洗濯機
【課題】殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材を高温に加熱する必要がなく、必ずしも乾燥状態にする必要もないとともに、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材に劣化、退色等をもたらさないで、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることが可能な、繊維構造物の処理装置を提供することである。
【解決手段】繊維構造物の処理装置としての洗濯乾燥機100は、内部に繊維構造物として衣類6を収容する収容部として回転ドラム3と、回転ドラム3に、および/または、回転ドラム3内に収容された衣類6に、銀イオンを付与する銀イオン付与部として銀イオン水供給部40と、銀イオン水供給部40によって銀イオンが付与された回転ドラム3および/または衣類6に光を照射する光照射部として光照射ユニット20とを備える。
【解決手段】繊維構造物の処理装置としての洗濯乾燥機100は、内部に繊維構造物として衣類6を収容する収容部として回転ドラム3と、回転ドラム3に、および/または、回転ドラム3内に収容された衣類6に、銀イオンを付与する銀イオン付与部として銀イオン水供給部40と、銀イオン水供給部40によって銀イオンが付与された回転ドラム3および/または衣類6に光を照射する光照射部として光照射ユニット20とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維構造物の処理装置に関し、特定的には殺菌作用を高めることが可能な、衣類、布団、敷物等の繊維構造物の処理装置、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣類を乾燥させるために、加熱作用がある赤外線等を含む光を衣類に照射する洗濯乾燥機が、たとえば、特開2005−152193号公報(特許文献1)、特開2005−168687号公報(特許文献2)、特開2005−177081号公報(特許文献3)で提案されている。
【0003】
また、外槽の上板、水槽および外蓋等に付着した有機物質からなる汚物を分解して除去するために紫外線を照射する電気洗濯機が、たとえば、特開平9−135992号公報(特許文献4)で提案され、雑菌の繁殖によって洗濯物にいやな臭いのつくことを防止するために洗濯物に紫外線を照射する洗濯機が、たとえば、特開平10−43481号公報(特許文献5)で提案されている。
【0004】
さらに、洗濯物に付着している雑菌を死滅させるように殺菌作用を付与し、または、洗濯物に付着している雑菌の繁殖を抑制するように抗菌作用を付与するために、銀イオンを洗濯物に付与する洗濯機が、たとえば、実開平5−74487号公報(特許文献6)、特開2001−276484号公報(特許文献7)、特開2003−290594号公報(特許文献8)、特開2004−215817号公報(特許文献9)、特開2004−321313号公報(特許文献10)で提案されている。
【0005】
さらにまた、乾燥効率を高めるために、ヒートポンプ装置を用いて衣類を乾燥させるドラム式洗濯乾燥機または衣類乾燥装置が、たとえば、特開2004−229954号公報(特許文献11)、特開2005−304987号公報(特許文献12)で提案されている。
【0006】
なお、槽内を照明するために照明ランプを取り付けた洗濯機が、たとえば、特開平5−245292号公報(特許文献13)、特開平6−190186号公報(特許文献14)、特開平6−327887号公報(特許文献15)、特開2000−157781号公報(特許文献16)で提案されている。
【特許文献1】特開2005−152193号公報
【特許文献2】特開2005−168687号公報
【特許文献3】特開2005−177081号公報
【特許文献4】特開平9−135992号公報
【特許文献5】特開平10−43481号公報
【特許文献6】実開平5−74487号公報
【特許文献7】特開2001−276484号公報
【特許文献8】特開2003−290594号公報
【特許文献9】特開2004−215817号公報
【特許文献10】特開2004−321313号公報
【特許文献11】特開2004−229954号公報
【特許文献12】特開2005−304987号公報
【特許文献13】特開平5−245292号公報
【特許文献14】特開平6−190186号公報
【特許文献15】特開平6−327887号公報
【特許文献16】特開2000−157781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、衣類を乾燥させるために加熱作用がある赤外線等を含む光を衣類に照射する場合、衣類の温度を上昇させることによって殺菌することができるが、高温に加熱されるために衣類が損傷するという問題がある。また、この場合、衣類を乾燥させなければ、衣類を殺菌処理することがないため、洗濯乾燥機にて洗濯しても乾燥させたくない衣類等に対しては殺菌処理を施すことができないという問題がある。
【0008】
また、殺菌処理のために紫外線を照射する洗濯機では、紫外線の照射によって、洗濯機を構成する合成樹脂等が劣化したり、衣類等の洗濯物が退色したり、黄変したりするという問題がある。
【0009】
さらに、銀イオンを洗濯物に付与する洗濯機では、所望の抗菌作用、殺菌作用を得るためには、所定量以上の銀イオンを洗濯物に付与する必要があるので、洗濯物の量、使用水量等によっては、十分な抗菌作用、殺菌作用を得ることができないという問題がある。
【0010】
さらにまた、乾燥効率を高めるためにヒートポンプ装置を用いて衣類を乾燥させるドラム式洗濯乾燥機または衣類乾燥装置では、低温で衣類を乾燥させるために、雑菌が死滅する温度である65〜80℃程度に装置内の温度が到達しない場合がある。このため、ヒートポンプ装置を用いて衣類を乾燥させる場合、その熱による殺菌効果は不十分となる場合がある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材を高温に加熱する必要がなく、必ずしも乾燥状態にする必要もないとともに、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材に劣化、退色等をもたらさないで、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることが可能な、繊維構造物の処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に従った繊維構造物の処理装置は、銀イオンが付与された繊維構造物を内部に収容する収容部と、銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射する光照射部とを備える。
【0013】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、予め銀イオンが付与された繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。また、殺菌対象となる繊維構造物を加熱しないで、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができる。さらに、銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。なお、繊維構造物に銀イオンを付与するだけの装置に比べて、本発明の繊維構造物の処理装置によれば、少ない銀の使用量で所定の殺菌作用を得ることができる。したがって、銀イオン付与機能を備えた洗濯機、洗濯乾燥機等によって予め銀イオンが付与された衣類、布団、敷物等の繊維構造体を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0014】
この発明に従った繊維構造物の処理装置は、内部に繊維構造物を収容する収容部と、収容部に、および/または、収容部内に収容された繊維構造物に、銀イオンを付与する銀イオン付与部と、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射する光照射部とを備える。
【0015】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。また、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物を加熱しないで、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができる。さらに、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。なお、収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与するだけの装置に比べて、本発明の繊維構造物の処理装置によれば、少ない銀の使用量で所定の殺菌作用を得ることができる。したがって、合成樹脂等からなる収容部を構成する部材、および/または、衣類、布団、敷物等の繊維構造体を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0016】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、光照射部は、可視光を含む光を照射することが好ましい。この場合、可視光を含む光を照射することによって、殺菌作用をより向上させることができるとともに、紫外線による物質の劣化、退色等の損傷を防止することができる。
【0017】
また、この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物を洗う洗い工程を行い、洗い工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、少なくとも洗い工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0018】
さらに、この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物をすすぐすすぎ工程を行い、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与し、すすぎ工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与することができ、少なくともすすぎ工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0019】
さらにまた、この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、収容部内に洗濯用水またはすすぎ用水が存在しないので、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。
【0020】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、収容部内に水が存在しないので、乾燥対象物としての繊維構造物、および/または、乾燥対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。
【0021】
また、この発明の繊維構造物の処理装置においては、上記の乾燥工程を低温で行うことが好ましい。この場合、低温で繊維構造物を乾燥させることによって、繊維構造物の乾燥による損傷を防止することができるとともに、低温下で殺菌作用を向上させることができる。
【0022】
さらに、この発明の繊維構造物の処理装置においては、ヒートポンプ装置を用いて上記の乾燥工程を行うことが好ましい。この場合、ヒートポンプ装置を用いた低温乾燥を行う乾燥機、洗濯乾燥機等の繊維構造物の処理装置において、低温下で殺菌作用を向上させることができる。
【0023】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置においては、収容部から繊維構造物を取り出した後、光照射部が収容部に光を照射することが好ましい。この場合、収容部から繊維構造物を取り出した後、収容部内を効果的に殺菌処理することができる。
【0024】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、銀イオンは、電解により生成される銀イオンであることが好ましい。この場合、光照射による殺菌作用を向上させることができる。
【0025】
また、この発明の繊維構造物の処理装置は、銀イオンを含む水を使用し、銀イオンを含む水に光を照射する光照射部を備える。
【0026】
このようにすることにより、洗いやすすぎに用いられる水に銀イオンを含ませ、その水に光を照射することによって、洗い水やすすぎ水を効果的に殺菌することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物を高温に加熱する必要がなく、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物に劣化、退色等をもたらさないで、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物が損傷することがなく、衣類、布団、敷物等の繊維構造物の処理装置、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等の繊維構造物の処理装置において、簡単な工程で殺菌効果を向上させることができ、十分な殺菌作用を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
前述した背景技術における問題点の検討に基づいて、本発明者は、さまざまな局面から繊維構造物の処理装置における殺菌方法を検討して鋭意研究を重ねた。その結果、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができることを見出した。このような発明者の知見に基づいて本発明はなされたものである。
【0029】
この発明に従った繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等は、内部に衣類、布団、敷物等の繊維構造物を収容する、外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部に、および/または、収容部内に収容された繊維構造物に、銀イオンを付与する銀イオン付与部としての銀イオン水供給部等と、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射する光照射部とを備える。
【0030】
この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。また、乾燥工程等で、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物を加熱しないで、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができる。さらに、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。なお、収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与するだけの従来の洗濯機、洗濯乾燥機等に比べて、本発明の繊維構造物の処理装置によれば、少ない銀の使用量で所定の殺菌作用を得ることができる。したがって、合成樹脂等からなる収容部を構成する部材、および/または、衣類、布団、敷物等の繊維構造体を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0031】
銀イオン付与部としての銀イオン水供給部等とは、たとえば、洗濯用水に銀イオンを添加して洗濯用水に接触した繊維構造物としての洗濯物や収容部としての槽の各部位に銀イオンを付与するものである。具体的には、電解式の銀イオン溶出ユニットから、最終すすぎの給水に銀イオンを溶出することによって、収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与する。
【0032】
洗濯用水とは、洗いやすすぎに使用される水や除湿のための冷却水など、たとえば、繊維構造物の処理装置の一例としての洗濯機において使用する流体全般をいう。洗濯用水に銀イオンを含ませることによって、洗いやすすぎなどの工程を実施することにより、洗濯物や洗濯機の槽内に銀イオンを付与することができる。
【0033】
収容部および/または繊維構造物への銀イオンの付与は、銀イオンを含む水だけでなく、溶剤等の液体や超臨界流体等に物質を浸漬すること、銀イオンを含む水等の少量の液体を霧状に噴霧すること等によって行われてもよい。銀イオンを含む水等の液体は、銀を含む電極を用いた電解によって作製してもよく、電解によるもの以外に、水等の液体に浸漬することにより、銀イオンが徐放または溶解することができる構造を有する銀イオン含有物質を使用して作製してもよい。銀イオン含有物質の具体例としては、銀イオンを担持しているゼオライト、シリカゲル、ガラス、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、ケイ酸塩、酸化チタン、ウィスカー、セラミックス等、またはこれらの物質を含む樹脂や繊維等を挙げることができる。また、硝酸銀、塩化銀などの銀化合物を液体に溶解するなどしてもよい。
【0034】
