説明

活性成分のカプセル化方法

本発明は、カプセル化の分野に関する。更に詳細には、本発明は、活性成分、例えば、好ましくは食用組成物中の又はその上の風味付け成分をカプセル化するための方法に関し、カプセル化材は空の酵母細胞を含む。更に、前記カプセル化された活性成分を含有する食品は、好ましくはチューインガム、油揚げした、焼成した又は押出した製品の形である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、カプセル化の分野に関する。更に詳細には、本発明は、食用組成物中の又はその上の活性成分をカプセル化するための新規な方法に関する。
【0002】
先行技術
カプセル化された活性成分の製造方法が、活性成分を保護するために様々な産業において開発されている。例えば、食品産業において、フレーバーのカプセル化のための多くの方法が公知である。カプセル化は主に、(i)食品に導入する前の貯蔵の間、(ii)フレーバー成分と他の食品成分との混合の間、(iii)調理及びベーキングなどの食品加工の間、(iv)運送及び貯蔵の間、並びに(v)最終消費者による食品の調理の間、の揮発性成分の損失を回避することが目的である。
【0003】
同様に、栄養補助食品産業において、カプセル化は、多価不飽和脂肪酸が豊富な魚油などの、酸素に敏感な活性材料を、該材料の周りに酸素バリヤを提供することによって、保護することが目的である。
【0004】
フレーバー産業において、カプセル化の非常に望ましい利益は、食品の消費時に該活性物を制御放出しながら高い熱安定性を有することである。この課題を扱うための一手法は、風味付け化合物の微生物壁へのカプセル化によるものである。これは多くの従来技術の文献に記載されてきた。この種のカプセルは常に、活性成分を微生物の水性分散液に添加する予備調製工程の対象である。このように調製されたカプセルを、次いで食品に導入する前に乾燥させる。
【0005】
例えば、US2005/0118273号は、酵母でのフレーバーのカプセル化方法を記載している。カプセルのスラリーは、フレーバーを酵母の水性分散液に添加することによって調製される。サッカリドは酵母細胞体の表面に付着する。次に得られたカプセルを噴霧乾燥させ、この噴霧乾燥された粉末を食品の風味付けに使用する。
【0006】
予備調製工程を回避し且つ簡素化されたプロセスを開発して、時間と費用を削減することが有利である。更に、カプセルを食品に導入する前の乾燥も省くことができ、従って収量の損失が回避される。
【0007】
従って、食用組成物において活性成分を直接カプセル化するための方法を提供し、その結果、予備調製工程を回避することによって1つ以上のこれらの課題を扱うことが望ましい。
【0008】
本発明の概要
本発明は、食用組成物中の又はその上のカプセル化された活性成分の製造方法であって、
a)食用組成物に
i)活性成分;及び別々に
ii)空の微生物細胞を含むカプセル化材
を添加する工程;
b)任意に、活性成分を確実に液体状態にするために食用組成物に添加する前に、その間に及び/又はその後に活性成分を加熱する工程;
c)工程a)で食用組成物に活性成分及びカプセル化材を添加した後に、液体活性成分がカプセル化材内でカプセル化されることができるように食用組成物中の又はその上のカプセル化材と液体活性成分とを緊密に接触させる工程を含む、前記製造方法を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、上記の方法によって得られるカプセル化された活性成分を含有する食品を提供する。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明者らは驚くことに、予備調製工程を全く必要としない、微生物においてカプセル化された活性成分を製造するための新規な簡素化された方法を見出した。本方法はカプセル化の技術に意外な貢献をする。なぜなら、当該技術分野で公知のこと、即ち、カプセルは、食物に導入する前に活性成分で予備充填されるべきであることを考慮して、食用組成物中で又はその上で混合される時に活性成分がカプセル化材中に効果的に拡散し得ることが予想されなかったからである。実際に、かかる組成物は、水の特性とは異なる特性を有する多様な成分を含有しており、その際、カプセル化は全ての先行技術文献において行われている。特に組成物中の疎水性成分の存在は、風味付け成分のカプセル化材中に移動する能力を変化させることが予想される。
【0011】
本方法の第1工程において、活性成分とカプセル化材は別々に食用組成物に添加される。本発明の文脈において、「別々に添加する」とは、カプセル化材を活性成分で予備充填しないことを意味する。
【0012】
活性成分は、液体形態の任意の食用活性成分であってよい。これは周囲温度及び圧力(25℃、1気圧)で固体形態であってもよい。このような場合、該活性成分は、確実にカプセル化材と完全に混合できるように溶融させなければならない。従って、本方法の工程b)は、活性成分が周囲温度で固体形態である時に必須である。溶融は、好適な方式で、例えば、任意の標準的な装置を使用する加熱によって行ってよい。溶融工程は、活性成分がカプセル化を達成するのに十分な時間にわたって溶融状態で維持される限り、該活性成分を食用組成物に添加する前に、その間に又はその後に行ってよい。活性成分は、医薬品、ビタミン類及び食品添加物、例えば、矯味増強剤、アロマ又はフレーバーなどの広範の活性物内で選択してよい。
