説明

活性炭製造装置及び活性炭製造方法

【課題】広く薄く分布するバイオマスを原料として多岐にわたって利用できる多品種の活性炭をエネルギー効率よく、かつ生産効率よく製造できる活性炭製造装置を提供する。
【解決手段】活性炭製造装置1は、原料を連続的に投入するためのホッパ2aと、ホッパ2aから連続的に排出される原料を連続的に移送するスクリューフィーダー2bと、スクリューフィーダー2bと接続されスクリューフィーダー2bから連続的に移送されてくる原料を受け入れる連続炭化炉3と、連続炭化炉3から排出される炭化物を収納する炭化物収容器4と、連続炭化炉3と炭化物収容器4とを連結する炭化炉後部フットとダンパー5aとを具備した第1連結部5と、炭化物を賦活する非連続賦活炉6と、炭化物収容器4と非連続賦活炉6とを連結するとともに炭化物収容器4に収容されている炭化物を非連続賦活炉6に移送するスクリューフィーダー7aを具備する第2連結部7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭の製造装置に関し、広く薄く分布する多種のバイオマスを原料として、異なる性能を持つ多種の活性炭を製造できるエネルギー効率のよい活性炭製造装置及び活性炭製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
活性炭の吸着性能は、活性炭の持つ比表面積や細孔容積によって大きく左右される。そして、比表面積、細孔容積は賦活反応の進行と共に変化する。高比表面積または高細孔容積の活性炭を製造する為には賦活温度を高くする、賦活ガス濃度を高くする、または、賦活時間を長くする、などの方法が採られる。温度や濃度での対応は装置的もしくは物理的に限界が有るため、時間での対応が一般的である。吸着性能の高い活性炭の工業的製造は、大規模な連続式賦活装置にて長時間賦活を行う方法が採られる。この為、少品種多量生産にならざるを得ない。
【0003】
バイオマスからの活性炭の製造は炭化工程と炭化物を賦活する賦活工程とに分かれる。一般的には炭化をバイオマス発生地で行い、製品炭化物を集積して賦活工程を一括して行う方法が採られる。
炭化工程と賦活工程を同時に加工する方法として、特許文献1乃至4に示す連続式に炭化と賦活を行う活性炭製造装置と、特許文献5に示す非連続式(バッチ式)に炭化と賦活を行う活性炭製造装置とが提案されている。
【特許文献1】特開2000-154012号公報
【特許文献2】特開2004-034003号公報
【特許文献3】特開2001-220120号公報
【特許文献4】特許3322338号公報
【特許文献5】特開2005-067972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜4に示す従来の連続賦活方法にて高品位活性炭を製造するには、長時間の賦活反応を得る為に、非常に大きな規模の賦活装置が必要であった。こうした大規模装置において、性能の異なる活性炭を製造する為の賦活条件の変更は、炭化工程も含めた装置内の原料、製品を全て取り出した後に行う必要が有るため、生産面、エネルギー面でロスが多いという問題がある。このため、多品種生産には不向きであった。
【0005】
特許文献1及び2は、同一キルン内にて炭化及び賦活を行う連続生産装置であり、特許文献3および4は、連続式の炭化装置と連続式の賦活装置が連結されている連続生産装置である。いずれの装置も賦活反応時間の操作範囲が狭く、製品活性炭の種類を多くすることが出来ない。さらに、特許文献1は賦活ガス濃度の調整ができない為、活性炭品質にバラツキを生じるという問題があり、特許文献4は炭化及び賦活工程で発生する可燃ガスが有効に利用されていないという問題がある。
【0006】
