安定に製造する方法を提供する。
【解決手段】アクリル酸等、特定の不飽和カルボン酸系モノマー(I)と、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル等の特定のアリルエーテル系モノマー(II)とを、液体反応媒体を用いて反応容器中で重合反応させて洗浄剤用高分子ビルダーを製造するにあたり、液体反応媒体として低級アルコールを含む液体を用い、重合開始前に所定量のモノマー(I)及びモノマー(II)を予め反応容器に仕込み、重合開始後にモノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する意識が高まってきており、環境に対し負荷の少ない洗浄剤の登場が渇望されている。従来の洗浄剤より洗浄成分濃度が高い、いわゆる濃縮タイプの洗浄剤は、洗浄剤自身のサイズを小さくし、容器樹脂量の削減、輸送費の削減、使用後のゴミの削減等、環境に対する負荷を低減させるのに非常に有効であると考えられる。
【0003】
しかしながら、このような界面活性剤濃厚系の液体洗浄剤組成物は、組成物自体の保存安定性に加えて、ビルダー成分が安定配合しにくいという課題がある。例えばポリアクリル酸系ポリマーは、泥の分散性、再汚染防止性に優れることが知られているが、一般に界面活性剤水溶液系には安定配合しにくくなり、更には保存により、白濁や相分離などの分離や、基材が溶液中で固体として析出してくる場合がある。
【0004】
また、従来よりビルダーの製造に際しては、ビルダーとして適した分子量の範囲に調整するため、重合時に連鎖移動剤を使用する方法が知られているが、連鎖移動剤としてよく用いられる硫黄元素を含む化合物は、重合後のポリマー溶液中に残留して特有の匂いを発するため、それを配合した洗浄剤の香りを損ねるという課題がある。
【0005】
特許文献1には、互いに異なる反応性を有するモノマーからなる共重合体を製造するにあたり、添加速度を減少させつつ、少なくとも1種の低反応性モノマーを反応容器に添加する工程と、少なくとも1種の高反応性モノマーを反応容器に添加する工程を含み、かつ高反応性モノマーの1重量%未満を初期仕込みすることが開示されている。モノマーの反応性の違いは考慮されているものの、実際に使用するモノマーの種類と組み合わせによっては必ずしもこの開示条件だけでは十分とはいえず、洗浄剤用の高分子ビルダーについては、より詳細な条件の設計が求められていた。
【0006】
また、特許文献2〜4には、(メタ)アクリル酸系単量体と、ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル系単量体とを共重合してなる重合体を洗剤用ビルダーとして用いることが開示されている。しかしながら、これらの文献では、重合体を製造する際の単量体の添加方法については詳細な検討はなされていない。
【0007】
なお、セメント添加剤として好適な重合体の製造方法として、特許文献5には、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体と不飽和カルボン酸系単量体の重合において、重合中の反応器内の水の濃度を50重量%以下とし、且つ、重合する単量体の少なくとも一部をあらかじめ反応器に初期仕込みし、重合開始以降に、残りの単量体を反応器に投入することが開示されている。しかしながら、2種類以上の単量体混合液の一部を初期仕込みすることの開示があるが、反応性の異なる単量体同士の共重合を想定したものではなく、初期仕込みの量を単量体ごとに設定するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−231276号公報
【特許文献2】特開2004−75977号公報
【特許文献3】特開昭58−5398号公報
【特許文献4】特開昭58−47099号公報
【特許文献5】特開2001−2734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、特に、液体洗浄剤、とりわけ高濃度の界面活性剤を含有する液体洗浄剤にも安定に配合可能で、溶液の色や匂いにおいても優れた高分子ビルダーを安定に製造する方法を提供すること、及びそのようにして得られる高分子ビルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記一般式(I)で表わされるモノマー〔以下、モノマー(I)という〕と、下記一般式(II)で表されるモノマー〔以下、モノマー(II)という〕とを、液体反応媒体を用いて反応容器中で重合反応させて洗浄剤用高分子ビルダーを製造するにあたり、
液体反応媒体として低級アルコールを含む液体を用い、
使用する全モノマー(I)の1〜20重量%に相当する量のモノマー(I)、及び使用する全モノマー(II)の30〜80重量%に相当する量のモノマー(II)を、モノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)となるように、重合開始前に予め反応容器に仕込み、
重合開始後にモノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する、
洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
〔式中、R1は水素原子又は−COOMを表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、Mは、各々独立して、水素原子、1価金属、2価金属(1/2原子)、アンモニウム基、又は置換アンモニウム基を表す。〕