【0013】
本発明の好ましい態様において、活性成分は、少なくとも1.5又は更に好ましくは少なくとも2のlogP値によって特徴付けられる。本発明の目的のために、「logP」はEPI suite v3.10; 2000米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)を使用して得られる計算されたlogPを意味する。
【0014】
好ましくは、活性成分は風味付け成分である。本発明の目的のために、「風味付け成分」とは、快楽的効果を付与するために風味付け調製物又は組成物中で使用される化合物を意味する。言い換えれば、風味付け成分であると考えられる、かかる成分は、積極的な又は快適な方法で組成物の味覚を付与又は改変できるものであるとして当業者によって認識されなければならない。
【0015】
存在し得る風味付け成分の性質及び種類は、ここでより詳細な説明を保証せず、それはいずれにせよ網羅できず、当業者は、その一般的な知識に基づき且つ意図される使用又は用途及び所望の官能効果に従って、それらを選択することができる。一般的には、これらの風味付け成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄を含む複素環式化合物及び精油にわたる化学種に属し、且つ天然又は合成由来であってよい。これらの風味付け成分の多くは、参考文献、例えばS.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、ニュージャージー、米国、又はそのより最近の版、又は同様の種類の著作、並びにフレーバー分野における豊富な特許文献に列記されている。風味付け成分は、様々なタイプの風味付け化合物を制御して放出することが知られた化合物であってもよいとも理解される。
【0016】
活性成分は、任意に異なる活性を有する、単独の化合物又は化合物の混合物であってよい。任意に食品添加物又は医薬品などの他の活性物と一緒になった風味付け化合物の混合物を使用することが特に有利である。
【0017】
カプセル化材は空の微生物細胞を含む。任意の空の微生物細胞を使用できるが、酵母細胞が特に評価されている。「空の微生物細胞」とは、細胞内部の内容物が除去されて、フレーバーが本方法の前に該微生物中でカプセル化されていないことを意味する。
【0018】
カプセル化材は微生物細胞のみからなってよい。あるいは、微生物細胞は、例えば、マトリックス成分などの任意の追加の成分と組み合わされてよい。マトリックス成分は、好ましくは、ポリマーマトリックスを形成するのに適している。構造的に異なるマトリックス形成化合物又は組成物は数多く存在し、その幾つかが以下に記載されている。
【0019】
マトリックス成分は、例えば、蛋白質又は炭水化物で形成されるか又はそれらを含んでよい。液体活性成分のカプセル化のための微生細胞に関係し得る任意のマトリックス成分を使用してよい。好適なマトリックス成分の性質は、ここでより詳細に記載されず、いずれにせよ網羅されないが、当業者は、その一般的な知見に基づいて又は微生物における活性成分のカプセル化に関連する文献の教示に基づいて、適したマトリックス成分を選択することができる。
【0020】
微生物は、活性成分のその浸透性を高めるために、又は微生物の時として望ましくない臭い又は香りを除去するために、例えば、当業者に公知の任意の好適な技術を使用して、予め処理されてよい。
【0021】
食用組成物は、単独で又は他の成分と組み合わせて、通常の加工を通して食品に転換することが意図されている成分の液体又は固体の混合物として定義される。水自体は、従って、本発明の目的のための食用組成物として見なされていない。食用組成物として見なされるために、水は更なる成分と混合されなければならない。本発明の好ましい態様において、活性成分とカプセル化材はシロップ又はバッターに導入される。シロップ又はバッターは、好ましくは食品のコーティング部分、更に好ましくはチューインガムの、押出される製品の又は油で揚げることが意図される製品のコーティング部分、最も好ましくはチューインガム、シリアル製品又はフレンチフライのコーティング部分を形成するために使用される。別の好ましい実施態様において、活性成分とカプセル化材はドウに導入される。ドウは、好ましくは焼いた又は油で揚げた製品に、特にフリッター又は風味のある製品に使用することが意図される。
【0022】
任意である、本方法の第2工程において、活性成分が確実に液体状態になるように活性成分を加熱する。既に液体の活性成分の場合、この工程は必要ではないが、カプセル化の速度を高めるために、いずれにしても混合物を加熱することが望ましい。
【0023】
