説明

活性化合物を含むドラッグデリバリーデバイス及びドラッグデリバリーデバイスからの化合物の放出方法

本発明は、活性化合物の拡散に対してバリア効果を有し且つ約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有する固体ポリマー材料及び活性化合物を含み、前記活性化合物の拡散または輸送の特性をエネルギー源からエネルギーを供給することにより可逆的に修飾し得る哺乳動物身体に移植するためのドラッグデリバリーデバイスに関する。本発明はまた、ドラッグデリバリーデバイスからの活性化合物の放出方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化合物の拡散に対してバリア効果を有する固体ポリマー材料を含み、前記材料の輸送特性を外部源を用いて修飾し得るドラッグデリバリーデバイスに関する。特に、本発明は、ドラッグデリバリーデバイス、特に哺乳動物に移植するためのドラッグデリバリーデバイスを用いることにより、前記ドラッグデリバリーデバイスからの薬物のデリバリーを外部エネルギー源からエネルギーを供給することにより積極的に制御したドラッグデリバリーを必要とする哺乳動物に対するドラッグデリバリー方法に関する。このドラッグデリバリーデバイスは、哺乳動物身体に移植するため、プロテーゼまたは人工器官に取り込むために適している。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料のような材料が活性化合物の拡散に対してバリア効果を有し得ることは一般的に知られている。その輸送特性を修飾し得ることも一般的に公知である。
【0003】
上記した輸送特性を修飾するための公知方法に関連する1つの問題は、これらの特性が幾つかの点または他の点で通常非可逆的であることである。固体材料の溶解度を含めた物理的状態が変化すると、材料の輸送特性が修飾され得る。材料が再び元の物理的状態に戻し得る限り、活性化合物は拡散する。従って、現在の技術水準で、ドラッグデリバリーデバイス及びこのデバイスを用いるとき活性化合物の拡散が制御された方法で中断され得るだけでなく、所望により再現可能に反復され得るように上記した輸送特性を可逆的に修飾し得る方法が要望されている。
【0004】
幾つかのシステムが従来技術から公知である。援用により本明細書に含まれるとする米国特許第6,649,702号明細書は、安定化P−トリブロックミセルからなる“P−ゲル”と称されているドラッグデリバリーシステムを開示している。これらのミセルはP−トリブロックポリマー、例えばPEO−PPO−PEOトリブロックポリマー(ここで、PEOはポリエチレンオキシドであり、PPOはポリプロピレンオキシドであり、末端ブロックのPEOは親水性であり、中央ブロックのPPOは疎水性である)から作成されている。このP−トリブロックコポリマーは、例えば援用により本明細書に含まれるとする米国特許第5,516,703号明細書に開示されている。米国特許第6,649,702号明細書によれば、P−トリブロックミセルの安定化は直接ラジカル架橋したり、油を配合したり、または温度応答型LCST(低臨界溶解温度)ヒドロゲルを重合することにより達成される。なお、後者の系は“P−ゲル”として米国特許第6,649,702号明細書に記載されており、P−トリブロックミセルの存在下でN,N−ジメチルアクリルアミドを重合することにより得ることができる。安定化されたP−トリブロックミセルに疎水性薬物(例えば、ドキソルビシン)を充填すると、例えば一定波長の超音波またはパルス超音波を用いて温度を上昇させることにより疎水性薬物を制御された可逆的方法で放出することができる。明らかに、患者に対して例えばIV注射により投与すると、前記ミセルは血流中を循環し、最終的には代謝されるので、薬物の長期間投与を必要とするドラッグデリバリーデバイスとしては不適となる。
【0005】
援用により本明細書に含まれるとする国際特許第03/017972号パンフレット及び特開平6-247841号公報は、米国特許第6,649,702号明細書のドラッグデリバリーシステムに類似のドラッグデリバリーシステムを開示している。
【0006】
米国特許第6,649,702号明細書、国際特許第03/017972号パンフレット及び特開平6-247841号公報に開示されているドラッグデリバデバイスの作用メカニズムは、温度が上昇すると中央の疎水性基に結合している水分子が遊離するためにエントロピー運転されるデバイスの物理的変化に基づいている(例えば、国際特許第03/017972号パンフレットの6ページ、6〜8行目参照)。
【0007】
米国特許第6,312,708号明細書は、神経毒のボツリヌス毒素を長期間にわたり制御薬物放出するためのシステムを開示している。このシステムは、1つ以上の生分解性ポリマーからなるポリマー担体及び該担体に結合させた安定化ボツリヌス毒素を含む。このシステムは皮膚下(例えば、皮下、筋肉内等)に移植され得るか、または注射により投与され得る。好ましくは、ポリマー担体はボツリヌス毒素を組み込んだミクロスフェアの形態であり、前記ミクロスフェアはディスクの形にプレスされ、ペレットとして移植され得る。ポリマー担体を非毒性非免疫性の生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)等から構成することが好ましい。前記ポリマーの例は、Medisorb Technologies International(現在のAlkermes,Inc.;www.alkermes.com参照)から入手可能であるといわれているMedisorb(登録商標)ポリマーである。米国特許第6,312,708号明細書の実施例4は、生分解速度がそれぞれ異なり、いずれもディスクに圧縮成形されている4組のミクロスフェアを開示している。従って、ボツリヌス毒素は、インビボで異なる分解速度を有するミクロスフェアを用いることにより長期間放出される。ポリマーマトリックスを作成するために使用することができるポリマーは、ガラス転移温度(T)を含めた特性が大きく異なる広範囲の材料から選択され得る(米国特許第6,312,708号明細書の20欄、25〜37行目参照)。例えば、Alkermes,Inc.は−65〜60℃の範囲のガラス転移温度及び60〜230℃の範囲の融点を有するグリコール酸、ラクチド、カプロラクトン及びその混合物を主成分とする生分解性ポリマーを製造している。米国特許第6,312,708号明細書に開示されているシステムの欠点は制御性に欠けること、すなわちこのシステムはすべてのミクロスフェアが分解するまで必ず薬物を連続的に放出するので幾つかの外部活性化源により薬物の放出を随意に開始できないことである。