【0013】
【化2】

【0014】
〔式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、Aは1種類以上の炭素数2〜3のアルキレン基を表し、Xは水素原子、メチル基、フェニル基又はベンジル基を表し、nは平均付加モル数であり、10〜100の数を表す。〕
【0015】
また、本発明は、上記本発明の製造方法により得られる、洗浄剤用高分子ビルダーに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液体洗浄剤、とりわけ高濃度(例えば50重量%以上)の界面活性剤を含有する液体洗浄剤にも安定に配合可能で、溶液の色や匂いにおいても優れた高分子ビルダーを安定に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の製造方法により、高濃度(例えば50重量%以上)の界面活性剤を含有する液体洗浄剤にも安定に配合可能な高分子ビルダーが得られるのは、モノマー(I):モノマー(II)の共重合比が変動せず、設計通りの重量比のポリマーが製造されているためであると推察される。また、低級アルコールを含む液体反応媒体と共に所定量のモノマー(I)とモノマー(II)を予め反応容器に仕込んでから重合を開始することにより、硫黄臭の原因となる連鎖移動剤を必要とせずに最適な分子量範囲に制御が可能となることから、ポリマーの溶液の色や匂いも優れたものとなると考えられる。更に低級アルコールは重合により得られたポリマーを安定に溶解するため、重合反応を安定に進行させることができる。
【0018】
モノマー(I)において、R1は水素原子又は−COOMを表し、R2は水素原子又はメチル基を表す。Mは、各々独立して、水素原子、1価金属、2価金属(1/2原子)、アンモニウム基、又は置換アンモニウム基を表し、水素原子、1価金属、置換アンモニウム基が好ましい。
【0019】
モノマー(I)の具体例としては、未中和の酸型(すなわち、式(I)中のMが水素原子)で用いる場合、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸を挙げることができ、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、さらに好ましくはアクリル酸である。また、1価もしくは2価の金属、アンモニウム基、又は有機アミン基の塩を用いることもできる。中和する塩として、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンを挙げることができ、ナトリウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。なお、重合に使用するモノマーの中和度の範囲は、0〜0.5が好ましく、0〜0.2がより好ましく、0〜0.1が更に好ましく、0が特に好ましい。
【0020】
モノマー(II)において、R3は水素原子又はメチル基を表す。Aは1種類以上の炭素数2〜3のアルキレン基を表し、炭素数2のアルキレン基が好ましい。Xは水素原子、メチル基、フェニル基又はベンジル基を表すが、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子が更に好ましい。nは平均付加モル数であり、10〜100の数を表すが、液体洗浄剤への配合安定性の観点から、15〜80の数が好ましく、19〜35の数がより好ましい。
【0021】
モノマー(II)の具体例としては、ポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)アリルエーテル、メトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)アリルエーテルを挙げることができ、好ましくはポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、さらに好ましくはポリエチレングリコールアリルエーテルである。
【0022】
モノマー(I)由来の構成単位(I)とモノマー(II)由来の構成単位(II)の配列は、ランダム、ブロック、交互のいずれでもよいが、ランダム又は交互が好ましい。
【0023】
本発明では、低級アルコールを含む液体反応媒体を、重合開始前に予め反応容器に仕込む。液体反応媒体は、液状の溶媒、分散媒あるいは分散溶媒である。低級アルコールを含む液体反応媒体を用いることで、重合中に生成したポリマーが不溶化したり、場合によってはゲル化したりすることを防ぎ、高い重合濃度でも円滑に重合を行うことができる。用いる低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノールなどの1価アルコール類(好ましくは炭素数2〜3の1価アルコール);エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコール類が挙げられ、単独でも、2種以上でもよい。中でも、多価アルコールが高沸点であるため、高い温度の重合に使用することができ、得られたポリマー溶液の溶剤臭も低い点で好ましい。さらに好ましい多価アルコールは、炭素数2〜6の多価アルコールであり、また、2〜6価のアルコールである。より好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種以上であり、特に好ましくは、プロピレングリコールである。
【0024】