光照射部としては、蛍光灯、電球、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。光照射部は、殺菌灯、紫外線(UV)ランプ等のように紫外域の光を主に含む光源、近紫外線を照射するブラックライト等のように近紫外域の光を主に含む光源、ハロゲンヒータ等のように赤外域の光を主に含む光源を含むように構成されてもよいが、蛍光灯、白熱灯、発光ダイオード(白色、青色、赤色、緑色などのLED)、可視光レーザー等のように可視光を主に含む光源を用いて構成されるのが好ましい。
【0035】
この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、光照射部が、可視光を主に含む光を照射することによって、殺菌作用をより向上させることができるとともに、紫外線による物質の劣化、黄変、退色等の損傷を防止することができる。
【0036】
また、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機等においては、衣類、布団、敷物等の繊維構造物を洗う洗い工程を行い、洗い工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、少なくとも洗い工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0037】
さらに、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機等においては、衣類、タオル、布団、敷物等の繊維構造物をすすぐすすぎ工程を行い、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与し、すすぎ工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与することができ、少なくともすすぎ工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0038】
さらにまた、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機等においては、衣類、布団、敷物等の繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、収容部内に洗濯用水またはすすぎ用水が存在しないので、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。特に、洗い工程中やすすぎ工程中には、槽内に水が貯水されているため、洗濯対象物に光を照射することができないが、脱水工程の排水が行なわれた後に光を照射することによって、効果的に洗濯対象物に光を照射することができる。
【0039】
この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての乾燥機、洗濯乾燥機等においては、衣類、布団、敷物等の繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム、乾燥室等と呼称される収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、洗濯乾燥機では収容部内に洗濯用水またはすすぎ用水が存在しないので、あるいは乾燥専用機では収容部内に水が存在しないので、乾燥対象物としての繊維構造物、および/または、乾燥対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。
【0040】
なお、洗濯工程と乾燥工程を行うことが可能な繊維構造物の処理装置では、乾燥工程を行う場合、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に光照射部が光を照射し、乾燥工程を行わない場合、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に光照射部が光を照射するようにしてもよい。このようにすることによって、光照射の重複を避けることができる。
【0041】
ところで、一般に水冷除湿機構を備えた乾燥機、洗濯乾燥機等の場合、低温である除湿部で空気中の水分の結露による除去を行い、その空気を高温部で加熱して相対湿度を低下させる。高温・低湿度となった空気を、洗濯物に接触させ、洗濯物から空気側に水分を移動させる。このようにして得られた湿った空気から、除湿部で、水分を除去する。この繰り返しにより、乾燥が実施される。したがって、水冷除湿機構を備えた乾燥装置においては、低温である除湿部と高温である高温部との飽和水蒸気量の差が大きければ大きいほど高効率となる。このため、除湿部と高温部との空気温度の差が大きければ大きいほどよい。
【0042】
たとえば、除湿に水道水を使用する水冷除湿の場合、除湿温度が水温に依存する。このため、水温が30℃以上になることもある夏場などは、除湿効果が十分でない場合がある。
【0043】
そこで、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての乾燥機、洗濯乾燥機等において低温で乾燥工程を行うために、ヒートポンプ装置を採用することが考えられる。ヒートポンプ装置を採用した乾燥機、洗濯乾燥機等の場合、除湿部の温度を水温より低く設定することが可能であるので、水冷に比べ、除湿部の空気温度を低くすることができる。このため、高温部の空気温度を低くしても、高効率の乾燥を行うことができる。なお、水冷除湿機構を備えた乾燥機、洗濯乾燥機等であっても、乾燥工程を長時間行うことで、低温での乾燥が可能である。この場合の低温とは、30〜80℃程度、より好ましくは繊維構造物へのダメージも少なく、乾燥速度もあまり長すぎない40〜65℃程度である。
【0044】
この発明の繊維構造物の処理装置のもう一つの実施の形態としては、上記のような低温で乾燥工程を行う乾燥機、洗濯乾燥機等が、銀イオン付与部と光照射部を備えてもよい。多くの微生物は、65〜80℃程度で死滅するが、低温で乾燥工程を行う場合、乾燥機内、洗濯乾燥機内がこの温度に達しない場合があるので、殺菌効果が不十分となる場合がある。しかし、本発明の繊維構造物の処理装置では、低温で乾燥工程を行っても、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができ、さらに、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。
【0045】
また、LED、蛍光灯という光照射部は、温度が高い条件で使用すると、寿命が短くなってしまう。特に、LEDの場合、温度が高くなると、光出力が低下し、発光効率が低下し、その結果、消費電力が高くなるという問題も生じる。しかし、低温で光を照射すると、上記のような問題が生じるのを抑制することができ、光照射部の寿命を長くすることができ、消費電力を低くすることができる。
【0046】
光を照射する際の温度は、たとえば、30〜80℃の温度で行うことが好ましく、40〜65℃の温度で行うのがさらに好ましい。また、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての乾燥機、洗濯乾燥機等の乾燥工程において低温で繊維構造物を乾燥させることによって、繊維構造物の乾燥による損傷を防止することができるとともに、低温下で殺菌作用を向上させることができる。
【0047】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、収容部から繊維構造物を取り出した後、光照射部が収容部に光を照射するようにしてもよい。
【0048】
具体的には、繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機等において、収容部に銀イオンが付与されるすすぎ工程の後の洗濯運転終了後または乾燥運転終了後、所定時間経過後に光の照射を停止させるようにする。これによって、槽内を殺菌したい場合に、洗濯物を取り出した後、効率的に所定時間、槽内に光を照射することができる。また、所定時間経過後に光の照射が停止するので、使用者が終了まで待機する必要がない。このとき、回転ドラム等の収容部を回転させること等によって、収容部内の空間に均一に光が照射されるようにしてもよい。また、収容部の全部または一部を、光照射手段から照射される光を反射させる機能を有する素材を用いることによって、収容部内の空間により均一に光を照射することができる。特に、回転ドラムのような可動部を、光を反射させる機能を有する素材から形成し、さらに可動部に凹凸を設けるなどすると、いろんな方向に光を反射させることができるため、より効果的である。
【0049】
また、回転ドラム等の収容部の扉を開いて洗濯物を取り出し、扉を閉じた後に、光照射を開始してもよい。このようにすることによって、洗濯物が取り出された後に閉じられた空間で光の照射を開始することができる。
【0050】
さらに、洗濯運転終了後または乾燥運転終了後だけではなく、少なくとも、収容部に銀イオンを付与するすすぎ工程の終了後、銀イオンが付与された収容部から洗濯物を取り出すために、洗濯機、洗濯乾燥機等の扉を開いた後、光照射を開始してもよい。このようにすることによって、使用者が洗濯物を取り出した後、扉を閉じなかった場合にも、光照射を実施することができる。このとき、使用者が光を浴びても問題がないように、照射される光は可視光であることが望ましい。
【0051】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置においては、収容部および/または繊維構造物に光を所定の照度以上で照射することが好ましい。この場合、所定の照度以上で物質に光を照射することによって殺菌作用をより向上させることができる。
【0052】
以下、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として、洗濯乾燥機について図に基づいて説明する。
【0053】
以下、この発明の一つの実施の形態を図に基づいて説明する。
【0054】
図3はこの発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として洗濯乾燥機の概略的な構成を示す一つの側断面図、図4はもう一つの側断面を示す図である。
【0055】
図3と図4に示すように、洗濯乾燥機100は、本体1と、本体1の内部に取り付けられた収容部としての水槽2と、水槽2の内部で回転可能に支持された収容部としての回転ドラム3とを備える。
【0056】
回転ドラム3の底には、モータ4で回転ドラム3を正逆に回転させる回転機構部が取り付けられている。回転ドラム3内の衣類を攪拌するためにバッフル5が回転ドラム3の内周壁面に取り付けられている。繊維構造物として衣類6を出し入れすることができ、かつ、気密性と水密性を保つためにドアユニット7が回転ドラム3の開口部に対して開閉可能に取り付けられている。ドアユニット7には、外部から衣類6の状態を視認することができるようにドアガラス71が設けられている。
【0057】
図3に示すように、乾燥装置は、循環ファン9と空気加熱ヒータ10とを備える。空気加熱ヒータ10は空気を加熱する。循環ファン9は、空気加熱ヒータ10によって加熱された空気が衣類からの水分を蒸発させ、除湿するための経路として水槽2の内部、回転ドラム3の内部および冷却器8を連通して空気を循環させる。
【0058】
光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21を備えており、水槽2に設置され、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、矢印Pで示す方向に光を直接、照射することができるように構成されている。また、回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31には、光源21から放射される光が通過し、衣類6を照射することができるように回転ドラム3の内部に貫通する多数の小孔32が形成されている。光照射ユニット20には、光源21から放射された光を回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31に向かう方向へ反射させるために反射板22が設けられている。また、光照射ユニット20には、光源21を洗濯用水と脱水される水とから保護するために光透過性が高い耐熱ガラス板23が設けられている。光照射ユニット20は、反射板22が背面になるように水槽2の外周壁面に固着され、耐熱ガラス板23が水槽2の外周壁面に密着固定されるようにして、取り付けられている。具体的には、耐熱性(熱絶縁性)と防水性を備えたシール材または接着剤等を用いて水槽2と耐熱ガラス板23をシールした状態で、光照射ユニット20が水槽2の外周壁面にビス等で固定されている。
【0059】
なお、本実施形態では、光照射部を水槽2に設置したが、収容部および/または繊維構造物に光照射可能な箇所であればよく、たとえば、光照射部を収容部の扉部分などに設けて、収容部に光を照射するようにしてもよい。
【0060】
図4に示すように、銀イオン付与部40は、給水管41と、給水管41に接続された銀イオン溶出ユニット42と、銀イオン溶出ユニット42と水槽2の給水口との間を接続する給水経路43とから構成される。銀イオン溶出ユニット42の内部には、2枚の板状の銀電極が間隔をおいて配置されている。給水管41を通じて銀イオン溶出ユニット42の内部に水を供給し、銀電極間に電圧を印加することにより、銀イオン溶出ユニット42の内部に銀イオンが溶出する。銀イオンを含む水は、給水経路43を通じて水槽2の内部に供給される。これにより、収容部としての水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と繊維構造物としての衣類6とに銀イオン水が付与される。
【0061】
次に、以上のようにして構成された本発明の洗濯乾燥機の概略的な動作について説明する。
【0062】
図示しない制御部の信号により、モータ4が正逆に回転し、モータ4に直接に接続された回転ドラム3も同様に正逆に回転する。この回転により、回転ドラム3内の内周壁面に固定して設けられたバッフル5が衣類6を持ち上げ、下方に落下させる動作を繰り返すことにより、洗い工程は行なわれる。このようにして、洗い工程が、いわゆる叩き洗い効果を利用して行なわれる。
【0063】
洗い工程が終了すると、排水ポンプ11を駆動させて水槽2内の水は排水ホース12から排出される。その後、すすぎ工程、脱水工程へ移行して洗濯工程が終了する。
【0064】
洗濯工程を終了し、乾燥運転を開始すると、回転ドラム3の正逆の回転により、衣類6の上下運動による攪拌作用が起きるとともに、循環ファン9と空気加熱ヒータ10に電力が供給され、空気温度が上昇する。この加熱空気によって加熱された衣類から水分が蒸発して冷却器8内へ流入する。冷却器8内には、対向配置された上方の冷却水入口管13から冷却水が供給されているので、蒸発した水分が冷却されて凝縮する。この凝縮水は、排水ポンプ11側へ流れて冷却水と混合して排水される。除湿された空気は再び空気加熱ヒータ10に還流して加熱される。加熱空気は回転ドラム3内に流入して衣類6を加熱して、衣類6に含まれている水分を蒸発させる。この繰り返しによって衣類6の乾燥が進行する。この乾燥工程で用いられる衣類の加熱源は空気加熱ヒータ10である。一般的に空気加熱ヒータ10は、空気循環ダクト内に設けられ、抵抗発熱線を金属被覆して形成されたシーズヒータが用いられる。
【0065】
次に、フローチャートを用いて洗濯乾燥機100の動作を順に説明する。
【0066】
まず、図3と図4に示すように、使用者は、ドアユニット7を開け、回転ドラム3の中に洗濯物として衣類6を入れるとともに、給水口の洗剤室(図示せず)に洗剤を入れる。必要であるなら、使用者は、仕上剤室(図示せず)に仕上剤を入れる。仕上剤は、洗濯工程の途中で入れてもよい。
【0067】
洗剤の投入準備を整えた後、使用者は、ドアユニット7を閉じ、操作パネルの操作スイッチ部の操作ボタン群(図示せず)を操作して洗濯条件(洗濯モード)を選ぶ。最後に、使用者がスタートボタンを押せば、制御部(図示せず)によって、図5〜図14に示すフローチャートに従い、上記の洗濯モードに応じた洗濯工程が遂行される。
【0068】
図5は洗濯工程全体を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、ステップS101では、洗い工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択がなされていれば、ステップS200に進む。ステップS200の洗い工程の内容は、別途、図6に示すフローチャートを用いて説明する。洗い工程終了後は、ステップS102に進む。一方、ステップS101にて、洗い工程の選択がなされていなければ、直ちにステップS102に進む。
【0069】
ステップS102では、すすぎ工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS103に進む。
【0070】
ステップS103では、除菌コースの選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS400に進む。一方、ステップS103にて、除菌コースの選択がなされていなければ、ステップS300に進む。
【0071】
ステップS400の銀除菌すすぎ工程の内容は、別途、図8に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS300のすすぎ工程の内容は、別途、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、すすぎ工程は、複数回にわたってもよい。すすぎ工程終了後は、ステップS500に進む。一方、ステップS102にて、すすぎ工程の選択がなされていなければ、直ちにステップS500に進む。
