説明

洗浄装置

【課題】洗浄槽内の気体を置換するための置換気体を再利用することが可能な洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄システム1は、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって被洗浄対象物500を洗浄する洗浄システム1において、被洗浄対象物500を収容するための洗浄槽310と、洗浄槽310内の気体と置換するための置換気体を含む気体を洗浄槽310に供給するための供給管330と、置換気体と洗浄槽310内の気体とを含む混合気体を洗浄槽310から排出するための排出管340と、排出管340から排出された混合気体を供給管330を通じて洗浄槽310に戻すために排出管340と供給管330とに接続される返還流路370とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には洗浄装置に関し、特定的には、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて、例えば繊維の洗浄を行なう洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄方法としては、水、有機溶剤、酸、アルカリなどの溶媒を利用する湿式洗浄があるが、このような湿式洗浄方式に変わって、超臨界流体を溶媒とする洗浄方式が環境配慮型の洗浄方式として普及しつつある。超臨界流体を溶媒とする洗浄方式では、例えば、超臨界状態の二酸化炭素が溶媒として用いられる。
【0003】
二酸化炭素は、ある温度以下で圧縮すると液体状態の二酸化炭素になり、また、31.1℃でかつ圧力が7.4MPa以上では超臨界状態の二酸化炭素となる。このような性質を有する超臨界状態の二酸化炭素は、1900年代初頭から抽出剤として使用されている。超臨界状態の二酸化炭素は、気体と液体の中間の粘度、拡散係数、密度、溶解力を持ち、微細機構に入り込みやすく、疎水性物質の溶解度が高い、といった特徴を持つ。また、洗浄溶媒として超臨界状態の二酸化炭素を用いることによって、水を溶媒とする場合と異なり、乾燥をする必要がなくなる。超臨界状態の二酸化炭素は、このような利点を有するので、高精度の洗浄が求められる半導体材料などの電子デバイス部品の洗浄に応用されている。
【0004】
近年では、超臨界流体を用いる洗浄方式は、半導体以外の被洗浄対象物として衣類洗浄にも応用されている。ドライクリーニング溶剤による環境汚染が深刻化する中、安全性の高い代替溶剤として超臨界状態の二酸化炭素が注目されている。また、ドライクリーニング溶剤が洗浄後の被洗浄対象物に残ることによって、健康に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
超臨界状態の二酸化炭素を用いる洗浄においては、使用後の超臨界状態の二酸化炭素を回収して再利用することが可能であり、洗浄後に乾燥を必要としないなど環境面に対する利点がある。一方、超臨界状態の二酸化炭素を生成するためには二酸化炭素を高圧にする必要があるが、現在では高圧ガスに関する法規制が厳しく、また、超臨界状態の二酸化炭素を用いるドライクリーニング装置では、設備が大掛かりになるという課題がある。そのため、超臨界状態の二酸化炭素を用いる洗浄は主として業務用のクリーニング技術として普及している。しかしながら、環境面、健康面に対する利点を踏まえると、将来的には新しい洗濯スタイルとして家庭用に普及する可能性が考えられる。
【0006】
このような、超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて洗浄を行なう洗浄装置では、洗浄槽から被洗浄対象物を取り出すときに、洗浄槽の内部に残っている二酸化炭素が大気中に放出される。二酸化炭素が大気中に放出されることは、地球温暖化など環境面において好ましくない。
【0007】
例えば、特開2003−135891号公報(特許文献1)に記載の洗浄装置は、洗浄槽内の二酸化炭素を不活性ガスでパージ(掃気)した後、洗浄槽から被洗浄対象物を取り出すように構成されている。
【特許文献1】特開2003−135891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開2003−135891号公報(特許文献1)に記載の洗浄装置では、洗浄動作毎に洗浄槽に新たにパージ用の不活性ガスを供給する必要がある。そのため、不活性ガスのボンベを頻繁に交換する必要がある。
【0009】
そこで、この発明の目的は、洗浄槽内の気体を置換するための置換気体を再利用することが可能な洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に従った洗浄装置は、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって被洗浄対象物を洗浄する洗浄装置において、被洗浄対象物を収容するための洗浄槽と、洗浄槽内の気体と置換するための置換気体を含む気体を洗浄槽に供給するための供給手段と、置換気体と洗浄槽内の気体とを含む混合気体を洗浄槽から排出するための排出手段と、排出手段から排出された混合気体を供給手段を通じて洗浄槽に戻すために排出手段と供給手段とに接続される返還流路とを備える。