液体反応媒体中の低級アルコールの割合は、20〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がさらに好ましく、40〜60重量%が特に好ましい。液体反応媒体中の低級アルコール以外の成分としては、水が好ましい。
【0025】
本発明では、使用する全モノマー(I)の1〜20重量%に相当する量のモノマー(I)を、重合開始前に予め反応容器に仕込む。生産性及び液体洗浄剤への配合安定性の観点から、使用する全モノマー(I)の3〜18重量%、更に5〜15重量%に相当する量を仕込むのが好ましい。
【0026】
本発明において、重合開始後に反応容器に添加するモノマー(I)の量は、使用する全モノマー(I)の80重量%以上に相当する量が好ましく、82重量%以上がより好ましく、85重量%以上が更に好ましい。
【0027】
本発明では、使用する全モノマー(II)の30〜80重量%に相当する量のモノマー(II)を、重合開始前に予め反応容器に仕込む。生産性及び液体洗浄剤への配合安定性の観点から、使用する全モノマー(II)の35〜70重量%、更に40〜60重量%に相当する量を予め反応容器に仕込むことがより好ましい。
【0028】
本発明では、モノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)となるように、重合開始前に予め反応容器に仕込む。意図する共重合比のポリマーを容易にかつ安定に得る観点から、該重量比は、0.6:99.4〜10:90が好ましく、1:99〜7:93がより好ましい。
【0029】
本発明では、重合開始後の反応容器中のモノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)となるように、モノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する工程を有することが好ましい。すなわち、重合開始後の反応容器中のモノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)となるように、モノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する期間が存在することが好ましい。
【0030】
また、重合開始から使用する全モノマー(II)の80重量%以上が添加されるまでの間(重合開始0分から、使用する全モノマー(II)の80重量%以上が添加された特定の時点n分後までの間)にわたって、反応液中のモノマー(I)とモノマー(II)の合計重量に対するモノマー(I)の重量の割合(%)の最大値と最小値の差が10%以内(10ポイント以内)であることが好ましく、5%以内(5ポイント以内)であることがさらに好ましく、3%以内(3ポイント以内)であることが特に好ましい。このように反応液中のモノマー(I)の濃度について変動の範囲を小さくすることにより、設計した共重合比のポリマーをさらに容易にかつ安定に得ることができる。このようにモノマー(I)の濃度についての変動の範囲を小さくするためにより詳細にモノマー比を決定する方法としては、例えば、成書(「エッセンシャル高分子科学」(中浜清一ら著、講談社、1992年、209ページ)に記載されているような、曲線合致法、交点法、Fineman−Ross法、Mayo−Lewisの関係式を用いる方法などにより、実際に使用するモノマー(I)とモノマー(II)の間に成り立つモノマー反応性比を求め、さらに得られたモノマー反応性比の値から、所望の共重合比を得るのに最適な反応液中のモノマー濃度比として算出することができる。なお、本発明では、モノマー(I)及びモノマー(II)を含む反応液が所定の重合温度(好ましくは後述のように50〜150℃)となり、反応液に開始剤が添加された時点を重合開始と判断することができる。
【0031】
重合開始後の反応液中のモノマー(I)とモノマー(II)の重量比は、例えば反応液を少量採取し、1H−NMRや液体クロマトグラフィーにより測定される未反応のモノマー(I)及びモノマー(II)の量に基づいて算出することができる。この算出を行うタイミングと頻度としては、重合開始直後に1回、使用する全モノマー(II)の80重量%以上が添加された特定の時点に1回、さらにその間に少なくとも1回以上、好ましくは一定時間をおいて2回以上行うことが好ましい。
【0032】
反応液中のモノマー比を上記の範囲内に制御するには、重合の進行により逐次消費される反応液中のモノマー量を考慮して、反応液へのモノマー(I)とモノマー(II)の添加量(速度)を調整するのが好ましい。
【0033】
重合開始後、反応容器にモノマー(I)とモノマー(II)とを、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40の重量比で添加する期間が存在することが好ましく、更に12:88〜50:50、特に15:85〜40:60の重量比で添加する期間が存在することが好ましい。
【0034】
重合開始後にモノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する方法は、滴下が好ましい。また、モノマー(I):モノマー(II)の重量比や滴下速度の異なる多段階の滴下を行ってもよい。
【0035】
重合開始後に添加するモノマー(I)とモノマー(II)は、開始剤(場合により、さらに液体反応媒体)とともに反応容器内へ一定の速度で連続的に滴下することが好ましい。
【0036】
好ましくは、使用する全モノマー(II)の80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%に相当する量を添加するまで、モノマー(I)及びモノマー(II)の残りを、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40の重量比で反応容器に添加する。