【0072】
ステップS500の脱水乾燥選択工程の内容は、別途、図9に示すフローチャートを用いて説明する。脱水乾燥選択工程終了後は、ステップS104に進む。
【0073】
ステップS104では、制御部による終了処理が手順に従って自動的に進められる。また、ステップS105にて、制御部は、洗濯工程が完了したことを終了音で使用者に報知する。すべての処理が終了した後、使用者はドアユニット7を開けて洗濯物を取り出し、ドアユニット7を閉じた後に、洗濯乾燥機100は、次の洗濯工程に備えて待機状態に戻るが、除菌コースの選択がなされている場合には、ステップS1000の槽内殺菌工程を行った後、次の洗濯工程に備えて待機状態に戻る。ステップS1000の槽内殺菌工程の内容は、別途、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0074】
次に、上記の洗濯工程のうち、洗い工程、すすぎ工程、銀除菌すすぎ工程、脱水乾燥選択工程、槽内殺菌工程の各個別工程の詳細について、図6〜図14に基づいて説明する。
【0075】
まず、洗い工程について説明する。
【0076】
図6は、洗い工程を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS201では、水位センサの検知している回転ドラム3内の水位データのとり込みが行われる。ステップS202では、容量センシングの選択がなされているかどうかを確認する。容量センシングが選択されていれば、ステップS203に進む。ステップS203では、回転ドラム3の回転負荷により洗濯物の量を測定する容量センシングを行う。そして、容量センシング後は、ステップS204に進む。一方、ステップS202にて、容量センシングが選択されていなければ、直ちにステップS204に進む。
【0077】
ステップ204では、メイン給水弁(図示せず)が開き、メイン給水管および給水口を通じて回転ドラム3に水が注がれる。正確には、水槽2に水が注がれ、その水が小孔32を通じて回転ドラム3内に浸入する。給水口の洗剤室に入れられた洗剤も水に混じって回転ドラム3に投入される。このとき、排水弁は閉じられている。水位センサが設定水位を検知したら、メイン給水弁は閉じられる。そして、ステップS205に進む。
【0078】
ステップS205では、なじませタンブリングを行う。このなじませタンブリングでは、回転ドラム3が低速で回転し、洗濯物である衣類6を水から出しては再び水の中に落下させて、衣類6に水を十分に吸収させる。また、衣類6の各所にとらわれていた空気を逃がす。
【0079】
なじませタンブリングの後、ステップS206に移る。ステップS206では、回転ドラム3が洗いタンブリングのパターンで回転し、衣類6を高く持ち上げては落下させる。この落下時の衝撃により、衣類6の繊維の間に水の噴流が発生し、衣類6が洗われる。
【0080】
洗いタンブリングの期間が経過した後、ステップS207に進む。ステップS207では、回転ドラム3がゆるやかに回転する。回転ドラム3がゆるやかに回転した場合、衣類6は高い位置に持ち上げられる前に、低い位置で回転ドラム3から離れて落下する。
【0081】
ここで、衣類6が高い位置から落下した場合には、衣類6は回転ドラム3の内周壁面にたたきつけられ、内周壁面にぺたりとへばりつく。このため、回転ドラム3が高速の脱水回転を始めたとき、アンバランスが解消されにくい。
【0082】
これに対して、衣類6が低い位置で回転ドラム3の内周壁面から離れた場合、衣類6はたたきつけられるというよりもむしろ転がるような感じになり、衣類6同士が比較的ふんわりと重なる。この状態であれば、回転ドラム3が高速の脱水回転を始めたときに、衣類6が四方に分散しやすい。すなわち、バランスをとりやすい。このため、回転ドラム3をゆるやかに回転させて衣類6をほぐし、脱水回転に備える。
【0083】
次に、図7に示すフローチャートに基づいて、すすぎ工程の内容について説明する。
【0084】
まず、ステップS600の脱水工程(ここでは、すすぎ工程の中の脱水工程であるため、中間脱水工程と称する)が行われるが、これについては、図10に示すフローチャートで説明する。ステップS600での中間脱水工程終了後は、ステップS301に進む。ステップS301では、メイン給水弁が開き、設定水位まで給水が行われる。
【0085】
給水後、ステップS302に進む。ステップS302では、なじませタンブリングが行われる。なじませタンブリングは、洗い工程のステップS205で行った工程と同様である。
【0086】
なじませタンブリングの後は、ステップS303に進む。使用者の設定に従い、回転ドラム3は、すすぎタンブリングのパターンで回転する。回転ドラム3は、回転により衣類6を水にくぐらせ、また上の方に持ち上げては落下させる。これにより、衣類6のすすぎが行われる。
【0087】
すすぎタンブリングの期間が経過した後、ステップS304に移る。ステップS304では、回転ドラム3がゆるやかに回転して衣類6をほぐし、脱水回転に備える。
【0088】
なお、上記の説明では、回転ドラム3の中にすすぎ水をためておいてすすぎを行う「ためすすぎ」を実行しているが、常に新しい水を補給する注水すすぎ、あるいは衣類6に水のシャワーを注ぎかけるシャワーすすぎを行ってもよい。
【0089】
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、銀除菌すすぎ工程の内容について説明する。図7に示すS300のすすぎ工程と異なる点は、ステップS600での中間脱水工程終了後にステップS401に進み、ステップS401では、給水弁が開き、給水管41を通じて設定水位まで給水が行われるが、銀イオン水が供給されることである。図4に示すように、給水管41を通じて銀イオン溶出ユニット42の内部に水を供給し、銀電極間に電圧を印加することにより、銀イオン溶出ユニット42の内部に銀イオンが溶出する。銀イオンを含む水は、給水経路43を通じて水槽2の内部に供給される。これにより、収容部としての水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と繊維構造物としての衣類6とに銀イオン水が付与される。
【0090】
銀除菌すすぎ工程における他のステップS402〜S404は、すすぎ工程におけるステップS302〜S304と同様である。
【0091】
次に、図9に示すフローチャートに基づいて、脱水乾燥選択工程の内容について説明する。図9に示すように、まず、ステップS501では、除菌処理の選択がなされているかどうかを確認する。選択がなされていれば、ステップS502に進む。一方、ステップS501にて、除菌処理の選択がなされていなければ、ステップS505に進む。
【0092】
ステップS502では、脱水工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS503に進む。
【0093】
ステップS503では、乾燥工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS600に進む。
【0094】
ステップS600の脱水工程の内容は、別途、図10に示すフローチャートを用いて説明する。脱水工程終了後は、ステップS900に進む。一方、ステップS503にて、乾燥工程の選択がなされていなければ、ステップS700に進む。
【0095】
ステップS700の光照射脱水工程の内容は、別途、図11に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS900の光照射乾燥工程の内容は、別途、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0096】
ステップS502にて、脱水工程の選択がなされていなければ、ステップS504に進む。
【0097】
ステップS504では、乾燥工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS900に進む。一方、ステップS504にて、乾燥工程の選択がなされていなければ、脱水乾燥選択工程を終了する。
【0098】
ステップS505では、脱水工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS600に進む。
【0099】
ステップS600の脱水工程の内容は、別途、図10に示すフローチャートを用いて説明する。脱水工程終了後は、ステップS506に進む。一方、ステップS505にて、脱水工程の選択がなされていなければ、直ちにステップS506に進む。
【0100】
ステップS506では、乾燥工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS800に進む。
【0101】
ステップS800の乾燥工程の内容は、別途、図12に示すフローチャートを用いて説明する。乾燥工程終了後は、脱水乾燥選択工程を終了する。一方、ステップS506にて、乾燥工程の選択がなされていなければ、脱水乾燥選択工程を終了する。
【0102】
次に、図10に示すフローチャートに基づいて、脱水工程の内容について説明する。
【0103】
まず、ステップS601で排水弁が開く。これにより、回転ドラム3の中の洗濯用水またはすすぎ用水は、排水弁を通じて排水される。排水弁は、脱水工程中は開いたままである。
【0104】
所定時間が経過し、衣類6から大部分の水が抜けたところで、回転ドラム3が脱水回転を開始する。回転ドラム3が高速で回転すると、衣類6は遠心力で回転ドラム3の内周壁面に押しつけられる。これにより、衣類6に含まれていた水も、回転ドラム3の内周壁面に集まり、小孔32から放出される。小孔32を離れた洗濯用水またはすすぎ用水は、水槽2の内周壁面にたたきつけられ、水槽2の内周壁面を伝って水槽2の底部に流れ落ちる。そして、水は排水ホース12を通って、本体1の外に排出される。
【0105】
図10に示すシーケンスでは、ステップS602とステップS603にて比較的低速の脱水運転を行った後、ステップS604とステップS605にて高速の脱水運転を行う。ステップS605の後は、ステップS606に移行する。ステップS606では、モータ4への通電を断つとともにブレーキを働かせることなく、回転ドラム3を慣性で回転させ、自然停止に至らせる。
【0106】
次に、図11に示すフローチャートに基づいて、光照射脱水工程の内容について説明する。図10に示すS600の脱水工程と異なる点は、ステップS702の排水の前にステップS701にて光照射を開始し、ステップS707の慣性脱水の後にステップS708にて光照射を停止することである。ステップS701にて、図3に示すように、光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21から、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、矢印Pで示す方向に光を直接、照射するように制御部が光照射を開始させる。光照射脱水工程における他のステップS702〜S707は、脱水工程におけるステップS601〜S606と同様である。脱水工程が終了すると、ステップS708にて、制御部が光照射を終了させる。このようにして、銀イオン水が付与された水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、脱水工程の間に光を照射することによって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とを殺菌処理することができる。なお、ステップS702〜S707の脱水工程の後に、ステップS701とS708に従って光を照射してもよい。この場合、間欠的に回転ドラム3を回転させるのが好ましい。
【0107】
次に、図12に示すフローチャートに基づいて、乾燥工程の内容について説明する。図12に示すように、ステップS801にて除湿・乾燥を行う。具体的には、図3に示すように、回転ドラム3の正逆の回転により、衣類6の上下運動による攪拌作用が起きるとともに、循環ファン9と空気加熱ヒータ10に電力が供給され、空気温度が上昇する。この加熱空気によって加熱された衣類から水分が蒸発して冷却器8内へ流入する。冷却器8内には、冷却水入口管13から冷却水が供給されているので、蒸発した水分が冷却されて凝縮する。この凝縮水は、排水ポンプ11側へ流れて冷却水と混合して排水される。除湿された空気は再び空気加熱ヒータ10に還流して加熱される。加熱空気は回転ドラム3内に流入して衣類6を加熱して、衣類6に含まれている水分を蒸発させる。この繰り返しによって衣類6の乾燥が進行する。
【0108】
洗濯乾燥機100は水冷除湿機構を備えており、上述したように除湿・乾燥が行われるが、低温で乾燥工程を行うために、水冷除湿機構の代わりにヒートポンプ装置を備えていてもよい。ヒートポンプ装置を採用した洗濯乾燥機の場合、除湿部の温度を水温より低く設定することが可能であるので、水冷に比べ、除湿部の空気温度を低くすることができる。このため、高温部の空気温度を低くしても、高効率の乾燥を行うことができる。なお、水冷除湿機構を備えた洗濯乾燥機100であっても、乾燥工程を長時間行うことで、低温での乾燥が可能である。この場合の低温とは、30〜80℃程度、好ましくは40〜65℃程度である。
【0109】
除湿・乾燥を所定時間行った後、ステップS802にて停止処理を行い、乾燥工程を終了する。
【0110】
次に、図13に示すフローチャートに基づいて、光照射乾燥工程の内容について説明する。図12に示すS800の乾燥工程と異なる点は、ステップS902の除湿乾燥の前にステップS901にて光照射を開始し、ステップS903の停止処理の後にステップS904にて光照射を停止することである。ステップS901にて、図3に示すように、光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21から、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、矢印Pで示す方向に光を直接、照射するように制御部が光照射を開始させる。光照射乾燥工程における他のステップS902〜S903は、乾燥工程におけるステップS801〜S802と同様である。乾燥工程が終了すると、ステップS904にて、制御部が光照射を終了させる。このようにして、銀イオンが付与された水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、乾燥工程の間に光を照射することによって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とを殺菌処理することができる。なお、ステップS902〜S903の乾燥工程の後に、ステップS901とS904に従って光を照射してもよい。この場合、間欠的に回転ドラム3を回転させるのが好ましい。
【0111】
最後に、図14に示すフローチャートに基づいて、槽内殺菌工程の内容について説明する。ステップS1001にて光照射を開始し、ステップ1002にて光照射を停止することである。ステップS1001にて、図3に示すように、光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21から、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31に、矢印Pで示す方向に光を直接、照射するように制御部が光照射を開始させる。所定時間の光照射の後、ステップS1002にて、制御部が光照射を終了させる。このようにして、銀イオンが付与された水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とに、運転が終了した後に光を照射することによって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とを殺菌処理することができる。
【0112】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、回転ドラム3から衣類6を取り出した後、上記の槽内殺菌工程にて、光照射ユニット20が水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とに光を照射するようにしてもよく、回転ドラム3から衣類6を取り出す前に、上記の槽内殺菌工程にて、光照射ユニット20が衣類6と水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とに光を照射するようにしてもよい。
【0113】
また、ステップS700の光照射脱水工程にて光照射が開始され、その後、洗濯運転を終了させる場合には、洗濯運転終了後、所定時間経過後に光の照射を停止させるようにしてもよい。また、ステップS900の光照射乾燥工程にて光照射が開始され、その後、乾燥運転を終了させる場合には、乾燥運転終了後、所定時間経過後に光の照射を停止させるようにしてもよい。このようにすることによって、槽内を殺菌したい場合に、洗濯運転終了後または乾燥運転終了後に、回転ドラム3から衣類6を取り出した後、効率的に所定時間、槽内に光を照射することができる。また、所定時間経過後に光の照射が停止するので、使用者が終了まで待機する必要がない。このとき、回転ドラム3を回転させること等によって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31だけでなく、槽内の空間に均一に光が照射されるようにしてもよい。
【0114】
