活性金属保護アノード用のコンプライアントシール構成物
【解決手段】
本発明の保護付きアノードはイオン的に導電性の保護膜構成を有し、それと本発明のコンプライアントシール構成物と背板とによって効果的に活性金属のアノードがアノードコンパートメントの内部に囲い込まれて居る。この筐体は、活性金属の水性物、周囲の湿気、及び/或は活性金属に腐食的な他の物質を含むアノードコンパートメントの外部の環境との有害な反応を防止する。コンプライアントシール構成物はアノライト、カソライト、電解液中の溶解物及び湿気に対して事実上不浸透性であり、アノードの体積変化に従順であるので、アノード保護構成物と背面との間の物理的連続性が維持可能である。保護付きアノードは、保護付きアノード構成のアレイ、保護付きアノード構成或はアレイを組み込んだ種々の構成を有するバッテリセルに適用可能である。
本発明の保護付きアノードはイオン的に導電性の保護膜構成を有し、それと本発明のコンプライアントシール構成物と背板とによって効果的に活性金属のアノードがアノードコンパートメントの内部に囲い込まれて居る。この筐体は、活性金属の水性物、周囲の湿気、及び/或は活性金属に腐食的な他の物質を含むアノードコンパートメントの外部の環境との有害な反応を防止する。コンプライアントシール構成物はアノライト、カソライト、電解液中の溶解物及び湿気に対して事実上不浸透性であり、アノードの体積変化に従順であるので、アノード保護構成物と背面との間の物理的連続性が維持可能である。保護付きアノードは、保護付きアノード構成のアレイ、保護付きアノード構成或はアレイを組み込んだ種々の構成を有するバッテリセルに適用可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2005年8月9日に出願された米国特許仮出願60/706,886(ELASTOMERIC SEALS FOR PROTECTED ACTIVE METAL ANODES)及び2005年9月2日に出願された米国特許仮出願60/713,668(ADHESIVE SEALS FOR PROTECTED ACTIVE METAL ANODES)に基づいて優先権を主張するものであり、この両者は本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0002】
この発明は一般的には活性金属の電気化学装置に関し、更に詳述すれば、片面及び両面型保護付きアノードと保護付きアノード列と含むコンプライアントシール構成物が組み込まれた保護付きアノード構成、バッテリを例とするそれに関連した電気化学セル構造体及び装置、殊に、活性金属及び/或は空気電池及び活性金属及び/或は海水電池、及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムのような低当量のアルカリ金属は、電池電極部品として特に有利である。リチウムは従来の電池標準としてのニッケルはカドミウムより体積当たり多量のエネルギーを供給する。不幸にして、充電式のリチウム金属バッテリが有意義的に市場を荒らすに至って居ない。
【0004】
充電式リチウム金属バッテリの不成功の原因は主としてセルサイクリングの問題にある。充電と放電のサイクルが繰り返られるに伴い、リチウム金属電極から電解液を通して徐々に樹枝状結晶が成長し、遂には陽電極に接触するに至る。これで内部ショートが起こり、比較的少サイクルの後にバッテリは使用不可能に陥る。このサイクルに於いては、陰電極からのコケ状物がリチウム電極に成長して、バッテリの性能を低下させることもある。
【0005】
電解液内に於けるリチウムの思わしくないサイクリングに関しての行動に対し、リチウムカソードの電解液に面する側を保護層で覆うことも提案されたが、かかる保護層はリチウムイオンを通過させると共に、リチウム電極面と大量の電解液との接触を防がなくてはならない。保護層適用の多くのテクニクは不成功であった。
【0006】
リチウム金属の保護層はリチウム金属とリチウムに接触する電池の電解質内の化合物との間の反応によって元の場所に生成されるとも考えられた。このようなもとの場所の薄膜の大部分は、バッテリの組み立て後の制御下の反応によって生成する。一般に、かかる薄膜は多孔質の形態であり、電解液の一部は露出したリチウム金属面に到達するから、リチウム電極を十分に保護しないことになる。
【0007】
本願出願人の研究所に於ける過去の研究によって、イオン的に高度に導電的な保護膜構成によって活性金属アノードを保護する技術が開発されて居る。これらの保護された活性金属アノード構成とか関連する電気化学電池は出願者の審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894と対応国際特許出願WO 2005/038953及びWO 2005/083829に記載されて居り、これらは活性金属バッテリの技術に於ける大進歩であり、例えば実用的なLi/空気及びLi/水バッテリを可能とするものである。これら保護された活性金属アノードの各種の電池構成への組み込みを容易化及び/或は最適化する適当な密封構成のテクニクが開発されたならば、上記の技術は一層発展することとなろう。
【発明の開示】
【0008】
この発明は, コンプライアントシール構成物とアノード背面と共に効果的に活性金属アノードをアノードコンパートメントの中に囲い込むイオン伝導性の 護膜構成を有する保護付きアノード構成を提供して、この問題に対応するものである。 アノードコンパートメント外部の環境は、水性、周囲の湿気、有機液体電解質(またはカソライトで、これはカソードに接触する電解質のことで、場合によってはカソライトは溶解あるいは懸濁したレドクスアクティブの種類はレドクスアクティブな液体も含まれる)、水性及び非水性のカソライト、海水のようなレドクスアクティブな液体、SOCl2のようなオクシハライド、遷移金属塩化物や臭化物のような溶解したレドクス種、 及び/或は活性金属に腐食性の電気化学的活性の物質などを含むもので、シールされたアノードの内部体積で使用される揮発性物質のロスを防止する。この囲いによって、活性金属とアノードコンパートメント外部の環境との悪影響のある反応が防止される。
【0009】
放電の間、アノードの活性金属質量と体積は減少する。この体積の減少を何等かの方法で補償しないと、 活性金属アノードと保護膜構成との間に間隙やボイドが生じ、活性金属アノードと保護膜構成との間の接触が減少し、結果として性能低下となるかも知れない。アノード背面がアノード電流コレクタであったり含んだりする場合、電気交信が中断すれば、活性金属アノードとアノード背面の間の同様な間隙やボイドも性能の低下となる。かようなアノードコンパートメント内での間隙やボイドの形成がなくなれば、電気化学的性能の向上とセル構成の小型化か可能となる。
【0010】
本発明のコンプライアントシール構成物はアノライト、カソライト、電解質に溶解した種や湿気に対して実質的に不浸透性であり、アノード体積の変化に順応するから、アノード、保護付き構成、アノード背面の間の物理的連続性が維持される。 アノードコンパートメントの体積はシールされた保護付きアノードの充電放電の間活性金属の厚さ変化と直接関係して変化し、それにより、対応する電気化学セル構成の体積(及び重量)を最小化し、エネルギ密度を最大化する。
【0011】
本発明に於いて、物理的連続性とは、イオン的連続性、力学的力の連続性、電子的連続性の中の少なくとも一つに対応するものである。本発明のアノードがアノード背面とか保護膜構成とかの他の部品と物理的連続性があると言うのは、このアノードが他の部品と、イオン的連続性、力学的力の連続及び/或は電子的連続性の中の少なくとも一つがあると言う意味である。
【0012】
イオン的連続性の意味は、関連電界及び/或は濃度勾配に於いて、金属イオンがアノードと保護膜構成の間で搬送(トランスポート)可能であると言うことである。
【0013】
電子的連続性の意味は、関連電界のもと、 アノード背面がアノードの為に電流収集を行う場合、電子のアノードとアノード背面の間での搬送が可能であると言うことである。
【0014】
機械的力の連続性の意味は、アノード背面及び/或は保護膜構成への機械的力或はそれによる力はアノードへ伝達可能であり、アノードへ或はアノードからの機械的力はアノード背面及び/或は保護膜構成へ伝達可能であると言うことである。
【0015】
本発明のすべての場合に於いて、保護膜構成にはアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
アノード背面が絶縁体である場合、アノード背後板はアノードに対して機械的力の連続性を有する。
【0016】
アノード背面がアノードの為に電流収集を行う導電体の場合、アノード背面はアノードに対して電子的連続性を有する。この場合、アノード背面がアノードに対して機械的力の連続性をも有することもある。
【0017】
アノード背面が保護付き構成である場合、アノード背面はアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
【0018】
物理的連続性の程度と均一性とが大きいほど、保護付きアノード構成の性能は良好である。物理的連続性のロスとは、物理的連続性が悪化して、本発明の保護付きアノード構成が既にアノードとして機能出来ないとのことである。
【0019】
その一面に於いて、発明は保護付きアノード構成に関する。 保護付きアノード構成は、第一面と第二面を有する活性金属アノードと、アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、アノードの第二面の上の活性金属アノード背面と、保護膜構成とアノード背面とに対向してアノードをアノードコンパートメントの中に包み込むコンプライアントシール構成物とを含み、このシール構成物は、電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性がある。イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成る。実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに(例えば、結合、接合、或は隣接により)対向するものである。
【0020】
保護付きアノード構成のアレイ、保護付きアノード構成或はアレイを組み込んだ種々の構成を有するバッテリセル、及びこれらの製造方法が供給される。本発明のこれら、及びその他の特徴が以下図示をとともに詳細に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以降の記述に於いては、或る特別な構成、形態、工程などを通して、如何に発明が実施されるのか示されるのであるが、発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例えば説明を明瞭化するために、此処では主としてLi型アノードを参照して発明を提示して居るが、適当なアノードは此処に記載されるその他の活性金属、合金、層間化合物アノードから構成可能であり、Liを含有すると記載された保護膜や試薬も同様にこれらの活性金属や合金を含むものであると理解されるべきものである。発明の特種な実施例は添付された図面に開示されて居る。発明はこれらの実施例について記述されるのであるが、発明はこれらの実施例に限定されるとの意味ではない。その逆であって、これらの代替、変更、均等例などは、請求項の均等とともに発明の範囲内に入るものとする。以下の記述に於いて、多くの詳細事項が発明の理解のために提示される。発明の実施に当たって、これら詳細事項の一部は不要であるかも知れない。その一方、記述を曖昧化しない目的から、周知の工程などの詳細な記述は省略してある。
【0022】
序論
本発明の保護付きアノードはイオン的に導電性の保護膜構成を有し、それと本発明のコンプライアントシール構成物と背板とによって効果的に活性金属例えばNaやLiのようなアルカリ金属のアノードがアノードコンパートメントの内部に囲い込まれて居る。この筐体は、活性金属の水性物、周囲の湿気、カソライト(カソードと接触の電解質であって、場合によって、カソライトは溶解或は懸濁したレドックスアクティブ種及びレドクスアクティブ液体も含む),一般的カソード環境(カソードコンパートメント)、及び/或は活性金属に腐食的な電気化学的に活性な物質を含むアノードコンパートメントの外部の環境との有害な反応を防止し、シールされたアノード内部で使用されてもよい揮発性成分のロスを防止する。
【0023】
放電によって活性金属の質量とアノードの体積が減少し、これは典型的には活性金属の厚さの減少として現れる。何らかの方法でこの体積の減少を補償しないと、活性金属アノードと保護膜構成の間に層間間隙としてボイドが生成され、活性金属アノードと保護膜構成の間のイオン的接触が失われ、従って性能低下となる。活性金属アノードと背面の間の同様なボイドの場合には、背面の場所とかアノード電流コレクタを含む場所での性能が低下し、両者間の電気的連続性が崩壊させられる。アノードコンパートメントでのかような面間間隙とかボイドの生成を除去出来れば、電気化学的性能の向上と小型電池構成が期待される。
【0024】
同様にして、内部密閉はバッテリセルのエネルギ密度に悪影響があり、それは、バッテリが放電するに当たり、活性金属材料の厚さが減少(活性金属箔の100%放電で厚さ0)し、バッテリ内部にはボイドが生成され、同時に保護付きアノードコンパートメントの外側とか例えば陽電極内の生成物で体積の増加を来すと言うことである。その結果として、バッテリの設計にあたり、この膨張のために余分の空間を含まなくてはならない。もしバッテリの放電に際してアノードコンパートメント内に生成されるボイド体積が、アノード膨張の調達に使用できるものならば、小型のセル設計と高エネルギ密度が得られる。従来例でのシールを使用するのでは、自由化された体積を捉えることは出来ない。
【0025】
本発明のコンプライアントシール構成物はアノライト(anolytes)、カソライト(catholytes)、電解液中の溶解物及び湿気に対して事実上不浸透性であり、アノードの体積変化に従順であるので、アノード保護構成物と背面との間の物理的連続性が維持可能である。保護膜構成は事実上不浸透性であり、活性金属イオンのトランスポートは可能で、液体と気体のトランスポートは効果的に妨害する個体電解質の膜から成るので、活性金属は空気や水の侵入の有害な影響から保護され、活性金属表面で使用される揮発性要素のロスが妨げられる。活性金属アノードを事実上カプセル状に包み込むような囲まれたアノードコンパートメントを生成するために、液体と気体に対して事実上不浸透性である本発明のコンプライアントシール構成物を保護膜構成物とともに使用して固体電解質の周囲を密封し、アノード背面がアノードコンパートメントを完全に包囲する。
【0026】
保護付きアノード構成は、特定規格シールの特定規格に従うと言う特徴により、アノードの活性金属と保護膜構成との間の(イオン的交信を提供するものである)有効な機能的接触のロスを妨げるものである。サイクリングの期間中、活性金属材料(例えばリチウム)が放電とともに消費されたり、充電によって再生成されるにつれ、シールはアノードコンパートメントの体積変化に準拠し、保護付きアノードコンパートメントがアノードコンパートメントの内外で起こる圧力と体積の変化に対して調節出来るようにする。コンプライアントシール構成物は更にアノードコンパートメントの体積を最小化し、それによって対応する電気化学セル構成(例えばバッテリ)の体積(及び重量)うぃ最小化し、エネルギ密度を最大化させる。
【0027】
本発明のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成は、Li/空気(或はNa/空気)バッテリのような金属水バッテリについて特に有効である。ガルバニック Li/空気セルに於いては、カソードが反応に於けるリチウム源を提供し、これは物理的にはリチウムフォイルの消失とアノードに於ける水酸化リチウムの生成として実現する。 Li/空気セルに於いては、生成された LiOH は水性カソライト槽に保持され、その結果セル放電に伴いアノード体積の拡張に至る。放電の進捗とともに、コンプライアントシール構成物の存在により、アノード体積の増加がカソードの体積の縮小で補償可能とされる。
【0028】
本発明のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成は、Li/海水(或はNa/海水)をも含めての金属/海水バッテリにとって非常に有益となる。海水は水性電解液でも酸化剤でもあり、バッテリパックに入れて運搬する必要もないので、このようなバッテリは非常に高エネルギ密度(Wh/l)と比エネルギ(Wh/kg)を持って居る。フレキシブルなシールを使って保護付きアノードコンパートメント用を包めば、カソードでの放電と共に海水の静水圧がアノードコンパートメントにかかり、アノードの活性金属には固体電解質板から均一な圧力がかかることになり、これは活性金属をフルに利用するに当たり重要なことなのである。
【0029】
本発明の範囲は尚保護付きアノード或はセルのアレイにも及ぶものである。殊に本発明のコンプライアントシール構成物で各種のフレキシブルなアノードアレイとか、各種の幾何学的構成のリジッド及びフレキシブルなアレイが可能となり、その中には各種の形状の構成物の上及び/或はそれに準拠させて構成することが含まれる。多くの構成の 保護膜構成及び関連した電気化学的構成が本発明のアノードアレイによって可能となり、それには筒状のセルアレイ、正規或は不正規形物体表面に準拠させたアレイ、螺旋状アレイが含まれる。本発明はリジッドな保護付きアノードアレイに関するものではあるが、殊に大面積の保護膜構成であって、製造とか実施工程での取り扱いに利な場合には、フレキシブルな特徴も加えられてよい。
【0030】
本出願者による出願中の公開済み米国特許出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894に記載のイオン伝導性保護膜構成は、本発明のコンプライアントシール構成物と共に、活性金属アノードとアノードコンパートメント内の要素が周囲環境の湿気とか、非極性或は水性カソライトのようなバッテリセル要素と接触しないように、活性金属アノードを周囲の環境から隔離して居る。このことは、リチウム金属箔、ミクロ孔質隔離材(例えばセルガード(Celgard ))及びアノードがすべて有機非極性溶媒と電解液体内で密着しているリチウム金属バッテリのような従来例の活性金属バッテリと対照的である。本発明のコンプライアントシール構成物は保護付きアノードコンパートメントを全部包み込む本質的に不浸透性の、化学的に抵抗性のあるバリヤを提供するものであり、ギャップなしの境界面を維持する機械的フレームワーク、不必要な空間と重量とを最小化し、エネルギ密度と比エネルギとを最大化する小型構成とを提供するものである。
【0031】
保護付きアノード構成
本発明の保護付きアノード構成は活性金属アノード、イオン伝導性保護膜構成、アノード背面、及びコンプライアントシール構成物から成り、これらは共に結合された状態に於いて活性金属アノードを囲う密封アノードコンパートメントを効果的に形成するものである。この保護付きアノード構成は保護膜構成を通してアノードコンパートメント内外への活性金属イオンの運行が可能であり、アノード背面或はその他の端子を通じてアノードコンパートメント内外への電子流運行が可能に形成されて居る。
【0032】
本発明のアノードコンパートメントはアノライト、カソライト、電解液中の溶解物及び湿気に対して事実上不浸透性であり、そのコンプライアントシール構成物によってアノードの体積変化に従順であるので、アノード、保護付き構成、及び背面の間の物理的連続性(例えばイオン的、電子的、及び機械的連続性)は維持される。
【0033】
本発明に於いて、物理的連続性とは例えばイオン的連続性、機械的力の連続性、及び電子的連続性の中の少なくとも一つに対応する、本発明のアノードと、アノード背面とか保護膜構成のようなその他の部品との物理的連続性とは、このアノードとその他の部品の間にイオン的連続性、機械的力の連続性、及び/或は電子的連続性の中の一つの関係があることを意味する。
【0034】
イオン的連続性の意味は、関連電界及び/或は濃度勾配に於いて、金属イオンがアノードと保護膜構成の間で搬送(トランスポート)可能であると言うことである。
【0035】
電子的連続性の意味は、関連電界のもと、 アノード背面がアノードの為に電流収集を行う場合、電子のアノードとアノード背面の間での搬送が可能であると言うことである。
【0036】
機械的力の連続性の意味は、アノード背面及び/或は保護膜構成への機械的力或はそれによる力はアノードへ伝達可能であり、アノードへ或はアノードからの機械的力はアノード背面及び/或は保護膜構成へ伝達可能であると言うことである。
【0037】
本発明のすべての場合に於いて、保護膜構成にはアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
【0038】
アノード背面が絶縁体である場合、アノード背後板はアノードに対して機械的力の連続性を有する。
【0039】
アノード背面がアノードの為に電流収集を行う導電体の場合、アノード背面はアノードに対して電子的連続性を有する。この場合、アノード背面がアノードに対して機械的力の連続性をも有することもある。
【0040】
アノード背面が保護付き構成である場合、アノード背面はアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
【0041】
物理的連続性の程度と均一性とが大きいほど、保護付きアノード構成の性能は良好である。物理的連続性のロスとは、物理的連続性が悪化して、本発明の保護付きアノード構成が既にアノードとして機能出来ないとのことである。
【0042】
保護付きアノード構成の基本的要素として以下のものが含まれる。
【0043】
(i)第一面と第二面を有する活性金属アノード;
(ii)事実上不浸透性であり、活性金属イオントランスポートを提供する一方、活性金属アノードの第一面を包み込むイオン伝導性保護膜構成;
(iii)事実上不浸透性であり、活性金属アノードの第二面を包み込むアノード背面;
(iv)事実上不浸透性であり、充電と放電の時にアノードコンパートメントの体積を変化させ(主として厚さを変化させ)ながら、シールによって保護膜構成をアノード背面に接続するコンプライアントシール構成物。
【0044】
アノードから電流を抽出するため、活性金属アノードと電子的連続性を有し、アノードコンパートメントの外部へ延びて居る導電体も必要である。これは、導電性であるか、アノードの活性材料と接触する導電性部品を有するアノード背面、或はアノードの活性材料と接触する導電性の端子コネクタによって供給される。
【0045】
以下、本発明の保護付きアノード構成について記述し、その後、保護付きアノード、保護付きアノードのアレイ、水性及びその他の電解質を使用する電気化学セルであって、アノードの活性金属或はそうでなくてもアノードコンパートメントによって供給される密閉筐体と反応して悪影響があるものを含めての具体的な実施例について詳細な説明をする。
【0046】
本発明の代表的な保護付きアノード構成を、図1A−1Eを参照して説明する。 図1A−1Eに示されるものが発明の単なる一例であるに過ぎず、後述するように、多くの変化例が可能であることは理解出来よう。図1Aは片面型の保護付きアノード構成120の図であり、内部の各層を示すために一部切り取られて居る。この保護付きアノード構成120は活性金属アノード100、保護膜構成102、アノード背面106、及びコンプライアントシール構成物104から成る。組み立てられ、密封された場合、保護膜構成102、アノード背面106、及びコンプライアントシール構成物104は有効的に活性金属アノード100を内蔵する密封されたアノードコンパートメントを形成する。アノード100と背面106の間に在る選択的別個の電流コレクタ108と、電流コレクタ108に接続された導電性端子110とが、アノード背面106とコンプライアントシール構成物104の間の接点に形成された入り口からコンパートメントの外部へと延長して居る。本実施例に於いては、アノード背面としてより広く、バッテリセル包装/コンテナ材料、電流コレクタ108、電子的導電性端子110などのアノード背面支持部品107を含むものとする。他の実施例にあっては、部品108、110は単一部品(例えば銅製のシート)としてもよい。又、背面が事実上不浸透性のアノード電流コレクタである場合、アノード背面支持部品107は不要であり、この場合部品110も不要かも知れない。
【0047】
保護付きアノード構成が密封的であると言うのはアノードコンパートメントが上記の定義のように外部環境に対して実質的に不浸透性を有するとの意味であり、内部の揮発性要素が外部環境に逃れることは防止されて居る。実質的に不浸透性であると言うことの意味は、その物質が外部環境の構成要素、例えば湿気、水性及び非水性のカソライト、レドクスアクティブ溶媒を含むカソード環境(カソードコンパートメント)の構成物、その他の活性金属アノード材料に有害な活性金属腐食性バッテリ要素などにとって十分バリヤとなり、このように電極作用を悪化する障害を起こらないようにすることである。従って、膨張することなく、孔や欠陥や、湿気、電解液、カソライトなどを通過させる通路のないことが必要である。又、揮発性なアノライトのようなアノードコンパートメント内部の要素が逃げ出すのを防ぐ実質上に不浸透性のバリヤとなり、このように電極作用を悪化する障害を起こらないようにする。保護付きアノード構成は又保護膜構成を通してアノードコンパートメント内外への活性金属イオントランスポートと、アノード背面に組み込まれて居てもよい電流コレクタ/導電性端子による、活性金属アノードからアノードコンパートメントの外部への電流の通路を提供するものである。
【0048】
図1Bは 図1Bの保護付きアノード構成の充電された状態の断面図である。活性金属アノード100は第一面と第二面を有し、第一面はイオン伝導性保護膜構成102し、第二面はアノード背面106に隣接して居る。選択的電流コレクタ108は活性金属アノードにボンド結合されて居る。実質的に不浸透性であるコンプライアントシール構成物104が活性金属アノード100に包み込む囲いを与え、シールによって、夫々活性金属アノード100の第一面と第二面を包み込む保護膜構成102とアノード背面106とに接続される。導電性端子110は電流コレクタ108に直接して居り、従って、活性金属アノード100とイオン的連続性をも持って居る。導電性端子110は、アノード背面とコンプライアントシール構成物の間の接点に形成された入り口からアノードコンパートメントの外部へと延長して居る。
【0049】
図1Cは図1Bの保護付きアノード構成の放電された状態の断面図であり、コンプライアントシール構成物の実質的利点を示すものである。放電により、アノード100は質量と体積が減る。保護付きアノード構成120は、保護膜構成102とアノード背面106との間の間隙が狭まるにつれコンプライアントシール構成物104が曲げ伸ばしすることにより、アノード体積のロスを補償することが出来る。このようにして、 アノードコンパートメントは密閉状態を維持し、アノードは背面106の保護膜と電流コレクタ108と夫々イオン的と電子的連絡状態を続ける。
【0050】
図1Dと図1Eとは、図1A−1Cの保護付きアノード構成の上面図であり、図1Eは上面の下の各層を見せるための切り開きがある。
【0051】
保護付きアノード構成の特徴を詳細に記述する。
(i)活性金属アノード
活性金属アノード100は、活性金属層、活性金属合金層、活性金属イオン層、活性金属挿入(インタカレイト)層から選ばれる一つ以上から成る。
【0052】
活性金属は環境状態にあって非常に活性であり、電極として使用の場合、バリヤが有利となる。これは主としてアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土金属(例えばカルシウム、マグネシウム)、 及び/或は或る種の遷移金属(例えば亜鉛)、 及び/或は上記の中の二つ以上の合金である。下記の活性金属が使用可能である:アルカリ金属(例えばLi, Na, K)、アルカリ土金属(例えばCa, Mg, Ba)、Ca, Mg, Sn, Ag, Zn, Bi, Al, Cd, Ga, In, Sbの2元素及び3元素アルカリ金属合金。好ましい合金の例は、リチウムアルミニウム合金、リシウムシリコン合金、リチウム錫合金、リチウム銀合金、ナトリウム鉛合金(例えばNa4Pb)。好ましい活性金属電極は、アルカリ金属のリチウム或はナトリウムを含むものであり、リチウムが殊に好ましい。
【0053】
尚、放電された状態にあっては、活性金属材料層はアルミニウム、シリコン、錫のような活性金属合金用の金属、炭素及びその他当業者に公知の活性金属挿入(インタカレイト)材料であってもよい。可逆的な LiイオンやNaイオンのような活性金属の挿入や脱着が可能である活性金属挿入層の使用は有利な特徴をもたらす。先ず、樹脂状結晶の生成の恐れなしに、バッテリのサイクルライフを延長することが出来る。好ましい活性金属挿入層は、対応する活性金属(例えば Li や Na)の電圧に近い電圧(例えば約1ボルト以内)である。 好ましい活性金属挿入層は炭素であり、これは Liイオンに関する当業者に既知のことである。
【0054】
二次バッテリのように炭素アノードを組み込んだ電気化学構成にとって、本発明の保護付きアノード構成が有利であのは、アノードがカソードの環境から完全に隔離されて居ることである。従って、アノライト(アノードに接触する電解質)もカソライト(カソードに接触する電解質)も独立して最も効果的にされる。
【0055】
上記の如く、好ましい実施例に於いて活性金属材料はリチウム或はナトリウム金属であり、ことにこれはリチウムである。活性金属材料の層の厚さは最低10ミクロンであり、1cm以上であってもよい。 好ましい厚さの範囲は、好ましくは10ミクロンと50ミクロンの間、50ミクロンと100ミクロンの間、0.1mmと1mmの間、1mmと10mmの間、10mmと100mmの間、及び100mmと500mmの間である。
【0056】
(ii)保護膜構成
活性金属アノード100の第一面の上の保護膜構成102は、アノードコンパートメント外部へのバリヤを提供するとともに、アノードコンパートメントの内外へ選択的に活性金属イオンの転送を行う。更に、アノードコンパートメント内部の要素が逃れないようにする不浸透性バリヤともなる。本発明での使用に適当な保護膜構成は、出願者による公開済み米国特許出願US 2004/0197641, US 2005/0175894及び対応国際特許出願WO 2005/038953, WO 2005/083829に記述されてある。これらの文献は、本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0057】
図2A−2Dは、これらの開示の中、本発明での使用に適当な代表的保護膜構成を例示するものである。
【0058】
図2Aを参照するに、保護膜構成はイオントランスポート可能なモノリシック固体電解質202であって、化学的に活性金属アノード201と外部環境の両方に対して安定なものであり得る。そのような物質の例は、Na-b"アルミナ、LiHfPO4, NASICON, Nasiglass, Li5La3Ta2O12, Li5La3Nb2O12.Na5MSi4O12(M: Nd, Dy, Gdのような稀土)。
【0059】
より一般的に、保護膜構成は、異なる化学的互換性条件を持つ異なる物質の二つ以上の成分からなる組成物であり、その一方はアノードコンパートメント内のアノード環境との化学的互換性、他方は外部、即ち一般的には周囲の空気或は水、及び/或はバッテリ電解質乃至カソライトとの化学的互換性のことである。ここで化学的互換性とは、言及されたバッテリセル成分の一つ以上と接触した場合にその物質が反応して、バッテリセルの操作に悪影響を及ぼす物質を生成しないと言うこと、或は製造、操作、貯蔵、外部環境条件のことである。組成物の中で異なるイオン導電体の特徴が結合し、イオン伝導性、アノード、カソード並びにバッテリ製造時の周囲の条件などに対する化学的安定性などの望ましい特徴を得る。この組成物は、バッテリの他の成分とか周囲の条件との悪影響のある反応から活性金属アノードを保護することが出来ると同時に、高レベルのイオン伝導性と付与することによって製造を容易にし、及び/或はこの組成物が組み込まれたバッテリセルの性能を向上させることが出来る。
【0060】
図2Bを参照するに、保護膜構成は、第一物質層212が活性金属アノード201に対して安定であり、第二物質層214が外部環境に対して安定あるように、独立分離した層から成る固体電解質210から成る。別例として、図2Cが示す保護膜構成は同一物質の固体電解質組成物220から成るが、独立分離した層でなく、段階的な物質遷移となって居る。
【0061】
比較的軽い重量のため、アルカリ金属はリチウムの如く、バッテリ電極成分として有利である。しかし、リチウム、ナトリウム、或はリチウム合金とかリチウムイオン(リチウム層間)のアノード材料のようにリチウム金属同等の電位(例えば約1ボルト以内)であるリチウムを組み込んだ組成物などは、電解質やカソードの好ましい材料であり得るものに対して極めて反応性が高い。保護膜構成は活性金属、活性金属合金、或はアノードコンパートメント内の活性金属イオン電極を周囲及び/或はセルのカソード側から隔離するバリヤを提供すると同時に、アノードコンパートメント内外への活性金属イオントランスポートを果たす。種々の様態の構成が可能である。一般的に、実質上不浸透性であり、イオン伝導性があり、外部環境(例えば空気や水)或はカソード環境と化学的互換性のある固体電解質の層から成る。ここで化学的互換性とは、言及されたバッテリセル成分の一つ以上と接触した場合にその物質が反応して、バッテリセルの操作に悪影響を及ぼす物質を生成しないと言うこと、或は製造、操作、貯蔵、外部環境条件のことである。
【0062】
一般的に、固体組成物の保護膜構成は( 図2B、図2Cを参照して記述された如く)第一物質層と第二物質層から成る。組成物の第一物質層(或は第一層物質)はイオン伝導性があり、活性金属アノード物質と化学的互換性我ある。発明のこの面に於いて、化学的互換性とは化学的に安定であって、活性金属のアノード物質と接触しても実質上反応しないと言うことである。また、空気と安定であり貯蔵や操作に便利な一方、活性金属電極物質と反応して活性金属アノード物質に対して安定し、イオン伝導性の高い物質(即ち第一層物質)を生成することでもある。このような反応性物質はプレカーサ物質と呼ばれることもある。組成物の第二物質層は第一物質に対して実質上不浸透性があり、イオン伝導性我あり、化学的に互換性を有する。これらの目的を果たすため、又電極の安定性や機能を向上させるため、これ以外の層があってもよい。組成物の総ての層はイオン伝導率が高く、少なくても10-7S/cm、一般には少なくとも 10-6S/cm、例えば 10-5S/cm-10-4S/cm であり、10-3S/cm 以上上であってもよく、多層保護構成の全体的イオン伝導率は少なくとも10-7S/cm、そして10-3S/cm以上でもよい。
【0063】
第四の適当な保護膜構成の例が図2Dに示されて居る。この構成は固体電解質234と活性金属アノード201の間に中間層232を挿入した組成物230であり、この中間層はアノライトが満たされて居る。即ち、この構成は、非水性のアノライト(即ちアノードの周りの電解質)と有し、活性金属と化学的互換性を持ち、アノードと接触している活性金属イオン伝導性の隔離層と、実質上不浸透性があり(ピンホールやクラックがない)、イオン伝導性があり、隔離層と水性環境に対して化学的互換性を持ち、隔離層と接触して居る固体電解質層とから成る。この構成( 図2D)での固体電解質層は、図2B、図2Cでの組成物固体構成の第二物質層の特質の多くを持って居るので、以降の記述に於いてこれら三例の構成の固体電解質層はすべて第二物質層、あるいは第二層と言及することにする。
【0064】
上記の原則により、本発明に従って保護用組成物を製造するに当たっては、各種の物質が使用可能である。例えば第B図と第C図に於いて、活性金属と接触している第一層(物質成分)の一部乃至全部は活性金属の窒化物、リン化物、ハロゲン化物、硫化物、リン酸硫化物、或は活性金属のリン酸オクシニトライドのガラスから成ってもよい。これらの特種例は以下の通りである:Li3N, Li3P, LiI, LiBr, LiCl, LiF, Li2S-P2S5, Li2S-P2S5-LiI, LiPON. 活性金属電極物質(例えばリチウム)は、これらの物質に付けられてもよいし、金属窒化物、金属リン化物、金属ハロゲン化物、赤燐、沃素、窒素、有機物や重合体を含むリン化物などのようなプレカーサをリチウムに接触させてもとの位置で生成してもよい。殊に適当なプリカーサ物質は Cu3Nである。第一層は、プリカーサの不十分なリチウム化類似物への変換の結果である場合もあるが、本発明での保護用組成物の第一層の条件が満たされるのであるから、かかる不十分な変換によるものも、本発明の範囲に入るものとする。
【0065】
アノライト層間組成物の保護付き構成の実施例(図2D)に於いて、保護膜構成は、アノードの活性金属と化学的互換性を持ち、アノードと接触し、非水性アノライトから成る活性金属イオン伝導性の隔離層と、隔離層と接触し、隔離層及びアノードコンパートメントの外部と化学的互換性を持つ、実質上不浸透性でイオン伝導性がある層(第二層)とから成る。隔離層は有機アノライトを満たした半浸透性の膜であってもよい。このような半浸透性の膜は、例えばセルガード社(Celgard, Inc.)より購入可能のミクロ多孔性の重合体であってもよい。有機アノライトは液体でもゲル相であってもよい。例えば、アノライトは、EC, PC, DEC, DMC, EMC, 1,2-DME 或は高級グライムのような、有機炭酸塩、エーテル、ラクトン、スルフォンなど、及びこれらの結合から選ばれる溶媒を含んでもよい。1,3-ディオクソレインも特に、又それに限らず、構成を組み込んだセルの安全性の向上の為に使用する場合には、アノライト溶媒として使用出来る。アノライトがゲル相の場合、溶媒をゲル化するために、ポリビニリディンフルオライド(PVdF)化合物、ヘキサフロロプロピレンービニリデンフルオライド共重合体(PVdf-HFP)、ポリアクリロニトリル化合物、クロスリンクドポリエーテル化合物、ポリアルキレンオキサイド化合物、ポリエチレンオキサイド化合物、これらの組み合わせと類似のもののようなゲル化剤を加えてもよい。適当なアノライトの例としては、勿論活性金属塩が含まれ、リチウムの場合、例えばLiPF6, LiBF4, LiBF4, LiSO3CF3, LiN(SO2C2F5)2 が含まれる。ナトリウムの場合、適当なアノライトの例には、NaClO4, NaPFc, NaAsF6, NaBF4, NaSO3CF3, NaN(CF3SO2)2, NaN(SO2C2F5)2のような活性金属塩が含まれる。好適な隔離層の一例は、プロピレンカーボネイトに溶解し、Celgardのミクロ多孔性重合体膜を満たす 1M LiPF6である。
【0066】
保護用組成物の第二層(物質成分)は実質上不浸透性であり、イオン伝導性があり、第一物質或はプリカーサと化学的互換性のある物質から成るものでよく、その例としては、リン系ガラス、オキサイド系ガラス、リンーオキシニトライド系ガラス、硫黄系ガラス、オキサイド/スルファイド系ガラス、セレナイド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラス、ナシガラス(Nasiglass)、リチウムベーターアルミナ、ナトリウムベーターアルミナ、リチウムスーパイオン導体(LISICON)、ナトリウムスーパイオン導体(NASICON)などのセラミック活性金属イオン導体、ガラスーセラミック活性金属イオン導体が含まれる。特別例として、LiPON, Li3PO4.Li2S.SiS2, Li2S.GeS2.Ga2S3, LiO.11Al2O3, Na2O.11Al2O3, (Na,Li)1+xTi2-x,(PO4)3, (0.1 = x = 0.9) 及び結晶学的に関連した構成、Li1+xHf2-xAlx(PO4)3 (0.1 = x = 0.9), Na3Zr2Si2PO12, Li3Zr2Si2PO12, Na5ZrP3O12, Na5TiP3O12, Na3Fe2P3O12, Na4NbP3O12, Na-Silicates, Li0.3La0.5TiO3, Na5MSi4O12 (M: Nd, Dy, Gdのような稀土)、Li5ZrP3O12, Li5TiP3O12, Li3Fe2P3O12, Li4NbP3O12 , これらの組み合わせ、選択的に焼成または溶解されたものがある。適当なセラミック活性金属イオン導体については、例えば米国特許4,985,317に記載されてあり、この文書は本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0067】
保護用組成物の第二層として殊に好適なガラスーセラミック物質は、リチウムイオン伝導性のガラスーセラミックであって、以下の組成であり、
【0068】
【表3】
【0069】
そして更に、Li1_x(M,Al,Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 (ここでX = 0.8, 0 = Y = 1.0, MはNd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb 及び/或はLi1+x+yQxTi2-xSiyP3-yO12 から選ばれる元素であり、0 < X = 0.4, 0 < Y = 0.6, Q は Al 或はGa)。このガラスーセラミックは原材料を溶解してメルトを得た後、このメルトをガラスに鋳造し、このガラスを熱処理して製造する。このような物質は日本のOHARA Corporation から入手可能であり、米国特許5,702,995, 6,030,909, 6,315,881, 6,485,622に記載されてある。これらの文書は本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0070】
この組成物は内在的に高いイオン導電率でなくてはならない。一般的に、この組成物のイオン導電率は最低10-7S/cm以上であり、一般に約10-6 - 10-5S/cm、そして10-4 - 10-3S/cm以上であってもよい。第一プリカーサの厚さは第二物質層と隣接した物質或は層、殊にアノードの活性金属との接触を妨げるのに十分でなくてはならない。例えば、固体膜用の第一物質層の厚さは0.1から5ミクロン、0.2から1ミクロン、或は約0.25ミクロンであり得る。第四例の層間アノライトの好適な厚さは例えば5から50ミクロン、Celgard の典型的な厚さは25ミクロンである。
【0071】
第二物質層の厚さは好適に0.1から1000ミクロン、或は第二物質層のイオン導電率が約10-7S/cmの時には約0.25から1ミクロン、第二物質層のイオン導電率が約10-4S/cm- 約10-3S/cm-の時には約10から1000ミクロン、好適には1から500ミクロンの間、更に好適には10と100ミクロンの間で、例えば約20ミクロンである。
【0072】
(iii)アノード背面
活性金属アノード100の第二面と物理的連続性の関係にあるアノード背面106は実質的に不浸透性であり、活性金属アノード100に構造的支持を提し、密閉的な囲いの一部をなす。その構成によって一個或はそれ以上の部品から成り、追加的機能も提供する。例えば下記の如く、アノード背面は電流コレクタ及び/或は電気端子コネクタ或は両面式保護付きアノード構成となるように他の保護付きアノード構成を含むこともある。更にアノード背面はバッテリセル容器の底基部或は上部カバーでもあり得る。アノード背面は又放電充電に際して起こるアノードの厚さ変化を緩和するための曲げやすい物質を含むことも出来る。
【0073】
一般に、アノード背面は、アノードコンパートメントを囲む外部環境に対して実質的に不浸透性で、内部成分に対して化学的互換性があるアノード背面となるよう適切な物質或は物質の組み合わせから成る。アノード背面の選択は、材料の種類によるものではなく、アノード背面は金属、重合体、セラミックス、ガラスなどから成り得る。 アノード背面はリジッドでもよく、弾力性があってもよい。背面はバリヤの性能を持った物質でなくてはならず、周囲の環境に対して実質的に不浸透性である厚さが必要であるが、その一方全体として保護される電極の重量や体積に対して重荷となってもいけない。
【0074】
本発明の一面に於いて、アノード背面106は、周囲の湿気とか水性電解質を含む電解質溶媒に体する化学的抵抗に関して所定の機能を有するための複数の層から成る層状組成物を含む。本発明の一面に於いて、このアノード背面部品(例えば図1Bでの107)は多層の層状組成物であり、例えば2層或はそれ以上の層を有する。
【0075】
殊に好適な本発明のアノード背面支持部材107は、3層以上の隣接して堆積した層を持つ多層型の 層状組成物から成り、少なくとも最上と最下の層に最低1個の中間層を含む。発明の一面に於いて、最下層は活性金属アノード100の第二面と隣接して居り、この場合最下層は活性金属アノードの第二面と化学的互換性が必要である。保護付きアノードが液体アノライト層間を持つ保護膜構成である場合、最下層も又アノライトと互換性が必要である。アノライトとの互換性とは、最下層が 保護付きアノード構成の予定された有効期間に影響がある程には最下層が溶解したり膨張したりしないと言うことである。好適な実施例に於いて、最下層は熱シール可能な、融点の低い熱可塑性物体から成る。殊に好適な最下層は低密度のポリエチレン(LDPE)であるが、対蹠的に、この多層の積層体から成るアノード背面部品の最上層は外部環境に対して化学的抵抗体である。好適に、最上層は電気的に絶縁体でもある。殊に好適な最上層はポリエチレンテレフタレート(PET)である。多層の層状体のすべての層が多少のバリヤ効果を持つとしても、中間層の少なくとも一つはバリヤ層である。殊に好適な中間のバリヤ層は、金属箔であって、周囲の湿気とかアノードコンパートメント外部から侵入する有害成分をブロックアウトし、アノードコンパートメントの内部成分が逃げ出すのを妨げるだけの厚さを有する。殊に好適な内部層は、例えば30ミクロンの厚さのアルミニウム箔である。多層型の層状体は、金属、重合体、ガラス、セラミックなど、その他の中間層を含んでもよい。尚、層は層をボンディングするため、又ボンディングを容易にするために層を濡らすための接着剤を含んでもよい。
【0076】
アノード背面部材107は鋳造や型押しによって、所定の形状にされる。例えば、鋳造によってアノード背面をコンプライアントシール構成物104に接続させるボンド用のプラットフォームを形成することも出来る。その他の形状も製造の容易の為とか、筒形とか螺旋形とか種々の形態のアノードアレイの構成の為に適切となるかも知れない。
【0077】
殊に好適なアノード背面部材107は、ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造された製造仕様95014の曲げ性の多層型ラミネートである。このラミネートは厚さ約120ミクロンで、ポリエチレンテレフタレートの最上層(厚さ約12ミクロン)、アルミニューム箔の中間層(厚さ約32ミクロン)、ポリエチレンテレフタレートの中間層(厚さ約12ミクロン)、低密度のポロエチレンの最下層とから成る。
【0078】
アノード背面106は電流収集及び端子接続を行うように構成できる。電流コレクタとして機能するため、アノード背面106は、アノードの活性金属と合金したり、層間挿入を行ったり金属(例えば銅、ステンレススチール、ニッケル)のような、適当な導電性を持ち化学的に安定した物質から成るべきである。本実施例のアノード背面は電流コレクタ及び端子コネクタとして機能する。活性金属アノード100がリチウムの場合、殊に好適な電流収集するアノード背面は銅、ニッケル或はステンレススチールである。従って、アノード背面は適当な厚さの銅、ニッケル或はステンレススチールの箔或は板、或はエクスメット(Exmet)のような伸張可能の銅メッシュである。当業者が理解するように、電流コレクタの厚さや重量はバランスや適当な導電度を得るために最小化するのが望ましい。一実施例によれば、アノード背面は背面支持部材107から成り、電流コレクタ108が活性金属アノード100の第二面と背面支持部材107の間に設置される。この実施例の場合、殊に好適な背面支持部材は、例えば Lawson Mardon Flexibleによって製造の上記のような多層型のラミネートである。そして、好適な電流コレクタは8から25ミクロンの範囲、例えば25ミクロンの銅箔、或は厚さ約50ミクロンのニッケル箔である。その他の実施例によれば、銅或はニッケルの箔の電流コレクタの厚さは5から15ミクロンの範囲に最小化される。
【0079】
アノード背面が金属の場合、外部環境との反応に対して安定な適当な厚さの金属箔か板であり、アノードに隣接した側を、活性金属アノードに対して殊に安定性のある銅とかカーボンインクのような金属とか導電性在材料でコーティングすればよい。適当な厚さとは、アノード背面が保護されるアノードがその目的のために十分な構成的支持を受け、実質上不浸透性なことである。しかし、保護される電極に不当なほど重力負担がかかる程の厚さではいけない。好適な電流コレクタである背後板は25から250ミクロン、例えば100ミクロンの厚さのステンレススチールの箔である。
【0080】
