説明

洗浄剤

【課題】ポリエステル繊維製品等の洗浄において、鉱物油、植物油及び動物油汚れに対して優れた洗浄性と再汚染防止性を有する繊維製品用洗浄剤を提供する。
【解決手段】例えば下記一般式(1)で表されるような非イオン界面活性剤等を含有する洗浄剤。


[式(1)中、R1は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を、A1Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を、aは1〜4、bは0〜3の整数を、a個あるbは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(a+ab)の総数は1〜4であり、cは0〜2の整数を、dはA1Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA1Oは同一であっても異なっていてもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維製品用の洗浄剤に関するものであり、さらに詳しくは、一般家庭やホームクリーニング工場、リネンサプライ工場、ダストコントロール工場などにおける衣料、リネン品等の水洗いに使用される洗浄剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりを受け、製品のリサイクルが推進されている。代表的な例がPETボトルのリサイクルであり、その用途はシート、成型品、結束テープなど多岐に渡るが、主にはポリエステル繊維へのリサイクルである。ポリエステル繊維は綿に比べ耐久性及び乾燥性が高いため、再生ポリエステル繊維又はその混紡繊維を利用したユニフォームやマット、モップ類は近年市場で増加傾向にある。
【0003】
従来、衣料等の水洗いにおける洗浄剤には種々の界面活性剤が使用されており、非イオン界面活性剤としては高級アルコール、合成アルコール、多価アルコール、脂肪酸のアルキレンオキシド付加物等が用いられている。しかし、これらの既存洗浄剤では、ポリエステル(再生ポリエステルを含む)繊維製品の油汚れに対する洗浄性や再汚染防止性が十分ではなかった。
【0004】
そこで上記の問題を解決するために、下記特許文献1、2において、再生樹脂を使用した繊維製品に洗浄効果を示す洗浄剤が提案されている。これらは芳香族環を含む炭化水素基にエチレンオキシ基又はオキシプロピレン基を付加した第1の非イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル化合物からなる第2の非イオン界面活性剤及びキレート剤を含有してなる繊維製品用洗浄剤である。しかしながら、これらの洗浄剤は既存洗浄剤より鉱物油及び植物油汚れに対する洗浄性は良好であるものの、食品工場や厨房関係で付着する動物油汚れに対する洗浄性は不十分であった。
【0005】
そこで、ポリエステルやその他の繊維製品の油汚れ全般に対して優れた洗浄性を有する新たな洗浄剤が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−202007号公報
【特許文献2】特開2008−75211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためのものであり、ポリエステル繊維製品の洗浄において、従来よりも、鉱物油、植物油及び動物油汚れに対して優れた洗浄性と再汚染防止性を有するとともに、ポリエステル以外の繊維、例えば、綿の繊維製品の洗浄においても、前記各油汚れに対して従来と同等、或いはより優れた洗浄性と再汚染防止性を有する繊維製品用洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)又は(2)で表される特定の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有することを特徴とする洗浄剤を提供する。
【0010】
【化1】

[式(1)中、R1は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、A1Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、aは1〜4、bは0〜3の整数を表し、a個あるbは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(a+ab)の総数は1〜4であり、cは0〜2の整数を表し、dはA1Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA1Oは同一であっても異なっていてもよい。ただし、(a+ab)が1の時、cは1又は2であって、cが1の時、R1の炭素数は7〜10であり、cが2の時、R1の炭素数は4〜10であり、複数あるR1は同一であっても異なっていてもよい。]
【化2】

[式(2)中、R2は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、A2Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4、fは0〜3の整数を表し、e個あるfは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(e+ef)の総数は1〜4であり、gは0〜2の整数を表し、hはA2Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA2Oは同一であっても異なっていてもよい。ただし、(e+ef)が1の時、gは1又は2であって、gが1の時、R2の炭素数は6〜10であり、gが2の時、R2の炭素数は3〜10であり、複数あるR2は同一であっても異なっていてもよい。]
【0011】
また、本発明は、上記一般式(1)又は(2)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上に加えて、下記一般式(3)〜(5)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有することを特徴とする洗浄剤を提供する。
