説明

洗面化粧台

【課題】 ミラーがキャビネットに対して一定の角度でスライドできる洗面化粧台の提供を課題とする。
【解決手段】 本発明において、センターミラー70をミラーキャビネット30に対してスライド可能に連結するスライドレール41,42,43,44が備えられる。そして、左右方向に対となるスライドレール41,42,43,44の移動片41a,42a,43a,44aがそれぞれ連結部材45,45によって接合することにより、センターミラー70の左右の動作を同期させることができる。一方、上下方向に対となる移動片41a,42a,43a,44aがラック41a2,43a2とピニオン51,52と剛性シャフト50とによって接続することにより、センターミラー70の上下の動作を同期させることができる。これにより、センターミラー70を一定の角度でスライドさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略板状のミラーがキャビネットにて支持される洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗面化粧台として、ミラーの左右両端に、のこ歯部が延設されたリンク片を接合するとともに、双方ののこ歯部に噛合する歯車を設けたものが知られている(例えば、特許文献1の図7,8、参照。)。
かかる構成によれば、歯車に回動によって双方ののこ歯部を連動させることができ、同のこ歯部が延設されたリンク片の動作を同期させることができる。従って、ミラーがキャビネットに対してスライドする際の左右両端の移動量を一致させることができるため、ミラーを左右に傾けることなく手前にスライドさせることが可能であった。
【特許文献1】特開2004−73361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ミラーの左右が同期してスライドしても、ミラーの上下が同期して移動しないため、ミラーを上下に傾けることなくスライドさせることができないという課題があった。
また、のこ歯部を左右に移動させるための台車を介してミラーがキャビネットに支持されるため、重いミラーを支持することが困難であった。なお、ミラーの上下両端にのこ歯部が延設されたリンク片を接合することによって、上下の傾きを防止することも考えられる。しかし、この場合、ミラーのスライドに伴う台車の移動方向がミラー等の重力が作用する上下方向と一致するため、台車の動作が不安定となる問題もあった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、ミラーがキャビネットに対して一定の角度でスライドできる洗面化粧台の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明では、略板状のミラーがキャビネットにて支持される洗面化粧台において、
上記キャビネットに固定された固定片と、上記ミラーに固定され同固定片に対してスライド可能に保持される移動片とからなる複数のスライダーと、上記ミラーの左右両端にそれぞれ備えられた上記スライダーの各移動片の移動を同期させる第一の同期機構と、上記ミラーの上下両端にそれぞれ備えられた上記スライダーの各移動片の移動を同期させる第二の同期機構とを具備する構成としてある。
【0005】
上記のように構成した請求項1の発明において、略板状のミラーがキャビネットにて支持され、ミラーとキャビネットとが複数のスライダーによって連結される。上記スライダーは上記キャビネットに固定された固定片と上記ミラーに固定され同固定側レールにてスライド可能に保持される移動片とから構成されるため、同固定片と同移動片とが相対移動することにより上記ミラーを上記キャビネットに対してスライドさせることができる。
【0006】
さらに、第一の同期機構を設けることにより、上記ミラーの左右両端にそれぞれ備えられた上記スライダーの各移動片の移動を同期させることができる。従って、上記ミラーを左右に傾けることなく上記キャビネットに対してスライドさせることができる。一方、第二の同期機構を設けることにより、上記ミラーの上下両端にそれぞれ備えられた上記スライダーの各移動片の移動を同期させることができる。従って、上記ミラーを上下に傾けることなく上記キャビネットに対してスライドさせることができる。すなわち、上記ミラーを上下左右に傾けることなくスライドさせることができる。
【0007】
また、第一の同期機構と第二の同期機構の好適な一例として、請求項2にかかる発明では、上記第一の同期機構または上記第二の同期機構は、複数の上記移動片を相互に剛性接合する連結部材を具備する構成としてある。
上記のように構成した請求項2の発明において、複数の上記移動片を連結部材によって相互に剛性接合することにより、同接合された上記移動片の移動を同期させることができる。