【0008】
American Institute of Chemical Engineersの2002年年次例会中の2002年11月6日に食品、医薬及び生物工学グループ(the Food, Pharmaceutical and Bioengineering Group)(15)のドラッグデリバリー会議(15B12)において口頭発表がなされた。その目的を達するために、援用により組み込まれるとする抄録が提出された。この抄録にはポリラクチドやポリ(ラクチド−コ−グリゴリド)のようなポリマーからの超音波誘導薬物放出の開発を目指している研究プロジェクトの進展が一般的な言葉で開示されている。1MHzの周波数の超音波を水中のポリマースラブに適用すると、ポリマーの温度が急速に、超音波の強度に応じて直線的に大きく上昇するのに対して、周囲の水の温度上昇はごく僅かであるように見えた。この抄録では、「ポリマーのこの速やかな温度上昇は、ポリマーのガラス転移温度Tを経てポリマーをガラス状態からゴム状態に変化させるために利用することができる」ことが示唆されている。この抄録には、更に、「T以下のガラス状態では配合されている物質の拡散が比較的弱く、Tを越えるゴム状態では可撓性ポリマーの変化により配合薬物が迅速に拡散される。その結果、ガラス転移温度は超音波誘導薬物放出を制御するための重要なパラメーターであるようである。」ことを開示している。しかしながら、前記抄録は意図するドラッグデリバリーデバイスを開示できていない。前記抄録はいずれのポリマーが明らかに使用されるかも開示していない。
【0009】
援用により含まれるとする米国特許第4,657,543号明細書及び同第4,779,806号明細書は、生物学的活性物質(例えば、ステロイド、抗癌剤及び感染抑制剤のような薬物)をカプセル封入しているポリマーマトリックスを超音波にさらすことを含む前記生物学的活性物質をオンデマンドでデリバリーする方法を開示している。ポリマーマトリックスが超音波誘導キャビテーションにより分解して薬物が放出されるような超音波エネルギーの周波数及び強度が使用される。適当な周波数は約20〜約1000kHzであり、適当なパワーは約1〜約30Wである。この特許明細書には、本明細書で使用している強度(単位W/cm)ではなくパワー(単位W)の言及があることは注目に値する。この方法は、ポリマーマトリックスが非可逆的に分解するために生物学的活性物質の放出の制御が困難であるという欠点を有する。この方法の別の欠点は、放出速度がわずかしか増加できなかった(約10倍)ことである。
【0010】
援用により含まれるとする米国特許第4,767,402号明細書は、保護カバー、薬物を含有するマトリックス、支持体及び接着剤からなる経皮パッチを開示している。この経皮パッチを皮膚に適用し、皮膚を介する薬物の放出を20kHz〜10MHzの周波数及び0〜3W/cmの強度を有する超音波エネルギーにより誘導する。パッチの代わりに、超音波エネルギーは空気中をうまく伝わらないので超音波エネルギーの効率を高めるために水性ゲルを使用し、この中に薬物を懸濁させることができる。通常、薬物は経皮パッチにより全身に投与され、投与場所がちょうど皮下のときにのみ高濃度が達成され得る。加えて、多くの薬物は皮膚を通過しないのでこの方法により投与することはできない。更に、この方法は、パッチ及び特に水性ゲルは長時間皮膚に十分に付着しないのでオンデマンドでの放出は制御困難であるという欠点も有している。よって、患者は定期的に、例えば2日毎にパッチを取り替えなければならない。
【0011】
援用により含まれるとする米国特許第5,947,921号明細書及び同第6,041,253号明細書は、超音波と磁場、エレクトロポレーションまたはイオントホレシスを組み合わせて用いることにより薬物を経皮デリバリーする方法を開示している。
【0012】
本発明は、従来技術のドラッグデリバリーシステムの欠点を持たないドラッグデリバリーシステムを提供する。本発明の作用効果は、輸送特性、特にドラッグデリバリーデバイスの輸送特性を時間の関数として異なる方法でエネルギー源からエネルギーを供給することにより可逆的に修飾する方法を用いることにより得られる。前記輸送特性は、特定範囲内のTを有する特定ポリマー材料を用いることにより修飾され、前記ポリマー材料をそのT以上に加熱すると該ポリマー材料中に存在する活性化合物(特に、薬物)の拡散が強化される。
【0013】
本発明の範囲内では、用語「エネルギー源」は(1)光波、音波またはマイクロ波、(2)電流、(3)電気、磁気または放射性放射線、または(4)その組合せであると理解される。本発明の範囲内では、用語「活性化合物」は直接または間接的に特定作用を与える化合物と理解される。哺乳動物の身体内で生物学的効果を与える活性化合物が好ましい。よって、本発明によれば、活性化合物は哺乳動物の身体に対して直接的な生物学的効果を有する薬物または医薬であり得る。しかしながら、本発明は、用語「活性化合物」には芳香剤、臭気物質や着色剤のような物質も含まれるように薬物及び医薬に限定されると見なされない。更に、本発明の範囲内では、ガラス転移温度Tは固体ポリマー材料及び活性化合物の組合せのガラス転移温度と理解される。すなわち、本明細書中で使用されるガラス転移温度はポリマーそれ自体のガラス転移温度を指すのでない。