【0011】
被洗浄対象物を超臨界または液体状態の二酸化炭素で洗浄した後は、洗浄槽の内部が二酸化炭素で満たされている。また、被洗浄対象物を外部から洗浄槽の内部に収容したときには、洗浄槽の内部が空気で満たされている。供給手段によって洗浄槽の内部に置換気体を供給することによって、洗浄槽内の二酸化炭素や空気と置換気体とが混合して混合気体になる。混合気体は排出手段によって洗浄槽から排出される。排出手段は、返還流路によって供給手段に接続されている。次に洗浄槽内をパージ(掃気)するときには、排出手段によって洗浄槽から排出された混合気体を、返還流路を介して供給手段に流入させて、供給手段を通じて混合気体を洗浄槽内に戻すことによって、置換気体を再利用することができる。
【0012】
このようにすることにより、置換気体を再利用することが可能な洗浄装置を提供することができる。
【0013】
この発明に従った洗浄装置においては、供給手段は、置換気体を含む気体を洗浄槽に供給するための第1の供給部と第2の供給部とを有し、排出手段は、混合気体を洗浄槽から排出するための第1の排出部と第2の排出部とを有し、第1の供給部と第1の排出部は洗浄槽の上部に配置され、第2の供給部と第2の排出部は洗浄槽の下部に配置され、返還流路から供給手段を通じて洗浄槽に戻される混合気体の組成に応じて、混合気体が第1の供給部と第2の供給部のいずれか一方から洗浄槽に供給され、第1の排出部と第2の排出部のいずれか一方から排出されるように、供給手段と排出手段とを制御する制御部を備えることが好ましい。
【0014】
置換気体を再利用することによって、洗浄に用いられた二酸化炭素を置換する気体には、置換気体と二酸化炭素とが含まれる。また、被洗浄対象物を外部から洗浄槽の内部に収容した後には、洗浄槽の内部に置換気体と二酸化炭素の他、空気中の酸素やアルゴン等の気体も含まれる。そのため、置換気体の再利用を繰り返すことによって、供給手段を通じて洗浄槽に戻される混合気体の組成が変化する。混合気体の組成が変化することによって、混合気体の比重と、洗浄槽の内部の気体の比重との大小関係が変化する。たとえば、パージされる洗浄槽内の気体の比重の方が洗浄槽内に戻される混合気体の比重よりも小さい場合には、混合気体を第2の供給部から洗浄槽内に供給して、第1の排出部から排出することによって、洗浄槽内を効率よくパージすることができる。
【0015】
そこで、このようにすることにより、置換気体を再利用して洗浄槽内に戻される混合気体の組成が変化しても、混合気体を効率よく洗浄槽に供給して、置換気体の使用量を低減することができる。
【0016】
この発明に従った洗浄装置は、混合気体中の二酸化炭素の濃度を検知するための検知部を備え、検知部は供給手段に配置され、制御部は、検知部によって検知される二酸化炭素の濃度に基づいて、混合気体が第1の供給部と第2の供給部のいずれか一方から洗浄槽に供給され、第1の排出部と第2の排出部のいずれか一方から排出されるように、供給手段と排出手段とを制御することが好ましい。
【0017】
超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて洗浄を行なう洗浄装置では、置換気体を再利用することによって、洗浄槽内に戻される混合気体中の二酸化炭素濃度が変化する。混合気体中の二酸化炭素濃度が変化すると、洗浄槽内に戻される混合気体の比重と、洗浄槽の内部の気体の比重との大小関係が変化する。
【0018】
そこで、本発明のようにすることにより、置換気体を再利用して洗浄槽内に戻される混合気体中の二酸化炭素の濃度が変化しても、混合気体を効率よく洗浄槽に供給して、置換気体の使用量を低減することができる。
【0019】
この発明に従った洗浄装置においては、制御部は、検知部によって検知される二酸化炭素の濃度が1000ppm以上である場合には、混合気体が第2の供給部から洗浄槽に供給されて第1の排出部から排出されるように供給手段と排出手段とを制御することが好ましい。
【0020】
洗浄槽内に戻される混合気体中に所定量以上の二酸化炭素が含まれていると、供給手段によって洗浄槽に混合気体が流入したときに、略断熱膨張によって二酸化炭素がドライアイス化(固形化)することがある。ドライアイスは、洗浄槽内の下部に堆積する。
【0021】
そこで、本発明のようにすることにより、置換気体を再利用して、洗浄槽内に戻される混合気体に二酸化炭素が含まれていても、排出手段の詰まりを防止することができる。
【0022】
この発明に従った洗浄装置は、混合気体に含まれる二酸化炭素と置換気体とを分離するための分離手段を備えることが好ましい。
【0023】
洗浄槽の内部に超臨界または液体状態の二酸化炭素以外の気体が導入されることによって、二酸化炭素を循環利用する場合には、洗浄するために洗浄槽内に供給される二酸化炭素に他の気体が混入してしまい、洗浄効率が徐々に低下する。
【0024】
そこで、混合気体に含まれる二酸化炭素と置換気体とを分離するための分離手段を備えることによって、洗浄効率が低下することを防ぐことができる。
【0025】