さらに、ドアユニット7を開いて回転ドラム3から衣類6を取り出し、ドアユニット7を閉じた後に、光照射を開始してもよい。このようにすることによって、衣類6が取り出された後に閉じられた空間で光の照射を開始することができる。
【0115】
さらに、洗濯運転終了後または乾燥運転終了後だけではなく、少なくとも、回転ドラム3等に銀イオンを付与するすすぎ工程の終了後、回転ドラム3から衣類6を取り出すために、ドアユニット7を開いた後、そのままの状態で光照射を開始してもよい。このようにすることによって、使用者が衣類6を取り出した後、ドアユニット7を閉じなかった場合にも、光照射を実施することができる。このとき、使用者が光を浴びても問題がないように、照射される光は可視光であることが望ましい。
【0116】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置の実施の形態として、洗濯乾燥機、乾燥専用機等を乾燥目的のみで用いる場合に、衣類、布団、敷物等の繊維構造物に予め銀イオン水を付与して、その繊維構造物を収容部に入れて、乾燥工程の間に光照射を行ってもよい。また、この発明の繊維構造物の処理装置の実施の形態として、洗濯機、洗濯乾燥機等を脱水目的のみで用いる場合に、水を含む衣類、布団、敷物等の繊維構造物に予め銀イオン水を付与して、その繊維構造物を収容部に入れて、脱水工程の間に光照射を行ってもよい。
【実施例】
【0117】
本発明の繊維構造物の処理装置における殺菌方法の一つの実施例として、繊維構造物を構成する物質の一例としてポリエステルを用いて、銀イオンをポリエステルに付着させた後に、各種の光を照射することによって殺菌効果の有無を調べた。
【0118】
具体的には、銀イオンを付着させた試料に光を照射した後の抗菌効果の試験を行った。
【0119】
この試験に用いた試料は、ポリエステルに銀イオン水を付着させ、乾燥させたものである。銀イオン水は、八尾市の水道水を用いて、銀電極から電解によって水中に銀イオンを溶出することによって作製した。
【0120】
光照射条件を、白色蛍光灯、ブラックライト、光照射なしの3条件とし、試料の表面への銀付着量を0(銀イオン水の付着処理なし)、5、10、20ng/cm2とした。抗菌試験は、抗菌製品技術協議会の光照射フィルム密着法にて行った。この方法は、試料に約1.0×105CFUの菌を含む菌液を付着させ、照射時間として24時間経過した後の菌数を測定する方法である。菌としては、黄色ブドウ球菌を用いた。白色蛍光灯は、20Wのものを使用し、サンプル付近の明るさ(照度)が5000ルクスとなる距離にサンプルを置いた。ブラックライトも同様に20Wのものを使用し、光源とサンプルの距離は、白色蛍光灯でサンプル付近の明るさ(照度)が5000ルクスとなった位置と同じ距離にした。
【0121】
その結果を表1と図1に示す。表1は、各光照射条件と銀付着量毎の試験後の菌数(単位:CFU)との関係を示す。図1は、試料への銀付着量と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。なお、グラフは、菌数の測定値が下限値(10CFU)以下の時の菌数を10CFUとみなして作図している。
【0122】
【表1】
【0123】
表1と図1に示したように、光を照射しなくても、銀付着量が20ng/cm2であれば、十分な殺菌作用が認められた。この試料では、表面に銀イオン水の蒸発残留物が付着し、それが菌液を滴下した時に再度溶解し、銀イオンによる殺菌作用が発揮されたと考えられる。
【0124】
また、光を照射することによって、殺菌作用が向上していることがわかる。銀付着量が10ng/cm2の試料では、ブラックライト、白色蛍光灯の照射で殺菌作用が向上しているが、銀付着量が5ng/cm2のような銀付着量が少ない条件では、主に可視光を含む白色蛍光灯を照射する方が、主に近紫外光を含むブラックライトを照射するよりも殺菌作用が向上することが認められた。
【0125】
本試験方法では、前述のように乾燥したサンプルに菌液という形で水を加えて評価している。そのため、表面に付着した銀イオン水の蒸発残留物が、溶解して銀イオンとなり、その銀イオンに光が照射されることにより、殺菌作用が向上したものと考えられる。
【0126】
基本的には、完全に乾燥した条件(たとえば水分活性が0.5以下となるような条件)では菌は死滅する。しかし、一般環境中においては、そこまで乾燥されることはない。
【0127】
例えば乾燥機などで十分に乾燥した洗濯物であっても、繊維の分子の表面や結晶内に水分を含んでいる。そのため、特に湿潤な環境でなくても、一般環境中では至る所に菌が生息している。特に低温で乾燥したものであれば、このような形で含まれる水分はより大きい。
【0128】
従って、乾燥したサンプルにおける殺菌作用の評価方法として、水を加えることは、JIS Z2801、JIS L1902などでも行われている一般的な方法であり、不適切な方法ではない。
【0129】
また、本発明において乾燥した物が殺菌の対象であっても、菌が生存できる環境であれば、水分が存在するため、本試験で確認された効果も発揮される。菌が生存できない程度に完全に乾燥した環境であれば殺菌する必要はなく、問題ない。
【0130】
また、上記の試験にて、銀付着量が5ng/cm2の試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照射し、その照度(ルクス)を変化させた場合において試験後の菌数(単位:CFU)の変化を調べた。その結果を図2に示す。図2は、白色蛍光灯の照度と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【0131】
図2に示すように、光照射なしのときの菌数は8.0×104CFUであるのに対して、照度が1000ルクスのときの菌数は3.20×103CFUであり、照度が5000ルクスのときの菌数は10CFU以下程度であった。このように、光の強度(照度)によって本発明による殺菌作用に変化が認められた。銀イオンを付着させた物質に少なくとも所定の照度以上で光を照射することにより、殺菌作用をより向上させることができることがわかる。
【0132】
また、グラフから読み取ると、光照射なしに対して菌数が2桁減少するのは1900ルクス付近であった。今回実施した光照射フィルム密着法では、抗菌効果の有無の判定を菌数が2桁減少しているか否かで判定する。また、菌数が2桁減少するというのは、JIS Z2801やJIS L1902などでも用いられており、一般的な抗菌効果の判断基準である。従って、殺菌作用を向上させるという観点から、所定の照度以上で光を照射するのが望ましいが、照射対象の位置での照度が1900ルクス以上であれば、より望ましい。
【0133】
さらに、上記の試験にて、銀付着量が5ng/cm2の試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、その照射時間を変化させた場合(銀あり光あり)において試験後の菌数(単位:CFU)の経時変化を調べた。比較として、銀付着量が5ng/cm2の試料に光を照射しない状態で時間を経過させたもの(銀あり光なし)、銀イオンを付着させないで白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、その照射時間を変化させたもの(銀なし光あり)、銀イオンを付着させないで光も照射しない状態で時間を経過させたもの(銀なし光なし)についても、菌数の経時変化を調べた。その結果を図15に示す。図15は、経過時間と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【0134】
図15に示すように、銀付着量が5ng/cm2の試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、その照射時間を変化させた場合(銀あり光あり)、非常に短時間の照射時間(1時間)で菌数が減少していることがわかる。したがって、洗濯機または洗濯乾燥機の運転中などで光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。たとえば、洗濯乾燥機の乾燥工程で光を照射することが好ましい。
【0135】
さらにまた、上記の試験にて、試料に付着される銀イオンの生成方法を異ならせた場合において試験後の菌数(単位:CFU)を調べた。銀イオンの生成方法としては、上記の試験と同様に、水道水に浸漬した銀電極から電解(電気分解)によって水中に銀イオンを溶出することによって得られた銀イオン水(電解銀イオン水)を使用して作製した試料と、試薬の塩化銀(AgCl)を水に溶かして得られた銀イオン水(AgCl水溶液)を使用して作製した試料と、試薬の酸化銀(Ag2O)を水に溶かして得られた銀イオン水(Ag2O水溶液)を使用して作製した試料とを用いた。各試料の銀付着量を5ng/cm2とした。各試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、照射時間として24時間経過した後の菌数を調べた。比較として、各試料に光を照射しない状態で24時間経過した後の菌数も調べた。その結果を図16に示す。図16は、付着される銀イオンの生成方法の種類と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【0136】
図16に示すように、電解銀イオン水を使用して銀イオンを付着させた試料では、AgCl水溶液、Ag2O水溶液を使用して銀イオン水を付着させた試料に比べて、光照射後の菌数の減少の度合いが大きく、光照射後に最も菌数が減少していることがわかる。
【0137】
次に、銀イオン水に菌液を添加したものに光を照射する試験を実施した。照射する光の光源としては、白色蛍光灯を用い、サンプルの位置での照度が10000ルクスとなるように配置した。光の照射時間は10分間とし、菌としては緑膿菌を用いた。所定の量の菌を含む銀イオン水を、可視光を透過する容器に入れ、10分間の光の照射を行った。また、光を照射しない場合の試験も同時に実施するため、同じ容器に同じ菌を含む銀イオン水を入れ、アルミニウムホイルで完全に光を遮断し、他は同じ条件で試験を実施した。試験実施中のサンプル付近の温度は26℃であった。また、この試験では、オートクレーブによって滅菌した水道水を用い、その水に浸漬した銀電極から電解(電気分解)によって水中に銀イオンを溶出することによって得られた銀イオン水を用いた。銀イオン濃度は、0、30、90ppbとした。
【0138】
この試験の結果を図17と表2に示す。図17は、光照射の有無による各銀イオン濃度と菌数との関係を示す図である。また、表2は、光照射の有無による各銀イオン濃度と菌数との関係において、光を照射しないときの菌数を100%とした場合に光を照射したときの菌数を%で示す。
【0139】
【表2】
【0140】
図17と表2に示す結果から、銀イオン濃度が0ppbでは、光の照射の有無に関わらず、初期菌数とほとんど変化がないが、銀イオン濃度が高くなるにつれて、銀による殺菌効果とともに、光の照射による殺菌効果も増大していることがわかる。
【0141】
なお、この試験において、光源からの光の紫外線強度は2μW/cm2で、紫外線単独による殺菌効果はない。
【0142】
このように、銀イオン水に光を照射することによって、水に対する殺菌の効果を向上させることができる。したがって、本発明の繊維構造物の処理装置としての洗濯機において、洗いやすすぎに用いられる水に銀イオンを含ませ、その水に光照射部が光を照射することによって、洗い水やすすぎ水を効果的に殺菌することができる。このような効果は、風呂水などの菌を含む水を洗濯に使用する際に特に有効である。
【0143】
また、このような殺菌作用は、乾燥させずに銀イオン水が付着したままの試料に光を照射しても、銀イオン水には、今回の試験条件と同様に銀イオンが含まれているので、同様の殺菌作用の向上が得られると考えられる。したがって、銀イオン水に浸漬した状態の布等の繊維構造体に光を照射しても殺菌作用を向上させることができ、たとえば、すすぎ工程にて銀イオン水を付着させた洗濯物や、銀イオン水が付着した洗濯槽や水槽などの洗濯機内の部材に、光を照射しても殺菌作用を向上させることができると考えられる。
【0144】
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0145】
この発明に従った繊維構造物の処理装置は、衣類、布団、敷物等の繊維構造体の処理装置として、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】試料への銀付着量と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図2】白色蛍光灯の照度と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図3】この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として洗濯乾燥機の概略的な構成を示す一つの側断面を示す図である。
【図4】この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として洗濯乾燥機の概略的な構成を示すもう一つの側断面を示す図である。
【図5】洗濯工程全体を示すフローチャートである。
【図6】洗い工程を示すフローチャートである。
【図7】すすぎ工程を示すフローチャートである。
【図8】銀除菌すすぎ工程を示すフローチャートである。
【図9】脱水乾燥選択工程を示すフローチャートである。
【図10】脱水工程を示すフローチャートである。
【図11】光照射脱水工程を示すフローチャートである。
【図12】乾燥工程を示すフローチャートである。
【図13】光照射乾燥工程を示すフローチャートである。
【図14】槽内殺菌工程を示すフローチャートである。
【図15】経過時間と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図16】付着される銀イオンの生成方法の種類と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図17】光照射の有無による各銀イオン濃度と菌数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0147】
1:本体、2:水槽、3:回転ドラム、6:衣類、20:光照射ユニット、21:光源、40:銀イオン水供給部、100:洗濯乾燥機。
【技術分野】
【0001】
この発明は、繊維構造物の処理装置に関し、特定的には殺菌作用を高めることが可能な、衣類、布団、敷物等の繊維構造物の処理装置、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣類を乾燥させるために、加熱作用がある赤外線等を含む光を衣類に照射する洗濯乾燥機が、たとえば、特開2005−152193号公報(特許文献1)、特開2005−168687号公報(特許文献2)、特開2005−177081号公報(特許文献3)で提案されている。
【0003】
また、外槽の上板、水槽および外蓋等に付着した有機物質からなる汚物を分解して除去するために紫外線を照射する電気洗濯機が、たとえば、特開平9−135992号公報(特許文献4)で提案され、雑菌の繁殖によって洗濯物にいやな臭いのつくことを防止するために洗濯物に紫外線を照射する洗濯機が、たとえば、特開平10−43481号公報(特許文献5)で提案されている。
【0004】
さらに、洗濯物に付着している雑菌を死滅させるように殺菌作用を付与し、または、洗濯物に付着している雑菌の繁殖を抑制するように抗菌作用を付与するために、銀イオンを洗濯物に付与する洗濯機が、たとえば、実開平5−74487号公報(特許文献6)、特開2001−276484号公報(特許文献7)、特開2003−290594号公報(特許文献8)、特開2004−215817号公報(特許文献9)、特開2004−321313号公報(特許文献10)で提案されている。
【0005】
さらにまた、乾燥効率を高めるために、ヒートポンプ装置を用いて衣類を乾燥させるドラム式洗濯乾燥機または衣類乾燥装置が、たとえば、特開2004−229954号公報(特許文献11)、特開2005−304987号公報(特許文献12)で提案されている。
【0006】
なお、槽内を照明するために照明ランプを取り付けた洗濯機が、たとえば、特開平5−245292号公報(特許文献13)、特開平6−190186号公報(特許文献14)、特開平6−327887号公報(特許文献15)、特開2000−157781号公報(特許文献16)で提案されている。
【特許文献1】特開2005−152193号公報
【特許文献2】特開2005−168687号公報
【特許文献3】特開2005−177081号公報
【特許文献4】特開平9−135992号公報
【特許文献5】特開平10−43481号公報
【特許文献6】実開平5−74487号公報
【特許文献7】特開2001−276484号公報
【特許文献8】特開2003−290594号公報
【特許文献9】特開2004−215817号公報
【特許文献10】特開2004−321313号公報
【特許文献11】特開2004−229954号公報
【特許文献12】特開2005−304987号公報
【特許文献13】特開平5−245292号公報
【特許文献14】特開平6−190186号公報
【特許文献15】特開平6−327887号公報
【特許文献16】特開2000−157781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、衣類を乾燥させるために加熱作用がある赤外線等を含む光を衣類に照射する場合、衣類の温度を上昇させることによって殺菌することができるが、高温に加熱されるために衣類が損傷するという問題がある。また、この場合、衣類を乾燥させなければ、衣類を殺菌処理することがないため、洗濯乾燥機にて洗濯しても乾燥させたくない衣類等に対しては殺菌処理を施すことができないという問題がある。