一方、特許文献5は同一熱処理炉にて炭化工程を行い、その後賦活工程を行う、という非連続方式であり、炭化時間と賦活時間との合計時間が1バッチの処理時間となる為、生産性が良くない。そのうえ、炭化工程で発生する可燃性ガスである乾留ガスを有効利用できず、エネルギー面でも不利であるという問題がある。
【0007】
また、炭化工程を別に行い、バッチ式賦活炉にて賦活工程のみを行う方式では、少量多品種生産に好適ではあるが、炭化工程で発生する可燃性ガスを有効利用できず、好ましくない。バッチ式賦活炉において、炭化物の賦活の終了後、製品活性炭の取り出しは、賦活炉そのものの温度を冷却した後に行われる場合が多い。このような方法では炉の冷却時間、次加工の際の再昇温時間などにより生産性が悪くなり、また昇降温によるエネルギーロスが生じる。バッチ式賦活炉は、個々のバッチごとの条件変更が容易であり多品種加工には有利であるが、熱効率及び生産効率の点で問題があった。
【0008】
更に、国内で広く分布する間伐材、竹、廃木材、及び、その他バイオマスは全て活性炭の原料になるが、現在のような活性炭生産方式および装置では製造効率が非常に悪い。この為、国内では未利用のバイオマスを利用しての活性炭製造は盛んではない。年間10万トン以上の活性炭が国内で使用されているが、大部分が輸入品である。日本国内に広く薄く分布する多種のバイオマスを原料として、異なる性能を持つ種々の活性炭を製造できるエネルギー効率の良い小規模な活性炭製造装置が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は広く薄く分布するバイオマスを原料として多岐にわたって利用できる多品種の活性炭をエネルギー効率よく、かつ生産効率よく製造できる活性炭製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の活性炭製造装置は、図1に示す通り、連続式に原料を炭化する連続炭化炉と、該連続炭化炉から排出される炭化物を収納する炭化物収納器と、前記連続炭化炉と前記炭化物収容器とを連結する第1連結部と、非連続式に炭化物を賦活する非連続賦活炉と、前記炭化物収納器と前記非連続賦活炉とを連結するとともに、前記炭化物収容器に収納している炭化物を前記非連続賦活炉へ移送する手段を具備する第2連結部と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の活性炭製造装置では、連続炭化炉と炭化物収納器と非連続賦活炉が連結しており、炭化物を連続的に生産しつつ、該炭化物を一時的に炭化物収納器に保管し、該炭化物をバッチ毎に賦活条件を変更できる非連続賦活炉に供給して賦活することが特徴である。
【0011】
請求項2に記載の活性炭製造装置は、請求項1の活性炭製造装置において、前記非連続賦活炉が、該非連続賦活炉を冷却することなく、前記賦活物を排出できる排出手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の活性炭製造装置は、前記連続炭化炉から発生する乾留ガスと賦活炉から発生する賦活生成ガスとを主燃料とする熱風発生炉を具備し、該熱風発生炉にて発生した熱風を、炭化炉及び/又は賦活炉の熱源とすることを特徴とする。図1では熱風を連続炭化炉及び非連続賦活炉に直列に供給する例を示すが、並列供給でもよい。熱風は炭化炉及び/又は賦活炉への一方のみへの供給でもよい。
【0013】
請求項4に記載の活性炭製造方法は、連続式に原料を炭化する連続炭化ステップと、該連続炭化ステップで製造された炭化物を収納する炭化物収納ステップと、前記収容された炭化物を移送し、非連続式に賦活する非連続賦活ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の活性炭製造方法において、前記非連続賦活ステップが、非連続賦活炉を冷却することなく、前記賦活物を排出する排出ステップを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