【0012】
3O−(A3O)s−H (3)
[式(3)中、R3は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、A3Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、sはA3Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA3Oは同一であっても異なっていてもよい。]
4p−N−[(A4O)t−H]3-p (4)
[式(4)中、R4は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基、A4Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、tはA4Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA4Oは同一であっても異なっていてもよい。pは1又は2を表し、pが2の時、R4は同一であっても異なっていてもよい。]
5−COO−(A5O)u−X (5)
[式(5)中、R5は炭素数7〜17の脂肪族炭化水素基、A5Oは炭素数2〜4のアルキ
レンオキシ基を表し、uはA5Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA5Oは同一であっても異なっていてもよい。Xは水素原子又は−CO−R5を表し、Xが−CO−R5の場合、R5は同一であっても異なっていてもよい。]
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄剤は、ポリエステル繊維製品の鉱物油、植物油及び動物油汚れに対し、優れた洗浄性と再汚染防止性を有するとともに、ポリエステル繊維以外の繊維製品、例えば、綿などのセルロース系繊維製品の前記各油汚れに対しても従来と同等、又はより優れた洗浄性と再汚染防止性を有し、衣料やリネン品(レンタルユニホーム、テーブルクロス、ダストコントロール製品等)の洗浄に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の洗浄剤は下記一般式(1)又は(2)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有することを特徴とするものである。
【0015】
【化3】

[式(1)中、R1は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、A1Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、aは1〜4、bは0〜3の整数を表し、a個あるbは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(a+ab)の総数は1〜4であり、cは0〜2の整数を表し、dはA1Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA1Oは同一であっても異なっていてもよい。ただし、(a+ab)が1の時、cは1又は2であって、cが1の時、R1の炭素数は7〜10であり、cが2の時、R1の炭素数は4〜10であり、複数あるR1は同一であっても異なっていてもよい。]
【化4】

[式(2)中、R2は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、A2Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4、fは0〜3の整数を表し、e個あるfは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(e+ef)の総数は1〜4であり、gは0〜2の整数を表し、hはA2Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA2Oは同一であっても異なっていてもよい。ただし、(e+ef)が1の時、gは1又は2であって、gが1の時、R2の炭素数は6〜10であり、gが2の時、R2の炭素数は3〜10であり、複数あるR2は同一であっても異なっていてもよい。]
【0016】
本発明の洗浄剤を用いた洗浄方法としては、衣料等の被洗浄物と共に水に投入し撹拌する方法が挙げられる。
【0017】
式(1)において、R1は飽和であっても不飽和であってもよく直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい脂肪族炭化水素基を表す。R1の炭素数が前記範囲より大きいと、水溶性が不足し水中に洗浄剤が十分に分散されず洗浄性が低下する傾向にあり、前記範囲より小さいと、親油性が不足し油汚れに対する洗浄性が低下する傾向にある。
また、a、b及びcが前記条件より大きいと、水溶性が不足し水中に洗浄剤が十分に分散されず洗浄性が低下する傾向にある。
また、(a+ab)が1の時、cは1又は2であって、cが1の時、R1の炭素数は7〜10であり、cが2の時、R1の炭素数は4〜10であり、この時、複数あるR1は同一であっても異なっていてもよい。この条件を満たさない場合、親油性が不足し油汚れに対する洗浄性が低下する傾向にある。洗浄性と再汚染防止性がより優れることから、(a+ab)が1の時、cは1であることが好ましい。
【0018】
式(1)で表される非イオン界面活性剤の中でも、洗浄性と再汚染防止性がより優れることから、分子中の(a+ab)の総数が2又は3、cが0又は1、R1の炭素数が1〜5であるものがより好ましく、さらに、R1の炭素数が1〜5であるものが特に好ましい。
1Oとしてはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。これらのアルキレンオキシ基が2種以上付加する場合は、ブロック付加であってもランダム付加であってもよい。洗浄性と再汚染防止性がより優れることからエチレンオキシ基の単独付加、又はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック又はランダム付加が好ましい。