【発明の開示】
【0014】
従って、本発明は、特に化学物質の拡散または電子輸送(特に、活性化合物)に対してバリア効果を有し且つ約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有する固体ポリマー材料及び活性化合物を含み、前記活性化合物の拡散または輸送の特性をエネルギー源からエネルギーを供給することにより可逆的に修飾することができるドラッグデリバリーデバイス、特に哺乳動物身体に移植するためのドラッグデリバリーデバイスを提供する。
【0015】
本発明はまた、固体ポリマー材料及び活性化合物を含むドラッグデリバリーデバイス、特に哺乳動物身体に移植するためのドラッグデリバリーデバイスからの活性化合物の放出方法に関し、エネルギー源からエネルギーを供給することにより前記固体ポリマー材料の輸送特性を可逆的に修飾することにより前記ドラッグデリバリーデバイスから前記活性化合物を放出させ、前記固体ポリマー材料は約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、固体ポリマー材料にエネルギーを加えると粘性剪断及び応力緩和を経てエネルギーが吸収され、その結果前記固体ポリマー材料が加熱されるという知見に基づいている。エネルギーが超音波のときには固体ポリマー材料の温度は超音波強度に応じて直線的に上昇するようである。更に、温度上昇は、固体ポリマー材料をエネルギー(例えば、超音波)に曝したときに迅速に誘導される。この速やかな温度上昇を利用して、固体ポリマー材料を該固体ポリマー材料のT以下の温度から該固体ポリマー材料のTを越える温度まで加熱することにより固体ポリマー材料のガラス状態をゴム状態に変化させる。加えて、Tくらいの温度では、この温度で機械制動が最大であるのでエネルギー(特に、超音波エネルギー)の吸収は実質的である。固体ポリマー材料の温度がT以下ならば、薬物の放出は非常に少なく、固体ポリマー材料の温度がTを越えると可撓性ポリマー鎖により薬物が迅速に拡散する。
【0017】
本発明の好ましい実施態様に従うドラッグデリバリーデバイスを哺乳動物の身体に移植するときには、このドラッグデリバリーデバイスを水性環境で取り囲む。この水性環境では、エネルギー(特に、超音波)が固体ポリマー材料に比して水性環境の水に余り吸収されないので粘性剪断が起こらない。その結果、本発明のドラッグデリバリーデバイスはエネルギー(例えば、超音波)に曝されたときに患者に対して有害な影響を持たない。
【0018】
使用されるエネルギーが超音波のとき、固体ポリマー材料内で起こる極限温度上昇は超音波の周波数及び固体ポリマー材料の減衰係数に依存している。よって、本発明によれば、固体ポリマー材料は好ましくは1MHzで約10〜約1000dB/cm、より好ましくは約50〜約500dB/cmの減衰を有する。
【0019】
本発明のドラッグデリバリーデバイス及び方法の作用効果は、活性化合物の拡散が繰り返し、再現可能に起こるように輸送特性が可逆的に修飾され得ることである。こうして、活性化合物の放出を時間の関数として制御することができる。本発明の別の作用効果は、活性化合物をオンデマンドでデリバリーすることができることである。
【0020】
治療または診断用途及び当該活性化合物に応じて、本発明のドラッグデリバリーデバイスは各種方法で作製され得る。第1の好ましい実施態様によれば、修飾可能な拡散または輸送特性を有する固体ポリマー材料と活性化合物を混合する。第2の好ましい実施態様によれば、活性化合物をドラッグデリバリーデバイスの中心に置き、この中心を活性化合物の拡散または輸送特性を可逆的に修飾し得る固体ポリマー材料により包囲する。ドラッグデリバリーデバイスを存在させている組織及び/または臓器を供給エネルギーから保護するために、好ましい実施態様によればドラッグデリバリーデバイスを断熱性であり且つ活性化合物透過性であるエンベロープ材料により包囲する。
【0021】
従って、本発明の好ましい第2実施態様は、
a)固体ポリマー材料及び活性化合物を含むコア、及び
b)断熱性であり且つ活性化合物透過性であるエンベロープ材料
からなるドラッグデリバリーデバイス、特に哺乳動物身体に移植するためのドラッグデリバリーデバイスからなる。
【0022】
更に好ましくは、この好ましい第2実施態様のドラッグデリバリーデバイスは活性化合物が均質に分散されている固体ポリマー材料を含むコアを有する。或いは、更に好ましくは、この好ましい第2実施態様のドラッグデリバリーデバイスは活性化合物を含み、固体ポリマー材料の層で被覆されている不活性支持体からなるコアを有する。
【0023】
本発明によれば、好ましいエンベロープ材料はヒドロゲルである。ヒドロゲルは大量の水が存在している親水性ポリマーの三次元網状構造である。通常、ヒドロゲル中に存在する水の量は乾燥ポリマーの総重量の少なくとも20重量%である。このヒドロゲルの最も特徴的な特性は、ヒドロゲルが水の存在下では膨潤し、水の非存在下では収縮することである。膨潤度(平衡含水率)はポリマー鎖の種類(主に、疎水性)及び架橋密度により決定される。ヒドロゲルを製造するために使用することができるポリマーは当業界で公知であり、例えばいずれも援用により本明細書に含まれるとする米国特許第2,340,110号明細書、同第2,340,111号明細書、同第2,533,635号明細書、同第2,798,053号明細書、同第3,940,351号明細書、同第4,062,817号明細書、同第5,034,486号明細書、同第5,034,487号明細書、同第5,034,488号明細書及び同第5,468,797号明細書に開示されている。
【0024】