【0008】
さらに、第一の同期機構と第二の同期機構の好適な一例として、請求項3にかかる発明では、上記第一の同期機構または上記第二の同期機構は、上記移動片に設けられ、同移動片の移動方向に並ぶ複数の歯によって構成されるラックと、上記キャビネットに回動可能に保持された剛性シャフトと、上記剛性シャフトを回動軸として接合され、それぞれが異なる上記移動片に備えられた上記ラックと噛合する一対のピニオンとを具備する構成としてある。
【0009】
上記のように構成した請求項3の発明において、上記第一の同期機構または上記第二の同期機構がラックと剛性シャフトとピニオンとから構成される。上記移動片に設けられる上記ラックは、同移動片の移動方向に並ぶ複数の歯によって構成される。上記剛性シャフトは、上記キャビネットに回動可能に保持されるとともに、一対の上記ピニオンの回動軸を構成する。そして、一対の上記ピニオンは、それぞれ異なる上記移動片に備えられた上記ラックと噛合する。かかる構成により、上記剛性シャフトの回動に応じて一対の上記ピニオンが回動することとなり、同ピニオンと噛合する上記ラックを備える上記移動片も同上記剛性シャフトの回動に応じて移動させることができる。上記剛性シャフトによって一対の上記ピニオンの回動量が一致するため、一対の上記ピニオンと噛合する一対の上記移動片のを同期させるすることができる。また、上記剛性シャフトは上記キャビネットの一定位置にて回動させることができるため、同剛性シャフトが移動するためのスペースを確保しておく必要がない。
【0010】
さらに、第一の同期機構と第二の同期機構の好適な一例として、請求項4にかかる発明では、上記第一の同期機構または上記第二の同期機構は、スプロケットによって連動させられるとともに、複数の上記移動片に接続された複数のチェーンを具備する構成としてある。
【0011】
上記のように構成した請求項4の発明において、複数のチェーンが複数の上記移動片に接続され、それぞれがスプロケットによって連動させられる。すなわち、上記スプロケットの回動に応じて、複数の上記チェーンを連動させることができ、同チェーンに接続する複数の上記移動片も連動させることができる。
【0012】
さらに、従動スプロケットの好適な一例として、請求項5にかかる発明では、複数の上記従動スプロケットの回動軸が剛性シャフトによって接続される構成としてある。
上記のように構成した請求項5の発明において、上記従動スプロケットが複数備えられ、これらの回動軸が剛性シャフトによって接続される。すなわち、複数の上記従動スプロケットの回動量を一致させることができ、各従動スプロケットに噛合した複数の上記チェーンの移動量も一致させることができる。従って、各チェーンが接続する上記移動片の移動を同期させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、ミラーがキャビネットに対して一定の角度でスライドできる洗面化粧台を提供することができる。
請求項2にかかる発明によれば、簡易な構成でミラーを一定の角度でスライドさせることができる。
請求項3にかかる発明によれば、第一の同期機構または第二の同期機構がキャビネットにて占有するスペースを小さくすることができる。
請求項4にかかる発明によれば、スプロケットとチェーンとの組合せといった簡易な構成により同期機構を形成することができる。
請求項5にかかる発明によれば、多数の移動片の移動量を揃えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施形態について説明する。
(1)第一の実施形態:
(2)第二の実施形態:
(3)第三の実施形態:
(4)まとめ:
【0015】
(1)第一の実施形態:
図1は、第一の実施形態にかかる洗面化粧台を斜めから見て示している。同図において、洗面化粧台10は概略ベースキャビネット11とミラーキャビネット30とにより構成されている。ベースキャビネット11は底面にて接地し、上面のカウンターには、洗面ボウル12が設けられている。ベースキャビネット11の上面における洗面ボウル12の奥方には、水栓13が備えられ、水や湯を供給することが可能となっている。
【0016】
水栓13の奥にはミラーキャビネット30が鉛直に立設されている。ミラーキャビネット30の前面には、左から順に左サイドミラー60とセンターミラー70と右サイドミラー80とが鉛直に正立させて保持されている。左サイドミラー60とセンターミラー70と右サイドミラー80は炬形板状に形成されており、それぞれ上端面と下端面が水平に配向しつつ、左右の端面は鉛直に配向している。左サイドミラー60、センターミラー70および右サイドミラー80は、幅方向に隣接して保持されており、前面側の奥行き方向の位置は全て一致させられているため、全体として同一平面状の鏡面を形成している。