また、このようにすることにより、混合気体から二酸化炭素を分離して、二酸化炭素の量が低減された混合気体を洗浄槽に戻すことができるので、大気中に放出される二酸化炭素の量を低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明によれば、洗浄槽内の気体を置換するための置換気体を再利用することが可能な洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、この発明の一つの実施の形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【0029】
図1に示すように、洗浄装置として洗浄システム1は、主に、被洗浄対象物500を収容して洗浄するための洗浄槽310と、被洗浄対象物500の洗浄に用いられる二酸化炭素の供給源として液化二酸化炭素ボンベ110と、洗浄槽310の内部をパージ(掃気)するための置換気体として窒素を洗浄槽310に供給するための液化窒素ボンベ210と、洗浄に用いられた超臨界または液体状態の二酸化炭素を蒸発させて汚れ成分と二酸化炭素とを分離するための気液分離槽130と、吸着槽140と、洗浄槽310内を減圧するための減圧ポンプ150と、二酸化炭素の冷却と圧縮とを行なう凝縮機160と、二酸化炭素を液化して貯留する液化二酸化炭素貯留タンク170と、窒素を圧縮するポンプ220と、圧縮した窒素を貯留する窒素貯留タンク230を備える。
【0030】
液化二酸化炭素ボンベ110には、ボンベ開閉弁111が配置されている。液化二酸化炭素ボンベ110と洗浄槽310は、二酸化炭素供給ポンプ120を介して、切替弁181と開閉弁182が配置される二酸化炭素供給管320によって接続されている。
【0031】
洗浄槽310には、洗浄槽310の内部を加熱および冷却するための洗浄槽温度調節器350が配置されている。洗浄槽310には、二酸化炭素供給管320の他、窒素および窒素を含む気体を洗浄槽310に供給するための供給管330と、洗浄槽310の内部の気体を排出するための排出管340が接続されている。洗浄槽310と、洗浄槽温度調節器350と、二酸化炭素供給管320と、供給管330と、排出管340とが洗浄部300を構成している。洗浄槽310は、排出管340によって気液分離槽130に接続されている。排出管340には、排出管340から洗浄システム1の外部に気体を放出するかどうかを調節するための切替弁183と開閉弁184と、流量を調整するための流量調整弁185と、開閉弁186が配置されている。
【0032】
洗浄槽310に接続される気液分離槽130には、気液分離槽130の内部を加熱するための加熱器131が配置されている。気液分離槽130の下部には、二酸化炭素から分離された汚れを排出するための汚れ成分排出弁132が配置されている。気液分離槽130は、開閉弁187が配置される配管によって吸着槽140に接続されている。
【0033】
気液分離槽130に接続される吸着槽140は、ろ過フィルタと活性炭によって構成されている。吸着槽140は、切替弁188と切替弁189と開閉弁190が配置される配管によって、凝縮機160に接続されている。切替弁188と切替弁189との間には、吸着槽140と凝縮機160とを接続する配管と並列に、減圧ポンプ150を備える配管が接続されている。
【0034】
吸着槽140に接続される凝縮機160は、圧縮ポンプと冷却器によって構成されている。凝縮機160は、開閉弁191が配置される配管によって液化二酸化炭素貯留タンク170に接続されている。
【0035】
凝縮機160に接続される液化二酸化炭素貯留タンク170には、液化二酸化炭素貯留タンク170内を加熱および冷却するためのタンク温度調節器171が配置されている。また、液化二酸化炭素貯留タンク170内の液体二酸化炭素の液位を検知するための液位センサ172が配置されている。液化二酸化炭素貯留タンク170とタンク温度調節器171は分離手段の一例である。
【0036】
液化二酸化炭素貯留タンク170の上部に配置される配管は窒素貯留タンク230に接続され、液化二酸化炭素貯留タンク170の下部に配置される配管は開閉弁192と切替弁181と二酸化炭素供給ポンプ120を介して二酸化炭素供給管320に接続される。液化二酸化炭素貯留タンク170と窒素貯留タンク230は、分離弁221とポンプ220を介して配管で接続されている。
【0037】
窒素貯留タンク230は、タンク開閉弁241と窒素供給切替弁242が配置されている配管を介して、供給管330に接続されている。
【0038】
洗浄部300の排出管340から、気液分離槽130、吸着槽140、液化二酸化炭素貯留タンク170、窒素貯留タンク230を通って、洗浄部300の供給管330に戻るまでの配管は、返還流路370を構成している。
【0039】
液化窒素ボンベ210は、ボンベ開閉弁211と、窒素供給切替弁242を介して、供給管330に接続されている。この実施の形態においては、置換気体として窒素を用いているが、置換気体は、他の不活性ガスであってもよい。また、置換気体は、単体の気体ではなく、混合気体が用いられてもよい。
【0040】
被洗浄対象物500は、例えば、衣類など、繊維で構成されている繊維構造体である。繊維構造体は、衣類や、リネン、布団、枕、マット、ハンカチ、タオル、ぬいぐるみなど、繊維からできているものであればよい。また、被洗浄対象物500は、超臨界または液体状態の二酸化炭素で洗浄される物であればよく、繊維構造体に限られない。