本発明の別のより好ましい実施態様によれば、ドラッグデリバリーデバイスは活性化合物透過性材料、及び固体ポリマー材料及び活性化合物からなる粒子を含み、前記の活性化合物透過性材料はエネルギー源からエネルギーを供給することにより加熱される。活性化合物透過性材料が断熱性であり且つ活性化合物透過性であるエンベロープ材料で被覆されていることが好ましい。この好ましい実施態様の作用効果は、ドラッグデリバリーデバイスが存在しており、上記方法が適用される環境、特に哺乳動物身体の生理学的環境をエネルギー供給の結果としてのドラッグデリバリーデバイス中での変化から保護できることである。この1例は、ドラッグデリバリーデバイスの温度上昇からの保護である。
【0025】
加えて、断熱性であり且つ活性化合物透過性であるエンベロープ材料を使用すると、固体ポリマー材料の汚損を相殺するという別の作用効果が得られる。更に、エンベロープ材料はドラッグデリバリーデバイスに対してより高い強度を与え、可撓性を与え、肉バエ(sarcophagus)及び攻撃的細菌からの負の影響を阻止することができる。更に、エンベロープ材料が十分に生体適合性であるならば余り生体適合性でない(拒絶反応)固体ポリマー材料を使用することができるという選択肢が与えられる。
【0026】
研究から、固体ポリマー材料としてポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)またはナイロンを使用すると特に良好な結果が得られることが明らかとなった。しかしながら、より好ましくは、固体ポリマー材料はヒドロシキアルカノエート(ここで、アルキル基は1〜12個の炭素原子を含む)、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)及びその混合物からなる群から選択されるモノマーからなるポリマーまたはコポリマーからなる。好ましくは、コポリマーはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであり、好ましいブロックコポリマーはジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーである。前記したポリマー及びコポリマーは当業界で公知であり、例えばいずれも援用により本明細書に含まれるとする米国特許第2,668,162号明細書、同第2,703,316号明細書、同第3,636,956号明細書、同第3,839,297号明細書、同第4,137,921号明細書、同第4,157,437号明細書、同第4,243,775号明細書、同第4,443,430号明細書、同第5,076,983号明細書、同第5,310,865号明細書及び同第6,025,458号に開示されている。この群のより好ましい固体ポリマー材料には、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリエステルウレタン、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル(例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート−ポリブチレンテレフタレート(PEGT/PBT))、ポリエチレングリコール及び天然ポリマー(例えば、ポリヒドラロン酸、イソソルビド、デキストラン、コラーゲン及びその混合物)も含まれる。ポリブチルメタクリレートも別のより好ましい固体ポリマー材料である。
【0027】
原則として、本発明は、活性化合物の拡散に対してバリア効果を有する固体ポリマー材料の輸送特性を修飾するために使用され得る。本発明の特に有利な用途は活性化合物の放出分野である。活性化合物、例えば薬物、診断薬及びイメージング用造影剤を固体ポリマー材料に配合することが好ましい。活性化合物が薬物の場合には、この薬物は好ましくは化学療法剤、鎮痛薬、麻酔薬、ホルモン物質、感染抑制剤及び抗不整脈薬からなる群から選択される。
【0028】
本発明は、本発明のドラッグデリバリーデバイスからの活性化合物の放出方法にも関し、前記ドラッグデリバリーデバイスが哺乳動物身体中に移植するためのデバイスであることが好ましい。しかしながら、他の使用も適当であり、本明細書中に開示されている。
【0029】
活性化合物の放出方法は医薬の分野で一般的に知られている。時間の関数として制御的に放出されなければならない活性化合物を含むドラッグデリバリーデバイスは通常、活性化合物を拡散によりゆっくり放出する材料中に活性化合物が配合されていることに基づいている。しかしながら、上記したすべての公知方法に共通の特徴は、活性化合物の放出メカニズムに関係なく放出が開始したらその放出をもはや停止できないことである。従って、公知方法はいずれも非可逆的である。
【0030】
本発明の方法の作用効果は、治療または診断の必要性に応じて、活性化合物がドラッグデリバリーデバイスから時間の関数として制御的に繰り返し放出され得ることである。活性化合物として化学療法剤、鎮痛薬、麻酔薬、ホルモン物質、感染抑制剤及び抗不整脈薬からなる群から選択される薬物を使用することが好ましい。また、活性化合物として診断薬またはイメージング用造影剤を使用することも好ましい。
【0031】
好ましくは、輸送特性がパルス状に修飾され、よって活性化合物は連続的に放出されず、バリア効果の暫定的再出現の結果として拡散によりパルス状に放出されるようにエネルギーをパルス状に供給する。例えば、活性化合物が鎮痛剤の場合、鎮痛剤を必要とする患者はエネルギー源のスイッチを入れることによりオンデマンドで鎮痛剤の放出を誘導することができる。
【0032】
本発明の好ましい実施態様によれば、エネルギーはドラッグデリバリーデバイスに関して外部にあるエネルギー源から供給される。この実施態様によれば、ポリマーの輸送特性を遠隔操作で修飾することができる。
【0033】
本発明によれば、エネルギーは上記した多くの源から発生させ得るが、エネルギー源が超音波、赤外線または磁気エネルギーの源、或いはその組合わせであることが好ましい。
【0034】