別の実施例によれば、非導電性のアノード背面部材(例えば上記部材107)の表面に、電流収集及び/或は端子接続のため、導電性の材料をコーティングする。この場合、アノード背面は如何なる材料でもよく、アノードコンパートメント外の外部環境に露出する面は絶縁性である。この絶縁体は、ガラス、セラミック、重合体のような、どのようなものであってもよい。重合体は軽くて化学的抵抗性が優秀だから殊に有効である。導電性膜は、活性金属アノードに接触する面が化学的に安定であるか、化学的に安定な中間面を形成可能である限り、どのような適当な金属膜であってもよい。一実施例によれば、導電性膜は、少なくとも一種の銅(或はモリブデン、或はタンタル)のような金属から成り、物理蒸着法によってPETのような重合体材料の上に、2から5ミクロンの厚さに形成される。一実施例によれば、アノード背面はその導電性の表面膜と共にアノードコンパートメントから伸びだし、導電性膜は活性金属アノードからアノードコンパートメント外部への端子連結を提供する。同様に、電流コレクタ/端子接続膜は、上記多層重合体/金属背面支持部材ラミネートのような背面支持部材であってもよい。
【0081】
更に或る場合に於いて、アノード背面或はその要素は保護付きアノード構成の背面/要素とコンプライアントシール構成物との両方を形成する唯一の隣接した物体であってもよい。この実施例は図3Gと図3Hとを参照して、以下詳細に説明する。
【0082】
電流コレクタをアノード背面106に組み込むことはしばしば望ましいことではあるが、電流収集/端子接続が別の様相で提供される場合もある。例えば或る設計によれば、アノード背面から離れた端子コネクタが活性金属アノード材料と直接接触する。その一例は図4Aを参照して説明される本発明の両面型保護付きアノード構成であり、そこではアノード背面は第二のイオン伝導性保護膜であり、電流収集と端子接続とはアノードと電気的に接触した別機構による。図1A−1Eに示されるように、かような配置は片面型実施例でも可能である。
【0083】
外部機器に電力を供給するために、活性金属アノードはアノードコンパートメントから外部へ伸びだす導電性端子の少なくとも一つと電気的連続が必要である。本発明の或る実施例に於いては、導電性端子は活性金属アノードと直接接触して居る。別の実施例の中、ことに保護付きアノードアレイから成る場合、活性金属アノードは導電性端子に直接物理的に接触しないこともあるが、各々の活性金属アノードは導電性端子の少なくとも一つと電気的連続して居る。
【0084】
図1Bで示される実施例の場合、アノード背面106は、重合体(例えばPET)或は此処に記述されたような多層型重合体/金属ラミネートのような下地層部107と、電流コレクタ108と電気的に連続の端子コネクタ110とから成る。図示の実施例に於いて、殊に好適な端子コネクタ110は金属タブである。好適な金属タブは、ニッケル、アルミニューム、アルミニューム合金、及びステンレススチール合金である。タブはどのような適当な幾何学的形状でもよいが、アノードからの電流を、関連するバッテリセルを過度に熱したり、過度の電圧低下を起こしたりせずに通過させることが出来るよう、十分に低抵抗でなくてはならない。タブは アノードコンパートメント外部へ伸張可能であればどの長さでもよい。ニッケルは殊に好適な電流コレクタであり、殊に好適な端子コネクタである。電流コレクタと端子コネクタとは互いに抵抗溶接されて居てもよい。別の実施例に於いては、電流コレクタと端子コネクタは一個のニッケル片である。
【0085】
更に別例では、端子コネクタはアノードの活性金属材に接触するか、或は活性金属材と電流コレクタと同時に接触して居る。もし端子110が活性金属材に付いて居るか、接触して居る場合、端子110は活性金属材と悪影響のある反応をしないことが必要である。
【0086】
端子を電流コレクタ或はアノードの活性金属材に付ける方法は、溶接、物理的圧接、超音波溶接,抵抗溶接などに限られず、又そのいずれであってもよい。
【0087】
端子コネクタ110をアノードコンパートメントから引き出すのは、コンプライアントシール構成物104を通して、或はアノード背面106を通してなど、どの入り口を通してでもよく、好適には図1Bに示されるように、 コンプライアントシール構成物104とアノード背面106の間の接点に入り口が形成される。
【0088】
(iv)コンプライアントシール構成物
図1Bを参照し、コンプライアントシール構成物104は活性金属アノード100に囲いを提供するものであり、 活性金属アノードの第一と第二面を夫々包み込む保護膜構成102とアノード背面104とにシーリングによって接続されて居る。コンプライアントシール構成物は化学的抵抗性があり、実質的に不浸透性であり、曲げやすいものである。種々の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は保護膜構成及びアノード背面と連結してアノードコンパートメントを構成し、これにはコンプライアントシール構成物が一つ以上の他の部品にボンディングされたり結合されたりする場合、その他、コンプライアントシール構成物がアノード背面或はその部品と材料の同一片から形成されて居る場合のように、一つ以上の他の部品に隣接して居るとか、隣接するようにさせられて居る場合を含む。例として、図3A−図3Hにコンプライアントシール構成物の数々の実施例を示し、如何に本発明に従って 保護膜構成及びアノード背面に接続されるか例示する。
【0089】
本発明の主眼点は、活性金属アノード100の体積が縮小したり膨張したりして、活性金属の厚さの変化として現れるにつれ、コンプライアントシール構成物104がアノードコンパートメント130の厚さを変化させるように変形することである。この変形を可能にするのは、コンプライアントシール構成物が曲げたり、伸ばしたり、圧縮したり、或は保護膜構成102及び/或はアノード背面106へ働く純力のもとで一般にその形態を順応させる能力である。従って、もしこの純力に垂直成分があるか、或はこれが垂直方向であるならば、 コンプライアントシール構成物の曲げられる能力によって、充電放電の時、(結果としてアノードの厚さが変化する)質量の移動に対応して、保護膜構成が活性金属アノードの第一面に従う、及び/或は アノード背面が活性金属アノードの第二面に従うことになる。
【0090】
運動の範囲の程度は、一部にはコンプライアントシール構成物の曲げに関する性能と、保護アノード構成への純力の大きさによる。アノードコンパートメントへの純力とはアノードコンパートメントへ外部から働く外力と、活性金属アノード、アノード背面、保護膜構成及びコンプライアントシール構成物を含むアノードコンパートメントの成分に働く内力との総和である。
【0091】
外力とは、アノードコンパートメント外部の成分或は環境であって、その一部ではないものに由来するものである。例えば、外力はバネのようなバッテリ部品によって生じるかも知れず、金属/海水バッテリの場合には静水圧のような、保護付きアノードの周囲の環境の結果に由来するかも知れず、金属/空気バッテリの場合の放電生成物の形成のような、カソードを保護膜構成に逆らって膨張させるような電気化学的反応によって引き起こされるものかも知れない。外力はその他の現象及び現象の組み合わせによるものかも知れない。
【0092】
放電に際し、( アノードコンパートメントの)内力は一般に、但し常にではなく、相互的或は反応的な力であり、外力に応ずるものである。内力は、アノードコンパートメントの成分、即ち活性金属アノード、アノード背面、 保護膜構成及びコンプライアントシール構成物によるものである。
【0093】
例えば、静止の場合には、保護膜構成102とアノード背面106への外部からの応力は一部活性金属アノード100によって吸収されるので、アノードコンパートメント130への力の和はゼロとなる。行動中(充電放電中)には、質量がアノードコンパートメント130の内外へ移動するので、活性金属アノードの厚さは変化し、力のバランスはなくなり、それに応じて、保護膜構成102及び/或はアノード背面106が夫々活性金属アノード100の第一面や第二面と共に移動する。
【0094】
本発明によるコンプライアントシール構成物104は縦横性が十分で曲げ易いので、保護膜構成は外力の影響のもとで 浸透性を十分に維持したまま、この行動範囲内で変形可能である。コンプライアントシール構成物104は張力のもとでもあるので、応答力よりむしろ張力的ストレスをイオン膜構成やアノード背面 に供給し、(例えば、伸張されたエラストマが元の状態に戻り、)両者を活性金属アノードの方向に引っ張る傾向がある。
【0095】
アノードコンパートメントが伸張或は収縮する程度は、充電放電時の活性金属の厚さの変化、及び外応力の大きさと方向に応じたコンプライアントシール構成物の曲げ特性による。一次バッテリセルに保護付きアノード構成が使用される実施例の場合、コンプライアントシール構成物は、アノード背面からイオン膜構成までのアノードコンパートメントの厚さが、バッテリ放電に100%対応するアノードの厚さ変化程度に収縮出来るものであるべきである。二次バッテリセルについても同様に、アノードコンパートメントの厚さは、少なくともアノードが1サイクルごとに経験する厚さの変化だけ、可逆的に収縮及び伸張すべきものである。発明の一面に於いて、本発明の保護付きアノード構成は、充電放電時にアノードコンパートメントの厚さの収縮及び伸張にために有意義的な動作の範囲を供給するものであってよい。有意義的な動作の範囲の意味は、コンプライアントシール構成物が、アノードコンパートメント(図1B−1Cに示すような)の厚さの変化のための動作の範囲として、すくなくとも10ミクロン、好適に少なくとも50ミクロン、更に好適に100ミクロン以上のことである。本発明の或る面に於いて、動作の範囲は250ミクロン以上、500ミクロン以上、1センチメートル以上、及び10センチメートル以下である。
【0096】
本発明の一実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は容易に変形して自身上に折り曲げられる程度に従順である一方、バリヤの特質も十分に備えて居るものである。しかし、より一般的には、コンプライアントシール構成物の設計に於いて、曲げやすさ、丈夫さ、バリヤ特性、欠陥なしに連続的に曲げ伸ばしする能力に関し、更に外部からの応力(大きさと方向)を考慮に入れての妥協がある。
【0097】
本発明のコンプライアントシール構成物は一次と二次の両方のバッテリセルを容易にする。
【0098】
コンプライアントシール構成物の曲げ易さ、バリヤ特性、および化学的抵抗性は、内在的物質特性(例えば弾性率、硬度、引伸度、溶解度、反応度)、幾何学的形状(例えば様相率、厚さ)、及び構成(例えば折り目、皺)の組み合わせに由来する。本発明の精神に於いて、シール構成物の特性は、材料(例えば重合体、金属、セラミックスおよびガラス)の適当な選択、図形(例えば種々の縦横比の薄膜や箔)、および構成(例えば皺、アコーディオンタイプの折り目)に由来することが出来る。
【0099】
発明の一実施例では、コンプライアントシール構成物は必要とする特質、化学的抵抗、曲げ易さ、および実質的不浸透性を総て唯一の物質組成物から成る。
【0100】
重合体は広範囲の特質をもつものである。エラストマのような或る重合体は、弾力的であり、0.01から0.1GPaの弾性率を有し、非常に大きな変形するまで可逆的に伸張可能である。重合体の大部分はそれよりやや高めの0. 1から5GPa の弾性率を有し、それで弾性率は組成と構成によって変化する。相対的に高い弾性率を有するものでも、曲げ易さを与える大きな塑性的変形の範囲を持って居る。多くの重合体は曲げ易いのみでなく、優秀な化学的抵抗性と非常に優秀なバリヤ特性を持って居る。湿気に対して非常に優秀なバリヤ特性を持って居る重合体の例は、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポロビニリデンクロライド(PVDC) 、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVdF、およびパーリエンCである。その他の例は、ブチル、ハロゲン化イソブチレン、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体、及びそれらのハロゲン化物である。不幸にして、完全に不浸透性の重合体はない。与えられた重合体或は重合体の組み合わせがコンプライアントシール構成物を実質的に不浸透性とする能力は、装置に期待され生涯、バリア浸透割合、浸透物質の組成、及びバリヤ壁の厚さによる。壁の厚さ(バリヤ特性改良のためとして)と曲げ易さとはトレードオフの関係にある。重合体はその破壊せずに大きな変形が可能である特性故に、比較的厚い壁を有し、改良された強さと十分なバリヤ特性を持つコンプライアントシール構成物を可能にする種類の材料である。従って、発明の或る実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、化学的互換性、曲げ易さ、及び実質的不浸透性の統べての要求される条件を満たす重合体或は重合体の組み合わせから成る。
【0101】
曲げ特性、バリヤ特性及び化学的抵抗性の間の好適なバランスは、一種以上の重合体物質を組み合わせることが成就できるかも知れない。例えば、複数の重合体層から成る層状重合体組成物は各層の特徴を有効的に組み合わせて、より好適なコンプライアントシール構成物を提供する。例えば、重合体組成物は最上部の化学的抵抗性の層を内部の湿気バリヤ層と内部のガス相バリヤ層と組み合わせ、それに化学的抵抗性の最下層を続け、更にコンプライアントシール構成物をそれに関連する要素(例えばアノード背面と保護膜構成)をボンディングするための熱シール層をも加えて成ってもよい。例えば、重合体組成物はPTFEの外部層、優秀な湿気やガス相に対するバリヤ特性を持つ内部PVDC層、優秀なガス相に対するバリヤ特性を持つ例えばEVOH から成る別の内部層、及び非常に良好な化学的抵抗性のあるポリエチレン(HDPE或はLDPE)最下層から成ってもよい。従って、本発明の他の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は改良された特徴と特性の層状重合体組成物を形成するための重合体物質の組み合わせから成る。
【0102】
重合体が化学的抵抗性と曲げ特性の面で有意義的に有利である一方、金属箔は優秀なバリヤ特性を有する。しかも、アルミニューム、アルミニュームの合金、及びステンレススチールのような引伸し可能な金属は、弾性変形の程度は中位ながら、箔の形態のように縦横比の大きい幾何学的形状の場合、極めて曲げ易いものである。金属箔の組成、ミクロ構成、及び厚さによっては、割れとか装置の製造若しくは運転中で形成されたピンホールとかの問題で、バリヤ特性が減少して居るかも知れない。金属箔の強さは、構成的支持と引伸し特性を加える重合体バッファフィルムとか箔を加えることによって向上するかも知れない。更に、金属箔の表面上の重合体の層は、コンプライアントシール構成物に電気的絶縁性を与える一方、その化学的抵抗を改善するかも知れない。これは、食品、電子部品など外部環境に対してシールを必要とする包装に関する当業者には周知のことである。
【0103】
従って、発明の一実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、アノードコンパートメントの外部環境に対し電気的絶縁性と化学的抵抗性を有する第一重合体層(例えばEVOH, PVDC, PTFE, Surlyn)、これもアノードコンパートメントの外部環境に対し電気的絶縁性と化学的抵抗性を有する第二重合体層(例えばPE, PP, PTFE, 商標名 Surlyn で一般に知られて居る酸で中和されたエチレン酸共重合体から成るもののようなイオノマー樹脂)、及び第一層と第二層の間に挟まれ、湿気はガス相が入ることと、アノードコンパートメントの内部から要素の出ることに対する優秀なバリヤを提供する第三金属箔層(例えば厚さ10〜150ミクロンのAl箔)から成る層状組成物から成る。単一物質層と比較して、多層ラミネート構成は各層の組成は厚さを変化することにより仕立てをすることが可能である。例えば、重合体は優秀な力学的化学的特性を有するが不浸透性ではなく、金属箔はそれ自身優秀なバリヤ材料であり、薄い場合には曲げ易いものの、ピンホールを埋めたり表面を絶縁するために、少なくとも一枚の別の層のあることが有利である。従って、本発明の好適な実施例に於いて、本発明のコンプライアントシール構成物は、多層型ラミネートのように層状に積み重ねられた複数の層から成り、実質的に不浸透性、化学的に抵抗性があり、曲げ易い構成である。
【0104】
本発明の多層ラミネートのコンプライアントシール構成物は、少なくとも最上層と最下層の二層を有する。最上層と最下層以外の層及びその他によって、バリヤ特性や強さが向上する。最上層と最下層とは接触する環境に対して化学的抵抗性がある。多層ラミネートの一変形は以下の三層から成る:(i)実質的に不浸透性の内部/中間バリヤ層;(ii)化学的に抵抗性のある外部―最上層;及び(iii) 化学的に抵抗性のある外部―最下層。これらの層の厚さは、バリヤ特性、曲げ易さ(より厚いフィルムはより好ましいバリヤ特質である代わり曲げ易さで劣る)及び重量の間のトレードオフによって決定される。三層ともラミネート全体として不浸透性のコンプライアントシール構成物を提供する能力に貢献する望ましい特質をもつものであってよい。中間層がアノードコンパートメントの外部乃至内部の環境に晒される場合には、かかる環境に対して化学的安定性が必要であるか、エポクシ系シール剤のような独立したシール剤によって密封されるべきである。本発明に好適な独立したシール剤については以下詳細に記述する。
【0105】
中間バリヤ層として使用される金属箔の例は、アルミニューム、錫、銅、ステンレススチールを含むがこれらに限られるものではない。重量と曲げ易さの観点から、アルミニュームが好ましいが、引伸性のある銅合金などのその他の金属も曲げたり伸ばしたりする過程に於ける強さを付与するかも知れない。金属層の厚さは総重量、曲げ易さ、バリヤ特性などのバランスを考慮して決定される。金属バリヤ層の厚さは好ましくは数ミクロンから150ミクロンの範囲であり、より好ましくは約25umから75umである。
【0106】
アルミニュームのような金属箔は一般的に優秀なバリヤ層であるが、錫セラミック層、錫ガラス層、更には金属のような蒸着材も組み合わせて使用し、バリヤ特性、曲げ易さ、及び化学的抵抗性のバランスを最適化してもよい。縦横比が十分高い場合、薄ガラスや薄いセラミックスも優秀な化学的抵抗性とバリヤ特性を与える。例えばSOxは湿気や酸素へのバリヤとしてPVDやCVDによって蒸着される。薄い層はスパタリング、CVD,レーザ溶発、電子線蒸発など多くの技術によって製造可能である。従って、発明の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、ガラス、重合体、セラミックス、金属、これらの組み合わせなどの材料の薄い層の集まりから成る。
【0107】
ラミネート材料は、直接接触する環境に対して化学的抵抗性が必要である。これには、アノードとアノードの内部環境が含まれる。外部環境には水性或いは非水性溶媒、海水、周囲の空気から成るバッテリ電解質が含まれてよい。内部環境には活性金属に安定なアノライトの形成に使用される多種の非水性溶媒が含まれてもよい。
【0108】
発明の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、その最上層がアノードコンパートメント外部の環境に接触し、その最下層がアノードコンパートメントの内部環境に接触する多層型ラミネートである。Li/空気バッテリの場合の強塩基のような予期される外部環境に対して優秀な抵抗性の物質は、ポロプロピレン、ポリイソブチレン、PTFEである。その他、PE, PP, PTFE,ポリイソブチレンは、有機溶媒に対して例外的な抵抗性があり、更にその他の例として、PE, PP, PTFE,ポロイソブチレンは海水を含む水性環境に対して抵抗性がある。(外部に面した)最上層の厚さは、構成の強さ、バリヤ特性、及び曲げ易さのバランスである。PETの最上層の場合、その厚さは典型的には5から100ミクロンの間、好適には10と50ミクロンの間である。他の材料、例えばガラスやセラミックスの場合、厚さに関する要求が異なり、通常約10ミクロン以下である。
【0109】
(内部に面した)最下層の材料は、アノードコンパートメントの内部要素に対して化学的抵抗性が必要である。普通の要素には液体とアノライト層間保護膜構成(図2D)で記述されたようなゲル型のアノライトとが含まれる。普通のアノライト溶媒や塩に殊に安定した物質には、PE, PP, PTFE,ポリイソブチレンがある。 最下層の厚さの場合も又、構成の強さ、バリヤ特性、及び曲げ易さのバランスである。ポリエチレン層の場合、最下層の厚さは25と400ミクロンの間、好ましくは50と200ミクロンの間である。他の材料、例えばガラスやセラミックスの場合、厚さに関する要求が異なり、通常約10ミクロン以下である。
【0110】
発明の或る実施例に於いては、シール剤が多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物に統合されてもよい。例えば最上層と最下層の中少なくとも一方の外側層が、多層型ラミネートを保護膜構成とアノード背面とにボンディングするための一次シール剤層から成ってもよい。例えば、かような層は、イオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、或は包装産業に使用される熱シール用プラスティクの当業者に既知のその他の重合体から成ってもよい。これらの熱塑性物は比較的低温度で柔らかくなり、保護付きアノード構成に熱圧接によってボンディング可能である。発明の一実施例に於いて、熱シール可能な層がアノード内部環境に接触する多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物である。従って、その層は、化学的に抵抗性であり、熱シール可能でないといけない。上記(図2D)のアノライト層間保護膜構成の場合にアノライトの漏れを防ぐため、内部の熱可塑性層はアノライトで膨張したり、その中で溶解したりしないものでないといけない。熱シール可能の重合体であって、液体及びゲル状アノライトからの化学的アタックに抵抗性のあるものの例として、Mポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、アクリル酸変性ポロエチレン、及びアクリル酸変性ポリプロピレンがある。
【0111】
殊に好適な本発明のコンプライアントシール構成物104は、隣接して堆積された、最上層と最下層と少なくとも一層の中間層を含む三層以上の多層型ラミネート組成物である。好適な実施例に於いて、最下層は低融点で熱シール可能な熱塑性物である。殊に適切な最下層は低密度ポリエチレン(LDPE)である。対照的に、多層型ラミネートから成るこのコンプライアントシール構成物の最上層は外部環境に対して化学的抵抗性を有する。最上層は好ましくは更に電気的に絶縁体である。殊に適切な最上層はポリエチレンテレフタレート(PET)である。多層型ラミネートの総ての層が或る程度のバリヤ特性をもつとしても、中間層の中の最低一層はバリヤ層である。殊に好適な中間バリヤ層はアノードコンパートメント外部の周囲の湿気とかその他悪影響をもたらすものの侵入を妨害するに適当な厚さの金属箔である。殊に好適な内部層は、厚さが例えば30ミクロンのアルミニューム箔である。多層型ラミネートは、金属、重合体、ガラス、セラミックスのようなそれ以外追加的の層を含んでもよい。更に層は層どうしのボンディングのため、或はボンディンのための層を濡らすための接着剤から成ってもよい。
【0112】
コンプライアントシール構成物は、成形とか型押しによって各種の構成をもつ所定の形状にされてよい。例えば、ボンドを載せるプラットフォームのための段を含むように成形されることも出来る。その他の形状も製造の容易の為とか、筒形とか螺旋形とか種々の形態のアノードアレイの構成の為に適切となるかも知れない
【0113】
殊に好適なコンプライアントシール構成物104は、ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造された製造仕様95014の曲げやすい多層型ラミネートである。このラミネートは厚さ約120ミクロンで、ポリエチレンテレフタレートの最上層(厚さ約12ミクロン)、アルミニューム箔の中間層(厚さ約32ミクロン)、ポリエチレンテレフタレートの中間層(厚さ約12ミクロン)、低密度のポロエチレンの最下層とから成る。
【0114】
留意すべきことは、弾性率とは物質の可逆的の曲げの程度を示すものではあるが、本発明の背景に於いて、曲げ易い構成は塑性変形のような非可逆的プロセスを含むどのようなメカニズムによってその運動の範囲を達成することが出来ると言うことである。塑性変形の範囲は物質の塑性とか引伸性を左右する。堅さや引伸性は共に曲げの程度や容易さを一部決定する内在的物性であるが、本発明の好適なコンプライアントシール構成物を選択するに当たって考慮すべき重要な判断基準は、保護されるアノードの生涯を通じて、シールに要求される運動の範囲を供給するコンプライアントシール構成物の能力である。従って、本発明の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、曲げ易さの程度を向上するために予備的に弾性的と塑性的両方のストレスがかけられた金属箔とプラスティク箔とから成ってもよい。
【0115】
物質と縦横比の適当な選択に加えて、コンプライアントシール構成物の構成によって、シール構成に曲げ易さを与えたり、その強さを向上したりすることが可能である。例えば、保護膜構成及び/或はアノード背面にボンディングされる前に、コンプライアントシール構成物を前もって形成された品物へと成形してもよい。その品物はアコーデオン型の折り目とか、各々違う角度の階段のような各種の形状から成ってもよい。ふいごに於いて見られるようなアコーデオン型の折り目は、その構成故の曲げによって柔軟性を与え、強度を増大し、従ってシール構成物がその運行中曲げたり折られたりするストレスや変形に耐える能力を向上させることが出来る。同様に、塑性変形によるランダムな皺(事前の皺寄せ)によって、金属箔、熱塑性物、或はその組み合わせなどの物質の運動し易さの範囲を増加することが出来る。
【0116】
上記に於いて説明したように、縦横比を増加することによってコンプライアントシール構成物の曲げ易さを増大することが出来る。これは、バリヤ特性との妥協になるが、厚さを減らすことで可能である。又、構成の長さを増加することによってもよく、これは角度のある構成、例えばS字型、Z字型、逆Z字型、C字型、逆W字型などを含ませることでもよい。コンプライアントシール構成物に構成によって曲げ易さを加えることは、選択可能な適当な物質の範囲を広めることになる。しかも、或る構造的構成には、コンプライアントシール構成物をアノード背面や保護膜構成にボンディングするためのプラットフォームを提供するような利点がある。勿論、コンプライアントシール構成物の長さはそれが占有する面積を最小化しようとする努力とバランスさせなくては成らないと言うような意味に於いて、幾何学的操作のみで曲げ易さ特性を向上させるのには限度がある。本発明のコンプライアントシール構成物の殊に有用的な構成は、ステップ(段)間が傾いた鋭角若しくは直角である二段構成と記述することが出来る。この形状は、追加的曲げ易さとボンディング用に便利なプラットフォームを提供するものである。
【0117】
再び図1Bを参照し、コンプライアントシール構成物104は段の間が斜めの角である第一段142と第二段144を有する二段構成である。各々の段はボンディング用のプラットフォームとなり、段の間の距離と角度は設計の基準であり、一部活性金属アノードの厚さとコンプライアントシール構成物の曲げ特性によるものである。その角度は不要空間を最小化と曲げ易さとトレードオフの関係にある。各段の深さはボンディングプラットフォームの最大幅を決定する。ボンドの幅は、強い密封的ボンドを得る為に出来るだけ広くすることと、領域がボンドによって電気化学的に非活性化するに従って不要体積と活性領域の消失を両方引き起こし て最小化するのとの間をバランスする重要な判断基準である。
【0118】
図1Bの実施例で示されるように、コンプライアントシール構成物104の第一段142の内面は保護膜構成102に結合されて居る。第二段144の内面は アノード背面106に結合されて居る。ボンドは通常保護膜の何処に設置されてもよい。図1Bではボンドが保護膜構成102の表面上、アノードコンパートメントの外部環境に隣接して設置されて居るが、発明はこの配置に限定されるものではない。
【0119】
コンプライアントシール構成物104の第二段144の内面はアノード背面106に結合されて居る。同様に、コンプライアントシール構成物104は、活性金属アノードに隣接した表面或はその対面を含め、アノード背面のどの部分に結合してもよい。但し、保護付きアノードの全面積に対しての活性金属面積の最大化しながらシールの密封度を最適化したいことを忘れてはならない。再度図1Bを参照し、コンプライアントシール構成物は活性金属アノードに隣接したアノード背面の表面に結合されて居る。
【0120】
更に留意すべきこととして、アノードの全体的形状は図1A−1E(殊に図1D)に示す本発明の実施例では正方形であるが、矩形、円のような他の形状でもよい。形状の選択は装置の最終的応用、装置部品の物性、及びその他の性能最適化パラメタによる。
【0121】
次に図3A−図3Hには、本発明の種々の形状とボンド設置による種々のコンプライアントシール構成物が示されて居る。図はI, II, IIIと表示された行から成り、行Iはコンプライアントシール構成物の縁の三次元的(3D)透視画を示し、行IIは保護付きアノード構成との関係として見たこの縁の断面を示し、行IIIは種々のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成の断面を示す。
【0122】
八つの異なる構成が図3A−図3Hに示されて居る。これらの総ての実施例に於いて、活性金属アノード300、保護膜構成302に結合されたコンプライアントシール構成物304、及び(アノード背面の一部を形成する実施例の場合)アノード背面306から成る。これら実施例の間の主な相違はコンプライアントシール構成物の構成と、コンプライアントシール構成物と保護膜構成とアノード背面の間のボンドの位置である。図3Gと図3Hの実施例は更にコンプライアントシール構成物とアノード背面とが近接した金属片を共有する点で更に相違して居る。
【0123】
図3Aに示されるコンプライアントシール構成物は前に図1Bを参照して記述したものに似ている。これは第一と第二の段及び段の間の斜めの角を有する。各々の段はボンディング用のプラットフォームを提供する。コンプライアントシール構成物304とイオン膜構成302の間のボンドは第一段の内面と保護膜構成302の間に位置する。第二段はその内面とアノード背面の底面との間に結合される。段間の角度はコンプライアントシール構成物304の曲げ特性の微調整の為に調節されてもよい。例えば、段間の角度が大きい(より斜めである)程、曲げ易くなる。図3Bに示されるコンプライアントシール構成物の場合のように角度が減少して90度に近づくと、曲げ易さとアノードコンパートメントの未使用空間に関しての体積の節約の間のトレードオフとなる。
【0124】
図3Cに示されるコンプライアントシール構成物304は直線構成と呼ばれてもよいものであり、縁でイオン膜構成の底面へ、好適には不浸透性のイオン的に導電性の層の表面に直接結合されて居る。コンプライアントシール構成物304はその反対側の縁の上で、アノード背面306の底面に結合されて居る。この構成は足跡が僅少に見えるが、結合が十分に可能のように縁は表面積が十分のように幅広さが十分必要である。従って、縁結合用に十分表面積のない薄いコンプライアントシール構成物304の場合、図3Dに示されるように縁を包み込み、近隣の内面と外面を覆うように独立してシール剤を使用することが出来る。殊に有用的な独立シール剤はHysol E-120HP (Loctite Corporation 製のポリアミド) 或は平均分子量60,000から5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 のポリイソブチレンなどの室温乃至中温度(<200°C)でキュアリングの実質的不浸透性であり化学的抵抗性のあるエポクシである。
【0125】
上記の例に於いて、二段構成の図示された角度は略垂直と斜めの範囲であった。二段構成の段の間の角度が鋭角である場合、Z構成とか逆Z構成と呼ばれる方がむしろ適切である。図3Eには、ボンドが保護膜構成302の底面とアノード背面306の間でコンプライアントシール構成物304の外面と内面の上に夫々位置されたZ構成が示されて居る。この場合でも、イオン膜構成302の上のボンドが 不浸透性のイオン伝導性のある層の表面の上にあるのが好適である。
【0126】
コンプライアントシール構成物304のその他の構成であって、ボンドが アノード背面306の最上面と 保護膜構成302の最上面の上に位置されたアコーディオン状の折り目の構成が図3Fに示されて居る。図3Fは、独立した二次シール剤312が継ぎ目や一次シール剤が塗られた領域を覆うようなマルチシール剤の方法の実施例をも示すものである。例えば、多層型ラミネートから成るコンプライアントシール構成物はその内部金属バリヤ層や一次シール剤として使用された集積された熱シール可能な熱塑性層とをアノードコンパートメント外部の環境に露出して居るかも知れない。化学的抵抗性があり実質的に不浸透性な独立シール剤が熱シールの縁に塗られたら、バリヤ層の腐食に対する化学的保護となり、侵入物質が浸透したり熱塑性層を膨張させたりするのを防ぐことが出来よう。この場合にも、殊に有用的な独立二次シール剤はHysol E-120HP であり、その他の例は平均分子量60,000から 5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 のポリイソブチレンである。
【0127】
図3Gに示すのは、イオン膜構成302とアノード背面306とに結合されたコンプライアントシール構成物304である。この実施例に於いて、アノード背面306とコンプライアントシール構成物部品305とは共通の隣接した物質片を共有する。好適な実施例に於いては、コンプライアントシール構成物とアノード背面の両方が同じ組成の熱シール可能な内部層を有し、これにより殊に強靭な熱シールとなり、タブのような端子コネクタの入り口を一体化するのが容易となる。
【0128】
最後に図3Hが示すのは、保護膜構成に結合されたコンプライアントシール構成物304であって、アノード300の後側に巻き付けられ、アノード背面306とコンプライアントシール構成物304は又もや共通の隣接した物質片を共有して居る。
【0129】
上記種々のコンプライアントシール構成物の実施例で注目されたように、シール剤(場合によっては二種以上)がコンプライアントシール構成物を保護膜構成とアノード背面とに結合するのに使用されて居る。一般的に、装置の使用期間に亘って結合を保つ十分な強さがあり、上記のように実質的不浸透性と化学的抵抗性がある限り、どのようなシール剤であってもよい。化学的互換性とか、温度のような工程条件の面でアノードコンパートメントの物性とマッチしなくてはならない故、シール剤を適当に選択することは重要である。物性のマッチすることについては特に注意を要する。上記のように、本発明のコンプライアントシール構成物の多くは 比較的低温度(<350°C)で悪化する重合体より成り、従って低温とか好適には室温で結合するシール剤が要求される。しかも、アノードコンパートメント内部の部品は活性金属アノードや液体アノライトのように温度に非常に影響を受け易いかも知れない。本発明に好適なシール剤とは、結合される物質の両方或は全部の融点若しくはガラス遷移温度以下で固定するものである。殊に有用的なシール剤は、熱圧接で結合された低融点熱塑性物(例えばLDPE, LDPPなど)、及び中温度乃至室温で固定出来る化学的抵抗性のあるエポクシシール剤(例えば Hysol E-120HP 及びその他平均分子量60,000から 5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 のポリイソブチレンなど)である。
【0130】
粘着性シール剤、例えば Hysol E-120HP 或はポリイソブチレン(平均分子量60,000から 5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 ) 及び熱圧接で結合されたLDPEやLDPPのような熱塑性シール剤は好適であるが、本発明にとって有用的である独立シール剤はこの種のみではない。例えばコンプライアントシール構成物或は結合される物質が熱に影響され易い物質から成るのでない場合には、ガラスシール、ろう付け、溶接シールなど種々の別種のシール剤や結合技術を使用してもよい。例えば保護膜構成が完全に固体構成であり、コンプライアントシール構成物が、金属やセラミックスのような熱安定性の物質から成る場合には、このような代用シール剤が使用可能である。
【0131】
或る実施例に於いては、シール剤はコンプライアントシール構成物と一体をなす部品である。例えば 多層型ラミネート構成の表面を形成する低融点の熱塑性層である。かような熱塑性の最下層は比較的低温度で軟化するので、熱圧接(熱シーリング)によって結合する。液体或はゲル状のアノライトの層間保護膜構成(図2D)が使用される場合、熱シール可能な熱組成の最下層は層間層を満たす液体アノライトに対して化学的に安定であり、それで膨張しないことが必要である。好適な熱シール可能な層の例はイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、Surlyn、ポリフェニレンオキサイド、アクリル酸変性ポリエチレン、及びアクリル酸変性ポリプロピレンである。その他の実施例に於いては、一体化されるシール剤はポリイソブチレンのような粘着剤であり、これは保護構成やアノード背面に結合される前にコンプライアント構成物に塗られてもよい。
【0132】
エポクシ系シール剤(例えばHysol E-120HP)のような独立シ-ル剤或はポリイソブチレンのような粘着性シール剤は、コンプライアントシール構成物と一体化された部品となるシール剤に反し、保護膜構成の表面及び/或はアノード背面の表面のような対向面にコンプライアントシール構成物を結合させる一次シールに使用されてもよい。独立シ-ル剤は、例えば熱シールされた熱塑性物の縁の周囲など、既に一次シール剤が塗られた継ぎ目の周りなどで、二次シール剤として使用されてもよい。このような多重シールのシステムは一次シールの強さやバリヤ特性を改善する。熱シール性の一体化シール剤と各種の構成物から成る多重シール剤システムは本発明の範囲内とする。熱シール結合が一次結合である場合、二次及び三次シ-ル剤は好適に熱シール用の熱塑性物の軟化温度以下の温度で処理される。熱シールの継ぎ目の上に使用される殊に好適な二次シール剤は Hysol E-120HP のようなエポクシ系粘着剤である。さらに有用性のある独立シ-ル剤はポリイソブチレンである。
【0133】
他の実施例に於いて、パラリエン塗料がアノードコンパートメント周囲のバリヤ特性を向上させる非一次独立シール剤として使用される。パラリエンは優秀な化学的抵抗性があり、縁シールの周囲とかコンプライアントシール構成物全治の適合塗料をつくるのに使用され得る。パラリエン塗料は、一次熱シール可能な熱塑性物を使用して保護膜構成を結合するコンプライアントシール構成物の縁をシールするのに殊に有用である。例えば、保護膜構成の表面のような感度の高い領域が塗られないようにマスク法によって継ぎ目の周囲にパラリエンを塗ってもよい。更に、パラリエンは適合性があるので、例えば構成物を塗ってピンホールを埋めたり及び/或はカバーしたりして、一般にコンプライアントシール構成物のバリヤ特性や絶縁性の向上に使用されてもよい。
【0134】
保護膜構成とコンプライアントシール構成物の間の結合の強さと安定性を向上するのに保護膜表面の前処理が使用され得る。これには化学的(酸または塩基)エッチングや機械的研磨のような膜の面を粗くする処理が含まれる。殊に好適なエッチング剤は濃水酸化リチウムである。尚、カソライトやアノライトの中で安定な無機化合物の薄層のようなプリマ(下塗り剤)で膜面の周囲を塗ってもよい。そのようなプリマを塗る場合の厚さの範囲は約0.01から0.5mmであり、好適には0.05から0.5umである。殊に好適なプリマ用の化合物は、N2雰囲気の中での反応性スパタリングのような物理蒸着法で出来るSnNxや窒化チタニウムのような窒化金属である。その他好適なプリマの例として、ゾルーゲル法、熱蒸発法、化学蒸着法、熱分解法などで出来るIn2O3, SnO2, TiO2のような酸化物がある。
【0135】
再度図1Bを参照し、好適な実施例のコンプライアントシール構成物104は、コンプライアントシール構成物の保護膜構成102とアノード背面106とへの熱圧接による結合するLDPEのような一体化シール剤を含む。図1Bの実施例に於いては、アノード背面支持物107も、同じでないにせよ同様な低融点の熱塑性内部層から成る多層型ラミネートである。
【0136】
図1A、1D、1Eに示された実施例は本発明に於いてコンプライアントシール構成物は一体化された窓枠の形に形成することを示唆して居るが、コンプライアントシール構成物は別個の個性物や要素から成るものや、別個の構成物や要素を結合して有効的に一体化されたコンプライアントシール構成物としたものでもよい。
【0137】
好適な一実施例に於いて、コンプライアントシール構成物とアノード背面と両方がLLPDEの熱塑性、熱シール可能な内部層を有する。両者が熱シール可能であり同じ組成物であるので、殊に強い熱結合となり、タブのような端子コネクタ用の入り口を一体化するのが容易になる。図1Bに示されるように、タブはアノードコンパートメント内部のアノード電流コレクタと結合し、アノードコンパートメントから出るのはコンプライアントシール構成物104とアノード背面106の間の入り口からである。この結合と密封性を強化するため、端子接合用タブはLPDEのような低融点熱塑性樹脂で覆う及び/或は塗るのもよい。
【0138】
他の実施例
発明の基本的なパラメタは実施例を参照して上記された通りである。発明は下記の例の構成物、アレイ、セルなどで実施されてもよい。
【0139】
両面型アノード構成
本発明の保護付きアノード構成の代替え的実施例を図4A、図4Bに示す。図4Aは保護付きアノード構成の断面図であり、図4Bは保護付きアノード構成の外観を示す。この保護付きアノード構成420は両面型の構成である。構成が両面型であると言うのは、活性金属イオンが保護付きアノード構成の両面を通して出入出来ると言う意味である。保護付きアノード構成420は第一と第二面を有する活性金属アノード400から成る。保護膜構成404が活性金属アノードの第一面に隣接し、本実施例では第二保護膜構成であるアノード背面406が第二面に隣接して居る。例えばニッケル箔である電流コレクタ408が活性金属アノード内部に埋め込まれている。一実施例に於いて活性金属材料はLiであり、アノードはLi箔を例えば圧接によって電流コレクタの両面に付着することで形成される。別実施例として、グラファイトのような活性金属層間挿入物から成る組成物塗料で、アノードの活性金属材料を電流コレクタの両面に塗ってもよい。
【0140】
記述された実施例に於いて、保護膜構成402と406の両方とも夫々コンプライアントシール構成物404と405との結合されて居る。コンプライアントシール構成物部品は第一と第二の段及びその間にやや斜めの角度を持って予め形成されたフレームで成形される。コンプライアントシール構成物404の第一段はそれに対応する保護膜構成402に結合されて居る。同様に第二保護膜構成は第二コンプライアントシール構成物成分に結合されて居る。各コンプライアントシール構成物の第二段はアノードコンパートメントの周囲で互いに結合されて居る。従って最終的構成は二個の二段構成から成る。言うまでもなく、上記の如く他の構成も可能である。
【0141】
本発明の殊に好適なコンプライアントシール構成物は熱シール可能な熱塑性の最下層を有する多層型ラミネートである。従ってこれらのコンプライアントシール構成物は夫々の保護膜及び互いに熱シールされる。
【0142】
図4Aを再度参照し、電流コレクタ408は端子コネクタ410に結合されて居る。端子コネクタは、電流コレクタ及び/或はアノードの活性金属と、例えば溶接、物理的圧接、超音波溶接、抵抗溶接など周知の方法に限られない多くのものから選ばれる方法によって接合されてよい。
【0143】
端子タブ410はアノードコンパートメントの外部へと伸び、発明の一実施例では、第一と第二コンプライアントシール構成物404/405が結合される接合点からアノードコンパートメント外部に出ている。コンプライアントシール構成物成分が 多層型ラミネート材料である場合には、端子タブは熱圧接によって二個のコンプライアントシール構成物成分404/405の最下層の熱塑性材料で包み込まれてもよい。タブのまわりが確実に密封されたことを保証するために、端子タブ410は低融点の熱塑性物で塗られてよく、或は低融点の熱塑性の膜で熱シールの箇所でその表面を巻き付けてもよい。好適な熱塑性物とはポリエチレン或はポリプロピレンである。
【0144】
大部分の実施例に於いて両面型保護膜構成は両方の保護膜構成の第二層の材料(モノリシック構成の場合には固体電解質)が略同じ組成と厚さであるとの意味で対称であるが、この対称性によって装置の機能性が有利であるとか対称性から機能性が導かれると言う場合もある。発明の一様相に於いて、非対称性は化学的組成、原子構造、及び/或は第二物質層の厚さを変更して、一方の膜が実質上他方と異なるようにして実現可能である。他の様相に於いては、両面型保護膜構成は、対向する保護膜(両面型保護膜構成の両面の膜)を通る電流が独立して電気化学的制御のもとにあるように、電気絶縁体で二等分された活性金属電極から成ってもよい。
【0145】
保護付きアノードアレイ
本発明は更に個々の保護付きアノードセルの組み合わせから成る保護付きアノードアレイ構成に及ぶものである。保護付きアノードセルのアレイを持つことによって、アノードのディメンションを増大させ、異なる構成的形状の表面に順応することが出来、円筒形は螺旋状に巻いたデザインのような種々の構成のアレイを提供するような順応性のあるアレイ構成が可能となる。
【0146】
順応性のあるアレイで、操作、製造の期間とか、装置の使用、運行に際して高程度の強度が得られる。例えば大洋に露出される金属/海水バッテリの場合、或る程度の曲げ性のある本発明の保護付きアノードアレイはかような水中での使用に対する強さの意味で有用である。しかも、曲げ性のアレイは順応性で有利であり、或る容積とか形状で収まらなくてはならないバッテリセルの体積最適化の面で各種の利点を提供する。個々のセルが一部曲げ性のコンプライアントシール構成物によって全体的に外部環境から密封されて居る一方、アレイ本体はリジッドでも曲げ性があってもよい。アレイの曲げ性はコンプライアントシール構成物の柔軟性によって、 アノード背面を共有するセルから成るアレイの場合にはアノード背面の柔軟性によっても決定される。
【0147】
発明の或る実施例に於いては、アレイの個々のセルが共通のアノード背面を共有し、その他の配列に於いて、アレイは平面的とか円筒的形状など種々の形態をとり得る。アレイはリジッドであっても曲げ性があってもよい。他の実施例としてアレイは両面型のアノードセルから成ってもよく、発明の別の実施例として殊に柔軟性のあるアレイは螺旋状に巻くに十分である。
【0148】
片面型の保護付きアノードアレイが(一部切り開いて各層を示す)図5A図に示されて居る。図5Aのアレイは、4列あって各列に4個のセルがあるとの意味で4x4平面アレイと称される。実施例記述の便宜上、アレイの次元は各列のセル個数をmセル、列の数をn列と定義する。例えば3列あって、各列に6個のセルがあれば、それは6x3アレイとする。本発明のmxnアレイは平面型、円筒型を含み、如何なる形状でもよい。本発明は厳密に垂直な配列である必要はなく、又どのような順序つきの配列である必要もないことは明白であろう。事実、アレイは全然ランダムなアノードセルの配列で構わない。
【0149】
アレイの保護付きアノードセルは一般に正方形、矩形若しくは円形であるが、如何なる幾何学的形状や大きさでもよい。図5Aでの個々の保護付きアノードセルは正方形である。しかも、各保護付きアノード構成が同じディメンションであっても、アレイの個々の保護付きアノードセルは大きさや形状が異なってもよい。事実、各保護付きアノードセルの形状や大きさを変化させることで、アレイ構成の設計に順応性が得られ、アレイ本体に順応性が得られる。従って、一実施例によれば、各セルのディメンションを幅で変化させ、保護付きアノードアレイ螺旋状に巻けるようにしてある。各曲がり角での曲率半径は一部アレイの或る方向のセルの幅の変化による。この実施例にについては以下、図7を参照して詳細に説明する。
【0150】
再度図5Aを参照し、この実施例の保護付きアノードアレイ520は4x4マトリクスとした16個のセツから成る。これら個々のセルは構成上図1A−1Eに示された片面型保護付きアノード構成と同様である。アレイの16個のセルの各々は第一と第二の面を持つ活性金属アノード500から成り、各セルはその活性金属アノードの第一面に近接する保護膜構成502を有する。図5Aに於いて、及び対応して図5Bと図5Cの断面図に於いて、アレイの個々のセルは共通のアノード背面支持部品507を共有する。この共通のアノード背面支持部品は実質上不浸透性であり、各セルの活性金属アノードの第二面に近接している。アノード背面はリジッドでも曲げ性があってもよい。