【0041】
図2は、洗浄システムの洗浄部の全体を概略的に示す図である。
【0042】
図2に示すように、洗浄部300は、洗浄槽310と、洗浄槽310に二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給管320と、第1の供給部として上供給口331と第2の供給部として下供給口332を有する供給管330と、第1の排出部として上排出口341と第2の排出部として下排出口342を有する排出管340と、供給切替弁333と、排出切替弁343と、検知部として濃度センサ360とから構成されている。図2には、洗浄槽310に配置される洗浄槽温度調節器350(図1)は図示していない。
【0043】
供給管330内の気体は、供給切替弁333によって、洗浄槽310の上部に配置される上供給口331と洗浄槽310の下部に配置される下供給口332のどちらから洗浄槽310内に供給されるかを切り替えられる。また、洗浄槽310内の気体は、排出切替弁343によって、洗浄槽310の上部に配置される上排出口341と洗浄槽310の下部に配置される下排出口342のどちらから排出管340に排出されるかを切り替えられる。供給管330には、供給管330の内部における二酸化炭素の濃度を検知する濃度センサ360が配置されている。供給管330と上供給口331と下供給口332と供給切替弁333は、供給手段を構成している。排出管340と上排出口341と下排出口342と排出切替弁343は、排出手段を構成している。
【0044】
図3は、洗浄システムの洗浄部の制御関連の構成を示すブロック図である。
【0045】
図3に示すように、濃度センサ360は、供給管330(図2)の内部の二酸化炭素の濃度を検知して、制御部400に信号を送信する。制御部400は、濃度センサ360から信号を受信して、供給切替弁333と排出切替弁343に制御信号を送信する。制御部400は、濃度センサ360から受信した信号に基づいて、後述するように、供給切替弁333と排出切替弁343を制御する。
【0046】
次に、洗浄システム1の洗浄時の運転工程について説明する。
【0047】
洗浄槽310内に被洗浄対象物500を収容した後、洗浄システム1の運転を開始する。まず、液化二酸化炭素ボンベ110から、ボンベ開閉弁111、切替弁181を経て二酸化炭素供給ポンプ120に気液混合状態の二酸化炭素が導入される。二酸化炭素供給ポンプ120は、気液混合状態の二酸化炭素を高圧にして、液体状態の二酸化炭素にする。開閉弁182を開放すると、液体状態の二酸化炭素が洗浄槽310内に送出される。
【0048】
洗浄槽310内では、供給された液体状態の二酸化炭素が被洗浄対象物500の洗浄に適した圧力と温度の超臨界二酸化炭素になるように、洗浄槽温度調節器350によって洗浄槽310内の温度が調節される。この実施の形態においては、洗浄槽310内では二酸化炭素が10MPa、35℃の超臨界二酸化炭素になるように、洗浄槽温度調節器350が洗浄槽310内を加熱する。
【0049】
図4は、温度と圧力を変化させたときの二酸化炭素の状態を示す図である。
【0050】
図4に示すように、10MPa、35℃になるように洗浄槽310内の温度と圧力を調節すると、二酸化炭素はA点の状態になり、超臨界状態になる。
【0051】
洗浄槽310内では、被洗浄対象物500が超臨界状態の二酸化炭素と接触する。被洗浄対象物500の汚れは、超臨界状態の二酸化炭素中に溶解する。このようにして、被洗浄対象物500から汚れが除去される。被洗浄対象物500から除去された汚れを溶解した超臨界状態の二酸化炭素は、切替弁183と流量調整弁185と開閉弁186を経て、気液分離槽130に流入する。
【0052】
洗浄槽310から気液分離槽130に流入する超臨界状態の二酸化炭素は、流量調整弁185で流量を調整される。超臨界状態の二酸化炭素は、気液分離槽130の内部においては、減圧されるとともに、加熱器131で温度を調節されて、気体状態の二酸化炭素になる。この実施の形態においては、図4のB点の状態になるように、1.2MPa、5℃に調節される。超臨界状態の二酸化炭素が気体状態の二酸化炭素になると、超臨界状態の二酸化炭素に溶解していた汚れ成分の溶解度が大幅に低下する。汚れ成分は、二酸化炭素から分離して、気液分離槽130の底部に堆積する。気液分離槽130の底部に堆積する汚れ成分が所定量に達すると、汚れ成分排出弁132を開放して、汚れ成分を気液分離槽130から排出する。
【0053】
気液分離槽130で気体状態にされた二酸化炭素は、開閉弁187を経て、吸着槽140を通過する。吸着槽140では、ろ過フィルタと活性炭によって、気液分離槽130では分離しきれなかった汚れ成分や、弁の潤滑油などが除去される。
【0054】
吸着槽140で汚れを除去された気体状態の二酸化炭素は、切替弁188、切替弁189、開閉弁190を経て、凝縮機160に送られる。凝縮機160は、気体状態の二酸化炭素を液体状態に凝縮させる。この実施の形態においては、気体状態の二酸化炭素は図4のC点の状態になるように、5MPa、10℃に調節されて、液体状態になる。
【0055】