【0017】
左サイドミラー60と右サイドミラー80は、ミラーキャビネット30に対して回動可能に連結されている。ミラーキャビネット30における左サイドミラー60と右サイドミラー80の裏側には収納スペースが形成されている。そして、左サイドミラー60と右サイドミラー80をミラーキャビネット30から離反するように回動させることにより、上記収納スペースを前方に開放することができる。一方、ミラーキャビネット30におけるセンターミラー70の裏側にも収納スペースが設けられている。
【0018】
図2は、ミラーキャビネット30から取り外した状態のセンターミラー70を斜め後ろから見て示している。同図において、センターミラー70は、略矩形状のガラスミラー71と略矩形枠状の保持枠72とから構成されている。ガラスミラー71の裏側に略矩形枠状の保持枠72が取り付けられており、ガラスミラー71と保持枠72とは幅方向の一辺に設けられた上下一対の蝶番73,73によって連結されている。これにより、破線で示すようにセンターミラー70を保持枠72に対して回動させることが可能となっている。保持枠72の上下左右の四隅において、後述するスライドレールの移動片と接合可能なネジ穴72a,72a,72a,72aが貫通している。
【0019】
図3は、センターミラー70および保持枠72が取り外された状態のミラーキャビネット30を斜めから見て示している。同図において、ミラーキャビネット30の内部には収納スペース31が設けられている。収納スペース31には水平方向の棚板を設置することが可能となっており、所望の高さで収納スペース31を仕切ることが可能となっている。従って、適切な大きさに仕切られた収納スペース31に洗面用品等を収納することができる。なお、同図においては棚板が取り外された状態を示している。
【0020】
収納スペース31における上下左右の四隅にはそれぞれスライドレール41,42,43,44が取り付けられている。なお、スライドレール41,42,43,44は本発明のスライダーに相当する。スライドレール41,42,43,44は、それぞれミラーキャビネット30に固定される略樋状の固定片41b,42b,43b,44bと、同固定片41b,42b,43b,44bの内側にセットされ同固定片41b,42b,43b,44bに対してスライド可能な移動片41a,42a,43a,44aとから構成されている。スライドレール41,42,43,44は長さ方向が前後に配向するように取り付けられており、移動片41a,42a,43a,44aはそれぞれ前後方向にスライド移動することが可能となっている。
【0021】
移動片41a,42a,43a,44aの前方端部にはそれぞれネジ穴41a1,42a1,43a1,44a1が設けられており、それぞれ保持枠72のネジ穴72a,72a,72a,72aを利用してネジ止めすることが可能となっている。これにより、スライドレール41,42,43,44を介してセンターミラー70をミラーキャビネット30に取り付けることができる。移動片41a,42a,43a,44aはそれぞれ前後方向にスライド移動することができるため、同移動片41a,42a,43a,44aに接合されたセンターミラー70を前後にスライドさせることができる。
【0022】
このようにすることにより、使用者はセンターミラー70を手前に引き出して、鏡に近い位置にて化粧等を行うことができる。また、収納スペース31に物を出し入れするときには、ガラスミラー71が保持枠72から離反するように、ガラスミラー71を回動させればよい。ガラスミラー71が保持枠72から離反すると、矩形枠状の保持枠72が前方に露出し、同保持枠72の内側から収納スペース31を臨むことができる。かかる構成により、センターミラー70の使い勝手と、ミラーキャビネット30の収納性を両立させることができる。
【0023】
収納スペース31の左側壁面から内側に向かって上下一対の軸受け32,33が突設されており、同軸受け32,33には鉛直方向に貫通する軸穴32a,33aが設けられている。そして、軸穴32a,33aに対して略円柱状の剛性シャフト50が挿通している。剛性シャフト50の上下両端には、略円柱状の側面から外側に突出する多数の歯が備えられたピニオン51,52が固定されている。剛性シャフト50はピニオン51,52の中央を貫通しており、ピニオン51,52は剛性シャフト50の回動に伴って、同剛性シャフト50を回動軸として回動することが可能となっている。
【0024】