使用するエネルギーが磁気の場合、固体ポリマー材料は磁性材料、例えば援用により本明細書に含まれるとするChanら,Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers, Hafeliら編, p.607-617, Plenum Press(1997年)発行に開示されている固体磁粉を含有していなければならない。また、磁場をかけたときに誘導電流が発生するように固体ポリマー材料を導電性とすべくナノチューブを含めてもよい。この誘導電流により生ずる抵抗の結果として、固体ポリマー材料が加熱される(いずれも援用により本明細書に含まれるとする、S.Iijima, Helical microtubes of graphitic carbon, Nature, 第354巻, 56-58;S.Iijima, T.Ichihashi, Single-shell carbon nanotubes of 1-nm diameter, Nature, 第363巻, 603-605(1993);P.Lambin, Electronic structure of carbon nanotubes, C.R.Physique, 第4巻, 1009-1019(2003);M.Dresselhaus, G.Dresselhaus, P.Eklund, R.Saito, Carbon nonotubes, Physics World, 第11巻, 1号, 33-38(1998);C.Kiang, W.A.Goddard, R.Beyers, D.S.Bethune, Carbon nonotubes with single-layer walls, Carbon, 第33巻, 7号, 903-914参照)。
【0035】
磁性材料内で生ずる極限温度上昇は比出力吸収率(SAR;Chanら参照)で測定し、最適範囲は500〜600W/gの範囲である。本発明によれば、固体ポリマー材料1gあたり約3〜30mg、好ましくは約5〜約15mgの固体磁粉を固体ポリマー材料に配合する。
【0036】
使用するエネルギーが赤外光の場合、固体ポリマー材料内で生ずる極限温度上昇は当業者が理解しているように赤外光の強度及び波長に依存する。ポリマーの特定原子間結合が例えば特定の波長を用いることにより活性化され得ることは自明である。
【0037】
本発明の方法の好ましい実施態様によれば、エネルギー源として超音波源が使用される。この特定方法は、対象物(及びその環境)との接触を避ける遠隔用途のために適している。特に有利な別の用途によれば、超音波は2×10〜1×10Hz(20kHz〜10MHz)、より好ましくは5×10〜5×10Hz(500kHz〜5MHz)の周波数を有する。超音波によるエネルギー供給から周囲環境を保護するために、音波をビームに集束させることが好ましい。
【0038】
超音波が0.1〜20.0W/cm、好ましくは0.2〜5.0W/cmの強度を有することも好ましい。
【0039】
更に、実験から、固体ポリマー材料がガラス状態とゴム状態の間の1回以上、好ましくは2回以上の可逆的ガラス転移を受けるように外部エネルギー源を使用することが好ましいことが判明した。比較的低いエネルギーしか必要でない前記転移により輸送特性を非常に大きく修飾させることができ、よって材料中に存在する活性化合物の拡散を非常に大きく向上させることができることが判明した。特に好ましい用途によれば、ガラス転移は約30〜約90℃、より好ましくは約35〜約80℃、更に好ましくは約35〜約65℃、更により好ましくは約35〜約60℃、更により好ましくは約37〜約55℃、最も好ましくは約40〜約55℃で生ずる。実験から、これらの温度が本発明の特定作用効果を得るために十分であることが判明した。
【0040】
本発明のドラッグデリバリーデバイスから活性化合物を放出させる方法の好ましい実施態様によれば、エネルギーをパルス状に供給する。更に、材料に関して外部にあるエネルギー源からエネルギーを供給することが好ましい。これらの好ましい実施態様の作用効果は、活性化合物の放出がパルス状に制御され得ること及びエネルギーを患者から遠隔操作で医師、学位を持たない病院職員(例えば、看護士)または患者それ自身により供給することができることである。治療対象の愁訴の種類や使用するドラッグデリバリーデバイスの特徴及び該デバイス中に存在する活性化合物に応じて、医師または患者は活性化合物を放出する期間、周波数及び強度を調節することができる。材料がガラス状態とゴム状態の間の1回以上、好ましくは2回以上の可逆的ガラス転移を受けるようなエネルギー源を使用する。
【0041】
本発明のドラッグデリバリーデバイスは、例えば術後の心リズム愁訴をコントロールするために使用され得、この場合には適当な薬物を含むドラッグデリバリーデバイスが心膜に移植される。
【0042】
本発明の別の実施態様は、活性化合物(好ましくは、感染抑制薬)を含む固体ポリマー材料の層を備え、加熱手段をも有している担体、好ましくはカテーテルである。こうしたカテーテルは、例えば米国特許第6,740,108号明細書に開示されている。
【0043】
本発明の更に別の実施態様によれば、固体ポリマー材料及び活性化合物を含む粒子を援用により本明細書に含まれるとする米国特許出願公開第2003/0212148号明細書に開示されているように注射(例えば、静脈内または筋肉内注射)により投与することができる形態で提供することができる。
【0044】
本発明は更に、活性化合物を放出するための本明細書中に定義した固体ポリマー材料の使用に関し、前記固体ポリマー材料の前記活性化合物に対する拡散または輸送特性はエネルギー源(特に、外部エネルギー源)からエネルギーを供給することにより修飾され得、前記固体ポリマー材料は約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有している。使用に際し、活性化合物は薬物、診断薬及びイメージング用造影剤に限定されず、芳香剤、臭気物質または着色剤のような化合物からも選択することができる。例えば、興味深い用途は、冷却した新鮮食物を冷蔵庫から取り出したときその新鮮食物の温度がほぼ室温に達したらすぐに芳香剤が放出されるような冷却新鮮食物における芳香剤の放出である。
【0045】