の活性炭製造方法において、前記連続炭化ステップにて発生する乾留ガスと、前記非連続賦活ステップで発生する賦活生成ガスとを主燃料として熱風を発生する熱風発生ステップと、該熱風発生ステップにて発生した熱風を、前記連続炭化ステップ及び/又は前記非連続賦活ステップでの熱源として供給する熱風供給ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、活性炭原料である炭化物を連続生産しつつ、この炭化物を連続炭化炉と非連続賦活炉とを間接的に連結している炭化物収納器に一時保管し、この炭化物収納器から炭化物をバッチ毎に条件変更が可能な非連続賦活炉に供給し賦活加工をするので、連続的に炭化加工しつつ多品種の活性炭を単一装置で製造することができる。
【0017】
また、性能の異なる活性炭を製造する目的で賦活条件を変更したい場合、炭化工程は連続で加工を続け炭化物を炭化物収納器に移送し続けながらも、賦活工程は連続方式でないので、バッチ毎に賦活時間、賦活温度、賦活用酸化性ガス種、などの変更が可能となる。賦活時間を変更する場合は炭化炉への原料供給速度を変更することで、炭化物収納器の容量を超過することなく、また炭化物が不足することなく加工を続けることが可能である。異なる品質の活性炭製造が必要な場合は、賦活工程を開始する前に要求される賦活条件を設定して加工を開始すればよいので、切換が簡単である。
【0018】
請求項2の発明によれば、炭化工程は連続で加工を続け炭化物を炭化物収納器に移送し続けながらも、賦活工程が終了した時点で賦活物は非連続賦活炉を冷却することなく、非連続賦活炉から排出され、また、賦活炉に前記炭化物収納器から新たな炭化物を供給するので、非連続賦活方法でありながら賦活工程の終了から賦活工程の開始の間に降温、昇温する必要がない。したがって、昇温降温に時間とエネルギーを費やすことなく、次バッチの賦活加工が開始できるため、非連続式賦活炉でありながら、エネルギーロスが少なく、高い生産性を維持できる。したがって、連続炭化炉の生産性を阻害することなく、さまざまの条件で賦活加工が可能であり、多品種の活性炭の製造を実現できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、連続式炭化炉である為、ほぼ定量的に発生する乾留ガスと、バッチ賦活炉から発生する賦活生成ガスとを熱風発生炉の主燃料とし、発生する熱風を炭化炉および賦活炉の熱源とし、また、賦活に使用する賦活ガスの予熱熱源とすることができるため、エネルギー効率の優れた活性炭製造装置となる。
【0020】
請求項4〜6によれば、それぞれ、前記した請求項1〜3の効果と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。図2に示す通り、実施形態の活性炭製造装置1は、原料を連続的に投入するためのホッパ2aと、ホッパ2aから連続的に排出される原料を連続的に移送するスクリューフィーダー2bと、スクリューフィーダー2bと接続されスクリューフィーダー2bから連続的に移送されてくる原料を受け入れる連続炭化炉3と、連続炭化炉3から排出される炭化物を収納する炭化物収容器4と、連続炭化炉3と炭化物収容器4とを連結する炭化炉後部フットとダンパー5aとを備える第1連結部5と、炭化物を賦活する非連続賦活炉6と、炭化物収容器4と非連続賦活炉6とを連結するとともに炭化物収容器4に収容されている炭化物を非連続賦活炉6に移送するスクリューフィーダー7aを具備する第2連結部7と、を備えている。また、非連続賦活炉6は、炉の温度を冷却することなく、賦活物を排出できる排出手段を備えている。この排出手段は、排出用案内羽根を賦活炉本体62の内壁に具備する構成、排出用スクリューを賦活炉本体62の出口部分に装備する構成、若しくは賦活炉本体62を傾斜させる構成などがある。本実施形態では排出手段としての排出用の案内羽根8を賦活炉本体62の後部(出口)内壁に備えている。さらに、連続炭化炉3から発生する乾留ガスと非連続賦活炉6から発生する賦活生成ガスとを主燃料とし、熱風を発生させて、連続炭化炉3及び非連続賦活炉6の熱源とする熱風発生炉9と、を備えている。以下、詳細に説明する。