【0008】
また、殺菌処理のために紫外線を照射する洗濯機では、紫外線の照射によって、洗濯機を構成する合成樹脂等が劣化したり、衣類等の洗濯物が退色したり、黄変したりするという問題がある。
【0009】
さらに、銀イオンを洗濯物に付与する洗濯機では、所望の抗菌作用、殺菌作用を得るためには、所定量以上の銀イオンを洗濯物に付与する必要があるので、洗濯物の量、使用水量等によっては、十分な抗菌作用、殺菌作用を得ることができないという問題がある。
【0010】
さらにまた、乾燥効率を高めるためにヒートポンプ装置を用いて衣類を乾燥させるドラム式洗濯乾燥機または衣類乾燥装置では、低温で衣類を乾燥させるために、雑菌が死滅する温度である65〜80℃程度に装置内の温度が到達しない場合がある。このため、ヒートポンプ装置を用いて衣類を乾燥させる場合、その熱による殺菌効果は不十分となる場合がある。
【0011】
そこで、この発明の目的は、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材を高温に加熱する必要がなく、必ずしも乾燥状態にする必要もないとともに、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材に劣化、退色等をもたらさないで、殺菌対象となる繊維構造物および/または処理装置の構成部材が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることが可能な、繊維構造物の処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に従った繊維構造物の処理装置は、銀イオンが付与された繊維構造物を内部に収容する収容部と、銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射する光照射部とを備える。
【0013】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、予め銀イオンが付与された繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。また、殺菌対象となる繊維構造物を加熱しないで、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができる。さらに、銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。なお、繊維構造物に銀イオンを付与するだけの装置に比べて、本発明の繊維構造物の処理装置によれば、少ない銀の使用量で所定の殺菌作用を得ることができる。したがって、銀イオン付与機能を備えた洗濯機、洗濯乾燥機等によって予め銀イオンが付与された衣類、布団、敷物等の繊維構造体を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0014】
この発明に従った繊維構造物の処理装置は、内部に繊維構造物を収容する収容部と、収容部に、および/または、収容部内に収容された繊維構造物に、銀イオンを付与する銀イオン付与部と、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射する光照射部とを備える。
【0015】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。また、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物を加熱しないで、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができる。さらに、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。なお、収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与するだけの装置に比べて、本発明の繊維構造物の処理装置によれば、少ない銀の使用量で所定の殺菌作用を得ることができる。したがって、合成樹脂等からなる収容部を構成する部材、および/または、衣類、布団、敷物等の繊維構造体を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0016】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、光照射部は、可視光を含む光を照射することが好ましい。この場合、可視光を含む光を照射することによって、殺菌作用をより向上させることができるとともに、紫外線による物質の劣化、退色等の損傷を防止することができる。
【0017】
また、この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物を洗う洗い工程を行い、洗い工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、少なくとも洗い工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0018】
さらに、この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物をすすぐすすぎ工程を行い、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与し、すすぎ工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与することができ、少なくともすすぎ工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0019】
さらにまた、この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、収容部内に洗濯用水またはすすぎ用水が存在しないので、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。
【0020】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、収容部内に水が存在しないので、乾燥対象物としての繊維構造物、および/または、乾燥対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。
【0021】
また、この発明の繊維構造物の処理装置においては、上記の乾燥工程を低温で行うことが好ましい。この場合、低温で繊維構造物を乾燥させることによって、繊維構造物の乾燥による損傷を防止することができるとともに、低温下で殺菌作用を向上させることができる。
【0022】
さらに、この発明の繊維構造物の処理装置においては、ヒートポンプ装置を用いて上記の乾燥工程を行うことが好ましい。この場合、ヒートポンプ装置を用いた低温乾燥を行う乾燥機、洗濯乾燥機等の繊維構造物の処理装置において、低温下で殺菌作用を向上させることができる。
【0023】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置においては、収容部から繊維構造物を取り出した後、光照射部が収容部に光を照射することが好ましい。この場合、収容部から繊維構造物を取り出した後、収容部内を効果的に殺菌処理することができる。
【0024】
この発明の繊維構造物の処理装置においては、銀イオンは、電解により生成される銀イオンであることが好ましい。この場合、光照射による殺菌作用を向上させることができる。
【0025】
また、この発明の繊維構造物の処理装置は、銀イオンを含む水を使用し、銀イオンを含む水に光を照射する光照射部を備える。
【0026】
このようにすることにより、洗いやすすぎに用いられる水に銀イオンを含ませ、その水に光を照射することによって、洗い水やすすぎ水を効果的に殺菌することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物を高温に加熱する必要がなく、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物に劣化、退色等をもたらさないで、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物が損傷することがなく、衣類、布団、敷物等の繊維構造物の処理装置、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等の繊維構造物の処理装置において、簡単な工程で殺菌効果を向上させることができ、十分な殺菌作用を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
前述した背景技術における問題点の検討に基づいて、本発明者は、さまざまな局面から繊維構造物の処理装置における殺菌方法を検討して鋭意研究を重ねた。その結果、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができることを見出した。このような発明者の知見に基づいて本発明はなされたものである。
【0029】
この発明に従った繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等は、内部に衣類、布団、敷物等の繊維構造物を収容する、外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部に、および/または、収容部内に収容された繊維構造物に、銀イオンを付与する銀イオン付与部としての銀イオン水供給部等と、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射する光照射部とを備える。
【0030】
この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、さらに光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。また、乾燥工程等で、殺菌対象となる収容部および/または繊維構造物を加熱しないで、必ずしも乾燥状態にする必要もなく、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができる。さらに、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。なお、収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与するだけの従来の洗濯機、洗濯乾燥機等に比べて、本発明の繊維構造物の処理装置によれば、少ない銀の使用量で所定の殺菌作用を得ることができる。したがって、合成樹脂等からなる収容部を構成する部材、および/または、衣類、布団、敷物等の繊維構造体を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0031】
銀イオン付与部としての銀イオン水供給部等とは、たとえば、洗濯用水に銀イオンを添加して洗濯用水に接触した繊維構造物としての洗濯物や収容部としての槽の各部位に銀イオンを付与するものである。具体的には、電解式の銀イオン溶出ユニットから、最終すすぎの給水に銀イオンを溶出することによって、収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与する。
【0032】
洗濯用水とは、洗いやすすぎに使用される水や除湿のための冷却水など、たとえば、繊維構造物の処理装置の一例としての洗濯機において使用する流体全般をいう。洗濯用水に銀イオンを含ませることによって、洗いやすすぎなどの工程を実施することにより、洗濯物や洗濯機の槽内に銀イオンを付与することができる。
【0033】
収容部および/または繊維構造物への銀イオンの付与は、銀イオンを含む水だけでなく、溶剤等の液体や超臨界流体等に物質を浸漬すること、銀イオンを含む水等の少量の液体を霧状に噴霧すること等によって行われてもよい。銀イオンを含む水等の液体は、銀を含む電極を用いた電解によって作製してもよく、電解によるもの以外に、水等の液体に浸漬することにより、銀イオンが徐放または溶解することができる構造を有する銀イオン含有物質を使用して作製してもよい。銀イオン含有物質の具体例としては、銀イオンを担持しているゼオライト、シリカゲル、ガラス、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、ケイ酸塩、酸化チタン、ウィスカー、セラミックス等、またはこれらの物質を含む樹脂や繊維等を挙げることができる。また、硝酸銀、塩化銀などの銀化合物を液体に溶解するなどしてもよい。
【0034】
光照射部としては、蛍光灯、電球、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。光照射部は、殺菌灯、紫外線(UV)ランプ等のように紫外域の光を主に含む光源、近紫外線を照射するブラックライト等のように近紫外域の光を主に含む光源、ハロゲンヒータ等のように赤外域の光を主に含む光源を含むように構成されてもよいが、蛍光灯、白熱灯、発光ダイオード(白色、青色、赤色、緑色などのLED)、可視光レーザー等のように可視光を主に含む光源を用いて構成されるのが好ましい。
【0035】
この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、光照射部が、可視光を主に含む光を照射することによって、殺菌作用をより向上させることができるとともに、紫外線による物質の劣化、黄変、退色等の損傷を防止することができる。
【0036】
また、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機等においては、衣類、布団、敷物等の繊維構造物を洗う洗い工程を行い、洗い工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、少なくとも洗い工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0037】
さらに、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機等においては、衣類、タオル、布団、敷物等の繊維構造物をすすぐすすぎ工程を行い、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与し、すすぎ工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、すすぎ工程の間に銀イオン付与部が収容部および/または繊維構造物に銀イオンを付与することができ、少なくともすすぎ工程の後で、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。
【0038】
さらにまた、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての洗濯機、洗濯乾燥機等においては、衣類、布団、敷物等の繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム等と呼称される収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、収容部内に洗濯用水またはすすぎ用水が存在しないので、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。特に、洗い工程中やすすぎ工程中には、槽内に水が貯水されているため、洗濯対象物に光を照射することができないが、脱水工程の排水が行なわれた後に光を照射することによって、効果的に洗濯対象物に光を照射することができる。
【0039】
この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての乾燥機、洗濯乾燥機等においては、衣類、布団、敷物等の繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、銀イオン付与部によって銀イオンが付与された外槽、水槽、洗濯槽、脱水槽、洗濯兼脱水槽、回転槽、回転ドラム、乾燥室等と呼称される収容部および/または繊維構造物に、光照射部が光を照射することが好ましい。この場合、繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射することによって、洗濯対象物としての繊維構造物、および/または、洗濯対象物を収容する収容部を殺菌処理することができ、殺菌対象となる物質が損傷することがなく、十分な殺菌作用を得ることができる。また、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に、光照射部が収容部および/または繊維構造物に光を照射するので、洗濯乾燥機では収容部内に洗濯用水またはすすぎ用水が存在しないので、あるいは乾燥専用機では収容部内に水が存在しないので、乾燥対象物としての繊維構造物、および/または、乾燥対象物を収容する収容部に対して効率的に光を照射することができる。
【0040】
なお、洗濯工程と乾燥工程を行うことが可能な繊維構造物の処理装置では、乾燥工程を行う場合、乾燥工程の間に、および/または、乾燥工程の後に光照射部が光を照射し、乾燥工程を行わない場合、脱水工程の間に、および/または、脱水工程の後に光照射部が光を照射するようにしてもよい。このようにすることによって、光照射の重複を避けることができる。
【0041】