また、上方の軸受け32に対して上方のピニオン51が自重によって当接することにより、剛性シャフト50およびピニオン51,52が高さ方向に位置決めされている。これにより、剛性シャフト50およびピニオン51,52をミラーキャビネット30の一定位置にて回動させることができる。さらに、ミラーキャビネット30の左側に配置されたスライドレール41,43の移動片41a,43aはそれぞれ上方および下方に向かって矩形状に突出しており、それらの左側壁面において移動片41a,43aの長さ方向に複数の歯が配列するラック41a2,43a2が設けられている。そして、ラック41a2,43a2は、ピニオン51,52に対して噛合している。一方、ミラーキャビネット30の右側に配置されたスライドレール42,44の移動片42a,44aもそれぞれ上方および下方に向かって矩形状に突出している。
【0025】
図4は、ミラーキャビネット30の水平断面を示している。同図において、下方のスライドレール43,44の移動片43a,44aが最も後方まで移動している。このとき、センターミラー70と左サイドミラー60と右サイドミラー80のミラー面が面一となる。それぞれ、上方に向かって突出する左右の移動片43a,44aの後方端部を相互に接続する連結部材45が備えられている。連結部材45は左右両端にて移動片43a,44aと剛性接合されている。
【0026】
図5は、センターミラー70を手前に引き出したときのミラーキャビネット30の水平断面を示している。同図において、スライドレール43,44の移動片43a,44aが前方にスライド移動することにより、同移動片43a,44aに接合されたセンターミラー70も手前に引き出されている。このようにすることにより、センターミラー70を手前に引き出して、近い位置にて化粧等を行うことができる。移動片43aが移動することによりラック43a2に噛合するピニオン52が一定の位置にて回動することとなる。
【0027】
左右の移動片43a,44aの後方端部を相互に接続する連結部材45が備えられるため、センターミラー70と移動片43a,44aと連結部材45とで矩形状の枠構造を形成することができる。枠構造によれば高い剛性を実現することができ、通常の使用において歪むようなことはない。従って、センターミラー70と移動片43a,44aと連結部材45の相対位置を一定に保つことができ、移動片43a,44aの前後位置を揃えることができる。
【0028】
すなわち、移動片43a,44aがスライド移動する際の移動片43a,44aのを同期させることができる。従って、移動片43a,44aがスライド移動する際に、移動片43a,44aの移動量が不均一となり、移動片43a,44aに左右両端が接合するセンターミラー70が左右に傾くことが防止できる。すなわち、センターミラー70のミラー面を左右に一定の角度に保ったまま、反射角が左右にぶれることなく引き出すことができ、使い勝手がよくなる。なお、図示しないが、上方のスライドレール41,42の移動片41a,42aも同様に連結部材によって接合されているため、センターミラー70の上方部分が左右に傾くことも防止されている。なお、連結部材45が本発明の第一の同期機構に相当する。
【0029】
図6は、剛性シャフト50を正面から見て示している。同図において、剛性シャフト50は、軸方向を鉛直方向に配向させており、上端および下端に備えられたピニオン51,52がラック41a2,43a2にそれぞれ噛合している。剛性シャフト50は、上下一対の軸受け32,33の軸穴32a,33aに挿通しており、回動可能に保持されている。図5のように、センターミラー70を手前に引き出すと、移動片41a,43aが前方に移動し、ラック41a2,43a2も前方に移動することとなる。
【0030】
すると、ラック41a2,43a2に噛合するピニオン51,52が回動し、剛性シャフト50も回動することとなる。ピニオン51,52は剛性シャフト50に固定されており、剛性シャフト50は金属等の高いねじり剛性を有する素材によって形成されているため、ピニオン51,52の回転量は一致する。従って、ピニオン51,52が回動する際のラック41a2,43a2の前後移動量も一致させることができる。
【0031】
すなわち、センターミラー70をスライドさせる際に、ラック41a2,43a2を備える上下の移動片41a,43aの移動量を一致させることができるため、移動片41a,43aに上下両端が接合するセンターミラー70が上下に傾くことが防止できる。すなわち、センターミラー70のミラー面を上下に一定の角度に保ったまま、反射角が上下にぶれることなくセンターミラー70を引き出すことができ、使い勝手がよくなる。なお、ラック41a2,43a2とピニオン51,52と剛性シャフト50は本発明の第二の同期機構に相当する。
【0032】
剛性シャフト50は、ミラーキャビネット30における一定の位置にて回動し、前後に移動することはない。従って、剛性シャフト50の軌道を避けるようなスペースを確保する必要がなく、収納スペース31を広く使用することができる。なお、連結部材45はセンターミラー70のスライドに伴って前後に移動することとなるが、連結部材45や下方の移動片43a,44aよりも高い位置に棚板を取り付けておくことにより、連結部材45の軌道の上方にも収納物を載置することが可能となる。