【0022】
連続炭化炉3は、原料である被処理物を炭化させる処理が行われ軸方向が横方向(例えば、水平方向)に設定された円筒体を有する炭化炉本体30と、炭化炉本体30の外側領域に同軸状に形成され炭化炉本体30の円筒体の長さ方向の大部分を覆い炭化炉本体30の円筒体より大径の円筒体を有し熱風により炭化炉本体30を加熱する炭化炉加熱室31と、炭化炉加熱室31の内部の熱風を外部に排出する排気管32と、を備えている。また、炭化炉本体30は、モーター、ギア、チェーンにより構成される炭化炉回転手段33により回転するように設定されている。炭化炉本体30内壁には攪拌羽根(図示略)が備えられており、原料は撹拌されることにより均一に加熱されるように設定されている。撹拌羽根(図示略)の傾斜により原料は撹拌されるごとに炭化炉本体30の入口から炭化炉本体30の後部に向かって移動するように設定されている。炭化炉本体30の入口から出口に亘り内壁全般に撹拌羽根(図示略)が配設される。炭化炉本体30の回転速度を炭化炉回転手段33により調整することにより被処理物の炭化炉内滞留時間が設定できる。製造された炭化物は第1連結部5を経て炭化物収容器4に貯蔵されるように設定されている。連続炭化炉3内の工程は連続的に行われる。炭化炉加熱室31は円柱状のパイプである炭化炉本体30の外側を同心円状に覆う空間を形成している。熱風がその空間を通り抜ける間に炭化炉本体30を加熱及び保温するように設定されている。炭化炉本体30の円筒体の外壁と、加熱室31の円筒体の端部との間はシールされていて、ここからの熱風の漏れを防いでいる。炭化物の原料は炭化炉本体30の内部を炭化炉回転手段33の回転と撹拌羽根(図示略)によって順次炭化炉本体30後部に移動してゆくように設定されている。炭化炉本体30前部から後部に移動する間に炭化物の原料は蒸し焼きされ炭化物となる。連続炭化炉3と炭化物収納器4は、通常、垂直の関係になり、連続炭化炉3から炭化物収容器4へ排出される炭化物を移送する手段はあえて必要なく、自然落下でよい。ただし、必要により、回転羽根等の移動手段を設けても何等問題ない。
【0023】
非連続賦活炉6は、炭化物の賦活を行う部分であり、賦活炉前部フット60と、軸方向が横方向(例えば、水平方向)に設定された円筒体を有する賦活炉加熱室61と、賦活炉加熱室61の内側領域に同軸状に形成された円筒体であって、その長さ方向の大部分が賦活炉加熱室61で覆われ、賦活炉加熱室61の円筒体より小径の円筒体を有し賦活炉加熱室61の熱風により加熱される賦活炉本体62と、賦活炉後部フット63と、を備えている。賦活炉本体62はモーター、ギア、チェーンにより構成される賦活炉回転手段64により回転するようになっている。炭化物収容器4に収納された炭化物は第2連結部7によって賦活炉本体62に供給される。賦活炉本体62への炭化物の供給量は、スクリューフィーダー7aの回転速度と回転時間によって設定できる。設定量の炭化物が賦活炉本体62に供給された時点で、スクリューフィーダー7aの回転は停止される。賦活炉本体62内壁には攪拌羽根(図示略)が備えられ、攪拌羽根(図示略)によって炭化物が撹拌されることにより、賦活が均一に行われる。攪拌羽根(図示略)は賦活炉本体62では炭化物が存在する部分に装備され、賦活炉本体62内壁全般に撹拌羽根(図示略)が存在するように、出口の排出手段である案内羽根8のところまで装備されている。加工最中は、処理物は賦活炉本体62の入口方向へ押しやられる力を受け、若干、入口部に移動するように設定されている。一方、排出時は、加工最中とは賦活炉本体62の回転が逆の為、撹拌羽根(図示略)の角度は賦活炉本体62内部の処理物を入口部から出口部に移行させる角度を持つように設定されている。案内羽根8は撹拌羽根(図示略)よりも出口側に配置される。加工最中の賦活炉本体62の回転方向では案内羽根8は処理物を内側に押し戻す角度に設定されている。炭化炉3の加熱室31と同様に、賦活炉加熱室61は賦活炉本体62の外側に同心円状の空間を形成しており、熱風はその空間を通り抜ける。賦活炉本体62の円筒体の外壁と、賦活炉加熱室61の円筒体の端部との間はシールされていて、ここからの熱風の漏れを防いでいる。