ところで、一般に水冷除湿機構を備えた乾燥機、洗濯乾燥機等の場合、低温である除湿部で空気中の水分の結露による除去を行い、その空気を高温部で加熱して相対湿度を低下させる。高温・低湿度となった空気を、洗濯物に接触させ、洗濯物から空気側に水分を移動させる。このようにして得られた湿った空気から、除湿部で、水分を除去する。この繰り返しにより、乾燥が実施される。したがって、水冷除湿機構を備えた乾燥装置においては、低温である除湿部と高温である高温部との飽和水蒸気量の差が大きければ大きいほど高効率となる。このため、除湿部と高温部との空気温度の差が大きければ大きいほどよい。
【0042】
たとえば、除湿に水道水を使用する水冷除湿の場合、除湿温度が水温に依存する。このため、水温が30℃以上になることもある夏場などは、除湿効果が十分でない場合がある。
【0043】
そこで、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての乾燥機、洗濯乾燥機等において低温で乾燥工程を行うために、ヒートポンプ装置を採用することが考えられる。ヒートポンプ装置を採用した乾燥機、洗濯乾燥機等の場合、除湿部の温度を水温より低く設定することが可能であるので、水冷に比べ、除湿部の空気温度を低くすることができる。このため、高温部の空気温度を低くしても、高効率の乾燥を行うことができる。なお、水冷除湿機構を備えた乾燥機、洗濯乾燥機等であっても、乾燥工程を長時間行うことで、低温での乾燥が可能である。この場合の低温とは、30〜80℃程度、より好ましくは繊維構造物へのダメージも少なく、乾燥速度もあまり長すぎない40〜65℃程度である。
【0044】
この発明の繊維構造物の処理装置のもう一つの実施の形態としては、上記のような低温で乾燥工程を行う乾燥機、洗濯乾燥機等が、銀イオン付与部と光照射部を備えてもよい。多くの微生物は、65〜80℃程度で死滅するが、低温で乾燥工程を行う場合、乾燥機内、洗濯乾燥機内がこの温度に達しない場合があるので、殺菌効果が不十分となる場合がある。しかし、本発明の繊維構造物の処理装置では、低温で乾燥工程を行っても、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで殺菌作用を向上させることができ、さらに、銀イオンが付与された収容部および/または繊維構造物に光を照射するだけで、雑菌等の微生物の繁殖をより効果的に抑制することができる。
【0045】
また、LED、蛍光灯という光照射部は、温度が高い条件で使用すると、寿命が短くなってしまう。特に、LEDの場合、温度が高くなると、光出力が低下し、発光効率が低下し、その結果、消費電力が高くなるという問題も生じる。しかし、低温で光を照射すると、上記のような問題が生じるのを抑制することができ、光照射部の寿命を長くすることができ、消費電力を低くすることができる。
【0046】
光を照射する際の温度は、たとえば、30〜80℃の温度で行うことが好ましく、40〜65℃の温度で行うのがさらに好ましい。また、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態としての乾燥機、洗濯乾燥機等の乾燥工程において低温で繊維構造物を乾燥させることによって、繊維構造物の乾燥による損傷を防止することができるとともに、低温下で殺菌作用を向上させることができる。
【0047】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、収容部から繊維構造物を取り出した後、光照射部が収容部に光を照射するようにしてもよい。
【0048】
具体的には、繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機等において、収容部に銀イオンが付与されるすすぎ工程の後の洗濯運転終了後または乾燥運転終了後、所定時間経過後に光の照射を停止させるようにする。これによって、槽内を殺菌したい場合に、洗濯物を取り出した後、効率的に所定時間、槽内に光を照射することができる。また、所定時間経過後に光の照射が停止するので、使用者が終了まで待機する必要がない。このとき、回転ドラム等の収容部を回転させること等によって、収容部内の空間に均一に光が照射されるようにしてもよい。また、収容部の全部または一部を、光照射手段から照射される光を反射させる機能を有する素材を用いることによって、収容部内の空間により均一に光を照射することができる。特に、回転ドラムのような可動部を、光を反射させる機能を有する素材から形成し、さらに可動部に凹凸を設けるなどすると、いろんな方向に光を反射させることができるため、より効果的である。
【0049】
また、回転ドラム等の収容部の扉を開いて洗濯物を取り出し、扉を閉じた後に、光照射を開始してもよい。このようにすることによって、洗濯物が取り出された後に閉じられた空間で光の照射を開始することができる。
【0050】
さらに、洗濯運転終了後または乾燥運転終了後だけではなく、少なくとも、収容部に銀イオンを付与するすすぎ工程の終了後、銀イオンが付与された収容部から洗濯物を取り出すために、洗濯機、洗濯乾燥機等の扉を開いた後、光照射を開始してもよい。このようにすることによって、使用者が洗濯物を取り出した後、扉を閉じなかった場合にも、光照射を実施することができる。このとき、使用者が光を浴びても問題がないように、照射される光は可視光であることが望ましい。
【0051】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置においては、収容部および/または繊維構造物に光を所定の照度以上で照射することが好ましい。この場合、所定の照度以上で物質に光を照射することによって殺菌作用をより向上させることができる。
【0052】
以下、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として、洗濯乾燥機について図に基づいて説明する。
【0053】
以下、この発明の一つの実施の形態を図に基づいて説明する。
【0054】
図3はこの発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として洗濯乾燥機の概略的な構成を示す一つの側断面図、図4はもう一つの側断面を示す図である。
【0055】
図3と図4に示すように、洗濯乾燥機100は、本体1と、本体1の内部に取り付けられた収容部としての水槽2と、水槽2の内部で回転可能に支持された収容部としての回転ドラム3とを備える。
【0056】
回転ドラム3の底には、モータ4で回転ドラム3を正逆に回転させる回転機構部が取り付けられている。回転ドラム3内の衣類を攪拌するためにバッフル5が回転ドラム3の内周壁面に取り付けられている。繊維構造物として衣類6を出し入れすることができ、かつ、気密性と水密性を保つためにドアユニット7が回転ドラム3の開口部に対して開閉可能に取り付けられている。ドアユニット7には、外部から衣類6の状態を視認することができるようにドアガラス71が設けられている。
【0057】
図3に示すように、乾燥装置は、循環ファン9と空気加熱ヒータ10とを備える。空気加熱ヒータ10は空気を加熱する。循環ファン9は、空気加熱ヒータ10によって加熱された空気が衣類からの水分を蒸発させ、除湿するための経路として水槽2の内部、回転ドラム3の内部および冷却器8を連通して空気を循環させる。
【0058】
光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21を備えており、水槽2に設置され、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、矢印Pで示す方向に光を直接、照射することができるように構成されている。また、回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31には、光源21から放射される光が通過し、衣類6を照射することができるように回転ドラム3の内部に貫通する多数の小孔32が形成されている。光照射ユニット20には、光源21から放射された光を回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31に向かう方向へ反射させるために反射板22が設けられている。また、光照射ユニット20には、光源21を洗濯用水と脱水される水とから保護するために光透過性が高い耐熱ガラス板23が設けられている。光照射ユニット20は、反射板22が背面になるように水槽2の外周壁面に固着され、耐熱ガラス板23が水槽2の外周壁面に密着固定されるようにして、取り付けられている。具体的には、耐熱性(熱絶縁性)と防水性を備えたシール材または接着剤等を用いて水槽2と耐熱ガラス板23をシールした状態で、光照射ユニット20が水槽2の外周壁面にビス等で固定されている。
【0059】
なお、本実施形態では、光照射部を水槽2に設置したが、収容部および/または繊維構造物に光照射可能な箇所であればよく、たとえば、光照射部を収容部の扉部分などに設けて、収容部に光を照射するようにしてもよい。
【0060】
図4に示すように、銀イオン付与部40は、給水管41と、給水管41に接続された銀イオン溶出ユニット42と、銀イオン溶出ユニット42と水槽2の給水口との間を接続する給水経路43とから構成される。銀イオン溶出ユニット42の内部には、2枚の板状の銀電極が間隔をおいて配置されている。給水管41を通じて銀イオン溶出ユニット42の内部に水を供給し、銀電極間に電圧を印加することにより、銀イオン溶出ユニット42の内部に銀イオンが溶出する。銀イオンを含む水は、給水経路43を通じて水槽2の内部に供給される。これにより、収容部としての水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と繊維構造物としての衣類6とに銀イオン水が付与される。
【0061】
次に、以上のようにして構成された本発明の洗濯乾燥機の概略的な動作について説明する。
【0062】
図示しない制御部の信号により、モータ4が正逆に回転し、モータ4に直接に接続された回転ドラム3も同様に正逆に回転する。この回転により、回転ドラム3内の内周壁面に固定して設けられたバッフル5が衣類6を持ち上げ、下方に落下させる動作を繰り返すことにより、洗い工程は行なわれる。このようにして、洗い工程が、いわゆる叩き洗い効果を利用して行なわれる。
【0063】
洗い工程が終了すると、排水ポンプ11を駆動させて水槽2内の水は排水ホース12から排出される。その後、すすぎ工程、脱水工程へ移行して洗濯工程が終了する。
【0064】
洗濯工程を終了し、乾燥運転を開始すると、回転ドラム3の正逆の回転により、衣類6の上下運動による攪拌作用が起きるとともに、循環ファン9と空気加熱ヒータ10に電力が供給され、空気温度が上昇する。この加熱空気によって加熱された衣類から水分が蒸発して冷却器8内へ流入する。冷却器8内には、対向配置された上方の冷却水入口管13から冷却水が供給されているので、蒸発した水分が冷却されて凝縮する。この凝縮水は、排水ポンプ11側へ流れて冷却水と混合して排水される。除湿された空気は再び空気加熱ヒータ10に還流して加熱される。加熱空気は回転ドラム3内に流入して衣類6を加熱して、衣類6に含まれている水分を蒸発させる。この繰り返しによって衣類6の乾燥が進行する。この乾燥工程で用いられる衣類の加熱源は空気加熱ヒータ10である。一般的に空気加熱ヒータ10は、空気循環ダクト内に設けられ、抵抗発熱線を金属被覆して形成されたシーズヒータが用いられる。
【0065】
次に、フローチャートを用いて洗濯乾燥機100の動作を順に説明する。
【0066】
まず、図3と図4に示すように、使用者は、ドアユニット7を開け、回転ドラム3の中に洗濯物として衣類6を入れるとともに、給水口の洗剤室(図示せず)に洗剤を入れる。必要であるなら、使用者は、仕上剤室(図示せず)に仕上剤を入れる。仕上剤は、洗濯工程の途中で入れてもよい。
【0067】
洗剤の投入準備を整えた後、使用者は、ドアユニット7を閉じ、操作パネルの操作スイッチ部の操作ボタン群(図示せず)を操作して洗濯条件(洗濯モード)を選ぶ。最後に、使用者がスタートボタンを押せば、制御部(図示せず)によって、図5〜図14に示すフローチャートに従い、上記の洗濯モードに応じた洗濯工程が遂行される。
【0068】
図5は洗濯工程全体を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、ステップS101では、洗い工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択がなされていれば、ステップS200に進む。ステップS200の洗い工程の内容は、別途、図6に示すフローチャートを用いて説明する。洗い工程終了後は、ステップS102に進む。一方、ステップS101にて、洗い工程の選択がなされていなければ、直ちにステップS102に進む。
【0069】
ステップS102では、すすぎ工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS103に進む。
【0070】
ステップS103では、除菌コースの選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS400に進む。一方、ステップS103にて、除菌コースの選択がなされていなければ、ステップS300に進む。
【0071】
ステップS400の銀除菌すすぎ工程の内容は、別途、図8に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS300のすすぎ工程の内容は、別途、図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、すすぎ工程は、複数回にわたってもよい。すすぎ工程終了後は、ステップS500に進む。一方、ステップS102にて、すすぎ工程の選択がなされていなければ、直ちにステップS500に進む。
【0072】
ステップS500の脱水乾燥選択工程の内容は、別途、図9に示すフローチャートを用いて説明する。脱水乾燥選択工程終了後は、ステップS104に進む。
【0073】
ステップS104では、制御部による終了処理が手順に従って自動的に進められる。また、ステップS105にて、制御部は、洗濯工程が完了したことを終了音で使用者に報知する。すべての処理が終了した後、使用者はドアユニット7を開けて洗濯物を取り出し、ドアユニット7を閉じた後に、洗濯乾燥機100は、次の洗濯工程に備えて待機状態に戻るが、除菌コースの選択がなされている場合には、ステップS1000の槽内殺菌工程を行った後、次の洗濯工程に備えて待機状態に戻る。ステップS1000の槽内殺菌工程の内容は、別途、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0074】
次に、上記の洗濯工程のうち、洗い工程、すすぎ工程、銀除菌すすぎ工程、脱水乾燥選択工程、槽内殺菌工程の各個別工程の詳細について、図6〜図14に基づいて説明する。
【0075】
まず、洗い工程について説明する。
【0076】
図6は、洗い工程を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS201では、水位センサの検知している回転ドラム3内の水位データのとり込みが行われる。ステップS202では、容量センシングの選択がなされているかどうかを確認する。容量センシングが選択されていれば、ステップS203に進む。ステップS203では、回転ドラム3の回転負荷により洗濯物の量を測定する容量センシングを行う。そして、容量センシング後は、ステップS204に進む。一方、ステップS202にて、容量センシングが選択されていなければ、直ちにステップS204に進む。
【0077】
ステップ204では、メイン給水弁(図示せず)が開き、メイン給水管および給水口を通じて回転ドラム3に水が注がれる。正確には、水槽2に水が注がれ、その水が小孔32を通じて回転ドラム3内に浸入する。給水口の洗剤室に入れられた洗剤も水に混じって回転ドラム3に投入される。このとき、排水弁は閉じられている。水位センサが設定水位を検知したら、メイン給水弁は閉じられる。そして、ステップS205に進む。
【0078】
ステップS205では、なじませタンブリングを行う。このなじませタンブリングでは、回転ドラム3が低速で回転し、洗濯物である衣類6を水から出しては再び水の中に落下させて、衣類6に水を十分に吸収させる。また、衣類6の各所にとらわれていた空気を逃がす。
【0079】
なじませタンブリングの後、ステップS206に移る。ステップS206では、回転ドラム3が洗いタンブリングのパターンで回転し、衣類6を高く持ち上げては落下させる。この落下時の衝撃により、衣類6の繊維の間に水の噴流が発生し、衣類6が洗われる。
【0080】
洗いタンブリングの期間が経過した後、ステップS207に進む。ステップS207では、回転ドラム3がゆるやかに回転する。回転ドラム3がゆるやかに回転した場合、衣類6は高い位置に持ち上げられる前に、低い位置で回転ドラム3から離れて落下する。
【0081】
ここで、衣類6が高い位置から落下した場合には、衣類6は回転ドラム3の内周壁面にたたきつけられ、内周壁面にぺたりとへばりつく。このため、回転ドラム3が高速の脱水回転を始めたとき、アンバランスが解消されにくい。
【0082】
これに対して、衣類6が低い位置で回転ドラム3の内周壁面から離れた場合、衣類6はたたきつけられるというよりもむしろ転がるような感じになり、衣類6同士が比較的ふんわりと重なる。この状態であれば、回転ドラム3が高速の脱水回転を始めたときに、衣類6が四方に分散しやすい。すなわち、バランスをとりやすい。このため、回転ドラム3をゆるやかに回転させて衣類6をほぐし、脱水回転に備える。
【0083】