【0151】
好適な実施例のアノード背面支持部品は曲げ性かある。好適な曲げ性のアノード背面は、ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造された製造仕様95014の曲げ性の多層型ラミネートのような多層型ラミネートであるか、それを含むものである。このラミネートは厚さ約120ミクロンで、ポリエチレンテレフタレートの最上層(厚さ約12ミクロン)、アルミニューム箔の中間層(厚さ約32ミクロン)、ポリエチレンテレフタレートの中間層(厚さ約12ミクロン)、低密度のポロエチレンの最下層とから成る。かようなラミネートは同じ組成のコンプライアントシール構成物と非常に強固な熱シール結合を形成するので、共通のアノード背面として殊に有利である。更に、多層型ラミネートは軽量であり、アレイに優秀なバリヤ特性を与える。
【0152】
図5Bのアレイは閉鎖型デザインと呼ばれるものの代表的な例であり、ここでは個々のセルは自身のアノードコンパートメント内に、そのセルの保護膜構成502と共通のアノード背面支持部材507に結合されたコンプライアントシール構成物504によって包み込まれて居る。このコンプライアントシール構成物は16個の独立的に予め形成された構成として、或は一体化されたコンプライアントシール構成物の中の16個の内部フレームを持つ一個のコンプライアントシール構成物として供給されてもよい。別の実施例によれば、アレイの各列は自身の既成のコンプライアントシール構成物から成る。 図5Aと図5Bの場合、これは例えば熱シールによって共通のアノード背面支持部材507に結合された4個の内部フレームを持つコンプライアントシール構成物のこととなる。
【0153】
本発明の保護付きアノードアレイはセル間の連結や外部環境への出力に関して広い範囲での変更が可能である。セル間の電子的結合の分配により、セル間の収電の導電性接触子や外部環境への電気的出力用の端子コネクタから成る導電性ネットワークが構成される。
【0154】
一実施例に於いて、各セルの活性金属アノードは、対応するアノードと電子的連続性があり、アレイの囲いの外部に伸びる自身の端子コネクタを有する。この種類の構成によって、個々のセルの対して最も制御が可能であり、外部の電子回路が各保護付きアノードセルを独立的に監視/制御出来るようになる。この構成とのトレードオフになるものは、各外部ポートの周囲のシールの数が増えるので、シール欠陥の可能性が増加することである。従って、発明のこの面にあっては、上記 Hysol E-120HP のような二次室温用粘着性シール剤をコンプライアントシール構成物とアノード背面の間の接点で継ぎ目に使用するが殊に有効となる。
【0155】
別の実施例によれば、保護付きアノード構成アレイはステンレススチールの箔或は板のような導電体で、アレイ全体に電気的連続性と端子接合を与える共通のアノード背面から成る。或る場合に於いては、別途に追加的端子結合を図ることや、それに関しての電気的出力用のシールが不必要になるので、発明のこの面は有利である。
【0156】
アレイの設計者にとっては、電流収集と端子接続の両方を与える共通のアノード背面の単純さと、各アノードセルの独立的な電子的制御の間、 及び/或はその組み合わせの選択の自由がある。
【0157】
これら両方のデザインの間のバランスが図5Aのアレイの実施例で示されて居り、ここでは各列のアレイ用に別々の端子コネクタ510が与えられて居る。従って、4個の端子コネクタがあり、各々がその列の4個のセルからの出力電流を供給する。その目的のため、各セルのアノード背面506は活性金属アノードの背後に位置する電流コレクタ508から成り、これらの電流コレクタは金属箔のタブのような適当な導電性物体で電気的に接続されて居る。別例として、各列の活性金属アノードの背後の電流コレクタが列に沿った各セルに伸びる一体化された構成から成り、その列のセル間の電気的連続性を維持するものであってもよい。
【0158】
閉鎖型デザインに代えて、図5Cに示すのは開放型アレイデザインであり、ここでは、各セルの保護膜構成がコンプライアントシール構成物によって連結されて居り、アレイの周囲の周りのアノード背面にのみ接合して居る。これにより、隣接するセルのアノードコンパートメントは効果的に互いにオープンの関係にあることになる。アレイを環境からシールオフするため、アレイの周辺のセルはアノード背面に付けられる。開放型のデザインは開放的な内部構成となり、恐らくセル間の接合により曲げ性を与えることになろう。対照的に、閉鎖型デザインでは、各アノードコンパートメントの容積を独立的に制御可能なので、各セルの性能の制御が有意義的に向上する。
【0159】
例えば保護膜構成によって決定されるように、アノードセルの大きさが与えられた場合、本発明のアノードアレイはバッテリセルのような関連装置の大きさを向上することが可能にする。図5B、図5Cを参照し、バッテリカソード518を4x4の保護付きアノードアレイの保護膜構成502に隣接して配置し、アレイから成るバッテリセルを形成することが出来る。発明の一実施例では各カソードはアレイの各アノードセルを覆い、別の実施例では一個のカソードを大きくしてアレイ面全部を覆うようにする。
【0160】
本発明のアレイは、各種の構成の形状に順応してアレイの全体的特性に強度と与えるとの意味で、順応性を有してもよい。アレイの順応性はコンプライアントシール構成物の曲げ性、叉開放型か閉鎖型かと言う胃アレイのデザインにより、アレイが共通のアノード背面を有する実施例の場合には、共通の背面がアレイの全体的順応性の決定的要因となる。共通のアノード背面を持つのでない個々のアノードセルから成るアレイの場合、即ち個々に独立したアノード背面のある場合、アレイの順応性はシール構成物の順応性で決定される。一般的に、共通のアノード背面を持つアレイの場合、アエイの順応性はコンプライアントシール構成物とアノード背面の順応性の両方によって決定され、アノード背面の順応性はアノード背面の構成と構造の機能による。
【0161】
本発明の保護付きアノードアレイは、円筒形や螺旋巻きを含めて、広範囲の形状に構成可能である。図6Aと図6Bを参照し、アレイ640は円筒形であり、その中でアノード背面606はアレイのゼルの総てに共通の円筒である。保護付きアノードアレイは要するに図6Aに示される如く円筒の内周に沿い、図6Bの円筒の外周の周りで曲線を描く。アレイはリジッドであっても曲げ性があってもよい。一実施例によれば、アレイは平面として製造され、その後円筒形に丸められる。別の実施例ではセルがリジッドな円筒形のアノード背面の上に形成される 図6Aを参照し、アレイの各アノードセル620は第一と第二面を有する活性金属アノード600から成る。第一面は保護膜構成602に隣接し、第二面はアノード背面606に隣接する。コンプライアントシール構成物604は保護膜構成602とアノード背面606に接合されてその周辺内に包み込む。
【0162】
図6Aと図6Bに示される実施例に於いて、各セルは共通のアノード背面606に包み込まれて居るので、アレイは閉鎖型のデザインである。アノード背面は各活性金属アノードからの金属を収集し、各セルからの電流を端子コネクタに伝送するための金属グリッドを表面に塗った曲げ性のある重合体から成るものでよい。上記のように、アレイはセル毎に端子コネクタを有してもよく、所定数のセルに端子コネクタがあってもよく、アレイの総てのセルに一個の端子コネクタがあってもよい。曲げ性の重合体の背面は図6Aと図6Bに示されるように円筒形に丸められてもよい。別の実施例では、セルは銅の円筒のような金属円筒である共通のアノード背面を共有してもよい。ここで、電流収集と端子連結は銅円筒で行われる。バッテリの中で使用されるような場合、保護付きアノードアレイ640はカソード、或は水がデポラライザとして使用される場合には電子伝送機構618、を含む。カソードは図6Aの実施例の場合円筒内何処でもよく、図6Bの円筒の外側のいずれの位置にあってもよい。図6Aでは、各カソードは円筒内部の保護付きに直接隣接して居る。図6B図では唯一のカソードが円筒の外部を効果的に巻いて居る。例えば金属/海水バッテリの場合、アレイのセルは海水に露出して居る。場合によっては海水が円筒の内部に、或は外部の周りに侵入することになる。実施例では円筒形が描かれて居るが、アレイには十分順応性があって、他の形状を取り得る。実施例によってはアレイが柔軟性のアノード背面の上にああり、柔軟性が付与されて居る。別の様相によれば、アレイは装置の形状に順応し、その装置に順応した様相で隣接して設置されてもよい。更に与えられたアレイの各セルの形状や大きさを調整し、アレイを縁や隅の周りなどに順応させることも出来る。これは更に図7A、図7Bの実施例を参照して例示する。
【0163】
多くのバッテリ性能パラメタはアノードやカソードの見かけ面積によるものである。本発明の一実施例のアレイに於いて、両面型組み合わせによってアレイの見かけの活性面積は二倍になる。両面型アノードアレイ740が 図7Aに示されて居る。このアレイは個々の保護付きアノード構成セル720が繋がってセルの列を成して居る。各セルは第一と第二の面を持つ活性金属アノード700から成る。活性金属アノード700の第一面は保護膜構成702に隣接し、第二面はアノード背面706に隣接して居る。この実施例は両面型アノードなので、このアノード背面は第二の保護膜構成である。二段構成の形状のコンプライアントシール構成物成分704は保護膜構成702に結合され、第二コンプライアントシール構成物705はアノード背面706(第二保護膜構成)に結合されて居る。これら二個のコンプライアントシール構成物は互いに結合されてコンプライアントシール構成物を完成し、セルを包み込む。セルは電気的連続性を有し、導電性接続子が第一と第二の保護膜構成のコンプライアントシール構成物の間に包み込まれて居る。接続子はアレイ740の長さに沿って、最終のセルに届くまで伸び、端子コネクタはこうしてアレイの外側まで伸びる。
【0164】
図7Bが示すように、セルの列に沿った各セルの物理的長さは、一番長い第一のセルから一番短い最終のセルまで累進的に変化する。コンプライアントシール構成物成分704、705が適当な順応性を持って構成が望む曲率半径で曲がるとした場合、このデザインにより、アレイは図7Aが示すように螺旋的に巻き付くことが出来る。各曲がり角に於ける曲率半径は、一部アレイの長さ方向のセルのディメンションの累進的変化の程度とコンプライアントシール構成物の曲げ性とによる。 図7Bのセルは共通のアノード背面を共有して居るのではないので、これらの曲げ性はコンプライアントシール構成物704、705の柔軟性による。
【0165】
アレイの別の実施例が図8A、図8Bに示されて居る。このアレイは互いに繋げられ、端子連結のされる中心点から発散されている上記のような両面型の保護膜構成から成る。これは車輪のハブとスポークの構成に似ているものであり、この場合スポークがハブで共に連結されたセルのアレイに相当する。このような配列は金属/海水バッテリセルの表面面積の向上に特に有用であり、レドックスフローセルの場合にも特に有用である。好適な実施例に於いて、スポーク方向のセルの各アレイは十分リジッドであってアレイに構造的支持を与え得る共通アノード背面を共有して居る。理想的には、共通のアノード背面は炭素組成物のように強固でかつ軽量な物質から成るものである。
【0166】
カロライト(例えば海水やレドックスアクティブな液体)が実質的にアノードアレイ(スポークに対応)の間の領域を満たして居る。導電性物質の少なくとも一つ(図示なし)から成る適当なカソード構成が各アレイに隣接して位置されて居てもよい。各スポークの長さには、バッテリセルの体積の最適化を考慮するに当たり、 スポークが長くなるにつれ、スポーク間の体積は累進的に大きくなると言う意味に於いて、限度があるものである。図8Bの実施例は所謂「ハブとスポーク」構成になるアレイを示すものである。有効的に、このアレイは 保護付きアノードアレイを高密度に詰め込むものである。
【0167】
電気化学セル構成
出願者の審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894と対応国際特許出願WO 2005/038953及びWO 2005/083829は本発明の以降の開示に組み込まれるものであり、これらに記述された保護付きリチウムアノードの発明は、かようなアノードに基づく新しい電気化学セル構成のデザインに有意義的な利点をもたらすものであり、その利点にはカソード構成や保護膜構成がなければアノードを腐食してその機能を悪化させるカロライトと共に活性金属電極を使用する能力が含まれるものである。
【0168】
本発明の記述に於いて、カソライトとはカソードと接触する電気化学セル構成の電解質と定義されて居る。更に保護付きアノード構成のために、カソライトは活性金属アノードと接触して居ないものと定義されて居る。従って、此処で定義されたカソライトは、保護付きアノードコンパートメント外部の環境の一部である。カソライトは固体、液体、或は気体から成ってよい。さらにカソライトは電気化学的に活性の成分を含んでもよく、その例には水性デポラライザ、海水、水性及び非水性可逆的酸化還元(レドックス)カップルフローセルバッテリに使用されるようなバナジウムレドックス種、及び/或は粒子レドクス種のような溶解した酸化剤があるが、それに限られるものではない。
【0169】
本発明の電気化学セル構成は、保護付きアノード構成、カソライト及びカソード構成とから成る。カソード構成とカソライトとは、保護付きアノード構成のアノードコンパートメントの外部にある。組み合わせられた状態にあって、 カソード構成とカソライトとはカソードコンパートメント或はカソード環境の一部とみなされてもよく、そこで電気化学的に活性なカソードの成分が還元や酸化を行う。電気化学的に活性なカソードの成分とは、カソライト、カソード構成、或はそれらの組み合わせの一部であってもよい。電気化学的に活性な成分の電気化学還元及び酸化反応は、カソード構成の上或は内部で起こる。従って、本発明の場合、カソード構成は導電性成分から成るものであり、それに加えて、イオン伝導性の成分や電気化学的に活性な成分から成ってもよい。
【0170】
カソード活性成分の一部或は全部がカソライトに含まれて居てもよい一方、電気化学的レドックス反応はカソード構成の上或は内部で起こる。従って、本発明の或る面に於いて、カソライトは一部カソード構成の内部に保持される。発明のその他の実施例に於いて、カソライトは一部カソライトリザボアコンパートメント内に保持される。カソライトリザボアコンパートメントは、その一部或は全部がカソード構成と保護付きアノード構成の間に位置してもよい。これは更に、レドックスフロウセルの場合など、カソード構成と保護付きアノード構成との間の領域から離れた別個のリザボア容器の中に一部位置して居てもよい。このような構成に於いて、放電生成物の一部はセル外部に貯蔵されてもよい。
【0171】
本発明の一般的な電気化学セル構成1350の断面図が図13に示されて居る。このセル構成は、 アノードコンパートメント1330内部に第一と第二面を包み込まれた活性金属アノード1300から成る保護付きアノード構成、及びカソード構成1312とカソード構成とアノード保護膜構成1302の間にある任意のカソライトリザボア1316から成るカソードコンパートメント1340から成る。カソード構成1312は導電体、とカソライトとなら成り、更に電気化学的活性物質を含んでもよい。カソライトリザボアは任意であり、カソライトから成り、更にミクロ多孔性Celgard或は多孔性の布のようなセパレイタ材を任意に含んでもよい。カソライトは水性物或は非水性物を含む適当な電解物質でよく、更に電界質に溶解或は懸濁した電気化学的活性種類を含んでもよい。 保護膜構成1302がアノード第一面に近接し、アノード背面1306がアノード第二面に近接している。アノード及びカソードコンパートメントは蓋1324と壁1326とアノード背面になる基底の付いたバッテリ容器に包まれて居る。
【0172】
本発明の保護付きアノード構成は物理的化学的に活性金属アノードをカソード環境から隔離し、アノードコンパートメント及びカソード構成とカソライトとから成るカソードコンパートメント(カソード環境とも言及される)とを有用的に構成する。従って、アノードカソードコンパートメント内の成分は互いに独立して選択され最適化され得るものであり、本発明は電気化学セル構成の選択に大いなる順応性を与えるものである。例えば、本発明の保護付きアノード構成により活性金属バッテリセルがアノードを腐食することになるカソード環境で使用可能となる。
【0173】
アノードとカソードが効果的に隔離されるので、カソライトの選択に多大な順応性が得られる。本発明に有用なカソライトは固体、液体、気体を含むものであるが、主として液体相のものである。本発明での多面に於いてカソライトに含まれるものはレドクスアクティブな液体のような電気化学的に活性なレドクス成分であるがそれらに限られるものではない。レドクスアクティブな液体の例に以下のものがある:水、海水、SOCl2のようなオクシハライド、遷移金属塩化物或は臭化物のような溶解したレドクス種、水性物或は非水性物に溶解した酸素のような溶解した酸化剤、フロウセルバッテリに使用されるバナジウムレドクス種のような可逆性レドクスカップル、及び/或は担体液体に懸濁された粒子体レドクスカップル。
【0174】
尚、保護付き電極がカソライトから完全に分離して居り、カトライトのアノードとの互換性が問題でなくなって居るので、活性金属アノード(例えばLi, Na, LiC6など)と動力学的に安定でない溶媒や塩も使用出来る。保護付きアノード構成によって、LiFePO4, LiV2PO4のような層間挿入カソードやその他の高電圧カソードを組み込んだバッテリセル用のイオン液体を含む広範囲のカソライトが使用可能になる。しかも、アノライトの化学的安定性がカソード構成から分離されて居るので、活性金属アノードやリチウム化炭素アノードのような活性金属層間挿入電極と接触するアノライト溶媒の選択範囲が広くなる。
発明の一実施例に於いて、大洋での金属/海水バッテリセルとか電気化学的フロウセル構成の場合のように、カソライトはカソードコンパートメント/領域を流出し、それによって放電生成物を排出し、酸化剤を再供給するようにされて居る。
【0175】
他の実施例に於いて、発明は出願者の審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894に記載された金属/空気セル、金属/海水セル、金属/ハライドセルのような水性カソード環境を有する電気化学セル構成に関する。
【0176】
本発明に従って保護付きアノード構成から成るバッテリセルのカソード構成は、如何なる組成であってもよく、 保護付きアノード構成が隔離されて居る故に、活性金属アノードやアノライトの組成によって限定されるものではない。殊に、カソード構成は、さもなくばアノード活性金属と反応性の高いことになる成分を含んでもよい。
【0177】
ここに記述される保護付きアノードにより、Li/海水セル、Li/空気セルのような、カソードコンパートメント内に水性成分を持つ金属/空気や金属/水バッテリのような活性金属(例えばLi, Na)バッテリとか、その他の環境に露出される電気化学セルの効率的な運行が可能と成る。一般的に、このようなセルはカソライトとカソード構成とから成り、そのカソード構成は更に導電性成分、イオン的に導電性の成分、及び電気化学的に活性な成分から成り、これらカソード構成の成分の中少なくとも一つが水性の組成物か成分を有するものである。このようなセルは一般に従来例のセルに比較して向上した性能を有するものである。下記するように、このようなセルは広範囲で使用応用が可能である。この種のセルは各種の電気化学反応により運行し、各種の形態(例えば一次液体、気体、固体)にあるカソードからの電気化学的に活性な成分を有するものであるが、これらのセルの各種に共通しているものは、セルのカソード側の Li イオン伝送の為の水性成分である。アノードとカソードを保護付き膜によって分離することにより、この新しいタイプのバッテリやその他の電気化学セルの製造か可能となる。
【0178】
金属/空気セル
本発明の保護付きアノード構成及び関連したアレイは、Li-空気(或は Naー空気)のような金属空気バッテリに殊に有用である。かかるセルは、リチウムのようなアルカリ金属のような活性金属の、コンプライアントシール構成物とアノード背面とに隣接して保護膜で包まれたアノードと、空気を電気化学的に活性の成分とするカソードとから成る。そのように限定されるのではないが、アノードからのLiイオンと空気との間の電気化学反応は以下の反応式の一つ以上のものであると信じられる:
Li + 1/2 H2O + 1/4 O2 = LiOH
Li + 1/4 O2 = 1/2 Li2O
Li 1/2 O = 1/2 Li2O2.
即ち、湿気(H2O)も空気中の酸素もこの電気化学反応に関与することになる。
【0179】
Li のようなアルカリ金属は水性溶液のなかで腐食する。従って、保護膜構成で覆われて居ない活性金属アノード(例えばLi, Na)の部分は空気のカソード環境から密封されなくてはならない。本発明の保護付きアノードはかような囲いを、活性金属アノードを固体電解質と、実質的に不浸透性のコンプライアントシール構成物とアノード背面との連即で包み込む密封されたアノードコンパートメントの形式で提供する。コンプライアントシール構成物の順応性によって、バッテリセル全体の体積の最適化と同時に、充電放電の時にアノードコンパートメントの体積を最小化する機構が提供される。例えばLi/空気セルの放電の時、Liがアノードコンパートメントから出て行くのに従ってアノードの厚さが減少する一方、水酸化リチウムの生成の結果としてカソード/水性電解質の体積は増加する傾向にある。従って放電の間、アノードコンパートメントが縮小する一方、セルの関連したその他の体積、カソードコンパートメントは大きくなり、排出物が生成されるにつれて一体化することが出来る。コンプライアントシール構成物がなかったら、放電の間にアノードコンパートメントのスペースが失われるのみか、 カソードコンパートメントの膨張全部を補償するようにカソードコンパートメントがデザインされないといけない。コンプライアントシール構成物はこれによって、電気化学セル構成全体の体積(重量)を最小化することになる。LiOHによって必要とされる余分の体積は、本発明のシール構成物のコンプライアントな特性がなかったなら、セルの運行以前に、カソードコンパートメントの余分の体積によって補償されなくてはならないことになる。
【0180】
本発明による保護付きアノードから成る金属/空気バッテリの例はLi/空気バッテリセルである。図9Aは本発明によるかかるLi/空気セル950の断面図を示す。このバッテリセル950は、周囲の空気に通じる孔を持つ蓋924を含むセル容器と、基底906(これはこの実施例ではアノード背面である)と容器壁926とから成る。この金属水バッテリセル950は更に保護付きアノード構成を含む。この保護付きアノード構成は、 保護膜構成902と、アノード背面906と、コンプライアントシール構成物904とから成る。接合され結合された場合、保護膜構成902と、アノード背面906と、コンプライアントシール構成物904とは活性金属アノード900を包み込む密封性のアノードコンパートメント930を効果的に形成する。この実施例に於いて、アノード背面906は実質的に不浸透性であり、導電性の物質であり、セル容器の基底として構成的支持を提供し、更に保護付きアノード構成に電流収集と端子接続を提供する。
【0181】
本実施例の場合、コンプライアントシール構成物904は第一段932と第二段934を有する既成のフレームで成形される。第一段932の内面は保護膜構成902に結合される。第二段934の内面はアノード背面906に結合される。コンプライアントシール構成物の内面はアノードコンパートメント930の内部の環境に露出されて居る一方、コンプライアントシール構成物の外面はカソードコンパートメント940の環境に露出されて居り、カソードコンパートメント940はカソード構成912とカソライトを含むカソライトリザボア916とから成る。
【0182】
本発明に於いて好適なコンプライアントシール構成物は複数の層から成る多層型ラミネートである。重合体の最上層はラミネートの外面を構成し、カソードコンパートメント(例えばPET, PTFEなど)の環境に対して化学的抵抗性を有する。中間層の中の少なくとも一枚はアルミニューム箔のような金属箔から成る。最下の重合体層はラミネートの内面を形成し、アノードコンパートメント(或る場合には液体或はゲルのアノライトを含む)の要素に対して化学的抵抗性があり、熱シール可能なもの(例えばPE, PP, イオノマー, Surlyn で一般に知られて居るイオノマー樹脂)である。本実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は熱圧接によって保護付きアノード構成とアノード背面との結合されて居る。
【0183】
アノード背面906はバッテリセル容器の基底となる。本実施例に於いて、バッテリセル容器の基底はステンレススチール合金やニッケルのような導電性金属でよく、実質上不浸透性のバリヤ(例えば約200ミクロン)、電流収集、端子結合に十分の厚さである。
【0184】
バッテリセルはカソード構成912とカソライトリザボア916とから成るカソードコンパートメントをも含む。カソード構成912(空気電極と呼ばれることもある)は導電性成分、水性若しくはイオン伝導性の成分、及び電気化学的に活性の成分としての空気から成る。これらのセルの電気化学的に活性の成分は湿気を含み、電気化学反応用の水を供給する。金属/空気バッテリはカソードの活性反応物を周囲の環境から得るので、容積及び重量エネルギ密度が非常に高い。エネルギ密度の高いことは、重量やサイズが重要な応用面で金属/空気バッテリを有利なものとする。
【0185】
カソード構成912は導電性成分を含む(例えば、多孔性導電体、少なくとも水性成分を持つイオン伝導体、電気化学的に活性の成分としての空気)。これは従来使用されて居る金属(例えばZn)/空気バッテリとか低温(例えばPEM)燃料セルを含む好適な空気電極であってもよい。 金属/空気バッテリ、殊にZn/空気バッテリに使用される空気カソードは多くの文献(例えば"Handbook of Batteries" (Linden and T.B. Reddy, McGraw-Hill, NY, Third Edition)に記載されて居り、一般に空気分散膜、疎水性PTFE (例えばTeflonR)層、触媒層、ニッケル幕のような金属導電性成分/電流コレクタを含む数層から成るものである。触媒層は水性及び/或はイオノメリク的イオン伝導性成分/電解質をも含む。典型的な水性電解質は水に溶解したKOHから成る。典型的なイオノメリク電解質は、パーフルオロスルフォン酸重合体フィルム(例えばdu Pont NAFION)のような水和された(水)Liイオン伝導性重合体である。空気分散膜は空気(酸素)の流量を調節する。疎水性層はセルの電解質が空気分散膜を通過するのを妨げる。この層は通常炭素とTeflon粒子を含む。触媒層は通常酸素ガスの還元を加速するための表面積の大きい炭素及び触媒を含む。商品としてのカソードの大部分は酸素還元用の触媒としてMnO2のような金属酸化物を使用して居る。触媒のその他の例としては、コバルトフタロシアニンのような金属マクロサイクル及び高度に分散されたプラチナやプラチナ/ルテニウム合金のような貴金属がある。空気電極構成は活性金属アノードから化学的に隔離されて居るので、空気電極の化学的組成はアノードの活性物質に反応性があっても汚染されない。これによって、保護されて居ない金属電極なら通常犯すことになる物質を使用した高性能の空気電極のデザインが可能になる。
【0186】
カソライトリザボア916は水性カソライトを含み、本実施例に於いてはカソード構成912と保護膜構成902の間に位置する。カソライトリザボアはカソライト溶液を満たしたZircar Products, Inc.製のジルコニア布のような多孔性の支持材から成ってもよい。カソライトは、中性(LiCl)、塩基性(KOH)、酸性(NH4Cl, HCl)溶液としてあらわされてもよく、その例は0.5M NH4Cl + 0.5M LiCl. カソライトリザボアは更に任意的に隔離物(図示なし)を有してもよく、これはカソライトリザボアとポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィンの、例えばCELGARDセパレータのような保護膜構成との間に位置されてよい。
【0187】
本発明の Li/空気セルは一次ゼルであっても二次セルであってもよい。
バッテリ容器は、周囲の空気や湿気の入り口となる孔を有する上部の蓋924を含む。任意的に、バッテリ容器の蓋とカソードコンパートメントの間に、充電放電の間内部部品が接触状態を維持するように、バネ922を組み込んでもよい。容器壁926はバッテリセルを囲い、その開放面の一つが容器の基底に、対向面が蓋924に接触している。基底がアノードの端子コネクタであり、上部の蓋がカソードと電気的に連続して居る場合には、バッテリを短絡しないように、周囲の壁は電気的絶縁体でないといけない。その代わり、上部の蓋と基底が電気的に接触しないように、如何なる適当な材料や方法が使用されてもよい。例えば絶縁性ガスケットを容器壁と蓋の間、或は容器壁と底の蓋の間、或はその両方に使用してもよい。
【0188】
本発明の一面に於いて、コンプライアントシール構成物はバッテリの不要な体積部分を最小化するのに寄与するものである。バッテリが放電するとき、活性金属アノードの厚さが減少し、バッテリの内部にボイドが生成されるとともに、アノード内の生成物により体積が膨張する。従ってバッテリセルの大きさをも含めてバッテリのデザインにはこの膨張によるアノードコンパートメントに余分の空間を含ませることが必要である。その意味に於いて、電気化学セル構成内の内部シールはバッテリセルのエネルギ密度に悪影響をもたらす可能性がある。一実施例に於いて本発明の特徴は、充電放電に際して活性金属アノードが膨張したり縮小したりするにつれ、コンプライアントシール構成物が、アノードコンパートメントの厚さが変化するように変形することである。これにより、保護膜構成とアノード背面とは活性金属アノードの表面との物理的連続性を維持することが出来、アノードコンパートメントでのボイドの生成を緩和することが出来る。しかも、放電の際の縮小するにつれ、にボイドの体積は アノードコンパートメントによって取られて行き、バッテリセルの中にその後形成される余分の空間はカソード構成の膨張に充てることが出来る。従って、発明のこの面によれば、コンプライアントシール構成物はバッテリ容器の体積を最小化し、バッテリのエネルギ密度を最大化するのに使用することになる。
【0189】
図9A、図9Bに示されるように、Li/空気ガルヴァーニ電池の放電に際し、Liアノード900は、水酸化リチウムの生成と同時にリチウム金属箔の消失として物理的に現れる反応へリチウムイオンを供給する源泉となる。Li/空気セル950では、製造されたLiOHはカソードコンパートメント940に貯蔵され、その結果セル放電に伴う体制の膨張となる。放電の進捗とともに、コンプライアントシール構成物904はカソードコンパートメント940の膨張をアノードコンパートメントの体積の減少で補償させる。
【0190】
図9A、図9Bは運行(充電と放電)に際してLi/空気セル950の中で起こる体積変化を量的に示したものである。図9Aはセル950がフルに充電された状態、図9Bはセル950が半分放電された状態を示す。Li金属の厚さが放電で縮小するにつれ、コンプライアントシール構成物904は保護膜構成902にそれがLi金属箔900の第一面に従う運動領域範囲を与えるように変形する。Li/空気セルは通常大容量のセルであり、比較的厚い活性金属アノードを組み込むものであるから、本発明のコンプライアントシール構成物904は大きな運動範囲を供給するものである。この運動の範囲とは、バッテリの放電の深さの約100%に対応するものである。典型的にLi金属箔アノードは最低10ミクロンであり、好適に最低50ミクロン、より好適には100ミクロン以上である。本発明の或る面では、運動の範囲は250ミクロン以上、500ミクロン以上、1センチメートル以上、更には10センチメートル以上である。
【0191】
本発明の別の実施例では、金属/空気バッテリセルは周囲の空気や湿気を平面の両側から補足可能であるとの意味で両面型である。片面型セルと比較して、見かけの活性面積は二倍である。図10に示されるのは両面型金属空気バッテリセル1050の断面図であり、これは保護付きアノード構成、カソードコンパートメント、及びバッテリケイシングから成る。保護付きアノード構成は第一と第二面を有する活性金属アノード1000から成る。第一面は保護膜構成1002に近接して居る。活性金属アノードの第二面は、この実施例では第二保護膜構成であるアノード背面1006に近接して居る。端子コネクタ1010は活性金属アノードに埋め込まれた電流コレクタ1008に接続され、電流収集と端子とを与えて居る。発明の一面に於いて、電流コレクタ1008と端子コネクタとは約50ミクロンの厚さのニッケル金属から成り、抵抗溶接で接合されたものでもよい。
【0192】
本実施例の各々のイオン膜構成1002と1006は離れたコンプライアントシール構成物成分1004と1005とに結合されて居る。コンプライアントシール構成物成分は頂上段と底段を有する既成のフレームで成形される。上記の如く、各コンプライアントシール構成物成分(1004/1005)は夫々に対応する保護膜構成(1002/1006)に結合されて居る。各コンプライアントシール構成物成分1004及び1005の第二段は互いに結合されて、両面型保護付きアノード構成のアノードコンパートメントである密封型の囲いを形成する。一実施例によれば、コンプライアントシール構成物は低融点の熱塑性物(例えばPE, PP, Surlynなど)から成り、対応保護付き構成と互いとに熱シールで結合されて居る。
【0193】
第一保護膜構成1002と第二保護膜構成1006の外面に近隣して居るのは、カソードコンパートメント1040と1041とであり、これらは夫々カソライトリザボア1016及び1017とカソード構成1012及び1013とから成る。 カソード構成1012、1013とカソライトリザボア1016、1017とは上記実施例について記述したものと同様である。
【0194】
バッテリセル容器は上部蓋1024、基底1034及び容器壁1014とから成る。上部蓋1024と基底1034とは両方とも周囲の空気と湿気とを上部と底部のカソードコンパートメントに通じる為の孔を備えて居る。容器壁は典型的に電気的絶縁体である。上部と底部の蓋は夫々のカソード構成用の端子連結を供給するものでもよい。従って、上部と底部の蓋はステンレススチール合金とかニッケルのような適当な金属から成ってもよい。任意的に、バネ1022が上部の蓋1024とカソード構成1012との間、及び基底1034とカソード構成1013との間に位置される。
【0195】
活性金属アノード1000用の電流コレクタ1008は端子コネクタ1010に接合されて居る。端子は電流コレクタかアノードの活性金属物質などに、溶接、物理的圧接、超音波溶接、抵抗溶接などの周知の方法で接合されるが、接合の方法は上記に限られるものではない。電流コレクタは図示のように活性金属物質を二分してもよく、製造者のデザインの選択に従って、或は接触したり、一部貫通するようにしてもよい。
【0196】
端子のタブはアノードコンパートメントの外部への伸び、発明の一様相によっては、第一と第二コンプライアントシール構成物1004/1005が結合される接合点に於いてアノードコンパートメントの外部へ出て行く。コンプライアントシール構成物1004と1005とが熱シール可能な熱塑性物から成る多層型ラミネートである場合、端子タブ1010は熱圧接によって囲い込まれる。
【0197】
本実施例に於いて、端子タブはアノードコンパートメントから出て行くけれども、カソライトと接触してバッテリセルを内部短絡させないよう、その表面を絶縁しなくてはならない。従って、端子タブは絶縁性があり、化学的抵抗性のあるPP, PE或はPTFEのような物質で 、バッテリセル容器内に残った端子タブの長さに沿って巻かれたり、その中に埋め込まれたりする。
【0198】
図11に示される別の実施例によれば、バッテリ容器はボタンセルの形式である。金属/空気ボタンセル1150は上部蓋1124と基底1126を有する。上部蓋は通気の孔を有し、基底と固定されたシール絶縁体1128によって接合されて居る。保護付きアノード構成は、第一と第二の面を持つリチウムのような活性金属アノード1000を含む。Liの第二面は、本実施例ではボタンセル容器の基底であるアノード背面1106に近接して居る。保護膜構成1102はLiの第一面を包み込んで居る。コンプライアントシール構成物は第一と第二の段があるように形成された柔軟性のあるフレーム材から成る。保護膜構成はコンプライアントシール構成物の第一段に結合されて居る。上記の実施例と異なり、コンプライアントシール構成物の第二段は、容器の上部蓋と基底の間に密閉された圧接シールを形成可能の固定型シールジョイントに結合されて居る。固定されたシール絶縁体は当業者には周知のものであり、殊に好適な固定型シール絶縁体はVitonの商標名で開発されたフルオロエラストメリク共重合体である。従ってアノードコンパートメントはセルのカソードコンパートメント1140から固定型シールジョイントのクリンプ/圧縮シールによって密閉される。カソードコンパートメント1140は、上記の如く、カソード構成1112とカソライトリザボアとから成る。上記の実施例のように、任意的なバネ1122もある。
【0199】
本発明の保護付きアノード構成は、活性金属アノードに対して不安定なカソライト或はカソード構成を含む殆どいずれのバッテリセルシステムにとっても有用であり、これには、水性カソライトのみならず、遷移金属酸化物や金属リン化物から成るカソード構成を含むイオン挿入バッテリ化学物質の改良された性能に有用な非水性カソライトも含まれる。
【0200】
本発明の他のバッテリシステムの実施例に於いて、電気化学セル構成はカソードコンパートメント/領域を通しての流出可能なカソライトから成るものである。例えばレドクスフロウセルに於いて、カソライトは活性金属種から成り、これは還元を行うためにカソード構成へと流され、還元の後、排出されるか、元の充電された状態へとの酸化の為に、別のリザボアへとカソードコンパートメント/領域から流出されるのである。別の例として、還元の後、カソライトの中の電気化学的に活性な種の酸化の為と活性金属アノードを充電する手段として、カソードコンパートメント/領域を通して流し戻してもよい。
他の実施例に於いて、海水がカソライトである。Li/海水(或はナトリウム/海水)を含めての金属/海水バッテリに本発明のコンプライアントシール構成物は有意義的に有利である。海水が水性電解質と酸化剤の両方として使用され、バッテリパックに入れて運ばれなくてもすむので、このようなバッテリは殊にエネルギ密度(Wh/l)と比エネルギ(Wh/kg)が高い。密封による保護のみでなく、コンプライアントシール構成物を使用して保護付きアノードコンパートメントを包み込むと、カソードの放電が進行するとともに大洋の静水圧でアノードが圧され、アノードの活性金属に対して固体の電解質の板が均一な圧力をかけることとなり、これは活性金属をフルに利用する面で重要なのである。
【0201】
本発明による保護付きアノードを持つ金属海水セル1250の実施例を図12A,12Bに示す。図12Aに於いて、保護付きアノード構成は両面型である。図12Bに於いての保護付きアノード構成は片面型である。
【0202】
図12Aを参照するに、保護付きアノードは図4で図示された実施例によってフルに説明されてある。簡単に説明すれば、保護付きアノード構成は電流コレクタ1208が内部に埋め込まれた活性金属アノード1200と電流コレクタに接合された端子コネクタとから成る。活性金属アノード1200は第一と第二の面を有し、各々の面は 保護膜構成1202と1206(アノード背面)に近接して居る。コンプライアントシール構成物1204と1205とは夫々対応する保護膜構成1202と1206及び互いに結合されてアノードコンパートメント1230を形成して居る。海水バッテリセルの中では、カソード構成1212が保護膜構成の各々に近接して居り、海水中の電気化学的に活性の酸化剤を電気化学的に還元する。海水カソライト1216はカソードコンパートメントの中で、カソード構成1212と保護膜構成1202と1206との間に存在する。典型的に海水は溶解酸素を含み、その場合、セル電位はリチウム/海水とリチウム/酸素反応による混合電位である。本発明の保護付きアノード構成を組み込んだバッテリセルは、活性金属水酸化物のような還元生成物がカソードコンパートメント/領域に残存しないように設計されて居る。
【0203】
本実施例のカソード構成は、通常多孔性であって流体を通過させる導電性の支持構成から成る。カソードはチタンのスクリン或はメッシュのような、海水で腐食されず、海水がその中を通り抜けられる導電性物質から成る。
【0204】
海水が電解質として優れているため、エネルギ密度が非常に高いバッテリセルの海での応用が可能となる。使用以前に於いて、セル構成は保護付きアノードと、チタンのスクリンのような多孔性の導電性支持物(導電性成分)とから成る。必要となった場合、セルは海水に浸され、これによって電気化学活性でありイオン導通的な成分でセルが完成する。後者が環境の一部である海水によって供給されるものであるから、使用前にバッテリセルの一部として搬送する必要がない(従って、セルのエネルギ密度の計算に入れる必要がない)。かようなセルは、カソード側の反応生成物が入らないので「オープンセル」と呼ばれる。従って、このセルは一次セルである。
【0205】
大洋の静水圧は10メートルごとに1気圧の割で増加するので、3000メートルの深さでの水圧は約4200psである。発明の一面に於いて、この水圧で生き延びるために、アノードコンパートメントは(非圧縮性液体)アノライトで満たされるべきものとする。好適なアノライトの例は保護膜構成用として上記されたものである。
【0206】
方法
保護付きアノード構成の好適な製造方法を以下に於いて記述する。ここでの記述と構成的及び材料に関するパラメタによって、本発明による保護付きアノード構成、アレイ、セルの製造は当業者には容易なものとなろう。実施例を参照して簡単な概要を提出する。
【0207】
本発明のコンプライアントシール構成物は独立要素或は保護膜構成とアノード背面に別々に結合された独立から成ってよい。別の好適な実施例として、コンプライアントシール構成物はアノード背面と保護膜構成に結合されるに先立って枠のような一体化された形式で製造される。第一の工程で、コンプライアントシール構成物は好適に保護膜構成を位置づけて結合させる領域を与える窓を含めた望ましい構成の枠として形成される。例えば、例として記述されるように、多層型ラミネートが窓を切り抜いた二段構成として成形されてもよい。好適に、窓の形状は保護膜構成と同じとする。枠の周りの内縁は、二段構成の場合の第一段であり、これは保護膜構成に結合される。第一段はボンディング用のプラットフォームとして使用される。結合は例えば一体化されたシール剤の熱圧接或は独立シ-ル剤の使用によって形成される。保護膜構成はその周辺に於いてコンプライアントシール構成物の第一段に結合され、それによって窓の中の空間が埋められる。実質的に、これによってアノードコンパートメントの上半分が形成される。保護膜構成は、上記の如く本発明の開示に組み込まれるものとする審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894に記述された方法によって活性金属アノードに連結される。保護膜構成がアノライトから成る場合、以下例2〜4に詳細が示される如く、アノライトは好適にコンプライアントシール構成物に固体相の膜が結合された後に付けられる。これでアノードコンパートメントは完全に囲まれて、アノード背面の枠の外縁(二段構成での第二段)の結合によりアノードを包み込む。本発明の保護付きアノード構成は、カソード環境(カソードコンパートメント)から隔離された、完全に囲まれた構成を形成するものであるから、上記のように種々のバッテリセルのアノードとして使用可能である。
【0208】
以下の例によって製造の詳細を記述する。
例
以下の例により、本発明のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成 、その成分、及びバッテリセルの有利な特徴や性能を詳細に記述する。これらの例は本発明の各面を明示するためのものであって、発明の範囲を制限するものではない。
【0209】
例1: コンプライアントシールの効果の表示
商品名「ラミネート95014」(ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造)の市売の多層型ラミネート材(MLLM)を使用して、リチウムイオン伝導性のガラスーセラミック(GC)膜に対して密封的コンプライアントシールをした。この例、及び以下の例に於いて使用したGC膜は開発中製品 AG-01(OMAHA Corporation)であった。GC膜のイオン伝導率は(1,0-1,5)x10-4S/cmの範囲であった.膜は1”x1”の正方形で厚さは150ミクロメートルであった。
【0210】
MLLM製品のラミネート95014の厚さは118〜120mmで、以下のものから成る:
PET - ポリエチレンテレフタレート、12mm;
ADH - 二成分ポリウレタン粘着剤;
アルミニューム箔;
EAA - エタクリル酸(アルミニューム箔用のプリマで、LDPEとPETの間の濡れを改善する);
PET - ポリエチレンテレフタレート、12mm;
LDPE - 低密度のポリエチレン;
EAA - エタクリル酸。
【0211】
LDPE の熱シール可能の最下層はGC膜表面と多層型ラミネートとの結合用である。22mmx22mmの正方形の孔を、約5x6インチのラミネートのシートに作った。GC膜面とMLLMの最下LDPE層との結合にはステンレススチール熱版付きのCarver水力プレスが使用された。シールの幅は約1.7mm。1”x1”GC膜のラミネート材への結合に関するパラメタは:圧力250kg、温度100°C、圧接時間3分。
【0212】
結果として得られたラミネートは熱シーラで3辺を結合し別のラミネート(5”x6”)とし、一辺の開いた袋を製作した。この袋を約40mlの1,2ジメトキシエタン(DME)で満たし、残る辺を熱シールして完全にシールされた袋とした。人間の鼻は DME のようなエーテルの匂いに極めて敏感であり、数ppmでも検出可能である。この袋を上記のようにシールした後、DMEの匂いは検出不可能であり、袋の中で一年保存した後でも体積のロスは検出されなかった。シールされて居ない条件下では、これと同量のDMEは数時間の中に蒸発してしまう。この実験により、ラミネート材とGC膜の間のこのシールは密封性があり、長期間の保存で悪化しないことが保証された。
【0213】
次の例は、GCで保護されたLiアノードとコンプライアントシール構成物から成る保護付きアノード構成の性能を例示し、各種コンプライアントシールの強度と安定性を表示するものである。
【0214】
例2:海水電解質中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードのテスト
例1で記述したと同じ方法と装置を使用してGC膜(実質的不浸透性とイオン伝導性を有する )表面を、22mmx22mmの正方形の孔のあるMLLMへ結合した。結合の幅は約1.7mmであった。かような構成を二個製造し、MLLMの底部のLDPE層を3辺に沿って結合した。これには変更したジョー付きのインパルス熱シーラ商品名14A/A0CAB (Vertrod Corp.)を使用した。結果として得られた一方開放型の袋はMLLMに二枚のGC板が結合されたものであった。
【0215】
リチウム電極を、乾燥室の中で、二枚の名目上の厚さ0.6mmの22mm x22mmのLi箔片(FMC Lithium Inc.)を同じディメンションで厚さ50mmのNi箔の電流コレクタの両面に圧接して製造した。圧接はポリプロピレンのブロックのあるダイの中で、750kgの圧力で3分間で行った。幅3mm, 長さ約12cm、厚さ50mmのNi片がアノード端子タブとして使用された。このタブは両端を露出したまま、二枚の幅5mmのPETフィルム(厚さ20mm)の間に挟まれた。Ni箔とPETフィルムとはLDPE接着剤で互いに結合された。結果として、タブは化学的安定性のあり、電気的に絶縁性の物質と共に包み込まれた。タブの一端はその後Niの電流コレクタに溶接された。
【0216】
このLi電極はミクロ多孔性のCelgard 3401セパレータの厚さ25mmのフィルムで巻かれ、22mm x 22mmのLi正方形がGC板の袋の外側のボンドによって覆われて居ない22mm x 22mm 領域に整列するように上記一端開放型の袋の中に入れられた。
【0217】
真空状態に於いて、アノードコンパートメントはプロピレンカーボネイトに溶解された1.0MのLiClO4塩から成る非水性電解質を含むアノライトで満たされた。ここでミクロ多孔性のCelgard 3401セパレータは 非水性電解質(アノライト)で見たされる。アノライトで満たされたCelgardはLi金属の表面をGC膜(固体電解質層)から隔離する。非水性電解質内の湿気濃度は10ppmを超さなかった。袋の開放端はその後真空シーラAudionvac VM 101Hで熱シールされた.