液体状態の二酸化炭素は、開閉弁191を経て、液化二酸化炭素貯留タンク170に送られる。二酸化炭素は、洗浄システム1の運転中は、液化二酸化炭素貯留タンク170に一旦、貯留された後、開閉弁192、切替弁181を経て、二酸化炭素供給ポンプ120に送られる。二酸化炭素供給ポンプ120は、液化二酸化炭素貯留タンク170の二酸化炭素を、二酸化炭素供給管320から洗浄槽310内に送出する。
【0056】
このようにして、二酸化炭素は、図1に二点鎖線の矢印で示すように洗浄システム1内を循環する。洗浄システム1の運転停止時には、開閉弁192が閉じられて、二酸化炭素は液化二酸化炭素貯留タンク170内に貯留される。
【0057】
次に、洗浄システム1の洗浄槽310のパージ(掃気)工程について説明する。
【0058】
まず、洗浄が終了して、洗浄槽310から被洗浄対象物500を取り出すときのパージ工程について説明する。
【0059】
超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いる洗浄の終了時には、洗浄槽310の内部は、高圧の二酸化炭素で満たされている。開閉弁182を閉じて、切替弁188と切替弁189を動作させて、洗浄槽310の内部の圧力を低下させる。
【0060】
置換気体として、窒素のみを用いる場合には、液化窒素ボンベ210のボンベ開閉弁211を開くと、液化窒素が窒素供給切替弁242を通って供給管330から洗浄槽310に供給される。洗浄槽310の内部の二酸化炭素は、洗浄槽310に供給された窒素と混合されて、混合気体として排出管340に排出される。
【0061】
所定時間経過して、洗浄槽310内が窒素で満たされた後、開閉弁211を閉じる。洗浄槽310の内部の圧力が大気圧以下に減圧されている状態で、減圧ポンプ150の駆動を停止する。その後、洗浄槽310の内部を大気に開放して、被洗浄対象物500を取り出す。このようにすることにより、洗浄に用いられた二酸化炭素が大気中に放出されることを防ぐことができる。また、洗浄槽310の内部を減圧してから洗浄槽310の内部を大気に開放しているので、洗浄槽310内の窒素が急激に洗浄槽310外に放出されることがなく、使用者が窒息する危険性もない。
【0062】
一方、排出管340に排出された二酸化炭素と窒素は、上述の洗浄工程における二酸化炭素と同様に、液化二酸化炭素貯留タンク170まで、混合されたままで流れる。液化二酸化炭素貯留タンク170内は、混合気体の圧力が5MPa、10℃になるように調整されている。窒素の分圧は、混合気体中の窒素の濃度に依存するので、例えば、混合気体中の窒素のモル分率が0.05であるときには、窒素の分圧は0.25MPaである。
【0063】
図5は、温度と圧力を変化させたときの窒素の状態を示す図である。
【0064】
図5に示すように、二酸化炭素と窒素の混合気体の圧力が5MPa、10℃に調整されているとき、混合気体中の窒素のモル分率が0.05であれば、窒素の分圧は0.25MPaであるので、窒素は気体状態になる。
【0065】
液化二酸化炭素貯留タンク170の内部の気体状態の窒素は、液化二酸化炭素貯留タンク170の上部に配置される配管から、分離弁221を通って、ポンプ220で圧縮されて窒素貯留タンク230内に供給される。ポンプ220は、気体状態の窒素を送出するとともに、圧縮して、貯留量を大きくしている。気体状態の窒素が流通する配管は、液体状態の二酸化炭素と、気体状態の二酸化炭素と、気体状態の窒素の密度差から、液化二酸化炭素貯留タンク170の最上部の開口に接続されている。液化二酸化炭素貯留タンク170では、窒素とともに、二酸化炭素も一部気化して、分離弁221とポンプ220を通って、窒素貯留タンク230内に流入する。
【0066】
液化二酸化炭素貯留タンク170には、液位センサ172が配置されている。凝縮機160から送出される液体状態の二酸化炭素が増えて、所定の液位になったことを液位センサ172が検知すると、分離弁221が閉じられ、ポンプ220は駆動停止する。このようにして、窒素貯留タンク230には、液体状態の二酸化炭素が流入しないようにされている。
【0067】
窒素貯留タンク230内に貯留されている混合気体を用いて洗浄槽310内をパージする場合には、窒素貯留タンク230内の混合気体は、タンク開閉弁241と窒素供給切替弁242を通って、供給管330に流入し、洗浄槽310内に戻される。このように、窒素は、図1に一点鎖線の矢印で示すように洗浄システム1内を循環する。
【0068】
次に、洗浄槽310内に被洗浄対象物500を収容して、洗浄を開始するときのパージ工程について説明する。
【0069】
洗浄槽310内を大気に開放して、被洗浄対象物500を洗浄槽310内に収容すると、洗浄槽310内は空気で満たされる。
【0070】
切替弁183を切り替えて、開閉弁184を開き、液化窒素ボンベ210のボンベ開閉弁211またはタンク開閉弁241のいずれか一方と、窒素供給切替弁242を開くと、洗浄槽310内は液化窒素ボンベ210内の窒素または窒素貯留タンク230内の混合気体によってパージされる。所定時間経過して、洗浄槽310内が窒素または混合気体によって満たされた後、ボンベ開閉弁211およびタンク開閉弁241を閉じる。その後、洗浄運転を開始する。
【0071】
