説明

活性エネルギー線硬化型紅インキおよび該インキを印刷してなる印刷物

【課題】活性エネルギー線硬化型紅インキにおいて、従来のプロセス色相に近似した耐光性を有する紅インキと比較して、印刷濃度が高く、かつ、高い耐光性、および、プロセス色相への近似を有した印刷物の提供。
【解決手段】
耐光性を有する活性エネルギー線硬化型紅インキであって、印刷条件がRIテスター全面ロールにおいて、0.175〜0.200ccのインキ盛り量で印刷された場合、濃度値が1.52〜1.57の範囲内であり、L*a*b*値が、L*:50〜55、a*:75〜83、b*:−14〜−20の範囲内にあることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキの印刷方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型紅インキおよび該インキを印刷してなる印刷物に関する。さらに詳しくは、高耐光性および高濃度であり、一定の印刷条件下において、プロセス色相への近似に優れる活性エネルギー線硬化型紅インキおよびその印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性エネルギー線硬化性被覆組成物の研究は盛んに行われており、その中でも印刷インキ、クリヤーワニス、塗料等の分野では実用化が進められている。特に活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、フォーム用印刷物、各種書籍印刷物、各種包装用印刷物、シール・ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物などの様々な用途に使用されている。その中でも、カルトン紙やプラスチック印刷物の包装用途が最も一般的に知られているところである。
【0003】
様々な用途として活性エネルギー線硬化型オフセットインキは用いられているが、その中でも屋外用のポスターや店頭商品のパッケージ、自動販売機や自動車の内装部材、家電製品における表示パネルなどにおいては、太陽光や蛍光灯などの光の作用を受けて、印刷された文字や絵柄が色褪せない様、十分な耐光性を有することが不可欠となっている。
【0004】
このため、印刷物の耐光性を向上させるべく、印刷に用いられるインキに耐光性をもつことが求められている。しかし、そのようなインキにおける顔料としては、耐光性に優れた顔料が一般的に使用されているが、そのような顔料はインキ化した際にしばしば着色力に劣り、流動性が低いため、印刷濃度および印刷適性が低いことが問題であった。特に、プロセス色相に近似した耐光性を有する紅インキにおいては、プロセス紅インキと比較して印刷濃度が非常に低いため、耐光性を維持したまま、高濃度で一定の流動性が確保されているプロセス色相に近似した紅インキが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、活性エネルギー線硬化型紅インキにおいて、従来のプロセス色相に近似した耐光性を有する紅インキと比較して、印刷濃度が高く、かつ、高い耐光性、および、プロセス色相への近似を有した印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光開始剤および特定の3種類の顔料を含有する活性エネルギー線硬化型インキは、印刷濃度が高く、かつ、高い耐光性、および、プロセス色相への近似を有した優れた印刷物を提供することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、 エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光開始剤および顔料を含有する活性エネルギー線硬化型紅インキを使用する印刷方法にであって、
顔料が、
キナクリドン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物およびベンズイミダゾー ル系化合物
であり、
活性エネルギー線硬化型紅インキが、
RIテスター(簡易印刷転写装置)全面ロールにおいて、0.175〜0.200ccのインキ盛り量で印刷された場合、
濃度値が、
1.52〜1.56、
***値が、
*:48〜53、a*:60〜65、b*:0〜6
の範囲内になる活性エネルギー硬化型紅インキを使用することを特徴とする印刷方法に関するものである。
【0009】
さらに、本発明は、上記の活性エネルギー線硬化型紅インキを使用する印刷方法で使用される活性エネルギー線硬化型紅インキであって、
キナクリドン系化合物が、
C.I.ピグメントレッド122
であり、
インキ全量に対して1〜20重量%
含有され、
ジケトピロロピロール系化合物が、
C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255およびC.I.ピグメントレッ ド264から選ばれる一種類以上
であり、
インキ全量に対して1〜15重量%
含有され、
ベンズイミダゾール系化合物が、
C.I.ピグメントレッド185
であり、
インキ全量に対して1〜15重量%
含有されている活性エネルギー線硬化型紅インキを使用することを特徴とする印刷方法に関するものである。
【0010】
また、本発明は、上記の印刷方法により印刷された印刷物に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明が提供する活性エネルギー線硬化型インキを用いることにより、高耐光性を有し、プロセス紅に近似した色相をもつ印刷物を提供することが可能となる。また、高濃度であることから、従来の耐光性を有するインキに比べてインキ使用量を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
本発明は、顔料と、合成樹脂、光重合開始剤、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを必要に応じて、アルミキレート等の顔料分散剤、耐摩擦剤等の補助剤を加え混合することでえら得る活性エネルギー線硬化型インキである。
【0013】