[実施例]
【実施例1】
【0046】
直径2cm、厚さ2mmの圧縮円形ディスクからなる対象物を0.5Lの生理的緩衝液を収容している容器中のホルダーに置いた。前記ディスクは、75モル%のpBMAを含むポリ(ブチルメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)、すなわちp(BMA−MMA)から構成され、前記コポリマー中には医薬活性化合物のイブプロフェンを5%(m/m)の質量比で配合した。前記容器をまず20℃の振とう浴に配置し、イブプロフェンの生理的緩衝液への放出速度を時間の関数として測定した。次いで、容器を50℃の振とう浴に配置し、再びイブプロフェンの生理的緩衝液への放出速度を時間の関数として測定した。このシリーズを5回繰り返した。20℃での放出速度は0.36ナノモル/時であり、50℃での放出速度は10ナノモル/時であった。
【0047】
この実験を、乳酸/グリコール酸の比が50/50であるポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、すなわちPLAGAで繰り返した。ここにもイブプロフェンを配合した。使用したポリ(乳酸−コ−グリコール酸)のマトリックスのガラス転移温度は43℃であった。
【0048】
これにより、20℃と50℃の放出速度の差に関して上記実施例と同様の結果が得られた。
【0049】
この実験を医薬活性化合物としてナプロキセン、リドカイン、ゲンタマイシン及びフェンタニルを用いても繰り返し、20℃と50℃の放出速度の差に関して同様の結果が得られた。
【実施例2】
【0050】
(実施例2a)
直径2cm、厚さ2mmの圧縮円形ディスクからなる対象物の真ん中に熱電対を設けた後、0.5Lの生理的緩衝液を収容している容器中のホルダーに置いた。前記ディスクは、乳酸/グリコール酸の比が50/50であるポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、すなわちPLAGAから構成され、前記コポリマー中には医薬活性化合物のイブプロフェンを10%(m/m)の質量比で配合した。PLAGAはオランダ国のPurac Biochemから購入した。使用したポリ(乳酸−コ−グリコール酸)のマトリックスのガラス転移温度は12.7℃であった(43℃のTが開示されている実施例1と比較されたい。こうしたTの低下はイブプロフェンを大量に充填した結果である)。
【0051】
上記ディスクの表面に対して垂直に、ディスクから28mm離した超音波発生プローブを用いて4Wのパワー及び10Hz(1MHz)の周波数を有する超音波ビームを照射した。イブプロフェンの生理的緩衝液への放出速度を時間の関数として測定した。緩衝液の温度及びディスク中の温度を連続測定した。超音波を120分間照射し、60分間照射せずとして交互に照射した。
【0052】
照射の結果、各例における緩衝液の温度は8℃から11℃に上昇した。各例におけるディスクの温度は18℃に上昇した。照射後、緩衝液の温度及びディスクの温度は8℃に下がった。この照射の結果、各例におけるイブプロフェンのディスクからの放出速度は1×10g/分未満から1.1×10〜1×10g/分の間で変動する値に増加した。照射を停止後、各例におけるイブプロフェンの放出は実質的に直ぐに基本値に低下した。
【0053】
ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)の代わりにイソタクチックポリメチルメタクリレートのマトリックスを用いても同様の結果が得られた。
【0054】
(実施例2b)
容器において、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、すなわちHEMA及び脱イオン水を95/5の質量比及び総容量100mlで混合した。撹拌しながら、EDMA(エチレンジメタクリレート)を架橋剤として添加する。過硫酸アンモニウム(APS)の10%溶液及び純粋なテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を開始剤カップルとして使用する。開始剤カップルを添加後、磁気攪拌機を外し、容器をパラフィルムでカバーする。重合を室温で24時間実施した。重合後、未反応モノマー及び開始剤を除去するためにスポンジ様材料を脱イオン中に入れる。
【0055】
スポンジ様材料を切断して開き、実施例1で使用したと同じp(BMA−MMA)タブレットを材料の内側に置いた。
【0056】
HEMAの組合わせ及びディスクを0.5Lの生理的緩衝液を収容している容器中に配置し、表面に対して垂直にディスクから20mm離した超音波発生プローブを用いて1.7Wのパワー及び10Hz(1MHz)の超音波ビームを照射した。超音波を30分間照射し、60分間照射せずとして交互に照射した。
【0057】
実験中、ディスクのコア、ディスク表面と(ディスクの両側にある)HEMA層の間の空間、(ディスクの両側にある)HEMA層のコア及び生理的緩衝液の温度を測定した。平均として、ディスクの温度は31℃上昇したのに対して、HEMAの平均温度上昇はたった7℃であった。生理的緩衝液の温度は2℃上昇した。
【0058】
(実施例2c)
実施例1に記載されているように3%(m/m)の質量比でイブプロフェンをマトリックス中に配合したp(BMA−MMA)の圧縮円形ディスクをLewisラットの皮下に移植した。ディスクの両側に、該ディスク表面の温度を連続測定するために熱電対を移植した。移植から1時間後、ディスクの表面に対して垂直に、ラットの皮膚に接触させて置いた超音波発生プローブを用いて0.7Wのパワー、10Hz(1MHz)の周波数及び70%の使用率を有する超音波ビームを照射した。一般的な理学療法ヒドロゲルを皮膚とプローブの間に使用した。超音波を30分間照射し、30分間照射せずとして交互に照射した。
【0059】