【0037】
また、本発明では、使用する全モノマー(II)の80重量%以上に相当する量のモノマー(II)を添加した後は、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40の重量比で添加する場合に採用した添加速度よりも、遅い速度でモノマー(I)及び/又はモノマー(II)、好ましくはモノマー(I)を添加する期間が存在することが好ましい。
【0038】
本発明では、下記(1)及び(2)、更には(1)、(2)及び(3)を満たすように、重合開始後にモノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加することが好ましい。この態様は、残りのモノマー(I)の一部と残りのモノマー(II)の全部を所定の重量比で反応容器に添加した後、更に残りのモノマー(I)の残部を反応容器に添加するものである。
(1)使用する全モノマー(II)の80重量%以上、更に90重量%以上、更に95重量%以上、更に100重量%に相当する量のモノマー(II)を添加するまで、モノマー(I)及びモノマー(II)を、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40の重量比で反応容器に添加する。
(2)使用する全モノマー(II)の100重量%に相当する量のモノマー(II)を添加したときのモノマー(I)の添加量が、使用する全モノマー(I)の100重量%未満(好ましくは、15〜75重量%、より好ましくは、25〜70重量%、更に好ましくは、35〜65重量%)に相当する量である。
(3)使用する全モノマー(II)の100重量%に相当する量のモノマー(II)が添加された後、モノマー(I)を、上記(2)におけるモノマー(I)の添加速度よりも遅い速度で反応容器に添加する。
【0039】
本発明において使用される全モノマー(I)と、使用される全モノマー(II)の重量比は、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40であることが、液体洗浄剤への配合安定性と洗浄性の観点から好ましく、12:88〜50:50であることがより好ましく、15:85〜40:60が更に好ましい。この範囲となるように、重合開始前後に反応容器に添加するモノマー(I)、(II)の量を調整することが好ましい。
【0040】
上記のように反応を制御することで、本発明では、使用した全モノマー(I)及び全モノマー(II)の重量比と、ポリマー中のモノマー(I)由来の構成単位(I)及びモノマー(II)由来の構成単位(II)の重量比がほぼ等しい、つまり、残存モノマーが少なく、かつ設計共重合比の成分が多い(共重合分布が狭い)ポリマーが得られる。
【0041】
本発明では、モノマー(I)及びモノマー(II)以外に、その他の共重合可能なモノマーを共重合してもよい。具体的には、フマル酸、イタコン酸などのカルボン酸;スチレンスルホン酸(塩)、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物;(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル(塩)などの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル−(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)などの(メタ)アクリルアミド誘導体;ジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルメチルアミン(塩)、ジアリルアミン(塩)、アリルアミン(塩)などのアリル化合物等が挙げられる。
【0042】
使用する全モノマー(I)と全モノマー(II)の合計の重量に対する、これらその他の共重合可能なモノマーの使用量(重量%)は、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、0重量%が更に好ましい。本発明では、高分子ビルダーの製造に用いる全モノマー中、モノマー(I)とモノマー(II)の割合が10:90〜60:40重量%、更に12:88〜50:50重量%、より更に15:85〜40:60重量%であることが好ましい。
【0043】
本発明では、重合反応の方法は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、沈澱重合、分散重合などいずれの方法でもよいが、溶液重合が好ましい。溶液重合では、液体反応媒体として低級アルコールを含む溶媒が用いられる。
【0044】
また、重合反応は開始剤を使用して行うことが好ましい。開始剤としては、公知のものを使用できる。例えば、過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、過硫酸カリウム(ペルオキソ二硫酸カリウム)、過硫酸アンモニウム(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)などの過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クメンハイドロパーオキシドなどの過酸化物、などを挙げることができる。さらに、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などの還元剤や、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシンなどのアミン化合物などを併用してもよい。単独でも、2種以上からなる組み合わせでもよい。中でも、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましく、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素がさらに好ましい。