このように、洗浄運転の開始前に洗浄槽310内の空気を窒素または混合気体で置換することにより、洗浄運転中に、洗浄槽310内の空気に含まれる酸素が圧縮されて爆発する危険性を回避することができる。
【0072】
次に、供給切替弁333と排出切替弁343の制御について説明する。
【0073】
洗浄槽310から被洗浄対象物500を取り出す場合には、洗浄槽310内は、大気圧よりも低圧の二酸化炭素で満たされている。
【0074】
この場合において、液化窒素ボンベ210の窒素を用いて、洗浄槽310内の二酸化炭素をパージするときには、窒素の比重は二酸化炭素よりも小さいので、制御部400は、上供給口331から窒素が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御する。また、洗浄槽310内の気体が下供給口332から排出管340に排出されるように排出切替弁343を制御する。
【0075】
また、この場合において、窒素貯留タンク230内の混合気体を用いて、洗浄槽310内の二酸化炭素をパージするときには、混合ガスの比重は二酸化炭素よりも小さいので、同様に、制御部400は、上供給口331から混合気体が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御する。また、洗浄槽310内の気体が下供給口332から排出管340に排出されるように排出切替弁343を制御する。
【0076】
ただし、濃度センサ360によって、供給管330内の混合気体中に、二酸化炭素が1000ppm以上含まれていることが検知された場合には、制御部400は、下供給口332から混合気体が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御し、上排出口341から混合気体を排出管340に排出するように、排出切替弁343を制御する。混合気体に所定量以上の二酸化炭素が含まれていると、供給管330から洗浄槽310内に混合気体が流入したときに、略断熱膨張によって二酸化炭素がドライアイス化(固化)してしまい、ドライアイスが洗浄槽310内の下部に堆積して、下排出口342が目詰まりする可能性があるからである。
【0077】
一方、洗浄槽310に被洗浄対象物500を収容して洗浄を開始する場合には、洗浄槽310内は、大気圧の空気で満たされている。
【0078】
この場合において、液化窒素ボンベ210内の窒素を用いて洗浄槽310内をパージするときには、窒素の比重が空気の比重よりも小さいので、制御部400は、上供給口331から窒素が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御する。また、洗浄槽310内の気体が下供給口332から排出管340に排出されるように排出切替弁343を制御する。
【0079】
また、この場合において、窒素貯留タンク230内の混合気体を用いて洗浄槽310の内部をパージするときには、濃度センサ360によって検知される混合気体に含まれる二酸化炭素の濃度によって、制御部400は供給切替弁333と排出切替弁343を切り替える。混合気体中の二酸化炭素濃度が低いとき、例えば、4%未満であるときには、混合気体の比重が空気の比重よりも小さいので、制御部400は、上供給口331から混合気体が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御する。また、洗浄槽310内の気体が下供給口332から排出管340に排出されるように排出切替弁343を制御する。混合気体中の二酸化炭素の濃度が高いとき、例えば、4%以上であるときには、混合気体の比重が空気の比重よりも大きいので、制御部400は、下供給口332から混合気体が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御する。また、洗浄槽310内の気体が上供給口331から排出管340に排出されるように排出切替弁343を制御する。
【0080】
ただし、混合気体中の二酸化炭素の濃度が4%以上であるかどうかを制御部400が判定する前に、濃度センサ360によって、供給管330内の混合気体中に二酸化炭素が1000ppm以上含まれていることが検知された場合には、制御部400は、下供給口332から混合気体が洗浄槽310の内部に供給されるように供給切替弁333を制御し、上排出口341から混合気体を排出管340に排出するように排出切替弁343を制御する。混合気体に所定量以上の二酸化炭素が含まれていると、供給管330から洗浄槽310内に混合気体が流入したときに、略断熱膨張によって二酸化炭素がドライアイス化(固化)してしまい、下排出口342が目詰まりする可能性があるからである。
【0081】
なお、洗浄システム1は、洗浄槽310内を大気圧以下に減圧する減圧ポンプ150を備えるが、凝縮機160の圧縮ポンプが減圧ポンプ150を兼ねていてもよい。このように構成される洗浄システム1では、凝縮機160は洗浄時と異なる温度と圧力で二酸化炭素を吸入することになる。そのため、二酸化炭素を液化するための冷却動作の制御が複雑になる。しかし、洗浄システム1に含まれる装置を簡略化したり、減圧ポンプ150を備えない分、コストを低減したりすることができる。
【0082】