【0024】
賦活加工時間の終了時には、賦活炉本体62を冷却することなく賦活炉本体62の回転方向を逆にすることにより案内羽根8により賦活物は賦活炉本体62から排出されるように設定されている。賦活炉後部フット63に冷却装置10が接続され、排出された賦活物は冷却される。賦活ガス注入管11が賦活炉後部フット63を経由して賦活炉本体62内に配管されている。これにより、賦活炉本体62に対して、設定量の賦活ガスが賦活ガス注入管11を経由して、定量的に送られる。賦活ガスとしては水蒸気、二酸化炭素、酸素、空気、若しくはそれらの2種類以上の混合ガスなどが使用できる。
【0025】
第1連結部5と熱風発生炉9とは、乾留ガス移送管12を介して接続され、炭化炉本体30で発生する乾留ガスなどは、第1連結部5、乾留ガス移送管12を経由して熱風発生炉9に送られるように設定されている。賦活炉前部フット60と熱風発生炉9とは、賦活生成ガス移送管13を介して接続され、賦活反応によって生じる、一酸化炭素や水素ガスを含む生成ガスは、賦活生成ガス移送管13を経由して、熱風発生炉9に送られるように設定されている。
【0026】
熱風発生炉9内は、前記供給される乾留ガス及び賦活生成ガスを完全燃焼させるものであり、熱風発生炉9内のガス温度は、補助バーナー92と燃焼用空気注入管93から注入される空気量によって調整される。熱風発生炉9と賦活炉加熱室61とは、熱風配管14を介して接続され、熱風発生炉9で発生した熱風が熱風配管14を経由して賦活炉加熱室61に送られ、賦活炉本体62の温度を所定温度に保つように構成されている。賦活炉加熱室61と炭化炉加熱室31とは、熱風連結配管15を介して接続され、熱風は賦活炉加熱室61から炭化炉加熱室31へ移動し炭化炉本体30を所定の温度に保つように設定されている。即ち、乾留ガス、賦活ガスは熱風発生炉9の内部で同時に燃焼され、発生した熱風は一つの熱風配管14から賦活炉加熱室61、熱風連結管15、炭化炉加熱室31、排気管32により、熱風出口へと直列に繋がっている。原料・炭化物・賦活物などは、熱風発生炉9から供給される熱風とは直接に接することがない構造である。
【0027】
次に本発明実施形態の活性炭製造装置1による活性炭製造方法を説明する。ホッパ2aに搬入された被処理物はホッパ2aによって炭化炉本体30へ連続的に供給される。炭化炉本体30は炭化炉加熱室31によって加温され、炭化炉本体後部での温度は500〜1,200℃、望ましくは700〜900℃の任意の温度に調節される。炭化炉本体30内部での原料の滞留時間は炭化炉回転手段33の回転数により制御され、20〜600分、望ましくは30〜120分の滞留時間で運転される。炭化炉本体30で製造された炭化物は、第1連結部5を経て、炭化物収容器4に貯蔵される。ここまでの工程は連続的に行われる。
【0028】