【0045】
開始剤の添加量としては、モノマー(I)及びモノマー(II)の総モル数に対する開始剤の総モル数の割合として、1〜10モル%が好ましく、2〜9モル%がさらに好ましく、3〜8モル%が特に好ましい。
【0046】
重合温度は、50〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、70〜100℃が更に好ましく、80〜90℃が特に好ましい。重合温度は、使用する開始剤の分解温度により適宜調節される。本発明では、反応容器にモノマー(I)、モノマー(II)、低級アルコールを含む液体反応媒体を予め仕込んでから重合反応が終了するまで、反応液を前記範囲の温度とすることが好ましい。
【0047】
連鎖移動剤は、必要に応じて公知のものを使用できるが、使用しないのが溶液の色や匂いの点で好ましい。
【0048】
本発明の製造方法の好ましい例としては、
(a)使用する全モノマー(I)の1〜20重量%に相当する量のモノマー(I)、使用する全モノマー(II)の30〜80重量%に相当する量のモノマー(II)、及び低級アルコールを含む液体反応媒体を、重合開始前に予め反応容器に仕込む工程であって、重合開始前に予め反応容器に仕込まれたモノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)である工程、
(b)モノマー(I)、モノマー(II)、及び開始剤(好ましくは使用する全開始剤の30〜70重量%に相当する量の開始剤)を反応容器に添加(好ましくは滴下)する工程であって、残りのモノマー(I)の一部と残りのモノマー(II)の全部を添加する工程と、
(c)前記(b)で添加されなかった残りのモノマー(I)の全量、及び開始剤(好ましくは残りの開始剤の全量)を反応容器に添加する工程
を有するものが挙げられる。(a)〜(c)の工程では、それぞれ、モノマー(I)、モノマー(II)及び液体反応媒体を含む反応液の温度を70〜100℃とすることが好ましい。また、(c)の工程を70〜100℃で行い、使用する全モノマー(I)と使用する全モノマー(II)を添加した後、引き続き反応液を70〜100℃に1〜5時間保持することが好ましい。また、(b)の工程では、反応容器に添加するモノマー(I)とモノマー(II)の重量比は、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40であることが好ましい。
【0049】
<洗浄剤用高分子ビルダー>
本発明の製造方法により得られる洗浄剤用高分子ビルダーは、好ましくは、モノマー(I)由来の構成単位(I)及びモノマー(II)由来の構成単位(II)を含有し、構成単位(I)と構成単位(II)の重量比が、構成単位(I):構成単位(II)で好ましくは10:90〜60:40、より好ましくは12:88〜50:50、さらに好ましくは15:85〜30:70の高分子化合物である。
【0050】
本発明の製法方法により得られた高分子化合物は、必要応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、などのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ炭酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン、などで中和し、本発明の洗浄剤用高分子ビルダーとしてもよい。
【0051】
本発明に係る高分子化合物の重量平均分子量は、高硬度での泥汚れに対する洗浄力を向上させる観点から、好ましくは5000〜100000、より好ましくは10000〜70000、更に好ましくは15000〜50000の範囲内である。この重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で、カラムに東ソー(株)製TSKgelα−M(2本連結)、検出器に示差屈折率計を使用し、溶離液を60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lの臭化リチウムを添加したジメチルホルムアミド、標品をポリエチレングリコールとした条件で測定した場合の重量平均分子量である。
【0052】
本発明の製造方法により得られた洗浄剤用高分子ビルダーは、洗浄剤の剤形態に特に限定されることなく、例えば粉末洗浄剤、液体洗浄剤などに配合することができる。特に、本発明の衣料洗浄剤用高分子ビルダーは、界面活性剤、中でも非イオン界面活性剤との相溶性に優れ、液体洗浄剤用として優れたものである。界面活性剤との相溶性に優れることにより、液体洗浄剤に配合したとき、その組成物の透明性が良好であり、高濃縮の液体洗浄剤組成物とすることができる。
【0053】
本発明の製造方法により得られた洗浄剤用高分子ビルダーは、耐加水分解性に優れている。高温保存でも加水分解しにくく、性能、配合の安定性に優れている。また、溶液の色、匂いにも優れている。
【0054】
