説明

洗浄剤組成物

【課題】重炭酸ソーダを主成分をして 野菜、果物 及び 食器調理具用の洗浄剤に界面活性剤や漂白剤、添加物などの石油化学物質や 有害物を含まぬ安全な食品系素材だけで 組成されたもので しかも 水質水温をとわず迅速に 水に溶ける 自溶性タイプを目的とする。
【解決手段】重炭酸ソーダを主成分として 第二成分として 炭酸塩(Na、K、NH)を含む アルカリ組成物と ノンヒドロキシカルボン酸(コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸)を主成分として この副成分として第二酸性物質である ヒドロキシカルボン酸(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸)、スルファミン酸、酸性硫酸ソーダ ピロリドンカルボン酸からなり 目安として1%水溶液が 6〜10.5%に調整されており、且つ1.5〜15重量%のL−アスコルビン酸塩(Na、K、NH)を含む洗浄剤洗浄物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 界面活性剤を含むことなく スピーディに洗浄作用を有する安全性の優れた洗浄剤として 特に 重炭酸ソーダの特質を生かした洗浄剤に関するもので、より 使用感、仕上り感の優れた 重炭酸ソーダ主剤の 洗浄剤に関するものである。
重炭酸ソーダの その優れた洗浄力、安全性は 周知の通りであり これに酸性(酢酸など)を併用すると より強力な効用が期待できることも よく利用されていることである。
本発明は かかる 重炭酸ソーダの効用を より向上、改良して 使用し易く仕上りが より満足感の得られる成果をもたらすことを狙ったものである。
【背景技術】
【0002】
台所用洗剤 とくに 野菜、果物や 食器調理用具の洗剤として 長年 中性の界面活性剤を含む洗剤が 常用され 台所用洗剤としての位置を定着させたが、界面活性剤(石けんを含む)が必須成分であることに変わりはなく、今日も普及している一方、重炭酸ソーダやその他の塩類も 自動食器洗浄剤に端を発して 使用が増加しつつある。
特に 重炭酸ソーダは単独で 又は水溶液製剤として あるいは酢酸やクエン酸と併用して 発生機の二酸化炭素や酸素ガスによる 洗浄力が注目され 確固とした市場を形成している。
【0003】
特に 重炭酸ソーダにカルボン酸(−CooH)を併用することは 手軽に臨機応変に実施でき 水アカ、ヌメリなどの除去や 悪臭除去に有効であることを利用した商品も 情報も広く採用されているところである。
重炭酸ソーダが カルボン酸と併用すれば 炭酸イオンが活性化し これに二酸化炭素ガスの 物理的効果によって 汚れ成分を食器などの硬質面から解離させることは常用手段であるが カルボン酸を予混合すると 経時によって化学変化するので 商品化は難しい。
又、水道水の中の有害な塩素イオン除去するものはなく まして有効酸素を発生させて その物理的 化学的力で汚れを除去したり 酸化力による抗菌、消臭、制菌効果も期待できる。
又、重炭酸ソーダや クエン酸そのものにも 水アカ除去、炭酸イオン、水素イオンの力により 洗浄力はあるが 油、たんぱくなどの有機質除去力は乏しい。
いきおい 界面活性剤の力を必要とすることが求められるか 水溶性のソルベント(アルコールやグリコール)や オレンジオイルに代表されるテルペン系炭化水素(リモネン、ピネンなど)を併用して 洗浄力向上を狙う商品も 登場している。
【0004】
それ故、重炭酸ソーダに ノンヒドロキシ カルボン酸として コハク酸やフマル酸、マレイン酸、アジピン酸 などの相性のよい難水性の有機酸を併用し これに過硼酸や過炭酸のソーダや 過硫酸塩(カリやソーダ)あるいは リパーゼやプロテアーゼ インベルターゼなどの酵素を併用することもよく利用され 商品化されているものも多数あるが、水溶性、スピード洗浄、安全性、洗浄後の洗滓造成などの点で 不安が残るものも多い。
【発明の開示】