dは前記範囲より大きいと、親油性が不足し油汚れに対する洗浄性が低下する傾向にあり、前記範囲より小さいと、水溶性が不足し水中に洗浄剤が十分に分散されず洗浄性が低下する傾向にある。洗浄性と再汚染防止性がより優れることから、dは6〜15が好ましい。
【0019】
式(1)で表される非イオン界面活性剤としては、ベンジル化フェノール、ベンジル化アルキルフェノール等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
前記ベンジル化フェノールとしては、ジベンジル化フェノール、トリベンジル化フェノール、テトラベンジル化フェノール等が挙げられる。
前記ベンジル化アルキルフェノールとしては、クレゾール(メチルフェノール)、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基でモノ置換されたフェニル環を有するフェノール類や、キシレノール、チモール、カルバクロール等の炭素数1〜10の炭化水素基でジ置換されたフェニル環を有するフェノール類のフェニル環を、塩化メチルベンゼン等でジ、トリ又はテトラベンジル化したものが挙げられる。また、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の炭素数7〜10の脂肪族炭化水素基でモノ置換されたフェニル環を有するフェノール類や、炭素数4〜10の炭化水素基でジ置換されたフェニル環を有するフェノール類のフェニル環を、塩化メチルベンゼン等でモノベンジル化したものが挙げられる。
【0020】
式(2)において、R2は飽和であっても不飽和であってもよく直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい脂肪族炭化水素基を表す。R2の炭素数が前記範囲より大きいと、水溶性が不足し水中に洗浄剤が十分に分散されず洗浄性が低下する傾向にあり、前記範囲より小さいと、親油性が不足し油汚れに対する洗浄性が低下する傾向にある。
Rは水素原子又はメチル基を表す。
また、e、f及びgが前記条件より大きいと、水溶性が不足し水中に洗浄剤が十分に分散されず洗浄性が低下する傾向にある。
また、(e+ef)が1の時、gは1又は2であり、gが1の時、R2の炭素数は6〜10であり、gが2の時、R2の炭素数は3〜10であり、この時、複数あるR2は同一で
あっても異なっていてもよい。この条件を満たさない場合、親油性が不足し油汚れに対する洗浄性が低下する傾向にある。洗浄性と再汚染防止性がより優れることから、(e+ef)が1の時、gは1であることが好ましい。
【0021】
式(2)で表される非イオン界面活性剤の中でも、洗浄性と再汚染防止性がより優れることから、分子中の(e+ef)の総数が2又は3、gが0又は1、R2の炭素数が1〜5であるものがより好ましく、さらに、R2の炭素数が1〜5であるものが特に好ましい。
2Oとしては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。これらのアルキレンオキシ基が2種以上付加する場合は、ブロック付加であってもランダム付加であってもよい。洗浄性と再汚染防止性がより優れることからエチレンオキシ基の単独付加、又はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック又はランダム付加が好ましい。
hは前記範囲より大きいと、親油性が不足し油汚れに対する洗浄性が低下する傾向にあり、前記範囲より小さいと、水溶性が不足し水中に洗浄剤が十分に分散されず洗浄性が低下する傾向にある。洗浄性と再汚染防止性がより優れることから、hは6〜15が好ましい。
【0022】
式(2)で表される非イオン界面活性剤としては、スチレン化フェノール、スチレン化アルキルフェノール、α−メチルスチレン化フェノール、α−メチルスチレン化アルキルフェノール等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
前記スチレン化フェノールとしては、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール、テトラスチレン化フェノール等が挙げられる。
前記スチレン化アルキルフェノールとしては、クレゾール(メチルフェノール)、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基でモノ置換されたフェニル環を有するフェノール類や、キシレノール、チモール、カルバクロール等の炭素数1〜10の炭化水素基でジ置換されたフェニル環を有するフェノール類のフェニル環を、スチレンでジ、トリ又はテトラスチレン化したものが挙げられる。また、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素基でモノ置換されたフェニル環を有するフェノール類や、炭素数3〜10の炭化水素基でジ置換されたフェニル環を有するフェノール類のフェニル環を、スチレンでモノスチレン化したものが挙げられる。
【0023】
前記α−メチルスチレン化フェノールとしては、ジα−メチルスチレン化フェノール、トリα−メチルスチレン化フェノール、テトラα−メチルスチレン化フェノール等が挙げられる。
前記α−メチルスチレン化アルキルフェノールとしては、クレゾール(メチルフェノール)、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基でモノ置換されたフェニル環を有するフェノール類や、キシレノール、チモール、カルバクロール等の炭素数1〜10の炭化水素基でジ置換されたフェニル環を有するフェノール類のフェニル環を、α−メチルスチレンでジ、トリ又はテトラα−メチルスチレン化したものが挙げられる。また、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素基でモノ置換されたフェニル環を有するフェノール類や、炭素数3〜10の炭化水素基でジ置換されたフェニル環を有するフェノール類のフェニル環を、α−メチルスチレンでモノα−メチルスチレン化したものが挙げられる。
【0024】