照射中は10分毎、非照射中は20分毎に血液サンプルを採取し、血流中のイブプロフェン濃度を時間の関数として測定した。照射から30分後、イブプロフェン濃度は0.9μg/mlであった。照射後の血漿濃度は0.01μg/ml以下であった。
【0060】
ディスク表面のすぐ近くの温度を両側で連続測定した。温度は35〜41℃の範囲であった。ラットの直腸温度も測定したが、温度の有意な変化は見られなかった。
【実施例3】
【0061】
ポリ(ブチル−コ−メチルメタクリレート)のディスクにポリマー1gあたり5mgの磁性材料を充填した。使用した磁性材料は、5〜50nmの有効流体力学的直径を有するデキストラン被覆酸化鉄粒子から構成され、D.C.F.Chan, D.B.Kirpotin, P.A.Bunn, Physical chemistry and In Vivo tissue heating properties of colloidal magnetic iron oxide with increased power absorption rates, Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers, Hafeliら, ニューヨークに所在のPlenum Press(1997年)発行に記載されている手順に従って合成した。
【0062】
この充填ポリマーからなる直径2cm、厚さmmのディスクを0.5Lの生理的緩衝液(37℃)を収容している容器中に配置し、8kA/m(〜100エルステッド)の1MHz AC磁場にかけた。ディスクのコア温度を測定したところ、5〜10分以内に8〜10℃上昇した。磁場を切り替えると、ディスクの温度は5分以内に37℃に戻った。
【0063】
ポリ(メチルメタクリレート)またはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を使用しても同様の結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化合物の拡散に対してバリア効果を有し且つ約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有する固体ポリマー材料及び活性化合物を含み、前記活性化合物の拡散または輸送の特性をエネルギー源からエネルギーを供給することにより可逆的に修飾し得るドラッグデリバリーデバイス。
【請求項2】
活性化合物が固体ポリマー材料と混合されている請求項1に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項3】
ドラッグデリバリーデバイスが、(a)固体ポリマー材料及び活性化合物を含むコア、及び(b)断熱性であり且つ活性化合物透過性であるエンベロープ材料からなる請求項1または2に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項4】
コアが、活性化合物が均質に分散されている固体ポリマー材料を含む請求項3に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項5】
コアが活性化合物を含む不活性支持体からなり、前記不活性支持体が固体ポリマー材料の層で被覆されている請求項3に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項6】
エンベロープ材料がヒドロゲルである請求項3〜5のいずれか1項に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項7】
活性化合物透過性材料、及び固体ポリマー材料及び活性化合物を含む粒子を含む請求項1または2に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項8】
活性化合物透過性材料が断熱性であり且つ活性化合物透過性であるエンベロープ材料で被覆されている請求項7に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項9】
固体ポリマー材料がヒドロシキアルカノエート(ここで、アルキル基は1〜12個の炭素原子を含む)、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)及びその混合物からなる群から選択されるモノマーからなるポリマーまたはコポリマーからなり、及び/または固体ポリマー材料が(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリエステルウレタン、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル(例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート−ポリブチレンテレフタレート(PEGT/PBT))、ポリエチレングリコール及び天然ポリマー(例えば、ポリヒドラロン酸、イソソルビド、デキストラン、コラーゲン及びその混合物)からなる群から選択されるポリマーからなる請求項1〜8のいずれか1項に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項10】
コポリマーがランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである請求項9に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項11】
ブロックコポリマーがジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーである請求項10に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項12】
活性化合物が薬物、診断薬及びイメージング用造影剤からなる群から選択される請求項1〜11のいずれか1項に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項13】