【発明の解決しようとする課題】
【0005】
本発明は 界面活性剤を含まないで注目されている重炭酸ソーダをベースとした洗浄剤(特に 野菜、果物、飲食器や調理具などのJISK−3370に準ずるジャンル)の汚れ除去を迅速且つ確実に しかも安心して逐行すること目的とする。
従来から 界面活性剤を含まない洗浄剤は アルカリ剤、キレート剤、有機溶剤漂白剤(O、Cl系)、酵素を利用したものが殆んどであった。その中に重炭酸ソーダを主材とした この類いの洗浄剤も出現した。とくに 重炭酸ソーダに セスキ炭酸ソーダ、ソーダ灰、けい酸ソーダ、メタけい酸ソーダ、クエン酸ソーダなどのアルカリ剤を併用したもの、重炭酸ソーダにカルボン酸(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、修酸、フマル酸)や酸性硫酸ソーダ、スルファミン酸も併用して 水和結合による化学的作用の中和タイプ 更に 重炭酸ソーダに過炭酸ソーダ、過硼酸ソーダ、過硫酸カリウムなどの 酸化剤を併用し COとOの相乗作用を期したものなど多岐に亘る。
【0006】
しかし乍ら 食品衛生法に基づく安全性はもとより より消費者の関心を惹く原料素材を用いて 洗浄力は勿論のこと 除菌力や塩素除去、抗菌力や鮮度を向上するには 不充分であったり 原料そのものの安全性が担保されておらず(銀イオン、炭酸塩など)加えて 商品としての外観や形状などの恒常性も必要であり 特に 原料の制約をうけることが決定的に 大きな障害になり 化学剤や薬剤の併用を余儀なくするか 2つ以上の商品を時系列的に併用するかにとどまった。
【0007】
その中で 抗酸化力があり 塩素除去、解毒作用、鮮度保持に 有用な成分として Lーアスコルビン酸(ビタミンC)が簡単に達成することが可能で、外観もよく 洗浄力、耐塩素力も好ましいことに 遭遇したがこの併用は 高温高湿下、とくにアルカリサイドで急変したように黄変、褐変、固化するきらいがある。
BHT、BHA、イオウ酸化物、dl−αトコフェロール など酸化防止剤や硫酸マグネシウム、シリカゲルも 有用な安定剤であるが 食品用として又 化学合成物である為 適応できない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこの状況で L−アスコルビン酸の効果をキープし乍ら 安定性のあるしかも pHが中性から弱アルカリ性にも強い 固質原料としてL−アスコルビン酸のナトリウム、カリウム、又はマグネシウムから選ばれた塩類が有効なることを 見い出したものである。
しかも 当該量は 全成分中2〜15重量%が 重炭酸ソーダの配合割合の5〜30%が 安定性と 洗浄力の点で優れていることも確認した。
L−アスコルビン酸塩、就中 ソーダ塩は 重炭酸ソーダ 及びノンヒドロキンカルボン酸との相性がよく pH(1%水溶液)も7〜8.8とほぼ中性を再現し、洗浄剤としては好都合である。
勿論この中に L−アスコルビン酸を 含有することは出来ない。
L−アスコルビン酸の塩のみの組成が 本発明にとって有用である。
【0009】
本発明の構成条件は 重炭酸ソーダを主成分となし これにアルカリ剤(炭酸ソーダ、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム)を副成分のアルカリ側材料として これに相当する ノンヒドロキシカルボン酸のコハク酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸、グルタル酸 を一方の主成分としこれに副成分の第二酸性物質である ヒドロキシカルボン酸(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸)ピロリドンカルボン酸、スルファミン酸、酸性硫酸ソーダを併用して1%の水溶液のpHが大体6〜10.5に収集するよう配合し、且つL−アスコルビン酸塩(Na、K、NH)を1.5〜15重量%含有した粉状体を調整してなるものである。
【0010】
本発明の組成物は 全体として粉末状の砂状物であるが 必要によりタブレット化(打錠)、スティック化、ペースト化 することを妨げない。
要は 湿気の吸入を軽減するために シリカ、タルク、方解石、モンモリナイトペントナイト、白雲石、でんぷん成分、セルロース、ポリサッカライド、シロキサン、ポリフロン、PEG、PVP、PVB、ポリアミド、アルブミン、トレハロース、キトサン、オリゴ糖、ヒアルロ酸ソーダ、コラーゲン、シクロデキストリン などの透膜形成料を含むことも出来る。
又 撥水剤としてスクワラン、ホホバ油、テルペン系炭化水素(リモネン、ピネン)セダー油、ヒノキチオール、エッセンシャルアロマオイル、パラフィン化合物を添加することも可能であり、その量は 本発明の本来の機能を損なわない限り許容される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の洗浄剤は 水に溶かしたときに発泡、発音し乍ら 塩類水溶液となるもので 結果として1%の水溶液のpHが6〜10.5 好ましくは7〜9.5になることが必要である。その為には 重炭酸ソーダを主成分となし(少なくても30%以上)副材のアルカリ剤として 炭酸塩(ソーダ、カリ、アンモニウム からなる)を重炭酸ソーダの含有量の約1/3〜1/4量を併用し アルカリ塩類として構成させる。一方、これを化学的に中和する成分として、ノンヒドロキンカルボン酸(コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸)を主成分として、重炭酸ソーダと同量ないし1/2量及び副材の酸性物質として クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、スルファミン酸、重硫酸ソーダ、ピロリドンカルボン酸をノンヒドロキンカルボン酸の量の1/2〜1/4量含ませて混合し 水に溶かした1%水溶液のpH6〜10.5就中% 7〜9.5になるように調整することになる。
【0012】
本発明にとって重要なことは この構成体にL−アスコルビン酸の塩としてそのナトリウム、カリウム、マグネシウム塩を1.5〜15%加入させて粉状体とすることである。L−アスコルピン酸塩は これより少なくても多くしても本来の洗浄力や抗菌力、耐塩素力を阻害し かえってよくない。又 L−アスコルビン酸そのものや これを他の塩類で中和したものも相応しくない。
【0013】
本発明は すべての水分や湿気を排除して ドライブレンドされる。
又 必要によってこれを打錠し、タブレット、防湿剤でスティックパウチにすることや 予め重炭酸ソーダ 及び アルカリ剤をPEG、CMC、デキストリン、アラビアゴム、PVA、PVB、PVMMA、コラーゲン、ゼラチン、ポリアクリル酸ソーダ、グラフト化アクリルポリマー、キサンタンガム、トレハロース、結晶セルロース、シリカゲル、ベントナイト、エアロジル、タルク などの無機や有機のポリマー皮膜物で包覆してもよい。
又 必要によって香料成分(アロマエッセンシャルオイル)、撥水剤(シロキサン、スクワラン、パラフィン、D−リモネン、ホホバオイル、DHA、EPA、セタノール、IPP、IPM、ワセリン、ワックス成分(カルナバ、ハチミツ、木ろう、セレシン など)ビタミンA、トコフェロールを本発明の効果を妨げない範囲で含ませることも出来る。
更に 目的を特化することで 特定の酵素成分(プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、カタラーゼ、インベルターゼ など)や着色成分(染料)を含ませることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって 奏される効果は以下のとおりである。
(1)界面活性剤や漂白剤、その他 強酸、強アルカリ剤や有機溶剤などを用いなくても 充分な洗浄力が可能である。
(2)水への自溶作用が優れており、水質、水温に関わりなく 水溶液として汚れに積極的に作用する。
(3)発生するCOやOの発泡発散効果で 汚れを解離する作用に優れている。
(4)すべての成分が 食品系成分であり 安全性がより高いものが期待できる。
(5)排水成分は 本来自然水に回帰するものであり 自然回復に叶っている。
(6)洗浄力だけでなく除菌力、消臭力、塩素除去力(デイクロルゼーション)酸化力(オキシデーション)も発揮し より迅速、新鮮な仕上りが期待できる。
(7)使用する原料は価格が豊富であり バランスがとり易く 製造プロセスもドライブレンドのシンプルな設備で量産できる。
次に 本発明を具体的に実施例によって詳述する
【実施例1】
以下の通り試作品を用いていくつかの評価を比較した
【表1】