【0218】
Niタブは2個のMLLMの間をアノードコンパートメントへと出た。タブとアノードコンパートメントの間の接点でのシールの密封性は、タブとMLLMの熱塑性LDPEを包み込むPET層間の結合によって保証された。その結果、密封されたアノードコンパートメントの大きさは40mm x 40mmであった。
【0219】
このコンプライアントシールを持った保護付きアノードは、海水を電解質とする Li/水電気化学セルの中でテストされた。アノードは4Lの合成海水(Ricca Chemical Company)をカソライトとして入れたガラスビーカの中に浸された。対向電極(カソード構成)は幾何学的面積240cm2の円筒形のTi Exmet 5Ti7-077FAから製造され、同じビーカの壁に対してアノードを囲うように位置された。
【0220】
アノード放電中、Tiカソードの表面は海水からの電気化学的水素発生のカソード反応を容易にした。
【0221】
このセルは、アノードの近くの海水電解質の中に位置し、放電中アノード電位測定用としたAg/AgCl参照電極も使用した。アノード電位対Ag/AgClの実験値は基準水素電極(SHE)スケールに再計算された。アノードはマッコー(Maccor)バッテリ検査機を使用し、電流密度0.5mA/cm2で放電した。
【0222】
放電曲線を図14に示す。アノードコンパートメントの中に入れたリチウム箔の重量から計算した有効アノード容量と実際の放電容量との比較によると放電は100%である。リチウムの全量がNi電流コレクタの両面からGC板を通して海水電解質の中へ、GC板もシールも破壊せずに放電された。水や非水性溶媒のシールへの侵入による性能悪化の兆候はなく、リチウムと水との反応(Li + H2O = LiOH + 1/2 H2)によるガスの堆積の形跡もなかった。これはシールが完全に密封的であったことを示す。
【0223】
これは多量の Liを使用する包装されたアノードが水性電解質へ非常に能率的に放電することを可能にするコンプライアントシールに関しての最初の例である。特筆さるべきことは、アノードコンパートメントがコンプライアントシールを有し、真空下で層間電解質で満たされて居り(残存空気がない)、ただ Li , Ni箔とか Celgard セパレータのような圧縮不可能の成分のみ含んで居ると言うことである。従ってかかるアノードコンパートメント使用スルセルは大洋の深海部での静水圧に対して対抗性があり、このような条件下で能率的に機能することが期待される。
【0224】
例3:Li/空気セルの中で使用される水性電解質中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードの長期テスト
この例に於いてのコンプライアントシール構成物はGC表面の結合面でSnNx無機層を含むものであった。
【0225】
MLLMの予備形成
この場合,MLLMは既成のフレーム内で成形された。かような予備的形成によると、未形成のMLLM の場合に比して、有意義的により厚いLi箔の使用が可能となる。それに、アノードの放電に際して、より均一的なコンプライアントシールの縮小(崩壊)が期待される。更なる有利点は、フレームの形状により、アノードコンパートメントの無駄堆積が減少する可能性である。
【0226】
第一工程に於いて、正方形の43mm x 43mmのMLLM の板が、スチールのダイを使用して500kgの圧力により、図15Aに示される形状1に成形された。高さHは約1.2mmで、幅は頂上でW1=26mm. 最下部の段では縁を切ってあり、それで幅W2を2mmとした。最下部の孔は正方形で、片の長さW3は31mmであった。隅を丸みにした(半径2.0mm)23mm x 23mm(W4)の正方形の孔を成形された MLLM の頂上に開けた。結果として、図15Bに示される二段型のフレーム2が形成された。
【0227】
GC膜表面のSnNxによる予備塗布
水性及び非水性電解質の中で安定な、強固で密封的な結合を成就するために、GC板の周囲領域(幅約1.7mm)を、MLLMとの結合に先立ってSnNx の薄膜で塗布した。 SnNx の薄膜は、酸性、中性、塩基性の電解質に対し、叉有機炭酸塩やエーテル系非水性電解質に対して非常に高い化学的抵抗性を有する。薄膜は厚さ0.1mm であって、MRC8671スパッタリング装置を使用し、窒素プラズマ中、金属錫の反応性スパタリングによって生成された。スパタリングされたSnNx の薄膜は、GC膜の表面に非常に強固に接着し、熱シールの間MLLMのLDPE熱塑性層で良好に濡らされた。
【0228】
MLLMのGC膜への結合
次の工程はMLLM(図14)の最下LDPE層とGC膜3の頂上の表面と熱シーリングで結合することであった。シールW5の幅は約1.2mmであった。この場合、熱シーラは23mmx23mmの正方形の内部空間を持つ26mm x 26mmの正方形のフレームの形状のステンレススチールの抵抗加熱要素を使用した。熱シーリング用のパルス電圧源として、ディジタルタイマと共にPower Supply Sorensen DCS8-125Eを使用した。この熱シーラのデザインにより、熱シールを望む領域を均一に加熱し、その他の領域で熱塑性LDPE層を無制限に軟化したり溶融することを防ぐことが出来た。
【0229】
図15Bに示す種類の構成を二個製造し、MLLMの最下層のLDPE層を結合することにより、三面にわたって相互に結合した。アノードタブは例2で記述されたように製造された。リチウム電極は例2で記述されたように製造されたが、FMC Lithium Inc.からのLi箔はNi箔電流コレクタの両面で厚さが1mm近いものであった。そこで、Li電極はミクロ多孔性のCelgard 3401セパレータの厚さ25mmのフィルムを中間層として巻き付け、例2に記載されたように開放端の袋の中へ位置づけた。アノードコンパートメントには真空状態で1MのLiClO4塩をプロピレンカーボネイトに溶解したアノライト溶液を満たし、そのアノライトでCelgard層間を満たした。袋の開放端はその後熱シールされ、タブとアノードコンパートメントの間の接点での密封シールは熱シールによって保証された。その結果としての密封された アノードコンパートメントの大きさは35mm x 35mmであった。
【0230】
このコンプライアントシール付き保護付きアノード構成は、保護付きLiアノードを有するPolyPlus Li/空気バッテリで使用される、3M NH4Clを含む電解質(カソライト)を使用するLi/水電気化学セルの中でテストした。電気化学セルと設定とは以下の点を除いて例2と同じであった:即ち、ガラスビーカはより小さく、200mlの水性電解質を入れた;Tiカソードはより小さいものであって、幾何学的面積は50cm2であった。電流密度0.5mA/cm2に放電曲線は図16に示される。アノードは396時間にわたって放電された。配達された容量はLiの利用可能な容量の100%に相当し、これは、湿気がアノードコンパートメントに浸透すれば配達される容量が有意義的に減少することから、シールが密封されて居たことを意味するものである。また、この長期間の放電に際して、ガスの生成や泡の発生も見られなかった。放電の後、アノードは更に53日の間同じ電解質(カソライト)の中に、開回路の状態で貯蔵し、シールが水性電解質や非水性層間電解質に露出する総期間を2.5ヶ月とした。その後、アノードコンパートメントは水性電解質(カソライト)から除去され、事後分析を行った。 SnNx を塗ったGL板とMLLMとの結合は依然強固であり、ラミネートをGCの表面から剥がすことは出来なかった。このテストはコンプライアントシールと厚い Li箔を持つ両面型のGCで保護されたLiアノードは、Li/空気バッテリで使用される水性電解質(カソライト)の中で有効的に機能することを示すものである。叉、無機 SnNx 層をGC表面の結合領域に含むコンプライアントシール構成物は水性(カソライト)及び非水性(アノライト)電解質に対して長期間安定であることを示して居る。
【0231】
例4 Li/空気セルの中で使用される水性電解質(アノライト)中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードの長期テスト
この例に於いて、MLLMに結合されたGC板(固体の電解質膜)の領域は結合に先立って濃水酸化リチウムでエッチングされた。
【0232】
両面型Liアノードと二枚のGC保護板(実質的に不浸透性でイオン伝導性の層)を使用するアノードコンパートメントは同じ大きさであり、同じ成分(非水性電解質と厚さが略1mmの二枚のLi箔を含む)を有し、例3と同様に製造された。唯一の相違は、無機層での塗布がなされないことであった。その代わりとして、GC表面の結合された領域はGC板のMLLMへの結合に先立って化学的エッチングによる前処理が行われた。
【0233】
GC板の周辺領域(幅約1.7mm)は以下のようにして4M LiOHでエッチングされた。GC板の一辺とその他の側の全面とをカプトン(Kapton)テープで覆った後、4M LiOH の水溶液を入れたビーカにGC板を浸潤させた。7日の貯蔵の後、板を水ですすぎ、次にLiOH溶液の雰囲気中のCO2との反応によるLi炭酸化物を除去するために希釈酢酸で、そして最後にまた水ですすいだ。エッチングされたGCの領域を顕微鏡で検査し、表面の荒れを観測した。表面のエッチングの時間は高温で行えば実行の時間を有意義的の短縮出来ることを指摘すべきである。
【0234】
密封された両面型保護付きアノード構成が製造された後、3M NH4Clから成る前例で記述されたと同じセルの中で試験を行った。図17はそれによる放電曲線を示す。放電によってアノードコンパートメント中のLiの全量が使用された。GC板にもシールにも損傷の跡はなかった。効率100%の放電ということは、放電に際してLiと水との反応に於いて寄生的腐食反応が起こらなかったことを裏書きするものである。放電の後、保護付きアノードは更に36日間同じ電解質(カソライト)の中に開回路の状態で貯蔵し、これによりシールが水性電解質(カソライト)や非水性層間電解質(アノライト)に露出する総期間を7.5週間とした。GC板のエッチングされた領域とMLLMとの間の結合は依然として強固であり、ラミネートをGC表面から剥がすことは出来なかった。 アノードコンパートメントを開いても、Liの腐食生成物は観察されなかった。これらから、GC表面の結合面を濃LiOHにより前処理することにより、長期間にわたって水性電解質(カソライト)や非水性層間電解質(アノライト)に安定なシールが得られることが分かる。
【0235】
例5:海水中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードの テスト
この例では、二重シール剤型構成が使用された。GC板(実質的に不浸透性でイオン伝導性の層)とMLLMのLDPE層との間の一次結合は熱シールの継ぎ目の周りに於いてエポクシ接着剤(二次シール剤)にょって強化された。
【0236】
両面型Liアノードと二枚のGC保護板を使用するアノードコンパートメントは同じ大きさであり、同じ成分(非水性電解質(アノライト)と厚さが略1mmの二枚のLi箔を含む)を有し、例3と同様に製造された。但し、無機層での塗布は行われなかった。アノードコンパートメントが製造された後、エポクシ接着剤(Loctite CorporationのHysol E-120HP)を使用して二次シールを形成した。数ミリリットルのHysol E-120HPを50mL 二重カートリッジ(Item29353)からガラス板の上に取り出し、完全に混合した。GC板の中央領域をマスキングし、混合された接着剤を板の結合領域に移送した。接着剤は一次シールの継ぎ目を完全に覆った。その後、接着剤は室温で20時間乾燥された。二次シールを室温で形成する利点は、保護付きアノードの温度に敏感な成分、殊にMLLMのLDPEに影響しないと言うことである。結果として得られる密封された両面型アノードは、例2で記述されたと同じく、海水電解質を含むセルの中で電気化学に試験された。電流密度0.5mA/cm2で得られた放電曲線を図18に示す。アノードは425時間に亘って放電され、配達された容量はLiの利用可能な容量の100%に相当し、これは、シールが密封されて居たことを意味するものである。水や非水性溶媒のシールへの侵入による性能悪化はなかった。Liと水との反応によるガスの堆積の形跡もなかった。放電の後、保護付きアノードは10日間同じ電解質(カソライト)の中に開回路の状態で貯蔵し、これによりシールが海水や非水性層間電解質(アノライト)に露出する総期間を4週間とした。アノードガセルから取り出された時、シールは手に触れられていないかの完全の状態であった。アノードコンパートメントを開いても、Liの腐食生成物は観察されなかった。これらのことから、エポクシ接着剤Hysol E-120HPを使用した二重シールは密閉されて居り、海水(カソライト)と非水性電解質(アノライト)に安定であることが分かる。
【0237】
結論として、例1〜5に記載した結果はコンプライアントシールの概念を実験的に証拠付けたものであり、かようなシールを有するアノードをLi/水やLi/空気バッテリの中で使用する効果を示したものである。
【0238】
結論
【0239】
上記に於いて発明は明確に理解されるべく詳細に記述されたものであるが、発明の範囲の中で或る程度の変更は変形が可能であることは自明であろう。発明は或る所定の実施例について記述されたが、かような所定の実施例に限定されるものではないと理解されるであろう。これに反して、添付されたクレームに定義される如く、代替、変形、均等などのものは発明の範囲に入れることが意図されて居る。
【0240】
此処に引用された文献の総てはあらゆる目的に於いて発明の開示に組み込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1C】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1D】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1E】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図2A】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図2B】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図2C】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図2D】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図3A】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3B】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3C】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3D】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3E】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3F】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3G】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3H】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図4A】本発明の一実施例による両面型の保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図4B】本発明の一実施例による両面型の保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図5A】本発明の実施例による保護付きアノード構成の平面アレイ形式を示す説明図である。
【図5B】本発明の実施例による保護付きアノード構成の平面アレイ形式を示す説明図である。
【図5C】本発明の実施例による保護付きアノード構成の平面アレイ形式を示す説明図である。
【図6A】本発明の実施例による保護付きアノード構成の筒状アレイ形式を示す説明図である。
【図6B】本発明の実施例による保護付きアノード構成の筒状アレイ形式を示す説明図である。
【図7A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成の螺旋状アレイ形式を示す説明図である。
【図7B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成の螺旋状アレイ形式を示す説明図である。
【図8A】本発明の一実施例によるハブとスポーク型の両面型保護付きアノード構成アレイを例示する説明図である。
【図8B】本発明の一実施例によるハブとスポーク型の両面型保護付きアノード構成アレイを例示する説明図である。
【図9A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ活性金属/空気バッテリセルを示す説明図である。
【図9B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ活性金属/空気バッテリセルを示す説明図である。
【図10】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ両面型活性金属/空気バッテリセルを示す説明図である。
【図11】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだその他の金属/空気バッテリセルデザインを示す説明図である。
【図12A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ金属/海水セルの実施例を示す説明図である。
【図12B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ金属/海水セルの実施例を示す説明図である。
【図13】本発明による一般的な電気化学的セル構成の断面図である。
【図14】本発明によるコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成を組み込んだ例2のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【図15A】本発明による例3の多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物の形状と構成を例示する説明図である。
【図15B】本発明による例3の多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物の形状と構成を例示する説明図である。
【図16】本発明によるコンプライアントシール構成物を組み込んだ例3のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【図17】水性金属/水セル電解質を含み、本発明によるコンプライアントシール構成物を有する両面型保護付きアノード構成を組み込んだ例4のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【図18】電解質として海水を含み、本発明によるコンプライアントシール構成物を有する両面型保護付きアノード構成を組み込んだ例5のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【技術分野】
【0001】
この出願は2005年8月9日に出願された米国特許仮出願60/706,886(ELASTOMERIC SEALS FOR PROTECTED ACTIVE METAL ANODES)及び2005年9月2日に出願された米国特許仮出願60/713,668(ADHESIVE SEALS FOR PROTECTED ACTIVE METAL ANODES)に基づいて優先権を主張するものであり、この両者は本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0002】
この発明は一般的には活性金属の電気化学装置に関し、更に詳述すれば、片面及び両面型保護付きアノードと保護付きアノード列と含むコンプライアントシール構成物が組み込まれた保護付きアノード構成、バッテリを例とするそれに関連した電気化学セル構造体及び装置、殊に、活性金属及び/或は空気電池及び活性金属及び/或は海水電池、及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムのような低当量のアルカリ金属は、電池電極部品として特に有利である。リチウムは従来の電池標準としてのニッケルはカドミウムより体積当たり多量のエネルギーを供給する。不幸にして、充電式のリチウム金属バッテリが有意義的に市場を荒らすに至って居ない。
【0004】
充電式リチウム金属バッテリの不成功の原因は主としてセルサイクリングの問題にある。充電と放電のサイクルが繰り返られるに伴い、リチウム金属電極から電解液を通して徐々に樹枝状結晶が成長し、遂には陽電極に接触するに至る。これで内部ショートが起こり、比較的少サイクルの後にバッテリは使用不可能に陥る。このサイクルに於いては、陰電極からのコケ状物がリチウム電極に成長して、バッテリの性能を低下させることもある。
【0005】
電解液内に於けるリチウムの思わしくないサイクリングに関しての行動に対し、リチウムカソードの電解液に面する側を保護層で覆うことも提案されたが、かかる保護層はリチウムイオンを通過させると共に、リチウム電極面と大量の電解液との接触を防がなくてはならない。保護層適用の多くのテクニクは不成功であった。
【0006】
リチウム金属の保護層はリチウム金属とリチウムに接触する電池の電解質内の化合物との間の反応によって元の場所に生成されるとも考えられた。このようなもとの場所の薄膜の大部分は、バッテリの組み立て後の制御下の反応によって生成する。一般に、かかる薄膜は多孔質の形態であり、電解液の一部は露出したリチウム金属面に到達するから、リチウム電極を十分に保護しないことになる。
【0007】
本願出願人の研究所に於ける過去の研究によって、イオン的に高度に導電的な保護膜構成によって活性金属アノードを保護する技術が開発されて居る。これらの保護された活性金属アノード構成とか関連する電気化学電池は出願者の審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894と対応国際特許出願WO 2005/038953及びWO 2005/083829に記載されて居り、これらは活性金属バッテリの技術に於ける大進歩であり、例えば実用的なLi/空気及びLi/水バッテリを可能とするものである。これら保護された活性金属アノードの各種の電池構成への組み込みを容易化及び/或は最適化する適当な密封構成のテクニクが開発されたならば、上記の技術は一層発展することとなろう。
【発明の開示】
【0008】
この発明は, コンプライアントシール構成物とアノード背面と共に効果的に活性金属アノードをアノードコンパートメントの中に囲い込むイオン伝導性の 護膜構成を有する保護付きアノード構成を提供して、この問題に対応するものである。 アノードコンパートメント外部の環境は、水性、周囲の湿気、有機液体電解質(またはカソライトで、これはカソードに接触する電解質のことで、場合によってはカソライトは溶解あるいは懸濁したレドクスアクティブの種類はレドクスアクティブな液体も含まれる)、水性及び非水性のカソライト、海水のようなレドクスアクティブな液体、SOCl2のようなオクシハライド、遷移金属塩化物や臭化物のような溶解したレドクス種、 及び/或は活性金属に腐食性の電気化学的活性の物質などを含むもので、シールされたアノードの内部体積で使用される揮発性物質のロスを防止する。この囲いによって、活性金属とアノードコンパートメント外部の環境との悪影響のある反応が防止される。
【0009】
放電の間、アノードの活性金属質量と体積は減少する。この体積の減少を何等かの方法で補償しないと、 活性金属アノードと保護膜構成との間に間隙やボイドが生じ、活性金属アノードと保護膜構成との間の接触が減少し、結果として性能低下となるかも知れない。アノード背面がアノード電流コレクタであったり含んだりする場合、電気交信が中断すれば、活性金属アノードとアノード背面の間の同様な間隙やボイドも性能の低下となる。かようなアノードコンパートメント内での間隙やボイドの形成がなくなれば、電気化学的性能の向上とセル構成の小型化か可能となる。
【0010】
本発明のコンプライアントシール構成物はアノライト、カソライト、電解質に溶解した種や湿気に対して実質的に不浸透性であり、アノード体積の変化に順応するから、アノード、保護付き構成、アノード背面の間の物理的連続性が維持される。 アノードコンパートメントの体積はシールされた保護付きアノードの充電放電の間活性金属の厚さ変化と直接関係して変化し、それにより、対応する電気化学セル構成の体積(及び重量)を最小化し、エネルギ密度を最大化する。
【0011】
本発明に於いて、物理的連続性とは、イオン的連続性、力学的力の連続性、電子的連続性の中の少なくとも一つに対応するものである。本発明のアノードがアノード背面とか保護膜構成とかの他の部品と物理的連続性があると言うのは、このアノードが他の部品と、イオン的連続性、力学的力の連続及び/或は電子的連続性の中の少なくとも一つがあると言う意味である。
【0012】
イオン的連続性の意味は、関連電界及び/或は濃度勾配に於いて、金属イオンがアノードと保護膜構成の間で搬送(トランスポート)可能であると言うことである。
【0013】
電子的連続性の意味は、関連電界のもと、 アノード背面がアノードの為に電流収集を行う場合、電子のアノードとアノード背面の間での搬送が可能であると言うことである。
【0014】
機械的力の連続性の意味は、アノード背面及び/或は保護膜構成への機械的力或はそれによる力はアノードへ伝達可能であり、アノードへ或はアノードからの機械的力はアノード背面及び/或は保護膜構成へ伝達可能であると言うことである。
【0015】
本発明のすべての場合に於いて、保護膜構成にはアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
アノード背面が絶縁体である場合、アノード背後板はアノードに対して機械的力の連続性を有する。
【0016】
アノード背面がアノードの為に電流収集を行う導電体の場合、アノード背面はアノードに対して電子的連続性を有する。この場合、アノード背面がアノードに対して機械的力の連続性をも有することもある。
【0017】
アノード背面が保護付き構成である場合、アノード背面はアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
【0018】
物理的連続性の程度と均一性とが大きいほど、保護付きアノード構成の性能は良好である。物理的連続性のロスとは、物理的連続性が悪化して、本発明の保護付きアノード構成が既にアノードとして機能出来ないとのことである。
【0019】
その一面に於いて、発明は保護付きアノード構成に関する。 保護付きアノード構成は、第一面と第二面を有する活性金属アノードと、アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、アノードの第二面の上の活性金属アノード背面と、保護膜構成とアノード背面とに対向してアノードをアノードコンパートメントの中に包み込むコンプライアントシール構成物とを含み、このシール構成物は、電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性がある。イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成る。実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに(例えば、結合、接合、或は隣接により)対向するものである。
【0020】
保護付きアノード構成のアレイ、保護付きアノード構成或はアレイを組み込んだ種々の構成を有するバッテリセル、及びこれらの製造方法が供給される。本発明のこれら、及びその他の特徴が以下図示をとともに詳細に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以降の記述に於いては、或る特別な構成、形態、工程などを通して、如何に発明が実施されるのか示されるのであるが、発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例えば説明を明瞭化するために、此処では主としてLi型アノードを参照して発明を提示して居るが、適当なアノードは此処に記載されるその他の活性金属、合金、層間化合物アノードから構成可能であり、Liを含有すると記載された保護膜や試薬も同様にこれらの活性金属や合金を含むものであると理解されるべきものである。発明の特種な実施例は添付された図面に開示されて居る。発明はこれらの実施例について記述されるのであるが、発明はこれらの実施例に限定されるとの意味ではない。その逆であって、これらの代替、変更、均等例などは、請求項の均等とともに発明の範囲内に入るものとする。以下の記述に於いて、多くの詳細事項が発明の理解のために提示される。発明の実施に当たって、これら詳細事項の一部は不要であるかも知れない。その一方、記述を曖昧化しない目的から、周知の工程などの詳細な記述は省略してある。
【0022】
序論
本発明の保護付きアノードはイオン的に導電性の保護膜構成を有し、それと本発明のコンプライアントシール構成物と背板とによって効果的に活性金属例えばNaやLiのようなアルカリ金属のアノードがアノードコンパートメントの内部に囲い込まれて居る。この筐体は、活性金属の水性物、周囲の湿気、カソライト(カソードと接触の電解質であって、場合によって、カソライトは溶解或は懸濁したレドックスアクティブ種及びレドクスアクティブ液体も含む),一般的カソード環境(カソードコンパートメント)、及び/或は活性金属に腐食的な電気化学的に活性な物質を含むアノードコンパートメントの外部の環境との有害な反応を防止し、シールされたアノード内部で使用されてもよい揮発性成分のロスを防止する。
【0023】
放電によって活性金属の質量とアノードの体積が減少し、これは典型的には活性金属の厚さの減少として現れる。何らかの方法でこの体積の減少を補償しないと、活性金属アノードと保護膜構成の間に層間間隙としてボイドが生成され、活性金属アノードと保護膜構成の間のイオン的接触が失われ、従って性能低下となる。活性金属アノードと背面の間の同様なボイドの場合には、背面の場所とかアノード電流コレクタを含む場所での性能が低下し、両者間の電気的連続性が崩壊させられる。アノードコンパートメントでのかような面間間隙とかボイドの生成を除去出来れば、電気化学的性能の向上と小型電池構成が期待される。
【0024】
同様にして、内部密閉はバッテリセルのエネルギ密度に悪影響があり、それは、バッテリが放電するに当たり、活性金属材料の厚さが減少(活性金属箔の100%放電で厚さ0)し、バッテリ内部にはボイドが生成され、同時に保護付きアノードコンパートメントの外側とか例えば陽電極内の生成物で体積の増加を来すと言うことである。その結果として、バッテリの設計にあたり、この膨張のために余分の空間を含まなくてはならない。もしバッテリの放電に際してアノードコンパートメント内に生成されるボイド体積が、アノード膨張の調達に使用できるものならば、小型のセル設計と高エネルギ密度が得られる。従来例でのシールを使用するのでは、自由化された体積を捉えることは出来ない。
【0025】
本発明のコンプライアントシール構成物はアノライト(anolytes)、カソライト(catholytes)、電解液中の溶解物及び湿気に対して事実上不浸透性であり、アノードの体積変化に従順であるので、アノード保護構成物と背面との間の物理的連続性が維持可能である。保護膜構成は事実上不浸透性であり、活性金属イオンのトランスポートは可能で、液体と気体のトランスポートは効果的に妨害する個体電解質の膜から成るので、活性金属は空気や水の侵入の有害な影響から保護され、活性金属表面で使用される揮発性要素のロスが妨げられる。活性金属アノードを事実上カプセル状に包み込むような囲まれたアノードコンパートメントを生成するために、液体と気体に対して事実上不浸透性である本発明のコンプライアントシール構成物を保護膜構成物とともに使用して固体電解質の周囲を密封し、アノード背面がアノードコンパートメントを完全に包囲する。
【0026】
保護付きアノード構成は、特定規格シールの特定規格に従うと言う特徴により、アノードの活性金属と保護膜構成との間の(イオン的交信を提供するものである)有効な機能的接触のロスを妨げるものである。サイクリングの期間中、活性金属材料(例えばリチウム)が放電とともに消費されたり、充電によって再生成されるにつれ、シールはアノードコンパートメントの体積変化に準拠し、保護付きアノードコンパートメントがアノードコンパートメントの内外で起こる圧力と体積の変化に対して調節出来るようにする。コンプライアントシール構成物は更にアノードコンパートメントの体積を最小化し、それによって対応する電気化学セル構成(例えばバッテリ)の体積(及び重量)うぃ最小化し、エネルギ密度を最大化させる。
【0027】
本発明のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成は、Li/空気(或はNa/空気)バッテリのような金属水バッテリについて特に有効である。ガルバニック Li/空気セルに於いては、カソードが反応に於けるリチウム源を提供し、これは物理的にはリチウムフォイルの消失とアノードに於ける水酸化リチウムの生成として実現する。 Li/空気セルに於いては、生成された LiOH は水性カソライト槽に保持され、その結果セル放電に伴いアノード体積の拡張に至る。放電の進捗とともに、コンプライアントシール構成物の存在により、アノード体積の増加がカソードの体積の縮小で補償可能とされる。
【0028】
本発明のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成は、Li/海水(或はNa/海水)をも含めての金属/海水バッテリにとって非常に有益となる。海水は水性電解液でも酸化剤でもあり、バッテリパックに入れて運搬する必要もないので、このようなバッテリは非常に高エネルギ密度(Wh/l)と比エネルギ(Wh/kg)を持って居る。フレキシブルなシールを使って保護付きアノードコンパートメント用を包めば、カソードでの放電と共に海水の静水圧がアノードコンパートメントにかかり、アノードの活性金属には固体電解質板から均一な圧力がかかることになり、これは活性金属をフルに利用するに当たり重要なことなのである。
【0029】
本発明の範囲は尚保護付きアノード或はセルのアレイにも及ぶものである。殊に本発明のコンプライアントシール構成物で各種のフレキシブルなアノードアレイとか、各種の幾何学的構成のリジッド及びフレキシブルなアレイが可能となり、その中には各種の形状の構成物の上及び/或はそれに準拠させて構成することが含まれる。多くの構成の 保護膜構成及び関連した電気化学的構成が本発明のアノードアレイによって可能となり、それには筒状のセルアレイ、正規或は不正規形物体表面に準拠させたアレイ、螺旋状アレイが含まれる。本発明はリジッドな保護付きアノードアレイに関するものではあるが、殊に大面積の保護膜構成であって、製造とか実施工程での取り扱いに利な場合には、フレキシブルな特徴も加えられてよい。
【0030】
本出願者による出願中の公開済み米国特許出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894に記載のイオン伝導性保護膜構成は、本発明のコンプライアントシール構成物と共に、活性金属アノードとアノードコンパートメント内の要素が周囲環境の湿気とか、非極性或は水性カソライトのようなバッテリセル要素と接触しないように、活性金属アノードを周囲の環境から隔離して居る。このことは、リチウム金属箔、ミクロ孔質隔離材(例えばセルガード(Celgard ))及びアノードがすべて有機非極性溶媒と電解液体内で密着しているリチウム金属バッテリのような従来例の活性金属バッテリと対照的である。本発明のコンプライアントシール構成物は保護付きアノードコンパートメントを全部包み込む本質的に不浸透性の、化学的に抵抗性のあるバリヤを提供するものであり、ギャップなしの境界面を維持する機械的フレームワーク、不必要な空間と重量とを最小化し、エネルギ密度と比エネルギとを最大化する小型構成とを提供するものである。
【0031】
保護付きアノード構成
本発明の保護付きアノード構成は活性金属アノード、イオン伝導性保護膜構成、アノード背面、及びコンプライアントシール構成物から成り、これらは共に結合された状態に於いて活性金属アノードを囲う密封アノードコンパートメントを効果的に形成するものである。この保護付きアノード構成は保護膜構成を通してアノードコンパートメント内外への活性金属イオンの運行が可能であり、アノード背面或はその他の端子を通じてアノードコンパートメント内外への電子流運行が可能に形成されて居る。
【0032】
本発明のアノードコンパートメントはアノライト、カソライト、電解液中の溶解物及び湿気に対して事実上不浸透性であり、そのコンプライアントシール構成物によってアノードの体積変化に従順であるので、アノード、保護付き構成、及び背面の間の物理的連続性(例えばイオン的、電子的、及び機械的連続性)は維持される。
【0033】
本発明に於いて、物理的連続性とは例えばイオン的連続性、機械的力の連続性、及び電子的連続性の中の少なくとも一つに対応する、本発明のアノードと、アノード背面とか保護膜構成のようなその他の部品との物理的連続性とは、このアノードとその他の部品の間にイオン的連続性、機械的力の連続性、及び/或は電子的連続性の中の一つの関係があることを意味する。
【0034】
イオン的連続性の意味は、関連電界及び/或は濃度勾配に於いて、金属イオンがアノードと保護膜構成の間で搬送(トランスポート)可能であると言うことである。
【0035】
電子的連続性の意味は、関連電界のもと、 アノード背面がアノードの為に電流収集を行う場合、電子のアノードとアノード背面の間での搬送が可能であると言うことである。
【0036】
機械的力の連続性の意味は、アノード背面及び/或は保護膜構成への機械的力或はそれによる力はアノードへ伝達可能であり、アノードへ或はアノードからの機械的力はアノード背面及び/或は保護膜構成へ伝達可能であると言うことである。
【0037】
本発明のすべての場合に於いて、保護膜構成にはアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
【0038】
アノード背面が絶縁体である場合、アノード背後板はアノードに対して機械的力の連続性を有する。
【0039】
アノード背面がアノードの為に電流収集を行う導電体の場合、アノード背面はアノードに対して電子的連続性を有する。この場合、アノード背面がアノードに対して機械的力の連続性をも有することもある。
【0040】
アノード背面が保護付き構成である場合、アノード背面はアノードに対してイオン的連続性を有する。アノードとの機械的力の連続性をも有することもある。
【0041】
物理的連続性の程度と均一性とが大きいほど、保護付きアノード構成の性能は良好である。物理的連続性のロスとは、物理的連続性が悪化して、本発明の保護付きアノード構成が既にアノードとして機能出来ないとのことである。
【0042】
保護付きアノード構成の基本的要素として以下のものが含まれる。
【0043】
(i)第一面と第二面を有する活性金属アノード;
(ii)事実上不浸透性であり、活性金属イオントランスポートを提供する一方、活性金属アノードの第一面を包み込むイオン伝導性保護膜構成;
(iii)事実上不浸透性であり、活性金属アノードの第二面を包み込むアノード背面;
(iv)事実上不浸透性であり、充電と放電の時にアノードコンパートメントの体積を変化させ(主として厚さを変化させ)ながら、シールによって保護膜構成をアノード背面に接続するコンプライアントシール構成物。
【0044】
アノードから電流を抽出するため、活性金属アノードと電子的連続性を有し、アノードコンパートメントの外部へ延びて居る導電体も必要である。これは、導電性であるか、アノードの活性材料と接触する導電性部品を有するアノード背面、或はアノードの活性材料と接触する導電性の端子コネクタによって供給される。
【0045】
以下、本発明の保護付きアノード構成について記述し、その後、保護付きアノード、保護付きアノードのアレイ、水性及びその他の電解質を使用する電気化学セルであって、アノードの活性金属或はそうでなくてもアノードコンパートメントによって供給される密閉筐体と反応して悪影響があるものを含めての具体的な実施例について詳細な説明をする。
【0046】
本発明の代表的な保護付きアノード構成を、図1A−1Eを参照して説明する。 図1A−1Eに示されるものが発明の単なる一例であるに過ぎず、後述するように、多くの変化例が可能であることは理解出来よう。図1Aは片面型の保護付きアノード構成120の図であり、内部の各層を示すために一部切り取られて居る。この保護付きアノード構成120は活性金属アノード100、保護膜構成102、アノード背面106、及びコンプライアントシール構成物104から成る。組み立てられ、密封された場合、保護膜構成102、アノード背面106、及びコンプライアントシール構成物104は有効的に活性金属アノード100を内蔵する密封されたアノードコンパートメントを形成する。アノード100と背面106の間に在る選択的別個の電流コレクタ108と、電流コレクタ108に接続された導電性端子110とが、アノード背面106とコンプライアントシール構成物104の間の接点に形成された入り口からコンパートメントの外部へと延長して居る。本実施例に於いては、アノード背面としてより広く、バッテリセル包装/コンテナ材料、電流コレクタ108、電子的導電性端子110などのアノード背面支持部品107を含むものとする。他の実施例にあっては、部品108、110は単一部品(例えば銅製のシート)としてもよい。又、背面が事実上不浸透性のアノード電流コレクタである場合、アノード背面支持部品107は不要であり、この場合部品110も不要かも知れない。
【0047】
保護付きアノード構成が密封的であると言うのはアノードコンパートメントが上記の定義のように外部環境に対して実質的に不浸透性を有するとの意味であり、内部の揮発性要素が外部環境に逃れることは防止されて居る。実質的に不浸透性であると言うことの意味は、その物質が外部環境の構成要素、例えば湿気、水性及び非水性のカソライト、レドクスアクティブ溶媒を含むカソード環境(カソードコンパートメント)の構成物、その他の活性金属アノード材料に有害な活性金属腐食性バッテリ要素などにとって十分バリヤとなり、このように電極作用を悪化する障害を起こらないようにすることである。従って、膨張することなく、孔や欠陥や、湿気、電解液、カソライトなどを通過させる通路のないことが必要である。又、揮発性なアノライトのようなアノードコンパートメント内部の要素が逃げ出すのを防ぐ実質上に不浸透性のバリヤとなり、このように電極作用を悪化する障害を起こらないようにする。保護付きアノード構成は又保護膜構成を通してアノードコンパートメント内外への活性金属イオントランスポートと、アノード背面に組み込まれて居てもよい電流コレクタ/導電性端子による、活性金属アノードからアノードコンパートメントの外部への電流の通路を提供するものである。
【0048】
図1Bは 図1Bの保護付きアノード構成の充電された状態の断面図である。活性金属アノード100は第一面と第二面を有し、第一面はイオン伝導性保護膜構成102し、第二面はアノード背面106に隣接して居る。選択的電流コレクタ108は活性金属アノードにボンド結合されて居る。実質的に不浸透性であるコンプライアントシール構成物104が活性金属アノード100に包み込む囲いを与え、シールによって、夫々活性金属アノード100の第一面と第二面を包み込む保護膜構成102とアノード背面106とに接続される。導電性端子110は電流コレクタ108に直接して居り、従って、活性金属アノード100とイオン的連続性をも持って居る。導電性端子110は、アノード背面とコンプライアントシール構成物の間の接点に形成された入り口からアノードコンパートメントの外部へと延長して居る。
【0049】
図1Cは図1Bの保護付きアノード構成の放電された状態の断面図であり、コンプライアントシール構成物の実質的利点を示すものである。放電により、アノード100は質量と体積が減る。保護付きアノード構成120は、保護膜構成102とアノード背面106との間の間隙が狭まるにつれコンプライアントシール構成物104が曲げ伸ばしすることにより、アノード体積のロスを補償することが出来る。このようにして、 アノードコンパートメントは密閉状態を維持し、アノードは背面106の保護膜と電流コレクタ108と夫々イオン的と電子的連絡状態を続ける。
【0050】
図1Dと図1Eとは、図1A−1Cの保護付きアノード構成の上面図であり、図1Eは上面の下の各層を見せるための切り開きがある。
【0051】
保護付きアノード構成の特徴を詳細に記述する。
(i)活性金属アノード
活性金属アノード100は、活性金属層、活性金属合金層、活性金属イオン層、活性金属挿入(インタカレイト)層から選ばれる一つ以上から成る。
【0052】