炭化物収容器4に収納された炭化物は、第2連結部7に装備されているスクリューフィーダー7aによって、賦活炉本体62に供給される。設定量の炭化物が賦活炉本体62に供給された時点で、スクリューフィーダー7aの回転は停止される。賦活炉本体62は賦活炉加熱室61によって加温され、賦活炉本体62内部の温度は600〜1,500℃、望ましくは800〜1,000℃の任意の温度に調整される。水蒸気、二酸化炭素、空気、酸素、などの賦活ガスの一種類もしくは複数種が賦活ガス注入管11によって賦活炉本体62に供給され、賦活反応が始まる。供給した炭化物に対し均一な賦活を行う為に、賦活炉本体62は賦活炉回転手段64によって回転し、賦活炉本体内壁に具備された撹拌羽根(図示略)が炭化物を撹拌する。賦活時間は20〜2400分、望ましくは40〜600分にて加工される。賦活ガスの種類、賦活ガス供給量、賦活炉本体62内部の温度、賦活時間、などにより製品活性炭の吸着性能を調整することができる。賦活炉本体62において、処理物は加工最中には攪拌羽根(図示略)と案内羽根8により、入口方向へ押しやられる力を受け、若干、入口部に移動するが、その為にできた処理物の傾斜は水平になろうとする自然の力によって修正される。攪拌羽根(図示略)の高さはそれほど高くなく、処理物の量が充分に多く、撹拌羽根(図示略)は処理物によって埋まる形になる。
【0029】
非連続賦活炉6における賦活設定時間が終了すると、処理物の排出処理を行う。このとき、賦活炉本体62の回転方向が逆になるため、撹拌羽根(図示略)が処理物を案内羽根8のところまで移動させるとともに、賦活物の排出手段である案内羽根8は処理物を出口側に押し出し、この案内羽根8により、賦活物は賦活炉後部フット63を経由して冷却装置10に移送される。本実施例では案内羽根を用いたが、いずれの方法でも良い。賦活物が賦活炉本体62から排出された後、新たな炭化物が炭化物収容器4より賦活炉本体62に供給される。賦活条件を変更したい場合は、この時点で変更を加えればよい。
【0030】
炭化炉本体30で発生する乾留ガスなどは、乾留ガス移送管12を経由して熱風発生炉9に送られる。水蒸気を賦活ガスとして用いる場合に賦活反応によって生じる、一酸化炭素及び水素ガスを含む生成ガスは賦活炉本体62から賦活生成ガス移送管13を経由して熱風発生炉9に送られる。
【0031】
乾留ガス及び賦活発生ガスは、熱風発生炉9にて完全燃焼した後、補助バーナー92、あるいは燃焼用空気注入管93から注入する空気量、などにより温度調節された後、熱風配管14を経由して賦活炉加熱室61に送られ、賦活炉本体62の温度を所定温度に保つ。次に熱風は賦活炉加熱室61から熱風連結配管15により炭化炉加熱室31に送られ、炭化炉本体30を所定の温度に保つ。その後、熱風は排気管32より排出される。
【0032】
以上、説明した実施形態によれば、活性炭原料である炭化物を連続生産しつつ、炭化物を連続炭化炉3と非連続賦活炉6とを間接的に連結している炭化物収容器4に一時保管し、炭化物収容器4から炭化物をバッチ毎に条件変更が可能な非連続賦活炉6に供給し賦活加工をするため、連続的に炭化加工しつつ多品種の活性炭を単一装置で製造することができる。
【0033】
連続炭化炉3が連続で加工を続け、炭化物を炭化物収容器4に移送し続けながらも、非連続賦活炉6にて賦活工程が終了した時点で非連続賦活炉6を冷却することなく賦活物を排出し、非連続賦活炉6に炭化物収容器4から新たな炭化物を供給し、非連続賦活炉6の昇温に時間を費やすことなく、非連続賦活炉6における次バッチの賦活加工が開始できるため、非連続式賦活炉でありながらエネルギーロスが少なく、また、生産性が高く、連続炭化炉3にも追従できる賦活加工が可能になる。
【0034】
性能の異なる活性炭を製造する目的で、非連続賦活炉6の賦活条件を変更したい場合、連続炭化炉3は連続で加工を続け炭化物を炭化物収容器4に移送し続けながらも、非連続賦活炉6は連続方式でないので、バッチ毎に賦活時間、賦活温度、賦活用酸化性ガス種などの変更が可能となる。異なる品質の活性炭製造が必要な場合は、非連続賦活炉6での賦活工程を開始する前に、要求される賦活条件を設定して加工を開始すればよいので、条件の設定が容易である。賦活時間を変更する場合は、連続炭化炉3への原料供給速度を変更することで、炭化物収容器4の容量を超過することなく、また炭化物が不足することなく加工を続けることが可能である。