式(1)又は(2)で表される非イオン界面活性剤は、非イオン界面活性剤合成する従来公知の方法により得ることができる。
例えば、前記ベンジル化フェノール、ベンジル化アルキルフェノール、スチレン化フェ
ノール、スチレン化アルキルフェノール、α−メチルスチレン化フェノール又はα−メチルスチレン化アルキルフェノールと、塩基触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)とを高温及び減圧下で充分に脱水した後、80〜200℃でエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを単独、ブロック又はランダム付加させることにより得ることができる。
【0025】
さらに、本発明の洗浄剤は、式(1)又は(2)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上に加えて、下記一般式(3)〜(5)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有することが好ましい。
【0026】
3O−(A3O)s−H (3)
[式(3)中、R3は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、A3Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、sはA3Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA3Oは同一であっても異なっていてもよい。]
4p−N−[(A4O)t−H]3-p (4)
[式(4)中、R4は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基、A4Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、tはA4Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA4Oは同一であっても異なっていてもよい。pは1又は2を表し、pが2の時、R4は同一であっても異なっていてもよい。]
5−COO−(A5O)u−X (5)
[式(5)中、R5は炭素数7〜17の脂肪族炭化水素基、A5Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、uはA5Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA5Oは同一であっても異なっていてもよい。Xは水素原子又は−CO−R5を表し、Xが−CO−R5の場合、R5は同一であっても異なっていてもよい。]
【0027】
式(3)において、R3は飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい脂肪族炭化水素基を表す。R3の炭素数が前記範囲外であると、併用による洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、R3の炭素数は10〜16が好ましい。
3Oとしては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。これらのアルキレンオキシ基が2種以上付加する場合は、ブロック付加であってもランダム付加であってもよい。洗浄性と再汚染防止性がより向上することからエチレンオキシ基の単独付加、又はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック又はランダム付加が好ましい。
sは前記範囲外であると、併用による洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、sは3〜15が好ましい。
【0028】
式(3)の非イオン界面活性剤は、非イオン界面活性剤合成する従来公知の方法により得ることができる。例えば、前述した手順により、炭素数8〜18の1価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを単独、ブロック又はランダム付加する方法が挙げられる。
前記1価アルコールとしては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0029】
式(4)において、R4は飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい脂肪族炭化水素基を表す。R4の炭素数が前記範囲外であると、併用による洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、R4の炭素数は10〜16が好ましい。
4Oとしては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げら
れる。これらのアルキレンオキシ基が2種以上付加する場合は、ブロック付加であってもランダム付加であってもよい。洗浄性と再汚染防止性がより向上することからエチレンオキシ基の単独付加、又はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック又はランダム付加が好ましい。
tは前記範囲外であると、併用による洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、tは3〜15が好ましい。
pは1又は2を表し、pが2の場合、R4は同一であっても異なっていてもよい。洗浄性と再汚染防止性がより向上することからpは1が好ましい。
【0030】
式(4)の非イオン界面活性剤は、非イオン界面活性剤合成する従来公知の方法により得ることができる。例えば、炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を有する、モノアルキルアミン又はジアルキルアミンに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを単独、ブロック又はランダム付加する方法が挙げられる。
前記モノアルキルアミンとしてはオクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ヤシアルキルアミン、牛脂アミン、オレイルアミン、大豆アルキルアミン等が挙げられる。前記ジアルキルアミンとしてはジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジパルミチルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる。前記ジアルキルアミンとしてはジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジパルミチルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる。
【0031】
式(5)において、R5は飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい脂肪族炭化水素基を表す。R5の炭素数が前記範囲外であると、併用による洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、R5の炭素数は9〜17が好ましい。
5Oとしては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基が挙げられる。これらのアルキレンオキシ基が2種以上付加する場合は、ブロック付加であってもランダム付加であってもよい。洗浄性と再汚染防止性がより向上することからエチレンオキシ基の単独付加、又はエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基のブロック又はランダム付加が好ましい。
uは前記範囲外であると、併用による洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、uは3〜15が好ましい。
【0032】
式(5)の非イオン界面活性剤は、非イオン界面活性剤合成する従来公知の方法により得ることができる。例えば、前述した手順により炭素数8〜18の脂肪族カルボン酸にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを単独、ブロック又はランダム付加する方法や、ポリアルキレングリコールに炭素数8〜18の脂肪族カルボン酸をモノ又はジエステル化する方法が挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0033】
前記ポリオキシアルキレングリコールとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが付加重合したものが挙げられ、付加形態はこれらのうち1種のみの単独付加であっても、2種以上のブロック又はランダム付加であってもよい。
このようなポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドがランダム付加したもの等が挙げられる。
【0034】
本発明の洗浄剤には、式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤の中でも、洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、式(3)又は(4)の非イオン界面活性剤のいずれか
1種以上を含有することが好ましく、式(4)の非イオン界面活性剤がより好ましい。
【0035】
式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤の洗浄剤への総配合量は、(1)〜(5)の非イオン界面活性剤の総配合量の0.1〜75質量%が好ましい。前記範囲より大きいと、併用による、ポリエステル繊維に対する洗浄性と再汚染防止性の向上が十分に得られない傾向がある。洗浄性と再汚染防止性がより向上することから、0.1〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
【0036】
式(1)又は(2)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上、又は、それと式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上との混合物は、洗浄剤としてそのまま用いてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で他成分と混合して用いてもよい。
【0037】
他成分と混合して用いる場合の洗浄剤への前記式(1)〜(5)の非イオン界面活性剤の総配合量に特に制限はなく、目的や使用状況に応じて適宜選択され得る。また、本発明の洗浄剤の形状に特に制限はなく、液状であっても粉末状であってもよい。
【0038】
例えば、式(1)又は(2)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上、又は、それと式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上との混合物を、水に溶解又は分散させ液状洗浄剤として用いることができる。その場合、前記式(1)〜(5)の非イオン界面活性剤の液状洗浄剤への総配合量に特に制限はなく、保存、洗浄等の使用目的や保存方法、洗浄方法等の使用方法、温度、被洗浄物の量等の使用条件によって適宜選択され得るが、例えば、10〜80質量%という量が挙げられる。
【0039】
また、前記液状洗浄剤のpHに特に制限はなく、例えば、5〜11というpHが挙げられ、必要に応じてpH調整剤を添加することもできる。pH調整剤の例としては、アルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、酸としては塩酸、硫酸、リン酸等挙げることができる。
【0040】
また、例えば、式(1)又は(2)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上、又は、それと式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上との混合物を、後述するビルダーと混合し粉末状洗浄剤として用いることもできる。