また、この実施の形態においては、主溶媒である二酸化炭素のみで被洗浄対象物500を洗浄しているが、超臨界または液体状態の二酸化炭素では、被洗浄対象物500からは、いわゆる油汚れしか除去することができない。そこで、水溶性汚れやタンパク質汚れを除去するために、各々の汚れの除去に適した添加剤が用いられることが多い。このように、添加剤が用いられる場合には、例えば、添加剤を二酸化炭素供給管320内に混入させるためのポンプ等を洗浄システム1に追加する必要がある。このような部材は、置換気体の循環のための装置とは別体として、用途に応じて追加されることができる。
【0083】
以上のように、洗浄システム1は、超臨界または液体状態の二酸化炭素によって被洗浄対象物500を洗浄する洗浄システム1において、被洗浄対象物500を収容するための洗浄槽310と、洗浄槽310内の気体と置換するための置換気体を含む気体を洗浄槽310に供給するための供給管330と、置換気体と洗浄槽310内の気体とを含む混合気体を洗浄槽310から排出するための排出管340と、排出管340から排出された混合気体を供給管330を通じて洗浄槽310に戻すために排出管340と供給管330とに接続される返還流路370とを備える。
【0084】
被洗浄対象物500を超臨界または液体状態の二酸化炭素で洗浄した後は、洗浄槽310の内部が二酸化炭素で満たされている。また、被洗浄対象物500を外部から洗浄槽310の内部に収容したときには、洗浄槽310の内部が空気で満たされている。供給管330によって洗浄槽310の内部に置換気体を供給することによって、洗浄槽310内の二酸化炭素や空気と置換気体とが混合して混合気体になる。混合気体は排出管340によって洗浄槽310から排出される。排出管340は、返還流路370によって供給管330に接続されている。次に洗浄槽310内をパージするときには、排出管340によって洗浄槽310から排出された混合気体を、返還流路370を介して供給管330に流入させて、供給管330を通じて混合気体を洗浄槽310内に戻すことによって、置換気体を再利用することができる。
【0085】
このようにすることにより、置換気体を再利用することが可能な洗浄システム1を提供することができる。
【0086】
また、洗浄システム1においては、供給管330は、置換気体を含む気体を洗浄槽310に供給するための上供給口331と下供給口332と供給切替弁333とを有し、排出管340は、混合気体を洗浄槽310から排出するための上排出口341と下排出口342と排出切替弁343とを有し、上供給口331と上排出口341は洗浄槽310の上部に配置され、下供給口332と下排出口342は洗浄槽310の下部に配置され、返還流路370から供給管330を通じて洗浄槽310に戻される混合気体の組成に応じて、混合気体が上供給口331と下供給口332のいずれか一方から洗浄槽310に供給され、上排出口341と下排出口342のいずれか一方から排出されるように、供給切替弁333と排出切替弁343とを制御する制御部400を備える。
【0087】
置換気体を再利用することによって、洗浄に用いられた二酸化炭素を置換する気体には、置換気体と二酸化炭素とが含まれる。また、被洗浄対象物500を外部から洗浄槽310の内部に収容した後には、洗浄槽310の内部に置換気体と二酸化炭素の他、空気中の酸素やアルゴン等の気体も含まれる。そのため、置換気体の再利用を繰り返すことによって、供給管330を通じて洗浄槽310に戻される混合気体の組成が変化する。混合気体の組成が変化することによって、洗浄槽310に戻される混合気体の比重と、洗浄槽310の内部の気体の比重との大小関係が変化する。たとえば、パージされる洗浄槽310内の気体の比重の方が洗浄槽310に戻される混合気体の比重よりも小さい場合には、混合気体を下供給口332から洗浄槽310内に供給して、上排出口341から排出することによって、洗浄槽310内を効率よくパージすることができる。
【0088】
そこで、本発明のようにすることにより、置換気体を再利用して洗浄槽310に戻される混合気体の組成が変化しても、混合気体を効率よく洗浄槽310に供給して、置換気体の使用量を低減することができる。
【0089】
また、洗浄システム1は、洗浄槽310に戻される混合気体中の二酸化炭素の濃度を検知するための濃度センサ360を備え、濃度センサ360は供給管330に配置され、制御部400は、濃度センサ360によって検知される二酸化炭素の濃度に基づいて、混合気体が上供給口331と下供給口332のいずれか一方から洗浄槽310に供給され、上排出口341と下排出口342のいずれか一方から排出されるように、供給切替弁333と排出切替弁343とを制御する。
【0090】
超臨界または液体状態の二酸化炭素を用いて洗浄を行なう洗浄システム1では、置換気体を再利用することによって、洗浄槽310に戻される混合気体中の二酸化炭素濃度が変化する。混合気体中の二酸化炭素濃度が変化すると、洗浄槽310に戻される混合気体の比重と、洗浄槽310の内部の気体の比重との大小関係が変化する。
【0091】
そこで、本発明のようにすることにより、置換気体を再利用して、洗浄槽310に戻される混合気体中の二酸化炭素の濃度が変化しても、混合気体を効率よく洗浄槽310に供給して、置換気体の使用量を低減することができる。
【0092】