色再現領域の表現方法としては、XYZ表色系(CIE1931表色系)、X1010Z10表色系(CIE1964表色系)、L*a*b*表色系(CIE1976)、ハンターLab表色系、マンセル表色系、L*u*v*表色系(CIE1976)等が挙げられる。L*a*b*表色系では、色相に関係なく比較できる明るさの度合いとして「明度」をL*で表現し、L*が大きくなるほど色が明るく、小さくなるほど暗くなることを示している。また、各色によって異なる「色相」をa*、b*の値で示し、a*は赤(+)から緑(−)方向、そしてb*は黄(+)から青(−)方向を示し、各方向とも絶対値が大きくなるに従って色鮮やかになり、0に近づくに従ってくすんだ色になることを示している。これによって一つの色を、L*、a*、b*を用いて数値化することが可能となる。
【0014】
本発明で使用する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられる。しかし、これに限定される必要はない。
【0015】
本発明に用いられる紅顔料としては、キナクリドン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物およびベンズイミダゾール系化合物が挙げられ、全て用いる必要がある。
【0016】
キナクリドン系化合物として例えば、C.I.ピグメントレッド122等が挙げられ、インキ全量に対して1〜15重量%用いることが好ましい。
【0017】
ジケトピロロピロール系化合物として例えば、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264等が挙げられ、インキ全量に対して1〜15重量%用いることが好ましい。C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255およびC.I.ピグメントレッド264等は、2種類以上混合して使用しても良い。
【0018】
ベンズイミダゾール系化合物として例えば、C.I.ピグメントレッド185等が挙げられ、インキ全量に対して1〜15重量%用いることが好ましい。
【0019】
本発明に用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂、尿素樹脂、ブタジエンーアクリルニトリル共重合体のような合成ゴム等が挙げられる。これらの樹脂は、その中の1種または2種以上を用いることができる。何れもエチレン性不飽和ニ重結合を有するモノマー可溶である樹脂が用いられる。
【0020】
本発明において、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とは、モノマーあるいはオリゴマーを言い、例えば、単官能または多官能の(メタ)アクリレート類であり、これらを適宜用いることでインキ組成物の粘度を調節することが出来る。
【0021】
単官能モノマーまたはオリゴマーとしてアルキル(カーボン数が2〜18)(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート等が例示される。
【0022】
多官能(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等を用いることができる。
【0023】
さらに本発明のアクリル系モノマーとして脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートがある。脂肪族アルコール化合物のアルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレートモノマーとして脂肪族アルコール化合物のモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサドがある。1官能モノマーとしてカーボン数が2〜20アルキレンオキサイド付加体(メタ)アクリレート、例えばメタノールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)(メタ)アクリレート、エタノールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体等が例示される。さらに2官能モノマーとしてエチレングリコールモノまたはポリ(1〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノまたはポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体等が例示される。さらに3官能モノマーとしてグリセリンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体(アルキレンオキサイドとして例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(2〜20)アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体等が例示されるが、これに限るものではない。
【0024】
本発明で使用されるポリ(2〜20)は、アルキレン(C2〜C20)オキサイド付加体の重合度とする。
【0025】
本発明で使用される光開始剤としては、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、p―クロルベンゾフェノン、テトラクロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイルー4’−メチルージフェニルサルファイド、2−イソプロピルチオシサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、アセトフェノン・アリールケトン系開始剤、4,4‘−ビス(ジエチルアニノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノアセトフェノン・ジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系・そのハロゲン置換・多環カルボニル系開始剤などが挙げられる。
【0026】
また、開裂型光開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α―アクリルベンゾイル・ベンゾイン系、ベンジル、2−メチルー2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパンー1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニルプロパンー1−オン、1−(4−イソプロピルフェニルー2−ヒドロキシー2−メチルプロパンー1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニルー(2−ヒドロキシー2−プロピル)ケトン、4−(2−アクロイルーオキシエトキシ)フェニルー2−ヒドロキシー2−プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノンなどがある。