薬物が化学療法剤、鎮痛薬、麻酔薬、ホルモン物質、感染抑制剤及び抗不整脈薬からなる群から選択される請求項12に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項14】
固体ポリマー材料及び活性化合物を含むドラッグデリバリーデバイスからの活性化合物の放出方法であって、エネルギー源からエネルギーを供給して固体ポリマー材料の輸送特性を可逆的に修飾することにより前記活性化合物を前記ドラッグデリバリーデバイスから放出し、前記固体ポリマー材料が約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有する前記方法。
【請求項15】
エネルギーをパルス状に供給する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エネルギーを固体ポリマー材料に関して外部にあるエネルギー源から供給する請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
エネルギー源が超音波、赤外線または磁気エネルギーの源である請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
エネルギー源が超音波放射源である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
超音波が2×10〜1×10Hzの周波数を有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
超音波が0.1〜20.0W/cmの強度を有する請求項18に記載の方法。
【請求項21】
エネルギー源が磁気エネルギー源である請求項17に記載の方法。
【請求項22】
活性化合物を薬物、診断薬及びイメージング用造影剤からなる群から選択する請求項14〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
薬物を化学療法剤、鎮痛薬、麻酔薬、ホルモン物質、感染抑制剤及び抗不整脈薬からなる群から選択する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
固体ポリマー材料がヒドロシキアルカノエート(ここで、アルキル基は1〜12個の炭素原子を含む)、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)及びその混合物からなる群から選択されるモノマーからなる生分解性ポリマーまたはコポリマーからなり、及び/または固体ポリマー材料が(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリエステルウレタン、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル(例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート−ポリブチレンテレフタレート(PEGT/PBT))、ポリエチレングリコール及び天然ポリマー(例えば、ポリヒドラロン酸、イソソルビド、デキストラン、コラーゲン及びその混合物)からなる群から選択されるポリマーからなる請求項14〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
コポリマーがランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである請求項24に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項26】
ブロックコポリマーがジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーである請求項25に記載のドラッグデリバリーデバイス。
【請求項27】
哺乳動物身体に移植するための請求項1〜13のいずれか1項に記載のドラッグデリバリーデバイスの使用。
【請求項28】
プロテーゼまたは人工器官に取り込むための請求項1〜13のいずれか1項に記載のドラッグデリバリーデバイスの使用。
【請求項29】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の固体ポリマー材料の層を備えている担体であって、前記固体ポリマーが活性化合物を含み、担体が加熱手段をも備えている前記担体。
【請求項30】
担体がカテーテルである請求項29に記載の担体。
【請求項31】
活性化合物が感染抑制薬である請求項29または30に記載の担体。
【請求項32】
活性化合物を放出するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の固体ポリマー材料の使用であって、固体ポリマー材料の前記活性化合物に対する拡散または輸送特性はエネルギー源からエネルギーを供給することにより修飾され得、前記固体ポリマー材料は約0〜約90℃の範囲のガラス転移温度を有する前記使用。
【請求項33】
エネルギー源が請求項16に記載の外部エネルギー源である請求項32に記載の使用。
【請求項34】
エネルギーをパルス状に供給する請求項32または33に記載の使用。

【公表番号】特表2007−521261(P2007−521261A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516991(P2006−516991)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000446
【国際公開番号】WO2004/113422
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505471554)ドルフィス、メディカル・ビー.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】