活性金属は環境状態にあって非常に活性であり、電極として使用の場合、バリヤが有利となる。これは主としてアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土金属(例えばカルシウム、マグネシウム)、 及び/或は或る種の遷移金属(例えば亜鉛)、 及び/或は上記の中の二つ以上の合金である。下記の活性金属が使用可能である:アルカリ金属(例えばLi, Na, K)、アルカリ土金属(例えばCa, Mg, Ba)、Ca, Mg, Sn, Ag, Zn, Bi, Al, Cd, Ga, In, Sbの2元素及び3元素アルカリ金属合金。好ましい合金の例は、リチウムアルミニウム合金、リシウムシリコン合金、リチウム錫合金、リチウム銀合金、ナトリウム鉛合金(例えばNa4Pb)。好ましい活性金属電極は、アルカリ金属のリチウム或はナトリウムを含むものであり、リチウムが殊に好ましい。
【0053】
尚、放電された状態にあっては、活性金属材料層はアルミニウム、シリコン、錫のような活性金属合金用の金属、炭素及びその他当業者に公知の活性金属挿入(インタカレイト)材料であってもよい。可逆的な LiイオンやNaイオンのような活性金属の挿入や脱着が可能である活性金属挿入層の使用は有利な特徴をもたらす。先ず、樹脂状結晶の生成の恐れなしに、バッテリのサイクルライフを延長することが出来る。好ましい活性金属挿入層は、対応する活性金属(例えば Li や Na)の電圧に近い電圧(例えば約1ボルト以内)である。 好ましい活性金属挿入層は炭素であり、これは Liイオンに関する当業者に既知のことである。
【0054】
二次バッテリのように炭素アノードを組み込んだ電気化学構成にとって、本発明の保護付きアノード構成が有利であのは、アノードがカソードの環境から完全に隔離されて居ることである。従って、アノライト(アノードに接触する電解質)もカソライト(カソードに接触する電解質)も独立して最も効果的にされる。
【0055】
上記の如く、好ましい実施例に於いて活性金属材料はリチウム或はナトリウム金属であり、ことにこれはリチウムである。活性金属材料の層の厚さは最低10ミクロンであり、1cm以上であってもよい。 好ましい厚さの範囲は、好ましくは10ミクロンと50ミクロンの間、50ミクロンと100ミクロンの間、0.1mmと1mmの間、1mmと10mmの間、10mmと100mmの間、及び100mmと500mmの間である。
【0056】
(ii)保護膜構成
活性金属アノード100の第一面の上の保護膜構成102は、アノードコンパートメント外部へのバリヤを提供するとともに、アノードコンパートメントの内外へ選択的に活性金属イオンの転送を行う。更に、アノードコンパートメント内部の要素が逃れないようにする不浸透性バリヤともなる。本発明での使用に適当な保護膜構成は、出願者による公開済み米国特許出願US 2004/0197641, US 2005/0175894及び対応国際特許出願WO 2005/038953, WO 2005/083829に記述されてある。これらの文献は、本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0057】
図2A−2Dは、これらの開示の中、本発明での使用に適当な代表的保護膜構成を例示するものである。
【0058】
図2Aを参照するに、保護膜構成はイオントランスポート可能なモノリシック固体電解質202であって、化学的に活性金属アノード201と外部環境の両方に対して安定なものであり得る。そのような物質の例は、Na-b"アルミナ、LiHfPO4, NASICON, Nasiglass, Li5La3Ta2O12, Li5La3Nb2O12.Na5MSi4O12(M: Nd, Dy, Gdのような稀土)。
【0059】
より一般的に、保護膜構成は、異なる化学的互換性条件を持つ異なる物質の二つ以上の成分からなる組成物であり、その一方はアノードコンパートメント内のアノード環境との化学的互換性、他方は外部、即ち一般的には周囲の空気或は水、及び/或はバッテリ電解質乃至カソライトとの化学的互換性のことである。ここで化学的互換性とは、言及されたバッテリセル成分の一つ以上と接触した場合にその物質が反応して、バッテリセルの操作に悪影響を及ぼす物質を生成しないと言うこと、或は製造、操作、貯蔵、外部環境条件のことである。組成物の中で異なるイオン導電体の特徴が結合し、イオン伝導性、アノード、カソード並びにバッテリ製造時の周囲の条件などに対する化学的安定性などの望ましい特徴を得る。この組成物は、バッテリの他の成分とか周囲の条件との悪影響のある反応から活性金属アノードを保護することが出来ると同時に、高レベルのイオン伝導性と付与することによって製造を容易にし、及び/或はこの組成物が組み込まれたバッテリセルの性能を向上させることが出来る。
【0060】
図2Bを参照するに、保護膜構成は、第一物質層212が活性金属アノード201に対して安定であり、第二物質層214が外部環境に対して安定あるように、独立分離した層から成る固体電解質210から成る。別例として、図2Cが示す保護膜構成は同一物質の固体電解質組成物220から成るが、独立分離した層でなく、段階的な物質遷移となって居る。
【0061】
比較的軽い重量のため、アルカリ金属はリチウムの如く、バッテリ電極成分として有利である。しかし、リチウム、ナトリウム、或はリチウム合金とかリチウムイオン(リチウム層間)のアノード材料のようにリチウム金属同等の電位(例えば約1ボルト以内)であるリチウムを組み込んだ組成物などは、電解質やカソードの好ましい材料であり得るものに対して極めて反応性が高い。保護膜構成は活性金属、活性金属合金、或はアノードコンパートメント内の活性金属イオン電極を周囲及び/或はセルのカソード側から隔離するバリヤを提供すると同時に、アノードコンパートメント内外への活性金属イオントランスポートを果たす。種々の様態の構成が可能である。一般的に、実質上不浸透性であり、イオン伝導性があり、外部環境(例えば空気や水)或はカソード環境と化学的互換性のある固体電解質の層から成る。ここで化学的互換性とは、言及されたバッテリセル成分の一つ以上と接触した場合にその物質が反応して、バッテリセルの操作に悪影響を及ぼす物質を生成しないと言うこと、或は製造、操作、貯蔵、外部環境条件のことである。
【0062】
一般的に、固体組成物の保護膜構成は( 図2B、図2Cを参照して記述された如く)第一物質層と第二物質層から成る。組成物の第一物質層(或は第一層物質)はイオン伝導性があり、活性金属アノード物質と化学的互換性我ある。発明のこの面に於いて、化学的互換性とは化学的に安定であって、活性金属のアノード物質と接触しても実質上反応しないと言うことである。また、空気と安定であり貯蔵や操作に便利な一方、活性金属電極物質と反応して活性金属アノード物質に対して安定し、イオン伝導性の高い物質(即ち第一層物質)を生成することでもある。このような反応性物質はプレカーサ物質と呼ばれることもある。組成物の第二物質層は第一物質に対して実質上不浸透性があり、イオン伝導性我あり、化学的に互換性を有する。これらの目的を果たすため、又電極の安定性や機能を向上させるため、これ以外の層があってもよい。組成物の総ての層はイオン伝導率が高く、少なくても10-7S/cm、一般には少なくとも 10-6S/cm、例えば 10-5S/cm-10-4S/cm であり、10-3S/cm 以上上であってもよく、多層保護構成の全体的イオン伝導率は少なくとも10-7S/cm、そして10-3S/cm以上でもよい。
【0063】
第四の適当な保護膜構成の例が図2Dに示されて居る。この構成は固体電解質234と活性金属アノード201の間に中間層232を挿入した組成物230であり、この中間層はアノライトが満たされて居る。即ち、この構成は、非水性のアノライト(即ちアノードの周りの電解質)と有し、活性金属と化学的互換性を持ち、アノードと接触している活性金属イオン伝導性の隔離層と、実質上不浸透性があり(ピンホールやクラックがない)、イオン伝導性があり、隔離層と水性環境に対して化学的互換性を持ち、隔離層と接触して居る固体電解質層とから成る。この構成( 図2D)での固体電解質層は、図2B、図2Cでの組成物固体構成の第二物質層の特質の多くを持って居るので、以降の記述に於いてこれら三例の構成の固体電解質層はすべて第二物質層、あるいは第二層と言及することにする。
【0064】
上記の原則により、本発明に従って保護用組成物を製造するに当たっては、各種の物質が使用可能である。例えば第B図と第C図に於いて、活性金属と接触している第一層(物質成分)の一部乃至全部は活性金属の窒化物、リン化物、ハロゲン化物、硫化物、リン酸硫化物、或は活性金属のリン酸オクシニトライドのガラスから成ってもよい。これらの特種例は以下の通りである:Li3N, Li3P, LiI, LiBr, LiCl, LiF, Li2S-P2S5, Li2S-P2S5-LiI, LiPON. 活性金属電極物質(例えばリチウム)は、これらの物質に付けられてもよいし、金属窒化物、金属リン化物、金属ハロゲン化物、赤燐、沃素、窒素、有機物や重合体を含むリン化物などのようなプレカーサをリチウムに接触させてもとの位置で生成してもよい。殊に適当なプリカーサ物質は Cu3Nである。第一層は、プリカーサの不十分なリチウム化類似物への変換の結果である場合もあるが、本発明での保護用組成物の第一層の条件が満たされるのであるから、かかる不十分な変換によるものも、本発明の範囲に入るものとする。
【0065】
アノライト層間組成物の保護付き構成の実施例(図2D)に於いて、保護膜構成は、アノードの活性金属と化学的互換性を持ち、アノードと接触し、非水性アノライトから成る活性金属イオン伝導性の隔離層と、隔離層と接触し、隔離層及びアノードコンパートメントの外部と化学的互換性を持つ、実質上不浸透性でイオン伝導性がある層(第二層)とから成る。隔離層は有機アノライトを満たした半浸透性の膜であってもよい。このような半浸透性の膜は、例えばセルガード社(Celgard, Inc.)より購入可能のミクロ多孔性の重合体であってもよい。有機アノライトは液体でもゲル相であってもよい。例えば、アノライトは、EC, PC, DEC, DMC, EMC, 1,2-DME 或は高級グライムのような、有機炭酸塩、エーテル、ラクトン、スルフォンなど、及びこれらの結合から選ばれる溶媒を含んでもよい。1,3-ディオクソレインも特に、又それに限らず、構成を組み込んだセルの安全性の向上の為に使用する場合には、アノライト溶媒として使用出来る。アノライトがゲル相の場合、溶媒をゲル化するために、ポリビニリディンフルオライド(PVdF)化合物、ヘキサフロロプロピレンービニリデンフルオライド共重合体(PVdf-HFP)、ポリアクリロニトリル化合物、クロスリンクドポリエーテル化合物、ポリアルキレンオキサイド化合物、ポリエチレンオキサイド化合物、これらの組み合わせと類似のもののようなゲル化剤を加えてもよい。適当なアノライトの例としては、勿論活性金属塩が含まれ、リチウムの場合、例えばLiPF6, LiBF4, LiBF4, LiSO3CF3, LiN(SO2C2F5)2 が含まれる。ナトリウムの場合、適当なアノライトの例には、NaClO4, NaPFc, NaAsF6, NaBF4, NaSO3CF3, NaN(CF3SO2)2, NaN(SO2C2F5)2のような活性金属塩が含まれる。好適な隔離層の一例は、プロピレンカーボネイトに溶解し、Celgardのミクロ多孔性重合体膜を満たす 1M LiPF6である。
【0066】
保護用組成物の第二層(物質成分)は実質上不浸透性であり、イオン伝導性があり、第一物質或はプリカーサと化学的互換性のある物質から成るものでよく、その例としては、リン系ガラス、オキサイド系ガラス、リンーオキシニトライド系ガラス、硫黄系ガラス、オキサイド/スルファイド系ガラス、セレナイド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラス、ナシガラス(Nasiglass)、リチウムベーターアルミナ、ナトリウムベーターアルミナ、リチウムスーパイオン導体(LISICON)、ナトリウムスーパイオン導体(NASICON)などのセラミック活性金属イオン導体、ガラスーセラミック活性金属イオン導体が含まれる。特別例として、LiPON, Li3PO4.Li2S.SiS2, Li2S.GeS2.Ga2S3, LiO.11Al2O3, Na2O.11Al2O3, (Na,Li)1+xTi2-x,(PO4)3, (0.1 = x = 0.9) 及び結晶学的に関連した構成、Li1+xHf2-xAlx(PO4)3 (0.1 = x = 0.9), Na3Zr2Si2PO12, Li3Zr2Si2PO12, Na5ZrP3O12, Na5TiP3O12, Na3Fe2P3O12, Na4NbP3O12, Na-Silicates, Li0.3La0.5TiO3, Na5MSi4O12 (M: Nd, Dy, Gdのような稀土)、Li5ZrP3O12, Li5TiP3O12, Li3Fe2P3O12, Li4NbP3O12 , これらの組み合わせ、選択的に焼成または溶解されたものがある。適当なセラミック活性金属イオン導体については、例えば米国特許4,985,317に記載されてあり、この文書は本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0067】
保護用組成物の第二層として殊に好適なガラスーセラミック物質は、リチウムイオン伝導性のガラスーセラミックであって、以下の組成であり、
【0068】
【表3】
【0069】
そして更に、Li1_x(M,Al,Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 (ここでX = 0.8, 0 = Y = 1.0, MはNd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb 及び/或はLi1+x+yQxTi2-xSiyP3-yO12 から選ばれる元素であり、0 < X = 0.4, 0 < Y = 0.6, Q は Al 或はGa)。このガラスーセラミックは原材料を溶解してメルトを得た後、このメルトをガラスに鋳造し、このガラスを熱処理して製造する。このような物質は日本のOHARA Corporation から入手可能であり、米国特許5,702,995, 6,030,909, 6,315,881, 6,485,622に記載されてある。これらの文書は本発明の以降の開示に組み込まれるものとする。
【0070】
この組成物は内在的に高いイオン導電率でなくてはならない。一般的に、この組成物のイオン導電率は最低10-7S/cm以上であり、一般に約10-6 - 10-5S/cm、そして10-4 - 10-3S/cm以上であってもよい。第一プリカーサの厚さは第二物質層と隣接した物質或は層、殊にアノードの活性金属との接触を妨げるのに十分でなくてはならない。例えば、固体膜用の第一物質層の厚さは0.1から5ミクロン、0.2から1ミクロン、或は約0.25ミクロンであり得る。第四例の層間アノライトの好適な厚さは例えば5から50ミクロン、Celgard の典型的な厚さは25ミクロンである。
【0071】
第二物質層の厚さは好適に0.1から1000ミクロン、或は第二物質層のイオン導電率が約10-7S/cmの時には約0.25から1ミクロン、第二物質層のイオン導電率が約10-4S/cm- 約10-3S/cm-の時には約10から1000ミクロン、好適には1から500ミクロンの間、更に好適には10と100ミクロンの間で、例えば約20ミクロンである。
【0072】
(iii)アノード背面
活性金属アノード100の第二面と物理的連続性の関係にあるアノード背面106は実質的に不浸透性であり、活性金属アノード100に構造的支持を提し、密閉的な囲いの一部をなす。その構成によって一個或はそれ以上の部品から成り、追加的機能も提供する。例えば下記の如く、アノード背面は電流コレクタ及び/或は電気端子コネクタ或は両面式保護付きアノード構成となるように他の保護付きアノード構成を含むこともある。更にアノード背面はバッテリセル容器の底基部或は上部カバーでもあり得る。アノード背面は又放電充電に際して起こるアノードの厚さ変化を緩和するための曲げやすい物質を含むことも出来る。
【0073】
一般に、アノード背面は、アノードコンパートメントを囲む外部環境に対して実質的に不浸透性で、内部成分に対して化学的互換性があるアノード背面となるよう適切な物質或は物質の組み合わせから成る。アノード背面の選択は、材料の種類によるものではなく、アノード背面は金属、重合体、セラミックス、ガラスなどから成り得る。 アノード背面はリジッドでもよく、弾力性があってもよい。背面はバリヤの性能を持った物質でなくてはならず、周囲の環境に対して実質的に不浸透性である厚さが必要であるが、その一方全体として保護される電極の重量や体積に対して重荷となってもいけない。
【0074】
本発明の一面に於いて、アノード背面106は、周囲の湿気とか水性電解質を含む電解質溶媒に体する化学的抵抗に関して所定の機能を有するための複数の層から成る層状組成物を含む。本発明の一面に於いて、このアノード背面部品(例えば図1Bでの107)は多層の層状組成物であり、例えば2層或はそれ以上の層を有する。
【0075】
殊に好適な本発明のアノード背面支持部材107は、3層以上の隣接して堆積した層を持つ多層型の 層状組成物から成り、少なくとも最上と最下の層に最低1個の中間層を含む。発明の一面に於いて、最下層は活性金属アノード100の第二面と隣接して居り、この場合最下層は活性金属アノードの第二面と化学的互換性が必要である。保護付きアノードが液体アノライト層間を持つ保護膜構成である場合、最下層も又アノライトと互換性が必要である。アノライトとの互換性とは、最下層が 保護付きアノード構成の予定された有効期間に影響がある程には最下層が溶解したり膨張したりしないと言うことである。好適な実施例に於いて、最下層は熱シール可能な、融点の低い熱可塑性物体から成る。殊に好適な最下層は低密度のポリエチレン(LDPE)であるが、対蹠的に、この多層の積層体から成るアノード背面部品の最上層は外部環境に対して化学的抵抗体である。好適に、最上層は電気的に絶縁体でもある。殊に好適な最上層はポリエチレンテレフタレート(PET)である。多層の層状体のすべての層が多少のバリヤ効果を持つとしても、中間層の少なくとも一つはバリヤ層である。殊に好適な中間のバリヤ層は、金属箔であって、周囲の湿気とかアノードコンパートメント外部から侵入する有害成分をブロックアウトし、アノードコンパートメントの内部成分が逃げ出すのを妨げるだけの厚さを有する。殊に好適な内部層は、例えば30ミクロンの厚さのアルミニウム箔である。多層型の層状体は、金属、重合体、ガラス、セラミックなど、その他の中間層を含んでもよい。尚、層は層をボンディングするため、又ボンディングを容易にするために層を濡らすための接着剤を含んでもよい。
【0076】
アノード背面部材107は鋳造や型押しによって、所定の形状にされる。例えば、鋳造によってアノード背面をコンプライアントシール構成物104に接続させるボンド用のプラットフォームを形成することも出来る。その他の形状も製造の容易の為とか、筒形とか螺旋形とか種々の形態のアノードアレイの構成の為に適切となるかも知れない。
【0077】
殊に好適なアノード背面部材107は、ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造された製造仕様95014の曲げ性の多層型ラミネートである。このラミネートは厚さ約120ミクロンで、ポリエチレンテレフタレートの最上層(厚さ約12ミクロン)、アルミニューム箔の中間層(厚さ約32ミクロン)、ポリエチレンテレフタレートの中間層(厚さ約12ミクロン)、低密度のポロエチレンの最下層とから成る。
【0078】
アノード背面106は電流収集及び端子接続を行うように構成できる。電流コレクタとして機能するため、アノード背面106は、アノードの活性金属と合金したり、層間挿入を行ったり金属(例えば銅、ステンレススチール、ニッケル)のような、適当な導電性を持ち化学的に安定した物質から成るべきである。本実施例のアノード背面は電流コレクタ及び端子コネクタとして機能する。活性金属アノード100がリチウムの場合、殊に好適な電流収集するアノード背面は銅、ニッケル或はステンレススチールである。従って、アノード背面は適当な厚さの銅、ニッケル或はステンレススチールの箔或は板、或はエクスメット(Exmet)のような伸張可能の銅メッシュである。当業者が理解するように、電流コレクタの厚さや重量はバランスや適当な導電度を得るために最小化するのが望ましい。一実施例によれば、アノード背面は背面支持部材107から成り、電流コレクタ108が活性金属アノード100の第二面と背面支持部材107の間に設置される。この実施例の場合、殊に好適な背面支持部材は、例えば Lawson Mardon Flexibleによって製造の上記のような多層型のラミネートである。そして、好適な電流コレクタは8から25ミクロンの範囲、例えば25ミクロンの銅箔、或は厚さ約50ミクロンのニッケル箔である。その他の実施例によれば、銅或はニッケルの箔の電流コレクタの厚さは5から15ミクロンの範囲に最小化される。
【0079】
アノード背面が金属の場合、外部環境との反応に対して安定な適当な厚さの金属箔か板であり、アノードに隣接した側を、活性金属アノードに対して殊に安定性のある銅とかカーボンインクのような金属とか導電性在材料でコーティングすればよい。適当な厚さとは、アノード背面が保護されるアノードがその目的のために十分な構成的支持を受け、実質上不浸透性なことである。しかし、保護される電極に不当なほど重力負担がかかる程の厚さではいけない。好適な電流コレクタである背後板は25から250ミクロン、例えば100ミクロンの厚さのステンレススチールの箔である。
【0080】
別の実施例によれば、非導電性のアノード背面部材(例えば上記部材107)の表面に、電流収集及び/或は端子接続のため、導電性の材料をコーティングする。この場合、アノード背面は如何なる材料でもよく、アノードコンパートメント外の外部環境に露出する面は絶縁性である。この絶縁体は、ガラス、セラミック、重合体のような、どのようなものであってもよい。重合体は軽くて化学的抵抗性が優秀だから殊に有効である。導電性膜は、活性金属アノードに接触する面が化学的に安定であるか、化学的に安定な中間面を形成可能である限り、どのような適当な金属膜であってもよい。一実施例によれば、導電性膜は、少なくとも一種の銅(或はモリブデン、或はタンタル)のような金属から成り、物理蒸着法によってPETのような重合体材料の上に、2から5ミクロンの厚さに形成される。一実施例によれば、アノード背面はその導電性の表面膜と共にアノードコンパートメントから伸びだし、導電性膜は活性金属アノードからアノードコンパートメント外部への端子連結を提供する。同様に、電流コレクタ/端子接続膜は、上記多層重合体/金属背面支持部材ラミネートのような背面支持部材であってもよい。
【0081】
更に或る場合に於いて、アノード背面或はその要素は保護付きアノード構成の背面/要素とコンプライアントシール構成物との両方を形成する唯一の隣接した物体であってもよい。この実施例は図3Gと図3Hとを参照して、以下詳細に説明する。
【0082】
電流コレクタをアノード背面106に組み込むことはしばしば望ましいことではあるが、電流収集/端子接続が別の様相で提供される場合もある。例えば或る設計によれば、アノード背面から離れた端子コネクタが活性金属アノード材料と直接接触する。その一例は図4Aを参照して説明される本発明の両面型保護付きアノード構成であり、そこではアノード背面は第二のイオン伝導性保護膜であり、電流収集と端子接続とはアノードと電気的に接触した別機構による。図1A−1Eに示されるように、かような配置は片面型実施例でも可能である。
【0083】
外部機器に電力を供給するために、活性金属アノードはアノードコンパートメントから外部へ伸びだす導電性端子の少なくとも一つと電気的連続が必要である。本発明の或る実施例に於いては、導電性端子は活性金属アノードと直接接触して居る。別の実施例の中、ことに保護付きアノードアレイから成る場合、活性金属アノードは導電性端子に直接物理的に接触しないこともあるが、各々の活性金属アノードは導電性端子の少なくとも一つと電気的連続して居る。
【0084】
図1Bで示される実施例の場合、アノード背面106は、重合体(例えばPET)或は此処に記述されたような多層型重合体/金属ラミネートのような下地層部107と、電流コレクタ108と電気的に連続の端子コネクタ110とから成る。図示の実施例に於いて、殊に好適な端子コネクタ110は金属タブである。好適な金属タブは、ニッケル、アルミニューム、アルミニューム合金、及びステンレススチール合金である。タブはどのような適当な幾何学的形状でもよいが、アノードからの電流を、関連するバッテリセルを過度に熱したり、過度の電圧低下を起こしたりせずに通過させることが出来るよう、十分に低抵抗でなくてはならない。タブは アノードコンパートメント外部へ伸張可能であればどの長さでもよい。ニッケルは殊に好適な電流コレクタであり、殊に好適な端子コネクタである。電流コレクタと端子コネクタとは互いに抵抗溶接されて居てもよい。別の実施例に於いては、電流コレクタと端子コネクタは一個のニッケル片である。
【0085】
更に別例では、端子コネクタはアノードの活性金属材に接触するか、或は活性金属材と電流コレクタと同時に接触して居る。もし端子110が活性金属材に付いて居るか、接触して居る場合、端子110は活性金属材と悪影響のある反応をしないことが必要である。
【0086】
端子を電流コレクタ或はアノードの活性金属材に付ける方法は、溶接、物理的圧接、超音波溶接,抵抗溶接などに限られず、又そのいずれであってもよい。
【0087】
端子コネクタ110をアノードコンパートメントから引き出すのは、コンプライアントシール構成物104を通して、或はアノード背面106を通してなど、どの入り口を通してでもよく、好適には図1Bに示されるように、 コンプライアントシール構成物104とアノード背面106の間の接点に入り口が形成される。
【0088】
(iv)コンプライアントシール構成物
図1Bを参照し、コンプライアントシール構成物104は活性金属アノード100に囲いを提供するものであり、 活性金属アノードの第一と第二面を夫々包み込む保護膜構成102とアノード背面104とにシーリングによって接続されて居る。コンプライアントシール構成物は化学的抵抗性があり、実質的に不浸透性であり、曲げやすいものである。種々の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は保護膜構成及びアノード背面と連結してアノードコンパートメントを構成し、これにはコンプライアントシール構成物が一つ以上の他の部品にボンディングされたり結合されたりする場合、その他、コンプライアントシール構成物がアノード背面或はその部品と材料の同一片から形成されて居る場合のように、一つ以上の他の部品に隣接して居るとか、隣接するようにさせられて居る場合を含む。例として、図3A−図3Hにコンプライアントシール構成物の数々の実施例を示し、如何に本発明に従って 保護膜構成及びアノード背面に接続されるか例示する。
【0089】
本発明の主眼点は、活性金属アノード100の体積が縮小したり膨張したりして、活性金属の厚さの変化として現れるにつれ、コンプライアントシール構成物104がアノードコンパートメント130の厚さを変化させるように変形することである。この変形を可能にするのは、コンプライアントシール構成物が曲げたり、伸ばしたり、圧縮したり、或は保護膜構成102及び/或はアノード背面106へ働く純力のもとで一般にその形態を順応させる能力である。従って、もしこの純力に垂直成分があるか、或はこれが垂直方向であるならば、 コンプライアントシール構成物の曲げられる能力によって、充電放電の時、(結果としてアノードの厚さが変化する)質量の移動に対応して、保護膜構成が活性金属アノードの第一面に従う、及び/或は アノード背面が活性金属アノードの第二面に従うことになる。
【0090】
運動の範囲の程度は、一部にはコンプライアントシール構成物の曲げに関する性能と、保護アノード構成への純力の大きさによる。アノードコンパートメントへの純力とはアノードコンパートメントへ外部から働く外力と、活性金属アノード、アノード背面、保護膜構成及びコンプライアントシール構成物を含むアノードコンパートメントの成分に働く内力との総和である。
【0091】
外力とは、アノードコンパートメント外部の成分或は環境であって、その一部ではないものに由来するものである。例えば、外力はバネのようなバッテリ部品によって生じるかも知れず、金属/海水バッテリの場合には静水圧のような、保護付きアノードの周囲の環境の結果に由来するかも知れず、金属/空気バッテリの場合の放電生成物の形成のような、カソードを保護膜構成に逆らって膨張させるような電気化学的反応によって引き起こされるものかも知れない。外力はその他の現象及び現象の組み合わせによるものかも知れない。
【0092】
放電に際し、( アノードコンパートメントの)内力は一般に、但し常にではなく、相互的或は反応的な力であり、外力に応ずるものである。内力は、アノードコンパートメントの成分、即ち活性金属アノード、アノード背面、 保護膜構成及びコンプライアントシール構成物によるものである。
【0093】
例えば、静止の場合には、保護膜構成102とアノード背面106への外部からの応力は一部活性金属アノード100によって吸収されるので、アノードコンパートメント130への力の和はゼロとなる。行動中(充電放電中)には、質量がアノードコンパートメント130の内外へ移動するので、活性金属アノードの厚さは変化し、力のバランスはなくなり、それに応じて、保護膜構成102及び/或はアノード背面106が夫々活性金属アノード100の第一面や第二面と共に移動する。
【0094】
本発明によるコンプライアントシール構成物104は縦横性が十分で曲げ易いので、保護膜構成は外力の影響のもとで 浸透性を十分に維持したまま、この行動範囲内で変形可能である。コンプライアントシール構成物104は張力のもとでもあるので、応答力よりむしろ張力的ストレスをイオン膜構成やアノード背面 に供給し、(例えば、伸張されたエラストマが元の状態に戻り、)両者を活性金属アノードの方向に引っ張る傾向がある。
【0095】
アノードコンパートメントが伸張或は収縮する程度は、充電放電時の活性金属の厚さの変化、及び外応力の大きさと方向に応じたコンプライアントシール構成物の曲げ特性による。一次バッテリセルに保護付きアノード構成が使用される実施例の場合、コンプライアントシール構成物は、アノード背面からイオン膜構成までのアノードコンパートメントの厚さが、バッテリ放電に100%対応するアノードの厚さ変化程度に収縮出来るものであるべきである。二次バッテリセルについても同様に、アノードコンパートメントの厚さは、少なくともアノードが1サイクルごとに経験する厚さの変化だけ、可逆的に収縮及び伸張すべきものである。発明の一面に於いて、本発明の保護付きアノード構成は、充電放電時にアノードコンパートメントの厚さの収縮及び伸張にために有意義的な動作の範囲を供給するものであってよい。有意義的な動作の範囲の意味は、コンプライアントシール構成物が、アノードコンパートメント(図1B−1Cに示すような)の厚さの変化のための動作の範囲として、すくなくとも10ミクロン、好適に少なくとも50ミクロン、更に好適に100ミクロン以上のことである。本発明の或る面に於いて、動作の範囲は250ミクロン以上、500ミクロン以上、1センチメートル以上、及び10センチメートル以下である。
【0096】
本発明の一実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は容易に変形して自身上に折り曲げられる程度に従順である一方、バリヤの特質も十分に備えて居るものである。しかし、より一般的には、コンプライアントシール構成物の設計に於いて、曲げやすさ、丈夫さ、バリヤ特性、欠陥なしに連続的に曲げ伸ばしする能力に関し、更に外部からの応力(大きさと方向)を考慮に入れての妥協がある。
【0097】
本発明のコンプライアントシール構成物は一次と二次の両方のバッテリセルを容易にする。
【0098】
コンプライアントシール構成物の曲げ易さ、バリヤ特性、および化学的抵抗性は、内在的物質特性(例えば弾性率、硬度、引伸度、溶解度、反応度)、幾何学的形状(例えば様相率、厚さ)、及び構成(例えば折り目、皺)の組み合わせに由来する。本発明の精神に於いて、シール構成物の特性は、材料(例えば重合体、金属、セラミックスおよびガラス)の適当な選択、図形(例えば種々の縦横比の薄膜や箔)、および構成(例えば皺、アコーディオンタイプの折り目)に由来することが出来る。
【0099】
発明の一実施例では、コンプライアントシール構成物は必要とする特質、化学的抵抗、曲げ易さ、および実質的不浸透性を総て唯一の物質組成物から成る。
【0100】
重合体は広範囲の特質をもつものである。エラストマのような或る重合体は、弾力的であり、0.01から0.1GPaの弾性率を有し、非常に大きな変形するまで可逆的に伸張可能である。重合体の大部分はそれよりやや高めの0. 1から5GPa の弾性率を有し、それで弾性率は組成と構成によって変化する。相対的に高い弾性率を有するものでも、曲げ易さを与える大きな塑性的変形の範囲を持って居る。多くの重合体は曲げ易いのみでなく、優秀な化学的抵抗性と非常に優秀なバリヤ特性を持って居る。湿気に対して非常に優秀なバリヤ特性を持って居る重合体の例は、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポロビニリデンクロライド(PVDC) 、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVdF、およびパーリエンCである。その他の例は、ブチル、ハロゲン化イソブチレン、イソブチレンとパラメチルスチレンの共重合体、及びそれらのハロゲン化物である。不幸にして、完全に不浸透性の重合体はない。与えられた重合体或は重合体の組み合わせがコンプライアントシール構成物を実質的に不浸透性とする能力は、装置に期待され生涯、バリア浸透割合、浸透物質の組成、及びバリヤ壁の厚さによる。壁の厚さ(バリヤ特性改良のためとして)と曲げ易さとはトレードオフの関係にある。重合体はその破壊せずに大きな変形が可能である特性故に、比較的厚い壁を有し、改良された強さと十分なバリヤ特性を持つコンプライアントシール構成物を可能にする種類の材料である。従って、発明の或る実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、化学的互換性、曲げ易さ、及び実質的不浸透性の統べての要求される条件を満たす重合体或は重合体の組み合わせから成る。
【0101】
曲げ特性、バリヤ特性及び化学的抵抗性の間の好適なバランスは、一種以上の重合体物質を組み合わせることが成就できるかも知れない。例えば、複数の重合体層から成る層状重合体組成物は各層の特徴を有効的に組み合わせて、より好適なコンプライアントシール構成物を提供する。例えば、重合体組成物は最上部の化学的抵抗性の層を内部の湿気バリヤ層と内部のガス相バリヤ層と組み合わせ、それに化学的抵抗性の最下層を続け、更にコンプライアントシール構成物をそれに関連する要素(例えばアノード背面と保護膜構成)をボンディングするための熱シール層をも加えて成ってもよい。例えば、重合体組成物はPTFEの外部層、優秀な湿気やガス相に対するバリヤ特性を持つ内部PVDC層、優秀なガス相に対するバリヤ特性を持つ例えばEVOH から成る別の内部層、及び非常に良好な化学的抵抗性のあるポリエチレン(HDPE或はLDPE)最下層から成ってもよい。従って、本発明の他の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は改良された特徴と特性の層状重合体組成物を形成するための重合体物質の組み合わせから成る。
【0102】
重合体が化学的抵抗性と曲げ特性の面で有意義的に有利である一方、金属箔は優秀なバリヤ特性を有する。しかも、アルミニューム、アルミニュームの合金、及びステンレススチールのような引伸し可能な金属は、弾性変形の程度は中位ながら、箔の形態のように縦横比の大きい幾何学的形状の場合、極めて曲げ易いものである。金属箔の組成、ミクロ構成、及び厚さによっては、割れとか装置の製造若しくは運転中で形成されたピンホールとかの問題で、バリヤ特性が減少して居るかも知れない。金属箔の強さは、構成的支持と引伸し特性を加える重合体バッファフィルムとか箔を加えることによって向上するかも知れない。更に、金属箔の表面上の重合体の層は、コンプライアントシール構成物に電気的絶縁性を与える一方、その化学的抵抗を改善するかも知れない。これは、食品、電子部品など外部環境に対してシールを必要とする包装に関する当業者には周知のことである。
【0103】
従って、発明の一実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、アノードコンパートメントの外部環境に対し電気的絶縁性と化学的抵抗性を有する第一重合体層(例えばEVOH, PVDC, PTFE, Surlyn)、これもアノードコンパートメントの外部環境に対し電気的絶縁性と化学的抵抗性を有する第二重合体層(例えばPE, PP, PTFE, 商標名 Surlyn で一般に知られて居る酸で中和されたエチレン酸共重合体から成るもののようなイオノマー樹脂)、及び第一層と第二層の間に挟まれ、湿気はガス相が入ることと、アノードコンパートメントの内部から要素の出ることに対する優秀なバリヤを提供する第三金属箔層(例えば厚さ10〜150ミクロンのAl箔)から成る層状組成物から成る。単一物質層と比較して、多層ラミネート構成は各層の組成は厚さを変化することにより仕立てをすることが可能である。例えば、重合体は優秀な力学的化学的特性を有するが不浸透性ではなく、金属箔はそれ自身優秀なバリヤ材料であり、薄い場合には曲げ易いものの、ピンホールを埋めたり表面を絶縁するために、少なくとも一枚の別の層のあることが有利である。従って、本発明の好適な実施例に於いて、本発明のコンプライアントシール構成物は、多層型ラミネートのように層状に積み重ねられた複数の層から成り、実質的に不浸透性、化学的に抵抗性があり、曲げ易い構成である。
【0104】
本発明の多層ラミネートのコンプライアントシール構成物は、少なくとも最上層と最下層の二層を有する。最上層と最下層以外の層及びその他によって、バリヤ特性や強さが向上する。最上層と最下層とは接触する環境に対して化学的抵抗性がある。多層ラミネートの一変形は以下の三層から成る:(i)実質的に不浸透性の内部/中間バリヤ層;(ii)化学的に抵抗性のある外部―最上層;及び(iii) 化学的に抵抗性のある外部―最下層。これらの層の厚さは、バリヤ特性、曲げ易さ(より厚いフィルムはより好ましいバリヤ特質である代わり曲げ易さで劣る)及び重量の間のトレードオフによって決定される。三層ともラミネート全体として不浸透性のコンプライアントシール構成物を提供する能力に貢献する望ましい特質をもつものであってよい。中間層がアノードコンパートメントの外部乃至内部の環境に晒される場合には、かかる環境に対して化学的安定性が必要であるか、エポクシ系シール剤のような独立したシール剤によって密封されるべきである。本発明に好適な独立したシール剤については以下詳細に記述する。
【0105】
中間バリヤ層として使用される金属箔の例は、アルミニューム、錫、銅、ステンレススチールを含むがこれらに限られるものではない。重量と曲げ易さの観点から、アルミニュームが好ましいが、引伸性のある銅合金などのその他の金属も曲げたり伸ばしたりする過程に於ける強さを付与するかも知れない。金属層の厚さは総重量、曲げ易さ、バリヤ特性などのバランスを考慮して決定される。金属バリヤ層の厚さは好ましくは数ミクロンから150ミクロンの範囲であり、より好ましくは約25umから75umである。
【0106】
アルミニュームのような金属箔は一般的に優秀なバリヤ層であるが、錫セラミック層、錫ガラス層、更には金属のような蒸着材も組み合わせて使用し、バリヤ特性、曲げ易さ、及び化学的抵抗性のバランスを最適化してもよい。縦横比が十分高い場合、薄ガラスや薄いセラミックスも優秀な化学的抵抗性とバリヤ特性を与える。例えばSOxは湿気や酸素へのバリヤとしてPVDやCVDによって蒸着される。薄い層はスパタリング、CVD,レーザ溶発、電子線蒸発など多くの技術によって製造可能である。従って、発明の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、ガラス、重合体、セラミックス、金属、これらの組み合わせなどの材料の薄い層の集まりから成る。
【0107】
ラミネート材料は、直接接触する環境に対して化学的抵抗性が必要である。これには、アノードとアノードの内部環境が含まれる。外部環境には水性或いは非水性溶媒、海水、周囲の空気から成るバッテリ電解質が含まれてよい。内部環境には活性金属に安定なアノライトの形成に使用される多種の非水性溶媒が含まれてもよい。
【0108】
発明の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、その最上層がアノードコンパートメント外部の環境に接触し、その最下層がアノードコンパートメントの内部環境に接触する多層型ラミネートである。Li/空気バッテリの場合の強塩基のような予期される外部環境に対して優秀な抵抗性の物質は、ポロプロピレン、ポリイソブチレン、PTFEである。その他、PE, PP, PTFE,ポリイソブチレンは、有機溶媒に対して例外的な抵抗性があり、更にその他の例として、PE, PP, PTFE,ポロイソブチレンは海水を含む水性環境に対して抵抗性がある。(外部に面した)最上層の厚さは、構成の強さ、バリヤ特性、及び曲げ易さのバランスである。PETの最上層の場合、その厚さは典型的には5から100ミクロンの間、好適には10と50ミクロンの間である。他の材料、例えばガラスやセラミックスの場合、厚さに関する要求が異なり、通常約10ミクロン以下である。
【0109】
(内部に面した)最下層の材料は、アノードコンパートメントの内部要素に対して化学的抵抗性が必要である。普通の要素には液体とアノライト層間保護膜構成(図2D)で記述されたようなゲル型のアノライトとが含まれる。普通のアノライト溶媒や塩に殊に安定した物質には、PE, PP, PTFE,ポリイソブチレンがある。 最下層の厚さの場合も又、構成の強さ、バリヤ特性、及び曲げ易さのバランスである。ポリエチレン層の場合、最下層の厚さは25と400ミクロンの間、好ましくは50と200ミクロンの間である。他の材料、例えばガラスやセラミックスの場合、厚さに関する要求が異なり、通常約10ミクロン以下である。
【0110】
発明の或る実施例に於いては、シール剤が多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物に統合されてもよい。例えば最上層と最下層の中少なくとも一方の外側層が、多層型ラミネートを保護膜構成とアノード背面とにボンディングするための一次シール剤層から成ってもよい。例えば、かような層は、イオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、或は包装産業に使用される熱シール用プラスティクの当業者に既知のその他の重合体から成ってもよい。これらの熱塑性物は比較的低温度で柔らかくなり、保護付きアノード構成に熱圧接によってボンディング可能である。発明の一実施例に於いて、熱シール可能な層がアノード内部環境に接触する多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物である。従って、その層は、化学的に抵抗性であり、熱シール可能でないといけない。上記(図2D)のアノライト層間保護膜構成の場合にアノライトの漏れを防ぐため、内部の熱可塑性層はアノライトで膨張したり、その中で溶解したりしないものでないといけない。熱シール可能の重合体であって、液体及びゲル状アノライトからの化学的アタックに抵抗性のあるものの例として、Mポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、アクリル酸変性ポロエチレン、及びアクリル酸変性ポリプロピレンがある。
【0111】
殊に好適な本発明のコンプライアントシール構成物104は、隣接して堆積された、最上層と最下層と少なくとも一層の中間層を含む三層以上の多層型ラミネート組成物である。好適な実施例に於いて、最下層は低融点で熱シール可能な熱塑性物である。殊に適切な最下層は低密度ポリエチレン(LDPE)である。対照的に、多層型ラミネートから成るこのコンプライアントシール構成物の最上層は外部環境に対して化学的抵抗性を有する。最上層は好ましくは更に電気的に絶縁体である。殊に適切な最上層はポリエチレンテレフタレート(PET)である。多層型ラミネートの総ての層が或る程度のバリヤ特性をもつとしても、中間層の中の最低一層はバリヤ層である。殊に好適な中間バリヤ層はアノードコンパートメント外部の周囲の湿気とかその他悪影響をもたらすものの侵入を妨害するに適当な厚さの金属箔である。殊に好適な内部層は、厚さが例えば30ミクロンのアルミニューム箔である。多層型ラミネートは、金属、重合体、ガラス、セラミックスのようなそれ以外追加的の層を含んでもよい。更に層は層どうしのボンディングのため、或はボンディンのための層を濡らすための接着剤から成ってもよい。
【0112】
コンプライアントシール構成物は、成形とか型押しによって各種の構成をもつ所定の形状にされてよい。例えば、ボンドを載せるプラットフォームのための段を含むように成形されることも出来る。その他の形状も製造の容易の為とか、筒形とか螺旋形とか種々の形態のアノードアレイの構成の為に適切となるかも知れない
【0113】
殊に好適なコンプライアントシール構成物104は、ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造された製造仕様95014の曲げやすい多層型ラミネートである。このラミネートは厚さ約120ミクロンで、ポリエチレンテレフタレートの最上層(厚さ約12ミクロン)、アルミニューム箔の中間層(厚さ約32ミクロン)、ポリエチレンテレフタレートの中間層(厚さ約12ミクロン)、低密度のポロエチレンの最下層とから成る。