また、洗浄システム1においては、制御部400は、濃度センサ360によって検知される二酸化炭素の濃度が1000ppm以上である場合には、混合気体が下供給口332から洗浄槽310に供給されて上排出口341から排出されるように供給切替弁333と排出切替弁343とを制御する。
【0093】
本発明のようにすることにより、置換気体を再利用して、洗浄槽310に戻される混合気体に二酸化炭素が含まれていても、排出管340の詰まりを防止することができる。
【0094】
また、洗浄システム1は、混合気体に含まれる二酸化炭素と置換気体とを分離するための液化二酸化炭素貯留タンク170とタンク温度調節器171を備える。
【0095】
洗浄槽310の内部に超臨界または液体状態の二酸化炭素以外の気体が導入されることによって、二酸化炭素を循環利用する場合には、洗浄するために洗浄槽310内に供給される二酸化炭素に他の気体が混入してしまい、洗浄効率が徐々に低下する。
【0096】
そこで、混合気体に含まれる二酸化炭素と置換気体とを分離するための液化二酸化炭素貯留タンク170とタンク温度調節器171を備えることによって、洗浄効率が低下することを防ぐことができる。
【0097】
また、本発明のようにすることにより、混合気体から二酸化炭素を分離して、二酸化炭素の量が低減された混合気体を洗浄槽310に戻すことができるので、大気中に放出される二酸化炭素の量を低減することができる。
【0098】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】この発明の一つの実施の形態として、洗浄システムの全体を概略的に示す図である。
【図2】洗浄システムの洗浄部の全体を概略的に示す図である。
【図3】洗浄システムの洗浄部の制御関連の構成を示すブロック図である。
【図4】温度と圧力を変化させたときの二酸化炭素の状態を示す図である。
【図5】温度と圧力を変化させたときの窒素の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1:洗浄システム、170:液化二酸化炭素貯留タンク、171:タンク温度調節器、310:洗浄槽、330:供給管、331:上供給口、332:下供給口、333:供給切替弁、340:排出管、341:上排出口、342:下排出口、343:排出切替弁、360:濃度センサ、370:返還流路、400:制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界または液体状態の二酸化炭素によって被洗浄対象物を洗浄する洗浄装置において、
被洗浄対象物を収容するための洗浄槽と、
前記洗浄槽内の気体と置換するための置換気体を含む気体を前記洗浄槽に供給するための供給手段と、
置換気体と前記洗浄槽内の気体とを含む混合気体を前記洗浄槽から排出するための排出手段と、
前記排出手段から排出された混合気体を前記供給手段を通じて前記洗浄槽に戻すために前記排出手段と前記供給手段とに接続される返還流路とを備える、洗浄装置。
【請求項2】
前記供給手段は、置換気体を含む気体を前記洗浄槽に供給するための第1の供給部と第2の供給部とを有し、
前記排出手段は、混合気体を前記洗浄槽から排出するための第1の排出部と第2の排出部とを有し、
前記第1の供給部と前記第1の排出部は前記洗浄槽の上部に配置され、前記第2の供給部と前記第2の排出部は前記洗浄槽の下部に配置され、
前記返還流路から前記供給手段を通じて前記洗浄槽に戻される混合気体の組成に応じて、混合気体が前記第1の供給部と前記第2の供給部のいずれか一方から前記洗浄槽に供給され、前記第1の排出部と前記第2の排出部のいずれか一方から排出されるように、前記供給手段と前記排出手段とを制御する制御部を備える、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
混合気体中の二酸化炭素の濃度を検知するための検知部を備え、
前記検知部は前記供給手段に配置され、
前記制御部は、
前記検知部によって検知される二酸化炭素の濃度に基づいて、混合気体が前記第1の供給部と前記第2の供給部のいずれか一方から前記洗浄槽に供給され、前記第1の排出部と前記第2の排出部のいずれか一方から排出されるように、前記供給手段と前記排出手段とを制御する、請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知部によって検知される二酸化炭素の濃度が1000ppm以上である場合には、混合気体が前記第2の供給部から前記洗浄槽に供給されて前記第1の排出部から排出されるように前記供給手段と前記排出手段とを制御する、請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
混合気体に含まれる二酸化炭素と置換気体とを分離するための分離手段を備える、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−279117(P2009−279117A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132848(P2008−132848)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】