活性成分が周囲温度で固体形態である場合、カプセル化材の存在下で液体状態であるように、かかる成分をその融点を上回って加熱することは、該成分が微生物中に拡散し且つカプセル化が起こるために必要である。工程b)は、工程a)の前に及び/又はその間に、工程a)と工程c)の間に又は更に工程c)と同時に行ってよい。
【0024】
本方法の第3工程において、液体形態の活性成分は、食用組成物中で又はその上でカプセル化材と緊密に接触している。好ましくは、液体形態の活性成分は、食用組成物中のカプセル化材と緊密に接触しており、その場合、本発明の方法は食用組成物中にカプセル化された活性成分を製造するための方法である。
【0025】
緊密な接触は、工程a)で、任意に加熱後又はその間に得られた組成物を、任意の当該技術分野で公知の方法を使用して、特に低剪断混合、高剪断混合又は混合物の均質化、好ましくは高剪断混合又は混合物の均質化によって混合することによって達成される。液体活性成分とカプセル化材との間の緊密な接触は、液体活性成分が微生物中で壁を通して拡散することを可能にし、従ってカプセル化が行われる。
【0026】
緊密な接触及び/又は混合物の加熱は、最終製品の必要な製造工程の一部、例えば、押出し、焼成及び/又は油揚げとして行ってよい。
【0027】
カプセル化の速度は極めて温度に依存する。混合物を40℃の温度に加熱した時、活性成分は1〜2時間の間にカプセル化される。これを約30℃の温度で実行した場合、カプセル化は約4時間の間に起こる。20℃でのカプセル化は、完了するのに約16時間かかる。40℃を超える混合物の加熱を含む方法は、従って特に有利である。
【0028】
得られるカプセル化された成分は、従って食品に又は食品の一部に直接導入される。本発明の対象でもある、かかる食品は、次いで当業者に公知の慣用法に従って製造される。従って、最終的な食品の製造工程は、本願明細書では更に詳細に記載されていない。いかなる場合にも、これらの工程は、カプセル化のプロセスに明確な影響を与えず、該プロセスはどんな種類の風味付けられた製品ベースでも行うことができる。
【0029】
好ましい目的の用途は、本発明の方法に従って製造された風味付けられたシロップで被覆されたチューインガムである。他の好ましい最終製品は、本発明の方法に従って製造されたドウを含有する、押出された、焼成された及び油揚げされた食品、例えば、フリッター、又は本発明の方法に従って製造されたシロップ又はバッターで被覆された食品を含む。本方法は特に、風味付け用途のためのフレーバーのカプセル化について評価されている。
【0030】
本発明の方法によってカプセル化された活性成分は、最少量の水の存在などの予め定められた要因の影響下で制御された方法で食品から放出される。これらの要因は、カプセル化材の厳密な性質に依存し、特に、この種の微生物及び使用される任意のマトリックスの性質に依存する。カプセル化材の厳密な性質は、食品が消費される条件に基づいて、当業者によって決定される。これらの放出条件は当業者に公知であり、従って本願明細書には更に詳細に開示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は実施例1〜4のコーティングシロップ中の全残存フレーバー充填量の分析測定の結果を示すグラフである。
【図2】図2は実施例5のチューインガムの官能評価の結果を示すグラフである。
【図3】図3は実施例7の乾燥形態のシリアルの官能評価の結果を示すグラフである。
【図4】図4は半脱脂乳と混合された実施例7のシリアルの官能評価の結果を示すグラフである。
【図5】図5は実施例9のフレンチフライの官能評価の結果を示すグラフである。
【0032】
実施例
本発明はここで、以下の実施例によって更に詳細に記載される。
【0033】
実施例1
コーティングシロップ中でカプセル化されたバナナフレーバーの製造
コーティングシロップ(コーティングA)を、以下の表に列記された成分を用いて、示された量で製造した。
【表1】

【0034】
上に列記された成分をビーカー中で混合してスラリーを形成した。次に、スラリーを高剪断ミキサー(IKA T18 basic Ultra Turrax(登録商標))を用いて20000rpmにて30秒間40℃で混合し、次いで慣用の撹拌機を用いて40℃で2時間撹拌すると1kgのコーティングシロップが得られた。
【0035】
対照試料(コーティングB)は、省略されたカプセル化材を除いて、上記の技術を用いて、同量の同じ成分で製造した。
【0036】
実施例2
コーティングシロップ中でカプセル化されたアップルフレーバーの製造
コーティングシロップ(コーティングC)を、以下の表に列記された成分を用いて、示された量で製造した。
【表2】

【0037】
上に列記された成分をビーカー中で混合してスラリーを形成した。次に、スラリーを高剪断ミキサー(IKA T18 basic Ultra Turrax(登録商標))を用いて20000rpmにて30秒間40℃で混合し、次いで慣用の撹拌機を用いて40℃で2時間撹拌すると1kgのコーティングシロップが得られた。
【0038】
対照試料(コーティングD)は、省略されたカプセル化材を除いて、上記の技術を用いて、同量の同じ成分で製造した。
【0039】
実施例3
コーティングシロップ中でカプセル化されたミントフレーバーの製造