【0033】
以上のように、連結部材45によってセンターミラー70の左右のスライドを同期させ、ラック41a2,43a2とピニオン51,52と剛性シャフト50センターミラー70の上下のスライドを同期させることにより、センターミラー70を一定角度に維持したままスライドさせることができる。
【0034】
(2)第二の実施形態:
図7は、第二の実施形態にかかるミラーキャビネット130を正面から見て示している。同図において、ミラーキャビネット130の上下左右の四隅にスライドレール141,142,143,144が取り付けられている。前実施形態と同様に、上方のスライドレール141,142の移動片141a,142aが連結部材145によって接合されている。下方のスライドレール143,144の移動片143a,144aも連結部材145によって接合されている。収納スペース131の左側側面から内側に向かって上下一対の回動軸151a,152aが略水平に突設されている。回動軸151a,152aには、それぞれスプロケット151,152が回動可能に軸支されている。スプロケット151,152には、二本のチェーン153,154が噛合している。
【0035】
図8は、チェーン153,154が噛合するスプロケット151を斜めから見て示している。同図において、スプロケット151には、径方向外側に突出した歯が周方向に配列する二組の噛合部151b1,151b2が設けられている。そして、噛合部151b1,151b2のそれぞれに対して二本のチェーン153,154が噛合している。チェーン153はスプロケット151の前方から噛合し、チェーン154はスプロケット151の後方から噛合している。なお、噛合部151b1,151b2における歯の形成数および形成ピッチは同じとされている。また、上下のスプロケット151,152は同一の形状とされ、チェーン153,154も同一の形状とされている。
【0036】
図9は、チェーン153,154の設置状態を模式的に説明している。同図においては、ミラーキャビネット130が右側から見て示されている。チェーン153は、上端が上方のスライドレール141の移動片141aの後方端部に接続されており、下端が下方のスライドレール143の移動片143aの前方端部に接続されている。そして、チェーン153は、上方のスプロケット151に前方から噛合し、下方のスプロケット152に後方から噛合している。
【0037】
一方、チェーン154は、上端が上方のスライドレール141の移動片141aの前方端部に接続されており、下端が下方のスライドレール143の移動片143aの後方端部に接続されている。また、チェーン154は、上方のスプロケット151に後方から噛合し、下方のスプロケット152に前方から噛合している。同図の状態において、チェーン153,154は、たるまないように張られている。なお、図8に示すようにチェーン153,154は、幅方向に位置をずらして平行に取り付けられているため、両者が干渉することはない。
【0038】
図10は、センターミラー170を手前に引き出した状態のチェーン153,154の状態を模式的に説明している。同図において、センターミラー170のスライドに伴って上下の移動片141a,143aが前方に移動している。チェーン153,154はそれぞれ移動片141a,143aに接続されているため、センターミラー170のスライドに伴って引っ張られることとなる。上方の移動片141aがチェーン153の上端を前方に引っ張ることにより、チェーン153の下端を前方に引っ張ることができ、同下端が接続する下方の移動片143aも前方に引っ張ることができる。
【0039】
逆に、下方の移動片143aがチェーン154の下端を前方に引っ張ることにより、チェーン154の上端を前方に引っ張ることができ、同上端が接続する上方の移動片141も前方に引っ張ることができる。これにより、センターミラー170を手前に引き出す際に、上下の移動片141a,143aに同様の動作をさせることができる。一方、センターミラー170を後方に押し込む場合も、移動片141a,143aはチェーン153,154を介して互いに引っ張り合うため、上下の移動片141a,143aに同様の動作をさせることができる。
【0040】
チェーン153,154は、金属等の延びにくい素材で形成され、たるみなく張られているため、センターミラー170がスライド移動する際の移動片141a,143aのスライド量は一致する。従って、センターミラー170を上下方向に傾くことなくスライドさせることができる。なお、前実施形態と同様に上方に配置された左右の移動片141a,142aが連結部材145によって接合され、下方に配置された移動片143a,144aも連結部材145によって接合されているため、センターミラー170が左右方向に傾けることなくスライドさせることができる。