【0114】
留意すべきことは、弾性率とは物質の可逆的の曲げの程度を示すものではあるが、本発明の背景に於いて、曲げ易い構成は塑性変形のような非可逆的プロセスを含むどのようなメカニズムによってその運動の範囲を達成することが出来ると言うことである。塑性変形の範囲は物質の塑性とか引伸性を左右する。堅さや引伸性は共に曲げの程度や容易さを一部決定する内在的物性であるが、本発明の好適なコンプライアントシール構成物を選択するに当たって考慮すべき重要な判断基準は、保護されるアノードの生涯を通じて、シールに要求される運動の範囲を供給するコンプライアントシール構成物の能力である。従って、本発明の実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は、曲げ易さの程度を向上するために予備的に弾性的と塑性的両方のストレスがかけられた金属箔とプラスティク箔とから成ってもよい。
【0115】
物質と縦横比の適当な選択に加えて、コンプライアントシール構成物の構成によって、シール構成に曲げ易さを与えたり、その強さを向上したりすることが可能である。例えば、保護膜構成及び/或はアノード背面にボンディングされる前に、コンプライアントシール構成物を前もって形成された品物へと成形してもよい。その品物はアコーデオン型の折り目とか、各々違う角度の階段のような各種の形状から成ってもよい。ふいごに於いて見られるようなアコーデオン型の折り目は、その構成故の曲げによって柔軟性を与え、強度を増大し、従ってシール構成物がその運行中曲げたり折られたりするストレスや変形に耐える能力を向上させることが出来る。同様に、塑性変形によるランダムな皺(事前の皺寄せ)によって、金属箔、熱塑性物、或はその組み合わせなどの物質の運動し易さの範囲を増加することが出来る。
【0116】
上記に於いて説明したように、縦横比を増加することによってコンプライアントシール構成物の曲げ易さを増大することが出来る。これは、バリヤ特性との妥協になるが、厚さを減らすことで可能である。又、構成の長さを増加することによってもよく、これは角度のある構成、例えばS字型、Z字型、逆Z字型、C字型、逆W字型などを含ませることでもよい。コンプライアントシール構成物に構成によって曲げ易さを加えることは、選択可能な適当な物質の範囲を広めることになる。しかも、或る構造的構成には、コンプライアントシール構成物をアノード背面や保護膜構成にボンディングするためのプラットフォームを提供するような利点がある。勿論、コンプライアントシール構成物の長さはそれが占有する面積を最小化しようとする努力とバランスさせなくては成らないと言うような意味に於いて、幾何学的操作のみで曲げ易さ特性を向上させるのには限度がある。本発明のコンプライアントシール構成物の殊に有用的な構成は、ステップ(段)間が傾いた鋭角若しくは直角である二段構成と記述することが出来る。この形状は、追加的曲げ易さとボンディング用に便利なプラットフォームを提供するものである。
【0117】
再び図1Bを参照し、コンプライアントシール構成物104は段の間が斜めの角である第一段142と第二段144を有する二段構成である。各々の段はボンディング用のプラットフォームとなり、段の間の距離と角度は設計の基準であり、一部活性金属アノードの厚さとコンプライアントシール構成物の曲げ特性によるものである。その角度は不要空間を最小化と曲げ易さとトレードオフの関係にある。各段の深さはボンディングプラットフォームの最大幅を決定する。ボンドの幅は、強い密封的ボンドを得る為に出来るだけ広くすることと、領域がボンドによって電気化学的に非活性化するに従って不要体積と活性領域の消失を両方引き起こし て最小化するのとの間をバランスする重要な判断基準である。
【0118】
図1Bの実施例で示されるように、コンプライアントシール構成物104の第一段142の内面は保護膜構成102に結合されて居る。第二段144の内面は アノード背面106に結合されて居る。ボンドは通常保護膜の何処に設置されてもよい。図1Bではボンドが保護膜構成102の表面上、アノードコンパートメントの外部環境に隣接して設置されて居るが、発明はこの配置に限定されるものではない。
【0119】
コンプライアントシール構成物104の第二段144の内面はアノード背面106に結合されて居る。同様に、コンプライアントシール構成物104は、活性金属アノードに隣接した表面或はその対面を含め、アノード背面のどの部分に結合してもよい。但し、保護付きアノードの全面積に対しての活性金属面積の最大化しながらシールの密封度を最適化したいことを忘れてはならない。再度図1Bを参照し、コンプライアントシール構成物は活性金属アノードに隣接したアノード背面の表面に結合されて居る。
【0120】
更に留意すべきこととして、アノードの全体的形状は図1A−1E(殊に図1D)に示す本発明の実施例では正方形であるが、矩形、円のような他の形状でもよい。形状の選択は装置の最終的応用、装置部品の物性、及びその他の性能最適化パラメタによる。
【0121】
次に図3A−図3Hには、本発明の種々の形状とボンド設置による種々のコンプライアントシール構成物が示されて居る。図はI, II, IIIと表示された行から成り、行Iはコンプライアントシール構成物の縁の三次元的(3D)透視画を示し、行IIは保護付きアノード構成との関係として見たこの縁の断面を示し、行IIIは種々のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成の断面を示す。
【0122】
八つの異なる構成が図3A−図3Hに示されて居る。これらの総ての実施例に於いて、活性金属アノード300、保護膜構成302に結合されたコンプライアントシール構成物304、及び(アノード背面の一部を形成する実施例の場合)アノード背面306から成る。これら実施例の間の主な相違はコンプライアントシール構成物の構成と、コンプライアントシール構成物と保護膜構成とアノード背面の間のボンドの位置である。図3Gと図3Hの実施例は更にコンプライアントシール構成物とアノード背面とが近接した金属片を共有する点で更に相違して居る。
【0123】
図3Aに示されるコンプライアントシール構成物は前に図1Bを参照して記述したものに似ている。これは第一と第二の段及び段の間の斜めの角を有する。各々の段はボンディング用のプラットフォームを提供する。コンプライアントシール構成物304とイオン膜構成302の間のボンドは第一段の内面と保護膜構成302の間に位置する。第二段はその内面とアノード背面の底面との間に結合される。段間の角度はコンプライアントシール構成物304の曲げ特性の微調整の為に調節されてもよい。例えば、段間の角度が大きい(より斜めである)程、曲げ易くなる。図3Bに示されるコンプライアントシール構成物の場合のように角度が減少して90度に近づくと、曲げ易さとアノードコンパートメントの未使用空間に関しての体積の節約の間のトレードオフとなる。
【0124】
図3Cに示されるコンプライアントシール構成物304は直線構成と呼ばれてもよいものであり、縁でイオン膜構成の底面へ、好適には不浸透性のイオン的に導電性の層の表面に直接結合されて居る。コンプライアントシール構成物304はその反対側の縁の上で、アノード背面306の底面に結合されて居る。この構成は足跡が僅少に見えるが、結合が十分に可能のように縁は表面積が十分のように幅広さが十分必要である。従って、縁結合用に十分表面積のない薄いコンプライアントシール構成物304の場合、図3Dに示されるように縁を包み込み、近隣の内面と外面を覆うように独立してシール剤を使用することが出来る。殊に有用的な独立シール剤はHysol E-120HP (Loctite Corporation 製のポリアミド) 或は平均分子量60,000から5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 のポリイソブチレンなどの室温乃至中温度(<200°C)でキュアリングの実質的不浸透性であり化学的抵抗性のあるエポクシである。
【0125】
上記の例に於いて、二段構成の図示された角度は略垂直と斜めの範囲であった。二段構成の段の間の角度が鋭角である場合、Z構成とか逆Z構成と呼ばれる方がむしろ適切である。図3Eには、ボンドが保護膜構成302の底面とアノード背面306の間でコンプライアントシール構成物304の外面と内面の上に夫々位置されたZ構成が示されて居る。この場合でも、イオン膜構成302の上のボンドが 不浸透性のイオン伝導性のある層の表面の上にあるのが好適である。
【0126】
コンプライアントシール構成物304のその他の構成であって、ボンドが アノード背面306の最上面と 保護膜構成302の最上面の上に位置されたアコーディオン状の折り目の構成が図3Fに示されて居る。図3Fは、独立した二次シール剤312が継ぎ目や一次シール剤が塗られた領域を覆うようなマルチシール剤の方法の実施例をも示すものである。例えば、多層型ラミネートから成るコンプライアントシール構成物はその内部金属バリヤ層や一次シール剤として使用された集積された熱シール可能な熱塑性層とをアノードコンパートメント外部の環境に露出して居るかも知れない。化学的抵抗性があり実質的に不浸透性な独立シール剤が熱シールの縁に塗られたら、バリヤ層の腐食に対する化学的保護となり、侵入物質が浸透したり熱塑性層を膨張させたりするのを防ぐことが出来よう。この場合にも、殊に有用的な独立二次シール剤はHysol E-120HP であり、その他の例は平均分子量60,000から 5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 のポリイソブチレンである。
【0127】
図3Gに示すのは、イオン膜構成302とアノード背面306とに結合されたコンプライアントシール構成物304である。この実施例に於いて、アノード背面306とコンプライアントシール構成物部品305とは共通の隣接した物質片を共有する。好適な実施例に於いては、コンプライアントシール構成物とアノード背面の両方が同じ組成の熱シール可能な内部層を有し、これにより殊に強靭な熱シールとなり、タブのような端子コネクタの入り口を一体化するのが容易となる。
【0128】
最後に図3Hが示すのは、保護膜構成に結合されたコンプライアントシール構成物304であって、アノード300の後側に巻き付けられ、アノード背面306とコンプライアントシール構成物304は又もや共通の隣接した物質片を共有して居る。
【0129】
上記種々のコンプライアントシール構成物の実施例で注目されたように、シール剤(場合によっては二種以上)がコンプライアントシール構成物を保護膜構成とアノード背面とに結合するのに使用されて居る。一般的に、装置の使用期間に亘って結合を保つ十分な強さがあり、上記のように実質的不浸透性と化学的抵抗性がある限り、どのようなシール剤であってもよい。化学的互換性とか、温度のような工程条件の面でアノードコンパートメントの物性とマッチしなくてはならない故、シール剤を適当に選択することは重要である。物性のマッチすることについては特に注意を要する。上記のように、本発明のコンプライアントシール構成物の多くは 比較的低温度(<350°C)で悪化する重合体より成り、従って低温とか好適には室温で結合するシール剤が要求される。しかも、アノードコンパートメント内部の部品は活性金属アノードや液体アノライトのように温度に非常に影響を受け易いかも知れない。本発明に好適なシール剤とは、結合される物質の両方或は全部の融点若しくはガラス遷移温度以下で固定するものである。殊に有用的なシール剤は、熱圧接で結合された低融点熱塑性物(例えばLDPE, LDPPなど)、及び中温度乃至室温で固定出来る化学的抵抗性のあるエポクシシール剤(例えば Hysol E-120HP 及びその他平均分子量60,000から 5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 のポリイソブチレンなど)である。
【0130】
粘着性シール剤、例えば Hysol E-120HP 或はポリイソブチレン(平均分子量60,000から 5,000,000で好適には 700,000 から2,500,000 ) 及び熱圧接で結合されたLDPEやLDPPのような熱塑性シール剤は好適であるが、本発明にとって有用的である独立シール剤はこの種のみではない。例えばコンプライアントシール構成物或は結合される物質が熱に影響され易い物質から成るのでない場合には、ガラスシール、ろう付け、溶接シールなど種々の別種のシール剤や結合技術を使用してもよい。例えば保護膜構成が完全に固体構成であり、コンプライアントシール構成物が、金属やセラミックスのような熱安定性の物質から成る場合には、このような代用シール剤が使用可能である。
【0131】
或る実施例に於いては、シール剤はコンプライアントシール構成物と一体をなす部品である。例えば 多層型ラミネート構成の表面を形成する低融点の熱塑性層である。かような熱塑性の最下層は比較的低温度で軟化するので、熱圧接(熱シーリング)によって結合する。液体或はゲル状のアノライトの層間保護膜構成(図2D)が使用される場合、熱シール可能な熱組成の最下層は層間層を満たす液体アノライトに対して化学的に安定であり、それで膨張しないことが必要である。好適な熱シール可能な層の例はイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、Surlyn、ポリフェニレンオキサイド、アクリル酸変性ポリエチレン、及びアクリル酸変性ポリプロピレンである。その他の実施例に於いては、一体化されるシール剤はポリイソブチレンのような粘着剤であり、これは保護構成やアノード背面に結合される前にコンプライアント構成物に塗られてもよい。
【0132】
エポクシ系シール剤(例えばHysol E-120HP)のような独立シ-ル剤或はポリイソブチレンのような粘着性シール剤は、コンプライアントシール構成物と一体化された部品となるシール剤に反し、保護膜構成の表面及び/或はアノード背面の表面のような対向面にコンプライアントシール構成物を結合させる一次シールに使用されてもよい。独立シ-ル剤は、例えば熱シールされた熱塑性物の縁の周囲など、既に一次シール剤が塗られた継ぎ目の周りなどで、二次シール剤として使用されてもよい。このような多重シールのシステムは一次シールの強さやバリヤ特性を改善する。熱シール性の一体化シール剤と各種の構成物から成る多重シール剤システムは本発明の範囲内とする。熱シール結合が一次結合である場合、二次及び三次シ-ル剤は好適に熱シール用の熱塑性物の軟化温度以下の温度で処理される。熱シールの継ぎ目の上に使用される殊に好適な二次シール剤は Hysol E-120HP のようなエポクシ系粘着剤である。さらに有用性のある独立シ-ル剤はポリイソブチレンである。
【0133】
他の実施例に於いて、パラリエン塗料がアノードコンパートメント周囲のバリヤ特性を向上させる非一次独立シール剤として使用される。パラリエンは優秀な化学的抵抗性があり、縁シールの周囲とかコンプライアントシール構成物全治の適合塗料をつくるのに使用され得る。パラリエン塗料は、一次熱シール可能な熱塑性物を使用して保護膜構成を結合するコンプライアントシール構成物の縁をシールするのに殊に有用である。例えば、保護膜構成の表面のような感度の高い領域が塗られないようにマスク法によって継ぎ目の周囲にパラリエンを塗ってもよい。更に、パラリエンは適合性があるので、例えば構成物を塗ってピンホールを埋めたり及び/或はカバーしたりして、一般にコンプライアントシール構成物のバリヤ特性や絶縁性の向上に使用されてもよい。
【0134】
保護膜構成とコンプライアントシール構成物の間の結合の強さと安定性を向上するのに保護膜表面の前処理が使用され得る。これには化学的(酸または塩基)エッチングや機械的研磨のような膜の面を粗くする処理が含まれる。殊に好適なエッチング剤は濃水酸化リチウムである。尚、カソライトやアノライトの中で安定な無機化合物の薄層のようなプリマ(下塗り剤)で膜面の周囲を塗ってもよい。そのようなプリマを塗る場合の厚さの範囲は約0.01から0.5mmであり、好適には0.05から0.5umである。殊に好適なプリマ用の化合物は、N2雰囲気の中での反応性スパタリングのような物理蒸着法で出来るSnNxや窒化チタニウムのような窒化金属である。その他好適なプリマの例として、ゾルーゲル法、熱蒸発法、化学蒸着法、熱分解法などで出来るIn2O3, SnO2, TiO2のような酸化物がある。
【0135】
再度図1Bを参照し、好適な実施例のコンプライアントシール構成物104は、コンプライアントシール構成物の保護膜構成102とアノード背面106とへの熱圧接による結合するLDPEのような一体化シール剤を含む。図1Bの実施例に於いては、アノード背面支持物107も、同じでないにせよ同様な低融点の熱塑性内部層から成る多層型ラミネートである。
【0136】
図1A、1D、1Eに示された実施例は本発明に於いてコンプライアントシール構成物は一体化された窓枠の形に形成することを示唆して居るが、コンプライアントシール構成物は別個の個性物や要素から成るものや、別個の構成物や要素を結合して有効的に一体化されたコンプライアントシール構成物としたものでもよい。
【0137】
好適な一実施例に於いて、コンプライアントシール構成物とアノード背面と両方がLLPDEの熱塑性、熱シール可能な内部層を有する。両者が熱シール可能であり同じ組成物であるので、殊に強い熱結合となり、タブのような端子コネクタ用の入り口を一体化するのが容易になる。図1Bに示されるように、タブはアノードコンパートメント内部のアノード電流コレクタと結合し、アノードコンパートメントから出るのはコンプライアントシール構成物104とアノード背面106の間の入り口からである。この結合と密封性を強化するため、端子接合用タブはLPDEのような低融点熱塑性樹脂で覆う及び/或は塗るのもよい。
【0138】
他の実施例
発明の基本的なパラメタは実施例を参照して上記された通りである。発明は下記の例の構成物、アレイ、セルなどで実施されてもよい。
【0139】
両面型アノード構成
本発明の保護付きアノード構成の代替え的実施例を図4A、図4Bに示す。図4Aは保護付きアノード構成の断面図であり、図4Bは保護付きアノード構成の外観を示す。この保護付きアノード構成420は両面型の構成である。構成が両面型であると言うのは、活性金属イオンが保護付きアノード構成の両面を通して出入出来ると言う意味である。保護付きアノード構成420は第一と第二面を有する活性金属アノード400から成る。保護膜構成404が活性金属アノードの第一面に隣接し、本実施例では第二保護膜構成であるアノード背面406が第二面に隣接して居る。例えばニッケル箔である電流コレクタ408が活性金属アノード内部に埋め込まれている。一実施例に於いて活性金属材料はLiであり、アノードはLi箔を例えば圧接によって電流コレクタの両面に付着することで形成される。別実施例として、グラファイトのような活性金属層間挿入物から成る組成物塗料で、アノードの活性金属材料を電流コレクタの両面に塗ってもよい。
【0140】
記述された実施例に於いて、保護膜構成402と406の両方とも夫々コンプライアントシール構成物404と405との結合されて居る。コンプライアントシール構成物部品は第一と第二の段及びその間にやや斜めの角度を持って予め形成されたフレームで成形される。コンプライアントシール構成物404の第一段はそれに対応する保護膜構成402に結合されて居る。同様に第二保護膜構成は第二コンプライアントシール構成物成分に結合されて居る。各コンプライアントシール構成物の第二段はアノードコンパートメントの周囲で互いに結合されて居る。従って最終的構成は二個の二段構成から成る。言うまでもなく、上記の如く他の構成も可能である。
【0141】
本発明の殊に好適なコンプライアントシール構成物は熱シール可能な熱塑性の最下層を有する多層型ラミネートである。従ってこれらのコンプライアントシール構成物は夫々の保護膜及び互いに熱シールされる。
【0142】
図4Aを再度参照し、電流コレクタ408は端子コネクタ410に結合されて居る。端子コネクタは、電流コレクタ及び/或はアノードの活性金属と、例えば溶接、物理的圧接、超音波溶接、抵抗溶接など周知の方法に限られない多くのものから選ばれる方法によって接合されてよい。
【0143】
端子タブ410はアノードコンパートメントの外部へと伸び、発明の一実施例では、第一と第二コンプライアントシール構成物404/405が結合される接合点からアノードコンパートメント外部に出ている。コンプライアントシール構成物成分が 多層型ラミネート材料である場合には、端子タブは熱圧接によって二個のコンプライアントシール構成物成分404/405の最下層の熱塑性材料で包み込まれてもよい。タブのまわりが確実に密封されたことを保証するために、端子タブ410は低融点の熱塑性物で塗られてよく、或は低融点の熱塑性の膜で熱シールの箇所でその表面を巻き付けてもよい。好適な熱塑性物とはポリエチレン或はポリプロピレンである。
【0144】
大部分の実施例に於いて両面型保護膜構成は両方の保護膜構成の第二層の材料(モノリシック構成の場合には固体電解質)が略同じ組成と厚さであるとの意味で対称であるが、この対称性によって装置の機能性が有利であるとか対称性から機能性が導かれると言う場合もある。発明の一様相に於いて、非対称性は化学的組成、原子構造、及び/或は第二物質層の厚さを変更して、一方の膜が実質上他方と異なるようにして実現可能である。他の様相に於いては、両面型保護膜構成は、対向する保護膜(両面型保護膜構成の両面の膜)を通る電流が独立して電気化学的制御のもとにあるように、電気絶縁体で二等分された活性金属電極から成ってもよい。
【0145】
保護付きアノードアレイ
本発明は更に個々の保護付きアノードセルの組み合わせから成る保護付きアノードアレイ構成に及ぶものである。保護付きアノードセルのアレイを持つことによって、アノードのディメンションを増大させ、異なる構成的形状の表面に順応することが出来、円筒形は螺旋状に巻いたデザインのような種々の構成のアレイを提供するような順応性のあるアレイ構成が可能となる。
【0146】
順応性のあるアレイで、操作、製造の期間とか、装置の使用、運行に際して高程度の強度が得られる。例えば大洋に露出される金属/海水バッテリの場合、或る程度の曲げ性のある本発明の保護付きアノードアレイはかような水中での使用に対する強さの意味で有用である。しかも、曲げ性のアレイは順応性で有利であり、或る容積とか形状で収まらなくてはならないバッテリセルの体積最適化の面で各種の利点を提供する。個々のセルが一部曲げ性のコンプライアントシール構成物によって全体的に外部環境から密封されて居る一方、アレイ本体はリジッドでも曲げ性があってもよい。アレイの曲げ性はコンプライアントシール構成物の柔軟性によって、 アノード背面を共有するセルから成るアレイの場合にはアノード背面の柔軟性によっても決定される。
【0147】
発明の或る実施例に於いては、アレイの個々のセルが共通のアノード背面を共有し、その他の配列に於いて、アレイは平面的とか円筒的形状など種々の形態をとり得る。アレイはリジッドであっても曲げ性があってもよい。他の実施例としてアレイは両面型のアノードセルから成ってもよく、発明の別の実施例として殊に柔軟性のあるアレイは螺旋状に巻くに十分である。
【0148】
片面型の保護付きアノードアレイが(一部切り開いて各層を示す)図5A図に示されて居る。図5Aのアレイは、4列あって各列に4個のセルがあるとの意味で4x4平面アレイと称される。実施例記述の便宜上、アレイの次元は各列のセル個数をmセル、列の数をn列と定義する。例えば3列あって、各列に6個のセルがあれば、それは6x3アレイとする。本発明のmxnアレイは平面型、円筒型を含み、如何なる形状でもよい。本発明は厳密に垂直な配列である必要はなく、又どのような順序つきの配列である必要もないことは明白であろう。事実、アレイは全然ランダムなアノードセルの配列で構わない。
【0149】
アレイの保護付きアノードセルは一般に正方形、矩形若しくは円形であるが、如何なる幾何学的形状や大きさでもよい。図5Aでの個々の保護付きアノードセルは正方形である。しかも、各保護付きアノード構成が同じディメンションであっても、アレイの個々の保護付きアノードセルは大きさや形状が異なってもよい。事実、各保護付きアノードセルの形状や大きさを変化させることで、アレイ構成の設計に順応性が得られ、アレイ本体に順応性が得られる。従って、一実施例によれば、各セルのディメンションを幅で変化させ、保護付きアノードアレイ螺旋状に巻けるようにしてある。各曲がり角での曲率半径は一部アレイの或る方向のセルの幅の変化による。この実施例にについては以下、図7を参照して詳細に説明する。
【0150】
再度図5Aを参照し、この実施例の保護付きアノードアレイ520は4x4マトリクスとした16個のセツから成る。これら個々のセルは構成上図1A−1Eに示された片面型保護付きアノード構成と同様である。アレイの16個のセルの各々は第一と第二の面を持つ活性金属アノード500から成り、各セルはその活性金属アノードの第一面に近接する保護膜構成502を有する。図5Aに於いて、及び対応して図5Bと図5Cの断面図に於いて、アレイの個々のセルは共通のアノード背面支持部品507を共有する。この共通のアノード背面支持部品は実質上不浸透性であり、各セルの活性金属アノードの第二面に近接している。アノード背面はリジッドでも曲げ性があってもよい。
【0151】
好適な実施例のアノード背面支持部品は曲げ性かある。好適な曲げ性のアノード背面は、ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造された製造仕様95014の曲げ性の多層型ラミネートのような多層型ラミネートであるか、それを含むものである。このラミネートは厚さ約120ミクロンで、ポリエチレンテレフタレートの最上層(厚さ約12ミクロン)、アルミニューム箔の中間層(厚さ約32ミクロン)、ポリエチレンテレフタレートの中間層(厚さ約12ミクロン)、低密度のポロエチレンの最下層とから成る。かようなラミネートは同じ組成のコンプライアントシール構成物と非常に強固な熱シール結合を形成するので、共通のアノード背面として殊に有利である。更に、多層型ラミネートは軽量であり、アレイに優秀なバリヤ特性を与える。
【0152】
図5Bのアレイは閉鎖型デザインと呼ばれるものの代表的な例であり、ここでは個々のセルは自身のアノードコンパートメント内に、そのセルの保護膜構成502と共通のアノード背面支持部材507に結合されたコンプライアントシール構成物504によって包み込まれて居る。このコンプライアントシール構成物は16個の独立的に予め形成された構成として、或は一体化されたコンプライアントシール構成物の中の16個の内部フレームを持つ一個のコンプライアントシール構成物として供給されてもよい。別の実施例によれば、アレイの各列は自身の既成のコンプライアントシール構成物から成る。 図5Aと図5Bの場合、これは例えば熱シールによって共通のアノード背面支持部材507に結合された4個の内部フレームを持つコンプライアントシール構成物のこととなる。
【0153】
本発明の保護付きアノードアレイはセル間の連結や外部環境への出力に関して広い範囲での変更が可能である。セル間の電子的結合の分配により、セル間の収電の導電性接触子や外部環境への電気的出力用の端子コネクタから成る導電性ネットワークが構成される。
【0154】
一実施例に於いて、各セルの活性金属アノードは、対応するアノードと電子的連続性があり、アレイの囲いの外部に伸びる自身の端子コネクタを有する。この種類の構成によって、個々のセルの対して最も制御が可能であり、外部の電子回路が各保護付きアノードセルを独立的に監視/制御出来るようになる。この構成とのトレードオフになるものは、各外部ポートの周囲のシールの数が増えるので、シール欠陥の可能性が増加することである。従って、発明のこの面にあっては、上記 Hysol E-120HP のような二次室温用粘着性シール剤をコンプライアントシール構成物とアノード背面の間の接点で継ぎ目に使用するが殊に有効となる。
【0155】
別の実施例によれば、保護付きアノード構成アレイはステンレススチールの箔或は板のような導電体で、アレイ全体に電気的連続性と端子接合を与える共通のアノード背面から成る。或る場合に於いては、別途に追加的端子結合を図ることや、それに関しての電気的出力用のシールが不必要になるので、発明のこの面は有利である。
【0156】
アレイの設計者にとっては、電流収集と端子接続の両方を与える共通のアノード背面の単純さと、各アノードセルの独立的な電子的制御の間、 及び/或はその組み合わせの選択の自由がある。
【0157】
これら両方のデザインの間のバランスが図5Aのアレイの実施例で示されて居り、ここでは各列のアレイ用に別々の端子コネクタ510が与えられて居る。従って、4個の端子コネクタがあり、各々がその列の4個のセルからの出力電流を供給する。その目的のため、各セルのアノード背面506は活性金属アノードの背後に位置する電流コレクタ508から成り、これらの電流コレクタは金属箔のタブのような適当な導電性物体で電気的に接続されて居る。別例として、各列の活性金属アノードの背後の電流コレクタが列に沿った各セルに伸びる一体化された構成から成り、その列のセル間の電気的連続性を維持するものであってもよい。
【0158】
閉鎖型デザインに代えて、図5Cに示すのは開放型アレイデザインであり、ここでは、各セルの保護膜構成がコンプライアントシール構成物によって連結されて居り、アレイの周囲の周りのアノード背面にのみ接合して居る。これにより、隣接するセルのアノードコンパートメントは効果的に互いにオープンの関係にあることになる。アレイを環境からシールオフするため、アレイの周辺のセルはアノード背面に付けられる。開放型のデザインは開放的な内部構成となり、恐らくセル間の接合により曲げ性を与えることになろう。対照的に、閉鎖型デザインでは、各アノードコンパートメントの容積を独立的に制御可能なので、各セルの性能の制御が有意義的に向上する。
【0159】
例えば保護膜構成によって決定されるように、アノードセルの大きさが与えられた場合、本発明のアノードアレイはバッテリセルのような関連装置の大きさを向上することが可能にする。図5B、図5Cを参照し、バッテリカソード518を4x4の保護付きアノードアレイの保護膜構成502に隣接して配置し、アレイから成るバッテリセルを形成することが出来る。発明の一実施例では各カソードはアレイの各アノードセルを覆い、別の実施例では一個のカソードを大きくしてアレイ面全部を覆うようにする。
【0160】
本発明のアレイは、各種の構成の形状に順応してアレイの全体的特性に強度と与えるとの意味で、順応性を有してもよい。アレイの順応性はコンプライアントシール構成物の曲げ性、叉開放型か閉鎖型かと言う胃アレイのデザインにより、アレイが共通のアノード背面を有する実施例の場合には、共通の背面がアレイの全体的順応性の決定的要因となる。共通のアノード背面を持つのでない個々のアノードセルから成るアレイの場合、即ち個々に独立したアノード背面のある場合、アレイの順応性はシール構成物の順応性で決定される。一般的に、共通のアノード背面を持つアレイの場合、アエイの順応性はコンプライアントシール構成物とアノード背面の順応性の両方によって決定され、アノード背面の順応性はアノード背面の構成と構造の機能による。
【0161】
本発明の保護付きアノードアレイは、円筒形や螺旋巻きを含めて、広範囲の形状に構成可能である。図6Aと図6Bを参照し、アレイ640は円筒形であり、その中でアノード背面606はアレイのゼルの総てに共通の円筒である。保護付きアノードアレイは要するに図6Aに示される如く円筒の内周に沿い、図6Bの円筒の外周の周りで曲線を描く。アレイはリジッドであっても曲げ性があってもよい。一実施例によれば、アレイは平面として製造され、その後円筒形に丸められる。別の実施例ではセルがリジッドな円筒形のアノード背面の上に形成される 図6Aを参照し、アレイの各アノードセル620は第一と第二面を有する活性金属アノード600から成る。第一面は保護膜構成602に隣接し、第二面はアノード背面606に隣接する。コンプライアントシール構成物604は保護膜構成602とアノード背面606に接合されてその周辺内に包み込む。
【0162】
図6Aと図6Bに示される実施例に於いて、各セルは共通のアノード背面606に包み込まれて居るので、アレイは閉鎖型のデザインである。アノード背面は各活性金属アノードからの金属を収集し、各セルからの電流を端子コネクタに伝送するための金属グリッドを表面に塗った曲げ性のある重合体から成るものでよい。上記のように、アレイはセル毎に端子コネクタを有してもよく、所定数のセルに端子コネクタがあってもよく、アレイの総てのセルに一個の端子コネクタがあってもよい。曲げ性の重合体の背面は図6Aと図6Bに示されるように円筒形に丸められてもよい。別の実施例では、セルは銅の円筒のような金属円筒である共通のアノード背面を共有してもよい。ここで、電流収集と端子連結は銅円筒で行われる。バッテリの中で使用されるような場合、保護付きアノードアレイ640はカソード、或は水がデポラライザとして使用される場合には電子伝送機構618、を含む。カソードは図6Aの実施例の場合円筒内何処でもよく、図6Bの円筒の外側のいずれの位置にあってもよい。図6Aでは、各カソードは円筒内部の保護付きに直接隣接して居る。図6B図では唯一のカソードが円筒の外部を効果的に巻いて居る。例えば金属/海水バッテリの場合、アレイのセルは海水に露出して居る。場合によっては海水が円筒の内部に、或は外部の周りに侵入することになる。実施例では円筒形が描かれて居るが、アレイには十分順応性があって、他の形状を取り得る。実施例によってはアレイが柔軟性のアノード背面の上にああり、柔軟性が付与されて居る。別の様相によれば、アレイは装置の形状に順応し、その装置に順応した様相で隣接して設置されてもよい。更に与えられたアレイの各セルの形状や大きさを調整し、アレイを縁や隅の周りなどに順応させることも出来る。これは更に図7A、図7Bの実施例を参照して例示する。
【0163】
多くのバッテリ性能パラメタはアノードやカソードの見かけ面積によるものである。本発明の一実施例のアレイに於いて、両面型組み合わせによってアレイの見かけの活性面積は二倍になる。両面型アノードアレイ740が 図7Aに示されて居る。このアレイは個々の保護付きアノード構成セル720が繋がってセルの列を成して居る。各セルは第一と第二の面を持つ活性金属アノード700から成る。活性金属アノード700の第一面は保護膜構成702に隣接し、第二面はアノード背面706に隣接して居る。この実施例は両面型アノードなので、このアノード背面は第二の保護膜構成である。二段構成の形状のコンプライアントシール構成物成分704は保護膜構成702に結合され、第二コンプライアントシール構成物705はアノード背面706(第二保護膜構成)に結合されて居る。これら二個のコンプライアントシール構成物は互いに結合されてコンプライアントシール構成物を完成し、セルを包み込む。セルは電気的連続性を有し、導電性接続子が第一と第二の保護膜構成のコンプライアントシール構成物の間に包み込まれて居る。接続子はアレイ740の長さに沿って、最終のセルに届くまで伸び、端子コネクタはこうしてアレイの外側まで伸びる。
【0164】
図7Bが示すように、セルの列に沿った各セルの物理的長さは、一番長い第一のセルから一番短い最終のセルまで累進的に変化する。コンプライアントシール構成物成分704、705が適当な順応性を持って構成が望む曲率半径で曲がるとした場合、このデザインにより、アレイは図7Aが示すように螺旋的に巻き付くことが出来る。各曲がり角に於ける曲率半径は、一部アレイの長さ方向のセルのディメンションの累進的変化の程度とコンプライアントシール構成物の曲げ性とによる。 図7Bのセルは共通のアノード背面を共有して居るのではないので、これらの曲げ性はコンプライアントシール構成物704、705の柔軟性による。
【0165】
アレイの別の実施例が図8A、図8Bに示されて居る。このアレイは互いに繋げられ、端子連結のされる中心点から発散されている上記のような両面型の保護膜構成から成る。これは車輪のハブとスポークの構成に似ているものであり、この場合スポークがハブで共に連結されたセルのアレイに相当する。このような配列は金属/海水バッテリセルの表面面積の向上に特に有用であり、レドックスフローセルの場合にも特に有用である。好適な実施例に於いて、スポーク方向のセルの各アレイは十分リジッドであってアレイに構造的支持を与え得る共通アノード背面を共有して居る。理想的には、共通のアノード背面は炭素組成物のように強固でかつ軽量な物質から成るものである。
【0166】
カロライト(例えば海水やレドックスアクティブな液体)が実質的にアノードアレイ(スポークに対応)の間の領域を満たして居る。導電性物質の少なくとも一つ(図示なし)から成る適当なカソード構成が各アレイに隣接して位置されて居てもよい。各スポークの長さには、バッテリセルの体積の最適化を考慮するに当たり、 スポークが長くなるにつれ、スポーク間の体積は累進的に大きくなると言う意味に於いて、限度があるものである。図8Bの実施例は所謂「ハブとスポーク」構成になるアレイを示すものである。有効的に、このアレイは 保護付きアノードアレイを高密度に詰め込むものである。
【0167】
電気化学セル構成
出願者の審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894と対応国際特許出願WO 2005/038953及びWO 2005/083829は本発明の以降の開示に組み込まれるものであり、これらに記述された保護付きリチウムアノードの発明は、かようなアノードに基づく新しい電気化学セル構成のデザインに有意義的な利点をもたらすものであり、その利点にはカソード構成や保護膜構成がなければアノードを腐食してその機能を悪化させるカロライトと共に活性金属電極を使用する能力が含まれるものである。
【0168】
本発明の記述に於いて、カソライトとはカソードと接触する電気化学セル構成の電解質と定義されて居る。更に保護付きアノード構成のために、カソライトは活性金属アノードと接触して居ないものと定義されて居る。従って、此処で定義されたカソライトは、保護付きアノードコンパートメント外部の環境の一部である。カソライトは固体、液体、或は気体から成ってよい。さらにカソライトは電気化学的に活性の成分を含んでもよく、その例には水性デポラライザ、海水、水性及び非水性可逆的酸化還元(レドックス)カップルフローセルバッテリに使用されるようなバナジウムレドックス種、及び/或は粒子レドクス種のような溶解した酸化剤があるが、それに限られるものではない。
【0169】
本発明の電気化学セル構成は、保護付きアノード構成、カソライト及びカソード構成とから成る。カソード構成とカソライトとは、保護付きアノード構成のアノードコンパートメントの外部にある。組み合わせられた状態にあって、 カソード構成とカソライトとはカソードコンパートメント或はカソード環境の一部とみなされてもよく、そこで電気化学的に活性なカソードの成分が還元や酸化を行う。電気化学的に活性なカソードの成分とは、カソライト、カソード構成、或はそれらの組み合わせの一部であってもよい。電気化学的に活性な成分の電気化学還元及び酸化反応は、カソード構成の上或は内部で起こる。従って、本発明の場合、カソード構成は導電性成分から成るものであり、それに加えて、イオン伝導性の成分や電気化学的に活性な成分から成ってもよい。
【0170】
カソード活性成分の一部或は全部がカソライトに含まれて居てもよい一方、電気化学的レドックス反応はカソード構成の上或は内部で起こる。従って、本発明の或る面に於いて、カソライトは一部カソード構成の内部に保持される。発明のその他の実施例に於いて、カソライトは一部カソライトリザボアコンパートメント内に保持される。カソライトリザボアコンパートメントは、その一部或は全部がカソード構成と保護付きアノード構成の間に位置してもよい。これは更に、レドックスフロウセルの場合など、カソード構成と保護付きアノード構成との間の領域から離れた別個のリザボア容器の中に一部位置して居てもよい。このような構成に於いて、放電生成物の一部はセル外部に貯蔵されてもよい。
【0171】
本発明の一般的な電気化学セル構成1350の断面図が図13に示されて居る。このセル構成は、 アノードコンパートメント1330内部に第一と第二面を包み込まれた活性金属アノード1300から成る保護付きアノード構成、及びカソード構成1312とカソード構成とアノード保護膜構成1302の間にある任意のカソライトリザボア1316から成るカソードコンパートメント1340から成る。カソード構成1312は導電体、とカソライトとなら成り、更に電気化学的活性物質を含んでもよい。カソライトリザボアは任意であり、カソライトから成り、更にミクロ多孔性Celgard或は多孔性の布のようなセパレイタ材を任意に含んでもよい。カソライトは水性物或は非水性物を含む適当な電解物質でよく、更に電界質に溶解或は懸濁した電気化学的活性種類を含んでもよい。 保護膜構成1302がアノード第一面に近接し、アノード背面1306がアノード第二面に近接している。アノード及びカソードコンパートメントは蓋1324と壁1326とアノード背面になる基底の付いたバッテリ容器に包まれて居る。
【0172】
本発明の保護付きアノード構成は物理的化学的に活性金属アノードをカソード環境から隔離し、アノードコンパートメント及びカソード構成とカソライトとから成るカソードコンパートメント(カソード環境とも言及される)とを有用的に構成する。従って、アノードカソードコンパートメント内の成分は互いに独立して選択され最適化され得るものであり、本発明は電気化学セル構成の選択に大いなる順応性を与えるものである。例えば、本発明の保護付きアノード構成により活性金属バッテリセルがアノードを腐食することになるカソード環境で使用可能となる。
【0173】
アノードとカソードが効果的に隔離されるので、カソライトの選択に多大な順応性が得られる。本発明に有用なカソライトは固体、液体、気体を含むものであるが、主として液体相のものである。本発明での多面に於いてカソライトに含まれるものはレドクスアクティブな液体のような電気化学的に活性なレドクス成分であるがそれらに限られるものではない。レドクスアクティブな液体の例に以下のものがある:水、海水、SOCl2のようなオクシハライド、遷移金属塩化物或は臭化物のような溶解したレドクス種、水性物或は非水性物に溶解した酸素のような溶解した酸化剤、フロウセルバッテリに使用されるバナジウムレドクス種のような可逆性レドクスカップル、及び/或は担体液体に懸濁された粒子体レドクスカップル。
【0174】
尚、保護付き電極がカソライトから完全に分離して居り、カトライトのアノードとの互換性が問題でなくなって居るので、活性金属アノード(例えばLi, Na, LiC6など)と動力学的に安定でない溶媒や塩も使用出来る。保護付きアノード構成によって、LiFePO4, LiV2PO4のような層間挿入カソードやその他の高電圧カソードを組み込んだバッテリセル用のイオン液体を含む広範囲のカソライトが使用可能になる。しかも、アノライトの化学的安定性がカソード構成から分離されて居るので、活性金属アノードやリチウム化炭素アノードのような活性金属層間挿入電極と接触するアノライト溶媒の選択範囲が広くなる。
発明の一実施例に於いて、大洋での金属/海水バッテリセルとか電気化学的フロウセル構成の場合のように、カソライトはカソードコンパートメント/領域を流出し、それによって放電生成物を排出し、酸化剤を再供給するようにされて居る。
【0175】
他の実施例に於いて、発明は出願者の審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894に記載された金属/空気セル、金属/海水セル、金属/ハライドセルのような水性カソード環境を有する電気化学セル構成に関する。
【0176】
本発明に従って保護付きアノード構成から成るバッテリセルのカソード構成は、如何なる組成であってもよく、 保護付きアノード構成が隔離されて居る故に、活性金属アノードやアノライトの組成によって限定されるものではない。殊に、カソード構成は、さもなくばアノード活性金属と反応性の高いことになる成分を含んでもよい。
【0177】
ここに記述される保護付きアノードにより、Li/海水セル、Li/空気セルのような、カソードコンパートメント内に水性成分を持つ金属/空気や金属/水バッテリのような活性金属(例えばLi, Na)バッテリとか、その他の環境に露出される電気化学セルの効率的な運行が可能と成る。一般的に、このようなセルはカソライトとカソード構成とから成り、そのカソード構成は更に導電性成分、イオン的に導電性の成分、及び電気化学的に活性な成分から成り、これらカソード構成の成分の中少なくとも一つが水性の組成物か成分を有するものである。このようなセルは一般に従来例のセルに比較して向上した性能を有するものである。下記するように、このようなセルは広範囲で使用応用が可能である。この種のセルは各種の電気化学反応により運行し、各種の形態(例えば一次液体、気体、固体)にあるカソードからの電気化学的に活性な成分を有するものであるが、これらのセルの各種に共通しているものは、セルのカソード側の Li イオン伝送の為の水性成分である。アノードとカソードを保護付き膜によって分離することにより、この新しいタイプのバッテリやその他の電気化学セルの製造か可能となる。
【0178】
金属/空気セル
本発明の保護付きアノード構成及び関連したアレイは、Li-空気(或は Naー空気)のような金属空気バッテリに殊に有用である。かかるセルは、リチウムのようなアルカリ金属のような活性金属の、コンプライアントシール構成物とアノード背面とに隣接して保護膜で包まれたアノードと、空気を電気化学的に活性の成分とするカソードとから成る。そのように限定されるのではないが、アノードからのLiイオンと空気との間の電気化学反応は以下の反応式の一つ以上のものであると信じられる:
Li + 1/2 H2O + 1/4 O2 = LiOH
Li + 1/4 O2 = 1/2 Li2O
Li 1/2 O = 1/2 Li2O2.