【評価】
その1
▲あ▼外観の経時変化(40℃ 6ヶ月)
▲い▼0℃±2℃の水の10%液の10分後の残留率(%)
▲う▼30%水溶液(20±1℃)が溶けるまでの時間(秒)
▲え▼発泡性、発音性 肉眼、聴覚で観察する
内訳
▲あ▼◎−優れている(製造直後と有意差なし)
○−やや優れている(少し変色、増粘あり 10〜20%)
△−少し黄変、かたまり(変色 又は塊状物あり 30%〜)
×−黄変、かたまり、ベトツキあり
▲え▼◎−優れている。清涼感の音色
○−やや優れている。少し清涼感の音あり
△−泡立ちあるが音なし
×−泡立ち少ない。音も少ない
(▲あ▼▲え▼は5人のモニターの過半数の判定で決定)
その2
スライドグラス(18×110mmの上に(1)市販のマヨネーズ(2)市販の口紅▲う▼バター▲え▼JISK−3370の人工汚垢を塗布し、48時間後のサンプルを汚れとする。
試作品の5%水溶液(20±1℃)に5分、10分浸漬したのちの 汚れの落ち具合を肉眼観察し 4グレードで評価した。(n=3)
◎−約70%落ちている
○−約50%落ちている
△−約15〜30%落ちている
×−約15%以下しか落ちていない
その3
(1)塩素除去効果
有効塩素10ppmの水の中に 試作品の1%水溶液として これに試薬 オルトトリジン(1/10N)を滴下し乍らその色変化をみる