【0035】
また、非連続賦活方法でありながら、賦活工程終了から賦活工程開始の間に降温、昇温する必要がないため、エネルギーロスがなく、かつ、連続炭化炉3の生産性を阻害することなく、さまざまの条件で賦活加工が可能であり、多品種の活性炭の製造を実現できる。
【0036】
連続炭化炉3から発生する時間当りほぼ一定した量の乾留ガスと、非連続賦活炉6から発生する賦活生成ガスは熱風発生炉9に送られ、熱風発生の主燃料として利用される。発生した熱風は賦活炉6、炭化炉3の熱源として使用する。さらに賦活ガスの予熱熱源として利用もできる。本発明による活性炭製造装置によれば、装置規模によるが、活性炭製造に必要な熱エネルギーの一部を、若しくは全てを、製造過程から発生する乾留ガスと賦活生成ガスとを燃焼させることにより得ることができる。
【0037】
次に、本発明の実施例を説明する。以下の実施例では、連続炭化炉3及び非連続賦活炉6として、外熱式ロータリーキルンを使用した。市販木質ペレット(株式会社ツツイ製)を原料として以下の条件で炭化物を製造した。後部の内部温度が850℃に設定された外熱式ロータリーキルンに原料を連続投入し、内部滞留時間を60分維持して炭化物を得た。この炭化物の原料絶乾重量に対する収率は28.9%であった。以下の実施例には全てこの炭化物を使用した。
【実施例1】
【0038】
有効内容量32Literの外熱式ロータリーキルンにキルン有効内容量の30%にあたる9.6Liter(重量4,550g)の炭化物を投入し、内部温度850℃に維持し、回転速度を2回転/分にて、蒸気を毎分12g連続注入しつつ21時間保持して賦活物を得た。この賦活物の活性炭試験方法JIS K1474によるメチレンブルー吸着量は(以下、メチレンブルー吸着量と呼ぶ。)220ml/gであった。
【実施例2】
【0039】
投入炭化物がキルン有効内容量に対し15%である4.8Liter(重量2,275g)であることと、保持時間が13時間であること以外は実施例1と同じ条件で賦活物を得た。この賦活物のメチレンブルー吸着量は220ml/gであった。
【実施例3】
【0040】
投入炭化物がキルン有効内容量に対し3%である0.96Liter(重量455g)であることと、保持時間が4時間であること以外は実施例1と同じ条件で賦活物を得た。この賦活物のメチレンブルー吸着量は220ml/gであった。
【実施例4】
【0041】
実施例2と同じ条件で蒸気供給量を毎分6g、保持時間を17時間に変更して賦活物を得た。この賦活物のメチレンブルー吸着量は220 ml/gであった。
【実施例5】
【0042】
投入炭化物がキルン有効内容量に対し2%である0.64Liter(重量303g)であることと、保持時間が4時間であること以外は実施例4と同じ条件で賦活物を得た。この賦活物のメチレンブルー吸着量は220ml/gであった。
【実施例6】
【0043】
実施例2と同じ条件で保持時間を8時間に変更して賦活物を得た。この賦活物のメチレンブルー吸着量は150ml/gであった。
【実施例7】
【0044】
実施例2と同じ条件で保持時間を3時間に変更して賦活物を得た。この賦活物のメチレンブルー吸着量は70ml/gであった。
【0045】
実施例1,2,3から明らかなように、キルン内の被処理物の量が異なっても賦活時間を調整することにより製品活性炭の吸着性能を同等にすることが出来る。よって性能が同一な製品を、必要に応じたバッチあたりの量にて加工することができる。
【0046】
実施例4、5から明らかなように、実施例1とは異なる供給蒸気量の条件下でかつキルン内の被処理物の量が異なっても賦活時間を調整することにより製品活性炭の吸着性能を同等にすることが出来る。
【0047】
実施例2、6、7から明らかなようにキルン内の被処理物量が一定であれば、賦活時間を調整することにより異なる性能の活性炭を製造することができる。