本発明の製造方法により得られた洗浄剤用高分子ビルダーは、衣料洗浄剤、好ましくは衣料用液体洗浄剤に配合される。この洗浄剤用高分子ビルダーを含有する衣料洗浄剤の一例として、本発明の洗浄剤用高分子ビルダーを0.1〜10重量%、ノニオン界面活性剤を20〜70重量%、アニオン界面活性剤を5〜20重量%、溶剤を1〜30重量%、水を5〜50重量%含有する衣料用液体洗浄剤(好ましくはノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の合計が50重量%以上)が挙げられる。
【実施例】
【0055】
[実施例1:合成ポリマー(1)の合成]
アクリル酸/ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数21)アリルエーテル=28/72(重量比)共重合体〔合成ポリマー(1)〕を以下のように合成した。
【0056】
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製)206g、イオン交換水126g、80%アクリル酸水溶液(東亞合成化学(株)製)5.2g(アクリル酸全重量基準の5%)、ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数21)アリルエーテル100.8g(ポリエチレングリコールアリルエーテル全重量基準の50%)を入れ、窒素雰囲気下で混合し、85℃まで昇温した。そこへ、80%アクリル酸水溶液49g、イオン交換水25g及びポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数21)アリルエーテル100.8gを混合した液(アクリル酸:ポリエチレングリコールアリルエーテル=28:72(重量比))と、過硫酸ソーダ(和光純薬工業(株)製)3.7g及びイオン交換水18.6gを混合した液とを、別々に84分かけて滴下した。滴下終了後、80%アクリル酸水溶液43.9gと、過硫酸ソーダ3.3g及びイオン交換水16.7gを混合した液とを、別々に153分かけて滴下した。滴下終了後、3時間85℃で撹拌を続けた。室温に戻し、合成ポリマー(1)を含有する溶液700g(ポリマー濃度:40重量%)を得た。得られた合成ポリマー(1)のGPC測定の結果、重量平均分子量は2.1万(ポリエチレングリコール換算)であった。また、1H−NMR測定の結果、得られた溶液中に残存するアクリル酸は、溶液中の濃度として検出限界以下、同様にポリエチレングリコールアリルエーテルは1.2重量%であった。モノマー添加量、重量比等は、表1記載の通りである。本例では、重合開始(0分)から使用する全モノマー(II)の86重量%が添加されるまでの間(60分)にわたって、反応液中の全モノマーの重量に対するモノマー(I)の重量の割合(%)の最大値と最小値の差は0%(0ポイント)であった。なお、表中、モノマー(I)/モノマー(II)の重量比で、反応液中の重量比は、0分は仕込量に基づくものであり、それ以降の重量比は測定値から算出したものである(以下同様)。なお、表中、全使用量に対する割合(重量%/累積量基準)が100%になった時点でモノマーの添加が終了していることを意味する(以下同様)。
【0057】
合成ポリマー(1)の溶液の色は無色透明であり、匂いは軽い溶剤臭はあるが、チオ化合物由来の特異臭は無かった。
【0058】
【表1】

【0059】
[実施例2:合成ポリマー(2)の合成]
アクリル酸/ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル=25/75(重量比)共重合体〔合成ポリマー(2)〕を以下のように合成した。
【0060】
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製)295g、イオン交換水192g、80%アクリル酸水溶液(東亞合成化学(株)製)6.3g(アクリル酸全重量基準の5%)、ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル150g(ポリエチレングリコールアリルエーテル全重量基準の50%)を入れ、窒素雰囲気下で混合し、85℃まで昇温した。そこへ、80%アクリル酸水溶液62.5g、イオン交換水37.5g及びポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル150gを混合した液(アクリル酸:ポリエチレングリコールアリルエーテル=25:75(重量比))と、過硫酸ソーダ(和光純薬工業(株)製)5.3g及びイオン交換水21.2gを混合した液とを、別々に75分かけて滴下した。滴下終了後、80%アクリル酸水溶液56.3gと、過硫酸ソーダ4.8g及びイオン交換水19.1gとを混合した液を、別々に135分かけて滴下した。滴下終了後、3時間85℃で撹拌を続けた。室温に戻し、合成ポリマー(2)を含有する溶液1000g(ポリマー濃度:40重量%)を得た。得られた合成ポリマー(2)のGPC測定の結果、重量平均分子量は2.1万(ポリエチレングリコール換算)であった。また、1H−NMR測定の結果、得られた溶液中に残存するアクリル酸は、溶液中の濃度として検出限界以下、同様にポリエチレングリコールアリルエーテルは1.6重量%であった。モノマー添加量、重量比等は、表2記載の通りである。本例では、重合開始(0分)から使用する全モノマー(II)の90重量%が添加されるまでの間(60分)にわたって、反応液中の全モノマーの重量に対するモノマー(I)の重量の割合(%)の最大値と最小値の差は0%(0ポイント)であった。
【0061】
合成ポリマー(2)の溶液の色は無色透明であり、匂いは軽い溶剤臭はあるが、チオ化合物由来の特異臭は無かった。