【0041】
その場合、前記式(1)〜(5)の非イオン界面活性剤の粉末状洗浄剤への総配合量に特に制限はなく、保存、洗浄等の使用目的や保存方法、洗浄方法等の使用方法、温度、被洗浄物の量等の使用条件等によって適宜選択され得るが、例えば、1〜20質量%という量が挙げられる。
【0042】
また、本発明の洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、洗浄剤に従来用いられる他の成分をさらに添加してもよい。
そのような成分としては、アニオン界面活性剤、ビルダー、再汚染防止剤、アルカリ剤、ハイドロトロープ剤、酵素、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、蛍光増白剤、石鹸、消泡剤、抗菌剤、香料などが挙げられる。
【0043】
アニオン界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等のスルホン基を有するものや、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル基を有するものが挙げられる。
それらの対塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、ジエタノールアミン
、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
【0044】
ビルダーとしては、無機ビルダー、有機ビルダー、及びこれらの混合物が挙げられる。無機ビルダーとしては、ホワイトカーボン、メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩、硫酸ナトリウム等の硫酸塩、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、ゼオライト等が挙げられる。有機ビルダーとしてはクエン酸、グルコン酸、酒石酸、シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0045】
再汚染防止剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸の共重合体、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0046】
アルカリ剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸塩、炭酸カリウムナトリウム等の複塩、珪酸ナトリウム等の珪酸塩が挙げられる。
ハイドロトロープ剤としては、低級アルコール、グリコール系溶剤、エタノールアミン等が挙げられる。
酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ等が挙げられる。
【0047】
本発明の洗浄剤を用いた洗浄方法としては、衣料等の繊維製品を洗浄する従来の方法を採用することができる。例えば、本発明の洗浄剤を水に添加し、水溶液又は水分散液とした中に被洗浄物を投入し撹拌する方法が挙げられる。
【0048】
また、式(1)又は(2)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有する洗浄剤と、式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上と、或いは式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上とその他の成分との混合物を、別々に水に添加し、洗浄してもよい。
【0049】
水溶液又は水分散液中における、式(1)又は(2)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上の、或いはそれと式(3)〜(5)の非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を合わせた総濃度は、被洗浄物の量、汚れ具合、水温等の洗浄条件により適宜調節され得るが、水溶液又は水分散液に対し0.05〜5質量%であることが好ましい。
【0050】
本発明の洗浄剤を使用できる繊維の種類としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリイミド繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維、レーヨン、キュプラ、テンセル(登録商標)などの再生セルロ−ス繊維、アセテート、プロミックスなどの半合成繊維、及び、これらの繊維の複合繊維などが挙げられる。
【0051】
また、これらの製品形態としても特に限定されず、例えば、短繊維、長繊維、糸、織物、編物、不織布、わた、スライバー、トップなどが挙げられる。
【0052】
本発明の洗浄剤は、ポリエステル(再生ポリエステルを含む)繊維製品の油汚れに対し、従来よりも優れた洗浄性と再汚染防止性を発揮するとともに、上記のようなポリエステル繊維以外の繊維製品の油汚れに対しても、従来と同等、或いはそれ以上の洗浄性と再汚染防止性を有する。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
1.洗浄剤
以下の非イオン界面活性剤を用いて表1、表2の実施例及び比較例の洗浄剤を得た。なお、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表す。
(1)
1−1.ジベンジル化フェノールのEO付加物(平均付加モル数8mol)
1−2.トリスチレン化フェノールのEO付加物(平均付加モル数12mol)
1−3.トリスチレン化フェノールのEO付加物(平均付加モル数20mol)
1−4.トリスチレン化フェノールのEO、POランダム付加物(平均付加モル数、EO:10mol、PO:2mol)
1−5.ジスチレン化クレゾールのEO、POランダム付加物(平均付加モル数、EO:6mol、PO:2mol)
(2)