即ち、湿気(H2O)も空気中の酸素もこの電気化学反応に関与することになる。
【0179】
Li のようなアルカリ金属は水性溶液のなかで腐食する。従って、保護膜構成で覆われて居ない活性金属アノード(例えばLi, Na)の部分は空気のカソード環境から密封されなくてはならない。本発明の保護付きアノードはかような囲いを、活性金属アノードを固体電解質と、実質的に不浸透性のコンプライアントシール構成物とアノード背面との連即で包み込む密封されたアノードコンパートメントの形式で提供する。コンプライアントシール構成物の順応性によって、バッテリセル全体の体積の最適化と同時に、充電放電の時にアノードコンパートメントの体積を最小化する機構が提供される。例えばLi/空気セルの放電の時、Liがアノードコンパートメントから出て行くのに従ってアノードの厚さが減少する一方、水酸化リチウムの生成の結果としてカソード/水性電解質の体積は増加する傾向にある。従って放電の間、アノードコンパートメントが縮小する一方、セルの関連したその他の体積、カソードコンパートメントは大きくなり、排出物が生成されるにつれて一体化することが出来る。コンプライアントシール構成物がなかったら、放電の間にアノードコンパートメントのスペースが失われるのみか、 カソードコンパートメントの膨張全部を補償するようにカソードコンパートメントがデザインされないといけない。コンプライアントシール構成物はこれによって、電気化学セル構成全体の体積(重量)を最小化することになる。LiOHによって必要とされる余分の体積は、本発明のシール構成物のコンプライアントな特性がなかったなら、セルの運行以前に、カソードコンパートメントの余分の体積によって補償されなくてはならないことになる。
【0180】
本発明による保護付きアノードから成る金属/空気バッテリの例はLi/空気バッテリセルである。図9Aは本発明によるかかるLi/空気セル950の断面図を示す。このバッテリセル950は、周囲の空気に通じる孔を持つ蓋924を含むセル容器と、基底906(これはこの実施例ではアノード背面である)と容器壁926とから成る。この金属水バッテリセル950は更に保護付きアノード構成を含む。この保護付きアノード構成は、 保護膜構成902と、アノード背面906と、コンプライアントシール構成物904とから成る。接合され結合された場合、保護膜構成902と、アノード背面906と、コンプライアントシール構成物904とは活性金属アノード900を包み込む密封性のアノードコンパートメント930を効果的に形成する。この実施例に於いて、アノード背面906は実質的に不浸透性であり、導電性の物質であり、セル容器の基底として構成的支持を提供し、更に保護付きアノード構成に電流収集と端子接続を提供する。
【0181】
本実施例の場合、コンプライアントシール構成物904は第一段932と第二段934を有する既成のフレームで成形される。第一段932の内面は保護膜構成902に結合される。第二段934の内面はアノード背面906に結合される。コンプライアントシール構成物の内面はアノードコンパートメント930の内部の環境に露出されて居る一方、コンプライアントシール構成物の外面はカソードコンパートメント940の環境に露出されて居り、カソードコンパートメント940はカソード構成912とカソライトを含むカソライトリザボア916とから成る。
【0182】
本発明に於いて好適なコンプライアントシール構成物は複数の層から成る多層型ラミネートである。重合体の最上層はラミネートの外面を構成し、カソードコンパートメント(例えばPET, PTFEなど)の環境に対して化学的抵抗性を有する。中間層の中の少なくとも一枚はアルミニューム箔のような金属箔から成る。最下の重合体層はラミネートの内面を形成し、アノードコンパートメント(或る場合には液体或はゲルのアノライトを含む)の要素に対して化学的抵抗性があり、熱シール可能なもの(例えばPE, PP, イオノマー, Surlyn で一般に知られて居るイオノマー樹脂)である。本実施例に於いて、コンプライアントシール構成物は熱圧接によって保護付きアノード構成とアノード背面との結合されて居る。
【0183】
アノード背面906はバッテリセル容器の基底となる。本実施例に於いて、バッテリセル容器の基底はステンレススチール合金やニッケルのような導電性金属でよく、実質上不浸透性のバリヤ(例えば約200ミクロン)、電流収集、端子結合に十分の厚さである。
【0184】
バッテリセルはカソード構成912とカソライトリザボア916とから成るカソードコンパートメントをも含む。カソード構成912(空気電極と呼ばれることもある)は導電性成分、水性若しくはイオン伝導性の成分、及び電気化学的に活性の成分としての空気から成る。これらのセルの電気化学的に活性の成分は湿気を含み、電気化学反応用の水を供給する。金属/空気バッテリはカソードの活性反応物を周囲の環境から得るので、容積及び重量エネルギ密度が非常に高い。エネルギ密度の高いことは、重量やサイズが重要な応用面で金属/空気バッテリを有利なものとする。
【0185】
カソード構成912は導電性成分を含む(例えば、多孔性導電体、少なくとも水性成分を持つイオン伝導体、電気化学的に活性の成分としての空気)。これは従来使用されて居る金属(例えばZn)/空気バッテリとか低温(例えばPEM)燃料セルを含む好適な空気電極であってもよい。 金属/空気バッテリ、殊にZn/空気バッテリに使用される空気カソードは多くの文献(例えば"Handbook of Batteries" (Linden and T.B. Reddy, McGraw-Hill, NY, Third Edition)に記載されて居り、一般に空気分散膜、疎水性PTFE (例えばTeflonR)層、触媒層、ニッケル幕のような金属導電性成分/電流コレクタを含む数層から成るものである。触媒層は水性及び/或はイオノメリク的イオン伝導性成分/電解質をも含む。典型的な水性電解質は水に溶解したKOHから成る。典型的なイオノメリク電解質は、パーフルオロスルフォン酸重合体フィルム(例えばdu Pont NAFION)のような水和された(水)Liイオン伝導性重合体である。空気分散膜は空気(酸素)の流量を調節する。疎水性層はセルの電解質が空気分散膜を通過するのを妨げる。この層は通常炭素とTeflon粒子を含む。触媒層は通常酸素ガスの還元を加速するための表面積の大きい炭素及び触媒を含む。商品としてのカソードの大部分は酸素還元用の触媒としてMnO2のような金属酸化物を使用して居る。触媒のその他の例としては、コバルトフタロシアニンのような金属マクロサイクル及び高度に分散されたプラチナやプラチナ/ルテニウム合金のような貴金属がある。空気電極構成は活性金属アノードから化学的に隔離されて居るので、空気電極の化学的組成はアノードの活性物質に反応性があっても汚染されない。これによって、保護されて居ない金属電極なら通常犯すことになる物質を使用した高性能の空気電極のデザインが可能になる。
【0186】
カソライトリザボア916は水性カソライトを含み、本実施例に於いてはカソード構成912と保護膜構成902の間に位置する。カソライトリザボアはカソライト溶液を満たしたZircar Products, Inc.製のジルコニア布のような多孔性の支持材から成ってもよい。カソライトは、中性(LiCl)、塩基性(KOH)、酸性(NH4Cl, HCl)溶液としてあらわされてもよく、その例は0.5M NH4Cl + 0.5M LiCl. カソライトリザボアは更に任意的に隔離物(図示なし)を有してもよく、これはカソライトリザボアとポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィンの、例えばCELGARDセパレータのような保護膜構成との間に位置されてよい。
【0187】
本発明の Li/空気セルは一次ゼルであっても二次セルであってもよい。
バッテリ容器は、周囲の空気や湿気の入り口となる孔を有する上部の蓋924を含む。任意的に、バッテリ容器の蓋とカソードコンパートメントの間に、充電放電の間内部部品が接触状態を維持するように、バネ922を組み込んでもよい。容器壁926はバッテリセルを囲い、その開放面の一つが容器の基底に、対向面が蓋924に接触している。基底がアノードの端子コネクタであり、上部の蓋がカソードと電気的に連続して居る場合には、バッテリを短絡しないように、周囲の壁は電気的絶縁体でないといけない。その代わり、上部の蓋と基底が電気的に接触しないように、如何なる適当な材料や方法が使用されてもよい。例えば絶縁性ガスケットを容器壁と蓋の間、或は容器壁と底の蓋の間、或はその両方に使用してもよい。
【0188】
本発明の一面に於いて、コンプライアントシール構成物はバッテリの不要な体積部分を最小化するのに寄与するものである。バッテリが放電するとき、活性金属アノードの厚さが減少し、バッテリの内部にボイドが生成されるとともに、アノード内の生成物により体積が膨張する。従ってバッテリセルの大きさをも含めてバッテリのデザインにはこの膨張によるアノードコンパートメントに余分の空間を含ませることが必要である。その意味に於いて、電気化学セル構成内の内部シールはバッテリセルのエネルギ密度に悪影響をもたらす可能性がある。一実施例に於いて本発明の特徴は、充電放電に際して活性金属アノードが膨張したり縮小したりするにつれ、コンプライアントシール構成物が、アノードコンパートメントの厚さが変化するように変形することである。これにより、保護膜構成とアノード背面とは活性金属アノードの表面との物理的連続性を維持することが出来、アノードコンパートメントでのボイドの生成を緩和することが出来る。しかも、放電の際の縮小するにつれ、にボイドの体積は アノードコンパートメントによって取られて行き、バッテリセルの中にその後形成される余分の空間はカソード構成の膨張に充てることが出来る。従って、発明のこの面によれば、コンプライアントシール構成物はバッテリ容器の体積を最小化し、バッテリのエネルギ密度を最大化するのに使用することになる。
【0189】
図9A、図9Bに示されるように、Li/空気ガルヴァーニ電池の放電に際し、Liアノード900は、水酸化リチウムの生成と同時にリチウム金属箔の消失として物理的に現れる反応へリチウムイオンを供給する源泉となる。Li/空気セル950では、製造されたLiOHはカソードコンパートメント940に貯蔵され、その結果セル放電に伴う体制の膨張となる。放電の進捗とともに、コンプライアントシール構成物904はカソードコンパートメント940の膨張をアノードコンパートメントの体積の減少で補償させる。
【0190】
図9A、図9Bは運行(充電と放電)に際してLi/空気セル950の中で起こる体積変化を量的に示したものである。図9Aはセル950がフルに充電された状態、図9Bはセル950が半分放電された状態を示す。Li金属の厚さが放電で縮小するにつれ、コンプライアントシール構成物904は保護膜構成902にそれがLi金属箔900の第一面に従う運動領域範囲を与えるように変形する。Li/空気セルは通常大容量のセルであり、比較的厚い活性金属アノードを組み込むものであるから、本発明のコンプライアントシール構成物904は大きな運動範囲を供給するものである。この運動の範囲とは、バッテリの放電の深さの約100%に対応するものである。典型的にLi金属箔アノードは最低10ミクロンであり、好適に最低50ミクロン、より好適には100ミクロン以上である。本発明の或る面では、運動の範囲は250ミクロン以上、500ミクロン以上、1センチメートル以上、更には10センチメートル以上である。
【0191】
本発明の別の実施例では、金属/空気バッテリセルは周囲の空気や湿気を平面の両側から補足可能であるとの意味で両面型である。片面型セルと比較して、見かけの活性面積は二倍である。図10に示されるのは両面型金属空気バッテリセル1050の断面図であり、これは保護付きアノード構成、カソードコンパートメント、及びバッテリケイシングから成る。保護付きアノード構成は第一と第二面を有する活性金属アノード1000から成る。第一面は保護膜構成1002に近接して居る。活性金属アノードの第二面は、この実施例では第二保護膜構成であるアノード背面1006に近接して居る。端子コネクタ1010は活性金属アノードに埋め込まれた電流コレクタ1008に接続され、電流収集と端子とを与えて居る。発明の一面に於いて、電流コレクタ1008と端子コネクタとは約50ミクロンの厚さのニッケル金属から成り、抵抗溶接で接合されたものでもよい。
【0192】
本実施例の各々のイオン膜構成1002と1006は離れたコンプライアントシール構成物成分1004と1005とに結合されて居る。コンプライアントシール構成物成分は頂上段と底段を有する既成のフレームで成形される。上記の如く、各コンプライアントシール構成物成分(1004/1005)は夫々に対応する保護膜構成(1002/1006)に結合されて居る。各コンプライアントシール構成物成分1004及び1005の第二段は互いに結合されて、両面型保護付きアノード構成のアノードコンパートメントである密封型の囲いを形成する。一実施例によれば、コンプライアントシール構成物は低融点の熱塑性物(例えばPE, PP, Surlynなど)から成り、対応保護付き構成と互いとに熱シールで結合されて居る。
【0193】
第一保護膜構成1002と第二保護膜構成1006の外面に近隣して居るのは、カソードコンパートメント1040と1041とであり、これらは夫々カソライトリザボア1016及び1017とカソード構成1012及び1013とから成る。 カソード構成1012、1013とカソライトリザボア1016、1017とは上記実施例について記述したものと同様である。
【0194】
バッテリセル容器は上部蓋1024、基底1034及び容器壁1014とから成る。上部蓋1024と基底1034とは両方とも周囲の空気と湿気とを上部と底部のカソードコンパートメントに通じる為の孔を備えて居る。容器壁は典型的に電気的絶縁体である。上部と底部の蓋は夫々のカソード構成用の端子連結を供給するものでもよい。従って、上部と底部の蓋はステンレススチール合金とかニッケルのような適当な金属から成ってもよい。任意的に、バネ1022が上部の蓋1024とカソード構成1012との間、及び基底1034とカソード構成1013との間に位置される。
【0195】
活性金属アノード1000用の電流コレクタ1008は端子コネクタ1010に接合されて居る。端子は電流コレクタかアノードの活性金属物質などに、溶接、物理的圧接、超音波溶接、抵抗溶接などの周知の方法で接合されるが、接合の方法は上記に限られるものではない。電流コレクタは図示のように活性金属物質を二分してもよく、製造者のデザインの選択に従って、或は接触したり、一部貫通するようにしてもよい。
【0196】
端子のタブはアノードコンパートメントの外部への伸び、発明の一様相によっては、第一と第二コンプライアントシール構成物1004/1005が結合される接合点に於いてアノードコンパートメントの外部へ出て行く。コンプライアントシール構成物1004と1005とが熱シール可能な熱塑性物から成る多層型ラミネートである場合、端子タブ1010は熱圧接によって囲い込まれる。
【0197】
本実施例に於いて、端子タブはアノードコンパートメントから出て行くけれども、カソライトと接触してバッテリセルを内部短絡させないよう、その表面を絶縁しなくてはならない。従って、端子タブは絶縁性があり、化学的抵抗性のあるPP, PE或はPTFEのような物質で 、バッテリセル容器内に残った端子タブの長さに沿って巻かれたり、その中に埋め込まれたりする。
【0198】
図11に示される別の実施例によれば、バッテリ容器はボタンセルの形式である。金属/空気ボタンセル1150は上部蓋1124と基底1126を有する。上部蓋は通気の孔を有し、基底と固定されたシール絶縁体1128によって接合されて居る。保護付きアノード構成は、第一と第二の面を持つリチウムのような活性金属アノード1000を含む。Liの第二面は、本実施例ではボタンセル容器の基底であるアノード背面1106に近接して居る。保護膜構成1102はLiの第一面を包み込んで居る。コンプライアントシール構成物は第一と第二の段があるように形成された柔軟性のあるフレーム材から成る。保護膜構成はコンプライアントシール構成物の第一段に結合されて居る。上記の実施例と異なり、コンプライアントシール構成物の第二段は、容器の上部蓋と基底の間に密閉された圧接シールを形成可能の固定型シールジョイントに結合されて居る。固定されたシール絶縁体は当業者には周知のものであり、殊に好適な固定型シール絶縁体はVitonの商標名で開発されたフルオロエラストメリク共重合体である。従ってアノードコンパートメントはセルのカソードコンパートメント1140から固定型シールジョイントのクリンプ/圧縮シールによって密閉される。カソードコンパートメント1140は、上記の如く、カソード構成1112とカソライトリザボアとから成る。上記の実施例のように、任意的なバネ1122もある。
【0199】
本発明の保護付きアノード構成は、活性金属アノードに対して不安定なカソライト或はカソード構成を含む殆どいずれのバッテリセルシステムにとっても有用であり、これには、水性カソライトのみならず、遷移金属酸化物や金属リン化物から成るカソード構成を含むイオン挿入バッテリ化学物質の改良された性能に有用な非水性カソライトも含まれる。
【0200】
本発明の他のバッテリシステムの実施例に於いて、電気化学セル構成はカソードコンパートメント/領域を通しての流出可能なカソライトから成るものである。例えばレドクスフロウセルに於いて、カソライトは活性金属種から成り、これは還元を行うためにカソード構成へと流され、還元の後、排出されるか、元の充電された状態へとの酸化の為に、別のリザボアへとカソードコンパートメント/領域から流出されるのである。別の例として、還元の後、カソライトの中の電気化学的に活性な種の酸化の為と活性金属アノードを充電する手段として、カソードコンパートメント/領域を通して流し戻してもよい。
他の実施例に於いて、海水がカソライトである。Li/海水(或はナトリウム/海水)を含めての金属/海水バッテリに本発明のコンプライアントシール構成物は有意義的に有利である。海水が水性電解質と酸化剤の両方として使用され、バッテリパックに入れて運ばれなくてもすむので、このようなバッテリは殊にエネルギ密度(Wh/l)と比エネルギ(Wh/kg)が高い。密封による保護のみでなく、コンプライアントシール構成物を使用して保護付きアノードコンパートメントを包み込むと、カソードの放電が進行するとともに大洋の静水圧でアノードが圧され、アノードの活性金属に対して固体の電解質の板が均一な圧力をかけることとなり、これは活性金属をフルに利用する面で重要なのである。
【0201】
本発明による保護付きアノードを持つ金属海水セル1250の実施例を図12A,12Bに示す。図12Aに於いて、保護付きアノード構成は両面型である。図12Bに於いての保護付きアノード構成は片面型である。
【0202】
図12Aを参照するに、保護付きアノードは図4で図示された実施例によってフルに説明されてある。簡単に説明すれば、保護付きアノード構成は電流コレクタ1208が内部に埋め込まれた活性金属アノード1200と電流コレクタに接合された端子コネクタとから成る。活性金属アノード1200は第一と第二の面を有し、各々の面は 保護膜構成1202と1206(アノード背面)に近接して居る。コンプライアントシール構成物1204と1205とは夫々対応する保護膜構成1202と1206及び互いに結合されてアノードコンパートメント1230を形成して居る。海水バッテリセルの中では、カソード構成1212が保護膜構成の各々に近接して居り、海水中の電気化学的に活性の酸化剤を電気化学的に還元する。海水カソライト1216はカソードコンパートメントの中で、カソード構成1212と保護膜構成1202と1206との間に存在する。典型的に海水は溶解酸素を含み、その場合、セル電位はリチウム/海水とリチウム/酸素反応による混合電位である。本発明の保護付きアノード構成を組み込んだバッテリセルは、活性金属水酸化物のような還元生成物がカソードコンパートメント/領域に残存しないように設計されて居る。
【0203】
本実施例のカソード構成は、通常多孔性であって流体を通過させる導電性の支持構成から成る。カソードはチタンのスクリン或はメッシュのような、海水で腐食されず、海水がその中を通り抜けられる導電性物質から成る。
【0204】
海水が電解質として優れているため、エネルギ密度が非常に高いバッテリセルの海での応用が可能となる。使用以前に於いて、セル構成は保護付きアノードと、チタンのスクリンのような多孔性の導電性支持物(導電性成分)とから成る。必要となった場合、セルは海水に浸され、これによって電気化学活性でありイオン導通的な成分でセルが完成する。後者が環境の一部である海水によって供給されるものであるから、使用前にバッテリセルの一部として搬送する必要がない(従って、セルのエネルギ密度の計算に入れる必要がない)。かようなセルは、カソード側の反応生成物が入らないので「オープンセル」と呼ばれる。従って、このセルは一次セルである。
【0205】
大洋の静水圧は10メートルごとに1気圧の割で増加するので、3000メートルの深さでの水圧は約4200psである。発明の一面に於いて、この水圧で生き延びるために、アノードコンパートメントは(非圧縮性液体)アノライトで満たされるべきものとする。好適なアノライトの例は保護膜構成用として上記されたものである。
【0206】
方法
保護付きアノード構成の好適な製造方法を以下に於いて記述する。ここでの記述と構成的及び材料に関するパラメタによって、本発明による保護付きアノード構成、アレイ、セルの製造は当業者には容易なものとなろう。実施例を参照して簡単な概要を提出する。
【0207】
本発明のコンプライアントシール構成物は独立要素或は保護膜構成とアノード背面に別々に結合された独立から成ってよい。別の好適な実施例として、コンプライアントシール構成物はアノード背面と保護膜構成に結合されるに先立って枠のような一体化された形式で製造される。第一の工程で、コンプライアントシール構成物は好適に保護膜構成を位置づけて結合させる領域を与える窓を含めた望ましい構成の枠として形成される。例えば、例として記述されるように、多層型ラミネートが窓を切り抜いた二段構成として成形されてもよい。好適に、窓の形状は保護膜構成と同じとする。枠の周りの内縁は、二段構成の場合の第一段であり、これは保護膜構成に結合される。第一段はボンディング用のプラットフォームとして使用される。結合は例えば一体化されたシール剤の熱圧接或は独立シ-ル剤の使用によって形成される。保護膜構成はその周辺に於いてコンプライアントシール構成物の第一段に結合され、それによって窓の中の空間が埋められる。実質的に、これによってアノードコンパートメントの上半分が形成される。保護膜構成は、上記の如く本発明の開示に組み込まれるものとする審査中公開米国出願US 2004/0197641及びUS 2005/0175894に記述された方法によって活性金属アノードに連結される。保護膜構成がアノライトから成る場合、以下例2〜4に詳細が示される如く、アノライトは好適にコンプライアントシール構成物に固体相の膜が結合された後に付けられる。これでアノードコンパートメントは完全に囲まれて、アノード背面の枠の外縁(二段構成での第二段)の結合によりアノードを包み込む。本発明の保護付きアノード構成は、カソード環境(カソードコンパートメント)から隔離された、完全に囲まれた構成を形成するものであるから、上記のように種々のバッテリセルのアノードとして使用可能である。
【0208】
以下の例によって製造の詳細を記述する。
例
以下の例により、本発明のコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成 、その成分、及びバッテリセルの有利な特徴や性能を詳細に記述する。これらの例は本発明の各面を明示するためのものであって、発明の範囲を制限するものではない。
【0209】
例1: コンプライアントシールの効果の表示
商品名「ラミネート95014」(ケンタッキイ州シェルビイヴィル在のLawson Mardon Flexible, Inc.によって製造)の市売の多層型ラミネート材(MLLM)を使用して、リチウムイオン伝導性のガラスーセラミック(GC)膜に対して密封的コンプライアントシールをした。この例、及び以下の例に於いて使用したGC膜は開発中製品 AG-01(OMAHA Corporation)であった。GC膜のイオン伝導率は(1,0-1,5)x10-4S/cmの範囲であった.膜は1”x1”の正方形で厚さは150ミクロメートルであった。
【0210】
MLLM製品のラミネート95014の厚さは118〜120mmで、以下のものから成る:
PET - ポリエチレンテレフタレート、12mm;
ADH - 二成分ポリウレタン粘着剤;
アルミニューム箔;
EAA - エタクリル酸(アルミニューム箔用のプリマで、LDPEとPETの間の濡れを改善する);
PET - ポリエチレンテレフタレート、12mm;
LDPE - 低密度のポリエチレン;
EAA - エタクリル酸。
【0211】
LDPE の熱シール可能の最下層はGC膜表面と多層型ラミネートとの結合用である。22mmx22mmの正方形の孔を、約5x6インチのラミネートのシートに作った。GC膜面とMLLMの最下LDPE層との結合にはステンレススチール熱版付きのCarver水力プレスが使用された。シールの幅は約1.7mm。1”x1”GC膜のラミネート材への結合に関するパラメタは:圧力250kg、温度100°C、圧接時間3分。
【0212】
結果として得られたラミネートは熱シーラで3辺を結合し別のラミネート(5”x6”)とし、一辺の開いた袋を製作した。この袋を約40mlの1,2ジメトキシエタン(DME)で満たし、残る辺を熱シールして完全にシールされた袋とした。人間の鼻は DME のようなエーテルの匂いに極めて敏感であり、数ppmでも検出可能である。この袋を上記のようにシールした後、DMEの匂いは検出不可能であり、袋の中で一年保存した後でも体積のロスは検出されなかった。シールされて居ない条件下では、これと同量のDMEは数時間の中に蒸発してしまう。この実験により、ラミネート材とGC膜の間のこのシールは密封性があり、長期間の保存で悪化しないことが保証された。
【0213】
次の例は、GCで保護されたLiアノードとコンプライアントシール構成物から成る保護付きアノード構成の性能を例示し、各種コンプライアントシールの強度と安定性を表示するものである。
【0214】
例2:海水電解質中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードのテスト
例1で記述したと同じ方法と装置を使用してGC膜(実質的不浸透性とイオン伝導性を有する )表面を、22mmx22mmの正方形の孔のあるMLLMへ結合した。結合の幅は約1.7mmであった。かような構成を二個製造し、MLLMの底部のLDPE層を3辺に沿って結合した。これには変更したジョー付きのインパルス熱シーラ商品名14A/A0CAB (Vertrod Corp.)を使用した。結果として得られた一方開放型の袋はMLLMに二枚のGC板が結合されたものであった。
【0215】
リチウム電極を、乾燥室の中で、二枚の名目上の厚さ0.6mmの22mm x22mmのLi箔片(FMC Lithium Inc.)を同じディメンションで厚さ50mmのNi箔の電流コレクタの両面に圧接して製造した。圧接はポリプロピレンのブロックのあるダイの中で、750kgの圧力で3分間で行った。幅3mm, 長さ約12cm、厚さ50mmのNi片がアノード端子タブとして使用された。このタブは両端を露出したまま、二枚の幅5mmのPETフィルム(厚さ20mm)の間に挟まれた。Ni箔とPETフィルムとはLDPE接着剤で互いに結合された。結果として、タブは化学的安定性のあり、電気的に絶縁性の物質と共に包み込まれた。タブの一端はその後Niの電流コレクタに溶接された。
【0216】
このLi電極はミクロ多孔性のCelgard 3401セパレータの厚さ25mmのフィルムで巻かれ、22mm x 22mmのLi正方形がGC板の袋の外側のボンドによって覆われて居ない22mm x 22mm 領域に整列するように上記一端開放型の袋の中に入れられた。
【0217】
真空状態に於いて、アノードコンパートメントはプロピレンカーボネイトに溶解された1.0MのLiClO4塩から成る非水性電解質を含むアノライトで満たされた。ここでミクロ多孔性のCelgard 3401セパレータは 非水性電解質(アノライト)で見たされる。アノライトで満たされたCelgardはLi金属の表面をGC膜(固体電解質層)から隔離する。非水性電解質内の湿気濃度は10ppmを超さなかった。袋の開放端はその後真空シーラAudionvac VM 101Hで熱シールされた.