コーティングシロップ(コーティングE)を、以下の表に列記された成分を用いて、示された量で製造した。
【表3】

【0040】
上に列記された成分をビーカー中で混合してスラリーを形成した。次に、スラリーを高剪断ミキサー(IKA T18 basic Ultra Turrax(登録商標))を用いて20000rpmにて30秒間40℃で混合し、次いで慣用の撹拌機を用いて40℃で2時間撹拌すると1kgのコーティングシロップが得られた。
【0041】
対照試料(コーティングF)は、省略されたカプセル化材を除いて、上記の技術を用いて、同量の同じ成分で製造した。
【0042】
実施例4
コーティングシロップ中でカプセル化されたグレープフルーツフレーバーの製造
コーティングシロップ(コーティングG)を、以下の表に列記された成分を用いて、示された量で製造した。
【表4】

【0043】
上に列記された成分をビーカー中で混合してスラリーを形成した。次に、スラリーを高剪断ミキサー(IKA T18 basic Ultra Turrax(登録商標))を用いて20000rpmにて30秒間40℃で混合し、次いで慣用の撹拌機を用いて40℃で2時間撹拌すると1kgのコーティングシロップが得られた。
【0044】
対照試料(コーティングH)は、省略されたカプセル化材を除いて、上記の技術を用いて、同量の同じ成分で製造した。
【0045】
実施例5
カプセル化されたフレーバーを含有するシロップで被覆されたチューインガムの製造及び分析
製造
実施例1〜4の新たに製造されたコーティングシロップ(コーティングA〜H)を、それぞれ、チューインガムの質量が約40%増加するまで、80〜100サイクルで、工業用コーターにおいて従来のペレット状チューインガムを被覆するために使用した。従って、チューインガムA〜Hが得られた。
【0046】
分析測定
分析測定を、チューインガムA〜Hそれぞれのコーティング中の全フレーバー充填量を測定するために実施した。この結果を図1に示す。チューインガムA、C、E及びG(活性成分でカプセル化された試験試料)のコーティング中の全フレーバー量は、チューインガムB、D、F及びH(任意のフレーバーを有する対照試料)のコーティング中の量よりもかなり多く、これは試験されたフレーバーの全てがうまくカプセル化されて、コーティングシロップの製造の間及びチューインガムの連続コーティングの間のフレーバーの損失が効果的に回避されたことを示す。
【0047】
官能的分析
チューインガムA及びBは、盲検法に基づく12人の訓練されたパネリストのパネルに提出された。彼らは1〜5の範囲のスケールで両方の試料のフレーバーの強さを評価することが求められ、その際、1は弱いフレーバーであり、5は強いフレーバーである。
【0048】
この結果を図2に示す。カプセル化されたフレーバーを含有するチューインガムAにおいて、任意のフレーバーを含有するチューインガムBよりも遥かに強いバナナフレーバーが知覚され、従って、これはカプセル化の効果が、本発明の被覆されたチューインガムにおいて消費者によってはっきりと知覚可能であることを示す。
【0049】
実施例6
コーティングシロップ中でカプセル化されたベリーフレーバーの製造
コーティングシロップ(コーティングI)を、以下の表に列記された成分を用いて、示された量で製造した。
【表5】

【0050】
水及び砂糖をビーカー内で混合して溶液を形成した。この溶液に液体フレーバー及びカプセル化材を添加した。次に、得られたスラリーを高剪断ミキサー(IKA T18 basic Ultra Turrax(登録商標))を用いて20000rpmにて30秒間40℃で混合し、次いで慣用の撹拌機を用いて40℃で2時間撹拌すると99.75gのコーティングシロップが得られた。
【0051】
対照試料(コーティングJ)は、省略されたカプセル化材を除いて、コーティングJについて上記の技術を用いて、同量の同じ成分で製造した。
【0052】
実施例7
カプセル化されたベリーフレーバーを含有する砂糖シロップで被覆されたシリアルの製造及び官能的分析
製造
実施例6の新たに製造されたコーティングシロップ(コーティングI及びJ)を、それぞれ使用して、60gのシロップを300gのシリアルに15分間にわたって添加することによって及びパンコーター内で25℃〜35℃の温度を得るためにコーティングパンをヒートガンで外側から加熱することによって、パンコーター内で通常のコーンフレークシリアルを被覆した。
【0053】
官能的分析
コーティングI及びJで被覆されたシリアルは、盲検法に基づく24人の訓練されたパネリストのパネルに提出された。彼らは1〜10の範囲のスケールで乾燥シリアルとして及び半脱脂乳中の両方の試料のフレーバーの強さを評価することが求められ、その際、1は弱いフレーバーであり、10は強いフレーバーである。
【0054】
この結果を図3及び4に示す。ベリーフレーバーは、カプセル化されたフレーバーを含有するコーティングIで被覆されたシリアルにおいて、任意のフレーバーを含有するコーティングJで被覆されたシリアルよりも遥かに強く知覚され、従って、これはカプセル化の効果が、本発明の被覆されたシリアルにおいて消費者によってはっきりと知覚可能であることを示す。