【0027】
また、光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン・脂肪族アミン、4,4‘−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジブチルエタノールアミンが挙げられる。
補助剤としては、例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックスなどの合成ワックス、シリコーン添加剤、レベリング剤、体質等を適宜使用することができる。
【0028】
本発明におけるインキ組成としては、エチレン性不飽和二重結合を有するオリゴマーもしくはエチレン性不飽和二重結合を有するモノマー:5〜60重量%、合成樹脂:1〜30重量%、顔料:1〜25重量%、光重合開始剤 0〜20重量%、その他補助剤:0〜15重量%を含有する活性エネルギー線硬化型インキである。
【0029】
本発明における活性エネルギー線硬化型インキは、通常の印刷インキと同様に公知の印刷方法、例えばオフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷にて印刷することができる。
【実施例】
【0030】
次に具体的に本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら記載実施例に限定されるものではない。なお、本発明において、特に断らない限り、部は重量部、%は重量%を表す。
【0031】
(ワニスの作成)
非反応性樹脂(ダイソー製 ダップトートDT170)は固形であることより、モノマー(東亜合成製 M−408)と昇温加熱混合(上限温度を100℃の留め)樹脂比率を30〜50重量%比率で、5000mPa・sのワニスを作成した。
【0032】
(紅インキの作成)
ワニスと、顔料、光開始剤、その他添加剤を表1に示す所定の配合割合にて、バタフライミキサーを用いて攪拌混合し、三本ロールにて最大粒径が7.5μm以下になるように分散して紅インキを作成し、スプレッドメーターにて一定の粘度規格と成るよう調整して、各紅インキを作成した。
【0033】
【表1】

【0034】
表1において、顔料としては、顔料―1として、DIC製 C.I.ピグメントレッド122、顔料―2として、BASF製 C.I.ピグメントレッド122/C.I.ピグメントレッド254=重量比で1:1、顔料―3として、クラリアント製 C.I.ピグメントレッド185、顔料―4として、クラリアント製 C.I.ピグメントレッド146、顔料―5として、大同化成製 C.I.ピグメントレッド57:1を使用した。
【0035】
(比較評価用印刷サンプルの測定)
コートボール紙(北越製紙製)、作成各紅インキ所定の量、RIテスター(簡易印刷転写装置)を使用して、印刷塗布後、112W/cmのメタルハライドランプにて所定の照射量にて照射して、紅インキを硬化し、比較評価用印刷サンプルを作成した。
【0036】
(評価方法)
・ 流動性:スプレッドメーターにて測定。60秒後の半径(mm)を数値化した。
・ 濃度:グレタグマクベスD196にて印刷サンプルの濃度値が1.50となる時の インキ盛り量(ml)を計測。
・ 測色:X−rite938にて印刷サンプルのL*、a*、b*値を測定。
・ 耐光性:印刷サンプルをフェドメーターで96時間紫外線を照射した後の退色度 合を目視で5段階評価(1(退色大)−5(退色小))
結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
表2において、実施例1と比較例1〜5とを比較すると、本発明に該当する実施例1では、耐光性を維持したまま、高濃度で一定の流動性が確保されているプロセス色相に近似した活性エネルギー線硬化型紅インキを提供することが可能であり、高品質な印刷物を提供することが可能であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明が提供する活性エネルギー線硬化型インキを用いることにより、高耐光性を有し、プロセス紅に近似した色相をもつ印刷物を提供することが可能となる。また、高濃度であることから、従来の耐光性を有するインキに比べてインキ使用量を抑えることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光開始剤および顔料を含有する活性エネルギー線硬化型紅インキを使用する印刷方法であって、
顔料が、
キナクリドン系化合物、ジケトピロロピロール系化合物およびベンズイミダゾー
ル系化合物
であり、
活性エネルギー線硬化型紅インキが、
RIテスター(簡易印刷転写装置)全面ロールにおいて、0.175〜 0.200ccのインキ盛り量で印刷された場合、
濃度値が、
1.52〜1.56、
***値が、
*:48〜53、a*:60〜65、b*:0〜6
の範囲内になる活性エネルギー硬化型紅インキを使用することを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1記載の活性エネルギー線硬化型紅インキを使用する印刷方法で使用される活性エネルギー線硬化型紅インキであって、
キナクリドン系化合物が、
C.I.ピグメントレッド122
であり、
インキ全量に対して1〜20重量%
含有され、
ジケトピロロピロール系化合物が、
C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255およびC.I.ピグメントレッ ド264から選ばれる一種類以上
であり、
インキ全量に対して1〜15重量%
含有され、
ベンズイミダゾール系化合物が、
C.I.ピグメントレッド185
であり、
インキ全量に対して1〜15重量%
含有されている活性エネルギー線硬化型紅インキを使用することを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の印刷方法により印刷された印刷物。

【公開番号】特開2012−201017(P2012−201017A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68528(P2011−68528)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】