次に、図7に示すフローチャートに基づいて、すすぎ工程の内容について説明する。
【0084】
まず、ステップS600の脱水工程(ここでは、すすぎ工程の中の脱水工程であるため、中間脱水工程と称する)が行われるが、これについては、図10に示すフローチャートで説明する。ステップS600での中間脱水工程終了後は、ステップS301に進む。ステップS301では、メイン給水弁が開き、設定水位まで給水が行われる。
【0085】
給水後、ステップS302に進む。ステップS302では、なじませタンブリングが行われる。なじませタンブリングは、洗い工程のステップS205で行った工程と同様である。
【0086】
なじませタンブリングの後は、ステップS303に進む。使用者の設定に従い、回転ドラム3は、すすぎタンブリングのパターンで回転する。回転ドラム3は、回転により衣類6を水にくぐらせ、また上の方に持ち上げては落下させる。これにより、衣類6のすすぎが行われる。
【0087】
すすぎタンブリングの期間が経過した後、ステップS304に移る。ステップS304では、回転ドラム3がゆるやかに回転して衣類6をほぐし、脱水回転に備える。
【0088】
なお、上記の説明では、回転ドラム3の中にすすぎ水をためておいてすすぎを行う「ためすすぎ」を実行しているが、常に新しい水を補給する注水すすぎ、あるいは衣類6に水のシャワーを注ぎかけるシャワーすすぎを行ってもよい。
【0089】
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、銀除菌すすぎ工程の内容について説明する。図7に示すS300のすすぎ工程と異なる点は、ステップS600での中間脱水工程終了後にステップS401に進み、ステップS401では、給水弁が開き、給水管41を通じて設定水位まで給水が行われるが、銀イオン水が供給されることである。図4に示すように、給水管41を通じて銀イオン溶出ユニット42の内部に水を供給し、銀電極間に電圧を印加することにより、銀イオン溶出ユニット42の内部に銀イオンが溶出する。銀イオンを含む水は、給水経路43を通じて水槽2の内部に供給される。これにより、収容部としての水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と繊維構造物としての衣類6とに銀イオン水が付与される。
【0090】
銀除菌すすぎ工程における他のステップS402〜S404は、すすぎ工程におけるステップS302〜S304と同様である。
【0091】
次に、図9に示すフローチャートに基づいて、脱水乾燥選択工程の内容について説明する。図9に示すように、まず、ステップS501では、除菌処理の選択がなされているかどうかを確認する。選択がなされていれば、ステップS502に進む。一方、ステップS501にて、除菌処理の選択がなされていなければ、ステップS505に進む。
【0092】
ステップS502では、脱水工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS503に進む。
【0093】
ステップS503では、乾燥工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS600に進む。
【0094】
ステップS600の脱水工程の内容は、別途、図10に示すフローチャートを用いて説明する。脱水工程終了後は、ステップS900に進む。一方、ステップS503にて、乾燥工程の選択がなされていなければ、ステップS700に進む。
【0095】
ステップS700の光照射脱水工程の内容は、別途、図11に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS900の光照射乾燥工程の内容は、別途、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
【0096】
ステップS502にて、脱水工程の選択がなされていなければ、ステップS504に進む。
【0097】
ステップS504では、乾燥工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS900に進む。一方、ステップS504にて、乾燥工程の選択がなされていなければ、脱水乾燥選択工程を終了する。
【0098】
ステップS505では、脱水工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS600に進む。
【0099】
ステップS600の脱水工程の内容は、別途、図10に示すフローチャートを用いて説明する。脱水工程終了後は、ステップS506に進む。一方、ステップS505にて、脱水工程の選択がなされていなければ、直ちにステップS506に進む。
【0100】
ステップS506では、乾燥工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていれば、ステップS800に進む。
【0101】
ステップS800の乾燥工程の内容は、別途、図12に示すフローチャートを用いて説明する。乾燥工程終了後は、脱水乾燥選択工程を終了する。一方、ステップS506にて、乾燥工程の選択がなされていなければ、脱水乾燥選択工程を終了する。
【0102】
次に、図10に示すフローチャートに基づいて、脱水工程の内容について説明する。
【0103】
まず、ステップS601で排水弁が開く。これにより、回転ドラム3の中の洗濯用水またはすすぎ用水は、排水弁を通じて排水される。排水弁は、脱水工程中は開いたままである。
【0104】
所定時間が経過し、衣類6から大部分の水が抜けたところで、回転ドラム3が脱水回転を開始する。回転ドラム3が高速で回転すると、衣類6は遠心力で回転ドラム3の内周壁面に押しつけられる。これにより、衣類6に含まれていた水も、回転ドラム3の内周壁面に集まり、小孔32から放出される。小孔32を離れた洗濯用水またはすすぎ用水は、水槽2の内周壁面にたたきつけられ、水槽2の内周壁面を伝って水槽2の底部に流れ落ちる。そして、水は排水ホース12を通って、本体1の外に排出される。
【0105】
図10に示すシーケンスでは、ステップS602とステップS603にて比較的低速の脱水運転を行った後、ステップS604とステップS605にて高速の脱水運転を行う。ステップS605の後は、ステップS606に移行する。ステップS606では、モータ4への通電を断つとともにブレーキを働かせることなく、回転ドラム3を慣性で回転させ、自然停止に至らせる。
【0106】
次に、図11に示すフローチャートに基づいて、光照射脱水工程の内容について説明する。図10に示すS600の脱水工程と異なる点は、ステップS702の排水の前にステップS701にて光照射を開始し、ステップS707の慣性脱水の後にステップS708にて光照射を停止することである。ステップS701にて、図3に示すように、光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21から、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、矢印Pで示す方向に光を直接、照射するように制御部が光照射を開始させる。光照射脱水工程における他のステップS702〜S707は、脱水工程におけるステップS601〜S606と同様である。脱水工程が終了すると、ステップS708にて、制御部が光照射を終了させる。このようにして、銀イオン水が付与された水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、脱水工程の間に光を照射することによって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とを殺菌処理することができる。なお、ステップS702〜S707の脱水工程の後に、ステップS701とS708に従って光を照射してもよい。この場合、間欠的に回転ドラム3を回転させるのが好ましい。
【0107】
次に、図12に示すフローチャートに基づいて、乾燥工程の内容について説明する。図12に示すように、ステップS801にて除湿・乾燥を行う。具体的には、図3に示すように、回転ドラム3の正逆の回転により、衣類6の上下運動による攪拌作用が起きるとともに、循環ファン9と空気加熱ヒータ10に電力が供給され、空気温度が上昇する。この加熱空気によって加熱された衣類から水分が蒸発して冷却器8内へ流入する。冷却器8内には、冷却水入口管13から冷却水が供給されているので、蒸発した水分が冷却されて凝縮する。この凝縮水は、排水ポンプ11側へ流れて冷却水と混合して排水される。除湿された空気は再び空気加熱ヒータ10に還流して加熱される。加熱空気は回転ドラム3内に流入して衣類6を加熱して、衣類6に含まれている水分を蒸発させる。この繰り返しによって衣類6の乾燥が進行する。
【0108】
洗濯乾燥機100は水冷除湿機構を備えており、上述したように除湿・乾燥が行われるが、低温で乾燥工程を行うために、水冷除湿機構の代わりにヒートポンプ装置を備えていてもよい。ヒートポンプ装置を採用した洗濯乾燥機の場合、除湿部の温度を水温より低く設定することが可能であるので、水冷に比べ、除湿部の空気温度を低くすることができる。このため、高温部の空気温度を低くしても、高効率の乾燥を行うことができる。なお、水冷除湿機構を備えた洗濯乾燥機100であっても、乾燥工程を長時間行うことで、低温での乾燥が可能である。この場合の低温とは、30〜80℃程度、好ましくは40〜65℃程度である。
【0109】
除湿・乾燥を所定時間行った後、ステップS802にて停止処理を行い、乾燥工程を終了する。
【0110】
次に、図13に示すフローチャートに基づいて、光照射乾燥工程の内容について説明する。図12に示すS800の乾燥工程と異なる点は、ステップS902の除湿乾燥の前にステップS901にて光照射を開始し、ステップS903の停止処理の後にステップS904にて光照射を停止することである。ステップS901にて、図3に示すように、光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21から、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、矢印Pで示す方向に光を直接、照射するように制御部が光照射を開始させる。光照射乾燥工程における他のステップS902〜S903は、乾燥工程におけるステップS801〜S802と同様である。乾燥工程が終了すると、ステップS904にて、制御部が光照射を終了させる。このようにして、銀イオンが付与された水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とに、乾燥工程の間に光を照射することによって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31と衣類6とを殺菌処理することができる。なお、ステップS902〜S903の乾燥工程の後に、ステップS901とS904に従って光を照射してもよい。この場合、間欠的に回転ドラム3を回転させるのが好ましい。
【0111】
最後に、図14に示すフローチャートに基づいて、槽内殺菌工程の内容について説明する。ステップS1001にて光照射を開始し、ステップ1002にて光照射を停止することである。ステップS1001にて、図3に示すように、光照射部として光照射ユニット20は、主に可視光を含む光を照射する蛍光灯、白熱灯、LED等からなる光源21から、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31に、矢印Pで示す方向に光を直接、照射するように制御部が光照射を開始させる。所定時間の光照射の後、ステップS1002にて、制御部が光照射を終了させる。このようにして、銀イオンが付与された水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とに、運転が終了した後に光を照射することによって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とを殺菌処理することができる。
【0112】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態においては、回転ドラム3から衣類6を取り出した後、上記の槽内殺菌工程にて、光照射ユニット20が水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とに光を照射するようにしてもよく、回転ドラム3から衣類6を取り出す前に、上記の槽内殺菌工程にて、光照射ユニット20が衣類6と水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31とに光を照射するようにしてもよい。
【0113】
また、ステップS700の光照射脱水工程にて光照射が開始され、その後、洗濯運転を終了させる場合には、洗濯運転終了後、所定時間経過後に光の照射を停止させるようにしてもよい。また、ステップS900の光照射乾燥工程にて光照射が開始され、その後、乾燥運転を終了させる場合には、乾燥運転終了後、所定時間経過後に光の照射を停止させるようにしてもよい。このようにすることによって、槽内を殺菌したい場合に、洗濯運転終了後または乾燥運転終了後に、回転ドラム3から衣類6を取り出した後、効率的に所定時間、槽内に光を照射することができる。また、所定時間経過後に光の照射が停止するので、使用者が終了まで待機する必要がない。このとき、回転ドラム3を回転させること等によって、水槽2の内周壁面と回転ドラム3の外周壁面および内周壁面31だけでなく、槽内の空間に均一に光が照射されるようにしてもよい。
【0114】
さらに、ドアユニット7を開いて回転ドラム3から衣類6を取り出し、ドアユニット7を閉じた後に、光照射を開始してもよい。このようにすることによって、衣類6が取り出された後に閉じられた空間で光の照射を開始することができる。
【0115】
さらに、洗濯運転終了後または乾燥運転終了後だけではなく、少なくとも、回転ドラム3等に銀イオンを付与するすすぎ工程の終了後、回転ドラム3から衣類6を取り出すために、ドアユニット7を開いた後、そのままの状態で光照射を開始してもよい。このようにすることによって、使用者が衣類6を取り出した後、ドアユニット7を閉じなかった場合にも、光照射を実施することができる。このとき、使用者が光を浴びても問題がないように、照射される光は可視光であることが望ましい。
【0116】
なお、この発明の繊維構造物の処理装置の実施の形態として、洗濯乾燥機、乾燥専用機等を乾燥目的のみで用いる場合に、衣類、布団、敷物等の繊維構造物に予め銀イオン水を付与して、その繊維構造物を収容部に入れて、乾燥工程の間に光照射を行ってもよい。また、この発明の繊維構造物の処理装置の実施の形態として、洗濯機、洗濯乾燥機等を脱水目的のみで用いる場合に、水を含む衣類、布団、敷物等の繊維構造物に予め銀イオン水を付与して、その繊維構造物を収容部に入れて、脱水工程の間に光照射を行ってもよい。
【実施例】
【0117】
本発明の繊維構造物の処理装置における殺菌方法の一つの実施例として、繊維構造物を構成する物質の一例としてポリエステルを用いて、銀イオンをポリエステルに付着させた後に、各種の光を照射することによって殺菌効果の有無を調べた。
【0118】
具体的には、銀イオンを付着させた試料に光を照射した後の抗菌効果の試験を行った。
【0119】
この試験に用いた試料は、ポリエステルに銀イオン水を付着させ、乾燥させたものである。銀イオン水は、八尾市の水道水を用いて、銀電極から電解によって水中に銀イオンを溶出することによって作製した。
【0120】
光照射条件を、白色蛍光灯、ブラックライト、光照射なしの3条件とし、試料の表面への銀付着量を0(銀イオン水の付着処理なし)、5、10、20ng/cm2とした。抗菌試験は、抗菌製品技術協議会の光照射フィルム密着法にて行った。この方法は、試料に約1.0×105CFUの菌を含む菌液を付着させ、照射時間として24時間経過した後の菌数を測定する方法である。菌としては、黄色ブドウ球菌を用いた。白色蛍光灯は、20Wのものを使用し、サンプル付近の明るさ(照度)が5000ルクスとなる距離にサンプルを置いた。ブラックライトも同様に20Wのものを使用し、光源とサンプルの距離は、白色蛍光灯でサンプル付近の明るさ(照度)が5000ルクスとなった位置と同じ距離にした。
【0121】
その結果を表1と図1に示す。表1は、各光照射条件と銀付着量毎の試験後の菌数(単位:CFU)との関係を示す。図1は、試料への銀付着量と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。なお、グラフは、菌数の測定値が下限値(10CFU)以下の時の菌数を10CFUとみなして作図している。
【0122】
【表1】
【0123】
表1と図1に示したように、光を照射しなくても、銀付着量が20ng/cm2であれば、十分な殺菌作用が認められた。この試料では、表面に銀イオン水の蒸発残留物が付着し、それが菌液を滴下した時に再度溶解し、銀イオンによる殺菌作用が発揮されたと考えられる。
【0124】
また、光を照射することによって、殺菌作用が向上していることがわかる。銀付着量が10ng/cm2の試料では、ブラックライト、白色蛍光灯の照射で殺菌作用が向上しているが、銀付着量が5ng/cm2のような銀付着量が少ない条件では、主に可視光を含む白色蛍光灯を照射する方が、主に近紫外光を含むブラックライトを照射するよりも殺菌作用が向上することが認められた。
【0125】
本試験方法では、前述のように乾燥したサンプルに菌液という形で水を加えて評価している。そのため、表面に付着した銀イオン水の蒸発残留物が、溶解して銀イオンとなり、その銀イオンに光が照射されることにより、殺菌作用が向上したものと考えられる。