(2)酸化力テスト
N/10 カマンガン酸カリウム水溶液を入れて 1%水溶液の変化をみる

【結果】
【表2】

以上の結果は 本発明の組み合せのみが経時安定性、洗浄力 及び 塩素除去力有効酵素力のすべての面で 優れていることを確認した。
【実施例2】
次の組成からなる試作品を作り 設定した評価を確認した。
【表】

上記の試作品について 次の通り製品としての安定性、水溶性 及び 汚れ除去力を調査した。
安定性テスト
(1)それぞれの試作品を PET/AL/PE の3層ラミからなるパウチに10gづつ入れて封印し、40℃2ヶ月間放置し、その変化を調査した。
(2)10%水溶液を40℃で3時間放置したときの外観、におい などを調査した。
評価は それぞれ試作品を10個づつ作り、肉眼で外観を、嗅覚で臭いを比較した。
◎:大差なし
○:少し変化はあるが実質上問題なし
△:塊状物や黄変の斑点をかなり認める。臭いは焦げたような状況
×:著しい黄変や塊状物 あるいは刺激臭あり
【表】

(3)水溶性テスト
水(水900mlに試料品100g)10%が完溶するまでの要する時間(秒)を(n=3の平均値)測定した。

(消臭テスト)

3人のモニター(A、B、C)が悪臭の程度を調べた。

洗浄力テスト(人工汚垢)
(ア)白色の磁製皿(120mmΦ)にJISK−3370のリーナッツ人工汚垢を塗布して 72hr熟成する。
10%の試作品の水溶液(20℃)を入れたボールに それぞれ3枚の皿を15分つけおいた後 30秒づつ2回ため水ですすぎ その後風乾してその汚れの落ち具合を目視した。(n=3枚づつ)


(イ)JISK−3362によるJIS指標洗剤と 試作品6、7、8の洗浄力を比較した。
t検定よる結果:(試作品の温度より1%水溶液)

(ウ)抗菌テスト
供試菌(▲1▼Escherichia Coli O−157
▲2▼Staphylococcus aureus IFO 12732
の2種をそれぞれ ハートインフュションブイヨンに接種し 35℃24時間培養後 約106〜7個/mlになるようにコントロールした。試作品液5% 10mlに調整した供試菌液を0.15ml接種して常温で24時間生菌数を寒天培養を用いて生菌数を調査した。


抗菌テストの結果から明らかなように 本発明品は優れた抗菌力があることが実証できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重炭酸ソーダを主成分とし、これに炭酸塩(カリウム、ナトリウム、アンモニウム)を併用したアルカリ成分(対 重炭酸ソーダの30%以下)に有機酸としてコハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸 グルタル酸からなるノンヒドロキシカルボン酸と共に リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、スルファミン酸、ピロリドンカルボン酸、酸性硫酸ソーダ からなる第二酸性物にL−アスコルビン酸塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム)を配合して(1.5〜15重量%)1%水溶液がpH6〜10.5になるように構成することを特徴とする 洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−84539(P2009−84539A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276950(P2007−276950)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(592027492)株式会社楽 (13)
【Fターム(参考)】