説明

洗浄方法

【課題】タバコのヤニが付着した塗装された壁面および天井面を、ほぼ原状に近い程度にまでタバコのヤニを落とす洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄剤として、次亜塩素酸ナトリウムに無機アルカリとメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、プロピルアルコールの中から選択されるアルコール類、および水を加えることで、pHが10〜12、有効塩素の濃度が1〜6重量%になるように調整した洗浄液を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の塗装された壁や天井が主にタバコのヤニによって汚染された場合、原状回復するに際しての効果的な洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タバコのヤニ汚れを取るためには、界面活性剤を主成分とした洗浄剤を用い、ブラシ、布巾などの洗浄道具で洗浄作業を行うのが一般的である。しかしながら、表面塗装された壁面や天井面においては、タバコのヤニが塗膜内部まで浸透することが多く、十分除去するに至らない場合がほとんどである。さらに、除去性を高めるために洗浄剤の検討も数々なされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-013098
【特許文献2】特開平07-179896
【特許文献3】特開2001-239223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内の壁や天井の塗装として、酢酸ビニル系やアクリル系の水性エマルジョンタイプの塗料が特に事務所を中心に用いられている。当該塗装はコストパーフォーマンスが良好であり、手垢や埃等の汚れは、一般的な洗浄剤による洗浄で簡単に落とすことができるので広く適応されている。
【0005】
しかしながら、タバコのヤニについては塗膜内部まで浸透することから、完全除去するのは非常に困難であり、汚染が進行するとその除去は不可能である。そのため、タバコのヤニ汚染が進行した場合は、塗り直すことが必要となる。タバコのヤニの除去性に優れた洗浄剤も開発されているものの、このような塗装面に関しては満足できるレベルではない。
【0006】
本発明は、タバコのヤニ汚染が進行した室内の壁、天井の塗装面の汚れを、ほとんど原状に近い程度にまで汚れ落としを可能とする洗浄方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
タバコのヤニ汚染が進行した室内の壁、天井の塗装面の汚れに対して、各種市販の洗剤および薬剤を使用し、その効果を把握した。その結果、通常の界面活性剤を中心とする洗浄剤よりも、過炭酸ナトリウム、過酸化水素水、もしくは次亜塩素酸ナトリウムのような酸化作用を有する漂白剤が効果的であり、中でも、次亜塩素酸ナトリウムの効果が最も高かった。しかし、次亜塩素酸ナトリウムで洗浄した場合、ムラが発生することから満足のいくものではなかった。
【0008】
さらに検討を進めた結果、次亜塩素酸ナトリウムに無機アルカリ、およびメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、プロピルアルコールの中から選択されるアルコール類を添加することでムラの発生がなくなることを発見した。これは、濡れ性の改善と、ヤニに対する溶解力向上が要因だと推定される。
【0009】
さらに、濃度の最適化実験によって、次亜塩素酸ナトリウムに無機アルカリとアルコール類、および水を加えることで、pHが10〜12、有効塩素の濃度が1〜6重量%になるように調整した洗浄剤が最適であった。アルコール類の濃度については特に規定されるものではないが、全重量に対して、3〜30重量%の添加が良好であった。
【発明の効果】
【0010】
当該洗浄剤を用いることで、塗装された室内の壁面および天井面に付着したタバコのヤニが原状に近い程度まで除去できた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで無機アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムから選択されるアルカリ性化合物をいう。
【0012】
作業方法としては、当該洗浄剤をスプレー、モップ、スポンジ、布等で対象面に塗布した後、酸化反応時間として5秒から60秒程度放置し、洗浄液を拭き取る。汚れの程度に応じて、この作業を繰り返す。
【実施例】
【0013】
一般的に市販されている有効塩素の濃度が12重量%の次亜塩素酸ナトリウムに、水酸化ナトリウム、および水道水とエチルアルコールの2:1混合液を加え、pHが11、有効塩素の濃度が3重量%になるように調整した洗浄剤を準備。この洗浄剤を、喫煙ルームとして使用し、かなりタバコのヤニが付着している塗装壁面にスプレーで塗布した。30秒後、乾いた布で塗布液を拭き取ったところ、ほぼ原状に近い程度までタバコのヤニを除去することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸ナトリウムに無機アルカリとメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、プロピルアルコールの中から選択されるアルコール類、および水を加えることで、pHが10〜12、有効塩素の濃度が1〜6重量%になるように調整した洗浄剤を用いることを特徴とする、塗装された壁面および天井面に付着したタバコのヤニの除去を目的とした洗浄方法。
【請求項2】
請求項1において、アルコール類の濃度が洗浄剤の全重量に対して、3〜30重量%の範囲に調整した洗浄剤であることを特徴とする洗浄方法。

【公開番号】特開2011−63641(P2011−63641A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213020(P2009−213020)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(309026831)サンリミックスネットワークス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】