2−1.ドデシルアルコールのEO付加物(平均付加モル数7mol)
2−2.テトラデシルアルコールのEO、POランダム付加物(平均付加モル数、EO:6mol、PO:4mol)
2−3.ドデシルアミンのEO付加物(平均付加モル数3mol)
2−4.オレイン酸のEO付加物(平均付加モル数15mol)
2−5.ドデシルアルコールのEO付加物(平均付加モル数9mol)
(3)
3−1.トリスチレン化フェノールのEO付加物(平均付加モル数4mol)
3−2.トリスチレン化フェノールのEO付加物(平均付加モル数30mol)
3−3.モノスチレン化フェノールのEO付加物(平均付加モル数8mol)
3−4.クミルフェノールのEO付加物(平均付加モル数8mol)
3−5.ペンタスチレン化フェノールのEO付加物(平均付加モル数10mol)
【0054】
2.ポリエステル、綿繊維の油汚れに対する洗浄性及び再汚染防止性
表1及び2に示す組成で実施例1〜14及び比較例1〜13の洗浄剤を得、以下の方法によりポリエステルと綿繊維の動物油、植物油及び鉱物油汚れに対する洗浄性と再汚染防止性を評価した。
(1)洗浄方法
試験布として5cm×5cmの、ポリエステル布及び綿メリヤス布を用いた。動物油としてラード、植物油としてオリーブ油、鉱物油としてブライトストック((株)ジャパンエナジー社製、商品名:JOMO ブライトストック)を用い、各油75gに、0.0075gの顔料(スダンIII)と25gの石油系溶剤(新日本石油(株)製、製品名:ニューソルDX)を混合し、各油汚れ液を作成した。各油汚れ液を、ポリエステル布又は綿メリヤス布の試験布に0.1g付着させ、汚染布を作成した。
洗浄は、ポリエステル布と綿メリヤス布とで別浴にて行った。
【0055】
500mlステンレスポットに、実施例1〜14及び比較例1〜13の洗浄剤の濃度が0.1質量%である水溶液と、前記各油汚れ液を付着させた汚染布を同量ずつと、未汚染の試験布3枚とを、浴比1:20となるように加え、ラウンダ・オ・メーター(大栄科学精器製作所(株)製、L−20)を用いて50℃、10分間、撹拌洗浄した。その後、30秒〜1分間、流水し手で揉みながらすすぎを行い、遠心脱水機(栄光産業(株)、H−120A)を用いて30秒間脱水し、風乾した。
【0056】
(2)洗浄性評価
上記の方法で汚染布を洗浄後、汚染布の反射率を反射率計((株)村上色彩技術研究所
製、色彩計CM−53D型)を用いて測定した。未洗浄かつ未汚染の試験布、及び、洗浄前後の汚染布の反射率と下式を用いて、各油汚れに対する洗浄率を算出し、洗浄性を下記基準により評価した。その結果を表1及び2に示す。洗浄率が高いほど洗浄性が良好であることを示す。
洗浄率(%)={(RW1−RS1)/(R01−RS1)}×100
(式中、RW1は洗浄後の汚染布の反射率、RS1は洗浄前の汚染布の反射率、R01は未洗浄かつ未汚染の試験布の反射率である。)
【0057】
洗浄性評価基準
(i)鉱物油汚れ
◎:60<洗浄率(%)であり、非常に優れている。
○:20<洗浄率(%)≦60であり、優れている。
△:10<洗浄率(%)≦20であり、やや劣る。
×:洗浄率(%)≦10であり、劣る。
【0058】
(ii)動物油汚れ
◎:30<洗浄率(%)であり、非常に優れている。
○:20<洗浄率(%)≦30であり、優れている。
△:10<洗浄率(%)≦20であり、やや劣る。
×:洗浄率(%)≦10であり、劣る。
【0059】
(iii)植物油汚れ
◎:50<洗浄率(%)であり、非常に優れている。
○:20<洗浄率(%)≦50であり、優れている。
△:10<洗浄率(%)≦20であり、やや劣る。
×:洗浄率(%)≦10であり、劣る。
【0060】
(3)再汚染防止性評価
上記の方法で未汚染の試験布を洗浄後、それらの反射率を反射率計((株)村上色彩技術研究所製、色彩計CM−53D型)を用いて測定した。未洗浄かつ未汚染の試験布、及び、洗浄後の未汚染の試験布の反射率と、下式とを用いて再汚染率を算出し、再汚染防止性を下記基準により評価した。その結果を表1及び2に示す。なお、評価には、未汚染の試験布3枚の再汚染率の平均値を用いた。再汚染率が低いほど再汚染防止性が良好であることを示す。
汚染率(%)={(RW2−R02)/R02}×100
(式中、RW2は洗浄後の未汚染の試験布の反射率、R02は未洗浄かつ未汚染の試験布の反射率である。)
【0061】
再汚染防止性評価基準
◎:再汚染率が5%未満であり、非常に優れている。
○:再汚染率が5%以上10%未満であり、優れている。
△:再汚染率が10%以上20%未満であり、やや劣る。
×:再汚染率が20%以上であり、劣る。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
表1のように、実施例5以外の洗浄剤は、綿及びポリエステル繊維の各油汚れに対して、従来よりも優れた洗浄性と再汚染防止性を同時に発揮することが分かった。
実施例5の洗浄剤は、綿繊維の各油汚れに対する再汚染防止性が従来と同等程度であるが、ポリエステル繊維製品の各油汚れに対し、従来よりも優れた再汚染防止性を有し、また、特定の非イオン界面活性剤を併用することにより、綿及びポリエステル繊維の各油汚れに対して、従来よりも優れた洗浄性と再汚染防止性を同時に発揮することが分かった。
また、表2のように、比較例の洗浄剤は、ポリエステル繊維の各油汚れに対して、優れた洗浄性と再汚染防止性を得ることはできなかった。
【0065】
3.再生ポリエステル繊維の油汚れに対する洗浄性評価
再生ポリエステル繊維の油汚れに対する洗浄性を以下のように評価した。
試験布として、厨房で1週間使用し、サラダ油主体の臭気を認める再生ポリエステルマット(三宝物産(株)製、製品名:吸水ドライECOマット)を4cm×6cmの長方形に切り取ったものを用いた。
500mlのステンレスポットに、濃度が表3となるように、水と、実施例2、3、比較例4、9の洗浄剤と、表4に示す組成の粉末洗浄剤とを添加し、試験布を浴比1:20となるよう加え、ラウンダ・オ・メーター(大栄科学精器製作所(株)製、L−20)を用いて60℃、10分間撹拌洗浄した。その後、30秒〜1分間、流水し手で揉みながらすすぎを行い、遠心脱水機(栄光産業(株)、H−120A)を用いて30秒間脱水し、風乾した。