【0218】
Niタブは2個のMLLMの間をアノードコンパートメントへと出た。タブとアノードコンパートメントの間の接点でのシールの密封性は、タブとMLLMの熱塑性LDPEを包み込むPET層間の結合によって保証された。その結果、密封されたアノードコンパートメントの大きさは40mm x 40mmであった。
【0219】
このコンプライアントシールを持った保護付きアノードは、海水を電解質とする Li/水電気化学セルの中でテストされた。アノードは4Lの合成海水(Ricca Chemical Company)をカソライトとして入れたガラスビーカの中に浸された。対向電極(カソード構成)は幾何学的面積240cm2の円筒形のTi Exmet 5Ti7-077FAから製造され、同じビーカの壁に対してアノードを囲うように位置された。
【0220】
アノード放電中、Tiカソードの表面は海水からの電気化学的水素発生のカソード反応を容易にした。
【0221】
このセルは、アノードの近くの海水電解質の中に位置し、放電中アノード電位測定用としたAg/AgCl参照電極も使用した。アノード電位対Ag/AgClの実験値は基準水素電極(SHE)スケールに再計算された。アノードはマッコー(Maccor)バッテリ検査機を使用し、電流密度0.5mA/cm2で放電した。
【0222】
放電曲線を図14に示す。アノードコンパートメントの中に入れたリチウム箔の重量から計算した有効アノード容量と実際の放電容量との比較によると放電は100%である。リチウムの全量がNi電流コレクタの両面からGC板を通して海水電解質の中へ、GC板もシールも破壊せずに放電された。水や非水性溶媒のシールへの侵入による性能悪化の兆候はなく、リチウムと水との反応(Li + H2O = LiOH + 1/2 H2)によるガスの堆積の形跡もなかった。これはシールが完全に密封的であったことを示す。
【0223】
これは多量の Liを使用する包装されたアノードが水性電解質へ非常に能率的に放電することを可能にするコンプライアントシールに関しての最初の例である。特筆さるべきことは、アノードコンパートメントがコンプライアントシールを有し、真空下で層間電解質で満たされて居り(残存空気がない)、ただ Li , Ni箔とか Celgard セパレータのような圧縮不可能の成分のみ含んで居ると言うことである。従ってかかるアノードコンパートメント使用スルセルは大洋の深海部での静水圧に対して対抗性があり、このような条件下で能率的に機能することが期待される。
【0224】
例3:Li/空気セルの中で使用される水性電解質中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードの長期テスト
この例に於いてのコンプライアントシール構成物はGC表面の結合面でSnNx無機層を含むものであった。
【0225】
MLLMの予備形成
この場合,MLLMは既成のフレーム内で成形された。かような予備的形成によると、未形成のMLLM の場合に比して、有意義的により厚いLi箔の使用が可能となる。それに、アノードの放電に際して、より均一的なコンプライアントシールの縮小(崩壊)が期待される。更なる有利点は、フレームの形状により、アノードコンパートメントの無駄堆積が減少する可能性である。
【0226】
第一工程に於いて、正方形の43mm x 43mmのMLLM の板が、スチールのダイを使用して500kgの圧力により、図15Aに示される形状1に成形された。高さHは約1.2mmで、幅は頂上でW1=26mm. 最下部の段では縁を切ってあり、それで幅W2を2mmとした。最下部の孔は正方形で、片の長さW3は31mmであった。隅を丸みにした(半径2.0mm)23mm x 23mm(W4)の正方形の孔を成形された MLLM の頂上に開けた。結果として、図15Bに示される二段型のフレーム2が形成された。
【0227】
GC膜表面のSnNxによる予備塗布
水性及び非水性電解質の中で安定な、強固で密封的な結合を成就するために、GC板の周囲領域(幅約1.7mm)を、MLLMとの結合に先立ってSnNx の薄膜で塗布した。 SnNx の薄膜は、酸性、中性、塩基性の電解質に対し、叉有機炭酸塩やエーテル系非水性電解質に対して非常に高い化学的抵抗性を有する。薄膜は厚さ0.1mm であって、MRC8671スパッタリング装置を使用し、窒素プラズマ中、金属錫の反応性スパタリングによって生成された。スパタリングされたSnNx の薄膜は、GC膜の表面に非常に強固に接着し、熱シールの間MLLMのLDPE熱塑性層で良好に濡らされた。
【0228】
MLLMのGC膜への結合
次の工程はMLLM(図14)の最下LDPE層とGC膜3の頂上の表面と熱シーリングで結合することであった。シールW5の幅は約1.2mmであった。この場合、熱シーラは23mmx23mmの正方形の内部空間を持つ26mm x 26mmの正方形のフレームの形状のステンレススチールの抵抗加熱要素を使用した。熱シーリング用のパルス電圧源として、ディジタルタイマと共にPower Supply Sorensen DCS8-125Eを使用した。この熱シーラのデザインにより、熱シールを望む領域を均一に加熱し、その他の領域で熱塑性LDPE層を無制限に軟化したり溶融することを防ぐことが出来た。
【0229】
図15Bに示す種類の構成を二個製造し、MLLMの最下層のLDPE層を結合することにより、三面にわたって相互に結合した。アノードタブは例2で記述されたように製造された。リチウム電極は例2で記述されたように製造されたが、FMC Lithium Inc.からのLi箔はNi箔電流コレクタの両面で厚さが1mm近いものであった。そこで、Li電極はミクロ多孔性のCelgard 3401セパレータの厚さ25mmのフィルムを中間層として巻き付け、例2に記載されたように開放端の袋の中へ位置づけた。アノードコンパートメントには真空状態で1MのLiClO4塩をプロピレンカーボネイトに溶解したアノライト溶液を満たし、そのアノライトでCelgard層間を満たした。袋の開放端はその後熱シールされ、タブとアノードコンパートメントの間の接点での密封シールは熱シールによって保証された。その結果としての密封された アノードコンパートメントの大きさは35mm x 35mmであった。
【0230】
このコンプライアントシール付き保護付きアノード構成は、保護付きLiアノードを有するPolyPlus Li/空気バッテリで使用される、3M NH4Clを含む電解質(カソライト)を使用するLi/水電気化学セルの中でテストした。電気化学セルと設定とは以下の点を除いて例2と同じであった:即ち、ガラスビーカはより小さく、200mlの水性電解質を入れた;Tiカソードはより小さいものであって、幾何学的面積は50cm2であった。電流密度0.5mA/cm2に放電曲線は図16に示される。アノードは396時間にわたって放電された。配達された容量はLiの利用可能な容量の100%に相当し、これは、湿気がアノードコンパートメントに浸透すれば配達される容量が有意義的に減少することから、シールが密封されて居たことを意味するものである。また、この長期間の放電に際して、ガスの生成や泡の発生も見られなかった。放電の後、アノードは更に53日の間同じ電解質(カソライト)の中に、開回路の状態で貯蔵し、シールが水性電解質や非水性層間電解質に露出する総期間を2.5ヶ月とした。その後、アノードコンパートメントは水性電解質(カソライト)から除去され、事後分析を行った。 SnNx を塗ったGL板とMLLMとの結合は依然強固であり、ラミネートをGCの表面から剥がすことは出来なかった。このテストはコンプライアントシールと厚い Li箔を持つ両面型のGCで保護されたLiアノードは、Li/空気バッテリで使用される水性電解質(カソライト)の中で有効的に機能することを示すものである。叉、無機 SnNx 層をGC表面の結合領域に含むコンプライアントシール構成物は水性(カソライト)及び非水性(アノライト)電解質に対して長期間安定であることを示して居る。
【0231】
例4 Li/空気セルの中で使用される水性電解質(アノライト)中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードの長期テスト
この例に於いて、MLLMに結合されたGC板(固体の電解質膜)の領域は結合に先立って濃水酸化リチウムでエッチングされた。
【0232】
両面型Liアノードと二枚のGC保護板(実質的に不浸透性でイオン伝導性の層)を使用するアノードコンパートメントは同じ大きさであり、同じ成分(非水性電解質と厚さが略1mmの二枚のLi箔を含む)を有し、例3と同様に製造された。唯一の相違は、無機層での塗布がなされないことであった。その代わりとして、GC表面の結合された領域はGC板のMLLMへの結合に先立って化学的エッチングによる前処理が行われた。
【0233】
GC板の周辺領域(幅約1.7mm)は以下のようにして4M LiOHでエッチングされた。GC板の一辺とその他の側の全面とをカプトン(Kapton)テープで覆った後、4M LiOH の水溶液を入れたビーカにGC板を浸潤させた。7日の貯蔵の後、板を水ですすぎ、次にLiOH溶液の雰囲気中のCO2との反応によるLi炭酸化物を除去するために希釈酢酸で、そして最後にまた水ですすいだ。エッチングされたGCの領域を顕微鏡で検査し、表面の荒れを観測した。表面のエッチングの時間は高温で行えば実行の時間を有意義的の短縮出来ることを指摘すべきである。
【0234】
密封された両面型保護付きアノード構成が製造された後、3M NH4Clから成る前例で記述されたと同じセルの中で試験を行った。図17はそれによる放電曲線を示す。放電によってアノードコンパートメント中のLiの全量が使用された。GC板にもシールにも損傷の跡はなかった。効率100%の放電ということは、放電に際してLiと水との反応に於いて寄生的腐食反応が起こらなかったことを裏書きするものである。放電の後、保護付きアノードは更に36日間同じ電解質(カソライト)の中に開回路の状態で貯蔵し、これによりシールが水性電解質(カソライト)や非水性層間電解質(アノライト)に露出する総期間を7.5週間とした。GC板のエッチングされた領域とMLLMとの間の結合は依然として強固であり、ラミネートをGC表面から剥がすことは出来なかった。 アノードコンパートメントを開いても、Liの腐食生成物は観察されなかった。これらから、GC表面の結合面を濃LiOHにより前処理することにより、長期間にわたって水性電解質(カソライト)や非水性層間電解質(アノライト)に安定なシールが得られることが分かる。
【0235】
例5:海水中でのコンプライアントシールを持つ両面型保護付きリチウムアノードの テスト
この例では、二重シール剤型構成が使用された。GC板(実質的に不浸透性でイオン伝導性の層)とMLLMのLDPE層との間の一次結合は熱シールの継ぎ目の周りに於いてエポクシ接着剤(二次シール剤)にょって強化された。
【0236】
両面型Liアノードと二枚のGC保護板を使用するアノードコンパートメントは同じ大きさであり、同じ成分(非水性電解質(アノライト)と厚さが略1mmの二枚のLi箔を含む)を有し、例3と同様に製造された。但し、無機層での塗布は行われなかった。アノードコンパートメントが製造された後、エポクシ接着剤(Loctite CorporationのHysol E-120HP)を使用して二次シールを形成した。数ミリリットルのHysol E-120HPを50mL 二重カートリッジ(Item29353)からガラス板の上に取り出し、完全に混合した。GC板の中央領域をマスキングし、混合された接着剤を板の結合領域に移送した。接着剤は一次シールの継ぎ目を完全に覆った。その後、接着剤は室温で20時間乾燥された。二次シールを室温で形成する利点は、保護付きアノードの温度に敏感な成分、殊にMLLMのLDPEに影響しないと言うことである。結果として得られる密封された両面型アノードは、例2で記述されたと同じく、海水電解質を含むセルの中で電気化学に試験された。電流密度0.5mA/cm2で得られた放電曲線を図18に示す。アノードは425時間に亘って放電され、配達された容量はLiの利用可能な容量の100%に相当し、これは、シールが密封されて居たことを意味するものである。水や非水性溶媒のシールへの侵入による性能悪化はなかった。Liと水との反応によるガスの堆積の形跡もなかった。放電の後、保護付きアノードは10日間同じ電解質(カソライト)の中に開回路の状態で貯蔵し、これによりシールが海水や非水性層間電解質(アノライト)に露出する総期間を4週間とした。アノードガセルから取り出された時、シールは手に触れられていないかの完全の状態であった。アノードコンパートメントを開いても、Liの腐食生成物は観察されなかった。これらのことから、エポクシ接着剤Hysol E-120HPを使用した二重シールは密閉されて居り、海水(カソライト)と非水性電解質(アノライト)に安定であることが分かる。
【0237】
結論として、例1〜5に記載した結果はコンプライアントシールの概念を実験的に証拠付けたものであり、かようなシールを有するアノードをLi/水やLi/空気バッテリの中で使用する効果を示したものである。
【0238】
結論
【0239】
上記に於いて発明は明確に理解されるべく詳細に記述されたものであるが、発明の範囲の中で或る程度の変更は変形が可能であることは自明であろう。発明は或る所定の実施例について記述されたが、かような所定の実施例に限定されるものではないと理解されるであろう。これに反して、添付されたクレームに定義される如く、代替、変形、均等などのものは発明の範囲に入れることが意図されて居る。
【0240】
此処に引用された文献の総てはあらゆる目的に於いて発明の開示に組み込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1C】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1D】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図1E】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図2A】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図2B】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図2C】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図2D】本発明によるその他各種の形態の保護膜構成を例示する説明図である。
【図3A】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3B】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3C】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3D】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3E】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3F】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3G】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図3H】本発明の実施例による保護付きアノード構成用のコンプライアントシール構成のその他各種の形態を例示する説明図である。
【図4A】本発明の一実施例による両面型の保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図4B】本発明の一実施例による両面型の保護付きアノード構成を例示する説明図である。
【図5A】本発明の実施例による保護付きアノード構成の平面アレイ形式を示す説明図である。
【図5B】本発明の実施例による保護付きアノード構成の平面アレイ形式を示す説明図である。
【図5C】本発明の実施例による保護付きアノード構成の平面アレイ形式を示す説明図である。
【図6A】本発明の実施例による保護付きアノード構成の筒状アレイ形式を示す説明図である。
【図6B】本発明の実施例による保護付きアノード構成の筒状アレイ形式を示す説明図である。
【図7A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成の螺旋状アレイ形式を示す説明図である。
【図7B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成の螺旋状アレイ形式を示す説明図である。
【図8A】本発明の一実施例によるハブとスポーク型の両面型保護付きアノード構成アレイを例示する説明図である。
【図8B】本発明の一実施例によるハブとスポーク型の両面型保護付きアノード構成アレイを例示する説明図である。
【図9A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ活性金属/空気バッテリセルを示す説明図である。
【図9B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ活性金属/空気バッテリセルを示す説明図である。
【図10】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ両面型活性金属/空気バッテリセルを示す説明図である。
【図11】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだその他の金属/空気バッテリセルデザインを示す説明図である。
【図12A】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ金属/海水セルの実施例を示す説明図である。
【図12B】本発明の一実施例による保護付きアノード構成を組み込んだ金属/海水セルの実施例を示す説明図である。
【図13】本発明による一般的な電気化学的セル構成の断面図である。
【図14】本発明によるコンプライアントシール構成物を有する保護付きアノード構成を組み込んだ例2のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【図15A】本発明による例3の多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物の形状と構成を例示する説明図である。
【図15B】本発明による例3の多層型ラミネートのコンプライアントシール構成物の形状と構成を例示する説明図である。
【図16】本発明によるコンプライアントシール構成物を組み込んだ例3のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【図17】水性金属/水セル電解質を含み、本発明によるコンプライアントシール構成物を有する両面型保護付きアノード構成を組み込んだ例4のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【図18】電解質として海水を含み、本発明によるコンプライアントシール構成物を有する両面型保護付きアノード構成を組み込んだ例5のテスト用セルの放電曲線を示す説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護付きアノード構成であって、
第一面と第二面を有する活性金属アノードと、
アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、
アノードの第二面と物理的連続性を持つ活性金属アノード背面と、
保護膜構成とアノード背面とに対向してアノードをアノードコンパートメントの中に包み込み、電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性のあるコンプライアントシール構成物とから成り、
イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成り、
実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに対向するものである、保護付きアノード構成。
【請求項2】
構成がスタンドアロン部品である、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項3】
活性金属アノードが固体相である、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項4】
活性金属アノードの厚さが少なくとも10ミクロンである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項5】
活性金属アノードの厚さが少なくとも50ミクロンである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項6】
活性金属アノードの厚さが少なくとも1mmである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項7】
活性金属アノードの厚さが少なくとも1cmである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項8】
活性金属アノードがアルカリ金属から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項9】
アルカリ金属がLiである、請求項8の保護付きアノード構成。
【請求項10】
アルカリ金属がNaである、請求項8の保護付きアノード構成。
【請求項11】
活性金属アノードが活性金属イオンから成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項12】
活性金属アノードが活性金属合金性の金属から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項13】
活性金属合金性の金属がCa, Mg, Sn, Ag, Bi, Al, Cd, Ga, In Sbから成るグループから選ばれる、請求項12の保護付きアノード構成。
【請求項14】
活性金属アノードが層間挿入物性から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項15】
活性金属層間挿入物性が炭素から成る、請求項12の保護付きアノード構成。
【請求項16】
保護膜構成がイオン伝導性固体相膜から成る、請求項12の保護付きアノード構成。
【請求項17】
固体相膜のイオン伝導率が最低10-5S/cmである、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項18】
固体相膜のイオン伝導率が最低10-3S/cmである、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項19】
固体相膜がモノリシックである、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項20】
固体相膜が、
アノードと接触し、イオン伝導性があり、アノードの活性金属と化学的互換性のある第一物質成分と、
第一物質成分と接触し、実質的に不浸透性であり、イオン伝導性があり、第一物質成分及び外部環境と化学的互換性のある、第二物質成分とからから成る組成物から成る、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項21】
組成物がラミネートである、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項22】
組成物が等級づけされたものである、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項23】
第一物質成分が、活性金属の窒化物、活性金属のリン化物、活性金属のハロゲン化物から成るグループから選ばれる物質と、活性金属リン化オクシニトライドガラスとから成る、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項24】
第一物質成分が、Li3N, Li3P 及び LiI, LiBr, LiCl, LiF 及び LiPN.Li-硫化物、Li-リン硫化物, Li2S-P2S5, Li2S-P2S5-LiI から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項23の保護付きアノード構成。
【請求項25】
第一物質成分が、金属窒化物第一層物質プリカーサから成る、請求項23の保護付きアノード構成。
【請求項26】
第一物質成分が、Cu3Nから成る、請求項25の保護付きアノード構成。
【請求項27】
第二物質成分が、ガラス状或はアモルファス金属のイオン伝導体、セラミック活性金属のイオン伝導体、及びガラスーセラミック活性金属のイオン伝導体から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項28】
第二物質成分が、リン系ガラス、酸化物系ガラス、硫黄系ガラス、酸化物硫黄系ガラス、セレナイド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラス、ガラスセラミック活性金属のイオン伝導体、ナトリウムベーターアルミナとリチウムベーターアルミナ、Liスーパーイオニク導電体(LISICON)、Naスーパーイオニク導電体(NASICON)、LiPON, Li3PO4.Li2S.SiS2, Li2S.GeD2.Ga2S3, Li2O.11Al2O3, Na2O.11Al2O3, Nasiglass, Li0.3La0.5TiO3, Na5MSi4O12 (M:Nd, Gd,Dyのような希土), (Na,Li)1+xTi2-x,(PO4)3, (0.1 = x = 0.9) 及び結晶学的に関連した構成、Li1+xHf2-xAlx(PO4)3 (0.1 = x = 0.9), Na3Zr2Si2PO12, Li3Zr2Si2PO12, Na5ZrP3O12, Na5TiP3O12, Na3Fe2P3O12, Na4NbP3O12, Li5ZrP3O12, Li5TiP3O12, Li3Fe2P3O12,及び Li4NbP3O12 から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項27の保護付きアノード構成。
【請求項29】
第二物質成分が、以下の組成であるイオン伝導性のガラスーセラミックであって、
【表1】
そして更に、Li1_x(M,Al,Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 (ここでX = 0.8, 0 = Y = 1.0, MはNd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb 及び/或はLi1+x+yQxTi2-xSiyP3-yO12 から選ばれる元素であり、0 < X = 0.4, 0 < Y = 0.6, Q は Al 或はGa)pの主に結晶相を含むものである、請求項28の保護付きアノード構成。
【請求項30】
保護膜構成が、
非水性アノライトから成り、アノードの活性金属と化学的互換性があり、アノードと接触して居る、活性金属のイオン伝導性のセパレータ層と、
セパレータ層と接触し、セパレータ層及びアノードコンパートメントの外部と化学的互換性のある、実質上不浸透性である層とから成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項31】
セパレータ層が非水性アノライトで満たされて居る半浸透性の膜から成る、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項32】
半浸透性の膜がミクロ多孔性重合体である、請求項31の保護付きアノード構成。
【請求項33】
アノライトが液相である、請求項32の保護付きアノード構成。
【請求項34】
アノライトが、有機炭酸化物、エーテル、エステル、ギ酸塩、ラクトン、スルフォン、スルフォネイト、及び以上の組み合わせから成るグループから選ばれる溶媒から成る、請求項33の保護付きアノード構成。
【請求項35】
アノライトが、
EC, PC, DEC, DMC, EMC, THF, 1,3-ディオクソレイン,2MeTHF, 1,2-DME,或は高級グライム,スフォレイン、ギ酸エチル、酢酸メチル、及びこれらの組み合わせから成るグループから選ばれる溶媒と、
LiPF6, LiBF4, LiAsF6, LiClO4, LiSO3CF3, LiN(CF3SO2)2, 及びLiN(SO2C2F5)2 , NaClO4, NaPFc, NaAsF6, NaBF4, NaSO3CF3, NaN(CF3SO2)2, 及び NaN(SO2C2F5)2から成るグループから選ばれる支持塩とから成る、請求項34の保護付きアノード構成。
【請求項36】
アノライトがゲル相である、請求項35の保護付きアノード構成。
【請求項37】
アノライトが、
PVdF、PVdF−HFP共重合体、PAN, PEO, 及びこれらの混合物から成るグループから選ばれるゲル化剤と、
EC, PC, DEC, DMC, EMC, THF, 2MeTHF, 1,2-DME, 1,3-ディオクソレイン、及びこれらの混合物とから成るグループから選ばれる可塑剤と、
LiPF6, LiBF4, LiAsF6, LiClO4, LiSO3CF3, LiN(CF3SO2)2, 及びLiN(SO2C2F5)2 , NaClO4, NaPFc, NaAsF6, NaBF4, NaSO3CF3, NaN(CF3SO2)2, 及び NaN(SO2C2F5)2から成るグループから選ばれるLi塩とから成る、請求項35の保護付きアノード構成。
【請求項38】
実質上不浸透性である層が、ガラス状或はアモルファス活性金属のイオン伝導体、セラミック活性金属のイオン伝導体、及びガラスーセラミック活性金属のイオン伝導体から成るグループから選ばれる物質から成る、とから成るグループから選ばれる物質から成る、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項39】
第二物質成分が、リン系ガラス、酸化物系ガラス、硫黄系ガラス、酸化物硫黄系ガラス、セレナイド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラス、ガラスセラミック活性金属のイオン伝導体、ナトリウムベーターアルミナとリチウムベーターアルミナ、Liスーパーイオニク導電体(LISICON)、Naスーパーイオニク導電体(NASICON)、LiPON, Li3PO4.Li2S.SiS2, Li2S.GeD2.Ga2S3, Li2O.11Al2O3, Na2O.11Al2O3, Nasiglass, Li0.3La0.5TiO3, Na5MSi4O12 (M:Nd, Gd,Dyのような希土), (Na,Li)1+xTi2-x,(PO4)3, (0.1 = x = 0.9) 及び結晶学的に関連した構成、Li1+xHf2-xAlx(PO4)3 (0.1 = x = 0.9), Na3Zr2Si2PO12, Li3Zr2Si2PO12, Na5ZrP3O12, Na5TiP3O12, Na3Fe2P3O12, Na4NbP3O12, Li5ZrP3O12, Li5TiP3O12, Li3Fe2P3O12,及び Li4NbP3O12 から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項40】
実質上不浸透性であるイオン伝導性の層が、以下の組成であるイオン伝導性のガ
ラスーセラミックであって、
【表2】
そして更に、Li1_x(M,Al,Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 (ここでX = 0.8, 0 = Y = 1.0, MはNd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb 及び/或はLi1+x+yQxTi2-xSiyP3-yO12 から選ばれる元素であり、0 < X = 0.4, 0 < Y = 0.6, Q は Al 或はGa)pの主に結晶相を含むものである、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項41】
背面が実質的に不浸透性であり、活性金属アノード及びアノードコンパートメント外部環境と化学的互換性のある構成である、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項42】
背面がアノード電流コレクタから成る、請求項41の保護付きアノード構成。
【請求項43】
背面が更に端子コネクタから成る、請求項42の保護付きアノード構成。
【請求項44】
背面が更に電子的絶縁体から成る、請求項43の保護付きアノード構成。
【請求項45】
背面がシール構成と隣接して居る、請求項41の保護付きアノード構成。
【請求項46】
アノード背面が第二保護膜構成である、請求項41の保護付きアノード構成。
【請求項47】
アノード背面が第二保護膜構成であり、対称的な両面型保護付きアノード構成を形成する、請求項46の保護付きアノード構成。
【請求項48】
アノード背面が第二保護膜構成であり、非対称的な両面型保護付きアノード構成を形成する、請求項46の保護付きアノード構成。
【請求項49】
コンプライアントシール構成物が張力のもとにある、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項50】
コンプライアントシール構成物が金属から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項51】
コンプライアントシール構成物が重合体から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項52】
コンプライアントシール構成物が少なくとも二枚の物質層を有する多層型ラミネートである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項53】
多層型ラミネートが少なくとも三層を有し、最上層はアノードコンパートメントの外部の環境に対して化学的抵抗性を有し、最下層はアノードコンパートメントの内部の環境に対して化学的抵抗性を有する重合体であり、中間層は金属のバリヤ層である、請求項52の保護付きアノード構成。
【請求項54】
ポリエチレンテレフタレート(PET)の最上層と、ポリエチレンの最下層と、アルミニューム箔の中間層から成る、請求項53の保護付きアノード構成。
【請求項55】
コンプライアントシール構成物が、一体化されたシール剤を含む多層型ラミネートである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項56】
一体化されたシール剤が熱シール可能な熱塑性層から成る、請求項55の保護付きアノード構成。
【請求項57】
一体化されたシール剤が,PE, PP及びイオノマー樹脂から成る熱シール可能な熱塑性物から成る、請求項51の保護付きアノード構成。
【請求項58】
一体化されたシール剤が,粘着性塗料層から成る、請求項55の保護付きアノード構成。
【請求項59】
一体化されたシール剤が,平均分子量60,000から5,000,000であるポリイソブチレンを含む粘着性塗料層から成る、請求項58の保護付きアノード構成。
【請求項60】
コンプライアントシール構成物が、一体化されたシール剤を通して熱圧接されることにより保護膜構成に接着されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項61】
コンプライアントシール構成物が、一体化されたシール剤を通して熱圧接されることによりアノード背面に接着されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項62】
コンプライアントシール構成物が、独立したシール剤を通して熱圧接されることにより保護膜構成に接着されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項63】
コンプライアントシール構成物から保護膜構成への結合が独立したシール剤から成る、請求項61の保護付きアノード構成。
【請求項64】
独立したシール剤がエポクシから成る、請求項62の保護付きアノード構成。
【請求項65】
独立したエポクシシール剤がポリアミドである、請求項64の保護付きアノード構成。
【請求項66】
独立したシール剤が平均分子量60,000から5,000,000であるポリイソブチレンをである、請求項62の保護付きアノード構成。
【請求項67】
コンプライアントシール構成物が、放電充電に際して、アノード、背面、及び保護膜構成の間の物理的連続性が維持されるように変形することが可能である、請求項4の保護付きアノード構成。
【請求項68】
コンプライアントシール構成物が、放電充電に際して、アノードの厚さ変化に十分に適応できるように構成されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項69】
複数の保護膜構成が一つ以上の共通の背面と共有されたシール構成とを通じて互いに接続されたアレイに配列された、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項70】
アレイの複数のアノードが電気的に接続された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項71】
アレイのアノードが電気的に接続された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項72】
アレイが平面的に構成された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項73】
アレイが筒状に構成された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項74】
アレイが螺旋状に構成された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項75】
アレイがスポークとハブとから成る構成である、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項76】
コンプライアントシール構成物との結合面の接着を改善するためにプリマーが固体電解質層の上に塗られて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項77】
プリマーが金属窒化物である、請求項76の保護付きアノード構成。
【請求項78】
プリマーが金属酸化物である、請求項76の保護付きアノード構成。
【請求項79】
バッテリセルであって、
保護付きアノード構成であって、
第一面と第二面を有する活性金属アノードと、
アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、
アノードの第二面と物理的連続性を持つ活性金属アノード背面と、
保護膜構成とアノード背面とに対向してアノードをアノードコンパートメントの中に包み込み、電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性のあるシール構成物とから成る、保護付きアノード構成と、
イオン伝導性の保護膜構成と接触するカソードコンパートメントであって、カソード構成とカソライトとから成り、カソード構成は電子的に導電性の成分から成り、少なくとも一個のカソード構成とカソライトは少なくとも一個のイオン伝導性の成分とと電気化学的に活性の成分から成り、少なくとも一個のカソード構成とカソライト詩文とはカッセリ金属腐食的成分である、カソードコンパートメントとからなり、
イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成り、
実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに対向するものである、バッテリセル。
【請求項80】
カソードコンパートメントがカソライトから成る、請求項79のセル。
【請求項81】
カソライトが液体から成る、請求項80のセル。
【請求項82】
カソライトが水性から成る、請求項81のセル。
【請求項83】
カソライトが非水性溶媒から成る、請求項81のセル。
【請求項84】
カソライトが海水から成る、請求項81のセル。
【請求項85】
カソライトが電気化学的に活性な酸化剤から成る、請求項80のセル。
【請求項86】
カソード構成の電気化学的に活性な成分が酸素から成る、請求項79のセル。
【請求項87】
カソード構成の電気化学的に活性な成分が層間挿入物質から成る、請求項79のセル。
【請求項88】
層間挿入物質が遷移金属酸化物から成る、請求項87のセル。
【請求項89】
層間挿入物質が遷移金属リン化物から成る、請求項87のセル。
【請求項90】
更にセル容器から成り、セル容器は保護付きアノード構成とカソード構成とを包み込む、請求項79のセル。
【請求項91】
セル容器が周囲の空気に開放されて居り、カソード構成の電気化学的に活性な成分が空気である、請求項90のセル。
【請求項92】
セル容器がアノード背面から成る、請求項90のセル。
【請求項93】
コンプライアントシール構成物がクリンプシールによってアノード背面に付けられて居る、請求項92のセル。
【請求項94】
固体電解質層の表面が結合面とコンプライアントシール構成物との接着を向上する為に化学的にエッチングされて居る、請求項1のセル。
【請求項95】
セル放電によるアノードの縮小とカソードの膨張を完全に補償し、せるエネルギ密度を最大化するようにコンプライアントシール構成物が構成されて居る、請求項79のセル。
【請求項96】
一つ以上の共通の背面と共有されたシール構成とを通じて互いに接続されたアレイに配列された複数の保護膜構成から成る、請求項79のセル。
【請求項97】
アレイのアノードが共通のカソード構成を有する、請求項96のセル。
【請求項98】
アレイのアノードが独立のカソード構成を有する、請求項96のセル。
【請求項99】
保護付きアノード構成を製造する方法であって、
第一面と第二面を有する活性金属アノードと、
アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、
アノードの第二面と物理的連続性を持つ活性金属アノード背面とを供給する工程と、
アノード背面を有する保護膜構成とコンプライアントシール構成物を対向させて、アノードをアノードコンパートメントの中に包み込む工程とから成り、
シール構成は電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性を有し、
イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成り、
実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに対向するものである、方法。
【請求項100】
コンプライアントシール構成物が複数の独立要素から成る、請求項99の方法。
【請求項101】
コンプライアントシール構成物が一体化された物体である、請求項99の方法。
【請求項102】
コンプライアントシール構成物が熱圧接により、一体化されたシール剤を通じて保護膜構成に接合されている、請求項99の方法。
【請求項103】
コンプライアントシール構成物が熱圧接により、一体化されたシール剤を通じてアノード背面に接合されている、請求項99の方法。
【請求項104】
コンプライアントシール構成物が独立シール剤により、保護膜構成に接合されている、請求項99の方法。
【請求項105】
シール構成物と保護膜構成の結合が更に独立シール剤を含む、請求項103の方法。
【請求項106】
更に保護付きアノード構成をカソードと結合してセルを形成する工程から成る、請求項99の方法。
【請求項107】
セルがバッテリセルである、請求項106の方法。
【請求項108】
セルが金属/空気バッテリセルである、請求項107の方法。
【請求項109】
セルがLi金属/空気バッテリセルである、請求項108の方法。
【請求項110】
セルが金属/水バッテリセルである、請求項107の方法。
【請求項111】
セルが金属/海水バッテリセルである、請求項110の方法。
【請求項112】
セルがLi金属/海水バッテリセルである、請求項111の方法。
【請求項1】
保護付きアノード構成であって、
第一面と第二面を有する活性金属アノードと、
アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、
アノードの第二面と物理的連続性を持つ活性金属アノード背面と、
保護膜構成とアノード背面とに対向してアノードをアノードコンパートメントの中に包み込み、電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性のあるコンプライアントシール構成物とから成り、
イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成り、
実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに対向するものである、保護付きアノード構成。
【請求項2】
構成がスタンドアロン部品である、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項3】
活性金属アノードが固体相である、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項4】
活性金属アノードの厚さが少なくとも10ミクロンである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項5】
活性金属アノードの厚さが少なくとも50ミクロンである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項6】
活性金属アノードの厚さが少なくとも1mmである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項7】
活性金属アノードの厚さが少なくとも1cmである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項8】
活性金属アノードがアルカリ金属から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項9】
アルカリ金属がLiである、請求項8の保護付きアノード構成。
【請求項10】
アルカリ金属がNaである、請求項8の保護付きアノード構成。
【請求項11】
活性金属アノードが活性金属イオンから成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項12】
活性金属アノードが活性金属合金性の金属から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項13】
活性金属合金性の金属がCa, Mg, Sn, Ag, Bi, Al, Cd, Ga, In Sbから成るグループから選ばれる、請求項12の保護付きアノード構成。
【請求項14】
活性金属アノードが層間挿入物性から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項15】
活性金属層間挿入物性が炭素から成る、請求項12の保護付きアノード構成。
【請求項16】
保護膜構成がイオン伝導性固体相膜から成る、請求項12の保護付きアノード構成。
【請求項17】
固体相膜のイオン伝導率が最低10-5S/cmである、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項18】
固体相膜のイオン伝導率が最低10-3S/cmである、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項19】
固体相膜がモノリシックである、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項20】
固体相膜が、
アノードと接触し、イオン伝導性があり、アノードの活性金属と化学的互換性のある第一物質成分と、
第一物質成分と接触し、実質的に不浸透性であり、イオン伝導性があり、第一物質成分及び外部環境と化学的互換性のある、第二物質成分とからから成る組成物から成る、請求項16の保護付きアノード構成。
【請求項21】
組成物がラミネートである、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項22】
組成物が等級づけされたものである、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項23】
第一物質成分が、活性金属の窒化物、活性金属のリン化物、活性金属のハロゲン化物から成るグループから選ばれる物質と、活性金属リン化オクシニトライドガラスとから成る、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項24】
第一物質成分が、Li3N, Li3P 及び LiI, LiBr, LiCl, LiF 及び LiPN.Li-硫化物、Li-リン硫化物, Li2S-P2S5, Li2S-P2S5-LiI から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項23の保護付きアノード構成。
【請求項25】
第一物質成分が、金属窒化物第一層物質プリカーサから成る、請求項23の保護付きアノード構成。
【請求項26】
第一物質成分が、Cu3Nから成る、請求項25の保護付きアノード構成。
【請求項27】
第二物質成分が、ガラス状或はアモルファス金属のイオン伝導体、セラミック活性金属のイオン伝導体、及びガラスーセラミック活性金属のイオン伝導体から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項20の保護付きアノード構成。
【請求項28】
第二物質成分が、リン系ガラス、酸化物系ガラス、硫黄系ガラス、酸化物硫黄系ガラス、セレナイド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラス、ガラスセラミック活性金属のイオン伝導体、ナトリウムベーターアルミナとリチウムベーターアルミナ、Liスーパーイオニク導電体(LISICON)、Naスーパーイオニク導電体(NASICON)、LiPON, Li3PO4.Li2S.SiS2, Li2S.GeD2.Ga2S3, Li2O.11Al2O3, Na2O.11Al2O3, Nasiglass, Li0.3La0.5TiO3, Na5MSi4O12 (M:Nd, Gd,Dyのような希土), (Na,Li)1+xTi2-x,(PO4)3, (0.1 = x = 0.9) 及び結晶学的に関連した構成、Li1+xHf2-xAlx(PO4)3 (0.1 = x = 0.9), Na3Zr2Si2PO12, Li3Zr2Si2PO12, Na5ZrP3O12, Na5TiP3O12, Na3Fe2P3O12, Na4NbP3O12, Li5ZrP3O12, Li5TiP3O12, Li3Fe2P3O12,及び Li4NbP3O12 から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項27の保護付きアノード構成。
【請求項29】
第二物質成分が、以下の組成であるイオン伝導性のガラスーセラミックであって、
【表1】
そして更に、Li1_x(M,Al,Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 (ここでX = 0.8, 0 = Y = 1.0, MはNd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb 及び/或はLi1+x+yQxTi2-xSiyP3-yO12 から選ばれる元素であり、0 < X = 0.4, 0 < Y = 0.6, Q は Al 或はGa)pの主に結晶相を含むものである、請求項28の保護付きアノード構成。
【請求項30】
保護膜構成が、
非水性アノライトから成り、アノードの活性金属と化学的互換性があり、アノードと接触して居る、活性金属のイオン伝導性のセパレータ層と、
セパレータ層と接触し、セパレータ層及びアノードコンパートメントの外部と化学的互換性のある、実質上不浸透性である層とから成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項31】
セパレータ層が非水性アノライトで満たされて居る半浸透性の膜から成る、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項32】
半浸透性の膜がミクロ多孔性重合体である、請求項31の保護付きアノード構成。
【請求項33】
アノライトが液相である、請求項32の保護付きアノード構成。
【請求項34】
アノライトが、有機炭酸化物、エーテル、エステル、ギ酸塩、ラクトン、スルフォン、スルフォネイト、及び以上の組み合わせから成るグループから選ばれる溶媒から成る、請求項33の保護付きアノード構成。
【請求項35】
アノライトが、
EC, PC, DEC, DMC, EMC, THF, 1,3-ディオクソレイン,2MeTHF, 1,2-DME,或は高級グライム,スフォレイン、ギ酸エチル、酢酸メチル、及びこれらの組み合わせから成るグループから選ばれる溶媒と、
LiPF6, LiBF4, LiAsF6, LiClO4, LiSO3CF3, LiN(CF3SO2)2, 及びLiN(SO2C2F5)2 , NaClO4, NaPFc, NaAsF6, NaBF4, NaSO3CF3, NaN(CF3SO2)2, 及び NaN(SO2C2F5)2から成るグループから選ばれる支持塩とから成る、請求項34の保護付きアノード構成。
【請求項36】
アノライトがゲル相である、請求項35の保護付きアノード構成。
【請求項37】
アノライトが、
PVdF、PVdF−HFP共重合体、PAN, PEO, 及びこれらの混合物から成るグループから選ばれるゲル化剤と、
EC, PC, DEC, DMC, EMC, THF, 2MeTHF, 1,2-DME, 1,3-ディオクソレイン、及びこれらの混合物とから成るグループから選ばれる可塑剤と、
LiPF6, LiBF4, LiAsF6, LiClO4, LiSO3CF3, LiN(CF3SO2)2, 及びLiN(SO2C2F5)2 , NaClO4, NaPFc, NaAsF6, NaBF4, NaSO3CF3, NaN(CF3SO2)2, 及び NaN(SO2C2F5)2から成るグループから選ばれるLi塩とから成る、請求項35の保護付きアノード構成。
【請求項38】
実質上不浸透性である層が、ガラス状或はアモルファス活性金属のイオン伝導体、セラミック活性金属のイオン伝導体、及びガラスーセラミック活性金属のイオン伝導体から成るグループから選ばれる物質から成る、とから成るグループから選ばれる物質から成る、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項39】
第二物質成分が、リン系ガラス、酸化物系ガラス、硫黄系ガラス、酸化物硫黄系ガラス、セレナイド系ガラス、ガリウム系ガラス、ゲルマニウム系ガラス、ガラスセラミック活性金属のイオン伝導体、ナトリウムベーターアルミナとリチウムベーターアルミナ、Liスーパーイオニク導電体(LISICON)、Naスーパーイオニク導電体(NASICON)、LiPON, Li3PO4.Li2S.SiS2, Li2S.GeD2.Ga2S3, Li2O.11Al2O3, Na2O.11Al2O3, Nasiglass, Li0.3La0.5TiO3, Na5MSi4O12 (M:Nd, Gd,Dyのような希土), (Na,Li)1+xTi2-x,(PO4)3, (0.1 = x = 0.9) 及び結晶学的に関連した構成、Li1+xHf2-xAlx(PO4)3 (0.1 = x = 0.9), Na3Zr2Si2PO12, Li3Zr2Si2PO12, Na5ZrP3O12, Na5TiP3O12, Na3Fe2P3O12, Na4NbP3O12, Li5ZrP3O12, Li5TiP3O12, Li3Fe2P3O12,及び Li4NbP3O12 から成るグループから選ばれる物質から成る、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項40】
実質上不浸透性であるイオン伝導性の層が、以下の組成であるイオン伝導性のガ
ラスーセラミックであって、
【表2】
そして更に、Li1_x(M,Al,Ga)x(Ge1-yTiy)2-x(PO4)3 (ここでX = 0.8, 0 = Y = 1.0, MはNd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb 及び/或はLi1+x+yQxTi2-xSiyP3-yO12 から選ばれる元素であり、0 < X = 0.4, 0 < Y = 0.6, Q は Al 或はGa)pの主に結晶相を含むものである、請求項30の保護付きアノード構成。
【請求項41】
背面が実質的に不浸透性であり、活性金属アノード及びアノードコンパートメント外部環境と化学的互換性のある構成である、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項42】
背面がアノード電流コレクタから成る、請求項41の保護付きアノード構成。
【請求項43】
背面が更に端子コネクタから成る、請求項42の保護付きアノード構成。
【請求項44】
背面が更に電子的絶縁体から成る、請求項43の保護付きアノード構成。
【請求項45】
背面がシール構成と隣接して居る、請求項41の保護付きアノード構成。
【請求項46】
アノード背面が第二保護膜構成である、請求項41の保護付きアノード構成。
【請求項47】
アノード背面が第二保護膜構成であり、対称的な両面型保護付きアノード構成を形成する、請求項46の保護付きアノード構成。
【請求項48】
アノード背面が第二保護膜構成であり、非対称的な両面型保護付きアノード構成を形成する、請求項46の保護付きアノード構成。
【請求項49】
コンプライアントシール構成物が張力のもとにある、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項50】
コンプライアントシール構成物が金属から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項51】
コンプライアントシール構成物が重合体から成る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項52】
コンプライアントシール構成物が少なくとも二枚の物質層を有する多層型ラミネートである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項53】
多層型ラミネートが少なくとも三層を有し、最上層はアノードコンパートメントの外部の環境に対して化学的抵抗性を有し、最下層はアノードコンパートメントの内部の環境に対して化学的抵抗性を有する重合体であり、中間層は金属のバリヤ層である、請求項52の保護付きアノード構成。
【請求項54】
ポリエチレンテレフタレート(PET)の最上層と、ポリエチレンの最下層と、アルミニューム箔の中間層から成る、請求項53の保護付きアノード構成。
【請求項55】
コンプライアントシール構成物が、一体化されたシール剤を含む多層型ラミネートである、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項56】
一体化されたシール剤が熱シール可能な熱塑性層から成る、請求項55の保護付きアノード構成。
【請求項57】
一体化されたシール剤が,PE, PP及びイオノマー樹脂から成る熱シール可能な熱塑性物から成る、請求項51の保護付きアノード構成。
【請求項58】
一体化されたシール剤が,粘着性塗料層から成る、請求項55の保護付きアノード構成。
【請求項59】
一体化されたシール剤が,平均分子量60,000から5,000,000であるポリイソブチレンを含む粘着性塗料層から成る、請求項58の保護付きアノード構成。
【請求項60】
コンプライアントシール構成物が、一体化されたシール剤を通して熱圧接されることにより保護膜構成に接着されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項61】
コンプライアントシール構成物が、一体化されたシール剤を通して熱圧接されることによりアノード背面に接着されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項62】
コンプライアントシール構成物が、独立したシール剤を通して熱圧接されることにより保護膜構成に接着されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項63】
コンプライアントシール構成物から保護膜構成への結合が独立したシール剤から成る、請求項61の保護付きアノード構成。
【請求項64】
独立したシール剤がエポクシから成る、請求項62の保護付きアノード構成。
【請求項65】
独立したエポクシシール剤がポリアミドである、請求項64の保護付きアノード構成。
【請求項66】
独立したシール剤が平均分子量60,000から5,000,000であるポリイソブチレンをである、請求項62の保護付きアノード構成。
【請求項67】
コンプライアントシール構成物が、放電充電に際して、アノード、背面、及び保護膜構成の間の物理的連続性が維持されるように変形することが可能である、請求項4の保護付きアノード構成。
【請求項68】
コンプライアントシール構成物が、放電充電に際して、アノードの厚さ変化に十分に適応できるように構成されて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項69】
複数の保護膜構成が一つ以上の共通の背面と共有されたシール構成とを通じて互いに接続されたアレイに配列された、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項70】
アレイの複数のアノードが電気的に接続された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項71】
アレイのアノードが電気的に接続された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項72】
アレイが平面的に構成された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項73】
アレイが筒状に構成された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項74】
アレイが螺旋状に構成された、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項75】
アレイがスポークとハブとから成る構成である、請求項69の保護付きアノード構成。
【請求項76】
コンプライアントシール構成物との結合面の接着を改善するためにプリマーが固体電解質層の上に塗られて居る、請求項1の保護付きアノード構成。
【請求項77】
プリマーが金属窒化物である、請求項76の保護付きアノード構成。
【請求項78】
プリマーが金属酸化物である、請求項76の保護付きアノード構成。
【請求項79】
バッテリセルであって、
保護付きアノード構成であって、
第一面と第二面を有する活性金属アノードと、
アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、
アノードの第二面と物理的連続性を持つ活性金属アノード背面と、
保護膜構成とアノード背面とに対向してアノードをアノードコンパートメントの中に包み込み、電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性のあるシール構成物とから成る、保護付きアノード構成と、
イオン伝導性の保護膜構成と接触するカソードコンパートメントであって、カソード構成とカソライトとから成り、カソード構成は電子的に導電性の成分から成り、少なくとも一個のカソード構成とカソライトは少なくとも一個のイオン伝導性の成分とと電気化学的に活性の成分から成り、少なくとも一個のカソード構成とカソライト詩文とはカッセリ金属腐食的成分である、カソードコンパートメントとからなり、
イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成り、
実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに対向するものである、バッテリセル。
【請求項80】
カソードコンパートメントがカソライトから成る、請求項79のセル。
【請求項81】
カソライトが液体から成る、請求項80のセル。
【請求項82】
カソライトが水性から成る、請求項81のセル。
【請求項83】
カソライトが非水性溶媒から成る、請求項81のセル。
【請求項84】
カソライトが海水から成る、請求項81のセル。
【請求項85】
カソライトが電気化学的に活性な酸化剤から成る、請求項80のセル。
【請求項86】
カソード構成の電気化学的に活性な成分が酸素から成る、請求項79のセル。
【請求項87】
カソード構成の電気化学的に活性な成分が層間挿入物質から成る、請求項79のセル。
【請求項88】
層間挿入物質が遷移金属酸化物から成る、請求項87のセル。
【請求項89】
層間挿入物質が遷移金属リン化物から成る、請求項87のセル。
【請求項90】
更にセル容器から成り、セル容器は保護付きアノード構成とカソード構成とを包み込む、請求項79のセル。
【請求項91】
セル容器が周囲の空気に開放されて居り、カソード構成の電気化学的に活性な成分が空気である、請求項90のセル。
【請求項92】
セル容器がアノード背面から成る、請求項90のセル。
【請求項93】
コンプライアントシール構成物がクリンプシールによってアノード背面に付けられて居る、請求項92のセル。
【請求項94】
固体電解質層の表面が結合面とコンプライアントシール構成物との接着を向上する為に化学的にエッチングされて居る、請求項1のセル。
【請求項95】
セル放電によるアノードの縮小とカソードの膨張を完全に補償し、せるエネルギ密度を最大化するようにコンプライアントシール構成物が構成されて居る、請求項79のセル。
【請求項96】
一つ以上の共通の背面と共有されたシール構成とを通じて互いに接続されたアレイに配列された複数の保護膜構成から成る、請求項79のセル。
【請求項97】
アレイのアノードが共通のカソード構成を有する、請求項96のセル。
【請求項98】
アレイのアノードが独立のカソード構成を有する、請求項96のセル。
【請求項99】
保護付きアノード構成を製造する方法であって、
第一面と第二面を有する活性金属アノードと、
アノードの第一面と物理的連続性を持つイオン伝導性の保護膜構成と、
アノードの第二面と物理的連続性を持つ活性金属アノード背面とを供給する工程と、
アノード背面を有する保護膜構成とコンプライアントシール構成物を対向させて、アノードをアノードコンパートメントの中に包み込む工程とから成り、
シール構成は電極、保護構成、背面の間の物理的連続性が維持されるように電極の厚さ変化に順応性を有し、
イオン伝導性の保護膜構成は、アノードと接触するアノード活性金属と化学的互換性のある第一膜面と、アノードコンパートメンの外部環境に実質的不浸透性であり化学的互換性のある第二膜面とを備えるように構成された一つ以上の物質から成り、
実質上不浸透性のバリヤがアノードコンパートメントの内部と外部の間に備えられるようにシール構成が保護膜構成とアノード背面とに対向するものである、方法。
【請求項100】
コンプライアントシール構成物が複数の独立要素から成る、請求項99の方法。
【請求項101】
コンプライアントシール構成物が一体化された物体である、請求項99の方法。
【請求項102】
コンプライアントシール構成物が熱圧接により、一体化されたシール剤を通じて保護膜構成に接合されている、請求項99の方法。
【請求項103】
コンプライアントシール構成物が熱圧接により、一体化されたシール剤を通じてアノード背面に接合されている、請求項99の方法。
【請求項104】
コンプライアントシール構成物が独立シール剤により、保護膜構成に接合されている、請求項99の方法。
【請求項105】
シール構成物と保護膜構成の結合が更に独立シール剤を含む、請求項103の方法。
【請求項106】
更に保護付きアノード構成をカソードと結合してセルを形成する工程から成る、請求項99の方法。
【請求項107】
セルがバッテリセルである、請求項106の方法。
【請求項108】
セルが金属/空気バッテリセルである、請求項107の方法。
【請求項109】
セルがLi金属/空気バッテリセルである、請求項108の方法。
【請求項110】
セルが金属/水バッテリセルである、請求項107の方法。
【請求項111】
セルが金属/海水バッテリセルである、請求項110の方法。
【請求項112】
セルがLi金属/海水バッテリセルである、請求項111の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−505355(P2009−505355A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526152(P2008−526152)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/030985
【国際公開番号】WO2007/021717
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(500163551)ポリプラス バッテリー カンパニー (5)
【氏名又は名称原語表記】PolyPlus Battery Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/030985
【国際公開番号】WO2007/021717
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(500163551)ポリプラス バッテリー カンパニー (5)
【氏名又は名称原語表記】PolyPlus Battery Company
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]