【0062】
【表2】

【0063】
[実施例3:合成ポリマー(3)の合成]
アクリル酸/ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル=25/75(重量比)共重合体〔合成ポリマー(3)〕を以下のように合成した。
【0064】
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製)880.4g、イオン交換水551.2g、80%アクリル酸水溶液(東亞合成化学(株)製)18.8g(アクリル酸全重量基準の5%)、ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル450.1g(ポリエチレングリコールアリルエーテル全重量基準の50%)を入れ、窒素雰囲気下で混合し、85℃まで昇温した。そこへ、80%アクリル酸水溶液187.5g、ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル450.0g及びイオン交換水112.5gを混合した液と、過硫酸ソーダ(和光純薬工業(株)製)15.9g、イオン交換水63.6g及び30%過酸化水素溶液(シグマアルドリッチ製)15.6gを混合した液とを、別々に75分かけて滴下した。滴下終了後、80%アクリル酸水溶液168.8gと、過硫酸ソーダ14.3g、イオン交換水57.3g及び30%過酸化水素溶液14.1gを混合した液とを、別々に135分かけて滴下した。滴下終了後、3時間85℃で撹拌を続けた。室温に戻し、合成ポリマー(3)を含有する溶液3000g(ポリマー濃度:40重量%)を得た。得られた合成ポリマー(3)のGPC測定の結果、重量平均分子量は2.2万(ポリエチレングリコール換算)であった。また、1H−NMR測定の結果、得られた溶液中に残存するアクリル酸は、溶液中の濃度として検出限界以下、同様にポリエチレングリコールアリルエーテルは2.2重量%であった。モノマー添加量、重量比等は、表3記載の通りである。本例では、重合開始(0分)から使用する全モノマー(II)の90重量%が添加されるまでの間(60分)にわたって、反応液中の全モノマーの重量に対するモノマー(I)の重量の割合(%)の最大値と最小値の差は1%(1ポイント)であった。
【0065】
また、合成ポリマー(3)の溶液の色は無色透明であり、匂いは軽い溶剤臭はあるが、チオ化合物由来の特異臭は無かった。
【0066】
【表3】

【0067】
[比較例1:比較合成ポリマー(1)の合成]
アクリル酸/ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル=25/75(重量比)共重合体〔比較合成ポリマー(1)〕を、以下のようにモノマー(II)の全量を予め反応容器に投入して合成した。
【0068】
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製)295.0g、イオン交換水154.6g、80%ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル水溶液375.0g(ポリエチレングリコールアリルエーテル全重量基準の100%)を入れ、窒素雰囲気下で混合し、85℃まで昇温した。そこへ、80%アクリル酸水溶液(東亞合成化学(株)製)125.0g(アクリル酸全重量基準の100%)と、過硫酸ソーダ(和光純薬工業(株)製)10.1g及びイオン交換水40.3gを混合した液とを、別々に60分かけて滴下した。滴下終了後、3時間85℃で撹拌を続けた。室温に戻し、比較合成ポリマー(1)を含有する溶液1000g(ポリマー濃度:40重量%)を得た。得られた比較合成ポリマー(1)のGPC測定の結果、重量平均分子量は2.9万(ポリエチレングリコール換算)であった。また、1H−NMR測定の結果、得られた溶液中に残存するアクリル酸は、溶液中の濃度として検出限界以下、同様にポリエチレングリコールアリルエーテルは2.0%であった。モノマー添加量、重量比等は、表4記載の通りである。
【0069】
また、比較合成ポリマー(1)の溶液の色は無色透明であり、匂いは軽い溶剤臭はあるが、チオ化合物由来の特異臭は無かった。
【0070】
【表4】

【0071】
[比較例2]
アクリル酸/ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル=25/75(重量比)共重合体を、以下のように液体反応媒体として水のみを用いて合成しようとしたが、反応を継続することができず、目的とする共重合体は得られなかった。
【0072】
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、イオン交換水147g、80%アクリル酸水溶液(東亞合成化学(株)製)6.3g(アクリル酸全重量基準の5%)、80%ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル水溶液188g(ポリエチレングリコールアリルエーテル全重量基準の50%)を入れ、窒素雰囲気下で混合し、85℃まで昇温した。そこへ、80%アクリル酸水溶液62.5g及び80%ポリエチレングリコール(エチレンオキシド平均付加モル数25)アリルエーテル水溶液188gを混合した液と、過硫酸ソーダ(和光純薬工業(株)製)2.7g、イオン交換水21.2g及び30%過酸化水素溶液(シグマアルドリッチ製)2.6gを混合した液とを、別々に75分かけて滴下した。滴下終了後、80%アクリル酸水溶液56.3gと、過硫酸ソーダ2.4g、イオン交換水19.1g及び30%過酸化水素溶液2.3gを混合した液とを、別々に135分かけて滴下しようとしたが、この滴下が95分経過したところで、反応液の粘度が上がるとともに生成したポリマーのゲル化が認められ、重合の継続が困難となった。