【0126】
基本的には、完全に乾燥した条件(たとえば水分活性が0.5以下となるような条件)では菌は死滅する。しかし、一般環境中においては、そこまで乾燥されることはない。
【0127】
例えば乾燥機などで十分に乾燥した洗濯物であっても、繊維の分子の表面や結晶内に水分を含んでいる。そのため、特に湿潤な環境でなくても、一般環境中では至る所に菌が生息している。特に低温で乾燥したものであれば、このような形で含まれる水分はより大きい。
【0128】
従って、乾燥したサンプルにおける殺菌作用の評価方法として、水を加えることは、JIS Z2801、JIS L1902などでも行われている一般的な方法であり、不適切な方法ではない。
【0129】
また、本発明において乾燥した物が殺菌の対象であっても、菌が生存できる環境であれば、水分が存在するため、本試験で確認された効果も発揮される。菌が生存できない程度に完全に乾燥した環境であれば殺菌する必要はなく、問題ない。
【0130】
また、上記の試験にて、銀付着量が5ng/cm2の試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照射し、その照度(ルクス)を変化させた場合において試験後の菌数(単位:CFU)の変化を調べた。その結果を図2に示す。図2は、白色蛍光灯の照度と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【0131】
図2に示すように、光照射なしのときの菌数は8.0×104CFUであるのに対して、照度が1000ルクスのときの菌数は3.20×103CFUであり、照度が5000ルクスのときの菌数は10CFU以下程度であった。このように、光の強度(照度)によって本発明による殺菌作用に変化が認められた。銀イオンを付着させた物質に少なくとも所定の照度以上で光を照射することにより、殺菌作用をより向上させることができることがわかる。
【0132】
また、グラフから読み取ると、光照射なしに対して菌数が2桁減少するのは1900ルクス付近であった。今回実施した光照射フィルム密着法では、抗菌効果の有無の判定を菌数が2桁減少しているか否かで判定する。また、菌数が2桁減少するというのは、JIS Z2801やJIS L1902などでも用いられており、一般的な抗菌効果の判断基準である。従って、殺菌作用を向上させるという観点から、所定の照度以上で光を照射するのが望ましいが、照射対象の位置での照度が1900ルクス以上であれば、より望ましい。
【0133】
さらに、上記の試験にて、銀付着量が5ng/cm2の試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、その照射時間を変化させた場合(銀あり光あり)において試験後の菌数(単位:CFU)の経時変化を調べた。比較として、銀付着量が5ng/cm2の試料に光を照射しない状態で時間を経過させたもの(銀あり光なし)、銀イオンを付着させないで白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、その照射時間を変化させたもの(銀なし光あり)、銀イオンを付着させないで光も照射しない状態で時間を経過させたもの(銀なし光なし)についても、菌数の経時変化を調べた。その結果を図15に示す。図15は、経過時間と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【0134】
図15に示すように、銀付着量が5ng/cm2の試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、その照射時間を変化させた場合(銀あり光あり)、非常に短時間の照射時間(1時間)で菌数が減少していることがわかる。したがって、洗濯機または洗濯乾燥機の運転中などで光を照射することによって殺菌作用を向上させることができる。たとえば、洗濯乾燥機の乾燥工程で光を照射することが好ましい。
【0135】
さらにまた、上記の試験にて、試料に付着される銀イオンの生成方法を異ならせた場合において試験後の菌数(単位:CFU)を調べた。銀イオンの生成方法としては、上記の試験と同様に、水道水に浸漬した銀電極から電解(電気分解)によって水中に銀イオンを溶出することによって得られた銀イオン水(電解銀イオン水)を使用して作製した試料と、試薬の塩化銀(AgCl)を水に溶かして得られた銀イオン水(AgCl水溶液)を使用して作製した試料と、試薬の酸化銀(Ag2O)を水に溶かして得られた銀イオン水(Ag2O水溶液)を使用して作製した試料とを用いた。各試料の銀付着量を5ng/cm2とした。各試料に、主に可視光を含む白色蛍光灯を照度5000ルクスで照射し、照射時間として24時間経過した後の菌数を調べた。比較として、各試料に光を照射しない状態で24時間経過した後の菌数も調べた。その結果を図16に示す。図16は、付着される銀イオンの生成方法の種類と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【0136】
図16に示すように、電解銀イオン水を使用して銀イオンを付着させた試料では、AgCl水溶液、Ag2O水溶液を使用して銀イオン水を付着させた試料に比べて、光照射後の菌数の減少の度合いが大きく、光照射後に最も菌数が減少していることがわかる。
【0137】
次に、銀イオン水に菌液を添加したものに光を照射する試験を実施した。照射する光の光源としては、白色蛍光灯を用い、サンプルの位置での照度が10000ルクスとなるように配置した。光の照射時間は10分間とし、菌としては緑膿菌を用いた。所定の量の菌を含む銀イオン水を、可視光を透過する容器に入れ、10分間の光の照射を行った。また、光を照射しない場合の試験も同時に実施するため、同じ容器に同じ菌を含む銀イオン水を入れ、アルミニウムホイルで完全に光を遮断し、他は同じ条件で試験を実施した。試験実施中のサンプル付近の温度は26℃であった。また、この試験では、オートクレーブによって滅菌した水道水を用い、その水に浸漬した銀電極から電解(電気分解)によって水中に銀イオンを溶出することによって得られた銀イオン水を用いた。銀イオン濃度は、0、30、90ppbとした。
【0138】
この試験の結果を図17と表2に示す。図17は、光照射の有無による各銀イオン濃度と菌数との関係を示す図である。また、表2は、光照射の有無による各銀イオン濃度と菌数との関係において、光を照射しないときの菌数を100%とした場合に光を照射したときの菌数を%で示す。
【0139】
【表2】
【0140】
図17と表2に示す結果から、銀イオン濃度が0ppbでは、光の照射の有無に関わらず、初期菌数とほとんど変化がないが、銀イオン濃度が高くなるにつれて、銀による殺菌効果とともに、光の照射による殺菌効果も増大していることがわかる。
【0141】
なお、この試験において、光源からの光の紫外線強度は2μW/cm2で、紫外線単独による殺菌効果はない。
【0142】
このように、銀イオン水に光を照射することによって、水に対する殺菌の効果を向上させることができる。したがって、本発明の繊維構造物の処理装置としての洗濯機において、洗いやすすぎに用いられる水に銀イオンを含ませ、その水に光照射部が光を照射することによって、洗い水やすすぎ水を効果的に殺菌することができる。このような効果は、風呂水などの菌を含む水を洗濯に使用する際に特に有効である。
【0143】
また、このような殺菌作用は、乾燥させずに銀イオン水が付着したままの試料に光を照射しても、銀イオン水には、今回の試験条件と同様に銀イオンが含まれているので、同様の殺菌作用の向上が得られると考えられる。したがって、銀イオン水に浸漬した状態の布等の繊維構造体に光を照射しても殺菌作用を向上させることができ、たとえば、すすぎ工程にて銀イオン水を付着させた洗濯物や、銀イオン水が付着した洗濯槽や水槽などの洗濯機内の部材に、光を照射しても殺菌作用を向上させることができると考えられる。
【0144】
以上に開示された実施の形態や実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0145】
この発明に従った繊維構造物の処理装置は、衣類、布団、敷物等の繊維構造体の処理装置として、たとえば、洗濯機、洗濯乾燥機、乾燥機等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】試料への銀付着量と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図2】白色蛍光灯の照度と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図3】この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として洗濯乾燥機の概略的な構成を示す一つの側断面を示す図である。
【図4】この発明の繊維構造物の処理装置の一つの実施の形態として洗濯乾燥機の概略的な構成を示すもう一つの側断面を示す図である。
【図5】洗濯工程全体を示すフローチャートである。
【図6】洗い工程を示すフローチャートである。
【図7】すすぎ工程を示すフローチャートである。
【図8】銀除菌すすぎ工程を示すフローチャートである。
【図9】脱水乾燥選択工程を示すフローチャートである。
【図10】脱水工程を示すフローチャートである。
【図11】光照射脱水工程を示すフローチャートである。
【図12】乾燥工程を示すフローチャートである。
【図13】光照射乾燥工程を示すフローチャートである。
【図14】槽内殺菌工程を示すフローチャートである。
【図15】経過時間と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図16】付着される銀イオンの生成方法の種類と試料に存在する菌数との関係を示すグラフである。
【図17】光照射の有無による各銀イオン濃度と菌数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0147】
1:本体、2:水槽、3:回転ドラム、6:衣類、20:光照射ユニット、21:光源、40:銀イオン水供給部、100:洗濯乾燥機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀イオンが付与された繊維構造物を内部に収容する収容部と、
前記銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射する光照射部とを備えた、繊維構造物の処理装置。
【請求項2】
内部に繊維構造物を収容する収容部と、
前記収容部に、および/または、前記収容部内に収容された前記繊維構造物に、銀イオンを付与する銀イオン付与部と、
前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に光を照射する光照射部とを備えた、繊維構造物の処理装置。
【請求項3】
前記光照射部は、可視光を含む光を照射する、請求項2に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項4】
前記繊維構造物を洗う洗い工程を行い、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記洗い工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2または請求項3に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項5】
前記繊維構造物をすすぐすすぎ工程を行い、前記すすぎ工程の間に前記銀イオン付与部が前記収容部および/または前記繊維構造物に銀イオンを付与し、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記すすぎ工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項6】
前記繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記脱水工程の間に、および/または、前記脱水工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項7】
前記繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記乾燥工程の間に、および/または、前記乾燥工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項8】
前記乾燥工程を低温で行う、請求項7に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項9】
ヒートポンプ装置を用いて前記乾燥工程を行う、請求項8に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項10】
前記収容部から前記繊維構造物を取り出した後、前記光照射部が前記収容部に光を照射する、請求項2から請求項9までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項11】
銀イオンを含む水を使用し、銀イオンを含む水に光を照射する光照射部を備える、繊維構造物の処理装置。
【請求項12】
前記銀イオンは、電解により生成される銀イオンである、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項1】
銀イオンが付与された繊維構造物を内部に収容する収容部と、
前記銀イオンが付与された繊維構造物に光を照射する光照射部とを備えた、繊維構造物の処理装置。
【請求項2】
内部に繊維構造物を収容する収容部と、
前記収容部に、および/または、前記収容部内に収容された前記繊維構造物に、銀イオンを付与する銀イオン付与部と、
前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に光を照射する光照射部とを備えた、繊維構造物の処理装置。
【請求項3】
前記光照射部は、可視光を含む光を照射する、請求項2に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項4】
前記繊維構造物を洗う洗い工程を行い、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記洗い工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2または請求項3に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項5】
前記繊維構造物をすすぐすすぎ工程を行い、前記すすぎ工程の間に前記銀イオン付与部が前記収容部および/または前記繊維構造物に銀イオンを付与し、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記すすぎ工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項6】
前記繊維構造物から水を除去する脱水工程を行い、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記脱水工程の間に、および/または、前記脱水工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項7】
前記繊維構造物を乾燥させる乾燥工程を行い、前記銀イオン付与部によって銀イオンが付与された前記収容部および/または前記繊維構造物に、前記乾燥工程の間に、および/または、前記乾燥工程の後に、前記光照射部が光を照射する、請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項8】
前記乾燥工程を低温で行う、請求項7に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項9】
ヒートポンプ装置を用いて前記乾燥工程を行う、請求項8に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項10】
前記収容部から前記繊維構造物を取り出した後、前記光照射部が前記収容部に光を照射する、請求項2から請求項9までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【請求項11】
銀イオンを含む水を使用し、銀イオンを含む水に光を照射する光照射部を備える、繊維構造物の処理装置。
【請求項12】
前記銀イオンは、電解により生成される銀イオンである、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の繊維構造物の処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−49109(P2008−49109A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310668(P2006−310668)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【特許番号】特許第4020949号(P4020949)
【特許公報発行日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【特許番号】特許第4020949号(P4020949)
【特許公報発行日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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