【0055】
実施例8
コーティングバッター中でカプセル化されたガーリックフレーバーの製造
バッター(コーティングK)を、以下の表に列記された成分を用いて、示された量で製造した。
【表6】

【0056】
上で列記された成分を、加熱系、温度計及び機械攪拌器(IKA Labortechnik RW20)を備えた三つ口丸底フラスコで混合してスラリーを形成した。スラリーを40℃に加熱し、撹拌を2時間継続した。対照試料(コーティングL)は、省略されたカプセル化材を除いて、上記の技術を用いて、同量の同じ成分で製造した。
【0057】
実施例9
カプセル化されたガーリックフレーバーを含有するバッターで被覆されたフレンチフライの製造及び官能的分析
製造
フレンチフライ(Mc Cain Tradition French Fries)を、コーティングK及びLを用いて被覆した。乾燥後、それらを通常のフライパンで190℃で1分間油揚げし、次いで2日間冷凍した。消費する直前にフレンチフライを再度180℃で3分30秒間油揚げした。
【0058】
官能的分析
コーティングK及びLで被覆されたフレンチフライは、盲検法に基づく9人の訓練されたパネリストのパネルに提出された。彼らは1〜10の範囲のスケールで両方の試料のフレーバーの強さを評価することが求められ、その際、1は弱いフレーバーであり、10は強いフレーバーである。
【0059】
この結果を図5に示す。フレーバーは、カプセル化されたフレーバーを含有するコーティングKで被覆されたフレンチフライにおいて、任意のフレーバーを含有するコーティングLで被覆されたフレンチフライよりも強く知覚され、従って、これはカプセル化の効果が、本発明の被覆されたフレンチフライにおいて消費者によってはっきりと知覚可能であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用組成物中の又はその上のカプセル化された活性成分の製造方法であって、
a)食用組成物に
i)活性成分;及び別々に
ii)空の微生物細胞を含むカプセル化材;
を添加する工程;
b)任意に、活性成分を確実に液体状態にするために食用組成物に添加する前に、その間に及び/又はその後に活性成分を加熱する工程;
c)工程a)で食用組成物に活性成分及びカプセル化材を添加した後に、液体活性成分がカプセル化材内でカプセル化されることができるように食用組成物中の又はその上のカプセル化材と液体活性成分とを緊密に接触させる工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
食用組成物がコーティングシロップ又はバッターであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
食用組成物がドウであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
食用組成物が押出し可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カプセル化材が空の酵母細胞を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
空の細胞がマトリックス成分と組み合わされることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
活性成分がフレーバーであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
活性成分のlogPが少なくとも1.5であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程b)が液体活性成分及びカプセル化成分を少なくとも40℃の温度に加熱することを更に含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られたカプセル化成分を含有する食品。
【請求項11】
チューインガムの形又は油揚げした、焼成した又は押出した製品の形であることを特徴とする、請求項10に記載の食品。
【請求項12】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法によって得られたシロップ又はバッターで被覆されたチューインガムの形又は油揚げした、焼成した又は押出した製品の形であることを特徴とする、請求項11に記載の食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−531923(P2012−531923A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519082(P2012−519082)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052682
【国際公開番号】WO2011/001318
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】