洗浄後の試験布について、外観、及び、パネラー5人による臭気の官能評価を行い、洗浄性を評価した。その結果を表3に示す。
【0066】
(1)外観の官能評価
下記基準により洗浄性評価を行った。その結果を表3に示す。
評価基準
○:汚れ落ちがはっきりと分かり、洗浄性が非常に優れる。
△:汚れ落ちがやや分かり、洗浄性がやや劣る。
×:汚れ落ちが分からず、洗浄性が劣る。
【0067】
(2)臭気の官能評価
パネラー5人に、洗浄後の試験布の臭気を嗅いてもらい、4段階で点数をつけてもらった。点数のつけ方は、臭気の強い試料を0点、やや臭気の強い試料を1点、臭気の弱い試料を2点、無臭を3点とした。パネラー5人の合計値を用いて以下の基準により評価を行なった。その結果を表3に示す。
◎:合計値が12〜15であり、洗浄性が非常に優れる。
○:合計値が8〜11であり、洗浄性が優れる。
△:合計値が4〜7であり、洗浄性がやや劣る。
×:合計値が0〜3であり、洗浄性が劣る。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
表3のように、実施例15及び16の洗浄方法において、再生ポリエステル繊維の油汚れ(サラダ油主体)に対しても優れた洗浄性を発揮することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の洗浄剤は、ポリエステル繊維製品の鉱物油、植物油及び動物油汚れに対し、優れた洗浄性と再汚染防止性を発揮できるとともに、ポリエステル以外の繊維製品、例えば、綿繊維製品の前記各油汚れに対しても従来と同等、又はより優れた洗浄性と再汚染防止性を有する。よって、ポリエステルや綿、それらの混紡繊維等を用いた衣料やリネン品(レンタルユニホーム、テーブルクロス、ダストコントロール製品等)の洗浄に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)又は(2)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有することを特徴とする洗浄剤。
【化1】

[式(1)中、R1は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、A1Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、aは1〜4、bは0〜3の整数を表し、a個あるbは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(a+ab)の総数は1〜4であり、cは0〜2の整数を表し、dはA1Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA1Oは同一であっても異なっていてもよい。ただし、(a+ab)が1の時、cは1又は2であって、cが1の時、R1の炭素数は7〜10であり、cが2の時、R1の炭素数は4〜10であり、複数あるR1は同一であっても異なっていてもよい。]
【化2】

[式(2)中、R2は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表し、A2Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4、fは0〜3の整数を表し、e個あるfは同一であっても異なっていてもよく、分子中の(e+ef)の総数は1〜4であり、gは0〜2の整数を表し、hはA2Oの平均付加モル数であって5〜20の整数を表し、複数のA2Oは同一であっても異なっていてもよい。ただし、(e+ef)が1の時、gは1又は2であって、gが1の時、R2の炭素数は6〜10であり、gが2の時、R2の炭素数は3〜10であり、複数あるR2は同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
上記一般式(1)又は(2)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上に加えて、下記一般式(3)〜(5)で表される非イオン界面活性剤のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
3O−(A3O)s−H (3)
[式(3)中、R3は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、A3Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、sはA3Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA3Oは同一であっても異なっていてもよい。]
4p−N−[(A4O)t−H]3-p (4)
[式(4)中、R4は炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基、A4Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、tはA4Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA4Oは同一であっても異なっていてもよい。pは1又は2を表し、pが2の時、R4は同一であっても異なっていてもよい。]
5−COO−(A5O)u−X (5)
[式(5)中、R5は炭素数7〜17の脂肪族炭化水素基、A5Oは炭素数2〜4のアルキ
レンオキシ基を表し、uはA5Oの平均付加モル数であって2〜25の整数を表し、複数あるA5Oは同一であっても異なっていてもよい。Xは水素原子又は−CO−R5を表し、Xが−CO−R5の場合、R5は同一であっても異なっていてもよい。]

【公開番号】特開2012−184375(P2012−184375A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49997(P2011−49997)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【Fターム(参考)】