【0048】
このように本発明の装置によれば、炭化工程を連続で加工しつつ発生する炭化物をいったん炭化物収容器に保留した後、必要量のみを非連続賦活炉に移送して必要な吸着性能に応じた賦活条件で加工することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、熱風を賦活炉加熱室61から炭化炉加熱室31へ直列に供給しているが、熱風発生炉9からの熱風を賦活炉加熱室61と炭化炉加熱室31とに対して並列に供給してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明実施形態の活性炭製造装置1のブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1…活性炭製造装置 2a…ホッパ 2b…スクリューフィーダー 3…連続炭化炉
4…炭化物収容器 5…第1連結部 5a…ダンパー 6…非連続賦活炉
7…第2連結部 7a…スクリューフィーダー 8…案内羽根 9…熱風発生炉
10…冷却装置 11…賦活ガス注入管 12…乾留ガス移送管
13…賦活生成ガス移送管 14…熱風配管 15…熱風連結配管
30…炭化炉本体 31…炭化炉加熱室 32…排気管 33…炭化炉回転手段
60…賦活炉前部フット 61…賦活炉加熱室 62…賦活炉本体
63…賦活炉後部フット 64…賦活炉回転手段 92…補助バーナー
93…空気導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続式に原料を炭化する連続炭化炉と、
該連続炭化炉から排出される炭化物を収納する炭化物収納器と、
前記連続炭化炉と前記炭化物収容器とを連結する第1連結部と、
非連続式に炭化物を賦活する非連続賦活炉と、
前記炭化物収納器と前記非連続賦活炉とを連結するとともに、前記炭化物収容器に収納している炭化物を前記非連続賦活炉へ移送する手段を具備する第2連結部と、
を備えたことを特徴とする活性炭製造装置。
【請求項2】
前記非連続賦活炉が、該非連続賦活炉を冷却することなく、前記賦活物を排出できる排出手段を備えることを特徴とする請求項1の活性炭製造装置。
【請求項3】
前記連続炭化炉から発生する乾留ガスと前記非連続賦活炉から発生する賦活生成ガスとを主燃料とする熱風発生炉を具備し、該熱風発生炉にて発生した熱風を、前記連続炭化炉及び/又は前記非連続賦活炉の熱源とすることを特徴とする請求項1又は2の活性炭製造装置。
【請求項4】
連続式に原料を炭化する連続炭化ステップと、
該連続炭化ステップで製造された炭化物を収納する炭化物収納ステップと、
前記収容された炭化物を移送し、非連続式に賦活する非連続賦活ステップと、
を備えたことを特徴とする活性炭製造方法。
【請求項5】
前記非連続賦活ステップが、非連続賦活炉を冷却することなく、前記賦活物を排出する排出ステップを備えることを特徴とする請求項4の活性炭製造装置。
【請求項6】
前記連続炭化ステップにて発生する乾留ガスと、前記非連続賦活ステップで発生する賦活生成ガスとを主燃料として熱風を発生する熱風発生ステップと、
該熱風発生ステップにて発生した熱風を、前記連続炭化ステップ及び/又は前記非連続賦活ステップでの熱源として供給する熱風供給ステップと、
を備えることを特徴とする請求項4又は5の活性炭製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−13398(P2008−13398A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185942(P2006−185942)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(303043759)有限会社エム・イ−・ティ− (6)
【Fターム(参考)】