【0041】
以上のように、上下の移動片141a,143aの間にチェーン153,154を張ることにより、上下の移動片141a,143aの動作を同期させることができる。さらに、チェーン153,154はスプロケット151,152に対して共通して噛合されている。そのため、チェーン153,154も同期した動作をすることとなる。例えば、図8に示すスプロケット151が矢印R1の方向に回動したとすると、噛合部151b1に対して前方から噛合するチェーン153は下方に送り出され、噛合部151b2に対して後方から噛合するチェーン154は同時に上方に送り出されることとなる。スプロケット151は剛体であり、噛合部151b1,151b2およびチェーン153,154の仕様が同じであるため、スプロケット151の回動によるチェーン153,154の移動量は一致する。
【0042】
図9のように、センターミラー170を手前にスライドさせたとき、チェーン153は上方の移動片141aの移動によって上端が前方に引っ張られるため、上方のスプロケット151は紙面反時計回りに回動し、下方のスプロケット152は紙面時計回りに回動することとなる。一方、チェーン154は下方の移動片143aの移動によって下端が前方に引っ張られるため、上方のスプロケット151は紙面反時計回りに回動し、下方のスプロケット152は紙面時計回りに回動することとなる。
【0043】
すなわち、双方のチェーン153,154によって上方のスプロケット151,152は同じ方向に回動することとなる。そして、上述したとおりスプロケット151,152の回動によるチェーン153,154の送り出し量は一致するため、チェーン153,154の上下端の移動量も一致し、同上下端が接続する上下の移動片143a,144aの移動量も一致させることができる。従って、上下の移動片143a,144aに接合されたセンターミラー170を上下に傾かせることなくスライドさせることができる。なお、スプロケット151,152を軸支する回動軸151a,152aはミラーキャビネット130に固定されているため、スプロケット151,152が移動することはない。なお、チェーンとしては種々のものを使用することができ、コスト面等においてラダーチェーンが好適である。
【0044】
(3)第三の実施形態:
図11は、第三の実施形態にかかるミラーキャビネット230を正面から見て示している。同図において、右側のスライドレール242,244に対してもチェーン257,258とスプロケット255,256とが設けられている。本実施形態におけるチェーン257,258とスプロケット255,256は配設位置が異なるのみで、前実施形態と同様の構成とされている。このように、チェーン253,254,257,258とスプロケット251,252,255,256を左右両方に設けることにより、双方において上下の同期が確保されるため、より安定した角度でミラーをスライドさせることができる。
【0045】
さらに、上方のスプロケット251,255の回動軸は、共通の剛性シャフト245によって形成されている。剛性シャフト245とスプロケット251,255とは相互に回動不可能に接合されているとともに、剛性シャフト245がミラーキャビネット230に対して回動可能に軸受けされている。すなわち、剛性シャフト245とスプロケット251,255が一体となって回動することが可能となっている。同様に、すなわち、下方のスプロケット252,256と剛性シャフト245と一体となって回動することが可能となっている。
【0046】
このようにすることにより、上方のスプロケット251,255と下方のスプロケット252,256をそれぞれ同様に回動させることができる。従って、チェーン253,254,257,258の移動量を全て一致させることができ、全スライドレール241,242,243,244を同様にスライドさせることができる。これにより、より安定した角度でミラーをスライドさせることができる。なお、剛性シャフト245,245が収納スペース231を左右に横切ることとなるが、剛性シャフト245,245に収納物を干渉させないような棚板を配設すればよい。
【0047】
(4)まとめ:
本発明において、センターミラー70をミラーキャビネット30に対してスライド可能に連結するスライドレール41,42,43,44が備えられる。そして、左右方向に対となるスライドレール41,42,43,44の移動片41a,42a,43a,44aがそれぞれ連結部材45,45によって接合することにより、センターミラー70を左右に傾けることなくスライドさせることができる。一方、上下方向に対となる移動片41a,42a,43a,44aがラック41a2,43a2とピニオン51,52と剛性シャフト50とによって接続することにより、センターミラー70を上下に傾けることなくスライドさせることができる。これにより、センターミラー70を一定の角度でスライドさせることができる。もちろん、左右方向に対となる移動片41a,42a,43a,44aをラック41a2,43a2とピニオン51,52と剛性シャフト50とによって接続し、上下方向に対となる移動片41a,42a,43a,44aをそれぞれ連結部材45,45によって接合する構成とすることも可能であり、上下及び左右方向に対となる移動片の移動を同期させる手段は上記に記載した同期機構を適宜組合せて構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明にかかる洗面化粧台の斜視図である。
【図2】センターミラーの後方斜視図である。
【図3】ミラーキャビネットの斜視図である。
【図4】ミラーキャビネットの水平断面図である。
【図5】ミラーキャビネットの水平断面図である。
【図6】第二の同期機構の正面図である。
【図7】第二の実施形態にかかるミラーキャビネットの正面図である。
【図8】スプロケットの斜視図である。
【図9】ミラーキャビネットの内部を側方から見た説明図である。
【図10】ミラーキャビネットの内部を側方から見た説明図である。
【図11】第三の実施形態にかかるミラーキャビネットの正面図である。
【符号の説明】
【0049】
10…洗面化粧台
11…ベースキャビネット
12…洗面ボウル
13…水栓
30,130,230…ミラーキャビネット
31,131,231…収納スペース
32,33…軸受け
32a,33a…軸穴
41,42,43,44,141,142,143,144,241,242,243,244…スライドレール
41a,42a,43a,44a,141a,142a,143a,144a,241a,242a,243a,244a…移動片
41a1,42a1,43a1,44a1…ネジ穴
41a2,43a2…ラック
41b,42b,43b,44b…固定片
45…連結部材
50,245…剛性シャフト
51,52…ピニオン
70,170…センターミラー
71…ガラスミラー
72…保持枠
72a…ネジ穴
73…蝶番
151,152,251,252,255,256…スプロケット
151b1,151b2…噛合部
153,154,253,254,257,258…チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略板状のミラーがキャビネットにて支持される洗面化粧台において、
上記キャビネットに固定された固定片と、上記ミラーに固定され同固定片に対してスライド可能に保持される移動片とからなる複数のスライダーと、
上記ミラーの左右両端にそれぞれ備えられた上記スライダーの各移動片の移動を同期させる第一の同期機構と、
上記ミラーの上下両端にそれぞれ備えられた上記スライダーの各移動片の移動を同期させる第二の同期機構とを具備することを特徴とする洗面化粧台。
【請求項2】
上記第一の同期機構または上記第二の同期機構は、
複数の上記移動片を相互に剛性接合する連結部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の洗面化粧台。
【請求項3】
上記第一の同期機構または上記第二の同期機構は、
上記移動片に設けられ、同移動片の移動方向に並ぶ複数の歯によって構成されるラックと、
上記キャビネットに回動可能に保持された剛性シャフトと、
上記剛性シャフトを回動軸として接合され、それぞれが異なる上記移動片に備えられた上記ラックと噛合する一対のピニオンとを具備することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の洗面化粧台。
【請求項4】
上記第一の同期機構または上記第二の同期機構は、
スプロケットによって連動させられるとともに、複数の上記移動片に接続された複数のチェーンを具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の洗面化粧台。
【請求項5】
複数の上記スプロケットの回動軸が剛性シャフトによって接続されることを特徴とする請求項4に記載の洗面化粧台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−204533(P2006−204533A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20335(P2005−20335)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】