【0073】
<参考例1〜2、比較参考例1>
上記で得られた合成ポリマー(2)、(3)及び比較合成ポリマー(1)を用い、以下のように液体洗浄剤組成物への溶解性の評価を行った。
【0074】
〔I〕溶解性の評価
(I−1)
合成ポリマー(2)、(3)及び比較合成ポリマー(1)の溶液に、2−アミノエタノール(和光純薬(株)製)を加えて完全中和し、ポリマー濃度を20重量%となるようイオン交換水で調整する。
【0075】
(I−2)
上記(I−1)で調製した中和型ポリマーの20重量%溶液と表5に記載の成分とを用いて液体洗浄剤組成物を調製した。表5の成分を混合、脱泡し、25℃下で1時間静置して液体洗浄剤組成物を得た後、UV測定機器(島津製作所製 UV−2550、1cmセル、波長660nm)にて、透過率を測定した。評価結果を表*に示すが、透過率95%以上は透明溶解、95%未満は濁りあり、と判定できる。なお、表中の添加量の数値は、固形分あるいは有効成分換算の重量%である。
【0076】
【表5】

【0077】
*1:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エマルゲンLS−110、花王(株)製)
*2:直鎖アルキル(炭素数12〜14)ベンゼンスルホン酸
*3:和光純薬(株)製
*4:和光純薬(株)製

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表わされるモノマー〔以下、モノマー(I)という〕と、下記一般式(II)で表されるモノマー〔以下、モノマー(II)という〕とを、液体反応媒体を用いて反応容器中で重合反応させて洗浄剤用高分子ビルダーを製造するにあたり、
液体反応媒体として低級アルコールを含む液体を用い、
使用する全モノマー(I)の1〜20重量%に相当する量のモノマー(I)、及び使用する全モノマー(II)の30〜80重量%に相当する量のモノマー(II)を、モノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)となるように、重合開始前に予め反応容器に仕込み、
重合開始後にモノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する、
洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法。
【化1】


〔式中、R1は水素原子又は−COOMを表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、Mは、各々独立して、水素原子、1価金属、2価金属(1/2原子)、アンモニウム基、又は置換アンモニウム基を表す。〕
【化2】


〔式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、Aは1種類以上の炭素数2〜3のアルキレン基を表し、Xは水素原子、メチル基、フェニル基又はベンジル基を表し、nは平均付加モル数であり、10〜100の数を表す。〕
【請求項2】
洗浄剤用高分子ビルダーが、モノマー(I)由来の構成単位(I)及びモノマー(II)由来の構成単位(II)を、構成単位(I):構成単位(II)=10:90〜60:40の重量比で含有する高分子化合物である、請求項1記載の洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法。
【請求項3】
重合開始後の反応液中のモノマー(I)とモノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=0.4:99.6〜15:85(重量比)となるように、前記モノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する工程を有する、請求項1又は2記載の洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法。
【請求項4】
使用する全モノマー(I)と使用する全モノマー(II)との比率が、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40(重量比)となるように、前記モノマー(I)及びモノマー(II)の残りを反応容器に添加する、請求項1〜3の何れか1項記載の洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法。
【請求項5】
使用する全モノマー(II)の80重量%以上に相当する量を添加するまで、モノマー(I)及びモノマー(II)の残りを、モノマー(I):モノマー(II)=10:90〜60:40の重量比で反応容器に添加する、請求項1〜4の何れか1項記載の洗浄剤用高分子ビルダーの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の製造方法により得られる、洗浄剤用高分子ビルダー。

【公開番号】特開2011−12150(P2011−12150A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156622(P2009−156622)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】